CD INDEX(G)
 

アーティストの名前順に並んでいます。「TODAY'S CD」で紹介したものは紹介文が付いています(日付)。紹介文のないものは「おすすめCD」か「お気に入りのミュージシャン」の中で紹介されているもので、「Click Here!」をクリックすると該当のページにジャンプします。

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G.L. Crockett / Big Walter Price ; Rockin' With The Blues ; OFFICIAL OF-CD 5679 (2005. 8. 5)

クロケットの1957年と65年の録音に、ビッグ・ウォルターの1955〜61年録音が強引にカプリングされてます。クロケットはCHECKERにも録音の残っているシカゴのブルースマンで、アーサー・クルーダップやジュニア・パーカーを彷彿させるロッキン・ブルースがお得意で、後半はジミー・リードの影響も強く出ていたり、かなりポップな曲もやっています。一方テキサスのビッグ・ウォルターはバンドにアルバート・コリンズがいたことで知られますが、これはそれ以前のもの。エイモス・ミルバーンあたりの影響を強く感じさせますが、ファッツ・ドミノの影響もあるんでしょうが、どこかルイジアナ臭が漂っているのが面白いです。このPEACOCK時代など、もっときちんとしたりイシューを望みます。



G. Love ; The Hustle ; UNIVERSAL B0003092-02 (2005. 1.22)

2004年リリース。あちこちで話題になっていたんで聴いてみましたが、この跳ねるようなビート感覚は気持ちがいいですね。ジャケットなどからもっとフォークやブルースのイメージが強いかと思っていましたが、ボブ・ディランあたりの影響は感じられるものの、むしろヒップホップやファンクを相当吸収したサウンドに思いました。ややオーヴァーレブ気味な録音で、ラフな感じに聞こえるときもある歌も、計算された節回しで、ラップも気持ち良く聞こえてきます。「ドント・ドロップ・イット!」なんて最高です。リゾネイタも鳴っているんですが、泥臭いというよりうまく隙間に入り込んで気持ちがいいな。ラストにフォークっぽい弾き語りでルーツを感じさせてくれますが、どっちかって言うと全編を貫くビートの効いた感じの方が好きです。



Gadjo ; El Big Quilombo ; GADJO EDICITONES GADJOCDO3 (2010. 7.11)

2008年リリース。実は何でこのCDが我が家にあるんだか分からないんです。多分アマゾンで注文したんですけど、どうしてこれが来たんだろう?内容はバルセロナ録音で、いわゆるロマ(ジプシー)の音楽の要素を取り入れながら、独特のラテン風味もあります。楽器の編成が面白く、様々な管楽器にスーザホーンだのアコーディオンだのバンジョーだのが入っており、ある種ジャグバンド的でもあります。初めてクレズマー音楽を聴いたときのことを思い出しました。ジャズの素養もあり、非常に高い音楽性を感じますが、あまり聞きつけない音楽なのでなかなか踏み込めません。言語的にもラテン語と英語の両方にまたがっている感じですね。う〜ん、やっぱり不思議。




Galactic ; Coolin' Off ; CAPRICORN 314 558 521-2(2001. 3. 1)

1996年の作品。これがデビュー作でしょうか。スタントン・ムーアのファットバックなどラムに乗って、バンドが心地よくグルーヴします。ミーターズなどの影響を比較的はっきり表した演奏が多かったです。キーボードが頑張っていて、結構トリッキーなプレイも聴くことができます。一方ブラスはゲスと参加、ヴォーカルのデクロウもかなり控えめで、まだ距離感を図っているって感じでしょうか。どちらかというとビートのきついソウル・ジャズといったイメージです。タイトル通りリラックスしていて、ドライヴのBGMにすると適度に刺激があるけど邪魔にならない演奏です。その分インパクトは弱いですが。



Galactic ; Crazyhorse Mongoose ; CAPRICORN 314 558 842-2 (2001. 1.19)

昨日に引き続き、今度は1998年リリースの作品。最新作よりは全体におとなし目で、サックスが二本入っていたり、ファンクというより新しいジャズって感じで聴きました。デクロウのヴォーカルも素直な感じで、僕はこっちの方が好きです。そのかわりインパクトのある曲も少ない感じです。でもドラムはやっぱり超絶してます。ちなみに最後の曲、無音部の後ろに隠しテイクがありました。ジャムっぽい演奏です。そういえば最新作には隠しトラックがありましたね。



Galactic ; Late For The Future ; CAPRICORN 314 542 420-2 (2001. 1.18)

12月に来日したギャラクティックの2000年リリースの最新作。そういえば秋ごろからCDショップにコーナー作ってキャンペーンされてました。スタントン・ムーアの驚異的なドラムと、ベン・エルマンのアバンギャルドなサックスを軸にしたファンクは、パークタワーで見たときより、全体に重心が低く、ギターもずっとファットで派手な演奏でした。むしろエルマンがジャジーでこじんまりしてるように感じるくらい。ステージで耳にした曲も多く、特にヴォーカルのセリル・デクロアの入った曲は印象的でしたが、スタジオ盤で聴いても、彼のヴォーカルにはいまひとつなじめませんでした。きっと好みの問題でしょう。とにかくドラムが凄いの一言。ミックスもその辺を意識してると思います。



Galactic ; We Love 'Em Tonight - Live At Tipitina's ; ZOMBA 9210602 (2001. 8.14)

2001年リリース。地元ニューオーリンズのティピティーナズとあって、非常にリラックススしたムードの中でジャムっています。スタントン・ムーアのドラムはやっぱりファットバックで快感です。サックスも相変わらずアバンギャルドでフリージャズっぽいムードも漂っています。ギターは来日時よりずっとアグレッシヴで、スライドも交えながらけっこうきてます。所々ミーターズを引用したような雰囲気がたまりません。「うちに帰りたいのか?」というアンコールへのあおりの中、客が盛り上がるところが圧巻です。でもシリル・デクロアのヴォーカルはやっぱりちょっと苦手です。



Galactic ; Ruckus ; SANCTUARY 06076-84643-2 (2003.10.15)

2003年リリース。スタントン・ムーアのビッグ・ファット・ドラムが全開の新譜は、全体にマイナーキーの曲が多く、フォーク調のハーモニカが印象的に使われています。「ボンゴ・ジョー」では何と日本のアニメの台詞がサンプリングされていたりしますし、ヴォーカルエフェクトも多用されています。音はかなりいじくって作ってありますが、スタントンのドラムが全編を締めているんで、結局引き込まれてしまいます。かなりジャズに寄ってきたように思いますがどんなもんでしょうか?



Galactic ; Recorded Live At The 2005 New Orleans Jazz & Heritage Festival ; MUNCKMIX no number (2005.10.25)

ハリケーン被害に対する支援の意味もあってか、ことしのジャズフェスの音源は日本でも広く出回っていますが、これもその1枚。デクローのいないインストだけのライヴです。スタントン・ムーアのファットバックなどラムを土台にして、自由奔放に唸るエフェクトを絡めたサックスとハーモニカ、ワウワウを効かせたギター、そしてこれまた変幻自在なオルガンと、ギャラクティックの魅力満載です。今回はパーカッションも加わっており、より複雑なリズムが腰を揺らしますね。ミーターズナンバーもこのバンドがやるとはまるんですよ。また来日しないかなぁ。



Galactic ; From The Corner To The Block ; TRAFFIC TRCP 15 (2007. 8.30)

2007年リリース。ギャラクティックの演奏に様々なDJがラップを乗せていくという企画盤です。カトリーナにより甚大な被害を受けたニューオーリンズの「街角」をテーマに、地元のジュヴィナイルとタイトル曲をやるほか、様々な人たちが熱いメッセージを送っている。また、モンク・ブードローの独特の叫び声も入り、トロンボーン・ショーティことトロイ・アンドリュースをフィーチャーしたインストなど、ジャム・バンドらしい演奏も入っています。今後もこの路線を取るとしたら、ジャム・バンドからヒップホップへと、大きな転換を迎えたことになりますが、元々引き締まったリズムの彼らの演奏ですから、この方向も悪くないですね。



Galactic ; Ya-Ka-May ; P&C GALACTIC FUNK / P-VINE PCDT-5 (2010. 1.25)

