CD INDEX(v.a.1)
 

アーティストの名前順に並んでいます。「TODAY'S CD」で紹介したものは紹介文が付いています(日付)。紹介文のないものは「おすすめCD」か「お気に入りのミュージシャン」の中で紹介されているもので、「Click Here!」をクリックすると該当のページにジャンプします。

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ABCO Records ; ABCO/WOLF 120.298 CD (2000. 6.27)

1956年の短期間に録音されたシカゴ・ブルース集。かつて P-VINE の「シカゴ・ブルースの25年」などで紹介されていましたが、とにかくB級です。僕はB級大好きなんでたまりません。ルイス・マイヤーズのハープが炸裂する2曲や、モーリス・ピジョー、アービー・スティーダムなど、ラフでワイルドで、もう最高!COBRA や CHIEF あたりのシカゴ・ブルースをさらに野趣にした感じですね。中古のめっけもんでした。


Across The Tracks Volume 2 - More Nashville R&B And Doo Wop ; ACE CDCHDC672 (2000. 7.14)

1956〜67年録音。中古で購入。ナッシュヴィルといったらカントリーのメッカですが、なにしろメンフィスのあるテネシーですからR&B、ソウル・レーベルもありました。これはCHAMPIONやCALVERTといったレーベルの作品集です。ハイ・テナーで朗々と唄うラリー・バードソング、軽快なジーン・アリソン、ボビー・ブランド・マナーのアール・ゲインズなど、ヴァラエティに富んでいます。コーラス・グループもありますが、シカゴなどの洗練されたグループに比べると、ずっと素朴です。1967年ごろの録音と思われるロスコー・シェルトンの素晴らしいバラードが聴きものでした。


Ain't Nobody's Blues - Blues & Rhythm From SARG Records ; SARG/P-VINE PCD-2199 (2001. 3.25)

1956〜68年録音。買い逃していたものを中古で購入。SARG(サージと読むそうです)というテキサスの思いっ切りローカルなレーベルのコンピ。いわゆるヒット曲などはないですが、気持ちのいいシャッフルあり、ルイジアナに通じるバラードあり、いわゆるウエスタン・スイングもありで、B級の魅力たっぷりです。整然とした完成された音楽の面白さとはまったく異質な、野趣で、意外性にあふれ、どさくさに紛れた音楽、こういうローカルなものにも「魂」がこもっているのを感じさせるアルバムです。でも収録されているアーティスト、ひとりも知らなかった。まだまだこの手の音楽の奥は深いです。



Alabama & The East Coast (1933-1937) ; DOCUMENT DOCD-5450 (2008. 9. 1)

収録アーティストはソニー・スコット、チャーリー・キャンベル、ピーナット・ザ・キッドナッパー、ギター・スリム、ジョージア・スリムで、名前を知っていたのはギター・スリム(もちろんエディ・ジョーンズとは別人で、ジェリー・ベリーとコンビを組んでいた人)位でした。スコットは端正なギターと東海岸ならではのあっさり目のヴォーカルですが、ディープさも感じられます。チャーリー・キャンベルはロバート・マッコイのピアノをバックに歌った2曲で、結構朗々とした感じ。キッドナッパーも同じマッコイのピアノをバックにしていますが、これは明らかにピーティ・ウィートストローの影響を受けています。ギター・スリムもまたマッコイのピアノをバックにしていますが、ぐっとのどかな雰囲気。ジョージア・スリムはギターをかき鳴らすように弾きながら歌いますが、これもまたウィートストローの影響がくっきりと出ています。こうしてみると東海岸といえばピードモント・スタイルといった単純な図式では描けないことがよく分かりますね。




All Color Weird Rhythm ; STILL SLCD 1166 (2009. 3.26)

1960年前後の録音でしょう。まず一番の目玉はジョニー・ウィンターかな。「ザッツ・ワット・ラヴ・ダズ」、まるでEXELLOかGOLDOBANDみたいなロッキンナンバーです。ギターは面影がありますが歌は若々しくてまっすぐ。またロジャー・カルキンスの「ディンプルズ」もいかにもハイスクール・バンドといったサウンドで微笑ましいです。どうやらタイトル通り白黒関係なくダンス・チューンを集めてあるみたいで、声が若くて軽い感じのものが多いですね。




All Night Long They Play The Blues ; SPECIALTY SPCD-7029-2 (2004. 8. 9)

1962〜71年にかけての、GALAXYレーベルに残された録音集です。まさにタイトル通りで、ウエスト・コーストの場末のクラブやチトリン・サーキットを廻る脂の乗り切った面々の録音といった感じです。リトル・ジョニー・テイラーの「パート・タイム・ラヴ」のロングヴァージョンから始まり、ビッグ・ママ・ソーントン、フィリップ・ウォーカー、J.J.マローンなど僕の好きなアーティストがずらり。さらにはチャールズ・ブラウンやサンダース・キング、K.C.ダグラスまで入っています。一番のお気に入りはやっぱりフィリップ・ウォーカーの「ラフィン&クロウニン」かな。



American Folk Blues Festival 1982/1983/1985 ; BELLAPHON CDLR 76024 (2002. 8.12)

ドイツで行われていたブルース・フェスティヴァルのライヴ録音です。3枚組。1982年のものはサン・トーマスのデルタ直系ブルースで幕を開けます。ジョン・シーファスの「ブルースにはデルタだけでなくピードモントもある」とのアナウンスでアーチー・エドワーズ、さらにシーファス&ウィギンズのアコースティック・ブルースがいかにも「フォーク・ブルース」といった感じです。そのあと「シカゴズ・ヤング・ブルース・ジェネレィション」を名乗るビリー・ブランチとルリー・ベルをメインにしたバンドがファンキーなアレンジでエレクトリック・ブルースを演奏、これでソウルシンガーが来ればパークタワーみたいですね。その後セッション的な組み合わせでキャリー・ベルも含めて登場、面白かったのはブルースハープをキャリー、ビリー、そしてフィル・ウィギンズが3重奏したもの。曲的にはどうって事ないんですが、肌合いの違いが良く出ていました。
 83年のものはスライドを奏でて歌うスパーキー・ラッカーからスタート。この人は非黒人のようで、歌い方や声がどことなくクラプトンに似ています。その後はルイジアナ・レッドを軸にジミー・ロジャーズ、ロヴィー・リー、ロニー・ピッチフォードというやや寄せ集め的な印象のあるメンバーで、ロニーの一弦ギターなど面白いんですが、ちょっと散漫な感じがしました。ラストのクウィーン・シルヴィアはなかなか豪快でしたが。
 85年もホスト役を務めるスパーキーの「ウォーキン・ブルース」で結構力強くスタート。まるでサニー・テリーのようにウーピンするブラインド・ジョー・ヒルの「ファニー・メイ」、オーティス・ラッシュにとらわれないキャッシュ・マッコールの「アイ・キャント・クウィット・ユー・ベイビー」など結構面白かった一方、もはや力の入らないといった感じのエディ・ヴィンソンはちょっと痛々しかったです。ほぼ全編でバックをつけるヤング・ブルース・スリラーズはジャズやファンクを取り入れた演奏なんですが、やや実験的な感じがしてあまり面白くなかったな。やっぱり混沌とした時代だったんでしょうね。



American Music In The Beginning ; RICE RRS-004 (2005. 7.17)

1910年のごく初期録音から1941年までのアメリカ音楽を、極めて幅広く捉えた中村とうようさんならではの2枚組コンピです。いきなり「ヤンキー・ドゥードル」に「ジョージア・マーチ」と、日本でも替え歌で知られる2曲の軍歌でスタート。こうした音楽が日本の歌謡曲の黎明期に大きな影響を与えたことがうかがえます。この他ヴォードヴィル、ミンストレル・ショー、ラグタイムからブルース、カントリー、ラテン、そしてもちろんジャズまで、ジャンル単位で音楽を聴いているとうっかり見落としてしまいそうな曲が満載です。例えばエメット・ミラーの「アイ・エイント・がット・ノーバディ」、これってサザン・オールスターズのファンが聴くとビックリするでしょうね。懇切丁寧な解説も付いており、こんなのを聴いてしまうといろんな音楽が聴きたくなっちゃう麻薬のような恐ろしいコンピです。一家に1セットでしょう。



American New Roots Vol.2 Orange - New Orkeans Vibes ; BUFFALO LBCY-302 (2005. 3. 8)

ほぼ2002〜2004年の音源です。BUFFALOレーベルが日本に積極的に紹介しているルーツ音楽のサンプラー第2集は、ニューオーリンズの現役音楽集です。既発音源は殆ど持っていますが、ギャラクティックの「シブヤ」とハウスマン・デクローの「アイ・ラヴ・マイセルフ」が未発表なので買いました。前者はライヴ音源で、録音状態が今ひとつで特にスタントン・ムーアのドラムの味が生きていないのが残念ですが、熱気は十分に伝わります。後者はギャラクティック(脱退したそうです)とのものより落ち着いた印象。アルバム全体としてはセカンドラインたっぷりのフォンクがたっぷり詰っていますが、ジョン・グロスのカントリー味が絶妙のスパイスになってます。入門には最適でしょう。



Ann Arbor Blues & Jazz Festival 1972 ; ATLANTIC/EAST WEST AMCY-6134〜5 (2000. 8.18)

最近「ブルース探検隊」のシリーズでCD化された2枚組。色々なアーティストが1曲ずつ収録されています。サン・ラやドクター・ジョン、CJQといった、ブルースの枠をはみ出している人たちがいる一方で、ハウンド・ドッグ・テイラーやジョニー・シャインズも登場します。1枚目では、ジュニア・ウォーカーがMOTOWN臭さをあまり感じさせない演奏で面白かったです。ボニー・レイットの声はチャーミング、「清純なブルース」って感じです。その後のウルフ〜マディと並べる編集は当然ライバル対決なのかな?2枚目は冒頭にオーティス・スパンの追悼が入っていて、奥さんのルシルの熱唱が涙を誘います。フレディ・キングはロックしてるし、ルーサー・アリソンはB.B.そのものってギターです。オーティス・ラッシュもなかなかの熱唱、当時のアルバムの音作りの憂さ晴らしのように聞こえてしまいました。1973年発売当時の中村とうようさんのライナーが、時代を感じさせて面白かったです。


The Answer To Everything - Girl Answer Songs Of The 60s ; ACE CDCHD 1166 (2009. 3.18)

1959〜66年に出された、ヒット曲に対する主にガール・グループによるアンサー・ソング集で、さすがACEといった仕事です。タイトルの後ろに元のヒット曲がちゃんと書いてあるのも親切。しかし「シェリー」のアンサーが「ジェリー」ってのには笑いました。「今夜はひとりかい?」に「ええ、あたしはひとりよ」って歌うドディー・スティーヴンスみたいな分かりやすいのもありますし。有名どころではエスター・フィリップスが「女が男を愛するとき」と答えたり、カーラ・トーマスが「ブリング・イット・オン・ホーム・トゥ・ミー」に「アイル・ブリング・イット・オン・ユー・ベイビー」と答えたりしてます。ほぼ女性のアンサーなんですが、そこに男性のバーテル・ダッチェなんて人が入ると、ちょっとびっくりです。英語の勉強になるアルバムです。




ANTONE'S Tenth Anniversary Anthology ; ANTONE'S/P-VINE PCD-1804 (2002. 6.18)

1985年にテキサスはアントンズで行われた豪華キャストの10周年ライヴからのベストセレクションです。この頃のアントンズは、シカゴのベテランプレイヤーを積極的にプッシュしていた時期で、メンバーもスヌーキー・プライヤー、サニーランド・スリム、ジミー・ロジャーズ、エディ・テイラーとベテラン揃い。これにルーサー・タッカーなどシカゴ勢と、デレク・オブライエン、カズ・カザノフらアントンズのレギュラーがかみ合って、素晴らしいライヴになっています。中にはジェィムズ・コットンとヒューバート・サムリンのダウンホームなデュオがあったり、アルバート・コリンズに果敢に挑むジミー・ヴォーンがいたりと、セッション的な要素もあります。バディ・ガイはややオーヴァー気味ですが、これも彼の持ち味ですね。オーティス・ラッシュも最初ちょっと不安定な感じでしたが、途中のエモーショナルなプレイは流石です。こうした中、パイントップ・パーキンスの「カレドニア」が清涼剤のように効いています。贅沢な、ある意味サンプラー的な盤です。



ATLAS Blues Explosion ; RE 545 450 810-2 (2006. 7. 5)

1950年代の録音でしょう。ATLASはニューヨークのレーベルで、まず冒頭のルイジアナ・レッド「ダーン・ウォーク・アップ」が格好いいです。この人、なんかわざとらしくてあんまり好きじゃないんですが、ここではロウダウンなハープとヴォーカルで、さすがローカルレーベルでのシングル盤だなって思いました。再認識。この他強烈なシャウターぶりを発揮するHボム・ファーガソン、ワイノニー流なんですが「オン・マイ・ウェイ」では「T-99」のようなコーラスが聞こえてきます。ジェイムズ・ウェインのいなたさとニューヨークらしいブラスの入ったモダンなアレンジのミックスも面白いし、軽妙なアイダ・ヘイミスも歌に絡むギターが洒落ていていい感じ。エメット・ディヴィスの「ウォーク・アップ・ディス・モーニング」も勢いがあって、飛び跳ねるギターも格好いい。この人の「ユー・ノウ・ユー・ドントウォント・ミー」、ソウルジャズっぽい演奏に「フリップ・フロップ&フライ」みたいな歌い回しなんですが、ギターのすざまじいことったら。この1曲で満足ですね。全体的にはジャンプ系が多いので、そっち方面の好きな方にお薦めです。



Bad, Bad Whiskey ; ACE CDCHD 516 (2000. 9. 8)

1962〜72年録音のGALAXY/FANTASYのR&B集。中古で購入。ウエストコーストといえばMODERN/KENTが有名ですが、こちらはよりソウルフルで新しいサウンドです。サム・クックしてるリトル・ジョニー・テイラーとか、ファンキーなソウル・ジャズを聴かせるザ・マースド・ブルー・ノーツ、ボビー・ラッシュの「チキン・へッヅ」などが代表的な作品です。時代の転換点にあり、ファンクとかロックとかモータウンとか、それこそいろんな要素を取り入れながら各ミュージシャンが試行錯誤している様子が伺えます。けっこうおもしろい曲が多くて収穫でした。



Battle Of Hasting Street ; ACE CDCHD 1121 (2007. 1.15)

1949〜53年にかけて、ジョー・ヴォン・バトルがデトロイトで収録し、KING系列からリリースされたブルースを中心に集めたものです。ジョー・ヴォンの録音でKINGリリースと言えば、何といってもあのジョン・リー・フッカーがありますけど、まずはブルーム調で始まったジョー・ウィーヴァーの未発表曲にぶっ飛びました。泥臭いハープといなたい調子のエディ・バーンズ「ハロー・ミス・ジェシー・リー」は思いっ切り「グッド・モーニング・リトル・スクールガール」の改作だし、ジョニー・ライトは全編にわたってウィリー・メイボンのスタイルをローダウンにして踏襲しています。ジョン・リーの相棒となるエディ・カークランドがスライドを唸らせる「タイム・フォー・マイ・ラヴィン・トゥ・ビー・ダーン」もゴリッとした感触がたまらないですね。ジェイムズ・ウォルトンの生ハープとややかん高い歌も南部の香りを強く残しています。こうして聴くとジョニー・ライトやジョー・ウィーヴァーなどかなりデトロイトという都会らしさを出している一方で、テキサススタイルに通じるエディ・カークランド、田舎臭さを残すロバート・リチャードなど、ストリートで演奏するまんまをとらえたようなサウンドは、ジョー・ヴォンならではと言えますが、同時にこの時代のデトロイトのブルースの多様さを現しているようにも思えます。



Bay Area Blues Blasters Vol.1 ; EL CERRITO ECR 01004 (2002. 1.19)

1960年代の西海岸のブルース集。このアルバムはジョニー・ハーツマンに焦点を当てています。彼のリーダー作はもちろん、収録アーティストはタイニー・パウエル、レイ・アジー、ジョー・サイモンなどですが、ジョニーのギターやフルートがバックを飾っています。彼のギターはとってもモダンで、またアレンジはかなりコンテンポラリ。なんとなくその後のベイエリア・ファンクに通じるものも感じられます。惜しいのはレコーディング・データとかが不十分なこと。おそらくブートなので仕方がないのかもしれませんが、こういう小レーベルを正規リイシューすることはできないんでしょうか?



The Bert Berns Story - Twist And Shout Volume 1 1960-1964 (2008. 4.18)

ジャケットに写るソロモン・バークの怒ったような表情が何とも言えませんが、彼の「クライ・トゥ・ミー」、ベン・E.キングの「ジプシー」など、ちょっとラテンがかった雰囲気の曲を作ったのがバート・ラッセル・バーンズです。繰り返しのコード進行はアイズレー・ブラザーズのタイトル曲や、ヴィブラトーンズの「マイ・ガール・マイ・ガール・スルーピー」などに顕著で、後者は「ハング・オン・スルーピー」の原曲ですね。こうしたラテン・フレイヴァー溢れる曲をシーンに持ち込んだ功績は大きいと思います。この人とフィル・スペクターとの関係、ちょっと興味があります。いつにも増して丁寧な作りのブックレット、さすがACEと唸らせるものです。



The Best Of Chicago Blues ; BEA & BABY/WOLF 120.293 CD (2001. 1.31)

1959〜71年、シカゴのBEA & BABYに残された録音集。いきなりいなたいホームシック・ジェームズから始まり、いい感じです。この他ジェームズ・コットン、リトル・マック、エディ・ボイド、アール・フッカーなど、名うてのシカゴ・ブルースマンの曲が集められています。エディ・キングのモダンなギターや、ロックウッドの職人ワザも聞こえ、決して売れた時代ではないと思いますが、シカゴ・ブルースの確かな生命力を感じました。



Best Of Acoustic Swing ; VIVID SOUND VSCD-157 (2005. 9.25)

レコーディングデータは無いんですが、解説によると1970年代の録音のようです。ブルーグラスやカントリー、さらにはハワイアンのギターの名手たちが中心になって、小粋なジャズの曲を演奏したものを集めたコンピで、入門者向きでしょうか。ジョン・ミラーの弾き語る「アズ・タイム・ゴー・バイ」がまずなかなかひなびてていいですね。トニー・ライス・ユニットはブルーグラスとジプシー・スウィングを融合させたようなサウンド、ジャズ・ヴァイオリンの名手ジョー・ヴェヌーティは「A列車で行こう」「キャラバン」といった超スタンダードで味を出しています。この他ペダル・スティールのダグ・ジャーニガン、巧みにリゾネイターでハワイアン・スウィングを演奏するボブ・ブロズマンなど名手が目白押し。ガイ・ヴァンのスウィング感も素晴らしいものがあります。はまりそうだぁ。



The Best Of Chicago Blues Vol. 2 ; BEA & BABY/WOLF 120.294 CD (2001. 2. 3)

Vol.1と同じく、1959〜71年、シカゴのBEA & BABYに残された録音集。頭4曲のリトル・マックはメンフィスのルーツ丸出しの選曲(ジュニア・パーカーとかサニーボーイIIとか)で嬉しくなります。一聴して分かるサニーランド・スリムのピアノの裏でちろちろ絡むヒューバート・サムリンのギターとか、録音はチープでローファイなんですが、かえってシカゴの場末のクラブにでもいるような臨場感があります。メンバー不明のデトロイト・ジュニアのバックに聞こえるギター、マジック・サムのような音色でオーティス・ラッシュのソロを丸ごとコピーしてるんだけど、誰だろう?ラストの女声コーラス入りのクリスマス・ソング(1曲はリー・ジャクソン)が常人のクリスマスのイメージを叩き壊して、こういうの、好きだなぁ。



The Best Of Chicago Blues Vol. 3 ; BEA & BABY/WOLF 120.295 CD (2001. 2.13)

