2000年北海道旅行記

 



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7/28  晴

 
味平

大好きな北海道、ことしは大雪に的を絞った。
連泊を2回入れたので、かなり楽な日程のはずだ。
心配なのは体力と子供の体調。

午前8時30分ごろ自宅を出発。
めちゃ混みした京浜急行に大荷物を持った親子4人、迷惑なやつらだと自分でも思う。
10時半のJALで千歳へ。
レンタカーの受付嬢に近場に旨いラーメン屋がないかと聞くと、「味平」を紹介してくれた。
なるほど派手な店構えに、店内も派手!ところ狭しと有名人の色紙と写真。
期待して豚骨ラーメンを頼む。
しかしニンニクとショウガの味がそのまま感じられるスープに少々閉口。
確かにワイルドだが、好みが分かれる味だ。

さて、腹を満たした後は高速で一路層雲峡へ。
宿は「マウントビューホテル」、風呂はそこそこ広く、貸切状態。
せがれは喜んで泳ぐ(というか暴れる)。
飯はまあまあかな?とっとと寝る




7/29  晴、ただし雲あり。

 
黒岳ロープウェイ

前日大量に仕込んだPETボトルを背負い、黒岳へチャレンジ。
エゾシマリスロープウェイ、リフトと乗り継いで七合目に着いたとき、山頂には雲が。
一抹の不安を抱きながら登山名簿に記名していざ山頂へ!
しかし急な登りだ。ダイエットにはいいが息が切れる。
せがれがエゾユキウサギを見たと騒ぐ。
娘はカエルだろうと冷やかす。
見た者ひとりにつき、真相は闇の中だ。
娘はしきりと空気が薄いと騒ぐ。
だったら黙って登れと思うが、黙ると死ぬ恐れがあるので放っておく。
途中やけに人なつっこいエゾシマリスに遭遇する。
すかさず写真、なぜか付いて歩く(理由は下山時に明らかになる)。
1時間30分ほどで急に景色がひらける。山頂だ。
幸いに雲は流れ、あたりが一望できる。ラッキー!
あたりの山々には多くの雪渓が残り、緑とのコントラストが美しい。
娘が小さな滝を発見する。空気が旨い。

黒岳山頂しばしの休息の後、石室へ。結構下る、ということは後で登る。
やだなぁ。途中立ち入り可能な雪渓に立ち寄る。
子供らはすかさずシャーベット状の雪を強引に固めながら雪合戦に興じる。
とにかく涼しくて気持ちいい。
石室とは石で出来た山小屋のことで、そこの前のベンチで昼飯。
でも相席の方、タバコはやめようよ。せっかく空気のきれいなところなのに。
その後雲の平からお鉢の袖を目指すが、家族は結構ばて気味。
娘は文句たらたら。前方に険しい登りが見える。
そこでやむなく3人を残して単独でお鉢の袖に行く。
お鉢平が一望できる。荒涼たる風景で、去年見た恵山の数倍の迫力。
やはり汗は流さないと良いものにたどり着けないというのが旅行の基本だ。
お鉢平登った甲斐あり!
15分ほどで戻ると家族はすでに引き返しはじめていた。
賢い行動だが少々寂しい。まぁ、歩く速度が倍くらい違うのでいいか。
石室から黒岳の登り、結構きつい。
ツアー客の一群に追い立てられるように登る。ガスがかかっている。
その後下山に入るが、せがれはやけに元気。
娘も現金な性格なので先が分かっているためか良く歩く。
帰り道、往きに見たシマリスが餌にありついている光景に遭遇。
せがれはちゃっかり餌を分けてもらい、手から餌を食べさせご満悦。
しかしキタキツネといい、こうした光景は寂しいものを感じる。
こんな彼らに誰がした。
所詮本物の自然とは言い切れない中で歩いているだけか。
でも国立公園ゆえ、本物には入ってはいけないと柵がしてあるし、
禁を破って本物の自然に踏み込めば、熊と遭遇しお陀仏ということもありえる。
この辺が都会人の限界か。
くだりのリフトはかなり涼しい。
汗もかいているのでせがれはしきりとくしゃみ。タオルを首に巻かせる。

下山後、ゲストハウスに立ち寄る。コンピュータが何台もあり、娘は大喜び。
カミサンと息子は大画面のモニタの前で、たった今登ってきた風景を眺めている。早くビールが飲みたい。
夕食後、たまたま祭に当たったため、花火大会を見学することになる。
耳をつんざく大音響!これじゃ熊もびびるよな。
風下だったため、煙のせいでちょっとよく見えなかったが、子供は大喜び。
息子に至っては、自らが花火になった気になり、あたりを駆けずり回る。元気だなぁ。終了後とっとと寝る。


 