2010年リリースの出来立てほやほやの新譜です。いやはや、豪華絢爛のゲスト仁を迎えても、全く喰われることのないサウンドですね。ぐっとヒップホップ寄りにシフトしながら、ニューオーリンズ・テイストがガッツリ効いているのは、例えばリバース・ブラス・バンドを迎えた「ボー・マネー」などを聴くとよく分かります。アーマ姉さんやアラン・トゥーサンをヒップホップに引きずり込んでしまう強引さも全然嫌味がないです。トロンボーン・ショーティとコリー・ヘンリーの2本のトロンボーンをぶち込んだ「シネラマスコープ」のジャムっぷりや、ジョン・ブッテを手足のように使って超重量級ファンクに仕立てた「ダーク・ウォーター」もすごい。3組のラッパーがまたしっくり来ちゃうわけで、前進するギャラクティックの底力を感じました。




Gap Band ; Ultimate Collection ; HIP-O 314 548 098-2 (2002. 5.20)

1979〜90年リリースのヒット曲を集めたベスト盤です。このバンド、タルサ出身と聴いて興味を持ったんですが、思ったよりずっとスマート。でも最初のヒットが「シェイク・ユア・ブーティ」に引っかけてるあたりはかなり下世話な面も感じました。泥臭さは感じなかったんですが、後期のクール&ザ・ギャングほどポップでもなく、きっちりファンクしています。でもドロッと性感をくすぐる面白さはあんまり感じませんでした。小綺麗なんです。歌とかすごく上手いんですけどね。



Gap Band ; The Best Of Gap Band ; MERCURY 522 457-2 (2009. 8. 4)

1979〜83年のベストです。ポスト・ディスコ時代のファンクバンドとして、「シェイク」の重心の低さはさすがだと思いました。P-ファンクからの影響も感じますし、変にポップ路線に走っていないのが好感がもてました。でも、ジャズの素養を感じさせたりする演奏はある意味上手すぎて、あんまり腰に来ないんです。その辺がちょっと残念。




Garage A Trois ; Power Ptoriot ; THE ROYAL POTATO FAMILY PRF 1395 (2010. 6.14)

2009年リリース。何の気なしに買ってみましたが、スタントン・ムーアがやってるキーボード・サックス、それになんとエレクトリック・ドアベルなんて楽器のカルテットによるガレージ系ジャムバンドでした。いきなりノイジーなさウンドが飛び出してきましたが、そこはスタントンのバンド、グルーヴ感は半端じゃないです。初期のギャラクティックをもっとアバンギャルドにした感じですね。サックスのスケリックからはジャズの素養を強く感じました。




Garnet Mimms ; Warm & Soulful - The Best Of Garnet Mimms ; STATESIDE 7243 5 37519 2 0 (2002.12. 6)

1963〜66年録音。ガーネット・ミムズと言えば何といってもジャニス・ジョプリンもカヴァした「クライ・ベイビー」が有名で、あのハイトーンな、ゴスペルフィール溢れる歌声には強烈なインパクトを受けました。サウンド的にもこの人サザンソウルの人かと思っていたんですが、意外にもイーストコーストの人だったんですね。このベストは時系列で並んでいるんですが、1963年の録音は「フォー・ユア・プレシャス・ラヴ」などゴスペルどっぷりって感じです。でもヒットを意識したんでしょうか?だんだんフィル・スペクターのような甘めのサウンドになっていき、1966年にブルック・ベントンの「イッツ・ジャスト・ア・マター・オヴ・タイム」をカヴァする頃になると、野性味に欠けてきた印象です。彼など南部録音をさせていたらまた違った展開をしたかとも思いました。



Gary Bertrand & Touch Of Cajun ; Gary Bertrand & Touch Of Cajun ; FAIS TO DO 5073-2 (2003. 9. 4)

2001年リリース。ゲイリー・バートランドは写真から見てかなりベテランのようで、ファミリーを率いた演奏は、派手さはないですがじっくりとした味わいが感じられます。ワルツが中心で、主役のアコーディオンにやや押さえ気味のフィドルが絡みますが、落ち着いた感じのヴォーカルもあり、悠久の大地の広がりの中で聴いてみたい気がしました。おそらく音楽で食べているのではなく、他に仕事を持ちながらやっているんだと思われますが、しっかりと伝統を伝えながら、高水準な演奏を残しているのが素晴らしいと思います。時折「ヨーロッパ」ヘの郷愁を感じるのは、ワルツのリズムのせいでしょうか?



Gary Smith ; Blues For Mr. B ; MOUNTAIN TOP CD-MTP0019 (2002. 3.29)

2001年リリース。ゲイリーはウエストコーストのハーピストですが、シカゴ・ブルースに並々ならぬ愛情を注いだ作品で、リトル・ウォルター系の深いアンプりファイド・ハープが中心、バックの演奏もシカゴそのものといった感じです。ウォルターの曲の他、オリジナルもこうした傾向が強いです。一方生ハープでは一転サニーボーイ風になったり変化も見せますし、歌ものではレイ・チャールズの曲を3曲取り上げていて、こちらはウエストコースト流のギター・バンド・サウンドになっています。でも歌がディープでなくてずっと素朴なのがかえって好感がもてました。



Gary T. ; Across The Board ; CSP CSP-1403 (2007.11.13)

2007年リリース。ピアノとギターをこなすゲイリー・シボドゥーの生み出すサウンドは、まさにスワンプ・ポップです。ファッツの曲をフェスのように歌う「ザ・ファット・マン」でスタート。オリジナルのルイジアナ三連や軽快なロッキン・ナンバーもありますが主な曲はカヴァー。「ジョニー・B.グッド」やSRVの「ラヴ・ストラック・ベイビー」、バーソロミュー作の「オール・バイ・マイ・セルフ」に「ドント・ユー・ノウ」と、ロケンロールとニューオーリンズ・サウンドをみんなスワンプ・ポップに仕立てちゃうのが凄いなぁ。



Gary U.S. Bons ; The Very Best Of Gary U.S. Bonds ; VARESE SARABANDE VSD-5938 (2002. 8.16)

全米ポップNo.1の「クウォーター・トゥ・スリー」、さらにそれよりロックンロール・クラシックとして名高い「ニューオーリンズ」のオリジネイタ、U.S.ボンズが1960〜66年にLEGRANDに残した録音のベストです。時代はツイストブーム真っ盛りで、曲も全体にツイスト主体です。アレンジは比較的軽く、ボンズの歌もキャッチーな感じですが、バックの女声コーラスとの絡み合いからも、ベースにゴスペルがあるのがよく分かります。もう少しバラード系の曲も聴いてみたいと思いました。



Gatemouth Moore ; Cryin' Ando Singin' The Blues ; NATIONAL/SAVOY JAZZ SVY 17327 (2004.11.27)

1945〜46年のNATIONALへの未発表を含む全録音集です。これは最高にタフで魅力的なヴォーカルですね。手放しで素晴らしいというしかありません。ゴージャスで見事にジャンプするバンドをバックに、ゲイトマウスは張りのある伸びやかな声でシャウトし、朗々と歌います。時にはジャイヴな感覚ものぞかせ、エンターティナーとしての魅力たっぷり!未発表や別テイクも全く遜色ありませんね。面白いのは「イット・エイント・ノン・オヴ・ミー」で、これってルイ・ジョーダンの「レット・ザ・グッド・タイムズ・ロール」にそっくりなんです。録音だけでは何とも言えないんですが、どっちがどっちを参考にしたのか興味深いですね。ちなみにこちらは1945年録音、ルイの方がヒットしたのは1946年も末です。



Gatemouth Moore ; Hey Mr. Gatemouth ; KING/WESTSIDE WESF 100 (2000.10.12)

1947年シンシナチとシカゴで録音されたゲイトマウス・ムーアのKING録音集。この人がブルースの世界で録音を残した時代は極めて短いようで、後にゴスペルの世界に行ってしまったようです。ナット・キング・コールを彷彿させるスムースな歌い口の曲もあれば、ごきげんなジャンプ・ナンバーもありますが、全体としては落ち着いた感じで、あまり派手さは感じません。僕にはちょっと甘めな感じです。でも歌はとってもうまいと思いました。もう一度ゆっくり聴いてみます。



The Gaturs featuring Willie Tee ; Wasted ; FUNKY DELICACIES DELCD0001 (2001.12. 5)

1970年録音でこのレーベル記念すべき第1弾リイシュー。ウィリー・ティー率いるゲイターズは、ミーターズに通じる雰囲気を持っていますが、よりオーソドックスなファンクって感じです。リズムの作りとかがそれほどシンコペートしておらず、当時の各地のサウンドを貪欲に吸収しているように思います。「ノーバディ・キャン・ビー・ユー」なんてベースラインは「メンフィス・ソウル・シチュー」だもん。でもどことなくローカルな感じがするのは流石ニューオーリンズかな。