Vol.3ともなると、録音時期も判別しないものが多いですが、おそらく1959〜71年でしょう。いきなりラジオ用?のレーベル紹介曲が凄い!メンバーをバリバリ紹介していきます。ウィリー・ウィリアムズ、リトル・マックとおなじみの顔の中で、目玉はジョン・リトルジョンでしょうか。例の野太い声を聴かせてくれますが、もう少しスライドもバリバリいって欲しかったかな。この他シンギン・サムのバックではけっこう派手なギター(誰?)が聴けたり、ジャンプっぽい曲があったりと、相変わらずのどさくさまぎれな感じがDELMARKなどと好対照で、かえってリアルです。



The Best Of Country Guitar, Vol.1 Flying Fingers ; JASMINE JASMCD 3539 (2009. 9.24)

録音時期はデータがありませんが、戦後〜1950年代が主ではないかと思います。まずはジョー・メイフィスのタイトル曲がすごい!スピード感あふれる演奏に圧倒されます。レス・ポール、チェット・アトキンス、マール・トラヴィスといった大御所に、特徴的なスライドのスピーディ・ウェスト、軽快なハンク・スノウ、ハーモニクスでのプレイが素敵なクリフィー・ストーンなど、名手の名演揃いで楽しめました。




The Best Of DREW-BLAN ; DREW-BLAN/NIGHT TRAIN NTI CD 2007 (2001.10.31)

1950年代末〜60年代初頭の録音。ジェリー・レインズ、ピーター・バック、ジェイ・ネルソンなどほぼ無名のルイジアナ・ミュージシャンの2枚組録音集ですが、結構興味深いものもありました。バーバラ・ジョージの「アイ・ノウ」のアンサーソング「オー・イエス」なんてそのまんまで笑ってしまいますし、チープなオルガン・インストとか泥臭さばかりではないのがこの時代のルイジアナを感じさせます。録音はコズィモ・マタッサのスタジオとか。ピーター・バックの後ろに聞こえるギターの中には、アール・キングと思われる粘っこいサウンドもありました。そのアールはピアノをバックにしたデモが収録されていますが、結構丁寧な歌を聞かせていて一味違う感じがしました。NIGHT TRAINらしく?クレジットとかがほとんどありませんが、好リイシューです。



The Best Of ENRICA & RAE COX Vol. 1 ; EAGLE EA-R 90420 (2006. 6.13)

詳細なデータはありませんが、恐らく1960年代色の録音と思われます。ジャケットにヘンリーとともに笑顔を見せるスクリーミン・ジェイが用いられているように、このアルバムの目玉は彼の4曲。「アイ・ヒアー・ヴォイセズ」の例に漏れない超絶変態的なおどろおどろしさは健在で、この奇才の魅力を十分に引き出しています。他にはゴスペルの香り漂うコーラスグループのシャロウズ、ツイスト時代って感じのドゥーワップグループのサンセッツやレヴロンズ、ブーテインズ、カーネイションズといったグループですが、ぜんぜん知りませんでした。ローザ・ショウというゴスペル出身と思われる結構迫力ある女性ヴォーカルのバックで、何とエスクェリータがピアノ弾いてたりします。実にマイナーレーベルらしい猥雑さが好きな僕にとっては面白いアルバムでした。



The Best Of ENRICA & RAE COX Vol.2 ; EAGLE EA-R 90421 (2009. 3.22)

1960年前後の録音でしょう。第2弾ですからますますレアものが中心になります。目玉はスクリーミン・ジェイ・ホウキンスの3曲で、例によってお化け屋敷のようにおどろおどろしくやってます。この他はシャロウズ、サンセッツ、シンフォニックス、オーヴァートーンズ、セレナデッツなど無名のコーラス・グループが中心です。そんな中ポピュラー・ファイヴがコーズの「シブーム」やロニー・ジョンスンの「トゥモロー・ナイト」などのヒットをカヴァーしているのが耳に残りました。またフェンダー・ギター・スリムなる謎の人物のギター、かなりユニークでかっこいいです。クローヴァートーンズのバックではエスキューリータがピアノを弾いてます。




Best Of HARLEM & JAX Records Volume 2 - Rockin' Blues & Boogie ; H&J 102 (2006. 7.26)

詳しいデータはありませんが、1950年代初頭の演奏が中心だと思います。名前からして分かるようにニューヨークのレーベルで、ブラウニー・マギーとサニー・テリーのフォーク・ブルース・ブーム以前の生きのいい演奏がまずは嬉しいです。ボブ・ギャディは1951年録音で「リトル・ガールズ・ブギ」は「蛍の光」など童謡や唱歌のメロディをちりばめたごきげんな曲。ラリー・デイルの「シェイム・シェイム・シェイム」は『ブルース・レコーズ』に載ってないので素性が不明です。このほかライトニン・ホプキンスが4曲ほどありますがこれはGOLD STAR録音のリースかな。ウィリー・ウェインの「ジャンコ・パートナー」も入ってますが、これもSITTIN' IN WITHのものと同じかもしれません。まあブートっぽいCDですが内容的にはけっこう楽しめました。



Best Of HARLEM & JAX Records Volume 3 - More Rockin' Blues & Boogie ; HARLEM & JAX H&J103 (2008. 4.15)

録音・リリース年が記載されていませんが、おそらく1950年代前半の音ではないでしょうか。ニューヨークをベースとしたレーベルで、メインは当然のようにブラウニー・マギーとサニー・テリーで、フォーク・ブルース・ブームの前の、リアルな彼らのサウンドが捉えられています。ライトニン・ホプキンスも入っていますが、これらはSITTIN' IN WITHでリリースされたものですから聴いたことがありました。L.C.ウィリアムズもテキサス録音でしょう。ライトニンをさらに泥臭くした感じ。一方ボビー・ハリスのゴージャスなブルースを始めとして、ボブ・ギャディやアルビー・スティッダムのような都会派ブルースも入っています。そんな中ジェイムズ・ウェインのルイジアナ風味に癒されました。



The Best Of MAD Records ; MAD MR-1005 (2004.12.16)

詳細なデータはなんにもありませんが、おそらく1960年前後の録音と思われます。ブルースとポップなコーラスグループがごたまぜに入っていますが、全体に垢抜けない感じがかえって面白いです。ブルースはウィリー・メイボンが例のぶっきらぼうな調子で歌ってたり、ビリー・ザ・キッド・エマーソンがお得意のナンバーを披露してたりしますが、最大の聴きものはレフティ・ベイツのギター。これはエグ味がありこれだけでこのアルバムを買って良かったと思えるくらいです。



Best Of Zydeco ; MARDI GRAS MG 5101 (2006. 5.10)

詳細なデータはありませんが、この10年以内の録音だと思います。MARDI GRASレコードからCDを出している、ジュード・テイラー(カーリー・テイラーの父)、ザディコ・ハリケーンズなど総勢4組のアーティストのサンプラー的内容です。ラテンフレイヴァーを感じさせるジュードの「ボン・トン・ルイジアナ」、ブルース色が強いフェルネスト・アーセヌー、インスト中心のザディコ・オールスターズは「ティージン・ユー」を「ダンス&ショウ・オフ」とリタイトルしてやってたりします。ザディコ・ハリケーンズは「ゴーイン・バック・トゥ・ビッグ・マモゥ」「アイム・カミング・ホーム」「ホット・タマル・ベイビー」をモダンにアレンジしてやっています。いわゆる新世代ザディコとは違いますが、かなりポップで聴きやすい仕上がりで、コアなファンより広くリスナーを増やそうという姿勢を感じました。



The Best Of '56 - From The Vaults, Volume 6 ; CAPITOL 72435-28294-2 (2001.10.26)

1955年から6年にかけての、CAPITOLからのヒット曲集。テネシー・アーニー・フォードの「16トン」からソニー・ジェームズの「ヤング・ラヴ」まで、ポスト・ロックンロール時代のポップソングが目白押しです。中では激しいエディット・ピアフと甘美なナット・キング・コールのコントラストや、「黄金の腕を持つ男」やレス・ポールの「三文オペラのテーマ」など、懐かしいというよりは、どこかで聴いたことがあるなといった曲もあり、ポップス好きの僕にはかなり面白いコンピです。最高だったのはスタン・フレバーグの「ハートブレイク・ホテル」。これは笑えます。



Big Bad Blues ; CHARLY CPCD 8272 (2008. 7. 6)

1953〜55年くらいのSUN音源のコンピです。まずはジミー&ウォルターのBefore Long からスタート。でもハーモニカがないとやっぱり物足りないなぁ。ジョー・ヒル・ルイスは「フィール・ソー・グッド」風の「ウィー・オール・ガッタ・ゴー・サムタイム」はご機嫌です。と次がルーファス・トーマスの「ベア・キャット」、実に「バウンド・ドッグ」を意識してるなぁと再確認。でも選曲や曲順に何の工夫も感じられません。いなたい曲が続くかと思ったらちょっと都会的なビリー・レッド・ラヴが来たり。可愛い声のパット・ヘアを聴いてると、本当に人を殺したのかと思っちゃうし、トッド・ランドルフなんて思いっきりローカルバンドなのが笑っちゃいます。ちょっと洒落たビリー・ザ・キッド・エマーソンやロスコ・ゴードンに若くて青さを感じるリトル・ミルトンと、この雑多さがSUNらしいといえばそうなのかもしれません。



The Big Box Of New Orleans ; SHOUT! D4K 37441 (2007. 7.31)

1927年のルイ・アームストロングから2003年のジョン・クリアリーまで、ニューオーリンズ音楽を時代・ジャンルを完全に越えて集大成した4枚組のコンピです。R&Bはもちろん、ジャズ、ブラスバンド、ケイジャン、ザディコ、ブルース、クレズマーミュージックと、およそニューオーリンズで聴くことのできる音楽がてんこ盛り。また新しい録音が多いのも特徴で、大ヒットしたスタンダードが完全に網羅されていない代わりに、トロイ・アンドリュースの「ウー・プー・パー・ドゥ」が収録されるなど、目配せもちゃんと効いています。曲順はアトランダムで、新旧ジャンル織り交ぜてあり、資料的な聴き方は難しいですが、車で流したり店のBGMにするには最適ですね。特筆すべきはそのブックレットで、A4版80ページに豊富な写真入りで、曲の解説やデータはもちろん、ニューオーリンズの食べ物から果てはバーの紹介まで載っているという念の入りよう。まさにジャズ・フェスのガイドですね。



The Big Horn ; PROPER P1341/4 (2008. 7. 5)

1942〜52年録音の4枚組。これ1セットあればジャンプ時代のサックスものはほぼ完璧に俯瞰できるという優れものです。何しろホンクの原点ともいうべきイリノイ・ジャケーのテナーが吼えるライオネル・ハンプトン楽団の「フライング・ホーム」から始まって、ジム・ウィン、ジャジーなアーネット・コブ「コブズ・コーナー」、豪快なワイルド・ビル・ムーア「バブルズ」、定番ポール・ウィリアムズ「ザ・ハックルバック」、ホンクそのもののハル・シンガー「コーンブレッド」、 レッド・プライソック、アルトの帝王アール・ボスティック「フラミンゴ」、ビッグ・ジェイ・マクニーリー「ディーコンズ・ホップ」、リー・アレン、日本じゃ「魅惑のテナー」だけど本当は結構ワイルドなサム・テイラー、ウィリス・ジャクソンなどとまあてんこ盛り。さりげなくジミー・フォレストの「ナイト・トレイン」を忍ばせてるなど憎い編集もありますが、リー・アレンの選曲はいまいちかな。この他ジョー・ヒューストンやジョー・ラッチャーなども入れて欲しいっていうのは贅沢ですかね。



The Black And White Roots Of Rock 'N' Roll ; INDIGO IGODCD 2579 (2004. 6.21)

1945〜53年録音を集めた2枚組ですが、これは企画の勝利でしょう。ロックンロールの元歌とも言うべき曲を、白人・黒人それぞれの演奏で並べてあるんですが、その味わいの違いが面白いんです。例えばジミー・プレストンの「ロック・ザ・ジョイント」をビル・ヘイリーがやると軽いウエスタン・スウィングになるし、「ブラッドショット・アイズ」はハンク・ペニーの如何にもカントリーっぽい感じが、ワイノニー・ハリスにかかると漆黒になるとか、テネシー・アーニー・フォードとエディ・マックの「ショットガン・ブギ」の共演なんかも色合いの違いが面白いです。でもこうして聴くと、ロックンロールがどうやって生み出されていったかが分かります。ブラックとホワイトの大衆音楽の融合だったんですね。



Black California ; Central Avenue 1945-1950 ; SAGA 982 994-6 (2008. 4. 4)

1945〜50年の、カリフォルニアで録音されたジャズ系のブルース集。スリム・ゲイラードのようなジャイヴも収録されていますが、ジョニー・オーティス、レスター・ヤング、ライオネル・半プトン、デクスター・ゴードン、ビッグ・ジェイ・マクニーリーなどの有名どころを含むバンド・サウンドが中心に収められています。全体にアップテンポであっても落ち着いた感じのものが多いかな。また、時代が下るにつれ編成が小さくなるあたり、この当時の音楽事情を垣間見ることができる気がします。



Black Huchia Cuthia ; STILL SLCD 1169 (2009. 3.30)

これも1060年前後の音でしょう。まあいくらでも出てくるって感じですね。スピーディなウィリアム・ウォーカーの「パーティ・タイム」、これは2ヴァージョン収録されてます。ちょっとジャジーな「マンハッタン・リズム・ボーイズの「フェザーウェイト・ママ」、ギターのかっこいいレオ・プライスの「クウィック・ドロウ」など前半からB級度抜群のロッキン・ナンバーが目白押しです。クリフォード・キングの「チキン・シャック・ブギ」はなんとハーモニカによるもの。ギター・トミー・ムーアはまるでロバート・ワードみたいなトレモロサウンドで、とぼけた感じの「アイ・エイント・バザリン・ノーバディ」を歌います。リトル・リチャードの影を感じるのはハニーボーイ・ブライアントの「ファニー・ルッキング・シング」。とにかく面白いもののてんこ盛りです。




Black Rock-Rhythm Meat ; STILL SLCD 1167 (2006. 4.20)

1950年代後半〜60年代初頭の音でしょう。いやはや、どっからこんな音探してくるんでしょうか?ロックンロールなんだけどどこかいなたさの残ったサウンドとか、ロッキンブルーストして結構いけてる曲とか、でも多分全部初めて聴くように思います。ビーズというバンド(ひょっとするとハーモニカはリトル・ボイドという人か)の「テラー」っていうインストなんか、ハーモニカもので、ちょっと聞くとどうってことないんですけど、なんか耳に残っちゃう。ジミー・フォックスのバンドのギターはジミー・スプルーイルを思い出させるようなサウンドだったりしますし、リトル・ボイドの字余りハーモニカブルースも、ちょっとルイジアナ風味があったりして面白いです。ヴァイブレイターズのまるで「ルシール」なインストも、ギターがグループサウンズみたいになっちゃうのがご愛敬。ソニー・フィッシュバックの「ジー・ベイビー」はウィルバート・ハリソンの「カンザス・シティ」みたいなノリにコーラス付きだし。ルーズヴェルト・グリアに至っては「ホワイ・ドンチュー・ドゥー・ライト」をロッキンナンバーにしちゃってるんですが、仲々はまってます。とにかく無名どころとバカにできない面白さです。



Black Shippin' Rhythm ; STILL SLCD 1168 (2009. 3.31)

これも1960年前後の録音でしょう。サザンビートがご機嫌なビリー・レインスフォードの「マグノリア」あたりがまずはガツンと来ました。ベン・ヒューズの「クレイジー・マン」や獣の鳴き声が笑えるウェイリング・ベサの「ロッキン・イン・ザ・ジャングル」はタイトル通りのノヴェルティさ。トミー・マローンはピアノ・ブギの名作を「カウ・カウ・シェイク」として楽しくやってます。エディ・C.キャンベルの「オール・ナイト」はかっこいいギター・インスト。でも何でパート2しか入ってないのかしら。ボビー・コルキーの「ミリオン・ダラー・プレイ・ガール」は「アイ・ワンダー・ホワイ」と同じイントロからスタート。トゥルトーンズの「ダウン・ビロウ」はツイスト時代ならではのご機嫌なインスト。ルイーズ・ブラウンの「サン・イン・ロウ」は「マザー・イン・ロウ」のアンサーかと思ったらそうでもなく、バックのギターがやけにかっこいいのでした。




Black Tootsie Roll ; STILL SLCD 1160 (2009. 4. 3)

これまたおそらく1950年代終盤から60年代初頭の録音だと思います。まあよくここまでマイナーレーベルのご機嫌なロッキンナンバーを集めたもんです。ディーン&ジーンのノリノリの「オー・イェー」からスタート。ピアノでロッキンするものあり、サックスがぶりぶり行くものありと、怒涛のダンス大会。ボビー・マーティンの「トゥートシー・ロール」なんて興奮がこっちに伝わってきます。一方L>D.ルディーの同名異曲はリトル・リチャード・マナー。キスしまくるビーヴェリー・ライト・ライトの「キッシン・ブギ」なんてお色気ものもあったり、ちょっとレイジーなローレン・エイトケンの「ブギ・イン・ザ・ボーンズ」なんてのがあったり、知ってる名前はデイヴ・バーソロミューとガス・ジェンキンズくらいなんですが、とにかく楽しめました。




BLACK TOP Blues Cocktail Party ; BLACK TOP CD BT 1066 (2005. 9.29)

1982〜1990年録音。BLACK TOPはものすごく面白いレーベルだったんですが、潰れてしまったんで、中古盤で地道に発掘してます。これはその中でも特に欲しかった1枚で、見つけたときは飛び上がらんばかりでした。ロッド・ピアッツァの「チキン・シャック・ブギー」からスタートしますが、まずは何といってもマーク・カズ・カザノフがスヌークス・イーグリンとやってる「スワニー・リヴァー・ロック」で、あのフォスターの名曲をスヌークスは例のごとくのトリッキーなソロで弾き倒します。カズの落ち着きのあるサックスと対照的なのがなおのこと引き立ったりします。この他はジミー・ドン・スミスの82年のアルバムから2曲セレクト。歌は軽めなんですが、ロッキンサウンドの心地良い「アイム・レディ」とかなかなかのできです。この他シル・オースティンが吹きまくる「フライング・ホーム」マナーの「シル・ムーヴズ・アップステアーズ!」、ギターにフルソンの味を残しながら、インパクトある仕上がりのボビー・ラドクリフの「リコンシダー・ベイビー」などおもしろい曲が多いです。ロバート・ワード、アンソン・ファンダーバーグなど看板スターは2曲ずつ取り上げてあったり、このレーベルの入門用としてもいいかな。最近P-VINEが権利を買ったとか聞きますんで、この辺りから再発したら如何なもんでしょうか。



BLACK TOP Guitar Greats ; P-VINE PCD-22260 (2006. 7. 7(

1980年代〜90年代にかけて、テキサス〜ルイジアナを中心に、アメリカ中の格好いいブルースを愛情を持って出し続けていたBLACK TOPのリストから、ギターに注目して編集されたものです。ニューヨークの白人ギタリスト、ボビー・ラドクリフは「スティック・アラウンド」でまるでバディ・ガイになってるし、ロニー・アールの「ウェスト・サイド・ソウル」はタイトル通りマジック・サムが乗り移ったかのよう。ギター・ショーティはジミ・ヘンドリクスの「ヘイ・ジョー」をゴリゴリと弾き倒しているし、W.C.クラークのギラギラしたギターが素晴らしい「ラフ・エッジズ」など、随所に聴きどころ満載。この他ヒューバート・サムリン、ロバート・ワード、スヌークス・イーグリンなど、BLACK TOPの誇る個性派ギタリストが収録されています。ギタリスト中心なんですけど、このレーベルの面白さを知るには、まずは適当な入門編と言えるかもしれません。



Black Wich-A-Way Rhythm ; STILL SLCD 1165 (2006. 3.15)

