CD INDEX(v.a.2)
 

アーティストの名前順に並んでいます。「TODAY'S CD」で紹介したものは紹介文が付いています(日付)。紹介文のないものは「おすすめCD」か「お気に入りのミュージシャン」の中で紹介されているもので、「Click Here!」をクリックすると該当のページにジャンプします。

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Hands Off ; ACE CDCHD 1163 (2009. 6.23)

1950〜56年にかけての、ドナ・ハイタワー、ヘレン・ヒュームズ、ドリー・クーパー、リンダ・ピーターズ、ゾラ・テイラーといったディーヴァ達の曲を集めたもので、トップを飾るドナは軽快なリズムに乗せて歌います。タイトル曲は「モジョ・ワーキン」に似た曲でご機嫌!一転「ライト・ナウ」では重厚なブルース、また「ヒーズ・マイ・ベイビー」は「マネー・ハネー」を思わせる曲です。ヘレンは5曲中4曲が未発表だったもので、ハイトーンの声でしなを作るようにしながらブルースを歌います。ドリーは可愛い気のある声でこの時代ならではのロケンロール調の曲とポップなバラードを歌い上げています。リンダはミディアム・スローの曲を中心に、愛らしい声でたくみに歌い回します。ゾラも同系統ですが、チョッと線が細いかな。いずれも見事なバックに支えられて、それぞれの個性が際立っていて面白かったです。




The Harder They Come ; ISLAND/POLYGRAM PHCR-4762 (2004.12.15)

1972年リリース。「バビロン川のほとり」のオリジナルヴァージョンを聴きたくて買ってきました。もちろんジミー・クリフは素晴らしいんですが、サウンドを聴いていると、この頃のレゲエが相当STAXあたりのサザン・ソウルの影響を受けているんだなって再認識しました。ブラスの使い方など60年代後半の雰囲気。その方向から「メニー・リヴァー・トゥ・クロス」を聴き直してみて、やっぱり素晴らしいバラードだなって感じました。20世紀のベスト10に入れていい曲です。ちなみに他の候補は喜納昌吉の「花」とかサム・クックの「ア・チェンジ・イズ・ゴナ・カム」あたりですが。



Harp Blues ; ACE CDCHD 710(2007. 5.23)

1947〜1969年録音。いわゆるヴィンテージ録音からハーモニカの名演を集めたアルバムなんですけれど、一筋縄でいかないのがこのレーベルらしいところです。何しろいきなりパパ・ライトフットから始まり、サニーボーイ、リトル・ウォルター、ウォルター・ホートンなど有名どころを挟みながら、シャイ・ガイ・ダグラスを入れてくるあたりの並べ方がすごいです。絶対の名演「イージー」とか、隠れた名曲ともいうべきリトル・ウィリー・フォスターの「リトル・ガール・ドリンク・オン・リトル・ガール」などたまらない選曲ですね。さらにヴィンテージにこだわらず、VANGUARD時代のジェイムズ・コットンとか、WORLD PACIFICのジョージ・スミスなんてのも入ってます。ところでこのアルバムに収録されているジェリー・マッケインの「ステディ」、いつも聴いていたのとテイクが違います。この1曲で「買い」ですね。



Harp-Suckers! - Detroit Blues Rarities 2 ; P-VINE PCD-5417 (2001. 6. 7)

1950年代録音。これは何と表現すればよいのでしょうか?ハーモニカの嵐!といった感じ。全編ハーモニカの音で溢れています。ウォルター・ミッチェルとロバート・リチャードは、お互い相手のリーダー作でハープを吹き、ツイン・ハープになっていますが、生音のためきらびやかな感じです。でもフレージングと歌は充分にひなびていて、とってもプリミティヴ。同じメンバーでプロデューサーのジョー・ヴォン・バトル自身が吹き込んでいる曲もあります。しかしもっと強烈なのは、トリプル・ハープ!のみをバックにしたエルダー・ウィルソンのゴスペルです。歌の感じはブラインド・ウィリー・ジョンソンのような説教スタイルで、「ディス・トレイン」など強烈なインパクトがあります。ラストのリトル・サニーのダウンホームな演奏が出て、妙にほっとしてしまいました。それほど緊張感のあるアルバムです。とってもコア!



Hasting Street Blues Opera - Detroit Blues Rarities 4 ; P-VINE PCD-5639 (2001. 6. 9)

1940年代末〜50年代中ごろの録音。「ヘイスティング・ストリート」という名前からは、すぐにチャーリー・スパンドの名演を思い出しますが、ここで8曲取り上げられているデトロイト・カウントはそうした伝統を受け継ぎながら、よりエンターテインメントに撤した人物のようです。かなり達者なピアノと、セシル・ギャントに通じる粘っこくで語り口の柔らかいヴォーカルはかなり魅力的。このアルバムの目玉です。この後はワン・ストリング・サムの、なんとも癒えない独特のスライドに代表される、いかにもデルタ直系といったダウンホームなブルースと、テキサス〜ウエストコーストに通じるジャンプ系のサウンドという、対照的な音が集められています。特にサムの「マイ・ベィビー・000」は、リトル・ウォルターの「マイ・ベイブ」のタイトル部分だけを歌い、残りは共鳴音が印象的な一弦スライドで演じるという荒業。デトロイトって街が一筋縄でいかないことを、音で教えてくれたジョー・ヴォン・バトルに感謝!



The Heart Of Southern Soul ; ACE CDCHD 601 (2009. 5.29)

1966〜1974年にかけてのEXCELLOおよびその系列のDEEやSIMS、A-BETといったレーベルから出されたソウル集です。未発表音源もかなりあり、マニアックな感じですが、内容は充実しています。ちゃんと聴いたことがあったのはスペンサー・ウィギンズ位で、あとはキップ・アンダーソンなどの名前は知っていたんですが、トレモロの効いたギターが印象的サウンドをバックに歌うディー&ドンの「アイ・キャント・スタンド・イット」は思わずC.C.R.を思い出しちゃったりします。またオルガンが効いていてファンキーなリー・ウィーバーの「セヴンス・サン」とか、ゴージャスなバックが格好いいキップ・アンダーソンはかなりインパクトがあります。記者の走り出す音から始まるスティシー・レーンの「ファンキー・リトル・トレイン」もタイトル通りでかなり来ますね。ユージン・ケンプの「ノー・ピティ・イン・ザ・シティ」も相当ファンキーで、サザン・ソウル=ディープなバラードというイメージより、かなりファンクネスを感じる内容でした。




Her Name Is New Orleans - Listen To The Women ; ASHE CALTURAL ARTS CENTER no number (2008. 6.29)

ニューオーリンズの歌姫たちの作品を集めたコンピです。シャーメイン・ネヴィル、トプシー・チャップマン、ジオン・トリニティ、マーヴァ・ライトなど、R&B、ジャズ、ブルースといろんなジャンルから集めていますが、いいですね。ワンダ・ルーザンの「ウー・プー・パー・ドゥ」は実にオーソドックスなニューオーリンズ・サウンドが気持ちイイですし、トプシーがゆったりと歌う「ドゥー・ユー・ノウ・ワット・イット・ミーンズ(ミス・ニューオーリンズ)」は染みてきました。レディ・BJがアカペラで熱唱する「プレシャス・ロード」から、キャシー・ランデルズが語るカトリーナについての話が真ん中に入っていて、そのキャシーが最後にチョロット歌った「インディアン・レッド」をカラ・ハリスンが引き継ぐあたり、このアルバムの制作意図がしっかり見えてるなと思いました。そしてラストはマーヴァの「ア・チェンジ・イズ・ゴナ・カム」。凄く心のこもったコンピです。こういう素晴らしい編集盤に巡り会えると本当に嬉しいですね。



Higher Ground - Hurricane Relief Benefit Concert ; BLUE NOTE 0946 3 45238 2 0 (2006. 6.12)

2005年秋に行われた、カトリーナの被害に対するベネフィット・コンサートの模様を凝縮したものです。ニューオーリンズゆかりのミュージシャンを中心に、ジャズからロックまで様々なミュージシャンが集まっています。シャーリー・シーザーの歌うゴスペル「ディス・ジョイ」からスタート、テレンス・ブランチャードのゆったりと追悼するような「オーヴァー・ゼア」からアーロンとアートの「ゴー・トゥ・ザ・マルディ・グラ」での、悲しみを押し殺しながら故郷を精一杯励ますようなサウンドは、いつにない雰囲気でジンと来ました。この他ジェイムズ。テイラーの弾き語り、BLUE NOTE らしいダイアン・リーヴズ、バックウィート・ザディコにディキシーランド風のウィントン・マルサリスと、ヴァラエティに富んでいますが、その思いはニューオーリンズですね。ラストのカサンドラ・ウィルソンの深い歌で再びジンと来ちゃいました。ジャズの人達にとっても、ニューオーリンズは心の故郷なんだなって、改めて感じさせられた1枚です。



Holy Mackerel! - Pretenders To Little Richard Throne ; ACE CDCHD 1211 (2009. 6.18)

1957〜64年録音。とにかくリトル・リチャードの影響を受けた歌と演奏を片っ端から集めたコンピです。ジェイムズ・ブラウン、オーティス・レディング、エッタ・ジェイムズ、アイク&ティナ・ターナーとその手の曲でよく知られている人は当然入っていますし、ディー・クラークやリチャード・ベリーもロッキンしています。これだけ立て続けに聴くと、リトル・リチャードの影響力の大きさを改めて認識することになります。まあフルソンの「ロック・ディス・モーニング」まで入ってますが、この辺になると間接的な影響という気もしなくもないですが。とにかくドライヴ感たっぷり、シャウトたっぷりのコンピです。




Honk! Honk! Honk! ; ACE CDCHD 781 (2001. 2. 2)

1952〜58年ごろの、DOOTONE、COMBOからの録音集。タイトル通りサックスがホンクしまくり、ブリブリのコンピです。1949年ごろに始まったホンク・テナーのやや後に続く作品集で、チャック・ヒギンズ、ジョー・ヒューストンらが自慢のプレイを展開しています。ヒギンズの「ルースター」なんて、「ナイト・トレイン」と「フライング・ホーム」=「ディーコンズ・ホップ」を繋いだようなもうホンク以外の何者でもないって曲。この他ジョニー・ワトソン("ギター"が付く前)のピアノとか、いろいろあって面白いです。ロレンゾ・ホールデン(ロイ・ミルトンが歌!)の「ユー・ゴット・ミー・リーリン・アンド・ロッキン」はロイ・ブキャナンが「Live Stock」で取り上げてましたね。最後は女声コーラスも絡んだりして、イギリスACEのセンスの良さには毎度脱帽です。



Honkers & Bar Walkers vol. 1 ; DELMARK DD-438 (2001. 1.15)

1949年〜50年代録音。かつてP-VINEから「Sax Blowers & Honkers」というLPが出ていましたが、それの原盤に曲を足したもののようです。頭が超有名(映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の夜のお魚パーティで、最初に演奏していた曲がこの曲)なジミー・フォレストの「ナイト・トレイン」。以後、タブ・スミス、ドグ・ソーセージらのテナー、アルトを軸にしたインストが続きますが、ホンカーという割にはジャズっぽく僕にとっては上品な演奏が続きます。夜スコッチかブランデーをくゆらせながらのBGMには最適かもしれません。



Honkers And Bar Walkers Volume 3 ; DELMARK DE-542 (2002.12.21)

1949〜54年録音。UNITED/REGAL音源を使ったDELMARKのこのシリーズも3作目になりますが、いやいや出てくる出てくる!全然グレードは下がりません。メインはエディ・シャンブリー(チャンブリー?)で、軽快なサウンドに乗って比較的ライトでポップなサックスを聴かせます。「キャラヴァン」もあっさり目にやっていたり、「ラプソディ・イン・パープル」はもちろん「...ブルー」のテーマを拝借してますが、なかなかかっこいいです。軽妙な歌も「セント・ジェームズ病院」など3曲披露しています。この他ホンキングのテーマが強烈なワイルド・ビル・ムーアの「ダイナフロウ」、テーマがかっこいいフロイド・テイラーの「バー・ビ・キュー」、そして聴いたメロディだとおもったら「ロッホ・ローモンド」だったりします。ルーズベルト・サイクスの歌をフィーチャーしたサックス・マラード、J.T.ブラウンやサックス・カリも1曲ずつ入っていて楽しめました。



Honky Tonk! - THE KING & FEDERAL R&B Instrumentals ; ACE CDCHD 761Click Here!

