LIVE REPORT
 

日付順に並んでいます。

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Funky Meters ; Live at AX, Shibuya (2009. 7.23)

いやいや、堪能しました。昨年秋に来日したばかりのアート・ネヴィル、健康状態が心配だったんですが、演奏はずいぶん元気になりましたね。セッション的なライヴで、仕切り役はジョージ・ポーター・ジュニア。「シシー・ストラット」「ピープル・セイ」「アフリカ」など、ミーターズ時代のナンバーを中心に、時にはおやっとにんまり笑うような曲も含めて、メドレー仕立てで演奏します。ドラムのラッセル・バティステも以前よりうねりが出てきたと思いますし、ヴォーカルでは大活躍。そしてギターはアートの息子のイアン。途中ジョージに何度も指図されながらも、切れのいいカッティングを中心に、ブルースでもなかなか味のあるソロを披露。終盤の「ビッグ・チーフ」、ネヴィルズの時は手元がおぼつかなかったアートのオルガンでのリフ、往年ほどではないけどしっかり弾けていたのでひと安心!とにかくあっと言う間の2時間でした。




The Neville Brothers ; Live at JCB Hall, Suido-Bashi (2008.10.29)

開演は予定通り午後7時ぴったり。いきなり「ファイヤー・オン・ザ・バイユー」の重量感溢れるリズムの洪水に早速会場内は総立ち状態です。冒頭ミーターズ・ナンバーの3連発で、「アフリカ」あたりになるとグルーヴに身を任せているのが一番いいなって思いました。最初はアートとシリルが交互に歌う感じでしたけど、「モジョ・ハンナ」「フードゥー・ウーマン」などアーロンが出てくるとぐっとネヴィルらしくなります。途中チャールズが「ベサメ・ムーチョ」を吹いたりして変化をつけてました。ライヴの中ほどで「ヘイ・ポッキー・ウェイ」が出るとみんなで大コーラス。でもアートが「ジョニー・B.グッド」を歌い出すと、さすがにあれって感じでしたね。やっぱり声が出ていないのと、このリズム、このバンドに合わないんですよ。結局アーロン、シリルと歌い継ぐメドレーでしたが、これやるならニューオーリンズもののメドレーの方が良かったかな。さらに「ビッグ・チーフ」でお馴染みのオルガンのイントロをアートが弾くんですけど、指がおぼつかないんです。やっぱりかなり後遺症があるみたい。でもみんなでリズムを出し始めるとしゃきっとするから凄いですね。ラストはアーロンの歌う「イエロー・ムーン」、思わず涙が出てきました。アンコールはそのアーロンの「アメイジング・グレイス」から「ワン・ラヴ」へ。今回はバンドメンバーと行ったので、音楽仲間との反省会はなし。でもネットでいろいろ話題になっていたのが楽しかったです。あのギタリスト、いろんな意味で面白かったなぁ。アートの状態を考えると、このラインナップのネヴィルの来日は最後かもしれませんね。でも大きな会場がほぼ満員だったし、その会場を揺さぶるリズムの嵐、やっぱりネヴィルズは世界最強のライヴバンドだと再認識しました。




Jon Cleary & The Absolute Monster Gentlemen ; Live at Club Quattro, Shibuya (2008.10.15)

新作のライヴ「Live Mo Hippa」が素晴らしい出来だったので楽しみにしていきましたが、いやいや、期待をはるかに上回る最高のライヴでした。スタートはニューオーリンズものからで、特に2曲目に「ゾーズ・ロンリー・ロンリー・ナイツ」をやってくれたのが嬉しかったです。でもその曲にしても「ティピティーナ」にしても、オリジナルからふたひねリした位のアレンジが施されており、完全にジョン・クリアリーの音と歌になっています。それ以上に特筆ものはバンドです。完全なファイヴ・バイ・ファイヴのギターのビッグ・Dがテレキャスターを持つと、まるでウクレレのように見えるんですが、そこから繰り出されるシャープなフレーズは、例えて言えばレオ・ノセンテリをもうちょっとフュージョンよりにした感じ。でも嫌味は全然ないです。またドラムのエディ・クリスマスも、シンコペーションの利いたドラミングが素晴らしく、でも決してせせこましくならないのがいいですね。そして何といっても素晴らしかったのがベースのコーネル・ウィリアムズ。隙間いっぱいのフレーズを軽々とはじき出すかと思うと、リズムをビッと締め、グルーヴ感たっぷりのうねりを生みだしていきます。そしてコーラスがまた最高!時折ビッグ・Dとユニゾンでリフ遊びをしたり、パーマネント・バンドならではの見せ場も。こんなバックに支えられ、ピアノとキーボードを操るジョン、意外なほど歌がいいんですよ。ちょっと張りのある声で、オリジナルもカヴァーも同じジョン節で歌っていきます。この人本当にニューオーリンズ音楽が大好きなんですね。ステージは2部構成で、後半の「ヘルプ・ミー・サムバディ」では自然発生的にみんなでコーラスも。アンコール込みで2時間半の充実したライヴでした。来年もまた来て欲しいな。




日倉士歳明 ; Live at across the BORDERLINE (2008. 5. 3)

この店で日倉士さんのライヴを見るのは3回目ですが、一番落ち着きがあって良かったように思います。ラップスティール、テスコのエレキギター、ワイゼンボーン、メタルボディのドブロ、そしてマーティンもどきのアコースティック・ギターと並べ、とっかえひっかえ演奏をしていくんですが、それぞれの楽器の特徴を上手く生かした演奏は、何を聴いても安心できます。南の島を彷彿させるインスト・ナンバーは美しさがあり、日本語で歌うロバート・ジョンソン「カモン・イン・マイ・キッチン」なども、彼独特の世界があって素敵です。でも今回はゴスペルを多くやっていました。セイクリッド・スティール、とりわけロバート・ランドルフに影響を受けたなどと話しながら、どこかライ・クーダーもかおる「ジーザス・オン・ザ・メイン・ライン」、転調で緊張感を高める「アメイジング・グレイス」など、ラップ・スティールから奏でられる変幻自在のサウンドと、タフなヴォーカルは、ゴスペラーズなどでは決して表現できない、どす黒いゴスペルを深いところで理解した歌だと思いました。でも一番感動したのはアンコールでやった「おお・スザンナ」。アコースティックを爪弾きながら、男の優しさを込めて歌う姿、惚れ直しました。



鬼頭つぐる & 小林創 ; Live at チョウゲン坊 (2008. 4.23)

蕨の駅のすぐ近くにあるチョウゲン坊は、お酒と肴のおいしい洒落た居酒屋です。ここでは時折ジャズ系のライヴが行われるんですが、ぐっとフォークな鬼頭つぐると、オールド・ジャズ・ピアノの名手小林創という、個人的にも面識のあるふたりがやるというのではるばる見に行きました。基本はつぐるさんの曲に創さんがバックをつけていくという形で、つぐるさんにしてはジャジーな選曲が多くなっています。でも創さんが唸りながら弾くピアノソロは圧巻でしたね。ウォッシュボードのZeal金子さんも駆けつけてきて、ジャグ・バンド〜初期ジャズの雰囲気たっぷりの楽しい演奏になりました。居酒屋でこんな素敵な音楽が生で聴けるなんて!埼玉県、恐るべし!



Jeff Lang ; Live at Thumb's Up, Yokohama (2008. 2.19)

午後7時に到着したときには、店はほぼ満員でした。ジェフを一押しのピーター・バラカンさんの顔も見えます。定刻の7時半ちょうどにジェフが姿を見せます。髭面ですが肌艶の良い真面目そうな青年です。まずはエレクトリック・リゾネイタを持ってスタート。ブルースというよりは、ケルト系の民謡のイメージが強い、かなりワンコード的な曲が中心です。歌は気取りのないまっすぐな歌で、聴いていてすっと耳に入ります。ディレイのループをかませてみたり、ステレオ出力を利用し、エレキ的なサウンドをアコースティックな音の上に被せていったり、さらに足でキック音を出すペダルを踏み、アクセントを強調したりと、ワンマンバンドのようなサウンド作りです。スライドの指さばき、ペグを回すことによるベンドという荒技など、視覚的にも面白かったです。
 普通のアコースティックに持ち替え、フィンガー・ピッキングも披露しますが、これがまた凄く上手いです。バンジョーのように音を転がし、ちらっとスライドをかませたりと、本当にワザが多彩。そういう意味ではボブ・ブロズマンに通じますが、素直な歌のせいか、嫌味な感じは全くありません。終盤はワイゼンボーン風のアコースティックを膝に乗せてのスライドプレイ。ラスト・ナンバーの「1万2千マイル」はひとりでやってるとは思えないほどの迫力とスピード感でした。アッという間の1時間半。ブレイクして欲しい人です。



日倉士歳朗&丹菊正和 ; Live at Add9th, Komae (2007. 8.29)

狛江市役所の目の前にあるこの小さなライヴ・バーは、20人ほどで満席の小さな店ですが、どうやら丹菊さんの地元のようです。このユニットを見るのは4年ぶりくらいで、今はこの店でしか見られないそうです。日倉士さんの自由奔放なスライドと、野太い歌に、丹菊さんの変幻自在なパーカッションが絡みつくスタイルは、二人だけの演奏とは思えない迫力があります。2ステージ、丹菊さんも歌いますが、特に後半にやった「ラヴ・ザ・ワン・ユーア・ウィズ」の格好いいことったら。また今回初めてリハーサルで合わせた「噂」という曲も、コーラスまで入ってなかなかの出来。この他日倉士さんお馴染みの日本語のロバート・ジョンソン・ナンバーや、しっとりとしたバラードなど、楽しいおしゃべりを入れてあっと言う間の2ステージでした。



Carlos Johnson with Roller Coaster ; Live At O-nest, Shibuya (2007. 3.16)

待望の来日です。ただでさえ狭い会場にそれこそすし詰めのお客さん。僕はステージ上手よりの1段高いところ、手すりの前に陣取って、間近に見ることができました。バンドのイントロもなくいきなりのしのしと登場したカルロス、ギターを手に取ると「尊敬するオーティス・ラッシュの曲です」といきなり「アイ・ワンダー・ホワイ」からスタート。これがまあ10分以上もあるロングバージョンで、たたみこむフレーズだけでなく、ギターを泣かせたりしゃべらせたりととにかく多彩な技の連続でした。でもテクニックよりエモーションが勝っている感じのギター、興奮しましたね。ワンフレーズをそれこそこれでもかと繰り返したり、シングルノートで盛り上げたり、バンドを煽ったり引いたりと、これぞブルースのライヴという感じです。ブルースバンドでギターを弾く皆さんにはそれこそ全員に見てもらいたいくらいのステージワークでした。次がこれまたレフティのアルバート・キング・ナンバーの「アイル・プレイ・ザ・ブルース・フォー・ユー」。ただこうしたエイトビート系の曲だと、バックバンドとのリズムの折り合いが今一つでした。たぶんリハーサル一発で、バンドはCDをコピーして予習してきたんでしょうけど、もう少しファンキーなバンドをバックにしても良かったんじゃないでしょうか。
 またおちゃめな部分もありました。日本語で挨拶をするだけでなく、酒の差し入れには本当にうまそうな顔で飲むし、会場から男性の「アイ・ラヴ・ユー」には「ユー。ガイ」と切り返すシーンも。圧巻はスローな曲での場内練り歩き。本気で女性を口説いてる感じでしたね。この曲の後の鳴り止まない拍手に「シカゴに帰りたくない」と涙する場面も。さらに「マーシー・マーシー・マーシー」ではシカゴ時代の友人ということで牧野元昭さんをステージに上げ、掛け合いを含めたギター合戦も行われました。まあ曲の方はBメロCメロあたり音が全然整理されてないため、ウワンウワンうなってちょっと残念でしたが。ちなみにイントロをピアノの早崎さんが任されて、なかなか曲が始まらないので様子をうかがうように演奏を止めると、すかさずカルロス「止めちゃだめだ!セックスと同じでやり続けなきゃ」と腰を揺すりながら突っ込む場面も。
 ラストは「シカゴの歌です」とEの3連でスタートしたので「カルロス・おまえもか」と一瞬たじろぎましたが、出てきた歌詞が「ユー・ドント・ハフ・トゥ・ゴー」で一安心。会場に歌わせたり、3人のギターだけの演奏とか、ショーとしてもよく考えられていました。小出さん、もっと大きな音で弾けば良かったのにね。でもこうしたシャッフルだとバンドもいいノリを出しますから最後は盛り上がりました。アンコールはゆったりした「キー・トゥ・ザ・ハイウェイ」から「我が心のジョージア」ヘのメドレー。カルロスが「ジョージア」と叫ぶと、一瞬バンドに動揺が走ってましたが。歌の方はジョージアがいつのまにか東京に変わり、即興でバリバリ歌詞を作って、お客さんへの賛辞の嵐となってました。こうしたバラード系、特にテンションを高めたときの歌とか、あるいは抜いたように歌うときとか、カルロスはヴォーカルとしても非凡なものがあります。そして笑ったのがバンドがこれで終わりとエンディングにもってったとき。ブレイクと同時にしばしの沈黙。するとカルロスが「困ったなぁ。なんも考えてなかったよ。真っ白。いやぁ参った」(以上彼の台詞の意訳)とつぶやくと「ブリッジ!」と叫び、再度演奏再開。バンドは大混乱。そして本物のエンディングではカルロスが指4本でサブドミナントに上がり、1,3、5などエンディングの大エキスパンド大会。どこかのバンドとやること一緒ですね。とにもかくにも、ショーマンシップあふれるライヴであっと言う間の2時間。大満足でした。これは毎年呼ぶしかないでしょ!