恐らく1950年代末から1960年代初期あたりの録音ではないでしょうか。しかしこのレーベル、本当に珍しいものを次から次へと出してきます。タイトル曲なんてベン・ハーパーってありますが、時代も違いますし間違いなく同名異人でしょう。ちょっとスクリーミン・ジェイのような奇声を上げたりします。全体にロックンロールの影響を強く受けた感じのB級ナンバーが目白押し。どこかラテンがかっていたり、コーラスが絡んだりするのが特徴で、時代の音をみんなで追求してるのが分かります。リトル・サニーの「ラヴ・ショック」あたりは聴いたことがあるんですが、こうした文脈の中で聴くとまた味わいが違いますね。



Blue Christmas ; DIALTONE DT-0004 (2001.12.25)

2000年リリース。評判がいいので買いましたが、これはブルースファンにとっては最高のクリスマスアルバムです。御機嫌なテキサス・ローカル・グルーヴを提供するDIALTONEお抱えのミュージシャンが、これでもかと繰り広げるブルージーなクリスマスソングの数々は、野趣な中に優しさを感じます。クラレンス・ピアスが奏でる「サイレント・ナイト」「ジングル・ベルズ」といった定番曲のギター・インストのいなたさっていったら、もうたまりません。アーネスティン・フラーの粘っこい女声ヴォーカルも清楚さとは対角にあるような感じで良いなぁ。そういう中にしっかりベルズ・オヴ・ジョイのゴスペルがはさまっているのが心憎いです。



Blue Haze ; RUF 1053 (2002. 7.29)

2000年録音。HOUSE OF BLUESのロックをブルースマンがやる企画ものと同じ系統です。でもジミ・ヘンドリックスの場合、結局ギタープレイは彼の模倣になってしまう場合が多いですね。そういう中でフレンド・ン・フェロウの「パープル・ヘイズ」は妙にはまってしまいました。あのオリジナルの独特の空気感みたいなものを、手法を変えて継承しているように思えたんです。あとタジの「ワッチタワー」もらしくて良かったな。



Blues And Gospel From The BANDERA, LAREDO And JERICO ROAD Labels Of Chicago ; ACE CDCHD 808 (2001.10.10)

1957年〜63年録音。これはまた思いっ切りマイナーなレーベルのコンピです。前半はブルースですが、最初に出てくるダスティ・ブラウンなどはシカゴブルースというよりEXELLOなどに通じるルイジアナ風味を感じました。特にエコーのかかったストレートなハープといなたいヴォーカルはスリム・ハーポを思わせます。ジミー・リー・ロビンソンもあか抜けない感じでもろB級なのがかえって魅力的です。後半のゴスペルはなかなかの迫力で力強さを感じました。特にエルダー・サミュエル・パターソンの歌とバックのギターの切れ味が凄い!荒削りですが訴えるものがありました。



Blues Belles With Attitude!!! ; ACE CDCHD 1234 (2009.10. 7)

1946〜1955年にMODERN系列に録音された女性シンガーのブルース集で、今回の蔵出しがなんと15曲も入っています。冒頭はコルデラ・デ・ミーロの「エイント・ゴナ・ハッシュ」で、これはジョー・ターナーの「ハニー・ハッシュ」へのアンサーソングですね。この他ヘレン・ヒュームズ、マリ・ジョーンズ、エフィー・スミス、ジョニー・オーティス楽団をバックに歌うエスター・ジョーンズなどの未発表がたっぷり入っていますが、いずれも決して低い水準のものではなく十分楽しめました。当時なぜ没になったのかちょっと分かりませんね。歌い手知らずの曲も4曲入っていますが、ちょっと地味な印象はあるもののそれなりに楽しめる作品となっています。実にACEらしい仕事です。




Blues, Boogie & Bop - The 1940s MERCURY Sessions ; MERCURY 314 525 609-2 (2008. 7. 2)

ラジオ型の箱に入った7枚組。収録アーティストはかなりジャズ寄りな感じで、アルバート・アモンズと彼のピアノをバックにしたシッピー・ウォーレス、ヘレン・ヒュームズ、ジェイ・マクシャンのバンドとそれをバックに歌うジミーウィザースプーンやウォルター・ブラウン、エディ・ヴィンスン、ロイ・バード(勿論ブロフェッサ・ロングヘア)、ジュリア・リー、バディ・リッチ、クーティ・ウィリアムズなど。7枚目はアウトテイク集です。全体に40年代らしい割合ゴージャスなバンド演奏が中心で、かなり端正な印象。ヘレンあたりはポップなコーラスワークも聴かせます。個人的な好みで言えば何と言ってもクリーンヘッド・ヴィンスンで、タイトなKING時代もいいけど、この時代のおおらかなサウンドがたまりません。またクーティの「ゲイター・テイル」の熱演も、この時代のジャンプとジャズの垣根の低さを感じさせます。でも何と言っても異質なのがフェスで、「ボールド・ヘッド」なんてたまりませんわ。有る意味時代を先取りしてたのかもしれませんね。



Blues Dootisie - The BLUE & DOOTONE Sides ; ACE CDCHD 1115 (2006. 8.29)

1949〜58年録音。ドゥーツィー・ウィリアムズが西海岸で興したBLUEレーベルを中心にしたコンピで、ちょっと洒落たジャンプブルースが満載されています。オーナー自身の名義の曲ではジョー・ターナーがヴォーカルでいつものように素晴らしいヴォーカルを披露しています。ジョニー・テイラーはもちろん「ディスコ・レディ」のあの人とは別人ですが、低音の聴いたヴォーカルは好きな人にはたまらないでしょうね。この他のアルバムでも聴くことができるクレオ・ブラウンも洒落た味わいが素敵です。ジョニー・オーティスと活動していたロビンズのボビー・ナンは元々バリトンヴォイスが魅力の人ですが、この初期のBLUE録音ではかなり高めの声で気張ってます。これがDOOTONEのテイクになるとぐっとトーンが下がるあたりが面白いなぁ。この他ピート・ジョンソンの名前も見え、結構聴き所満載のアルバムです。



Blues Guitar Blasters ; ACE CDCH 232 (2000. 2.19)

1曲目のジミー・ノーランの「アフター・アワーズ」が聴きたくて中古で購入。50年代から60年代末と、幅の広い時期の録音で、超有名曲からレアものまで取りそろえたコンピです。アイク・ターナーのインストとかもかっこいい。ピー・ウィー・クレイトンはいつも通りだし。車に常備しようかな。


Blues Guitar Killers! - Detroit Blues Rarities 1 ; P-VINE PCD-5416 (2001. 6. 6)

1950年代(一部60年代中期)録音のデトロイト・ブルース集です。ジョン・リー・フッカーを録音したことで有名なジョー・ヴォン・バトルがテープに残した音源からのもので、かつてBARRELHOUSEから出されていたLPにボーナス・トラックを加えたもののようです。40年代のブルーバード・ビートをぐっと泥臭くしたようなL.C.グリーンとサム・ケリーのコンビの、「ゴーイング・トゥ・ザ・リヴァー」のハイトーンなヴォーカルが耳に残ります。マディ・スタイルのスライドを聴かせるロッキー・フラー(ライナーによると若き日のルイジアナ・レッドだそうです)、ジム・ジャクソン・マナーの「カンザス・シティ・ブルース」を歌うヘンリー・スミス、デルタ臭漂うカルヴィン・フレイザーやボボ・ジェンキンズなど、およそ洗練という言葉が当てはまりませんが、プリミテイヴな魅力を感じます。比較的新しい録音を含むエディ・バーンズは、さすがにR&Bの影響を強く感じさせる、このアルバムの中では「洗練」されたものと言えますが、この時代のシカゴ・ブルースの完成度には遠く及びません。でもそこに何かリアリティを感じてしまいます。



Blues Guitar Workshop ; STEFAN GROSSMAN'S GUITAR WORKSHOP SGGW109 (2008.10. 6)

1979年リリース。ガットギターの名手ダック・ベイカー、見事なスライドを聴かせるサム・ミッチェル、ブラインド・ブレイクばりのラグタイムを弾きこなすトム・ペイリー、これまた見事なスライドを奏でるマイク・クーパーなどが収録されていますが、目玉はディヴィー・グレアムでしょう。ガットギターでさらっと歌う「アイ・ジャスト・ウォント・トゥ・メイク・ラヴ・トゥ・ユー」や、リラックスした演奏と歌がいい感じの「ホウェン・アイヴ・ビーン・ドリンキン」など、ともするとドロッとわざとらしい歌い方になりがちの弾き語りブルースで、自然体のギターと歌を聴かせているのが気に入りました。




Blues Harp Diggers ; Chicago Harmonica Gang ; P-VINE PCD-93176 (2008.11. 9)

1969〜89年録音。元々はJSPの「Harpin' On It」というLPに曲を足したアルバムです。メインはモジョ・ビュフォード。音質は良くないですが、実にローカルな雰囲気でいいですね。特に「クロウデッド・ホール」のこの時代ならではのB級ファンク路線が好きです。リトル・マックは仲良しのジェイムズ・コットンのハーモニカをバックに「ホームワーク」を歌ってますが、この曲はサニーボーイの「ドント・スタート・ミー・トゥ・トーキン」の焼き直しですね。もうひとりの主役はジュー・タウン・バークスで、1978年録音ですから音もぐっとモダンになってます。ハーモニカもなかなか味わいがありますが、なかなかディープな味わいのあるヴォーカルもいいですね。貴重な音源のCD化だと思います。




Blues Harp Diggers - Harpin' The World ; BSMF BSMF-2100 (2008.11.17)

1998〜2008年録音。BSMFレーベルのサンプラー的ハーモニカ集です。いきなりマジック・ディックの「ワマー・ジャマー」でスタート。最初J.ガイルズ・バンドの「フルハウス」のリマスターかと思ったほどそっくりの演奏です。以下シュガー・ブルー、JJミルトゥ、シャルル・パシと最近話題の名手の演奏がてんこ盛り。今のシーンを俯瞰するにはちょうどいいアルバムです。ラストにレイジー・レスターが入ってるのが嬉しかったです。




Blues Harp Diggers ; King Of Rock ; P-VINE PCD-93186 (2008.11. 8)

1978〜97年録音と、比較的新しいものが中心です。例えばビリーボーイ・アーノルドの「アイ・ウィッシュ・ユー・ウッド」は1993年の再録を収録。全体にロック色の強い選曲で、アップテンポなマッセルホワイトの「キディオ」やスピーディな「ウィリアム・クラークの「ロリポップ・ママ」、ジェイムズ・コットンのALLIGATOR時代のライヴから選ばれた「ボーン・イン・シカゴ」などノリノリです。サザンビートがたまらないマイク・モーガンの「ザ・ロード」も格好いいなぁ。ジョニー・ダイアーとかロニー・アール、ロッド・ピアッツァといった西海岸系が多いのも気に入りました。ラストに「ロウ・ダウン・ドッグ」をもって来るなんて心憎い選曲だし。好コンピです。




Blues Harp Diggers - Rockin' & Blowin' ; P-VINE PCD-23914 (2007. 5.22)

1988〜98年にかけて、BLACK TOPに残されたロッキン・ブルース・ハープの名演集です。冒頭を飾り、2曲収録されているのがジェイムズ・ハーマンで、このヴェテラン・ハーピストはもっと注目されていいと思っています。気合いたっぷりのプレイが響き渡ります。この他ロッド・ピアッツァ、ジェリー・ポートノイ、キム・ウィルソン、ゲイリー・プライミッチなど、主に西海岸〜テキサス界隈で活躍する白人ハーピストの名演がたっぷり集められています。スタイル的には奇をてらったものは少なく、安心して聴ける内容ですが、全体に明るいのは地域性でしょうか。まあBLACK TOPというレーベルカラーもあるんでしょうね。この手のサウンド、僕は大好きです。また中にはサミー・マイヤーズ、ジョニー・ダイアーといった黒人のヴェテランも入っていて、その味わい深さはまた格別。ブルースハープはシカゴばかりじゃないってのを、しっかりアピールしているアルバムです。



Blues Harp Meltdown ; MOUNTAIN TOP CDMT101 (2001. 7.26)

2000年に録音されたハープ・ショウの2枚組ライヴです。ビリー・ブランチ、キム・ウィルソンといった有名どころに混じって、あまり名前を聴いたことがない人も入っているんですが、表題に偽りなし!まさに熱さにとろけるハープのオンパレードです。ギターもなかなか達者で、全体としてはサニーボーイ・ウィリアムソン(ライス・ミラーの方)とロックウッドのコンビを思わせる演奏が目立ちました。ただしややエコーの効いたアンプリファイド・ハープが中心です。こんなショウを日本でも見たいなぁ。ビリーの「アイサイド・トゥ・ザ・ブラインド」なんて最高でした。



Blues Harp Meltdown Vol.2 - East Meets West ; MOUNTAIN TOP no number (2004. 1.17)

2003年リリースの2枚組ライヴです。まず頭のRJ・ミッショが強烈!ちょっとCHESS時代のジョン・リーのようなノリのザラッとしたブギでディープなハープが炸裂するんですが、ぶっ飛んだのはパリス・スリムのギターソロです。久々にガツンてやられました。そのスリムは生ハープも1曲披露しています。ゲイリー・スミスはディープなサウンドを聴かせますし、マーク・ハメルはジャジーでイカした「サヴン・ナイツ・トゥ・ロック」からリトル・サニーの「ラヴ・ショック」まで格好良く決めています。2枚目ではアニー・レインズのチャーミングな歌からは想像もつかない見事なハープにビックリ、ロングトーンまで決めています。さらにジョニー・ディアーのたっぷりとした「モジョ・ブギ」やダウンホームな「ロング・ディスタンス・コール」に、モダンなゲイリー・プリミッチと、とにかく聴き所満載のアルバムで、ハープファンにはたまらない作品になっています。



Blues Harp Meltdown Vol.3 - Legends ; MOUNTAIN TOP MT103 (2006.11. 3)

2004年1月カリフォルニアはサンタ・クルーズでのライヴです。MOUNTAIN TOPゆかりのミュージシャンをバックに、アメリカ中からブルースハープの名手が終結したという趣ですね。まずはホストともいうべきマーク・ハメル。歌はやや軽めですが、そのアンプリファイド・ハープはなかなか深みがあって格好いいです。ギタリストのスティーヴ・フルーンドが2曲歌った後、ドラマーとして知られるビッグ・アイズ・スミスがフードゥー・マン・ブルースを渋く決めます。一枚目のラストは何とシーファス&ウィギンズが5曲。「いろんなブルースがあるけど僕らはピードモント・スタイルだ」と自己紹介しながら、新譜にも入っていた「ブローク&ハングリー」などを披露。ウィギンズのハーモニカはいつもよりも気合いが入っている感じで、生ハープの魅力がたっぷりです。2枚目はビッグ・アイズがドラムに回りキャリー・ベルの登場。クロマチックのテクニックはさすがですね。「マイ・ベイブ」なんて貫禄勝ちってところでしょうか。そしてトリはレイジー・レスター。ちょっと歌に力がなくなってきたかなとも思いますが、元々ゆるゆるだからあんまり気になりません。バックもルーズな雰囲気を上手く出し、「レイニン・イン・マイ・ハート」「シュガー・コーテド・ラヴ」とジミー・リード・マナーのルイジアナブルースの名曲を歌います。シンプルだけど独特の緩みのある生ハープの音色が何とも言えません。何だかすごく得をしたような気になる2枚組でした。



Blues Harmonica Orgy ; RANDOM CHANCE RCD-5 (2002. 9. 1)

1998〜2001年録音の4人のシカゴ・ブルース・ハーモニカ・プレイヤーの演奏を集めた盤です。まずビックリはビッグ・アイズ・スミス。この人ってドラマーだとばかり思っていましたが、リトル・ウォルターばりのハープとヴォーカルを聴かせます。歌の音程の怪しさも味のうちですね。続くマーティン・ラングは若干29才の白人ハーピストで、やっぱりリトル・ウォルターがお好きなようです。すべてインストでディヴ・マイヤーズがギターで参加しています。アーサー・ダンカンはハイトーンなちょっとJ.B.ルノアを思わせる声と生ハープが上手くマッチしています。イージー・ベイビーは最近新譜を出しましたが、独特のダウンホームさを持っていて、エディ・テイラー・ジュニア、小宮さん、アレン・バッツなどの結構モダンなサポートを得ても相変わらずディープです。シカゴどっぷりのアルバムって感じで、ファンにはたまりませんね。



Blues Screamers & Gospel Moaners! - Detroit Blues Rarities 3 ; P-VINE PCD-5418 (2001. 6. 8)

1950年代中ごろの録音。P-VINEのデトロイト・レアものシリーズもだんだん佳境に入ってきました。このアルバムの頭を飾るのはワッシュボード・ウィリーで、名前の通りワッシュボードを奏でながら歌います。これが妙に南部情緒を醸し出しているんです。カルヴィン・フレィザーのギターはかなりモダンなんですが、なんか田舎の香りが漂うんです。レナ・ホールの歌のバックでも同じような感じで、ライヴ録音のせいもありますが、ドリフターズの「ホヮット・ユー・ゴナ・ドゥ」も乗りのいい泥臭さです。これがタイ・タング・ハンレィになるといきなりジャンプっぽくなり、ダニー・カークランドはルイジ・ジョーダンの「金曜の夜の魚のフライ」とか、キング・カーティスのやってた「エア・レイド」のようなインストなど、まるで趣が違ってます。さらにボブ・スミスはぐっとフォーキー。何が出るか本当に分かりません。後半はゴスペルですが、「アラバマ・バス」などにはワッシュボード・ウィリーが入っていて摩訶不思議な感じ。女性コーラスによる「ユー・ガット・トゥ・ムーヴ」、正調ゴスペル・カルテットなど、まさに50年代デトロイト・レア・ミュージックの見本市のようです。



The Blues Tribute To Lynyrd Skynyrd ; CMH CD-8563 (2002.10. 4)

2000年リリース。いやぁ、久々に激しい「ハズレ」でした。レナード・スキナードは好きなバンドで、それをブルースマンがいつものようにひねってやっているのかと思いきや、よく知らない人たちが、結構オリジナルに忠実なインストでやっているんです。技術的には聴けるんですが、何だか狙いがよく分からないなぁ。「フリーバード」の瑞々しさと盛り上がりも再現できていないし、首をひねりました。極めつけが「スウィート・ホーム・アラバマ」!これをスローのインストにしてしまったら、同じメロディの延々の繰り返しになるんですが、まさにそういった感じ。これはつまらなかったです。



Bob Geddins' IRMA Records Story ; ACROBAT ACMCD4038 (2009. 1.26)

1956〜57年にボブ・ゲディンズが興したIRMAのコンピは、かつてWOLFからも出ていましたが、こちらの方が音質、曲数とも満足のいく内容になっています。冒頭を飾るジューク・ボーイ・ボナーの2曲がまず格好いいです。いろんなコンピで紹介されてたと思いますが、ダウンホームなんですがどこか軽さもあり、彼の代表作といってもいいくらい。そしてこのアルバムの目玉はジミー・マクラックリン。8曲連発で聴くといよいよ勢いが出てきた彼の演奏を満喫できます。「フェア・ウェル」の歌い方はフルソンからの影響がはっきり。一方「サヴォイズ・ジャンプ」はジミー版「チキン・シャック・ブギ」ですね。「テイク・ア・チャンス」の切れのいいギターはラファイェット・トーマスかなぁ。この他タフなビッグ・ママ・ソーントン、ちょっとポップなジョニー・フラー、これまた多分ラファイェット・トーマスのギターをバックにしたジミー・ウィルソンと美味しいところが並んでます。後半はジャジーなコーラス・グループやドゥーワップが入っていて、時代の音楽を俯瞰することもできます。ラスト2曲はゴールデン・キーズのゴスペル。ぐっと来ました。




Bobo Jenkins Presents BIG STAR All Stars ; BIG STAR/P-VINE PCD-5641 (2002. 2. 3)

