アーティストの名前順に並んでいます。「TODAY'S CD」で紹介したものは紹介文が付いています(日付)。紹介文のないものは「おすすめCD」か「お気に入りのミュージシャン」の中で紹介されているもので、「Click Here!」をクリックすると該当のページにジャンプします。
A.C. Reed ; Junk Food ; DELMARK DE-726 (2003. 2.28)Aaron Neville ; My Greatest Gift ; ROUNDER CD 2102 (2001. 3.31)1999年リリース。A.C.はシカゴを代表するブルース・サキソフォニストで、サックスはもとよりちょっとひなびたジミー・リードに通じるヴォーカルも魅力ですが、この作品はそうしたA.C.らしさをよく捉えています。ファンキーなタイトル曲のようなタイプもいいんですが、僕は「アイ・ガット・マッド」のようなゆったりしたシャッフルが好きです。特にこの曲はかつてのバンドメイトであった今は亡きアルバート・コリンズも参加していて聴き所たっぷりです。「ロンリー・マン」のようなダウンホームなシカゴスタイルもいいなぁ。モーリス・ジョン・ヴォーン、サミー・フェンダーなどゲストも渋い喉を聴かせています。
Aaron Neville ; 20th Century Masters The Christmas Collection ; A&M/UNIVERSAL UICY-1557 (2004.12.25)1968〜70年代中期の録音。ちょうどミーターズが活躍している時期に、一方の「ネヴィル兄弟」アーロンが残していた曲のコンピです。「テル・イット・ライク・イット・イズ」からタイトル曲まで、アーロンの甘く優しい歌声が、アラン・トゥーサンのプロデュースの下で思いっ切り生かされた作品群です。ミーターズのファンクネスとアーロンのスウィートネスが見事に融合する中で、これに続くネヴィル・ブラザーズが登場するわけです。そういう意味でも重要なコンピです。でもいつも思うんですが、あのいかつい顔と身体から、どうしてあんな声が出るんでしょうか。
Aaron Neville ; Devotion ; TELL IT EGD 0827 (2002. 2.21)1993年リリースのクリスマス・アルバムの再発盤です。そりゃ名手アーロンの歌うクリスマス・ソングが悪かろうはずはありません。定番の「ホワイト・クリスマス」をビング・クロスビートは趣の違うアーロン節で聴かせたり、ケイジャン風味の楽しい「ルイジアナ・クリスマス・デイ」などウキウキします。でもやっぱり素晴らしいのが「きよしこの夜」と「おおベツレヘム」の2曲の賛美歌。そのしっとりとした味わいの中に、ゴスペルを好むアーロンの深い信仰を感じました。
Aaron Neville ; Nature Boy - The Standards Album ; VERVE 0044006563329 (2003. 9.17)2000年リリースのアーロンのゴスペル・アルバムです。滑らかで艶やかなファルセットに包まれて歌われる福音の数々は、暖かく、時には力強く、心を和ませます。アイヴァン・ネヴィル、ラッチェル・ランパ、アヴァロンといったゲストを迎えて変化をつけたり、S&Gの「明日に架ける橋」、キャット・スティーヴンス「雨にぬれた朝」、ザ・バンド「アイ・シャル・ビ・リリースト」など60年代後半〜70年代初頭のロック/ポップ・チューンを交え、落ち着いた、でも楽しめる内容になっています。ニューオーリンズのノリを期待するとちょっと肩透かしですが、アーロンならではの世界にゆったり浸りながら目覚めるなんて幸せかも。
Aaron Neville ; Christmas Prayer ; EMI EGD 73631 (2005.12.24)2003年リリース。ロン・カーター、グラディ・テイトといった名うてのジャズマンのリズムセクションに、マイケル・ブレッカー、兄のチャールズのサックスなども絡み、例のとおりのファルセットヴォイスで、「サマータイム」から「ダニーボーイ」まで歌います。聴く前から音が予想できちゃうわけですが、やっぱりいいものはいいですね。アーロンの声は好みが分かれるように思いますが、僕は大好きなんで、これはたまりません。「ヴェリー・ソート・オヴ・ユー」ではリンダ・ロンシュタットとのデュオも聴けますし、「クライ・ミー・ア・リヴァー」「シンス・アイ・フェル・フォー・ユー」と好きな曲を並べられると、参っちゃいますね。
Aaron Neville ; Bring It On Home... The Soul Classics ; BURGUNDY 82876 85489 2 (2006.10.11)2005年リリースですが、航空会社のコマーシャルにも使われた1991年の「アヴェ・マリア」など、古い録音も混じっています。アーロン節でのクリスマス・ソングはさすが敬虔なクリスチャンなだけあって、心に染みるものです。トクニブラインド・ボーイズ・オヴ・アラバマ」の重厚なコーラスをバックに従えた「ジョイ・トゥ・ザ・ワールド(もろびとこぞりて)」では大会を自由に泳ぐイルカのようなしなやかな歌が素敵です。「ホーク・ザ・ヘラルド・エンジェルズ・シング(聞け、天使の歌)」「ザ・ファースト・ノエル(まきびとひつじを)」「オー・カム・オー・フェイスフル」といった賛美歌の独特のアレンジは、まさにアーロンの独壇場とも言えます。中にチャールズ・ブラウンの「メリー・クリスマス・ベイビー」やレゲエ風「クリスマス・エヴリディ」なんて曲が挟まっているので肩のこらない構成ですし。そして「エィメン」コーラス、この曲好きなんですけど、こんな格好いいのは久々に聴いた気がします。季節限定ですがアーロンファンは聴かないわけにはまいらないでしょうね。
Aaron neville ; I Know I've Been Changed ; TELL IT 5099960651020 (2010.11.12)2006年リリース。よくもまあこれだけの名作を歌い込んだものです。「レイニー・ナイト・イン・ジョージア」から始まって、「ドック・オヴ・ザ・ベイ」「スタンド・バイ・ミー」「ユー・センド・ミー」「男が女を愛するとき」「マイ・ガール」「エイント・ザット・ペキュリアー」、そしてネヴィルズでもやっていた「ア・チェンジ・イズ・ゴナ・カム」と、知らぬ人がいないような曲を、全部アーロン節にしちゃってます。アレンジは優しげでゆったりしたものが多く、アーロンの節回しを際立たせるようなものになっていますが、何とメイヴィスとデュエットしたステイプル・シンガーズの「リスペクト・ユアセルフ」はタイトで格好いいし、アル・グリーンの「レッツ・ステイ・トゥゲザー」はチャか・カーンとのデュオで、ややブラコン路線に走ってたりします。個人的に気に入ったのはカーティス・メイフィールドの2曲。「イッツ・オールライト」から「ピープル・ゲット・レディ」につながるあたりがアルバムのクライマックスで、やはりメッセージを込めようというアーロンの意思を感じました。甘い歌の中に、しっかりとした芯のあるアーロンの歌を、たくさんの人に聴いてもらうには最高のアルバムだと思いました。
Ace Harris ; 1937-1952 ; CLASSICS 5087 (2004. 4.11)2010年リリースのアーロンのゴスペル・アルバムです。ピアノにアラン・トゥーサンを迎え、しっかりしたバンドサウンドをバックに、丁寧に歌います。「アイ・ダーン・メイド・アップ・マイ・マインド」のアコースティックな雰囲気は、どこかジョン・ブッテに繋がるものも感じます。アカペラから入る「オー・フリーダム」の美しさはアーロンの真骨頂。ラストの「テアズ・ア・ゴッド・サムホウェア」のピアノの素晴らしさも聴きものです。
2008. 7.16 The Aces ; The Aces With Their Guests ; MCM/P-VINE PCD-24208 (2008. 7.16)エース・ハリスはアースキン・ホウキンズ楽団での活動が知られるニューヨークのピアニストですが、彼の自己名義作品が集められています。1937年録音はビッグバンドを率い、いかにもスウィングと言った演奏ですが、1945年以降はよりコンパクトなコンボ編成で、小唄っぽいヴォーカルものやちょっとオールドタイミーなジャズなどをやってます。お得意の「アフター・アワーズ」などは流石の演奏。時代を経るにしたがってどんどんクラブミュージックになっていき、洒落た感じの曲を多く取り上げてます。「ピーカ・ブー」などはかなり面白いです。でもこれどこかで聴いたことあります。ロイド・グレンの「チカ・ブー」に似てるような感じ。ギターワークなどからは何だかチャールズ・ブラウンのバンドなどの影響も感じます。
Adorian Flores ; Blues From The Deep South ; BLUES SPECIAL BSCD 9507 (2003. 8. 4)1975年のライヴ録音ですから、ロックウッドと来日した直後ですので、サウンド的にはその音に近いです。クラブにプライヴェートな機材を持ち込んで録った条件の悪い録音ですから、音質は良くありませんが、現場のリアルな感じは伝わってきます。エイシズはスタンダードなブルースやシカゴ・ブルースの有名どころを、ルイスが中心に歌います。また、ゲストにボビー・キングとジョー・カーターが参加。ボビーはジミー・リード・ナンバーをちょっとダミ声で歌いますし、ジョーはエルモア直系のスライドと歌を聴かせます。さらにボーナス・トラックではジョニー・ドラマーも歌を披露しています。面白いのは「ホンキー・トンク」「ハイダウェイ」といったインストで、特に後者はお決まりのフレーズを入れながらも、フレッド・ビロウらしい跳ねるリズムと、ボビー・キングのちょっとモダンなコードワークで、一味違う仕上がりになっています。
Aerosmith ; Honkin' On Hobo ; SONY SICP 565 (2004. 4.25)1999年と2001年に録音されたもののようです。アルゼンチンのブルースシーンの仕掛人、エイドリアンがダミ声で歌うブルース集で、かなり苦手な声ですが、エルモアの曲などは真摯なギタープレイもあって結構いけます。ルリー・ベルも2曲でギターを弾いていますが、こちらは何だか変に音を詰め込みすぎた感じで、今ひとつでした。しかし歌が訛っているのが微笑ましいですね。
Al Broussard ; The Music Of A Lifetime ; RABADASH RABCD002 (2002.12.17)2004年の新譜です。エアロスミスがブルースを取り上げたんで、その筋では話題になっていますが、素直にロックアルバムとして聴くことができました。サウンドも「ロックス」時代から大きく変ることなく、スティーヴンのちょっとねちっこい歌とか、ジョー・ペリーの切れ味のいいギターとか、かっこいいです。スマイリー・ルイスの「シェイム・シェイム・シェイム」あたりはかなり気の利いたアレンジを施していて聴きものでしたし、「ベイビー・プリーズ・ドント・ゴー」はオリジナルのブルースからというよりは、ロックに消化されたヴァージョンのリメイクと言えます。スティーヴンの柔らかめのハープが面白い味付けになってます。
Al Copley & Hal Singer ; Royal Blue ; BLACK TOP CD BT 1054 (2005. 8.15)1984年リリースのアルバムのCD化です。1906年生まれといいますから、アルが78才の時の弾き語り録音ですが、溌剌としています。ピアノはフェスなどにも通じる右手のきらびやかなプレイで、柔軟なリズムが如何にもニューオーリンズを感じさせます。そこにやや朴とした歌が乗ってくるんですが、いい味です。あと面白いのは「人間トランペット」と呼ばれる「プープー」という声です。草笛のような音なんですが、どこかのどかで、でも哀愁を誘うんです。ピアノの前に座って、お気に入りの曲を、気分に任せて弾いている感じで、なんかいいなぁ。
Al Green ; Back Up Train ; ARISTA/LEGACY 82876695482 (2005. 8. 1)1990年リリース。もちろん中古です。ルームフル・オヴ・ブルースのメンバーだったことでも知られるピアニストのアル・コプレイが中心となり、往年のホンカー、ハル・シンガーをフィーチュアして作ったアルバムですが、まずアルのきらびやかなプレイに耳を奪われます。ブギウギやロックンロールもあり、全体に陽性なサウンドで、パーティミュージックと言ってもいいかな。そういう中に小唄的なジャズ曲がうまく収まっています。ハルのサックスはよりジャジーで渋い演奏ですが上手くマッチしています。それより聴きものはゲストにスヌークス・イーグリンが参加しているところ。特に「プリーズ・ドント・リーヴ・ミー・ベイビー」のギターには思わずにんまりしてしまいました。
Al Green ; Get's Next To You ; HI 72435-42679-2-5 (2006.11.16)1967〜68年ニューヨークで録音された、アルのデビューアルバムの復刻です。ミディアムのタイトル曲は発売当初かなりヒットした様子で、すでにその歌の上手さは花開いていますし、72年にリヴァイヴァルヒットした「ギルティ」ではそのヴェルヴェット・ヴォイスを聴くことができます。またファンキーな曲などもあり、デヴュー当時から非凡な才能があったことを感じさせます。愛の歌を歌わせたらこの人の右に出る人は少ないと思いました。でもやっぱり物足りなさを感じるのは、やはりHIサウンドがそれだけ素晴らしかったってことなんでしょうね。
Al Green ; Green Is Blues ; HI 72435-42474-2-2 (2007. 3.28)1971年リリース。ちょうど「レッツ・スティ・トゥゲザー」の前に当たるアルバムですが、ややざらついたHIサウンドに乗って、アルは弾けています。「タイアード・オヴ・ビーイング・アローン」、トータス松本が歌ってましたね。そして「ドライヴィング・ホイール」のエイトビート・アレンジの格好良さ。後に「テイク・ミー・トゥ・ザ・リヴァー」の最初の口上でジュニア・パーカーへの追悼を語っていましたが、パーカーの艶やかさをこういう形で継承していくあたり、アルはやはり非凡だと思います。
Al Green ; I Can't Stop ; BLUE NOTE 7243 5 93556 2 7 (2003.12.14)1972年リリースのアルバムに4曲ボーナスが加えてあります。カヴァー曲の多いアルバムで、リトル・ウィリー・ジョンの「トーク・トゥー・ミー」はサム・クック的な味付けを施して歌いますし、テンプスの「マイ・ガール」はHIリズムだとこうなるかってアレンジ。ビートルズの「ゲット・バック」はやっぱりアイク&ティナの影響もあるのかな。よく跳ねてます。そんな中「アイ・スタンド・アキューズト」「サマータイム」の熱唱が染みましたね。やっぱりこの人、めちゃくちゃうまいです。面白かったのは「ゲット・バック・ベイビー」で、CHECKER時代のリトル・ミルトンみたい。影響受けてるんでしょうね。個性が全開する直前といった熱気のあるアルバムです。
Al Sears ; The Big Raw Tone ; OCIUM OCM 0030 (2005.12.26)2003年リリースの新譜です。アルがかつての盟友(というか恩人かも)ウィリー・ミッチェルと組んで作ったソウルアルバムで、ティーニーとリロイのホッジズ兄弟も参加しています。当然往年のHIサウンドの再現かという期待もあるわけですが、当然その雰囲気も出ているけど、やっぱり今のアルバムです。アル自身が長らくゴスペル界で活躍しているせいでしょうか、70年代に比べて歌がタフになってます。年齢もあるんでしょうが、かつての彼ならではの「色気」とはちょっと異なるごつごつした、でもパワーと味わいを感じさせる歌は、進行形のアルを感じます。ラストにチャールストン仕立てのパーティソングを持ってきたり、全体に程よくダンサブルで、気持ち良く聴くことができました。でもこの歳でこのファルセット、素晴らしい!