Gene Allison ; Gene Allison ; VEE-JAY/P-VINE PCD-4312 (2007. 1.16)

1957〜59年録音。ナッシュヴィルの代表的なゴスペル・グループのフェアフィールド・フォーに在籍していただけあって、伸びやかなテナーはゴスペルテイストを感じさせますが、強烈なメリスマというよりは、素直でまっすぐな歌い方で、シンプルな歌詞の「ユー・キャン・メイク・イット・イフ・ユー・トライ」に良くマッチしています。子の大ヒット曲が彼の看板と言ってもいいんでしょうね。明るくてちょっと切ない感じのバラードにいい味を出していますが、「ヘイ・ヘイ・アイ・ラヴ・ユー」「リープ・ワット・ユー・ソウ」などのミディアムのブルース調の曲でも、そのこねくり回さないストレートな歌が生きていますね。ちなみに後者、ボビー・ブランドの「ファーザー・オン・アップ・ザ・ロード」からヒントを得たのかも。



Gene Ammons ; Brother Jug! ; PRESTIGE PR20 7792-2 (2003. 5.27)

1969年録音。とにかくジャケットの「悪人顔」が気に入って購入。まずビックリは、バックに何曲かビリー・バトラーが入っているんですが、これがワウ踏みまくりなんです。60年代後半はどうやらワウがギタリストに大流行したようですが、これもその一環なのかしら?さてジーンですが、顔から想像するよりもずっとクールなサックスを吹きます。「サン・オヴ・ア・プリーチャー・マン」などバックはファンキーですが、それにあおられることなく余裕を感じるプレイを展開してます。「ジャングル・ストラット」などを聴くと、ひょっとしてこの辺がニュー・ソウル当たりに影響を与えたのかなんて思えちゃいます。スローナンバーでは相当ムーディで、夜の大人の雰囲気ですね。でも全体には頭より下半身に訴えるサウンドです。悪人顔も伊達じゃない!



Geno Delafoce ; La Chanson Perdue ; ROUNDER CD 2151 (2003. 1.24)

1998年リリース。ジノはジョン・デラフォースの息子で、父との共演盤も出していますが、これはジョンが亡くなった後の作品です。まろやかで優しげなアコーディオンのサウンドと、ジノのちょっと頼りなさげなおっとりしたヴォーカルが、うまくマッチしています。このアルバムはフィドルの入った曲もあり、全体にケイジャン寄りのトラディッショナルな曲で固められているようです。ライナーをちょっと見ましたが、どうやら子供の頃に覚えた曲を取り上げているのかな?フランス語の曲が多く、丁寧な英語の対訳が付いていました。ワルツのちょっと哀愁を感じる曲が、ジノの声ともよくマッチしていて特に魅力的です。最後の曲が「ラストダンスを私に」ってのもいいなぁ。穏やかな気持ちになれるアルバムでした。



Geno Delafoce & French Rockin' Boogie ; Le Cowboy Creole ; TIMES SQUARE TSQ-CD-9063 (2007.10. 1)

2007年リリース。ジャケ裏でトラクターに乗ってにこやかに笑う写真から分かるように、普段はタイトル通り農業にいそしむジノの作った新譜です。まずサウンドがかなりポップになったなという印象です。伝統的なザディコやクレオール・ミュージックに根差しながら、ロックンロールやスワンプ・ポップの要素を取り入れ、明るく楽しい音楽になっています。クリス・アルドワンを初めとする若手が、どちらかというとクラブ・ミュージック的なアプローチをするのに対し、ジノは農場でのパーティやピクニック先でのダンスに合うような感じですね。勿論新しい要素もあるんですが、背伸びせず等身大。「プロミスト・ランド」が流れてきたときはなんだかホッとした雰囲気になりました。その柔らかさは一部フィドルを加えたことでよりはっきりしていると思いました。こうしたアプローチはジノの人柄に合ってるように思います。



Geoff Muldaur & Amos Garrett ; Geoff Muldaur & Amos Garrett ; VIVID SOUND VSCD-094 (2007. 6.12)

1978年の名盤です。エイモス来日を期に久々に店で見かけたので買ってしまいました。ジェフのディープさのあるヴォーカルと、エイモスの何とも力の抜けた浮遊感のある歌とのコントラストが面白く、またエイモスのギターがこれまたユニーク。「リヴァーズ・インヴィテーション」なんて何度聴いてもフニャッとなっちゃいます。アコースティックとエレクトリックの狭間を縫うようなサウンドは、ザ・バンドなどにも通じる感じでしょうか。でもほわっとした「ラ・ワンダ」を聴いていて細野晴臣を思い出すのは僕だけでしょうか。「チキン・シチュー」はもっと抜けてますしね。柔らかい歌心の心地良いアルバムです。



Geoff Muldaur ; Blues Boy ; BULLSEYE BLES & JAZZ BBB 11661-9635-2 (2001. 5.24)

2001年リリースの新譜、頂き物です。ジェフの張りがあるけれど枯れた味わいのあるヴォーカル(ジュニア・パーカーに似てると思いました)に自身の様々な楽器、エィモス・ギャレットのやや変態的ともいえる名人芸が絡み、一筋縄ではいかないサウンドに仕上がっています。けっこう有名なアコースティック系のブルース(ビッグボーイ・クルーダップの「ザッツ・オールライト」とか、デルタ・クラシックの「フォーティ・フォー」など)を、巧みに料理していますし、トラッド・ナンバーも多く取り上げています。しかし自作曲でしっかり最後の方を締め、多様なサウンドという印象を受けました。こういう風にブルースを料理するのは、やはりどっぷりとアメリカン・ミュージックの世界に浸かったジェフならではと思います。深みのある作品。日だまりでくつろぎながら聴きたいです。



George Porter Jr. ; Count On You ; ORA/BAD NEWS BN-005 (2001.12.29)

1994年リリース。ジョージ・ポーターがアルコール依存症から立ち直って、音楽が楽しくって仕方がないという気分を感じさせるアルバムです。演奏はいくぶん軽めで、ちょっとフュージョンに近いポップさも感じますが、タイトル曲など、ポーターの決して上手くはないけれど、優しさを感じるヴォーカルがけっこう染み入ります。後半4曲はライヴ録音のようです。やはりライヴの方がグルーヴィーで気持ちがいいです。ただ、ギター、キーボード、ブラスがもう少しボトムを出してくるともっと良いと思いました。ラッセル・バティストのドラムのせいもあるのか、やっぱりちょっと軽い感じ。



George Porter Jr. & Runnin' Pardoners ; Funk 'N' Go Nuts ; TRANSVIDEO CTV 31132 (2001. 4. 8)

2000年に作られた新譜です。べーシストのアルバムなんですが、思ったよりベースが引っ込み気味の録音で控えめ。でもプレイはさすがと唸るものが多いです。ファンキー・ミーターズで一緒に活躍するデヴィッド・ラッセル・バティステのドラミングは、ジガブーをよりタイトにした感じで気持ちいいです。特にインストナンバーが良く、ミーターズの再演となる「イエス・ゾー・アート・コレクト(イェィ・ユーア・ライト)」はまったく新しいアレンジで聴きものです。カーティス・メイフィールドの「チェック・アウト・ユア・マインド」も意欲作。全体にロックっぽいギターのせいもあり、セカンドラインといよりは、正統派ファンクといった感じです。一部歌もので音程が不安定だったのは残念。



Porter Batiste Stoltz ; Expanding The Funkin Universe ; OUW 0001 (2005. 6.14)

2005年リリース。この3人にアート・ネヴィルを加えるとファンキー・ミーターズですから、想像するに、アートが体調を壊していた間にできたユニットなんだろうと思います。でもそれが逆にアートの凄さを感じさせることになりました。それはグルーヴ感なんです。バティステのドラムって、やっぱり角ばってるんですよ。うねらない。ジョージと組んでいると少しはいいはずなんですが、このアルバムではそのドラムばかりが耳についてしまいました。アートのオルガンとヴォーカルが、いかにグルーヴを産み出すのに大きな役割を果たしているのか、それを再確認させられたアルバムです。だからか2回続けて聴いても結局印象に残る曲がなかったんですよね。一言添えておけば、充分格好いいんですが、このメンバーだともっと期待しちゃうんで。