1977年リリースのボボ・ジェンキンズがメインの「Detroit All Purpose Blues」というアルバムに、1960年代中頃の録音と思われる作品を加えたアルバムです。しかしこのアルバム、「本当に77年?」ていう音です。世の中ではBOSTONのあのスペイシーなレコードや、イーグルス「ホテル・カリフォルニア」が出たその年に、こんなローファイな音が残されていたなんて。ジェンキンズの泥臭いブルースの他、ややスマートなヴォーカルのスティール・ホウィールズなど、雑多な感じですが、デトロイトの路地裏音楽って猥雑さが面白いです。後半の60年代シングルの中には、名人ロックウッドも入っていて、相変わらずの切れ味でした。これぞリアル・ローカル・シーンなんですかね。



Bonzai Bob's Blues Bash ; NO COVER NCP055 (2005. 8.31)

2004年4月にボンザイ(バンザイ?)・ボブズで行われたライヴイヴェントから、出演各バンド1曲ずつを収録したものです。CD-Rにカラープリンタ出力のインレイという、NO COVERらしい作りですが、中につまった音はなかなか充実してます。冒頭のバック・ン・ザ・システムというバンド、ハーモニカ入りなんですが、どこかデトロイトの大先輩、J.ガイルズ・バンドを思い出しました。伝統は続いているのかな。あとはまるっきりスティーヴィー・レイ・ボーンなウォール・オヴ・ディーニアルとか勢いがあって可愛いです。上手さで抜けているのはやっぱりモーター・シティ・ジョッシュですね。聴いただけで分かる彼のギターの個性は只者ではありません。ラストのキャシー・ディヴィスがなかなかいい歌を聴かせてくれました。



Boogaloo A Go-Go ; DISCOTECA DCD2801 (2006. 3. 4)

1964〜69年録音の、当時ニューヨークのプエルトリカンたちの間でブレイクしたブーガルーを集めたコンピです。R&B、ソウルジャズにラテンフレイヴァーをたっぷりかけダンサブルにすると、ブーガルーの一丁あがりといった感じですが、ペレス・ブラードは「グアンタナメーラ」でもやっぱり「ウッ」て言ってますし、何とも陽気な「ダンス天国」、格好いい「クール・ジャーク」、ジョニー・テイラーが「ウォーターメロン・マン」で『ブーガルー』って叫ぶのが分かるような「ルル・ブーガルー」楽しさいっぱいな「ババルーズ・ブーガルー」、脳天気が溢れててどこがテネシーにいくんだか分からないような「テネシー」、レイ・チャールズに通じるリフに載せて空耳たっぷりの「カコズ・ブーガルー」など、もうB級たっぷりで面白すぎです。だから中古盤漁りはやめられません。



The Boogie Shack - Hot Stompin' Rhythm At "MODERN"; P-VINE PCD-22067 (2004. 3. 7)

40年代末〜60年代のMODERN音源から、ダンサブルな曲を選りすぐったコンピです。編者は床屋を本業とするDJ雨宮さんで、理屈抜きにリズムの良い踊れる曲を並べたとのことですが、いやはや見事な選曲です。格好良くて腰が動きますね。ブギウギからツイストまで、これでもかというノリのよい曲ばかりで、冒頭のリトル・リチャードばりのシャウトで頑張るエタ・ジェイムズからジーン・フィリップスの御機嫌な「ヘイ・ロウディ・ママ」、ジャングル・ビートというかラテン風味の強いエタの「マーケット・プレイス」やビートに乗ったコーラスがかっこいいオスカー・マクロリー、ドライヴするボン・トン・ガーロウ、そしてラストをカデッツの「ストランデッド・イン・ザ・ジャングル」で締めるなど、25曲まったく飽きさせないセレクトは踊りのツボを心得たDJならではですね。もう最高!



The Boogie Shack - Jump Children ; P-VINE PCD-22068 (2004. 7.27)

おそらく1950代後半から1960年代初頭の、VEE-JAY音源から、無名だけどとびっきりダンサブルな曲を集めたコンピです。いきなり・ビッグ・ジェイ・マクニーリーのブロウでスタート、ジョン・リーの腰に来るブギや、ビリー・ザ・キッド・エマーソンの「ドゥ・ザ・チキン」、さらにはドゥーワップ・グループのポップなダンスチューンと、それこそありとあらゆる踊れるブラックミュージックがてんこ盛りです。でもこうやってVEE-JAYを聴いていくと、そのレーベル特有の軽妙さが浮き出てきます。結構あっさり目なんです。このレーベルがアメリカで最初にビートルズをリリースしたセンスが伺えますね。



The Boogie Shack - Let's Rock & Roll ; P-VINE PCD-22083(2005. 2.11)

雨宮氏選曲のコンピもこれで4集目ですが、ますます好調です。今回はMODERN/RPM音源からのセレクトですが、まだこんないい曲があったのかと思うほどノリノリの曲が並びます。エッタ・ジェイムズの「グッド・ルッキン」なんてカントリータッチで御機嫌ですし、「B.Bズ・ブギ」のこうして聴くと格好いいなぁ。でもその中でひときわ輝いているのがロスコ・ゴードンでした。独特のやや後ノリ気味のピアノと、ちょっと引きずるような粘りのあるヴォーカルが最高のグルーヴを醸し出しています。マーシー・ディーの「カム・バック・メイベリン」も軽快で楽しいです。ロックンロールの時代に、それにしたたかに対応しながら、黒さを失っていない曲の数々にブラックミュージックの生命力を感じました。またラテンフレイヴァーの強い曲が選曲されていて、当時のR&Bシーンが様々な音を貪欲に吸収していく様子がうかがえます。



The Boogie Shack - Madison Shuffle ; P-VINE PCD-22076 (2004. 7. 7)

ビッグ・ボブ・アメミヤ選曲の御機嫌なダンスチューン集第3弾は、ニューヨークはボビー・ロビンソンのFIRE/FURYからの選曲で、1960年代の曲が中心です。ウィリス・ジャクソンのジャンプ・ナンバーからバスター・ブラウンのポップ感覚漂うロッキンブルースに、ビッグ・ボーイ・クルーダップのロッキンナンバー、ドゥーワップも混じり、その雑多さと生命力がビシビシ伝わる選曲になっています。チャンピオン・ジャック・デュプリーの「シム・シャム・シミー」なんて嬉しいですね。しかもラストはエルモアの「シェイク・ユア・マネー・メイカー」ですから、コンピレーションの妙味溢れるディスクです。CHESSあたりの王道のブルースコンピより、この辺からブルースに踏み分けていく方が、そのエンターテインメント性をより身近に知ることができるのでは。お薦めです。



Boogie Woogie ; TOPCAT TCT7082 (2008. 9.27)

1978年のライヴです。ギターに若き日のロニー・アールの名前が見えますが、オープニングのシュガー・レイに続いて登場するのがウォルター・ホートンで、彼のライヴアルバムといっていいと思います。いつも通りの格好いい「ウォルターズ・ブギ」から始まって、「ラクカラーチャ」「ハード・ハーテド・ウーマン」などお得意のナンバーに、シカゴ・ブルースのスタンダードを交えた演奏は、音質こそ悪いですけれど、熱気の伝わるものです。ロニーのシャープなギターも聴きもの。こんなのあったんですねぇ。




Boogiology - The Boogie Woogie Masters ; GREAT VOICES OF THE CENTURY GVC 2024 (2009.10.22)

1920年代から1956年までの、ブギウギピアノの名演を集めた2枚組です。1枚目はほぼ戦前ものが集められていて、まあブギウギ・ピアノの代表曲はほぼ網羅されていると言っていいのではないでしょうか。パイントップ・スミスは「パイントップ・ブルース」の方が入ってますが、これは2枚目の方にルイ・ジョーダンの「パイントップス・ブギウギ」を収録した配慮でしょうか。ブギウギ・トリオ(ボーイズ)が2曲(3トラック)入っているほかは見事にちりばめてあります。フレディ・スラックの「ダウン・ザ・ロード・ア・ピース」やエロル・ガーナー・トリオの「ツイスティン・ザ・キャッツ・テイル」などが嬉しい収録。2枚目に行くとサニーボーイの「シェイク・ザ・ブギ」やカウント・ベイシーのビッグバンドもの、ジョー・リギンズやロイ・ミルトン、クリーンヘッド・ヴィンスンのジャンプ・ブルースものなどが入ってより多彩に。チャック・ミラーの「ハウス・オヴ・ブルーライツ」なんてジャイヴなポップ・ヒットも入ってます。とりあえずブギウギってなんだって思う人が聴くには好適なセットだと思います。




Boogu Yagga Gal ; HERITAGE HTCD45 (2009. 5.18)

1950年代の録音のようです。ジャマイカのメントという音楽の録音集で、初体験!ラテンフレーヴァーは感じるんですが、カリプソみたいなんだけどもうちょっと泥臭いというか。サックスとパーカッションのコンビネーションとかが面白いです。ウクレレだかバンジョーも入ってるみたい。「ドクター・キンゼィ」の前半のメロディ、聴いたことがあるなぁ。「マチルダ」だっけ?




Boppers And The Blues ; ACROBAT ACRCD 153 (2003.11.29)

1941〜47年録音の、男女東西入り乱れたコンピです。ジェイ・マクシャン、ダイナ・ワシントン、ヘレン・ヒュームズからワイノニー・ハリス、アイヴォリー・ジョー・ハンターと、スモールコンボ〜ビッグバンドの、やや小唄的で軽妙な曲が集めてあります。面白いのがこの中にドン・バイアス・クウィンッテット名義でビッグ・ビル・ブルンジーが歌っていることです。イメージ的にはなじまないかと思ったんですが、ピアノとサックスの入った「ジャスト・ア・ドリーム」他3曲、結構はまってます。バンドのスタイルに柔軟に合せるビッグ・ビルの器用さが出たのかな。この他とにかく有名曲はないですが、ちょっと洒落てて渋めなんで、BGMなんかに流されたら参っちゃいそうですね。



Boppin' The Blues ; SUN/CHARLY CPCD 8271 (2008. 7. 7)

1950〜62年の録音。これまたSUNのコンピ。乗りのいい曲がたっぷり。アイク・ターナーの「ゲット・イット・オーヴァー・イージー」と「マッチボックス」はいずれも再録する十八番、アイクのギターが冴えてます。ギターといえばアール・フッカーがポール・ウィリアムズの「ザ・ハックルバック」を軽快にアレンジ、名手ぶりを如何なく発揮してます。強烈なのは中盤のアルバート・ウィリアムズ「ルンバ・チレン」、チャーリー・ブッカー「ウォークト・オール・ナイト」、ドクター・ロス「マイ・ビ・バップ・ギャル」と続くあたり。さらにロスの「ブギ・ディジーズ」、ジョー・ヒル・ルイス「ブギ・イン・ザ・パーク」、ロスコ・ゴードン「Tモデル・ブギ」とブギが立て続けに爆発するところ。仕上げがビリー・ザ・キッド・エマーソンの「シム・シャム・シミー」。この曲、大好きなんですよ。この他ルーファスの奇声が凄い「タイガーマン」とかフランク・フロストがウルフになりきってる「エヴリシング・イズ・オールライト」とか聴きどころ満載です。



Bottleneck Blues ; TESTAMENT/P-VINE PCD-5576 (2000. 5. 9)

1960年代に TESTAMENT が録音したボトルネック・ギタリスト集。いきなりワン・ストリングのナポレオン・ストリックランド(スリーブには壁に張った弦をこする写真が!)のプリミティヴな演奏が飛び出してきます。聞き慣れたナイトホークのスライドが出るとちょっとほっとしたりして。新旧、スタイルもいろいろ取り混ぜてあり、ヴァラエティに富んでいるんですが、やっぱり「研究してます」といった感じがあり、心からうきうきするようなアルバムではありませんでした。ロバート・ジョンソンという同姓同名の人も入ってました。


The BULLET & SUR-SPEED Records Story ; SPV 95892 CD (2008. 7. 3)

1950年代〜70年代初頭の録音でしょう。BULLETはナッシュヴィルのレーベルで、B.B.キングのデビュー作がここから出されたことでも知られていますが、この盤の主役はふたり。まずラリー・バードソングはゴスペル仕込みの伸びやかなテナーが魅力です。バラードで魅力を発揮する人で、「ジャスト・ウォーキン・イン・ザ・レイン」なんて曲もサクッと歌いこなします。一方「エヴリ・ナイト・イン・ザ・ウィーク」はファンキーな曲で、これがまた格好良く、ライヴでも映えそう。もうひとりの主役はジョージ・ウィリアムズで、これまた伸びやかな女声ヴォーカルで、ナッシュヴィルらしい瑞々しいバラードを歌います。アップナンバーはかなりポップな作り。この他電話鳴りっぱなしのロビン・ラッセル「レット・イット・リング」はなかなかの熱唱。一方単独盤にも収録されてたシャイ・ガイ・ダグラスのオルガンものは、いつ聴いても摩訶不思議です。



Buzz Buzz Shoo-Be Doo-Bee - Jazzy Jive Live At The Jirokichi ; VIVID SOUND VSCD-3109 (2008. 4.12)

1995年のライヴです。吾妻光良と藤井康一という、日本のジャンプ/ジャイヴ界の双璧がそろえば、それこそ無敵のバンドになるわけで、そこに服部恭子ちゃんまで加わってますから、もう鬼に金棒。藤井得意の「チェリー・レッド」から、イントロの語りで歌詞の意味を全部しゃべっちゃう吾妻の「ハード・ラック・ブルース」まで、途中小技も含めた楽しいライヴです。「オール・ナイト・ロング」「アイ・ゴット・リズム」「気だるいふたり」と続く中で嬉しかったのは、ウシャコダのライヴでもお馴染みの「ウー・シュ・ビ・ドゥ・ビ」。会場を巻き込んでの藤井のパフォーマンスはいつ聴いても楽しいですね。



Carolina Funk ; P-VINE PCD-17165 / JAZZMAN JMANCD 018 (2008.10. 4)

多分ほぼ70年代のものだと思います。JAZZMANの地域別B級ファンクのコンピは毎回何が出るか分からない面白さがありますが、今回はP-VINEの帯付き、ライナー対訳付きで、全く知らない人たちについても詳しいデータが読み取れて2倍美味しかったです。地域的にいって、フロリダとニューヨークの間くらいの線なのかなとも思ったり、よりルーラルなサウンドかもと思いましたが、なかなかご機嫌な曲が多いです。キング・コブラというバンドが「マングース」という曲をやってたり、ドゥービー・ブラザーズの「ロング・トレイン・ラニン」のギターをパクったシャーリーン・ウィリアムズの「イーズ・イット・トゥ・ミー」なんて曲が出てきたりと、全く油断もすきもありゃしません。ボワッと迫る「ファンキー・ソウル・ブラザー」なんて、B級もいいところなんですが何故か耳を取られちゃうし。その名もJ.D.ズのミディアムな「ファンキー・パーティ・タイム」とかはちょこっとラテンの香りもしてみたりして。とにかく面白すぎ!




Can't Keep From Crying ; TESTAMENT/P-VINE PCD-5587 (2002. 6.12)

邦題に「ブルース・フォー・JFK」とあるように、1963年11月22日のケネディ暗殺の直後、その死を悼むブルースマン/ウーマン達が吹き込んだ追悼ブルース集です。ニュー・フロンティア政策の下で、黒人の公民権運動に理解を示し、民主党大統領としても、ひときわ黒人に人気があった(暗殺の原因のひとつという説もあります)ケネディの悲劇を、1曲目のビッグ・ジョー・ウィリアムズの特徴ある9弦ギターの音色、あるいはエディ・ボイドのフレーズを借用したようなオーティス・スパンの沈鬱なマイナーブルースに象徴されるように、深い悲しみで表現するとともに、多くの歌で彼を「国民の英雄」として讃えてもいます。時代もあるのでしょうか、フォークソング的な歌も多く、表面的な暗さを感じる曲はむしろ少ないですが、その底に流れる無念さのようなものが伝わってきました。ジミー・ブラウンのフィドル弾き語り!がなんとも哀愁をそそりました。



The CHAMPION Records Story Volume 1 Blues & Rhythm ; SPV 95832 CD (2008. 3.31)

おそらく1950年代後半の録音集でしょう。ナッシュヴィルを中心に活動したテッド・ジャレットをキーパースンとして、ジーン・アリソン、ラリー・バードソング、アール・ゲインズといった、ゴスペルで喉を鍛えたタフなシンガー達の録音が集められています。ジミー・ベックの「ブルー・ナイト」やジョニー・ブリッジフォースの「ブルー・オルガン」といったどす黒いインストも収められていて、カントリーの殿堂にもしっかりブラック・ミュージックが根付いていたのを感じさせます。ただ全体的にブルースよりはゴスペルの要素が強いように思いますが。



CHESS Uptown Soul ; KENT CDKEND 140 (2009. 5.26)

1963〜68年録音。ミディアムのいかにもシカゴらしいソウル・ナンバーを集めたコンピです。まずジョニー・ナッシュの伸びやかな「ラヴ・エイント・ナッシン」、のちの彼のヒットに通じるポップさを兼ね備えた佳曲だと思います。サム・クックの影響を強く感じさせるジェイムズ・フェルプス。ビリー・スチュワートの「シッティン・イン・ザ・パーク」はいつ聴いても名曲だなって思います。エッタ・ジェイムズの「プッシュオーヴァー」はちょっと可愛いらしさを出してるようで面白いですね。こんな中煮ラムゼイ・ルイスのインスト「ハート・そー・サッド」が違和感なくはまっちゃうあたりがこのコンピの編集の上手さだと思います。




Chicago Blues At Home ; P-VINE PCD-5573 (2000. 2. 6)

1990〜78年録音、新譜で購入。LP時代は未聴。名前の通り、シカゴ・ブルース・ミュージシャンが主に弾き語りでリラックスして演ってます。作品として作られた物じゃないことを承知して聴くと、かえって、名うてのミュージシャンのテクニックとか、フィーリングを知ることができます。おもしろく聴けました。


Chicago Blues From Federal Records ; FEDERAL/ACE CDCHD 717 (2001. 5. 7)

1957〜64年録音。FEDERALといえばフレディ・キングで有名な、KINGの傍系レーベルですが、シカゴブルースも録音していたんですね。サザン・ブルース臭さのたっぷり残るキッド・トーマス、ちょっととぼけた味わいのウィリー・メイボン、B.B.キング丸出しのボビー・キング、チャック・ベリー・マナーのエディ・クリアウォーターなど、シカゴのメインストリームとは少し外れた音が満載ですが、この中ではスモーキー・スマザーズが王道を行く感じでした。こんなのもあるんだなっていう印象のコンピ。



Chicago Blues Guitar Killers! - The COBRA/ABCO/USA Recordings 1950's-1960's ; P-VINE PCD-24074 (2001. 7. 8)

以前P-VINEから「Screamin' & Cryin' - Chicago Urban Blues Non-Stop」という僕の愛聴盤のLPが出ていて、そのトップがCOBRAのギター・ショーティだったんですが、それと同じスタートで最高に気持ちがいいです。そのLPの主にA面に収録されていた曲に、「シカゴブルースの25年」などに収録されていた曲を再構成してまとめられたコンピで、多くがB級と言ってもいいアーティストなんですが、時代の勢いとウィリー・ディクソンの手腕によって、熱い演奏が繰り広げられます。ハロルド・バラージュのブルージーな姿も珍しいですし、ビッグ・ムースの背後で弾くフレッド・ルーレットの犬の鳴き声のようなスティールも印象的。ラストをフェントンの「フロム・マイ・ハート」というこれまた僕の大好きなナンバーで締めくくるなんて、まったく憎い編集です。



Chicago Blues Hard Times ; INDIGO IGOCD 2095 (2000.10. 3)

1947〜8年の、戦後シカゴ・ブルースの黎明期の名演をコンパクトにまとめた録音集。主役はスヌーキー・プライアー、サニーランド・スリム、マディ・ウォーターズなどです。他のコンピで聴けるものが多いんですが、ORA NELLE から ARISTCRAT までが1枚で聴けるってのが売りかもしれません。内容はもちろん申し分なし。特にサニーランド・スリムがいい味のピアノとヴォーカルで好きです。マディをどうやって売り出そうか試行錯誤を重ねる様子も感じられます。



