CD INDEX(B)
 

アーティストの名前順に並んでいます。「TODAY'S CD」で紹介したものは紹介文が付いています(日付)。紹介文のないものは「おすすめCD」か「お気に入りのミュージシャン」の中で紹介されているもので、「Click Here!」をクリックすると該当のページにジャンプします。

BACK ・ NEXT ・ HOME ・ 音楽の部屋


 
B.B. & The Blues Shacks ; Blue Avenue ; CROSSCUT CCD 11079 (2004. 8. 2)

2003年録音。このバンドはドイツのブルースバンドなんですけど、車をあしらったジャケなどから、ファビュラス・サンダーバーズみたいな音を想像しました。確かに彼らからの影響は受けているとは思いましたが、もう少し「正統派」のブルースバンドって風情です。ギターはT-ボーンの影響を強く感じるスマートな感じで、ハープはシカゴ系。これをかみ合わせると、ハープのバックでロックウッドのような華麗でジャジーなギターが鳴り響くサウンドとなり、なかなか雰囲気があります。オリジナル中心の中で、スマイリー・ルイスの「サムディ・ユール・ウォント・ミー」なんてバラードを挟むのが憎いんですが、この曲、サンダーバーズもやってたような。



B.B. King ; Wails ; KENT/P-VINE PCD-3044 (2002. 3.22)

1958〜60年録音で、1960年に出された同名のアルバムに同時期録音のボーナスが追加されています。ボーナスで収録されたカウント・ベイシー・バンド絡みの「エヴリディ・アイ・ハヴ・ザ・ブルース」以外は当時のヒット、有名曲は入っておらず、やや地味な印象ですが、円熟期のB.B.なので内容は極めていいです。全体に適度にざらついた感じがあり、特に「アイ・ゴット・ペィパーズ・オン・ユー・ベィビー」は僕のお気に入りの一曲です。またボーナスにはレコーディングの様子も収録されていて、どんどん完成度を高めていく様子も分かります。



B.B. King ; Blues Is King ; BLUESWAY/MCA MCAD-31368 Click Here!

B.B. King ; Live In Japan ; MCA MCAD 11810 (2000.12. 1)

1971年3月、産経ホールでのライヴ。この時期のB.B.は「スリル・イズ・ゴーン」の大ヒットと、「Live At Cook County Jail」のアルバム・ヒットに押され、非常に乗っていたようです。ちょっとラフだけどサニー・フリーマンのぐいぐい引っ張るドラミングが気持ち良い「エヴリデイ」からスタート。歌もかなりいいんですが、このアルバムで特筆すべきはギターでしょう。即興のインストが多いせいもあり、とにかく弾きまくっています。音もファットでフレーズも多彩。これからブルースギターを覚えようっていう人にはぜひ聴いていただきたい演奏です。ピアノにはロン・リーヴィーが参加。



B.B. King ; Live At The BBC ; ISRAND/UMC 5306314 (2008. 4.17)

1978年から98年の間にBBCのために録音されたライヴ音源からのベスト・チョイスです。代表曲「ザ・スリル・イズ・ゴーン」は2テイク収録。彼のお得意の曲だけでなく、その時代のトレンドになっていた曲も入っており、この20年間の足跡が追えるようにもなっています。それにしても声が衰えませんね。むしろ後の方が張りがあっていいくらい。個人的には大好きな「ナイト・ライフ」が入っていたのが嬉しいです。また、自分と共演したロック・ミュージシャンの名前をどんどん上げていく場面もあるあたりがイギリスでのライヴらしいところ。彼の入門編として結構いいかもしれません。



B.B. King ; Live At The Apollo ; VERVE 0602517655102 (2008. 5.11)

1990年のライヴです。ゴージャスなブラスセクションを従え、好調なB.B.を聴くことのできるアルバムで、U2との共演の後なんでしょうか、オープニングが「ホウェン・ラヴ・カムズ・トゥ・タウン」になってます。全体にバラード色が強く、特に後半の「ナイトライフ」「シンス・アイ・メット・ユー・ベイビー」「ゲス・フー」と続くあたりが落ち着いた感じで気持ち良かったです。またバックのメンバーが凄く、ギターにケニー・バレル、ベースにはレイ・ブラウンの名前も。サックス・ソロの後でB.B.がプラス・ジョンソンを紹介するシーンもあります。スリリングではないけど安心して聴けるライヴです。



B.B. King ; Live At San Quentin ; MCA 088 112 517-2 (2001. 5.20)

1990年、サン・クェンティン刑務所でのライヴ。70〜80年代のB.B.は、クルセイダーズと共演したり、U2と共演したりと、新しい試みをおこなっていましたが、それが必ずしも聴衆に受け入れられた訳ではありませんでした。非黒人のファンは増えた一方、伝統を重んじるファンからのブーイングがあったのも事実です。しかしこのアルバムの頃から、B.B.は突き抜けたように思えます。囚人を前に、オーヴァードライヴ気味のギターを伸び伸びと弾き、熱く唄いかけるB.B.の姿はまさにエンターティナー。古いブルースはもちろん、ファンキーなナンバーも織り交ぜ、次々とステージを進めていく様子が目に浮かびます。ドラムの録音音質などやや不満な部分もありますが、その後の90年代の活躍の口火を切った作品といえます。



B.B. King ; Blues Summit ; MCA MVCM-402 (2000. 2. 5)

1993年録音、日本盤を中古で購入。こういうデュオ物って、なんか異種格闘技(猪木vsアリとか)を思い出すんで、敬遠してたんですが、けっこういけますね。たっぷりと時間をかけてリハしたって感じで、選曲も良く、さすがB.B. は違うなと思いました。


B.B. King ; Deuces Wild ; MCA MCD 11722 (2003. 9.12)

1997年リリース。タイトル通りB.B.がいろんなミュージシャンと共演して作ったアルバムです。ゲストがめちゃめちゃ豪華で、クラプトン、ストーンズなんてビッグネイムもいて、さすがB.B.って感じですが、これらの出来はあんまり印象に残りませんでした。それよりぐっと来たのが、ボニー・レイットとの「ベイビー・アイ・ラヴ・ユー」です。僕にはこれがベストトラック。またドクタージョンは何があっても彼の個性たっぷりですし、トレイシー・チャップマンとの「ザ・スリル・イズ・ゴーン」も瑞々しさがあっていいなぁ。一番微笑ましかったのがラストの「ナイト・ライフ」。だって原作者のウィリー・ネルソンとの共演で、B.B.の嬉しそうな顔が目に浮かびました。



B.B. King & Eric Clapton ; Riding With The King ; REPRISE/WEA WPCR-10800 (2000. 6.20)

B.B.の名前が前に出ていますが、これはクラプトンの新譜と考えるのが妥当でしょう。2000年録音。いやぁ、美しき師弟愛ですなぁ。ジョン・ハイアット作のスワンピーなタイトル曲から始まる本作、B.B.はリラックスした、時にはくつろぎすぎた演奏をします。クラプトンはまじめにやってるようです。「From The Cradle」よりは自然かな。悪くはないですが、両者にとって代表作とはいえません。でもラストの2曲は面白かったです。特に「ホールド・オン」のアレンジ、こういうの好きです。そしてアコースティックな「降っても晴れても」での終幕はほっとします。「終わりよければすべてよし」。


B.B. King ; Makin' Love Is Good For You ; MCA/VICTOR MVCE 24221 (2000. 6.21)

2000年リリースのB.B.の新譜。74才になったというのに、精力的に活動しています。クラプトンとのジョイントより、遙かに気合いが入っていると思いました。ギターは隅々までよく練られたソロを展開し、聴き所がたくさんあります。ヴォーカルは高音がかなりきつくなっていますが、年齢を考えれば十分艶やかと言えます。「アイ・ノウ」といったニューオーリンズ・ポップ・チューンもありますが、全体的にはストレートなブルース・アルバムとなっています。好盤です。僕はクラプトンとのものや、ルイ・ジョーダンの曲をやったものより好きです。


B.B. King ; A Christmas Celebration Of Hope ; MCA 112 756-2(2002.12.25)

2001年リリースのB.B.のクリスマス・アルバムです。昨年暮れに購入したんですが、やっぱりシーズンにならないと聴けなくて、ようやく聴きました。ブルース系のクリスマスと新年にまつわる曲をいろいろとやっていますが、どの曲も安定したバックに支えられて、とっても丁寧な歌とギターを聴かせています。すごく気持ちのこもったアルバムで、聴いていて幸せになれました。ラストの「蛍の光」は、ブルースを流す飲み屋とかCD店の「閉店案内」に使うとおしゃれかも。



B.B. King ; Reflections ; MCA B0000532-02 (2003. 6.19)

2003年リリース。B.B.の新譜は、前回のクリスマスアルバムに引き続き、企画もので、B.B.の好きな小唄やスタンダードをじっくり歌い込もうというもの。何の歌を歌っても、直ちにB.B.だって分かるような個性的な歌と、控えめだけどこれも特徴的なギターがたっぷりで、やはりこの人のなみなみならぬ才能を感じます。さすがに若い頃ほどヴォーカルの艶はなく、声の出も落ちて来ていますが、何より曲に対する思いが素直に伝わってきました。でも知らない曲が多いな。



B.B. King & Friends ; 80 ; GEFFEN 0602498853566 (2005. 9.17)

2005年リリース。B.B.80才の誕生日を祝うようなアルバムで、クラプトンを初めとした多くのゲストがデュエットしています。まず面白いのがZZトップのビリー・ギボンズ。例の渋い声は健在なんですが、ギターなどなんだか借りてきたネコみたいで、しっかりB.B.を引き立てる役に徹してます。もう少し弾いてもいいんですが。この他ゲストは全体にB.B.を前に出そうという演奏が多いですね。しかしグロリア・エステファンからダリル・ホール、グレン・フレイにロジャー・ダルトリーと引っ張り出すのが凄いなぁ。B.B.の人徳のなせる技というか、レーベルの方針というか。ラストのエルトン・ジョンが入った「ロック・ディス・ハウス」はかなり気持ち良く聴きましたけど。トータルに聴いてB.B.が元気なのがいいですね。特に歌声は枯れきったボビー・ブランドと比べるとその張りははっきりしています。こうした企画ものでない自身のソロを出して欲しいなぁ。



B.B. King ; One Kind Favor ; GEFFEN B0011791-02 (2008. 9. 8)

2008年の新譜です。いきなり「シー・ザット・マイ・グレイヴ・イズ・ケプト・クリーン」が出てきますから、いよいよなのかという気もしちゃうわけですが、ギターも歌もさすがに往年の切れや迫力はないとは言え、ぐっと気の入ったときの音艶や、ヴォーカルの迫り具合はさすがです。「ブルース・ビフォア・サンライズ」「シッティン・オン・ザ・トップ・オヴ・ザ・ワールド」のような名曲を、B.B.ならではのスタイルでやっているのが嬉しいですね。ラストの「トゥモロー・ナイト」を聴きながら、B.B.にはずっと明日があって欲しいと願っています。




B.B. Major ; I'm Not Ashamed (To The Blues) ; STARLIGHT DISC no number (2004.11.13)

2003年リリース。少しスモーキーな渋めの声に、リトル・ミルトンを思い出させるコロンとした感じのギターが絡むオーソドックスなブルースが中心のアルバムです。メイジャーについては殆ど予備知識がないんですが、どうやらニューオーリンズ界隈で活動するブルースマンで、何かのコンピで名前を見たことがあります。多分クラブで鍛えたのでしょう。派手さはないけどしっかりしたブルースをやってます。でもインパクトにはちょっと欠けます。



B.B.Queens ; Complete Of B.B.Queens At The BEING Studio ; B-GRAM JBCJ-5005 (2003.12.25)

1990〜91年録音。アニメ「ちびまる子ちゃん」の後テーマ「踊るポンポコリン」の大ブレイク(僕は即シングル買いました)、そこに何と近藤房之助がいたっていう二重の衝撃があったんですが、家の模様替えの際に「ポンポコリン」のシングルが消滅(子供も聴いてたしね)というショックから立ち直ろうとアルバムで買い直しました。でもいい曲いっぱい入ってるんですよ。特にクリスマス頃に良くやる「初めてのおつかい」の挿入歌「ドレミファだいじょーぶ」と房さんの熱唱が素敵な「しょげないでよBaby」、名曲です。そんな中「I Remember You」なんて玄人好みのダンスナンバーがさらっと入ってたりして、やっぱり只者じゃなかったな。ラストのボーナスが脳天気な「ジングルベル」ってことでメリー・クリスマス!でもこの房さんのソロ、Jガイルズの「トラック・ドライヴィング・マン」のパクリのような気が...



B.Bumble And The Stingers ; Nut Rocker ; ACE CDCHD 577 (2007. 4.16)

1961〜63年録音。ちょっとホンキートンクというかチェンバロ風にきらびやかなチューニングがされたピアノから、ロケンロールにアレンジされたクラシックの名曲が飛び出すってのが彼らの魅力です。チャイコフスキーのタイトル曲はエマーソン・レイク&パーマーがライヴ盤「展覧会の絵」でカヴァー、そのせいか1972年にリヴァイヴァルヒットしてます。このほか「熊蜂の飛行」は「バンブル・ブギ」、「ウィリアム・テル序曲」は「アップル・ノッカー」、ベートーヴェンの「第5」は「マッシュド#5」てな具合で、クラシックをポップかつヒップにアレンジして演奏するスタイルは、イギリスで受けるのもよく分かります。オルガンを弾いたものもあり、また歌ものもありますけど、やっぱり調子っぱずれのピアノものが一番!「キャラヴァン」「オール・オヴ・ミー」「イン・ザ・ムード」とジャズも料理しちゃってます。面白音楽ですね。



Babe Stovall ; 1958-1964 ; 504 CD 42 (2009.12.11)

このニューオーリンズのブルースマンを知ったのはスウェーデンの「I Blueskvarter Vol.3」というアルバムで、こんな人がいたんだと思ったのを覚えています。こうして単独盤を聴くと、「ビッグ・ロード・ブルース」「C.C.ライダー」「トラブル・イン・マインド」「ケアレス・ラヴ」「コリーナ・コリーナ」など、古いブルース、それも8小節ものを多く取り上げています。そんな中嬉しかったのが「アイム・ゴウイン・トゥ・ニューオーリンズ」で、別名「キャンディ・マン」。先に紹介した「I Blueskvarter」にも入っていましたが、こちらのテイクの方がくっきりしていて気に入りました。フィドルが入ったりマンドリンが入ったりとにぎやかな曲もありますが、とにかく朴訥とした味わいが魅力の人です。




Babe Stovall ; The Old Ace ; ARCOLA A CD 1005 (2004. 1.27)

1968年ニューオーリンズ録音。ベイブ・ストーヴァルはナショナルのスティール・ボディのリゾネイタをつま弾くギタリストですが、スライドは使わず、ちょっと突っかかるようなピッキングをします。1909年生まれですから戦前からの録音があっても不思議がないのですが、戦後1960年代初期のフォークブルースブームの時代に、アメリカ各地を廻っていたようです。ヴォーカルはラフですが、演奏自体は割合端正なもので、トミー・ジョンソンからの影響を強く感じます。また「ウィル・ザ・サークル・ビ・アンブロークン」のようなスピリチュアルもレパートリーに入れています。写真を見るとギターを肩に担いで演奏したりと結構ヒップな面もあったようです。



Baby Boy Warren ; Stop Breakin' Down ; OFFICIAL OFCD 5901 (2001. 5.18)

50年代〜73年録音の、デトロイトのブルースマン、ベィビー・ボーイのコンプリート。何しろ「ブルース・CD・ガイドブック」に単独盤が出ておらず、「ブルース・レコーズ」ですらリストアップしきれていないものを、録音順(だと思います)にこれだけ並べたのは立派です。ボトム・リフ中心のシンプルなビートに乗って、朴訥さすら醸し出しながら唄うのは、地味ですがなかなか味があります。SWING TIME(西海岸!)からEXELLO(ナッシュヴィル)までレーベルを渡り歩いたのも分かる気がします。EXELLO(コンピに収録されていた曲もあります)ではバックにサニーボーイ・ウィリアムソン(IIの方ね)が入っていて、この一聴して分かる色気の多いハープがまたたまりません。



Baby-Face Willette ; Behind The 8 Ball ; ARGO/MCA/UNIVERSAL VICTOR MVCI-19028
(2003. 5.28)

1964年、シカゴ録音。タイトル通りのジャケットもクールですが、演奏も「クール」です。それも十分に熱い。ベイビーフェイスはソウル・ジャズのオルガン弾きの中では、かなりフレーズが細かいんですが、力業ごり押しではないのに、理屈っぽくなく、なんだか引き込まれるんです。オルガンの音質も細めなのに、どこか熱さを感じるし。「ロール・エム・ピート」「セント・ジェイムズ病院」などブルースよりのスタンダードといってもいい曲が、いわれてみないとそれと分からない位になっているんですが、ソウルを感じるんですね。この感覚は唯一無二です。4枚しかリーダー作がないというのが残念!



"Baby Face" Willette ; Face To Face ; BLUE NOTE/TOSHIBA EMI TOCJ-4068 (2003. 4.23)

1961年録音のベイビー・フェイス・ウィレットのデヴュー盤です。ウィレットは元々ピアニストだということで、ここでのプレイもそのせいかオルガンにしてはかなりスタッカートの効いたようなタッチです。もっと粘っこいソウルフルな演奏を期待していましたが、ぐっとジャズよりに感じました。でもウィレットはジョニー・オーティスとの活動歴もあり、選曲はオリジナルのブルース系の曲が主で、根っこはやっぱりかなりR&Bの香りが強いかな。ギターのグラント・グリーンも溌剌としていますが、目立つのはフレッド・ジャクソンのテナーで、活きのいい演奏を聴かせてくれます。1回目より2回目の方が染みてくる作品で、その辺にこのアルバムの評価の高さの秘密があるのかもしれません。



"Baby Face" Willette ; Mo' Roc ; ARGO/MCA/UNIVERSAL VICTOR MVCJ-19116 (2003. 5. 3)

1964年リリース。以前から聴いてみたかった1枚ですが、これはすごいです。BLUE NOTEのベイビーフェイスが「よそ行き」ならば、これは普段着でへべれけになった状態の、漆黒のファンクネスを感じます。オルガンのフレーズはもう自由自在ですが、音の並びの華麗さというより、気の赴くまま弾きまくっている感じ。ベン・ホワイトのギターもジャズの範疇に入るとはいえ思いっ切りブルージーです。ドラムのユージン・バースはごつごつととがったドラミングで、これが妙にマッチしてます。「ミスティ」は聴いてて原曲を思い出せなかったくらい、演奏に引き込まれましたし、「アンシーン・アンノウン」の怪しい雄叫びに至っては、ゾクゾクするくらいです。大満足でした。



Badfinger ; The Best Of Badfinger ; APPLE/EMI 7243 8 30129 2 3 (2005. 3.23)

1969〜73年録音。日本では「デイ・アフター・デイ」のヒットで知られ、ビートルズの秘蔵っ子と呼ばれたバンドのベストです。いきなりいかにもポール・マッカートニーが関わったなというサウンドが飛び出してきたり、ギターがジョージ・ハリソンの影響をたっぷり受けているのが分かったりしますが、ヴォーカルの声質と時代のせいか、ビートルズよりはワイルドなイメージがあります。その分名曲「ウィザウト・ユー」はニールソンの瑞々しさがこの曲に命を吹き込んだのがよく分かっちゃったりします。こんなバンドもあったなっていう感じですか。



Bharath & His Rhythm Four ; Friday Night Fatty ; B.RAJAKUMAR no number (2009. 3.14)

2007年リリース。この人はカナダのハーピストのようです。ギターにジュニア・ワトソンが参加していて、こってりとしたシカゴ・ブルース・サウンドを再現しています。アンプリファイドされたハープはかなり達者で、リトル・ウォルターの影がくっきり。一方マディばりのスライドをバックにした「ルイジアナ・ブルース」では生ハープを巧みに吹いていますし、「ボーン・ブラインド」などではまるでサニーボーイ・ウィリアムソンがよみがえったような演奏を聴かせます。ヴォーカルはちょっとダミ声ですが、割合味わいがあります。シカゴ・ブルース好きが昔の良き演奏を今に蘇らせようとした感じのアルバムで、そういう企画と考えれば好感がもてますね。




The Band ; Moondog Matinee ; CAPITOL/TOSHIBA-EMI TOCP-50843(2000. 8.21)

1973年リリース。中古で購入。何曲かは聴いたことがあるんですが、通して聴いたのは初めてです。ニューオーリンズ系が多い(そういえば「Rock Of Ages」のプロデューサーってアラン・トゥーサンでしたよね)というのが第一印象。黒人音楽に対するあこがれを感じるんですが、その演奏は見事に白い(悪く言っているんではなくて、まねごとにしないで自分達の音楽に消化してるって意味です)のが魅力です。「プロミスト・ランド」はグレイトフル・デッドと聴き比べるのも面白いかな。「ア・チェンジ・イズ・ゴナ・カム」のひなびた優しさは、「アイ・シャル・ビ・リリースト」に通じると思いました。


"Banjo" Ikey Robinson ; 1929-1937 ; RST JPCD-1508-2 (2005. 9. 7)

芸名にはバンジョーとありますが、ギターも弾き、時にはクラリネットを吹くアイキー・ロビンソンです。こうして作品を聴いてみると、バンジョーの印象はむしろ薄く、ちょっとロニー・ジョンソンをシンプルにしたような単弦ソロのギターが耳に残ります。でもディキシーランド・ジャズに通じる軽快なアンサンブルの中、巧みなスキャットを絡めた、伸びやかな歌が魅力的です。ジャグバンドに通じるドタバタさと、ビッグバンドジャズに通じる洗練の両方が共同生活してるみたい。例えば「ロック・パイル・ブルース」は「チェリー・レッド・ブルース」のプロトタイプだと思うんですが如何でしょう。



Barbara Dane & Lightning Hopkins ; Sometimes I Believe She Loves Me ; ARHOOLIE CD 451 (2009. 7.13)

1964年の録音に1曲61年のものが加わっています。もともとこのうちの5曲はアルバムで既発でしたが、他は未発表のもの。バーバラ・デインは60年前後に活動した非黒人フォーク歌手のようで、おそらく当時のブームの中、ライトニンと同じステージに立った関係で共演したんでしょう。バーバラの歌うブルースはなかなか腰が据わってはいますが、ライトニンのような味わいはありません。タイトル曲などはふたりで歌って弾いていますが、後はそれぞれの歌のバックに回る感じ。ライトニンは多分エレキを使っていて、バーバラのギターはいわゆるアコギかき鳴らし系ですね。後半はライトニンは登場せず、バーバラがピアノを従えて録音したもの。典型的なフォーク・ブルースです。可もなし不可もなしといった感じでしょうか。ラストのゴスペル「ジーザス・ウォント・ユー・カム・バイ・ヒア」ではライトニンはピアノを弾いてます。でもこの曲調、コージー大内の「大鶴村のサイレン」の元歌では?




Barbara Lynn ; The JAMIE Singles Collection 1962-1965 ; JAMIE 3906 (2008.11.16)

バーバラ最大のヒット「ユール・ルーズ・ア・グッド・シング」を含む彼女の全盛時代のコンピです。ソウルを感じさせるハチロク系のバラードが中心で、この手の曲で良い味を出すのがよく分かります。中にはプレスリーで有名なオーティス・ブラックウェルの「ドント・ビー・クルー」のミディアムがあって、そこのイントロで聴かれるギターは彼女が弾いてるんだろうななんて思いながら聴くと興味深いです。バレット・ストロングの「マネー」なんて曲も取り上げてますね。2枚目の頭の「オー・ベイビー」はアップナンバーでなかなかイカしてます。だんだんリズムナンバーが増えてきて、結構いい感じの曲も多いんですが、ヒットに恵まれなくなるのは、やっぱりAMOTOWNなどの「全国区」に押されちゃったからかしら。




Jean Knight / Barbara Lynn ; Bluesoul Belles Vol.2 - The TRIBE & JETSTREAM Recordings 1964-1976 ; WESTSIDE WESA 826 (2004.12. 5)

テキサスをベースに活動していたふたりの女性シンガーのコンピです。ジーン・ナイトはヒューイ・P.モーに可愛がられていたようで、結構芯のある声でバラードを中心に歌います。特にアーニー・K.ドゥの「テイント・イット・ザ・トゥルース」は張りのある声で印象的。でも僕はバーバラ・リンの方がより魅力を感じました。やや低めの声で歌う彼女の代表的ナンバーの数々は、時として本人と思われる、なかなか味のあるギターも絡んで、いかにもテキサスらしいローカル風味が魅力的です。「アイム・ア・グッド・ウーマン」何ていいなぁ。また時代を反映してMOTOWNサウンドを意識したりするのも面白いですが、1976年らしいファンキーな「ムーヴィン・オン・グルーヴ」も、ディスコに流され切らない味がたまりません。最近出たソロ作と聴き比べたくなりました。



Barbar Lynn ; Here Is Barbara Lynn ; WATER 1968 (2009.12.10)

1968年にATLANTICから出されたバーバラのアルバムのストレート・リイシューです。自身の大ヒット「ユール・ルーズ・ア・グッド・シング」のリメイクから始まり、「アイル・サファー」や「ディス・イズ・ザ・サンクス・アイ・ゲット」といったヒット曲が収録されています。プロデュースはヒューイ・P.モーで、録音したものをATLANTICに売り込んだんでしょうか。この時代のバーバラはバラード歌手として位置づけられていたようで、ゆったりとしたナンバーが多いです。また、明らかにMOTOWNのサウンドの影響を受けています。JAMIE時代に比べると洗練されていますが、ちょっとおとなしすぎるような感じも受けました。




Barbara Lynn ; The CRAZY CAJUN Recordings ; EDSEL EDCD 586 (2004.12.23)

1970年代初頭の録音のようです。CLAZY CAJUNらしいちょっとチープな、でも独特の緩さのあるサウンドは、バーバラにはよくマッチしています。バラードは丁寧に歌い込み、アップナンバーは気持ち良く跳ねる彼女の魅力がよく出ています。「アイム・ア・グッド・ウーマン」などシンプルもいいところの演奏なんですけど、バーバラの歌が真っすぐでいいなぁ。元気の出る「ナイス&イージー」、サム・クックを思わせる「ユー・レフト・ザ・ウォーター・ラニング」などかなり気に入りました。「ダディ・ホット・スタッフ」のシンプルなリフレイン、癖になりそう。でも一番気に入ったというか、一番耳に残ったのは「プア・オールド・トラッシュマン」。何とも言えないコード進行とメロディが、耳につくんですよね。じっくり聴き込みたい人です。



Barbara Lynn ; Until Then I'll Suffer ; I.T.P. 4796-2 (2005. 6.11)

1996年リリース。かなりきっちりアレンジされたバックに乗って、落ち着いた声でバーバラが歌います。サザンフィーリング溢れる「アイド・ラザー・ゴー・ブラインド」、ライヴテイクの「ユール・ルーズ・ア・グッド・シング」などバーバラの円熟した歌をしっかり捉えた好盤です。ジャケットにはあるんですが、バーバラのギターがどうも聞こえてこないのがちょっと残念ですが。でもアル・グリーンの「レッツ・ステイ・トゥゲザー」、アレンジなどオリジナル通りなんですが、見事にはまっちゃうのが彼女の持ち味なのかな。でもこうして聴くと、このアルバムはままのバーバラなのに対し、そのポテンシャルを最大限に引き出しているDIALTONEのプロデュース方針がいかに的を得ているかも感じられます。



Barbara Lynn ; Movin' On A Groove - Blues & Soul Situation ; DIALTONE/P-VINE PCD-25018 (2004. 1.25)

2003年リリース。テキサスのソウル・クウィーン、バーバラの新譜ですが、これがめちゃめちゃいいんです。気に入りました。タイトル曲など自身の古い持ち歌をリニューアルしたものと新作とがミックスされていますが、ダイアルトーンならではのテキサスのローカルな、何とも気持ちのいいグルーヴ感に乗って、バーバラが伸び伸びと歌います。「ユー・ドント・スリープ・アット・ナイト」ではマット・ファレルがニューオーリンズフレイヴァをちりばめた見事なピアノでサポートしてより気持ちのいいサウンドになっていますし、テキサスらしいカズ・カザノフのサックスがまたバーバラに合うんです。彼女は力みなく歌っていくんですが、決して軽くならず、柔らかいけど十分に熟した味わいがあります。ギターも披露していますが、こちらも味があっていいな。MOTOWNクラシックの「マネー」も、さらりと歌ってるんですが残るんですよ。またルイジアナ風スワンプ・ブルース・ナンバーではウィリー・サンプソンのドラムとハッシュ・ブラウンのハープが絶妙のサポートで、特に「シュガー・コーテド・ラヴ」、ガツンとした聴き応えでたまりません。もうすでにベスト入り確定です。



Barrelhouse Chuck ; Salute To Sunnyland Slim ; BLUE LOON 035 (2007. 5.18)

2002年リリース。一部は2000年にリリースされた「25 Years Chicago Blues Piano」からの再収録だと思います。S.P.レイリー、ウィリー・スミス、カルヴィン・ジョーンズといったシカゴブルースのベテランや、切れのいいギターを弾くハッシュ・ブラウンとのセッションは、オリジナルの勢いたっぷりのブギウギ・インストを中心に、サニーランド・スリム、メンフィス・スリムといった先輩に対する敬意をたっぷりと感じるアルバムです。ピアノだけでなくオルガンも弾きますが、「デプレッション・ブルース」あたりはかなりロックっぽいかな。この他シカゴブルースの渋めの選曲が目立ち、ハーモニカやギターを全面に立てて脇役に徹したりするあたり、この人のスタンスがよく分かります。ビリー・フリンがギターを弾く「ワー・ワー・ブルース」、ワウをかませたアール・フッカーの「ブルース・イン・Dナチュラル」なんですが、何ともチープな雰囲気が実にいいのよね。惜しむらくは、いろんな録音の寄せ集めのようで、ちょっと統一感に欠けることかな。



Barrelhouse Chuck ; Prescription For The Blues ; THE SIRENS SR-5004 (2003. 7.24)

2001〜2年録音。この人はシカゴで活動するピアニストで、風貌からするに白人ですが、とっても端正な、でもしっかりシカゴの伝統に根差したピアノを弾きます。一部アーウィン・ヘルファーとのデュオなどがある他はほぼ弾き語りなんですが、ピアノの音がまろやかで、そこにちょっと地味だけど無理のないリラックスした本人の歌が乗ってくると、何だかゆったりした気分になります。でもサウスサイドのクラブって言うより、ダウンタウンのホテルのカクテルバーかなんかで流れる感じかな?猥雑さがない分、聴きやすいんですが物足りなくもあります。初めてピアノブルースを聴く人には入りやすいかも。曲も「シッティング・オン・トップ・オヴ・ザ・ワールド」「ティン・パン・アリー」からサニーランド・スリムの「ジョンソン・マシンガン」までバランスがいいし。「エイント・ノーバディズ・ビジネス」ではFarfisaというオルガンを弾いていて、これにアーウィンのピアノが絡み、面白い響きとなっています。



Batiste Brothers Band ; New Orleans Music ; ARTANG BBB101 (2009. 3. 3)

2009年リリース。ラッセル・バティステ親子を軸に、兄弟が一堂に会して作ったアルバムです。ニューオーリンズのファンクとポップ、それにジャズの香りが随所にちりばめられていますが、家族ならではの暖かさや柔らかさを感じ、なかなか好感が持てました。でもネヴィルズのような家族ならではのグルーヴがガツンと全面に出る感じではありませんね。やはりミュージシャンとしてのスタンスの差が音に現れているんでしょう。




Bayou Roux ; Pass The Rice ; ROUXSIC MUSIC BR04952(2003. 1. 2)

1999年リリース。アメリカから直輸入しました。いきなり活きのいいアコーディオンが響き渡るロッキンナンバーで気持ちがいいです。フィドルも入っていて如何にもケイジャンなんですが、それにしてはギターやリズムがロックしてるんですね。ギターはかなりカントリーフレイヴァーの強いトゥワンギーなサウンドでいけます。ケイジャン・ロックとでもいえそうなサウンドです。「テイク・ミー・トゥ・ラ・ルイジアナ」など郷愁を誘うワルツ、「エスメルダ」のようなかっちりコーラスを決めたロックナンバーなどバリエーションも十分。「ザディコ・トレイン」などはどこかラテン風味も漂い御機嫌です。とにかく全編ルイジアナしていてウキウキしてくるアルバムです。



Bayou Roux ; Bayou Groove ; ROUXSIC MUSIC BR04022 (2003. 1. 6)

2002年リリースの最新作です。このバンドは5人組のようですが、ホーンやシンセをゲストに加え、ロッキン・ケイジャンとかスワンプ・ポップとかいう枠組みに収まらない演奏を展開しています。1曲目は完全なロッキン・ケイジャンですが、「テイク・ミー・トゥ・ザ・マルディ・グラ」ではセカンドラインしてますし、バラードの「リヴァー・オヴ・ティアーズ」はかなりポップ。と思ったらタイトル曲はヘヴィーなファンクロック風だし、フォーク調の「ユー・アー・ザ・ワン」は素敵なバラードで気に入りました。とにかくルイジアナ音楽の面白さをガンボにして美味しいところだけをどんどん引っ張り出した感じで1枚聴いていて全く飽きません。軽めでロックっぽいですが、その分なじみやすいのでは。これを紹介してくださったMorishimaさんに感謝!



