CD INDEX(H)
 

アーティストの名前順に並んでいます。「TODAY'S CD」で紹介したものは紹介文が付いています(日付)。紹介文のないものは「おすすめCD」か「お気に入りのミュージシャン」の中で紹介されているもので、「Click Here!」をクリックすると該当のページにジャンプします。

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Hadda Brooks ; Swingin' The Boogie ; ACE CDCHM 889 (2008. 5.18)

多分1945〜63年までの録音でしょう。ハダ・ブルックスは美貌の歌手として有名ですが、そのピアノの腕前も一級品。このアルバムは彼女の弾くブギウギに焦点を当てたもので、1945年頃のものは弾き語りです。50年代の録音にはベースとドラム、さらにはヴァイブなども入ってきますが、基本的にそのピアノの切れ味に代わりはありません。パワフルな左手がかっこよく、こういうのを聴いていると天は二物も三物も与えるんだなって思いました。



The Hal Tshchida Trio ; Midnight Shuffle ; HAL TSUTIDA no number (2006.12.20)

クレジットはありませんが多分2006年の新譜でしょう。もうシカゴに渡って7年になるのでしょうか。ハルこと土田晴信はまだ弱冠28才のキーボーディストです。ひょんなことからネットで紹介していただき、小学校が同じという縁で6年ほど前に一緒に焼き肉食べたりしました。その時あっとぺっぷのピアノを借りて彼の演奏を聴きましたが、ブルースはさすが本場仕込み、でもジャズはまだまだと言うのが印象でした。ところがこのアルバムは完全なオルガントリオです。「A列車で行こう」「ハニーサックル・ローズ」なんて超スタンダードから、マイルスの「オール・ブルース」、毛色が変わったところでは「イパネマの娘」といったカヴァーに交え、タイトル曲など自作曲を4曲やっています。オルガンの技量は確かなもので、聴いていて安心できました。ギターはジャック・マグだフやジミー・マグリフとの共演もあるベテランのラリー・フレイジャー。味のあるギターでサポートしていますが、ひょっとしてやっつけセッションだったのか、ちょっとミスノートが目立つのは気になります。インパクトのある作品とは言い難いですけど、今後の益々の成長を期待したいです。



Hambert Hambert ; For Handreds Of Children ; MIDI MXCA 1081 (2008.12.29)

2001年リリースのハンバート・ハンバートのデビュー・アルバムです。ギターの佐藤良成が書いた歌を、佐野遊穂が透明感のあるストレートな声で歌うのが基本パターン。アメリカン・ロックとフォークをたっぷりと吸収し、日常を身の丈で歌う歌詞がぽーんと耳に飛び込んで来ます。歌のテーマはごく私的なラヴソングと言った風情なんですけど、いわゆる四畳半フォークのような女々しさはありません。ただ後期の作品に比べて、ボサノヴァとかの音の下敷きがはっきりしていて、分かり易い分面白みは足らないかな。良成の声は脱力系で好きですけど。このアルバムに最初出会っていたら、こんなに聴こうとは思わなかったかな。




Hambert Hambert ; アメリカの友人 ; MIDI CREATIVE CXCA-1100 (2009.11.12)

2002年リリース。セカンドアルバムだと思います。歪みきったハーモニカの入った「雨傘」、ガレージっぽい「笹舟」など、佐藤良成の通過してきた音楽を感じさせるサウンドもありますが、佐野遊穂のどこか癒される声が全体に勝っていて、どこかほわっとした感じのアルバムになっています。日常の男女の心のひだを感じさせる歌詞が、生々しくはないんですが、心の奥に引っかかるように聞こえてきます。「フェアウェル・ソング」などブルーグラスタッチのフォークソングで、何か70年代初め頃なら流行ったんじゃないかと思う雰囲気。ラスト2曲は「ブルー・ムーン」「風に吹かれて」とカヴァーで、特に後者はエレキギターのスライドがグリグリンと来る強烈な演奏。そこに雹とした佐藤の歌が乗ってくるから不思議な味わいです。




Hambert Hambert ; 焚日 ; MIDI MDCL-1447 (2008.12.24)

2003年リリース。サウンド的にはいろんな要素を感じさせる作品になって来ています。例えば「逃げ水」や「山火事」、どこか不安げなサウンドは、佐藤良成のノーギミックな歌と強いナチュラルエコーの効いたドラムと合わせて、なんともざらついた感じで、佐野遊穂の歌う曲と好対照をなしています。全体的にロックの要素を強く出そうとしているようですが、果たしてそれがこのユニットにとって当たりだったのか。やっぱり「窓」とかフランス風童謡的な「コックと作家」、フォークな「迷子」の方がしっくり来るんですよね。




Hambert Hambert ; 11のみじかい話 ; MIDI MDCL 1469 (2008.12.23)

2005年リリース。六角橋のカフェ・ド・ヤガヴァンで食事をしているとき、耳にしたのがこのアルバムの「虹」でした。C.C.R.の歌の中でも大好きなバラード「すべての人に歌を」を日本語化したこの曲でいっぺんにこのユニットに興味を持ちました。男女デュオってことで自分のやってる「美女と野獣」のことも頭にありましたし。で、アルバムを片っ端から聴いてみることに。「虹」は元の歌の社会性を全部消し去り、リフレインの巧みな訳詞を生かしたラヴソングになってます。それよりさらしの麻のような肌触りの「桜の木の下で」、童歌を思わせる不思議なメロディと言葉遊びの「からたちの木」や「てまりうた」のヨーロッパ・テイストと和の混じり合ったようなサウンド、何といっても佐野遊穂の凛とした声が魅力的でした。アコースティックな響きに溢れる、何とも癒されるアルバムです。




Hambert Hambert ; 道はつづく ; MIDI MDCL-1475 (2008.12.27)

2006年リリース。通算4枚目になるのでしょうか。佐藤良成の一人称の曲を佐野遊穂が歌うというこのデュオのスタイルは崩れようがないんですが、だんだん音楽的に面白くなって来ています。特に「もったいないけど」の笛とバンジョーのサウンドなど、手触りのよい木綿生地のような肌合いで、佐野の歌声が実に生きています。「合奏は楽しい」ではちょっとケイジャンのトゥーステップを意識したようなフィドルとピアニカにウォッシュタブ・ベースによるサウンドが、このユニットのルーツを垣間見せてくれるようです。「おかえりなさい」という悲しい歌を真っすぐ歌う良成、でもこの歌は主語が女性を思わせる「私」なのよね。このユニットのどこか不思議な感じは、こうした主語の錯綜にあるのかもしれません。




Hambert Hambert ; まっくらやみのにらめっこ ; MIDI MDCL 1489 (2008.12.26)

2008年リリースの新譜です。まず印象として「強さ」を感じました。「バビロン」のニール・ヤングあたりを思わせるロック・サウンドもですが、葬送の曲である「大宴会」での佐野遊穂の歌はいつになく力が入っていて、天に声を届けようという意思を感じました。荒神、鬼といったどこか伝承的な香りのする歌も腰の据わった歌になっています。ラヴソングの「おいらの船」もガツンとしたインパクトがあります。もうひとつ、歌詞がドンドン社会的になっていますね。どこかコミカルに歌う「国語」カントリー調の「街の灯」あたりは社会批評的だし、「静かな家」「透明人間」は自分とかかわる他者を歌うっていう意味で社会性が感じられます。そして遊穂が愛らしさのある声で歌う「はつ恋」、この倒錯感がこのユニットの大きな魅力になっています。




Hank Shizzoe & Loose Gravel With Sonny Landreth ; In Concert ; CROSSCUT CCD 22005 (2003. 6. 9)

2002年9月、スイスはルビゲンでのライヴ。シゾーはスイスのブルース、カントリーをベースにしたミュージシャンのようで、デヴィッド・リンドレイなどとも共演歴のある人のようです。この2枚組のうち1枚目は自身のザラッとしたギターを軸に、ややダミ声のヴォーカルと、結構粘っこいスライドを絡めたサウンドで、達者なドラムとアップライトベースを従え、かなり個性的なロックといった演奏です。うねりもあり、またパワーコードを交えた演奏はドライヴ感溢れるもので、かなりいけます。2枚目にはサニー・ランドレスが参加していますが、やはりがらりと景色が変わります。サニーのギターの独特の浮遊感が加わると、奥行きと幅が増し、シゾーの渋い歌が生えていきます。サニーも出すぎず的確なサポートを聴かせ、時折ダイアー・ストレイツを思わせる雰囲気のある演奏となっています。スイスにもこんな渋い人がいたんだとビックリ。



