ソウル・ファンクのCD

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LIVE ; CURTIS MAYFIELD

  1. Mighty Mighty (Spade And Whitey)CURTIS LIVE
  2. I Plan To Stay A Believer
  3. We've Only Just Begun
  4. People Get Ready
  5. Stare And Stare
  6. Check Out Your Mind
  7. Gypsy Woman
  8. The Making Of You
  9. We The People Who Are Darker Than Blue
  10. (Don't Worry) If There Is A Hell Below
  11. We're All Going To Go
  12. Stone Junkie


CURTOM CUR 9506

 1999年、惜しくも亡くなってしまったカーティス・メイフィールドの、1971年のライヴ。N.Y.のビター・エンドという、もともとはフォークのメッカだった店だ。下のダニーのアルバムでもいえるが、ジャケットの茶色っぽい光の加減が、この店のイメージを伝えている。曲は非常にメッセージ性が強いものが多く、人種融和を説く(1)、黒人運動を鼓舞するような(4)(9)、アンチ・ドラッグ・ソングの(12)など、英語力の乏しい僕にも、その心が伝わってくる。でも、カーティスはあくまでもやさしいんだよね。この人の歌声を聞いていると、何か疲れたときに、フゥッとため息をついて、椅子に越しかけて得られる安堵感みたいなものが感じられる。だから、カーペンターズで有名なポール・ウイリアムスの(3)も、何にも違和感なく聴ける。そしてその次に、「People get ready...」と来るところが、このCDの中で一番好きな所だ。小編制のバンドで、心地よい透き間の空いたサウンド、70年代、確かに時代は変わりつつあったことを感じさせてくれる1枚だ。「ればたら」は言いたくないが、あの時照明が彼の上に落ちなかったら・・・。



DONNY HATHAWAY LIVE ; DONNY HATHAWAY

DONNY LIVE
  1. What's Goin' On
  2. The Ghetto
  3. Hey Girl
  4. You've Got A Friend
  5. Little Ghetto Boy
  6. We're Still Friends
  7. Jealous Guy
  8. Voices Inside (Everything Is Everything)




ATCO 18P2-3090

 グッピーで飲んでいると、夜中、人が少し増えたときにこのCDの原盤LPのA面が良くかかる。何度も聴いたであろう、ジャリパチの中から、熱くグルーヴする「ザ・ゲットー」。ライヴハウスに似合う曲だ。1971年、かつてカーティス・メイフィールドとも活動を共にしていたダニー・ハザウェイのライヴは、(1)(4)がL.A.で、そして(5)(8)がカーティスのライヴと同じN.Y.のビター・エンド(裏ジャケのレンガ積みの店、小樽の海猫屋を思い出す)での収録だ。ジャケットの写真からもうかがい知ることができる、知性溢れるダニーの、ジャズやクラシックを吸収して生み出される音は、例えば(3)のようにジャジーで、スティヴィー・ワンダーに通じる複雑な音楽構成をもつ。一方でジョン・レノンの瑞々しい(7)も、違和感なく自分のものにしている。続く長尺の(8)では、コーネル・デュプリーのブルージーなギターが聴きもの((1)(4)のギターはフィル・アップチャーチ)だ。女性ファンの歓声とともに始まるキャロル・キングの(4)は、もはやゴスペルのスタンダードと言っても良いが、フィーリング溢れる歌が素晴らしい。僕のフェヴァリットだ。そして1曲目、マーヴィン・ゲイよりストイック(この歌を楽しげなダンス・ナンバーとして演奏するバンドに、僕は違和感を感じる)に歌うダニーに、後の彼の運命が感じられるのは、やはり後知恵だろうか。



LIVE AT THE HARLEM SQUARE CLUB,1963 ; SAM COOKE

HARLEM SQUARE LIVE

  1. Feel It
  2. Chain Gang
  3. Cupid
  4. It's All Right / For Sentimental Reasons
  5. Twistin' The Night Away
  6. Someday Have Mercy
  7. Bring It On Home To Me
  8. Nothing Can Change This Love
  9. Having A Party




RCA PCD1-5181

 1985年にこのアルバムが世に出たとき、大変な驚きをもって迎えられた。サム・クックと言えば、スムースで甘い歌い口で知られており、楽曲の素晴らしさ、歌の上手さはいうまでもなかったが、なぜ、オーティス・レディングなどが彼の曲を取り上げるのか、ちょっと腑に落ちない部分もあったのだ。しかし、このライヴでの、ワイルドなサムの歌を聴いて、納得がいった。大変な迫力で、次々とヒット曲を唄っていく「辛口」なサムの姿が、そこに捉えられていた。ジャケットの表情からも、そうした迫力を感じる。(3)などは甘い歌の代名詞のような歌だが、ここではそんなイメージは見事に払拭されている。(4)の後半は観衆と大合唱!そして(5)になだれ込んでいくところは盛り上がる。素晴らしいキング・カーティスのソロもフューチャーされている。また、LPでいうB面が(6)(9)だが、何度聴いたことだろう!ショウが進むにつれて、声はかすれていくのだが、サムのテンションがどんどん高くなっていくのが分かる。これをソウルと言わずして、何と呼ぼう。サム・クックが甘くて苦手な人にこそ聴いていただきたいアルバムだ。(8)なんてこんな凄いバラードだったのかと再認識すること請け合い。ラストで皆が歌い出す気持ちがよく分かる!