Blues Records DJ's Night Vol. 15 ; BLUE HEAT (2006. 9.23)

ブルーヒート恒例の「ブルースを聴く会」に行ってきました。昨年は僕もCDを回したんですが、今回はSP盤特集ということで楽しみにしていきました。DJはまずハレルヤ関根さん。ご本人の好きなビッグバンドものとニューオーリンズのジャンプ系を中心にセレクト。人柄のよくにじみ出た暖かい口調の話は、とっても和みました。
 続いては和田昇さん。僕の心の師匠です。イントロに「イージー」を流し、テキサス・アレクサンダーのデビュー盤といった後、た後、「嫌な人がいるならやめとくけど、ジョン・リー4発いっていいかな」と笑わせながら、結局かけてました。ビッグ・ジョー・ウィリアムズの「P-ヴァイン・ブルース」をかけたときは、「ブルースはP-ヴァインしかないねぇ」を連発。それもそのはず、会場にブルース・インターアクションのボスの日暮さんがいるんだもの。一同大爆笑。佐々木さんに「ヴィヴィッドは?」と突っ込まれてましたけど。その後はフランキー・リー・シムズ他和田さんの好きなルイジアナ〜テキサス〜西海岸のダウンホームものや女性ヴォーカルと面白いのがいっぱい。でも和田さんの盤、音質の素晴らしいものが多かったです。もっと聴きたい人は弁当持って自宅へどうぞとのことでした。今度行きたいなぁ。
 3番手は「歌うDJ」ロッキン文屋さん。しきりに「諸先輩の前で云々」と言いながら、CHESSなどブルースの王道、有名曲を中心に回していました。個人的に嬉しかったのはフルソンを2枚もかけてくれたこと。やっぱりいい音だな。「ここにはフルソン好きが何人もいるけど」って少なくとも僕と和田さんはその中に入ってますね。
 トリを務めるのはおなじみ佐々木「いづみ屋」健一さん。いきなりEW&Fの「セプテンバー」からスタート。そりゃきょうは9月ですけどね。まあ狭い意味のブルースにこだわらないいつも通りの楽しい選曲で、「山寺の和尚さん」まで飛び出しました。途中タンザニアのアーティストをかけたとき、僕を狙って「タンザニアの首都はどこ?」と質問が。さすがに「ダルエスサラーム」と答えると「そこは何島にあるの?」と二の矢が。さすがに答えられないと健ちゃん、勝ち誇ったように「ザンジバル島ね」と。僕は「調べりゃ分かることは覚えないの」と苦しい答弁。職業ばれてるだけに厳しいね。後で日高見一杯おごっておきました。そしたらカセットもらっちゃったけどね。
 とにかく楽しい会です。レコードってこんなに音がいいんだということを思い切り体験できます。今回から年1回開催とのこと。世話役務めているみなべさん、今後ともよろしくです。ちなみに会場にはBSR誌でおなじみの面々がいっぱいでした。でも敷居は高くないです。マニアでなくても充分楽しめますから皆さんぜひ聞きに来てください。



徳の市 ; Live at Hideaway, Minami-Rinkan (2006. 7.15)

小田急線南林間の駅前の酒屋の地下にある店で、「徳の市」をやると聞いたので見に行きました。「徳の市」はヴェンチャーズフリークにもよく知られたギターの名手Dr.Kこと徳武弘文と、ギターインストラクターとしても活躍中のいちむらまさきのユニットで、アコースティックならではの豊かな響きを生かしたサウンドが魅力です。ライヴは2部構成で、徳武さんのオリジナル「ペリカン・イン・ザ・パーク」でスタート。フィンガーピッキングならではの華麗なテクニックもさることながら、徳武さんの奏でるガットギターの響きが素晴らしく、ついついワインも進みます。負けじといちむらさんもスチール弦ならではのきらびやかな響きのフレーズを奏でます。テーマのギターハーモニーが美しい「ミスター・サンドマン」、オーリアンズの「ダンス・ウィズ・ミー」なんてのも挟んで、コサックダンスを踊れとばかりの「ダスビダーニャ」、こりゃ手拍子が大変です。第2部に行くとふっくらとした豊かな響きが場を癒す「京都慕情」などお馴染みの演奏があって、ゲストの藤田洋介さんが登場。テレキャスターからキラキラと爪弾かれるフレーズが、美しくもありまたどこか酔っ払いでもあり、いい感じです。ゲストヴォーカルを入れて「ブルー・スウェード・シューズ」をやったり、終盤はモンゴル松尾さんをキーボードに交えてヴェンチャーズ三昧と、とにかく楽しかったです。徳武さんエレキ弾いたしね。アンコールは僕のお願いに答えてもらって「キース」でした。気持ち良くワイン1.5本呑んでしまいました。



Ben Harper & The Innocent Criminals ; Live At Blitz, Yokohama (2006. 6. 2)

ベン・ハーパーはファイヴ・ブラインド・ボーイズ・オヴ・アラバマとの共演盤が気に入って、横浜でのライヴならということで見に行きました。立ち見ですが1000人以上は入ってましたね。まずDJが回してたんですがこっちはどうってことなし。ベンが登場すると「ウィズ・マイ・オウン・トゥー・ハンヅ」なんてレゲエからスタート。旧作と新作を織り交ぜながらギターを取っ替え引っ替え曲を進めていきます。ワイゼンボーンを持った「ホームレス・チャイルド」やちょっとボブ・ディランを思わせる「ダイアモンヅ・オン・ジ・インサイド」あたりは印象に残りましたけど、ちょっと散漫でやや退屈気味。途中ニール・ヤングの「孤独の旅路」の登場にはぶったまげましたが。10曲ほどやったところで終わっちゃいまして、おいおいと思っていたんですが、実はここからが本番。アンコールに応える形でまずはベンが弾き語りで数曲。ワイゼンボーンを持ち出してくると、そのさすがのスライドプレイに耳を奪われました。そしてバンドの面々が出てきてのクライマックスが良かったんです。パーカッションが大活躍の「バーン・ワン・ダウン」、ノリのいい「スチール・マイ・キッセズ」、そして最後の最後に最新作からのシングルカット「ベター・ウェイ」でした。この曲、綺麗なコーラスとキャッチーなメロディが印象的ですが、ライヴだとものすごく映えます。客席もノリノリで、楽しめましたね。もう少しスライドを弾いてもらいたい気もしましたが、エンターティナーとして成熟したベン・ハーパー、それに力量を感じさせるバンドも好サポートだったと思います。



吾妻光良&ザ・スウィンギン・バッパーズ ; Live At The Motion Blue, Yokohama (2006. 3.11)

2部制の後半にいきました。何でも前半との合間、楽屋ですることがなかったそうで、ひたすら飲んでたみたい。そのせいか?声の出が思いっ切りハスキーですが、それまで芸にしちゃうのが吾妻さんの凄いところ。イントロダクションからゴリー・カーターの「カモン・レッツ・ブギー」でいっぺんに会場に火をつけ、後は怒涛の1時間でした。体は揺れるし腹は抱えるし酒は呑むしのまさに御機嫌な時間を過ごしました。曲は「道徳ホップ」「中華ベイビー」などなじみの曲と、「ITブギ」「嫁は不細工な方がいい」(正確なタイトルは不明)などの多分間もなく出る新譜に収録されてそうな新曲が入り交じり、渡辺コウゾウさんの歌も可愛くていいなぁ。アンコールは2回。2回目はブラス抜きでブルース唸ってましたが、格好良かったです。ギターの音も気持ち良く、また来たら絶対見に行くんで、これに懲りずによろしく(って誰か言っといて)!



Leon Russell ; Live At Orchard Hall, Shibuya
(2005.11.21)

9年ぶりの来日ということで、見に行ってきました。今回は2回公演のうちアコースティック・セットという触れ込みだったんで、狙っていったんですが、最初の5〜6曲は確かに弾き語りでした。でもチェンバロ風の音+ストリングという音作りだったんで、豪勢な感じはしましたが、僕としてはピアノ弾き語りが良かったな。でも「マスカレード」「我が心のジョージア」と繋いでいくあたりはさすがって感じでしたし、今回の目玉のひとつである「ソング・フォー・ユー」は、見事なアレンジで、感動しました。バンドが入った後はティナ・ローズ・グッドナーという女性ボーカルをフィーチュアして、ホワイトゴスペルのようなテイストを強く感じさせるステージが続きます。「ザ・ライト・タイム」とか「ベイビー・ワット・ユー・ウォント・ミー・トゥ・ドゥ」なんてブルースのスタンダードとも言える曲を挟みながら、「永遠の絆」のアップ版とか、どちらかというとノリのいい演奏を中心にしました。でもバンドはエレキだったし、ドラムセットこそなかったけど、コンガをマレットで叩いてましたから、何か半端な印象を受けました。ドラムのせいかグルーヴが足らない感じ。ギタリストはスライドを弾くと味があるんですが、単弦プレイはいまひとつな感じです。場内が一番盛り上がったのは「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」をやったときで、個人的には「なんで?」って思いましたが。でもメドレーですぐにテンプスの「パパ・ワズ・ア・ローリング・ストーン」に行く洒落の効き方が笑えましたし、このあとインストで「黒く塗れ」のテーマが出たときには思わず笑ってしまいました。結局「カンザス・シティ」に収斂しましたが。アンコールはなかなか出ませんでしたが、「火の玉ロック」〜「ベートーベンをぶっ飛ばせ」のメドレー。正直もう少しアコースティックなサウンドを聴いてみたかったです。24日のバンドライヴの方が期待できるかもしれませんが、僕は行くことができません。残念。



Little Joe Washington ; Live at Club Quattro, Shibuya (2005. 6.16)