Hank Shizzoe & The Directors ; Out And About ; CROSSCUT CCD 12009 (2005.12. 7)

2005年リリース。このスイスのロッカーはいつもやってくれます。ダミ声でぼそっとした歌い方は、僕の好みじゃないんですが、それを忘れさせるイカした演奏がたっぷりつまっています。ジョン・ハイアットとかエルヴィス・コステロの好きな方には合うんじゃないかしら。アコースティックな感覚でカントリーフレイヴァーが心地良い。軽妙な「ジャム」とかが、ドロンとしたサウンドの中に適当に取り混ぜられているのが、彼の音楽性の広さとセンスの良さを物語っているように思います。とにかく丁寧な作りのアルバムで、聴いていて飽きが来ません。ジャケットにちりばめられた猫がまたいいんですよ。



Hank Williams ; Rockin' Chair Money ; BEAR FAMILY BCD 16636 AH (2009. 9.30)

1947年から1961年にかけての、ハンクのベスト盤と言っていいコンピです。タイトなトゥービートのギターにフィドル、スチールギターの絡むサウンドは素晴らしいノリで、初期のご機嫌な「ムーヴ・イット・オン・オーヴァー」「ルーティ・トゥーティ」「ホンキー・トンキン」など、のちのロカビリーに大きな影響を与えただろうと思います。また「ラヴ・シック・ブルース」のヨーデルはジミー・ロジャーズに通じるブルージーな香りがほのかに感じられます。スタンダードとなった「ヘイ・グッド・ルッキン」、ケイジャンとカントリーの融合「ジャンバラヤ」、そしてホワイトゴスペルの傑作「アイ・ソウ・ザ・ライト」など、珠玉の名作がずらり。BEAR FAMILYらしい丁寧なブックレットも魅力です。




Harlem Hamfats Vol.1 (Apr - Nov 1936) ; DOCUMENT DOCD-5271 (2003. 2.15)

ハーレム・ハムファッツはホーカムソングをディキシーランド風のジャズサウンドで包んだバンドって印象ですが、カンサス・シティ・ジョーことジョー・マッコイのちょっとザラッとした男っぽいヴォーカルがかなり魅力的です。どこか垢抜けないのはシカゴという土地柄もあるのでしょうか。カミサンのメンフィス・ミニー作のブルースもかなり取り上げていますが、やはりインパクトが強いのは代表曲「オー・レッド」などの軽快なリズムを持ったダンスチューンでしょう。「セールス・タックス・オン・イット」なんて曲は「イッツ・タイト・ライク・ザット」を思わせる跳ねかたで気持ちいいです。「ウィード・スモーカーズ・ドリーム」はおそらくリル・グリーンの「ホワイ・ドント・ユー・ドゥー・ライト」の元歌でしょう。でもリズムがラテンがかっていて趣がちょっと違いました。出だしの歌はまるで「酒よ」みたい!



Harmonica Hinds ; Finally ; HARMONICAHINDS no number (2008. 9. 2)

2008年録音。まず冒頭のジャジーな「ウェイク・ザ・スピリット」、そして続くシカゴ・マナーのゴーイン・ダウン・ザ・リヴァー」を聴いて、格好いいサウンドだなと思いました。バックでギターを弾いているのがエディ・テイラー・ジュニアで、父親譲りの的確なフレイジングとリフのリズムに乗って、ハインズの達者なハーモニカが心地良く響きます。ところが歌が入ってくるとがっくり。音程が不安定なこともありますが、どうも味わいが良くないんです。全体にインストが多いのはそれが分かっているからなんでしょうか。誰かうまいヴォーカルを使ったほうが良かったのではと思ってしまいました。




Harmonica Shah ; Motor City Mojo ; BLUE SUIT BS-1140 (2003. 6.18)

2000年リリース。デトロイトのハーモニカ吹き、シャーの旧譜があったので買いました。いやいや、この人の歌っていいですね。野太く魅力的なヴァリトンヴォイスで、ぐっと訴えてくるものがあります。「デトロイト・プレイボーイ」は「ビッグ・タウン・プレイボーイ」を改作したスローなんですが、あの味わいのある歌詞が上手く生きています。「オールド・ハウンド・ドッグ」もじっくり歌い込まれていますし。またハーモニカのフレーズも大きくってインパクトが強いです。新譜が出ているという話もありますので、早く聴いてみたいですね。



Harmonica Shah feat. Howard Glazer ; Deep Detroit ; SOUTH SIDE RECORDS SSR0004 (2002. 4.18)

2001年リリース。デトロイトで活動するハーモニカ・シャーは輪郭のはっきりしたヴォーカルとハーモニカを聴かせます。どっしりと落ち着いた感じで、クラブでたたき上げたんだろうなと思う声質で、素直な歌い方には好感がもてます。ハープの方も割合かっちりしたフレージングで非常に丁寧に吹いている感じ。オリジナルに交えたリトル・ウォルターやサニーボーイの曲も独自の解釈で聴かせています。バックバンドはトリオでかなりタイト。ギターのハワード・グレイザーはハードロックあがりでしょうか。かなりオーヴァードライヴィングなサウンドで、ソロにはあまり色気を感じませんでした。バッキングはきっちりしているんですが、その分変化がなく単調な感じましました。もう少しいろんなパターンで聴いてみたかったです。



Harmonica Shah Blues Band ; Tell It To Your Landlord ; ELECTRO-FI 3377 (2003. 7. 2)

2003年リリースの新作です。見かけもサウンドもハードなブルース・ロック・ギタリストのハワード・グレイザーを前面に出したアルバムで、前作の延長線上にあるといえるでしょう。カルテットでタイトなリズムの曲ではシャーのくっきりした歌とハワードのギターは良くなじんでいると思いました。ハーモニカも適度にラフさがあって面白いです。ただ、ハワードが弾きすぎちゃうとちょっと僕の好みとは違っちゃいます。「アイ・ハード・ユー・ワズ・アット・カジノ」なんて、スライド使ってるんですけど、まるでツェッペリンの「ユー・シュック・ミー」みたい。こうなるとシャーの声がちょっと負けちゃってるかな。それなりに楽しめましたが、もう少し「味」が欲しい気がしました。



Harold Battiste ; Lagniappe: The 2nd. 50 Years - The Future Of Our Past ; ALL FOR ONE no number (2004. 6.28)

録音時期ははっきりしませんが、おそらく80年代以降のベストでしょう。ハロルド・バティステと言えば、60年代ニューオーリンズ・サウンドの仕掛人のひとりで、カリフォルニアに移って活動したAFOの中心人物というイメージでしたが、ここで聴くことができるのは完全なジャズ〜フュージョンです。ジョニー・アダムズの歌う「ザ・マスカレード」なんて曲も入っていますが、思いっ切りジャズですし、ところどころニューオーリンズらしさは感じますが、もう少しファンクネスある音を期待していたんで、僕の好みからいうとちょっと外れた気がします。タミ・リンも2曲歌ってます。



Harold Burrage ; Messed Up! - The COBRA Recordings 1956-58 ; COBRA/WESTSIDE WESM 634 (2001.11. 8)

以前P-VINEから、たしかアイク・ターナーとカップリングされてLPになっていた、ハロルド・バラージェのCOBRA録音集が出ました。この時代のCOBRAですから、ウィリー・ディクソンの影響が強く、「ワン・モア・ダンス」なんて曲は、裏に絡むウェイン・ベネットのギターやサックスの使い方を含め、まるでオーティス・ラッシュの「ヴァイオレント・ラヴ」です。でもラッシュよりバラージェには向いた曲調です。面白いのはヒットした「ストップ・フォー・ザ・レッド・ライト」で、まるで交通安全運動のキャンペーン・ソングみたい。擬音にブレーキやクラッシュ音がオーヴァーダブされた本テイクは、赤信号で止まらないとこうなるっていう妙な説得力を感じました。この他「ホット・ドッグ・アンド・ア・ボトル・オヴ・ポップ」のバックではチャラチャラとマジック・サムがギターを弾いています。



Harper ; Down To The Rhythm ; BLIND PIG BPCD 5096 (2005. 7. 9)

2005年リリース。この人はオーストラリアのハーピストでヴォーカルです。まずアコースティックな響きのシンプルだけどよく跳ねるドラムを軸にした、すっきりしたロックサウンドバックに、クロマチックハーモニカのイントロが印象的なタイトル曲がガツンと来ました。ちょっとラップの要素を入れた歌ですが、変にいじくり回しておらずまっすぐこっちに向かってくる感じがいいです。全体にこの基調で、スローやブルースもありますが、ミディアムのグルーヴィーなタイプの曲が魅力的です。歌も張りがあり、生音のハーモニカもしっかりしたテクニックを持ち、でも何と言ってもバンドサウンドがかっちり固まっているのが聴いていて心地良いです。