LIVE AT THE APOLLO ; JAMES BROWN

LIVE AT THE APOLLO
  1. Introduction
  2. Think
  3. I Want To Be Around
  4. James Brown (Thanks)
  5. That's Life
  6. Kansas City
  7. Let Yourself Go
  8. There Was A Time
  9. I Feel All Right
  10. Cold Sweat
  11. It May Be The Last Time
  12. I Got You (I Feel Good)
  13. Prisoner Of Love
  14. Out Of Sight
  15. Try Me
  16. Bring It Up
  17. It's A Man's, Man's, Man's World
  18. Lost Someone (Medley)
  19. Please, Please, Please
POLYDOR POCP-2196

 JBはたびたびアポロ劇場でライヴ録音をしているが、これは1967年のライヴ。ヒット曲を連発し、最も脂の乗り切っていた頃のJBのショウを見事に捉えている。まずジャケット、シャウトするJBをとらえたシンプルなデザインは、これだけで内容を言い表していると思う。さて、肝心の音だが、「ショウビジネス1番の働き者」との紹介についで、格好いいホーンアレンジの(2)でショウはスタート。スローとアップ、ゲスト・シンガーの歌を取り混ぜながら進む構成は、現在のライヴも大きくは違わないが、このライヴは本当に熱い。ファンキーな(9)から(10)への切り替えは見事だが、このアルバム最大の聴きものが(10)だ。ジミー・ノーレンの絶妙のギター・カッティングと、ジョン・スタークス、クライド・スタブスフィールドのシンコペートするドラミング。スタジオ盤よりややアップ気味だが、このグルーヴ感をJBは67年に完全に確立していたのが凄い。ファンクそのものだ。後半はヒット曲が目白押しで、乗りのいいアップの(12)(14)(1コーラスのみ!)と、切々と歌うスローの(13)(15)のコントラストが素晴らしい。そしてクライマックスは(17)から(19)だ。おそらくマントショウが行われているのだろう。聴衆の盛り上がりも凄い。(19)はかなりアップにアレンジしてあり、否が応でも興奮を高める演奏。女性ファンの叫び声がすざまじい。



RUFUS THOMAS LIVE! ; RUFUS THOMAS

RUFUS THOMAS LIVE
  1. Monologue
  2. Ooh Poo Pah Doo
  3. Old Macdonald Had A Farm
  4. Walking The Dog
  5. The Preacher And The Bear
  6. The Night Time Is The Right Time
  7. (Do The) Push And Pull
  8. Do The Funky Chicken
  9. The Brakedown
  10. Do The Funky Chicken
  11. Do The Funky Penguin


STAX CDSXE 121

 元祖ファンキーオヤヂ、ルーファスの70年代前半の御機嫌なライヴ。(1)(8)はL.T.D.をバックにした1970年ハリウッドでのライヴで、愉快そうな語り(英語力の乏しい僕にはよく分からないのが残念)と、客のコーラス練習に続いて、ジェシー・ヒルの(2)が軽快に始まる。ときおりチーンとベルの音がするのはルーファス自身が鳴らしているのか?曲間の語りやスキャットが楽しい。代表作(4)はかなりタイト。(6)はゴスペル・タッチで味わいのある歌が聴ける。ギター(引き手不明)がフューチャーされており、結構ソリッドで良いギターだ。誰だろう?ゆったりとしたファンク(7)についで、鶏の鳴きまねが入り、(8)に突入。ギターもチキン・リズムを決めていて、すこぶる格好いい。このライヴ、エンターティナーはこうあるべきといった姿勢が全編貫かれていて。非常に楽しめる。
 (9)(11)は「Wattstax」に収録されていたL.A.のメモリアル・コロシアムでの72年のライヴ。大きな会場なので、趣が異なるが、総立ちで踊り出しそうな演奏だ。バックのプロジェクト・ソウルもしっかりした演奏を聴かせている。でも前半の小さなハコでの会場と一体となったパフォーマンスに、ルーファスの神髄があると思う。でもこのジャケットのルーファスの見えを切ったような表情、いいなぁ。



SOUL TWIST WITH KING CURTIS
SOUL TWIST
  1. Soul Twist
  2. Twisting Time
  3. What'd I Say -pt. 1
  4. I Know
  5. Sack O' Woe Twist
  6. Camp Meetin'
  7. Wobble Twist
  8. Irresistible You
  9. Big Dipper
  10. Twisting With The King
  11. Midnight Blue
  12. Air Raid
  13. Soul Twist -alt. take
  14. What'd I Say -pt. 2
  15. Hot Potato -pt. 1
  16. Hot Potato -pt. 2
  17. The Monkey Shout
  18. Get With It
  19. Soul Twist -take 7
ENJOY etc/P-VINE PCD-3803