7/30  快晴

 
小函の柱状節理

移動日。まずは小函の駐車場まで車で移動、貸し自転車を借りて柱状節理を見学に行く。
事故があったため、現在は徒歩・自転車でも全線通行は出来ない。途中で引き返す。
日頃坂だらけ、車だらけの横浜で自転車に乗っているせがれは、存分に走れると大はしゃぎ。
こちらは自転車に乗れないカミサンとタンデムに乗ってのんびり付いていく。朝の空気が清々しい。
往復4キロほどの行程を、30分ほどで見てくる。しかしひとり\1,500はちと高い。

その後銀河・流星の滝を見てから、大函に向かい、少し見学、上川のアイスパビリオンに向かう。
旭川にも似たようなのがあって、以前行ったことがあったので、あまり期待は出来ないと思っていた。
入口にはみやげ物屋が並び、いかにもといった感じなので、ちょっと不安になったが、とりあえず入場。
防寒服らしきものを着せられ、マイナス20度の世界に突入する。
確かに寒い。本当に寒い。カメラが結露しそうで心配だ。
ことしの北海道はかなり暑いので、これは気持ちがいいかもしれない。
旭川のものよりずっといい感じだ。
途中マイナス41度体感ゾーンというのがあったが、あまりに寒い風が流れてくるのでこれはパス。
出てくると今度はトイレがオブジェの展示場になっていたり、氷の滑り台があったりして、不思議な感じだ。
子供は滑り台にはまってしまう。みやげにチョコ最中をもらうが硬くてかじれないほど冷えていた。

アイスパビリオンの雪だるま続いて大雪アンガス牧場を目指す。
途中レストランがあったが肉料理のみなので、パス。カミサン、肉が駄目なのだ。
近くの展望台に車で上がる。といってもただの丘。
しかし視界の中に人間がひとりも見えないのは爽快だ。
牛も見えない。声はするのだが。
大雪山系をバックにした牧場という風景は、まさに絵にかいたような北海道だ。

宝龍腹が減ったので旭川ラーメン村へ行く。
量販店の大駐車場(駐車料金無料が北海道らしい)車を押し込む。
横浜のラーメン博物館を想像するとまるで違うものだから注意した方が良い。
ドライブインのラーメンコーナーが8軒集まった感じだ。
「蜂谷」で食べたかったのだが、ここにはなく、「宝龍」で食べる。
暑い。とにかく暑い。
店はかなり混んでいて、冷たくない「お冷や」とラーメンの熱気でかなりつらい。
が味はなかなか良かった。
しかしこの暑さ、本当に北海道なのだろうか?次に当麻鍾乳洞に向かう。
ここはまあまあの規模の鍾乳洞で、ひんやりと涼しいのが心地良かった。
しかしきょうは暑かったり寒かったり身体が変になりそう。

いよいよ宿泊地の旭岳温泉へ。宿は「ヌタプカウシペ」。
アイヌの言葉で大雪のことだそうだ。木造のロッヂだ。
ここは結構人気があるそうだが、偶然キャンセルがあったとかで、連泊で予約できた。
ばてたカミサンは昼寝。僕は子供を引き連れ、ビジターセンターに行く。
やはり現地情報が重要だ。しかしたいした情報は得られない。
宿に戻る道の裏手に自然遊歩道がある。
ひょっとしたらエゾナキウサギか何かが見れるかと期待して行ってみた。
しかしそこにいたのはコメツキムシとカエルだけだった。
でも気持ちよい森林浴。子供も結構喜んでいた。
宿に戻って風呂に入る。ここの温泉はとても良い。
\500で入浴だけしに来る客が後を絶たないのも分かる。
ナトリウム泉で、身体の芯まで暖まる。これだけでも泊まった甲斐あり。
その後の夕食も旨かった。久々に本物のシシャモを食った気がした。
肉料理、ジャガイモ、山菜などを利用した家庭料理風。大人も子供も量は一緒。
これで大人\7000、子供\5000は格安だ。布団敷きなどはセルフだが、部屋は清潔で、風通しもいいし、満足。
何でももらい物の材料などで建てた手作りの宿だそうだが、トイレはウォッシュレットだったり、金をかけるところはかけてる。
リピーターが多いというのも頷ける話だ。
何年かしたらまた来ようと思った。宿のご主人も結構いなせな感じだし。
露天風呂もあり、偵察に行くが、ここは脱衣場もなく、混浴といってもねぇ。
ちょろっと入ったが少しぬるかった。結局とっとと寝る。


 

