CD INDEX(Japanese)
 

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吾妻光良&ザ・スウィンギング・バッパーズ ; Swing Back With The Swinging Boppers ; VIVID SOUND VSCD-3008(2002. 6.19)

1983年録音のスウィンギング・バッパーズのデビュー・アルバムです。のっけから一聴して吾妻と分かるギターサウンド!ガラスのようなある意味透明でカランとしているシャープな音質と、たたみかけるようなフレージングは今とほとんど同じです。バッパーズのサウンドは録音のせいかややチープですが、それがかえって古っぽくていいです。選曲もジャンプあり、カリプソありで、特に僕の大好きな「アイヴ・ゴット・ザ・ラスト・ラフ・ナウ」とか「ウィン・ウィズ・ミー・ベイビー」とかヴォーカルも含めてなんか一緒に歌いたくなります。ボーナスでシングルカットされた「おいこらお嬢ちゃん」(「クェ・パサ・チカ」の日本語版)も収録。この頃は照れくさかったようですが、日本語の歌詞の面白さもすでに全開です。



Mitsuyoshi Azuma & The Swinging Boppers ; Seven & Bi-decade ; VICTOR VICL-42027 (2006. 9. 3)

2006年リリース。前作から5年という、彼らとしては驚異的に短い間隔で出された新譜です。内容は最近のライヴで定番になってる「IT ブギ」「カミさん不細工な方がいい」「150〜300」「学校出たのかな」などの、ジャンプありラテンありのビッグバンドサウンドに、吾妻さんのコミカルな歌詞、切れ味鋭いギターといういつものバッパーズです。時事問題に怒り、親父化する自分に対して情けなさを感じ、でもたくましく生きていこうという歌の世界は、バンドのメンバー全員の親父化もあって、ほぼ同世代の僕にしてみると、微笑ましさと同時にどこか涙腺に響きます。ある意味現代版クレイジー・キャッツかもしれません。しかし「サイドワインダー」をやってるんですが、これがなんといってもすごいです。ちゃんとBLUE NOTEサウンドをやってるかと思ったら、とんでもなくコミカルな歌誌が乗ってきて、蛇に咬まれてアイテテイテテ、ってやっちゃうんですから。しかも途中、吾妻さんエルモア・ジェイムズのリフをぶち込んでひとりで盛り上がっちゃう。笑いました。この他曲タイトルは日本語なのにライナーノーツは英語、前作の売り上げに関するグラフが付いてて4ヶ月でマイナスになってたり、帯には日本版だけのボーナス2曲収録って、洒落もここまでやれば芸のうちですね。そのボーナス、ライヴなんですが、1曲は「物件に出物なし2006」。まあネタバラしは止めておきますが、さすが時事問題に強い吾妻さんですね。これまた腹を抱えて笑いました。



Mitsuyoshi Azuma & The Swinging Boppers ; Sweatin' Ballroom ; HOT RIVER HOTRCD-001 (2009. 2.11)

2007年秋、鴬谷の東京キネマ倶楽部でのライヴです。ゲストに藤井康一、松竹谷清らを迎え、にぎやかな雰囲気の楽しい演奏を聴かせています。いわゆる「プロ」とは違い、普段別の仕事を持っている面々がこうして大きなライヴを打ち、レコーディングするってことが凄いことだと思います。吾妻さんの声はちょっと荒れ気味でしたけど、ギターの切れはいつも通り。また岡地さんのドラムがいいビートを出してます。ただ選曲がちょっとオヤジですね。特に前半。後半アタマの「道徳ホップ」も歌詞に遊びが少なくなったなぁと思いました。これじゃただ飲み屋でクダ巻いてるオヤジの戯言だなぁ。吾妻さん、もっとユーモアある歌詞がいいと思いますよ。




有馬忍 ; ラブ・ベイ・バラッド ; パラダイス本舗 PDR-0004 (2009. 9.12)

2009年リリース。彼女のライヴは何度か見て、そのストレートでタフな歌声が気に入っていたんですが、藤田洋介、日倉士歳朗ら彼女と一緒にライヴすることの多いメンバーのサポートを得て、スワンプロック的なテイストをぐっと増した作品になっています。ライヴでお馴染みの「D突堤」「波止場は日暮れて」など、横浜に住むものからすると情景が目に浮かぶような作品が多く、忍ワールドが見事に展開されています。でも彼女の弾き語りも好きなんですよね。1曲くらいソロが入ってたらもっと嬉しかったな。




有山淳司 ; ありのままじゅんじ ; RICE UKRR6027 (2008. 3.17)

1978年リリースの初ソロアルバムのリイシューで、1977年の春一番のライヴ録音を含みます。スタジオ録音はR&Bだけでなく、マンドリンやヴァイオリン、クゥイルを思わせるオカリナ、さらにはアフリカ的な要素までを加えたサウンドで、幅広い音楽に接してきた人でなければ作り得ないものです。このサウンドに有山さんのハイトーンで優しげな歌が良くはまるんですよね。一方ライヴは小関隆に中川イサト、石田長生、松田幸一といった豪華メンバーで、実にレイドバックした「ディディワディディ」が何といってもインパクトがあります。この瑞々しさはたまりませんね。



有山じゅんじ ; Thinkin' Of You ; UK PROJECT/RICE UKRR6022 (2004. 6. 2)

2004年リリース。ブラインド・ブレイクを彷彿させる見事なフィンガー・ピッキングで、ブルースというよりはラグタイムや小唄系の曲を奏でます。歌は顔に似合わず?優しげで、「光る雪」なんてギターの音色が情景を描き、そこにほわっとしたちょっとだみ声の歌が乗ってくるのが素敵です。「ペーパー・ムーン」や「オーヴァー・ザ・レインボウ」といったスタンダード曲でのギターは、テクニックの素晴らしさ以上に、絵画のような視覚的な想像力をかき立てる演奏が心地好かったです。この人の歌、必ずしも好きではないんですが、このアルバムは全体として凄く気に入りました。くつろげるなぁ。



有山じゅんじと上田正樹 ; ぼちぼちいこか'08 フューチャリング くいだおれ太郎 ; 風知空知 FUCHI001 (2008.12. 5)

2008年リリース。あの名盤の中から「俺の借金全部でなんぼや」「梅田からナンパまで」「あこがれの北新地」「買い物でもいきまへんか」「あこがれの道頓堀」と、素敵なナンバーを選りすぐって再録したものです。ドラムに正木五郎、ベースにバン・バン・バザールの黒川修、コーラスには金子マリを迎え、万全の態勢で臨んだ再録は、あの名盤の雰囲気そのままに、見事に現代に蘇らせました。唯一録りおろしの「ぼちぼちいこか」だけが、実に上田正樹節なのが笑っちゃいましたけどね。




2010. 8.20 有山岸 ; そろそろおこか 〜Careless Love〜 ; BOUNDEE DDCB-14012 (2010. 8.20)

2010年リリース。有山じゅんじとニューオーリンズな山岸潤史がアコースティック・ギターでコラボすると、こんなのになるんですね。有山の軽い歌声がなかなか味わいがあって、二人の確かなギターと上手く絡み合っていい感じ。軽快な「ヤング・ボーイ・ブルース」もいいノリですね。でも歌は有山さんに任せきった方が良かったかも。途中2曲ベースで細野晴臣も参加してます。「ジャマイカ・ソング」なんて美しいですし、「上を向いて歩こう」のインスト・ヴァージョンもさすがの出来栄え。いわゆる超絶テクニックをひけらかすのではない、でもべらぼうに上手いこの二人のコラボはやっぱり面白かったです。




Ariyo's Shuffle ; Shuffle ; UK PROJECT UKCP 1014 (2007.11.28)

1990年夏、高円寺はJirokichiでのライヴです。このアルバムを中古屋で見つけたときは本当に嬉しかったです。アリヨこと有吉須美人が、ヴァレリー・ウェリントンを連れて帰日、日本で塩次伸二らを入れて行ったライヴですが、アリヨの流暢なピアノにゴスペル・テイストたっぷりで迫力のあるヴァレリーの歌、そしてまさに職人芸の塩次のギターが見事に絡み合って、すばらしい演奏になっています。有名曲のオンパレードで、「スウィート・ホーム・シカゴ」で客をあおる様は「またか」とも思いましたが、演奏の質が高いので許せちゃいます。アンコールと思われる「スキヤキ・ブルース」はもちろん「上を向いて歩こう」、そして「嫌んなった」と、ヴァレリーが日本語で達者に歌うのも好感が持てました。きちんとした形で再発して欲しいアルバムです。



有吉須美人 ; Piano Blue ; P-VINE PCD-5757 (2004. 9.13)

1998年京都での録音です。ロバート・ロックウッドやビリー・ブランチのバックアップで何度もステージを見ており、オーティス・スパンに通じる華麗なプレイは大のお気に入りだったんですが、ようやくソロアルバムを入手しました。もちろんブルースが中心なんですが、その枠にとらわれないソウルやジャズ、あるいはゴスペルなどにも通じる幅の広い演奏が繰り広げられています。ヴォーカルものではステファン・バーンズが主に歌っており、ソウルフルな歌とアリヨのクールなピアノがうまくマッチしていますが、実は一番気に入ったのがちょっとジャグっぽい「ウィンディ・シティ」。シカゴ暮らしの現実を軽妙な演奏で歌い飛ばしていて、実はこれが等身大なのではと思いました。



暗黒大陸じゃがたら ; 南蛮渡来 ; BMG FUN HOUSE BVCK-38058 (2006. 9. 8)

1982年リリース。この時代寿などで何度もライヴを見ていたじゃがたらですが、そのどす黒いグルーヴには本当に強烈な印象を受けました。ゲストに分厚いホーンを入れたこのスタジオ作では、ファンクとパンクをがっちり融合させ、例えば駅近くの小便臭い路地裏の雰囲気を漂わせながら、またどこか新左翼とか右翼とかの極端な価値観に通じるようなムードを持ちながら、でも歌詞が脳味噌に直接響いてくるんです。このアナーキーだけど音楽的な感じは今の日本のヒップホップにあるんでしょうかね。当時は大概酔っ払って見ていたんで、もうちょっとちゃんと味わっておけば良かったな。



五輪真弓 ; 少女 ; CBS/SONY CSCL 1230 (2006. 1.31)

1972年カリフォルニア録音。何といってもタイトル曲です。これ、大好きな曲だったんですよ。キャロル・キングのピアノをバックに、少し大人びたというか、どちらかというと低い声で、ちょっと含みのある歌詞を歌うんですが、アレンジが秀逸で、完全に「フォークソング」の域を出ています。荒井由美の「ベルベット・イースター」が、都会の小娘のイメージなら、こちらは田舎の娘ですが、その田舎がどこか洒落た感じに映ります。この他「雨」の情景も好きです。アルバム全体を流れる瑞々しさと、でもどこか大人びた感じが、この人の魅力だと思いました。



井上陽水 ; Golden Best ; FOR LIFE FLCP-3761 (2000.12.24)

1972年から98年にかけての、陽水の全キャリアにまたがる二枚組ベスト。この人って、大変なソングライターだって思います。特に歌詞は非常に文学的で面白いです。「氷の世界」「青空、ひとりきり」「アジアの純真」など、ボキャブラリィの豊かさと、シュールな世界が混然一体となっていてたまりません。それにあの品のいいメロディがついてくるわけですから、やはり凄い才能を感じます。それに歌。年々唄い方が嫌らしくなっていくのがなんともいえずいいですね。ただ、選曲には不満があります。「東へ西へ」「二色の独楽」は入れて欲しかったな。特に前者は最高の70年代のフォークソングのひとつだと思っていますから。



上田正樹と有山淳司 ; ぼちぼちいこか ; BOURBON TKCA-73243 (2008. 9.17)