I Blueskvarter ・ Chicago 1964, Volume Two ; JEFFERSON SBACD 12655/6 (2000. 6. 4)

スゥエーデンの国営放送用に1964年にシカゴで録音されたもののCD化第2弾。2枚組です。1枚目、いきなりポール・バターフィールドからスタート。シカゴ・ブルースに対する敬愛の念を感じさせる真摯な演奏で好感が持てます。この他ウォッシュボード・サム、ジョン・リー・グランダーソン、エイヴェリー・ブレィディが収録されていますが、サム以外は初めて聴く人でした。グランダーソンの「ミングルウッド・ブルース」はミシシッピの伝統を伝える演奏でしたし、ブレィディも仲々の好演でした。
 2枚目のリトル・ブラザー・モンゴメリーでは、マイク・ブルームフィールドのアコ・ギターによる的確なサポートが聴かれます。このCD最大の聴きものでした。続くアーヴェラ・グレイはソングスタ的な選曲、セントルイス・ジミーは「ゴーイン・ダウン・スロー」はやっていませんが、落ち着いた声は健在でした。
 全体的に、TESTAMENT のものなどよりこじんまりと落ち着いた感じですが、その分「わざとらしさ」を感じず、聴きやすかったです。入門用とはいきませんが、シカゴ・ブルース・ファンは必聴でしょう。


Hound Dog Taylor - A Tribute ; ALLIGATOR ALCD 4855 (2004. 7.16)

1997年リリース。数あるトリビュート盤の中でも、この人に対するものほど本人のインパクトが強い分参加者の苦心の跡を感じるものはそう多くないと思います。ルーサー・アリソンのハウンドドッグの迫力を再現しようとするスタイルや、サニー・ランドレスの、ハウンドドッグ特有のエグみを自分のスタイルの中から出そうとする工夫など、おもしろみがありました。エルヴィン・ビショップの愛情ある語りもいいな。「ハイダウェイ」のオリジネイタのことにも触れてましたし。アルビン・ヤングブラッド・ハートのアコースティック版「イッツ・オーライト」とリル・エドのエレクトリック版のそれとの対比も面白かったし。全体に変化に富んでいて飽きのこない作品です。



House Rockin' And Blues Shoutin'! ; BLUE WITCH BWR 103 (2008. 1. 8)

1997年から2006年の間にフェニックスはザ・リズム・ルームというハコで行われたライヴ集です。仕掛人はボブ・コリトアで、ファビュラス・サンダーバーズ、マニッシュ・ボーイズなど、テキサス〜西海岸の現在進行形のブルースはもちろん、フロイド・ディクソンやロバート・ロックウッドなど今は亡き人の音源も収録されています。ロング・ジョン・ハンターのギターの音色の素晴らしさがぐっと来ました。どこかルイジアナ風味を感じるヘンリー・グレイのかくしゃくとしたピアノも格好いい!ソニー・ローズのスライドの音色はこれまたなんでこんな音が出るんだろう。ポール・オッシャーがひとりでギターとハーモニカを奏でるインストも、まあ見事なもんです。聴き所満載の贅沢な1枚。



I Blueskvarter - 1964, Volume Three ; JEFFERSON SBACD 12658/9 (2004. 7. 2)

これは待ちこがれていたアルバムです。なにしろディスコグラフィでその存在が知られていながら、今まで聴く機会がなかったスヌークス・イーグリンがいよいよ公開されたんですから。アコギ弾き語りは、ちょうどハリー・オスター録音とSONETの間くらいの時期で、すこぶる自然体。曲は両者で取り上げられたものも多いですが、ゆったりと哀愁すら感じる「ハロー・ドーリー」なんていいなぁ。ニューオーリンズものではベイブ・ストウォールの「キャンディ・マン」も味があって印象に残りました。他は録音時期を遡るようにメンフィス〜シカゴ録音なんですが、ビックリはメンフィスのジョニー・モーメント。ハーモニカ吹き語りなんですが、歌といいハーモニカといいサニーボーイ・ウィリアムソン(ライス・ミラーの方)にそっくりなんです。直接教わったのかしら?2枚目の方では、「ティン・パン・アリー」を歌うウォルター・ホートン、リロイ・カーの「プリズン・バウンド」を歌うサニーランド・スリム、十八番の「ヴィックスバーク・ブルース」を歌うリトル・ブラザーなど、聴き所たっぷり。ポール・バターフィールドのハープもかっこいいし。でも強烈なのはウィリー・ディクソンの自宅で録音したビッグ・ジョー・ウィリアムズ。あの9弦ギターをかき鳴らしながらぶっとい声で歌うのには圧倒されます。ラストにインタビュー入りで、チャンピオン・ジャック・デュプリーが弾き語ってます。これはストックホルム録音で、やけに酒の話が出てきますね。とにかくことしのリイシューNo.1は決まったも同然!



Inspiration - 22 Great Harmonica Performances : UNIVERSAL 064 371-2 (2002.11.13)

1929〜1998年録音。ブルースハープのコンピだと思い込んで買ったんですが、1曲目のメロディがでてきてびっくり!エリック・サティの「ジムノペディ」なんです。よく見ればトゥーツ・シールマンでした。この他両ウォルターやサニーボーイ、サニー・テリーからデフォード・ベイリーなどブルース畑のプレイもあるんですが、フレンチあり、ラテンあり、ジャズあり、カントリーありで、ハーモニカという楽器の奥深さを一気に知ることの出来る好編集盤です。でもJ.ガイルズ・バンドの「ワマー・ジャマー」が流れると思わず口笛吹いちゃう僕って...。ちなみに面白かったのは「アルフィー」を吹くEivets Rednowさん。さて誰でしょう?(姓名それぞれを逆立ちして読むと!)まさに彼の音でした。



It's Funky-Time ; P-VINE/TOWER PTR-CD-3 (2005. 9.28)

1950年代から70年代にかけての、MODERN/KENT系列の録音から、すこぶるファンキーなチューンを集めた御機嫌なコンピです。フルソン3曲を初めとして、アザー・ブラザーズ、スモーキー・ウィルソンなどの、あんまり有名ではないけどどす黒いノリの曲が集められています。ラリー・ディヴィスのB.B.キング・ナンバー、Z.Z.ヒルの「ノー・モア・ドギン」、さらにはスモーキーの「ルデラ」と、オリジナルからグッとファンク度を増した曲は、適度のB級さもあり、腰に来ますねぇ。後はアル・キング、こんなにもフルソンを意識してたのかって雰囲気でこれも気に入りました。アイク・ターナーのギターが切れまくるアイケッツの「キャメル・ウォーク」も格好いいし。ラストをヒップなジョニー・ギター・ワトソンのゆったり目な「オー・ベイブ」で締めるあたり、コンピレイターの吉田さんの趣味のえぐさが分かります(読んでたらごめんなさいね)。



Jazzy Funky New Orleans ; FUNKY DELICACIES DEL CD 0022 (2001.11.11)

詳しいデータは何もないですが、60年代末〜70年代初めの録音ではないでしょうか。まずウルフマン・ワシントンの「グッド&ジューシー」にびっくり。だってジョージ・ベンソンみたいなんだもん。オクターヴ奏法中心のインストで、リズムがラフでファンキーなのがニューオーリンズしてるかな。この他はジェームズ・ブッカーのオルガンインストとか、エディ・ボー、ウィリー・ティーと好きなところのローカルサウンドがぎっしり。面白いのは時代なのかフルートが多用されているところかな。好き者にはたまらない一枚。



The Jerry Ragovoy Story - Time Is In My Side 1953-2003 ; ACE CDCHD 1183 (2008. 8.27)

いきなり劇的なロレイン・エリソンの「ステイ・ウィズ・ミー」で幕開けますがこれがまず素晴らしいです。フィル・スペクターほどわざとらしくないんですが、ぐっと迫るものがありました。またタイトル曲、ケイ・ワインディングのラッパでメロディを奏でるんですが、アーマ・トーマスとはまた違った味わいでいい感じです。そしてガーメット・ミムズの「クライ・ベイビー」。これも劇的なアレンジが素敵です。でも何といってもこの人の仕事と言えばハワード・テイトで、彼のハイトーンのヴォーカルを生かす曲作りとアレンジは、昔も今も変わりありません。収録された3曲はやや地味な選曲ですがその魅力は充分でしょう。




John Vincent Presents The Vin Story ・ 1958-1961 ; VIN/WESTSIDE WESA 809 (2000. 7. 3)

ACE のオーナージョン・ヴィンセントが1958年に興したレーベルのコンピ。のどかに跳ねるヒューイ・スミスやギター・スリム丸出しのアール・キングなど、この時代のニューオーリンズ・サウンドがいっぱいに詰まっています。テキサスものもあり、フランキー・リー・シムズのいなたい「ブルー・ライト・ブギ」などはいい乗りで気に入りました。白人ミュージシャンも多く入っており、エヴァリー・ブラザーズを彷彿させるコーラスの曲や、若き日のドクター・ジョン=マック・ルベナック絡みのものもあり、ニューオーリンズ好きにはたまらない1枚です。


Jubilee Jezebels ; JUBILEE/SEQUEL NEM CD 750 (2000. 7.13)

1952年と64年録音の女声ヴォーカル集。中古で購入。リトル・シルヴィアは若き日のシルヴィア・ロビンソン姉御です。ややボーイッシュですが彼女特有の色気がすでに漂っています。この後ミッキー&シルヴィア、「ピロー・トーク」、SUGAR HILL設立とある意味シーンの先端を行ってた人です。あと64年録音はキャロル・フランのものです。ニューヨークのレーベルですが、やはりキャロルが唄うとルイジアナの香りが漂います。女声ヴォーカルはあまり好んで聴かないんですが、これは当りでした。


Jugs Across America - A Modern Jug Band Compilation ; WHISKEY FOR BREAKFAST WFB002 (2009. 4.18)

21世紀になって出されたアメリカのジャグバンド集です。ジャグ・フェスとタイアップしてのリリースかな。キャロライナ・チョコレート・ドロップスのようなブルーグラス・タッチのバンドもありますが、全体的にはオールドジャズっぽいサウンドが多いですね。アコースティック・ギター、バンジョー、フィドル、アコーディオンなど様々な楽器が活躍し、みんなでワイワイ楽しそうに演奏していますが、これぞまさにジャグ・バンドの楽しみ方って感じです。ジャッジメント・ジャグ・バンドとなるとクリーンなエレキのサウンドを交えて一味違った雰囲気。ランブリン・ジャグ・ストンパーズの古〜い雰囲気もまた良しです。とにかく20バンド、それぞれ個性的で飽きることなく楽しめました。




Jump, Jive & Swing ; ACE CDCHK 721 (2008.12.22)

1988〜1998年にリリースされたイギリスのジャンプ/ジャイヴ・バンドのコンピレーションです。収録されているのはシュヴァリエ・ブラザーズ、レイ・ゲラント・ジャイアンツ、ダナ・ギレスピー、シュガー・レイズ・フライング・フォートレス、ビッグ・タウン・プレイボーイズ、タイロン・ホブズ&ザ・ヒップシェイカーズ。と書いてもほとんど知られていないと思います。まあ極論で例えれば、イギリスのスウィンギン・バッパーズ大集合という感じのアルバムです。どのバンドも演奏力はかなりあり、十分楽しめますが、でも生で見るバンドのような気もします。総じて歌が弱いなぁ。あとはバッパーズ並みの遊びがあるかどうか、歌詞が分かればその辺も分かるんですが。




Jump & Swing With BLACK TOP ; BLACK TOP BTEL-7007 (2004. 8. 1)

BLACK TOP レーベルに残されたジャンプ系の曲のコンピです。したがって録音は1980年代後半〜90年代前半といったところなんですが、モダンさの中に、けっこう50年代のサウンドに通じるグルーヴが感じられるのがこのレーベルの魅力だと思いました。もちろんハル・シンガーやアール・キングといった往年の大スターのサウンドのせいもあるんでしょうが、ロッド・ピアッツァやラスティ・ジンあたりからも、熱さと粘りを感じました。多くの曲を単独盤で聴いていましたが、こういう風にテーマで並べるとまたひと味違いますね。



Jump 'N' Shout! ; New Orleans Blues & Rhythm ; UNITED/DELMARK DE-715 (2000.11.22)