オープニングのジャングル・ホップの、アルバムで聴くよりはるかにインパクトの強い演奏がまず良かったです。ホージンのベース、グルーヴィーですね。いわゆるブルース畑の人と違う彼のベースがこのバンドのキーになってます。強烈にブロウするハープ、生真面目だけどちょっとお茶目な小出さんの歌とか、なかなか楽しめました。

で、テキサス・イーストサイド・キングスの登場です。今回はギターのピアーズが来ておらず、キーボード・ドラム・ベースのトリオ。カイケンダールが「レット・ザ・グッド・タイムズ・ロール」で会場を少しヒートアップさせたあと2曲ほど歌って、いよいよリトル・ジョーの登場です。いきなりカイケンダールのマイクをひっつかんで何かしゃべくったかと思うと、ギターに手を伸ばします。おっと!ストラップが付いてますねぇ。用意された椅子を邪魔だとばかり後にどけると、もう後は彼の独壇場です。いきなりバンドがキーを取れず苦労したりしましたが、テキサス・シャッフルにスローブルースを交えて自由奔放に弾き、歌いまくります。笑ったのが「ファーザー・オン・アップ・ザ・ロード」。カイケンダールも歌って、1番と2番の歌詞だけだったんですが、リトル・ジョーはひたすら「ファーザー・オン・アップ・ザ・ロード」を繰り返すのみ。楽ですねぇ。一方「スウィート・リトル・エンジェル」はちゃんと歌ってました。後は歌の中に突然デビー・クロケットが登場したり、ポパイのテーマがソロに入ったりと、小技もたっぷり。もちろん口弾き、腹弾き、頭弾き、足弾きも披露。右手のタッピング、指でいやらしくゴニョゴニョギターをいじり、女性の声真似でなんか卑猥そうなことをつぶやいたり、何度もシールドを抜いては差し込むときに、わざわざみんなに見せながらぼそっと言うのがまたいやらしいんですよね。この芸風は絶対無二でしょう。終盤突然キーボードを奪取して弾き始め、スキャットに合せたり顎で弾いたりと、「俺もピアノくらい弾けるんだぞ」との示威行為。アンコールはなんと口で弾く「星きらめく旗」!でもジミ・ヘンドリックスとはまさに対極を行くフレージングで、開いた口がふさがりませんでした。例によってギターを投げ捨てて去るんですが、足で弦の鳴りを押さえ、フィードバックを防ごうとするなど進歩?の後も見られましたが、とにかくやり放題の1時間余り。これは生見ないと分からない面白さです。名残惜しそうにたくさんのお客さんがアンコールを続けていたところに、そのパフォーマンスの魅力が出ていると思います。また来るのかなぁ。まだ生体験していない人は、是非一度見てください。パークタワーの「ゲテモノ」的なイメージで彼を評価したんじゃ、そりゃ半端ってものですよ。もっとすざまじいんですから。惜しむらくはあのボサノヴァもどきが聴けなかったことくらいかな。最高!



Bo Dollis & The Wild Magnolias ; Live at Motion Blue, Yokohama (2004.10.13)

みなとみらいの一角、赤レンガ倉庫にあるこの店、初めて行きました。ブルーノート系列のようで、美味しい食べ物とグッドミュージックをコンセプトにしたライヴハウスで、ちょっとお高い感じはしましたが、ワイルド・マグノリアスは見逃せません。最初山岸潤史のギターを全面的にフューチャーしたジャムバンド系の曲を2曲、例によって弾きまくっていましたが、アンプからの生音がしっかり腰のある音で聞こえてきたので、かなり気持ち良く楽しめました。2曲目はどうやらマグノリアス登場の前ふりのようで、パーカッションがヴォーカルを取り、コーラスも何だかビッグチーフの登場を促すようでした。
 さて「スタータイム」の呼び声に乗って、3人のインディアン正装の若者が踊りながら登場、続いて黒いチャイナを身にまとったビッグ・チーフ、ボー・ドリスがおもむろにマイクをつかむと、あのスモーキーな声で歌い始めました。「アイコ・アイコ」で場内はいきなり大盛り上がり大会。コーラスとタンバリンのインディアン3人が客席に降りて、女の子を舞台に引っ張りあげて踊らせます。ビーズ、タンバリンやキセルのおもちゃを時折客に投げ与えながら、「ビッグ・チーフ」「ライフ・イズ・ア・カーニヴァル」「オール・オン・ザ・マルディ・グラ・デイ」とガンガンライヴは進みます。この辺になるとワインの酔いで曲順とか記憶が怪しくなるんですが、「へイ・ナウ・ベイビー」がラストで、アンコールが「パーティ」だったと思います。最後は総立ちになりおもちゃのタンバリン叩きまくりながら歌ってました。わずか1時間余りでしたが、凝縮したグルーヴィーな時間を過ごせました。至福のひとときって感じ。誘って連れてった同僚も大変気に入ったようです。ちょっと残念なのはお客さんの入りが少なかったことかな。



Little Joe Washington ; Live at O-nest, Shibuya (2004. 8. 3)

「新宿公園の男、渋谷ラブホ街に出現!」なんて不謹慎なキャッチコピーが似合いそうなライヴでした。雑居ビルの6階から非常階段を1フロア下ったところにあるキャパ100人ほどのライヴハウスは、200人の熱気と夏の暑さでムンムン。定刻に主催者P-VINEの高地さんからのアナウンスがまず大変でした。なんでもリトル・ジョー、来日前に犬にふくらはぎを噛みつかれ(どこで寝てたんだとの声あり)、当初は車椅子だったとか。日本での治療が功を奏し、演奏には問題がないようですが、椅子に座ったままでやるとのことです。こりゃ足弾きは無理かと思ってたら、「ちゃんと足で弾きます」と予告が。高地さん、分かってらっしゃる。それから綺麗な服を持ってきたけど、一張羅なんで日に日に皆さんの期待に応えるようになっているとか(おいおい)。そして何とこのライヴはいずれDVDで出す予定ということも披露されました。
 さて、テキサス・イーストサイド・キングスのグルーヴィーなインストの後、リトル・ジョーが登場。僕は入り口近くの立ち見で、背が低いんで良く見えなかったんですが、テレキャスターを膝に乗せ、いきなり御機嫌な「アイ・フィール・オールライト」でスタート。二部構成のどっちでやったかはちょっと記憶が不確かなんですが、お得意のバラード「サムワン・ラヴズ・ミー」「ラスト・ティアー」などのバラード系と、「ハード・ウェイ6」なんてシャッフルを交え、しっかりリハーサルしてきた様子もうかがえます。ギターは典型的なテキサス・アグレッシヴ・スタイルで、3曲目に「オーキー・ドーキー・ストンプ」をぶちかましたのにはびっくり!結構怪しげな演奏でしたが、切れ味は十分鋭く、決め所も押さえていて、なかなかの聴きものでした。第1部終盤はスローブルースのメドレーで、「スウィート・リトル・エンジェル」「パート・タイム・ラヴ」「ザ・ライト・タイム」などを転調も決めながら切れ目なく歌い継ぎ、合間に足弾き、頭擦り、べロ弾き、歯弾き、股擦りとガンガンやってくれるあたり、サーヴィス精神というよりは、そういうパフォーマンスが芸風として身に付いてるんだろうなというのを強く感じさせるものでした。ラストにえらく中途半端に「ユー・センド・ミー」らしき曲をちょいとうなって、ギターをほっぽりだして退場。ヴォリューム開きっぱなしでブ〜ンとうなりを上げてました。
 後半はイーストサイド・キングスの演奏がたっぷり。まずはベースのカイケンダールが「フーチー・ママ」を歌い、つづいてギターのピアーズが「エイント・ノーバディズ・ビジネス」を歌ったんですが、それぞれ味があって良かったな。因みにピアーズ、リトル・ジョーの奇想天外、予測不能なパフォーマンスを終始笑いながら見ていました。さてリトル・ジョーは前半と同じように登場すると、おもむろにセットされたピアノをひとしきり弾いてご満悦。もう上手いとか下手とかじゃなくて、雰囲気ですよ。何でも許せちゃう。「テイク・マイ・ハンド」という御機嫌なシャッフルではピアーズとギターの掛け合いをしていましたし、多分彼が敬愛してやまないだろうギター・スリムの「ザ・シングス・ザット・アイ・ユースト・トゥ・ドゥ」で聴かせるギターソロのワイルドなこと!もうグリスの嵐でしたね。その後またスローブルースで、足弾きなどを披露しましたが、足は靴のエッジを使ったスライドプレイのような感じでした。それより何だかエッチそうなことを言いながらべロで弦を舐め回したかと思うと噛みついて「ベ〜ン」と大きな音を出し、頭で擦り、クライマックスは股でゴシゴシ。何というか直接的表現に失笑も出ましたが、あれ、誰も真似できませんね。面白すぎです。ギターを投げ出して去るのは前半と同じですが、今度はピアノのコネリーがアンプのヴォリュームをわざわざ下げに降りてきました。
 アンコールがまた仰天でした。だって、あの異色な「ボサ・ノヴァ・パート2」なんだもの!場末のムード歌謡っぽい演奏なんですが、時折飛び出すアグレッシヴな大技の数々。最後にピアノをひとしきり弾き倒して、リトル・ジョーは夜の街へと消えていったようです。とにかくこの芸風は唯一無二です。リズムのしっかりしたバックに支えながら、文字通り縦横無尽なソロを弾きます。フレーズはさほどややこしくはないんですが、リズムの取り方が独特で、突っかかったりバックのビートを無視したり、でもしっかり帳尻は会っているのが凄いです。終了後飲みながら、関西じゃもっと受けるのではとか、吉本に出してみたいとか、皆で好き勝手言ってました。また来てくれ〜。



Japan Blues Carnival '04 ; LIVE at Club Chitta Kawasaki (2004. 5.21)
The Derek Trucks Band

オールマン・ブラザーズ・バンドのブッチ・トラックスの甥っ子で、現在そのオールマンズのギタリストをつとめるデレクが、自身のバンドを引き連れてやってきました。結構タイトでしっかりしたリズムのバンドに、デレクのスライドを中心としたギターが乗ってきます。ジャンル的にはまさに異種混合無国籍といった感じで、アジア、アフリカからブルース、ファンク、ジャズの要素まで、自分の気に入った音楽は何でも貪欲に取り入れてやるといった姿勢がはっきり出ていました。ギターは何と言ってもそのスライドが圧倒的で、音程の正確な、押弦に準じるような素早いスライドワークと、セイクリッド・スチールを思わせるような伸びやかで幻想的なスライドを聴くことができ、大変心地好かったです。押弦プレイの時は樹脂製と思われるスライドチューブをジーンズのポケットに押し込むのが面白かったですね。途中ヴォーカルの人が出てきて何曲か歌いましたが、これもなかなか歌えていました。ラストはキーボードがフルートに持ち替えての「ジョイフル・ノイズ」。ジャムバンド的な演奏で曲が長く、メリハリはあまりないので、ちょっと眠くなりましたが、演奏のせいではなく僕にアルコールが悪さをしたせいでしょう。



Mavis Staples

今回の僕の最大の目当てがこのメイヴィスでした。いきなりノリのいい曲(絶対知ってる曲なのに、曲名失念!)からスタート。メイヴィスはちょっと喉が荒れているようで、あのハミングなどのメイヴィス節が聴かれなかったのはちょっと残念でしたが、声の出が悪いなりのマイクワークや、会場を盛り上げるステージワークが素晴らしく、ライヴとしては満足のいく内容でした。特に会場を大合唱の渦に巻き込んだ「ザ・ウェイト」が前半のハイライト。コーラスが姉のイヴォンヌだけというのはちょっと寂しかったですが、息子のドラムを始めベースの江口さん、途中ブルースインストで達者なプレイを聴かせたギター、ホーンレスの中バンドの音に厚みを加えたキーボードと、バックバンドも充実しており、あっと言う間に時間が経っていきました。終盤は長いドラムソロなどを含む「リスペクト・ユアセルフ」に、途中「ソーラン節」を歌い込んだ「アイル・テイク・ユー・ゼア」とヒット曲のオンパレード!ラストも大合唱で盛り上がりました。