George Porter Jr. ; It's Life ; TRANSVIDEO CTV 4114-2 (2007. 6. 5)

2007年リリース。一通り聴いて、優しさの溢れるアルバムだなと思いました。ディヴィッド・トカノフスキーを初めとして、アイヴァン・ネヴィル、ジョン・グロス、ブライアン・ストルツ、ブリント・アンダーソン、ジュン・ヤマギシ、ダグ・ベローテ、スタントン・ムーアとそうそうたるメンバーのサポートを得て、じっくり作り上げたサウンドは素晴らしいものです。ジョージのヴォーカルはかなりカーティス・メイフィールドを意識しているようで、実際「ヒア・バット・アイム・ゴーン」なんてカーティス・ナンバーも取り上げています。メインのドラマーはジョージが可愛がってるラッセル・バティステ・ジュニアで、極端にファンクな曲がないのでちょうどいい感じですね。個人的にはハーマン・アーネストに叩いてもらいたかったですけど。「アイ・ゲット・ハイ」なんてタイトな曲も、どこか柔らかさがあってほっとする感じです。ミーターズナンバーの「アウト・イン・ザ・カントリー」も、いい意味でポップ。こんなにジョージがしっかり歌えたアルバムは初めてじゃないでしょうか。彼の最高傑作と言っていいと思います。



Porter Batiste Stoltz feat. Page McConnell ; Moodoo ; HIGHSTEPPIN' HSP-101 (2008.12.11)

2008年リリース。このメンバーでセカンドライン・ファンクをやればそれは間違いないといった顔ぶれですね。ファンキー・ミーターズでの活動もあり、息はぴったりです。当然のようにミーターズナンバーが登場しますが、全体的にはブライアン・ストルツのジミ・ヘンドリックス・フリークなギターが炸裂しています。キーボードにペイジ・マッコネルが参加するとぐっとファンク度も増す感じ。ボトムをどっしりと出すジョージのベースのせいもあってか、バティステのドラムのグルーヴ感が以前より増したように思います。まあとにかく格好いいの一言です。




Porter Batiste Stoltz Featuring Kyle Hollingsworth ; Boulder Theater, Boulder, Co. 1/18/09 ; NUGS.NET HSP-PG907 (2009.12. 5)

ライヴでジャムったものをどんどんCD-Rで出しているポーター・バティステ・ストルツのコロラドでのライヴです。ゲストにキーボードのホリングワースを迎え、よりファンキー・ミーターズに近いサウンドになっています。メドレー形式でどんどん曲をつないでいく手法もファンキー・ミーターズと同様で、2枚組のうちの1枚目では「シシー・ストラット」のイメージを生かして「ゲット・アウト・オヴ・マイ・ウーマン」に繋いでいってますし、2枚目では「ファンキー・ミラクル」から「シング・ア・シンプル・ソング」や「パンジー」へと繋いでいくやり方は、やっぱりジョージ・ポーターの趣味なんでしょうか。こういうのはやっぱり生で見なきゃねぇ。




George Smith ; Oopin' Doopin' Blues Harp ; MODERN/P-VINE PCD-3007 (2001. 2.14)

ジョージ・”ハーモニカ”・スミスの1954〜55年MODERN録音。イギリスACEから出ていたLPはあったんですが、このたびCDを買い込みました。いきなりマイナーフレーズの深い響きから始まる「テレフォン・ブルース」、ヴォーカルも情感あふれ、すばらしいです。ハープも細かいフレーズで迫るより、一音を大事にしたスケールの大きなプレイでいいなぁ。ポジションをうまく使い分けながらアップ・スロウと何でもあれですが、いずれも味わいがあります。「ラヴ・ライフ」などはゴージャスなバンドをバックにしながら、意外なほど素直に唄います。続くハープも情感たっぷりで、1曲を大事にするスミスの姿勢がよくとらえられています。



George Harmonica Smith ; BLowing The Blues ; SEGUNDO ESR 98001 (2000. 3.28)

1956年〜78年の録音集。ブートだそうですが、この時期のジョージ・スミスをまとめて聴けるCDとして貴重です。初めて聴く曲も幾つかあり、特にマイナー系のハープに魅力を感じました。1曲目の掛け声も好きだなぁ。ガーシュインの「サマータイム」まで飛び出るのには驚き!この人についての詳しい情報は、BlueSlimをご覧ください。


George Smith ; No Time For Jive ; BLUE HORIZON/COLUMBIA COL 478292 2 (2001. 4.25)

1970年リリース。白人のバンド(ただしギターにはピー・ウィー・クレイトンの名も見えます)の、ややロックっぽい演奏が時代を感じますが、ジョージはクロマチックを交えたブロウを聴かせます。ブルース・アルバムとしての完成度はおよそ望めませんが、曲をオリジナルで固めるなど意欲は感じられます。その中では「ミシシッピ・リヴァー・ブルース」がなかなかの好演。この曲、来日したときもやってたと思いますが、深いブルースです。



George Smith & Bacon Fat ; The Complete BLUE HORIZON Sessions ; BLUE HORIZON 82876887372 (2007. 1.31)

1969〜70年にかけて、カリフォルニアとイギリスで録音されたコンプリート集です。ベーコン・ファットはロッド・ピアッツァをメインに据えたカリフォルニアのバンドで、このアルバムしか聴いたことがありませんが、リトル・ウォルターを中心としたコテコテのシカゴブルースを、西海岸らしい明るさとほんの少しのロックっぽさを感じさせるサウンドを織り込んでやっています。ピアッツァのヴォーカルはまだ若さが勝っている感じで、これからって感じですね。でも「トゥー・レイト」のちょっとジャジーなアレンジ、ファンキーに仕上げた「イーヴィル」等は面白いです。これに対し御大ハーモニカ・スミスはさすがの貫禄。代表曲「テレフォン・ブルース」のイントロでグッとしびれます。来日時もやってた「ミシシッピ・リヴァー・ブルース」もなかなかディープ。ライヴ、別テイクなども入っており、音質も良好、嬉しいアルバムです。



George Stancell ; Gorgeous George ; JSP JSPCD2133 (2000.12.15)

1999年リリース。JSP3連発です。しかもすべてプロデュースはジョニー・ロウルズ。ジョージはシル・ジョンソンをちょっと軽くしたような声で、ときおりボビー・ブランドを意識した「うがい」を交えながら、ソウルフルに唄います。曲も落ち着いていますし、ギターも大きなフレーズでときおりアルバート・キングやオーティス・ラッシュを思わせるスクィーズを聴かせ、シャープな仕上がりです。この3日聴いたアルバムすべてに入っている「ナツメグ・ホーンズ」最も生き生きして聞こえます。軽めのHIサウンドっていうとイメージつかめるかな。疲れを感じず心地よく聴くことができました。



George Vann ; 1944-1947 ; BLUE MOON BMCD 6056 (2008. 1.25)

「歌えるドラマー」シリーズということで、ルーク・ジョーンズのバンド(ロイド・グレン在籍)やスピリッツ・オヴ・リズム等で活躍していたジョージ・ヴァンの録音集です。スモール・コンボを中心としたロサンゼルスらしい小洒落たサウンドで、ヴァンのヴォーカルも渋くて味わいがあります。スピリッツ・オヴ・リズムの「ラスト・コール・ブルース」なんてミディアムでいい感じのブギで、コーラスもイカしてます。全体にブギは軽妙なものが多く、ドラムもブラッシングだと思いますが。切れ味がいいです。最後の5曲は自己名義。歌にもぐっと力が入った感じで、なかなか楽しめました。



Georgia Satellites ; Georgia Satellites ; ELEKTRA 9 60496-2 (2001. 1.30)

「ガ行」のギターという話に興味を持って購入。1986年リリースかな?確かに「キープ・ユア・ハンズ・オヴ・ユアセルフ」の出だしはけっこう無骨な「ガ行」で、ストレートなアメリカン・ロック・バンドの王道をいくって感じです。凝った音作りよりも、ノリの良さとドライヴ感を全面に出していて、コーラスなどからはカントリー・フレィヴァーも感じられました。この時代は殆どロック聴いていなかったんですが、今回聴いて、なかなか素直で好きです。楽に聴けます。ラストナンバーはロッド・スチュワート「エヴリ・ピクチュア・テルズ・ア・ストーリー」、なんかルーツが分かるなぁ。