1949〜53年録音。ニューオーリンズのミュージシャンを集めていますが、録音場所はいろいろです。いきなり頭がデイヴ・バーソロミュー!これがいいんです。「カントリー・ボーイ」は後にたびたびやるパターン(例えばIMPERIALの「カントリー・ギャル」)ですが、アーニー・フィールド、アール・パーマーの強固なリズム隊に支えられたアンサンブルはもう最高!。デイヴのトランペットの活きの良さは、後の録音ではなかなか味わえません。この他、アーニー・ケイドゥ(かつてP-VINEがLPでリリースした曲あり)、チャビー・ニューサムなど、ご機嫌なニューオーリンズ・サウンドが目白押しです。ACE、SPECIALTY、IMPERIALといった王道は外れているかもしれませんが、好コンピだと思います。



Jumpin' & Jivin' ; ACE CDCHD 654 (2008.12.20)

1947〜1955年の、主にSPECIALTYとPRESTIGEに残されたジャンプ・ミュージックのコンピです。ロイ・ミルトンのご機嫌なグルーヴが軸になって、スピード感のあるレオ・パーカー、キング・プレージュアの「レッド・トップ」、エイモス・ミルバーンの「チキン・シャック・ブギ」をゆったりさせたようなフロイド・ディクソンの「ホール・イン・ザ・ウォール」、さらにはバンブル・ビー・スリムのご機嫌なブギなんてのも入ってます。この時代の曲って本当に外れが少ないですね。




Jumpin & Jivin' Guitarists Vol.3 - Blastin' Blues Guitars ; P-VINE NONSTOP PVCP-8140 (2009. 2.15)

1940年代末〜1960年くらいまでの録音。ピー・ウィー・クレイトンから始まり、T-ボーンがバックをつけたロイ・ホーキンスやハダ・ブルックスのバックで弾くテディ・バンなど、渋いところに目をつけています。強烈なゴリー・カーターもあれば、里帰りをしたような1960年のロニー・ジョンソンの「セント・ルイス・ブルース」まで、かなり雑多な選曲ですが、ギター好きにはたまりませんね。




Jumping At Jubilee ; JUBILEE/SEQUEL NEM CD 749 (2000. 7. 8)

1949〜55年録音の、ニューヨークのレーベルのコンピ。中古で購入。ジャンプ・R&B系の音が中心ですが、ラルフ・ウィリスが8曲入っていて、相当異質です。ブラウニー・マギーと組んでた人で、イースト・コーストの古いタイプのブルースですが、以前紹介した「Blues Complete」に収録されている曲のようです。後はSAVOYなんかに通じるR&Bが中心で、カズン・ジョーなどが入ってます。ラストにラ・ヴェーン・レイという人の「ロック&ロール」なんて曲(1949)が入ってますが、ルイ・ジョーダンを女性にしたような、軽快なジャンプ曲ですね。


Just Keep Dancing - CHESS Northern Soul ; KENT CDKEND 138 (2009. 5.22)

1961〜71年にかけてのダンス・チューンを集めたコンピで、ジーン・チャンドラー、ビリー・スチュワート、エッタ・ジェイムズ、ヴァレンティノズ、デルズといった有名どころの他、あまり名前を知らない人たちも収録されています。MOTOWN全盛期で、そうした演奏の影響はリズムなどに感じられますが、ギターの使い方や、どこかもったりとしたリズムなどはこのレーベルらしい感じといえます。そのあたりの感じは例えばジョイ・ラヴジョイの「イン・オービット」なんて曲で顕著で、すごくMOTOWNぽい雰囲気があるのに、リズムだけはなんとなく重厚になってます。そういう意味ではファンクっぽさもあるってことで、ジョージ・キルビーの「ワット・キャン・アイ・ドゥ」などなかなかファンキー。一方ザ・チェスメンの「ホワイ・キャント・アイ・ビ・ユア・マン」なんて思いっ切りフォー・トップスしてて面白いです。ラストのビリー・スチュワートの「オールマン・リヴァー」の解釈、ビートが生きていて素敵ですね。




Kansas City Jumps Vol.3 ; BLUE MOON BMCD 6055 (2007. 4. 7)

1940〜49年録音。冒頭のカンザスシティらしいハーレイン・レオナードのご機嫌なビッグバンドをバックに歌うミラ・テイラーの洒落た色気がまずたまりません。自己名義の作品ではスモールコンボをバックに、有名な童謡をジャズに仕立てた「クイット・ブレイキング・イン・マイ・ルバーブ」なんてのが面白いですね。続くエラ・メイ・モーズはよりドスが利いてブルージーですが、ゴスペルベースの女性歌手と違ってどこか軽妙なのは、やっぱりこの街がジャズの街だからでしょうか。後半はアール・ジャクソンの楽団のご機嫌な演奏集です。さすが気持ちよくスウィングしてます。真夜中この街を徘徊してると、そこかしこの店からこんな音が流れてたんでしょうね。



Keep It Rollin' - The Blues Piano Collection ; ROUNDER 1166-11601-2 (2001.11.23)

ROUNDERに残されたピアノ弾き語り&インスト集。タイトルに「ブルース」とありますが、ニューオーリンズ・ピアノ集と言った方が適切です。いくつかのアルバムからのコンピで、原盤をほぼ聴いたことがあるので新鮮さはありませんが、これだけ並べられると壮観です。中でもやはりジェームズ・ブッカーは光ります。変態!カミサンが車で聴きながら「ジョージ・ウィンストンみたい」とけっこう的確なことを言ってました(彼はフェスが大好き)が、歌が出てきた途端ぶっ飛んでました。そんな変態が好きな僕としてはジャケ裏の写真が嬉しいです。サンプラーとして良くできたアルバム。



Keep It To Yourself - Arkansas Blues Volume 1: Solo Performances ; STACKHOUSE SRC-1910 (2006. 7.20)

1976年にアーカンソー各地で集められたソロ・パフォーマンス集です。従ってアーティストはほとんど無名。W.C.クレイが力強いアコースティックギターとヴォーカルで押してくるのが一番印象に残りました。一方ウィリー・ライトは「ジョン・ヘンリー」やマディ、ウルフといった有名どころを取り上げます。意外としっくり来ていたのがハーバート・ウィルソンが歌うライトニンの「ハロー・セントラル」。なりきってる感じでした。ネルソン・カーソンが「ヒル・カントリー・ブルース」を歌い、ハーモニカのセデル・ディヴィスが収録されているなど、北ミシシッピとの連続性が出ていて、独特の泥臭さを感じます。そんな中、トレントン・クーパーの洒落たピアノが印象的でした。



...KING Funk ; BGP CDBGPD 135 (2003.10. 1)

1967〜73年録音。KINGといえば何と言ってもジェイムズ・ブラウンが在籍していたレーベルですから、ここにもその流れの曲がたくさん詰まっています。ビル・ドゲットは元々KINGで"Honky Tonk"を1954年だったかに大ヒットさせたわけですが、そのポップコーンスタイルでのリメイクが冒頭を飾り、チープでファンクネス溢れる演奏は、オリジナルとはまた趣の異なる格好良さです。続くハンク・バラードの「バター・ユア・ポップコーン」も隙間が実に心地好いナンバー。この他ザ・サン・オヴ・ファンク(レココレの鈴木さんの解説だとJBズのことだそうです)のクールな「フロム・ザ・バック・サイド」悩ましい語りで始まるマリー・クウィーン・ライオンズの「フィーヴァー」、ラテン・ファンク風味の漂うコースターズの「ラヴ・ポーション・No.9」のリメイクなど、飽きのこない編集でたっぷり楽しめました。



KING New Breed Rhythm & Blues ; KENT CDKEND 210 (2008. 4. 2)

1957〜67年録音。リズム・ナンバー中心の選曲ですが、いろいろと面白い曲が入ってます。全体にマーナーの曲が多いのが特徴。まずはボビー・キングの「サンクス・ミスター・ポストマン」、もちろん「プリーズ・ミスター・ポストマン」のアンサーソングですが、随分味わいが違います。タイニー・トプシーの「ジャスト・ア・リトル・ビット」はマイナーですが、もちろんロスコ・ゴードンの曲に通じます。何でもロスコの曲をいつの間にかKINGサイドがパクったとか。ジョー・テックスの「ニューモニア」は「フィーヴァー」へのアンサーソング。この他JBの相棒のボビー・バードの自己名義作など、いろいろ聴き所がありました。



King Of The Gospel Highway - The Golden Age Of Gospel Quartets ; SHANCHIE 6039 (2000. 7.20)

これは凄い!1939年〜58年録音のゴスペル・カルテット集です。P-VINEが帯を付けたものを新譜で購入。僕はゴスペルは殆ど聴いたことがないんですが、そんなことは関係ない素晴らしい音楽です。ソウル・スターラーズ、ピルグリム・トラヴェラーズ、スワン・シルヴァートーンズ、スピリット・オヴ・メンフィス、ファイヴ・ブラインド・ボーイズ・オヴ・ミシシッピ、センチメンタル・ナイチンゲールズと、著名なカルテットの名演集ですが、佐々木秀俊さんの帯ライナーの、「最も凄い男たちの最も凄い唄」という賛辞は決して誇張ではないと思います。とにかくこのア・カペラにはぐいぐい引き込まれます。リードだけでなく、メンバー全員の歌唱力がいずれもただ者でなく、それが信仰による一体感を伴って出てくるんですから、もう最高と言うしかありません。車の中で3回まわりましたが、「もう1回」という気分になります。はまりそう!


KING's Rock 'N' Roll Volume 2 ; ACE CDCHD 1051 (2005. 6.22)

1956〜64年にKING傘下の各レーベルに残されたロックンロール集です。といっても、ロックンロールからイメージされる音とは一味違う曲が多く、例えばコーラスグループやインストナンバーもありますが、まあ素直に聴けば景気の良いR&Bといった方が的確かもしれません。でもロックンロールブームの洗礼を受けた結果ともいえるわけで、つくづくジャンル分けの難しさを感じます。さて冒頭のロイ・ミルトンの「ロッキン肺炎」から笑ってしまいました。オリジナルはもちろんヒューイ・スミスですが、イントロまでエイトビートの例の調子なのに、曲に入るとしっかりシャッフルするんだもん。この他歌入り「ホンキー・トンク」とか、ルーサー&リトル・エヴァ(これって「ロコモーション」のリトル・エヴァなんでしょうね)のどうにもいなたいギターで始まる「ラヴ・イズ・ストロング」などは思わずにんまり。一方タイタス・ターナーの迫力、伸びやかなハンク・バラード(「ダディ・ローリング・ストーン」はオーティス・ブラックウェルのものとは同名異曲)、ハイトーンが魅力なジョー・テックスと飽きない選曲で楽しめました。



The LA SALLE Chicago Blues Recordings Vol. 1 ; LA SALLE/WOLF 120.296 CD (2001. 5.12)

ドラマーのジャンプ・ジャクソンが1960年にリトル・ブラザー・モンゴメリーとサニーランド・スリムを録音したもののようです。リトル・ブラザーは古典的なピアノブルースを聴かせています。自作の「ヴィックスバーグ・ブルース」の新ヴァージョンはさすがといった感じですし、歌入りの「カウ・カウ・ブルース」は初めて聴きました。一方サニーランドの方はスタジオライヴのような和やかなムードの中で、楽しそうに演奏しています。ちょっとラフな部分もありますが、クラブの中で酒を飲みながら楽しんでいる気分に浸れます。



The LA SALLE Chicago Blues Recordings Vol. 2 ; LA SALLE/WOLF 120.297 CD (2001. 5.21)

ラ・サールの第2集は1959年と61年(1曲1970年)録音の、よりR&B色の強い軽快なナンバーを集めています。メインはエディ・クリアウォーターで、例によってチャック・ベリーの影響をもろに受けたチューンからスタートします。リトル・マック・シモンズの2曲もかなりポップで楽しいナンバー。サニーランドも1曲ありますが、わりとジャンプしています。エディ・ボイドの2曲のうち1曲はジャンプ系、ただし「アイ・クライ」だけは「ファイヴ・ロング・イヤーズ」に通じる沈鬱なナンバーで、このコンピの中では異彩を放っています。ラストのジャジーなウィルバー・”ハイファイ”・ホワイトの曲が、ムソルグスキーか何かを引用したクラシカルなテーマもあって、なぜかやけに印象に残りました。



Land Of 1000 Dances - All Twistin' Edition ; ACE CDCHD 1220 (2009. 8.15)