Big Al Sears ; The Rocking & Honking Tenor 1945/1952 ; EPM 160422 (2009. 9. 8)1945〜53年録音。デューク・エリントンの楽団でソロ・サキソフォニストとして活躍していたアル・シアーズの自己名義録音集です。ちょうどジャズとR&Bの中間線を行くようなサウンドで、ジャンプブルースやホンカーに比べるとぐっとジャズよりですが、モダンジャズのような小難しさは全くありません。童謡(曲名失念)をアレンジした「シアージー」から始まり、汽笛と「ニューヨーク」の台詞をかぶせた楽しいイントロの「ニューヨーク125番街」、クラーレンス・パーマーがまるでサッチモのように歌うコーラスの洒落た「ブラウン・ボーイ」など、ブラック・エンターテインメントがたっぷりつまっています。KING時代の「バルティモア・バウンス」などは他のコンピで聴いたことがありましたが、調をずらしていくような印象的なテーマで格好いいなぁ。時代を追う毎にどんどんビートが強くなっていくのもこの頃のジャンプブルースの例に漏れません。アルのサックスはとても艶やかで、派手なブローはありませんけど色気を感じますね。「ヴォ・サ」なんて曲は「空耳」になりそう。そしてラストを飾るのが「キャッスル・ロック」。軽快なジャンプナンバーですが、やはり時代のビートに比べるとややおとなしいのかな。ブックレットも充実した好盤です。
Al "Cake" Wichard Sextette ; Cake Walkin' - The MODERN Recordings 1947-48 ; ACE CDCHD 1233 (2009.10.11)アル・シアーズがデューク・エリントン楽団に参加していた音に自己名義、さらにジョニー・ホッジズ楽団での演奏を集めたものです。デューク楽団のものは「スウィングしなけりゃ意味ないね」から「ワン・オクロック・ジャンプ」まで、どちらかというと落ち着いた演奏が多く、自己名義でもあんまりホンクしてるって感じはありません。どちらかというとリズムは十分スウィングしてますけど、演奏はおっとりした印象。「ナウ・ライド・ザ・Dトレイン」などはジャズの人からすれば十分ジャンプかもしれませんけどね。ラストのホッジズ楽団名義の「スウィート・ジョージア・ブラウン」、4分あまりの長尺ですが、モダンな感じで格好いいです。
Alabama Mike ; Tailor Made Blues ; P-VINE PCD-24261 (2010. 9.24)ヴォーカルにデューク・ヘンダーソンやジミー・ウィザースプーン、ピアノにジェイ・マクシャン、ギターにはピー・ウィー・クレイトンが参加した音源を含むコンピです。その上未発表が16曲(うちウィザースプーンが歌うものが12曲)も収められています。ですからウィザースプーン・ファンも必携でしょう。この楽団はコンパクトながら時にタイト、時にムーディにとコントラストのある演奏が魅力で、ヘンダーソンが歌う「ヒズ・マジェスティズ・ブギ」やウィザースプーンの「ジェネヴァ・ブルース」など豪快そのもの。未発表の中にはアル・ウィチャード&ヒズ・オールスター・バンド名義が3曲で、けっこう編成の大きなバンド。さらにラスト2曲はアル・ケイク・ウィチャード・トリオ名義で、ピー・ウィーのえぐみのあるギターが彩りを添えています。
Alabama Slim & Little Freddie King ; The Mighty Flood ; MUSIC MAKER MMCD 66 (2008. 2.29)2010年リリースです。この人、歌はハイトーンでテッド・テイラーを思い出させます。楽曲は70年代のブルーズン・ソウルをよく消化して現代に蘇らせたっていう趣で、その辺のサウンドの好きな人にはたまらないでしょう。そんな中にすっと力を抜いたアコースティックな「アイム・ゴーン」をさりげなく挟んであるあたりが、現代的といえるアルバム作りですね。続く佳作「イナフ・トゥ・キープ・ミー・ホールディン・オン」とのコントラストが出ててよりインパクトを強めてます。サニーボーイ〜ジュニア・ウェウズの「フー・ドゥー・マン」はどろりとしたバックの上を高い声でけっこう歌いきっちゃってるのがユニーク。まあところどころまだ歌のこなれていない部分が耳につきますが、これからどんどん良くなるんじゃないでしょうか。
Alabama Slim ; Blue & Lonesome ; MUSIC MAKER no number (2010.11. 4)2005年秋〜暮に録音されていますから、まさにカトリーナの傷跡が生々しいときに作られたアルバムです。アラバマ・スリムの歌声はジョン・リー・フッカーに極めて近く、ドロンとしたワンコードなバックの演奏がその印象をさらに強めています。リトル・フレディ・キングは控えめなリードギターに徹しており、主役をもり立てます。2曲フレディも歌いますが、アラバマ・スリムの前だとちょっとかすんでしまいますね。ドラムやベース、それに時折入るハープも全体に控え目で、アラバマ・スリムのダウンホームな味わいを上手くサポートしていると思いました。
Alan Freed Rock 'N' Roll Big Band ; A Stompin' Good Time ; ACE CDCHD 1184 (2009. 7.18)多分2010年のリリースで、録音は2006〜2007のようです。アラバマ・スリムはジョン・リー・フッカー系の歌が魅力のブルースマンで、この作品はエレキ弾き語りに、メンバー知れずのバックが入ったもの。どこかのスタジオか部屋かなんかで、さっと録って焼いたって感じです。歌のディープな感じは仲々なんですが、もうちょっとチャント音を作った方がいいものになりそうなんですけどね。しかしアメリカのローカル・シーンにはどんだけ人材が隠れてるんでしょうね。
Albert Collins & Henry Hayes ; Kangaroo Shuffle ; KANGAROO,ZEBRA/P-VINE PCD-2294 (2000. 6.17)1957〜58年の録音です。「ロックンロール」という言葉を世に知らしめたDJのアラン・フリードがしゃべりまくるバックで、クールにジャンプ・ナンバーを演奏しているのはキング・カーティスのバンド。このCDは実際は「ザ・キングス・ヘンチメン」というという、これもアラン・フリードが制作したアルバムとの2in1になっています。したがって、聞こえてくる音は当時のニューヨークのジャンプ・サウンド、しかもとってもタイト。それもそのはずで、サックスはカーティスの他ロウェル・ヘイスティングスにサム・テイラー、ギターにはケニー・バレルの名前も見えます。基本的にはダンスパーティ用のインスト集で、曲もオリジナルがほとんどですが、「タキシード・ジャンクション」が入ってるのはこの曲の人気の高さのせいでしょうか。
Albert Collins ; Live At Montreux ; EAGLE ER 20124-2 (2008. 4.19)1958〜90?年録音。中古で購入。コリンズとヘイズとなっていますが、実際は他のアーティストも入っています。テキサスのB級レーベルのコンピですが、なかなか面白いです。コリンズのデビュー2曲(他のもので聴いたことはありました)は、この時すでに彼が自分のスタイルを確立していたこと自体が驚き、やはりワン&オンリーなんですね。ヘイズはマルチ・プレーヤーのようで、アール・ボスティックのようなサックス、ハービー・マンのようなフルートも聴けますが、いずれもワイルドで下衆です。他も洗練とは正反対なサウンドですが、好き者にはたまりませんね。野性的なR&B集といっておけばいいでしょうか。
Albert Hammond ; It Never Rains In Southern California - A Golden Classics Edition ; COLLECTABLES COL-5819 (2005. 9.23)1992年のライヴで、同時にDVDも出ていますが、とりあえず音源だけ入手しました。鮮明な録音でコリンズのギターも好調、選曲もツボを押さえていて、ファンキーなアレンジの「ハニー・ハッシュ」など余裕も感じます。圧巻はラストの「フロスティ」、アンプがヒートアップして思いっ切りファットになったサウンドでガンガン弾きまくります。おそらく場内練り歩いているんでしょうが、触ると凍傷になりそうなクールで熱い演奏が、ご機嫌なバンドに支えられて大炸裂!こりゃDVDも買わなきゃ!