The Beatles ; Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band ; TOSHIBA EMI CP32-5328 (2006.10.12)

1967年リリース。幾多の評論家が「ロック界初のコンセプトアルバム」として「ビートルズ最高の作品」果ては「20世紀最高のアルバム」と最高級の賛辞を贈るアルバムですが、ひねくれ者の僕は今回初めて通して聴きました。もちろんタイトル曲からリンゴの「ウィズ・ア・リトル・ヘルプ...」に行くあたりはすごく好きですし、ドラッグを想像させる曲やジャケットを見ると確かに大人のアルバムとは思います。でも楽曲があまり粒立っていないことや、実験的すぎて聴きづらい部分があると思いました。ビートルズの良さはそのポップな曲作りにあると思っていますので、僕にとっての彼らのベストはやっぱり「ラバーソウル」かなぁ。



The Beatles ; Abbey Road ; APPLE/EMI CDP7 46446 2 (2001. 3.27)

1969年録音。ビートルズの実質的なラストアルバムです。でも久々に通して聴いたなぁ。LP時代のA面のメンバーの顔見せ的な、しかも代表作といえる曲(ジョンの「カム・トゥゲザー」、ジョージの「サムシング」といった名曲、リンゴの人の良さが出た「蛸の庭」と並ぶポールの「オー・ダーリン」、昔は好きな歌だったんですが、今回聴いてなんかぴんと来ませんでした。自分なりの理由は分かっていますが。それに対しB面のメドレーにおけるポールの構成力には感服します。あと、ジョージのギター・サウンドがいかにビートルズのカラーに影響を与えていたか、再確認できました。



Beau Jocque & The Zydeco Hi-Rollers ; Beau Jocque Boogie ; ROUNDER CD 2120 (2006.10.20)

1993年リリース。ボー・ジョックの代表作と言っていいアルバムだと思います。これぞスクウィーズ・ボックスとでもいうような、切れ味抜群のボタンアコをドライヴさせながら、ちょっとしゃがれたタフな声でぐいぐい煽り立てるパワフルなサウンドは、真にワン&オンリー。「ベイビー・プリーズ・ドント・ゴー」や「ブラウン・スキン・ウーマン」のようなブルースをやっていたりしますが、タイトル曲や彼の代表作とも言える「ギヴ・ヒム・コーンブレッド」、腰が揺れっぱなしになります。



Beau Jocque & The Zydeco Hi-Rollers ; Git It, Beau Jocque! ; ROUNDER CD 2134 (2002. 3. 7)

1994年秋のライヴ録音です。中古で購入。ボーはボタン式のアコーディオンを使ったザディコ/ケイジャン・プレイヤーで、惜しくも1999年に亡くなっています(歳は僕のたったひとつ上)。結構ドライヴするバンドをバックに、叫んだり、ときに吠えたりしながらがんがんドライヴする演奏は、単調さもありますが、はまると気持ちいいです。ライヴということもあるんでしょうが、ワンコードでぐいぐい押す曲が多く、ダンス音楽として演奏されたんだろうな。ベースは結構モダンなフレーズも弾いてます。



Beau Jocque & The Zydeco Hi-Rollers ; Gonna Take You Downtown ; ROUNDER CD 2150 (2004. 8.25)

1996年リリース。いやいやファンキーです。冒頭からタイトなトゥーステップで決めてくれるんですが、2曲目の「シスコ・キッド」のはまり具合が凄いです。伝統にのっとったスタイルでありながら、リズムが締っていてドライヴ感抜群!オルガンが入っていることによりモダンなサウンドになっていますし、チャック・ブッシュの変態的に動くベースが見事にマッチしてます。レゲエの要素も巧みに取り入れていますし、「天国への扉」も妙にはまるんですよね。いわゆる「新世代ザディコ」はこうして産み出されていたわけですね。今彼が生きてたらどんなサウンドを作ってたんでしょうか?



Beck! ; Odelay ; GEFFEN GED 24908 (2000. 8.20)

1994〜95年録音。中古で購入。90年代を代表するCDとして朝日新聞に写真入りで紹介されていたので聴いてみました。パンク、ニューウェイヴ、ノイズ系のロックとヒップホップに、ブルースやカントリーのフレイヴァーまで取り入れたような音楽で、僕にはつかみどころのないものに感じました。センスの良さは感じるんですが、歌詞が分からないせいもあって、あまりインパクトを感じません。はじめの2曲はそれなりに面白いと思いましたが。僕の世界ではないなぁ。


Beck, Bogert & Appice ; Beck, Bogert & Appice Live ; SONY MUSIC DIRECT MHCP 586〜7 (2005. 2. 2)

1973年大阪厚生年金ホールでのライヴ盤です。これは高校時代本当によく聴いたアルバムで、今回音質向上したとのことで買ってきました。スーパートリオということで、当時はすごいなぁという気持ちだけで聴いていたような気がしますが、こうしてあらためて聴き直すと、かなり印象が異なります。まず、ティムとカーマインの歌ですが、あれから耳が肥えてみると、やっぱり物足りなさを感じます。あの頃はうまいなと思っていたんですが。むしろ「ブラック・キャット・ボーン」のジェフの歌に味わいを感じてしまいました。それからジェフのギター、テクニックは申し分ないんですが、こうして聴き直すと音にいまひとつ艶がないなと思いました。トーキング・モジュレータを使った曲はともかく、他はかなり短調だし。演奏そのものは「モーニング・デュー」や「レイディ」など格好いいんですが、当時はスタジオ盤よりライヴの方が好きだったんですが、今はむしろスタジオ盤の方がいいかなって思ったりします。年月って面白いですね。



The Original Bells Of Joy ; The Original Bells Of Joy With Friends ; DIALTONE/P-VINE PCD-25030 (2005. 8.22)

2005年リリースの新譜です。DIALTONEの出すアルバムには外れがないって言うのが僕の印象で、とにかく聴いてみることにしているんですが、このどこかほっとさせられるサウンドはいいですね。コーラスの厚みとかバックのサウンドのややこもったような音が、どこか映画やテレヴィで見た教会の中での演奏シーンを思い出させます。リードが入れ替わりながらコール&レスポンスで盛り上がっていくこの感じ、やっぱり気持ちが高揚します。ゲストでボビー・ラッシュがハーモニカを吹いていますが、あんまり印象に残りませんでした。むしろウィリー・ネルソンの優しい声がこの人達と絡むと結構馴染むってのが驚きでしたね。余談ですが、DIALTONEの1枚目も再発されるとか。それだけ持ってなかったんで嬉しいです。



Ben Harper ; Welcome To The Cruel World ; VIRGIN/TOSHIBA EMI VJCP-3370 (2006. 2. 3)

1994年リリースのデビュー作です。ワイゼンボーンを駆使したスライドプレイは、よく「黒いライ・クーダー」なんて呼ばれますが、確かにラテンフレイヴァーを感じさせる曲などはそのイメージはあります。でもより強く感じるのはタジ・マハルあたりからの影響かな。「ママズ・ゴット・ア・ガールフレンド・ナウ」などはラテンからケイジャンにつながるサウンドにも聞こえます。歌はちょっとアーロン・ネヴィルに似たハイトーンの声が魅力ですが、まだまだスタイルが固まっているとは言い難いかな。最近の活動の方がやっぱり豊かになってると感じました。



Ben Harper ; Diamonds On The Inside ; VIRGIN 7243 5 80640 2 5 (2006. 5.16)

2003年リリース。この人、デビュー当時に比べ、格段に歌が上手くなっていますね。冒頭の「ウィズ・マイ・オウン・トゥー・ハンズ」、レゲエなんですけど歌の存在感が凄くあります。続くお得意のスライドナンバー「ホウェン・イッツ・グッド」でも、ちょっとファルセットにいった歌い方が嫌らしくなく、表現の幅を広げているように思いました。その他ボブ・ディラン調あり、ファンキーなナンバーあり、ちょっとG.ラヴとかベックとかに通じるような曲もあったりと、相変わらずの幅の広さでつかみ所はないんですが、ひとつひとつの曲の完成度が高いので、面白く聴くことが出来ました。アーティストの場合、ワン&オンリーのタイプもいますが、ベンはどっちかって言うといろんなスタイルを器用にこなすところに魅力があるのかもしれません。その分印象に残りにくい面はありますけどね。



Ben Harper & The Blind Boys Of Alabama ; There Will Be A Light ; VIRGIN 7243 5 71206 2 3 (2004.12.30)

2004年リリース。ベン・ハーパーは以前来日したのをテレヴィで見ていて、ワイゼンボーンを抱える、スライドは面白いけど歌がいまいちな人と敬遠してきました。しかしこれを聴いて認識を改めました。サザンフィーリング溢れるファンキーな「ウィックト・マン」など、思わず腰の動くサウンド。やっぱりブラインド・ボーイズ・オヴ・アラバマとのコラボレイトが見事にはまっていると思いました。スタイルが全く同じというわけではないんですが、ホームズ・ブラザーズなどの向いている方向に通じるものがあるようです。アコースティックなサウンドの持つ独特のファンクネスが、ゴスペルと見事に融合したと言えますか。デラニー&ボニーの「モーテル・ショット」が聴きたくなりました。前作も評判がいいので聴いてみようかしらね。ここに来てベスト10入りです。



Ben Harper ; Both Sides Of The Gun ; VIRGIN 0946 3 57447 2 9 (2006. 5.13)

2006年リリース。映画「永遠のモータウン」での見事な「悲しい噂」とか、最近のファイヴ・ブラインド・ボーイズ・アラバマとの共演アルバムとか、かつてのワンゼンボーンのスライド弾きといったイメージから大きく飛躍しているベンの新作です。タイトル通り彼の2面性を2枚のCDに分けて収録してあります。1枚はアコースティック中心で、なんだか古いフォークアルバムみたいな肌触りがあります。ストリングスを効かせているあたりはどこかビートルズに通じる雰囲気もあったり、歌い方はなんだか初期のニール・ヤングみたいだったりといろんな顔を見せています。しっとりと歌を聴かせていて、わざと線の細い歌い方をしているようにも思いました。もう1枚は残響の強いパーカッションやスネアの音を生かした、よりファンクネスを感じさせる曲が多く、タイトル曲などはかなりタイトでファンキー。「エングレイヴド・インヴィテイション」や「ゲット・イット・ライク・ユー・ライク・イット」あたりになるトローリング・ストーンズみたいだし、「ブラック・レイン」はソウルフル。フィリー・サウンドみたいなストリングで、使い方によってイメージが変わるのかと思いました。この他ジャジーな「ザ・ウェイ・ユー・ファウンド・ミー」なんてのもあり、ベンの貪欲さを感じましたね。しかしギター類の他ドラムからピアノまで演奏するマルチな才能にもビックリ。ロック、ソウル、フォークとジャンルの隔てのないベンの魅力が良く出たアルバムです。ただその分焦点がぼやけてるようにも感じちゃうんですけどね。



Bennie Smith ; Shook Up ; FEDORA FCD 5018 (2001. 8. 2)

2001年リリース。ベニーはセントルイス界隈を拠点にするギタリストで、キング・オヴ・リズムとギグをしていたようです。なるほどギターからはアイク・ターナーから受けたと思われる影響が随所に聴かれます。「アイム・トア・アップ」なんてやってますし。この他フレディ・キング、マット・マーフィ、ゲイトマウス・ブラウン(「オーキー・ドーキー・ストンプ」を取り上げてます)など、名だたるギター名人の技を取り込んだギタープレイは、まるで「田舎のギター達人」といった趣で、時として「おお」とうなる場面もあります。これに対しヴォーカルはのどかでひなびた感じ。そのギャップもたまりません。ギターファンならかなり楽しめると思います。



Benny Spellman ; Fortune Teller - Golden Classics ; COLLECTABLES COL-CD-5165 (2003. 6. 4)

例によってこのレーベルはクレジットなどの情報が不足していますが、おそらく1960年代前半の録音でしょう。べニー・スペルマンはタイトル曲の他、何といっても「リップスティック・トレイシズ」が代表曲で、当然収録されていますが、この他アーニー・ケイドゥの「テイント・イット・ザ・トゥルース」など、とにかく全編アレン・トゥーサン・サウンドでいっぱいです。べニーはバリトン・ヴォイスが魅力的なんですが、結構高い音域の歌もあり、器用な歌手だというのが分かります。でも例えばクリス・ケナーのような強烈な個性はあまり感じませんでした。僕はこの手のサウンドが大好きなんで、もううっとりしてますけどね。



Bennie Wallace ; Bennie Wallace In Berlin ; ENJA/TOKUMA TKCB-72269 (2001.12.10)

2001年リリース。僕はふだんジャズはほとんど聴かないんですが、「SJ誌GDを斬る」というページで好評だったんで試しに聴いてみました。ベニーはサックス吹きで、自作曲とガーシュイン・ナンバー、それに「ペイパー・ムーン」をやってます。「ペイパー・ムーン」あたりは凄く優しさを感じるんですが、特に自作曲はアバンギャルドなソロがけっこう炸裂していました。ねちっこさ、豊潤さ、奔放さはふだん定式的なブルースを聴いているものには新鮮でした。熱さも伝わってきました。こういうジャズなら何枚も聴いていいなって感じました。



Bernard Allison ; Hang On ; RUF 1061 (2002. 7. 3)

新譜だと思っていたんですが、録音は1992年パリにおいてです。スタジオライヴのようですね。1993年くらいにリリースされたものの再発らしい。1曲目だけを聴くとまるでB級ロックバンドといった感じで、ちょっと驚きます。まあその後はファンク・ブルース系の曲とロック系の曲が区別なく並んだって感じですが、コリン・ジェィムズ作の「ヴードゥ・タング」など、まるでジョン・フォガティの曲みたいです。しかし何といっても面白いのは「ロッキン・ロビン」で、元々はボビー・ディのポップなヒットなんですが、このブルージーで重たいアレンジは小鳥じゃないです。その上エンディングに「スモーク・オン・ザ・ウォーター」「ブラック・ドッグ」のリックが出てくるし。一方ブルース系の曲では所々父親そっくりの歌い回し、声を聞かせます。やはりバーナードは父親の血と時代の音楽の両方を吸収したんだなって思いました。



Bernard Allison ; Kentucky Fried Blues ; RUF 1092 (2003. 5.26)

1999年10月、ケンタッキーでのライヴです。バーナードと言えば、何といってもブルースの枠組みを越え、ロックサイドのサウンドをがんがん取り入れた弾きまくりギターという印象なんですが、このアルバムでは思ったよりぐっとまともなブルースをやっています。最初のアナウンスから「ゴーイン・ダウン」まで一気に突っ走り、その後親父さんの曲の3連発。「バッド・ラヴ」なんかかなりの好演です。親父さんより声が素直で歌が聴きやすく思いました。圧巻はバディ・ガイの「リーヴ・マイ・ガール・アローン」で、アルバート・キング風に始めるんですが、途中ワウを使って喋るようなプレイを披露。これって親父さんの得意技じゃなかったかな。ジャケットを見ると舌で弾いているのもあったようだし、とにかく18分に及ぶ大熱演。そして最後はスライドバーを持ち出してジョニー・ウインターの「グッド・タイム・ウーマン」を弾き倒して締め。味わいとかよりも、ストレス発散にはもってこいのアルバム。



Bernard Allison ; Energized - Live In Europe ; RUF 1113 (2006. 4. 8)

2005年秋のドイツでのライヴです。凝ったアレンジのインストからちょっとファンクネスを感じさせる歌ものに入っていく1枚目は、父ルーサーの歌を3曲取り上げていて、いかにも後継者ってスタイルなんですが、元々勢いが売りで味わいはちょっと不足気味のルーサーの歌を、さらに味を薄めて歌ってるんで、ちょっといまひとつかなって思い、仲々2枚目に突入できませんでした。でも2枚目の方の冒頭のインスト3連発がいいんですよ。ジョニー・ウィンターばりにスライドをかき鳴らしたり、「アメイジング・グレイス」(タイトルは「ステップ・ダウン」になってますけど)から洒落たアレンジの「聖者が街にやって来る」(これまたタイトルが「トーキング・ギター」になってます)にいくあたり、ギターの腕といいエモーションといい、聴きものです。「ワーワー・アクション」も切れのいいインストで、ジミ・ヘンドリックスからの影響を感じさせます。こうしたギター・スリンガー的な側面をもっと前面に押し出した方が、バーナードの良さが引き立つと思うのは僕だけでしょうか?ギターフリークに聴いてもらいたいアルバム。



Bernard Purdie ; Purdie Good / Shaft ; BPG CDBPGD 050 (2005. 8.26)

1971年と73年のPRESTIGEのアルバムの2on1です。まず冒頭の「コールド・スウェット」の手数の多いドラミングの格好良さが耳を捉えます。ノーマン・プライドのコンガと見事にミックスしたそのサウンドは、JBズのどっしりしたファンクとは違う、ファンキーだけどどこかポップな香りを漂わせています。「Pardie Good」の方はタイトル曲を始めオリジナルが3曲あり、フュージョンのはしりのような曲も含め割合品のいい感じ。しかし「ユー・ターン・ミー・オン」のフロアタムの使い方は強烈です。一方「Shaft」の方はアイザック・ヘイズ作のタイトル曲からスピード感を増した感じでスタート。「ウェイ・バック・ホーム」はかなりオリジナルに忠実な印象を受けましたが、「ゼム・チェンジズ」のどす黒さは格好いいとしか言いようがありません。またサックスにヒューストン・プレストンをフィーチュア、キング・カーティスの「サマー・メロディ」も彼のイメージを残しながら再演しています。大当りの中古盤でした。



Bernard Purdie ; King Of The Beat ; BERNARD PURDIE 3B00 5 CD (2002. 2.15)

2001年リリースですが、パーディの歌ものを含めた、おそらく70年代からの録音集。そのため音質が悪いものもあり、テープ保存のせいかラストの曲はヒスノイズも聞こえるのが残念です。音楽的にはやはりいわゆるフュージョンものが中心で、これは僕の世界ではないなという感じでした。でもパーディの太鼓はやはりタイトで正確だし、彼のヴォーカルは思ったより良かったです。どちらかというと女性ヴォーカルものが面白く、特に中盤に並ぶカントリー2曲が結構気に入りました。



Better Than Ezra ; Greatest Hits ; RHINO R2 79502 (2007. 8.14)

1993〜2004年のベスト盤です。「ローザリア」や「キング・オヴ・ニューオーリンズ」が結構ストレートな音作りのロックで、メロディの美しさがシンプルな演奏の上に乗っている感じだったのに対し、後期の作品になるにつれ、様々な実験的要素が増えているように思いました。でもこのバンド、メロディを大切にしてるな。特に好きなわけじゃないんですが、聴いていて心地良いです。車の運転のお供には最高かもしれません。



Better Than Ezra ; Paper Empire ; BETTER THAN EZRA BTE01 (2009.10.19)

ニューオーリンズを代表するロックバンドのおそらく2009年の新譜です。ケヴィン・グリフィンの歌の良さを上手く前に出したアレンジは好感が持てます。曲は今流行りのサウンドで、僕の趣味とはちょっと違いますが、サウンドの構成力が高く、また変にノイジーなところがなく、かといってポップに走りすぎてもいないので、聴いていて十分楽しめます。特にアコースティックなサウンドを上手く使い、皆で歌っている感じの「オール・イン」や荘厳さのある「フィット」、いかにもロックしている「ヘル・ノー」などは格好いいなぁ。息子に聴かせたいアルバムです。




Betty Davis ; Nasty Gal ; ISLAND/MPC UFOXY1CD (2006. 6. 4)

1975年リリース。タイトル通りのジャケットに、タイトル通りの音楽って感じです。ベティはマイルス・ディヴィスと結婚していたんだと思いますが、どこか「ビッチェズ・ブリュー」にも似たアバンギャルドなファンクネスが全編を覆い尽くしています。ラリー・ジョンソンの思いっ切りスラッピングしてるファンキーなベースが中心のバンドをバックに、時に絞り出すように、時にねじ込むように歌うベティは、色っぽいというより気迫のようなものを感じます。こりゃまさに「どす黒い」というのが最も適当ではないでしょうか。こんな中にちょっと抜いたようなセクシーな「ユー・アンド・アイ」なんてのを挟まれると、来ちゃいますねぇ。



Betty Everett & Jerry Butler ; Delicious Together ; VEE-JAY/P-VINE PCD-4342 (2006.11.11)

1964年にリリースされたアルバムのストレートリイシューです。VEE-JAYというレーベルは僕の記憶に間違いがなければ、ビートルズの「ラヴ・ミー・ドゥ」をアメリカで最初にリリースして大ヒットをものにしたんだったと思います。つまり白人マーケットでも成功を収めたことがあるわけで、ビリー・プレストンのアルバムなどもかなりヒットを意識してるなと思いました。このアルバムも白人にも人気の高かったジェリー・バトラーとベティ・エヴェレットのデュオで、同じくデュオのヒットであるミッキー&シルヴィアの「ラヴ・イズ・ストレンジ」、シャーリー&リーの「レット・ザ・グッド・タイムズ・ロール」、さらにポップな「レット・イット・ビー・ミー」「アワ・ディ・ウィル・カム」など、結構ヒットを狙おうとしてるかなとも思います。でもカーティス・メイフィールドの「イッツ・オール・ライト」やジミー・リードの「エイント・ザット・ラヴィング・ユー・ベイビー」など真っ黒なレパートリーもあり、ラストの「フィーヴァー」などかなりの力作です。実力派が組めばこの位は軽いって感じでしょうか。



Betty Hall Jones ; The Complete Recordings 1947-1954 ; BLUE MOON 6045 (2005. 2.16)

ロイ・ミルトンのバンドにも一時いたらしいベティの単独アルバムが出ました。主に西海岸で活動した歌手で、立ったままピアノを弾くようですが、そのピアノがなかなか強烈です。特に初期録音でブギウギをやるんですけど、パワフルで、ドライヴ感があります。テクニカルな感じはないですが、全然バンドに負けていません。そのバンドですが、中盤ではマックスウェル・ディヴィスが入り、ギターではタイニー・ウェッブが名人芸を聴かせます。歌はあまり色気を前に出す感じではなく、落ち着いた、でも気っ風の良さを潜ませた歌で、こういうのは大好きです。1954年になるとコーラスグループを結成して「ハウ・ロング・ブルース」を取り上げたりしてますけど、時代に乗り遅れまいとしたんでしょうか?でも笑っちゃうのが「支那の夜」をやってるんです。それも日本語に英語混じりで。ゲテモノ好きにはたまらない1曲です。



Betty Harris ; Intuition ; EVIDENCE ECD 26135-2 (2008. 1. 6)

2007年リリース。アラン・トゥーサンともかかわりの深かったベティの新譜ですが、う〜ん、これはバックの音が苦手です。すごくドライでロックっぽいんです。リズムとかはメンフィス・サウンドを意識してたりするんですが、音がドンシャリで、ベティのざらついた声と相乗効果になって、なんだか良さが損なわれているように思うんですが。ベティ自身はそこそこ歌えていると思うんで、もっといいプロデュースをしたら魅力が出たんじゃないでしょうか。曲のヴァリエーションも随分少ないし。そんな中、アコースティックなサウンドを上手く活かした「シンス・ユー・ブロウト・ユア・スウィート・ラヴ」は結構気に入りました。もったいないなぁ。



Bettye Swann ; Bettye Swann ; ASTRALWERKS/EMI ASW98841(2005. 6.26)

1968〜70年カリフォルニアでの録音です。この人は初めて聴きましたが、思った程はゴスペルの影響を感じさせず、結構ポップな雰囲気を持っています。CAPITOLというレーベルのせいかもしれません。でもチャーミングでテクニックもある歌でいいですね。「エイント・ザット・ペキュリアー」のスローアレンジは面白かったし、逆に「スタンド・バイ・ユア・マン」はファンキーな味付け。「ジーズ・アームズ・オヴ・マイン」あたりはやはりオーティスにはかないっこないですが、「リトル・シングス・ミーン・ア・ロット」はしっかり歌い込まれていて彼女の魅力が良く出てます。「テル・イット・ライク・イット・イズ」は誰が歌っても名曲だって再確認。



Bevely "Guitar" Watkins ; Back In Business ; MUSIC MAKER 91007-2 (2006. 6.21)

1998年録音。若い頃はピアノ・レッドのインターンズで、何とナース姿でギターを弾いていたビーバリー、いきなり1曲目で「ミズ・ドクター・フィールグッド」と自分の出自を誇示するような御機嫌なシャッフルからスタートします。ムスタングからつま弾かれるギターフレーズはかなりアグレッシブで、インレイの写真などを見ると背中弾きなどをやってますから、エンターティナーぶりはうかがえます。ピアノ・レッド調のややポップで軽快なナンバーがお得意のようで、良い味出してます。「ザ・ライト・ストロング・バット・ザ・ロング・ヨーヨー」なんてヒット曲までやっちゃってますし。一方スローブルースでもそのギターは冴え渡り、落ち着いたヴォーカルもなかなか聴かせます。多分カムバック・アルバムなんでしょうが、彼女のような才能がもし埋もれてたのなら、それは惜しいことです。



Bevery Guitar Watkins ; Don't Mes With Miss Watkins ; DIXIEFROG/MUSIC MAKER DFGCD 8633 (2008. 1. 4)

2007年リリース。まずジャケットに写っているギターの弾き姿が格好良く、出てくる音がそれを彷彿させるものってのがいいですね。シングルコイル特有のシャリンとした音で弾くソロ、フレージングに味とノリがあり、割合ナチュラルに歌うヴォーカルと上手くマッチしています。「ミズ・ドクター・フィールグッド」なんて、ピアノ・レッドのバックでインターンズを組んでた時代のことを歌ってるのでしょうか?ドライヴ感のあるシャッフルが腰に来ます。インターンズと言えば「ザ・ライト・ストリング・バッと・ザ・ロング・ヨーヨー」なんてドクター・フィールグッドことピアノ・レッドの代表曲もカヴァー、これもさすがの味わいです。ラストに「ジーザス・ウォークト・ザ・ウォーター」というゴスペルを配していますが、これもとてもナチュラル。これも彼女の一面なんでしょうね。佳作です。



Big Al Carson ; Take Your Drunken Ass Home ; MARDI GRAS MG 1059 (2003. 2.27)

2002年リリース。これは面白いです。1曲目の「ビコーズ・アイ・ガット・ハイ」というスローファンクからぐっと腰が入っていて、それでいてパーティ的楽しさがあります。極めつけは「ナースリー・ライムズ」!掛け合いのスタイルでキャッチーな言葉をやりとりしてるんですが、リズムの跳ね具合といい最高に気持ちいいです。ちょっとフュージョンぽい曲MALACO系のブルーズン・ソウ・ルバラードもありますが、歌がうまく、これらも水準は高いです。でもそうしたものよりニューオーリンズテイストを感じる曲の出来が良く、アーロン・ネヴィルの「テル・イット・ライク・イット・イズ」まで自分の歌に消化しきっているのはもう感心しました。バックにジョン・クリアリーが加わっているのがサウンドに色合いをつけている大きな要素かもしれません。



Big Al Carson ; 3 Phat Catz And 1 Skinny Dogg ; RABADASH RAB-035 (2010. 5.31)

2010年リリース。ビッグ・アルはニューオーリンズをベースにしたヴォーカリストで、その体型に支えられた豊かな暖かみのある声が魅力です。バックも達者な面々で、K.C.ダグラスのブルースをファンキーに仕立てた「ブラック・キャット・ボーン」特にかっこいいです。また、オールドスクールなソウル・バラードも味わい深く歌い上げています。とにかくどんな歌でも柔軟に対応できる歌唱力がこの人の魅力だと思います。オリジナルのソウル・ナンバーもかなりいい感じ。そんな中にロバート・ジョンソンの「32-20ブルース」をモダンに仕立てたのが入ってたりして。やりますねぇ。




Big Al Dupree ; Positive Thinking ; FEDRA FCD 5007 (2001.11. 5)

1999年リリース。ビッグ・アル・デュプリーはサックスとピアノの両刀遣いで、ギターにハッシュ・ブラウンを迎え、ジャジーな演奏を繰り広げています。「パイニー・ブラウン」「キドゥニー・シチュー」といったジャンプ系のブルースを割合さらっとやっていますが、変に粘っこくないのがかえって聴きやすい感じでした。でもヴォーカルなどはそれほど味わいがあるわけでもなく、あまり印象に残りませんでした。



Big Belly Blues Band ; Big Belly Blues Band ; CHUMP CHANGE CCR-01 (2004. 9.24)

2002年リリース。このバンドはオークランド近くのクラブで毎週日曜の夜行われているジャムセッションから生まれたそうですが、ピアノにサックス2本を含むバンドの音は、かなり洗練され、むしろジャズやフュージョンに近いものを感じました。特にミュートしたトランペットがゲストで入ってくると、夜中のバーのカウンターが似合いそうですね。ちょっとフージア・ブルースを思い出しました。「グッド・サング」あたりはセカンドライン風味もありますけど、そんなにグルーヴィーじゃないです。「ロワー・ボトム・ブルース」はトラッドとなっていますが、「ミート・ミー・イン・ザ・ボトム」と「ドリンキン・マディ・ウォーター」の合体みたい。ラストはしっとりとした「思い出の夏」。お洒落ですがグッとは来ませんでした。



Big Bill Broonzy ; Big Bill's Stomp ; P-VINE PCD-5791 (2000. 4. 5)

ビッグ・ビルのコンピはいろいろありますが、これは1927年から41年の戦前ものを集めたものです。昨年購入。初期のラグタイム的なギタープレイはなかなか華麗です。また、戦前シカゴの当時としては洗練された都会的なスタイルは、デルタ・ブルースに比べると軽い感じはしますが、捨てがたい味があります。リル・グリーン(この人の単独盤てないんでしょうか?)の「ロマンス・イン・ザ・ダーク」も嬉しい選曲でした。ラストの「フィール・ソー・グッド」に、後のマディ達へのつながりを感じました。


Big Bill Broonzy ; 1949-1951 ; CLASSICS 5078 (2004. 4.28)

戦後のビッグ・ビルはヨーロッパに積極的に進出し、後のフォーク・ブルース・ブームの先駆けを作ったとも言えるんですが、MERCURYでのバンドサウンドは、結構ジャジーで洗練されています。まさに正統なシティブルースの継承者な訳ですが、マディがデルタ風味を前面に出し、ウィリー・ディクソンがR&Bのリズムを積極的に取り入れていったため、時流に乗り遅れてしまったのかもしれません。後半はフランスでの弾き語りですが、歌もギターも上手いんですが、何だかよそ行きで僕にはあんまりピンと来ませんでした。



Big Bill Morganfield ; Rising Son ; BLIND PIG BPCD 5053 (2007. 1.18)

1999年リリース。中古で購入。確かこの人、マディ・ウォーターズの息子でしたっけね。でも何とも仰々しくわざとらしい歌ですね。太くて低いんですが、どうも不自然な声の出し方で、歌の心が伝わってこないように思えます。この歌は僕は相当苦手です。オリジナルが半分位に、父親の歌が2曲、さらに「スロッピー・ドランク」などシカゴブルースの名曲が入っているんですが、はっきりいってぴんと来ませんでした。



Big Chief Donald Harrison Jr. ; The New Sound Of Mardi Gras Volume II (2004. 6.11)

クレジットがないんですが新譜でしょう。いきなり打ち込みリズムのヒップホップ調の曲で始まりますが、通底しているのは確かにブラック・インディアン・チャント。細かいファンク的アレンジがバックに施してある「インディアン・カミン」あたりになるとほっとできますし、「コンゴ・ネイション」のパーカッションはアフロな感覚がたっぷりで心地好いです。真ん中にチャントが3曲、そしてラストはちょっとジャジーなニューオーリンズR&B仕立ての「イッツ・マルディ・グラ」。いろいろやって楽しんでいるのか、シーンの中であれこれ試しているのか、ちょっと分かりにくい面もありましたが、その分リアルな今のシーンが見えるようでもあります。



Big Daddy Kinsey ; I Am The Blues ; GITANES JAZZ /VERVE 519 175-2 (2004. 8.17)

1993年リリース。ビッグ・ダディはドナルド・キンゼイの父親で、その息子の他、パイントップ・パーキンス、カルヴィン・ジョーンズ、ジミー・ロジャーズといったマディ・ウォーターズ・スクールのメンバーがバックを固め、野太い声で歌います。曲はマディやウルフ、サニーボーイなどのヒット曲が中心ですが、「ザ・クウィーン・ウィズアウト・ア・キング」などアルバート・キングに敬意を表したものもあります。ジェイムズ・コットン、ビリー・ブランチ、ラッキー・ピーターソン、バディ・ガイとゲストも豪華ですが、きっちり裏方に徹していました。まあラストの「ガット・マイ・モジョ・ワーキン」あたりは、日頃のクラブのアンコールのリハーサルを録音したって感じですが。全体にそつなくまとめられていますが、ちょっと印象は薄めの作品でした。



Big Daddy 'O' ; That's How Strong My Love Is ; RABADASH RAB-016 (2002. 4.14)

2001年リリース。まずヘンリー・トーマスの「フィッシン・ブルース」が聞こえたときに、20年以上前、タジ・マハルの同曲を聴いた時のことが思い浮かびました。何だかとっても懐かしい感じ。生ギター中心ですが、ハーモニカ、サックス、ヴァイオリンなどが絡む曲もあり、ただの弾き語りとは違います。ジャケットから想像されるよりはひなびていないんですが、とにかく落ち着くんですよね。いい意味で「昔どこかで聴いた」感じなんです。カヴァーもオリジナリティ溢れるアレンジが施されています。素直なタジって言ったら分かるかしら?ラストの「レット・ザ・グッド・タイムズ・ロール」(ルイ・ジョーダン)のアレンジなどとっても真っすぐな中にユニークさがにじみ出ていて気に入りました。音質も最高!