1959年のハンク・バラッドとミッドナイターズの「ザ・ツイスト」を皮切りに、1962年の大ブームを中心に、これでもかとツイストナンバーを詰め込んだコンピです。歌詞の中にやたらと「ラウンド・アンド・ラウンド」が出てくるのが時代を感じますね。相ズレー・ブラザーズもリンダ・ホプキンスも、フレディ・キングも、マーヴェレッツもツイストしてます。ペチュラ・クラークに至ってはリー・ドーシーの「ヤー・ヤー」をツイスト仕立てに。格好良かったのはハウィー・ケイシー&ザ・シニアーズの「ダブル・ツイスト」、リトル・リチャードバリのシャウトも聴かれます。トップ・トーンズの「ツイスト&シャウト」は軽快な感じ。中には「モンスター・ツイスト」なんて笑えるのも。唯一残念だったのが、チャビー・チェッカーが入ってないことかな。




The Later JIN Singles - Promised Land ; ACE CDCHD 1004 (2004. 6.19)

1961〜1976年の録音。JINは南ルイジアナのフロイド・ソアルーのレーベルで、軽快にロッキンするタイトル曲がまずかっこいいです。ストレートなロッキン・シドニー、スワンプ風味丸出しのランディ&ザ・ロケッツ、ニューオーリンズの入ったビリー・ルイスなど聴き所たっぷり。軽くてもどこかひねりが効いてるんです。ロニー・べネットがジョニー・ウィンターのバンドで歌ってるものなんてありますし。クリント・ウェストのやる「ブギ・チレン」の軽さもたまりませんし、C.C.R.の「バッド・ムーン・ライジング」のカヴァーまで入ってます。気楽に面白く聴けました。



Laughin' At The Blues ; REV-ORA CR BAND 11 (2008. 3.20)

レコーディング・データが整理されていませんが、1940年代後半から1950年代初頭の録音を集めたものでしょう。「ブルースで笑おう」ってタイトルですが、豪快に歌うレッド・フォックスやアル・ジャクソン、いつものように言葉遊びを交えたスリム・ゲイラード、芝居がかった「オープン・ザ・ドア・リチャード」が楽しいダスティ・フレッチャーから、ほとんど語りのヒップスター・ギブソン、ほとんど芝居のエフィー・スミス「ダイアル・ザット・テレフォン」まで、歌詞が分かったらどんなに面白いんでしょう。この他有名どころではスピリット・オヴ・リズムからスキャットマン・クローザー、さらに若き日のサミー・ディヴィス・ジュニアまで収録されており、なかなか面白い企画盤です。



Lazy Currents For Your Soul ; KONAMI POCE-7340 (2007. 6.26)

2006年リリース。誕生日プレゼントにいただきました。鎌倉はティピティーナに集う、味わい深いミュージシャンたち、彼らの音楽を「バーミュージック」と呼ぶんだそうですが、そうした音楽のサンプラー盤です。大好きな日倉士さん、SALTYヒロシさんを初め、藤田洋介&ミラクル・トーンズ、渋みの増した元キャロルの内海利勝さん、いつも元気なムーニーさんなど、おなじみの人たちがいっぱいです。思ったよりエレクトリックなサウンドが多く、もうちょっとアコースティックでもいいような気もしましたが、おじさん、おばさんのパワーのすごさをまざまざと見せつけています。しかし写真を見ると、エレキギターは全員テレキャスターってのがこの人たちのポリシーを感じさせますね。



The Legendary Delta Blues Session ; P-VINE PCD-24211 (2008.11.24)

1930年グラフトンで行われたPARAMOUNTへの歴史的なセッションを集めたものです。メインはチャーリー・パットンなんですが、でも歴史的な価値で言えば、何といってもサン・ハウスだと思います。「プリーチン・ザ・ブルース」「マイ・ブラック・ママ」「ドライ・スペル・ブルース」、いずれも2部構成となる長いブルースを、タフな歌と迫力満点のボトルネックで聴かせるサンの魅力は最高で、追加された2005年発掘音源2曲が蛇足に思えるくらい。この他ロバート・ジョンソンとも交流があったとされるウィリー・ブラウンの2曲もデルタ・ブルースとして重要です。そんな中、ルイーズ・ジョンソンのピアノはブギウギ・ピアノの技を巧みに披露していてちょっと異色。「オン・ザ・ウォール」は「カウ・カウ・ブルース」そのものです。そしてパットン、お得意のスタイルで弾きますが、やはり「ムーン・ゴーイング・ダウン」は素晴らしい出来です。まさに歴史的名盤といっていいでしょう。




The Leiber & Stoller Story ; ACE CDCHD 1010 (2006. 8.25)

3部作の1枚目で、1952〜56年の彼らの提供した曲が集められています。まずはチャールズ・ブラウンの「ハード・タイムズ」、如何にもチャールズらしいテイストを残した曲で、リーバー&ストーラーが、メロディに関してはあまり奇をてらわないオーソドックスなライターだということが分かります。しかし本当にいろんな西海岸ベースのアーティストに曲を提供しています。この時代の大ヒットは「ハウンド・ドッグ」ですが、PEACOCKから出されたこの曲のロイヤリティをもらい損なったとのこと。やっぱりドン・ロビーが渋ちんだったのかしらね。このアルバムにはフレディ・ベル&ザ・ベル・ボーイズのものが収録。この他ロビンズなど、ジョニー・オーティスとの仕事が目立ちます。またのちにウィルバート・ハリスンが「カンザス・シティ」としてヒットさせる曲の元歌がリトル・ウィリー・リトルフィールドの「K.C.ラヴィング」で、ほのぼのとした味わいがたまりません。そして1956年、ATLANTICのドリフターズに提供したのが「ルビー・ベイビー」。どんどん曲が洗練されていくのが分かります。続きが早く聴きたいです。



Let It Be Real ; STAND ON THE OCEAN SOTO 00622 (2003. 1.29)

2001年リリース。クレジットはありませんが、おそらく最近の録音でしょう。ミシシッピの教会でライヴ録りされたこのゴスペルの生々しさったら!おそらくどれもローカルなグループなんでしょうが、女声コーラス、ゴスペル・ライツのタイトル曲からハイテンション!オーソドックスなカルテットあり、ファンキーな味付けの曲あり、荒削りだけどぐいぐい引き込まれる迫力は強烈です。ハーモニカのトレインピースで始まるデルタ・カントリー・ボーイの「ディス・トレイン」、ウィリアム・マギー&グリーンウッド・ジュビリーのエモーショナルな「ユー・ガッタ・ムーヴ」などを聴くと、ブルースの伝統とゴスペルのそれとがやっぱりクロスオーヴァーしながら脈々と生きているんだなって思いました。「コール・オン・ジーザス」「ゴッド・イズ・グッド」を大音響で聴いていると、教会でトランス状態になる信者の気持ちが分かるような気がしました。



Let The Boogie Woogie Rock 'N' Roll ; ACE CDCHD 718 (2001. 7.28)

ATLANTIC系の景気のいい曲を集めたコンピ。1951〜61年録音。まずトップがレイ・チャールズの「メス・アラウンド」からっていうのが憎いです。ビッグ・ジョー・ターナーなどのビッグネイムだけでなく、ホンカー、シャウター、コーラスグループと多彩な顔ぶれですが、いずれもダンサブル。パーティなどにはもってこいです。でもいわゆる「超有名曲」は外してある渋めの選曲なので、海水浴場あたりでこれを流しながら踊るのもいいかも。好き者は集まると思います。お買い得の1枚。



Let's Get The Party Rockin' - The BRUNSWICK 8400 Series ; GREAT VOICES OF THE CENTURY GVC 2025 (2009.10. 8)

1952〜54年のBRUNSWICKに残された作品集です。2枚組。この時代の同レーベルはDECCA傘下にあったようで、拠点はニューヨークのようです。記念すべき第1弾はメイベル・スコットの「ウェイリン・ダディ」「テイク・マイ・ラヴ」で、いずれもリーバー=ストーラーの作品。その後はコーラス・グループのファイヴ・ビルズやサラ・マクロウラーなどの録音が並び、特に後者のサウンドはオルガンが印象的に使われています。後半になるとフレディ・ミッチェルのご機嫌なインスト・ナンバーや、アースキン・ホウキンス楽団をバックにしたエイス・ハリス、そしてロイ・ブラウンからの影響を感じさせるサニー・パーカーの熱唱などが入っています。後はもう少し丁寧なブックレットがあったら良かったな。




Lightning In A Bottle - Original Sound Track Recording ; COLUMBIA/LEGACY C2K 92860 (2004.10.29)

2003年2月にニューヨークはラジオ・シティ・ミュージック・ホールで開催されたベネフィット・コンサートの模様を収録したもので、マーティン・スコセッシのプロダクトの一環としてどうやら映画化されたもののようです。超豪華メンバー勢ぞろいで、とても全部紹介しきれませんが、ジェイムズ・ブラッド・ウルマーが」アリソン・クラウスと共演してたりします。何が起こるのかと期待して聴いたんですが、アリソンのヴァイオリンが絡んだ「シッティン・オン・トップ・オヴ・ザ・ワールド」で案外普通な感じでした。ケブ・モの「ラヴ・イン・ヴェイン」はローリング・ストーンズから直で来たように感じました。落ち着いているけど実は元気いっぱいのバディ・ガイ、相変わらず達者に「オーキー・ドーキー・ストンプ」を決めるゲイトマウス、ボニー・レイットの「カミング・ホーム」からグレッグ・オールマンの「ザ・スカイ・イズ・クライング」と続くエルモア・トリビュート、元気にソウルをシャウトするソロモン・バーク、なかなかいい感じのロバート・クレイとシュミーカ・コープランドの「アイ・ピティ・ザ・フール」と、それぞれもっとじっくり聴きたい気もしますね。嬉しかったのはジョン・フォガティが「ミッドナイト・スペシャル」を熱唱していること。一番気に入ったのはメイヴィスの「シー・ザット・マイ・グレイヴ・イズ・ケプト・クリーン」。でも、ラストのB.B.キングのギターの最初の一音、その言いようのないニュアンスの豊かさに、この人の真の年季を感じました。



Lightning In A Bottle ; NIKKATSU DVF-106 (2005. 9.16)

以前サントラCDは紹介しましたが、こちらは映画です。マーティン・スコセッシのブルース・プロジェクトのフィナーレを飾るべくラジオ・シティで行われたライヴの模様に、その会場でもスクリーンに出された歴史的映像、インタヴューを挟みながら構成されていますが、カメラを寄せて撮った映像が美しく、引き込まれてしまいました。ゲイトマウスが楽屋で「ブルースなんて古いスタイルにこだわっちゃダメだ。常に進歩し続けるんだ」と言いながら、アリソン・クラウスのフィドルを拝借してケイジャンチューンを弾くなんて微笑ましい映像もあり、細かいところで楽しめました。前半は特にブルースのルーツを意識する構成で、アフリカのアンジェリーク・キジョーからのスタートは見応えがありましたし、続くメイヴィス・ステイプルズもはまっています。この他かいつまんでハイライトを紹介すると、おしゃべりが楽しいルース・ブラウン、不敵なメイシー・グレイ、円熟味すら感じさせるシュミーカ(ドクター・ジョンは明らかにこう発音してた)・コープランドなど随所に聴き所満載でした。特に終盤、巨体を椅子の上で揺すらせて熱演したソロモン・バークから、ジミ・ヘンドリックスが何故彼に惚れたかが分かるバディ・ガイ、そして彼を引っ張り出して強烈に演奏するアンジェリークの「ブードゥー・チャイルド」あたりが最も盛り上がったところでしょうか。ボーナス映像も楽しめる、お買い得な1枚です。



Live At Mojo ; MOJO-0001 (2000.11. 2)

埼玉県は北浦和(だったっけ?)にあるMOJOというお店で行われているライヴからのコンピ。hiramatさんのページで見て、ジミー矢島さんの名前で興味を持って購入。あまり大きな店でないようで、アコースティック中心の、アットホームな感じです。矢島さんは20年前ごろ高円寺の「猫屋敷」という小さな飲み屋(アコースティックでライヴができる)で何度かお世話になったんです。元気にギターを弾く様子が聴けてうれしかったです。それぞれ個性的で、特にギターは皆さんとっても上手くて聴き応えがあります。一番面白かったのが、九州弁(大分の方だそうです)で弾き語るライトニン大内さんの「オヤジブギ」。言葉のリズムと歌の中身が絶妙です。ひっこしのさかいさんのギターなども聴けます。



Long Man Blues ; UNITED/DELMARK DE-717 (2000.11.17)

1951〜57年録音。シカゴのブルースのコンピなんですが、ハロルド・バラージェ、アービー・スティーダムなど、ダウンホームではなく、かなり都会的で、夜な夜なクラブで歌われた洒落た感じの曲が多いです。R&Bフレイヴァーがほのかに香り、スコッチのグラスでも傾けながら聴くといいかな。でもウエストコースとのものまではアダルトにならないのがシカゴらしいところかな。曲によってはいかにもウィリー・ディクソンの仕事って音もあります。多分以前P-VINEが出したシリーズものの1枚とダブりが多いと思うんですが、忘れました。