Gerry Goffin ; It Ain't Exactly Entertainment ; ADELPHI/ARCHIVE AIRAC-1009/10 (2007. 8.26)

1973年リリース。ジェリー・ゴフィンといえばキャロル・キングの前夫で、このコンビで多くの名作を残したことで知られますが、離婚後、ブルース色の強いバリー・ゴールドバーグと組んで、まさにタイトル通りのアルバムを出しました。演奏はぐっとアーシーで、バンジョーやフィドルが鳴り響くカントリーテイストの強いもの。またヴォーカルはボブ・ディランのスタイルを踏襲していると言っていいくらい、彼の影が色濃いです。ゆったりと悠久の時間を過ごすような、抑揚の少ない作品集ですが、なぜか聴き続けてしまうんですね。ハイライトは何といっても「イッツ・ノット・ザ・スポットライト」。ボビー・ブランドやロッド・スチュワート、日本でも浅川マキや金子マリ、AZUMI等によってカヴァーされた普及の名曲です。派手さは微塵もないけど染みてきます。



Gil Scott-Heron & Brian Jackson ; It's Your World ; TVT 4370-2 (2009. 7.11)

ゴリラのイラストジャケットで有名な1976年の作品です。ライヴ音源とスタジオ音源の混合です。輸入盤であるにもかかわらず、歌詞がライナーに印刷されていることから分かるように、ジャジーでファンキーな演奏をバックに、詩を吟じているといった趣です。現在のヒップホップのような押韻の強いラップではなく、練り込まれたメッセージ性の高い詩を、リズムに乗せて歌っていきます。そのどこかドライな雰囲気には高い知性を感じます。ただ、聴いていて詩がストレートに伝わってこないのが語学力不足の者にとってはちょっと残念なところ。




Gipsy Kings ; The Very Best Of ; SONY MHCP 827 (2006. 2.28)

1988〜2004年までの録音を集めたベスト盤です。実は僕、恥ずかしながらこのバンドはメキシコあたりのバンドかと思ってたんです。コマーシャルで使われていた「ボラーレ」(これって確か最初のグラミー賞獲得ソングのカヴァーでしたね)などでサウンドは耳にしていたし、バンド名の方はタモリ倶楽部の「空耳アワー」でよく見ていたんですが、一致してませんでした。バンド名通りヨーロッパなんですね。でもこのパーカッションの勢いが気持ちいいです。サンバやルンバ、マリアッチといったラテンの要素に、切れのいいスパニッシュギター、そして憂いと情熱を感じる歌と、こりゃ人気が出て当たり前ですね。「ホテル・カリフォルニア」のカヴァー、ラジオで気になってたんですが、これでその謎も解けました。



Glenn Miller & The Andrews Sisters ; The Chesterfield Broadcasts ; BMG HERITAGE 82876 54306 2 (2009.12.29)

1939年から40年にかけて、ラジオ放送用に収録された2枚組演奏集です。実は「イン・ザ・ムード」と「タキシード・ジャンクション」のアンドリューズ・シスターズ・ヴァージョンを聴きたくて買ったんですが、2曲ともグレン・ミラー楽団の演奏でちょっと残念。でも両者のヒット曲満載で、この当時のトップ・エンターティナーのラジオ番組の様子がよく分かります。楽団はもちろん、シスターズの完璧なコーラスワーク、そしてバランスの取り方。マルチレコーディングでない時代の、様々な工夫を想像するのも楽しいです。ラジオショーとしては古臭いと言われるかもしれませんが、余計なおしゃべりが多く感じられる昨今のラジオやfm番組と違い、音楽に対する深い愛情を感じました。




Goebel Reeves ; Hobo's Lullaby ; BEAR FAMILY BCD 15 680 AH (2009. 9.29)

1929〜35年の録音集です。この人はタイトル曲のオリジネイタとして知られる人で、初期のフォークシンガーといった雰囲気で歌いますが、ジミー・ロジャーズ等とも行動をともにしていたようで、タイトル曲を始めヨーデルを交えた歌も多いです。ワルツやトゥービートでけっこう達者なギターを弾き、ちょっと憂いのある、でも伸びのある声で歌います。テーマはほぼ一貫して放浪者やカウボーイで、おそらく自身も旅をしながら歌っていたのでしょう。いわゆるカントリー・ブルースが多く録音されていた裏で、貧しい白人たちの共感を得ていたのがこういう歌だったのでしょうね。




Golden Comanche ; Traditional Style ; GOLDEN COMANCHE no number (2006. 7.29)

録音年などデータは何もありませんが、新しいものだと思います。ゴールデン・コマンチは名前の通りニューオーリンズのブラック・インディアン・トライブで、タイトル通り打楽器とチャントだけのパフォーマンスです。タンバリンを打ち鳴らしながら、乗りのいい掛け合いのチャントで「トゥー・ウェイ・パク・キー・ウェイ」「フー・ナ・ディ」などワイルド・マグノリアスでも良く知られた言葉のチャントが展開されますが、ぐっと生々しく、リアリティを感じました。こういうのをストリートで見たら総毛立つんでしょうね。大音量で聴きたいです。



Goldman Thibodexux & The Lawtell Playboys ; Goldman Thibodexux & The Lawtell Playboys ; LOUISIANA RADIO CD 5758 (2004. 4. 9)

2003年リリース。ロウテルはラフィエの北に位置する町で、そこで活動するベテランのティボドゥーのボタン・アコをメインに据えたクレオールミュージックです。バックはアコースティックギターとフィドルで、ラブボードがない分トゥーステップもゆったりした雰囲気。お祭りの時などに街角や広場で演奏し、人々を踊らせる姿の想像できる、自然体の録音がいい感じです。ワルツのノリなんか、時間を忘れてしまいそうなおおらかさですが、根っからの明るさではなく、どこかもの悲しさが漂った曲が何か歴史のようなものを感じさせました。



Goo Punch! ; Goo Punch! ; MARIMO MR004 (2008.12.18)

2004年リリース。いやいや、こういう音楽との出会いってあるんですよね。夏にライヴで一緒になったSAPPORO FUNK ORGANIZATIONが東京に来たのでそれを見に行ったときにゲストでフルートを吹いていたのがこのグー・パンチのテディ熊谷さんで、S.F.O.のリーダーがしきりにこのバンドを褒めるので興味を持ったんです。で聴いてみたら、こりゃ腰が抜けるほど格好いいファンクバンドですよ!ジャズの下地は感じますけど、完全肉体派のサウンドで、リズム隊はファット!サックスの暴れ具合も強烈で、インスト・ナンバーなのにぐいぐい引き込まれました。ヒップホップの手法を取り入れた曲もありますが、安直な感じはなく、結局はギターのカッティングとかベースのうねりにもっていかれちゃいます。オルガンの切れも素晴らしく、とにかくこの怒涛のファンクの洪水にアッという間に溺れちゃったって感じです。横浜でも時々ライヴやっているようなので、今度機会を捉えて絶対見に行ってやります。最高!




Goree Carter ; Volume 1 - 1949-1951 ; BLUE MOON BMCD 6027 (2002. 3.17)

このスペインのレーベルのリイシューは目が離せません。テキサス・ブルース・ギター・ファンにとってマストのひとり、ゴリーのコンプリートです。FREEDOM録音はP-VINEで紹介されていますが、こうして時代をおって変化していく姿を聴いていくとまたおもしろさが増します。ギタースタイルは明らかにT-ボーン・ウォーカーによっているんですが、あそこまで洒落た感じではなく、もっとごつごつした野趣溢れるプレイでスリリング。一方ヴォーカルはややスモーキーな声質で、曲によってはチャールズ・ブラウンになりきってしまうのが時代、地域性からいって面白いところです。「セレナーデ」なんてラテン風味の曲があったり結構幅も広いです。でも何といっても聴きものは「カモン・レッツ・ブギ」。「レッツ・ロック」もノリがよくて腰が動きます。



The Googie Rene Combo ; Wham Bam! ; ACE CDCHD 987 (2004. 4. 5)

1956〜66年録音。ルネは元々はルイジアナ出身のピアニストですが、西海岸に移ってノリのいいコンボを仕立ててやっていたようです。リズムの切れのいいタイトル曲のようなインストナンバーが中心ですが、「ミッドナイト」等ではまるでローウェル・フルソンをちょっとビリー・バトラー風にかっちりしたようなギターを聴くことができ、ロイド・グレン等との共通点を感じます。やっぱり「ホンキー・トンク」が流行った後のインストバンドって感じで、ツイスト時代になるとそれに対応したような演奏も聴かれ、ダンスホールを揺らしていたのがよく分かります。こういうの、大好き!