Harrison Kennedy ; Voice Story ; BLACK & TAN CD B&T025 (2005.10. 2)

2005年オランダ録音。チェアメン・オヴ・ザ・ボードのメンバーだったケネディが出したアコースティック・アルバムですが、これはいいですね。かなりディープなブルースからフォーク調のもの、ゴスペルテイストなどかなり多彩な顔を見せますが、その表情豊かな歌が素晴らしいです。例えば「ワット・ア・ウェイ・トゥ・ゴー」や「トゥー・ファー・トゥ・フォール」のモーニングはデトロイトの大先輩ジョン・リー・フッカーからの影響を強く感じさせますが、声そのものがジョン・リーに負けないくらいディープと来てるんです。「トラック・マインド」ではフィールドハラーに通じる歌い方を聴かせ、「40エイカーズ・アンド・ア・ミュール」では女性バックコーラスを従えながらの、実にプリミティヴなメロディで歌います。パーカッションだけで歌う「ボブ・ラ・アイランド」のゴスペルタッチは、どこかジャニス・ジョプリンの「ベンツが欲しい」を思い出させる感じといえば分かるでしょうか。自分でギターを弾き、ハーモニカやカズーを吹きながら、ディープなヴォーカルとアーシーでアコースティックなバックを見事に融合させたこの作品は、例えば「若手」と呼ばれるコリー・ハリスなどの方向性に通じるものもありますが、より歌にウェイトをかけているのが注目ですね。ベスト10に入れようかな。



Harrison Kennedy ; High Country Blues ; ELECTRO-FI 3404 (2008. 1. 9)

2007年録音。この人の歌の深さはBLACK&TAN盤でお墨付きなんですが、12弦ギターをかき鳴らしながら、カントリー・テイストたっぷりのブルースをやると、これがまた結構はまるんです。全曲自作のブルースなんですが、しっかりと南部の、いや、もっと向こうのアフリカあたりを見てるのかなといったフィーリング。アコーディオン、キーボード、ハーモニカ、ウッドベース、パーカッション、抑制の効いたエレキギターなど、ディープでドロドロになりそうなハリソンのサウンドをバックが実にうまくサポートし、不思議なモダンさを醸し出しています。ウ〜ン、一筋縄でいかない人です。



Harry Bodline ; Which Way Home ; HARRYBODINE no number (2007. 7. 9)

2006年リリース。ハリー・ボドリンはかつてデルタ・ルーのギターを弾いていた人で、解散後初のソロアルバムになると思います。基本的にデルタ・ルーの音を踏襲していますが、ハリーの歌声はマイケル・ミリガンよりハスキーな分、かえって彼の弾くスライドギターとのマッチングはいいように思います。スローナンバーも増えていて、「ワット・ウッド・アイ・ドゥ」なんてバラードは結構聴かせますね。「キャンと・リヴ・ウィズアウト・イット」って酒の歌なんですけど、ちょっとリトル・フィートを思わせるリズムが格好いいです。佳作ですね。



Harry Hypolite ; Louisiana Country Boy ; APO 2016 (2002. 6. 8)

2001年リリース。最初はデルタ〜ルイジアナ系のカントリー・ブルースかなっと思って聴いていたんですが、それにしては歌い方がのどかで明るさがありました。と思っているうち、実にゆるゆるな「ワイン・スポーディ・オディ」が。その前の「ファニー・メイ」を思わせる「コリンダ」と合せ、ルイジアナとニューヨークとの親和性を感じたりしながら曲リストを見ると、なんと「コリンダ」をはじめ「アイム・カミング・ホーム」までクリフトン・シェニエの曲を4曲もやっていました。ライナーを読めばそれもそのはず、クリフトン&C.J.シェニエ親子と一緒にやっていた人だったんですね。ザディコ風味がたっぷり聴いているわけです。もう一人のギター、ジミー・D.レインはけっこうモダンなブルースギターを弾き、アコーディオンが入っていないせいもあって、いわゆるザディコではありませんが、ザディコとブルースの近さと違いの両方を感じることの出来る、なかなか楽しいアルバムでした。



Harry Manx ; Live Road Ragas ; DOG MY CAT DMCD 1101 2 (2007. 6.24)

2002年制作ですから多分その頃のライヴ録音だと思います。このハリー・マンクスという人、良くいるスライドをかき鳴らすブルースシンガーかなと思ったんですが、ちょっと趣が異なります。まずスライドプレイにどこかエキゾチックな香りがするんです。時々シタールをかき鳴らしてしゃべっていたり、ライナーにインドのことが書いてあったんで、多分その辺りの音楽の影響を受けているんでしょう。ベースはブルースで、ラップスタイルでギターを弾きながら、ハーモニカも吹くんですが、張りがあってかなり魅力的な声をしています。ちょっとジョン・クリアリーの声を思い出したり、ローウェル・ジョージの毒気を少し抜いた感じといったらいいでしょうか。「プリーズ・ドント・ゴー」「シッティン・オン・トップ・オヴ・ザ・ワールド」などのブルースもやるんですが、オリジナルはもう少しフォークタッチ。でも歌が瑞々しく、ギターがユニークなので思わず弾き込まれます。スタジオ盤を聴いてみたい人です。



Haruomi Hosono ; Tropical Dandy ; PANAM/CROWN CRCP-28135 (2006. 2.12)

1975年リリース。このアルバムからの「チャタヌガ・チュー・チュー」の怪しい言語感覚、「北京ダック」のとぼけた味わい、この辺をラジオで聴いた当時、腰が抜けましたね。ラテンフレイヴァーをたっぷりとかけた味わいに、不思議な歌詞世界が見事にマッチしています。細野の声は決して美声ではなく、ともするとゲストたちに負けてしまうくらいですが、存在感は抜群。ティン・パン・アレイの面々の高い演奏力もあり、時代を突き抜けた作品だと思います。



Haruomi Hosono ; 泰安洋行 ; PANAM/CROWN CRCP-28136 (2006. 2. 8)

1976年リリースの作品です。ティン・パン・アレーの鈴木茂、林立夫といった面々に、コーラスには矢野顕子、大貫妙子からなんと久保田真琴、山下達郎、大瀧詠一まで参加するといった豪華メンバーで、タイトル通りの熱帯音楽を奏でます。サウンドの肝には琉球音楽とキューバンミュージックがあり、これを実にオリエンタルな手法でミックスしていて面白いです。「ブラック・ピーナッツ」なんてカリプソを借りた風刺溢れる歌詞も秀逸ですし、「チャウ・チャウ・ドッグ」の不思議な世界もたまりません。ただ、その背後に東京生まれの育ちのいい超インテリといった空気を感じ、そこが僕ののめり込めないところなんですけどね。



The Headhunters ; On Top - Live In Europe ; N.U.M.M. 1001-C (2009. 4. 2)

2007年のヨーロッパ・ツアーの模様です。バンド名はもちろんビル・サマーズが参加して生み出されたハービー・ハンコックの名作からとったもので、「スライ」や「ウォーターメロン・マン」などどうアルバムからの曲も収録されています。演奏の要はマイク・クラークのドラムで、マーク・シムのサックスがいい味を出しています。「バタフライ」ではドナルド・ハリソンがサックスを吹いています。さすが名人級のリズム隊ですからそのファンク度の高さは言うまでもありません。ジャズでありながら肉体的でアフリカンな雰囲気がたっぷり。楽しめました。




the hei ; are you hei ??? ; RECODA RC-0006 (2008. 9. 7)

2008年リリース。ライヴで一緒になり、その演奏を聴いて気に入って買いました。ヴォーカルのオーティスはドントに師事し、マチルダ・ロドリゲスに参加していたそうで、明るく抜けのいい歌声で、ちょっとポップなメロディの日本語のロックを気持ちよさそうに歌います。またギターの秋月さんの見事な仕事っぷりにも注目です。ジャンルにとらわれない多彩なギターを弾いて、楽曲に味わいを加えています。「ナチュラルマン」のサザンロックしたスライドなんかなかなかのものです。フルアルバム、出ないかしら。




The Hellecasters ; Essencial Listening Volume 1 ; HIGHTONE HCD8146 (2002. 9.19)

1995〜97年にかけて録音されたと思われます。ヘルキャスターズは名前からも想像できるように、テレキャスターを弾く3人のギタリストのユニットなんですが、この3人が三様の個性を持っていて面白いんです。カントリータッチの超絶フィンガーピッキング、スライドと押弦を巧みに使い分けるプレイ、アームのない楽器のはずなのに、まるでアームダウンするようなトリッキーなプレイ、これら3人のプレイが織り成すサウンドは、カラフルそのものです。ギターテクニックの百貨店といってもいいほどで、思わず聴き入ってしまいます。楽曲もひねりの効いたものが多いですが、決して難解ではなく、ストレートに入ってきます。ギタリスト必聴!