Chicago Blues Harp Blowers! - The COBRA/ARTISTIC/ABCO/JOB Recordings 1950's-1960's ; P-VINE PCD-24075 (2001. 7.12)

BSR誌40号で江戸川スリムさんが紹介していたアルバムです。すでに様々な形で紹介されているものが多いんですが、やはりシカゴ・ブルースのハープ集としては一級品です。サニーボーイの見事なフレージングとか、ホートンの「ニード・マイ・ベイビー」の別テイクで、メロディが「イージー」(元はといえばアイヴォリー・ジョー・ハンターの「アイ・オールモスト・ロスト・マイ・マインド」のメロディが飛び出したり(テイク3はいきなりそれをやってやり直しているのが笑える)細かいところがけっこう面白いです。リトル・ウィリー・フォスター「リトル・ガール」、ジョン・リー・ヘンリー「リズム・ロッキン・ブギ」など隠れた名曲もあり、飽きません。



Chicago Blues Piano Hitters! - The COBRA/JOB Recordings 1950's ; P-VINE PCD-24076 (2001. 7.15)

P-VINEのシカゴ・ブルース・楽器別シリーズも佳境に入ってきました。かつて何度か発表された曲もあるんですが、いずれも味わい深いものばかりです。冒頭サニーランドの5曲から始まりますが、やや軽妙な、シティ感覚を感じさせる演奏が主です。続くジョニー・ジョーンズはFLAIR録音で、軽妙さとジョニーの持ち味である粘っこさが程よくミックスされていて引き込まれます。エディ・ボイドは何といっても代表曲「ファイヴ・ロング・イヤーズ」に尽きます。何度聴いても心に染み入る名曲です。リトル・ブラザーの渋み溢れる2曲をはさんで、真打ちメンフィス・スリム。未発表曲(一部P-VINEでCD化)の弾き語りですが、さすが千両役者。ピアノ・ヴォーカルとも素晴らしい味わいです。ラストにモダンなデトロイト・ジュニアを持ってきたあたり、このアルバムの狙いが分かります。シカゴは泥臭いばかりが取り柄じゃないって。



Chicago Piano (1929-1936) ; DOCUMENT DOCD-5191 (2004. 2.15)

ジョン・オスカー、エディー・ミラー、ジョージ・ノーブルの3人のピアニストの録音集です。ジョン・オスカーはラグタイムからの影響を感じるピアニストで、あっさりした歌い方など都会的なセンスを感じます。またジョージ・ノーブルは重厚なピアノとよくマッチしたやや低い声で、ホーカムソングもやってますが、全体にどっしりしていて沈鬱な雰囲気を感じさせます。「オン・マイ・デスベッド」は「シッティン・オン・トップ・オヴ・ザ・ワールド」、「ドズィング・ブルース」は「ダーティ・ダズンズ」に通じますが、特に後者はぐっと重心が低いです。さてこのアルバムの目玉はエディ・ミラーです。歌は結構渋いんですが、広がりを感じさせるピアノが華麗です。そして不朽の名作「アイド・ラザー・ドリンク・マディ・ウォーター」、自身の歌で2ヴァージョン、さらにウィリー・マック・マッケンジーという女性シンガーが歌うものも収録されていますが、いずれもメロディラインの洒悦さ、ピアノの伴奏のセンスの良さともに素晴らしいものです。もっと録音が残っていればと思いました。



Chicago The Blues Today! ; VANGUARD 172/74-2 (2000. 4. 4)

サム・チャーターズがプロデュースした1965年録音の3枚のアルバムをセットにしたもの。元々バラで持っていましたが、まとめて聴けるようになりました。1枚目冒頭はジュニア・ウェルズ。この人、ハープはもちろんですが、歌がいいんです。独特の色気があって。バックを固めるバディ・ガイの陰湿なギターも健在です。あとはJ.B.ハットーのエルモアばりのスライド、オーティス・スパンのリラックスしたピアノを聴くことができます。
2枚目は結構モダンなジミー(ジェームズ)・コットンの演奏が好きです。特に彼のお得意の歌になる「ロケット88」、このテイクはややゆったり、リラックスしていてgood!続くオーティス・ラッシュ、録音がややしょぼいですが、この「アイ・キャント・クィットユー・ベイビー」が、レッド・ツェッペリンのものの元歌です。「ロック」はジュニア・ウェルズ=アール・フッカーの「ユニヴァーサル・ロック」のカヴァーです。ホームシック・ジェームズはエルモア・ジェームズと行動を共にしていただけあって、強力なスライド・プレーが魅力です。
 3枚目はかなりダウンホームな感じです。ジョニー・ヤングはマンドリンも交え、かなりルーラルで荒削りなサウンド。ジョニー・シャインズの方は TESTAMENT 盤などに通じるムードで、かなりいなたい演奏をバックに、朗々と歌っています。どこか FAT POSSUM にを彷彿させる演奏もありました。ウォルター・ホートン名義が1曲だけなのは、またホートン、機嫌を損ねたのかな?
以上、それぞれのベストテイクとは言い難いですが、シカゴ・ブルース「冬の時代」ともいうべきこの時期に、現地の様子を比較的上手く捉えたセットだと思います。「ロック系のブルースから一歩踏み込みたいけど、ヴィンテージはちょっと」と言う人などにはお薦めだと思います。


Christmas Gumbo ; FLAMBEAU 3344 (2004.12. 6)

2004年リリースで多分全部新録のようです。これは豪華なクリスマスプレゼントです。ラインナップだけでもサニー・ランドレスがディキシー・カップスを従えたり、アラン・トゥーサン、マーヴァ・ライト、アーロン・ネヴィルにアート・ネヴィル、アーマ・トーマス、ボーソレイとたまらないメンバーが並びます。ワイルド・マグノリアスは何とボーンラマをバックに従えてチャントしてますし、ハウスマン・デクローの名前も見えます。もうこれだけでご馳走様なんですが、バックにはブライアン・ストルスやディヴィッド・トカノフスキーといった腕利きの名前が見られ、サウンド的には外れがありません。特に気に入ったのがロックしてるウェイン・トゥープスですね。ラストは当然アーロンのバラードかと思いきや、ボーナストラックとして、イングリッド・ルシアまで登場。曲はほぼオリジナルチューンで、歌詞まで付いている年のいりようです。ニューオーリンズから届いた最高のクリスマスプレゼントですね。



City Jump & Country Jump ; SOUTHPAW S1 (2004. 2.27)

おそらく主に50年代の録音だと思いますが、詳しいデータは不明です。というか、収録されているアーティストで、僕がはっきり分かるのがビッグ・ウォルター・プライス、あとはパイニー・ブラウンは多分聴いたことがあるといった位なんですが、とにかく御機嫌なジャンプ集です。洗練されたとは言い難いんですが、とにかくこの時代、ジャンプという音楽がブラックミュージックの主流だったんだろうことを伺わせます。タイトル買いしましたが大正解。



Clarinet - New Orleans Style ; GHB BCD-127 (2009. 9. 5)

1954年と1960年に録音された、レイモンド・バーク、ピンキー・ヴィダコヴィッチ、ハリー・シールズ、レスター・ボウチョンの録音を集めたものです。曲によってはオルガンやバンジョーををバックに加えたレイモンドは軽妙なフレージングで、肩の凝らない演奏です。ピンキーはいきなりムーディな「レイジー・リヴァー」から。こちらも落ち着いた演奏でゆったり聴けます。ハリートレスターは同じ日の同じセッションでの録音で、曲も「シンギン・ザ・ブルース」と「アリス・ブルー・ガウン」。レスター方はバスクラリネットのように聞こえます。ディープでブルージー!これに対し未発表のハリーのものは軽い感じ。聴き比べて面白かったです。




Classic African American Gospel ; SMITHSONIAN FOLKWAYS SFW CD 40194 (2009.11.15)

1945〜1999年にかけて録音された、様々なスタイルのゴスペル集です。ソロの説教のようなホレス・スプロットに始まり、クワイア、聖歌隊(ジュビリー・シンガーズ)など様々なスタイルが収録されています。面白いのはリトル・ブラザー・モンゴメリーがコーラスを従えて歌う「ジャスト・ゴット・オーヴァー・ラスト・ナイト」、この人ゴスペルも歌うんですね。サニー・テリーやゲイリー・ディヴィス、バンジョーで歌うエリザベス・コットン、レッドベリーも収録されています。他はともかくサニーの「オー・ホワット・ア・ビューティフル・ディ」は意外です。カルテットは意外と少なく、ザ・ミショナリー・カルテットの「ドライ・ボーンズ」位かな。有名曲ではトゥー・ゴスペル・キーズの歌う「ユー・ガット・トゥ・ムーヴ」やエルダー・チャールズ・ベックがリードする「エーメン」などがあります。1990年代の録音はサウンドなどを含めて、今の流行りのクワイアに確かに近いですね。ちょっと断絶を感じます。




Classic Mountain Songs - From SMITHSONIAN FOLKWAYS ; SMITHSONIAN FOLKWAYS SFW CD 40094 (2009. 9.28)

正確な録音年は全部記されているわけではありませんが、主に1960年代前半の録音です。マウンテン・ソングスは、アパラチア山脈で生活する古くから移住した貧しい農民たちに伝わる音楽だそうで、カントリーやフォークソングの源流となったものです。「アイ・アム・ア・プア・ピルグリム・オヴ・ソロウ」はアカペラですが、映画「オー・ブラザー!」のKKK団のシーンで使われた歌を思い出してしまいました。「16トン」「ジョン・ヘンリー」など良く知られた歌も、素朴なスタイルで歌われています。炭鉱や鉄道にまつわる歌が多いのも、アパラチアという土地柄ならではですね。フィドル、バンジョー、ギターなどの名演もあり、おお、これはすごいギターだと思ったらドック・ワトソンの「サウスバウンド」でした。アカペラで歌う密造酒造者の歌、ジーン・リッチーの透明感のあるソロも素敵です。スピリチュアルも何曲か入っており、ラストは「アメイジング・グレイス」。でも今知られているメロディとは一味違う唄い回し、伝統を感じました。




The COBRA Records Story ; CAPRICORN 42012-2 (2000. 9. 2)

1956年から58年までイーライ・トスカーノが興したCOBRAのコンピ。収録曲は殆ど持っているのですが、深海魚さんが見せてくださったブックレットと、音質がいいとの評判に負けて買いました。メインはオーティス・ラッシュで、最近出て音がいいと評判のWESTSIDE盤に比べて、録音レベルがやや低めですが、サックスやドラムズの細かいニュアンスやバランスなど、やはりこのCDの音質は素晴らしいです。もちろんラッシュは別テイクも含めて充実しています。この他初期のマジック・サムやシカゴに来たばかりのバディ・ガイなど、新しい時代を当時拓こうとしていた若手ブルースマンの瑞々しい演奏がいっぱいです。一方ベテラン(ウォルター・ホートンやサニーランド・スリム)の重要曲もあり、他方ハロルド・バラージュやアイク・ターナーのロッキンR&Bも聴けます。実質的な音楽監督だったウィリー・ディクソンの仕事が光ります。ベティ・イヴレットの曲では、一聴してそれと分かるウェイン・ベネットの職人ギターが聴けます。充実の2枚組です。


Come On Daddy ; EL TORO R&B 101 (2003.12. 1)

1948〜51年録音の女性が歌うジャンプナンバー集です。ビッグ・ママ・ソーントン、アニー・ローリー、ラヴァーン・ベイカーといった有名どころから、初めて見る名前まで、活きのいい、ちょっとエッチなものも含めたコンピです。冒頭のタイニー・グライムズのバンドをバックに歌うクラウディン・クラークからチャーミングで、タイニーのギターも炸裂、ソーントンのハーレム・スターズも、割合軽めの歌い方で景気よくジャンプします。迫力満点のサラ・ディーン、可愛らしいベティ・ジーンやテルマ・クーパー、意味深なユージン・ディヴィスの「ワーク・ダディ・ワーク」はめちゃめちゃ御機嫌なバンドが付いてたりします。ヘレン・ヒュームズの「アイム・ゴナ・レット・ヒム・ライド」はライヴ仕立てで大受けだし。タイニー・ブラッドショウの怪しいスペイン語から始まるドレナ・ディーンのラテン仕立ても面白いです。タイトル曲を歌うパール・トレイラー、続けて「今夜一緒に遊びましょ」ですから、これらの歌をクラブかなんかでやられた暁には、そりゃたまらんかったんでしょうね。



The Complete GOLDWAX Singles - Volume 1 1962-1966 ; ACE CDCH2 1226 (2009. 8. 1)

2枚組です。前身のBINGOなどから音を収録していますが、まず冒頭の「ジョン・ケネディ」が意外。ニューオーリンズを感じるノヴェルティ・サウンドです。語りっぽいオーボエも明らかにニューオーリンズ・テイストで、「マザー・イン・ロウ・トラブル」は元ネタからしてそうですね。この他ポップなコーラスやらバラードが並んでいて、このレーベルが当初ヒット狙いだったことがよく分かります。ところがO.V.ライトの「ザッツ・ハウ・ストロング・マイ・ラヴ・イズ」が出て空気ががらりと変わります。このディープなサザンソウルの素晴らしいこと!カントリー・ナンバーやらポップチューンも出しながら、ジェイムズ・カーやオヴェイションズなどどんどんソウル色が濃くなります。そんな中で面白かったのがザ・プレイボーイ・ファイヴの「スプーンフル」。ハウリン・ウルフで有名なあの曲を、グリーン・オニオン調のインストに仕立ててます。2枚目はジーン・ミラーのご機嫌なインストからスタート。レーベル全体がソウル色を濃くしていきます。ドロシー・ウィリアムズ、スペンサー・ウィギンズ、オヴェイションズ、ジェイムズ・カーといよいよGOLDWAXらしいラインナップが中心になりますが、そんな中ロカビリー・タッチのアル・ヴァンス軽快なラマーズなどが混じってるのが楽しいですね。いろんな流れから曲をリリースしていく姿が分かります。充実のブックレットもあり素晴らしいコンピだと思います。




The Complete GOLDWAX Singles Volume 2 ; ACE CDCH2 1236 (2010. 2. 2)

1966〜67年の音源です。やはりこのセットで重要なのはジェイムズ・カーだと思います。名曲「ザ・ダーク・エンド・オヴ・ザ・ストリート」を含む5枚10曲が含まれます。また、スペンサー・ウィギンズ、オヴェイションズなども次々と素晴らしい作品を出しています。一方ヨー・ヨーズなどのポップなグループあり、テリーズといったカントリー・バンドあり、ジーン・ミラーはMG'sを意識したようなオルガン・インストを出したりしてます。意外だったのがアイボリー・ジョー・ハンターで、ここではポップなアップ・ナンバーにトライしていました。この南部のローカル・インディらしいごった煮が、サザン・ソウルを形作ったのかと思うと時代のマジックを感じますね。




Concierto Eurotropicial En La Habana ; EURO TROOPICIAL 2-EUCD-8 (2002. 2.20)

1997年、キューバはハバナのカール・マルクス劇場での2枚組ライヴショーです。中古で購入。サルサなど現代のキューバン・ミュージックのオンパレードでした。溢れるリズムと陽気な、でもちょっと哀愁を帯びたサウンドは彼の地ならでは!達者なサルサを聴かせるクリマックスを軸に、ヒップホップの影響を感じさせるモダンなサブロスーラ・ヴィヴァ、澄みきった声のリウバ・マリア・エビア、伝統的な風合いを感じるロス・ソネーロス・デ・カマーチョなど、かなり幅はありますが統一感を感じるコンサートだと思います。キューバ音楽は本当に門外漢ですが、とっても楽しく、クオリティの高い演奏はそんな僕にも十分魅力的でした。



Contemporary Guitar Workshop ; STEFAN GROSSMAN'S GUITAR WORKSHOP SGGW105 (2008.10. 9)

1975年リリース。ガットギターを操ってラグタイムを弾くダック・ベイカー、「マルディ・グラ・ダンス」はどこか東洋的な香りが伝わってきます。鉄弦でちょっと変わったチューニングのギターを聴かせるイギリスのディヴ・エヴァンス、どの曲も響きが美しいですね。レオ・ウインキャンプ・ジュニアはオランダのギタリストで、クラシックのテクニックをきちんと修得しているのがよく分かる巧みな指使いのギターが見事です。ジム・マクレナンはカナダの人で、スコット・ジョプリンの「イージー・ウィナーズ」などをさらりと弾いています。いろんなタイプの人が聴けるので、これはなかなかお得な盤だと思いました。




Crazy 'Bout An Automobile ; ACE CDCHD 990 (2004. 8. 4)

1951〜66年リリースの、車にまつわるロッキンナンバーを集めたコンピです。ロックンロール〜ロカビリーものが多い中、最も古い曲はジャッキー・ブレンストンの「ロケット88」、この他マーキーズの「ホット・ロッド」、オスカー・マクローリーの洒落たコーラスが光る「ロール・ホット・ロッド・ロール」など、ブラックの逸品もありますが、それより様々な擬音を凝らして車の雰囲気を出そうとするロケンローラーの、涙ぐましい努力に思わず微笑んでしまいました。こういうコンピ、好きだな。



Cruisin' Instrumentals ; ACE CDCHK 731 (2001. 6.17)

1948年のピー・ウィー・クレイトン「ブルース・アフター・アワーズ」から、60年代にかけてのインストヒット集。新譜だったのに千円余りで安かったので買いましたが、娘が気に入りました。頭はチャンプスの「テキーラ」で、よく耳にする「テキーラ」と皆で叫ぶものではなく、ごにょっとひとりでつぶやくアレンジがおしゃれです。でもこれが全米1位になった方何ですかね。この他モンゴ・サンタマリアの「ウォーターメロン・マン」、テレヴィ「タモリクラブ」の後テーマ「トール・クール・ワン」、映画「パルプ・フィクション」で有名になった「ミザルー」、その他「ミッション・インポッシブル」つまり「スパイ大作戦のテーマ」からラストはジャック・マグダフの「ピンク・パンサー」まで、とにかくヴァラエティに富んでいて楽しいアルバムです。特筆すべきは1963年リリースのロニー・マック「ワーミ」。完全にロックギターの原型ですね。ジェフ・ベックとか聴き込んだんでしょうね。5年は時代を先取りしています。



CURTOM Funk ; CHARLY SNAP 805 CDX (2009. 7. 9) v.a. ;

1968年〜78年にかけての、カーティス・メイフィールド率いるレーベルのファンク集です。豪快に響くブラス、クールなリズム隊とカーティス自身のサウンドに通じる曲が多く、このレーベル自体が非常に良質なファンクを生み出しているのが分かります。ノーテイションズの「スーパーピープル」なんて、カーティス自身が歌ってるのかと思うファルセットですし。また、ATLANTICに入る前のダニー・ハザウェイがジューン・コンキストとデュエットしている瑞々しい「アイ・サンキュー」など嬉しい曲もあります。リンダ・クリフォードの「ランナウェイ・ラヴ」は、ディスコ時代にありながら、むしろ1980年代の音を見通したようなサウンドで格好いいです。楽曲のほぼ半分をカーティスが提供していて、メジャー・ランスが歌ってもカーティス節になるあたり、さすがというほかはありません。聴き所満載です。




Dark Rhythm Hokus Pokus ; STILL SLCD 1158 (2009. 3.25)

1960年前後の録音でしょう。冒頭のロニー・グッデの「ホークス・ポークス」、もろリトル・リチャードですね。のんびりしたハーモニカがユニークなアンディ・ベルヴィンの「トラヴェリン・ムード」もちろんウィリー・ウェインの代表曲ですけど、のどかで気に入りました。ビッグ・バッド&リネの「クードゥル&クー」はジャイヴ感覚たっぷりで楽しい曲です。コンチネンタル5のその名も「キング・オヴ・ロック&ロール」、かっこいいギターに「ヤケティ・ヤック」の替え歌みたいな歌がB級の王道って感じです。ハル・ペイジは「シュガー・ベイブ」という「マイ・ベイブ」の替え歌やってますが、サックスソロはさすがって感じです。T-バーズの「フル・ハウス」はかっこいいインスト。ロニー・ヤングブラッドの「ヤングブラッド・フィーリング」もかっこいいギター・インスト。全体に幅広い選曲が光ります。最後は水爆ファーガソン「ノー・サッキー・サック」にどっかんと締めてもらいましょう!