Big Daddy 'O' ; Deranged Covers ; RABADASH RAB-019 (2004. 4.18)

2004年リリースの新譜です。アコースティックだけでなく、いろいろと凝ったアレンジを施しながら、おそらくビッグ・ダディのお気に入り曲をカヴァーしているんですが、この人の歌は本当に染みてきます。最初の「クロス・ロード」あたりはそれほどぐっとこなかったんですけど、まず「ストーミー・ウェザー」に耳を奪われ、さらっと洒落た「セントルイス・ブルース」、フォーク調で優しげな「枯葉」、背後に力強さをたたえた「フィール・ライク・レイン」と見事な解釈の連発で完全にノックアウトされました。そしてラストの「ア・ソング・フォー・ユー」。大好きな歌なんですが、余裕のあるギター弾き語りが実に絶妙。サックスの絡み方もピッタリで、ベストトラックですね。とにかく久々に歌の素晴らしさだけで2ラウンド聴き惚れちゃったアルバム。ことしのベスト5は固いです。



Big Daddy 'O' ; What You Gotta Go Through ; RABADASH RAB-029 (2008. 2. 3)

2007年リリース。今回はバンド・スタイルでやってます。相変わらずいろんな歌を取り上げていますが、そのスモーキーなヴォーカルと、さりげなく弾くリゾネイタのサウンドは健在です。ジミ・ヘンドリクスの「エンジェル」がザ・バンドの曲のように響くなんて、サイケデリックなフィルタを取り除いた向こう側を見るようで面白かったです。マール・トラヴィスの「16トン」もなかなかディープな仕上がりで、彼ならではの歌い回しが味わい深いです。アンダーズ・オズボーンの曲を2曲も取り上げているのも注目です。「アンダーニース・イット・オール」の方は彼のフォーク味がうまくマッチ、一方「ダウン・ヒア」はバンドの力が良く出ています。力みがないけど達者な「GGTラグタイム」も聴きものですし、田舎のロカビリー味の「シェイク・ラトル&ロール」も楽しいです。好盤ですね。



Big Daddy 'O' ; Used Blues ; RABADASH RAB-033 (2010. 8.25)

2010年リリース。ジャケットでビッグ・ダディがレスポール持ってるのにびっくりしましたが、このアルバムではエレキをプレイしています。もちろんアコースティックの曲もあるんですが、エレキ、予想通り上手いです。でもそこに彼の魅力があるのかっていうとまた別の問題かな。ジャジーなアレンジの「ジョニー・B.グッド」なんてのもやってますけど、いまひとつぴんと来なかったですね。楽曲としてはラストの「トゥー・トール・トゥ・マンボ」は歌い回しも含めて愉快で楽しかったです。。




Big George Brock ; Club Caravan ; CAT HEAD no number (2006. 1. 2)

2005年、ミシシッピはクラークスデイルで録音。ジョージ・ブロックは1950年代から南部のジュークジョイントを中心にスーパー・チカンやビッグ・ジャック・ジョンスンなどと活動していたようで、写真を見るとギターもプレイしていたようです。しかしこのアルバムでは超がつくくらいのダウンホームなスタイルのハーモニカと、これまたどす黒いヴォーカルを聴かせます。バックを固めるのはライリー・コーティのファミリーバンドで、バタバタしたドラムの入る実にローカルな雰囲気のサウンドですが、これが見事にマッチしてるんです。まさに田舎のジュークジョイントに紛れ込んだかのような雰囲気。FAT POSSUMもののように妙な脚色がない分、生々しさがあります。彼の地にはこういったローカルで活躍する人がごまんといるんでしょうね。まさに生のブルースって感じです。



Big George Brock ; Live At Seventy Five ; CAT HEAD CH1004 (2008. 1.21)

2007年春にクラークスデイルで行われたライヴの模様です。ゆったり目のテンポで「カット・ユー・ルース」からスタート。いなたいハーモニカとタフなヴォーカルでどんどん押していきます。バンドはドロッとしたサウンドで、シカゴ〜ミシシッピのライン上のサウンド。ウルフのヴァージョンを下敷きにした「フォーティ・フォー・ブルース」、イントロでタイトルが出てきちゃうほど典型的なスタイルの「エヴリシングズ・ゴナ・ビ・オールライト」も、ドロンとしていてミシシッピらしいいい味わいです。そんな中「ブリング・ザ・ブルース・バック・ホーム」のガツンとしたインパクト、来ますねぇ。う〜ん、たまりません。



Big J & The Zydeco Dogpound ; Big Dog Status ; HIT IT BIG HIBR1001 (2010. 7. 5)

2010年リリース。ザディコ界は続々新手の若者が登場しますがこの人もそのひとり。やはりクリス・アルドワン以降の人でその影響をかなり強く感じます。アコーディオンはどうやら3ローのようでが、他のタイプも使ってるかな。それほどビートを強調せず、しっかりした演奏をしています。ア・カペラの「ガール・オン・マイ・ドリームズ」あたりは新機軸かな。でもけっこう伝統に根差したスタイルにいいものがあるように思いました。歌がもう少しこなれてくるとぐっと良くなりそう。




Big Jack Johnson ; The Oil Man ; EARWIG 4910CD (2001. 2.21)

ジェリー・ロール・キングスのビッグ・ジャックが盟友フランク・フロスト(ピアノ)などと1986年にシカゴで吹き込んだ作品。まずはビヤついたギターをかき鳴らしながら歌うジョンソンの泥臭さが魅力です。タイトル曲などの自作曲の他は、ハウリン・ウルフやジュニア・パーカーなどのヒット曲を次々と演じるんですが、12小節を気ままに伸縮させながら、ウルフの曲ではところどころ唸り、パーカーの曲ではその歌い方を真似たように唄います。楽しんでいるのがよく分かります。特にサザンビートを刻む曲は流石という感じのギターワークで気持ち良いです。こういうのは眉間にしわ寄せてまじめくさって聴き込んじゃいけません。焼酎煽りながら大音量で聴いて踊りたいですね。



Big Jack Johnson ; Daddy, When Is Mama Comin Home? ; ERWIG 4916CD (2006.11.21)

1989年リリースのアルバムですが、これ、格好いいです。適度にファンキーで、適度にチープ。インスト「ドゥードゥリー・スクワット」なんて途中「テキーラ」リフが出てきたりロマンスカーのチャイムみたいなフレーズが出たリでビッグ・ジャックらしいし、「クロウダッド・ホール」の軽快なリズムは良質の16ビート・ブルースと言えるんじゃないでしょうか。タイトル曲も格好いいソウルナンバーで、やや朴訥さの残るギターもいい味出してます。チャイナタウン、ノースウエスト航空、そしてアメリカ政府批判と、社会派ぶりも発揮していて、オリジナルの面白さが満載です。



Big Jack Johnson ; Live In Chicago ; ERWIG CD4939 (2005. 8.27)

 1994年ホットハウスと1995年バディ・ガイズ・レジェンドでのライヴです。ビッグ・ジャックのクランチの効いた野太いギターと、ちょっとアルバート・キングを思わせるスモーキーでこれまた極太の歌声が見事にマッチしてます。お得意の「シンス・アイ・メット・ユー・ベイビー」を初め、スローとアップを上手く取り混ぜた演奏になってますが、ユニークなのは、エイトビートになった「ナイト・トレイン」と、なんと重量感のあるシャッフルになった「ツイスト」です。特に後者はこれでツイストはかなり難しいのではといったノリですが、太さがよく現れています。バックバンドはアーロン・バートンのバンドですから、ジェリー・ロール・キングスのようなザクザクした感じはないですが、好サポート。来日公演を思い出しました。



Big Jack Johnson & The Oilers ; We Got To Stop This Killin' ; M.C. MC0033 (2006. 9.25)

1996年リリース。ビッグ・ジャックらしいスライドを交えたぐいぐい来るブルースが満載のアルバムです。「字余り」なんてお構いなしってのがいいですね。面白いのが「ブレイクダウン・ブルース」で、カントリータッチのインストなんですが、締めの部分でなんと「プラウド・メアリー」の例のコード進行が。おちゃめです。「ロンサム・ロード」のチャキチャキビヤビヤなギター弾き語りも面白いし、ファンキーな「クラッキン・ブレッド」も格好いいですね。とにかく余計なこと考えずに「どうだい、これが俺のブルースだぜ」と気取らず演奏するビッグ・ジャックに身を任せれば、気持ちいいことこの上ないです。



Big Jack Johnson with Kim Wilson ; The Memphis Barbecue Sessions ; M.C. MC-0045 (2002. 3.23)

まもなく来日するビッグ・ジャック・ジョンソンが2000年にアコースティック・ギターを中心にして録音したものです。キム・ウィルソンとのハープの絡みが中心ですが、ジェリー・ロール・キングス、オイラーズでのビッグ・ジャックから、かなり荒々しいものを想像していたんですが、落ち着いた、しかもかなりきっちりしたプレイだったので少々意外でした。キムのサポートは的確で、何曲かで入るパイントップ・パーキンスのピアノも控え目でいいです。曲はオリジナルとシカゴ・クラシックスが半々くらいですが、ギター・スリムの「ザ・シングス...」の実にシンプルな解釈がらしくていいです。ビッグ・ジャックは2曲ほどマンドリンを奏でますが、こちらの方がアグレッシヴな印象を受け、これはこれでなかなか良かったです。初めてブルースに接する人にも薦められる作品だと思いました。



Big Jack Johnson & The Oilers ; Roots Stew ; M.C. MC0039 (2002. 3.31)

2000年リリース。こちらはオイラーズ名義でのビッグ・ジャックのバンド演奏です。実にきれいな気持ちのいい音でギターを奏でます。ヴォーカルは渋いんですが、泥臭いようでかなりモダンな響きがあって、やはり只者ではないなという感じです。B.B.キングの影響も感じられますが、よりアグレッシヴでごつごつした感じは、シカゴのウエストサイド一派に通じる感じを受けました。マンドリンも聴けるし、ライヴ録音も含まれているようで、ラストのかつての盟友フランク・フロストへの追悼歌では、いろんなブルースマンが続出して運転士ながら聞き耳を立ててしまいました。やっぱりライヴ行かなきゃ!



Big James ; Funkin' Blues ; JAMOT MUSIC JM 1000-2 (2001. 7.24)

1998年録音。トロンボーンを吹きながらブルースを歌うビッグ・ジェームズ、その存在自体がけっこうユニークです。ブラスを(クレジットからして多重録音かしら?)かぶせた厚目のサウンドをバックに、若い頃のルーサー・アリソンをちょっと思い出させる声で、元気にブルースを歌っています。でもユニゾン主体のブラスのアレンジが単調なのと、本人の歌が今一つなのが少し残念。勢いは買えるのですが、もう少し歌いこなして欲しいなって曲もありました。ギターのガイルズ・コリーはなかなかのプレイを聞かせています。録音にもっと時間と金をかけたら、ぐっといいものになると思います。



Big James ; Now You Know ; JAMOT MUSIC JM 1003-2 (2005. 1.23)

2004年リリース。トロンボーン吹きのビッグ・ジェイムズはソウルフルなヴォーカルも魅力なんですが、この作品ではすっきりしたバンドアレンジで、ヴォーカルをうまく前に出して成功したと思います。3管が要所を押さえ、抑制が効いているけどかなりかっこいいギターもなかなかいけます。全体にブルーズンソウルな感じがあふれていて、MALLACOサウンドを少しローカルにした感じといえばいいでしょうか。以前聴いたものよりかなりいいですね。ただ、この人の声質は実は僕、あんまり得意じゃないんですけど。



Big James ; Thank God I Got The Blues ; JAMOT MUSIC no number (2008. 1.17)

2007年リリース。シカゴのブルースシーンでトロンボーンを吹き続けているビッグ・ジェイムズらしい低重心の、今風のファンクネスを感じさせるリズムに乗って、ブラスセクションが気持ち良く鳴り響きます。その上にジェイムズの歌が乗るんですが、う〜ん、これがどうも負けちゃってるんですよね。ちょっとハスキーで悪い声じゃないんですけど、やっぱり歌が弱く感じてしまいます。自作曲、がんばって作ってるんですけどね。むしろオーティス・クレイの「トライング・トゥ・リヴ・マイ・ライフ・ウィズアウト・ユー」あたりは曲の良さもあっていい感じに歌えているように思いました。



Big Jay McNeely ; 1948-1950 ; CLASSICS 5009 (2001. 6.14)

ウェストコーストを代表するホンカー、ビッグ・ジェイが最も油の乗り切っていた時代の録音。SAVOY、EXCLUSIVE、ALADDINなどをまたぐコンピです。まずは何といっても代表曲「ディーコンズ・ホップ」。このイントロとハンドクラッピングを聴くだけで身体が揺れてきます。フルバンドが入って「タタタター、タター、タター..」と畳みかけ、三連でブレイクしておいてイントロのフレーズに戻るあたり、何度聴いてもいいです。エンディングのトランペットも粋だし。この他軽快な「アーティーズ・ジャンプ」、決め所一杯の初期の作品、ラテン風味が漂ってくるEXCLUSIVE時代の曲、ヴォーカルものもいいムードで、もうたまりません。曲が替わるたびに、「次の仕掛けは何だろう」て感じで期待しちゃうんです。ところで皆さんに質問。「レッツ・スプリット」という曲、ミーターズの「シフォンズ・ファーム」と同じメロディなんですが、これの元歌って何でしょうか?他でも聴いたことがあるんですが、どうもよく分かりません。スヌークス・イーグリンも部分的に引用していた記憶があるんですが。



Big Jay McNeely ; Nervous ; SAXOPHILE SCD-103 (2005. 2.10)

1949〜59年にかけての、比較的レアな音源を含むコンピです。「3-D」「ゼア・イズ・サムシング・オン・ユア・マインド」など有名曲やヒット曲も含みますが、それらの別テイクもあり興味深いです。バードランドでのライヴでは「ボディ&ソウル」をムーディに吹いてたりもしますが、「ディーコンズ・ホップ」ではそのバーウォーカーぶりが垣間見られる気がします。特にラストのL.A.でのライヴテイクは、M.C.があおり、客席の盛り上がりもすざまじく、その人気の高さをうかがわせます。音は悪いですが、面白い盤でした。



Big Jay McNeely ; 1951-1952 ; CLASSICS 5058 (2003. 5.16)

ビッグ・ジェイの「ディーコンズ・ホップ」と「ゼア・イズ・サムシング・オン・ユア・マインド」の間を繋ぐ時期の録音集ですが、まずビックリは1曲目の「インセクト・ボール」。何やら「DDT」とか叫ぶコーラス入りの楽しい曲ですが、ヴォーカルがなんとマーシー・ディー・ウォルトンなんです。この他スリー・ドッツ・アンド・ア・ダッシュというコーラスグループをフィーチュアしたジャンプナンバーが、ビッグ・ジェイの音楽的な幅を感じます。もちろんブリブリのサックスプレイもあり、「ザ・ディーコン・ブロウズ・フォー・ジョイ」でのマクニーリー兄弟による突っかかるようなイントロとか、「ブロウ・ブロウ・ブロウ」のまさにアヒルが泣き叫ぶようなハイトーンのブロウの強烈さ!これのライヴ盤ともいうべき「ディーコンズ・エクスプレス」などを聴いていると、ブロウしながら店を出て行ってお巡りさんに捕まったという逸話も頷けます。



Big Jay McNeely ; 1953-1955 ; CLASSICS 5170 (2009. 6. 2)

時代がどんどんロックンロールに近づいているときの作品集で、サウンドが豪快になっていきます。最初の「3-D」から格好良いナンバーが始まり、」ロック・キャンディ」ではハモンドB-3がソウルフルな味わいを出しています。「ミュール・ミルク」は「ナイト・トレイン」、「ティーン・エイジ・ホップ」は「オール・ナイト・ロング」、そして「ビッグ・ジェイズ・ホップ」では自らの「ディーコンズ・ホップ」をベースにしていますが、いずれも激しさが増しています。ところで「テキサス・ターキー」、とても有名なメロディなんですが、原曲のタイトルなんでしたっけ?




Big Jay McNeely ; Live At Birdland ; COLLECTABLES COL-CD-5131 (2008. 2.18)

1957年のライヴ盤で、自身のヒットの他、当時流行った曲をてんこ盛りにしたショウマンシップ溢れる音源です。音質は良くないんですが。なにしろ「フライング・ホーム」「本キー・トンク」「アイ・ゴット・ア・ウーマン」「ハウ・ハイ・ザ・ムーン」と並べば聴いてる方も楽しいでしょうね。ちょっとリトル・リチャードがかったヴォーカル(誰でしょうか?)も元気があります。ちなみに「ホンキー・トンク」、レコードと同じようにギターソロの後一瞬エンディングが入る2部構成ってのがご愛敬。そしてハイライトは「ゼア・イズ・サムシング・オン・ユア・マインド」「ディーコンズ・ホップ」と並ぶところですね。特に後者の気合いの入ったソロは聴き所です。



Big Jay McNeely ; There Is Something On Your Mind ; COLLECTABLES COL-CD-6377 (2008. 7.10)

1950年代終盤の録音と思われます。大ヒットのタイトル曲で始まり、同曲のライヴで終わるこのアルバムは、この時代のスタジオ作の合間に、録音状態は悪いですが白熱したライブ録音を挟み込んであります。特に「ディーコンズ・ホップ」や「フライング・ホーム」はライヴならではの長尺で、場内の盛り上がりからそのパフォーマンスが目に浮かぶようです。「ホンキー・トンク」はいちいち「オーイェー」と入るのがおかしく、また当時のシングル盤と同様1部と2部に分けて演奏してるのが笑えますが、これもまたクラブシーンの定番曲だったことが分かる盛り上がった演奏です。なんだかライヴだけまとめて出してもらった方が良かったかも。



Big Jay McNeely ; Swingin' - Golden Classics ; COLLECTABLES COL-CD-5133 (2002.10.20)

録音はおそらく1950年代末〜60年代初頭だと思われます。なにしろCOLLECTABLESというレーベル、クレジットはおろかライナーまでないという粗雑な仕事ぶりで有名な上、ビッグ・ジェイ、「ブルース・レコーズ」にディスコグラフィが載ってない(ジェイ・マクシャンはあるのに)んです。で、ビッグ・ジェイと言えば僕はまずSAVOYの「ディーコンズ・ホップ」を思い出すんですが、このアルバムに収録された「ゼア・イズ・サムシング・オン・ユア・マインド」が最大のヒットなんだそうです。歌入り(歌手のクレジットもなし、一度調べたけど失念)のバラードですが印象的なメロディで、たくさんのカヴァが生まれたのも納得できます。当然「柳下のドジョウ」的な曲もありますが。この他全体にリズムが強調されているのはツイストブームのせいでしょうか?ラテン系のリズムの曲もありますが、一番笑えたのが「サイコ・セレナーデ」!ジェイはジェイでもスクリーミンが出たのかと思いました。なんだかんだですが、ビッグ・ジェイのブロウは強烈です。



Big Jay McNeely ; Recorded Live At Cisco's, Manhattan Beach, Calif. ; COLLECTABLES COL-CD-7701 (2007. 9. 5)

1963年にWARNER BROS 1523として出されたアルバムのストレート・リイシューで、録音もおそらくその頃だと思います。ビッグ・ジェイらしいインスト・ナンバーでスタートしますが、途中ハーモニカがメインの「ユー・ドント・ハフ・トゥ・ゴー」や「ファーザー・オン・アップ・ザ・ロード」なんてのもあって、ブリブリのホンク大会とはちょっと趣が異なる面もあります。もちろん「ディーコンズ・ホップ」を初めとしたお得意のナンバーでは、強烈なブローやホンクを聴くことができますが、全体にちょっと軽めの印象です。フレーズなどはキング・カーティスのような軽快なフレーズも目立ち、ブロー一辺倒でないところも聴かせます。



Big Jay McNeely ; Central Avenue Confidential ; ATOMIC THEORY ATM 1145 (2000.10.23)

1998年録音。ビッグ・ジェイ・マクニーリは1949年の「ディーコンズ・ホップ」のヒット(録音は48年)が有名な代表的なホンカーで、数年前も来日して健在ぶりを示していました。で、この作品もブリブリのホンク大会かなと思って聴いたんですが、実にクール!ジャズというには理屈っぽくなく、素直ですし、ムード・ミュージックというには腰が据わっています。こんなプレイもできるんだと意外な思いさえしました。少し喧噪を感じさせるくらいの紫煙漂う店で、こんな生バンドをバックに女口説いたらいいだろうなって感じですか。とにかくバーボンかなんか飲みながら、ゆったりと聴いたら快感でしょうね。



Big Joe Turner ; Blues In The Night ; ARPEGGIO ARB 011 (2001. 8. 8)

1940〜49年録音。タイトル曲はボビー・ブランドの名唱でも有名ですが、これもクラシカルな雰囲気が漂っていていいです。全体に戦前の録音はジャズ・フレイヴァが強く、朗々としたビッグ・ジョーのスケールの大きさを感じます。一方40年代末の演奏はすでに次のATLANTIC時代に通じるスピード感のあるもので、ビッグ・ジョーがロックンロールの草分けのひとりといっても差し支えないと思います。特にラスト2曲はジョー・ヒューストンのバンドをバックにしたもので、ウェスタン・スウィングとのつながりも感じます。とにかく歌がリズミカルで彼が巨体を揺さぶりながら唄う姿を思わず想像してしまいました。



Big Joe Turner & Pete Johnson ; Atmic Boogie ; NATIONAL/SAVOY/ATLANTIC 92909-2 (2001.10.18)

1945〜47年にNATIONALに残されたジョー・ターナーの録音に1946年のピート・ジョンソン名義の録音を加えた2枚組です。まずジョー・ターナーですが、ピートなどがバックに入ったニューヨーク録音は戦争中ってこともあって?やや地味目ですが、次のシカゴ録音あたりから俄然元気が出てきます。聴きものは46年のL.A.録音で、いかしたギターだなと思ったらそれもそのはずテディ・バンでした。ジョーは後のATLANTIC時代ほどポップな感じではありませんが、一聴して分かる豪快な歌いっぷりで実に盛り上がります。これらに増して面白かったのはピート名義のインストで、ホット・リップス・ページらとのジャジーな演奏や、クラリネットが入ったため何となくディキシーランド風味が出ているものなど、とにかく楽しんで演奏しているのがビンビン伝わって来ます。じっくり味わって聴きたい盤です。



Joe Turner ; Live! ; P-VINE PCD-908 (2001.11. 9)

70年代のライヴ。全盛期は過ぎていますが、ジョー・ターナーの声はそっこそこ溌剌としています。曲も代表曲揃いです。でも演奏を含め、ライヴの悪い面が出ています。緻密さがないのと、バックのバンドがバラバラな感じがします。特にマイク・ブルームフィールドのギターはサックスを含むほかのバックとしっくり来ていません。時折スライドも繰り出しているんですが、なにか変な気負いを感じると言うか、溶け込んでいないんですよね。ミスマッチな感じでした。



Big Joe Williams / J.D. Short ; The Legacy Of The Blues vol.5 ; SONET/KING KICP 2209 (2004. 5.28)

SONETのアルバムの2on1です。ビッグ・ジョーの方は1972年ストックホルム録音で、いつもの9弦ギターをかき鳴らす弾き語り。低音弦のスラッピングをバチバチと決めながら、お得意のスタイルでやっています。流石にヴィンテージ時代ほどの味わいはないですが、しかしけっこう元気です。一方のJ.D.は1962年彼の本拠地セントルイスでの録音。ギターとハープをひとりで演奏しながら歌うスタイルで、デルタブルースの香りを残しながらも、スリーピー・ジョン・エスティスに通じるどこかほわっとしたものも感じました。サム・チャーターズの質問に答えながら、1曲1曲大切に演奏しています。



Big John Hamilton ; How Much Can A Man Take ; SUNDAZED SC 11121 (2009. 5.31)

1967年から71年までの、MINARETやSSSインターナショナルへの吹き込みを集めたものです。ビッグ・ジョンはオーティス・レディングからの影響を感じさせる、どっしりした味わいのある歌い手で、タイトル曲のサザン・フィーリング溢れるエモーショナルな歌はかなりのものです。一方「ビッグ・ファニー」のようなリズムものもやはりオーティスに通じる雰囲気があり、仲々のものです。さらに「ザ・トレイン」などのブルースもディープな感覚を感じさせるもので、かなりの歌い手と言えます。サザン・ソウルにちょっとはまってしまいそうです。




Big Maybelle ; 1944-1953 ; CLASSICS 5089 (2004. 4.24)

19才DECCAでのデビュー作から、KINGをへてOKEH時代までを収録しています。若き日のメイベルは後の女傑とも言うべき豪快な味はなく、自然体な雰囲気で歌っています。特にKING時代は太い声ですが思ったよりずっとさらっとした感じで、ホット・リップス・ペイジのトランペットなど、巧みなバックに支えられ、落ち着いた感じ。これが年を経るにつれてだんだん大仰になっていくのが面白いです。多分体格も良くなり、貫禄が出てきたとも言えるんですが、僕は初期の方が好きだな。



Big Maybelle ; Candy! ; SAVOY/ATLANTIC 93018-2 (2002. 3.14)

1956年〜59年録音です。ホワイトデイだから「キャンディ」って訳でもないんですが、結構ポップさのあるタイトル曲です。2枚組全編にビッグ・メイベルのストロング・ヴォイスがいっぱいです。ちょっとがなり気味の曲が多く、通して聴いたらかなり疲れてしまいました。でもロックンロール的解釈の「セントルイス・ブルース」なんか面白かったし、「サイレント・ナイト」「ホワイト・クリスマス」のおそらくカプリングだったクリスマス・ソングは強烈だし、ジャジーな「オール・オヴ・ミー」などもあって結構いろんなことをやっていたんだなって思いました。若い頃の都晴美をちょっと思い出したりしました。やっぱりこの人、クラブ叩き上げって感じがします。



Big Mama Thornton ; 1950-1953 ; CLASSICS 5088 (2004. 5.25)

ビッグ・ママの初期録音です。ジャンプ・ブルースのメッカのひとつヒューストンでのデビュー作では、後の大仰さも感じるようなブルースシンギングではなく、ぐっとストレートで、例えばローウェル・フルソンに通じるような渋みのある歌い方をしています。その後ジョー・スコット、ビル・ハーヴェイの楽団をバックにして活きの良い歌声を聴かせますが、やはり大きな転機はジョニー・オーティスの楽団をバックにしたロサンゼルス録音からでしょう。歌声にもぐっと芯が出て、タイトな感じ。バンドはヴァイブやパーカッションをうまく入れたサウンドで、ピート・ルイスの切れ味のいいギターをバックにのびのびと歌っています。「ハウンド・ドッグ」のヒットもこうした一連の作品の中から出てきました。53年頃のスローブルースでは、ビッグ・ママらしい熱唱も聴かれるようになって来ます。かなり体格も良くなったんじゃないかしら。



Big Mama Thornton ; Ball N' Chain ; ARHOOLIE CD 305 (2004. 3.10)

1965年ロンドンでの録音と1966年マディ・バンドとのセッション、さらに1968年のハリウッドでのセッションが収められています。ロンドン録音ではバディ・ガイらと比較的有名な曲をやっていますが、バディがかなり弾いているのが結構聴きものです。「リトル・レッド・ルースター」あたりは鶏になりきるビッグ・ママ自身はちょっとやりすぎかって気がしますが。むしろフレッド・マクドウェルのスライドギターをバックに歌ったブルースのプリミティヴな感じあたりが、ジャニス・ジョプリンに影響を与えたように思いました。マディ・バンドをバックにした演奏は、オーティス・スパンやジェイムズ・コットンに支えられ、伸び伸び歌っています。特にスローブルースでは語り部的な歌でけっこういいな。ラストのタイトル曲は、エドワード・ヒューストンのど派手なギターをバックに、どっしりと歌っています。この人の声、本当にふくよかでブルージー。確かにブルースクウィーンのひとりでしたね。



Big Red & The Zydeco Playmakers ; Secret Ingredients ; MAISON DE SOUL 1084 (2005. 8.30)

2005年リリース。ごっつい体のビッグ・レッドですが、まずそのハイテナーのヴォーカルがイカしています。何でもレゲエバンドで歌ってたそうですが、きちんとしたコーラスも含め、まずこのバンドの核が歌にあることは間違いがありません。バンドもなかなかタイトでダンサブル。アコーディオンはすごくテクニックがあるわけじゃないですが、ドライなボタンアコ特有のサウンドは良く馴染んでいますね。ワルツやお得意のレゲエも交え、ヴァラエティにも富んでいるんですが、ヴォーカルとバンドサウンドがしっかりしていて聴きやすいです。これは要注目、今から自作が楽しみになりました。