Henry Butler ; Homeland ; BASIN STREET BSR 0802-2 (2004. 5. 8)

2004年の新譜です。ヴァスティ・ジャクソンのギターを始め、おそらくセッションやライヴを積み重ねてきたであろうメンバーを集めたサウンドは、よくこなれています。元々声の芯のしっかりしたバトラーですが、ここでは何曲かで「後継者は俺だ」と言わんばかりのフェスのスタイルを真似た歌を披露、洒落たアレンジの「サム・アイコ」など、いつもよりはテクニックに走らずニューオーリンズ臭が強いです。でもフュージョン系のインストになると、グニュグニュとエフェクタにまみれたギターに手数の多いピアノと、どうも僕の苦手なサウンドが出てきます。やっぱりこの人器用すぎるのかしらね。



Henry Butler ; Pianola Live ; BASIN STREET BSR 0803-2 (2008. 5.31)

2008年リリース。レコーディング・データはありませんがおそらく最近のライヴでしょう。ヘンリーのピアノの腕前はライにして披露済みで、端正すぎるのが玉に傷な位素晴らしいものがあります。このライヴでもそれをいかんなく発揮、さらにオリジナルにかなり忠実な「マザー・イン・ロー」に続いてじっくりとバラード風に歌い込む「ドック・オヴ・ザ・ベイ」あたりは、先輩のジェイムズ・ブッカーに通じる雰囲気。もちろん変態度は足りませんが。この調子はずっと続き、まさにジェイムズ風の「サムシング・ユー・ガット」、自由自在に弾きまくる「ユー・アー・マイ・サンシャイン」、長いインプロヴィゼイションから伸び伸びと歌う「ティピティーナ」、ビリー・プレストンの「ウィル・イット・ゴー・ラウンド・イン・サークルズ」、そしてしっとりと「オールド・マン・リヴァー」とまさに変幻自在です。このぐらい自由な演奏なら楽しめるなぁ。好盤です。



Henry Clement ; From The 50's To The 60's ; ZYNN 9083-2 (2008. 4.13)

この人、やっぱりザディコの人じゃなかったんですね。このアルバムを聴くとデュー・ドロップスというバンドを率いて、ドゥーワップ仕立てのポップなR&Bをやっています。バラッドも甘い感じです。中で面白いのが「トロージャン・ワラ」で、オルガンを中心にしたインスト・ヴァージョンと、エレピ伴奏を主にした歌もの、どちらも甘味控え目でなかなかノリがいいです。そして「ゴーイン・トゥ・ニューオーリンズ」という曲ではライトニン・スリムがヴォーカルをって、あれ?この曲、そして「アイム・ソー・イン・ラヴ・ウィズ・ユー」って、先に紹介したザディコ盤にも入ってるぞ。



Henry Clement & Gumbo ; Bar Be-Queing In The Front Yard ; HENRY CLEMENT no number (2008. 8. 5)

2007年リリース。ジャケットの楽器編成を見る限りザディコだと思ったんですけど、タイトル曲はブギ、「ミート・ミー・アット・ザ・バンク」はブルース、といった具合に、いわゆるオーソドックスなトゥー・ステップは出てきません。ファンキーなブルース「ジャンク・イン・ユア・トランク」とかソウルフルな曲あり、ファンクあり、ロック調の曲ありと、かなり多彩な感じで、「アイ・ウォント・ユー・トゥナイト」になるとAORかと思っちゃうくらいです。ザディコってやっぱりあのリズムがあって初めてガツンてくるんですね。これはこれで面白いことは面白いんですが、だったらもっと演奏力のあるバンドがあるんじゃないかってどうしても思っちゃいます。




Henry Clement & Gumbo ; Louisians Blues & Zydeco ; BLUES UNLIMITED BU 9037-2 (2008. 4. 1)

多分新譜です。タイトル通りブルースの要素の強いザディコ、というか、ブルースマンがアコーディオンを抱えてザディコをやってるって感じです。なぜそう思うかというと、リズムなんです。いわゆるトゥーステップがないんですよね。だからザディコ・アルバムとして聴くと肩透かし。そのかわりこんなブルースのやり方もあるんだって割り切れば、それなりに楽しめます。



Henry Gray / Cousin Joe ; The Blues Of Henry Gray & Cousin Joe ; STORYVIKKE STCD 8053 (2004. 9.19)

1984年ニューオーリンズ録音のライヴで、ひょっとしたらヴィデオ化されていたもののCD盤かもしれません。ヘンリー・グレイはシカゴとルイジアナの両方で活躍したこともあり、シカゴ時代に共演したジミー・リード・ナンバーもやっていますが、弾き語りのピアノはやはりルイジアナテイストが強く、時にはフェスを思わせる指使いを聴かせます。「シェイク・ア・ハンド」や終盤のファッツ・ドミノ・ナンバー二連発が見事にはまります。これに対しカズン・ジョーの方は、ビートを抑えたより弾き語り的なスタイルで、しゃべりを入れながら歌い継いでいきます。さすがに全盛期の声は出ず、年老いた印象は否めませんが、弾き繋ぎながら楽しくステージを進めていく様子が伝わります。対照的なスタイルで楽しめました。



Henry Gray ; Plays Chicago Blues ; HITONE/P-VINE PCD-23091 (2001. 4.18)

近ごろ活発に活動しているグレイの、2001年リリースのぴかぴかの新譜です。録音は1995〜2000年。このアルバムは「ブルースセッション道場」を仕掛けたボブ・コリトアがプロデュースし、自身もハープだ参加しています。「ブルースセッション道場」と同一録音もあり、同じセッションのものかな?前作はルイジアナ仕立てのライヴでしたが、今回はボブ・マーゴリンらを加えたシカゴブルース大会。かつてのボス、ハウリン・ウルフの曲や、「イッツ・ハート・ミー・トゥー」などを全盛期を彷彿させる達者なピアノで披露したり、トラッドの「エヴリヴァディ・フィッシン」を楽しく決めたりと、勢いを感じる作品になりました。バックは手堅いながらもさすが達人といった感じで、要所ではしっかり自己主張していて、シカゴのクラブに迷い込んだような雰囲気です。



Henry Gray & The Cats ; Live - Blues Won't Let Me Take My Rest - ; LUCKY CAT LC 1001 (2000. 3.22)

ちょうど1年前、ルイジアナはラファイェットでのライヴ。ヘンリー・グレイは50年代シカゴ・ブルースを影で支えたピアニスト(詳しくはBlueSlimをご覧ください)で、結構歳のはずですが、ラフで元気なピアノです。それよりバックがサニー・ランドレスを初めとする「猫」達なんですが、スライド・フィドル・ハープと、こぞって音程やアタックから自由な楽器ばかり!この自由闊達なそれぞれの音が、ヘンリーのアタックの強いピアノに絡みついて不思議な魅力を醸し出します。シカゴ・ブルースとはまるで違う、EXELLO あたりとも異なる、独特のグルーヴを感じます。楽しいアルバム!でも裏に書いてある曲目とライナーに書いてある曲目(こっちが正しい)が違ってました。ここまでラフなのも文化かしら?