7/31 晴

 
姿見駅より

旭岳ロープウェイで姿見へ登る。
以前のロープウェイは途中で乗り換えがあったらしいが、今回の改装で直通になった。
山頂にはガスがかかる。黒岳登りで懲りた家族は登山は嫌だという。
仕方がないのであたりを散策することに。
旭岳とりあえず姿見の池までいく。
遭難者を弔う鐘があり、子供は鐘鳴らしに興じる。うるさくてかなわない。
その後噴気口の近くまでいくと、ゴオゴオという音が。
あちこちから湯気が立ち上る。殺伐たる光景だ。
高山植物を眺めながら、夫婦沼というところまでいって休憩。
その後の行動を相談する。
当麻乗越というところまで行きたかった。
が、往復4時間に僕以外の皆さんブーイング。
双眼鏡で見ると、結構人はいっているし、見かけは結構近そうに見える。
でも山をなめると怖い。
後で宿の同宿者に聞いたところ、当麻乗越までの道はぬかっていてドロドロだったそうな。
行かなくて良かったか。

天女が原湿原ロープウェイ代も浮くので、歩いて下山することにする。
それでも2時間。植物の垂直分布を楽しむのは僕だけ。
単調な下山道で、日照りがきつく暑い。
ときおりカエルは出るが他の動物はいそうで出てこない。まあ熊は勘弁だが。
かなり疲れ、木陰で休憩した後、ようやく天女ヶ原湿原の木道が出てくる。
ワタスゲなどが咲いていて、ほっとする。
結局くたびれ果てて下山、即「旭岳ビール」(実は登別製)を飲む。
子供は縫いぐるみを欲しがるので買い与える。
結局下山ロープウェイ代が縫いぐるみとビールに化けたわけだ。
ビジターセンターで休憩後宿に帰り入浴。
風呂場でブヨに刺されるが対処が早く事なきを得る。
その後みんなでお昼寝。風が心地良かった。
この日は疲れがピークに達していて、本当にとっとと寝る。
テレヴィを見ない生活もいいもんだ。


 

8/ 1  快晴

 
羽衣の滝

早朝、物資輸送のヘリコプタの音で目が覚める。
抜けるような青空。旭岳もくっきり!ひとりで登りたい衝動に駆られるがじっと我慢。
この日は札幌までの移動日。
まともにいってもつまらないので、とりあえず天人峡を見に行くことにする。
羽衣の滝は駐車場から歩いて10分ちょいで着く。
道が舗装されていて歩きやすいが趣はない。
滝は素晴らしいもので、しばらく滝つぼ近くから見とれてしまった。
これで全体の3分の1しか見えていないとは驚異だ。
全部見ることの出来る場所もあるようだが、急斜面を相当よじ登らなければならないそうだ。
やはり絶景はただでは見れない。
さらに奥に進むと、小さなつり橋(迫力はあまりない)を越え、道が山道状になっていく。
歩きにくいが人も少なくなる。
敷島の滝20分ほどで敷島の滝に到着する。
忠別川にある滝で、落差はあまりないが水量が豊富だ。飛沫浴をする。
涼しくて気持ちがよい。
良く見渡すと周辺にもいくつか小さい滝が、川の両サイドの崖から流れ落ちている。
天人峡温泉からゆっくり歩いて往復1時間。
ぜひ見ておきたい場所だ。時間を取って良かった。

その後は美瑛・富良野から夕張に抜けることにする。
異常にに暑い。北海道とは思えない暑さだ。
美瑛はたびたび行っているので道はよく承知している。
とりあえず三愛の丘で休息。しかし車から降りるとむっとした熱気が。
景色はまあまあだったが、ちょっとももやがかかり気味だったか。
しかし観光バスが少ない。
先のダートだったところが舗装されていた。
拓真館の前を通るが、意外と観光客が少ない。5年前は観光バスで渋滞していたのに。
三愛の丘よりその後国道を避け、裏道で上富良野、富良野と進む。
十勝岳、原始が原の景色が良く見える。しかし娘は寝てばかり。
結局アルファ・リゾート・トマムの経営破綻で有名になった占冠へ行き、物産館の食堂で昼食。
カツ丼が結構旨い。
郷土資料室があったので覗く。
古い軍服やら農具などに混じって、1番目立つところに蓄音機が5台も展示されている。
中には鉄針のケースもおいてあるものもある。
割れたSP(昔のはやり歌のもののようだが、良く見てこなかった。残念)も展示してある。

占冠郷土資料室の蓄音機たち地図を眺め、しばらくダートを行くことにする。
しかし前方を走る工事用車の巻き上げる砂ぼこりが煙幕状態に。
結構きれいな渓谷地帯なのに景色を味わうことが出来ない。
せめてキタキツネ位出ないかと期待するが、暑いせいか影も形もない。
1時間ほど走り、国道に戻る。ちょっと時間をロス。
そのため夕張石炭の歴史村はパスすることにする。
その後はメロンのハウスを眺めながら一路札幌へ。5時過ぎに宿の「中村屋」に到着。
何と最高気温が36度とのこと!
どうりで暑いわけだ!一休みしてお茶にする。冷房の完備した宿で良かった。