Albert King ; More Big Blues ; ACE CDCHD 827 (2001.11.18)1970年代の前半に、日本のポップチャートを大いににぎあわせたアルバートのベスト盤で、タイトル曲の他、「ダウン・バイ・ザ・リヴァー」「落ち葉のコンチェルト」(原題が"For The Peace Of All Mankind"だってのは初めて知りました)など、なつかしの曲がいっぱいです。でも、それを期待して買ったんですが、なるほどと思うこともあります。アルバートはイギリス生まれなんですが、スペインで育ってアメリカに渡ったんだそうです。これが彼の曲にあるそこはかとないラテンテイストの元なのかな。あと、思ったよりプロテストソングが多かったこと。時代を感じました。
Albert King ; Best Blues Masters Vol.2 ; P-VINE NONSTOP PVCP-8175 (2000. 2.20)1959〜63年録音。BOBBIN/KING時代のアルバート・キングは「Big Blues」というアルバムで聴くことができましたが、これはそれにさらに未発表曲などを加えたものです。アルバートはSTAX時代が最も評価が高いですが、僕はこのBOBBIN時代がかなり好きなんです。ブルースマンとしての個性がしっかりと花開いており、同じブラスセクションを入れたB.B.キングのようなゴージャスな感じではなく、よりストレートな雰囲気がいいんです。ファットな声とギターが実に良く調和しています。こういうリイシューは嬉しいです。
Albert King ; Crosscut Saw - Albert King In San Francicco ; STAX SCD-8571-2 (2004.12.21)1966〜74年の、STAX 時代をほぼ網羅するベスト第2弾。新譜で購入。初めて聴く曲は少ないけれど、アルバートは元々好みなので、楽しめました。ワン・アンド・オンリーのギター・ソロと、合間にはいる「フー」というシャウト?がけっこうそそるんですよね。ジャケ写真がグッチ・ユウゾウさんに似てます。
Albert King ; Live '69 ; TOMATO TOM-2068 (2003.10.14)1983年録音。レーベルはSTAXですが、サウンド的にはTOMATO時代の延長にあり、明るい感じのアレンジが施されています。ラリー・バートンの職人的リズムギターが、サウンドのキャラクターをかなり決めているように思えます。でもアルバートご本人はマイペースで、いつもと同じようなスモーキーヴォイスと、ワンパターンと呼ばれようといっさい気にしないギタースタイルを貫いています。潔いなぁ。ファンキーなSTAX系の音もいいんですが、このアルバムのようなアレンジで聴くのもまた新鮮な気がしました。でもマディ・ウォーターズの「ハニー・ビー」は、ちょっと異種格闘技っぽいかな。
Albert King ; Blues For Elvis - King Does The King's Things ; STAX SCD-8504-2 (2005. 1. 3)ウイスコンシンでのライヴのようです。おそらく隠し撮りか店の記録用か何かで、音質はかなりこもってハウリングやノイズが入ったりしていますし、店もあまり大きな店じゃないみたいです。しかし出てきますねぇ、こんな音源が。STAX時代の脂の乗り切った時期で、「Born Under A Bad Sign」に収録された曲が実質5曲中の3曲を占めていて、演奏は悪いはずがありません。。圧巻は17分に及ぶ「プリーズ・カム・バック・トゥ・ミー」で、抑揚をつけたソロをこれでもかと弾きまくっています。
Albert King ; Funky London ; STAX SCD-8586-2 (2005. 1. 5)1970年の企画ものアルバムで、タイトル通りアルバートがエルヴィス・プレスリーの曲ばかりをやっています。27年くらい前初めて聴いたとき、「何じゃコリャ」と思ったんですが、どっしりと落ち着いたアルバートの声でエルヴィスのナンバーってのもおつなもんです。演奏はダック・ダンにウィリー・ホールのリズム隊で、これまたかっちりと落ち着いた感じ。ただブラスがメンフィスしてるっていうか、リズミカルな曲をややオーヴァーな感じにしてしまっているんで、どことなく田舎臭く感じるのは否めません。ラストの「ラヴ・ミー・テンダー」のしっとりとした落ち着きは、「ヴェリー・ソート・オヴ・ユーに通じる雰囲気で、これが僕は気に入りました。
Albert King ; King Albert ; TOMATO/CHARLY CD CHARLY 120 (2001. 5.19)1970〜74年に録音されたようです。まずは軽快だけどファンキーなインスト盤「コールド・スウェット」がかっこいいです。同じような雰囲気のタイトル曲ではアルバート節が全開で、洗練されたギターアルバムとして楽しめます。「スウィート・フィンガーズ」のイントロではふだんのアルバートとはちょっと雰囲気の異なる、高音域でややメロウなフレーズを聴かせますが、これ、いいなぁ。未発表曲が多く、スタジオでの習作集なのかもしれませんが、個性たっぷりのアルバートのギターは本当に魅力的です。
Albert King ; Talkin' Blues ; THIRSTY EAR no number (2003. 4.22)1978年リリース。中古で購入。ファンキー・ブルース・マスターの面目躍如!。ちょうどこのアルバムがリリースされる前の日本公演を見ましたが、ブルースが中心でした。しかしこのアルバムはアルバート版「フィーヴァー」ともいうべき「ラヴ・ショック」に始まり、ファンキーなナンバーのオンパレード。B.B. キングの「ユー・アップセット・ミー・ベィビー」も、デトロイト・ジュニアの「コール・マイ・ジョブ」も、思いっ切りファンキーなアレンジで、カラーのはっきりしたアルバムです。STAX時代に比べ、あまり注目されることのないTOMATO時代ですが、ブルースの低迷期にあって、新しい路線を突き進んだアルバートの功績は大きいと思います。
Albert King with Stevie Ray Vaughan ; In Session... ; STAX 0888072318397 (2010.12.15)1978年シカゴのクラブでのライヴが発掘されました。ちょうど初来日直前の頃で、落ち着いたバンド演奏にのって、あまりゴリゴリした感じではなく、どっしりと構えた演奏を聴かせます。咳込んで「ごめんなさい」と言ったり、「マイクのハウリング何とかしてくれ」なんてのをギターソロの合間に喋ったりと、えらく臨場感に溢れています。ライヴなんですけど収録はなぜかぶつ切りで、途中短いインタヴューがいくつか入ってます。スロー中心で、長い曲は10分を超え、ギターもほぼワンパターンなんですが、なぜか盛り上がっちゃうんですよね。あおりが上手いっていうか。そんな中、アン・ピーブルズの「ブレイキン・アップ・サムバディズ・ホーム」が落ち着いたアレンジで良かったな。音質も結構良好で、聴いて損はないと思いました。
Albert King ; Red House ; CASTLE/ESSENTIAL ESSCD 147 (2002. 5.21)1983年のセッションに映像が付いたものです。スティーヴィーと言えば、無名時代にディヴィッド・ボウイの「レッツ・ダンス」でアルバートそっくりのギターを弾いたというのがあって、まあ師弟対決っていう感じですね。冒頭の「ストーミー・マンディ」では貫禄の差を感じさせますが、続く「プライド・アンド・ジョイ」ではスティーヴぃーもガツンといっていて、それに絡もうとするアルバートが面白いです。時折スティーヴィーがアルバートにつられた感じになってるのが微笑ましいですね。曲はアルバートのナンバーがメインですから、主役はやっぱりそちらってことで。でもスティーヴィーのプレイには好感が持てました。
Albert Lee ; Black Claw & Country Fever ; LINE LICD 9.01057 O (2002. 7.24)1991年リリースの、アルバート・キングのラストアルバムです。中古で購入。一曲目、かなりロックっぽいアレンジでちょっとあれあれと思ったんですが、何とリズムギターはジョー・ウォルシュでした。でも全編通すとやっぱりアルバートの世界です。かなり元気な感じ。アンプは本当にジャズ・コーラス使ってるんですね。それもフライング・Vの歪みだけで粘っこい音を出しているようですが、すごいです。曲によってコーラスもかけてますが、どう聴いてもアルバートの音です。恐ろしい人だ。ラストのジミ・ヘンドリックス作のスローブルースも、完全に自分の曲にしちゃってます。まだまだ行けるときに亡くなったんですね。惜しいなぁ。
Albert Washington ; Sad And Lonely ; WESTBOUND CDSEWM 142 (2007. 9.14)1968年〜70年ロンドンでの録音。実はアルバート・リーって今まで意識して聴いたのこはないんです。名前は有名ですが。いきなりアーサー・クルーだップというか、プレスリーばりの「ザッツ・オールライト・ママ」から入りますが、次が実にサザンロックのようなシャッフル。時代もあるんでしょうが、振幅の大きさが感じられます。でもご本人はやはりカントリーが好きなようで、オリジナルは瑞々しいカントリー・ロックになっています。アメリカのロックからの影響も大きいようで、「ブラザーズ・プリーチャー」なんてまるでザ・バンドの「ザ・ウェイト」。ディランの曲を多く取り上げていることからも指向は感じられます。しかしギター、上手いなぁ。
Albert White ; Soul Of The Blues ; MUSIC MAKER MMCD86 (2008. 1.30)1973年EAST BOUNDから出されたアルバムに「スティール・アウェイ」をボーナスで付け加えたものです。メンフィス・ホーンをフューチュアし、どこかHIサウンドを意識したようなバックに乗って、時にはシル・ジョンソンのように声を絞り出し、タイトでファンキーな演奏を聴かせます。また「ウィング・オヴ・ア・ドーヴ」では、まるでリトル・ジョニー・テイラーのような張りのあるテナー・ヴォイスでブルースを歌い上げます。ペキペキッとしたギターは自身が弾いているんでしょうか。
Big Chief Alfred Doucette ; Rollin' Wit Da Legends & Marie Leveau ; ALFRED DOUCETTE no number (2008. 3.25)2007年リリース。アルバートはピアノ・レッドの甥っ子で、インターンズのバンドリーダーもやっていたそうです。このアルバムの1曲目はご機嫌なファンキー・ブルースで、ゆったりとしたブルースと続くあたり、ベテランならではの味わいがあります。バックも豪華で、スティーヴ・クロッパーやエルヴィン・ビショップの名も。もちろんビーヴァリー・ワトキンスも参加しています。「ブリング・イット・オン・ホーム・トゥ・ミー」がエディ・フロイドのスタイルに近い感じでやってるのは案外エルヴィンとの関係もあるのかもしれません。全体に演奏がタイトで気持ち良く、新作ブルースとしては高水準だと思いました。
Alison Krauss + Union Station ; Live ; ROUNDER 11661-0515-2 (2003. 3.21)2007年リリース。まず冒頭の3曲が面白いです。クレジットでは自作となっていますが、「リトル・ライザ・ジェーン」「聖者が街にやって来る」「ヘイ・ナウ・ベイビー」の替え歌です。でもご機嫌なノリで気持ちいいですね。「イフ・ユー・ウォント・ミー・トゥ・ステイ」ではフュージョンみたいな音も出しているんですが、ゆったりとしたノリの「ウー・プー・パ・ドゥ」、そしてミーターズ2連発の「ポッキー・ウェイ」「ファイア・オン・ザ・バイユー」のセカンドライン具合もいい感じです。ちなみにギターはゴー・アヘッドのヒロナリさん。もう気分はマルディ・グラです。
All That ; Eponymous Debut ; SOUSAPHONK 001 (2004. 4. 1)2002年4月、ケンタッキーはルイヴィルでのライヴです。カントリーやブルーグラスは大甘のものでなければ嫌いではないんですが、ふだんはあまり聴きません。で、まず感じたのは「端正」だなってことです。アリソンの澄んだ真っすぐなヴォーカルもですが、彼女のフィドル、バックを支え、時にはフロントに出るメンバーのプレイも非常にまとまりが良く、すっきりしています。1曲目の「レット・ミー・タッチ・ユー・フォーアワイル」のジャズテイスト溢れる演奏を聴いて、こりゃ只者じゃないなと思いましたが、ものすごく高い演奏水準でステージを進めています。この完成度はちょうどテリのライヴのある意味対極にあるとも思いましたが、でも音楽そのものに暖かみがあるので、聴いていて和みます。そして彩りを添えているのがジェリー・ダグラスのドブロかな?ラップ・スティールのようにスライドを絡めているんですが、柔らかく、でもあまり泥臭くない味わいを加えているように思いました。2枚組を車の中でさらっと聴いてしまいましたが、じっくり賞味したい作品です。
All That ; A Family Album... A Live Record ; SOUSAPHONK SPH-002 (2002.11. 1)1997年リリース。DJであるディヴィス・ローガンがニューオーリンズのブラスバンドの持つセカンドライン・フォンクと、よりヒップなファンクやジャズサウンドにヒップホップの色合いをまぜこぜにして作り上げたと言っていいのでしょうか。このサウンド、どこか60年代末のブラスロックを思わせる瞬間があったり、思いっ切りファンキーだったりと、ライヴで見たら凄いんだろうと思わせる雰囲気がビンビン伝わります。それを支えているのはやっぱりカーク・ジョゼフのスーザホーンと言えるんではないでしょうか。曲によってはスタントン・ムーアのドラムも入り、とにかくうねり具合は半端じゃないです。ラストの「レッド」は「ウォーターメロン・マン」なんですけど、何ともクール。