1975年リリース。食い倒れがなくなったというので、ついついジャケットに惹かれて買いました。元々音は聴いていたんですけど。さて、最近「弁ブルース」というのが秘かに話題になっていますが、これぞ元祖「弁ブルース」ではないでしょうか。憂歌団はしゃベクリはともかく、歌は結構標準語的な歌詞なんですが、ここで聴けるこのふたりの歌はもう大阪弁丸出しです。大阪人達には大人気の「梅田からナンバまで」、笑いと涙を誘う「とったらあかん」、タイトルからして大阪弁の「俺の借金全部でなんぼや」「買い物でも行きまへんか」と、キー坊の大阪弁が冴えまくってます。有山の見事なギターと、ところどころ聞こえるハイトーンの歌が彩りを添え、このふたりのライヴの楽しさを想像させてもらえます。ボーナスにふたりのユニットとサウス・トゥ・サウスのライヴという、実際にやっていたスタイルの音が収録されていて、それはそれで面白いんですが、アルバムにとっては蛇足ですね。




内田勘太郎 ; Chaki Sings ; OMAGATOKI OMCA-1020 (2005.11. 8)

2002年リリース。沖縄に移り住んだ勘太郎が、愛器チャキでスタンダードナンバーの数々を奏でたソロギター・インストアルバムです。何しろこのアルバムの曲は、The Hot Wattsの2人のギタリストが好きで、しょっちゅうやってるんで耳馴染んでいましたが、あの弾き込まれたチャキから奏でられる、ちょっとひなびた、枯れ味を感じさせるほんのちょびっとだけノイジーなサウンドは、こりゃ絶対無二です。音に愛情がこもっているっていうのはこういうのを言うんでしょう。妙に丁寧に弾くのではなく、ラフさも残すあたりが勘太郎らしいですね。それが絶妙の味わいとなっています。「ムーン・リヴァー」「我が心のジョージア」と、これからも数多くのフィンガーピッカーの手本になるんだろうななんて感じながら、聴き惚れてしまいました。



Kantaro Uchida ; Guitar Blues ; AOMAGATOKI OMCA-1028 (2004. 6.24)

2004年リリース。インストでは例によって華麗なフィンガーピッキングとスライドワークを聴かせ、斎藤ノブのパーカッションが入ると、ちょっとアバンギャルドな雰囲気すら出てきて面白いです。歌ものもありますが、勘太郎の声はすっきりしてて素敵なんですが、生真面目なのかしら?歌詞が真っすぐすぎるのと、バックの演奏も何だかおとなしくオーソドックスになっちゃうような気がします。「モジョ・ワーキン」の日本語版もちょっと期待通りではなかったです。その中では「大阪レイニィナイト」がしっとりしてていいなぁ。昔の良質なフォークソングのようです。



内田勘太郎 ; Guitar Sings ; OMAGATOKI OMCA-1051 (2007. 5. 1)

2006年リリース。先日ライヴ会場で購入しました。勘太郎さんが子供の頃に耳にしていた歌を中心に、インストにしてやっていますが、穏やかな響きのギターが心を癒します。例えばロネッツの「ビー・マイ・ベイビー」、オリジナルのガールズポップな感じを上手いこと、しかも上品に仕立ててます。穏やかさを演出する要素のひとつが則松さんのクラリネットかな。ライヴでも共演なさってましたけど、元々はかなり違う音楽を聴いたりやったりしてたはずのふたりが、ふっと息を合わせたときに生まれる空気が素晴らしいです。後は聴いていて特に耳に残ったのが「悲しき願い」。あの強いリフを上手く表現しながらも、どこか切なく、どこか優しい勘太郎さんのギター、染み入ります。



ウルフルズ ; ウルフルズ ; TOSHIBA-EMI TOCT-24755 (2002. 3.28)

「笑えれば」が久々の快作で気に入っていたウルフルズの最新作が出ました。バンド名をアルバムタイトルにしただけある自信作で、全編彼らの個性が見事に出ています。2枚のシングル作もいいですが、ロックンロールの「ゆーなかれ」(ドラムがC.C.R.の「トラヴェリン・バンド」を一瞬パクってるのがいい)、J.B.の「パス・ザ・ピース」を思いっ切り意識したファンクなロックナンバー「ランデブーチョ」(「走るデブ」の意味で、家族により僕のテーマソングに認定)、カポをかませた音がフォークロックっぽい「オヤジのうた」、もろにメンフィス・ソウルしている「春夏秋冬」と、遊び心がたっぷりの曲がすし詰めで、一家でファンの我が家としては最高でした。黒さとストレートさがすっきりかみ合って、トータス松本のカラーがくっきり出ているのがいいですね。ブルースファンの皆さんもたまにはこんなのも聴いてみてくださいね。



ウルフルズ ; 10周年5時間ライブ!!〜50曲ぐらい歌いました〜 ; CAPITOL TOCT-25050〜4 (2003. 3.23)

2002年のクリスマスに渋谷公会堂で行われたマラソンライヴです。途中アコースティックセットを交え、かかわりのある4人のベーシストが交代で登場、セットの切れ目はすべて「ガッツだぜ!」に統一するなど構成もなかなかです。ウルフルズのライヴはヴィデオで3セットほど出ていて、なかなか楽しいステージングですが、ここでもその様子がよく分かります。時間にゆとりがあるためトークもゆったりで、メンバーの人柄がよく出ています。アコースティックセットがすごく気に入りました。特に「泣きたくないのに」は素晴らしいアレンジです。あとは5枚目のベースにジョン・B・チョッパーが登場するところではもうウルウルしちゃいました。ミーハーなもんで。「ダメなものはダメ」〜「すっとばす」のクライマックスは最高でしたね。是非映像で見てみたいです。ハイヴィジョンでは2時間放映したようですが(うちも地上波の1時間は録画した記憶あり)。因みに買ったのは当然限定箱入りの方で、DVDもついてますが、PCが壊れてて見ることができません。嗚呼、生で見たいけど首都圏じゃなかなかチケットが買えません。都落ちするか、カミサンをファンクラブに入れるか迷ってます。



ウルフルズ ; ええねん ; TOSHIBA EMI TOCT-25251〜2 (2003.12.27)

2003年録音。帰ってきたジョンB・チョッパーを迎え、まさに原点に帰ったようなシンプルなロックンロール・ナンバーがいっぱい詰まった新譜です。とにかくストレートにぐいぐい押してきますが、やっぱり10年以上やり続けたバンドのグルーヴは半端じゃないです。シンプルなようで結構練り込まれた歌詞と、ラフなようで結構歌い込まれたトータスの歌、何度も聴くうち味わいがどんどん出てきます。でも彼らC.C.R.が好きなのね。「男の中の男」なんてまるで「フール・ストップ・ザ・レイン」だし。それに「君にささげよう」はディランの「ライク・ア・ローリング・ストーン」に歌い方まで真似てたりします。これが決して嫌味じゃなく、むしろソウしたオリジネイタ達への憧憬になっているところが、彼らの素直さで好きなんですが。因みに2枚目はジョンBお帰り企画盤です。豪華ゲストを集めて、笑わしてくれます。



ウルフルズ ; 9 ; TOSHIBA EMI TOCT-25582 (2005. 2.22)

2005年待望の新譜です。テレヴィアニメの主題歌やら塾のコマーシャルやらで今回いつになく露出度が高く、シングル盤、ヴィデオクリップなどで半分位は聴いているんですが、やっぱり他の曲もとっとと聴きたくて、予約購買しました。前作はジョンB・チョッパー復帰作ということで、結構原点帰りのストレートなロックが多かったんですが、今回は「バカサバイバー」など遊び心の強い曲が増えています。でもそんな中にペーソスの効いた「歌」や「暴れ出す」、優しさ溢れる「大丈夫」なんて曲がうまく挟み込んであるのが彼らの魅力ですね。「おまえのことさ」はどこかキヨシローを意識しているように思えます。これらの曲をライヴでどんな風にやるのかも楽しみです。前作よりちょっと「売り」にかかっていますが、今の日本では唯一無二の個性、失わずに続けて欲しいです。



ウルフルズ ; ウルフルVVV ; TOSHIBA EMI TOBF 5374〜6 (2005. 3.24)

2005年リリースの3枚組DVDです。過去に出ていた「ウルフルDVD」、「ウルフルV中」、に新作の「ウルフルV3」をセットにしたもので、コマーシャルヴィデオなどがボーナスで入っています。つまるところ過去のヴィデオクリップ集なんですが、面白いのが副音声です。メンバーが言いたい放題言ってるんですが、特に古い映像に対しては流石関西人、自ら思いっ切りこき下ろしています。曲はなじみのものばかりなだけに、こうした遊びが楽しめる秘訣です。「すっ飛ばす」の行進、「ガッツだぜ」の訳の分からない時代劇舞台風、「遊ぼう」のジョンBの情けなさ、「まかせなさい」のはちゃめちゃさ、「笑えれば」のストーリー仕立ての淡い雰囲気など、まとめてみても飽きないものもあります。一気に見ました。



ウルフルズ ; バンザイ〜10th Anniversary Edition〜 ; TOSHIBA EMI TOCT 25893 (2006. 1.28)

タイトル通り10年前の大ヒットアルバムに、ボーナストラックをてんこ盛りして、DVDのおまけまでつけた再発です。僕がウルフルズにはまったきっかけは、このアルバムに入っているタイトル曲をテレヴィのドラマで聴いたのが最初なんです。レンタルショップで早速これと「すっとばす」を聴き、「借金大王」やこのアルバムの「大阪ストラット」「ダメなものはダメ」といった、ユーモラスな歌詞をまっすぐ歌うトータスの歌と、ポップだけどバンドとしてのグルーヴが素晴らしいサウンドにほれ込みました。「サンサンサン95」のアホらしい楽しさ、ペーソス溢れる「泣きたくないのに」など、何度聴いたことか。そこに「安産ママ」や「大阪ストラット」のパート1など、シングル曲、未発表ライヴの「いい女」などが入ってます。「ウソつけ!ウソいえ!ウソぬかせ!」の面白さはどうでしょう!DVDではケーブルテレヴィの映像や「ガッツだぜ」のクリップ撮影風景、学園祭ライヴなど貴重映像がたっぷりでこれも面白いです。3月にはアルバムも出るとか。今から楽しみです。



ウルフルズ ; YOU ; TOSHIBA EMI TOCT-25921 (2006. 3.10)

2006年リリース。ピカピカの新譜です。今回の作品はラヴソング集ですが、トータスの作るラヴソングには、いわゆる甘さはありません。男の気持ちを直球ど真ん中で相手のミットに投げ込むそのスタイルは、「いい女」「バンザイ」以来ますます磨きがかかっています。その代表がシングルカットされた「サムライソウル」で、前作の「暴れ出す」の続編にあたる曲調ですが、まさに真剣勝負って感じですね。この他ライヴ仕立ても2曲、1曲は恐らくトータス自身のスライドで、もう1曲はドン・ニックスの「セイム・オールド・ブルース」を和訳したような曲。この他遊び心の入った歌もありますが、そこにはスケベ心も隠さない、でも純な男が詰っています。この時期にリリースされたのは、ひょっとして3月14日を意識してるのかしらね。



ウルフルズ ; Keep On, Move On ; WARNER MUSIC JAPAN WPZL 30078/79 (2007.12.13)

2007年リリース。ピカピカの新譜です。コマーシャル・ソングになってる「たしかなこと」「泣けてくる」など、ゆったりしたミディアムは、トータスの曲作り、歌詞作りの才能をいかんなく発揮してて、何度聴いてもぐっと来ます。一方遊び心もたっぷりで、愉快な「花さかフィーバー」はもちろん、エルモア・ジェイムズのブルーム・ダスター節で情けなく歌う「あんまり小唄」なんか音が出た瞬間カミサンが「お父さんのいつも聴いてる曲みたい」と実に的確な反応を示しました。ラストの「四人」は「サニー」の替え歌で、バンドの歴史を歌ってますが、きっと「三人」からヒントを得たんでしょう。HIサウンドっぽい曲あり、ノリのいいロックありで、実にウルフルズらしいアルバムです。



ウルフルズ ; ウルフルズがやって来る! ヤッサ09Final!! ; WARNER MUSIC ENTERTAINMENT WPZL 90001/3 (2010. 1. 3)