Henry Gray & The Cats ; Watch Yourself ; LUCKY CAT LC 1002 (2001. 7. 6)

2000年録音。ヘンリー・グレイ、元気です。何だか老いても矍鑠とした粋な爺さんの下に、近所の音楽好きな若者が集まってセッション・パーティしましたっていう感じで、大変楽しい雰囲気のアルバムになりました。ボブ・コリトアのアルバムがシカゴ・ブルースをかなり意識しているのに対し、こちらはもちろんそうしたグレイ自身の持ち味が出ているものの、もっと土着でのどかなムードが漂っています。そうした味わいは、ルイジアナ風味溢れる「シェイク・ア・ハンド」あたりにはっきり感じられます。強力な印象はありませんが、聴いていて心地良くなる佳作です。



Henry Gray And The Cats ; Live In Paris ; LUCKY CAT LC 1004 (2004. 6. 7)

2003年春のライヴです。当時喜寿を迎えていたヘンリーですが、実に力強いピアノと歌を聴かせています。「イット・ハーツ・ミー・トゥー」「スウィート・ホーム・シカゴ」から「ワッド・アイ・セイ」「シェイク・ア・ハンド」と超有名曲のオンパレードですが、中に「トゥッティ・フルッティ」やら「ザ・トゥイスト」といったポップナンバーが混じってるのが、何だかスヌークスのピアノ版みたいで楽しいです。喋っているときは如何にも爺さんなんですが、歌い出すとビシッと背筋が伸び、強烈な左手のビートと、ヘンリー独特の右手のトリルがかっこいいです。さらにギターのリル・バック・シネガルのルイジアナ風味たっぷりのサポートが、バンドに締まりと彩りを与えています。あっと言う間に聴き終えた楽しい1枚。こりゃヘヴィーローテーションですな。



Henry Gray & The Cats ; Times Are Gettin' Hard ; LUCKY CAT LC1005 (2009. 5.14)

2009年の新譜です。グレイじいさん、元気ですね!しっかりしたピアノの弾き語りで、いきなりフルソンの「トラブル・トラブル」の熱唱を聴けたのがまず嬉しい驚き。曲はオリジナル中心で、ピアノを全面に出しながら、ザ・キャッツがシカゴ・テイストたっぷりのバックをつけています。しゃがれ声を振り絞るようにして唄う歌は、さすがの年齢を感じさせますが、老いているというよりははつらつとしたエネルギーを感じました。「カトリーナ・カトリーナ」や「バラク・オバマ・ブギ」など時事ネタもあり、その創作意欲の高さにも脱帽です。快作ですね!




Henry Parrilla ; Widespread Hispanic ; CMO 11012 (2002.12.12)

2000年リリース。タイトル通りラテンの香りがプンプンするんですが、でもいわゆるラテンミュージックじゃないんです。ちょっと軽めのヴォーカルと、よく転がるピアノを弾くヘンリー、音楽の楽しさを知り抜いてるって感じ。「リップスティック・トレーシズ」の跳ね具合なんて、ニューオーリンズのセカンドラインとはまた違った、でもウキウキするような躍動感を感じます。デルバート・マクリントンのブルースを取り上げたり、ブルック・ベントンの「ラヴァーズ・クエスチョン」、ロイド・プライスの「ジャスト・ビコーズ」といったポップチューンの消化具合にこの人の真骨頂を見ました。楽しいですよ。



Herbert & Rufus Hunter ; The Sound Of A Crying Man ; BLACK MAGIC BM 9202 (2001. 9. 6)

1960年代〜73年録音。フレディ・ウォーターズよりさらにレアなナッシュヴィルのソウル・シンガーのリイシューです。ナッシュヴィルのソウルは土地柄のせいか、明るくややポップな印象を受けますが、このハンター兄弟もその例に漏れません。フレディと同じテッド・ジャレットのプロデュースですが、よりポップな路線を狙っていたようです。兄のハーバートはジョニー・キートンの変名でツイストナンバーをやっていますが、特にハンク・バラード=チャビー・チェッカーの「ザ・ツイスト」はチャビーのヴァージョンにそっくり!思わず笑ってしまいました。弟のルーファスは70年代の録音が含まれますが、「クリーン・ウィズ・ユア・ダーティ・ワーク」という曲のファズの利いたギター、まるで70年代の歌謡曲(和田アキ子とか)のバックみたいです。



Hi Tide Harris ; The Hey Day Of Hi Tide Harris 1970s-90s ; TEZU 0002 (2003. 3. 7)

ナット・ダヴと並び「在日ブルースマン」として知られるハイ・タイドの録音集が出ました。彼はライヴではオーソドックスなモダンブルースを聴かせるんですが、アルバムではかなり実験的なことをする印象がありますが、この盤を聴くと、ジャズよりのアプローチをかなりしていたことが分かります。ロッキンしてる「グレート・グーガ・ムーガ」あたりはかなり楽しく聴けましたが、「フィール・ソー・ファイン」や「タニヤ」あたりになると何だか狙い線がよく分からない感じもします。ギターの腕は確かですが、トータルに見た自分の音楽が定まっていないのがもうひとつぐっと来ない理由に思えます。



Hi Tide Harris ; Too Good To Be True ; TEZU 0001 (2003.12.30)

一応2003年の新譜だと思いますが、クレジットとかないんで定かなことは言えません。彼は日本在住のはずですが、ニューヨークで作られたってのも不思議です。内容は思ったよりオーソドックスなブルースが中心で、「ジェリー・ロール・ジェリー・ロール」のギタープレイはやっぱりマジック・サムの影響がでかいなって思いました。以前のソロ作のような冒険的なアプローチはなく、曲によってはジャジーですけど、ジミー・リード・ナンバーが2曲もあるなど、かなり「手なり」の印象は免れません。ギターも歌も悪くないんで、いいプロデューサーが付いたらもっといいものが作れる人だと思うんですけどね。



Hindu Love Gods ; Hindu Love Gods ; GIANT 9 24406-2 (2010. 1. 1)

1990年リリース。このバンドはウォーレン・ジヴォンがやったブルースバンドで、その独特のロック的解釈が面白いです。明らかにバターフィールド・ブルースバンドを下敷きにした「ウォーキン・ブルース」でスタート。シカゴブルースやモダンブルースを独自のセンスで味付けしたアレンジでやっていますが、中でも面白かったのは、プリンスの「ラズベリー・ベレー」秀逸なアレンジでロックにしちゃってます。ドロッとしたブルースロックにありがちなアレンジではなく、どこかポップさを感じさせる演奏はウォーレンのセンスでしょうか。新鮮な発見のあるアルバムでした。




Hip Lankchan ; Original Westside Chicago Blues Guitar ; JSP/P-VINE PCD-23888(2007. 2.19)

1976年の録音をベースに、1963年の初録音と1969年のものを加えて編集されたアルバムです。まさにB級の極みといったヒップのアルバムは何枚か出ていますが、ギター、ヴォーカルともマジック・サムに近いスタイル。でも声とかいまひとつ特徴がないんで日本でもほとんど知名度がないんだと思います。でも彼の代表曲「ミリオネアーズ・ブルース」、1963年録音のものを聴くと、同時期のサムよりむしろギターは弾けてるくらいじゃないかと思います。また同じ頃の「スティール・マイ・ハート・アウェイ」も結構バリバリ引いていて格好いいし。また1969年の「ポ−ク・チョップス」はファンキーなノリで、やっぱりこのころはこうした演奏がシカゴのトレンドだったようですね。むしろ1976年の録音は今一こじんまりしてて魅力に欠けます。「テル・ミー・ホワイ」なんてDELMARKのマイティ・ジョー・ヤングをなぞったような印象ですし。やはりヴィンテージ録音の集中力がいかに凄いかってことでしょうかね。



Hip Lankchan ; I Am No My Way ; STORYVILLE STCD 8039 (2002. 7.10)

1976年秋、マ・ビーズでのライヴです。この人、ヒップ・リンクシェインですね。といってもどっちが正しいんだか。スタジオ盤に比べ、ギターの鳴りが良く、臨場感があってけっこう面白いです。歌は相変わらずウィリー・ウィリアムズのような抜けないがなり声なんですが、ヴォーカル・ギターともマジック・サムの影響が前面に出ています。選曲もサム・ナンバーのオンパレード。この他「リコンシダー・ベイビー」「ブラック・ナイツ」と2曲フルソン・ナンバーもありますが、サムも含め、シカゴの人にとってフルソンて言うのもけっこう人気のある人だなって思いました。シカゴの懐の深さを知ることが出来る1枚かもしれません。



Hip Linkchain ; Airbusters ; EVIDENCE ECD 26038-2 (2002. 9.26)

1984〜87年録音。リンクシェインはbsr誌にレビューを書いて以来の付き合いになっていますが、これは彼の晩年(といっても53才で没した)の録音集です。ディック・シャーマンが愛情を込めたプロデュースをしているのと、「ギャンブラーズ・ブルース」以外はすべて自作という意欲作で、サウンド的にも彼の良さが良く引き出されていると思いました。リズム的には以前はそれこそシャッフルとスローしかない感じでしたが、8ビートあり、アコースティックありでなかなか変化があります。シカゴのシーンでマジック・サムのフォロアー的な感じもありましたが、ここでは彼のいなたさをむしろ上手く生かして、まとまりのある作品になっていると思います。



The Highwaymen ; Michael, Row The Boat Ashore - The Best Of Highwaymen ; EMI 0777-7-96334-2 5 (2003. 3. 4)