Allen Toussaint ; What Is Success - The SCEPTER & BELL Recordings ; KENT CDKEND 286 (2009. 6.11)2001年11月、マーメイド・ラウンジでのライヴです。いやいや強烈な迫力!久々の音の洪水です。クレジットを見る限り、ツイン・ドラムにツイン・スーザホーン(ひとりはカーク・ジョゼフ)という強力なリズム隊(でも演奏は一人ずつに聞こえる)のオーヴァーロード気味なサウンドにバリバリのギターが2本(うちひとりはHiro Manoという日本人らしきクレジットあり)で、ニューオーリンズのブラス・ファンク・バンドなんですがチョロッとテリー・キャスのいた時代のシカゴを思い出しました。ヴォーカルはキーボードのD.J.ディヴィスに曲によってはデビー・ディヴィスも加わっています。インストが爆裂する大ファンク大会なんですが、「ソー・ロング」ではちょっとクールな演奏にラップも披露、こういうバンドがニューオーリンズの夜を毎晩ブイブイ言わせてるんでしょうね。隠しトラックはD.J.のキーボードが「庶民のファンファーレ」をやや大仰にやってますがいい感じ。ライヴ見てみたいです。
Allen Toussaint ; Allen Toussaint ; SCEPTER/VARESE SARABANDE 302 066 832-2 (2009. 6. 8)先のSCEPTER(TIFFANY)からリリースされたオリジナルアルバム収録曲に、60年代末のBELL録音を加えたものです。先のVARESE SARABANDE盤に収録されていたボーナスの2曲の他は全部重複しますが、「ゲット・アウト・オヴ・マイ・ライフ・ウーマン」などこちらにしかない曲もあるのでどちらも手放せないんです。BELL録音の方が隙間が多い感じがします。それだけファンキーな印象。また「テキーラ」なんて超有名インスト曲もトゥーサン流にアレンジされていて面白かったです。
Allen Toussaint ; The Complete WARNER Recordings ; RHINO RHM2 7831 (2005.10.17)1971年のアルバムのリイシューで、冒頭の「フロム・ア・ウィスパー・トゥ・スクリーム」が代表的な収録曲でしょうか。ギターとオルガンに当時ATLANTICのセッションマンとしても活躍してたマック・ルベナック、つまりドクター・ジョンを擁し、ぐっとロックサイドにアプローチしようとしていた時期になるのかな。「チョーキン・カインド」のニューオリンズ・テイストな解釈、リー・ドーシーに提供した曲をよりあっさり目にアレンジしたものなど、歌い手としての線の細さを逆手に取ったかのような秀逸なアレンジがさすがです。終盤はインストで、ボーナス2曲も加えられています。ロックサイドから熱い視線を送られるのも分かるような、垢抜けたサウンドが光る1枚です。
Allen Toussaint ; Life, Love And Faith ; WARNER BROS/WATER 176 (2006. 8.19)1972〜78年にWARNERから出した3枚のアルバムに、1975年の未発表ライヴを加えた、5000枚限定のコレクターエディションです。丁寧なブックレットが素晴らしく、オリジナルアルバムも何枚か持ってますが買ってしまいました。1972〜75年の2枚のアルバムでは、ミーターズの面々が加わったファンキーな曲がまず耳を奪います。リトル・フィートのカヴァーで有名な「オン・ユア・ウェイ・ダウン」はいつ聴いても素晴らしいですね。グレン・キャンベルのカヴァーが全米No.1になった「サザン・ナイツ」は、どことなく中華風味のサウンドが不思議です。これが1978年になるとロサンゼルスに移って、リチャード・ティーやらリー・カールトンを迎え、ぐっとポップでお洒落になりますが、ニューオーリンズ味が薄れるのが残念。さて本作最大の聴きものは2枚目後半のライヴです。メンバーは分かりませんが、かなりファンキーな演奏で、けっこう古いレパートリーも取り上げています。トゥーサンのピアノが大活躍で「ワット・イズ・サクセス」なんか最高ですね。ニューオーリンズ連発の格好良いピアノ弾き語りから、エフェクタをかませたゲイリー・ブラウンのサックスが絡むインストが圧巻で、「ホンキー・トンク」まで飛び出し、そのまま「サザン・ナイツ」でフィナーレを迎えますが、こんなショウ見てたらぶっ飛んじゃいますね。
"Mr. Mardi Gras" Allen Toussaint ; I Love A Carnival Ball ; 504 CDS103 (2008.12. 2)1972年にリリースされた作品のリイシューです。この時代のトゥーサンはバックにミーターズを従え、最も油の乗った時期でした。このアルバムのリズム隊はすべてがミーターズじゃないんですが、のちにリトル・フィートのカヴァーでも知られる「オン・ユア・ウェイ・ダウン」や「ソウル・シスター」など、漆黒のファンクネスを感じさせる曲がなんといっても耳をとらえます。こうしたサウンドは当時としてはとても斬新だったのではないでしょうか。ロックアーティストから彼がプロデューサとして引っ張りだこになっていくのが分かるアルバムです。
Allen Toussaint ; Connected ; NYNO 9601-2 (2005. 8. 3)1987年のアルバムの再発のようです。多分マルディ・グラ用に作られたんだと思いますが、まずそのサウンドが思いっ切りチープなんです。安っぽいシンセサイザーでサウンドを組み立てている感じで、いかにもちょこちょこっと低予算で作っちゃいましたといった感じ。もちろん希代のメロディ・メイカーの作品ですからタイトル曲など印象的なメロディなんですが、チープな感じがなんとも。ラップやディスコ的リズムもあったりして、なんだかじっくり聴くって作品じゃないですね。
Allen Toussaint ; The Bright Mississippi ; NONESUCH/WARNER WPCR-13336 (2009. 5. 4)1994年から96年にかけてニューオーリンズはシー・セイント・スタジオで録音された、この時代のアランの集大成といえるアルバムです。もしかしたらNYNOの第1弾だったかも。いきなりトゥーサンらしい曲調の「ピュア・アンカット・ラヴ」で始まり、続く「ドゥ・ザ・ドゥ」ではフェスを意識した歌とピアノを聴かせます。ジャジーな曲やフュージョンぽい曲もありますが、通底しているのはやっぱりセカンドライン・ビートですね。アランの歌もなかなか良くて、特に「ロング・ナンバー」はアーロンとはまた趣の違った雰囲気で気に入りました。せっかくだから「ゲット・アウト・オヴ・マイ・ウーマン」も歌って欲しかったな。まあちょっとジャジーでゆったりしたこのインストヴァージョンもいいんですけどね。
Allen Toussaint ; Live At Jazz Fest 2009 ; MUNCK MIX/BUFFALO MM-09AT (2009. 7.26)2009年リリース。アラン・トゥーサンがシドニー・ベチェやジェリー・ロール・モートンなどのオールド・ジャズに挑戦したアルバムです。ドン・バイロンのクラリネット、ニコラス・ペイトンのトランペットをフィーチュアし、トゥーサンらしいよく転がるピアノが印象的です。小気味よくスウィングする「セント・ジェイムズ病院」、ペイトンのペットがよく歌ってる「シンギン・ザ・ブルース」や「ウエスト・エンド・ブルース」、深いクラリネットの音が素晴らしい「ジャスト・ア・クローザー・ウォーク・ウィズ・ジー」など、あげていったらきりがないんですが、トゥーサンのピアノって、なんかクラブの片隅にあるのをさらりと弾いている雰囲気なんですよね。この小洒落た感じがたまりません。
The Allman Brothers Band ; The Allman Brothers Band ; CAPRICORN/POLYGRAM PHCR-4438 (2003.12. 5)ブラスセクションまで入ったジャズ・フェスでのライヴです。編集なしの一発録りですから荒い部分はありますが、トゥーサンの声はよく出ていますし、達者なピアノもたっぷり堪能できます。「スネーキン・サリー・スルー・ジ・アリー」のセカンドライン具合とかさすがですね。ファンキーな「へラクレス」、軽快な「サーティン・ガール」、カントリー・テイストを感じさせる「スウィート・タッチ・オヴ・ラヴ」と、多彩な曲が次々と出てきて楽しいライヴです。弾き語りの「ウィー・アー・アメリカ」をはさんで「イエス・ウィー・キャン」、そしてフェスを彷彿させる「イッツ・ア・ニューオーリンズ・シング」、ラストは「サザン・ナイツ」をちょこっとやってガツンとメンバー紹介で締めるあたり、生で見てたら涙ものだったんじゃないかと想像しちゃいます。
The Allman Brothers Band ; Idlewild South ; CAPRICORN/POLYGRAM PHCR-4439 (2003.12. 7)1969年リリース。オールマンは高校時代にかなり聴いたし、グッピーでもよくかかるわけですが、改めて聴き直してみると、やっぱりいいものはいいなって感じます。特に冒頭の2曲のメドレーで「クロス・トゥ・ベア」に入るところの緊張感ていうか気合いというか、このバンドの瑞々しいエネルギーが凝縮していますね。ライヴでの重要なレパートリーになる「ウィッピング・ポスト」とか、ちょっと荒削りさを感じる部分もありますが、ソロの構成力とか抜けたセンスを感じました。
The Allman Brothers Band ; Live At The Atlanta International Pop Festival ; SONY MHCP 139~140 (2007. 9.25)1970年リリースのセカンドアルバム。これはちゃんと聴いたことがなかったんですが、いろいろ面白い発見がありました。まずここに来てディッキー・ベッツの存在が相当大きくなっていること。例えば冒頭の「リヴァイヴァル」、イントロとか「ジェシカ」に通じる香りがするんですよ。もちろん「エリザベス・リードの追憶」もあるんですが、こちらのくぐもりのある感じに比べ、西海岸的明るさを感じます。「ミッドナイト・ライダー」も洗練された感じ。一方ファンキーな「ドント・キープ・ミー・ワンダリン」のリフはオールマンらしく、デュエインのスライドも全開ですね。デュエインという希有な才能の存在は大きかったんですが、彼の死後もバンドが維持できる見通しは、実はすでにこの辺にあったんだななんて感じました。
The Allman Brothers Band ; Eat A Peach ; CAPRICORN/UNIVERSAL UICY-3839 (2005.10.20)1970年7月3日と5日のライヴです。オールマンのライヴと言えば、フィルモアにとどめを刺すわけですが、このライヴも同時期のものだけあって熱いです。曲は何曲かかぶりますが、即興性を重視していたバンドだけあって、セットによって印象はかなり違います。特に「ステイツボロ・ブルース」など、楽曲を大きく変えているわけではないのに、イントロからソロのフレーズの色合いが変わっており、尺も違うなど、定型句でやっていないのが分かりますね。凄いのはやっぱり「ウィっピング・ポスト」そして5日の方の「マウンテン・ジャム」です。でも挨拶がグッド・モーニングってことは午前中のライヴだったんでしょうか?それでこのテンションは凄いなぁ。
Alton Redd ; 1945-1949 ; BLUE MOON 6057 (2008. 2.14)1972年リリース。元々LPでは「マウンテン・ジャム」が分割されるという変則的な収録をしていたアルバムですが、CDで1枚にまとめられ、この長大な曲も連続して聞くことができます。ちょうどデュエインの死を挟んだ録音で、デュエイン無しの3曲のうち、特に「エイント・ウェスティン・タイム・ノー・モア」では、ディッキー・ベッツがデュエインを彷彿させるスライドを聴かせます。真ん中3曲はフィルモアの録音からで、長尺の「マウンテン・ジャム」の他は彼らのレパートリーとしてよく知られたブルースが2曲。でもこのアルバム一番の聴きものは、ラストのデュエイン存命中の3曲だと思います。ツインギターが素晴らしい「スタンド・バック」に、いかにもディッキーらしいカントリー・フレイヴァー溢れる「ブルー・スカイ」でのギターの絡み、そして美しいアコースティック・インストの「リトル・マーサ」、これだけの作品を作れるデュエインが、あの忌まわしい事故に会わなかったらどんな発展をしたのかと思うと、一人の人間の運命が音楽の未来も変えてしまうんだなとつくづく感じてしまいました。
Ambassadors New Orleans ; Ambassadors New Orleans ; AMBASSADORS NEW ORLEANS no number (2005. 9.11)歌うドラマー・シリーズ第2弾?ですが、この人はどうやら西海岸の人のようです。「イン・ジ・イヴニング」なんてゆったりした曲が最初多かったんで、ちょっと心配したんですが杞憂でした。ちゃんとブギウギも出てきます。イカしたコンボ・サウンドをバックに、ややがらがらな声で、でもいい味出しながら歌うんですよ。「ミーン・オールド・ワールド」なんてややアップテンポにしながら言葉をかみしめるように歌うのがいいなぁ。IMPERIAL録音になるとマックスウェル・ディヴィスなんて名前もバックに見えてきます。この頃になるとずっと歌に専念していたようで、ジャンプ感覚の効いたブギ・ナンバーが格好いいですね。曲によってはジョー・リギンズのバンドの影響なども感じられ、面白いアルバムです。
Ami・Tame ; Our Love ; AT ATCD-2001 (2008. 8.17)2004年録音。ニューオーリンズのブラスバンドですが、どちらかというとジャズ寄りで端正な演奏が得意なようです。曲によってはラテンというよりはセム系の、例えばクレズマー・ミュージックのような感触の曲もあったりして。でもリズム隊は適度に暴れるし、「ブギー・ダウン」あたりだとスピード感もあり、どうしてなかなか面白いです。敷かしこうしたブラスバンドが街に戻り、皆に勇気と希望を与えたって報道を、スーザホンのように首を長くして待ちたいです。頑張れ!ニューオーリンズ!