2009年8月30日、万博特設会場でのウルフルズのとりあえずのラストライヴ完全映像です。「世界の国からこんにちは」をBGMに、御輿?に乗っかってやってくるメンバー。曲は「ウルフルズA・A・Pのテーマ」から始まり、古い曲、サム・クックの「グッド・タイムズ」の日本語カヴァーのようにめったに聴けない曲、新曲を織り交ぜ、たくさんの見せ所を交えて、たっぷり3時間はあろうかという熱演です。周囲はどんどん暗くなり、途中「ダメなものはダメ」ではけーやんはセリフ噛んじゃうし、インフルエンザのせいでジェット風船は取りやめ、そのかわり会場全体で「六甲おろし」歌ったりと、地元ならではの熱気あふれるライヴです。アンコールは別ディスクで、3回あり、2回目のアンコールでは、トータスが休止ヘの思いを語る場面も。まあ微妙に方向性がずれてきたんだろうけど、そのことには触れてませんでしたね。ラストは「いい女」。毎度お馴染みのものです。彼らのある意味予定調和的なところのあるライヴ、でもだからこそ安心して楽しめたんだと思います。前日の模様からのボーナス映像と、新曲のシングルCDもついていました。




榎本健一 ; エノケンの大全集 ; TOSHIBA EMI TOCT-6019・20 (2007.12.26)

2枚組で、1枚目は1968年に再録されたもので「エノケンおおいに歌う」、2枚目の方は三木鶏郎の曲を歌った「エノケン"トリメロ"を歌う」と題されています。1枚目はもう代表曲のオンパレード。「洒落男」「私の青空」「月光値千金」といった流行り歌から「南京豆売り」のようなジャズが元歌のもの、「金比羅船々」「炭鉱節」といった民謡と選曲も多彩です。なんと当時の流行りだった「バラ・バラ」までやっちゃう貪欲さがすごいなぁ。一方2枚目は楠トシエ等を従えながら主に昭和20年代に録音されたもので、「僕は特急の機関士で」「お江戸よいとこ」なんて楽しい歌の他、「これが自由というものか」なんて社会風刺ものもあり、この辺り、歌い回しや声も含め、高田渡にすごく影響を与えているんじゃないかなと思いました。「うちのテレビにゃ色がない」は懐かしいなぁ。でもこれはさすがに昭和40年代じゃないかな。サンヨーのカラーテレビの宣伝だもの。以前だらだら聴いたんですけど、今回は一気に聴いちゃいました。



遠藤賢司 ; 純音楽一代 - 遠藤賢司 厳選名曲集 ; MIDI INC MDCL 1458/9 (2006. 4.11)

1969年のデビューから2002年の録音までをおさめたエンケンの集大成的2枚組ベストです。僕は彼の熱心なファンだったわけではありませんが、1975年、ちょうど「HARD FOLK KENJI」が世に出た頃にラジオで聴いて、その豪快なアコースティック・ギターでのブギに度肝を抜かれ、ギターを本格的に弾き始めたという思い出があります。弾き語りフォークから始まり、「東京ワッショイ」のようにバンドをバックに付けて派手な演奏をしていっても、根本的に全く変わらないのはエンケンの歌です。かなりわざとらしく感じるような歌なので、ちょっと取っ付きにくい面もありますが、歌詞の中身と情景を歌という手段で伝えようという姿勢とエネルギーは半端じゃないですね。ある意味清志郎に通じるものを感じました。



遠藤賢司 ; エンケンの四畳半ロック ; MIDI MDCL-1349 (2006. 3. 5)

1999年リリース。エンケンのヒット曲を1人で弾き語り再録した作品です。実はエンケンは僕には思い出深い人なんです。1975年くらいにラジオで生演奏をしたのを聴いて、それこそビビッとひらめいて、いわゆるブギっぽいギタースタイルを僕に教えてくれた人なんですよ。その勢いのあるアコースティックサウンドは、インパクト十分でした。この作品では、「カレーライス」「東京ワッショイ」といった代表曲を、新しい味わいで再演しています。歌はますますねちっこさが強くなり、表現過多なところもありますが、エンケンはその位じゃなきゃね。好きな歌は「外は雨だよ」。なんか女の子を相手にしたそれこそくどき歌かと思う歌詞なんですが、ミルクや煮干しが出てきて種明かしってやり方、センスいいなぁ。猫好きにはたまりません。「不滅の男」も強烈なナルシズムを見事に昇華してると思いました。



大西ユカリと新世界 ; 昭和残唱 ; SUBSTANCE BSCL 30039 (2006. 3. 8)

2005年リリースのようです。仙台の酒屋「いづみ屋」の当主、佐々木の健チャンの大推薦な大西ゆかりですが、ようやく聴きました。ぶっ飛びました。この歌の力、芯の芯から出るパワー、久々の感覚です。特に五木ひろしの「待っている女」は凄い!この歌って、こんな格好いい歌だったんですね。オリジナルにサム&デイヴの「ホールド・オン」、そして何といってもリアリティたっぷりの「ヨイトマケの歌」と、久々に心臓わしづかみ状態です。本当の歌の上手さって、こういうのを言うんだと思いました。脱帽!



オグリ昌也 & ハニーボーイ小林 ; 阿佐ヶ谷ジュークジョイント ; SOUTHSIDE SSBC-018 (2010. 1.18)

2009年リリース。阿佐ヶ谷で活躍するオグリ昌也に、横須賀のパッカー・ハーピストのハニーボーイ小林がコラボしたアルバムです。オグリのちょっとすっとんきょうなヴォーカルは、最初聴くとびっくりしますが、何度も聴いてると癖になります。面白いのは「アイ・キャント・ビ・サティスファイド」で、曲はマディのそれなんですけど、歌詞は「オラ東京さ行くだ」だったりします。「ゆうやけこやけ」の哀愁のある世界にハニーボーイの達者なハーモニカが色を添えるかと思うと、ボ・ディドリー風のブギ「モナ」のストレートなパワーはインパクトありますね。そんな中「春風」なんて優しげな曲がはさまってるのがこの人の幅広さだと思いました。




加川良 ; 教訓 ; URC/AVEX IOCD-40022 (2008. 9.28)

1971年リリースのファースト・アルバムです。「教訓」とかはラジオで聞いたことがありましたが、当時はどうもフォーク・ブームに乗りきれず、ちゃんと聴いたことがなかったんです。でも、やなぎさんがよく歌う「その朝」の元歌を聴きたくて買ってみたんですけれど、改めて聴き直すと、達者なバンジョーやギターに乗って、高田渡に通じる見事な歌で、社会風刺と批判のこもった歌をたっぷり歌っていました。ルーツにカントリーやブルース、ゴスペルといったアメリカン・ミュージックをたっぷり感じます。こうして聴き直すと、当時のブームがいかに大切なものを覆い隠していたかが分かります。




加藤登紀子 ; 全曲集 ; POLYDOR POCH-1840 (2006. 3. 2)

1966〜85年のヒット曲集です。シャンソンをベースにしながら、日本の歌を見事に登紀子節に消化していくのが何といっても素晴らしいですね。ヒットした「知床旅情」「琵琶湖周航の歌」といった大正時代の香りを漂わせるような楽曲から、「ひとり寝の子守歌」「黒の舟歌」といった、当時それを聞いていた子供にとっては、正しい意味での大人の世界をのぞかせてくれるような歌、彼女の独壇場です。でも僕が好きなのはやっぱり「美しき五月のパリ」や「リリー・マルレーン」のような、ヨーロッパの香りを漂わせる歌。こうした歌声を聴いていると、自分の中の歌心がむくむくと頭をもたげていきます。



金子マリ & Bux Bunny ; ライヴ We Got To... ; CBS SONY CSCL 1246 (2007. 8.25)

1976年12月のライヴです。LPで言うとA面はマーヴィン・ゲイの「ワッツ・ゴーイング・オン」でスタート。上手いなぁ。続く「それはスポットライトではない」は、浅川マキの詩で歌っていますが、次の「夕焼けの詩」とともに、じっくり歌い上げる感じ。カルメンマキよりもソウルフルですね。LPのB面に行くとバックス・バニーのファンキーな演奏が光ります。特に鳴瀬喜博のブイブイ言うベースが格好いいなぁ。こんなの当時生で見てたらぶっ飛んじゃいますね。さすが実力派と言われていただけのことはあります。



カルメン・マキ & OZ ; ファースト・アルバム ; POLYDOR POCH-1414 (2005.12.17)

1975年リリース。中古で購入。このアルバムが出た頃、ロックバンドでヴォーカルやってた僕に、バンドのギタリストが「これ歌え」と持ってきたのが「私は風」と「午前1時のスケッチ」でした。声の高さはいっぱいいっぱいでしたけど、歌った覚えがあります。当時の日本のロックの流行りだったのか、全体にドラマチックな構成の曲が多く、マキの絶唱もあって、LPだと両面に分かれていた曲を一気に通して聴くと、ちょっとめまいを覚えますが、そんな中に「きのう酒場で見た女」なんて、ラグタイム調のアコースティックなサウンドが入っているのが一服の清涼剤って感じで素敵です。



鬼頭つぐる ; また遊ぼうぜ ; H2 H2CD-2103 (2008. 6. 3)

2001年リリースの1st.アルバムです。今も大切に歌い続けている「川を越えて行こうよ」や、楽しいジャグバンド系の歌「悩みがないのがおいらの悩み」など、ライヴでお馴染みの曲の他、洒落たマイ・ベイビー・フィール・ソー・グッド」しっとりとした「陽子」など、ソングライターとしての才能もたっぷり花開いています。ギターの腕前もさることながら、その情感あふれる、でもどこか元気になる歌声、魅力たっぷりです。おまけに入ってる「ハピネス」、どこか「ミー&ボビー・マギー」に似ていて、なんだか彼のルーツをのぞき見したような気分。



鬼頭つぐる ; ちゃらんぽらんでへっちゃら ; H2 H2CD-2312 (2008. 9. 6)

2003年リリースの2ndアルバムです。エレキギターにアルバート寄木、スライドにMojo Houseの鈴木裕、コーラスにムーニーやYokoが参加していて、ちょっぴりジャジーな曲が多いです。好きなのはライヴでよくやってる「扉のむこうへ」、マイナーでちょっと気だるい感じがいいです。タイトル曲はライヴでは大盛り上がりするんですが、ここではぐっとクールなコーラスで格好いいですね。この他「6月の雨」などフォークソングの王道を行くような曲もあり、楽しめるアルバムです。




鬼頭つぐる ; I Sing My Soul ; H2 H2CD-2705 (2007. 7.28)

2007年リリースの新譜です。鬼頭さんは昔ブタメガネというジャグバンドに参加していて、それで聴いたんですが、達者なブルースギターを弾く人だなという印象でした。でもこのアルバムを聴くとぐっとフォークで、特にギターの音色が美しい「六辻水辺公園」は、情景描写がリアルで、実際に歩いている気分になります。ジャグっぽい曲、勢いの良い曲と、やりたい音楽をどんどんやったのが伝わりますが、それぞれ見事に消化できていて飽きさせません。そしてラストのタイトル曲、コードストロークでシングアウトする感じの曲ですけど、鬼頭さん自身の素直な気持ちが込められていて素敵な歌です。ライヴで聴きたいですね。



鬼頭つぐる ; Tsuguroots 〜I Have Done It By Myself ; KITOH TSUGURU no number (2010. 9. 1)

2010年リリース。アカペラの「ベンツが欲しい」でスタートするつぐるちゃんの新譜はカバー集です。普段のライヴでもよく歌うジャジーでスウィンギーな「アイル・シー・ユー・イン・マイ・ドリームズ」や「ジー・ベイビー」、「ジャスト・ア・ジゴロ」に、トロピカルな「小さな竹の橋の上で」、それにビートルズやディランを弾き語ります。確かなギターの技術と、ちょっとハスキーでエモーションを感じさせるヴォーカルという彼の魅力が上手く捉えられていますね。ラストはセルフ・カヴァーの「川を越えて行こうよ」、よりライヴに近いスタイルで、目をつぶると目の前で歌う姿が思い出されます。




木村充揮, 近藤房之助 ; 男歌 - 昭和讃歩 ; ZAIN ZACL 9016 (2009. 2.27)