司会のゴトウ・ゆうぞうについても一言。相変わらずのしゃべくりにハーモニカとギターでしたが、マキチャンがいない中ひとりでやった「主宰者からのお知らせブルース」、かっこいい弾き語りでした。途中「有山じゅんじ」なんて言いながらね。途中W.C.ハンディの話で五十嵐さんに突っ込まれてましたけどご愛敬でしょう。



Otis Rush feat. Carlos Johnson

そのゴトウさんのアナウンスで、脳梗塞の話が伝えられたあと、バンドの演奏からスタート。最初にファンクをやったあと、カルロスが「アイ・ワンダー・ホワイ」を弾き始めてオーティスをコールすると、マサキさんに支えられ、足元もおぼつかないオーティスが出てきました。椅子に腰掛け、真新しいES-355を抱えると、親指を中心にバッキングを始めますが、音が聴き取りにくかったです。そしてあっと言う間に弦を切ってしまいました。楽器は1本だけだったのか、ローディが張り替えた様子でしたが。そのご挨拶を始めましたが、ぐっと老け込んだ感じ。言葉もなかなか出てこない様子でハラハラして見ていました。そしてカルロスの「ラッキー・ルー」風イントロで始まった「オール・ユア・ラヴ」、オーティスの第一声が発せられた瞬間に、久々に、本当に久々に僕の中を電撃が流れました!何というのか、ブルース衝動と言いますか、オーティスの「俺は歌いたいんだ」という万感の思いが、その歌声に乗って、僕の心臓を直撃したんです。思わず目が潤んでしまいました。その後は「ホームワーク」などをやり、途中バンドメンバーが交互に唄ったり、「シット・ダウン・ベイビー」は白人ギタリストがヴォーカルを取ったりしましたが、終盤の「アイ・キャント・クウィット・ユー・ベイビー」「アズ・ザ・イヤー・ゴー・パッシング・バイ」では、とにかく歌い初めのヴォーカルのエモーションが凄く、ずっと弾き込まれていました。ベストとは程遠いかもしれませんが、その情感は80年代に見たときより僕には響きました。アンコールに「モジョ・ワーキン」をやるなどサーヴィス精神もあり、思わず心の中で「頑張れ」と叫んでました。

さて、それより特筆すべきは、やっぱりカルロス・ジョンスンです。オーティスと同じレフティのギタープレイは、熱く、切れ味鋭く、多彩なフレージングがある、本当に良く歌うものでした。またオーティスを気遣い、支えようという姿勢がはっきり現れていて、途中椅子に腰掛けオーティスに微笑みかけたり、プレイもやや抑えめではと思われるところもありました。でもそれであれだけのプレイですから、全開になったらどうなっちゃうんだろう。とにかく当代最高のシカゴのブルースギタリストに間違いないですね。今度は是非単独かビリー・ブランチとの来日を期待しています。



Latte ; at Jazz Is, Yokohama ; Live (2004. 4. 6)

札幌のツインカムズでピアノを担当していたサッチンが、ジャズトリオでツアーしているという情報を聞きつけ、見に行きました。ジャズ・イズはまだ開店4年目の店だそうで、こざっぱりしたハコでした。そこで、ピアノにエレキベース、ドラムといったトリオ演奏なんですが、サッチンのピアノを軸に、ちょっとファンクがかったベースと、軽快なドラムが織り成すジャズは、スタンダードをやってもなぞるだけでなく、「テイク・ファイズ」をファンキーなエイトビートに仕立てたりと、ポップな味付けもあり聴きやすかったです。オリジナルも数多くやりましたが、「インターマリー」というバラードが素敵でした。メンバーとセットリスト(タイトルは聴き取りで不正確かも)は以下の通りです。

寺西 幸子(p)
佐藤藤田&寺西 藤田圭一郎(b)
佐藤 裕一(d)

1st.
 チュニジアの夜
 アフロ・ブルー
 イヴニング・グロウ
 ザ・ギフト

2nd.
 レイジー・ブルー
 私のお気に入り
 ノポポポポ・リズム
 インターマリー
 マンティ・カリプソ

3rd.
 チェイシン
 テイク・ファイヴ
 ラッテ
 M.O.S. アイランド

現在全国ツアー中です。スケジュールは次のサイトにあります。

Latte



ウルフルズ ; ええねんツアーat神奈川県民ホール ; live (2004. 2.14)

 わが家の音楽嗜好はバラバラですが、このバンドだけは唯一全員が好きです。で、あの手この手を使い、ようやく念願かなって一家で見に行きました。席は2階最後列隅という、お世辞にも良い席ではありませんでしたが、遠いながらも見やすく、十分楽しめました。
 午後6時過ぎ、ライヴは「ええねん」からスタート。この新作アルバムの曲を中心に、定番の「借金大王」「ガッツだぜ」や、昨年のヒット「笑えれば」などを織り交ぜ、ジョンBの詩の朗読?を交えたお遊び「風に吹かれている場合じゃない」や、メンバーが楽器を持ち替え、ケーヤンが歌う「君にささげよう」など、変化もあり、飽きさせません。曲のアレンジは大方CDと同様ですが、基本的な演奏力の高さに、ミッキーのキーボードを加えた音の厚みもあり、安心してリズムに身を任せられます。「お約束」のトータスケツ出し衣装もあり、また途中数度行われるメンバー紹介も、トータスの「ダサ格好良さ」というキャラクターが見事に出ていて、ほわっとします。何度笑ったことか。
 公演のラストナンバーは、一家で高い評価を与えていた「愛がなくちゃ」で、バンドもこの曲を気に入っていることを感じ納得。アンコールもたっぷりで、「いい女」ではいつものように何度もトータスをステージに引っ張り戻すパフォーマンスもあり、お決まりのコースなんですが、それが安心できるんですね。ファンサービスもたっぷりの2時間半はあっと言う間に過ぎていきました。ちっともとがっていないけど、もしかすると現在日本一のライヴバンドなんではとは、ファンの贔屓目でしょうかね。また見たいです。



10th. Parktower Blues Festival ; LIVE (2003.12.13)
ハッチ・ハッチェル・ビア・オールスターズ

午後3時、ステージの上には何とも不思議な雰囲気の8人組が上がっていました。マンドリンやバンジョーの入ったジャグバンドのような編成なんですが、音楽はもう少し雰囲気の違う、ヨーロッパの田舎のフォークソング風とでもいいましょうか。芸達者なヴォーカルのハッチさんの身振りや語りを見ていると、二昔前の日本の劇団のやるミュージカルみたいだななんて思いました。曲はイタリア語?を交えた楽しいものが多く、「ジプシー」風のヴァイオリンなどもあり、何だか20世紀初頭のニューヨークの街角でこんな感じでボードビル・ショウが行われてたのかしらなんて想像してしまいました。楽しく、特に白人の年配のお客さんから大きな声援が飛んでいたのが印象的でした。



Pistol Pete

先日日本でもアルバムが紹介されたばかりのピート、トリオでの演奏です。ブルースといえそうな曲は「スウィング・ミー・ベイビー」というシャッフルナンバーと、マイクなしで熱唱したオリジナルと思われるスローブルース位で、後は新作から勢いのいいロックナンバーでぐいぐい押します。ギターは大音響でしたが、バリバリの速弾きやライトハンド、歯弾き、頭上弾き、背面弾きなどサーヴィス精神も旺盛で、ラストナンバーではシークェンサを使った「手放し弾き」まで披露、場内を煙に巻いてました。声はかなりストロングでしっかりした感じ。ただ、ギターのトーンがディストーションが深すぎる感じで抜けてこないのと、単調な大音量でメリハリが欠けた感じだったんで、途中眠くなりました。才能はあると思うので、いいプロデューサに恵まれるともっといいものができそう。ラス前のジミ・ヘンドリックス・ナンバー「ザ・ウィンド・クライズ・メアリ」を生き生きとやっていたのが印象的でした。

終了後鈴木啓志さんがロビーでおもむろに無言のDJタイム。レアなブルース盤をガンガンかけて、一部の渋好みがレーベルをのぞき込みにいったりしてました。せっかくだから解説喋って欲しかったな。



Errol Linton's Blues Vibe

ジャマイカ系イギリス黒人のエロルのハープと歌に、ちょっとロカビリー風なスタンダップ・ベース、シンプルなギター、そして結構ヒップなドラムといった4人組です。シカゴマナーのシャッフルから入ったんですが、ドラムのフィルインが16系で入ってきて「おや」と思っているうちに、ハウリン・ウルフの「ハウリン・フォー・マイ・ダーリン」がレゲエに!思わず膝を打ってしまいました。その後も「シェイク・フォー・ミー」の他「トゥー・メニー・クックス」「アイ・ウィッシュ・ユー・ウッド」といった、シカゴブルースの中ではリズムの跳ねるタイプの曲とレゲエをまぜこぜに演奏するんですが、違和感なくできちゃってるのがこの人の才能です。まあウッドベースのレゲエはインパクトが弱い感じは否めませんでしたが。「シャンペーン」(ジョー・リギンズの「ピンク・シャンペーン」のテーマの部分だけを歌ってました)あたりの盛り上がりそうな曲も割と淡々とやってましたが、この辺で場内を煽ったらもっと勢いがついたんじゃないかしら。面白かったけどちょっと地味な印象でした。

ロビーではスティーブ・ガードナー、ディヴィッド・ステーンケン達のアコースティック・ブルースが演奏され、場が和んでいました。ハーピストのディヴィッドさんとは厚木ファッツ・ブルース・バンドのゲストで一度ライヴを一緒にやったことがあったんでご挨拶。



Howard Tate

いよいよ真打ち登場です。昨夜に続いてなので席に戻らず、KO-1さんと一緒にロビーで聴いていました。ロビーは音は小さめですが、バランスは凄くいいんですよ。バンドのインスト1曲目は昨夜と同じソウルジャズの有名曲(なんだけどタイトル失念)だったんですが、ギターのマイケル・シャーマー(江戸川スリムさんによると、サンフランシスコのタケゾーさんのお友達で、シスタ・モニカのアルバムにも参加してるんだそうです)がスローブルースを歌いました。バンドも昨夜より落ち着いた感じ。さてハワードはきょうは真っ赤なスーツで登場。「ストップ」からスタートは昨夜と同じなんですが、声の出が全然違います。最初から全開といった感じで、ぐいぐい迫ってきました。曲目は昨夜とほぼ同じですが、途中「ドント・ニード・ノー・モンキー・オン・マイ・バック」が入ってきたり、「ハウ・ブルー・キャン・ユー・ゲット」を前に出してきたりと若干変化がありました。場内のお客さんの大半がハワードのファンだと思え、人数は昨夜より少ないんですが、盛り上がりは格別!ハワードもそれに応えるように熱唱します。でもとっても丁寧な歌い方で、この人は本当に歌を大切にする一なんだなって思いました。「ソーリー・ロング・ナンバー」なんて涙が出そう。昨夜と同じく「ハード・ウェイ」で場内に下りるパフォーマンスも見せ、ラストの「イッツ・ユア・ムーヴ」で場内は大変な盛り上がり。アンコールにアップナンバーを揃えたのも、ノリの良さを生かした構成になり大正解でした。とにかくこんな心のこもった歌をたっぷり聴くことができて至福の90分間でした。もちろんことし最高のライヴで、近年見たライヴの中でも1・2位を争います。本当に良かった!