Amos Garrett ; Get Way Back - A Tribute To Percy Mayfield ; WESS WHCY-3 (2008.10. 8)2001年くらいの作品でしょうか。鬼ころしのギタリスト、タメさんがアコースティック・ギターを持ち、ソウルフルな歌を歌うアミさんとデュオで歌います。アルバムの前後は「ザ・ローズ」「リーン・オン・ミー」「ザ・ウェイト」といった有名曲のカヴァー、真ん中はオリジナル曲ですが、割合ポップで、すこしソウルフルな感じの曲は聴きやすく、ふたりの抑え気味の歌がかえって説得力をもって響いてきます。いつものブルーズン・ソウルな感じとはまた違うこのふたりの世界、かなり面白いです。
Amos Milburn ; Bad Bad Whiskey - 1946-1950 ; ALADDIN/BLUES COLLECTION 160022 (2005. 4. 3)2008年リリース。ハマリと言ったらこんなハマリのトリビュートはめったにないでしょう。タイトル曲の他「マイ・ジャグ&アイ」「ストレンジャー・イン・マイ・オウン・ホームタウン」「リヴァーズ・インヴィテーション」と、パーシーの持ち味がたっぷり出た曲を、エイモスが実にジワッと歌い込んでいきます。もちろん時折その見事なギターワークも聴かれるんですが、こっちは控え目。あくまでも歌重視ですね。不世出のソングライターの曲を、噛みしめ味わいながら歌うエイモス、いつの間にかその世界に引き込まれてしまいます。
Anders Osborne ; Live At Tipitina's ; SHANACHIE 5730 (2004. 6. 5)ミルバーンのALADDIN録音については、東芝EMIの4枚組、CAPITOLの3枚組など大物があり、またCLASSICSから録音順に1946〜51年まで4枚出ています。でも特に1950年までの作品をコンパクトにまとめたものとしては、このアルバムはブギに偏らずなかなか好編集だと思います。特に女性の「ドクター、ドクター、アタシどうしちゃったの」という声が妙に印象的な「オペレーション・ブルース」なんて面白いし、「アフター・ミッドナイト」や「レッツ・メイク・クリスマス・メリー、ベイビー」などはエイモスとチャールズ・ブラウンの類似性も感じられるブルースで興味深いです。ライナーノートはフランス語と英語の2ヶ国語表記。より広い期間を捉えた決定盤ベストとして「DOWN THE ROAD APIECE」というEMI盤がありますが、こちらの方が濃い目と言えましょう。
Anders Osborne ; Break The Chain ; SHANACHIE 5746 (2002. 4.28)1997年11月のライヴです。アンダースのギターにテレサ・アンダーソンのヴァイオリンが絡み、ベースにはカーク・ジョゼフのスーザホーンといった編成で、1曲の演奏時間が長いジャムスタイルなんですが、リズム隊が結構跳ね回る割には、どことなくフォーク調のサウンドになっています。グレン・ハートマンのアコーディオンなどゲストも入り、ワイワイとライヴを楽しんでいる様子が伝わりますが、僕としてはところどころで聴かれるアンダースの、ローウェル・ジョージばりのプレイをもっと味わいたかったです。ちょっと全体に冗長に感じました。
Anders Osborne with Monk Boudreaux ; Bury The Hatchet ; SHANACHIE SH 5747 (2002.10.26)2002年リリースの新譜です。この人の名前はロッキン・ジェイク・バンドのクレジット(ドブロ)にあったんですが、アルバムは初めて聴きました。スライドを含め、多彩なギタープレイを聴かせますが、全体にローウェル・ジョージからの影響を感じました。ヴォーカルは彼をさっぱりした感じだし、曲調はリトル・フィートに通じるものが何曲かありました。またスライドプレイでは、サニー・ランドレスに近い音作りで、交流があるのか、あるいは同じルイジアナ勢ということで似ているのかは分かりませんが、何となく気になる感じです。ガツンとは来ませんでしたが、新しいところもたくさんあり、ちょっと注目してみたいです。
Osbone Orchestra ; Osborne Orchestra ; RABADASH RAB007-CD (2006. 6. 1)2002年リリース。ニューオーリンズの若手?白人ギタリストのアンダースが、ワイルド・マグノリアスと袂を分かったモンクと組んで作ったアルバムですが、これは嬉しい1枚になりました。まず少し軽めの、でもしっかり跳ねているリズムが快感です。それもそのはず、ベースレスですがスーザホーンにダーディ・ダズン・ブラス・バンド時代からその驚異的なサウンドで知られるカーク・ジョゼフ、そしてドラムにはダグ・べローテの他僕のお気に入りのハーマン・アーネストの名前も見えます。アンダースは少し毒気を抜いたドクター・ジョンのような肌合いのヴォーカルと、ちょっとジェリー・ガルシアを思わせるきらびやかで広がりを感じるギターソロ(もしかするとファンキー・ミーターズのブライアン・ストルツかもしれないんですが)を披露、モンクはチャントはもちろん、他の曲のヴォーカルでもしっかりニューオーリンズの魔法のスパイスをふりかけています。こういうのは聴いていて本当に楽しいですね。
Anders Osbone ; American Patchwork ; ALLIGATOR ALCD 4936 (2010. 6.22)恐らく2006年リリース。クレジットも何もないペラペラのインレイだけで、メンバーとか分かりませんけど、アンダース・オズボーンらしいちょっとフォークがかった歌にスライドが心地良いです。アコーディオンやフィドルを絡めた「へル・イン・ホランド」もケイジャン風というよりはオズボーンのソングライターとしての才能を感じさせるものですし、アコースティックなスライドがいい感じ。セカンドライン的な「ライフズ・ア・ストレンジ・シング」や「ドゥーイン・ファイン」を聴いてると、どこかリトル・フィートを思い出します。全体にかなり練られたサウンドで、いろんなテイストの演奏の中に、しっかりオズボーン節が貫かれているのがミソです。なかなかの好盤です。
Andre Foxxe ; I'm Funk And I'm Proud ; P-VINE PCD-2834 (2004. 8.15)2010年リリース。髭面になったジャケットでびっくり!ALLIGATORに移籍したアンダーズはいきなり低重心のロックサウンドを響かせてます。でもタイトルにあるようにいろんなタイプの曲をやってて一安心。彼独特の粘っこい声で歌うレゲエ「ゲット・ユア・ハート」当たりを聴くと、この人の歌の魅力がよく出てますね。ゆったりした「アカプルコ」も気に入りました。ロックとフォークが交互に出てくるような感じで、変化はあるんですがちょっと落ち着かないかな。「ミート・ミー・イン・ニュー・メキシコ」位のミディアムな感じが好きです。
Andre Fox ; Myllennium ; P-VINE PCD-5380 (2009. 6. 3)1993年リリース。まずウェディグ・ドレスに身を包んだジャケットに度肝を抜かれますが、サウンドの変態性はそれほど感じませんでした。P-ファンクを土台にし、プリンスやスライ・ストーンなどの影響を感じさせる正統派ファンクで、特に冒頭のロック系のギターからファンクになだれ込むあたりがなかなかいかしています。まだあまり知名度が高くなかった頃のレッド・ホット・チリ・ペッパーズとの共演など、ややポップな曲もあり、アルバムとしてはちょっとまとまりに欠け、フォックスのイメージがいまひとつ像を結びにくい感じもありますが、ドロリとしたファンクの底流をがあり、それなりに面白かったです。
Andre Williams ; Mr. Rhythm Is Back ; REVOLVO RV 284503 (2008. 4. 8)1998年リリース。P-ファンク軍団にかかわってきたアンドレ・フォックスのソロ第2作で、サウンド的には実にロックな作品です。「イントゥ・ザ・サン」にはフィッシュボーンの面々も参加しており、どことなくアフロな雰囲気も漂います。また続く「ラフィン」や「エニモア」のギターはエディ・ヘイゼルを思わせます。ちょっとジャジーな「ムーンジェリー」、アコースティックな味わいのある「シェイン」や「アローン」など、歌を前に出したコンテンポラリなロックという感じでちょっと意外でした。そんな中素性をはっきりさせているのが「グッド・フォー・ユアセルフ」、さすが手慣れたファンクです。まあジャンル分け不要のサウンドというところでしょうか。
Andre Williams And The Out Of Sighters ; Red Beans And Biscuits ; SOUL-TAY-SHUS STS CD 6361 (2005. 5. 6)詳しいデータは何もありませんが、おそらく1960年代から80年代後半までの録音でしょう。まあともかく最初の「スウィート・リトル・プッシーキャット」を聴いていただきたいですね。女性コーラスが「ミャーオ、ミャーオ」と鳴く中、ヒップなリズムに乗せてぼそぼそとアンドレが語るという、下世話の極致のような曲です。こんな調子の曲がこれでもかと言わんばかりたっぷり収録。B級好きの僕にはたまらないアルバムです。ジュニア・ウォーカーをぐっと下町に引きずり込んだような「リブ・ティップス」も格好いいなぁ。1986年録音になるとストリングも入ってくるんですけど、基本的にそのスタイルは変わりありません。隈雑な「ザ・ストローク」に、怪しげな「アフリカン・トゥイスト」と、存分に奇才ぶりを発揮しています。
Andre Williams & The New Orleans Hellbounds ; Can You Deal With It? ; BLOODSHOT BS 155 (2008.11. 4)1966〜70年までの、アンドレ及びその周辺の録音集です。いやいや、さすがTUFF CITY系列のリイシューというか、思いっ切り下世話でB級のファンキーな曲が並んでいます。この人はMOTOWNとも繋がりのあった人で、プロファイルズのようなデトロイト〜シカゴらしいソウルナンバーも中にはあるんですけど、もっとドロ〜っとした雰囲気のファンクがてんこ盛り。特にアンドレ名義の未発表音源はこれでもかというファンクネスを感じます。ある意味時代を先取りしすぎていたのかもしれませんね。
Andrew Tibbs ; 1947-1951 ; CLASSICS 5028 (2004. 8.16)2008年リリース。この元祖「下世話おじさん」、本当に神出鬼没です。今回は何とニューオーリンズにやってきて、多分かなり若いミュージシャンたちとアルバムを作ったようです。いきなりロックテイストたっぷりのサウンドでスタート。例の語り口調の歌?が炸裂してます。「ネヴァー・ハッド・ア・ドリーム」なんてガレージパンクみたい。でもそこにあるのは破壊的な感じより、音楽を心底楽しんじゃおうっていうアンドレの心意気ですね。繰り返し聴いてると不思議と癖になりそうになります。
Glenn Miller & The Andrews Sisters ; The Chesterfield Broadcasts ; BMG HERITAGE 82876 54306 2 (2009.12.29)アンドリューはシカゴをベースに活動していたヴォーカリストで、ロイ・ブラウンを少し軽くしたような張りのある声が特徴的です。ロイほどのメリスマはありませんが、発声の仕方などはかなり似て聞こえました。主にARISTOCRAT〜CHESSの録音が収録されており、バンドはややジャズ寄りでパワーには欠けますが、かえってすっきり目の歌にはマッチしているように思いました。何曲かジャズコーラス的な曲もあったり、ちょっとキャブ・キャロウェイの影響を感じさせる曲もあります。「ハウ・ロング・ブルース」の都会的な解釈などなかなか面白かったです。
The Andrews Sisters ; The Very Best Of The Andrews Sisters ; HALF MOON HMNCD 039 (2009.10.20)1939年から40年にかけて、ラジオ放送用に収録された2枚組演奏集です。実は「イン・ザ・ムード」と「タキシード・ジャンクション」のアンドリューズ・シスターズ・ヴァージョンを聴きたくて買ったんですが、2曲ともグレン・ミラー楽団の演奏でちょっと残念。でも両者のヒット曲満載で、この当時のトップ・エンターティナーのラジオ番組の様子がよく分かります。楽団はもちろん、シスターズの完璧なコーラスワーク、そしてバランスの取り方。マルチレコーディングでない時代の、様々な工夫を想像するのも楽しいです。ラジオショーとしては古臭いと言われるかもしれませんが、余計なおしゃべりが多く感じられる昨今のラジオやfm番組と違い、音楽に対する深い愛情を感じました。
Andy J. Forest ; Deep Down Under (In THe Bywater) ; APPALOSA AP 165-2 (2004. 5. 6)おそらく1940年代後半から50年代初頭の録音でしょう。アンドリュー・シスターズといえばビング・クロスビーとの共演でも有名ですが、僕は本作にも入っている「ブギウギ・ビューグル・ボーイ」や「チャタヌガ・チューチュー」を子供の頃に聴いて強いインパクトを受けていました。じゃジーで緻密なコーラスワークはポインター・シスターズなどにも引き継がれていますね。大ヒットの「ラム&コカ・コーラ」はカリプソを見事なコーラスワークでポップ化しています。また「チコ・チコ」も広がりのあるアレンジで格好いいなぁ。人間の声こそが最高の楽器といわれるのもうなずけます。残念だったのは「イン・ザ・ムード」が入っていなかったこと。探さなきゃ。
Andy J Forest Band ; Live ; THAT'S IT no number (2004. 9.14)2004年リリース。アンディは初めて聴きましたが、色々な器種を使いこなし、豊かなフレーズを持つハーモニカはユニークでかっこいいです。アンダーズ・オズボーンがプロデュースの他様々な楽器で参加しています。アルバムとしては3部構成で、第1部がサザンビートの効いたロックサウンド。「ファット・チャンス」なんかファビュラス・サンダーバーズみたいでなかなか豪快です。第2部はウッドベースを入れたちょっとジャズテイストを感じさせるサウンド、これが最後の方になるとリゾネイタも加わったかなりアーシーな音作りになっています。変化が楽しめるんですが、「レヴィー・エン・ローズ」などはアバンギャルドを狙ったのかもしれませんがちょっと焦点がぼけたような気もします。前半の勢いのあるサウンドがいいな。
The Andy J Forest Band ; Real Stories ; ANDY J FOREST no number (2007. 7.17)2004年イタリアでのライヴのようです。いきなりザディコ風の曲でラブボードを披露したりしてますが、基本は何と言ってもサザンビート系のブルースで、しっかりしたハーモニカと歌がなかなか魅力的です。そういった中でキング・フロイドの「グルーヴ・ミー」がいいアクセントになっています。長尺のシャッフル「ネヴァー・ビーン・トゥ・シカゴ」では「ヒューストンやカリフォルニアには行ったのに、シカゴにはまだ行ったことがない」なんて歌いながら、ウォルター・ホートンのフレーズをパクったり、ギターがチョロッと「スウィート・ホーム・シカゴ」のフレーズを出してみたりと、楽しい演奏です。メンバーの名前を見るとイタリア系が多いので、現地調達なのかな?