2007年リリース。こんなの出てたんですね。気付きませんでした。最近流行の昭和歌謡ですが、ご両人が交互にヴォーカルを取る形で歌っています。木村さんはさすがの雰囲気で、全部自分の世界にもっ照っちゃうから凄いですね。でも房之助さんの方は、ある意味歌がまっとうすぎて、なんだかいまひとつしっくり来ませんでした。アルバムの最初と最後に入っているブルースのジャムセッション風景が一番馴染んだのは、やはり先入観のせいかしらね。




木村充揮X近藤房之助 ; Crazy Dogs ; ZAIN ZACL 9034 (2009. 9.11)

2009年リリース。冒頭の「クレイジー・ドッグ」から木村節が全開です。「何でやねん?」「コマルヨアルヨ」など、言葉の選択が思いっ切り木村らしくて楽しいです。それに対し房之助の方は真面目というか。でも「沈下橋」はなかなか意味深でしたね。前作の昭和歌謡路線も継承していますが、「どしゃぶりの雨の中で」、木村も房之助も、それぞれ違った面の和田アキ子の味を出している感じで、思わずリピートしちゃいました。全体としてはちょっとネットリしすぎている感じもありますが、まあ楽しめました。




久保田真琴と夕焼け楽団 ; Made In Islands Vol.2 - Jakarta Champur ; SHOW BOAT SWX-30 (2007. 8.12)

元々は1975〜76年録音で、1999年のCD化に際して久保田氏自身がリミックスを施しています。その辺の内容はセルフ・ライナーに出ていますね。沖縄、ハワイ、インドネシアにどこかカリブの香りもするといった音作りは、プロデュースに名を連ねている細野晴臣の「トロピカル・ダンディ」にも通じますが、久保田真琴の方が屈折していないというか、より土着の音にぐっと踏み込んでいる印象です。「オー・セニョリータ」のコーラスをかけたアコギの音、気持ちいいなぁ。ハワイテイストな「サンフランシスコ・ベイ・ブルース」、今はなき横浜〜桑港航路のデッキの上のイメージかしら。夏に最適の音楽です。



コージー大内 ; 角打ブルース ; MARUYOSHI MARUYOSHI-02 (2008. 5. 9)

2008年リリース。かつて「ライトニン大内」として、ライトニン・ホプキンス・スタイルの格好いいブギを唸っていたコージーが、彼の故郷の日田弁炸裂のアルバムを出しました。すでに「弁ブルース」として各地で絶賛。強烈です。僕は生まれが久留米、両親、親戚皆九州人なので、九州弁はほぼ分かります。だから日田弁で歌う歌詞の内容も手に取るように伝わってくるんですが、「オヤジ・ブギ」の情景のリアルさは半端じゃありません。これを横浜弁でやっても盛り上がらないでしょうね。くやしいですよ。もちろんライトニンのカヴァーもありますが、このスタイル、いけてますねぇ。大推薦の一枚です。



国分寺エクスペリエンス ; 世界のおかあさん ; KOH-GA-SHA K-006 (2009. 6. 6)

2004年作だと思います。国立は谷保のかけこみ亭で買いました。伸びやかなヴォーカルのおちょこさんが、母親の気持ちに立って戦争は嫌だ、平和をと世界に向けて発信しています。ウェブサイトもあるようですが、歌の持つ強さを感じる作品になっています。バンドアレンジのものもいいのですが、ピアノをバックにした子守歌ヴァージョンが好きだな。




小坂忠 ; Early Days ; EPIC ESCL 2280 (2008. 9.12)

1971〜73年にリリースされたアルバムからのベストです。歌詞の面白い「からす」など初期の3曲はかなりカントリーテイストが強いのですが、ヴォーカルのオーヴァーダブなどは後の細野晴臣に通じる音で、実はあんまり得意じゃありません。むしろライヴ盤からの3曲の方が素直なカントリー・ロックといった感じで気に入りました。73年のアルバムになると音がぐっとモダンでタイトになり、「朝は気まぐれ」ではブラスを入れてちょっとファンキーな仕上げです。この辺りアメリカン・ロックをたっぷり消化したメンバーらしい音作りですね。でも歌のダブがやっぱりどうもねぇ。しっかりした声の持ち主なのに抜いた感じにしちゃうってのが、僕はどうも苦手なようです。




小坂忠 ; ほうろう ; EPIC ESCL 2281 (2008. 9.10)

1975年の作品で、バックは鈴木茂、松任谷正隆 細野晴臣、林立夫といった、当時ティン・パン・アレーを結成していたメンバーが担当しています。ですからタイトル曲などどこかリトル・フィートのような、でももうちょっと「ニューミュージック」然とした演奏になっていますね。「氷雨月のスケッチ」の跳ね具合はちょっとレオン・ラッセルの「タイト・ロープ」を思い出しました。ファンキーな「ゆうがたラヴ」など、野太い感じの曲は小坂の声がガツンと来て気に入っているんですが、「ボン・ボヤージ波止場」のようなソフトな曲はやっぱりどうも苦手です。




小林創 ; Swing Easy? ; YPM YPM-022 (2008. 8.12)

2008年リリース。これは待望のアルバムです。ファッツ・ウォーラーをこよなく愛する現在日本で最高のジャズ・ピアニストのひとり、小林創のソロは、丁寧に録音された素晴らしい仕上がりのものになりました。それぞれの曲に自身の簡単なコメントをつけながら、丁寧に、想いを込めて弾いているのがスピーカーを通しても伝わるような演奏は、何度聴いても聴き惚れてしまいます。ウォーラーは「浮気は止めた」をはじめ4曲、この他「私を野球に連れてって」、「ジャスト・ア・ジゴロ」といったスタンダードと言っていい曲も、創流に料理が施されていますし、最も知られたラグタイム曲「ジ・エンターティナー」の演奏も、本来のシート・ミュージックのようなかっちりしたものではなく、情景に流されながら、心のおもむくままに弾いているといった演奏で、味わい溢れています。でも僕が最高に気に入ったのはラストの「フリー・アズ・ア・バード〜ジャスト・ア・クローザー・ウォーク・ウィズ・ジー」ですね。このニューオーリンズの葬送では定番の2曲を、見事な解釈で弾いています。彼のライヴは何度か拝見していますが、ライヴでは聴き逃してしまうような繊細なピアノタッチがしっかり捉えられているのも、スタジオ録音(実際はホールを借り切ったそうです)ならではだと思います。でもライヴはまた別の魅力。このCDで彼の演奏を気に入ったなら、是非彼のライヴも見に行ってください。こんなに揺さぶられるピアノはなかなか聴けるものではないですよ!




近藤房之助 & The Place ; Take Me Back To The Blues ; ROOM BMCR-8002 (2001.12. 3)

2001年リリースの房之助さんのニューアルバムはタイトル通りブルースで塗り固められています。シャカシャカした音質の音楽が巷に溢れる中、重厚ですがドライヴ感のあるウッドベースと無駄のないドラム、それに小島さんのピアノがいいアクセントになって、どっしりしたサウンドをバックに、房之助さんじっくりブルースを歌い込んでいます。ギターもやや歪みすぎかと思いますがエモーショナル。時折バックがジャジーになるのがなかなかスリリングです。2曲ほどアコースティックギターのスライド弾き語りもあり、「クロス・ロード・ブルース」などを取り上げていますが、ロバート・ジョンソンの叫びが乗り移ったような歌で迫ってきました。ボーナスの「スキヤキ」は思いっ切りジャジーなスロウ。好盤です。ベスト10に入ります。



木村充揮, 近藤房之助 ; 男歌 - 昭和讃歩 ; ZAIN ZACL 9016 (2009. 2.27)

2007年リリース。こんなの出てたんですね。気付きませんでした。最近流行の昭和歌謡ですが、ご両人が交互にヴォーカルを取る形で歌っています。木村さんはさすがの雰囲気で、全部自分の世界にもっ照っちゃうから凄いですね。でも房之助さんの方は、ある意味歌がまっとうすぎて、なんだかいまひとつしっくり来ませんでした。アルバムの最初と最後に入っているブルースのジャムセッション風景が一番馴染んだのは、やはり先入観のせいかしらね。




近藤房之助 ; 1968 ; ZAIN ZACL-9044 (2010.10. 4)

2010年リリース。房之助ソロデビュー20周年記念ということで、ブルースの名曲のカヴァー集です。ジャケットにリゾネイタをつま弾く姿が写っていましたから、弾き語り中心かなと思いましたが、バンド演奏が多くて救われました。ただしドラムが打ち込みのようで、その分グルーヴ感が失われているのが残念。特に「リトル・バイ・リトル」のアレンジは成功してるとは思えないなぁ。ゲストのKOTEZは随所で素晴らしいプレイをしていますし、房之助自身のギターも歌も気が入っていて悪くないので、いいリズム隊をバックに録ったらもっと面白くなったと思うんですが。リゾネイタを弾くドロンとした感じの曲も、いつもと違う味で楽しめました。




Shinji Shiotsugu ; Cookin' With B-3 - Shinji Shiotugu Blue-Vy Meetin' ; VIVID VSCD-3116 (2009. 1.23)

1993年リリース。山崎よしきプロデュースで、伸ちゃんのギターにふたりのベテランB-3プレイヤーをかませています。ひとりはチャーリー・イーランド、もうひとりは酒井潮。どちらも達者なプレイヤーですが意外と控え目。むしろ目立つのは藤井康一の歌だったりします。だって得意の「チェリー・レッド」に「ルート66」なんだもん。伸ちゃんのギターはグラント・グリーンなどに通じるぐっと抑えた、ジャジーな中にもブルージーさが溢れてくるもので、彼をメインにしたのがよく分かります。かえすがえすも惜しい人を亡くしました。




Shinji Shiotsugu ; Live Collection Do.1 ; OFFICE FLOW no number (2009. 2. 1)

2001年頃のライヴ音源です。絶版だったんですが再発されたようなので聴いてみました。ヴォーカルに小林エミと永井隆を迎えたライヴですが、伸ちゃんの職人芸ギターが見事です。ブルースが根っこにしっかりあるのに、多彩なフレーズ、コードワーク、複弦弾きなど次から次へと技が出てきます。でもそれが出しゃばらずに、フロントを立ててるんですよね。手慣れた永井隆も悪くはないんですが、小林エミのジャジーでディープな歌、いいですね。生で聴いてみたい。

塩次伸二 ; Can't Stop Playin' The Blues ; MOJO XOCM-1304 (2007.12.31)

2007年リリース。HIGHTONEでの仕事で知られるデニス・ウォーカーをプロデューサーに迎えて西海岸で録音された何とこれが初アルバム。ヴォーカルにアラン・ミリキタニ、ダイアン・ウィザースプーン、アルマンド・コンピーンを迎え、シンちゃんはギターに徹しています。デニスの曲作りのせいも有るけど、少しフュージョンがかったギターで、ガツンとしたものが好きな僕からするとやや物足りないんですが、でも、フェンダーらしいいい音でギターを鳴らしますね。まさに名人芸。リチャード・カズンズにジム・ピューといった、かつてのロバート・クレイ・バンドの面々のサポートは的確です。シンちゃんはやっぱり生で聴きたいです。



ジェロ ; 約束 ; VICTOR VICL-63253 (2009. 3.17)

2009年リリース。ヒット曲「海雪」を含むアルバムで、阿木&宇崎の他クレイジー・ケンやつんくが曲を提供し、秋元康の詞など、まあ豪華なメンバーの楽曲を、ストレートで見事な歌唱力でジェロは歌い上げています。本当にうまいなぁと思うんですが、演歌なのか歌謡曲なのかちょっと半端な感じもしました。その原因は歌詞なんです。これはジェロの問題というより、作詞する人たちが、巧みに言葉を使おうとしているんですが、結局「演歌を作ってみました」という感じで、言葉に情が乗り移っていないんです。ジェロもそこに自分の情を込められるほどの力はないので、なんだか上っついた感じになっているように思いました。むしろ古い演歌名曲集を歌ったものの方が面白いんじゃないかなと思っちゃいました。




シバ ; Live 新宿発・謎の電車 ; ALTAMIRA AM-007 (2008. 9.29)