sumoriさんがご自身の掲示板にセットリストを掲載していましたので、転載します。

(2 numbers by the band)
1. Stop (Verve)
2. Part-time Love (Verve)
3. Look At Granny Run Run (Verve)
4. Show Me The Man (Rediscovered)
5. Don't Need No Monkey On My Back (Rediscovered)
6. Everyday I Have The Blues (Verve)
7. Ain't Nobody Home (Verve)
8. How Come My Bull Dog Don't Bark (Verve)
9. Sorry Wrong Number (Rediscovered)
10. Mama Was Right (Rediscovered)
11. I Learned It All The Hard Way (Verve)
12. She May Be White (But She Be Funky) (Rediscovered)
13. You Don't Know Nothing About Love (Atlantic)
14. She's A Burglar (Atlantic)
15. Get It While You Can (Verve)
16. Either Side Of The Same Town (Rediscovered)
17. How Blue Can You Get? (Verve)
18. It's Your Move (Atlantic)
-Encore-
19. Eternity (Rediscovered)
20. Baby I Love You (Verve)



10th. Parktower Blues Festival ; LIVE (2003.12.12)
Howard Tate

午後7時ちょうど、お決まりのバンドのインストからスタート。2曲目でハワードが呼ばれると、真っ白なスーツに黒いシャツといった出で立ちで出てきました。無駄のない4管のバンドをバックに、最初はちょっと声の出がよくない感じでしたが、「ストップ」「パートタイム・ラヴ」と歌い継いでいくうちにどんどん良くなり、エイトビートのかっこいいアレンジの「エヴリディ」を過ぎるとほぼ全開でした。曲は「これは66年の」「これは72年のアルバムから」「これは新作の"Rediscovered"からと紹介しながら、テンポよく歌っていきます。前半のハイライトは「ハード・ウェイ」で、上着を脱いで客に手を上げさせ、マイクを床に置いて歌い出すと、バンドリーダーらしきキーボードが「ハワード・テイト!」を連呼。もう終わりなのと一瞬焦らされましたが、その後もステージはどんどん盛り上がりを見せます。「ベイビー・アイ・ラヴ・ユー」「シーズ・ア・バーグラー」とお得意の持ち歌をどんどん歌っていき、「ジャニスも歌ったんだ」と紹介した「レット・イット・ホワイル・ユー・キャン」あたりで場内の盛り上がりは最高潮!ラストにもう一度上着を脱ぐパフォーマンスを見せ、アンコールでも2曲歌うなど1時間20分に及ぶ熱演で、僕も痺れまくりました。明日が楽しみです。

sumoriさんがご自身の掲示板にセットリストを掲載していましたので、転載します。booneyさんもリストを送ってくださいましたが、両者完全に一致してます。感謝です。

(Intrumental by the band)
1. Stop (Verve)
2. Part-time Love (Verve)
3. Look At Granny Run Run (Verve)
4. Show Me The Man (Rediscovered)
5. 8 Days On The Road (Atlantic)
6. Ain't Nobody Home (Verve)
7. Everyday I Have The Blues (Verve)
8. How Come My Bull Dog Don't Bark (Verve)
9. Sorry Wrong Number (Rediscovered)
10. Mama Was Right (Rediscovered)
11. I Learned It All The Hard Way (Verve)
12. She May Be White (But She Be Funky)
13. She's A Burgler (Atlantic)
14. Either Side Of The Same Town (Rediscovered)
15. Baby I Love You (Verve)
16. Get It While You Can (Verve)
17. It's Your Move (Atlantic)
-Encore-
18. How Blue Can You Get? (Verve)
19. Eternity (Rediscovered)



Clarence "Gatemouth" Brown

ソロ活動も好調のジョー・クラウン達のバンドのインストからスタート。ゲイトは登場するとのどの調子が悪いのか吸入剤を2回スプレー、照明がまぶしいと文句を言い、挙げ句の果てに客席に向けた照明をつけさせご満悦です。ドロッとしたスローブルースから、アレンジのかっこいい「ギター・イン・マイ・ハンド」、ソウルジャズ風の「ジャンピン・ザ・ブルース」とまさにアメリカ音楽のてんこ盛り。曲はほぼギターソロ、小錦並に太ってまるで赤ん坊がおもちゃをぶら下げているように見えるサックスのソロ、ジョー・クラウンのピアノやオルガンソロ、ギターソロと進みます。途中「これはチューニングって曲だ」とか、ドラムを固定するためにブロックを打ちつけるのを聴いて「いい音だねぇ」とか茶目っ気たっぷり。中頃にはフィドルを持って1曲。面白かったのは「アンチェインド・メロディ」のインスト版で、映画「ゴースト」を思い出させる雰囲気かと思いきや、後半はルンバにしちゃうのが凄いセンスです。もっと面白かったのは「50年代のロックンロール」と言って始めた「ホンキー・トンク」。ギターのお決まりのソロからサックスソロの部分までを、見事にゲイト節にして弾きまくります。バッキングでも強力なコードワークから右手タッピング、さらには空手タップに空手ミュート、ギターを膝の上に立てたスタイルでのプレイと視覚的にもインパクトのあるプレイの連発。「モジョ・ワーキン」で場内を一瞬期待させておいて、2番は「モジョ・ハンド」ってのも、いかにもゲイトらしかったな。ラストに高速「A列車」で決める頃には、場内立ち上がっている人が多くなってました。アンコールでは再びフィドルを持ってカントリーチューン。幼児(誰だか知ってるけど内緒)に向かって「お嬢ちゃん上に上がってギター弾くかい」と誘ったり、右手を振り上げ客に掛け声をかけさせるなど、サーヴィス精神旺盛なゲイトは健在でした。

(Instrumental by the band)
1. Bits And Pieces
2. Strange Things Happen
3. Grape Jelly
4. I Wonder
5. Guitar In My Hand
6. Jumpin' The Blues
7. When My Blue Moon Turns To Gold Again (Gate on fiddle)
8. Unchained Melody
9. Got My Mojo Workin' / Mojo Hand
10. Honky Tonk
11. Front Burner
12. Take The A-Train
-Encore-
13. Take Me Back To Tulsa (Gate on fiddle)



Chris Ardoin & Double Clutchin' ; Live (2003. 7.23)

事前に曲を変えるというアナウンス通り、きょうは別の曲でスタート。すぐに「Life」から「オール・アイ・シー・イズ・ペイン」なんてイカした曲をやってました。前日もやった「ステイ・イン・オア・ステイ・アウト/パス・ザ・ダッチー」なんて完全にレゲエ感覚。もちろん「ユア・ラヴ・キープス・リフティング・ミー(ハイヤー&ハイヤー)」も登場です。帽子をかぶって出てきたクリスは昨日よりもリラックスした感じ。ハロルドの盛り上げ方は明らかに昨日より上です。その分ショーンはきょうはコーラスもとらずドラムに徹していました。構成は昨夜と同じく前半はケイジャン、後半は3ローのアコーディオンとはっきり持ち替えています。後半は「トーク・トーク」や「コール・ミー」もやったように思いますが、なにしろビール飲みながらほぼ終始踊っていたので記憶は怪しいです。ハイライトは「ノッキン・オン・ヘヴンズ・ドア」以降。「テキーラ」「メスト・アップ」と盛り上げ、何とリトル・リチャードの「ルシール」まで登場!この曲のギターソロではチャック・ブッシュが「ジョニー・B・グッド」風のフレーズを弾いて、思わずチャック繋がりで笑ってしまいました。ラストは大盛り上がりで、ラムチョップスのFumikaさんがラブボードを持ってシットインしてました。アンコールが1回だったのがチト残念。でもとにかく大満足の二日間でした。



Chris Ardoin & Double Clutchin' ; Live (2003. 7.22)

待望のクリスが眼前に現れたとき、何だかいっぺんに舞い上がってしまいました。1曲目、予想していたとおり「ユア・ラヴ・キープス・リフティング・ミー(ハイヤー&ハイヤー)」からのスタート。ジャッキー・ウィルソンの名曲を何の違和感なくザディコにしてもうダンサブル!前半はケイジャン・アコ(B♭)で押しまくりました。「アイ・ゴット・イット」「パーキング・ロット・ピムピン」などやっていました。とにかくそのビート感覚が強烈!アコの切れ味もさることながら、ショーンの実にシンプルでツボを押さえたドラムと、ハロルド・ギロリーのラブボードがミックスされたリズムが最高に気持ち良かったです。ハロルドは盛り上げ役でコーラスの他アナウンスも担当。時折「ザリコ!」なんて叫んでましたし、声を震わせた語りも面白かったです。途中クリスがアコを置いてカウベル持ち出したりも。前半の締めは「ベスト・ケプト・シークレット」でした。
インタバルを挟んで後半は白い3ローのアコを持ち、いきなり「メスト・アップ」から。「シンキン・バウト・リーヴィン」や「レイク・チャールズ・コネクション」といったオリジナルの中に、ボブ・ディランの「ノッキン・オン・ヘヴンズ・ドア」が出たり、ユニークなアレンジの「テキーラ」(後にボー・ジュックのもののカヴァだということを知りました)で盛り上げたり。トレイン・チューンから犬の吠え真似をみんなで始めたときは笑いました。楽しい!ショーンが時々「ありがとう」なんて日本語で愛想を振りまいてました。ハロルドはステージ下に下りてきて踊ってましたし。1回目のアンコールで再びケイジャン・アコに持ち替えると、セカンド・セレネイダーズのyoshitakeさんが緑のアコ、ラムチョップスのケケさんがフィドルを持ってシットイン。場を大いに盛り上げました。サイドのアンコールではハロルドが拍手の際に「ヘイ・ポッキー・ウェイ」で煽ったりして、「キープ・オン・ノッキン」に突入。とにかく踊らにゃ損損といった感じの盛り上がったステージでした。



Blues Paradise 2003 ; Live (2003. 7.14)
鬼ころし

眼前でバスを乗り過ごしたダメージにより、10分ほど送れて到着。もう始まってました。客の入りは7分位でまあまあかな。鬼ころしはバンドとしては初めて見ましたが、スマートなブルースバンドって印象です。「ネクスト・タイム・ユー・シー・ミー」から「ブルーズ・イズ・オールライト」で客をあおって「シェイク・ユア・マネー・メイカー」で締めるステージワークも手慣れたものです。あまり「研究会」的でないのが良かったな。



Rainey's Band

ゲストにデュエイン・オールマンばりのスライドを弾く松浦善博を迎え、ゆったりとした「テイク・ミー・トゥ・ザ・リヴァー」でスタート。ヴォーカルがちょっと聞こえづらかったんですが、ソウルアレンジをした「イマジン」など変化もありました。このバンドも手慣れた感じ。その分スリルは感じませんでした。



Campbell Brothers

ギターにスティール2台のキャンベル兄弟に、ギターのフィリップの息子がドラムといった一家による、代表的なセイクリッド・スティールのバンドです。ヴォーカルのデニー・ブラウンをゲストに迎え、まさに嵐のような演奏でした。1曲目「ジェイムズ・ブラウンじゃないよ」と断って始めた「アイ・フィール・グッド」からこう彼らの世界にぐいぐい引き込まれます。「サマータイム」で聴かれるチャック・キャンベルのスティールの音の素晴らしさ!伸びやかで、うねりがあり、虹色に音が変化していくんです。ふたりの毛色の違うスライドが織り成すサウンドの妙は、高揚感とともに創意工夫も感じられ、独自の世界を作り出します。カールトンのドラムはテクニックが人一倍あるわけじゃないんですが、よく場の雰囲気を掴み、程よくドライヴする好演でした。アンコールでは鬼殺しのタメさんがギター、レイニーズ・バンドのフロント3人がヴォーカルで加わって「ワッツ・ヒズ・ネイム」をジャムりました。この頃にはみんな総立ちでどんどんあおられてハイになってました。あっと言う間の演奏に感じたのはそれだけ充実していたからでしょう。
セットリストをutamさんが「ブルース銀座」の掲示板に上げてくださったので、それを拝借しておきます。