The Gosbin Brothers ; Sound Of Goodbye ; BIG BEAT/ACE CDWIKD 235 (2004. 3.12)

1966〜68年録音。この兄弟のことについてはまったく知りませんでした。イギリスACEの盤なんできっと面白いだろうと思って買ったんですが、期待は当たりましたけど。この兄弟デュオはまさにカントリーロックと言っていいと思います。ラップスティールやリゾネイタのフィンガーピッキング、さらにはテレキャスター特有のからりとしたギターサウンドを、多分ビートルズの影響からだと思うタイトなリズムに乗せて演奏しています。野太くてしっかりしたヴォーカルの発声やアンサンブルは明らかにカントリーなんですけど、ノリの良さとかフレイジングの格好良さが例えば後のバーズやCSN&Yに通じる感じです。結構こういう感じは好きなんですよ。



The Gospelaires ; Wake Up America! ; GOSPEL ACCORDING TO AUSTIN no number (2003. 7.19)

2001年リリースのライヴ録音です。いかにもローカルなゴスペルコンサートっていった感じで、適度にラフでとってもホットな演奏にのって、ライヴが繰り広げられていきます。タイトル曲はシカゴソウル風のリズムで例の9.11に向けられた歌です。でも「目覚めよ」って何に?ってのがちょっと気になりますが。この他モダンなコードワークだけどいい意味で野暮ったい演奏の「アイム・ウェイティング・オン・ジーザス」とか、「タイトゥン・アップ」のリフを拝借した「トゥー・ウィングズ」などの伝統的なゴスペルが、いかにも市井の身近なライヴらしくて親しみを感じました。全体に歌に力があり楽しめるアルバムです。



Gov't Majik (The Dirty South Afro-Beat Arkestra) ; Reality (It Hits You...) ; SHNE NOLA no number (2007. 5.21)

書いてないけど多分新譜です。LMFのカタログ見てて、こんなバンド名見かけたら迷わず買っちゃいますね。冒頭の曲のタイトルからして「ようこそアンダーグラウンドへ」ですから。ラテン、ファンク、ジャズにクレズマーの要素まで感じさせるごった煮サウンドですけど、麻薬的なリフレインがあったと思うと、フリージャズのようなサウンドが響き、でもどこかサルサチックで、だけどリズムが打ち込みっぽくてと、まあとらえどころのない音楽です。でも癖になるんですよ。珍しく3回連続で回してたりしました。ラストのタイトル曲、ブラスの効いたファンキーなナンバーなんですけど、どこか不思議な雰囲気も漂っちゃうんです。何だろう、この魔性のサウンドは。はまりました。



Grady Champion ; Payin' For My Sins ; SHANACHIE 9020 (2003.10.13)

1999年リリース。この人はミシシッピ出身のハーピストだそうですが、かなり個性的な声の持ち主です。ちょっとジョン・ブッテを思わせる、ハスキーで硬質なヴォーカルは、癖のある歌い回しもあって、かなり耳に残ります。曲はストレートなシャッフルからソウル系の曲までありますが、「マイ・ルースター・イズ・キング」なんて曲はココ・テイラー・ヴァージョンの「ワン・ダン・ドゥードル」を思い出させます。「ドント・スタート・ミー・トゥ・トーキン」は勢いがあっていい感じ。一方ブラスの絡むソウル系ナンバーは、ロバート・クレイみたいだなと思ったら、それもそのはず、プロデュースをデニス・ウォーカーがやってました。



Grady Gaines & The Texas Upsetters ; Full Gain ; BLACK TOP/P-VINE PCD-22252 (2006. 6.25)

1988年リリースのアルバムにボーナスを2曲加えたCDの再発です。BLACK TOPはずっと入手困難で、その中でも特にこの盤は探していたものですから、この再発は嬉しいですね。グレイディはリトル・リチャードのバックバンド、アップセッターズでブリブリ言わせてたサックス吹きで、その豪快で野趣溢れるサウンドが魅力です。これに弟のロイ・ゲインズにクラーレンス・ハラマンという名手ふたり、さらにキーボードにはファンキーなロン・リーヴィ、サックスにカズ・カザノフと最強メンバーを集め、DUKE時代のボビー・ブランドの歌を書いていたジョー・メドウィックが自作曲を2曲歌うというおまけ付き。全体に歌ものはボビー・ブランド・マナーのものが多いんですけど、自分のキャリアを歌った「アイヴ・ビーン・アウト・ゼア」なんて愉快だし、タイトル曲やキング・カーティスの「ソウル・ツイスト」も豪快。でも何と言っても名演なのは、ビッグ・ジェイ・マクニーリー最大のヒット「ゼア・イズ・サムシング・オン・ユア・マインド」ですね。オリジナルを上回る熱さで、とにかく強烈!P-VINEさん、これからもケチケチせずにどんどん出してくださいね。



Grady Gaines & The Texas Upsetters ; HORN OF PLENTY ; BLACK TOP/P-VINE PCD-22258 (2006. 7.24)

1992年録音のBLACK TOP第2作がP-VINEより再発されました。まずはメンバーがすごい!ジョージ・ポーターのベースにハーマン・アーネストのドラムという、ニューオーリンズ最強と僕が思ってるリズム隊に、カミカゼホーンズ、ギターにクラーレンス・ハラマンとアンサン・ファンダーバーグ、これにキャロル・フランやテディ・レイノルズなどのヴォーカルが加わっているんですから、まさにオールスター状態。メイン・ヴォーカルはトロンボーンのポール・ディヴィッド・ロバーツで、なかなかいい歌を聴かせます。かっこいいインストの「アップセッター」では「ブルース・イン・ザ・ナイト」のフレーズからグレイディのサックスが爆発。続く「ストンプ・ハウス・ブルース」ではスローでも吹きまくるグレイディの間隙を縫って、ハラマンのカントリーフレイヴァーあふれるソロがいい感じのコントラストになってます。でも一番印象に残ったのは実は「ホウェン・サムシングズ・ロング・ウィズ・マイ・ベイビー」。サム&ディヴの名曲を、しっとりとしたインストに仕立てたんですが、原曲の優しさをここまで表現できるとは。脱帽です。



Grandpa Elliott ; Sugar Sweet ; PLAYING FOR CHANGE PFC-31841-02 (2009.12.16)

2009年リリース。碧眼のグランパはいつもはフレンチクウォーターでハーモニカを吹きながら歌っているんだそうです。この作品ではしっかりしたバックがついて、彼の暖かみのある歌を支えています。「エイント・ナッシング・ユー・キャン・ドゥー」「ウィー・ゴナ・メイク・イット」「アナザー・サタディ・ナイト」といったソウル系のナンバーが中心で、それに「ベイビー・ホワット・ユー・ウォント・ミー・トゥ・ドゥー」やゴスペルのメドレーなどが収録されていますが、一番面白かったのはハーモニカを吹きながら歌うライヴの「ファニー・メイ」ですね。本来この人が吹き語りの人だって言うのがよく分かります。このアルバムでは途中からバンドが入って楽しそうに大盛り上がりしています。こういうの、最高ですね。




Grant Green ; Iron City ; 32 JAZZ 32048 (2002. 8. 8)

元々は1977年にリリースされた音源の再発です。グラント・グリーンのリーダー作は初めて聴きましたが、とてもクールなオルガン・トリオです。グリーンのギターは技巧に走るというよりは、かなりブルージーで、多少細かいフレーズというか手癖的な弾き方も聴かれますが、ちょっとサックスに通じるフレージングに思えました。オルガンのビッグ・ジョン・パットンもジミー・スミスほどの派手さはないですが、実にクール。「ハイ・ヒール・スニーカー」「マザレス・チャイルド」「ワークソング」といった、ブルース好きの僕にとってもなじみやすい曲が多く、良かったです。



Grayson Capps ; Songbone ; HYENA HYN 9361 (2008. 2.15)

2007年リリース。ニューオーリンズの人なんですが、あまりセカンドラインとかせずに、じっくりフォークを歌ってるって感じです。ヴァイオリンをバックに入れて、ハーモニカを吹きながらの演奏と、ちょっと沈んだような歌は、真似ているわけではありませんが、ボブ・ディランの影を感じます。時折はっとするような音がするあたり、ニューオーリンズを感じてしまいますが。派手さはありませんが、聴いていくと味わいを増す作品です。