2005年夏のライヴです。シバをちゃんと聴いたのは初めてです。ずっとブルースを歌ってきたと聞いていたんですが、う〜ん、僕の耳にはどうしてもフォークにしか聞こえません。ジャンル分けすることの無意味さはよく分かっているんですが、あのブルース特有のドローンとしたものを感じないんですよ。例えば「いつでもブルーズ」、ギターの演奏とか完全にブルースだし、歌詞もブルースなんですけど、トータルに出る音がなんか違う。もちろん少しかん高い声の歌は十分魅力的だし、ギターもホルダーで吹くハーモニカもめちゃめちゃ上手いと思うんですが、もっとブルースの持つ情念のようなものが感じられたらなぁと思ってしまうんです。ラストの「バイ・バイ・ブルース」はジミー矢島をスライドギターに迎えて、高田渡を追悼した演奏です。これは小金井で行われたライヴでした。




生活便利Goods ; もったいないBlues ; SKB_GOODS SKBR-001 (2010. 2.15)

2006年リリース。1月に出会ったこのお二人、とにかくライヴの楽しさが抜群なんですが、こうしてコツコツ作った音源がこれまた面白いんです。ひっこみじあん、洗濯、シャンプーなどまさに生活に密着した話題を、ロックやらファンクやらブルースに乗っけて歌っちゃうわけですから。歌唱力抜群、曲作りも最高で、「ニュー・シャンプー」なんてまるでP-ファンク!この人たちからはしばらく目が離せません。




生活便利Goods ; 夜明け間近のカンツォーネ ; SKB_GOODS SKBR-002 (2010. 4.21)

2008年リリース。今度は花粉症とか浮気がバレるネタだとかをユニークにやってます。タイトル曲はほとんど「ホテル・カリフォルニア」のコード進行から劇的なカンツォーネになっちゃうって言う優れもの。「春先のレイン」ではロッキンな中にヴァイオリンが実によく効いています。「ザッツ・坂道」はぐっとファンキー。とにかくこの人たち、曲作りのセンスが半端じゃないです。お薦め。




生活便利Goods ; 荒野のやせガマンMan ; SKB_GOODS SKBR-003 (2010. 2.22)

2009年リリース。タイトル曲のやせ我慢の他、頭髪のネタをフランシスコ・ザビエルに託しちゃう「生え際瀬戸際」、ひょうさんが歌う演歌「ぽつり酒」など、相変わらずの生活密着ネタを多彩な楽曲に載せてやってます。でもこの中で僕の一番のお気に入りは「さよならFallin' Angel」、こんな綺麗で切ないラヴソングを書けるんですね。脱帽です。




生活便利Goods ; すっぽんぽん〜本当の気持ちは I Love You ; SKB_GOODS SKBR-004 (2010. 4.24)

2009年リリース。とにかくタイトル曲が最高です。心を開き合う人間付き合いをテーマにして、これだけダンサブルに楽しくやっちゃうんですから。ライヴでもテーマのようにやっていますが納得です。「大願成就」も笑える歌ですし、とにかく愉快という言葉がぴったり!




Salty ヒロシ ; ガラスびん : SALTY HIROSHI no number (2008. 2.10)

1977年から2000年にかけて録音された曲集で、以前正式リリースされていましたが今は廃盤状態。今回は「かもめ」のおまけのCD-Rをご本人から分けてもらいました。もちろん「かもめ」も購入(2枚目です)。まず、タイトル曲。ヒロシさんが昔から歌っている曲で、この人の一世一代の名曲だと思います。リズムの良さ、歌い回しの巧みさはもちろんなんですが、歌詞の世界が自分の日常を眺めているようで、凄く響くんです。もう10年くらい前になりますか、今はなき六角橋のゲイトマウスで偶然ヒロシさんを聴いたときに、一発で覚えてしまったこの歌。ライヴのたびにリクエストしてしまいますが、何度聴いてもいい歌です。この他ライヴでお馴染みの「夜まで眠りたい」「猫は屋根」「君が主人公」と、ヒロシさんの魅力がたっぷり詰まった1枚。早急な正式再リリースを願って止みません。



Salty ヒロシ ; かもめ(2006ヴァージョン) ; SALTY HIROSHI no number (2007. 2. 2)

たった1曲だけ入ったCD-Rを、ご本人からいただきました。もちろん非売品。この曲は「ガラスびん」と並ぶ僕のお気に入りの曲で、僕自身「歌いたい」とヒロシさんに話していたらくださったんです。ガラスのような繊細なマーティンのギターをバックに、自由に、気持ちのおもむくままに歌うヒロシさん。いつ聴いても味があります。そしてバックに白庄司たかっちゃんのちょっとむせぶようなアルトサックスと、三輪裕さんのヴァイオリン奏法のギターが彩りを添え、オリジナルの妹尾さんのハーモニカよりグッと都会的で、歌の持つ詩情がくっきりと絵になって浮かぶようです。そろそろ新作ができるのでしょうか。期待しています。



高田渡 ; アンソロジー ; AVEX IO IOCD-40120~23 (2006. 4. 2)

1968〜72年の様々な録音に、2004年井の頭公園でラジオ用に録音された音源を加えた4枚組です。新聞の紹介で興味を持って聴きました。まず凄いなと思ったのは、1968年と2004年では35年以上の開きがあるのに、歌声の肌触りが全く変わっていないこと。つまり最初から彼の歌はある意味完成されていたと言えるのではないでしょうか。見事なフィンガーピッキングやバンジョーのプレイなどを交えながら、あの朴とした歌が実に似合います。いろんな音源が収録されているので、同じ曲が何度も出てきますが、その変わらなさと変化の両方が面白く、どんどん聴いてしまいました。プロテストだろうとコミックだろうとお構いなしの自身のスタイルで貫く歌は、掛け値なしに素晴らしいです。DICC2は「汽車が田舎を通るそのとき」というアルバム仕立てで、最初期のものでしょう。自分の言葉をアメリカントラッドに乗っけて歌うスタイルは、この頃すでに出来上がっていたんですね。このアンソロジーは、凡百のヒット曲を並べただけのものとは違う、彼の音楽を愛する者が作った肌触りを感じました。月並みですが素敵な作品集だと思います。



高田渡 ; 石 ; KING KICS 8819 (2007. 7.29)

1973年リリース。「私の青空」のような古い歌の他、山之口漠などの詩人や外国詩の翻訳ものにメロディをつけて歌った曲が集めてあります。弾き語り、オールドジャズバンド風、中川イサトや松本隆といったミュージシャンをバックにして、言葉を大切にしたいつもの渡節を聴くことができます。「丘を越えて」はマンドリン二重奏のインスト。「当世平和節」「正午」など世相を皮肉った歌は相変わらずで、他人の詩であってもこの人の基本的視点はずっと変わらないんだなと思いました。なんでこんな面白い音楽に30年前に気づかなかったんだろうと今悔やんでしまっています。



高田渡 ; ベスト・ライヴ ; CONSIPIO AGCA-10014 (2006. 1. 6)

1995年と97年の4ヶ所でのライヴから選りすぐったものです。昨年惜しくも亡くなった渡さんですが、実は僕、この人を殆どまともに聴いたことがなかったんです。せいぜい昔ラジオでかかってたのを小耳に挟んだ程度。で、罪滅ぼしにと何か面白そうなアルバムはないかなというので聴いてみたのがこれなんですが、こりゃたまりませんね。最高です。渡さんの、あの絶妙に力の抜けた、でも心の芯で世の中をぐっと見据えた歌と語りがまず素晴らしいです。で、目線が偉ぶってないんですよ。若い頃反戦フォークとかプロレタリアフォーク(そんなもんあったのかな?岡林さんあたりのイメージ)を聴いていて、どうもしっくりこなかったのは、ちょっと聴くと弱い者、虐げられた者の味方のように聞こえながら、リアリティがないっていうか、インテリやエリートの香りを感じてしまったことなんです。まあこれはその時代の学生運動にも通じる空気で、「現場に行こう」と言ってもそれはちょっと見ただけで、本当にその地平に暮らしているわけじゃないんですよね。ところが渡さんの歌は、貧しい者、働く者と同じ目線で見てるなって感じるわけです。これは「復活」した1995年以降だからなのかもしれませんけど、「こいのぼりの替え歌」と「ミミズの唄」と「値上げ」だけでなく、「アイスクリーム」や「靴が一足あったなら」=「グッドナイト・アイリーン」、それこそどこを切っても感じるんです。そこに飄として歌う「ブラザー軒」の摩訶不思議な世界。バックにはKYONや松田浩一、浅見安二郎といった腕利きミュージシャンがサポートしてるんですけど、そんな存在どこかへ行ってしまう高田渡ワールド、返す返すも生で見損なったことが、僕の一生の不覚かもしれません。



高田渡 ; 旅の記録 上 ; ALTAMIRA AM-009/010 (2009. 1.29)

1969年から2002年に録音された、元々リリースする予定のなかった高田渡の遺品の中からセレクトされたライヴ音源集で、歌だけでなく、ライヴ中の何気ない会話とか、メンバー紹介なども挿入されていて、彼の人柄の一端を垣間見ることができます。白鶴などのコマーシャルソングも入っていて面白かったんですが、「金貸しと政府広報のコマーシャルだけはやりたくない」という台詞が彼の思想をよく表しています。しかもそれを言った直後に「ギャラによっては考えるけど」と付け加えるあたりも。「夜汽車のブルース」に始まり、「夜行列車のブルース〜ホーム・スウィート・ホーム」で終わる編集は、小品を多く収録し、彼のライヴの様子を上手く再現しているのではと思います。そんな中、「あきらめ節」や「鮪に鰯」などを聴いていると、その社会に対する眼、庶民に対する愛情と、権力に対する反発心のようなものが垣間見れて、やっぱりフォークソングを体現している人だなぁと思いました。




館野公一 ; 語り歌の継承 Vol.1 ; TATENO KOUICHI no number (2009. 4.12)

社会派フォークを歌う公一さんのライヴを記録したアルバムです。このアルバムに入っている曲はたったの4曲ですが、1曲が長くて面白い。もちろん「DU」(劣化ウラン)や「見えない光の矢」(臨界事故)など、テーマは重たく、それぞれぐっと来るんですけど、ドロドロに重く歌うのではなく、軽妙な語り口でどんどん聞き手をその世界に引き込んじゃうんです。「豚のご飯〜富士見が丘ストーリー」は2曲合体ですが、これまたいろいろ考えさせられました。でもハッピーエンドなんですよね。是非ライヴを体験してもらいたい人のひとりです。




館野公一 ; 語り歌の継承 Vol.2 ; TATENO KOUICHI no number (2009. 4.13)

公一さん2作目はボブ・ディランの「ハリケーン」の訳詞版を含む4曲。こちらも「じゃぱゆきくんの冒険」など社会性の高い作品が入っていますが、一番嬉しかったのは「箪笥」です。公一さんとの出会いもこの歌でしたし。この歌の滑稽さを支えているのは、聴いていて目の前に情景が浮かんでしまうその公一さんの卓越したスタイルによるもので、おそらく文字で詞を読んでも面白さはあまりないでしょうね。ここに語り歌の真髄があると思いました。




ザ・ディランU ; ラストアルバム「この世を悲しむ風来坊に捧ぐ」 ; BELLWOOD/KING OFL-28 (2009. 1.14)

1974年リリース。大塚まさじと永井洋のユニットですが、レコーディングには石田長生や有山淳司など関西ブルース・シーンの重要人物も参加しています。「僕の女王様」でエモーショナルなギターを弾くのは塩次伸二。このユニットは関西フォークのひとつの象徴と言ってもいいんですが、この頃になるとどこかはっぴぃえんど的なアプローチになってますね。まさじの歌はストレートなフォークといっていいんですが。その分どこか中途半端な感じもあります。やっぱり過渡期の音なんでしょうかね。




トータス松本 ; Traveller ; TOSHIBA EMI TOCT-24938 (2003. 2.24)

2003年リリース。ウルフルズのトータス松本がソウルやブルースの名曲をカヴァーしたアルバムです。トータスは元々とっても素直な歌い方をするので、ソウル系、特に彼の大好きなサム・クックや、ソロモン・バークなどのゴスペルルーツのシンガーの曲は、オリジナルの良さを上手く出しながら、自分の味を出すことに成功しています。でもブルースだとどうしてもオリジナルの歌のイメージに引っ張られるのか、やや「モノマネ」的なものが入ってしまうため、少し不自然な感じがしました。で、逆にギターはトータス自身が弾いているんですが、ハウンドドッグ・テイラー、エルモア・ジェイムズの曲のスライドなど、弾きたかったんでしょうね。すごく気の入ったいいギターを聴かせます。