I Feel Good
I've Got A Feeling
Summertime
Don't Let The Devil Ride
End Of My Journey
Moving Train
Understand It Better
Pass Me Not
Jump For Joy
What's His Name (Encore)



Japan Blues Carnival 2003 at 日比谷野外音楽堂 ; Live (2003. 5.25)
後藤ゆうぞう

 ブルース・カーニヴァルを第1回から盛り上げてきた「ブルース司会者」ゆうぞうが、なんとステージでバンド演奏です。豹柄のセクシーな衣装に身を包んだカメリア・マキのギターなどをバックに、「エヴリデイ」「ルート66」をハープ吹き鳴らしながら熱演しました。「ルート」では歌詞の日本語解説付きで、途中ビールはこぼすはハーモニカを投げるはと大暴れ?何だか演歌調の部分もあったり、楽しませてくれます。お約束の「主催者からのお知らせブルース」の後、政治的な「ワッツ・ゴーイン・オン」を、なんと1番を日本語にしてやりました。これは使えそうです。「ワッツ・ゴーイン・オン、どないなってんや」とのコーラスも決まりで、面白かったです。会場でCDも売ってましたが、\2,000はチト高いなぁ。タワーでも見かけました。



Harry

 昨日とほぼ同じ曲で、喋りもなく坦々とした演奏です。ギターはいい音出していましたが、下敷きのはっきりした演奏で、しかも曲にいまひとつ華がないのが残念。ラストの「ウォーキン・ザ・ドッグ」は僕も思いっ切り歌いましたが、例の「ジャスタ・ジャスタ・ジャスタ・ジャスタ・ウォーキン」の部分がないので盛り上がりきれず。同じことを司会のゆうぞうさんも思ったようで、その部分歌ってました。



Sonny Landreth

 昨日と同じギターですが、よく見るとブラック・サンバーストでした。何で黒く見えたのかしら?演奏曲目もほぼ昨日と同じで、12フレット上のスライドと、その後の押弦から繰り出される変幻自在な浮遊感のあるサウンドに、客席はくぎ付けになっていました。やっぱり「サウス・オヴ・I-10」は名曲だなって再認識。ブルース・カーニヴァルだけあって、「キー・トゥ・ザ・ハイウェイ」では盛り上がりました。「来年バンドで来たい」といった話も出ていましたし、ゴーナーズのことも喋っていたようです。でもソロでも十分魅せてくれました。
で、きょうもTakuyaさんの掲示板からセットリスト拝借です。
1. Zydeco Shuffle
2. South Of I-10
3. Native Stepson
4. Next To Kindred Spirit
5. Broken Hearted Road
6. All About You
7. Hell At Home
8. Ioana
9. Key To The Highway
----------------------
10. Walkin' Blues (w/The Kings Of Rhythm)
11. Congo Square (w/The Kings Of Rhythm 他)



The Kings Of Rhythm

昨夜の演奏が良かったからか、きょうのトリは「キングズ・オヴ・リズム」でした。これが昨夜にも増して良かった。最初に2曲ジャズ・ファンク系の曲(メロディ知ってるんですが、曲名が分からない)でヒートアップして、「カレドニア」!もうこれは立ち上がって踊るしかないでしょう!後はずっとちっぱなしでした。昨夜やらなかったキャノンボール・アダレイの「マーシー・マーシー・マーシー」は最新ライヴ盤でもやっていますが、いいですね。「プラウド・メアリー」の代わりにはスライ&ファミリー・ストーンの「アイ・ウォント・トゥ・テイク・ユー・ハイヤー」を。これもアイク&ティナのレパートリーでしたから盛り上がります。「スタンブル」風のインストは「アイクのテーマ」というタイトルでした。でも僕が一番感動したのは、アースキン・ホウキンズ楽団の、アフリカン・アメリカンの国歌「アフター・アワーズ」でした。演奏は完璧って訳じゃないけれど、その心意気が伝わってきて涙が出ました。ラストは予定通り「ブルースは最高だ」。そしてアンコールでサニー、マキ、ハリー、ゆうぞうを引っ張り出して、「ウォーキン・ブルース」と「コンゴ・スクエア」の2連発!余分な音が増えたからか昨日よりまとまりに欠けた感じもしましたが、場内の盛り上がりが最高潮に達していたこともあり、ノリノリでした。マキちゃんのギター、やけに音がでかかったな。ハリーは全然弾けてませんでした。でもあの大勢のバンドを仕切るサニー、格好良かった!とにかく大満足でした。



Japan Blues Carnival 2003 at Club Chitta ; Live (2003. 5.24)
Harry

 元ストリート・スライダーズのヴォーカル/ギターとのことですが、初めて見ました。1曲目のゆったりした「ユー・ガッタ・ムーヴ」、ラストのドロッとしたミディアムでイカしたアレンジの「ウォーキン・ザ・ドッグ」の他は、ほぼストーンズマナーのオリジナル。トリオで引き締まった演奏ですが、オリジナルの曲にはピンと来ませんでした。同じタイプのThe Vodkaの辻君の書く曲の方が魅力的に思えましたね。メジャーになるのって紙一重なんだなって感じました。



The Kings Of Rhythm

 大将のアイク・ターナーが入国拒否にあったとのことで、主役抜きの演奏。でもさすがは手練のバンド、すばらしい演奏でした。ていよく酔っ払っていたんで曲はうろ覚えですが、「カレドニア」「ジョニー・B.グッド」「スタンブル」(風のインストで「プランシン」のフレーズも入っていた)等、インストの他ギターとピアノが何曲かヴォーカルを取りながら、気合いを感じるパフォーマンスでした。さすがに歌はちょっと弱いですが、元々アイク自身もそんなに歌が上手いって口ではないので、あまり気になりません。ギターのお兄さんは時折大将よろしく派手なアーミングを披露。左後ろの雛壇にいるホーンプレイヤーが順々に前に出ては存分にソロを吹いていましたし、おそらくアイクが来ていたら見ることのできなかった演奏だと思いました。このバンドをバックにしたアイクを是非見たいと思って、ちょっと残念ですが、しっかり穴埋めをしてましたね。ラストに「ブルース・イズ・オールライト」で盛り上げ、コーラスを客席に歌わせるんですが、「ブルースは最高だ」と日本語に。そしてお約束の「プラウド・メアリー」で締め。リーダーのベーシストの帽子に手をやるおちゃめなブロックサインも楽しく、本場のバンドの底力を見せつけられました。



Sonny Landreth

 パフォーマーという自動チューニングマシンの付いた黒いレスポール(実際はサンバースト)を抱きかかえるようにしながら、変幻自在のスライドプレイを披露するサニー。これを目の当たりにできたのが何といっても最高の収穫でした。「これは『堤防の町』から」「これは新作から」など朴訥な語りと、時折「ルイジアナ」「なまず」といったご当地の話題を、足元にあるチューニングメーターを見つつ(これは後でいちむらさんに教えてもらったんですが、ボディについている液晶画面を見ていたんだそうです)頻繁にチューニングを変えながら喋っていました。その安定したリズム、ふくよかなサウンド、スライドの切れ味、いつしかソロプレイということを忘れさせる素晴らしい演奏に、僕を含め観客がかたずを呑んで見守るといった雰囲気でした。アンコールではキングズ・オヴ・リズムのメンバーも登場。「ロバート・ジョンソンの曲です」と言いながら「ウォーキン・ブルース」を披露。そしてセカンドライン風のドラミング!僕は涙が出ましたね!最高に好きな「コンゴ・スクエア」をバンド付きでやったんです!カリブの熱い風が会場に吹き込んだような演奏で、この1曲で完全に元は取ったと言えます。おそらくアイクが来ていたらこれはなかったでしょう。「怪我の功名」とはまさにこの事ですが、とにかく最高のプレゼントでした。クラブ・チッタは音響も良く、じっくり楽しめて良かったです。サニーのセットリストは、「SONNYまん」のTakuya.Hさんが完全なものを作ってくださいました。こちらに転載しておきます。ありがとう!

1. Zydeco Shuffle
2. South Of I-10
3. Next To Kindred Spirit
4. Native Stepson
5. All About You
6. Broken Hearted Road
7. Hell At Home
8. Ioana
9. Blues Attack
10. Key To The Highway
11. Back To Bayou Teche
12. Walkin' Blues (w/The Kings Of Rhythm)
13. Congo Square (w/The Kings Of Rhythm)



9th. Parktower Blues Festival ; LIVE (2002.12.15)
内田勘太郎バンド

 エレキを持って椅子に座る勘太郎、いきなりかなりラウドなサウンドでブギが始まりました。指弾きでバリバリ畳み込むギターは、かなりテキサス風味を感じます。途中スライドが出てくるともう独壇場。スタッフの曲をシャッフルにしたり、日本語版「イット・ハーツ・ミー・トゥー」とかやってました。ベース・ドラムともかなりパワフルで、オープンチューニングのストラトに持ち替えた後はさらにボリュームアップ!まるで増子真二状態です。ラストはライトハンド・スライドまで飛び出すハウンドドッグ・テイラー風のインスト。アコギの繊細なプレーを見たかった気もしますが、これはこれで面白かったです。ただバランスが悪く、勘太郎の歌が聴き取りにくかったのが残念。



Texas Eastside Kings feat. Little Joe Washington & Matthew Robinson

ステージ上にまず現れたのは、まるでドヤ街の近くでアオカンをしている叔父さんのような風情のリトル・ジョーでした。ドレッドヘアに髭面で、足元もおぼつかない感じなんですが、これが実にパワフル。ギター・スリム直系のサウンドで、バキバキッと弾いては歌うって感じです。曲の終わりも唐突で、「ワシが終わり言うたら終わるんや」といったエンディングが見事?イーストサイド・キングスよく合わせてました。ギターは歯では弾く、足で弾く、頭で弾く、イチモツ(腹に見えたけど)で弾くなどサービス精神も旺盛。とても70過ぎには見えないパワー溢れるおっさんでした。今回最大の収穫かも。
 続いてはイーストサイド・キングスのパフォーマンス。管が1本というのがやや寂しいですが、マイティ・ジェイスンの叩き出すシンプルだけどグルーヴィーなドラムに支えられ、安定感溢れる演奏です。クラレンス・ピアスの「ロック・ミー・ベイビー」からスタートですが、彼、B.B.キングの物まね大会で面白かったです。ギターのフレージングはもとより、歯をむき出して笑う仕草、椅子に座ってふんぞり返るようにして弾くあたり、思わず笑ってしまいました。でもソロになるとしっかり地が出るのが微笑ましい。「ゴーイング・ダウン・スロー」なんて味のある歌でした。続いてベースのジェイムズ・カイケンダールの歌にバトンタッチ。こちらは「ストーミー・マンディ」の洒落たヴァージョンなどでけっこういい喉を披露していました。
 そしていよいよマシューの登場です。ピアスと握手を交わし、袖に引っ込むピアスを見て、「おい、いっちまうのか」といった表情を見せたマシュー、ギターを弾きながらゴスペルフィール溢れるヴォーカルを披露します。CDだとちょっと癖が強く感じたんですが、生で見ると嫌味もなく、客をあおり、盛り上げながらのパフォーマンスはさすが堂に入ったものです。ギターは突っかかるようないかにもテキサスマナーでもう最高!スローブルースでは結構タメも効いてました。そして「お約束」の客席練り歩き。目の前で弾いてくれたのは嬉しかったな。ただ、時間の都合からか、唐突に終わっちゃったのはちょっと尻切れとんぼで残念でした。