Loose The Funk! Boodie ; P-VINE PCD-23831 (2006.11. 1)

「Eel」の続編で、録音時期も同じ頃ですが、こちらの方が70年代の曲が多いかな。よりファンク色の強い作品が集められています。この盤の主役は何といってもアフリカン・ミュージック・マシーンで、この時代のテキサスあたりのファンクを思わせるインストバンドです。適度な軽さと、でもねちっこさのあるグルーヴ感はB級ファンクの鑑ですね。この他の注目は冒頭のヴィック・ピッツ・チーターズ。とにかく掛け値なしに格好いいです。この他アレックス・ウィリアムズのB.B.キングの大ヒットに対するアンサーソング「ザ・スリル・エイント・ゴーン」のドライヴ感とか、おなじみボビー・ラッシュの今も変わらぬ漆黒ファンクなどこれでもかって感じ。シカゴのドラマー、ケイシー・ジョーンズの「グッド・シング」もちょこっとロックテイストがあったりして面白いです。そしてラストをボビー・パウエルで締めるなんて、さすが鈴木さんの仕事です。



Loose The Funk! Eel ; P-VINE PCD-23830 (2006.10.30)

1960年代後半から70年代初めにかけてのJEWEL系のファンクをテーマに据えたコンピです。鈴木啓志さんの選曲。先日の「Funky Strut」に比べるとぐっとマニアックな内容になっています。JEWEL系のコンピはLP時代からいろいろ買ったんですが、独特のB級感とデータ不足から、聴き込むってほどじゃなかったんです。今回こうしたしっかりした解説のコンピが出たのにまずは拍手です。この盤の主役はリトル・ジョー・ブルーかな。B.B.キングのフォロアーとよく言われますが、カーター・ブラザーズ・ナンバーをかっこよくファンク化した「サザン・カントリー・ボーイ」あたり、ガツンと来ますねぇ。フルソンの2曲も鈴木さんらしい狙いのはっきりした選曲で嬉しいし、ペパーミント・ハリスやレイ・エイジーがいるのも聴く楽しみを増しました。そんな中、ボビー・ラッシュやキャッシュ・マッコールといった現在も活躍するミュージシャンの若かりし頃、勢いに任せたような演奏が意外と新鮮でした。特に後者の「ジャンキー・フォー・ユア・ラヴ」、「ボーン・アンダー・ア・バッド・サイン」のクリームのヴァージョンを下敷きにしたようなサウンドが、この時代のJEWEL系列らしいな。



Los Angeles Rhythm & Blues 1944-1954 ; ACROBAT ADDCD 3022 (2009.11.25)

この時期のウエスト・コースト・ブルースをレーベル横断的に集めた2枚組コンピです。セシル・ギャントの「ミッドナイト・オン・セントラル・アヴェニュー」というこのコンピにぴったりの曲からスタート、中にはゲイトマウス・ブラウンという、ロストはあんまり縁のない人も入ってますが、これはレーベルゆえでしょう。嬉しいのはチャック・ノリスやカルヴィン・ボーズなどが入っていること。スマイリー・ターナーやビリー・ヴァレンタインなどMERCURY音源をかなり入れてあるのもこのコンピの特徴です。必ずしも代表曲を集めたものではありませんが、なかなか楽しめるアルバムでした。




Lost And Found: The BLUE ROCK Records Story ; MERCURY 314 558 273-2 (2006. 5.25)

MARCURYのサブレーベルだったBLUE ROCKに残された1964〜69年の作品から、重要曲をリリース順に並べた2枚組です。このレーベルは1曲が短いせいもあり、合計60曲、かなりヴァラエティに富んでいます。初期はちょっとポップな味の強いR&Bって感じの曲が並び、軽いなぁって思いましたが、その中ではディー・ディー・ワーウィックの声が印象に残りました。サー・マック・ライスの「ムスタング・サリー」あたりから、ちょっと重厚でファンキーな音が出てきます。65年を過ぎてくると、サウンドにMOTOWNの影が思いっ切りちらついてきますね。アルバムタイトル曲なんて聴き間違えそうな位です。シカゴのアーティストが多いと思うんですけど、バックのリズムの跳ね具合とか、相当近いものを感じました。ゴージャスでちょっとフィル・スペクターを思わせるシャイ・ライツも印象的です。後半になるとかなりファンキーな音も出始め、単独盤も出ているジュニア・ウェルズなどはこの時代はハーモニカよりシカゴのJBって感じです。フェスティヴァルズの「チェッキン・アウト」あたりに来ると、このレーベルの魅力であるB級ファンクサウンドがガンガン出てきます。ベースラインが格好いいなぁ。このレーベルでのジュニア・パーカーもいいですね。歌に磨きがかかってます。ポップからファンクへ移行していくブラックミュージックの時代をしっかり担っている、このレーベルの面白さを凝縮したアルバムだと思います。



Lost Deep Soul Treasures Volume 1 ; SOUNDS OF SOUL 1001 (2009. 6. 4)

詳しいクレジットはありませんが、おそらく1960年代のものだと思います。まあこれだけ良く集めたなと思うくらいのディープなソウル・ナンバーがこれでもかと出てきます。サム・ディーズから始まり、クレイ・ハモンド、オーティス・クレイ、ジーン・アリソン、ブルージーなボビー・パーカーとけっこう有名人も入っているんですが、すべて初めて聴きました。マイナーレーベルから出た音なんでしょうか。ニュー・ブラッズの「ファウンド・ア・ラヴ、ホウェア・イッツ・アット」はファルコンズの曲と同じようです。全体にゴスペル・ルーツの濃いバラッドで、時たまスローブルースが混じります。エモーショナルなアルバムです。




Lost Sounds - Blacks And The Birth Of The Recording Industry 1891-1922 ; ARCHEPHONE ARCH 1005 (2006. 7.25)

エディソンが蓄音機を発明して10年あまりで、黒人たちの様々な音楽も録音されていたことを示す2枚組アルバムです。口笛と笑い声で人気を博したジョージ・W.ジョンソンから初期のゴスペル、ミンストレル・ショーなど、白人に人気があったり許容できるものから録音されていった様子がよく分かります。フォスターの「オールド・ブラック・ジョー」などもありますし、またブッカー・T.ワシントンの演説なども収録されています。20世紀に入るとラグタイムなどジャズに通じるダンス・チューンも出てきて、黒人たちの音楽活動の幅が広がってきたのを伺わせます。そしてラストにW.C.ハンディ楽団の「セント・ルイス・ブルース」、なるほどねって感じ。この段階でコマーシャルな「ブルース」はすでにヨーロッパ音楽の多大な影響を受けていることが分かります。このあとプリミティヴなブルースがどんどん録音されたのは、やはり黒人が市場として機能したからなんでしょうね。



Louisiana Crossroads Live Vol.1 ; ACADIANA ARTS COUNCIL no number (2003. 5. 1)

2001〜2年にルイジアナはラフィエで行われたライヴからのものです。敦子さんが送ってくださいました。とにかくそのバラエティに富んだ音楽が素晴らしいです。ケイジャン・フィドルとブルージーなスライドプレイと詩の朗読とフォークソングとロックと...って具合に、ジャンルと呼ばれる境界線を取り払った所で演奏され、楽しまれる音楽の素晴らしさを見事に捉えた好盤です。面白かったのは「ヒー・プレイ・ミー・ライク・ピアノ」という、ちょっとザ・バンドの「ザ・ウェイト」に似た演奏にのった思わせぶりなグレニス・レモンドの詩の朗読と、それに続くスコット・エインスリーの「クレイジー・ラヴ」といった取り合わせの妙、素晴らしい声のアカペラを聴かせるヘレン・ボードルーに合いの手を入れるカービィ・ジョンボン、そして語りの後の素晴らしいマーシー・ラコーチュアのアカペラ。ヘンリー・バトラーがジェイムズ・ブッカーに捧げたピアノソロ、そしてスペンサー・ボーレンがスライドで奏でる「アメイジング・グレイス」。とにかく目まぐるしいほどいろいろな音楽がぎゅっと詰まってますが、それぞれが違和感なく収まってるんです。恐るべき音楽の交差点ラフィエ!



Love Is A Wailing Thing - The M-G-M 55000 Series ; GREAT VOICES OF THE CENTURY GVC 1005 (2009.10.12)

ライオンの吠えるマークでおなじみのM-G-Mが1955〜56年に出したシングル盤15枚を完全に収録したアルバムです。ニューヨーク中心のアーティストだと思いますが、ベィビー・ディーあたりはニューオーリンズに通じるテイストもあります。調子のいい演奏を聴かせるクラウデ・クラウド&ヒズ・サンダークラップス、「ハイ・ウィンズ」ではサム・テイラーをフィーチャーし、けっこう豪快なプレイを披露しています。ちょっと大仰な歌い方のジョニー・オリヴァーやレイ・レイドなどはB級的猥雑さを感じさせます。また全体にドゥーワップ的なコーラスが入っているのがこの時代ならではでしょうか。




Love Song To New Orleans ; THEMUSICLIBRARY no number (2009.12. 8)

2009年リリース。これ、どうやらオルタナ・カントリー系の人たちのニューオーリンズ讃歌集のようですね。ケイジャン風あり、ハーモニカものありで面白かったんですが、誰ひとり知りませんでした。「プレイニー・フッキー」というブルースをやってるジミー・リップあたり、もう少し聴いてみたい気もしました。とにかく彼の地の音楽の懐の深さを再認識したってところです。




Lowdown, Dirty, Mississippi Delta Blues ; STAND ON THE OCEAN SOTO 00632 (2003. 1.26)

2001年リリース。グリーンヴィル、クラークスディルといったミシシッピのクラブでのライヴ録音ですが、まあ冒頭のウィリー・フォスターのハーモニカの音が出てきたときに、思わず「うおっ」っと仰け反りました!このインパクト、久しぶりです。これだけて文句なしって感じになりました。この他はローカルなプレイヤーの演奏が集められていますが、それぞれ熱い「リアル・ブルース」って感じで楽しめました。音質が生々しくて良好なのも魅力です。ブルース・プロディジーというバンドは子供のバンドだそうですが、なかなかの風格!そしてラストに再びウィリーが。これが遺作なのかな?



Mardi Gras Classics ; LOUISIANA RED HOT LRHR-9152 (2004. 2. 4)

毎年マルディ・グラのシーズンになるとそれに合わせて新譜やコンピがニューオーリンズでは出るんだそうですが、これもそうしたものの1枚のようです。シリル・ネヴィルの「ティピティーナ」、ルーサー・ケントをフューチャーしたフォーエヴァー・ファビュラス・チキンホークスの「ポッキー・ウェイ」に始まり、リバース・ブラスバンド、レネ・ネットの「セカンド・ライン」と完全にお祭りムードで身体が動いちゃいます。中盤にはとろい・アンドリュースの「ウー・プー・パー・ドゥ」とかリル・マルコムの「マイ・トゥート・トゥート」とクラシックのリメイクもあり、楽しい楽しい雰囲気が溢れてます。そしてラストはちゃんと「聖者の行進」で締めてくれるいたでりつくせり。現代ニューオーリンズ音楽入門編としてもいいかもしれませんね。



Mardi Gras In New Orleans ; ROUNDER 1166-11600-2(2002. 8.15)

ヘリティジ・シリーズと呼ばれるROUNDERのベスト盤の一枚で、1985〜98年録音です。まあ半分以上はオリジナルアルバムを持っているんですが、こうしたコンピの楽しみは、いろんな曲がどういう並びで登場するかというところで、その点このアルバムは好編集だと思いました。ワイルド・マグノリアスを軸に、ザディコとブラスバンド、それにマーシャ・ボールを配して、楽しいマルディ・グラの雰囲気をよく盛り上げています。ザッカリー・リシェルドの「マルディ・グラ・マンボ」なんてのんびりした感じでいいなぁ。暑い夏の車中音楽としてはベストフィットですね。



Mark Lamarr Presents Mule Milk'n Firewater ; WESTSIDE WESF 103 (2000. 9.13)

1953〜63年にシド・ネイザンのKING/FEDERAL/DELUXEが送り出したロッキン・ミュージックの好コンピ。もっとも古いのがロイ・ブラウンの「ハリー・ハリー・ベイビー」ですが、このスピード感、いつ聴いてもいいなぁ。なにせ「急げ、急げ」ですからね。タイトル曲はビッグ・ジェイ・マクニーリーによる「ナイト・トレイン」のアップ版!この安易なパクリがいいです。この他ノリノリのダンス・ミュージックが目白押し!ヒット曲を並べたというよりは、より激しく踊れる曲を並べたって感じで、当時のダンス・フロアのイメージが目に浮かびます。さぁ、みんなでジルバ踊ろうぜ!