Andy J. Forest ; Notown Story: The Triumph Of Turmoil ; ANDY J FOREST no number (2010. 9.16)2007年リリース。いかにも手作りのインナーなど、見かけはチープなCDですけど中身は濃いです。冒頭の「レット・ゼム・ダイ」からファンキーなビートを聴かせてくれますし、アコースティックあり、低重心ありとかなり守備範囲が広いです。小唄っぽい「スウィング・イズ・エヴリシング」はウォッシュボード・チャズをちょっと思わせたりしますが、そういえばチャズのアルバムで共演してましたね。とにかくいろんなスタイルの演奏をしているんですが、バンドとしての一体感が損なわれていないのが魅力です。もっとちゃんとした配給で日本でも流通して欲しいなぁ。かなりお薦めです。
Andy Kirk & His Clouds Of Joy ; Hukebox Hits 1936-1949 ; ACROBAT ACMCD 4077 (2009.11.19)ニューオーリンズのハーピスト、アンディの新譜です。全曲オリジナルで、ラウドに録音されたドラムの響きをバックに、ややざらっとした感じの音作りで、臨場感を感じさせます。ジャンルはブルースに限らず、「ユー・ガッタ・ペイ」では複音ハーモニカのような音でレゲエやってますし、「プア・ユー」ではファンキーなバックにサード・ポジションを合わせていて、ちょっとユニークなサウンドになっています。もちろんブルースはなかなかの出来で、ラストのインスト・シャッフル「ハープビンガー」はマジック・ディックの「ワーマー・ジャマー」に近い楽曲ですが、ひと味いなたさがあってその味わいの違いを比べるのも面白いかも。
Anita Ward ; Ring My Bell ; HALLMARK 701062 (2004. 3.28)主にDECCAに録音されたヒット曲集です。1936年のヒット「クリストファー・コロンブス」に始まり、甘々のフェイ・テリルのヴォーカルを擁してヒットを連発してた30年代、異色なスライドプレイが聴かれる「フロイヅ・ギター・ブルース」、若々しい声のジューン・リッチモンドが歌う「ヘイ・ロウディ・ママ」、ジュバレイアーズやフォー・ナイツのコーラスをヴォーカルに据えたムーディな曲の数々、そしてヒットをすかさずカヴァーした「ドリンキン・ワイン・スポーディ・オディ」と、人気バンドの軌跡をコンパクトにまとめてあります。こうして聴くと当時のヒットがどんな風に作られていたのかが良く分かります。
Ann Cole ; In The Chapel ; BLUE CITY 812 (2001.10. 1)1979年に大ヒットしたタイトル曲を突然聴きたくなりました。ディスコブームも後半に入り、テクノポップ的な打ち込みをバックにした演奏と、どこかチープで力が抜けちゃう「リング・マイ・ベル」(空耳的には「みんなで〜〜〜みんなで」って聞こえたりします)の歌声の印象しかない人ですが、こうして何曲も聴くと、どうやら元々はゴスペルで鍛えられた人なんじゃないかなと思います。シンセサイザー中心のサウンドもちょっとファンクっぽい感じもあり、聴き方によっては面白さも感じました。まあ僕の守備範囲の外と言えますけど。
Annisteen Allen ; 1945-1953 ; CLASSICS 5096 (2004. 8.10)ブルースファンの間では「モジョ・ワーキン」のオリジネイタというイメージが先行しがちの女性ヴォーカリストですが、ゴスペルで鍛えたパンチとメリスマの効いた歌は仲々迫力があります。曲はバラード系がけっこう多く、ややハイトーンな声がチャーミング。中には「ダニーボーイ」なんてレパートリーがあったり、「ニュー・ラヴ」という曲はメロディが「蛍の光」だったりと、歌唱力を生かして何でも歌ってしまう節操のなさのようなものを感じました。でもタイトル曲とか「イージー・イージー・ベイビー」などもっと日本でも聴かれていいんじゃないかな?
Anson Funderburgh And The Rockets Featuring Sam Myers ; The Best ; BLACK TOP/P-VINE PCD-22254 (2006. 6.26)エイニスティーン・アレンはラッキー・ミリンダーのところで歌っていた女性ヴォーカルで、溌剌としたパンチ力のある声が魅力的です。ブル・ムース・ジャクソンで知られる御機嫌な「オー・オー・イー・ボブ・ア・リー・ボブ」は彼女の得意なスタイルのようで、タイトに跳ねる感じが素敵です。代表曲「ベイビー・アイム・ドゥーイン・イット」も力強さのあるスローで、ニューヨークの名うてのメンバーをバックに、見事な歌唱力を披露してます。面白いところでは「イエス・アイ・ノウ」、これはウィリー・メイボンの「アイ・ドント・ノウ」のアンサーソングです。終盤のミッキー・ベイカーのギターも聴きもの。
Anson Funderburgh & The Rockets ; She Knocks Me Out! ; BLACK TOP CD BT 1022 (2008. 2.13)1981〜96年録音の、BLACK TOPほぼ全期間にわたるアンスン・ファンダーバーグの録音から、サム・マイヤーズと組んだものを中心に集めたベスト盤です。サムのハーモニカとちょっとこもった感じだけどディープなブルースボイスを、アンスンのバンドがタイトな演奏でソの魅力を思いっ切り引き出している曲が多く、シカゴスタイル、さらには「ザ・デュー・イズ・フォーリング」ではエルモアばりのスライドと、アンスンの器用さと演奏力の高さが、バンドの一体感を伴い実に気持ちがいいです。アンスン自身名義の演奏となると、アルバート・コリンズ丸出しのインスト「チル・アウト」「バックストローク」あたりがお得意なんですが、アール・キングを2曲取り上げたりと、幅が広く楽しめます。さすがレーベルの「箱バン」といってもいい存在ですね。お買い得な1枚。
Anson Funderburgh & Sam Myers ; That's What They Want ; BLACK TOP CD BT-1140 (2004. 4. 2)1989年リリース。テキサスを中心に活動するアンソンは、かなりシカゴブルースがお好きなようで、曲もハウリン・ウルフ、マジック・サム、サニーボーイなどのナンバーの他、オーティス・ラッシュを意識したようなギターも聴かれます。でも味わいはどちらかというとテキサス〜ルイジアナっぽく、レイジー・レスターの「ア・ウーマン」などの方がはまりますし、シカゴブルースもどこか味わいが緩やかです。ギターの腕前はさすがで、時折ぐっと身を乗り出すようなフレーズも登場しますし、ファビュラス・サンダーバーズのような軽快なロックンロールもあり、飽きさせません。まあヴォーカルが弱いのはご愛敬ってことで。
Antoine Holler ; Love In Stereo ; SACEM 01071981/1 (2010. 5. 2)1997年リリース。BLACK TOPは会社が潰れて廃盤なんで、中古で見かけたら片っ端から買っていますが、これもその1枚。スヌークスのバックなどでもおなじみの、テキサススタイルのギターの名手アンソンと、南部で渋い活躍を続けてきたサム・マイヤーズのコンビは、ある意味このレーベルの看板のひとつとも言っていいと思います。サムのダウンホームなハープと深みのある歌を、アンソンのシャープでセンスのいい、でもしっかりグリッティなギターが支えるスタイルはベストマッチと言えるのではないでしょうか。中にはアンソン自身がアルバート・コリンズ丸出しにやっている「マッドスライド」なんて曲もあり、ファビュラス・サンダーバーズを渋くしたような雰囲気というと分かりやすいでしょうか。これら一連のアルバム、再発しないかしら。
Arbee Stidham ; Volume 1 ; BLUE MOON BMCD 6038 (2004. 7.28)2009年リリース。アントワンはフランスのシンガーで、ちょっと霞のかかったような柔らかい声がまず印象に残ります。ギターもかなり達者で、暑苦しくないけどソウルをたたえた、どことなくアンニュイな都会的なサウンドを生み出しています。またハーモニカにはこれまたフランス新進気鋭のシャルル・パジが2曲で参加して彩りを添えています。ベストトラックは「ミュージック・メイクス・ミー・ハイヤー」かな。ジャズやレゲエの要素も取り入れたこの人の音楽世界は、じっくり聴き込む価値のあるものです。
Arbee Stidham ; Volume 2 1951-1957 ; BLUE MOON BMCD 6039 (2004. 9. 1)1947〜51年録音。シカゴをベースにしながら、どこか西海岸のような洒落た感覚を持つアービーの作品は、COBRAやその後の作品は聴いたことがあったんですが、ヴィンテージ録音がまとめられたのは嬉しいです。特に大ヒット「マイ・ハート・ビロングズ・ユー」は聴きたい曲でした。ちょっと地声っぽい歌と、ブラスの効いたサウンドは、どこかウィリー・メイボンにも通じ、洒落た感じがたまりません。ミディアムの曲が特に魅力的で、チャールズ・ブラウンとはまた違った都会的な雰囲気を持っています。このジャズ・テイスト溢れるサウンドは、当時のR&Bの王道といっていいのではないでしょうか。日本でももっと評価されてしかるべき人だと思います。
Archie Bell & The Drells ; Tighten Up ; ATLANTIC/EAST WEST JAPAN AMCY-2054 (2003.12.11)この人の声は一度聴くと忘れられません。地声のような野太さがあるんですが、歌い回しはしっかりしているんです。ロウダウンなブルースを歌うと渋い感じになると思うんですが、都会派の歌をこの声で歌うタイプは希少ですね。ちょっとパーシー・メイフィールドを思い出させるところもあります。時代が下がり、すでにCD化されているウィリー・ディクソンがプロデュースした音になっても、バンドは独特の跳ね方になりますが、持ち味は変わりません。ヒット曲もあり僕は結構好きなんですが、日本ではあんまり名前が出ないのが残念です。
Aretha Franklin ; Queen In Waiting ; COLUMBIA/LEGACY C2K 85696 (2003. 1. 4)1968年リリース。軽快なギターカッティングが印象的なタイトル曲がダンスチューンとして大ヒットしましたが、フルアルバムでは初めて聴きます。ドレルズは4人組のコーラスグループで、バックバンドはテキサスのローカルバンド、T.S.U.トロネイドスがつとめています。タイトル曲以外ではアーチーのヴォーカルとオーソドックスなコーラスが絡む曲が多く、「ノック・オン・ウッド」「イン・ザ・ミッドナイト・アワー」と当時のATLANTIC系のヒット曲も取り上げていますが、どことなく軽い演奏がバンドのカラーでしょう。バラード系に結構味を感じました。
Aretha Franklin & King Curtis ; Live At Fillmore West ; RHINO HANDMADE RHM2 7890 (2005. 4.30)1960〜65年録音。アリサのCOLUMBIA時代の録音の集大成といえる2枚組です。全体にバラード、スタンダードが多いため、ATLANTIC時代に比べソフトな印象がありますが、特に録音時期が下がるに従って、どんどんソウルフルになっていく様子が分かります。ただし収録順は録音順ではありません。全体に1枚目はジャズっぽい演奏が多いですが、初期のジョン・ハモンドはそうしたサウンドを好んだのかもしれません。クライド・オーティスもそうした面も出していますが、よりアリサのソウルフルな側面を引き出していると思いました。僕はやはりソウルフルな唄を聴くことが出来る2枚目の方がお気に入りです。「スカイラーク」なんてスタンダードの中にもソウルを感じますし、「トラブル・イン・マインド」あたりのブルースの歌い方を聴いていると、ATLANTICに通じる感じがはっきり分かります。「モッキンバード」もいい感じ。ラストの「トライ・ア・リトル・テンダネス」はスタンダードの枠組みの中でしっかりソウルしてます。ATLANTIC時代とはまた違った、アリサの上手さと溌剌とした感じを聴くことの出来る好盤です。