Deep Blues ; ATLANTIC 7 82450-2 (2000.10.10)

同名の映画のサウンドトラック。1990年録音。中古で購入。ロバート・パーマーの同名の著書(最近復刻しました)とも関連のある音源で、そのパーマーのプロデュースです。R.L.バーンサイドとかジュニア・キンブロウとか、後のFAT POSSUMの原型といってもいいでしょう。でもライヴな録音ながら、最近のFAT POSSUMで時として感じられる「わざとらしさ」はなく、本当にストレートな感じです。ロニー・ピンチフォードのロバート・ジョンスンはちょっとわざとらしさを感じちゃいましたが、気のせいかしら。出たときに買いそびれて探してたんですが、晴れて入手。でもこの間買ったヴィデオの方、まだゆっくり見てません。だれか時間をくれー!



The DELTA Records Story ; SPV 42772 CD (2009. 1. 4)

多分1950年代前半くらいの録音だと思います。DELTAというナッシュヴィルのレーベルで、BULLETと近い関係にあるようです。冒頭を飾るルイス・キャンベルのいなたいブルースがまずぐっと来ますね。フェアフィールド・フォーのぐっと来るゴスペルに続いて、「ザ・シング」を出す前のギター・スリムことエディ・ジョーンズの2曲が、まだどことなく青臭さがあって面白いです。続くウォルター・スミス、ちょっとロスコ・ゴードンに似た雰囲気があり、「ハイ・トーン・ママ」はエディ・ヴィンスンの「キドゥニー・シチュー」からしっかり歌詞をパクってます。バリトン・サックスの音が格好いいレッド・カルホーンのバンド、結構イカしたクレネスト・ギャントはR&Bの香りがたっぷり。キャンドルライターズとシャドウズという好対照な名前のコーラス・グループは時がドゥー・ワップやロケンロール全盛期だってことを彷彿させます。つかみ所はないけどいろいろ発見のあるコンピです。




The DIAL Records Southern Soul Story ; KENT CDKEN2 223 (2003. 8.11)

1962〜1975年録音。DIALといえば何と言ってもジョー・テックスが有名で、このアルバムでもドタマにATLANTICが配給し大ヒットした「ホールド・ホワット・ユーヴ・ゴット」が収録されるなど、10曲を占めています。そのゴスペルフィーリング溢れる歌はいつ聴いてもぐっと来ます。ニューオーリンズのボビー・マーチャンも8曲入っていますが、ここではやはりゴスペル出身を感じさせるソウルフルな歌を披露、ACE時代のノヴェルティ・ソングだけでないところを聴かせています。この他フロッグマン・ヘンリーがカントリーフィーリングを感じさせる曲をやっていたり、キング・フロイドやジーン・ナイトの1974年録音なども入っていますが、2枚目で一番インパクトがあったのが、マイアミ出身のアネット・スネルという女性歌手。アリサ・フランクリンに通じるこれもゴスペルフレイヴァーの強い歌を聴かせますが、なかなかタフでエネルギッシュ。この6曲が聴けたのが大収穫でした。ブックレットも充実していて、いつもながらイギリスACE/KENT、良い仕事しています。



DIALTONE All-Star Live! ; DIASLTONE/P-VINE PCD-25083 (2008. 9.14)

2008年3月にオースティンで行われたレーベルのパッページ・ライヴの模様で、DIALTONEの充実ぶりを余すところ捉えています。インパクトがあったのがジョー・ジョナスの「ザ・シングス・アイ・ユースト・トゥ・ドゥ」で、がなるようなヴォーカルが強烈!続くウェストサイド・ホーンズのファンキーでジャジーな演奏は思わず腰が揺れます。テキサス・イーストサイド・キングズがメインのようですが、特にクラーレンス・ピアーズの歌う「エイント・ノーバディズ・ビジネス」はいつ聴いても渋みを感じます。いなたいオレンジ・ジェファーソンに続いてかき鳴らし系のジョー・デューセット、でもこのスタイルじゃやっぱりリトル・ジョー・ワシントンでしょう。一体どこで弾いてるのかって、生を見たものならついつい想像しちゃうような音も交え、突然終わるなど彼らしいですね。最後にレイ・リードのどす黒いジミー・リード・ナンバーで締めますが、いやはや、この真っ黒な感じ、たまりませんねぇ。生でみんなまとめて見たいです。




Dirty Laundry - The Soul Of Black Country ; TRIKONT US-0333 (2005. 3. 3)

60〜70年代の録音が主だと思います。黒人が歌うカントリーと言えば、すぐに思い出すのがキャンディ・ステイトンの「スタンド・バイ・ユア・マン」ですが、当然のように入ってました。ジョー・サイモンの「チョーキン・カインド」あたりは当然の選曲でしょう。ロスコー・シェルトンやジョニー・アダムズも違和感はないですね。笑っちゃうのはボビー・ウーマックの「薔薇のブーケ」で、ペダル・スチールから何からカントリーそのものでした。ポインター・シスターズももろカントリーやってます。「16トン」はジェイムズ&ボビー・パリフィのものが収録。昨日のジョニー・テイラーよりずっとカントリーしてます。面白いのが「ユア・チーティング・ハート」で、ボビー・パウェルはしっとりとしたバラードに仕上げ、いかにもサザンソウルなんですけど、これがJBにかかるとファンキーになっちゃうんです。流石です。タイトル曲はカーティス・メイフィールドで、彼一流の優しさがにじみ出てます。さて、ラストは黒人の歌うカントリーの代表曲「愛さずにいられない」は、レイではなくソロモン・バークの熱唱が収録。ジンと来ました。



Doctors, Professors, Kings & Queens: The Big Ol' Box Of New Orleans ; SHOUT D4K 37441 (2005. 4. 8)

1927〜2003年録音。これは豪華なマルディ・グラのお土産用ボックスです。この75年余りの彼の地の音楽を実にバランス良く4枚のCDにまとめてあります。ルイ・アームストロングやジェリー・ロール・モートンといった先駆者から、ジョン・クリアリーやギャラクティックと言った新進気鋭の人達まで、ほぼ1アーティスト1曲で収録されています。必ずしも代表曲ばかりじゃないんですけど、フロッグマン・ヘンリーの「エイント・ガット・ノー・ホーム」、べニー・スペルマンの「リップスティック・トレーシズ」、ロイド・プライスの「ロウディ・ミス・クロウディ」などなどかゆい所に手が届くように要所はしっかり押さえてあります。時代的にはやはり1950年代〜61年くらいまでと、1990年代後半が収録数も多く、盛り上がりを感じさせます。ジャンル的にはポップやファンク、ブラスバンドだけでなく、ジャズ、クレズマー、ケイジャン、ザディコと当地にゆかりのある音楽をしっかり網羅しており、バランスも素晴らしいです。僕は車でほぼ4枚聴き通したんですが、全く退屈しませんでした。聴いたことのない人もいて購買意欲を誘います。またサニー・ランドレスは「サウス・オヴ・I-10」が収録されている他、ゲイトマウスなど他のミュージシャンのバックで素晴らしいギターを聞かせていますし、スヌークス・イーグリンも「レッド・ビーンズ」が取り上げられているほかヘンリー・バトラーとの演奏も捉えられています。さらに特筆すべきはそのブックレット。曲の詳しいデータや解説はもちろん、ニューオーリンズの飲み屋や食べ物、マルディ・グラの案内や地図など、まるでガイドブックです。これを見ているだけでウキウキしてきますね。ニューオーリンズ音楽のファン必携だと思います。



Don't Ereeze On Me - Independent Womens Blues ; EL CERRITO ECR 01005 (2002. 2.14)

1950年代末から60年代前半のウエストコーストのインディ・レーベルに残された女性ブルース集です。冒頭から悩ましいエラ・トーマスのライヴが炸裂。ギターはジョニー・ハーツマンです。この他柳下のドジョウを狙うビッグ・ママ・ソーントンとか、「ロック・ユー・ベイビー」(曲はもちろん「ロック・ミー・ベイビー」)と歌うデライアとか、ジミー・マクラックリンの「ジャスト・ガット・トゥ・ノウ」のアンサーソング「ナウ・ユー・ノウ」をそのジミーのバンドで歌うアル&ネッティとか、それにシュガー・パイ・デサントも。全体にお色気たっぷりで、それにアグレッシヴなギターが絡むといった、限りなくB級ですが現場の熱気を感じる1枚です。



DOOTONE Rock 'N' Rhythm And Blues ; DOOTONE/ACE CDCHD 839 (2003. 4. 5)

1955〜58年録音。いわゆる「ロックンロール」が世に出た後の時代、ロサンゼルスのR&Bの動向を捉えたコンピです。このアルバムの主役はロイ・ミルトンで、よりリフを強調し、ビートを強めたサウンドは相応したもので、ギターもかなり効果的に入っています。「ベイビー・アイム・ゴーン」「ユー・ゴット・ミー・リーリング・アンド・ロッキング」あたりの曲は当時のホールでみんなを踊らせたんだろうなって思える御機嫌なナンバー。スローの「ナッシング・レフト」でもバックはゴージャスになってます。もう一方の主役はチャック・ヒギンズ。こちらはより強力なビート感があり、チャックのブロウとジミー・ノーレンのギターがえぐく響く中、チャックの歌が乗ってくるって寸法で、「ウエット・バック・ホップ」など、これまた御機嫌です。この他ヘレン・ヒュームズの小粋なヴォーカルはチャーミング、特に「ウージャマクージャ」なんて愉快ですし、ロレンゾ・ホールデンとアーリー・フリーマンのハモンドを効かせたインストナンバーや、ジョー・ヒューストンの、ギターも強烈な「シンディグ」など、ウエストコーストの面白さがてんこ盛りのコンピです。



Down Home Blues Classics Volume 4 California & West Coast 1948-1956 ; BOULEVARD VINTAGE BVDCD103 (2008. 4.30)

2枚組。まず冒頭の「マーキュリー・ブルース」に胸がジンとなりました。K.C.ダグラスのこの曲、かつてARHOOLIEから出されていた「Oakland Blues」の冒頭を飾っていたからです。このいなたいハーモニカの曲、僕をウエスト・コースト・ブルースに引っ張り込んだ曲のひとつです。サニーボーイ・ジョンソンのハーモニカと歌も、カリフォルニアらしいどこか軽い感じが魅力ですし、リル・サン・ウィリスのテキサス直系のピアノも味があります。テキサスと言えばスリム・グリーンのギターもブラインド・レモンを思い出させます。ウエスト・コーストというとあんまりハーモニカ吹きのイメージが浮かばないんですが、シドニー・メイデン他結構入っていて嬉しいセレクト。ハスケル・サドラーのディープな泣き笑いブルース「ドゥ・ライト・マインド」なども懐かしい曲です。



Down Home Harp ; TESTAMENT/P-VINE PCD-5575 (2000. 4.10)

1960年代録音の、ブルース・ハープ集。シカゴ系に限らず、色々な人が入っています。ウォルター・ホートンなどは、決してベストテイクではありませんし、全体に地味な演奏が多いです。この2〜3年 TESTAMENT は良く聴くんですが、やはりヴィンテージに比べると、なんか頭でっかちな印象を受けます。これはプレイヤーのせいというよりは、プロデュースのせいだと思います。むしろロバート・ナイトホークが、一発でそれと分かるスライドを弾いていることに感心してしまいました。


Down Home Slide ; TESTAMENT/P-VINE PCD-5577 (2000. 5.10)

1961〜73年録音。きのう紹介したアルバムの姉妹編だけど、こっちの方が有名どころが多く、取っつきやすいです。曲も「ザッツ・オール・ライト」「スウィート・ホーム・シカゴ」など、スタンダードになった曲が多いし、演奏も分かりやすいものが多いです。2枚のうちどっちかと言えば、僕はこっちを買います。演奏自体は色々で、「これはすごい」というものは特にありませんでした。何曲かあるライヴでも、観客の拍手がやけにかしこまってるし。


Downey Blues ; HMG 5504 (2000. 2.28)

数年前に新譜で購入。1960〜61年ごろの録音集。ウエスト・コーストのマイナー・レーベルですが、アーティストはリトル・ジョニー・テイラーとかN.O.のジェシー・ヒルとか(バックにはマック・レベナック!)、チャック・ヒギンスもいて、楽しめました。T-ボーン・ウォーカー・ジュニアという人は、音はジミー・ウィルソンみたいでけっこうかわいいです。


The EBB Story ; ACE CDCHD 524 (2006. 8.23)

1957〜59年録音。EBBという西海岸のレーベルを俯瞰する内容のコンピです。いきなりエブトーンズというレーベル名をかぶせたバンドでスタートしますが、これが初リリース。でも面白いのはチャールズ・ブラウンのテイストをしっかり残したフロイド・ディクソンとか、レーベルお構いなしにニューオーリンズ臭をまき散らすプロフェッサ・ロングヘアですね。「ボールド・ヘッド」の別タイトル、格好いいなぁ。テッド・テイラーは見事なハイトーンを披露していますし、スモーキー・ホグはどこかルイジアナ州を漂わせるダウンホームな演奏と、一筋縄ではいかないサウンドがたっぷり入っています。レイ・エイジーは張りのあるテナーで朗々と歌っていて気持ちいいです。こういったコンピ、止められませんね。



EBB Records Story Vol.2 ; ACE CDCHD 603 (2002. 9.29)

1957〜58年録音の、ロサンゼルスのEBBレーベルのコンピです。やっぱり目玉はテッド・テイラーですね。一瞬少年かと思うような張りのある伸びやかなテナーはここでも全開です。時代もあるんでしょうか、軽快なリズムの曲が多く感じました。この他トニー・ハリスとジョーゼッツがサム・クックの「ユー・センド・ミー」を取り上げていたり、ハリウッド・フレイムズがビッグ・ジェイ・マクニーリの大ヒット「ゼア・イズ・サムシング・オン・ユア・マインド」を取り上げていたり(でもこの曲、ビッグ・ジェイのバンドが流行らせたのは1959年なんですが、1958年作になってる)、さらにはリフ・ラフィンなんて人も入っていました。しかし何と言っても目玉はプロフェッサ・ロングヘア。未発表ヴァージョンの「ベイビー・レット・ミー・ホールド・ユア・ハンド」の他、「ミズリー」が「ティピティーナ」風でいけます。ラストのJ.J.ジョーンズのアップテンポな「ハーレム・ノクターン」が時代を象徴しているようにも感じました。



The Essential Guide To New Orleans ; UNION SCUARE MUSIC ESGCD325 (2009. 6.19)

1920年代から21世紀に及ぶニューオーリンズ・ミュージックを3枚のCDで俯瞰しようというアルバムです。1枚目は「ジャズ&ルーツ」ということで、ルイ・アームストロング「ウエスト・エンド・ブルース」、ジェリー・ロール・モートン「ブラック・ボトム・ストンプ」からウィントン・マルサリス、ロス・オンブレス・カリエンテスまでを収録。中にはワイルド・マグのリアスの「アイコ・アイコ」といったチャントものも含まれています。2枚目はR&Bで、ファッツ・ドミノから始まって有名どころがずらり。入門編にはかなり適した選曲です。3枚目は「ヴードゥー・ファンク」、アーロン・ネヴィルの「へラクレス」から始まって、ミーターズ、チョコレート・ミルク、エディ・ボーなど。中には珍しい音源もあって、ドクター・ジョンがドナルド・ハリソン・バンドとやったライヴ盤の「ビッグ・チーフ」は嬉しい選曲です。もう少し詳しい解説が欲しい気もしますが、値段から考えれば手頃な入門編と言えるでしょう。




Eccentric Soul: The CAPSOUL Label ; NUMERO 001/P-VINE PCD-2578

おそらく1970〜74年録音。CAPSOULはオハイオ州都コロンバスのレーベルで、デトロイトの南方に当たります。時代はMOTOWN全盛期の後半なわけで、当然影響を受けていてもいいんですが、グッとファンキーなサウンドが格好いいです。特にレーベルを主宰していたビル・モスの「ソック・イット・トゥ・ソウル・ブラザー」なんて、ガツンと腰に来るリフが気持ちいいです。彼の「ナンバー・ワン」もかなりユニークなサウンドで、癖になりそうなグルーヴ感があります。またマリオン・ブラックの「フー・ノウズ」も男気を感じる歌声が、割と素朴なんですが耳に残りました。さらにエモーショナルな「ユー・キャント・ブレイム・ミー」は素晴らしいソウルチューンです。全体にリズムは当時流行のファンクより少し抑え気味ですが、それがかえって格好いいな。一方ロニー・テイラーの「ウィザウト・ラヴ」は、濃厚なオルガンのサウンドをバックにした、サザンソウルのようなゴスペルフィーリング溢れる曲です。MOTOWNのようにコマーシャルになりきらないあたりが、レーベルには成功をもたらさなかったかもしれませんが、今聴いてもピュアで、インパクトのあるサウンドを残したんだと思います。



Eddie Bo's Funky Funky New Orleans ; FUNKY DELICACIES DEL CD 0021
(2001. 1.26)

以前紹介したエディ・ボーの姉妹編で、1968〜71年のSCRAMなどへの録音。ちょうどJBがファンクを切り開き、やスライ&ファミリー・ストーンが出てきた時代で、その波をまともに被りながら、ローカルシーンで元気に応えようと行ったムードがビンビン伝わります。エディの他、チャック・カーボやスモーキー・ジョンソンといった、ニューオーリンズでもヒップな人達の名前が見えます。弱小レーベルの録音だったためか、音質は劣悪で、曲調もやや単調ですが、時代の熱気を感じることができます。こういう再発が増えてるってことは、クラブシーンとかで注目されてきたんでしょうか。



Even Mo' Funky Blues - New Standards ; P-VINE PCD-3889 (2001. 2.18)

1960年代後半〜80年代末に出されたファンキーなブルースのコンピ。このシリーズも4作目になり、かなりマイナーな作品が多く収録されていますが、それがかえって魅力です。ハウンド・ドッグ・テイラーとキャッシュ・マッコールが一枚に収まっているんですが、全然違和感がありません。どれもこれも「踊らせよう」「腰を振らせよう」という意識丸出しの猥雑な演奏で、これがブラック・ミュージックのひとつの醍醐味だって、改めて感じました。座って落ち着いて聴くより立って聴くためのアルバム。



Feline Groovy ; ACE CDCHD 1168 (2008. 8.24)

1955〜65年録音の、猫にまつわる曲を集めたという面白いコンピです。まあタイトルからして猫尽くしですが、モンゴ・サンタマリアからリトル・ウィリー・ジョン、さらにはペギー・リーからリー・ドーシーまでという、まあ節操がないというか多彩な選曲です。突然ジミー・スミスの「ザ・キャット」が鳴り響いちゃったりするんですから。個人的に嬉しかったのはトム・ジョーンズの「ワッツ・ニュー・プッシーキャット?」で、さすがイギリスのレーベルだなぁと感心してしまいました。




A Fine Time! The South Side Of Soul Street ; SUNDAZED SC 11153 (2009. 6. 5)

1967〜70年の、ナッシュヴィルのMINARETで生み出されたソウルナンバーを集めたコンピです。ゴスペル・テイストたっぷりのドリス・アレン、熱いリズムナンバーが格好いいジーン・ブルックスに混じって、ゆるくてブルージーなメンフィスのウィリー・コブズが混じってるのが凄く嬉しいですね。ダブル・ソウルのゴスペル・カルテット上がりと思われる分厚いコーラスもぐっと来ます。同じテネシーでもメンフィスのSTAXやHI、GOLDWAXとはまた違う、裾野の広いものだったことがよく分かります。