Big Sam's Funky Nation ; Birth Of A Nation ; THE GRUVE GR 1011 (2004. 7.18)

2004年リリース。ビッグ・サムはダーティ・ダズンのメンバーでもあったトロンボーン奏者で、ジャズテイストの強いファンク・ジャムを展開しています。楽曲はちょっと油断するとフュージョンになりそうな線なんですが、そうならないのはリズム隊とブラスのグルーヴ感がニューオーリンズそのものだからでしょう。そういう意味で僕にとっては嬉しい泥臭さを感じるサウンドで、かなり楽しめました。バンド名をかぶせた曲などヒップホップ風味も適度に入っていますし、「エイント・ナッシン・バット・ア・パーティ」はブラスバンドそのもののノリとサウンド。次作が待ち遠しいです。



Big Sam's Funky Nation ; Take Me Back ; BIG SAM'S FUNKY NATION BS002 (2006. 6. 6)

2006年リリース。ビッグ・サムのトローンボーンを軸にしたファンキーな演奏です。ニューオーリンズらしいセカンドラインぽさはあまりなく、どちらかというと真っすぐな演奏で、低重心の重厚な、でもどこかフュージョンに通じるようなスマートさもあるファンクが並んでいます。スラップするベース、バリバリ弾くギターとかなり豪快な感じもあるんですが、ちょっとのっぺりした印象もあります。僕はもう少し隙間たっぷりの演奏の方が好きです。ビッグ・サムのトローンボーン、良い音してますけど。



Big Sam's Funky Nation ; Peace, Love & Understanding ; BIGSOMSFUNKYNATION no number (2008. 5.27)

書いてないけど多分2008年リリース。とにかくタイトな演奏です。練り込まれたブラスアレンジで、ホーンセクションが一糸乱れぬ演奏を展開しています。ニューオーリンズらしからぬスクエアなビートが多く、かっちりした印象が強いですね。タイトル曲と「アップ・イン・ヒア」ではアイヴァン・ネヴィル、「ウィー・ゴット・イット」と「フィーリン」ではニック・ダニエルズをヴォーカルに迎え、音楽の幅を広げています。でもこの「ウィー・ゴット・イット」のリフ、どこかで聴いたことがあるなぁ。



Big sam's Funky Nation ; King Of The Party ; HYPERSOUL no number (2010. 7.14)

2010年リリース。タイトル曲、いきなりのメタリックなロックサウンドでした。ありゃ、路線変更かと思ったら「クランクト・アップ」でいつものファンク路線に戻ったんで一安心。ブラスバンド的な要素を感じさせるファンク・バンドで、なかなかビッグなリズム隊が気持ちよく、そこにブラスセクションやワウを効かせたギターが絡んできます。これ、札幌の某バンドに聴かせてみたいなぁ。また、ロック的な要素もあり、「ロック・ヨ・ソウル」なんてタイトルからもろですね。お気に入りは「シー・ミー・ダンス」。生で見たいバンドです。




Big "T" & The Family Band ; Hellhound In My Shadow ; STAND ON THE OCEAN SOTO 00642 (2003. 4.14)

2002年リリース。シカゴのスタジオ録音に、ラスト2曲におそらく地元のクラークスデイルでのライヴが加えられています。ビッグ"T"のギター・ヴォーカルにふたりのおそらく息子がベース・ドラムをつけるトリオで、タイトル曲のねちっとした指弾きのギターがまず印象的。それを支えるブラック・ジャックのドラムはロールをいっさい使わない何ともパタパタしたサウンドですが、これが妙に耳に残るんです。曲はブルースの他ソウルナンバーもありますが、こちらは曲によっては歌いこなせてない感じもありました。ドニー・ハザウェイ「ゲットー」のインスト版など、ギターはフレーズに工夫が見られて面白いんですが、何といってもそのローカル色丸出しのフィーリングが個性になってると思いました。



Big Walker ; Still Dream Walking ; BIG WALKER BWCD892 (2003. 7. 4)

2002年リリース。この人は昔マイク・ブルームフィールドと活動していたようです。この作品、元々は「Dream Walking」というアルバムで出されていたものに8曲加えた作品です。オリジナルアルバムの作品は、ハウリン・ウルフのメンフィス時代みたいなリズムのタイトル曲の他、全体にどこかほのぼのとした雰囲気を感じるブルースが中心で、本人のちょっと頼りなさげなヴォーカルとハーモニカがメインです。ラストにはエリック・ビブのアコースティック・ギターと自身のハーモニカによるオールドスタイルのインストもあります。追加された曲では、ゾラ・ヤングのヴォーカルやジミー・ドウキンズのギターを加え、ややロックやファンクのカラーが加わっています。ウォーカーはサックスとハーモニカ、それに歌も歌っていますが、ゾラの歌はさすがの存在感を示していますが、全体にちょっと散漫なイメージを感じました。出来は悪くはないんですが、訴えてくるものを僕はあまり感じなかったです。オリジナル7曲でのリリースの方がかえって良かったかも。



Big Walter Price ; Git To Gittin' - The Crazy Cajun Recordings ; CRAZY CAJUN/EDSEL DIAB 8018 (2000. 9.11)

テキサスの"ビッグ・ウォルター"、プライスの1967年録音など。新譜で購入。タイトル曲はかつて彼のサンダーバーズにいたこともあるアルバート・コリンズがやっている曲の元歌です。この曲でギターを弾いているジョーイ・ロングもかなりアルバート・コリンズ的です。この他ファンク調、カントリー調の曲からピアノの弾き語り(けっこうルイジアナ〜ニューオーリンズぽいものもある)までいろいろですが、ちょっと散漫かな?収録時間が30分というのもちょっとねぇ。



Bill Codey ; Right On Baby - The CRAJON Recordings ; P-VINE PCD-24175 (2006. 5. 5)

1970〜72年録音。まず結構流行ったという冒頭の「ゲット・ユア・ライ・トゥ・ストレイト」、このドラムはハワード・グライムスですって感じのビートがまず強烈です。典型的な、でもややザラッとしたHIサウンドに乗って、御機嫌な歌を聴かせます。アップテンポの曲ではちょっとシル・ジョンソンを思わせるような感じもありますが、よりディープな印象が強いです。一方スローバラードの「ア・ウーマン・ルールズ・ザ・ワールド」などは、かなりディープなんですが、思いっ切りゴスペルしているわけではなく、少しストレートな味わいがモダンな感じですね。続く「ワッチャ・レイド・オン・ミー」はリトル・ジョニー・テイラーに通じるゴスペルブルースなんですけど、歌えてますねぇ。しつこくはないけどコクがある歌は魅力的です。「アイ・ゴット・ア・シング」なんてファンキーなナンバーもあり、こりゃとっても面白いアルバムです。



Bill Doggett ; Leaps And Bounds ; KING KCD 6024 (2001. 4.26)

1952〜59年録音。ビル・ドゲットのKING録音集は、なかなか良いものがCD化されていなかったんですが、このUK盤は選曲も良くお薦めです。超有名曲「ホンキー・トンク」の両パートの他、トミー・ブラウンの歌入り(初めて聴きました)も入っています。ドゲットのオルガンはあの楽器らしくなく非常にパーカッシヴで、リズムが強調されます。その上にクリフォード・スコットのサックス、ビリー・バトラーのギターが絡んでいくわけですが、これがとってもジャジーです。特に名人バトラーのコードワークやフレージングは変幻自在で、「ピーコック・アレイ」など痺れちゃいます。一方「ビッグ・ボーイ」の様なキャッチーなメロディとアレンジを持った曲では、ドゲットのオルガンが実に効果的。余談ですが、このKING(UK)というレーベル、CHARLEYのサブではないかと思うのですが。



Bill Doggett ; The Very Best Of Bill Doggett ; Honky Tonk ; KING/COLLECTABLES COL-CD-2876 (2008. 3.15)

1952年からおそらく1959年あたりの録音集でしょう。彼の代表曲である「ホンキー・トンク」をはじめ、「ピーコック・アレイ」や「スロウ・ウォーク」、「ビッグ・ボーイ」などの代表曲が収められています。また、彼とゆかりの深い「フライング・ホーム」も、フルートをメインにした新し目のアレンジが施されています。オルガンの音の深さをバックに、クリフォード・スコットのサックスやビリー・バトラーなど名手のギターが絡みつくサウンドは、やっぱり何度聴いても格好いいですね。音質もいい好コンピですが、レコーディング・データやクレジットをちゃんと記載してもらえるともっと嬉しいです。。



Bill Doggett ; Dance Awhile With Doggett ; KING KCD-585 (2002. 9.23)

おそらく1950年代中頃の録音。ビル・ドゲットといえば何といっても「ホンキー・トンク」ですが、このアルバムはタイトルから想像するに、ダンスミュージックを提供しているもののようで、かなりソフトでムーディです。大体「フライング・ホーム」は全編フルートだし、次の「ミスティ・ムーン」は思いっ切りチークタイムしています。それでも「ボン・トンズ」のようにかなりファンキーにスウィングする曲もあるし、ドゲットのソウルを感じるオルガンも楽しめます。曲的には「スムーチェ」あたりが一番ドゲットらしいかな。ややムード音楽的な部分もありますが、分かりやすいジャズアルバムと言った感じですか。僕はこういうの、結構好きです。



Bill E Shaw ; Double Monkey Time ; SOUND OF NEW ORLEANS SONO 1064 (2004.11.12)

2004年リリース。クレジットにジョー・クラウンの名前を見つけたんで買ってみました。優しそうな声で、やや軽めのポップなスワンプロックをやっています。ソウルナンバーやレゲエからの影響も大分感じる一方、ブラスの使い方等はいかにもニューオーリンズしていてなかなかイカしてます。曲調がどれも親しみやすいんで聴いていて凄く楽でした。1回目を聴いたときはちょっと印象が薄かったんですが、2順目になるとじわじわ味が出てくる感じ。聴き込んでみたいアルバムです。



Bill Magee Blues Band ; Low Down Dirty Blues ; BILL MAGEE no number (2005.10.27)

2003年リリース。オリジナル曲「ヒア・アイ・カム」の印象は「田舎のロバート・クレイ」ですね。シャラシャラしたバッキングのエイトビートに、ちょっとヒューバート・サムリンを思わせる音質のギターが、ロバートに近い雰囲気を醸し出します。でもダミ声のヴォーカルはまるで異質なんで、やりたいことは分かるけどあんまりマッチしてないなぁ。むしろ同じオリジナルでもどブルースナンバーはなかなか面白いです。一方カヴァー曲は「ジョニー・B.グッド」「ファーザー・オン・アップ・ザ・ロード」「ウォーキン・ザ・ドッグ」とヴァラエティに富んでいて、それぞれ自分の味を充分に出したもの。軽快に飛ばすタジ・マハルの「ブルース・エイント・ナッシング」など見事に消化してると思いました。



Bill Rhoades & The Party Kings ; Voodoo Lovin' OWL 001 (2006. 2. 1)

2005年リリース。ビル・ローズはオレゴン州はポートランドをベースに活動するハーピストで、なかなかタイトなブルースをやります。しっかりしたハーモニカもさることながら、なかなか味のあるヴォーカルが気に入りました。選曲も良く、マディやサニーボーイ、リトル・ウォルターといったシカゴブルースの王道だけでなく、ゲイトマウス・ブラウンの「シー・ウォークス・ライト・イン」や、クリーンヘッド・ヴィンスンの「キドゥニー・シチュー」など、僕の大好きな曲をやってくれてて嬉しいです。後者は妹尾さんのレパートリーでもありますから、何か縁でもあるのかな?バンドも派手さはないですが、ギターもツボを心得ているし、まとまりもいいですね。かなり気に入りました。



Bill Samuels ; 1945-1947 ; CLASSICS 1945-1947 (2004.12. 9)

自らがリードヴォーカルとピアノをやっていたキャッツン・ジャマー・スリー名義の録音が中心です。小粋なジャイヴコーラスとブルースが中心で、「アイ・カヴァー・ザ・ウォーターフロント」「ポート・ワイン」といった軽快な曲がヒットしているほか、「ジャッキー・ブルース」はなかなか軽妙なブルースでイカしてます。この他「オープン・ザ・ドア・リチャード」をとっても激しいノックから始めてます。でも何といっても面白かったのが「ワン・フォー・ザ・マネー」でしたね。だって歌詞が「トゥー・フォー・ザ・ショウ、スリー・トゥ・ゲット・レディ...」って続くんですもの。こんなところに「ブルー・スウェード・シューズ」のヒントがあったなんて。とにかく味のある歌で楽しめました。



Bill Staines ; Bill Staines ; EVOLUTION/BIG PINK VSCD-2165 (2009. 9. 9)

1972年リリースのアルバムのストレートリイシューです。この人はカントリー風味の強いフォーク・シンガーでソングライターですが、この作品ではちょこっとロック的なテイストが強い感じです。歌詞カードがついていて、「ライ・ウィスキー・ジョー」などストーリー性の高い詞で、ワルツの歌も説得力があり、仲々の聴きものでした。全体には音が柔らかく、個人的にはもうちょっと泥臭い感じの方が好きです。




Bill Withers ; Live At Carnegie Hall ; COLUMBIA/LEGACY CK-65431 (2009. 1.19)

1972年秋のライヴ録音です。この頃のビルは冒頭でもやっている「ユーズ・ミー」や中盤のハイライト「リーン・オン・ミー」を大ヒットさせて油の乗りきった時期で、レイ・ジャクソンやジェイムズ・ギャドソンといった名うてのミュージシャンをバックに、アコースティックギターを弾きながら歌っています。スタジオ盤に比べ声がややしゃがれ気味ですが、それだけ気合いが入ってるってことでしょうか。基本的に詞を聴かせる人だと思うので、英語が分からない僕にはちょっと乗りきれないところもありますが、バックの演奏がいいので気持ち良く身を任せることができました。




Billie Holiday ; Body And Soul ; VERVE 589 308-2 (2007. 8. 5)

1957年録音。ベン・ウェブスターやバーニー・ケッセル等をバックに従え、落ち着いて歌います。「身も心も」「ジー・ベイビー,エイント・アイ・グッド・トゥ・ユー?」などのゆったりした曲の表現力はさすがですね。「カムズ・ラヴ」のリズムに身を任せた歌い方も円熟を感じます。この曲はセッションの模様も収録。バーニーのコードワークも気持ちいいです。たまにはこういうのもいいなぁ。



Billy Boy Arnold ; Consolidated Mojo ; ELECTRO-FI 3392 (2005.12. 1)

1992年録音。ビリー・ボーイ・アーノルドと言えば「アイ・エイント・ガット・ユー」「アイ・ウィッシュ・ユー・ウッド」など、R&B色を前面に出した勢いのあるロッキン・ブルースで知られますが、このアルバムは彼のブルースマンとしての魅力を見事に引き出しています。歌声などはかなり落ち着いて渋みを増しているんですが、ラスティ・ジンなどのバックが凄くいいんですよ。この時代にありがちな派手できらびやかな音ではなく、カリフォルニアでの録音なのに、まるで50年代のシカゴのような、木の床のぬくもりを感じるような渋いサウンドで、ビリーの歌やハーモニカにマッチしています。これはプロデューサのマーク・ハメルの狙いだと思うんですが、見事に当たっています。初リリースなんでしょうか?これは当たりの1枚。



Billy Branch & Lurrie Bell & The Sons Of Blues ; Chicago Young Blues Generation ; L&R/EVIDENCE ECD 26114-2 (2001. 7. 5)

1982年シカゴ録音。S.O.B.はALLIGATORの「Living Chicago Blues」で聴いたのが70年代終わりくらいでしたから、本格的に聴くのは久々ですが、この盤のルリーはすごくいいです。上手いとかそういうことより、ほどばしる情熱を感じます。曲はシカゴクラシックが中心で、マジック・サムからの影響を感じますが、とにかく抑えきれない衝動で演奏をしているように思えました。でも決してはちゃめちゃではなく、めりはりをつけていて一気に聴き通せました。もちろんビリーのハープもツボを押さえていて、時にはシュガー・ブルー顔負けのトリッキーなフレーズも飛び出しますが、曲から剥がれず嫌味はありません。ドラムなど、時としておぼつかないところもあるんですが、そんなことはどうでもいい熱い演奏。たった7曲なのが惜しいです。



Billy Branch & The S.O.B.s ; Live '82 ; EVIDENCE ECD-26049-2 (2000. 9.20)

1982年11月15日フランクフルトでのライヴ。サンズ・オヴ・ブルースはALLIGATORの「Living Chicago Blues」で聴いて以来ですが、相変わらず内省的なマイナー調のサウンドが中心です。ルリー・ベルは確かにこうした暗めの歌がはまるんですが、もう少しファンキーなものが僕は好きです。「リコンシダー・ベイビー」もこう重たく唄われちゃうとねぇ。「アイサイト・トゥ・ザ・ブラインド」のずっしりしたヴァージョンはけっこう気に入ったんですが。ベースはJ.W.ウィリアムズ、ラストのボーナストラックではルリーの父キャリーがハープを吹いてます。ビりー・ブランチのハープはテクニカルでエモーショナル、さすがです。



The Sons Of Blues ; As The Years Go Passing By ; BLACK & BLUE BB 461.2 (2004. 1. 6)

1985年フランスはパリで録音されました。メンバーはビリー・ブランチとカール・ウェザーズビーにJ.W. ウィリアムズ等が交代で歌ういつものスタイルです。バスター・ベントンが「イン・ザ・ゲットー」でゲスト参加してます。さすがにかっちりした演奏で、特にビリーの職人芸的ハープがサウンドを締めています。カールのギターも派手さはないですが、いつものアルバート・キング風味を感じさせる落ち着いたプレイを聴かせ、特にJ.W.が見事に歌い上げるタイトル曲でのプレイは、なかなかのもの。オリジナルも多く取り上げていて、バンドの実力をしっかり出しています。でもガツンと来る感じがしないのは、サウンド作りがおとなし目だからかしら。



Billy Branch & The Sons Of Blues ; Mississippi Flashback ; GBW GBW-005 (2005. 3.27)

1992年リリース。日本だけで発売されたSOBのアルバムだけど、かねてから高い完成度で評判が良かったもの。入手は難しいと思っていましたが、ひょんなことから中古盤で発見。ラッキー。さて内容は、いきなりタイトな「アイム・レディ」でスタート。これはいい感じです。途中一部アコースティック曲もありますが、カール・ウェザーズビーのギターとビリー・ブランチのハープが随所で炸裂、しかもこれらがバランスのいいバンドアンサンブルに支えられているので、聴き応えは十分です。「ティン・パン・アリー」のギターソロなんて鳥肌ものです。ラストにタイロン・ディヴィスの「アー・ユー・シリアス」、カールの暖かい魅力的な歌でアルバムの最後がしっかり締っています。とにかく再発の待たれるアルバムといっていいでしょう。



Billy Branch & The Sons Of Blues feat. Carlos Johnson ; Billy Branch And The Sons Of The Blues ; BLUE SUN BS 1035 (2002. 4.29)

出たばかりの新譜ですが、録音は2000年です。SOBはかれこれ20年以上活動しているんですが、ビリー・ブランチ以外のメンバーはいろいろ替わっています。今回はクレジット通りギターにカルロス・ジョンソンを迎えた入魂の一作となりました。ビリーのテクニカルだけれども魂のこもった多彩なハープに、カルロスの音温度の高い、しかもモダニズムを感じるギターの絡みが一番の聴き所です。「メッシン・ウィズ・ザ・キッド」「アイ・ドント・ワント・マッチ」(「ジャスト・ア・リトル・ビット」です)などのシカゴのR&B系ブルースの「定番」のスピード感は流石クラブ叩き上げといった感じですし、「トルビュート・トゥ・ザ・ブギ・マン」あたりもクラブでやったら受けるだろう内容で、実に現場感覚で好感がもてました。ただし全体にヴォーカルが演奏ほどの迫力がないのと、録音のエコーがちょっと強いかな?もっとドライでもいいかと思いました。なおこの盤については、日本への紹介者とも言うべき江戸川スリムさんの紹介をご覧ください。



Billy Branch & Carlos Johnson ; Don't Mess With The Bluesmen ; P-VINE PCD-25020 (2004. 5.26)

2004年リリース。当代シカゴきってのギタリストということを、オーティス・ラッシュのサポートメンバーとして日本でも改めて再認識させてくれたカルロス、リーダー作に恵まれていなかったんですが、ビリー・ブランチとの双頭アルバムの形で素晴らしいスタジオ盤ができました。ヴォーカルをほぼ半々に取り合いながら、カルロスのギターとビリーのハープは、いずれもテクニック抜群でありながらそれに溺れることのないエモーショナルなプレイを展開しています。ファンクありジャズありで、ガーシュインの「サマータイム」までやっていますが、アリヨの的確なプロデュースもあって完成度の高いアルバムになっており、特にカルロスのセンスの良さが随所に光っています。2人ともやや歌が弱いんですが、そんなことを忘れさせる好盤。でもカルロスは生の方がもっと凄かったですけどね。



Billy Branch & The Son Of Blues ; Live & Kicking! At Rosa's Rounge ; P-VINE PCD-25097 (2009. 8. 6)

2007年のライヴです。いきなり「ゴーイン・ダウン」からスタート。前半はビリーがシカゴ・ブルースの有名どころを歌っていきます。演奏は完璧といっていいコンビネーションで安心して聴いていられます。「チキン・ヘッド」なんか嬉しかったな。途中ドラムのモーズ・ルトゥースが「フーズ・メイキン・ラヴ」を歌い、そしてビリーが物真似を交えながら、シカゴのブルースマン達を歌い込んだ「ニュー・キッド・オン・ザ・ブロック」をやります。これは格好いいですね。さらに何と日本語のブルースが登場!アリヨがシカゴでの生活を歌ったその名もズバリ「ウィンディ・シティ」。次にブギウギに合わせてベースのニック・チャールズが歌ってクライマックスへ。ラストはリー・オスカーのインストでクールダウン。素晴らしいハーモニカの音色です。よく練り込まれたライヴです。こんなパッケージショーならいつでも見に行くんですけどね。




Billy Butler ; The Right Tracks ; OKEH/KENT CDKEND 280 (2007. 8.18)

1963〜66年の録音集。このビリー・バトラーはジェリー・バトラーの弟で、兄譲りの伸びやかな声でソウルフルに歌います。活動場所は当然シカゴで、フォー・エンチャンターズ、エンチャンターズ、チャンターズとメンバーの人数が変わりながらチーム名も変わっていきます。インプレッションズとのつながりもあり、カーティス・メイフィールドの書いた1965年の「アイ・キャント・ワーク・ノー・ロンガー」は大ヒット、そのコーラスワークはインプレッションズ譲りです。ソロ名義の「ライト・トラック」もヒットしましたが、MOTOWNの影響を感じる曲です。アップテンポな曲に魅力的なものが多いですが、「トゥ・ビー・オラ・ノット・トゥ・ビー」のようなファルセットを利かせたバラードもいけます。終盤にカラオケが入ってますが、ギターはカーティスなのかな。



Billy C. Farlow & Bleu Jackson ; Blue Highway ; TAXIM TX 1016-2 TA (2002. 9.21)

1995年リリース。白人二人組をメインに据えたブルースをベースにした音楽です。リゾネイタを使ったアコースティックなギターサウンドと、リトルフィートを思わせるようなスライドに、生ハープが絡んだサウンド作りは、とげとげしい感じがなく、男臭いけどどこか柔らかい印象です。全体に響きが明るいのは無理に黒人ブルースに入れこもうとせず、自分たちの土俵に近いところにサウンドを引っ張り込んでいるためのように思えました。タイトル曲のちょっとカントリータッチな雰囲気などその代表です。強烈なインパクトはないですがジワッと染みました。



Billy Eckstine ; The Legendary Big Band ; SAVOY JAZZ SVY 17125 (2005. 8.10)

1944〜47年録音の2枚組です。タイトル通りビリーが自身の素晴らしいビッグバンドをバックに、見事なヴェルヴェット・ヴォイスを響かせます。バンドのメンバーが豪華で、ディジー・ガレスピー、バド・ジョンソン、デクスター・ゴードン、ジーン・アモンズ、そしてアート・ブレイキーと後のモダンジャズを支える人々の名前がごっそり出てきます。このバンドが登竜門だったようですね。またサラ・ヴォーンの歌も2曲収録。ビリー自身もトロンボーンを吹くゴージャスなバンドサウンドに酔いしれてしまいました。特にブルース好きな僕はやっぱり「ジェリー・ジェリー」の名唱には痺れますね。1947年になるとバンドはコンボ化していますが、タイトでジャンプする「ブルース・フォー・セイル」はジョニー・ギター・ワトソンの「ホット・リトル・ママ」に受け継がれていく活きの良さを感じますし、一方ムーディな「ソフィスティケイテッド・レディ」ではそのヴォーカルの本領発揮といったところでしょう。



Billy Gibson ; The Nearness Of You ; INSIDE MEMPHIS ISC-0512 (2005.11.13)

2001年リリース。BSR66号に最新盤が紹介されていたメンフィスのハーモニカプレイヤーなんですが、新譜が届く前にこちらを聴いたら、これはジャズアルバムですね。割合落ち着いた、あんまりトリッキーなことをしないメンバーをバックにして、トゥーツ・シールマンあたりを思わせるクリーンな複音ハーモニカのサウンドが印象的です。ジャケットの通り大人の雰囲気満載。ハーモニカのテクニックはかなりなもので、J.J.ミルトゥのようにいろいろやらず、ひとつの路線を貫いている分アルバムに統一感があります。また何曲か歌いますが、ナット・キング・コールあたりに影響されたような、ちょっと粘りのあるヴォーカル、これはジャズサウンドには上手くマッチしていると思いました。凄くインパクトのある音楽じゃないですが、さらっとBGM的に聴くには手頃な感じがしました。



The Billy Gibson Band ; The Billy Gibson Band ; INSIDE SOUNDS ISC-0523 (2005.11.29)

2005年リリース。今回はブルースバンドを作ってやってます。シュガー・ブルーにも劣らないテクニックを披露していますが、そこまで吹きまくるわけではなく、ハーモニカに歌心を感じます。また、歌か上手いので聴いていて安心できます。ブルースの歌というよりは上手な歌手って感じですが。バンドはタイトでかなりイカしていて、彼の上手さを見事に盛り立てるかんじ。確かに上手すぎて逆に味わいに欠けるなんて意見も出てきそうですが、これはひとつの行き方としていいと思います。だって安心して聴いていられるんだもの。小さなクラブか何かでライヴ見たらノックアウトされそう。



Billy Iuso ; Restless Natives ; N'AWLINS MUSIC BIRN01 (2005. 8.29)

2004年リリース。まずバックを固めるメンバーに注目です。なにしろドラムがウィリー・グリーンなんですよ。これがバンドのサウンドを引き締めます。ジャズっぽい演奏もあるんですが、ドラムのタイトさは彼ならではですね。そして選曲がいいなぁ。いきなりウェット・ウィリーの「キープ・オン・スマイリン」ですよ。ビリーのギターはなかなかすっ飛んでてユニーク。最後に子供の声でタイトルを入れる遊びつきです。歌もめちゃくちゃ上手いわけじゃないけど不思議な味があります。また嬉しい選曲が「スパニッシュ・ムーン」ですね。ここではブラスセクションが活躍するんですが、そのセカンドライン振りは半端じゃないです。だってカーク・ジョゼフがスーザホーンで低音を支えているんですから。トータルにセカンドラインの香りがしっかりしていて、でもどこか落ち着きのあるサウンドはかなり魅力的です。



Billy Preston ; Billys Bag ; VEE-JAY/SHOUT! 231 (2009. 5. 6)

1963〜66年のファンキーなインスト・ナンバーを集めたものです。短いイントロから「ソウル・ダービー」というワルツで始まります。いわゆるオルガン・ジャズ的な曲もありますけど、もっとR&B感覚が強く、ポップな味付けがあるのがビリーらしいところです。特に「ショットガン」はジュニア・ウォーカーのいいところをみんないただいちゃったといったアレンジでかっこいい!こうした活動のあと、ビートルズやストーンズといったロック勢に引っ張りだこになり、人気者になっていくんですね。




Billy Preston ; The Most Exciting Organ Ever ; VEE-JAY/P-VINE PCD-4339 (2006. 9.19)

1965年リリースだと思います。このVEE-JAYでの第1作を録音したとき、プレストンはわずか18才!しかし小さいときから教会でオルガンを弾き、「セント・ルイス・ブルース」というW.C.ハンディの伝記映画で子供時代を演じていた(昔深夜映画でやってたのをヴィデオに録ったんですが、友達に貸したまま戻ってきません)キャリアは伊達じゃないですね。「イフ・アイ・ハッド・ア・ハンマー」「スリッピン&スライディン」「ドゥロウン・イン・マイ・オウン・ティアーズ」といったカヴァーに、「ビリーズ・ラグ」「ステディ・ゲティン・イット」などのオリジナルのインストナンバーがてんこ盛り。ゴスペルフィールたっぷりなオルガンのフレーズだけど、どこかロックとの相性の良さそうなフレーズがのちのビリーのクロスオーヴァーな活動を予告しているみたいです。でも「レット・ミー・ノウ」、確かに凝りゃ「真っ赤な太陽」ですね。今度原信夫さんに真相を尋ねてみようかしら。



Billy Preston ; Early Hits Of 1965 ; VEE-JAY/P-VINE PCD-4340 (2006. 9. 1)

タイトル通り、ビリー・プレストンが65年上半期のヒットをオルガンで奏でたインストアルバムです。シュープリームズの「ストップ・イン・ザ・ネイム・オヴ・ラヴ」やテンプスの「マイ・ガール」、ジュニア・ウォーカーの「ショットガン」など、MOTOWNの曲が多いため、邦題は「プレイズ・モータウン・ヒッツ&モア」なんてなってますが、007映画音楽の「ゴールドフィンガー」、ビートルズ、ハーム&ハーミッツ、ライチャス・ブラザーズの「ふられた気持ち」、そしてぺトラ・クラークの「ダウンタウン」と、ジャンルにこだわらない選曲です。リズム隊などバックの演奏はちょっと野暮ったさを感じるんですが、ビリーのオルガンは当時ティーンエイジャーとは思えない存在感があります。テクニックがどうのこうのというより、音色とかちょっと癖のあるフレーズとかが、イージーリスニングと決別しているんです。下世話といってもいいかもしれません。やはりただ者じゃないですね。こうしたジャズとは違うセンスが、のちのビートルズやストーンズと共演し、ポップチャートをにぎあわせる活躍につながったんだろうと思います。しかし享年59才で先日世を去りました。もっとやってて欲しかった人です。



Billy Preston ; Ultimate Collection ; HIP-O/UNIVERSAL UICY-1184 (2006. 2.24)

1972〜82年の、ビリーがソロアーティストとして最も売れていた時代のベストです。ビートルズやローリング・ストーンズとの共演で、非黒人にも知名度が高かったビリーは、10才で子役デビューするなど芸歴も長いんですが、ポップでの大ヒット「ウィル・イット・ゴー・ラウンド・イン・サークルズ」「ナッシング・フロム・ナッシング」と、R&B出の大ヒット「アウタ・スペース」「スペース・レース」のタッチの違いがまず面白いです。後者の方がやはりぐっとファンクネスを感じました。キーボードの多彩な音色を駆使してサウンドを生み出す姿勢はもっと評価されてもいいと思います。また「ユア・ソー・ビューティフル」なんて名バラードも入っていて、彼の多彩さを感じました。



Billy Ray Charles ; Sweet, Black And Hot ; MISS BUTCH/MARDI GRAS MB 4012 (2003. 1.17)