トータス松本 ; 明星 ; WARNER MUSIC JAPAN WPCL-10690 (2009. 7. 3)

2009年リリース。最近ソロ活動が目立つトータスの最新シングルで、ペプシコーラのタイアップかな。相変わらずキャッチーなメロディと歌詞を伸びやかに歌っているんですが、ストリングがしつこく、ウルフルズの持つストレートなロック感覚が薄れちゃった分魅力がそがれているように思いました。「夢ならさめないで」と「ホワット・ビカム・オヴ・ザ・ブロークンハーテド」はどこかHIサウンドを意識したようなミディアムですが、これも同様の傾向を感じますバックの音ををいじり回すほど彼の魅力は薄れると思うのは僕だけでしょうか。




とおみねとおこ ; 夢見る機械の娘 ; JET J--001 (2007. 2.12)

2006年リリース。とおみねとおこちゃんはアコーディオンを片手に民謡や端唄、それに茶目っ気のあるオリジナルを歌うんですが、しっかりと身に付いた民謡の唱法を生かして、本当にユニークな世界を作り出しています。「こきりこ節」「野毛節」などの民謡はオリーバーズをバックに従えてハードに演奏、一方さらりと「東雲節」なんて端唄を決めちゃうんだから油断も隙もありゃしない。でも面白いのはオリジナルで、どこか大正時代の香りのするタイトル曲のシュールさとか、ダブルミーニング間違いなしの「ちょうだい節」からは、高田渡に通じる世界も見えますし。イラストレイターでもある彼女自身のジャケットも素敵です。ライヴ会場で手売りしてますから、ぜひ入手してみてください。お奨めです。



遠峰あこ ; 横浜ほーらい節 ; 遠峰組 T-002 (2009. 4. 7)

2009年リリースです。今や野毛はおろか横浜中の人気者になったあこちゃんの第2弾は、横浜開港150周年を記念して、横浜の民謡を作っちゃおうというものです。タイトル曲がそれで、その他4部作の「野毛の心意気」や「日ノ出大明神音頭」など、ご当地を歌い込んだ創作民謡がたっぷり詰まっています。これをアコーディオンに津軽三味線、さらにたかっちゃんのサックスまで加えてやるんですからもう大にぎわい!とっても楽しいアルバムになりました。




遠峰あこと爛漫社中 ; 寿町応援唄 2009 ; 遠峰組 T-003 (2009.11.23)

2009年8月13日の寿フリーコンサートの模様を収録したものです。爛漫社中は湯浅大吾の津軽三味線、たっつぁんのベース、たかっちゃんのサックスなどを加えたフルバンドで、「野毛山節」に始まり「横濱ほーらい節」に終わる民謡中心の選曲は大迫力。あこちゃんもいつもより気張って歌っています。でもそんな中に「やあさかりんりん」や「朝の空夜の海」といった穏やかなオリジナルが入っていて、ライヴのテンションを見事にコントロールしています。直子のアルバムの売り上げはすべて寿町に贈られることになっているとか。まさに応援歌ですね。




トニー谷 ; ジス・イズ・ミスター・トニー谷 ; VICTOR VDR-1454 (2006. 2.11)

多分1960年代のものだと思います。職場の目の前にブックオフがあって、時々物色するんですが、これは掘り出し物です。とにかく面白い!例の「レディース&ヂェントルメン&おとっさん、おっかさん」の決め言葉に乗って、出てくる出てくる面白音楽。ルンバやマンボにブギウギまで消化して、寸劇仕立ての日本語英語ごちゃ混ぜの歌詞は、トニー谷の独壇場です。何とも摩訶不思議な世界が広がりますが、クレージー・キャッツとはまた異なった、日本の喜劇の真骨頂がここにあると思いました。こういうの大好きです。



友部正人 ; 大阪へやって来た ; URC/AVEX IOCD-40088 (2009. 1.15)

1972年リリースのデビューアルバム。ボブ・ディランからの影響を強く感じさせる語り調の歌と、かき鳴らすようなギターは、かなりインパクトがあります。特にタイトル曲はどこかパンクな感じすらします。高田渡との共通点も感じますが、より投げやりな雰囲気で、詩も私的な色合いが強いですね。昔聴いた頃よりも苦手意識は減ってますけど、やっぱりこれには僕はのめり込めません。




中川イサト with 武蔵野レビュー ; あの日の風 ; SEALS SEAL-033 (2009. 1.17)

2006年リリース。高田渡と吉祥寺への想いを込めたアルバムだそうで、僕は「ウィリン」や「ザ・ウェイト」のカヴァーに興味を持って買ってみました。まずは冒頭の「吉祥寺1972」、イサトさんの歌って味がありますね。ギターが上手いのは承知の上なんですけれど、歌に魅力を感じました。ただ、カヴァー曲の日本語訳、もろ直訳の「ウィリン」はともかく、意訳の「ザ・ウェイト」などで何でこんなに字余りにしちゃうんでしょうね。この辺がどうも苦手なところ。曲ってリズムが大切だと思うので、言葉のリズムももう少し考えて欲しかったな。でも「生活の柄」など、味わい深い歌も多く、なかなか素敵なアルバムだと思います。




長見 順 ; Oyazi ; NYON NJ-003 (2003. 9.15)

2003年リリース。ネットでロケットマツが参加しているっていうんで興味を持ったんですが、これ、最高です!文句なしにことしのベスト5入り。長見さんはブルースギタリストでヴォーカリストってことになるんでしょうが、その世界はそんなジャンルを軽々と越えていっちゃいます。下着にカビが生えて一家離散になったり、ジョギングよりウォーキングの方がいいといってた元オヤジが今老人になっちゃったり、結婚式に持っていく「顔」がなくて困ったり、その歌詞世界が実にねじれた生活感なんです。ちょっと矢野顕子を思わせるような、芝居がかった歌に乗ってこの詞が繰り出されるんですよ。そして隙間を埋めるようにつま弾かれるギターがまた思いっ切り泥臭くって、場末の居酒屋風のジャケットそのままの雰囲気。何だか25年くらいタイムスリップした感じです。吾妻光良の愛情ある録音と、マツや岡地の的確なサポートを得て、「たぬきのロックンロール」で今夜も腰を抜かしたいと思います。ベロベロに酔って聴いたらたまんないな。



Nagami Jun ; マダム・ギター ; NYON NJ-004 (2004. 7.24)

2004年リリース。濃い化粧がどこかピグモンを思わせるジャケットが強烈ですが、中身も凄いです。僕の度肝を抜いた前作に比べ、ジャズの香りが増えています。冒頭のインストなどはおんなフランク・ザッパかというようなアプローチも見せています。ホロウボディから奏でられる指弾きの粘り気のあるギターと、芝居がかった唄い回しという基本的なスタイルは前作と変わらず、「奇妙な隣人」「半袖着たり長袖着たり」「富山の薬売りの唄」なんて長見ワールドにはまると底無し沼のようにズブズブと引き込まれてしまいます。気に入ったのは「ニッポン人のべッシーちゃん」、この世界、何だか倒錯しそうですね。まあ前作ほどの「初体験」インパクトは、こちらに免疫ができていた分ないんですが、十二分に強烈、生を見たいです。



マダム・ギター 長見 順 ; 超スローブルース ; NYON/P-VINE PCD-5862 (2005. 9. 4)

2005年リリース。発売元をP-VINEにして、BSRでも表紙裏いっぱいの広告。でも内容はそれに全然負けてません。広告のキャッチコピーにある「凄い人の凄い歌、すごい女のすごいギター、すごい音楽だ」ですべて表現できちゃってます。まず歌われる世界が実に芝居がかった、でも日常をカメラで四角く切り取ったような情景感のあるものです。サラリーマンからカラスまでネタにして、さらには父親とパパさんをかけちゃったりして、まさに女の目から世の中をザクッとえぐってしまいます。それをさらに磨きのかかった芝居っ気たっぷりの歌で聞かせてくるわけですから、これはインパクトあります。今回はクラリネットなどの管楽器も効果的に交えていて、そこに例のザラッとした粘っこいギターが割って入ってくるんですから、もうたまりません。八代亜紀の「舟歌」も、最近流行りのクウィーンの「ウィー・ウィル・ロック・ユー」っぽいアレンジを施し、ご本家とはまた違った強烈な迫力で迫ってきますが、このセンスはグッピーに良く出るミネオカブラザーズにあい通じたりします。とにかく長見順ワールドに皆さんもどっぷり浸かってみてください。最高っすよ。



マダムギター 長見順 & 吾妻光良 ; ギターおじさんピアノおばさん / 3人寄れば ; P-VINE PLP-6091 (2007. 3. 4)

2007年、何とアナログの45PRPMドーナツ盤でのリリースです。しかしこの二人が組んだら最強でしょう。何だか本当に長見・岡地夫妻の家にギターを持ってふらっと吾妻さんが遊びに行ったときにできたような表題曲、歌の掛け合いも面白いし、吾妻さんのテキサスギターもネバネバと炸裂してます。裏面は完全に吾妻ワールド。徹底した押韻が彼らしいです。手書きのイラストまで入って楽しめる1枚でした。



マダムギター長見順 ; クーチークー ; NYON/P-VINE PCD-5867 (2007. 3.15)

2007年待望の新譜です。今回はブルース色はずいぶん薄まってきた印象を受けますが、そのかわりクレズマーのようなちょっとエキゾチックな雰囲気の曲があったりして、そこに例のビやビヤのギターが絡んだりすると、やっぱり腰が抜けちゃいます。歌の方はますます長見ワールド全開って感じで、「加藤さんのテーマ」なんて情景が目に浮かんじゃったりします。「くせはなおらない」はカミサンに歌われてる気分。この劇場的な雰囲気は彼女しか出しようがない世界ですね。ボーナストラックに先日シングルレコードで出た「ギターおやじピアノおばさん」も収録。



Madam Guitar Nagami Jun ; Guitar Madam ; P-VINE PCD-28004 (2008.10. 5)

2008年リリース。ほぼ年1枚のペースでリリースを続ける長見順、今回はタイトルといいジャケットといい、明らかにギター・スリムを意識しているので、どのくらいは快適なギターが聴けるのかなと思って期待しましたが、その点では肩透かしでした。そのかわり、ますます磨きのかかる長見節、歌詞の面白さ、アイディア溢れる曲と、もうてんこ盛りです。ジャジーなバラード「ピクニック」にうたわれるシリアスな歌詞、「ヨコのスカ」はちっとも横須賀とは関係ないスカだし、「SM東京」はサイズの話だったりと、あんまりネタばらすといけないのでこの辺にしておきますが、歌の世界はとにかく唯一無二ですね。でも僕は1枚目のもっと真っすぐな感じの方が好きなんですけどねぇ。しかしバックに紅龍だのロケット松だのの名前を見てほくそ笑んでるのは僕だけかしら。




西岡恭蔵 ; ディランにて ; BELLWOOD/KING FJSP-8 (2009. 1.16)

1972年リリース。大塚まさじらとザ・ディランをやっていた西岡恭蔵は、何といっても「プカプカ」で有名ですが、その他「サーカスにはピエロが」「僕の女王様」など、印象的な曲が多く入った素敵なアルバムです。ドラムも入っていますが、基本はフォーク。もちろんボブ・ディランからの影響も感じますが、西岡の場合はよりストレートな歌い回しと表現で、妙にこねくり回していないところが好きです。まああんまりブルースは感じないんですけどね。




パフィー ; The Very Best Of Puffy / amiyumi jet fever ; EPIC ESCB 2140 (2000. 7.27)

この間出たばかりの、パフィーのベストです。オヂサン的には、この「そこらのネエチャン」二人組に魅力を感じるんです。ポイントは「そこらの」ですが。奥田民生のビートルズ・フリークぶりがいかんなく発揮された曲が多いんですが、そこに井上陽水の一種変態的な詞がのってきた、「アジアの純真」とか「渚にまつわるエトセトラ」あたりがやっぱりいいですねぇ。オヂサンもこんなのも聴いてるんだよということで。