The FIRE And FURY Of Bobby Robinson ; RPM RPMSH 210 (2008. 6.21)

1960年代初期の録音。エルモア・ジェイムズもライトニン・ホプキンスも入っておらず、バスター・ブラウンは「シュガー・ベイビー」、ウィルバート・ハリスンは「レッツ・スティック・トゥゲザー」と、それぞれ最大のヒットでない曲を収録したコンピですが、それでもキング・カーティス「ソウル・トゥイスト」、ボビー・マーチャン「ゼア・イス・サムシング・オン・ユア・マインド」等はしっかり収録されています。どちらかというと泥臭くない、モダンさのあるヒップ名曲が中心でボビー・ロビンソンの時代えお見る目がしっかり捉えられています。個人的に嬉しかったのは、ターヒール・スリムの「ナンバー・ナイン・トレイン」かな。



The First Take Is The Deepest ; WESTSIDE WESA 811 (2001. 5.11)

ジョニー・ヴィンセントのACEに残された50年代後半〜60年代のニューオーリンズ系を中心にしたアーティストの別テイク集。約3/4がタイトル通りの1st.テイクですが、ものによってはなぜ没になったか分からないくらい完成度の高いものもあります。全体に熱気のある演奏が多く、特にアール・キング、ボビー・マーチャンなど脂の乗り切った時期のせいか、非常に充実しています。これは1度本テイクを引っ張り出してきて、比較してみなければと思いました。なかなか面白い企画です。



Florida Funk ; JAZZMAN JMANCD 014 (2006.12. 5)

1968〜75年のフロリダ産B級ファンク集です。フロリダと言えばTKサウンドとかクリテリア・スタジオなど、いかしたサウンドを生み出す素地がありますが、そうしたものの中で、グッと低重心、ドロッとしたファンクがてんこ盛りです。前半は適度に軽いファンクが並んでいて、ジェイムズ・ナイトの「セイヴ・ミー」なんて気持ちのいいギターカッティングと印象的なコーラスで充分流行りそうなんですがね。SAADIA録音の曲では自身のリーダー作「エヴリバディ・ハズ・サム・デューズ・トゥ・ペイ」をはじめリトル・ビーヴァーがギターにベースに大活躍。またウィリー・ジョンソンの「レイ・イオット・オン・ミー」にはラティモアが参加してます。ルイス・サンティやコークのラテンファンクも土地柄ですね。そして強烈なのがフランキー・シーの「ソウル・フード」、これはドロドロです。調子っパズレのギターまでファンクネスの権化と化し、これでもかと迫ってきます。やっぱりJAZZMANのコンピに外れなし。丁寧なブックレットも付いてしっかり楽しめました。



Floyd's Early Cajun Singles ; ACE CDCHD 743 (2001.10. 3)

1957〜60年録音。BIG MAMOU、VEE-PEE、JIN、SWALLOWといったローカル・レーベルに残されたケイジャン・ナンバーの数々ですが、実にごきげんです。ベースはアコーディオンにフィドル、曲によってはラップ・スティールが絡み、ヨーデルがかった合いの手が入ります。ワルツと2ビートが中心で、いかにも田舎のダンスミュージックで、のどかな中に哀愁が漂います。歌によっては子供がうたっているような曲もあり、いかにも手作りな感じがしますが、演奏水準は高く、かなり楽しめました。



Folkways: A Vision Shared ; COLUMBIA CK 44034 (2009. 9.18)

1988年リリース。ウッディ・ガスリーとレッドベリーへのトリビュート盤で、ボブ・ディラン、ジョン・メレンキャンプ、ブルース・スプリングスティーン、U2、ウィリー・ネルソン、エミルー・ハリスといったそうそうたるメンバーが参加しています。その中で核になっているのがスウィート・ハニー・イン・ザ・ロックというアカペラ・コーラス・チームで、ゴスペル・テイストの聴いた素晴らしいハーモニーを聞かせています。面白かったのがフィッシュボーンと組んだリトル・リチャードが歌う「ロック・アイランド・ライン」で、一瞬ジョン・フォガティーかと思っちゃいました。ファンキーで格好いいアレンジです。ブライアン・ウィルソンの「グッドナイト・アイリーン」は、ロックなアレンジをバックに透明感のある声で歌っていて、フォークな感じとはまた趣が違った面白さがあります。ラストのピート・シーガーにドク・ワトソンまで加わった「ディス・ランド・イズ・ユア・ランド」、ゴージャスなコーラス対も加わり大団円にふさわしい作品です。




A FORTUNE Of Blues Vol. 1 ; FORTUNE/REGENCY RR.119 (2001. 5.26)

デトロイトを中心としたFORTUNEレーベルのコンピ。詳しいクレジットなどはないですが、おそらく1950年代でしょう。ジョン・リー・フッカー、ドクター・ロスといったギター・ブギの名手が泥臭くブギを決めていて気持ちがいいですし、ボボ・ジェンキンズなどもワイルドな感じで、同時期のシカゴものより一段とダウンホームな感じがします。ビッグ・メイシオも入っていますが、このころってどこか具合が悪かったんではなかったでしょうか(失念)。とにかく自動車産業の街のラフ&タフなブルース集です。



A FORTUNE Of Blues Vol. 2 ; FORTUNE/REGENCY RR.20 (2001. 6. 5)

FORTUNEレーベルのコンピ第2弾。これも録音はおそらく1950年代〜60年代初頭でしょう。ジョン・リー・フッカー、ドクター・ロス、ボボ・ジェンキンズといったラインナップは相変わらずですが、第1集よりさらにマイナーな感じがします。収録アーティストもよりヴァラエティに富んでいますし。ビッグ・メイシオは組んでいるハープのキーが外れていてかなり強烈(?)な印象。この辺の粗雑さはローカルならではでしょうか。おもしろかったのがビッグ・ジャック・レイノルズ。ヴォーカルの裏に絡むギターが格好いいんですが、もしかするとウェイン・ベネットじゃないかなんて想像もできます。



From Barbershop To Doo-Wop To Hip-Hop ; MCA UCCC-3042 (2006. 3.17)

1920年から1999年と、ほぼ20世紀を通じたアメリカのコーラスサウンドを集大成した、中村とうようならではの編集盤です。今回は山下達郎も一枚かんでいるようで、ライナーに素敵な文章を載せています。アメリカ音楽のコーラスと言えばゴスペルやドゥーワップの他、ジャズコーラス、ガールズ・グループなど実に幅広くとらえています。さんズ・オヴ・ザ・パイオニアズの「山のこだま」などはカントリー・コーラスだそうだけど、そのヨーデルにヨーロッパルーツを強く感じました。K-Ci&ジョジョなんて新しいサウンドの背後に、こうした伝統が脈打っているのが分かる仕組みで、丁寧な解説もあり興味深く聴くことができました。



From The Lone Star To The Gulf Coast ; RABADASH 8-01817-00252-7 (2006. 1.29)

2005年リリース。邦題をつけるならさしずめ「テキサスからルイジアナへ」ってとこでしょうか。これまたカトリーヌの被害に対して作られたアルバムです。ジョン・オーティンの「アイ・ミス・マイ・ダーリン・ニューオーリンズ」が実質的なタイトル曲で、明るめの曲調のロックの中に、怒りが封じ込められているように思いました。またケニー・トレイラーのスライドをかき鳴らす「堤防が壊れたときどこにいた?」の迫力はやはり作り物じゃない意識のせいだと思います。バート・ラムゼイはドクター・ジョンを若くしたような歌い方。ロッキン・ジェイクも何曲かでハーモニカ吹いてます。この他ケイジャンしてるクロウフィッシュ、クール・ボーンのブラスバンドサウンドなど、結構多彩です。まあ「Our New Orleans 2005」のような深みは感じませんでしたが。



Fulton Street Live - New Orleans ; JAZZ CASINO COMPANY no number (2007.11.16)

2007年リリース。ティピティーナ・ファウンデーションが主催して行ったライヴの模様から、各アーティスト1曲をピックアップ。まあルーサー・ケントの落ち着いた「フリップ・フラップ&フライ」からイングリッド・ルシアの軽妙な「ニューオーリンズ」に行くあたりでもうノックアウト状態。ジャズ系のヴォーカリストが多い中、ジョン・ブッテの「アット・ザ・フット・オヴ・キャナル・ストリート」がひときわ光り輝きます。この人本当に味があるなぁ。よく跳ねるジョー・クラウンの「キープ・オン・グウィン」もいい感じ。フィリップ・マニュエルの「ドント・ゲット・アラウンド・マッチ・アニモア」も格好いい解釈で素敵です。ラストはジョージ・フレンチがしっとりと締めています。聴き所たっぷりの好コンピだと思います。



Funk Drops - Breaks, Nugetts, & Rarities ; WARNER UK 0927-40712-2 (2005. 5. 2)

1968〜74年の、ATLANTICとWARNER系のファンク集です。比較的メジャーなレーベルですから聴いた曲も多く、車の中でぼうっとしながら聴いてたんですが、気持ちいいですね。ミーターズが出てくると腰が揺れちゃうし、エルドリッジ・ホームズの「ポップ・ポップコーン・チルドレン」なんて格好いいなぁ。ウィルソン・ピケットの「エンジン・No.9」もこうしたシチュエーションの中で聴くと実にしっくりはまります。コールド・グリッツの重量感のある「イッツ・ユア・シング」もインストならではで気楽だけど腰に来る演奏でした。こうやってバラしてコンピで聴き直すと、いろいろ発見もあり面白いです。



Funk Drops 2 - Breaks, Nugetts, & Rarities ; WARNER UK 0927-48413-2 (2005. 5. 3)

前日紹介したコンピの続編で、こちらは1968〜75年録音。まず冒頭のボビー・バード、いかにもJB'sといった感じの演奏で、途中しっかり「ゲロッパ」が出てきます。ノーブル・ナイツの「シング・ア・シンプル・ソング」のサックスソロも、ちょっとキング・カーティスをねちっこくしたようでソウルフル。そのカーティスは「メンフィス・ソウル・シチュー」のライヴヴァージョンが入ってます。後半アレン・トゥーサン〜ドクター・ジョン〜ミーターズと続く編集も気が利いてますね。タワー・オヴ・パワーの「ストローク '75」になると、フュージョンやディスコがすぐそこに来てるなって感じも受けました。



Funky Blues Junction ; TOWER/P-VINE PTA-CD-1 (2005. 7.25)

1966〜2004年録音。前後してしまいましたが、こちらが第1集です。編集者の吉田さん自身が関わったシル・ジョンソンの御機嫌なファンクチューンが2曲、それにフルソンがブルースをファンクに繋いだ「トランプ」「ファンキー・ブロードウェイ」をしっかり入れるなど、要所は押さえてあります。でも面白いのはDIALTONE音源で、ルーサー・タッカーの「クレオズ・バック・アゲイン」にアイディアを得たと思われるテキサス・イーストサイド・キングズの「カイズ・バック」や、スローなのにファンキーな未発表「ゴーイング・ダウン・スロウ」、これにウエストサイド・ホーンズの「アリゲイター・ブーガルー」はローカルで野趣溢れますし、アール・ギリアムの「トゥイスト・2」はやLJWの「リル・ジョーズ・ストンプ」はこの人達の半端じゃないセンスをうかがわせます。そんな中にハイ・タイド・ハリスやピストル・ピートのモダンな味が混じっていたりするんで、飽きのこない盤になってますね。



Funky Blues 2nd Junction ; TOWER/P-VINE PTA-CD-2 (2005. 7.18)

1957〜2005年録音。P-VINEが発売権を持つ音源から、タワーレコードの吉田淳さんがユニークな視点も込めて選んだコンピ第2集ですがこれが楽しいんです。いきなりのロバート・ワードのヘヴィーなファンクにまずノックアウトされ、ジミー&シルのファンキー・ブルース・ブラザーズが「カム・トゥゲザー」などややB級な雰囲気でバッチリ決めてくれるほか、ビリー・プレストンはリトル・リチャードにジュニア・ウォーカーの「ショットガン」ときます。新しいところではDIALTONEから日本代表のジャングル・ホップ。でも何といっても良いのはフルヴァージョン収録された「ロッキン肺炎ブギウギ流感」。これで腰に来なきゃ嘘ですよ。吉田さん大プッシュのカーター・ブラザーズもしっかり収録され、あっと言う間の19曲!こりゃたまりません。



Funky Funky Chicago ; FUNKY DELICACIES DEL CD 0053 (2005. 4.21)

こちらは1973〜77年、MOD-ART、STUFF、SCORPIOといったマイナーレーベルに残された録音集。時代からか冒頭からスライ&ファミリー・ストーンあたりの影響を受けたファンクナンバーが飛び出しますが、面白いのはブルースマン達のファンクが結構入っていることです。特にジミー・ジョンソンのインストナンバーが4曲入っていますが、ファンクというよりは60年代のそれこそジュニア・ウォーカーとかアーチー・ベルとかの音に近いかな。ケイシー・ジョーンズやマック・シモンズの名前も見えます。でもこのケイシー、あのドラマーかしら?軽めのファンクでマイアミサウンドみたいだったりしますね。やっぱりチョーズン・フューが格好いいな。全体にB級ならではの猥雑な面白さのあるアルバムです。



Funky Funky Detroit ; FUNKY DELICACIES DEL CD 0059 (2005. 4.20)

1967〜78年にSPORT、BIG HIT、NORTHERNといったレーベルに残された録音を集めたものです。デトロイトなのでMOTOWNとかそこから派生するP-ファンクとかの影響が強いかなと思って聴いたんですが、確かにMOTOWNからの影響は感じますが、むしろ意外とウエストコーストのファンクに通じるものを感じさせる曲が多い気がしました。時代順とかに並んでいないんで、変化がつかみにくいんですが、特にブラック・ナスティというバンドがスライとかのファンクを吸収してるように思ったんですが。ハービー・トンプソンの格好いいリフの後の女性コーラスにかけられた、「お風呂リヴァーブ」など、超B級って感じでたまりませんな。リトル・ダディ・ウォルトンの「ゲッティン・イト・ウィズ・ソウル」あたりはコモドアーズを思わせるタイトなサウンドが格好いいです。ところで「ドント・リーヴ・ミー・トゥ・ビ・ロンリー」というブルージーなインストをやっているドラマティックスって、あのドラマティクスなんでしょうか?



Funky Funky New Orleans 3 ; FUNKY DELICACIES DEL CD 0057 (2003. 6.24)

おそらく主に70年代前半の作品集でしょう。このシリーズも3作目となると、思いっ切りB級な曲がてんこ盛りになります。女のあえぎ声を模したような、なんとも猥雑な雰囲気の曲、セカンドラインのリズムの影響を受けながらも、妙に粘っこさのある曲など、1曲1曲が特段印象に残るわけじゃないけれど、全体として臭さプンプンで楽しめます。トップの「マルディ・グラス・パーティ」の雑踏を聴いていると、本当はこっちの方が「他所行き」でないリアルな雰囲気なのかとも思います。「ファンキー・バースディ」は文字通りファンキーな雰囲気たっぷりだし、ラストの「フランケンシュタイン」の怪しさといったら!



Funky Funky New Orleans Volume 4 ; FUNKY DELICACIES DEL CD 0066 (2005.12. 4)

例によってリリース年などのデータは無いんですが、サウンド的には70年代初頭のものが中心ではと思います。このシリーズは現在5枚出ていますけど、まあ次から次から漆黒のサウンドが出てきますねぇ。もちろん頭から最後まで、ジャケットまで真っ黒な、蒸し暑さすら感じさせるサウンドが目白押しです。チャック・コンウェイの「ゲット・オン・アップ」なんて2部構成の曲は、パート1の方はそんなにぐっと来ないB級ファンクなんですが、パート2になると、いきなりミーターズとJBが結婚したようなサウンドで、凄い子どもが生まれそうです。これまた2部構成のブラザーフッど「スーキー・フィーリング」の最初のギターカッティングが快感。でもこのアルバム最高の聴きものは、16分に及ぶトリック・バッグなるバンドの「ビリー・ジョーの歌」です。ひょっとするとキング・カーティスに触発された演奏かもしれませんが、ジャズテイストを感じさせるエレピやサックスと、超弩級のファンクネスがこもったベースにギターが、ゆったりしたドラムに支えられて縦横無尽に活躍するこの曲一曲を聴くためだけに、このアルバムを勝手も損はないです。ニューオーリンズ恐るべし!



Funky Strut - Roots Music Ramblers Vol.4 ; P-VINE/TOWER PTW-CD-4 (2006.10.18)

詳しいデータは載ってませんけど、おそらく1960年代後半から70年代前半にかけての録音でしょう。吉田淳さんの選曲により、JEWEL系の音源を中心にして、テッド・テイラーを始め23曲がてんこ盛りです。キング・カーティスのバンドのB級ファンク「パイピング・ホット」とかギターがビヤビヤですぐにそれと分かるロバート・ワードなどはたまりませんね。アレックス・ウィリアムズのインスト「ムーン・ダスト」は「チトリン・コン・カーン」のファンクヴァージョンて感じですし、スコッティ&ザ・リブ・ティっプスの「ビッグ・レッグ・ウーマン」もどす黒くていかしてます。ココ・テイラー、フォンテラ・ベイスなどのディーヴァもファンキーに決めてます。また鈴木啓志さんのコレクションからの初CD作品もあり、レアものも入れてあるのがにくい選曲。全体にJEWELってこんな音が良かったっけと思わせる生々しい音で、大音量で聴くと本当に気持ちいいです。



Genuine Houserockin' Christmas ; ALLIGATOR/P-VINE PVCP-8230 (2006.12.25)

2003年リリース。ボーナスのゲイトマウスとエルヴィン・ビショップは1992年の第1弾からですが、他は録りおろしだと思います。トップは「看板娘」ト呼ぶにはトウが立ってますが、貫禄のココ・テイラーから。キャリー・ベルのトレイン・ピースあり、C.J.シェニエのザディコあり、さらにはマーシャ・ボールは「クリスマス・フェドゥドゥ」とケイジャンしてたりと結構変化に富んでいますが、いわゆるクリスマスソングのカヴァーはボーナスのエルヴィンがやってる「リトル・ドラマー・ボーイ」だけと、これかけててもあんまりクリスマスの雰囲気は盛り上がりません。でも最近のALLIGATORらしいちょっとジャキッとしたサウンドに乗って、ソウルフルに歌うシュミーカやホームズ・ブラザーズなど、このレーベルの今を上手くとらえていて面白かったです。



Genuine Mississippi Blues...Plus ; ACE/WESTSIDE WESM 579 (2000. 5.31)

1979年から81年にかけての録音。ジャクソンの ACE から出たアルバムにボーナスが加わっています。サム・マイヤーズやジョニー・リトルジョンといった僕の好きな人が結構いなたくやっています。特にサム・マイヤーズは落ち着いた味のある演奏でどんどん引き込まれました。リトルジョンもストロング・ヴォイスを聴かせてくれます。もっとグリグリスライド弾いたら最高でしたが。この他バッド・スミッティ、有名曲をやるエルモア・ジェームズ・ジュニアなど、バタバタした曲もありますが、楽しめました。


Georgia Blues 1928-33 ; DOCUMENT DOCD-5110 (2009.10.13)

カーリー・ウィーヴァー、エディ・マップ、スリム・バートン、フレッド・幕間連などの演奏が収録されています。全体に原盤の状態が悪いようで、ノイズは強烈ですが、その向こうから聞こえるブルースはディープです。例えばカーリーの「タタ・ブルース」、途中シンプルに「タタタタ...」と歌うんですが、その節回しが何ともいえずブルージー。エディ・マップのハーモニカも素朴ですがサニー・テリーなどにつながっていくスタイルのように思えました。中にはマップとジェイムズ・ムーアのツイン・ハープなんてのもあります。フレッドの7曲はどっしりと落ち着いた感じで、カーリーやバディ・モスがサポートに入っています。いずれもジョージアらしい重厚感のあるブルースです。