The Griffin Brothers ; Blues With A Beat ; ACROBAT ACRCD 209 (2004. 2.13)

1950年代初期に主にDOTというレーベルに残した作品集。グリフィン兄弟、全然知りませんでしたが、ライナーによるとワシントンD.C.を中心に活動したようです。ジェイムズがトロンボーン、エドワードがピアノを担当、R&Bコンボを率いていたようで、活きのいいマーギー・デイやトミー・ブラウンといった歌手を迎え、またサックスにはノーブル・ワッツが参加していたようです。この時代らしいジョー・リギンズやロイ・ブラウンなどからの影響を感じるジャンプナンバーが中心ですが、演奏は比較的シャープですっきりした感じ。「ウィーピン&クライン」はもろにロイの「ラフィング・バット・クライング」の影響を受けたように思えます。こんなのあったんですね。なかなか面白かったです。



Groovesect ; On The Brim ; GROOVESECT no number (2009. 2.25)

2007年リリース。冒頭の「スペース・ドッグ」、JB'ズにちょっとフュージョン的な味付けをした曲だなぁと思ってクレジットを見たら、なんとフレッド・ウェズリーが参加していました。「タッチアップ・イット・アップ」にも参加していてやっぱりJB'ズの香りが。たった一人で凄いなぁ。ゴリゴリのファンクというよりは、かなりフュージョン寄りで、演奏力とアンサンブルの良さで勝負している感じです。僕にはちょっと上品すぎるなぁ。




The Guess Who ; Live At The Paramount ; BUDDHA 74465 99753 2 (2005.12.21)

1972年のライヴです。実はこのアルバム、従兄が来日した時買ったサイン入りLPをもらっているんですが、大の愛聴盤でした。CDでは5曲増え、多分ライヴの全貌が明らかになっているんだと思います。改めて聴き直して、やはり何度も聴いた耳に染みついた音っていうのは、なかなか抜けないものだってのを実感しました。だって車の中ですぐに歌い出しちゃうんだもの。ポップなセンスの光る「アルバート・フラッシャー」、ドン・マクドウガルの美しいアコースティック・ギター弾き語りの「グレース・ベイ・ブルース」、そして長尺のブルーステイストの強いセッション風イントロがついた「アメリカン・ウーマン」の大迫力!全米No.1になった同曲のスタジオ盤も、このテイクと比べるとなんとチープなんでしょうか。バートン・カミングスの才能が炸裂した強力なライヴです。名盤と言って良いと思っています。



Guitar Mickey & The Real Thing ; Jam Zero 1 ; 61 no number (2008. 2.25)

リリース年は分かりませんが新譜でしょう。ミシシッピでは古くからブルースの町として知られていたクラークスデイルのクラブでのライヴです。ミッキーはおそらく地元の白人ギタリスト。リトル・ミルトンの「ロンリー・マン」やラッシュの「オール・ユア・ラヴ」、さらには「フーチー・クーチー・マン」など、定番のオンパレード。途中ネリー・タイガー・トラヴィスが2曲ほど歌いますが、サーキットでやってきたのでしょうか。ガツンとしたインパクトはありませんが、ラストの「ブギ・チレン」から繋ぐ「ブギ・シング」あたりを聴くと、ライヴは盛り上がって楽しそうです。



Guitar Red ; Lightnin' In A Bottle ; BACKSPACE no number (2009.12.26)

2008年リリース。ジョージアのホームレスということですが、演奏内容からすると、おそらくは以前はプロとしてソウルやファンクなどの演奏をバリバリこなしてたんじゃないかなって思います。このアルバムでは主に女と酒について、いかにも街角の階段にでも座りながら、ギターかき鳴らして、半ば酔っ払いながら歌う雰囲気が詰め込まれていますが、ブルースという形式を借りて、生の人生や思いを自由に歌っているようにも感じました。そういう意味では伝統継承とは違いますが、ブルースらしいと言うか、とても共感の持てる作品です。




Guitar Shorty ; Topsy Turvy ; BLACK TOP CD BT-1094 (2006. 5.11)

1993年リリース。いやいや、こんな盤が中古で出てくると嬉しいですね。欲しかった1枚です。最近のギター・ショーティはロックまがいの弾き倒し系ギタリストになっちゃってますけど、BLACK TOP時代は60年代の香りを残していて、味わい深いブルースをやっています。カミカゼ・ホーンズにハーマン・アーネストのドラムといった、確かなバックに支えられて、ショーティは伸び伸びやっていますが、特に良かったのは彼の代表曲「ハード・ライフ」の再演です。僕はこのマイナーブルース、大好きなんですけど、タメの効いたギターと艶のある歌声は、オリジナル録音よりいいかもしれません。とにかく張りのある歌がたくさん聴けたのが収穫。好盤だと思います。



Guitar Shorty ; I Go Wild! ; EVIDENCE ECD 96119-2 (2001.12.30)

2001年リリースの新譜です。ギター・ショーティは好きなギタリストなんですが、これはびっくり!ロックアルバムと言った方がいいです。オーヴァードライヴしたギターをヴォーカルとは別に録音しており、あまり上手とは言えない歌のバックでも思いっ切り弾きまくっています。ドラム、ベースともに重厚で、ロックと思って聴けばいいんですが、だとするとB級です。プロデューサーが何を考えているのか、ご本人の意向かは不明ですが、ピントのずれた作品という感じがしました。元々ギター・スリム系のたたみかけが魅力なのになぁ。



Guitar Shorty ; Watch Your Back ; ALLIGATOR ALCD 4895 (2004.10.22)

2003年リリース。さて、これは困りました。元々ギター・ショーティにロック指向があるのは感じていましたが、ここまで徹底するとは。アーティスト名を知らずに音を聴いたら、かなりギターの弾けるブルース系ロックバンドだと思うくらい、歪みをかけた、しかもかなりきっちりしたギターワークに、少しサウンドに負け気味の面はありますが、これまたブルースから少し離れた感じのヴォーカルです。ギターは上手いですし、歌もしっかりしているんですが、フレージングなどからギター・ショーティというブルースマンの色合いが全く感じられないんですよね。サウンドはちょっと70年代終盤のZZ トップを思わせるサウンドで、バンドサウンドとしては上手くまとめてあります。これはロックギターファンにはそれなりに受け入れられると思いますが、ブルースファンは賛否が分かれそう。



Guitar Shorty ; We The People ; ALLIGATOR ALCD-4911 (2007. 3.19)

2006年の新譜です。ALLIGATORに移って以来、ショーティはずっとロック寄りのサウンドを追求してきましたが、このアルバムもその方向で、パワーコードを中心にしたバンドをバックに、ひずんだギターを弾き倒しています。ヴォーカルなど一瞬ショーティらしい艶やかさを感じさせる場面もありますが、ほぼロック調ですね。でもこれだったらZZトップを聴く方がずっと面白い名なんて思いました。演奏している本人が楽しんでいるのならいいんですけどね。



Guitar Slim ; 1951-1954 ; CLASSICS 5139 (2005. 6.29)

ギター・スリムのレーベルを越えた録音順アルバムです。すべて既聴ですが、やっぱりこうして並べてみると変化がつかめますね。IMPERIALからのデビュー作ではヒューイ・スミスがピアノを固めていて、ニューオーリンズ・テイストもあるんですけど、ゲイトマウスの影響が思いのほか強いのが分かります。また続くナッシュヴィルのJ-B録音では、コーラスを含め彼のゴスペルルーツを感じさせます。そしてSPECIALTY時代!さんざん聴いた音源ですが、「ザ・ストーリー・オヴ・マイ・ライフ」「ア・レター・トゥ・マイ・ガールフレンド」など大好きな曲が続々出てくるとやっぱりウキウキしちゃいます。バックは自身のバンドですが、さすがいい跳ね具合。生で見たかったなぁ。



Guitar Slim ; The Things That I Used To Do ; SPECIALTY/ACE CDCHD 318 (2000. 5.20)

同名の名盤とは異なる、当時未発表だったものも含んだ1953〜56年録音集。レコーディング風景なども収録されてます。ギター・スリムの代表作の表題曲はもちろん入ってますし、スヌークスのやってた「ユー・ギヴ・ミー・ナッシン・バット・ザ・ブルース」も入っていてお買い得でした。スリムは歌はまごうことのないニューオーリンズ味で、ギターもメジャーのフレーズが多いため、さほどブルージーではありませんが、その完全燃焼したアグレッシヴな生き方そのもののプレイはやはりぐっと来ます。当時絶大な人気があったのは、その度派手なパフォーマンスだけでないことを示していると思います。