Martin Scorsesse Present The Blues - Godfathers And Sons ; HIP-O B0000627-02 (2005. 2.20)

1954年のジミー・ロジャーズ「シカゴ・バウンド」を皮切りに、ウルフ、マディ、ジミー・リードなどの、それもどちらかというとR&B色を強く感じさせる曲を前半に配し、後半にはポール・バターフィールドに始まり、パブリック・エナミーなどのヒップホップと、映画の主役であるジ・エレクトリック・マッド・キャッツのブルースとヒップホップをミックスした曲など、テーマに沿った内容です。でもこの盤の嬉しいのは、オーティス・ラッシュの「ウォーキング・ザ・バックストリート・アンド・クライング」、ロニー・ブルックスの「フィール・グッド・ドゥーイン・バッド」など未発表ライヴが聴けることですね。いずれもずば抜けた出来というわけではないですけれど、熱演が伝わってきます。マジック・スリムの「トーク・トゥ・ミー・ベイビー」もぐいぐい押してきます。でもラストのエッタ・ジェイムズ「アイド・ラザー・ゴー・ブラインド」が妙に染みたりして。



Martin Scorsese Presents The Blues - Piano Blues ; SONY MUSIC DIRECT MHCP 147 (2004.10. 1)

クリント・イーストウッド監督の同名の映画のサントラです。これだけは監督の意向により、今回日本で劇場公開されず、BSでの放映のみだそうです。もちろんDVDは出ていますが。さて選曲はなかなか渋めの線をついています。ピアノブルースはブルースの中でもジャズとの境界線が低く、特にブギウギあたりはまさに両者にまたがっているわけですが、その辺を上手く捉え、ジェイ・マクシャンをひとつの核にして、ジミー・ヤンシーからカウント・ベイシー、さらにはデューク・エリントンからディヴ・ブルーベックへと繋いでいます。しかもブギウギが一方でニューオーリンズで独特な発展をしたのも上手く押さえてあり、ファッツ・ドミノやフェスが聴けるのも嬉しいです。ここにレイ・チャールズの「ファッド・アイ・セイ」がポンと挟み込んであるのもセンスいいな。ひょっとしたら3曲収録されているドクター・ジョンが相当絡んでいるのではと思いました。こうした中にオーティス・スパンの名演「グッド・モーニング・ミスター・ブルース」や、セロニアス・モンクの名曲「ブルー・モンク」が挟み込んであるのも粋です。なお、ここにもパイントップ・パーキンスとマーシャ・ボールのデュオが入っていました。



Martin Scorsese Presents The Blues - Red, White & Blues ; HIP-O BB0000728-02 (2004.12.24)

1928年のディキシー・フォーから2003年のトム・ジョーンズまで、当然映画のテーマ通り、イギリスのブルースシーンとのかかわりを中心にした選曲です。面白かったのはトム・ジョーンズで、ブルースとして聴くより、歌手としてのうまさが際立っていました。そこにジェフ・ベックの一種変態的なギターが絡む曲が、最もユニークで、ある意味成熟したイギリスのブルースかなって思いました。また「ロウディ・ミス・クロウディ」でのいい味のピアノ、誰かと思えばジョン・クリアリーなんで納得。これらに比べると僕にはジョン・メイオールやクリームの演奏はあんまり魅力的ではなかったです。元気いっぱいなシスター・ロゼッタ・サープは映像を見ることにしましょう。



Martin Scorsese Presents The Blues - The Road To Memphis ; HIP-O B0000705 (2004.12.27)

1951年メンフィス周辺での録音の曲と、2002年映画のために収録された音源が主なものです。まだ映像は見ていないんですが、サントラを聴いてきた限りでは、この作品が最もブルースシーンに対する焦点の当て方がはっきりしていて、音楽に対する愛情を感じました。ハウリン・ウルフ、エルモア・ジェイムズ、サニーボーイ・ウィリアムソンからアイク・ターナーのキングズ・オヴ・リズム、さらにはロスコ・ゴードン、B.B.キング、ジュニア・パーカー・ボビー・ブランドといったビールストリーターズ達の代表曲を見事に網羅しながら、ゲイトマウス・ムーア師の路上説教や、現役バリバリのボビー・ラッシュまで収録するあたり、さすが分かってるなぁと納得。嬉しいのはロスコ・ゴードンの2000年録音「ナウ・ユーア・ゴーン」の収録で、このあと本人が逝っちゃったんで感慨もひとしおです。笑えるのはサニーボーイの「ブリング・イット・オン・ホーム」とヒューバート・サムリン&ディヴィッド・ヨハンセンの「キリング・フロア」が並べてあること。これってジミー・ペイジへの当てつけでしょうか。



Martin Scorsese Presents The Blues - The Soul Of Man ; SONY MUSIC DIRECT MHCP 83 (2004. 8.22)

2003年リリース。昨年アメリカで公開され、日本でもまもなく劇場公開されるマーティン・スコセッシの「ブルース」シリーズの一作のサントラです。カサンドラ・ウィルソン、ジェイムズ・ブラッド・ウルマー、ルー・リード、ベック、ロス・ロボスなど、ブルースからの影響は受けているものの、畑の違う人達が自分なりの解釈でブルースに取り組む中、シェミーカ・コープランドの落ち着いた歌が印象的でした。でもこうした作品の中で聴くからこそ、J.B.ルノアの「アラバマ」はよりその輝きを増しているようです。それに冒頭のカサンドラが歌う「ヴェトナム・ブルース」を見事に受けていますし。この他スキップ・ジェイムズの戦後録音や、ブラインド・ウィリー・ジョンソンが挟まっていますが、不思議と違和感がありません。しかし裏ジャケットに写っているクリス・トーマス・キング、映画にはブラインド・ウィリー・ジョンソン役で出てるんですが、音はないのね。



Memphis 60 ; BGP CDBGPD 201 (2009. 8. 7)

1961〜69年録音。文字通り60年代のSTAX/VOLTやGOLDWAXを中心にしたコンピですが、「無名でもいい曲がある」というスタンスで選ばれています。いきなりファンキーなエディ・カークの「ザ・ホーグ」でスタート。ハーモニカ用のアンプリファイド・マイクで歌ってるみたいな声です。ウィー・ウィリー・ウォーカーのハイトーンなアップナンバーが格好いいんですが、1曲は何とビートルズの「涙の乗車券」。ディキシー・ナイチンゲールズではオリー・ナイチンゲールの抜けるような声が魅力的です。嬉しいのはウィリー・コブズの「ユー・ドント・ラヴ・ミー」が収録されていること。VEE-JAY系のコンピでもなかなか聴けないんです。低重心のジュニア・キンベルの「トランプ」もめちゃめちゃ格好いいです。編集者のセンスの良さが出た1枚。




Memphis 70 ; BGP CDBGPD 192 (2008. 6.30)

1968〜78年録音。副題に「オーティス・レディング後の10年のファンクとソウル」とあるように、かなりファンクよりのレアな曲を集めたコンピです。例えばオヴェイションズがサム・クックの「シェイク」をクールなファンク仕立てでやってるのが入ってますが、これなど当時未発表だったものだとか。凄く格好いいです。またウィリー・ウォーカーの「トゥー・ペイクス・アヘッド・オヴ・ラヴ」もイカしてますがこれまた未発表。時代を先走り始めていたのかもしれません。全体にしっかり音作りされたクールネス溢れるファンクが多く、さすがソウルの街メンフィスと唸ってしまいました。全然知らない曲ばかりなんですが飽きることなく楽しめました。



Messing With The Blues ; CDCHD 773 (2000.10.13)

ATLANTIC系のブルース・コンピ。1947年〜61年録音。うれしいのはリトル・ジョニー・ジョーンズの「ホイ・ホイ」の別ヴァージョンのCD化です。バックはエルモア・ジェームズとブルーム・ダスターズ。エルモアがバックのジョー・ターナー「TV ママ」も入ってます。チャック・ノリスはまるでローウェル・フルソン。ラストのラリー・デイル「ドリンキン・ワイン・スポーディ・オディ」がけっこう跳ねていて楽しかったです。有名曲と珍しい曲を並べるあたりがACEらしい選曲です。



Midnite Blues Party - Classic Bluess, Soul,Rockers And R&B ; ELECTRO-FI 3372 (2003. 6.12)

こちらはレアなブルース・ソウル・R&Bの第1集で、1956〜60年代末の録音です。こちらの主役はギターとハーモニカで、演奏も時代に応じてモダンになっていきます。EBONY吹き込みのバーミングハム・ジュニアの1956年のロッキン・シカゴブルースが最も古い録音ですがなかなか軽快な好演。勢いのあるボビー・ロングの「ドント・リーヴ・ミー・ベイビー」、ボブ・リードの「アイム・リーヴィング・ユー」は自作になってますがウルフの曲でモダンな演奏。クレジットにテッド・テイラーの名前が見えます。ドン・ホリンガーのおどろおどろしい「アイ・ハッド・ア・ナイトメア」、ベイビー・ヒューイなんていう人の「メッシン・ウィズ・ザ・キッド」はSATELITE/USAというもろシカゴ録音だったりしますがこれも元気が良くていいです。叫びまくるドロシー・ベリーはビッグ・ママのおてんば娘といったヴォーカルのニューオーリンズもの。グッド・タイム・チャーリーの「ウォープ・イット・オン・ミー」にいたるとまるでスライ&ファミリー・ストーンのプロトタイプのようなファンクで、やはり60年代末のL.A.録音だったりします。しかしどこからこんな面白いもの掘ってくるんでしょうか。やっぱり宝の山はあるんですね。



Midnite Blues Party Volume 2 ; ELECTRO-FI 3378 (2003. 6.10)

1947年から50年代半ばにかけて、ニューヨーク、シカゴ、ロサンゼルスなどの都市で収録されたレアなブルース・R&B集。いつものように定期巡回していたCDショップで、「無名だけど内容は濃く、再入荷の予定なし」の殺し文句に惹かれて買いましたが、看板に偽りなし!クレジットを見ると、見事なまでに知らない人ばかり、辛うじてジーン・フィリップスは知っていましたが。でも内容はすごく充実しています。最初の3曲はスリー・ブレイザーズを意識したような演奏と、チャールズ・ブラウンに影響を受けたと思われるヴォーカルが並んでいますが、どれも結構な力作。その後もピアノを軸にしたブギナンバー、シャウター、強烈なサックスが印象的な曲、達者なギターが響く曲と、多彩ですが当時の流行のスタイルがよく分かるものが並びます。中にはラフィエで録音された緩さのあるボビー・ウェッブなる人のスワンピーな三連バラードが出てきたり、本当に飽きません。特に気に入ったのは下品なエコーのかかった強烈なヴォーカルが印象的なハーバード・ベアードや、粘っこいサックスも魅力的な「アイ・ドント・ノウ」タイプのジョージ・グリーンあたりの下世話さかな?第1集も早速取り寄せました。ことしのベストコンピかも。



Midwest Funk ; JAZZMAN JMANCD 007 (2004. 3.17)

これも60年代後半から70年代にかけてのファンク集ですが、はっきり言ってこのアルバムはヤバ過ぎです。中西部というのはアパラチアより西の平原地帯で、北部の五大湖周辺は工業地帯となっていて、オハイオあたりはファンクの盛んな土地ですが、そうしたものからレアでかっこいい曲を集めて来ているわけで、ほのかなローカル臭がたまりません。さらに南部や西部は農業地域の中に都市が点在していて、その中にはプリンスを生んだミネアポリスもあったりするんですが、こうしてしっかり土壌は耕起されていたんですね。どれもこれも気持ちいいギターのカッティングにブラスが絡んでぐいぐいドライヴしていますが、特にビリー・ボール&アップセッターズの「シシー・ウォーク」等は、ミーターズからの影響を受けていても、もっとぐいぐい押してくる雰囲気がたまりません。この他ファビュラス・オリジナルズのJB'sをぐっと泥臭くしたようなサウンド、ビッグでファットなヘンリー・ピーターズとインペリアルズ、ビリー・ジョー・ホロマンのセッション風ギターで始まるジャジーな「イッツ・ノット・ユー・フォー・ミー」など、とにかく知らなかったら損したというような曲が満載。このレーベルは目が離せそうにありません。次は西海岸ものかしら?