Roiki

ロビーの特設ステージで、リゾネイタとドラムの2人での演奏。PAの調子が今ひとつなのと、ドラムがわりと開放的に叩いちゃってたんで、Roikiのギターがよく聞こえない場面がありましたが、ちょっとワイルドで味のある歌とギターはなかなかのもの。じっくり聴いたわけじゃないですが、いい感じでした。



Holmes Brothers

 3人とは思えないパフォーマンスとはまさにこの事です。ギター・ベース・ドラムに3人の強力なハーモニーが加わる演奏は、ぐいぐい引きずり込まれるものがありました。ファンキーなナンバーからブルースまでこなしますが、「ベイビー・ホワット・ユー・ウォント・ミー・トゥ・ドゥ」の分厚いコーラス入りヴァージョンは未知の領域に入った感じでぶっ飛びました。「ファニー・メイ」など全体にブルースよりの選曲で、ゴスペルをもう少し聴きたかったな。ウェンデルのギターも特筆もので、終始歌いながら弾いているんですが、コードプレイだけでなく、アルペジオ、バラした感じのコードプレイから、パキーンと鳴らす音の抜けがインパクト十分。時折ネックを反らせてヴィブラートかけてました。最後はカントリータッチのピッキングまで披露。サーヴィス精神旺盛で楽しいステージでした。



Jody Williams

 やはり今宵も「ラッキー・ルー」からのスタート!まさに喋るギターで、グリスであれだけのプレイが出来ること自体が驚きです。素晴らしい音色のギターと、滋味あふれるヴォーカルは、長らく現役を離れていたとは思えない充実振りで、特にギターの多彩なフレーズには「マエストロ」の称号を授けたいくらいです。ドナ・オクスフォードのピアノも好サポート。ただ、ドラムがちょっと平板なのと、バンドとしての活動歴があまりないのか、うねりや一体感を感じないのと、ステージ進行に抑揚がないので、ちょっと退屈した面はありました。でもあのギターを堪能できただけで大満足です。
 このあとマシューが仕切ってスローブルースのセッションへ。ドラムがマイティ・ジェイスンに代わってとたんにグルーヴィーになりました。10分位やってたと思いますが、実に秩序だったセッションで、安心して見ていられました。

 ことしも多くの友人と会い、ブルース談義に花を咲かせながらのリラックスした観戦でした。来年は10周年、さて誰が来るのやら?



Blues Paradise 2002 ; LIVE at AX Shibuya 2002. 7.14


アイスクリーム・ママ

女性3人組のソウル・ユニットで、4管+キーボード+ギター+リズムセクションをバックにスタンダードなソウルナンバーを中心に披露しました。歌はうまく、そつないステージでしたが、ややポップな印象でした。アリサの「シンク!」はまるっきりブルースブラザーズだったし。ところでギターのタメさんて、鬼ころしの庄子さんですね。結構気合いの入ったギターでした。



Deborah Coleman

 若手ブルースウーマンとして活躍中とのことですが、初めて聴きました。バンドはパーマネントなものではないようで、ややセッション的な演奏です。最初のアップのシャッフル、歌は艶こそあまりないものの、一所懸命歌っていて、しかも変にがなることなく、割合好感がもてました。ギターはレスポールでいかにもそれらしいファットなサウンドでしたが、いかんせんソロに華がありません。同じフレーズの繰り返しで、しかもあまりキャッチーではないので、特にスローな曲ではかなり退屈しました(居眠りしてしまった)。これはギターの技量というより、楽曲をしっかりアレンジしていないせいが多いと思います。殆どまともな「決め」もなく、平板なドラムとベースだったため、彼女の良さが出し切れていない感じ。ラストの曲はオールマンのディッキー・べッツを思わせるメジャースケールのソロで面白かったんですが、やっぱり夢見心地に。これもトランスというよりはちょっと冗長だったかな。ジェリー・ガルシアのように変幻自在ならこういった曲も面白いと思うんですが、ちょっとヴァリエーションが足りないなぁ。今後に期待しましょう。



Billy Branch & The Sons Of Blues

 シカゴで最も活きのいいハーピスト、ビリー・ブランチはやっぱり強烈でした。いきなりタイトなシャッフル「サン・オヴ・ジューク」でビシッと決めましたが、転調するときのハーモニカの持ち換えの速いこと!軽々とフレーズを自在に出すのが素晴らしいです。歌は初めドラムのモーズが歌っていました(新作でもやってた「ジャスト・ア・リトル・ビット」も歌ってたっけ)が、独特のいなたさがあって結構好きです。でもこの人のドラムは独特ですね。ハットやトップをスクエアで叩きながら、キックとスネアでシャッフル感を出すんですが、突っかかったような感じが特徴的です。ファンク系の曲でもベースとピッタリって感じじゃないんですが、かえってそれが面白いうねりを出していました。一方左の日本人二人はクールにプレイしていました。「ジャパニーズ・マフィア」なんて紹介されていた丸山さんのけっこうテキサスがかったギターはとっても良かったです。アリヨさんのピアノは相変わらず適度に肩の力が抜けていて、でも隙間を絶妙に埋めるフレーズが粋です。
 ビリー・ブランチは余裕のある歌いっぷりでした。クロマチックを持ち出して、ジュニア・ウェルズ版の「グッド・モーニング・リトル・スクールガール」をクールに決めたり、してましたが、圧巻は「ザッツ・オールライト」でした。ワイアレスを利用して場内練り歩き!最前列の女の子のところではキスを模したプレイで「迫って」ました。オクターヴァとディレイをかませたサウンドはそのテクニカルなプレイと良くマッチしていました。まさにあっと言う間の1時間。満足しました。



Otis Clay

 名前を忘れてしまいましたが、「ブラックなんとか」というパーマネントバンドがバック。まずはギターのハリウッド・スコットが「ムスタング・サリー」を結構モダンに決めて(このバンド、コーラスがうまい!)スタート。この人歌もギターも上手いです。ギターは調子に乗りすぎてとちってましたが、それが表情に出るのが結構かわいいかも。ホーンはペットとボーンの2管ですが、実に効果的なサウンドです。そしていよいよ真打ち登場!黒っぽいドレスシャツで登場したオーティスはバンドを完全にコントロールしています。「ヒア・アイ・アム」の時は声の出が悪いのかなとも思いましたが、どんどん調子が上がってきました。ゴスペル調のディープなサザンソウルから、フェスティヴァルを意識したかのような「ドント・バーン・ダウン・ザ・ブリッジ」、そしてハイライトは「プレシャス・プレシャス」でした。盛り上がったなぁ。結構難しいフレーズを客に歌わせていましたが、みんな一所懸命でしたよ。どんどんショウは伸びていき、終盤は「エーメン〜ドック・オヴ・ザ・ベイ〜ア・チェンジ・イズ・ゴナ・カム」の超豪華メドレー。ここでも客を巻き込みながら場を盛り上げていました。そして「トライング・トゥリヴ・マイ・ライフ・ウィザウト・ユー」、もう立ち上がるしかありません。
 アンコールはビリー・デボラも出てきて、オーティスの長いイントロの語りから、「ラヴ&ハピネス」へ。途中ソロ回しがあったんですが、デボラが遠慮しているのがかわいかったな。一方ビリーはオーティスがバンドに合図を送って「リッスン」と言っても、結構吹いていて、この辺の感覚の違いが微笑ましかったです。途中から曲はお決まりの「ソウルマン」へ。バックバンドのメンバーが楽器を弾きながらのステップが、軽やかでかっこよかったです。とにかくアンコール30分込みの2時間のステージ、満喫しました。この企画、来年以降も続けるとかで、かなり楽しみです。



Big Jack Johnson & Oilers ; At On Air West ; LIVE (2002. 4. 6)

近作で好調なところを聴かせるビッグ・ジャックのライヴに行きました。客の入りが心配でしたが、まあまあ入ったので一安心。

 オープニング・アクトは増子真二のユニットで、なんとスライドギターとドラム(女性)のデュオという珍しい形。控えめな態度ながら轟音を響かせるプレイは好みは分かれると思いますが、僕は結構楽しめました。聴いた位置が前過ぎて、歌が聴き取りにくかったのが残念。

 続いてオイラーズが登場。アルバート・コリンズの「ドント・ルーズ・ユア・クール」のテーマから始まるインストで結構達者なギターを聴かせました。もう1曲スローナンバーでもユニークなフレーズを披露。ビッグ・ジャックのプレイ中は一度もソロが回ってきませんでしたから、ここぞとばかりだったんでしょう。そのスローの終盤にいよいよビッグ・ジャック登場。アンプにギター(ストラト)を繋いでもなかなか音が出ずに少々慌てていましたが、ジャズ・コーラス直結とは思えない野太い音が出るといっぺんに彼の世界でした。

 スタートはスローブルースから。ビッグ・ジャックは相当B.B.キングを敬愛しているとみえ、ギタープレイも6thを多用するB.B.マナーのフレージングでした。ヴォーカルはハウリン・ウルフの影響が強く、声色を変えながら歌っていきますが、その巨体とあいまって、相当やさしい感じを受けました。

 続いてB.J.J.(ギターにメタリックの大きなシールが張ってありました)風「キャットフィッシュ・ブルース」。釣りをする仕草を交えてユーモラスに。その後はジミー・リード「ベィビー・ワット・ユー・ウォント・ミー・トゥ・ドゥ」、リトル・ウォルター「マイ・ベイブ」、ハウリン・ウルフ・ナンバーとシカゴ系の曲を泥臭く続けていきます。途中5フレットにカポを付けて変化を出していました。僕が大分酔っ払っていたんで曲名をかなり失念。ロックウッド風のインストもあったような。

 その後アイヴォリー・ジョー・ハンターの「シンス・アイ・メット・ユー・ベィビー」へ。前々作でインストでやっていたんで、それと同じだろうと思ってトイレに立ったら何と歌いました。とっても暖かくてやさしい歌。歌メロをギターで弾くときもやさしさが溢れていて、このカラーがとっても気に入りました。

 その後「ハーピストがいたら舞台に上がってくれ」と促されて、コテツ登場。今度はスライドによるインスト版「シンス・アイ・メット・ユー・ベイビー」でこれが前々作でやっていたもの。メロディは「シンス..」と「アイ・オールモスト・ロスト・マイ・マインド」の合体です。コテツの巧みでエモーショナルなプレイにオイラーズの面々も驚いた様子で、舞台を降りようとするコテツを引き留める一幕もありました。途中ビッグ・ジャックのギターの弦が切れても「問題ない」と今度は赤いセミホロウ(これにもBJJのシールあり)に持ち替えると以後はずっとオープンD/E系のスライドをプレイしました。スライドギターのテキストには「スライドバーはフレットに平行に」なんて書いてありますがそんなのはお構いなし。大きなヴィブラートでフレーズを決めていきます。「シェイク・ユア・マネー・メイカー」「ダスト・マイ・ブルーム」とぐいぐい押しまくるプレイで場をどんどん盛り上げていきます。そしてその勢いのまま終演へ。

 アンコールは僕の秘かな期待に答えてマンドリンを取り出してくれました。でも左手の小指に気になる銀色のものが。曲はお決まりの「スウィート・ホーム・シカゴ」ですがエレクトリック・マンドリンのきらびやかな音が気持ちよかったです。ベースの人が場内に「歌え」と呼びかけコーラス部でブレークするんですが、初めはみんな遠慮がち。でもマンドリンでスライドのソロ!が飛び出したあたりで雰囲気が変わりました。音量を下げたソロになったところで、場内から歌声(sumoriさんだと思う)が聞こえると、結局みんなで大合唱。盛り上がりました。

 2回目のアンコールはこれもお決まりの「モジョ・ワーキン」。こちらはギターでオーソドックスに。この定番エンディング、いつもはあんまり好きじゃないんですが、今回ばかりは許しました(笑)。本当ならお客が総立ちでもいい雰囲気だったんですが、皆おとなしかったな。予定外に椅子が並んでいたんでどっかり座っちゃったのがいかんかったかな?でも楽しい約90分のステージでした。

 オイラーズはふだんもよくやっているようで、B.J.J.との息もぴったり。「字余り」・「字足らず」の拍数も戸惑うことなくぴったり決めていたのはさすがでした。B.J.J.の、適度に粗さはありますが、大きな体に似合わない繊細さも伴ったギタープレイと、やさしさ溢れる歌が大きな魅力でした。欲を言えばオリジナル曲を聴きたかったな。定番ブルースが日本で受けるとの思いもあったんでしょうが、CDでは結構自作曲もやっているし、フランク・フロストの追悼曲(いろんなブルースマンの名前が織り込まれている)あたり出てこないかと期待していただけに、ちょっと残念でした。でも見に行って良かった!