"Guitar Slim" Seward & "Jelly Belly" Hayes ; Teh Back Porch Boys ; APOLLO/DELMARK DE-755 (2005. 4. 5)

1947〜1950年の録音です。この東海岸のギター・スリムはARHOOLIEのLPで聴いていたんですが、冒頭の「ビッグ・ヒップ・ママ」からジェリー・ベリーとのギターデュオで、味わいのある、でもほんの少し洗練されたカントリーブルースを聴かせます。いい感じですね。別テイクも甲乙付け難い出来です。この他ブラウニー・マギーのギターを従えたチャンピオン・ジャック・デュプリーも4曲収録。勢いのある「ラブ・ア・リトル・ブギー」が格好いいです。リゾネイタでスライドをかき鳴らしたり、12弦ギターを爪弾くブラインド・ウィリー・マクテルは、戦前ものと比べディープさが増しているかもしれません。でも声は相変わらず張りがあり、一聴してマクテルと分かるのが彼の個性ですね。この他デニス・マクミロンという人も入っています。APOLLOと言えばよりジャンプやジャズ寄りの録音で有名ですけど、こんな渋い録音もあったんですね。



Guitar Slim Jr. The Story Of My Life ; ORLEANS OR4188-CD (2008. 5.30)

1987年録音。もちろん息子です。親父の曲をタイトルにしたアルバムで、その曲や「トラブル・ドント・ラスト」他、10曲中7曲は親父のナンバー。ギターは少しモダンですけど、ヴォーカルはかなり影響を感じるというか、真似てると思います。他の選曲がクラーレンス・カーターの「トゥー・ウィーク・トゥー・ファイト」にタイロン・ディヴィスの「ターン・バック・ザ・ハンズ・オヴ・タイム」というのが面白いですね。本当はこういう曲をやりたいんじゃないでしょうか。でもちょっと歌唱力不足に思いました。



Guitar Slim Jr. ; Brought Up The Hardway ; GUITAR SLIM JR no number (2010.11.24)

2010年リリース。いきなりクラーレンス・カーターとオーティス・レディングを接ぎ木したような曲からスタート。タイトル曲もオールドスタイルなソウル・ナンバーで、チタリン・サーキットの香りがたっぷりです。父親に比べギターはおとなしく、あんまりジュニアって感じじゃないですね。録音もチープですし、やっぱり親の名前に頼っているのかなぁ。歌はそんな悪くないし、ギターも弾けているんで、いいプロデューサが付いたらもう少し面白くなりそうなもんなんですが。




The Gumbo Brothers ; Funky Freedom ; THE GUMBO BROTHERS no number (2009. 2.28)

2005年録音。ニューオーリンズのファンクバンドはたくさんありますが、このバンドは70年代前半の香りを残した、どこかB級な雰囲気のある演奏をします。インストだけでなく歌ものもあるんですが、ミディアムなテンポを上手くこなして、ザラッとした肌触りの曲に仕上げています。ご多分に漏れずミーターズの影響は大きく、「ピープル・セイ」を唯一のカヴァーとして取り上げているほか、「ゲット・ユア・フリーク・オン」などはJOSIE時代のミーターズそっくり、特にギターはレオのコピーと言ってもいいくらいです。でもこの手の曲をやるとリズム隊の実力差がはっきり出ちゃいますけどね。




Guy Davis ; Chocolate To The Bone ; RED HOUSE RHR CD 164 (2004. 2. 6)

2003年リリース。名前は知っていましたが、この人初めて聴きました。冒頭の「ライムタウン」はマンドリンも入りちょっとスリーピー・ジョン・エスティスを思わせます。タジ・マハルをもっと渋くしたような声と、ジャグバンド風の割合明るい印象のサウンドが多く、そんな中にドロンとしたブルースが混じってるって感じですか。何だか初期のボブ・ディランなどのフォークに近い雰囲気もあり、強烈なインパクトはないんですが、多彩なサウンドでかなり楽しめました。フォックスチェイスものっぽい曲もあったり。でもバーベキュー・ボブのタイトル曲は収録されてませんでした。



Guy Davis ; Sweetheart Like You ; RED HOUSE RHR CD 211 (2009. 2.26)

2009年リリース。タジ・マハルから影響を受けたアコースティック・ブルースマンはかなりいると思いますが、この人もそのひとりだと思います。ギター、バンジョーなどを巧みにこなし、渋いヴォーカルとハーモニカを入れたサウンドは、ライヴではワンマンバンド・スタイルでやってるのかななんてことまで想像してしまいます。今回はぐっとブルース色が強くなっています。特にマディの「フーチー・クーチー・マン」はエレキを入れたバンド演奏で、ライヴ感がありますし、ライヴ演奏でヴァンジョーでやった「キャント・ビ・サティスファイド」なんてのも収録。スライドの「ベイビー・プリーズ・ドント・ゴー」もいい感じのブルースに仕上がっています。一方「エンジェル・アー・コーリング」なんてゴスペルもやってたりして。ガイの魅力がよく出た好盤だと思います。




Guy Forsyth ; Needle Gun ; ANTONE'S ANT /P-VINE PCD-4106 (2002. 1. 8)

1995年リリース。バーゲン品です。ガイは一昨年のパークタワーで見たんですが、その時はもっとオーソドックスなブルースを元気にやっていました。このアルバムでは、やはりぐっとロックよりのところで、でもしっかりブルースを見据えながらひとつひとつ曲作りをしているようです。けっこう重いノリのシャッフルから、いかにもセミホロウを鳴らしてますといったジャジーなインスト、C.C.R.の「ボーン・オン・ザ・バイユー」を思わせるスワンピーなミディアム・ロックなど、曲も多彩で、スライド、ハープまでこなす器用さを見せます。変に声色を作ったりせず、パワフルかつストレートな歌唱で勝負するあたりも好感がもてます。アルバムの中には一種ノスタルジックな香りもあり、なかなか面白い作品です。でもインパクトのある曲があまりなかったな。ぐっと押し出す個性が出るともっと面白いのに。



Guy Forsyth ; Voices Inside - An Acoustic Record ; SMALL & NIMBLE no number (2003. 3.25)

2002年リリースのライヴ盤です。ガイ・フォーサイスといえば2001年のパークタワーで「サザン・ハープ・アタック」を仕切っていたお兄さんですが、その人がアコースティックギターの弾き語りを中心にしたアルバムを出してきました。ギターは2本で一部スライドも入りますが、全体にはブルース色のあまり濃くないフォークというかルーツというか、ちょっと僕には上手く説明できませんが、1曲1曲を大切にした演奏が続きます。ガイは来日したときもその強靭な喉を披露していましたが、ここでもその片鱗はうかがえます。タフでいい声しています。もしかするとこの辺が彼の音楽の中心にあるものなのかなって思いました。ギターはしっかりしていて安心できます。



Guy Forsyth ; Calico Girl ; SMALL & NIMBLE SAN18989-2 (2008.11. 2)

2008年リリース。ガイが様々な楽器を操りサウンドを作っています。「フェイス」のような激しい曲もありますが、全体にアコースティック楽器を中心にした内省的なサウンドで、ブックレットにある歌詞を見ても、たっぷりとしたヴォリュームで、単純なラヴソングというより、様々な情景や出来事を歌っているようです。例えば「ホームタウン・ボーイ」ではイラクで後ろから撃たれた兄弟のことが歌われていたりします。ギターの他バンジョー、ウクレレ、ハーモニカなどを駆使して、ちょっとジャンルで説明できないような不思議なサウンドを生みだしています。以前来日したときの気のいい兄ちゃん手感じじゃなく、かなりインテレクチャルでユニークな人なんだなと再認識しました。




Guyland Leday & Zydeco Family & Friends ; SHRIMPO MUSIC no number (2007. 9.16)

2007年リリース。このガイランド君、なんと10才です。可愛い声で「ガールフレンドになって」なんて歌うんですからマセてますねぇ。声変わり前でまだまだ不安定なヴォーカルで、アルバムも周りの大人たちが一所懸命お膳立てしてるって感じですが、アコーディオンの腕前はなかなかのもの。またサウンドもいわゆる新世代ザディコのクールなビートに乗っていて、こんな調子でやってるうちに大化けするのかもしれません。



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