Aretha Franklin ; Oh Me Oh My: Aretha Live In Philly, 1972 ; RHINO HANDMADE RHM2 07757 (2008. 2. 8)1971年3月、あのアリサとカーティスのそれぞれ名盤として知られるライヴ盤の元となった3日間の公演がすべて4枚組になって登場しました。通して聴くと同じ曲が何度も出てくるんですが、これが結構飽きさせないんです。それだけテンションの高い演奏がつまった、素晴らしい3日間で、ここからセレクトされたそれぞれのライヴ盤の出来が素晴らしくなるのは当然だったと改めて感じさせるものです。面白いのは初日の分に、ビリー・プレストンが歌う「マイ・スウィート・ロード」が収録されていることです。初リリースで、ビリーの歌のうまさが良く出ているんですが、なぜか初日だけなんですよね。また各公演のオープニングはゲストのメンフィス・ホーンズをフィーチュアした「ノック・オン・ウッド」のインストなんですけど、スピード感溢れる演奏はキングピンズならではと言ったところでしょうか。この他はそのエッセンスがすでによく知られているんですが、日によって曲目が微妙に異なったり、テンションに差があったりが結構面白いです。特にアリサの歌う「メイク・イット・ウィズ・ユー」はかなり表情に違いを感じました。日を追ってソウルフルになるんです。また「スピリット・イン・ザ・ダーク」のテンションの高さも、最終日はレイ・チャールズも加わり最高潮に達しているのが分かります。聴き比べをしたりするのも面白そうで、いろいろと楽しめそうなアルバム。でも3日通して、キングピンズの演奏力のすざまじさを再認識しました。
Aretha Franklin ; So Damn Happy ; ARISTA 82876-50174-2 (2003.12.18)これまた蔵出し音源です。限定盤。あの名盤「フィルモア・ウェスト」の後の時期、アリサが脂の乗っていた頃のライヴで、メドレー仕立てでどんどんとプログラムを勧めていく様子が見事に捉えられています。バンドのデータとかはないんですが、BSR79号の高地さんによると、バーナード・パーディ、チェック・レイニー、コーネル・デュプリー等とのこと。「ツアラツストラ」から始まり、初期の「アイ・ネヴァー・ラヴド・ア・マン」から「小さな願い」のメドレーとか、「ディ・ドリーミング」から「シンク」のメドレー、「チェイン・オヴ・フールズ」から「シー・ソウ」のメドレーととにかく息もつかせぬ展開で、アッという間です。「明日にかける橋」〜「愛のプレリュード」のポップなメドレーは、ジャーナリスト向けとか言うライヴの性格を表しているのかもしれませんね。でも終盤の「オー・ミー・オー・マイ」以降の盛り上がり、本当に興奮します。
Arlen Roth ; Landscape ; AQUINNAH AQ-5206 (2006. 1.24)2003年リリース。「A Rose Is Still A Rose」以来の新譜です。じっくりと熟成させたバックのサウンドに乗って、アリサならではの完璧にコントロールされたソウルヴォイスが響きます。ミディアムの曲が中心で、1曲1曲丁寧に歌い込んでいて、さすがの貫禄を感じました。前作のタイトル曲のような強烈なインパクトのある曲はないんですが、どっぷりとアリサの世界に浸ることの出来る好盤です。しかしジャケット、随分若作りな写真になってますね。「まだまだいけるわよ」って言ってるみたい。
Arlo Guthrie ; Hobo's Lullaby ; WARNER BROS./RISING SON RSR 1106 (2009.10. 4)2005年リリース。この人はウッドクトック界隈で活動していたヴェテランギタリストのようで、テレキャスター系のギターをグリッティに弾く感じはマール・トラヴィスやチェット・アトキンス、さらにジェイムズ・バートンなどの影響を受けているように思います。ヴァイオリンを交えた演奏はテクニカルで、時折ラップ・スチールも披露。「ビリー・ジョーの歌」「ミスター・サンドマン」「朝日の当たる家」となじみの曲も多いのでそこそこ楽しめましたが、曲によっては歌のない歌謡曲しちゃったり、テクニックに走りすぎたような感じもあり、ちょっと僕の好みとは違いました。
Arnett Cobb & The Mobb ; Chittlin Shout ; P-VINE PCD-22214 (2005. 8.21)1972年リリース。父の初期のレパートリーをタイトルにしたこのアルバムは、アーロの代表作といえます。カントリー・タッチの「エニタイム」から、彼の代表曲と言っていい「ザ・シティ・オヴ・ニューオーリンズ」は、ルーツを大切にしながらも、若い感性を注ぎ込んだアーロの作風がよく出ています。CSN&Yなどのサウンドに通じるものを持ちながら、軸足はぐっとカントリーに近いところにあり、優しげな歌が上手くはまっています。以外だったのは自作曲が思ったより少ないこと。ホイト・アクストン、スティーヴ・グッドマンの他ボブ・ディランの曲も取り上げており、また自作曲からはボブの影響を強く感じます。ラストのタイトル曲のゆったりとした美しさは見事ですね。これまた名盤です。
Aron Burton ; Past, Present & Future ; EARWIG 4927CD (2005.11. 7)1971年のアルバムがリマスターされて再発されました。まあ何といってもタイトル曲でしょう。タイトルからしてプンプン臭ってきそうですが、そのまんまの強烈なファンキーサウンドに、コブのブリブリサックスが乗ってくると腰がじっとしていません。このリフの格好良さッたら!またクラーレンス・ホリモンのギターがめちゃめちゃいい音なんですよ。適度にソリッドでウッディな音質そのものにまずやられます。この他はややハードバップっぽい感じの曲調ですが、でもどこか野趣溢れてるんですよね。フォーマットはジャズで、まあ相当ファンキーなんですが、それだけで説明できないこの雰囲気は、やっぱりこれがニューヨークではなくテキサスで録音されたせいなんじゃないかなって思いました。ジミー・フォードのアルトも主役に負けず劣らずタフです。こんなジャズならいくらでもいただきますよ。最高!
Aron Burton ; Good Blues To You ; DELMARK DE-727 (2005. 2.18)1986,87,93年録音。シカゴの中堅ベーシストのソロアルバムですが、これ、かなりいい感じです。アーロンの余裕のある歌い回しと、非常にリラックスしたセッションが心地良いですね。強烈な個性のある人じゃないですが、的確かつグルーヴィーなベースを弾きながら、ゆったりとブルースを歌い上げていくアーロンの、キャリアに裏打ちされたブルースの魅力がたっぷりつまったアルバムです。1993年のセッションには弟のラリーが、これまたシュアなプレイを聞かせています。オリジナル中心ですが、「レイニー・ナイト・イン・ジョージア」という、ブルック・ベントンがヒットさせた、シカゴのクラブでは定番となったバラードも見事に歌い上げています。バランスの良い聴きやすいアルバムなんで、特にブルース入門にはいいかもしれませんね。
Art Blakey And The Jazz Messengers ; Moanin' ; BLUE NOTE ST-84003 (2004. 1.30)1999年リリース。アーロンはアルバート・コリンズのアイスブレイカーズで活動していたベーシストですが、弟のラリーを率いて自己名義のアルバムを作りました。いきなりロスコ・ゴードンの「ノー・モア・ドギン」ですが、ややのヴェルティなこうした曲を、暖かみのある歌声でやるのが一番あっているみたい。マッド・ドッグ・ダヴェンポートのハーモニカもなかなか味わいがありますが、よりパワーを感じるビリー・ブランチも3曲参加しています。ラリーは切れのいいバッキングもですが、ソロでもかなり頑張っています。ゲストのルリー・ベルよりいいな。「アイル・プレイ・ザ・ブルース・フォー・ユー」や「ネクスト・タイム・ユー・シー・ミー」などのカヴァーは、やっぱりオリジナルのイメージに負けちゃってますが、スローブルースなど結構頑張っていますね。
Arthur Adams ; Soul Of The Blues ; PMRC PM2-60301 (2004. 6. 1)1958年録音。学生時代通っていた飲み屋は、当時流行りのフュージョンの他にこうした超有名なジャズをかけていて、これも耳馴染んでいた1枚です。何といってもテーマ曲のメロディがインパクトありますね。バディ・ガイが取り上げたのも分かるなぁ。ブレイキー御大のドラムロールでガァッて盛り上がるところなんか好きです。ただ、スタジオ盤ということもあってか、演奏は端正でややおとなしくも感じます。「ドラム・サンダー組曲」のタム叩きまくりとか、もっとやって欲しいな。でも「ブルース・マーチ」のリー・モーガンのソロとかは好きです。たまにはこういうの聴くのもいいな。
Arthur Adams ; Stomp The Floor ; DELTA GROOVE DGPCD135 (2009.12.28)リリース年が表記されていませんが、おそらく新譜です。この人、見かけはスキンヘッドでいかついんですが、声はハイピッチで繊細な感じ。それにおそらくギターアンプがジャズコーラスと思われるクリーンなトーンのギターが絡んできます。バックの演奏などかなり丁寧な作りだと思いました。ただ、僕としてはこの人の歌はあんまり得意ではないです。音程がふらつくというか、線が細く感じられるんです。完全に好みの問題ですけど。
Arthur Alexander ; The Greatest ; ACE CDCHD 922 (2006.12. 9)2009年リリース。伸びやかで張りのあるブルース「ドント・レット・ザ・ドア・ヒット・ユー」にまず耳を奪われました。力の抜けたリトル・ミルトンというか、歌とギターのコンビネーションが良く、リトル・ジョニー・テイラーの影響を感じさせる歌い回しも素敵です。ソフトな歌のミディアムもちょっと線が細い感じもありますが、暖かみがあってなかなかいいです。ただギターは全体に繊細で、油断するとフュージョンぽい感じに聞こえてしまって、その手の苦手な僕にはもうひとつガツンとしたものが欲しい気もしました。
Arthur "Bigboy" Crudup ; Complete Recorded Works vol.2 (1946-1949) ; DOCUMENT DOCD 5202 (2000.11.20)1961〜65年のDOTに残された作品集です。アーサーの曲で何といっても有名なのがビートルズがカヴァーした「アンナ」で、そのソフトな曲調は、初期のビートルズ・サウンドに大きな影響を与えたのは間違いがないでしょう。特に「アイ・ハング・マイ・ヘッド・アンド・クライ」等のギターやコーラスの使い方など、もろって感じです。もっともアーサーの声自体はかなりザラッとしたところがあり、ステージではよりワイルドな感じでやってたんじゃないかという想像もできちゃったりします。ストーンズがカヴァーした「ユー・ベター・ムーヴ・オン」もスムースなんですが、歌はどこかざらついているんですよね。ラストはチャールズ・ブラウンの「ブラック・ナイト」を彼なりの解釈で。元々ロカビリーのミュージシャンや南部の白人とセッションを重ねていて、カントリーのフィーリングはたっぷりあるんですが、歌にゴスペルのテイストがほとんどないため、後のサザン・ソウルとは一線を画しているのでしょう。日本では余り人気のある人じゃありませんが、もう少し聴き込んでみたいと思いました。