2000年リリース。なんとなくラフなジャケットに惹かれて買いましたが、これは不思議なアルバムです。MALACOでもやれそうなサザンフィーリング溢れるソウルフルなヴォーカルを、打ち込みのリズム隊とシンセによる「ホーン」、これにわりとあっさりしたギターで音作りをしているのかなって最初は思ったんですが、2曲目になると俄然ファンクしてきます。それもP-ファンクを思わせるダルな感じで、突然クウィーンの「アナザー・ワン・バイト・ザ・ダスト」の一節が飛び出して仰天!さらに少し昔のヒップホップのような曲もあり、打ち込みならではの雰囲気になっています。でもヴォーカルはかなりうまく、しかもオールドスクールなのにこうしたアレンジにもうまく対応しているんです。妙に耳に残るアルバムでした。



Billy Ward & His Dominoes ; Sixty Minute Men ; RHINO R2 71509 (2004. 2. 8)

1950〜57年にかけてのベスト盤。さすがRHINOといった仕事ぶりです。目当てはもちろんタイトルにも使われている「シックスティ・ミニッツ・マン」だったんですが、クライド・マクファーターの伸びやかなリードがたっぷり聴けました。思ったよりしっとりした曲が多く、またバックの演奏がいかのもにも50年代KINGといった、ロイ・ブラウンあたりに通じるものでありながら、どこか洗練されたコーラスチューンになってるのはさすがです。クライドが去った後釜のジャッキー・ウィルソンのリードも魅力的です。



The Dominoes ; Juke Box Hits 1951-1957 ; ACROBAT ACMCD 4306 (2008.11.12)

大ヒット「60分男」で有名なドミノーズですが、冒頭の「ドゥ・サムシング・フォー・ミー」なんて素晴らしいバラードもあり、この時代のコーラス・グループらしくリズム・ナンバーとの2本柱ですね。でもリズムナンバーはさすがFEDERAL系と言いますか、バンドのノリが抜群で、やっぱりそっちの方が僕は好きです。もちろんじっくり聴かせる「天国のクリスマス」なんて季節ものもあるんですが。KING系列を離れたあとは何故かスタンダード路線に走って、「スターダスト」とか「ディープ・パープル」が収録されてるんですが、何かもうひとつ魅力が出ていない気がしました。




Bing Crosby ; Out Of Nowhere ; LONDON 820 553-2 (2006. 2. 6)

1931〜33年の録音で、ミルス・ブラザーズとの共演を含みます。ブラックミュージックに比べ、ビングの歌はスムーズですが、こうしてまとめて聴くと味わいがあります。大体「ホワイト・クリスマス」位しか聴いたことがなかったんですが、ふっくらと暖かく、大人の男の優しさがにじみ出た、でも決して甘すぎない歌い口は、そのミュージカルに通じる曲調や、ゴージャスなバックとよくマッチしています。当然バラードが中心ですが、力みのない歌にはほっとします。特に「トライ・ア・リトル・テンダネス」は、オーティス・レディング〜上田正樹路線しか聴いたことのない人に、是非一度聴いてもらいたいですね。この穏やかな曲を、あれだけソウルフルにしたわけですが、でもこの穏やかさがベースにあるからこそ、曲に魅力が出たんじゃないでしょうか。やはり食わず嫌いをしなくてよかったと思いました。



Biscuit Miller ; Come Together ; BLUE BASS ENTERTAINMENT BBE001(2003. 2. 5)

2002年リリース。ビスケットはシカゴのベーシストで、おそらく現在40才位の脂の乗り切った世代だと思われます。基本はブルースですが、この世代ならではのファンクネスを感じます。歌は特段うまいって感じじゃないですが、優しさを感じさせるもので好感を持ちました。基本的にかなり明るいイメージの曲が多く、ネリー・トラヴィスとデュエットする「レッツ・ゴー・フィッシング」なんて陽気そのものです。ジョアンナ・コナーのスライドがかっこいい「ステイ・イン・ザ・ハウス・ブルース」はエルヴィン・ビショップの「西瓜泥棒」を思わせるスワンピーな雰囲気。ギターバトルのような弾きまくりの「ヘヴン・ノウズ」、アルバートキングがやってるみたいな「ハウリング・フォー・マイ・ダーリング」と、ちょっとまとまりのない選曲ですが、さすがベーシストのアルバム、まろやかだけどボトムの効いたベースが曲をバッチリ締めています。



Black Bottom Blues Band ; ハッピー ラッシュ! ; VICTOR VICL-61192 (2003. 9.10)

2003年リリース。まず冒頭のテキーラの演奏にのった浜村淳の「祝!」がたまりませんねぇ。名調子の「さて皆さん」連発で、ここまでやるかって感じですが、BBBBの下世話さが実に上手く出た「掴み」で座布団5枚!トータスの「「イッツ・ソー・イージー!」も彼らしい歌詞と曲なんですが、BBBBの演奏と絶妙にマッチするから不思議です。ゲストには他にもリップ・スライム、ビギンなどが入っているんですが、完全にBBBBの世界に相手を引きずり込んでいます。ファンク、ヒップホップと何が来てもできちゃう上にこのカラー、その下世話さではダーティ・ダズンも真っ青かもしれません。和風コテコテのジャケといい、こりゃ百点満点!



Black Joe Lewis & The Honeybears ; Tell 'Em What your Name Is! ; P-VINE PCD-20046 (2009. 7.16)

2009年リリース。いきなりタイトなリズムに絞り出すような声のヴォーカル、ブラスは雑さがあるけど豪快。題して「ガレージ・ファンク」と言うそうだけど、雰囲気は1960年代後半のB級ファンキー路線に、ちょこっとロック的なエッセンスを加えた感じですね。いわゆるドロッとした黒さを感じさせないのが持ち味で、いかにもローカルな、でも場数をたくさん踏んでいる音です。ギターのチープに歪んだ感じがガレージの所以なのかな。そして思ったよりもずっとブルースを感じました。




Blind Arvella Gray ; The Singing Drifter ; CONJUROO 001 (2006. 1. 1)

多分1972年に録音されてリリースされたLPに未発表を4曲加えたものです。アーヴェラ・グレイはテキサス出身で、シカゴのマックスウェル・ストリートなどで活動していたようです。メタルボディのリゾネイタを掻き鳴らしながら、実にタフな声でトラディッショナル・ナンバーやゴスペルを歌い、時には手拍子だけのア・カペラで歌います。ブラインド・ウィリー・ジョンソンが生き残っていたらこんな感じだったのではと思わせる迫力があり、多分生で聴いたらもっと凄かったんでしょうね。「聖者が街にやってくる」なんて曲もやってます。



Blind Lemon Jefferson ; Got The Blues / King Of The Blues 1-2 ; P-VINE PCD-2437 (2000. 6.14)

1925〜27年録音。中古で購入、実は買いそびれて探してたんです。ラッキー!ロバート・ジョンソンをコピーして演奏する人はかなり多いですが、ブラインド・レモンをコピーする人はあまり知りません。それだけレモンは自由なんだと思います。割と高く、哀愁を帯びた、でも鈍重でないヴォーカルを縫うようにして、自由奔放にうねるギター。「ブラック・スネーク・モーン」はそんな曲の代表でしょう。「マッチボックス」も2ヴァージョン入っていますが、なんとなく感じるやるせなさがたまりません。その他「コリーナ」が「C.C.ライダー」だったり、スピリチュアルが会ったりと、興味は尽きません。


Blindside Blues Band ; Raised On Rock ; GROOVEYARD GYR065 (2010. 9.27)

2010年リリース。バンド名に騙されましたが、アルバムタイトルの方が正しいですね。ギブソンにマーシャルといった黄金の組み合わせによるディストーションたっぷりのギターサウンドの上に、何ともこなれない大仰な歌が乗ってます。「チャイルド・オヴ・ザ・サン」などを聴けば、確かに根っこにブルースがいることは分かるんですけど、それを言ったら大概のロックの根っこにブルースがいますから。う〜ん、息子に聴かせたらなんと言うかなぁ。僕には面白くないアルバムでした。




Bluebirds ; Walkin' On Thrills ; LAST BUZZ BUZZ-8007 (2000. 3.18)

スウェーデンのロッキン・ブルース・バンドの1st.1997年録音、全編サザン・ビートを感じさせるリズムに乗って、御機嫌なサウンドで疾走してます。ファヴュラス・サンダーバーズに通じるサウンドです。これははまります。細部にこだわらず、トータルな音で勝負するこのバンドの姿勢は気持ちがいいです。曲はオリジナル中心ですが、嫌味は全くなし。お薦めの1枚!


Bluebirds ; Oh Baby! ; BLUE VIBE BV-01 (2000. 4.22)

3.18で紹介したスウェーデンのロッキン・ブルース・バンドの2nd.1999年リリース、ややオーヴァーロード気味で心地よくエコーの効いた録音が、バンドのビート感を高めています。前作より幅を増した感じで、特にロカビリー風の歌やマイナーブルースも登場しますが、いずれも違和感なく聴けます。グッピーのマスター(店にあります)も気に入った好盤。車で高速を走っているときに聴くと御機嫌で、ついついアクセルを煽りそうです。


Bluebirds ; Sweet Jumbouree ; MARIANN GREMMOFON MLPCD 3313 (2002. 5.24)

2001年リリース。このスウェーデンのロッキン・バンド、これが3作目です。前作よりシンプルなブラスがバックに入った曲が増えた分、ちょっとメリハリが薄れ、ややソフトになった感じはしますが、サザンビートに通じるグリグリしたギターのボトムリフは健在です。バドのネオンかなんかがあるレトロなフロア付きのバーで、カウンタで一杯やりながらジュークボックスで聴いたらいいなって感じの曲が満載ですね。オリジナルが中心なんですが、アート・ネヴィルの「ウー・ウィー・ベイビー」、フランキー・フォードというかヒューイ・スミスの「シー・クルーズ」などニューオーリンズ系の曲を取り上げているのが、今後の方向を見せているのかもしれません。このファビュラス・サンダーバーズに通じるサザンなロッキン・ブルース指向のバンド、もっと日本でも知られて欲しいですね。スウェーデンのバンドだからって聴かず嫌いしている人、だまされてみてください。



Bluebirds ; High Performance ; BLUE VIBE BV-02(2003. 7. 8)

2003年にリリースされたスウェーデンきってのロッキン・ブルース・バンドの新作です。メンバーが3人になり、演奏はかえってタイトになりました。録音自体はキーボード、ハーモニカ、さらに曲によってはブラスも入っていますが、基本的にトリオ演奏を意識した曲構成で、気持ち良く歪んだギターとラウドに響くドラムが生み出すファビュラス・サンダーバーズ直系のロッキンサウンドは、健在どころかますます磨きがかかったようです。ここまでワンパターンで押していく自信がタイトルにも現れているように思いますが、とにかく気持ちいいの一言です。まさにノーギミック、直球一本槍でビシビシ三振を取るピッチャーみたい。FTBフォロアーでいいじゃないですか!これだけ突き抜けてれば見事と言えます。1st.のシンプルなノリに戻った感じで最高に気に入りました。



Bluebone ; Radio ; BLUEBONE no number (2005.11. 3)

2005年リリース。冒頭のスティールギターの入った、カントリーの雰囲気漂うポップなタイトル曲を聴いていると、こりゃはずれたかと思いましたが、どんどん聴いていくと勢いのあるロックンロールやグルーヴのあるロックサウンドがつまったなかなかの好盤で一安心です。適度なブルースフレイヴァーも僕の好みに合ってますし。4人組ですが多重録音でキーボードなどを加え、サウンドはシンプルながら良く練り込まれています。久しぶりに「アメリカン・ロック」という言葉を思い出しました。ラストの「ホットハウス」でのリゾネイターによるスライドも良い音していますし。こんなバンドがアメリカにはごろごろしてるんでしょうね。実力は十分で、ブレイクするのは運次第ってところなんでしょうか。まあインパクトの強い曲がないっていえば、確かにそうなんですが、聴いていて気持ちの良いアルバムです。



Bluerunners ; Le Grand Bleu ; LOUISIANA RED HOT LRHR 1137 (2003. 8. 7)

2001年リリース。このバンドはケイジャン・ロックとでも表現するのが一番ではないでしょうか。結構重厚なエレクトリック・サウンドにアコーディオンが絡み、如何にもケイジャンの伝統を感じる歌い回しが分厚い音になって出てくるのはなかなか気持ちがいいです。2曲でサニー・ランドレスとマイケル・ドゥーセが加わっていますが、全然違和感がなくしっくりはまっています。丁寧な音作りと自分たちのルーツに対する深い愛情を感じました。



The Blues Crusaders ; The Blues Crusaders Vol. 1 ; NO COVER NCP0006 (2003. 1.16)

おそらく1990年代後半の録音でしょう。このバンドは多分デトロイトのローカルバンドだと思うんですが、ヴォーカルに黒人のアーダとおそらく白人のダイアナ・マリーというふたりの女性を擁しています。アーダはかなり粘っこい歌い方で、如何にもゴスペル出身といったパンチを感じさせます。一方ダイアナはもう少し線が細い感じですが、ビート感があり、「アイド・ラザー・ゴー・ブラインド」を難なくこなすなど、ふたりともかなり歌えます。バンドはジャズの素養も感じる技術のしっかりしたサウンドを聴かせ、フロントを盛り立てます。ソウルフルなチューンに魅力を感じました。アメリカにはこんなバンドがごろごろしているんでしょうね。生で見たいなぁ。



Blues.The-Butcher-5690213 ; Spoonful ; P-VINE PCD-26024 (2008. 6.27)

2008年リリース。永井隆が新しく始めたブルースバンドです。バックにKOTEZ、沼澤尚、中條卓を加え、しっかりとした土台の上に立つホトケがさてどれだけのものを聴かせてくれるかなと思って聴きました。まず選曲は非常にオーソドックス。冒頭の「ソー・メニー・ローズ」など、オーティス・ラッシュに負けじと情感を込めて歌いますが、それが過剰でないのがいいですね。ギターも良い音しています。「スリッピン&スライディン」あたりでは沼澤のドラムの良さが引き立っていますし、一通り聴いたところで納得の出来でした。でも、さてこれを僕は何度も聴くかというと、あんまりそういう気になれないんです。味わいのある音だけどスリルのない永井のギターは、やっぱりギタリスト入れたほうが良かったんじゃないかなと思いますし、彼の歌も、まあ変わらぬ個性なんですけど、「味」を意識しすぎてかえってストレートさに欠けちゃってるようにも思えるんです。こればっかりは好みの問題だと思うんですけどね。



Blues.The-Bucher-590213 ; Mojo Boogie ; P-VINE PCD-27002 (2009. 6.16)

2009年リリースのセカンド・アルバムです。まず驚いたのは永井隆のギターです。前作では音色やフィーリングは良かったんですが、やっぱりフレーズが物足りませんでした。しかし本作では聴き違えるほどの素晴らしいギターになっています。むしろヴォーカルが大仰で僕は苦手ですね。リズム隊は申し分なく、もちろんKOTEZのハーモニカもディープなフィーリングを感じさせます。選曲はシカゴ・ブルースが最も多いですが、それににとどまらず、ルイジアナからB.B.キングまで幅広く、リトル・リチャードまで取り上げるなど意欲的です。




Blues.The-Butcher-590213 + Monsieur Kamayatsu ; Rockin' With Monsieur ; P-VINE 18578 (2009. 9.15)

2009年リリース。ムッシュ・カマヤツ、子供の頃から好きだったんです。グループサウンズではスパイダーズがダントツで好きでしたし。そのムッシュがブルース・ザ・ブッチャーと共演ということで、期待して聴きましたが、いやいや、仲々の出来です。やっぱりムッシュのルーズでダルな歌が絶妙で、見事にはまっています。「ウォーキン・ザ・ドッグ」の緩さなんか最高!こんなに力の抜けた「フーチー・クーチー・マン」も初めてですし。ホトケのギターもどんどん良くなっていますね。そのホトケも「ディンプルズ」「ユー・ゴット・ミー・ディジー」「カンザス・シティ」でヴォーカル取ってますが、ムッシュの緩さの前では彼ですら若さを感じてしまいます。




Bluestone Co. ; Bluestone Co. ; BIG STONE RDCA-1004 (2006.12.27)

2006年リリース。クリス・デュアーテ参加というので興味を持ちました。冒頭いきなり「モビー・ディック」を思わせる格好いいインストで身を乗り出しました。バンドは日本人4人のジャム系ブルースロック・バンドで、全7曲のうち中の5曲にクリスが歌とギターで参加。勢いのあるスライドも披露しています。ただ、歌詞はクリス自身が作ったとはいえ、本人のアルバムに比べ歌がこなれていない感じで、テクニックは抜群だけどどこか個性を感じないバンドの音と相まって、全然印象に残りませんでした。途中クリーム時代のクラプトンとかを思わせるフレーズなども出るんですけどね。ギターのトーンに色気がなく、大きなフレーズとかが足らない気がしました。



Bo Carter ; Banana In Your Fruit Basket ; YAZOO 1064 (2009. 8.31)

1931〜36年録音。ミシシッピ・シークスのボー・カーターが歌ったちょっとエッチなダブルミーニングなブルース集です。なにしろタイトル曲以外にも、「君のクッションの中のピン」だとか「俺の鉛筆はもう書けない」「パンツの中の蟻ん子達」ですからねぇ。端整なギターと、落ち着いた歌なんですけど、こんな際どい歌を唄ってるわけですから、これは結構ライヴなんかでは人気があったんでしょうね。当時のブラック・エンターティンメントのいい意味での下世話さがよく出ています。




Bo Diddley ; Bo Diddley Is A Gunslinger ; CHESS/GEFFENB0001761-02 (2008. 7.23)

1959〜60年の作品集で、オリジナルアルバムにボーナスが5曲加わっています。例によってトレモロをたっぷり効かせたギターでジャングル・ビートを刻み、ノリのいい演奏を聴かせていますが、中にはポップなバラード「サムホウェア」「ノー・モア・ラヴィン」とかも入っています。でも「16トン」までジャングルビートでやっちゃうっていうのには恐れ入りました。ボーナスの「ワーキング・マン」はワークソングのような掛け声をバックに入れたユニークなブルース。時代的にはちょうど過渡期で、いろいろ模索を始めた頃かなって印象です。




Bo Diddley ; The Black Gladiator ; CHESS/UNIVERSAL UICY-93300 (2007. 9. 3)

1970年リリース。全編ロック的なエイトビートのリズムに乗って、ややクランチのかかったギターのカッティングに歌とオルガンが絡むサウンド。オルガンの感じはどこかドアーズを思い出しちゃったりします。ディドリー・ビートっぽい「ユー・ボー・ディドリー」なんて曲もありますが、ジャラっとした60年代ファンキー・サウンドのようなエイトビートが強烈に腰に来ます。ロックに媚びた演奏だなんて評されることもあるようですが、どっこい漆黒のサウンドだと思うのですが。ジャケットで口からコブラを出してる絵が何とも象徴的です。



Bo Diddley ; Where It All Began ; CHESS/UNIVERSAL UICY-93310 (2007.10.17)

1971年ニューヨーク録音で、プロデューサはボブ・ギャロです。まず冒頭のザ・バンドの「ザ・シェイプ・アイム・イン」がいい感じ。オリジナルの良さを損なうことなく、実はしっかりしたボーの声がよくマッチしています。C.C.R.を3曲やってますが、やっぱり自分の「ビフォア・ユー・アキューズ・ミー」を取り上げたからでしょうか?でもストーンズはやってませんがね。「バッド・ムーン・ライジング」はちょっと違うかなと思いましたが、「ダウン・オン・ザ・コーナー」のカヴァーは見事。この曲って実際に演奏してみると結構難しい曲なんですよ。この他ブラッド・スウェット&ティアーズの曲を作者自身のオルガンを交えてやったりしてます。またオリジナルの跳ね具合も良好で、かなり楽しめるアルバムになってます。



Bo Diddley ; Another Dimension ; CHESS/UNIVERSAL UICY-93311 (2007.10.20)

1972年リリース。いきなりディドリー・ビートに名前を連呼する女性コーラスで思いっ切り盛り上がりますが、このドラムは何とジョニー・オーティス。この作品はジョニーのプロデュースでロサンゼルス録音です。時折スライ&ファミリー・ストーンを思わせるコーラスが入ってますけど、ビートはファンキーながらぐっと暖かい感じのもので、ボーの声に良く合ってます。ギターはシュギー・オーティス。フォンテラ・バスとボビー・マクルーアのヒット「ア・グッド・シング」(原題は「ドント・メス・アップ・ア...」)もコーラスが格好いい。ギター弾きまくりの「バッド・トリップ」、跳ねるリズムがめちゃめちゃ格好いい「ヘイ・ジェローム」など変化のある曲が並んでるけど、統一感もある見事なアルバムです。ラストの「ボー・ディドリー・アイティス」、最初のギターはディドリー・ボーを意識してるのかな。



Bo Diddley ; Big Bad Bo ; CHESS/UNIVERSAL UICY-93301 (2007. 9. 4)

1974年リリース。これは完全なファンク・アルバムです。全体にタイトなリズムが溢れていて、シンプルなギターのリフもリズムをぐっと強調しています。歌やメロディが割合ポップで、やや重心が高めなのがボーらしいですが、ニューオーリンズのファンクとこの時期のジョニー・ギター・ワトソンを足して2で割ったような雰囲気もあり、そのチープさがたまりません。やっぱりこの人はブルースやロケンロールなどという狭い枠で考えてはいけないなぁと改めて思いました。



The Bo-Keys ; The Royal Sessions ; YELLOW DOG/BUFFALO BUF-502 (2003.10.25)

2003年リリース。ボー・キーズという名前から分かるように、メンフィス・ソウルを支えたバンドマン達が結成したインスト・バンドで、ベースのスコット・ボナーをリーダーに、もとバーケイズのロニー・ウィリアムズのオルガン、アイザック・ヘイズ・バンドのチャカポコギタリストのスキップ・ピッツ、それにブルース・ブラザーズ・バンドで有名になったウィリー・ホールのドラムといった強力なリズムセクションに、若手のホーンが絡んでいます。オリジナルが半分程ですが、これらの曲も実にメンフィス臭くていい感じ。でもカヴァーがかっこいいです。冒頭の「カミン・ホーム・ベイビー」のどっしりしたファンキーさ、キングズ・オヴ・リズムの来日でもやっていたジミー・スミスの「バック・アット・ザ・チキン・シャック」のゆったり具合なんか一朝一夕では出せない味です。古き良き時代の音楽をしっかり再現しながら、コンガを絡めたりちょっとヒップなヴォーカルが出たり、しっかり21世紀のサウンドになっているのがさすがです。



Bob Brozman ; Hello Central... Give Me Dr. Jazz ; ROUNDER/VIVID SOUND VSCD-134 (2006. 8.18)

1985年ROUNDER第1作のリイシューです。ブロズマンが得意のメタルボディ・リゾネイタを存分に鳴らしているんですが、この作品あたりだと変にテクニックに走るのではなく、ブルース、オールド・ジャズ・ハワイアンといった、ノスタルジーの溢れる、スライドが生きる音楽を、見事な腕前でプレイしていきます。ヴォーカルにも大仰さはなく、この頃のブロズマンは楽しく聴けますね。またピアノになんとジョージ・ウィンストンが参加しています。当時飛ぶ鳥を落とす勢いだった彼が、結構ブルース好きというのは知る人ぞ知る話で、見事なサポートぶりを聴かせています。



Bob Brozman ; Devil's Slide ; ROUNDER CD 11557 (2004. 4. 3)

1988年リリース。タイトル通りのジャケットと、スライドオンパレードのアルバムなんですが、ジャケットにも書いてある通り、ブルースとハワイアンとカリプソにジャズ、さらにはカントリーまでゴチャッとまぜこぜにしたアルバムです。ちょっと内田勘太郎に似たスライドの音なんで、彼のファンや憂歌団が好きな人には取っ付きやすいと思います。タイトル曲はオールドタイムなジャズ風味で、全体としてはボードビリアンのような感じですか。面白いのはカリプソで、こんなにスライドがはまるとは思いませんでした。12弦を使ったりリゾネイタを使ったりと音にも変化があり、とにかくこんな人が街角で演奏していたら僕は当分そこから立ち去ることができませんね。



Bob Brozman ; Blues Reflex ; RUF 1109 (2006. 8.11)

2005年リリース。メタルボディのリゾネイタを始めとし、ワイゼンボーン、トライコーンなどを駆使して、超絶テクニックでブルースを中心としたレパートリーをこなしています。はっきりいってめちゃめちゃ上手いです。DVDとかで見てみたい。でもブルースとして聞こえてこないんですよね。それは歌なんです。決して下手ではなくて、けっこうしっかりした声で、歌い廻しも巧みなんですけど、歌の後ろになんの感情も感じられないのは気のせいでしょうか。ですからブルースでないレパートリーの方が聴いていてほっとできました。



Bob Brozman ; Post Industrial Blues ; RUF 1133 (2007.12. 7)

2007年リリース。「脱工業化のブルース」と名付けられた本作、ボブのスライド・マニアぶりが存分に発揮されています。リゾネイタ各種(ウクレレまでリゾ)の他、チャトゥランギ、ガンダルヴィといったインドの多弦楽器、さらにはバンジョーまで登場しています。歌はオリジナル中心で、カトリーナやイラク戦争を歌うなど、タイトルにある文明批判的な要素がたっぷりで、いかにもインテリなボブらしい内容。でもこの人の歌からはあんまりブルースが伝わってこないんです。背景にあるスパニッシュ〜ラテンサウンドや、ロマ〜クレズマーのようなヨーロッパ・ルーツの音楽をもっと全面に出したものの方が僕は好きです。



2010. 7.21 Bob Corritore & Friends ; Harmonica Blues ; DELTA GROOVE DGPCD139 (2010. 7.21)

1989〜2009年にかけて、コリトアが絡んだ録音のベスト集です。コリトアはハーモニカ・プレイヤーですが、それよりプロデューサとしての仕事がおもしろいかもしれません。ロックウッドとの仕事が割と有名だと思いますが、ここには「ザッツ・オール・ライト」が収録。この他ココ・テイラー、ヘンリー・グレイ、エディ・クリアウォーター、ココ・テイラー、リトル・ミルトンなどそうそうたるメンバーとの共演作が収録されてます。嬉しかったのはキャロル・フランの「アイ・ニード・トゥ・ビ・ビード・ウィズ」が入ってたことかな。キャロルの豊かな歌が堪能できます。いろんな味わいを聴くことができてお得なコンピです。




Bob Dylan ; Modern Times ; SONY SICP 1138 (2007. 2. 9)

2006年リリース。ボブ・ディランはあんまり聴かないんですけど、選曲を見て結構ブルースがあるので買ってみました。力量のある自身のパーマネントバンドをバックに、フォーク、ロック、カントリー、ブルースといった音楽の要素を見事にミックスして生み出されるサウンドに、実にリラックスした、でも含蓄の深い歌詞の歌を乗せていくディランは、「老いてますます盛ん」というよりは、「若者よ、かかってきなさい」とでも言わんばかりのゆとりを感じます。ロックンロールありワルツありバラードありと多彩ですが、割とストレートに始まる「ローリン&タンブリン」は歌詞がどんどん発展していきますし、ブギ調にアレンジされた「サムディ・ベイビー」もかなり歌詞を変えてあるように思います。「ザ・レヴィーズ・ゴナ・ブレイク」はメンフィス・ミニーがベースだと思いますけど、軽やかなリズムとは裏腹の重さを感じるのは、やはりカトリーナのことがあるからでしょうか。そしてラストの「エイント・トーキン」、中川五郎さんの見事な訳詞により、ディランの言葉を紡ぐ力のすざまじさを改めて思い知りました。



Bob French ; Marsalis Music Honors ; MARSALIS MUSIC/ROUNDER 74946-0008-2 (2007. 7.25)

2007年リリース。タイトルから分かるように、エリス・マルサリス絡みのシリーズで、この作品はドラムのボブ・フレンチをメインに据えたものです。演奏は典型的なニューオーリンズ・ジャズで、ピアノのハリー・コニック・シニア、トロンボーンにリロイ・ジョーンズ、ヴォーカルはボブ本人の他エレン・スミスが2曲担当しています。「バーボン・ストリート・パレード」で始まり「聖者の行進」で終わるように、スタンダード中心で聴きやすく、ボブの歌もまたサッチモ流儀で、改めてサッチモの偉大さまで分かってしまいました。ボブのドラムは割合どっしりした感じで、リズムも曖昧さが少なく、切れがいい感じもしました。こういうのもたまにはいいですね。



Bob Gaddy & Larry Dale ; New York Blues Operaters ; OLD TOWN/P-VINE PCD-1874 (2002. 3. 2)

1955〜60年録音。ニューヨークのブルースとニューオーリンズの音楽は近いものを感じますが、これもそうしたもののひとつです。ボブはチャンピョン・ジャック・デュプリーの影響を受けているようで、かなりニューオーリンズ・フレイヴァを感じます。後期の作品はさらにポップさを増していて、ジミー・スプルーイルのギターが加わった曲など、「カンザス・シティ」そっくりだったりします。「ストーミー・マンディ」もやっていますが、かなり独特のポップさを感じ、いかにもニューヨーカーだと思いました。ラリーの曲は4曲ですが、彼のギターは達者で、ややロウダウンな雰囲気の中に、輪郭のはっきりしたフレーズが魅力的です。そしてその歌も張りがありなかなかのもの。



Bob Kenmotsu + Hara Tomoya Duo ; Intimations ; AMOSAYA MUSIC AM-2539-CD (2005. 9.24)

1998年リリース。コードプレイ中心のギターで原が作り出した音の場の上で、ケンモツが静かにメロディを奏でます。どちらかというと控えめな感じの曲が多いんですが、ババチュンデのパーカッションが秘めた情熱を表しているようで、なかなか絶妙の組み合わせ。サックスに比べフルートの時の方が熱いものを感じ、特に「ボッサ・ロウラ」を聴いていると、ケンモツの向こう側にハービー・マンが見える気がします。部屋を暗くして聴くといい感じですね。



Bobbie Gentry ; Greatest Hits ; CURB D2-77387 (2005.12.22)

1967年前後の録音でしょう。先日紹介したニューオーリンズ・ファンク集にあった「ビリー・ジョーの歌」があんまり格好良かったんで、大晦日にバンドで歌入りでやろうと思い立ち、オリジナルの入った盤を聴いてみたんですが、これ、めちゃめちゃいいですね。全米No.1になっている「ビリー・ジョーの歌」がもちろん良いことは、これはエアチェックのテープがあるんで分かっていたんですけど、ミシシッピ・デルタで生まれ、カリフォルニアで育ったボビーの中には、確かなブルースが流れているんです。楽曲はアコースティック・ギターを軸にモダンなアレンジが施されていますけど、歌い回しの持つブルージーさは付け焼き刃じゃ出来ませんね。一方カントリーの影響も強く、「ルイジアナ・マン」や「ペンデュリ・ペンデュラム」」のちょっとルイジアナがかった感じとか面白いですし、グレン・キャンベルとコーラスする「レット・イット・ビー・ミー」なんてモロカントリーもあります。でも「ミシシッピ・デルタ」の泥臭さ、「スロー・クッキン」の幻想的とも言えるブルース表現は、他に類のないものですね。特に後者はドラッグ関係の歌でしょうかね。今度フルアルバムを探してみることにしました。



Bobby Bland ; Two Steps From The Blues & Here's The Man ; DUKE/P-VINE PCD-2006 Click Here!