札幌ビール園夕食は札幌ビール園でジンギスカンにする。
外の網焼きも涼しそうだったが、中は冷房が効いているだろうと思い、室内へ。
しかしここは北海道だって事を忘れていた!冷房なんて殆ど効いていない。
肉を焼くガスと人間の熱気で暑いのなんのって!
とりあえずビールと肉をある程度がっついた後は、宿に戻ることにする。
すると従弟のmasa.c.から連絡がある。
会いに来るとのこと。部屋で会うことにするが、つまみがない。
フロントに無理をいって枝豆とポテトを調達する。
masa.c.はよく飲む。
結局上川の地ビール3本と缶ビール8本をあっと言う間に飲んで帰っていく。
話は北海道の旅行話。
久々に会ったが、やはり各所に詳しい。
ホームページ用に写真を送ってくれるよう依頼する。久々に泥酔。


 
 
 
 
 
 
 
 

8/2  晴時々曇

 
北一硝子

いよいよ最終日。午前9時頃PATTIさんから電話があった。
お会いしたかったのだが、時間が取れない。なにしろ旅行は家族優先なので。残念!
大倉山シャンツェ経由で支笏湖に向かおうと走っていると、道標に「小樽」の2文字。
うちの夫婦はこの地名に弱い。予定変更。
国道5号を一路北上して小樽へ向かう。
途中工事区間でやや渋滞するが、10時30分には小樽に着く。さっそく北一硝子に向かう。
いつのまにか5号館が出来ていた。オルゴールと燭台がメインだ。
子供がガラス製品を壊すのではと冷や冷やしながら見る。
その後3号館へ。洒落たグラスがあったので購入。我が家への唯一のみやげだ。
しかしことしは観光バスが少ない。
前の日にタクシーの運転手から聞いたところによれば、やはり有珠の噴火が効いているらしい。
まぁ、こちらとすれば人は少ない方がいいが。
北一硝子も一大観光スポットになっており、賛否の分かれるところだが、
小樽の観光に一役買っていることは確かだ。
運河沿いに洒落たホテルがたくさん出来ているし。
新婚旅行で来たときは、駅前のホテル(半分ビジネスのよう)位しかなかったのに。

初代昼は寿司をと思ったが、駐車場を探すのも面倒なので、ラーメン「初代」へ行くことにした。
12時になる前だったので、すぐに座れた。
僕は前にも来ているが、家族は初めて。
旭川系の醤油ラーメンがお薦めで、カツオなどのだしがしっかり効いている。
麺も適度に腰があり、よくスープが絡む。チャーシューは柔らかく美味。
好みはあるかもしれないが、相当旨いラーメンだと思う。
味噌が好きなカミサンによると、味噌ラーメンは「宝龍」の方が旨かったそうだ。
でもこの店、倉を改築したためか、冷房なしでも涼しい。
店員の接客も好感が持てるし、また来よう。
食べ終わる頃にはすでに行列が出来ていた。昼しかやってないので当然かな。

満腹した後は、高速を飛ばし一路千歳へ。
レンタカーを返し、空港でみやげを大量に買い込む。いつものパターン。
大きな荷物はすでに宅配で送ってしまったので楽なもんだ。
午後4時35分のANAに搭乗する。この時期では信じられないほどがらすき。
久々に窓際に座る。地理屋としては、空からの日本列島見物も重要な研修だ。予定通り離陸。
すいていたせいか、下り便だけの放映予定の「ポケモンアニメ」を特別に放映する。
子供は見やすい席に移動できて大喜び。
僕は窓から原発銀座を眺めていた。霧が発生していたので、やはり何とも言い難い眺めだ。
温廃水の影響かなどと思ってしまう。
雲の中でやや揺れたが、無事羽田に着く。
磯子行きのバスはすでに出発した後だったので、行きと同様、迷惑な客になる。

北海道行きは今回でプライヴェートでも10回をゆうに越えたことになる。
かなり見尽くした感はあるが、空気の味が違う。
毎年6月くらいになると、ついつい北海道のガイドなどを引っ張り出して見てしまう。
本当は鉄道でゆっくり行きたいのだが。
でも廃線と家族の行動の利便性から、レンタカーに頼ってしまう。邪道とは知りながら。
本当にいい景色は人のアクセスしにくい、交通の便の悪いところにある。
だから歩かないとたどり着けない。
でもさすがにもう若くないなと思った。
山ふたつ登る体力はもはやないかな(少なくともカミサンにはない)とも思う。
こうなると、あとはサロベツ原野あたりかな?と、すでに来年に思いをはせているのであった。
鬼よ、笑わば笑え!



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