Arthur Conley ; Sweet Soul Music + Shake Rattle & Roll ; ATCO/COLLECTABLES COL-CD-7632 (2004.11.24)1946〜49年録音。DOCUMENTのコンプリート集です。「ルック・オン・ヤンダー・ウォール」の元歌「ハンド・ミー・ダウン・ウォーキング・ケイン」を聴きたくて購入したんですが、ちょっと予想と感じが違っていました。でもいかしたブルースです。CDは全体に戦前録音より軽快になった感じで、「ザッツ・オール・ライト・ママ」の焼き直しを始め、同タイプの曲がけっこう多いです。ドラムなどはより派手になっていますが、ちょっとワンパターン化している感じもあります。
Arthur Williams ; Harpin' On It ; FEDORA FCD 5013 (2002. 1.26)1967年にリリースされたアルバムの2on1。カーサー・コンレイといえばオーティス。レディングに可愛がられたソウル歌手で、オーティスに比べるとぐっと甘い歌い口ですが、こうしてアルバムで聴いていくと、オーティス自身が尊敬して止まないサム・クックの典型的なフォロアーです。例えば「スウィート・ソウル・ミュージック」はオーティスの中にあるサム・クック的な部分がぐっと前に出ている感じですし、「ア・チェンジ・イズ・ゴナ・カム」なんてまっとうなカヴァーです。面白いのは「シェイク・ラトル&ロールの斬新なソウル風解釈や、ヒューイ・スミスの「ドント・ユー・ジャスト・ノウ・イット」の改作「ハ!ハ!ハ!」の楽しさですか。
Arthur Williams ; Ain't Goin' Down ; FEDORA FCD 5019 (2002. 1.12)1999年リリース。これが「復活」の狼煙を上げた作品になるんだと思います。タイトル曲は元々フランク・フロスト名義で1966年にJEWELから出されたもののリメイクですが、このインスト(ビル・ドゲットの「ホンキー・トンク」のハープ版)のオリジナルでハープを吹いていたのがアーサー、やはりこれが彼の代表曲なんでしょうね。御機嫌にサザン・ビートに乗ってきっちりフレーズを決めながらの再演は、「俺は元気だぞ」といわんばかりです。この他「ミーン・オールド・ワールド」などスタンダード曲を多く取り上げていますが、典型的なグリッとしたボトムリフのギターと、ブーブー・ディヴィスの刻むサザンビートが良くマッチしていました。ブーブーは次作で叩くオリジナル・ジェリーロール・キングスのサム・カーに比べスムースな感じですが悪くないです。
Arthur Williams ; Midnight Blue ; ROOSTER BLUES ROB-CD-2646 (2002. 2. 5)2000年リリース。おととしのパークタワーで渋いヴォーカルとハープを披露したアーサー、サム・カーのドラムを得て、実に御機嫌なノリのアルバムになっています。「ポイゾン・アイヴィ」「シンス・アイ・メット・ユア・ベイビー」といった都会的な曲も、完全にアーサー節、ややバタバタした、でもとってもうねるバックに乗って、いぶし銀のような歌を聴くことができます。オリジナルもサザンビートたっぷり。ドロッとしたギターリフが蟻地獄のように引き込んでくれます。新作が出ているようなので、聴いてみたくなりました。
Artie Blues Boy White ; Different Shades Of Blue ; WALDOXY WCD 2803 (2002. 9.12)2001年リリース。FEDORAからレーベルを移したアーサーの最新作です。レーベルカラーの違いか、全体に音がすっきりした感じで、ややポップな仕上がりになっています。サニーボーイ2世の2曲をアコースティック・ギターをバックにやっている当たりで変化をつけていますが、これはなかなかいいアイディアかな。結構気に入りました。でも前作のサム・カーのような強烈なビートがあったほうがアーサーの持ち味がより生きるような気も。「語り」の「リコンシダー・ベイビー」はユニークでそれなりにいいんですが、ラストの「'67・キャデラック」で聴かれる、まるでFAT POSSUMでのバーンサイドあたりを意識したような、いじくり回した音作りが、果たして必要だったかどうか。
Artie Blues Boy White ; Can't Get Enough ; ACHILLTOWN #ABW0182 (2002. 9.15)1994年リリース。WALDOXYはMALACOのサブレーベルということもあり、バックの音作りはMALACOサウンドですが、アーティはそれにしっかりはまっています。声質はちょっとアルバート・キングを思わせるスモーキーなもので、深みもあります。その魅力的な声でリトル・ミルトンを彷彿させる唄い回しを聴かせますから、これは安心して聴けるわけです。でもその分スリルはないですね。ベテランの演歌歌手がいつものフォーマットで出して、ファンが安心して買うといった感じに思いました。
Ash Grunwald ; Give Signs ; SHOCK DG04 (2007.11. 3)2001年リリース。この間聴いたWALDOXYのものよりバックがちょっとラフになった感じがしますが、それがかえって好結果になったように感じました。適当にホーンが暴れ、ギターはまるでDUKE時代のボビー・ブランドの後で弾くウェイン・ベネットのような音色。チトリン・サーキットで鍛え抜かれた喉はブランドの深みとリトル・ミルトンのテクニックを併せ持つような感じですが、歌に「気」を感じました。どっしりしたブルースはもちろん、アップテンポの曲でも上手いだけじゃない何か強い迫力を感じたんです。聴いているときの気分で印象は変わりますから、先の作品が特に劣るわけでもないように思いますが、こちらの方がぐっと来ました。
Astrud Gilberto ; The Girl From Bossa Nova ; VERVE/UNIVERSAL UCCV-4887 (2005.12.12)2006年リリース。オーストラリアのブルースも結構面白いことになっているようです。このアッシュもそのひとりで、リゾネイタを使いながらも、一方で打ち込みの無機的なリズムと組み合わせたり、ディストーションのかかったギターを絡めたりと、モダンなアプローチを見せています。でもそれより感じるのはヒル・カントリーのブルースの影かな。ガレージ・ロックは全く詳しくないんですが、ジョン・スペンサー当たりの影響を受けているのかもしれません。リゾネイタの腕はなかなかのものですから、ストレートなブルースも聴いてみたいな。
Asylum Street Spankers ; Mercurial ; BUFFALO BUF 119 (2007. 9.20)1963〜69年録音のベスト盤です。「イパネマの娘」の大ヒットによって、当時の夫のジョアンとともにボサノヴァを世界に広める役目をしたアストラッドですが、彼女の活動の場所は以来アメリカになっていました。そのためもあり、曲には「月へ飛ぶ想い」「ディ・バイ・ディ」などアメリカ産のスタンダードナンバーも多く、またスタン・ゲッツの他ケニー・バレルなどジャズミュージシャンも多く参加しています。ボサノヴァがサンバとジャズの融合だなんて言われる所以はこの辺なのかななんて考えてしまいました。アレンジャーにデオダートの名前が見えますが、あの「ツアラツストラ」の人なんでしょうか。まあいずれにしても、彼女ほど「アンニュイ」という言葉がぴったり来る人はいませんね。まどろんじゃいます。
Azumi ; 泥とバター ; BOCE no number (2007. 5. 2)2004年リリース。ジャグバンドの面白さをぎゅっと詰め込んだようなバンドのカヴァー集です。まず「ディガ・ディガ・ドゥ」の古さと新しさの絶妙なミックスが素敵です。昭和初期の歌謡曲に通じる雰囲気を持ちながら、ジャグバンドらしい切れのいいリズムで身体が揺れます。スラッピーなベースはムーニーさんのラッキー・リズムに通じますが、こちらは変に強調しておらず絶妙のバランス。オールドタイミーなアレンジの「シンス・アイ・メット・ユー・ベイビー」のジャズがかった感じもいいし、ちょっとファンキーな演奏にクリスティーナのくねっとしたヴォーカルが乗っかった「モジョ・ワーキン」もユニーク。一方でオルタナ・ロックからヒップホップまで消化する雑食ぶりがたまりませんし、ソロのあちこちに出てくる「引用」が面白いったらないです。ネタバラしはしませんけどね。ラストの「嘘は罪」まで一気でした。
Azumi ; Azumi8 - 7Guitar 3Song ; GUITAR REVERB UDON0002 (2004. 5.16)1993年録音。なんでこんなにすごいブルースアルバムを僕は聴き逃していたんだろうと、思わず考えてしまいました。じょんじょんで聴いて、Saltyヒロシさんもやっていた「失くした光」を聴いて、良いなぁと思いながら、ショップで出会うことなく忘れそうになってました。でもネットでプレミアム付きながらこのCDを見つけたので迷わず購入。それにしてもすごいです。なんというのか、音の隅々、盤の端々にブルースが溢れかえってるんです。思わず膝をたたいてしまう「黄昏ビヤホール」、マディのスライドをトラッドにつないだ、でも切な詞がぐっと来る「もしも オイラが」、そしてラストのライヴ、クリームやジミ・ヘンドリクスを交え、エレキを弾いても只者じゃないだろうアコースティックギターをかき鳴らしながら歌う「ハイハイハイ〜ブルース・シューズ」の熱い熱いメドレー。おそらく僕が今まで聴いた日本語のブルースの中で、これを越えるのは「生聴き59分」だけでしょう。
Azumi ; 10 Play At Games ; UDON 0005 (2008. 5.21)2003年、自宅の和室と風呂場で一発録音したアルバムは、12弦やリゾネータを駆使し、情景感の溢れるインストが満載されています。根っこはブルースなんですが、その枠に収まらないプレイはユニークで、ナチュラルエコーを利用した録音がうまくマッチしています。歌ものはSaltyヒロシの「かもめ」の他、リトル・ウォルターの「マイ・ベイブ」のユニークな日本語ヴァージョン「マ・ベイビ」など、味のあるものが3曲。とにかく絵画的なインストをぼぅ〜っと酔っぱらった頭で聴いていると、どこかに連れていかれそうな感じがします。
Azumi ; Happy Tuesday ; SILVER BIRCH XQBA-1101 (2008. 1.26)2005年録音。いきなりアバンギャルドなイントロから入りますが、ライヴでお馴染みの「アズミのマンボ」を皮切りに、いつものアズミ・ワールドが始まります。時折サックスやウッドベースを絡めながら、ゆったりと歌う「朝はいいよね」や「キミノキモチ」のようなバラードは本当に魅力的。そういう意味では彼はブルースマンというよりフォークシンガーに近いような気がします。ただ妙に実験的な部分が多いような気もするなぁ。
2006年リリース。ブラスの入ったごっついブルース「古いレコード」からスタート。そのギター・サウンドと歌声でアッという間にAZUMIワールド。やっぱりバラードがいいです。「もうずっと前から」「流れ人」「帰郷」など、ちょっとくぐもったギターの音色と、彼の歌声が絶妙にマッチして、心に染み渡ります。またウッド・ベースなども入り、華麗なギターワークも披露。しかし驚いたのは「BLACK AND CRAZY BLUES」、AZUMIさんがサックスを吹いてます!それもフリージャズっぽいアヴァンギャルドな演奏で。ああ驚いた。
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