Bobby "Blue" Bland ; Midnight Run ; VDP-1508 (2005.10.15)

1989年リリース。MALACO4作目です。ぼくはブランドのMALACO作品ではこれが一番好きです。旧友ジョー・メドウィックの他、ジョージ・ジャクソンやフレデリック・ナイトといった強者の作るミディアム〜スロウのサザンテイストたっぷりの佳曲を、まさに円熟の2文字がピッタリの落ち着いた、味わい深い歌で聴かせます。サウンドこそモダンな処理がされていますが、どんなバックだってブランドはブランドなんですよ。レゲエ仕立てのタイトル曲、演奏はスティーヴィー・ワンダーの「マスター・ブラスター」みたいですが、歌の世界が違いますね。ちなみにこの曲のバックにはロジャー・ホウキンズも加わっているようです。



Bobby Blue Bland ; Sad Street ; MALACO/P-VINE PCD-3792 (2003. 9. 3)

1996年リリース。ロジャー・ホーキンズ、ジミー・ジョンソンといったマッスル・ショールズ名うてのミュージシャンにサポートされ、御大がその貫禄を示しながら、じっくり歌い上げたアルバムです。ソウルフルな味付けを施したスロー〜ミディアムのブルージーなナンバーが並んでおり、時折得意の「うがい」で締めていますが、安心して聴くことができました。ロッド・スチュワートの「今夜は最高」もブランドにかかると漆黒のバラードに変身!悲しみの込められたタイトル曲といい、長年のキャリアだけがなせる技だと思います。



Bobby Blue Bland ; Blues At Midnight ; MALACO MCD7512 (2003. 5.20)

2003年リリースの御大の新作です。さすがに73才にもなると、顔のしわも目立ち、声の張りも往年の頃とは比べようもないんですが、その枯れた声が結構魅力的に響きます。とっても丁寧に歌い込まれたアルバムで、さすが大御所の貫禄十分といった感じですね。「うがいシャウト」が浮き気味に思いましたが、これもファンにはたまらないんでしょう。とにかくベテランの味わいは十分に引き出されていますが、強烈なインパクトを感じる作品ではなかったです。ただ、ラス前の「アイム・ア・ブルース・マン」でちょっとノスタルジーに浸ったかと思ったら、ラストの警察無線を模したノイズ?の入る「ゲットー・ナイト」あたりに、「俺はまだまだ現役だぞ」といった心意気を感じ、嬉しくなりました。



Bobby "Blue" Bland / Little Junior Parker ; The Earls Of DUKE ; REV-ORA CR BAND 15 (2007. 7.20)

1952〜56年の録音集です。ボビー・ブランドのDUKE時代は3巻にわたるコンプリートがあるので、ほぼすべてCDであるはずなんですが、ジュニア・パーカーはきちんとしたCD化がされていません。そのためこのアルバムの中にも初CD化が含まれています。家にはパーカーのCD音源はほぼ押さえてあるので、今度チェックしてみることにします。内容は暮ビーは初期録音集といった感じです。パーカーは「ネクスト・タイム・ユー・シー・ミー」や「プリティ・ベイビー」なども入っていますが、「スウィート・ホーム・シカゴ」がないのが残念。



Bobby Bryan ; Stranger Blues ; KALIBOB MUSIC no number (2007. 7.13)

2007年リリース。切れ味の良いストラトサウンドと、伸びやかなヴォーカルは、ちょっとロバート・クレイを思わせるところもありますが、よりブルース色が強いです。ギターはかなり弾けていて、突っ込みも鋭くフレーズの切れもいいです。ヴォーカルは少し抜いたような歌い方で、曲によっては落ち着きがあるんですが、もう少しエモーショナルな方がギターとのバランスがいいように思いました。アルバート・キングの「ダウン・ドント・バザー・ミー」あたりはもろにロバート・クレイみたいですね。プロデュースやサウンド作りを良くするともっといいものができそうな気がします。注目したい人です。



Bobby Charles ; Last Train To Memphis ; RICE 'N' GRAVY/PROPER PRPCD016 (2004. 6.13)

2004年リリースの新譜で、ボーナスディスクとしてSTONY PLAINの2枚のアルバムからのベストが付いています。足掛け50年ニューオーリンズで活動してきたボビーらしく、録音時期は1975〜2001年とまちまちで、その時々のミュージシャンが豪華絢爛。この中ではやはりサニー・ランドレスの好サポートがまず光ります。この他ジェフ・マルダー、マリア・マルダー(一緒にはやっていません)、フロッグマン・ヘンリー、ウィリー・ネルソン、ニール・ヤングと見ているだけで涎が出そう。さらにダン・ペン、ボビー・ヒントン、スプーナー・オールダムにジョー・クラウンと、このラインナップだけで好き者にはたまりませんね。カントリーからケイジャン、ニューオーリンズのサウンドを見事にミックスしたボビーの世界は、芳醇で、暖かく、ふくよかなゆとりがあります。録音期が重複するため、ボーナスCDも見事に溶け込んでしまいます。でもやっぱり本編のラストの「シー・ユー・レイター・アリゲイター」の素敵なリメイクににんまりしてしまいます。



Bobby Charles ; Mardi Gras In New Orleans ; RICE 'N' GRAVY RICE303 (2008. 3.12)

2008年のマルディ・グラ・アルバムでしょう。5曲入りで軽快にセカンドラインする「ザ・マルディ・グラ・ソング」が前後を締めていますが、ローウェル・ジョージを思わせるスライド、ひょっとしてサニー・ランドレスではないでしょうか?明るいブラスの「パーティ・タウン」、ゆったりとのどかな「ウォーキン・トゥ・ニューオーリンズ」、そしてのんびりと楽しい「シー・ユー・レイター・アリゲーター」、曲数は少ないけど中身は充実してます。



Bobby Charles ; Timeless ; RICE 'N' GRAVY RIC 517 (2010. 5. 6)

2010年リリース。ことし亡くなったボビーの追悼版のようになってしまいましたが、ドクター・ジョンとサニー・ランドレスがバックについて素晴らしいアルバムに仕上がっています。冒頭の「ハッピー・バースディ・ファッツ・ドミノ」にはなんとデレク・トラックスやジョン・クリアリーが参加、大変豪華な演奏になっています。全編を流れるセカンドラインなノリがなんと言っても心地良く、ボビーは今頃天国でこのアルバムの音を聴きながらうとうとしてるんじゃないでしょうか。またテックスメックスな「オールド・メキシコ」も素敵です。そして自分のために歌ったような「ローリン・ラウンド・ヘヴン」、おそらく自分の死期を悟っていたんじゃないでしょうか。




Bobby Freeman ; Give My Heart A Break ; KING/ACE CDCHD 1232 (2009.10.15)

1960〜65年録音。「ドゥ・ユー・ワナ・ダンス」で有名なボビーがKINGに残した作品集です。勢いのいいロックンロールの「シミー・シミー」など、アップテンポでいい味を出していますが、60年代半ばになるとよりポップなアレンジの曲が増えてきます。3連系のバラードもかなり甘めな感じ。ビートルズ出現前後のちょっと停滞感のあるブラック・シーンのイメージをもろに感じさせます。そんな中ジェイムズ・ブラウンの「プリーズ・プリーズ・プリーズ」をけっこうディープに歌おうとしたり、エイトビートにアレンジし直した「フィーヴァー」をやったりと、何とかシーンに風穴を開けたいんだなって意気込みは感じます。未発表の中には「ボニー・モロニー」なんてのも入ってました。




Bobby Jones ; Comin' Back Hard ; DELTA GROOVE DGPCD129 (2009. 3.11)

2009年リリース。ボビーはベテラン・ブルース・シンガーですがアルバムには恵まれてこなかった人。ここに来てマニッシュ・ボーイズの面々がすばらしいサポートをつけて彼の歌の良さを十二分に引き出しています。西海岸のバンドながら、カーク・フレッチャー、フランク・ゴールドワッサー、キッド・ラモスといった名手の奏でるギターは、どこかシカゴに対するあこがれのようなものも感じます。アイク・ターナーの曲を2曲やっていますが見事にはまりますね。この他乗りのいい「ミステリー・トレイン」は歌の良さもありますが、バンドの充実ぶりを伺わせます。好盤です。




Bobby Lewis ; Collections Gold Series ; RE 5454-50594-2 (2004. 1.19)

1961~63年録音。大ヒット「トッシン&ターニン」を聴きたくて買いました。ちょうどトゥイストブームの時代で、この他もトゥイスト曲がてんこ盛りなんですが、「アー・ユー・レディ」や「クライ・ノー・モア」「ナッシン・バット・ア・ブルース」なんてちょっと軽めだけど結構いけるブルースバラードもあったりして、意外な一面を見たような気もします。でも当時の黒人歌手ならしごく当然とも言えますね。むしろあまりにポップなプロデュースが、彼のイメージを固めてしまっているのかもしれません。因みに「トッシン&ターニン」、ギターがカルヴィン・ニューボーンだったっていうのは初めて知りました。



Bobby Marchan ; Clown Jewels - The ACE(Ms.) Masters 1956-75 ; WESTSIDE WESM 592 (2003. 6.27)

ボビー・マーチャンはその高い声と女装趣味で知られていますが、彼が大活躍したACE時代の集大成アルバムが出ました。ボビー名義の未発表別テイクの他、ヒューイ・スミスのバンドとやったもの、さらにはクラウンズでの代表曲「高血圧」や「ドント・ユー・ジャスト・ノウ・イット」など幅広く取り上げられていて、ニューオーリンズ好きにはたまらない内容です。で、面白かったのは1974年録音の4曲。特に「ベイビー・ゲット・ユア・ヨーヨー」はなんとジュニア・パーカーの「アニー・ゲット・ユア・ヨーヨー」の改作です。モダンなサウンドなんですけど、どこかとぼけたボビーの歌は健在。この4曲のために買ってもいいな。



Bobby Marchan ; There's Something On Your Mind ; SPHERE SOUND/P-VINE PCD-23793 (2006. 6.29)

1959〜61年録音で、1965年にSPHERE SOUNDから出されたアルバムにボーナス6曲を加えたものです。ボビー・マーチャン(マーシャンかも)と言えば、ヒューイ・スミスのクラウンズで、ベニー・スペルマンのベースヴォイスと絡みながら、裏声で歌う「オカマ」ヴォーカルの印象が強いんですが、ここではバラードをじっくり歌い上げています。タイトル曲はビッグ・ジェイ・マクニーリーのヒットなんですが、これを語りを交えてリメイク、ソのまろやかな歌い口はオリジナルを凌ぐ出来栄えで、大ヒットしたのも納得です。同じ手法でギター・スリムの「ザ・シング・アイ・ユースト・ドゥ」なんてのもやっています。もちろん元はノヴェルティ路線だったわけで、「スヌーピン&アキュージン」なんてこりゃクラウンズそのものですよ。でもこうして聴くと、ボビーの根っこにしっかりとゴスペルが横たわっているのをしっかり感じさせるバラード群。魅力的です。



Bobby McClure & Willie Clayton ; HI HIUKCD134 (2006.11. 8)

1975〜76年のまだ10代のウィリー・クレイトンと、1976〜78年のボビー・マクルーアの曲をカップリングしたCDです。ボビーは円熟味を増してきた時期で、HIならではのタイトなサウンドに乗って実にソウルフルな歌を聴かせます。「ドゥーイング・イット・ライト・オン・タイム」なんて格好いいなぁ。後になるほどサウンドにファンク度が増していくのが時代を感じさせますね。一方のウィリーは歌はまだまだ青臭く、ボビート比較しちゃうとちょっとかわいそうな気もしますけど、バックのサウンドは如何にもウィリー・ミッチェルって感じで実に素晴らしく、それに助けられてるって感じです。ハワード・グライムズならではのスネアサウンドがたまりません。ウィリーも一所懸命歌ってるので好感は持てました。



Bobby Murray ; Waiting For Mr. Goodfinger ; NO COVER NCP-013 (2003. 1.23)

1999年リリース。ボビーは何でも名古屋生まれの日系人で、裏ジャケの蛇皮仕様のストラトをかかえた姿は任侠ものに出てきてもしっくり来る渋さです。全体にファンキーな曲が多く、ギターは割合トーンを落としたまろやかな音で、適度なブースト感と的確なフレーズがこの人の実力を語っています。ジャズ・ファンクな「ストローリン」とか「ロックハウス」といったインストものがクールでいかしています。「ダブル・クラッチ」ではアルバート・コリンズばりのアグレッシヴなギターも聴くことができます。圧巻はスローの「カンヴァセィション」で、ワウを巧みに使いながら本当にギターで「会話」してます。ライヴなのでお客さんも大喜び。ヴォーカルのレニー・ワトキンスもしっかりした歌を聴かせてくれます。ところでこの人1984年に来日していて、僕、見ているんですが覚えていませんでした。



Bobby Parker ; Bent Out Of Shape ; BLACK TOP CD BT-1086 (2005. 8. 9)

1993年リリース。こういうのを中古で掘り出すと嬉しくなります。ボビーは何といっても「ブルース・ゲット・オフ・マイ・ショルダー」が有名で、そのゴスペルに根差したハイトーンなヴォーカルが魅力です。このアルバムでもラストにリメイクしてますが、これはちょっとありきたりになっちゃってますね。でも他の曲が格好いいから許します。アルバート・コリンズに通じるアグレッシヴなギターと、ゴスペル臭たっぷりのインパクトあるヴォーカルが随所で炸裂、ファンキーなアップナンバーから粘っこいスローブルースまで、彼の魅力が全開です。このBLACK TOPというレーベルの底力を感じました。P-VINEがリイシューする権利を得たとのこと。このアルバムなど外さないで欲しいですね。



Bobby Patterson ; Taking Care Of Business ; KENT CDKEND 098 (2007. 1.28)

1965〜69年にJETSTARに録音されたボビーの初期をとらえたコンピです。ダラス出身のボビーは、STAXサウンドが似合うソウルフルな歌手ですが、ディープというよりはどちらかというとより軽やかなサウンドが似合います。冒頭の「ティル・ユー・ギヴ・イン」など時代もありますが、サウンドはまるでMOTOWN、でも結構はまってるんですよね。彼の真骨頂は「ファンキー・ブロードウェイ」へのアンサーソング「ブロードウェイ・エイント・ファンキー・ノー・モア」や、「T.C.B. オア T.Y.A.」といった勢いのあるジャンプナンバー。後者のT.C.B.はこのアルバムのタイトルと同じ意味なんですが、T.Y.A.って何でしょう?この他リトル・ウィリー・ジョンの「レット・ゼム・トーク」を取り上げていたり、「ゲス・フー」なんて曲もやってますが、元々ポップな感じに近い人なだけに、曲調がポップすぎるとちょっとやりすぎな感じになっちゃいます。



Bobby Peterson Quintet ; Irresistible You ; RELIC 7138 (2005. 4.10)

1959〜1961年にかけて主にV-TONEに残された録音集です。タイトル曲がヒットした東海岸を中心に活動したこのバンドは、ボビー・ピーターソンのピアノを中心にしていますが、かなりレイ・チャールズを意識しています。「ワッチ・ユア・ステップ」など「モビー・ディック」みたいなリフですが曲は思いっ切り「ワッド・アイ・セイ」してます。でもビッグ・アル・ダウニング名義の「イエス・アイム・ラヴィング・ユー」など、どこか当時流行していたトゥイストを取り入れたり、ポップチャートで小ヒットした「ザ・ハンチ」はかなりファンキーなリズムだったりと、どこか時代の流れを取り入れていこうという雰囲気を感じます。「(レッツ・ドゥ・)ザ・シミー」あたりになるとニューオーリンズの香りをほのかに漂わせたり。いろいろと発見のあるコンピで面白かったです。



Bobby Powell ; Into My Own Thing - The Jewel And Whit Recordings 1966-1971 ; WESTSIDE WESA 891 (2001. 8. 6)

僕がブルースを本格的に聴き出した1970年代終わり頃、P-VINEがこの人のアルバムを出したのを覚えていました。当時は買わなかったんですが、今回店でその特徴的な顔をあしらったCDを見かけて即購入しました。イメージとしては「田舎のレイ・チャールズ」を想像していたんですが、予想以上に南部臭が強く、いい意味で泥臭かったです。時代的にも音楽が大きく変わろうとしていた頃で、それがしっかり現れています。特に後半のファンキーな曲に魅力がありますが、バラードも味わい深く、ローカルシーンの中でしっかり頑張っていた人だと思いました。



Bobby Radcliff ; Universal Blues ; BLACK TOP BT-1067 (2003.10.17)

1991年リリース。中古で購入。BLACK TOP盤はとにかく目に付くと何でも買うんですが、この人は某掲示板でも話題になっていたんで取り上げてみました。なんでもマジック・サムに師事したとのことですが、ハイトーンなヴォーカルからはサムの影がちらつきますが、ギターはどちらかというとたたみかけるスタイルで、アルバート・コリンズの影響を感じます。実際コリンズに対するトリビュート曲もやっていますし。オリジナルと他人の曲を半々にしていますが、ブルースより「ソウル・フィンガー」のギター的解釈の方が面白かったです。いろいろやってみようという意欲を感じる1枚。



Bobby Radcliff ; Live At The Rynborn ; BLACK TOP CD BT-1141 (2007. 4.15)

1996年のライヴです。この人はどちらかというとグリグリ弾き倒すイメージが強く、もちろんここでもけっこう弾いてるわけですけど、むしろ歌のうまさに耳が行きました。特にバディ・ガイの「テン・イヤーズ・アゴー」から「ザ・ツイスト」にかけての終盤、張りのあるボビーのヴォーカルが、切れ味のいいギターとよくマッチしていて、こんな感じで自分もやりたいなと思いました。冒頭の定番の「ホンキー・トンク」も、オリジナルのフレーズにバッキングを絡めてうまく処理してるし、「トランプ」もオリジナルの良さをうまく生かしています。ちらっと「ピコ」のフレーズを出してるのも憎いし。選曲もヴァラエティに富んでるし、何度も聴きたいアルバムです。



Bobby Rush ; Rush Hour ; PHILADELPHIA INTERNATIONAL/WESTSIDE WESM 590 (2000. 3.27)

1979年の作品。レオン・ハフのプロデュースにより、とってもファンキーかつタイトな仕上がりのアルバムです。SHAMA 時代のシル・ジョンソンなどに通じるサウンドですね。でも、どこか下世話な臭みが感じられます。また、歌詞が分かりやすくていいです。「ニックネーム」なんて曲は楽しいです。先日の来日公演、見たかった!


Bobby Rush ; It's Alright ; RONN RCD-8012 (2000. 8. 6)

1995年リリース。詳しいクレジットがないので正確なことは分かりませんが、「ダスト・マイ・ブルーム〜ジミー・リード・メドレー」が「シカゴブルースの25年」というアルバムで「アイ・ドント・ノウ」というタイトルで紹介されており、これが1970年代初頭とされていますので、おそらく70年代の録音でしょう。とにかくファンクネスを感じます。歌は相当エッチそうですし、演奏は自然と腰が振れるような感じです。ゆったりとした乗りはファンクそのもので、歌詞から判断しても、JBあたりからの影響も大きいです。この手に目がないので今度バンドでやろうかな!なお、「She's A Good 'Un」(RONN RCD-8013 1997年リリース)とは曲がすべて重複し、8012の方が別テイクを含めて曲数が多いので、こちらを勧めます。


Bobby Rush ; Lovin' A Big Fat Woman ; WALDOXY WCD 2817 (2000.12.22)

MALACOの傍系レーベルから1997年にリリースされたものです。打ち込みを使ったある意味チープな持ち味のファンクから始まりますが、タイトル通り下世話です。変な気取りはまったくなし!ジャケット写真といい、このセンスがボビーの真骨頂でしょう。BSR連載のチトリン・サーキットの話を読みながら聴くとよりイメージが沸きます。「ボトル・アップ・アンド・ゴー」のボビー流アレンジのものも入っており、けっこう楽しめました。でもボビー、いい声してます。



Bobby Rush ; Hoochie Man ; WALDOXY WCD 2826 (2000. 9.28)

2000年リリースの新譜です。打ち込みっぽいドラムと、ブラスを模したシンセをバックに、ボビーはけっこう落ち着いて唄っています。歌は余裕を感じ、好きなんですが、バックの音が僕にはだめです。制作費なのかな?やっぱりスケベなサックスとかいやらしいオルガンとかが絡んだやつが聴きたいなぁ。心地よくグルーヴするドラムとか。そこまでいかなくても、せめてサックス1本でもいれば違うんですが。ラストのジェームズ・コットン風のハーモニカ曲がけっこうほっとさせてくれました。



Bobby Rush ; Undercover Lover ; DEEP RUSH DRD 1000 (2003. 9.19)

2003年リリース。ボビー・ラッシュはヒップで思いっ切りファンキーなイメージがありましたが、自身じっくり作ったという新作は、思いのほか落ち着いたサウンドです。打ち込みを巧みに使いながら、クールなファンクネスを埋め込み、そこにラッシュの比較的プリミティヴなハープがかぶってくる感じは如何にも新旧の融合といった感じ。歌も「プレイ・ウィズ・ユア・プードル」「ユー・エイント・ゴナ・ウォリー・ミー」と、自作ながら古典的なブルースをしっかり下敷きにしてそれを現代に再生しています。常にチトリンサーキットの最前線で活躍しているだけあって、現代ブルースのひとつのあり方をしっかり詰め込んだ意欲作だと思いました。ラストをしっとりとスローのハープ・インストで決めるなんてにくいなぁ。



Bobby Rush ; Folk Funk ; DEEP RUSH DRD 1001(2004. 6.27)

2004年の新譜です。自身の歌にハープ、ギターに加え、アルヴィン・ヤングブラッド・ハートのギターをゲストに加えていますが、これがなかなかいい組み合わせです。「フィーリング・グッド」や「ヴードゥ・マン」は自作になってますが、ジュニア・パーカー〜マジック・サムやサニーボーイ〜ジュニア・ウェルズの曲をリメイクしたと言っていいでしょう。でもしっかりボビー節になってます。「ゲット・バック」もビートルズの曲からちゃんと?リフレインを持ってきてますが、ファンキーなブルースですね。自作の名曲「チキン・ヘッド」のリメイクが素晴らしく、原作にあったドロドロしたものが、さらにパワーアップした感じのファンクネスを感じました。笑えるのは「セインツ・ガッタ・ムーヴ」で、「聖者が街にやってくる」と「ユー・ガッタ・ムーヴ」をくっつけちゃうんだもん。さすがチタリン・サーキッツの帝王って感じですね。猥雑さがたまりません。



Bobby Rush ; Night Fishin' ; DEEP RUSH DRD 1002 (2005.11. 6)

2005年リリース。「夜釣り」っていうので、ナマズでも釣るのかなぁなんて思ったら、まさにその通りでした。毎度おなじみの打ち込中心のリズムにチープなシンセサイザーというお手軽な感じの録音ですが、このB級さがボビーには妙にマッチするから不思議です。「G-ストリング」なんてお尻ネタもしっかりあるし、ムーディなバラード、ファンクナンバーとボビーのステージを飾るであろう曲が並び、時折ハーモニカも聴かせます。これといったキャッチーな曲がないのがちょっと残念ですが、タフな歌声はさすがで、精力的に活動するボビーの今を捉えた作品だと思います。



Bobby Rush ; Raw ; DEEP RUSH DRD 1003 (2007. 6.19)

2006年リリース。ラッシュ自身が生ギターを弾き語りで古くからある自分の好きなブルースを自分なりにアレンジし、またオリジナルのブルースを歌っています。いきなり「ボニー・モロニー」から始まるのがラッシュらしい選曲ですが、落ち着いた演奏は普段のダンサブルでエッチな彼とはまた違う、ブルースに対する深い愛情を感じさせます。ハーモニカを後からダビングしている曲が多いですが、この生ハープも派手さはないけれど渋く、その確かなテクニックを披露しています。中にはハーモニカ吹き語りなんて曲もあり、何とも手作りな感じなんですけど、秘めたるエネルギーがにじみ出ています。ブルースの原点に立ち返ろうとするかのようで、映画「ロード・トゥ・メンフィス」でのバスの休憩所でストリートミュージシャンのギターを借りて演奏するシーンを思い出しました。



Bobby Rush ; Look At What You Gettin' ; DEEP RUSH DRD 1004 (2008. 9.15)

2008年リリース。これは力作です。いつものように打ち込みのリズムを中心にしているんですが、何ともそれがファンクネス溢れるビートで、パーラメントを思わせるようなチープな音のキーボードと、抑えめだけどセクシーな女性コーラス、そこに見事にコントロールされた生ハープと歌が乗ってきます。「ゲット・アップ・ショウ・ミー・ホワット・ユー・ワーキング・ウィズ」のクールなファンクネスはベテランのボビーならでは。ラストの「トレイン・アンド・マイ・ハウンド・ドッグ」は「ミステリー・トレイン」の改作ですね。とにかくファンクとブルースの正しい融合がここにあります。




Bobby Rush ; Blind Snake ; DEEP RUSH DRD 1005 (2010. 1.12)

2009年リリース。コンスタントにアルバムを出してますが、毎作ファンクネス溢れるグレードの高いできです。タイトル曲からシンプルだけどどっしり落ち着いたリズムのファンクが3連発。「キャットフィッシュ・ブルース」風の「シーズ・オールライト、シーズ・オールライト」はアコースティックですが低重心。マディの「メイク・ラヴ・トゥ・ユー」のモダンなアレンジ、HI時代のシル・ジョンスンに通じるものを感じさせる曲もあり、ビンビン来ました。また来日しないかなぁ。




Bobby Sheen ; Anthology 1958-1975 ; ACE CDCHD 1257 (2010. 2. 9)

17才の時ロビンズでキャリアをスタートしたボビー・シーンのアンソロジーです。若者なドゥー・ワップの次はフィル・スぺクターによる分厚いサウンドをバックにしたブルー・ジーンズ時代で、同時期のガールズ・グループのように白人市場を意識したサウンドになっています。独立してからは明らかにMOTOWNを意識したアップナンバーと、逆にサザンソウル的なバラードの対比が、この時代の立ち位置を良く表していて面白いです。CAPITOLでSのソロ「ザ・シェルター・オヴ・ユア・アームズ」はサミー・ディヴィス・ジュニアの曲のリメイクだそうですが、ここにもフィル・スぺクターの色合いが出ています。70年代になるとファンク化したサウンドの影響を強く受けていきますが、強烈なインパクトを与えるほどではありませんね。時代の鏡のようなアンソロジーだと思いました。




Bobby Blackhat Walters ; You Change Your Mind Again ; G.E.M.S. no number (2008. 9.21)

2007年リリース。この人、クリーヴランドを中心に30年以上活動してきて、B.B.キングのオープニングを務めたこともあるそうですが、多分初めて聴きます。落ち着いた端正なバンドをバックに、派手さはないですがとても丁寧なハーモニカを吹きます。また声はアルバート・キングに似たスモーキーな感じで、これまた落ち着いた歌い廻し。ファンキーなアレンジの曲などはなかなか面白かったです。でもガツンというインパクトはありません。どちらかというとジワッと染みるようなアルバムです。ところでアルバムに記載された曲と実際の曲順が違ってるように思うんですが。3曲目に書いてある「ヘルプ・ミー」が4曲目に入ってたり。




Bobby Williams ; Funky Super Fly ; P-VINE PCD-22268 (2006.10. 5)

1974年リリースのアルバムのストレートリイシュー。ジャケットには如何にもジェイムズ・ブラウンを意識した髪型でポーズを決めてますが、カンバンにいつわりなし!ちょっと軽めの声で、バンドのタイトさはもちろん比較になりませんが、まあ何ともB級なファンクネス溢れるサウンドで、もろにJBスタイルで歌います。1974年という時代からすると、少し古くさい感じではありますが、かえってその暑苦しさが魅力になってますね。「ファンキー・スーパーフライ」の泥臭い感じなんか、たまりません。こういうの大好きです。



Bobo Jenkins ; The Life Of Bobo Jenkins + Here I Am A Fool In Love Again ; BLUE STAR/P-VINE PCD-5640 (2002. 1.10)

1972年と74年に出されたデトロイトはボボ・ジェンキンズのアルバムの2on1、初CD化です。録音は最も初期のものは1956年くらいだと思います。まずその音質がすごい。まさにローファイといったサウンドの中、いなたいと表現するしかないおおざっぱなギターをつま弾きながら、ジェンキンスは歌いますが、これがなかなか味わいがあるんです。声の艶とか歌い回しとか、結構いけます。2枚目の盤はぐっとモダンな演奏で、いかにも60年代後半〜70年代初頭の、R&Bやファンクの要素を取り入れようとした意図が伝わりますが、演奏が全然タイトじゃないのがいかにもローカルスターって感じで微笑ましいです。ジミー・リードに通じるゆったりしたノリの曲に魅力を感じました。



Bogalusa ; Talking About Dime ; GET HIP GC-008 (2007.12.23)

2007年リリース。ボガルサはギターのテッシンさんとベースのダイさんのコンビ、ちょうどスリム&スラムみたいな取り合わせですね。そしてたくさんのゲストを交えてジャイヴするわけです。ルイ・ジョーダン、スリム・ゲイラード、キャブ・キャロウェイなどの王道ナンバーを、軽快な演奏と軽妙な歌い口で次々と演奏していく音を聴いていると、生が見たくなります。最高に面白かったのがオリジナルの「ジャイヴ・イタリアーノ」。まあ笑えますよ。食べ物だのマフィアのボスの名前だの歴史上のイタリア人だの地名だのを適当に並べてるんですけど、ちゃんとマフィアのボスのところでは「ゴッド・ファーザー・愛のテーマ」が流れてみたり。でも最高に笑えたのは、ママミアから始まって、終盤でガリレオ・ガリレイをしばし歌った後、フィガロと来たところですね。これって、完全にクウィーンの「ボヘミアン・ラプソディ」をおちょくってます。この素晴らしきエンターティナー、でも今は見ることができなくなってしまいました。秋にテッシンさんが他界してしまったんです。残念です。



Bonerama ; Live At The Old Point ; BONERAMA MTP-1021 (2002. 3.24)

2001年1月のライヴ録音。これははまりました。トロンボーン5本にスーザホーンという編成で、どんな音が出るのかと思いましたが、最高にロックしています。ニューオーリンズのブラスバンドの系統と考えていいんですが、ボーンの魅力を最大限に引き出しています。重厚なリフをボントロのアンサンブルでやるってのは画期的!ミーターズの「ファンキー・ミラクル」、レッド・ゼッペリンの「モビー・ディック」などにオリジナルを交えるんですが、ワウワウも絡んだりしながら迫る迫る!大音響で聴くと最高です。そしてラストの「フランケンシュタイン」。もちろんエドガー・ウィンター・グループの全米No.1ヒットですが、あの低音のリフが完璧によみがえります。こりゃことしのBest5に入りますね。



Bonerama ; Live From New York ; BONERAMA MTP-1050 (2005. 1. 9)

2004年3月のライヴです。ゲストにスタントン・ムーアが2/3程で参加、さらにフレッド・ウェズリーが2曲ソロを取ってます。このバンドはセカンドラインのブラスバンドというより、いわゆるジャムバンドだと思いました。ドラムは跳ねていますけど、むしろ重量感のあるファンクネスを感じることが多かったですし、ブラスを重ねていくリフも結構ドロンとした感じを受けました。ですからフレッドのソロが絶妙にマッチします。選曲でもオールマンの「ウィッピング・ポスト」とかジミ・ヘンドリクスの「クロスタウン・トラフィック」など、ギターリフが印象的な曲をブラスに置き換えたアレンジは重量感が増してかっこいいですね。適度に飲みながらこんなライヴ生で聴いたら天国に行けそう!