Get Low Down! The Soul Of New Orleans '65-'67 ; SUNDAZED SC 11094 (2001. 3. 9)

SANSU、AMYなどの2枚組コンピ、これは凄いです。リー・ドーシーやアート・ネヴィルなど、他のものでも紹介されているものもありますが、僕はここで初めて耳にしたものがかなりありました。べティ・ハリス、ダイアモンド・ジョーなど、きら星のような才能がてんこ盛り!仕事人はもちろんアラン・トゥーサンとマーシャル・シホーンで、サウンド的にはミーターズに代表されるセカンドライン・ファンクが確立されていく過程を見るようです。AFOサウンドに通じるトランペットやホーンの使い方の曲から、どことなくSTAXの影響を感じる曲、そしてミーターズに通じるシンコペーションの効果的な特有の隙間のある曲へと、メイン・アーティストを生かしながらもトゥーサンがどんどんサウンドを変化させていくのが興味深いです。ときおり聞こえる一聴してトゥーサンと分かるピアノなど、このコンピはトゥーサンのファンはぜひとも耳にすべきだと思います。



Get You A Healin' - Proceeds Benefit The New Orleans Musician's Clinic At LSU ; MOONTOWN (2001. 3.15)

1999年リリースのチャリティ盤。これ、最高です!LSU(ルイジアナ州立大学)の中にニューオーリンズ・ミュージシャンズ・クリニックというのが設置されているんですね。なんか分かるなぁ。ジェームズ・ブッカーやブルー・ルー・バーカーのような故人の曲を愛情溢れるアレンジで聴かせたり、病に苦しむミュージシャンを暖かく支えたり、タバコと肺ガン、ウィルスなどを唄い込んだりと、まさに趣旨にあった選曲で、「ロッキン肺炎ブギウギ流感」が病気の歌だったことを忘れるようなアルバムです。ミュージシャンはファンキー・ミーターズ(アート&ジョージ・ポーター!)の他、ドクター・ジョン、アーマ・トーマス、さらにマリア・マルダーも参加していて、ヴァラエティに富んでいます。テーマがテーマなので、派手さはありませんが、カントリー・フレイヴァー溢れる曲やブラック・インディアン・チャントまであり、ニューオーリンズにどっぷり浸かることができます。これはヘヴィー・ローテーションものです。



Get Your Lie Straight - A GALAXY Of Funky Soul ; GRP CDBGPD 162 (2005. 5.29)

1970〜72年くらいの録音でしょう。GALAXYって言うとリトル・ジョニー・テイラーを思い出すんですが、ウエストコーストのブラック・レーベルですから当然ファンクナンバーも残してるわけです。でも冒頭の「フォクシー・ガールズ・イン・オークランド」からすっ飛びますねぇ。格好いいんですが、途中ひなびたスライドギターやらヨーデルやらが出てきてどこか下世話。そんな中にボビー・ラッシュの「チキン・ヘッド」が出てくるんですから思いっ切りはまります。でもこれって再録ですよね。たしかJEWELがオリジナルだったような記憶があります。ファンクと言ってもHIサウンドのような、どっしりしたグルーヴを感じさせる曲が多く、気持ちいいですね。一番ビックリしたのはレニー・ウィリアムズの「フィーリン・ブルー」。曲目も見ずにカーステレオで聴いてたんですが、"Yeah, look over yonder out in the rain."ていう実に聴き馴染んだ歌詞が!そう、C.C.R.の曲だったんです。渋い選曲だなと思いましたが、よく考えたら簡単な話。だって、GALAXYはC.C.R.の所属してたFANTASYの姉妹レーベルなんでしたよね。



The Godfather's R&B - James Brown's Productions 1962-67 ; BGP CDBGPD 194 (2008. 9.30)

1962〜67年の、まさにJB流ファンクが生まれ出るときに残された、。KINGの他BLUE ROCKやSMASH音源の彼のかかわった録音集です。ディジー・ジョーンズの格好いい「アイ・ドント・ケア」で始まり、長年の相棒のボビー・バードやジェイムズ・クロフォードといった、イカした人たちのサウンド作りにJBが辣腕を振るっていたのが分かります。特にクロフォードの「ヘルプ・プア・ミー」など完全なニューオーリンズ仕立てで面白いです。女性ではヴィッキ・アンダーソンや、「アイ・ガット・ユー」の元歌「アイ・ファウンド・ユー」を歌うイヴォンヌ・フェアなども収録。JBのバンドの演奏力の高さもあって、珍しい録音が集められている割にはサウンドの完成度はとても高いです。




Goin' Home - A Tribute To Fats Domino ; VANGUARD 225/26-2 (2007.11.23)

2007年リリース。ただし1枚目の頭のジョン・レノンの「エイント・ザット・ア・シェイム」は旧作です。さすがファッツ・ドミノのトリビュートもなるといろんな人が参加します。ニューオーリンズ勢は当たり前として、トム・ペティ、エルトン・ジョン、タジ・マハル、バディ・ガイ、ポール・マッカートニー、レニー・クラヴィッツ、ロビー・ロバートソン、ロバート・プラント、ニール・ヤング、オル・ダラ、ベン・ハーパー、ウィリー・ネルソン、ハービー・ハンコックにロス・ロボス。いやいや凄いメンバーです。そんな中エルトンやポール、ニールなどヴェテラン勢がオリジナルに比較的忠実にやろうとしているのに対し、レニーのアレンジはファンキーで格好いいですね。ロビーはギャラクティックと組んで「ゴーイン・トゥ・ザ・リヴァー」やってますけど、キーボードがリチャード・マニュエルのような音を出しているのが面白いです。ロバート・プラントはちとおとなしいかな。ノラ・ジョーンズのアコースティックな「マイ・ブルー・ヘヴン」がとってもいい感じ。マーク・ブルッサーは得意のファンキー路線でリゾネイタがいい味を出してます。ベン・ハーパーはラテンがかってますね。ハービーはバックに何とジグとジョージ・ポーターというミーターズ・ラインナップで実にファンキーに決めてます。ロス・ロボスの「ザ・ファット・マン」はこのバンドらしい勢いの良さ。等々書いていて枚挙に暇がありません。とにかく聴いてみてください。素晴らしいコンピですから。



Goin' Down To Louisiana ; GOLDBAND/ACE CDCHD 821 (2002. 3.26)

1950年代末のGOLDBAND録音を集めてSTORYVILLEから1965年に出されたアルバムに未発表を中心に付け加えたものです。ジューク・ボーイ・ボナーを軸に、ビッグ・シェニエなどルイジアナ臭のプンプンする人たちが集められています。ジミー・リードからの影響を強く感じる曲が結構多いのは、EXCELLOなどにも通じますが、こちらはさらに粘っこさを感じます。リマスタリングがいいのか、非常に音質も良く、久々にこの緩さにはまりました。いつもながらイギリスACEの仕事ぶりには感心します。



The Golden Age Of American Rock 'N' Roll - Special Novelty Edition ; ACE CDCHD 980 (2004. 2.23)

1956年から66年までに出された、ロックンロールの中でもとびきり愉快なものを集めたコピですが、これ、めちゃめちゃ面白いです。ジム・バッカス&フレンズの「デリシャス」なんて男女ふたりが妙な笑い声を上げながら「美味しい」を連発するだけだし、「フライング・ソーサー」は空飛ぶ円盤来襲の模様をプレスリーやらリトル・リチャードの曲の一節を繋ぎ合せて再現、「ロシアン・バンドスタンド」に至っては当時のソ連の不自由さをマシンガンの音とともに思いっ切り皮肉っていて、こんなのいいのって感じです。この他もへんてこな歌がてんこ盛りなんですが、これでポップチャート1位4曲を含み、トップ10入りが何と12曲!面白いものは流行るんですね。痛快!



The Golden Age Of American Popular Music - The Folk Hits ; ACE CDCHD 1175 (2009. 1.18)

1958〜68年の、アメリカのフォークの代表曲を集大成したアルバムです。とにかく懐かしいの一言。ルーフトップ・シンガーズの「ウォーク・ライト・イン」から始まって、「天使のハンマー」「花はどこへ行った」「グリーン・グリーン」ですからね。だんだん聴き慣れない曲も増えていくんですが、「漕げよマイケル」「コットンフィールズ」のハイウェイメンは嬉しかったし、ピート・シーガーの「リトル・ボクシズ」なんて曲も入っていて、暫しノスタルジアに浸ってしまいました。




The Golden Age Of Northern Soul ; BESTWAY BESTCD 005 (2003. 8. 3)

詳しいクレジットはありませんが、おそらく1970年代から比較的最近のものまで含むコンピです。イギリスのDJ、ケヴ・ロバートがコンパイルしたもので、如何にも良質なノーザン・ソウルをてんこ盛りにした2枚組です。知った名前はルーサー・イングラムやエドウィン・スターくらいですが、MOTOWNの音をさらにすっきりさせたような感じで、どの曲もダンサブル。こんな曲があったんだって感じです。ドライヴの友には好適でした。でも僕の好みとしてはもっと粘っこい方がいいかな。



Golden State Funk - Impossibly Rare Funk From The Bay Area ; BGP CDBGPD 186 (2008. 1.28)

1960年代末から70年代初頭のカリフォルニアはベイ・エリアのファンク集ですが、全く知らない人ばかりです。だってアンイシュード・テイクのオンパレード。どっからこんなの掘り出してくるんでしょうか。カリフォルニアらしい明るさのあるサウンドが多い感じで、その辺はスライ&ファミリー・ストーンに通じるのかもしれません。ちょこっとミーターズっぽいサウンドも出ますが、リズムはぐっとシンプル。サン・フランシスコ・TKOズの「ハーム」なんてぐっと来るミディアム・ファンクで格好いいなぁ。ルビー・デリシャスはアリサノ向こうを張って「ロック・ステディ」と来ましたがなかなかのもの。何も考えないで聴くのが良さそうです。



GOLDWAX Northern Soul ; KENT CDKEND 313 (2009. 8. 3)

1964年からおそらくレーベルが消滅するまでの録音集でしょう。え、GOLDOWAXにこんなのがあったんだ!という感じの軽快なアップナンバーがてんこ盛りです。スペンサー・ウィギンズやジェイムズ・カーなどどっしりしたソウルナンバーの印象の強い人たちまで、タイトな曲をやってたんですね。「エヴリ・リトル・ビット・ヘルプト・ミー」はアイヴォリー・ジョー・ハンターの曲となってますが、にわかには信じられない雰囲気です。当時はイシューされなかったテイクも多数あり、ジョージ・ジャクソンの「ユー・ガッタ・ハヴ・ソウル」などものすごく格好いいのになぜ出なかったんでしょうね。この他聴き所満載で楽しめます。




The GOLDWAX Story Volume 1 ; KENT CDKEND 203/P-VINE PCD-3249 (2002. 1.29)

1964〜69年録音。先日ジェームズ・カーのGOLDWAX盤を聴きましたが、これはその時代のベスト盤ともいう内容のコンピです。まさに良質のサザンソウルがてんこ盛りって感じで、サム・クックの影響が思いっ切り出たルイス・ウィリアムズをフューチャーしたオヴェイションズがまずインパクト充分でした。O.V.ライトの「ザッツ・ハウ・ストロング・マイ・ラヴ・イズ」もサザンソウルの名曲中の名曲、しみます。オーティス・レディングの「アイヴ・ビーン・ラヴィング・ユー・トゥー・ロング」をカヴァーしたベン・アトキンス(鈴木啓志さんによると白人のようです)なんて人もいますが、えらく田舎っぽくて微笑ましかったり。第2集も楽しみです。



The GOLDWAX Story Volume 2 ; KENT CDKEND 225 (2004. 3.26)

1964〜69年に録音されたものの未発表を含むベスト第2弾です。冒頭のスペンサー・ウィギンズが歌うアリサ・フランクリンの大ヒットを改作した「アイ・ネヴァー・ラヴド・ア・ウーマン」がまずぐっと来ます。その南部のジトっとしたフィーリングを、デュエイン・オールマンのスライドが否が応でも煽るんです。オヴェイションズ、O.V.ライト、ジェイムズ・カーとこのレーベルを代表するような人達の曲もしっかり収録。この他全体にどっぷりと深いバラードに味わいのある曲が多いですが、中には教会から飛び出してパーティに来たようなジョージ&グリアのサム・クック・ナンバー「グッド・タイムズ」なんて楽しい曲もあります。これは第3弾も期待できそうですね。



Gonna Rock The Blues ; OFFICIAL CD 503 (2001. 5.25)

その名の通りのロッキン・ブルースのコンピです。しかし凄くマイナーな人が収録されていて驚きました。エディ・ホープ、ザ・スライ・フォックス(アイク・ターナー絡みのようです)、モジョ・ワトソン、ジョ・ジョ・ウィリアムズなど、初めて聴く名前でした。スリーブにはアーティストの写真とレコード番号くらいしか載っていませんから、いろいろ素性を調べるのが面倒でした。でも中身はご機嫌です。マジック・サム、ライトニン・ホプキンスなど有名どころも入っていますが、選曲が思いっ切り渋いです。オーティス・ラッシュが一曲あって、「ジャンプ・シスター・ベッシー」ですからね。相当好きな人が作ったコンピのようです。ブルース・ダンス・パーティとでも洒落込みましょうか!



Good Things - The Story Of SAADIA Records ; JAZZMAN JMANCD 015 (2008. 1.29)

SAADIAというのはマイアミのレーベルで、1965〜71年に十数枚のシングルを出しただけなんですけど、マイアミ・ファンクらしいグルーヴ感のある演奏が格好いいです。ライヴ仕立てのブラザー・ウィリアムズ「コールド・スウェット」は、オリジナルよりブライトな感じだけど、印象は黒いです。で、何といってもこのアルバムの目玉は4曲収録のリトル・ビーヴァーでしょう。「ドゥー・ライト・マン」は「99.5」風のイントロからじっくり腰を据えたファンクに突入。ビーヴァー、歌がいいですね。しっかりしたホーンセクションを擁するバンドのでんと座ったファンクの上で、ちょっとゴスペル風味も感じさせるハイノートな歌声が魅力的です。



The Gospel According To Austin ; 107.1 KGSR (2001. 6.27)

2000年ベネフィット・アルバムとしてリリース。ゴスペルと言っても、黒人・白人取り混ぜ、スタイルもクァルテットからカントリー、果てはロックまで様々。「タッチ・ザ・ヘム・オヴ・ヒズ・ガーメント」「ジョン・ザ・レヴェレイター」「アメイジング・グレイス」といった有名曲は割合ゴスペルだって分かるんですが、曲によっては歌詞を聴かないと全然別のものかと思ってしまいます。逆に言えば福音を音楽に乗せて歌えば何でもゴスペルなのかなって思いました。それだけ自由度が高いわけです。途中聴き覚えのある声だと思ったら、ガイ・フォーサイスだったりしました。



The Gospel Train Is Coming ; MCA VICTOR MVCE 24003 (2000.10. 6)

MCA JEMSシリーズの1枚。1926〜69年録音。MCA系列の音源を使った、ゴスペルの入門用アルバムと言っていいでしょう。クワイア、カルテット、ソロとさまざまなスタイルをほぼ歴史順に聴くことができ、僕みたいなゴスペル初心者にはうれしいコンピです。でもその分散漫で、トータルにぐっと来る感じは余りありません。また、中村とうようさんの解説が時に紋切り型で、ステレオタイプ(二分法)になっているのが気になりました。やはりCD1枚ですべてを語ろうってのには無理があるように思いました。



Great Black Cooga-Mooga ; STILL SLCD 1163 (2009. 3.27)

1950年代終わりから60年代初めくらいの音源集でしょう。STILLのこのシリーズ、安っぽいジャケットにレーベルの写真を貼り付けたインレイとほとんど芸はないんですが、25曲無名のご機嫌なナンバーが詰まっています。まず冒頭のチャック・マン「リトル・ミス・ルフェット」、ギターがご機嫌ですね。チャールズ・ウォーカーの「イット・エイント・ライト」と「チャールズ・ウォーカー・スロップ」はどっかで聴いたことがあるかも。ジェイ・ミラーのセッションのような気がします。ジョニー・ジョンソンの「グレート・クーガ・ムーガ」はノヴェルティな感じ。こんな中にひょこっとジミー・スプルーイルの「スクラッチン」や「カントリー・ボーイ」なんてのが出てくると嬉しいですね。ロイ・ブラウンの「ヤング・ブラッド・ツイスト」は初めて聴くかも。こういう発見があるから楽しいんです。




The GROOVE Story - R&B From The Radio Corporation Vol. 2 ; GROOVE/WEST SIDE WESA 831 (2002. 1.28)

1954〜57年録音。GROOVEはRCAがロックンロールが生まれる頃に興したサブレーベルのようで、ニューヨークを中心とした、オーティス・ブラックウェルやファイヴ・キーズ、チャールズ・カルホーンなどのR&B・ドゥーワップなどを集めてあります。時代のせいか全体に跳ねるようなリズムを持ったサウンドで、洗練されたとは言えませんが、かなりポップな印象の曲が多いです。「メイベリーン」へのアンサーソングなど、時代を感じます。面白かったのはテキサスのギタリスト、ロイ・ゲインズの歌もの。ギターはかっこいいです。ラストはミッキー&シルヴィアの大ヒット、「ラヴ・イズ・ストレンジ」で幕を閉じます。



Groovy Guitars ; AUDIBOOK AB119 (2009. 2.16)

1929〜71年録音。中村とうよう氏が選盤した、えぐいギターを集めたコンピで、丁寧な解説も載っていて購入した当時随分勉強しました。ミッキー・ベイカー、T-ボーン・ウォーカーのATLANTIC時代など、渋いところに目をつけていて、そんな中にテディ・バンやロニー・ジョンスン、さらにジョニー・オーティス楽団にいたピート・ルイスやジミー・ノーランといった名手をちりばめてあります。今はなかなか手に入りにくいと思いますが、見つけたら買いだと思います。




Groovy Instrumentals ; P-VINE PCD-23964 (2007.10.14)

1955〜2006年の、50年余りに及ぶ歴史の中から選ばれたハーモニカ・インスト集です。もちろん音源は契約の関係があるので、必ずしも網羅はされていませんが、結構ガツンと来るものが多いです。その中でも冒頭を飾るビリー・ギブソンの「ヒップ・ハグ・ハー」が強烈!MG'sのインストをここまで格好良く仕上げるとは。この1曲でもう満腹です。残りのものは聴いたことのあるものが多いんですが、ご機嫌なサザン・ビートに乗って演奏されるハーモニカ版「ホンキー・トンク」の「ハープ・オン・イット」とか、ルイス・マイヤーズの「ジャスト・ウェイリン」など、四半世紀前に聴いたときのことを思い出します。ジョニー・ダイアーやロッド・ピアッツァといった西海岸の人たちの格好良さも、もっと知られるといいなぁ。他のブルースもそうだけど、ハーモニカはシカゴだけじゃないんです。



Group Harmony & Jump - The Legendary DIG Masters Volume 5 ; ACE CDCHD 759 (2009. 3.28)

1956〜61年の録音。ジョニー・オーティスのDIGレーベルに残されたコーラスを中心とした録音集ですが、その多くは当時未発表だったものです。リリースされたトニー・アレン、リトル・ジュリアン・ヘレーラなどはゆったりしたポップ・バラードといった曲調で、この辺がヒットを狙えそうな曲と考えられていたようです。未発表のファントムズ、ヴァイデルズ、クリック・クラックスになると、けっこうノリのいいアップテンポの曲もあるんですが、東海岸やシカゴのものに比べる都全体に軽めで明るい感じですね。これがカリフォルニアってことなんでしょうか。「ドント・エヴェー・リーヴ・ミー」という曲はシュガー・パイ・デサントとピー・ウィー・クレイトンのデュオでしょうか?歌だけではちょっと分かりませんでしたが、ギターは確かにピー・ウィーかも。




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