Mighty Super Funk Volume 6 ; BGP CDBGPD 196 (2009. 5. 3)

1967年〜1976年くらいの、ファンクが生まれ育った時期の、それこそレアアイテムをこれでもかと詰め込んだシリーズの6作目です。今回は女性ヴォーカルものが前半に並んでいて、ドロッとしたファンクネストは一味違う感じになってます。中盤はフィリップス・ブラザーズの「フー・ストール・マイ・クッキー」、ロス・アフリカーノズのインスト版「イッツ・ユア・シング」、ジェイムズ・カーペンターの「パーティ・タイム」とにぎやかな感じの曲が並びます。映画の主題歌「ニュー・ディ」あり、ファジーなギターが時代を感じさせるアドルフ・ジェイコブズの「ドゥ・イット」ありと、通して聴くとファンクの多彩さが洪水のように押し寄せてきます。やっぱり腰を揺すりながら聴くのが一番ですね。




Mo Betta' - St. Louis R&B 1956-1966 ; SEQUEL NEM CD 946 (2000.12.23)

セントルイスのあまり有名でない人も含んだコンピです。リトル・ミルトンやオリヴァー・セインといった有名どころ以外の、ベニー・シャープとかスクリーミン・ジョー・ニール(凄いロックンロールでインパクトありました)とか、殆ど聴いたことのない人たちの録音が集められていて、興味深く買いました。音は独特のあか抜けなさを持ったものが多く、ロックンロールの影響が強いもの、シカゴのCOBRAの音を思わせるものなどいろいろです。この中で、アイク・ターナーは一発で彼と分かる音、さすがですね。



Mo' Funky Blues - New Standards ; P-VINE PCD-3887 (2000. 9. 1)

新旧折り交ぜたファンクネスを感じさせるブルースのコンピです。フルソンのアンシュード・テイクに惹かれて買いましたが、聴いたことのある曲がほとんどでも、こうしたコンピはやはり楽しいです。アタマ2曲についてはあまり好みではないんですが、その後の選曲はとっても楽しめました。マジック・サムの「ユー・ビロング・トゥ・ミー」あたりはファンクというにはちと苦しいですが、名曲なので許します。「ちょっとブルースって聴いてみたい」なんて人には面白いかも。


The Montreux Blues Festival 1973 ; MAISON DE BLUES 983 212-6 (2006. 3.27)

メンフィス・スリム、ミッキー・ベイカー、ハーモニカを加えたウィリー・メイボン、そしてゲイトマウスと、BARKLEYやBLACK & BLUEあたりでおなじみの面々が出演した様子を捉えています。メンフィス・スリムはヨーロッパ盤の評判がいまひとつですが、ここで聴ける音はやはり彼の実力の高さを上手く捉えています。弾き語りブルースマンと化したミッキーは、体の大きさを彷彿させるタフなステージ。メイボンはCHESS時代よりぐっと泥臭いです。ゲイトはもっぱらフィドルを持って演奏。たびたび客席を沸かせるような洒落た一言を言いながらのステージングは、晩年まで変わらなかったんだなと思いました。



MOUNTAIN TOP West Coast Blues Session ; MOUNTAIN TOP/GLOBE GLO-019 (2002. 4.23)

1997年リリース。MOUNTAIN TOPはビリー・ブランチのヴィデオを作る過程で1995年にできたレーベルのようで、そこに絡むゲイリー・スミス(ハーモニカ)、パリス・スリム(ギター)をフロントにして、ドラムにはビッグ・ウォルター、ベースはジョニー・エイスというまるで冗談のようなリズム隊と組んだ、文字通りセッション的な録音です。深いアンプリファイド・ハープと適度にドライヴしたギターのサウンドは、シカゴブルースからの影響を強く受けながらも、ウエスト・コーストらしい跳ねたサウンドが魅力です。フルソンのインスト「ローリン・ブルース」が飛び出したときは思わずにんまりしました。ヴォーカルは全員で回し、曲もシカゴ系が多いんですが、パリス・スリムの歌が一番安心して聴けるかな。ちょっと線が細い声ですが、途中ハウンドドッグ・テイラーの物まね(スライドの曲の頭)をしたのには笑いました。楽しいアルバムです。



Movements 2 15 Deep Funk Pearls ; PERFECT. TOY PT028.CD (2006. 9.11)

詳細なクレジットはないんですが、ライナーやサウンドからすると60年代後半から70年代初めくらいのファンク集だと思います。ゴツゴツ・ザラザラのB級ファンクがこれでもかと出てきます。「ミッション・インポッシブル」をパクったハウス・ゲスツの「マイ・マインド・セット・ミー・フリー」なんて下世話で素敵だなぁ。随所にスライ&ファミリー・ストーンやJBの影響を感じることができ、彼らの与えた影響力の底知れなさを感じると同時に、こうした幾多のバンドがそれらを豊かにしていったんだなと思います。僕が名前を見たことがあるのはジミー・コー位なんですけど、まあ本当にいろんな人がいるもんですね。面白すぎ。



Mr. Rhythm Presents ; REVOLVO 284504 (2008. 4.20)

詳細なデータは何もありませんが、アンドレ・ウィリアムズ絡みのおそらく1960年代の曲を集めたものです。まず嬉しかったのが「シェイク・ア・テイル・フェザー」。映画「ブルース・ブラザーズ」でレイ・チャールズが歌ったことで有名になりましたが、このファイヴ・デュ・トーンズのものがオリジナルです。ようやく聴くことができました。また、これまたサー・マック・ライスが歌う「ムスタング・サリー」のオリジナルも入ってますが、なるほど、アンドレ・ウィリアムズの全体像がだんだん見えてきた気がします。ハロルド・バラージュ、ジョニー・メイ・マシューズ、デュエッツなど、MOTOWNの美味しいところをいただいて、でもどこか下世話でB級な感じがたまりませんね。自己名義も2曲入ってますが、「パール・タイム」は語り中心で言葉が分からないのが残念。結構エッチなこと言ってるんじゃないかと想像してます。



Murder, Theft And Devilish Deals ; RIGHTEOUS PSALM 23.3 (2009. 6.14)

何ともおどろおどろしいタイトルのついたアルバムですが、ウディ・ガスリーをはじめとしたフォークやブルースの殺人や犯罪をテーマにした曲を集めたコンピです。ほぼ戦前録音だと思いますが、ブルースだとブラインド・ウィリー・マクテルやファリー・ルイス、そしてメンフィス・ジャグ・バンドの「スティーリン・スティーリン」やリロイ・カーの「プリズン・セル・ブルース」など、それほど背筋の寒くならない曲も入っています。むしろ歌詞の意味がよく分からないので音だけ聴いていると、牧歌的なイメージすら沸くくらいです。




Music From The Soundtrack "Easy Rider" ; GEFFEN/UNIVERSAL UICY-9872 (2005.11.19)

1969年の映画のサウンドトラックです。テレヴィ化もされましたから何度も見ました。やはりステッペン・ウルフの「ワイルドでいこう」、インパクトありますね。ギターとかコピーしましたっけ。「ザ・ウェイト」、スミスだったんですね。てっきりザ・バンドのオリジナルだと思ってました。移動シーンで印象的だった「ドント・ボガート・ミー」、ニューオーリンズでの幻想シーンにピッタリのジミ・ヘンドリックスなど、見事な音楽の配置でしたが、やはり衝撃のラストシーン、そしてロジャー・マッギンの「イージー・ライダーのバラード」、あの独特の虚無感がよみがえります。映画は名作ですが、その成功の一因に音楽があったことをはっきり示すサントラですね。



My Name Is New Orleans ; EMPAWERMENT CD'S & eNTERTAINMENT no number (2008. 6.24)

2008年リリース。まあ何とも摩訶不思議なアルバムです。副題に「カトリーナ以前」とあるんですが、どうやらカトリーナ被害と、その後の政府の対応などに一言も二言も言ってやろうという姿勢のプロジェクトのように思えます。まずタイトル曲3部作。ラテンのリズムに乗った演奏をバックに、アルチュロなるおじさんが語るんです。内容は完全には聴き取れませんがご当地の音楽のことなど。その後はラテンをリミックスしたヒップホップが出てきたり、実にモダンなスタイルのインディアン・チャントだったり、ルビーなる人のラテン・ヒップホップだったり、「アンゴラ」なんて曲も入ってます。こうしたヒップホップ・シーンは全く知らないんですが、全編独特のラテン・テイストが溢れているのが面白いですね。言葉が分かったらどんだけ面白いんだか。



A New Orleans Anthology 726 St. Peter New Orleans La. 1955-1961 ; 504 CD 35 (2002. 4.22)

何だかよく分からないんですが、「ニューオーリンズ」に惹かれて買ってみたら、もっぱらディキシーランド・ジャズを中心とした戦後録音でした。でもかなりローカルいろがあって、カチッとしていないのが楽しいです。「オン・ザ・サニー・サイド・オヴ・ザ・ストリート」なんてのも入っているし。キッド・トーマスなんて聞いたことがある名前があって嬉しかったです。その中にタッツ・ワシントンの1960年の録音が混じっていました。これがなかなか味がある演奏で、例の突っかかるようなピアノはこの頃からはっきり聴くことができます。



New Orleans ; PUTIMAYO PUT 232-2 (2005. 7.12)

1966〜2004年までのブラスバンドテイスト溢れる曲を集めたものです。元祖ルイ・アームストロングの「ティン・ルーフ・ブルース」からルイス・プリマにドクター・ジョンのの「ベイジン・ストリート・ブルース」、カーミット・ラフィンの「ドロップ・ミー・オフ・イン・ニュー・オーリンズ」と、脈々と続くサッチモ節、楽しいディーコン・ジョンなど、現在のファンキーなブラスバンドとは一線を画す、オールドタイミーなジャズの香りをプンプンさせた作品集は、今もこの手の音楽がしっかり息づいていることを感じさせました。



New Orleans Blues 1940-1953 ; FREMEAUX & ASSOCIES FA 5806 (2005. 2. 8)

フランスのこのレーベルの2枚組コンピは他にも持っていますが、選曲が渋いのが特徴です。チャンピオン・ジャック・デュプリーに始まり、カズン・ジョー、フェス、ファッツ・ドミノ、スマイリー・ルイス、アール・キングと有名どころがずらりなんですけど、タイトル通りブルース色の強い選曲で、いわゆるヒット曲が外してあるせいか、あまり耳馴染んでいない曲が中心でした。でもそういうのっていいですね。意外な発見もあるし。また珍しい人も入っていて、レイ・ルイスとかローズ・ミッチェルなんて恥ずかしながら初めて聴く名前でした。全体に地味な曲調ながら、ニューオーリンズ特有の跳ねる感じがあって、鬱な感じが少ないのがらしいです。特に2枚目はディヴ・バーソロミュー楽団とポール・ゲイトゥン楽団の夢の共演といった趣もあり、この地の音楽ファンには特にお薦めです。



New Orleans Brass ; PUTUMAYO PUT 270-2 (2007.11.18)

1989〜2007までの、ニューオーリンズのブラスサウンドのいいとこ取りをした好コンピが出ました。ジェイムズ・アンドリュース、カーミット・ラフィンと言ったサッチモ譲りのヴォーカルを聴かせるプレイヤーを立てながら、古くはダーティ・ダズンをバックにドクター・ジョンが歌う「イッツ・オール・オーヴァー・ナウ」と、どちらかというと落ち着いたサウンドのしっかりしたブラス・アレンジの曲を中心に集めてあります。そんな中、ゆったりしたバックに乗ってジョン・ブッテの歌う「フライ・アウェイ」、これが未発表だったんです。このアルバムはこの1曲のために買ってもいいと思うくらいなんですけど。いわゆるブラスバンドにとらわれず、広くニューオーリンズのブラス・シーンの入門に最適なアルバムですね。



A New Orleans Christmas ; NYNO 9608-2 (2007.12.25)

2007年リリース。NYNOですから当然アラン・トゥーサン絡みで、自身のピアノ・ソロによる「きよしこの夜」と「ウィンター・ワンダーランド」がいい箸休めになっています。ラリー・ハミルトンやレイモンド・マイルズのようなブラコン的なものは僕の好みじゃないんですが、ニュー・バース・ブラス・バンドのご機嫌な「サンタのセカンド・ライン」や「ジングル・ベル」、ジェイムズ・アンドリュースの「クリスマス・イン・ニューオーリンズ」といった、いかにもクレセント・シティらしいリズムのものが楽しいですね。トリシア・ブッテも素晴らしい声で「ドゥー・ユー・ヒアー・ワット・アイ・ヒアー」を歌います。またレイモンド・マイルズのブルージーなサウンドも好きだな。ゆったりしたファンクにアレンジされたグレース・ダーリンの「メリー・クリスマス・ベイビー」がラストを締めています。