Bonerama ; Bringing It Home ; BONERAMA/BUFFALO LBCY-509 (2007. 6. 4)

2006年秋にティピティーナで収録されたボノラマのライヴアルバム。タイトで勢いのあるブラスサウンドはこのバンドならでは。選曲もツェッペリンの「オーシャン」にビートルズの「ヤー・ブルース」「ヘルター・スケルター」と、毎度おなじみのロックナンバーを交え、ガツンとタイトな演奏を聴かせます。ゲストにスタントン・ムーアが自らの曲「スプラング・モンキー」で見事なスティックさばきを披露してます。このバンドの良さはロック色がありながらもセカンドラインのノリを忘れていないところで、ラストの「キャベジ・アレー」、ミーターズがフェスの「ヘイ・ナウ・ベイビー」をフォンクにしちゃった曲ですけど、オリジナルの良さにブラスならではのアレンジを施し、ラストを飾るのにふさわしい演奏になっています。こうした音楽が邦盤で紹介されるのって大歓迎ですね。ラストの隠しトラックではディキシーランド風の演奏を楽しんでます。



Bonerama ; Hard Times ; HIGHSTEPPIN' MTP-1001 (2009.12.18)

2009年リリースのミニアルバムです。ボーンラマはトロンボーン4本のアンサンブルで聞かせるバンドですが、タイトル曲ではマーク・マリンズ、「ロスト・マイ・ハウス」ではクレイグ・クレインの歌も入っています。ツェッペリン・ヴァージョンの「ホウェン・ザ・レヴィー・ブレイクス」の熱演が入っているところから見ても、カトリーナ絡みなんでしょうかね。その中で格好良かったのがインストナンバーの「フォリー」、めちゃファンキーです。




Boney Fields & The Bone's Project ; Red Wolf ; NOCTURNE OTCD 944 (2004. 9.22)

2003年リリース。派手派手なジャケットに惹かれて買ったんですが、中身はイカしたファンキーな曲の連発でした。どちらかというと軽めのリズムに、かなり細かくアレンジされたブラスセクションが彩りを添え、いい感じの軽快さです。さすがトランペッターのリーダー作って感じでしょうか。ボニーの歌はちょっと弱いんですが、かえって高重心なサウンドには上手くマッチ。ジェイムズ・コットンの「ブギ・シング」なんて曲も超スピーディにこなしてたりします。ジャムバンドのような冗長な曲ではなく、ほぼ4分程度に収めた演奏は、ポップさもあり聴きやすいです。ボーナストラックにザディコ風味の曲が入ってましたが、表に出しても良かったのではと思うのは僕だけかしらね。



Boney Fields & The Bone's Project ; We Play The Blues ; BLUES PROJECT BPBF 06 (2007. 4. 6)

2005年録音のようです。シカゴ・モダン・ブルースのセッションマンとしてトランペットを吹いているボニーがこのユニットでの3枚目のアルバムです。現在フランスで活動しているボニーですが、ファンキーなバンドを仕立てていかした曲を連発しています。冒頭の「ゲット・アップ・アンド・スタンド・アウト」からキャッチーなメロディとかっこいいホーンアレンジ、それに女性コーラスも絡んだサウンドにノックアウト!アルバート・キングの「アイ・ワナ・ゲット・ファンキー」などではラッキー・ピーターソンがギターで参加、また一段とファンキーな「ネヴァー・フォール・オン・ユア・フェイス」や「レヴェレイション」ではなんとフレッド・ウェズリーがご機嫌なトロンボーンを聴かせます。ハーモニカでJJミルトゥの加わった曲もありますが、こちらはかなり控え目。とにかく全編ファンキーで人柄のよく出た柔らかめなボニーのヴォーカルも気持ちよさげです。



Bonne Musique Zydeco ; Keep On Dancin' ; BIG BERV MUSIC BBMCD0367 (2003.10.10)

2002年リリースの類似穴音楽工房直送便です。このバンドは南カリフォルニアのバンドのようで、リーダーのベーシスト、バーヴィック・デクルスはクウィーン・アイダやアル・ラポーネの親戚のようです。曲は「ドント・メス・ウィズ・マイ・トゥート・トゥート」で始まりますが、「ジャンバラヤ」から「聖者の行進」とポピュラーな曲、さらには「サムシング・ユー・ガット」、ミーターズのパーティソング「ゼイ・オール・アスクト・フォー・ユー」、そして何とワイルド・チュピトーラスの「ミート・ザ・ボーイズ・オン・ザ・バトルフィールド」までザディコに料理してるんです。ポップで聴きやすく、「ザディコ歌謡」とでも呼んだらいい雰囲気なんですが、変化球的に楽しめました。



Booboo Davis ; Drew. Mississippi ; BLACK & TAN CD B&T029 (2006.12.18)

2006年リリース。リゾネイタをエレクトリック化し、スライドプレイを絡めながらスクラッチ風のサウンドを入れてモダン化したブルースです。でも思ったよりはわざとらしさは感じず、打ち込みっぽいタイトなリズムも余りいやらしく感じませんでした。むしろ適度にアコースティックな肌合いが残っているのが味わい深く、タイトル曲など結構気に入っています。「トレイン・トゥ・サヴァイヴ」のようなブルースから離れた曲では、なかなか味わい深い歌を聴くこともできますし。新しいサウンドを入れようという意欲がちょっと耳につく面もありますが、FAT POSSUMほどは極端でなく、まあいい線じゃないのかしら。でもこの人のヴォーカル、曲によってはビリー・ギボンズみたいに聞こえますね。



Boo Boo Davis ; Name Of The Game ; BLACK & TAN CD B&T033 (2009. 2.24)

2008年録音。ガレージっぽい歪んでワウの利いたギターとドラムをバックに、不釣り合いなほどクリーンなヴォーカルと、その間を取ったようなハーモニカが鳴り響きます。曲によってはヴォーカルもわざとチープなマイクを通して歪ませていますが、やはりFAT POSSUMのサウンドを意識しているのでしょうか。ブーブーの歌はちょっと投げやりなところもありますがフィーリングがありますし、ハーモニカもなかなか達者です。このコラボレートはそれなりに成功していて魅力もありますが、「ステイ・フロム・ザ・カジノ」のようなオーソドックスなバックでの演奏もかなりいけますね。なかなか面白いアルバムです。




Boo Boo Davis ; Ain't Gotta Dime ; BLACK & TAN CD B&T034 (2010. 1.13)

2009年リリース。いつも通りのラウドで低重心に歪んだバンドサウンドをバックに、朴訥としたハーモニカとヴォーカルを聴かせます。以前はFAT POSSUMの音を意識してたのかなとも思いましたが、この作品を聴くと素直にガレージ・ロックとブルースの融合と捉えればいいようです。まあおそらくバックのメンバーがヨーロッパ系で、シャッフルのリズムがちょっとすっとこどっこいだったり、サウンドがロックっぽくてあんまりファンクネスを感じさせないのがこの人の作風なんでしょうね。




The Boogie Kings ; Tribute To GG Shin ; SPICE no number (2008. 4.24)

ルイジアナ〜テキサス周辺で1960年代半ばに活動していた白人R&Bバンド、ブギー・キングズとローラー・コースターズの録音を集めたもののようです。「フィーヴァー」「ハーレム・シャッフル」「グルーヴィン」「トゥー・ステップ・フロム・ザ・ブルース」などのカヴァーはオリジナルに対しての愛情を感じます。またちょっとジャイヴした軽快な「サマータイム」は面白いし、「シャドウ・オヴ・ユア・スマイル」をしっとりやったりと、楽しんでる様子が伝わってきます。



The Boogie Kings ; Bourbon Street Live ; SPICE no number (2007.11.15)

多分1996年の録音だと思います。ジョン・スミス、ウィリー・ティー、リック・アレンといったニューオーリンズ名うてのミュージシャンが集まったバンドで、ヴォーカルはティーの他パーカー・ジェイムズ、デュエイン・イェイツの3人。ティーがファッツ・ドミの・ナンバーを思い入れたっぷりに歌うのに対し、ジェイムズはSTAX系のソウル・ナンバー、イェイツも「ア・チェインジ・イズ・ゴナ・カム」「Rターン・オン・ユア・ラブ・ライツ」などを歌ってます。バンドはさすがに上手く、ティーの歌も味わいがあっていいんですが、なんかもっとニューオーリンズして欲しいなというのは僕の趣味のせいでしょうね。



Booker T. & The MGs ; The Best Of Booker T. & The MGs ; STAX FCD-60-004 (2002. 2.23)

MGsのベストは同タイトルのものがうちには2枚ありますが、こちらは後発の方です。代表曲「グリーン・オニオンズ」は入っていませんが、ビートルズやS&Gなどのカヴァー曲を多く含んでいます。ブルース・ブラザーズ・バンドのイントロで使われていた「タイム・イズ・タイト」、名曲「ヒップ・ハグ・ハー」、名インスト「ザ・ホース」などが聴きものです。でも何といってもいいのがラストを飾る長尺の「メルティング・ポット」。インタープレイの妙を感じました。



Boozoo Chavis ; The Lake Charles Atmic Bomb ; GOLDBAND/ROUNDER 2097 (2003.11.15)

1954年のブーズー初録音から、おそらく50年代末までに録音されたものだと思います。ライナーを蕁麻疹覚悟で読むと、初録音の「ペーパー・イン・マイ・シュー」は最初ケイジャンバンドをつけてやろうとして上手くいかず、R&Bバンドをつけて録音したそうですが、まあ何とも言えない雰囲気です。いかにもルイジアナらしい緩さを感じるバンドがミディアムのブルースを奏でる中、ボタンアコのため、どうしてもブルーノートと外れる音が出てしまいます。ベースは何だか戸惑っているよう。でもそうして生まれた音楽には不思議なエネルギーがあって、ローカルヒットしたのも頷けます。「ハンバーガーズ&ポップコーン」も同様ですね。最後になってやっとキーが理解できました。でもアコーディオン1本でも踊らせていただろうブーズーの若き日の勢いを感じることができます。今のクリス・アルドワンなどと同じように、ザディコは最初から異種格闘技的に誕生したんだなって思いました。



Boozoo Chavis ; Boozoo Chavis ; ELEKTLA 9 61146-2 (2001. 5.23)

1990年録音。先日惜しくも亡くなったブーズーのアルバムが中古店にあったので買いました。ザディコはクリフトン・シェニエ以外はそれほど聴いておらず、ブーズーのアルバムも初めてです。シェニエに比べてブルース色が薄く、よりケイジャンにに近い感じに思えました。ボタン式のアコーディオンで、ほわっとしたサウンドを出しますが、元来ダンスミュージックですから、アップテンポの曲のノリは素晴らしいです。適度にルーズで身体が横にゆさゆさ揺れてくる感じです。一方3曲ほど弾き語りが入っており、とっても哀愁のあるサウンドが穏やかな気分にさせてくれました。



Boozoo Chavis ; Live At The Habibi Temple ; ROUNDER CD 2130 (2003.12. 4)

1993年レイク・チャールズでのライヴです。この時ブーズーは63才ですが、いやはや凄いテンションですね。クリス・アルドワンのライヴを見たときに実感しましたが、この盤でも息子チャールズのラブボードが観衆を煽るんですが、クラッシー・バルーのブイブイうなるベースと、息子レリスの突き抜けるビートのドラムに支えられ、のっけの「ドゥ・イット・オール・ナイト」からガンガンドライヴしていきます。カールトン・トーマス、ナザニエル・フォンテノットの2本のギターもかなりフィーチャーされ、バンド一体となったノリが最高です。曲も御機嫌なトゥーステップに、自身のクレオール風味溢れる代表作「ペイパー・イン・マイ・シュー」「ティー・ブラック」などを交え、ラストには「ウォリード・ライフ・ブルース」まで飛び出します。うーん、生で見たかった!



Boozoo Chavis ; Who Stole My Monkey? ; ROUNDER CD 11661-2156-2 (2005. 9.21)

1999年リリース。元気なブーズーをたっぷり詰め込んだ1枚です。どこかひなびた感じのヴォーカルですが、アコーディオンの独特の切れとタイミング、そしてドライヴ感たっぷりのバックに支えられ、ブーズーらしい野趣溢れるザディコで押してきます。シンプルなコード進行のトゥーステップに、「ボトル・アップ&ゴー」「プリーズ・ドント・ゴー」といったブルースの名曲も取り上げています。シンプルなんだけど絶対ブーズーにしかできない音楽がここにあります。もうちょっと長生きして欲しかったなぁ。



Boozoo Chavis ; Down Home On Dog Hill ; ROUNDER 11661-2166-2 (2001.11.14)

2000年にリリースされたブーズーの遺作です。でも本当に死んじゃったのって言うくらい元気な演奏。かなりタイトなリズム隊と、いつにもましてギュルンギュルンいってるサニー・ランドレスのギターをバックに、思いっ切りロッキンしていて実に快感です。ハンク・バラッド/チャビー・チェッカーの「ザ・ツイスト」なんてやってますし、かなりブルージーな曲もあります。ラストのフィドルとの弾き語りが結構しんみりきました。生で見たかったなぁ。



Brad Paul Frank ; Walking To The Moon ; SOUL WOOD/LOUISIANA RED HOT LRHR 1136 (2003. 6.11)

2001年リリース。ブラッド・ポールはキース・フランクの弟で、キースのバンドで長らくドラムを叩いていたんですが、そのリーダー作です。キースがドラムにまわり、ジェニファーなどキースのバンドのメンバーがサポートする中、3ローのボタンアコなどを弾き、歌っていますが、1曲目などキースの合いの手の方が強力に響くなど、ヴォーカルはやはり力不足です。これはアコーディオンにも言えて、無難にこなしていますが、インパクトはありません。じゃこのアルバムがつまらないかって言うと、それがそうでもないんです。キースが自身のスタジオでプロデュースしながら録音しており、彼のビート溢れるドラムや、腹に響くジェニファーのベースなど、キースの音そのものです。ファミリーだけあってコーラスワークもよく、トータルに出てくる音はパワー溢れています。ファミリーの底力を感じました。



Brad Randell ; BR Is Back ; MTE 9080 (2004.11. 1)

2004年リリース。ルイジアナの若手ザディコプレイヤーのひとりですが、シンプルでタイトに抑えたリズム隊をバックに、パーカッシヴなアコーディオンを鳴らすダンサブルなナンバーが、ノンストップ構成で並べられています。ヴォーカルはちょっとスモーキーで、歌い回しなどむしろ伝統的なザディコやクレオール・ミュージックからの影響を感じます。つまり新世代ザディコの影響は受けているものの、まだローカルなシーンに足をつけて演奏している感じでしょうか。ショーン&クリス・アルドワンやカーリー・テイラーのようなアプローチもいいですが、こうしたシーンに根差した若手がどんどん出てくるあたりに、ザディコの活力を感じますね。



Brenda Holloway ; The Early Years ; ACE CDCHD 1241 (2009.11.30)

1962〜63年録音。初録音の時弱冠14才だったというブレンダのMOTOWNからのデビュー前の録音集です。カリフォルニア生まれのブレンダは、ハリウッド界隈の様々なレーベルから曲を出していたようです。年齢の割りには艶がありましたが、どちらかというとガールズポップに近いサウンドの曲が多いです。「アイ・ウォント・ア・ボーイフレンド」で「欲しい、欲しい」って力みかえって歌うところなど思わず笑ってしまいました。でも歌の上手さには非凡なものを感じます。ザ・ソウル・メイツやザ・フォー・Jズなど、様々なユニットへ参加していたようで、コーラスグループなどいろんな録音が残っています。そしてラストに収録されているのが、TAMRA-MOTOWNでのデビュー・ヒットになる「エヴリ・リトル・ビット・ハーツ」のデモチューン。16才とは思えない大人びた歌だなと思ったら、バーバラ・ウィルソンが歌ってるとのこと。納得。




Brenda Lee ; Let Me Sing ; DECCA/UNIVERSAL UCCC-9111 (2005. 9.10)

1962年、ブレンダ19才の時の作品です。こういう音楽は結構子どもの頃から耳にしていて、特にこのブレンだの粘りのある歌声は好きだったんです。「ジ・エンド・オヴ・ザ・ワールド」はその中でも別格で、このアルバムもそれ1曲のために買ってきました。でも、ちょっと鼻にかかったような、決して美声ではないんですが、パワーもパンチもあり、しかも表現力豊かなブレンダ、やっぱりいいなぁ。ボビー・ダーリン作の「ユア・ザ・リーズン・アイム・リヴィング」なんて「好きにならずにいられない」のコピーみたいですが、彼女が歌うとまた別の世界です。可愛いというより、若いのに成熟しちゃってるんですけど、好きなものは仕方がないですね。スローなバラードがほとんどなので、たまにはタイトなアップテンポを聴きたいです。



Brewer Phillips ; Homebrew ; DELMARK DE-686 (2005. 3.14)

1995年録音。ブリュワーと言えばもちろんハウンドドッグ・テイラーの相棒として有名で、もっとドロドロした感じのブルースをやるのかなって思いましたが、結構モダンな選曲でビックリしました。ヴォーカルは冒頭の「ユー・ドント・ハフ・トゥ・ゴー」他3曲で担当、これはややいなたさを感じますが、多分テレキャスターと思われるしゃきっとしたギターは達者でバッキングもソロもシャープです。残りの歌はピアノのアーロン・ムーアが担当していますが、ちょっとルーズヴェルト・サイクスを思わせる伸びのある歌で、さらにモダンさを感じさせます。フルソンの「ブルー・シャドウ」とかかなりはまってますね。エイトビート化された「トア・ダウン」もシカゴのちっちゃなクラブで聴くとこんな感じになるのかなんて創造をたくましくさせます。



Brian Jack & The Zydeco Gamblers ; To Be Continued... ; UAR no number (2006. 8. 3)

2006年リリース。ブライアンはテキサスをベースに活動する1979年生まれの若手で、これが5枚目となる新譜のようです。きれいなコーラスワークを取り入れた新世代ザディコですが、曲調自体は割合オーソドックスなトゥーステップをベースにしていて、ちょっとステップ・リドゥーを思わせる感じもあります。アコーディオンもなかなか達者で「マイ・トゥート・トゥート」を思わせる「ガンボ・ファイル」なんてなかなか気持ちがいいです。また三連のリズムを強調した「プリティ・フェイス・アグリー・ウェイズ」なんてほかではあまり聴かれないスタイルでユニーク。もう少ししっかり練り込んだプロデュースを施すとぐっと面白くなるのではと思いました。



Brian Jack & The Zydeco Gamblers ; Underdog ; BRIAN JACK no number (2007.11. 6)

2007年リリース。ブライアンはテキサス・ベースのザディコで、イントロでいきなり今風のサウンドが出たんでちょっと身構えましたが、明るいアコーディオンをベースにした軽快なザディコが飛び出してきて一安心。リズムはタイトでちょっと新世代的な感じもしますが、しっかり伝統に根差しているのは「ジョリー・ブロンデ」なんてワルツでフィドルや「アイ〜」というかけ声を聞くと分かりますね。一方MOTOWNクラシックの「マネー」をしっかりザディコ化してたりします。また「アフター・ザ・レイン」なんてクルセイダーズみたい。全編ミュージシャン・マインドを感じさせる改作です。



Brian Kramer & The Couch Lizards ; No Regrets ; ARMADILLO ARMD 00019 (2006.10.24)

2004年リリース。オールドのドブロを中心に、ハーモニカ、マンドリンなど、アコースティックな楽器を軸にした、典型的なグッド・オールド・アメリカン・ミュージックといった感じです。冒頭のタイトル曲、ミディアムでなかなか心地好い乗りのブルースで、とっても気に入りました。全体に派手さはなく、何だかのんびりした雰囲気になるんですけれど、演奏している人たちが音楽を楽しんでいる様子が伝わってくる佳作です。一杯やりながらこんな演奏ができたら楽しいだろうな。



Brian Kramer ; I Want My Illusion ; BRIAN KRAMER BLUES BKB 0003 (2007. 4.21)

2006年リリース。まずこの人のスライドとヴォーカルの雰囲気を聴いて、日倉士さんによく似てるなと思いました。声質もなんですけど、歌い回しとかそっくり。もちろん達者なスライドで、ブルースとブルーグラスの狭間を行くようなサウンドは彼らしいんですが、バックの楽器数を減らし、時には弾き語りやデュオで奏でるサウンドは、よりそのスライドの味わいがよく出ています。一つ一つの音の選択とか弦の響かせ方とか、楽器を愛でながら弾いている感じで、すごく伝わるものがあります。「ミスター・グレイ」のイントロとか「リーパー」とか、ゆったりした広がりのあるサウンドで、硬軟併せ持つ才能を感じさせますね。切れのいいピッキングが楽しい「レット・イット・ゴー」の雰囲気はちょっとタジ・マハルとかも思わせますし、バックのコーラスがゴスペルタッチってのもいい感じ。この人は要注目です。



Brian Stoltz ; East Of Rampart Street ; LONG OVERDUE LOR-0001 (2003. 8.19)

2002年リリース。ブライアンと言えば、ファンキー・ミーターズのギタリストで、大股のニューオーリンズ・ファンクを期待しましたが、より今っぽい作風でした。冒頭そのファンキー・ミーターズのボス、アート・ネヴィルのラップから入るあたりは結構うねりのある感じだったんですが、曲が進むにつれ、ノリは軽く、細かくなります。ラップも多用され、打ち込みのループもあるなど、ヒップホップも意識していますが、ちょっと中途半端かな。でもこれをロックアルバムとして聴くと、かなり凝ったリズムの作り込まれた作品とも取れます。先入観なしに頭を真っ白にして聴けばそれなりに面白いです。しかしブライアン、相当なジミ・ヘンドリックス・フリークとみました。



Brian Stoltz ; God, Guns & Money ; LONG OVERDUE LOR-0002 (2005. 5.15)

2005年リリース。なんとブライアンが反戦アルバムを作っちゃいました。打ち込みを多用したセルフレコーディング的なアルバムで、いつもよりギターは控えめ、そういう中タイトル曲、ヘヴィーなブルースの「ウォー・ソング」、皮肉たっぷりの「ザ・グレイテスト・アームド・ロブリー・イン・ヒストリー」、自分の弟の従軍をネタにした「オポジット・サイズ・オヴ・ザ・ウォー」など、やや不協和音を交え、いかにも不快な雰囲気を醸し出しながら、時にはまるでボブ・ディランのようにメッセージを込めた唄を歌っています。時折聞こえる歪んだスライドは、サニー・ランドレスを意識したかのようで、粘っこくドロリとしています。怒りを銀盤に封じ込めた作品です。この姿勢は僕は支持したいですね。



Brian Stoltz ; Up All Night ; LONG OVERDUE RECORDINGS LOR0003 (2007. 8. 3)

2006年秋、フロリダでのライヴです。切れのいいカッティングとプレイシーなソロという、ブライアンの名手ぶりが全編に溢れています。歌は決して上手い方じゃないんですが、反戦アルバム「ゴッド,ガンズ&マネー」からの曲を多く取り上げるなど、気持ちのこもった歌で好感が持てます。バンドはニューオーリンズのベテラン達らしいうねりのあるサウンドで、ライヴの大きなテーマだと思われるヴードゥーな雰囲気を良く出しています。ブライアンの好きなジミ・ヘンドリクスのテイストもしっかり込められ、またミーターズの「ファンキー・ミラクル」も熱演、ラストを「見張り塔でずっと」で締めるあたりが、この人らしいな。2枚組ですが飽きることなく一気に聴き通せました。



Brides Of Jesus ; Forreal ; N'AWLINS no number (2004. 1.20)

1997年リリース。セカンドラインを十分に感じさせるドラムにブラスが絡むいかにもニューオーリンズ・ファンクな作品で、「アール」なんてまるでミーターズみたい。この手のバンドとしてはヴォーカルがかなり張りのあるいい声で、特に「ハリウッド」はストーリー性も感じました。タイトル曲もかなりファンキーで格好良く、スライ&ファミリーストーンの「シング・シンプル・ソング」はヴォーカルをラップ仕立てにしてリニューアル。結構楽しめました。



Brint Anderson ; I Knew This World Happen ; TOULOUSE TOU 1401 (2003. 2. 6)

1997年リリース。ブリントはアコースティックのライヴが格好良かったんで、スタジオ盤はどんなんだろうと期待していたんですが、ひとことで言うと狙いの分からないアルバムです。どちらかというとニューオーリンズ風味を感じる「パック・イット・アップ」とか、クールなファンク「オン・マイ・オウン」のような曲調はかなり面白さを感じましたし、トム・ジョンストンに似た声質のヴォーカルも、抑えて歌うとなかなかいいんですが、リトル・フィートの「コールド・コールド・コールド」をそれこそベタでやったり、音の芯がどっかに行っちゃったようなエフェクトまみれのギターとヴォーカルの「クウィーン・イネブリテイション」、まるで30年前の日本のロックバンドのスタジオ録音のような味気ない歪みのギターによるブルース「ユー・シュッダ・シーン・ディス・プレイス」などはまるで別の人の曲みたい。こりゃ苦手です。特に「ユー・シュッダ...」はベースにジョージ・ポーターが参加してるんですが、全然彼が生きてないと思うんですが。いい曲があるだけに、ちゃんとプロデュースしたら良かったのになぁ。



Brint Anderson ; Notes From Clarksdale ; TOULOUSE 1402 (2002. 4.20)

1998年秋、クラークスデイルのドライヴイン?でのライヴ録音。ブリントはおそらく白人(写真では見るからにそうですが、人種は見かけだけでは区別できません)で、アコースティック・ブルースをやっているんですが、これ、かなりいいです。バックにジョン・フォーヒのドブロ(1曲歌ってる)、ジム・マークウェイのスタンダップ・ベース、ジェフリー・アレクサンダーのドラムの4人編成なんですが、いわゆるフォーク・ブルース的な感じは微塵もなく、気持ち良くドライヴするロッキン・ブルースが中心です。サン・ハウスの「デス・レター」もモダンなアレンジだし、ジョニー・ウィンターからゴードン・ライトフットまで取り上げていて、それを自分たちのサウンドに消化しています。ぐいぐい来る感じはベースの仕業かな?ヴォーカルも結構味わいがあり、思わず2ラウンド目に。典型的な「ジャケ買い」でしたが大当たりです。



Brint Anderson ; Brint Anderson ; BRINT ANDERSON no number (2008.11. 1)

2008年リリースの弾き語りブルース・アルバムです。ジャケットにあるメタル・ボディのリゾネイタを使い、ブルームダスター調からラグタイム、さらにはヘンリー・トーマスの「フィッシン・ブルース」、マディの「カナリー・バード」、ロバート・ジョンソンの「カインド・ハーテド・ウーマン」からタジ・マハルの「シー・コート・ザ・ケイティ」まで、達者なギターと張りのあるヴォーカルを聴かせます。コンセプトが明解で、高いテクニックに裏打ちされているので、安心して聴くことが出来ました。カヴァーの中にオリジナルが4曲あるんですが、違和感なく聴けましたし。




Brotherhood Of Groove ; Pocket Full Of Funk ; BROTHERHOOD OF GROOVE no number (2007. 3.20)

2001年リリース。ニューオーリンズの若手ファンク系ジャムバンドで、ぐっと来るようなタイトルなんですが、思ったよりはフュージョン的な演奏でした。ちょっとリズムを崩したりとミーターズあたりからの影響も感じますが、メンバーはどちらかというとジャズ畑なんじゃないでしょうか。技術はありますし、それなりのグルーヴ感は出ているんですが、何かいまひとつ僕には物足りない感じがしました。



Brotherhood Of Groove ; BOG Style ; P-VINE PVCP-8244 (2006.12. 6)

2006年リリース。ニューオーリンズには本当にいろんなファンク・バンドがあるもんです。これもそのひとつで、1曲目は思いっ切りミーターズの入ったセカンドライン・ファンク・ナンバー。アイヴァン・ネヴィルがオルガン、ウガンダ・ロバーツがコンガで参加してます。でもこの他の曲はよりジャズっぽいファンクですね。それもそのはず、アルト・サックスにはソライヴのサム・キニンガーの名前も出てきます。グラント・グリーンの「ウィンドジャマー」を取り上げているのも元々そうした音楽指向だったのかなと思います。でもちょっとフォーク調の「フィーリング・ソウル」なんて曲が出てきたり、ロックな「グリーン・ゾンビーズ」なんて曲が入ってたりと、一筋縄でいかないのが魅力かな。ラストのライヴ曲のリフ、一瞬ゼップの「ハートブレイカー」かと思いました。焦点の絞りきれていないところもありますが、これからもっと面白くなりそうなバンドですね。



Brotherhood Of Groove ; Live ; BRANDON TARRICONE'S BROTHERHOOD OF GROOVE no number (2009. 3. 7)

2006年のツアーの模様です。このユニットはギターとサックスをフロントにしたカルテットで、どっしりと落ち着いたリズム隊を土台に、ブリブリのサックスと切れのいいギターが交互にソロを取ります。ライヴならではのノリのいい演奏で、JBズの「ギミ・サム・モア」でスタート。ミーターズの「ファンキー・ミラクル」なんて圧巻です。またマーヴィン・ゲイの「インナー・シティ・ブルース」のインタープレイも格好いい!後半になると歌ものも出てきますが、結構いけます。全体に乗りがよくて心地良いアルバムです。




Brownie McGhee ; Blues Is Truth ; BLUE LABOR/THE BLUES ALLIANCE TBA-13008 (2005. 8. 4)

1976年録音。確かブラウニーがサニー・テリーやライトニンと来日した頃、日本盤のLPが出されていたもののCD化です。マディと共作した「ザ・ブルース・ハド・ア・ベイビー」で幕開けしますが、バックのメンバーが凄い!ルイジアナ・レッドのスライドにサミー・プライスのピアノ、さらになんとシュガー・ブルーのハーモニカまで入ってるんです。リズム隊のブレーク兄弟はフュージョン系の人みたいですね。どうも音がしゃきっとしすぎて僕は苦手ですが。弟のスティックのヒットのリメイク「ワイン・スポーティ・オーティ」や「ウォーク・オン」「クリスティーナ」などお得意のナンバーが並びますが、シュガーとのデュオでやってるタイトル曲などはなかなか味があります。



Brownie McGhee ; Omega: The Final Recordings ; WESTSIDE WESA 871 (2004.12. 4)

1995年録音。翌年没するブラウニーのラスト録音のようで、エルまー・リー・トーマス・ブルース・レビューというバンドがバックを付けています。音は思いのほか元気なブラウニーが聴け、バンドの生ハープもなかなか上手く絡んでいていい感じ。ストレートな演奏で「ウォーク・オン」「クリスティーン」など代表曲をやっています。スタンダード曲も多いですが、変な力みやわざとらしさもなく、まっすぐ歌ってるのが良いですね。当たりです。



Browning Bryant ; Browning Bryant ; WARNER BROS./VIVID SOUND VSCD-3360 (2007.12.15)

1974年リリースのアルバムのストレート・リイシュー。元々はマーク・レスターと並ぶアイドルだったブライアントがアラン・トゥーサンのプロデュースでこのアルバムを作ったときは、若干16才だったそうです。確かに声は若く、深みはありませんが、端整な顔立ちに似合うストレートな歌を、いかにもミーターズといったサウンドが支えます。ただしドラムはジガブーではなくスモーキー・ジョンスンですが。何といっても素晴らしい出来なのが「リヴァプール・フール」で、どこかザ・バンドにも通じるサウンドの中、スモーキーとジョージ・ポーターの生み出す絶妙なリズムが踊り、若々しいメロディを支えます。アトランタでのセッションの曲もサザン・ロック風味を漂わせながら、時折レオ・ノセンテリと聴き間違うようなフレーズも出てきて、この時代のミーターズ・サウンドの影響力を改めて確認できました。



Bryan Lee ; Bryan Lee's Greatest Hits ; JUSTIN TIME JTP 7501-2 (2004. 2. 3)

ウィスコンシン生まれですがニューオーリンズで活躍し、1991年から8枚のアルバムを出してきたギタリストのベスト盤です。ちょっとクランチの効いた、実にいい音のギターを弾きます。フレーズは大きく、良く歌います。アルバート・キングなどからの影響も感じますが、自分のスタイルをしっかり作っていて、「キー・トゥ・ザ・ハイウェイ」のようなクラシックナンバーもグッとモダンな仕上がり。「ビューティシャン・ブルース」「アイル・プレイ・ザ・ブルース・フォー・ユー」といったグレイトなナンバーも、オリジネイタに対するリスペクトを感じる演奏です。歌はちょっとジョニー・ウィンターを思わせるところがありますが、少しがなり気味なのが玉に傷かな。面白いアルバムです。



Bryan Lee ; Live & Dangerous ; JUSTIN' TIME JUST 205-2 (2005. 5.19)

2003年10月モントリオールでのライヴです。とにかく冒頭のインストからブライヤンのギターがよく歌っています。粘っこいギターの音にそのフレージングが実にマッチしていて実に爽快!またヴォーカルも伸びやかで、「ザ・ウォーク」から全開!ゆったり目の「ロケット88」なんてむちゃくちゃ格好いいです。続くファンキーな「ブルース・オン・マイ・マインド」のギターの出だしなんてビリビリに痺れますね。「ゲイヴ・ユー・ワト・ユー・ウォンテド」ではファットにオーヴァードライヴさせたアンプを引き裂くようなスライドプレイも登場、聴き手をどんどん引き込んでいきます。ラスト2曲は長尺のナンバーでいやというほどギターを弾きまくりますが、聴いていて冗長な感じは全くありませんでした。こりゃ生で見たいぞ!