1960〜64年の23曲に1974年カナダ盤の1曲を加えたベスト盤です。アルバムタイトルから分かるように、ハイウェイメンはフォークソンググループとして知られますが、ベースはカントリーミュージックにあるようです。「サンティアノ」や「ウィスキー・イン・ザ・ジャー」では巧みなバンジョーさばきが聴かれますし、何だかアリスの「チャンピォン」を思い出させる「ソー・フェア・イェ・ウェル」でもバンジョーが大活躍しています。ブルースファンにはレッドベリーの、ロックファンにはC.C.R.のレパートリーとして知られる「コットン・フィールズ」、実は僕はこのヴァージョンを初めに聴いたんです。でも歌詞といいコーラスワークといい、C.C.R.がハイウェイメンを下敷きにしたのは確実ですね。



Hoagy Carmichael ; Hoagy Carmichael Singss - Sometime I Wonder... ; ASV CD AJA 5345 (2006.10. 7)

1927〜47年録音。ホーギーは「スターダスト」「我が心のジョージア」の作曲者、オリジネイタとして知られる歌手ですが、今まで聴いたことがなかったんです。まあビング・クロスビーあたりに通じる感じと想像していましたが、やはり滑らかな歌い口は魅力があります。優しさのあふれる感じなんですが、トミー・ドーシー、グレン・ミラー、ベニー・グッドマン等そうそうたるメンバーの参加したバックは、当時のジャズの息吹を感じさせます。「リヴァーボート・シャッフル」なんてラグタイム調の景気のいいナンバーもあり、またエラ・ローガンなどとのデュオも魅力的です。でも一番の収穫は「ホンコン・ブルース」。戦争中のVディスクですが、これってスクリーミン・ジェイの「ホンコン」の元歌ですよね。香りがよく似ています。



The Hollywood Blues Frames ; Road To Rio ; DELTA GROOVE DGPCD107 (2008. 8.20)

2枚組で1枚目は1996〜2006年に録音された曲を集めたもの。カーク・フレッチャーの切れのいいギターにアル・ブレークの粘っこい歌が乗ってくると、いかにも西海岸らしいサウンドになってます。「ゴーン・アウェイ」はそのアルの弾くアコースティック・ギターと歌のバックでキム・ウィルソンが渋いオブリガートをつけています。ボーナストラックにはジュニア・ワトソンが参加しています。2枚目はハリウッド・ファッツ名義の「Larger Than Life」というアルバムで、彼のギターもまた素晴らしい切れ味です。何とクリーンヘッド・ヴィンスントロイ・ブラウンがゲスト参加していて、いずれも往年の迫力はありませんが、愛情を感じさせるバックに乗って、楽しそうに歌っています。




The Hollywood Blue Flames ; Soul Sanctuary ; DELTA GROOVE DGPCD 102 (2005. 6. 5)

2005年リリース。アル・ブレイクら元ハリウッド・ファッツ・バンドの面々が、ギターにカーク・エリ・フレッチャーを迎えて作ったバンドです。いかにも西海岸らしい、ドロッとしているようで、どこか陽気さの漂うサウンドをバックに、カークの多彩なギターが良くマッチしています。アルの少し軽めなヴォーカルは、めちゃくちゃ上手いなって感じじゃないですが、なかなか味があって好きです。ハーモニカも吹きすぎず、でもツボは押さえた見事なプレイですね。でもなにより良いのはバンドサウンドで、さすが長らく一緒にやっていたメンバーだけあり、いい感じのグルーヴ感が心地良いです。これはお薦めですね。



Hollywood Blue Flames / Hollywood Fats Band ; Deep In America / Larger Than Life, Vol.2 ; DELTA GROOVE DGPCD136 (2010. 6.24)

2010年リリース。ブルー系の新譜リリースではいま一番元気なDELTA GROOVEからの2枚組です。ジャケット裏にT-ボーン・ウォーカーのイラストがあるように、ジャジーな演奏からスタート。歌はすべてアル・ブレークで、独特の枯れた味わいが魅力です。ジュニア・ワトソンのギターはどちらかというとテキサス流儀、一方カーク・フレッチャーはぐっとシカゴ寄りな感じ。アルのハーモニカは派手さはないけど丁寧で好感が持てます。「ミュージック・マン」「ヒップ・ホッピン・トード」等ではアルがメタルボディのリゾネイタを爪弾きちょこっとデルタ風にやってたりします。「ハッシュパピー」はフレッド・カプランのピアノソロ。とにかくみんなでいろいろやってます。2枚目はハリウッド・ファッツ・バンドの1979〜80年のライヴ音源で、ハリウッド・ファッツのギターはシカゴからテキサス経由でロサンゼルスまで渡り歩く変幻自在のスタイル。1枚目冒頭で再演してた「ニット・ウィット」の熱いライヴテイクが聴きもので、ブルー・フレイムズが彼の遺志をついでいることがよく分かります。




Hollywood Fats Band ; Hollywood Fats Band ; CROSSCUT CCR 21069 (2002. 7. 1)

1979年録音の2枚組です。ネットで話題だったんで試しに買ってみました。名前の通りカリフォルニアのギタリストなんですが、シカゴのダウンホームなブルースが大好きなようで、ギターを適度に歪ませながら往年のCHESSサウンドを再現しています。特に1曲目のジミー・ロジャーズの隠れた名曲「ロック・ディス・ハウス」がいい雰囲気です。テキサス〜ウエストコースト系のサウンドもあり、ゲイトの「オーキー・ドーキー」あたりはオリジナルにかなり忠実にやっていますが、これならオリジナルを聴いた方がいいかな。「フレッズ・ブルース」というピアノをフューチャーしたインストではまるでフルソンのようなギターも聴けます。そのフルソンもやっていた「トゥー・メニー・ドライヴァーズ」は3ヴァージョン入っていますが、ロックウッドばりのギターがいかにもシカゴしてます。ヴォーカルもパワーは感じませんがけっこう味があり、楽に聴くことが出来ました。



The Holmes Brothers ; Righteous! ; ROUNDER 1166-11588-2 (2002.10.10)

1990〜97年録音。ホルムズ(ホームズ?)ブラザーズのROUNDER時代のベスト盤です。このバンドを知ったのはうちのベースのフクがヴィデオを見せてくれたときからなんですが、ちょっとラフで、でも暖かさを感じるファンクネスはお気に入りでした。現在のALLIGATOR録音よりもルーズな感じですが、それが魅力的。「約束の地」などのゴスペルはもちろん、オリジナルのサム&デイヴとはまた違った優しさを感じる「ホウェン・サムシング・イズ・ロング・ウィズ・マイ・ベィビー」、意表を突く「アンド・アイ・ラヴ・ハー」なども彼らのサウンドに完全に消化されています。一方ややこもり気味の感じですが、時としてブルースの伝統を垣間見せたり、ちょっとポップス・ステイプルやカーティス・メイフィールドの影を感じる、秘めたエモーションを滲ませたギタープレイなど、ぐっときますねぇ。パークタワーで来日するのが今から楽しみです。



The Holmes Brothers ; Soul Street ; ROUNDER CD 2124 (2005. 8.19)

1993年リリース。中古で買いました。いきなりペダルスティールの利いたO.V.ライトの「ユーア・ゴナ・メイク・ミー・クライ」がいい感じで始まり、ホームズ兄弟らしいザラッとしたコーラスが彼らの強烈な個性を感じさせます。最近のものより演奏はぐっとシンプルですが、ジミー・リードを2曲やったり、バスター・ブラウンの「ファニー・メイ」やファッツ・ドミノの「マイ・ガール・ジョセフィーン」を取り上げたりといった、ゴスペルにとらわれない指向性は基本的に現在と変わらないんだなって思いました。あとはこのダミ声が好きかどうかってことなんでしょうね。僕は割合好きです。



The Holmes Brothers ; Simple Truths ; ALLIGATOR ALCD 4893 (2004. 3.20)

2004年リリースの新譜です。前作はALLIGATORらしいブライトで勢いのあるサウンドでしたが、今作はぐっとレイドバックした音作りになっています。「シャイン」なんてスワンピーな雰囲気すら感じますが、これがいい感じ。優しさを感じるコーラスにギターの刻み具合が上手くマッチしてます。この他カーティス・メイフィールドを思わせる都会的な曲、優しげなミディアムなど、1曲1曲ギターのサウンドを変えてヴァラエティ豊かな楽曲が並ぶんで、全然飽きることなく聴き通せます。ボブ・マーレィの「コンクリート・ジャングル」を聴いて、アコースティックサウンドがこの人達には凄く合うんだなって再認識しました。とにかく好盤です。



The Holmes Brothers ; State Of Grace ; ALLOGATPR ALCD 4912 (2006.12.21)