8th. Parktower Blues Festival ; LIVE(2001.12.15)
吾妻光良&ザ・スウィンギン・バッパーズ

 結成21年になる日本最高のジャンプ・バンド。6管を従えた吾妻は軽妙な語り口で場を和ませながらステージを進めていきます。オリジナルが中心で、これがバラードありカリプソあり。タイトルも「嫁の里帰り」「俺の勝ち」などユニークで、歌詞はもっとユニーク。そして決め技を連発する吾妻のギターがたまりません。ドラムの岡地(髪型が変わっていて気付かなかった)はシンバルを倒す熱演。この人のドラムがジャズ系でないのがこのバンドを引き締めていました。大変面白く、今回の出演者では最も良かったと思いました。2月にCDが出るそうで、今から楽しみ。



Five Blind Boys Of Mississippi

 伝統あるゴスペル・グループです。オリジナルメンバーはとっくにいないようで、目の見えない人は3人、それもかなりお歳を召していました。でもこの人たちのコーラスは力強かったです。特にア・カペラは鳥肌もので感動しました。メインは比較的若い人達で、ゴスペル・スタンダードの合間にバラードを挟む展開。途中とラストにそれぞれの曲のメインヴォーカルがステージ下に下りてきて派手なパフォーマンスを見せたり、ギターの人がファルセットのロングトーンを決めたりとか、サーヴィス精神は旺盛でした。でもその分「感動の坩堝」て感じになれませんでした。妙に俗っぽさを感じてしまったんです。



Cephas & Wiggins

 ピードモント・スタイルと言われるイーストコーストのアコースティック・ブルース・デュオ。ギターのジョン・シーファスとハープのフィル・ウィギンズのコンビは息もぴったりで達者な演奏を聴かせました。しっかりとしたノリの出るギターにテクニカルな生ハープ、丁寧な歌と非常に好感の持てる演奏だったんですが、僕としてはもっとラグタイムを多くやって欲しかったな。「現代のブラウニー&サニー」との位置づけもありますが、サニー・テリーはもっとはちゃめちゃなステージングでした。それに比べると随分おとなしめで、やはり時代の差を感じてしまいました。



John Primer

 マディ・ウォーターズ・バンド、マジック・スリムのバンドのギタリストを務めた、現在のシカゴのトップ・ギタリストのひとりです。伝統に乗っ取ったシカゴ・スタイルのギターは音色も抜群で、ど派手なプレイはありませんが、じっくり聴かせます。途中スライドも披露し、近作からの選曲中心のステージは好感がもてました。次に出るアール・キングの「ゾーズ・ロンリー・ロンリー・ナイツ」(ジョンも最近のアルバムでやっていたんです)をやったり、ラストは「スウィート・ホーム・シカゴ」で場を沸かせたりとサーヴィス精神もたっぷり。もっと小さなライヴハウスで見たらもっと良かったんだろうなと思いました。ドラムがちょっとうねりが足りなかったのが残念かな。



Earl King with George Porter Jr. & Runnin' Pardoners

 今回のメインアクトです。まずはジョージがメインでインスト・ナンバーから。力強いベースとテクニカルなドラム、ギター、キーボードの構成で、「シシー・ストラット」などをやりました。でもこの曲あたりを聴くと、やっぱりディヴィッド・ラッセル・バティスト・ジュニアのドラムはグルーヴに欠けるかなとも思いました。ジョン・グロスのヴォーカルでパパ・グロウズ・ファンクの曲をやったり、ジョージのヴォーカルでランニン・パードナーズの曲をやったりと、現役バリバリの選曲は好感がもてます。山岸のギターもツボを抑えた演奏で、適度に抑制され、特にセミホロウに持ち替えた後の音も良く、昨年よりずっといいと思いました。
 さていよいよ真打ち登場です。予想通り「レット・ザ・グッド・タイムズ・ロール」(つまり「カモン」)でスタートしましたが、病み上がりという情報通り、手元もややおぼつかず、チューニングもままならない状態です。それでもマイクに向かうとちょっと声は小さめでしたがしっかり歌うし、時折弾くソロも特有のペキペキしたもので味わいはありました。特に自分でイントロをしたときに紡ぎ出すリフのファンキーだったこと。曲も「ゾーズ・ロンリー・ロンリー・ナイツ」「ビッグ・チーフ」「トリック・バッグ」と自作の名曲で固めていました。背面弾きもやるなどサーヴィス精神も満点。アンコールは期待していなかったんですが、自ら真っ先に出てくるあたりプロ根性を感じさせ、あの体調を考えれば感動ものでした。山岸はアールの隙間を埋め、一所懸命に支えようというこうサポート。アールは確かに精彩を欠いたギタープレイでしたが、大ファンとしては健在中に拝めただけで嬉しいんです。「おっさん頑張れ!」。まあ、アールを思いやってか、ジョージはアンコールの2曲目に「ヘイ・ポッキー・ウェイ」を持ってきましたが、ちょっと反則技っぽいですか。でも好きな曲だから一緒に歌ってしまうミーハーな僕でした。

 終演後、ジョン・プライマーがニコニコしながら自分のCDにサインを入れながら売っているのが微笑ましかったです。握手してきました。今回はガツンとは来ませんでしたが、いいフェスでした。こういうのは続けて欲しいですね。息抜きしながら見ることができるのが嬉しいですよ。



7th. Parktower Blues Festival (2000.12. 9)
Howling Loochie Brothers

 カナダ?と日本の混成バンド。3管入り。スタンダードなブルースからニューオーリンズまで、幅広くやっていました。途中妹尾隆一郎も参加。「前座」としてはなかなかいい音を出していました。



Galactic

 白人5人編成のニューオーリンズ・ファンク・バンド。演奏はタイトで、特にドラミングはすばらしかったです。サックスもテナーからバリトン、果てはハープまで持ち出しますが、物凄くファンキー。随所にホンクを交えた変幻自在でアバンギャルドなプレーは格好いいの一言。しかし、サックス以外の4人は街で出会ってもビジネスマンにしか見えない雰囲気。ギターとベースは特に地味だったなぁ。途中ヴォーカルとして加わった Theryl "Houseman" DeCloet は表情等エンターティナーって感じでしたが、歌は大味、PAのまずさもあって、なんか場違いな感じがしました。



Paul 'Wine' Jones

 ユニクロで買ったかのような紫のパンツに白いピンストライプのシャツ。これにグレーのソフトという、いかにも「田舎のおっさん」といういでたち。日本製(アリア・プロIIのよう)の真っ赤なレスポールもどきに2カポ。ドラムだけをバックに、すべて同じキー!「サムディ・ベイビー」「ジャスト・ア・リトル・ビット」「ファーザー・オン・アップ・ザ・ッロード」果ては「グリット・エイント・グロサリーズ(オール・アラウンド・ザ・ワールド)」まで、すべて自分のスタイルでやってしまう強烈な個性には脱帽するしかありませんでした。拍数もしょっちゅう裏がえり、必死でついていく白人のドラム、まるで修行僧のようでした。でも FAT POSSUM があまり好きでなく、期待していなかったわりには面白かったです。



Henry Butler feat. Junji Yamagishi

 ローランドのキーボードを中央に据え、けっこう達者なドラム、巨漢のベース、それに山岸潤史のギターを従え、ニューオーリンズの伝統に乗っ取った華麗なピアノワークを披露してくれました。でも、バンドとしては今ひとつだったかな?なんか全体に冗長で、ちょっと退屈してしまいました。山岸のギターも音が全然抜けてこない上、「弾きまくり」という彼の悪い癖?が出ていて、最近の彼の落ち着いた仕事ぶりから、期待するものがあっただけにちょっと残念でした。あとはPAには文句を言いたいですね。はっきりいってこのバンドについてはバランスがぐちゃぐちゃでした。



Harp Attack(Guy Forsyth, Arthur Williams & Lazy Lester)

 若い白人のお兄ちゃんガイ・フォーサイスからスタート。彼のバックバンドなのか、さっきよりさらに巨漢のベース(弦を途中で切っていた)、やる気のいまひとつ感じられないドラム、いかにもローカルな感じのギターの3人の初老のいなたいバックバンドに、ちょっと心配でしたが、ガイの「やる気」に救われた感じです。途中ステージを降り、生声でスローブルースを唸りながら場外へ(タバコ吸ってたそうな)出たり、サービス精神も旺盛でした。ガイはギターに持ち替え(スライドも交え、けっこう達者)、アーサー・ウィリアムズ登場。黒いカウボーイハットに皮ジャン、肩に白いタオルという不思議な格好でしたが、アンプリファイドされたハープは深みがあって良かったです。レイジー・レスターはアンプに繋がったマイクをもらっても、「俺はこっちがいい」とヴォーカル用のマイク(つまり生ハープ)を選択し、入念なサウンドチェックをしてから、歌い出しましたが、まさにレイジー!バンドも相まってもうユルユルで、これはこれでいいなぁ。最後は3本のハープでお決まりの「モジョ・ワーキン」、でもレイジーはタイムずれるんですよね。らしいっていうか。こういうの好きです。



Lucky Peterson

 いよいよ真打ち登場、街で会ったらちょっと怖そうな若い3人を従え、派手なシャツを着て登場したラッキー、初めは客を煽りながらハモンドとエレピを交互に弾き、歌いました。でもここでもPAに不満。オルガンが全然前に出てこない!でもバンドは若く勢いがあり、それまでのバンドとインパクトがまるで違います。プレーはしっかりジャズの基礎を身に付けているといった、クールなスタイルでした。途中ギター(真っ赤なSG)に持ち替えると、ステージ狭しと動き回りながら、華麗な指弾きでバリバリ弾きまくり。アルバート・コリンズの「オール・アバウト・マイ・ガール」(オリジナルはジミー・マグリフ)にインスパイアされた自作インスト「ピッキン」の最中に弦を切ると、ロバート・クレイ色のストラトに持ち替え続行。エンドから間髪入れないイントロで始まったスローブルースでは、予定通りステージ下に降り、大ファンサービス(会場の外までいったようです)、でもバンドに手でサインを出し続け、決めるところは決めるってのにエンターテイナー魂を感じました。その後はギターインスト大攻勢。いかしたアレンジの「ハイダウェイ」など、サービス精神旺盛で、客席は総立ちでした。目をまん丸に見開き、歯磨きのコマーシャルに使いたい位の白い歯(ブルースマンは歯が命?)をむき出しながら弾く姿は、ルイ・ジョーダン〜B.B.キングから脈々と流れるエンターテイナーとしての姿勢を感じ、ほほえましかったです。ラストはアンコールなしでしたが、十分満喫できました。

 合計6時間半、これで7千円は安い!ただ、出演者がだんだん小振りになってきたこと、ソウル系の人がいなかったことは来年ちょっと心配です。あとPAだけはもう少しなんとかして欲しいですね。



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