New Orleans Christmas ; P-VINE PCD-2409 (2001.12.24)

1960年代前半にACEから出されたクリスマスアルバムに、アール・キングの「ウェアリー・サイレント・ナイト」を加えたものです。この曲とミスター・クリスマスと言うべきチャールズ・ブラウンの2曲を除くと、ほぼヒューイ・スミスのバンドをバックにクラウンズ、ジェシー・トーマス(現在ニューヨークで活躍中の人です)、ジョニー・マイヤーズなどがワイワイガヤガヤとやっていて、楽しいパーティアルバムとなっています。「ジングル・ベルズ」なんてロッキンしてて気持ちがいいです。でも「スワニー河」のBメロがたびたび出てくるんですが、何かクリスマスと関係あるんでしょうかね。



New Orleans Deep Roots ; NIGHT TRAIN NTI-CD PRO-NOLA (2003. 4. 1)

詳しいクレジットはありませんが、1948年からおそらく1970年代までの録音を集めたNIGHT TRAINリイシュー作品のサンプラーです。しかし選曲がいいですね。ディヴ・バーソロミューの「グッド・ジャックス・ブギ」から始まり、ジョディ・リーヴェンズのカントリー風味たっぷりの「マルディ・グラ・マンボ」のオリジナル、ジャジーなスヌーかム・ラッセルの「ベイスン・ストリート・エイント・ベイシン・ストリート・ノー・モア」と続く頭3曲で、ご当地の幅広い音楽性とそのミクスチュア感覚が満喫できます。スモーキー・ジョンソンやゲイターズ、エディ・ボーのファンクも入れてありますし、飽きません。嬉しかったのは「クレムズ・セカンド・ライン」で、これってキース・フランクの新作に入っていたジョー・サンプル参加の「セカンド・ライン」の元歌に当たるのかしら?トラッドの可能性もあるんですが、いかにもニューオーリンズ・ジャズって演奏で御機嫌でした。



New Orleans Funk Vol.2 ; SOUL JAZZ SJR CD185 (2008. 6.25)

1956〜47年の録音ですが、ほとんどは60年代後半から70年代初頭のものです。第一の主役はミーターズ。「チキン・ストラット」のほかシリル名義の「ゴシップ」、アート名義の「ボ・ディドリー」も実質ミーターズです。この他どす黒いウォーレン・リーやゲイターズ、アレンジの面白いアラン・トゥーサンの「テキーラ」、姉御っぷりが格好いいベティ・ハリスなど、ファンクネスあふれる曲がたっぷり。そしてもうひとりの主役がエディ・ボー。なにしろ彼の「ヘイ・ボー」だけが50年代録音なんですが、他の曲に混じっても全然古くさくないんです。やっぱり元祖ファンク・マスターの面目躍如ってところでしょうか。手軽にニューオーリンズのファンクにアプローチするにはなかなかいい盤だと思います。



New Orleans Jazz & Heritage Festival 1976 ; RHINO R2 71111 (2004. 3.18)

ニューオーリンズものの基本アイテムとも言うべきこのアルバム、実は持ってなかったんです。先日ようやく中古で発見してめでたく入手しました。とにかくこのライヴはメンバーが豪華です。主役はアレン・トゥーサンとアーマ・トーマスですが、スタジオ盤よりぐっとゴスペルの力強さを感じさせるアーニー・K-ドゥや、ダンサブルなロバート・パーカーの「ベアフッティン」、溌剌としたアーマ・トーマスなどもいいです。でも何て言っても変らぬ味わいなのがアール・キングですね。「トリック・バッグ」のさりげなさなんてたまりません。ラストはこの人しか考えられないフェスの、それも「マルディ・グラ・イン・ニューオーリンズ」で決まり!でもこの中にライトニンが入ってブルースうなってると、そのエネルギーの出所が明らかに違うことが分かります。そういう意味で強烈なスパイスと言えるでしょう。



New Orleans Party Gras ; LOUISIANA RED HOT LRHR-9001 (2004. 2. 5)

こちらもことしのマルディ・グラ向けコンピレーション・アルバムのようです。ヘンリ・スミスがカーミット・ラフィンズやビル・サマーズらとやっている「ビッグ・チーフ」でいきなりムード満点。シリル・ネヴィルなど単独盤で聴いたものもかなり入ってましたが、こうして編集されたもので聴くと新鮮に感じるのは不思議なものです。気持ちいいフォーフォーレやリル・マルコム、ジョジョ・リードのザディコサウンドも嬉しいし、ストリート感覚溢れたレネ・ネットやジェレミー・リヨンズ、さらにはジュースのファンクからワーデル・ケゼルクのラテンサウンドまで、ガンボで楽しいアルバムです。



New Orleans Rarities Volume 2 1950-1956 ; REGAL 3302 (2006. 4.17)

この手のコンピレーションは見かけたらすぐ買うんです。ピー・ウィー・クレイトンは確実に聴いたことのある音なんですが、その他はあんまり記憶にないです。一番面白かったのがアーチーボルドで、この人のピアノは印象的ですね。きらびやかで好きです。リトル・サニー・ジョーンズはエドガー・ブランチャードのバンドをバックにしたのとか自己名義とか入ってますけど、やや軽妙なこの人の歌、リトル・リチャードのような強引さがないぶん聴きやすくて好きです。この他ローカルな感じがたまらないジョー&アーシュラ(って読むのかな?)のデュオ、ジャンプバンドがニューオーリンズに来るとこうなっちゃうのかしらなんて勝手に思っちゃったケンジー・ムーアなど、珍しいものがたっぷり!シルベスター・サンダースの、デイヴ・バーソロミューらしいいかにもニューオーリンズな音を聴いてると、ほわっとしてきます。でもこのサックス、もちろんリー・アレンなんでしょうね?格好いいぞ。



New Orleans Soul '60's WATCH Records ; MARDI GRAS MG1047 (2002. 6.17)

ワーデル・ケゼルクとアール・キングがプロデュースにかかわった60年代中頃のWATCHレーベルのコンピです。その二人の代表作で、フェスのピアノリフが素晴らしい有名曲「ビッグ・チーフ」は2パート連結の完全盤で収録です。またジョニー・アダムズなどの代表作もありますが、嬉しかったのはこの時代のトミー・リッジリー、ベニー・スペルマン、デル・スチュワートがたっぷり聴けることです。ベニーは思ったよりノヴェルティでなく、きっちり歌っています。例の低音も出ますが、ちょっとゴスペルフィーリングを感じました。フェスの「ボールド・ヘッド」はかつてP-VINEで出ていましたが、クリッパーズとのものは初めて聴く気がしました。退屈しない1枚です。



New Orleans Twist Party ; NIGHT TRAIN NTICD 7018 (2007. 8.11)

1962〜64年のRIP音源から。アルバムタイトルは、フェスの「ホール・ロッタ・ツウィスティン」からとったのかな。1960年のニューオーリンズ音楽の爆発的ブームの後、世の中はツウィストブームになり、ビートルズ旋風が巻き起こるわけで、そうなるとニューオーリンズの音楽も一時ほど全国的に流行らなくなっちゃいます。そんな時代に何とかしようとやっていたのがこの辺の音で、毎度好調のフェスの他エディ・ボー、レジー・ホール、ボビー・ミッチェルが収録されています。流行ったのはレジー・ホールの「ザ・ジョーク」なんですが、一番の注目はエディ・ボーですね。どこかのヴェルティで素っとぼけた感じがありながら、後のファンキーサウンドに通じる面をしっかり出しています。ボビー・ミッチェルの哀愁を感じさせる2曲もいいなぁ。ちなみにアレンジなどはワーデル・ケゼルクがやってます。



A New Orleans Visit - Before Katrina ; ARHOOLIE CD 534 (2008. 3.18)

2008年リリースですが、タイトル通り録音は2005年以前になります。マイケル・デューセのフィドルとディヴィッド・デューセのギターで奏でられるケイジャンは、超有名曲「ヘイ・ラ・バス」ではヴォーカルにミス・ロリポップを起用、アコースティックでシンプルな演奏を繰り広げています。またこのセットにクラリネットのサミー・リミングトンのクラリネットとライオネル・バティステ・シニアのドラム等が加わってくると、ぐっとジャジーな仕上がりで面白いです。一方ヘンリー・グレイは相変わらず達者で力強いピアノをバックに、「リトル・レッド・ルースター」「コールド・チルズ」など、シカゴ時代から歌っていただろう曲を披露。声は大分かすれてきましたが、味わい深いです。続くサンパイはマイケル・デューセとともに古いスタイルのザディコをやっています。アコーディオンだけでなくハーモニカでも良い味を出してます。ラストを飾るトレメ・ブラス・バンドはベニー・ジョーンズをリーダーに、カーミット・ラフィンズを含むバンドで、サミー・リミングトンが良い味のクラリネットを吹いているのがオールド・スタイルで気持ちいいです。多分葬送曲の「ジャスト・ア・クローサー・ウォーク・ウィズ・ティー」ではライオネル・バティステが味わい深いヴォーカルを披露。そして何といっても気持ちいいのは「フライ・アウェイ」です。ARHOOLIE、いい仕事してます。



Night Train To Nashville - Music City Rhythm & Blues 1945-1970 ; CMF B0002100-02 (2004. 3.13)

ナッシュヴィルのブラック・ミュージックについては1950年代までのものについてはBEAR FAMILYから「A Shot In The Dark」という強力なボックスセットがあり、この盤の曲ともダブるんですが、こちらの2枚組はもう少しスパンを広げて、その多様性をより出しています。プリズネイアーズの「ジャスト・ウォーキン・イン・ザ・レイン」、アーサー・ガンターの「ベイビー・レッツ・プレイ・ハウス」、ジーン・アリソンの「ユー・キャン・メイク・イット・イフ・ユー・クライ」、アーサー・アレクサンダーの「アンナ」、ジョー・サイモンの「ザ・チョーキン・カインド」、そしてジョニー・アダムズの「リコンシダー・ミー」など、この音楽の都で録音された珠玉の名演が収められていますし、もちろんラリー・バードソングやロスコー・シェルトンといった彼の地の代表的な歌手もしっかり入ってます。シャイ・ガイ・ダグラスなんて泥臭い人も中にはいますが、同じテネシーでもメンフィスでのブルースやR&Bに比べると、ぐっとすっきりソフトな感じがするのは、やはりバックの演奏やアレンジなどがよりコマーシャルだからでしょうか。その辺と上手くマッチしたソフトな曲や歌い手が、やっぱり生き生きしているように感じました、好盤だと思います。



No Jive: Authentic Southern Country Blues ; EXCELLO/ACE CDCHD 652 (2008. 3.27)

1953〜1962年の、EXCELLOに残されたナッシュヴィル近郊のブルースマンの録音集です。代表格はアーサー・ガンターとシャイ・ガイ・ダグラス。シャイ・ガイのいなたいハーモニカをバックにしたブルースはダウンホームですが、どこかすっきりと軽いのがこのアルバム全体に言えること。ガンターの軽快なロッキンぶりはカントリーに通じるものを感じます。ルイス・キャンベルのバックで聞こえるえぐ味のあるエレキ、誰が弾いてるんでしょうか。リトル・アルもアーサー・ガンターと同様のサウンドで、多分バックが一緒なんでしょう。チャス・ドゥエルやリトル・ボブは未発表音源。独特の味わいは共通していますね。



The NOTE Records Story ; GOLD DUST GDR-CD 2004 (2006. 7.27)

NOTEというレーベルはインディアナポリスで1955年から59年までレコードを出していたレーベルだそうで、時代的にはロックンロールの嵐が吹き荒れている頃です。まずは軽快なロニー・ヘイグのポップなロッキン・チューンからスタート。若者向けのポップなドゥーワップありですが、ジミー・コーの「シャッフル・スとロール」みたいな「ホンキー・トンク」や「ナイト・トレイン」といったインスト・ダンス・チューンの流れを汲むB級だけどかっこいい録音もあります。またコ・ホルツというバンドのクールなブルース、ギターもなかなか格好いいんですがどんな人たちでしょうか。またジョン・トーマスのブルース・インストもなんだかニューヨークっぽくて面白いですね。



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