Bryan Lee ; Katrina Was Her Name ; JUSTIN TIME JUST 226-2 (2007.10.26)

2007年リリース。アルバート・コリンズ譲りの伸びやかなギターが魅力的な盲目のブルースマン、ブライアンの新譜は、いつにも増してニューオーリンズ・テイストの強いものになりました。例えば「ベアフッティン」、サウンドもですが落ち着いたハイトーンの歌が凄く魅力的です。この曲に限らずこのアルバムはブライアンの歌がかなりいけてます。タイトル曲はスライド・ギターを絡めたアコースティックなマイナーのブルースで、ひときわぐっと来ます。「エイント・ノーバディズ・ビジネス」はフレディ・キングの香りがしています。伸びやかで気持ちのいいギターと歌です。ブライアンは良質な作品を出してきましたが、このアルバムはかなり気に入りました。



Buckwheat Zydeco ; 100% Fortified Zydeco ; SHOUT! DK 34072 (2005.12.27)

1983年のリリースの再発です(守島さん、ご指摘感謝)。まさにバックウィートらしいごった煮ザディコ・アルバムで、スワンプ・ポップ風の「ニード・ユア・ラヴィン」からMALACO流ブルースっぽい「アイヴ・ハッド・トラブル・ウィズ・ザ・ブルース」、さらにルーサー・アリソンの「ブルーミントン・ブレイクダウン」のテーマをパクったとしか思えないファンキーなオルガンインスト「ジャスパルー」と続くあたり、何でもありですね。ケイジャン・ワルツあり、ケイジャン風トゥー・ステップありで、もちろんザディコもやってますけどバックウィートの幅の広さをこれでもかと聴かせてくれます。まさにエンターティナーとしての面目躍如って感じですが、とっ散らかった印象もまた免れません。まあ楽しいからいいんですけどね。



Buckwheat Zydeco ; On A Night Like This ; ISLAND 7 90622-2 (2007. 1.10)

1987年リリース。バックウィートが飛ぶ鳥をも落とす勢いの頃の作品です。流行ってる頃はそんなにきちんと聴いたわけじゃなく、元気のいいザディコだな位に思ってたんですけど、こうして中古盤を掘り出して聴き直すと、ブギなノリの「マ・ティ・フィレ」にさらにスピードアップしたインスト「バックウィート・スペシャル」あたりが、僕のバックウィートのイメージに実にぴったりです。「ホンキー・トンク」のサックス部分を繰り返し演奏する「ザディコ・ホンキー・トンク」にMGズのインスト「タイム・イズ・タイト」などインストが多いんですが、やっぱりスピード感のある「ホット・タマル・ベイビー」がくると腰が動きます。でももう20年前の音なんですね。あっと言う間の気がします。



Buckwheat Zydeco ; Where There's Smoke There's Fire ; ISLAND 422-842 925-2 (2002. 3. 6)

1990年リリース。中古で購入。プロデューサーのデヴィッド・イダルゴってロス・ロボスの人でしたっけね。メジャーのISLANDでこんな人のプロデュースですから、良くも悪くも洗練されています。「ヘイ・グッド・ルッキン」「ルート66」といったあっと驚く選曲があったり、ボブ・ディランを彷彿させる曲があったりと、泥臭いザディコとは一線を画す作品で、さすがザディコの名を世に知らしめた人だけあります。まあ深みとか味わいには欠けますが、その分スピード感があり、ポップで楽しめる面もあります。口当たりのいいザディコかな?いわゆるライト・ボディってやつです。



Buckwheat Zydeco ; Five Card Stud ; ISLAND 314-524 018-2 (2005. 8.13)

1994年リリース。大ブレイクした後の余裕を感じさせる演奏で、ブラスをたっぷり効かせたゴージャスな音作りやファンキーなアレンジはバックウィートならではですね。ウィリー・ネルソンとデュエットしたどこかテックスメックスのような響きの「マン・ウィズ・ザ・ブルース」とか、メイヴィス・ステイプルを迎えファンキーなアレンジの「ディス・トレイン」など音楽的な幅の広さも見せていますが、「I.R.S.」のような伝統に根差したザディコもあり、聴き所は多いです。しかしこの人はギャンブル大好きなんでしょうか。新作がスロッとマシーンのジャックポットで、このアルバムがポーカーですからね。そのタイトル曲、J.B.みたいなファンクで御機嫌です。でもザディコはどこ行った?



The Buckwheat's Zydeco Ils Sont Partis Band ; Buckwheat's Zydeco Party ; ROUNDER CD 11528 (2004. 2.22)

1997年リリースの、ROUNDERから出た3枚のアルバムからのベストです。クリフトン・シェニエの「ホット・タマル・ベイビー」から始まりますが、選曲は結構ポップで、リー・ドーシーの「ヤー・ヤー」、ファッツ・ドミノの「ウォーキン・トゥ・ザ・ニューオーリンズ」、リトル・リチャードの「トゥッティ・フルッティ」など、なじみの曲をザディコ風味でたっぷり味付けしてやっています。このとっつきの良さがブレイクした原因なんでしょうね。バンドもよく熟れていて、軽快に支えます。手っ取り早くバックウィートの魅力を知るには良いアルバムだと思います。



Buckwheat Zydeco ; Down Home Live! ; TOMORROW RECORDINGS TMR 70004-2 (2003. 2. 3)

2000年秋にラフィエのエル・シド・オーズ・ザディコ&ブルース・クラブで録音されたライヴです。4管にギター3本を従えたバックウィートは、エンターティナーぶりを存分に発揮しています。バックが厚い分純粋?なザディコとは印象が異なり、ファンキーでソウルフルなロックバンドみたいに聞こえる面もあります。そのためローカルな感じが薄く、より広く受け入れられているのかもしれませんが、ザディコの枠ではくくりきれない音楽性を感じました。イントロのアコーディオンがかわいい「ウォーキン・トゥ・ニューオーリンズ」は場内盛り上がっていますし、ラストの「ビースト・オヴ・バーデン」はまるで「ノー・ウーマン・ノー・クライ」みたい。



Buckwheat Zydeco ; Lay Your Burden Down ; ALLIGATOR ALCD-4929 (2009. 8.27)

2009年リリース。いやぁびっくりしました!いきなりサニー・ランドレスのスライドをフィーチャーしたツェッペリン仕立ての「ホウェン・ザ・レヴィー・ブレイクス」から始まるんだもん。全体にサウンドの重心が低く、トロンボーン・ショーティを含むホーンセクションの格好いいレゲエ風「レット・ユア・イェー・ビ・イェー」や、ブルース・スプリングスティーンの「バック・イン・ユア・アームズ」など、やはり彼の経歴のなせる技か、いわゆるラフィエ土着のレゲエとは一味も二味も違うサウンドです。全体にソウルフルで、適度にポップ。ラストのスロー「ファインディング・マイ・ウェイ・バック・ホーム」は後ろ髪引かれる思いで聴きました。




Buckwheat zydeco's Bayou Boogie ; Music For Little People ; RHINO R2 524468 (2010.12.26)

2010年リリース。タイトル通り子供向けの曲をたっぷりやったもので、子供のコーラスも入っててかわいいです。でも曲は童謡ばかりでなく「ベアフッティン」「ロコ・モーション」「ウォーキン・ザ・ドッグ」「ツイスト・アンド・シャウト」といったダンス曲もあります。子供の会話とか犬の吠え声、鶏の時の声などが入ってて楽しい雰囲気。ラス前に「パーティは終わり」、そしてラストは「またあした」とちゃんとお開きにするあたりも教育的というか。このシーズンには向いた企画ものです。




Buddy Ace ; The DUKE Recordings ; DUKE D-1955 (2005. 1.16)

おそらく1960〜68年頃の録音です。いきなりなかなかモダンな、でもどこか田舎臭い「プリーズ・ドント・ゴー」から始まり、ブルースがメインなのかと思いましたが、やはり「ホールド・オン」「ナッシング・イン・ザ・ワールド・キャン・ハート・ミー」といったヒット曲は、サザンソウル系のアップナンバーでした。さすがにこの手の曲はかっこいいです。彼の持ち味はこうした曲と情感を込めて歌うスローバラードにあるようで、初期の曲にはボビー・ブランドからの影響ありありのものもあります。かなりいけますが、決定的な個性に欠けるのが大スターの座を逃した理由かな。でもDUKEってレーベル、今も生きててCD出してるんですかね。一応「ヒューストンのDUKE」がリリース元になってます。



Buddy Ace ; The Silver Fox ; EVEJIM EJ 2040-2 (2006. 1.22)

1993年録音。中古で購入。もはやベテランの域に達しているバディのアルバムで、MALACOを思わせるちょっとゴージャスなブラスのはいったサウンドをバックに、ブルースやバラード、ファンキーナンバーを歌っていきます。プロデューサでキーボードのレオン・ヘイウッドの曲が多いですが、「シンク」「ジャスト・ガッタ・ノウ」とジミー・マクラックリンを2曲取り上げていたり、イスラエル・トルバートの「ビッグ・レッグ・ウーマン」をやっていて、かなりはまっています。ボビー・ブランド色が薄まり、どちらかというとリトル・ミルトンに通じる感じのいけるヴォーカルです。でもバックにボビー・フォーテ、ロイ・ゲインズ、レオ・ノセンテリといった凄いメンバーが入ってるのにはビックリ!



Buddy Banks ; 1945-1949 ; BLUE MOON BMCD 6015 (2003.12. 6)

ジャズには疎いので、名前なんか全然知らないんですが、ついついレーベル買いすると、やっぱり面白かったりするんで、やめられません。この人は西海岸の人のようで、自身のテナーサックスを軸にしたジャイヴ感覚の強いコンボです。冒頭の「アイ・ニード・イット・バッド(グルーヴ・ジュース)からしてそのセンスの良さを感じさせます。フルフィー・ハンターの女声ヴォーカルをフィーチャーした御機嫌なジャンプナンバーでも、しっかりコーラスでジャイヴしたり、バンクス自身の歌う「ティク・ザ・チーフ」なんて、ひょっとしたらジョージ・スミスの「へイ・ミスター・ポーター」につながるのかしらと想像できちゃいます。流行りにも敏感なのか、しっかりラテンナンバーもあって、強烈さはあまり感じませんが、楽しいノリです。



Buddy Flett ; Mississippi Sea ; OUT OF THE PAST no number (2007. 5.30)

2007年リリース。ジャケットにはトライコーンのリゾネイタをスライドでプレイする様子が映っていますが、全編スライドって訳でもなく、ピックギターや12弦をフラットピックでプレイする曲が主です。ギターの枯れた味わいとか、ひなびたジョン・フォガティとでもいうようなヴォーカルは結構魅力的。「ダーン・サムバディ・ロング」や「ドンチュー・ライ・トゥ・ミー」といった古いブルースのカヴァーも、ロックのフィルターを通したサウンドです。ソロギターでプレイする「ハイダウェイ」、誰かさんに教えて上げたいな。まあそこそこ面白いアルバムです。



Buddy Guy ; This Is The Beginning - The Artistic & U.S.A. Sessions 1958-1963 ; P-VINE PCD-24044 (2001. 2.16)

頂き物です。以前PAULAから出ていた「Southern Blues 1957-63」の内容を補強したもので、音質は格段に向上しています。シャープになったというよりは、中音がふくよかに響くようになった感じで、ここのところのP-VINEとWESTSIDEによるJEWEL系音源に共通したリマスタリングです。曲はバディの自己名義の他、ジェシー・フォーチュンの曲も別テイクとも収録、これで「シカゴブルースの25年」と「サザン・ブルース」の「トゥー・メニー・クックス」のヴァージョン違いのなぞが解けたように思えます。自己名義はシカゴのものと、ルイジアナ時代のACEのものもあり、後者は青さを感じますが、瑞々しいです。ラストにセッション風景が収録されており、テイクを重ねながら曲を完成させていく様子がよく分かります。



Buddy Guy & Junior Wells ; Chicago Blues Festival 1964 ; PURPLE PYRAMID CLP 1331-2 (2004. 6.22)

初めて聴く音源だなと思って、期待して買ってきましたが、今までお蔵だった理由も分かりました。まず音質、特にヴォーカルがバランスが悪く割れちゃってます。ギターもちょっとチューニングが怪しかったり。それでもバディらしいフレーズが出てくると、聞き耳立っちゃいますけど。ジュニアの方はなんか声の感じが違って聞こえました。例の色気をあんまり感じないんです。他人には薦めにくいアルバムですね。ボーナスとしてバディのCHESS音源が少し入ってます。



Buddy Guy & Junior Wells ; Play The Blues ; ATCO/RHINO RHM2 7894(2006. 8.17)

1972年に出されたアルバムに、今回未収録だった曲を加えたいわゆる「完全盤」です。オリジナル盤はエリック・クラプトンが酔っ払いながらプロデュースしたことで知られる盤で、「メッシン・ウィズ・ザ・キッド」などブルース・ブラザーズの下敷きになったタイトな演奏が魅力です。特にバディはいつになく抑制が効いており、一方ジュニアは彼らしいなまめかしさがしっかりとらえられています。2曲J.ガイルズ・バンドをバックにしたものもあり、こちらはぐっと締まったロックっぽい演奏。結構好きでした。今回のボーナスは、未発表テイクが中心で、バディとジュニアがヴォーカルを交互に取っている曲も多いです。またスローブルースの中には、バディのギターがまるでクラプトンのように聞こえるものもあったりします。ラストにモノラルのラフ・ミックスで「スウィートホーム・シカゴ」をやっているのが如何にもといった感じですね。やはりオリジナル盤を超えるテイクはありませんでしたが、結構楽しめました。



Buddy Guy ; Stone Crazy ; ALLIGATOR/P-VINE PCD-23042 (2001. 2.24)

1979年フランスでの録音。もともとは当地のレーベルISABELから出されたものです。弟のフィルのサイド・ギターにベース・ドラムズという最小限のメンバーをバックに、直情的にスローブルースを弾き倒すバディ、そこにはプロデュースとか眼中にない、スタジオという空間で、思いの丈をぶつけただけといった趣すら感じます。ヒステリックなヴォーカル、瞬発力はあるけれど、構成など殆ど考えられていないギター、バディ・ファンにはたまらないでしょう。「ユーヴ・ビーン・ゴーン・トゥー・ロング」はロックっぽいサウンドで、ちょっとジミ・ヘンドリックスに通じるものを感じる部分(アンプがマーシャル系かな?)もありますから、むしろロック・ギターからブルースに入ろうという人にはいいかもしれませんね。



Buddy Guy ; Breaking Out ; JSP CD 272 (2001. 7.13)

1980〜81年録音。いきなりディストーションのかかったギターが鳴りだし、何事かと思いました。繊細さに欠けたサウンドメイキングで、正直言って聴き辛さを感じました。歌はそこそこ唄えているんですが、しっくり来ません。むしろラスト2曲のフィル・ガイ名義の方がいい感じです。プロデュースのミスだと思います。



Buddy Guy ; D.J. Play My Blues ; JSP CD 256 (2001. 7.14)

1981年シカゴ録音。こちらはギターはナチュラルな音で、アップテンポの曲はちょっとうるさい感じがしましたが、スローブルースはかなりT-ボーンを意識したプレイが目立つものの、情感がこもっていてけっこういけます。オーティス・ラッシュの「オール・ユア・ラヴ」をけっこうゆったりやっているのも、スリルはないけれどおもしろみは感じました。このアルバムにもフィル・ガイの歌が2曲。「メロウ・ダウン」はリトル・ウォルターの「メロウ・ダウン・イージー」ですが、なかなかどろどろとした乗りで印象に残りました。



Buddy & Philip Guy ; Buddy & Phil ; JSP/P-VINE PCD-23886 (2007. 2.17)

1981年リリースのアルバムに、1979年録音のフィルのアルバムからの曲を2曲プラスしてあります。冒頭の「ファンク・イズ・ザ・スカンク」、タイトルは格好いいんですが、音は「Braking Out」と同様のファズギターで、どうも好きになれません。フィルの歌う「フィーリング・セクシーもギターは同様。むしろ「バッド・ラック・ボーイ」のセッションのギターの方が自然で、フィルものびのび歌っています。特にこの曲はアルバート・キングの「ボーン・アンダー・ア・バッド・サイン」の改作で、なかなかの力作。ラスト2曲はバディのライヴですが、19分に及ぶ「ノック・オン・ウッド」、特にいい演奏でもなく、映像もなしにこの長尺を聴かされるのはかなり辛いものがあります。フィルはいい歌い手なのにバディほど売れなかったのは、やっぱり性格のせいなのかな。



Buddy Guy & Junior Wells ; Alone & Acoustic ; ALLIGATOR ALCD 4802 (2006. 5.24)

1991年リリース。バディとジュニアのコンビがアコースティック弾き語りに挑戦です。お互い気心が知れていますから、サポートはバッチリ。こういう落ち着いた雰囲気も悪くはないですね。元々バディはマディと「フォーク・シンガー」なんてアルバムでアコースティックの腕前には定評がありますし。でも、やっぱり彼らの魅力が出きっているかっていうと、物足りなさを感じちゃいます。企画もの以上の面白さはあまり感じませんでした。こうしたデュオをやる場合の参考にはなりそうですけどね。



Buddy Guy ; Feels Like Rain ; SILVERTONE 01241-41498-2 (2007. 1.21)

1993年リリースのSILVERTONE移籍第2弾です。バディとロックの相性がいいことを良く理解しているジョン・ポーターがプロデュースし、バックにはリトルフィートのリッチー・ヘイワードにビル・ペインと、同じ頃に出たオーティス・ラッシュのアルバムともかぶるメンバーが参加。オリジナルは最初と最後の2曲だけで、ジョン・ハイアットのタイトル曲、ブルース度をより増したJBの「アイ・ゴー・クレイジー」、バディの大好きなギター・スリムの「サファリン・マインド」、ジュニア・ウェルズの「アイ・クッド・クライ」など、結構ヴァラエティに富んだ選曲です。面白かったのはレイ・チャールズの「メアリー・アン」、歌い方がまるでフェスみたい。前作ほどのインパクトはありませんが、この路線はバディに合ってますね。



Buddy Guy ; Sweet Tea ; SILVERTONE 01241-41751-2 (2001. 6.15)

2001年リリースのバディの新作は、FAT POSSUM一派とも呼ばれるミシシッピ北部のプリミティヴなブルースマンの作品を取り上げたことで話題になっています。ジュニア・キンブロウの曲が過半数を占めていて、ドラムにはスパム(T-モデル・フォード)、サム・カー(ジェリー・ロール・キングス)といったご当地のミュージシャンを起用、これに第三のドラマーとベース、ギターに若手白人を組み合わせています。アコースティックによる泥臭い弾き語りに続き、独特の粘っこいビートのドラムと、ブーストしたベースをバックにした演奏が始まりますが、思ったよりずっと都会的なサウンド。ときおりジミ・ヘンドリックスを彷彿させるフレーズもあり、60年代末のブルース・ロックに通じる雰囲気を持っています。ことしで65才になるとは思えない突き抜けたバディのサウンドです。フルソンの「トランプ」を、「俺は田舎者だけど気持ちよくさせてやる」といった感じで使っており、ライナーにある「カントリ・ーボーイ、シティ・マン」というテーマを貫いています。ラストの自作曲にはボビー・ホウィットロックのピアノも聞こえます。僕の好みとは少し外れますが、かなりの意欲作。好きな人にとってはたまらない作品でしょう。



Buddy Guy ; Blues Singer ; SILVERTONE 01241-41843-2 (2003. 6.15)

2003年リリースの新譜、いわゆる「アンプラグド」です。このアルバムのタイトルを最初に見たとき、マディの「Folk Singer」を思い出しました。約40年前このマディの「アンプラグド」アルバムに、バディはセカンドギターとして参加、当時「うるさいばかり」と評価していたチェス兄弟などの度肝を抜いたんだそうですが、今作では「フォーク」を「ブルース」に置き換え、先輩たちの名曲にチャレンジしています。選曲は多様ですが、ある意味ジョン・リーへのトリビュートの意味もあるようで、彼の曲を3曲取り上げています。「クロウリング・キング・スネイク」にはB.B.キングとクラプトンも参加していますが、B.B.がアコでもエレキと同じフレーズでソロを弾くのが笑えました。でもこの曲はある意味「客寄せパンダ」かな?どちらかというとジンボ・マシューズとのデュオの方が味わいを感じました。とにかくこのアルバムはタイトル通り「歌」にこだわっている感じがしました。時折いかにもバディらしいヒステリックな唄い回しもあり、本人は楽しんでいるようです。でも僕がバディに期待するのはやっぱりもっとアグレッシヴなサウンドですね。作り込まれていて悪いアルバムじゃないけど、バディがこれを作る必然性はあまり感じませんでした。



Buddy Guy ; Bring 'Em In ; SILVERTONE 82876-72426-2 (2005.10. 4)

2005年リリースの新譜です。ベースにウィリー・ウィークス、ドラムはスティーヴ・ジョーダンという手堅いリズム隊に、サイドギターにはスタジオワークで名高いダニー・コーチマー、キーボードには何とP-ファンクのバーニー・ウォーレルという、何とも豪華なバックを迎えています。当然寸分の隙もない引き締まったリズムで、それをバックに時折ワウをかませたエモーショナルなギターと、いつになく泣き節の利いたバディの歌声が乗ってきます。やる気充分て言った感じですね。ウィルソン・ピケットの「99.5」なんて抑制ががっちり効いているんですが、その隙間から漏れ出しそうなエネルギーを感じます。ゲストがこれまた豪華で、カルロス・サンタナと「アイ・プット・ア・スペル・オン・ユー」でギター弾き比べをやってたり、ジョン・メイオール、キース・リチャードといったブリティッシュ勢から、トレーシー・チャップマン、ケブ・モーに果てはロバート・ランドルフとボブ・ディランをやっちゃうなど、よくもまあ集めましたね。でもバディがそれらに埋もれないあたりに、彼の強さを感じます。ゆったりとスローブルース化した、まるでジミ・ヘンドリクスのような「カット・ユー・ルース」など、このアルバムを代表する曲かな。バディ、やる気いっぱいですね。



Buddy Guy ; Skin Deep ; SILVERTONE 88697-31629-2 (2008. 8. 3)

2008年リリース。最近はちょっと実験的なアルバムを作ってきたバディでしたが、ここで再びオーソドックスなバディらしい、ロック・テイストを加味したアルバムを出してきました。ゲストにデレク・トラックスとスーザン・テデスキ夫妻、クラプトン、ロバート・ランドルフと、結構時の人を入れていますが、バディはバディらしく伸び伸びと弾いて歌っています。ロバートは少しおとなしいくらいで、もっと存分に弾いてもらいたかったな。タイトル曲でのデレクのプレイは丁寧で好感が持てました。全体になんだか当たり前すぎるというか、「こうやれば売れるブルースのアルバムが出来る」とでもいった方程式通りのアルバムで、ガツンと来るものはなかったなぁ。




Buddy Guy ; Living Proof ; JIVE/SILVERTONE 88697-78107-2 (2010.12.30)

2010年リリース。「74才の若さ」なんて歌うバディ、元気です。歌もけっこう張りがあるし、ギターはバリバリ弾き倒してます。でも、このギター、僕は駄目です。全然色気とか艶がないんだもん。プロデュースを疑います。バディのプレイ自体が変わらなくても、、もう少しアンプのチューニングに気を使うとかできたんじゃないでしょうか。「ステイ・アラウンド・ア・リトル・ロンガー」でのB.B.キングのギターとゆったり落ち着いた歌の方がずっと魅力的に思えました。




Buddy Lucas ; Hoppin' Bop ; REDUTA RRCD 138 (2005.10.24)

1950〜60年代の録音集です。バディ・ルーカスはニューヨークに拠点をおくサキソフォニストで、ビル・ドゲットやミッキー&シルヴィアなどと仕事をしており、セッションマンとしていろんなレコードで音を聴くことができます。このアルバムは自己名義のシングル盤の他、選曲からしておそらくアルバムからのセレクトです。ロックンロール時代ということもあって、エルヴィス・プレスリーやファッツ・ドミノのおなじみのナンバーのカヴァーがかなり見られますが、適度に軽く、豪快さもある野趣溢れるサウンドで、迫力満点です。後でちゃきちゃき切れ味のいいギターが聞こえますが、ミッキーかジミー・スプルーイルってところでしょうか。また「スロウ・ウォーク」「ホンキー・トンク」「ナイト・トレイン」とホンクの定番も吹いていますが、どこかB級さがあって好きです。



Bull Moose Jackson ; Original Blues ; KING KSCD1412 (2004. 3.23)

1940年代後半のKING録音です。大ヒット「アイ・キャント・ゴー・ウィズアウト・ユー」を聴きたくて買いましたが、この曲、大甘でした。ゆったりしたバラードで、ジャンプのイメージがあったんでちょっと肩透かし。でもブル・ムースの持ち味は、ゴリゴリじゃなくてどこかちょっとソフトなところかなって再認識しました。しかしいくら「マイ・ビッグ・テン・インチ」も入っているとはいえCDなのに8曲ってのは詐欺みたいですね。30分足らずです。



Burnside Exploration ; The Record ; LUCKY 13/P-VINE PCD-23962 (2007.11. 5)

2006年録音。ギャリーとセドリックのバーンサイド兄弟による実にロックなブルースアルバム。ギャリーはレッド・ツェッペリンなどを聴いて育ったことは多分間違いありませんが、やはり最大の影響はジミ・ヘンドリクスから受けています。「ワン・コールド・アンド・ロンリー・ナイト」など音色からユニゾンの具合までもろですね。一方ブギのノリはセドリックのヒル・カントリー伝統のすっとこどっこいなドラムで実に好調。キンブロウやR.L.の伝統をしっかり受け継いでいます。ラストの「天国への扉」あたりに彼らの真のルーツが見えた気がします。



Burton Crane ; The Collection ; NEACH NEACH-0123 (2007.12. 4)

1931〜35年録音です。日本が不況から戦争へと向かっている時代に、こんな愉快でおかしな歌を歌っているガイジンさんがいたんですねぇ。本業はジャーナリストなんですが、森岩雄作詞の歌や、自身で日本語の歌詞を付けた歌を、カタコトと言うか妙ちきりんな日本語で歌うんです。中には「ポクポク子馬」のような端唄、「リトル・ライザ・ジェーン」「リパブリック賛歌」「ヤンキー・ドゥードゥル」といったアメリカでの愛唱歌、「月光値千金」に「フランキー&ジョニー」など、よく知られた歌にこれまたユニークな歌詞を付けてるんです。自作の歌詞は特に秀逸で、大変な語彙力を持っています。また淡谷のり子とデュエットする「よういわんわ」では大阪弁まで披露。面白くてたまりませんね。



Buster Bennett ; 1945-1947 ; CLASSICS 5037 (2002. 7.27)

トム・アーチャのARISTCRAT盤でも歌っていたシカゴのサックス・プレイヤーでシンガーのバスターの単独盤です。少しダミ声気味の声は、チョロッとタイニー・ブラッドショウに似ています。サックスはソプラノからテナーまでいろいろ吹きますが、豪快なブロウというよりは、小粋な感じのプレイですね。シカゴというとデルタのイメージが強いですが、こうした当時の流行を追った人もいたんですね。ルイ・ジョーダンの影とか「戦争が終わった!」とか時代が感じられます。



Buster Benton ; That's The Reason ; RON RCD-8005 (2006. 1.21)

おそらく1970年代の録音です。この人は何といっても「スパイダー・イン・マイ・シチュー」という究極のバッドラック・ソングで有名で、その曲も入ってますが、これは再録ヴァージョンだと思います。この他ヘンリー・トーマスの「ゴーイング・フィッシン」のようなブルースでスタートしたので、どブルースアルバムかと思いましたが、「ルッキン・フォー・マイ・ベイビー」でリトル・ジョニー・テイラーを思わせる曲調を聴かせ、「ラヴィング・ユー・ベイビー」ではサザンマナーのソウル、また「フットボール」などのかなりファンキーなナンバーもやるなど、結構幅広く、いかにもチタリン・サーキットを回ってるって感じでした。まさにバッドラックな人で、運に恵まれていたらもっと売れたんじゃないかな。



Byther Smith ; I'm A Mad Man ; BULLDEYE BLUES CD BB 9527 (2002. 7.11)

1992年録音。ロン・リーヴィがプロデュースでキーボードも担当、メンフィス・ホーンズも参加しています。全曲自作で意欲満々なんですが、ちょっと器用貧乏かな?ストラトから奏でられるギターは透明感のあるいい音なんですが、曲によってB.B.キングだったりオーティス・ラッシュだったりとスタイルがころころ変わり、バイザー自身の音が見えないのが残念です。またヴォーカルもやや不安定な感じがします。水準以上の実力は感じるんですが、焦点が絞りきれていないように思いました。むしろライヴで見るといいんじゃないかな。



Byther Smith ; All Night Long ; DELMARK/P-VINE PCD-23677 (2005.10. 8)

1997年リリース。最近P-VINEがDELMARKのアルバムをピックアップして出しているものの1枚です。バイザー・スミスは現在のシカゴでも腕利きギタリストとして知られていますが、この作品でも例に漏れず、B.B.キングやアルバート・キングを彷彿させる大きなフレーズの伸びやかなギターをたっぷりと聴かせます。とにかくそのギターのちょっとクランチのかかったトーンと、スケール豊かなギターが売りですね。ヴォーカルの方は曲によってはかなり音程が怪しいものもあったりしますが、一所懸命に歌っている様子は伝わってきます。好盤ですね。



Byther Smith ; Blues On The Moon ; DELMARK DE 796 (2008. 9.25)

2007年夏のシカゴでのライヴ盤です。最近DELMARKがずっとやってるDVDと同時発売のシリーズですが、こうして現役バリバリのブルースマンの生の姿を記録するのは有意義なことだと思います。オリジナルのブルースを全面に出して、意欲的にやっていますが、ちょっとドタバタしたドラムとか、全体に地味なギターなので、ガツンとしたインパクトはありませんでした。ハイトーンのヴォーカル自体は嫌いじゃないんですけど、この人何かひとつ「売り」に欠けるような気がするんですよね。ギターもB.B.キング丸出しの「ハード・タイムズ」だとかシカゴ・スタイルの「イフ・アイ・ミスユースト・サムワン」とか絞りどころがない感じ。ちなみにこの曲調の「ロック・ミー・ベイビー」、作者をアーサー・クルーダップにするのはどうなんでしょうかねぇ。




Byther Smith ; Throw Away The Book ; BLACK & TAN CD B&T017 (2004. 1.16)

2003年リリース。バイザーのいかにもシカゴ現役っていう音が詰まったアルバムです。オリジナルが中心ですが、ジミー・ドウキンズの「オール・フォー・ビジネス」をモダンに復活させたり、ギター・スリムの名曲「シングス・ザット・アイ・ユースト・トゥ・ドゥ」をファンキーなアップナンバーに変身させたりと、ひねりも効いています。バンドも手堅いサポートをしていますが、ちょっとうねりが足りないかな。ラストナンバーのオーティス・ラッシュが乗り移ったかのような「アイ・ドント・ライク・トゥ・トラヴェル」が気に入りました。



BACK ・ NEXT ・ HOME ・ 音楽の部屋