早川義夫 ; かっこいいことはなんてかっこ悪いんだろう ; URC/PRIME DIRECTION IOCD-40080 (2006. 2.18)

1969年の作品だと思います。早川義夫はカセットが家にあって、暗いなぁと思いあんまり聴いてなかったんですが、最近自分で歌ってる「サルビアの花」をちゃんと聴き直したいなと思ってたところ、このタイトルのCDにやられて買ってしまいました。やっぱり真っ暗でした。「NHKに捧げる歌」という、シニカルな歌もあり、これは絶妙に面白いんですが、ピアノやギターの弾き語りで徹底的に自分の世界を歌い上げるスタイルってのは、重たいけど引き込まれます。こうした雰囲気を聴けるようになったのは、やはり自分自身が変わってきたからかもしれません。どう変わったかはうまく言えませんけど。



日倉士歳朗 ; I'm Slidin' ; ALPHA YH-1015 (2008.11.22)

1990年リリース。中古で購入しました。久保田真琴のプロデュースで、ロック・テイストがたっぷり聴いたアルバムです。スライドもエレキ、アコと両刀遣いで、インスト版「悪魔を哀れむ歌」なんてのも入ってます。アフリカンな「アマノジャク」、ファンキーな「のっぺらぼう」など曲も多彩で、ラストのタイトル曲まで一気に聴き通せます。で、やっぱり印象に残るのは今でも時折ライヴで演奏する「南からの子守歌」。オキナワ・テイストが心地良いです。




日倉士歳朗 ; Jungle Swingin' Man ; NIHONBARE JCUR-029 (<2007. 3.31)

1997年リリース。ウルフルズのサポートで活躍するミッキーなどを交えたファンキーなバックを従え、リゾネイタのスライドをかき鳴らしながら、タフな声で歌う日倉士さん、存在感があります。彼の書く歌詞はあんまりライムとか考えず、浮かんだ言葉をどんどん紡いでいったって感じなんですけど、そのせいか妙にリアリティがあるんですよね。違和感も感じるんですけど、いつのまにか聴いてしまう説得力があります。かなりロック寄りのアルバムですが、日倉士さんの良さがうまく引き出されていると思います。ほのぼのした「はるかなる家路」、作詞が吉野大作さんだったりして、なるほどと納得。「インヴィジブル・ウーマン」の染み渡るエキゾチズムもアルバムに彩りを添えています。



Toshirou Higurashi ; Dance In My Kitchen ; NIHONBARE JCUR-050 (2007. 4.17)

1999年リリース。丹菊さんの「スパイシー・ビート」をサポートにつけたこのアルバムは、日倉士さんの野太い声と野趣溢れるスライドを、明るくポップな方に引っ張っているように思いました。これは決して悪い意味ではなく、聴きやすく楽しい作品になったってことです。「南からの子守歌」などこのコラボレーションのすばらしい成果だと思います。一方「ロバート・ジョンソン本人も歌えない」と日倉士さんが豪語する日本語化した2曲は、武骨な歌詞が妙にはまるんですよね。この人はあんまりライムとか意識せずに、言葉そのものの持つ意味合いとか重さを前に出すんですけど、彼の歌声がそうした歌詞に見事にマッチしているんです。小細工なしのストレート勝負、力強いアルバムです。



日倉士歳朗 & 佐藤克彦 ; 海風 ; NIHONBARE JCUR-080 (2007. 4. 3)

2005年リリース。フィンガーピッカーの佐藤克彦とスライドの日倉士というコラボレーションは、両者のコントラストがうまく溶け合った快作だと思います。佐藤のギターはテクニックに流れることのない存在感のあるもので、もともと腰とアクの強い日倉士のギターに負けない力強さを感じます。一方日倉士のギターは、ビンビンいうノイジーさも含め、きれいごとでは済ませないといった力強さとリアリティを感じさせます。この結果、ゆったりしたイージーリスニング的な曲でありながら、僕にも響くんですよね。「ももかん」あたりだと眠くなっちゃうんですが、この辺の微妙な違いって面白いなと思います。



藤縄てつや ; My Blues Heaven ; YPM LABEL YPM-017 (2007. 7. 2)

2006年リリース。「なにわのてつ」こと藤縄てっちゃんの初アルバムです。フィンガーピッキング、スライドとギターの腕前は折り紙付き、そしてライヴでのトークの愉快さは一度見た者を虜にしますが、このアルバムではてっちゃんのフォークな面が思いっ切り出ています。例えば高田渡だったり、なぎら健壱だったり、ちょっと加川良が顔を出すかと思うと、憂歌団がちらつくなど。でもそうした多分てっちゃんが大好きな人たちの音楽を、見事に消化して、自分のものにしちゃってるんですよね。例えば「コインパーキングブルース」のちょっとかわいらしいオチとか、「きれいな女になった」のありそうでなさそう、なさそうでありそうな話とか、ユーモアとペーソスの効いたワルツ「聞いてみる」とか、フォークの常道でありながら、やっぱりてっちゃんの世界なんですよね。そんな中に「宝さがし」や「悲しみが空にはばたく頃」なんてきれいな歌がすっと差し込んであるんだから心憎いです。



ブルース・ファイル・No.1 ; Blues File No.1 ; AIRPLANE AP1008 (2000. 6.24)

西浜哲男(元トランザム)、内海利勝(元キャロル)、ウィーピング・ハープ妹尾の3氏をフロントにしたユニット。2000年リリース。アコースティック・サウンドながら、しっかりロックする曲は内海、シャッフルするブルースは妹尾、じっくり唄い上げるバラードは西浜と、それぞれの持ち味を生かした選曲になっています。荒巻茂生のウッドベースが低音をどっしりと支え、安定感抜群。「ルイジアンナ」も不良中年ロックとして蘇っています。妹尾のハープはソロ・バッキングともにツボを心得たにくい演奏です。中年パワー、ここに炸裂って感じですね。


古井戸 ; 古井戸の世界 ; ELEC/VAP VPCC-84530 (2006. 5. 4)

1972年リリース。高校時代大好きで良くクラスレクなどで延々歌ってた「さなえちゃん」のオリジナルヴァージョンがとうとうCDになったというので早速買ってきました。でも時代と言うか、フォークデュオなんですけど今のゆずや19あたりとは全く肌合いの違う、日常をざっくり切り取って、飾りっ気のない言葉で歌っていく姿勢がすごくリアルで、でも「窓の向こう冬」なんてしっかり切ないラヴソングなんですよ。「あした引っ越します」のイントロやコード進行はかなりモダンでチャボのセンスの良さを感じさせますし、「ちどり足」の曲調とは裏腹の、四畳半フォークの対極を行くような世界は、このふたりのスケールの大きさかななんて思いました。恥ずかしながら「さなえちゃん」しかまともに聴いていなかったことを反省。いろいろ聴いてみようっと。



ブレイクダウン ; ブレイクダウン ライヴ ; VIVID SOUND DBCD-003 (2000.12.29)

1980年7月下北沢録音。かつてブルー・ヘヴンとカップリングの2枚組LPだったもののうち、ブレイクダウンのサイドだけをCD化させてもので、中古で見つけました。一言、懐かしいです。僕はこの録音の半年前に京都の西部講堂で、フィリップ・ウォーカーの前座で見て以来、ブレイクダウンのファンになったんですが、最も勢いのある頃のライヴで、日本にこれだけのブルースができるバンドがあったんだと感動しました。スロー・ブルースにおける房之助のエモーショナルな歌とギター、シカゴブルースを気怠く唄うハッチャンの渋さ、今聴き直しても瑞々しく聞こえます。いい買い物でした。



フロミズ・ワンダーズ ; Furomizu Wonders ; SOUTHSIDE SSBC-007 (2004. 4.10)

2001年リリース。最近グッピーでもライヴをやるようになったアコースティック・ブルース・デュオで、ゲストにドラムのボンゴジョー・森谷が参加しています。冒頭の「バイバイ・ブギ」がまずとってもかっこいいです。ライトニン・ホプキンスを思いっ切りシャープにしたようなドライヴ感と切れ味のあるギターにトレインピースなハープが乗った爽快感のある「ロケット88」的なリフのブギで、日本語の歌詞もしっくりはまっています。この他は割合ほんわりした曲調のブルースが多く、「懺悔の歌」あたりはフォーク調だったり「病持ち」はちょっとジャグバンド風だったりと多彩な演奏が面白いです。やっぱり生で見たいですね。



ボ・ガンボス ; Bo & Gumbo ; EPIC/SONY 32・8H-5102 Click Here!

町田謙介 ; Candy Man ; POWER FLOWER POCX-7002 (2008. 8.15)

1998年リリース。リリース当時かなり評判になった作品です。パンキーな歌とざらついたギターは、いわゆる既成のブルースをなぞったものではなく、「マチケン」という個性が消化、再構築したものになっています。歌の強さは出色で、しりあがり寿画伯の強烈なジャケットが実に良くマッチしています。やっぱりアルバムタイトル曲が格好いいですね。




町田謙介 ; Future Blues ; P-VINE PCD-26029 (2009. 6.27)

2009年の新譜です。もっとコアでパンキッシュな人かと思っていたら、とんでもなかったです。タイトル曲や「キャンド・ヒート・ブルース」の解釈の斬新さ、「流木ボクシング」の人間味溢れる詩情、井上陽水をボサノヴァでやったかと思うと、マジック・サムのシカゴ・ソウルを西アフリか風にアレンジしちゃうセンス。脱帽するしかありません。長いキャリアに裏打ちされた、マチケンワールド全開の作品になっています。




三上寛 ; ベスト・アルバム ; COLUMBIA COCA 11611 (2009. 2. 5)

1971年の「三上寛の世界」に曲を加えたお徳用盤です。日本のフォークについて書かれた本に必ず登場するので聴いてみましたが、いやいや強烈ですね。青森出身の庶民の怨念を感じさせる歌は、津軽三味線を交えた実に演歌調のバックにマッチします。怨歌というのがぴったり。ささくれ立った歌詞とおどろおどろしささえ感じさせる歌い回し、演じて歌っているのがはっきり。後に役者として活躍するのも当然でしょう。ラストの方には「ギターを抱いた渡り鳥」「船頭小唄」など、演歌のスタンダードもあります。でもねぇ、個人的には、つらいものをつらいと歌っても、どうなんでしょうか。やっぱり高田渡の飄としたスタイルの方がぐっと来ます。




三井はんと大村はん ; どないやねん ; X.Y.Z. XZCS-2001 (2008. 8.13)

2000年リリース。多彩なギタープレイを聴かせるザビエル大村のギターをバックに、思いっ切り関西弁で三井雅弘が歌うって構図なんですが、歌詞はかなりプロデュースを担当しているファンキー末吉が作っています。「加古川の男」4話を挟みながら曲が進むんですけど、どうもファンキーさんの歌詞は苦手なんですよね。描く世界は面白いんですが、表現があまりに直接的って言うか。ブルースのダブル・ミーニングの面白さがいいと思うんですが。むしろ三井さんのまっすぐなフォーク調の歌詞のほうがすんなり入りました。




三井はんと大村はん ; ほんまかいな ; X.Y.Z. XZCS-2009 (2008. 8.19)

2001年リリース。前作よりもアコースティック・ブルースとしてのカラーを強く感じました。歌もより日常的で、「ミックス・モダン・ブルース」なんて実に面白いです。ラグタイム調の曲など弾き語りの面白さがよく出ています。またジャジーなサウンドに乗った「フェチな世界」もユニーク。「センチメンタル・ジャーニー」の訳詞もなかなかぐっと来るものがありました。ただ、やっぱりファンキー末吉の書いた歌はどうも苦手です。




南正人 ; ファースト・アルバム ; BELLWOOD BZCS 9041 (2006. 2. 5)