これまた2007年のクレジットですが2006年リリース。印象はずいぶんとカントリーの香りが強くなったなということです。ペダル・スティールギターやマンドリンが響き、アコーディオンが登場したトゥービートまで。あれ、この曲聴いたことがあると思ったら、C.C.R.の「バッド・ムーン・ライジング」でした。前作もアコースティックな感じでしたが、来日公園でもギャロッピングギターを披露していたくらいカントリー好きな彼らが、その趣向を前面に押し出した感じですね。いつもと変わらないコーラスワークで、ゴスペルテイストもたっぷりなんですが、前々作のロックっぽいサウンドよりこうした落ち着いた音の方が似合っていると思いました。緑色の森のジャケットがめちゃめちゃ似合うんですが、ひょっとしてC.C.R.の「Green River」あたりから影響を受けたのかなとも思える柄です。



Homer Banks ; Hooked By Love - The Best Of Homer Banks ; STATESIDE 7243 875221 2 1 (2006. 5.30)

1966〜69年録音の曲に未発表を加えたものです。2003年に亡くなったホーマーは、シンガーとしてよりもSTAXのライターとしての方が有名かもしれません。例えばジョニー・テイラーの「フーズ・メイキン・ラヴ」は彼の作品だった記憶があります。歌の方はちょっとサム・ムーアを思わせるハイトーンなもので、抜群に上手いタイプではありませんが、なかなか味があります。「ア・ロット・オヴ・ラヴ」はタジ・マハルで有名ですが、スペンサー・ディヴィス・グループの「ギミ・サム・ラヴィン」とどっちが先かなんてことが話題になってた作品でもあります。「ダニー・ボーイ」はかなりアレンジが施されていて、元歌が良くわかんなくなってます。ラストの「アップタイト・メドレー」、スティーヴィーの曲を格好良くやりつつ「ダンス天国」「イン・ザ・ミドナイト・アワー」につないでいくんですが、面白いアイディアですね。参考になります。



Homesick James & Snooky Pryor ; The BIG BEAR Sessions ; BIG BEAR/SANCTUARY CMDDD 712 (2003. 5.22)

多分1973〜75年ヨーロッパでの録音で、当時LPで出されたホームシックとスヌーキーの単独アルバムに、ふたりの共演盤などが加えられて2枚組のCDとなったようです。ホームシックの方は、かなりデルタスタイルに近い演奏を聴かせ、お得意の「クロスロード」の他、エルモアナンバー、さらには「ティン・パン・アリー」まで聴かせます。スタジオとライヴの両方あるものもあり、スタジオでかっちりやっている曲も、ライヴになるとワイルドになり、やっぱり観衆の前で気合いが入るのがよく分かります。でも字余りが多いからバックは大変そう。一方のスヌーキーの方は切れのいいハープとタフなヴォーカルで、サニーボーイI世の曲などを織り交ぜ元気いっぱい。ブギナンバーではややバックバンドがソリッドですが、ハープのドライヴ感があってこれもいいです。LP時代は正直僕はヴィンテージものに目が行っていて、こうしたヨーロッパ盤とか新録はあまり聴いていなかったんですが、改めて聴くとけっこういいものが多いですね。



Homesick James ; Shake Your Money Maker ; SPV 49782 CD (2007.12. 1)

1999年、スイスでのライヴ録音です。フレッド・ジェイムズの的確なサポートを得て、ホームシックが伸びやかに弾き、歌います。1910年生まれですからこの時90才近い高齢でありながら、それをほとんど感じさせない張りのあるヴォーカルと、かくしゃくとしたスライドギターで、エルモア・スタイルを中心に次々とブルースを決めていきます。ゆったりした「クロスカット・ソウ」、スライドで演奏するアーサー・クルーダップの「ザッツ・オールライト・ママ」など、完全に彼のスタイルに消化されています。タイトル曲から「ホームシック・ブギ」になだれ込むあたり、元気いっぱいで場内も盛り上がっています。ボーナス・トラックの3曲はちょっとグレードが落ちるかな。でも年齢を考えればすごい演奏だと思います。



Honey Island Swamp Band ; Honey Island Swamp Band ; HONEYISLANDSWAMPBAND no number (2007. 6. 2)

2006年録音。ゲストにカーク・ジョセフの名前があったんで買ってみましたが、良く見ると以前ワッシュボード・チャズと来日したクリス・ミューレがメインのひとりなんですね。バンド名通りカントリータッチのスワンプロックで、もうひとりのメインはアーロン・ウィルキンソン。アーロンの書く曲の方がよりカントリー色が強く、懐かしい雰囲気。一方クリスの曲はかなりロックしてます。演奏力のあるミュージシャンが集まっているので、安心して聴けます。かなり楽しいアルバムです。



Honey Island Swamp Band ; Wishing Well ; HONEYISRANDSWAMPBAND no number (2009. 5.11)

2009年リリースですが、「ソフィスティケィテッド・ママ」は1993年の演奏がベースのようです。このスワンプ・ロック・バンド、とにかく気持ちいいんです。ヴォーカルはジェイムズ・テイラーとかを思わせる感じで、どちらかというとカントリー系なんですけど、女性コーラスの絡み方、ブラスの使い方、そしてハーモニカやらスライドギターやらといった僕の大好きなアイテムが満載で、ついつい聴き入ってしまいます。ソウルフルな「キリング・ミー」、アコースティックでちょっとセカンドラインした「ティル・ザ・マネーズ・ゴーン」なんて好きだなぁ。「ユー・ドント・ミス・ユア・ウォーター」のスワンピーなアレンジも格好いいです。歌は軽いけどね。




2010. 7.20 Honey Island Swamp Band ; Good To You ; THREADHEAD no number (2010. 7.20)

2010年リリース。いきなりホーンセクションが絡む「チョコレート・ケーキ」を聴いて、いつもと肌合いが違うなって思いました。かっこいい!このホーンはタブ・ベノアやエリック・リンデルとの仕事もあるジミー・カーペンターのアレンジだそうで、いい仕事しています。ハーモニカにはショーン・コリーの名前も。ホーンのせいもありぐっと重心が下がり、いつになく黒っぽい演奏になっています。全曲オリジナルでエリック・リンデルも絡む「ジョセフィーン」あたりはかなりカントリーっぽさの出た曲で、このバンドらしいかな。クリス・ミューレの的確なスライドがスワンピーな感じを出し、ゲストのマーク・アダムズのオルガンが音に厚みを出しています。これ、気に入りました。




The Hoodoo Kings ; The Hoodoo Kings ; TELARC CD-83532 (2002.11.15)

2001年リリース。エディ・ボー、レイフル・ニール、タビー・トーマスというルイジアナゆかりの3人の個性溢れるミュージシャンの共演アルバムで、某所で話題になっていたので聴いてみましたが、いやいや、面白いです。バンドは若手のおそらく白人中心のバンドじゃなかろうかと思うんですが、冒頭2曲のやや軽めのサザンロック風のサウンドに乗って歌う3人が何だかほのぼのしていていいです。「モンキー・ビジネス」もややファンキーなスワンプロックで、楽しそうにやってますね。それぞれのメンバーが中心になった曲もあり、タビーのルーズでゆったりしたノリ、レイフルの粘っこい歌と音数は少ないけど野太く存在感のあるハープ、そして僕の大好きなエディ・ボーの軽妙なニューオーリンズ風味たっぷりの歌とピアノ、たっぷり満載です。気に入った曲はファンクネス溢れるレイフルの「ハード・タイムズ」、それにエディ・ボーの魅力が全開の「ビッグ・チーフ」ですね。こりゃハードローテーションになりそう。



Hosea Hargrove ; Texas Golden Nugget ; DIALTONDE / P-VINE PCD-25120 (2010. 9. 3)

2010年リリース。DIALTONEはこうして次々ローカルミュージシャンで臭みのあふれる人を発掘してきます。「トランプ」風の自己紹介歌からスタートすると、ドロドロ、ザラザラのサウンドが続きます。軽快な「ラヴ・マイ・ライフ」、ディープな「44・イン・マイ・ハンド」、いなたい「モジョ・ワーキン」、すっとこどっこいなリズムの「ブーガルー」と、まあいろんなスタイルをやりますけど、ちょっとでれっとしててライトニンからの影響を感じるヴォーカルと、洗練とは対極を行くダーティでリアルなギターの存在感は抜群です。ローカルシーンでライヴ見たら面白いでしょうね。




The Hot Club Cowtown ; Hot Jazz ; HIGHTONR/BUFFALO BUF-106 (2002. 4.15)