 このジャケットのLP(内容はノーブル・ワッツなどを含むオムニバス)が P-VINE から発売されたとき、鮮烈な色使いに惹かれて購入した。当時の日本の一部ではジャンプやホンカーがちょっとしたブームとなっていたと記憶しているが、その中でも異彩を放つ一枚だった。キング・カーティスの1960年前後の作品集で、おもに ENJOY でリリースされたものを集めている。ソウルに入れようかブルースに入れようか迷ったが、タイトルからこちらにした。
 まずはタイトル曲。ツイストといってもかなりゆったりしたグルーヴィーなリズムで、カーティス特有の突っかかるようなフレーズが印象的で、R&Bチャートで1位を記録したのもうなずける。(7)(10)はその続編といった曲。(2)(5)も当時のツイストブームに乗って出されたダンスナンバーだが、(2)のビリー・バトラーのギター・ソロは、アグレッシブですばらしい。ミッキー・ベイカーやジミー・スプルーイルなど、この時代のニューヨークのセッション・ギタリストのプレイは聴き物が多いが、これもそのひとつであろう。レイ・チャールズ・ナンバーのインスト(3)やのどかなハーモニカをフューチャーした(6)も同様の趣で良い。一方(5)はソウル・ジャズというべき作品だ。もうひとつの聴き物がスローの(11)で、印象的なテーマはのちの「ソウル・セレナーデ」を彷彿させる。バトラーも落ち着いたソロを聴かせるが、その後に出るカーティスのソロは情感溢れるすばらしいものだ。(4)はバーバラ・ジョージの代表作となるニューオーリンズ・ポップのカヴァーで、カーティス自身の唄がかわいい。(8)(9)はかなりポップな曲調で、好みが分かれるか。
 このほかは別テイクや他アーティスト名義の作品が収録されているが、その中では(12)がかっこいい。カーリー・ハムナー・オーケストラの1960年のジャンプ・ナンバーで、タイトルの「空襲」そのままに、畳みかけるリフと、ブレークが印象的だ。先のアナログ盤ではこれがA面1曲目で、僕は一発でノックアウトされた。
 カーティスは1965年以降のATOCO時代が充実しており、キングピンズがのちのスタッフの原型になったり、アレサの後見人としての活動も見逃せないが、この時代のカーティスにもぜひ注目していただきたい。なお、カーティスの広い時期を集めたコンピとして「Instant Soul」(RAZOR & TIE RE 2054)も好盤だ。



MOTHERSHIP CONNECTION ; PARLIAMENT

MOTHERSHIP CONNECTION
  1. P-Funk (Wants To Get Funked Up)
  2. Mothership Connection (Star Child)
  3. Unfunkey UFO
  4. Supergroovalisticprosifunkstication
  5. Handcuffs
  6. Give Up The Funk (Tear The Roof Off The Sucker Medley)
  7. Night Of The Thumpasorus People






CASABLANCA 824 502-2

 これは歴史的名盤だ。ファンクはソウル、ロック、ジャズなどを融合させた70年代に完成する黒人音楽=文化の一形態(詳しくはリッキー・ヴィンセント「ファンク -人物、歴史そしてワンネス-」;BI PRESS 1998 に譲る)だが、P-FUNK はその中でもよりドゥーピーでゆったりしたグルーヴを持っており、はまると抜けられない魅力を持っている。JBのホーン・セクション、ブレッカー・ブラザーズ、ブーツィー・コリンズを迎え、バーニー・ウォーレルのチープでチャーミングなキーボードをバックに、ジョージ・クリントンは壮大な P-FUNK 宇宙を構築した。「P-FUNK 宣言」ともいうべきグルーヴィーな(1)に、その要素はすべて詰め込まれている。タイトル曲(2)でさらに聴衆を P-FUNK へ誘い、(3)でコントラストをつけながら、アルバムは進んでいく。そして低音のリズミカルなラップから始まる(6)は、重心の低い P-FUNK の最高傑作だろう。全編を貫くコーラスからは、ノーザン・ソウルの伝統やゴスペルからの影響(歌詞にも現れている)を感じることもできる。ジャケットの下世話さとか、ブーツィーの変態的なベースとか、チープで怪しげなジャケットとか、苦手な人にはまったく合わないものだろうが、変に売れ線を狙わず、あくまでも黒人文化の王道を貫こうとしたこのアルバムの姿勢は、現在のヒップホップに通じていくものを感じる。それはこのアルバムの直後に訪れたディスコ・ブームの中で生み出された、膨大な量の「売れる」作品群と聴き比べるとはっきりする。ライヴ盤「アース・ツアー」とともに一度は聴いて欲しい作品だ。



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