1973年リリース。ジャケットが物議を醸し出したナミさんのアルバムで、バックにキャラメル・ママの面々がついてます。ナミさんはブルースを基調としたフォークソングといった感じで、ややぶっきらぼうに歌うんですが、これをバックがなかなかスワンピーなサウンドで支えます。こういったベース、細野晴臣は上手いですね。途中ジャグ風の演奏をやって、「速すぎるよ」なんてセリフが飛び出すのは、録音風景を彷彿させて面白いです。全体にナミさんの緩さを、芯にタイトなもののあるバンドが上手くサポートした快作だと思います。一言「女がベッドから落ちた」なんて歌うセンスもさすがです。



武蔵野タンポポ団 ; 武蔵野タンポポ団の伝説 ; BELLWOOD OFL-6 (2008.11. 5)

1972年リリース。その前年夏の中津川フォークジャンボリーのライヴ録音です。高田渡、シバ、山本コータロー、さらには中川イサトに友部正人といったそうそうたる面々の若い頃の演奏ですが、高田渡って人は本当にずっと味わいの変わらない人ですね。吉祥寺に舞台を移した「サンフランシスコ湾ブルース」から「長屋の路地」と、声に若さを感じさせながら飄々とした風情が素晴らしいです。歌い手を変え、ソルティ・シュガーをおちょくりながらステージは進みます。まあフォーマットはジャグバンドなんでしょうが、やっぱりこの時代のフォークの香りがたっぷりですね。原詞からかけ離れてるけど秀逸な詞の「ミッドナイト・スペシャル」、名演です。でもこれが出た当時僕は中学生。フォークは敬遠してたんですよね。今聴くと魅力的ですが、当時これを好まなかったのもまた分かる気がします。やっぱりこのリズムには乗りきれないんです。そういう意味で、日本のシーンの深化はリズムの進化にあるのかなと思ってます。




武蔵野ミニー ; Musashino Blue ; BETTY BETTY-01 (2009. 7.25)

2009年リリース。彼女の歌はからまつ楽団で聴いたことがあるんですが、単独では初めてです。息子の竹下直登をギターに従え、アイドルのメンフィス・ミニー、ロバート・ジョンソンなどのディープなスタイルから、KOTEZのハーモニカなどバンド仕立てのシティ・スタイルまでやってます。どの演奏もそつがなくって安心して聴くことが出来るんですが、逆に言うとぐっと来るものにはちょっと欠ける感じですね。1枚のアルバムで欲張りすぎているのかもしれません。「ミス・ニューオーリンズ」のしっとりした感じが一番気に入りました。




やぎたこ ; Can't You Hear The Steel Rails Hummin' ; RAILWAY YTM-101 (2010.10.27)

2010年リリース。やなぎと辻井貴子の、古いアメリカン・フォークを歌うデュオの初アルバムです。ウッディ・ガスリー、ボブ・ディランからフォスターの曲まで、主に2本のギターとふたりのコーラスで綴っています。歌もギターも丁寧で、歌を大切にしている様子がよく分かります。どちらかというとゆったりした曲より「ドレミ」のようなアップテンポの方が僕は気に入りました。全体に肩にちょっと力が入った感じで、歌を楽しむところに届いていない気がします。その辺の壁を越えたらぐっと良くなるかな。後は英語で歌うアメリカンソングであるならば、アメリカ英語の発音はもっと意識した方がいいと思いました。それが「硬さ」を感じさせるひとつの原因でもあると思うので。




ヤスムロコウイチ ; はじまるよ ; BOX TURTLE UBT-001 (2007. 9.22)

2002年リリース。とにかく聴いて優しい歌です。控えめな音で弾くおそらくフルホロウのエレキギターは、目だったことはしてませんがコードのセンスとか抜群です。でもそれに乗って出てくる歌声が、すごく人柄の優しさを感じさせるんです。歌詞も暖かく、気取らない人柄が真っすぐ出ていますね。穏やかな気分にさせてくれる1枚でした。



やなぎ ; おいらとギターが歌うとき ; やなぎ no number (2004.10. 6)

2003年リリース。自主制作のCD-Rですが、ジャケットや歌詞カードなど、丁寧な作りです。やなぎは横浜出身で、現在は岩手の方で生活しながら、地道なライヴ活動をしています。あっとぺっぷにライヴに来たので聴きに行って購入しました。全編弾き語りで、独自の解釈の真っすぐなブルースの他、僕とほぼ同世代の音楽体験の中で、ボブ・ディランなどを消化した、アメリカンテイストを感じるフォークソングを、自分の言葉で、一言一言をかみしめるように歌います。「ウイスキーリバー」などは名曲の域に達しています。その地に足のついた、生活感溢れる歌を僕は断固支持します。



やなぎ ; On The Road Again ; やなぎ no number (2004.10. 7)

2004年リリース。自主制作のCD-Rです。今回は弾き語りの他、何曲かでベースやフィドルを入れていますが、これが音に厚みを増していていい感じに仕上がっています。スタンスは前作と同じですが、アルバムタイトル通り、ホーボーの世界をモチーフにしているようで、旅愁を誘います。「銀河鉄道の夜」は岩手の大先輩、宮沢賢治の世界を彷彿させますし、「エヴリデイ・アイ・ハヴ・ザ・ブルース」では原題を英語にしてあるように、ブルースのスタンダードを下敷きにしながら、オープンチューニングのスライドを決め、まさにやなぎのブルースに仕立て上げています。



やなぎ ; 旅という生活 生活という旅 YANAGI no number (2007.10.31)

2006年録音。いろんな歌を聴いていると、いくら聴いてもちっともこちらに「来ない」歌と、1回聴いただけで「来る」歌がありますが、この人の歌は真っすぐこちらに「来る」歌です。ギター1本という、余分な音を一切排して弾き語られるやなぎの世界は、タイトル曲(「生活」はくらしと読みます)を始めとして、旅人としての思い、歌唄いとしての思い、さらには呑んべぇとしての思いが凝縮されていて、彼の優しいけど真に本物の力強さのある声と、楽器を愛で、彼自身と一体となったギターの音が一体となって、ストレートに心の中に響き渡ります。「バイバイ・フォークシンガー」などを聴いていると、彼の歌への熱い思いが伝わってきて、思わず頷いてしまうくらい。是非是非多くの人に聴いてもらいたい音楽です。



やなぎ ; 青い空からBLUESが降ってくる ; YANAGI YMC-002 (2008. 9.23)

2008年リリース。前作と同様に自らのギターだけで伴奏をつけた弾き語りです。でも今の彼にはこれで充分だし、これ以上の音は必要ない、そう言いきれるほど充実した作品が並んでいます。タイトル曲や「遠い夜汽車」「何処へ行こう 風の中を」のように、ホーボーを歌いながら自分の心のひだを語り、放送禁止語を敢えてちりばめ、隠しようのない、そしてどうしようもない現実を歌う「明日になれば」や、何気ない風景から自分の心の置き場を探すように歌う「夕暮れ」、普段心の中にぐるぐる渦巻いている言いようのない想いを見事に歌に昇華した「想い」など、やなぎ・ワールドが溢れんばかりに展開されています。そんな中独酔舎作の「スクラップ・ブルース」が、スパイスのように利いてアルバム全体を締めています。たったひとりで、これだけ豊かで、広く、深い世界を描けるやなぎ、是非ライヴも見てもらいたい人です。




山崎まさよし ; ドミノ ; POLYDOR POCH-1747 (2005. 4.28)

1998年リリース。この人のアコースティック・ギターのプレイは前から興味があったんで、中古盤で買ってみました。弾き語りを基本に必要最小限の楽器を加えたアンサンブルは、フォーク色も感じますが、ファンキーなリズムの曲など、G.ラヴに通じるセンスを感じました。歌詞も社会性があり、言葉をよく練り込んでいて好感がもてました。歌い方にやや癖がありますが、言葉がきちんと伝わってくるんで、僕はあんまり気になりませんでした。むしろこの辺が彼の個性なんでしょうね。もう少しバリバリギターを弾く作品を聴いてみたいと思いました。



山本太郎 ; Old Fashion Clarinet ; YPM YPM-014 (2008. 2.23)

2003年リリース。クラリネット奏者の山本太郎が、父親のピアニスト、山本英次と組んで、オールドタイムなニューオーリンズ・ジャズから日本の歌までを、ゆったりとした調べに乗せて演奏しています。このふたりの演奏は、ジャズにありがちな難解さがなく、素直に、メロディと和音を組み合わせているので、とても聴きやすいアルバムになっています。しかも選曲の幅が広く、「スウィングしなけりゃ意味ないよ」や「ふたりでお茶を」「ブルー・ムーン」のようなスタンダードな曲から、ポップな「ラヴ・ミー・テンダー」、自作の沖縄メロディ、果ては「見上げてごらん夜の星を」から「さくら」まで、ときに和の雰囲気をたっぷりと醸し出しています。また録音が素晴らしく、クラリネットの息遣いが目の前に聞こえてきます。それにしてもクラリネットって、本当にいろんな音が出るもんなんですね。



山本太郎デュオ ; Talk Away ; YPM YPM-015 (2008. 2.24)

2003年リリース。今回のデュオはしっとりとしたクラリネットとピアノの絶妙のコンビネーションです。派手さは全くありませんが、緩やかな中にも躍動感を感じるピアノと、音色を最大限に活かしたクラリネットが見事に溶けあっています。「ヴェリー・ソート・オヴ・ユー」や「ダニーボーイ」なんて染み渡ります。一方で「サヴォイでストンプ」なんて曲も、古典の良さを生かしながら、どこか現代の風味も感じられる好演です。



山本太郎トリオ ; New Orleans New Orleans ; YPM YPM-020 (2008. 3.14)

2008年リリース。これは本当に素晴らしいアルバムです。オールド・スタイルのジャズをこよなく愛する山本太郎の味わい深いクラリネットに、豪快な左手のストライドが見事な小林創のピアノ、ニューオーリンズ・スタイルの繊細なスネアワークを披露する東城弘志と、多分こうした少しレトロなニューオーリンズ・ジャズを今日本でやるならこれ以上ないといえるメンバーにより、「ランニン・ワイルド」「ベイスン・ストリート・ブルース」「ザ・ムーチ」「気だるい二人」「我が心のジョージア」といったよく知られた曲を、完全にニューオーリンズな雰囲気に仕立てて演奏しています。まるでバーボン・ストリートに迷い込んだような気分ですね。ラストの「ドゥ・ユー・ノウ・ワット・イット・ミーンズ・ミス・ニューオーリンズ」のしっとりした仕上がりまで、こんな音楽が日本で生み出されたことにある意味驚きすら感じます。これもまたニューオーリンズという街の魅力あってこそなんでしょうね。大推薦盤です。



やもとなおこ ; ふわふわ寄り道しよウウヨ ; YAMOTO NAOKO no number (2010. 6. 2)

2009年リリース。ことしライヴ会場で知り合った人ですが、透明感のある割に、ガツンとソウルフルな力も持っていて、とても面白い才能を持っています。この4曲入りのアルバムでも、「ふわふわ」という文字通り浮遊感のある曲の次に「ゴー・ザ・ロング・ウェイ」ていうファンキーな曲も出てきたりして、その懐の深さはかなりのものです。フルアルバム、期待しちゃいますね。




四人囃子 ; 一触即発 ; HAGAKURE ISCP-1130 (2005.12.16)

こちらも1974年に出された、日本のロック黎明期を代表する名盤に、シングル盤を加えたリイシューです。ギタリストの森園勝敏を中心に、緻密なスタジオワークで作られたこのアルバム、時々「ピンク・フロイドの真似」なんて酷評も聞こえてきますが、殆どそちらを聴いていない僕にはその辺は分かりません。分かっているのは末松康生の書くSFな歌詞に、バンドが一体となったサウンドが塗り込められ、それを音楽として高めたって事です。練りに練られた大ロック・オデッセィのタイトル曲を始め、よりジャジーでちょっとオールマン・ブラザーズを思い出させる「空と雲」「おまつり」といった曲の作り出す世界は、やっぱり唯一無二ですね。それに対しシングルカットの「空飛ぶ円盤に弟が乗ったよ」とフリップサイドの「ブエン・ディア」は、ぐっとポップと言うかフュージョン寄りのサウンドで、このあと森園が「プリズム」に移っていく背景を見たような気もします。どっちが面白いかって?そりゃもちろん本編ですね。この輝きを越える作品はもうそうは出てこないでしょう。



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