1998年〜2001年に出た3枚のアルバムからアーリー・ジャズ系の曲を集めた来日記念盤のようです。いきなりステファン・グラッペリを思わせるヴァイオリンが素敵な雰囲気で、スタンダードも交えながら、ラグタイム風の曲など、安心できるノスタルジックな快演がつづきます。楽器の演奏技量が卓抜なのと、味のあるヴォーカル、エンターティンメントを120%理解したフィーリングで、非常に楽しめました。でもこのアルバム、もう1枚カントリー&ウエスタンのコンピもあるんですが、本来はごっちゃなアルバムだったんですよね。何かその方がさらに面白かったのかもしれません。



The Hot Club Cowtown ; Hot Western ; HIGHTONE/BUFFALO BUF-107 (2002. 4.26)

1998年〜2001年録音で、先に紹介した「Hot Jazz」の姉妹編で、ウエスタン・スウィング系の曲を集めたコンピです。より明るく、ストレートな感じの曲が中心。ニューオーリンズのミュージシャンが好んで取り上げるトラッド「リトル・ライザ・ジェーン」もさらっとやっていて、理屈抜きに楽しめるんですが、オリジナル・アルバムで両者が混在している理由もまた見えてきました。CD1枚を通して聴くと、ちょっと1本調子な感じを受けるんです。きっと両方混じり合っているのが個性なので、オリジナル・アルバムで聴いてみたくなりました。



Hot Lips Page ; 1940-1944 ; CLASSICS 809 (2002.10.29)

写真を見るとなかなかの伊達男、ホット・リップス・ペイジはトランペッターで、サッチモほどではないですがすこしダミ声気味の歌もなかなか魅力的な人です。ちょっとクリーンヘッド・ヴィンソンに通じるものもあるかな?前半は小さめのバンドで小粋な感じの曲が多く、トランペットも洒落たフレーズを奏でますが、耳が行ったのはテディ・バンの職人芸ギターです。ロニー・ジョンソンに通じるものを感じますが、よりバックに徹した感じ。でもめちゃくちゃいいです。後半はやや大きめなバンドで、サックスにはアール・ボスティック、ベン・ウェブスターなどの名前も見えます。かなりドライヴ感が増していますが、強烈なジャンプといった感じではなく、洒落てます。夜中のバーボンの友には最高ですね。



Hot Tuna ; Recorded Live At The New Orleans House, Berkeley ; BMG JAPAN BVCM-35459 (2008.10.19)

1970年にリリースされたホット・ツナのデビュー・ライヴにボーナスを5曲加えたもので、紙ジャケによる再発です。ジェファーソン・エアプレーンのギタリスト、ヨーマ・コーネンとベーシスト、ジャック・キャサディのふたりがアコースティック・ブルースを中心に演奏するユニットを立ち上げたのが1969年で、その当時の音を捉えたものです。レヴァランド・ゲイリー・ディヴィスの曲を中心に、ジェリー・ロール・モートンなど古い曲を少しロック寄りにアレンジしながら、達者なギターとちょっと硬質なベースをバックに、ハーモニカを加えて演奏、歌っています。レイドバックした、ゆとりのある歌と演奏は、ジェファーソンのそれとかなり違いがあり、いわゆるルーツ・ロックの先駆けのようなサウンドといっていいのではと思います。アメリカのバンド特有の泥臭さがあり、かといってキャンド・ヒートほどはブルースにとらわれていないのがいい感じです。




Hot 8 Brass Band ; Rock With The Hot 8 ; LOUISIANA RED HOT LRHR 1162 (2005. 3.30)

2005年リリース。いやいやこれまた強烈なブラスサウンドの嵐です。リーダーのビッグ・ピーターのチューバが唸り、やや荒っぽさのあるホーンの分厚いアンサンブルに、軽快に跳ね回るスネアドラム。いかにもストリートな雰囲気で、街角で聴いたら気持ちよさそうです。曲はセカンドライン中心で、オリジナルにトラッドが混じっていますが、異色なのがマーヴィン・ゲイの「セクシャル・ヒーリング」。でもちっとも癒される雰囲気じゃないですけどね。「ラスタファンク」ではタイトル通りゴリっとしたレゲエサウンドで迫ります。とにかくテンションが上がる1枚です。



Hound Dog Taylor ; Release The Hound ; ALLIGATOR/P-VINE PCD-23513(2004. 5.11)

1971〜75年録音。死後こうして出てくる音源はいわゆるアウトテイク集なんて言って、オリジナルアルバムと比べると落ちてしまうものも多いんですが、これは全くそんなことはありません。スタジオ録音の残りに未発表ライヴ、果てはオーストラリアでのテレヴィ用音響トラックと思われるものまで、多種多様の収録ですが、どれを聴いてもそこにはハウンド・ドッグとハウスロッカーズが絶対の存在感でで〜んと座って、いつも変らぬブギやブルースを豪快に飛ばしてます。ブリューワー・フィリップスがかますフレディ・キングで知られる「セン・セイ・ション」、これを聴くと「モジョ・ワーキン」のインスト版だったんですね。エルモアマナーの曲のスピード感とえぐさ、「シングス・ドント・ワーク・アウト・ライト」などのスローブルースからにじみ出るギター・スリムからの影響など、もしこれがハウンドドッグ初体験だとしても、その強烈さに仰け反ること必至です。



Hound Dog Taylor ; Genuine Houserocking Music ; ALLIGATOR ALCD 4727 (2002. 3.30)

1982年リリース。ALLIGATORのオーナーであるブルース・イグロアがハウンド・ドッグを世に出したくてレーベルを起こしたのは有名な話ですが、そのALLIGATORのキャッチフレーズがそのままアルバムタイトルになっています。エルモアの声をややハイトーンにしたようなヴォーカルと、ベースレスのトリオがぐいぐいドライヴィングする感じは、非常にプリミティヴで、特にスライドが絡む曲にその傾向が強いです。身体の芯にガツンと来る感じ。一方押弦による単弦奏法を中心としたインストナンバーは、ロックギタリストがしゃぶりつきたくなるようなラフさの中にもコントロールされたフレージングが満載で、流石フレディ・キングで有名な「ハイダウェイ」の原作者と言われるだけのことはあります。久々に聴いたけどいいなぁ。



The House Rockers ; Salutes The Soul Of Memphis ; HOTSAUSE HSCD-1 (2001. 8.28)

1995年メンフィス録音。高橋"Teacher"誠さんが在籍していた時代のサウンドで、タイトル通りメンフィス・ソウルの熱いフィーリングを感じます。曲によってはティーニー・ホッジズ、ハワード・グライムズも加わっています。バンド(時折グッピーでライヴやっています)も落ち着いた好演奏。ただ、スタジオで十分なリハーサルとヴォーカルのテイク重ねができなかったようで、Teacherを初めとしたヴォーカル陣がややこなれていない部分を感じました。でも日本にサザン・ソウルやゴスペル・フィーリング溢れる曲をこれだけ歌える人はそんなに多くないと思います。



Howard & The White Boys ; Made In Chicago ; EVIDENCE ECD 26133-2 (2007. 3. 8)

2006年リリース。1曲目にいきなりZZトップの「シー・ラヴズ・マイ・オートモビル」が来るんですけど、オリジナルにあった勢いは何処へやら、ちょっと上手なアマチュアブルースバンドがやってるみたいになっちゃいました。次の「ウォーク・アウェイ」やラストの「カミング・ホーム」といったオリジナルはB級サザンロック然としてますし、ワウワウをかませる曲はまるでロビン・トロワーみたい。「フォーン・ブース」あたりは演奏力は高いんですが、ギターに色艶がないんでインパクトが弱いなぁ。朗としすぎて味わいが足りないヴォーカルといい、これをブルースの範疇にくくってもなんだかなぁ。



Howard Tate ; Get It While You Can ; VERVE/HIP-O B0002210-02 (2005. 4.12)

1966〜68年録音。HIP-O SELECTのシリーズはRHINO HANDMADEと並ぶ限定リイシューを進めていますが、これなど待望というにふさわしいものです。まさに名盤と呼ぶのにふさわしいハワード・テイトの代表作に、リイシュー時のボーナス、さらにシングルカットされたモノラル版などを詰め込んだ徹底編集盤です。溌剌としたハワードの張りのある声が素晴らしく、「アイー・ラーント・イット・オール・ザ・ハード・ウェイ」などで炸裂するファルセットのシャウトなんて強烈そのもの!また「パート・タイム・ラヴ」「ハウ・ブルー・キャン・ユー・ゲット」「エヴリディ・アイ・ハヴ・ザ・ブルース」などのブルースも独自の解釈でぐっとソウルフルになっています。ビートナンバーの跳ねる感じとか、プロデュースを担当したジェリー・ラゴヴォイの優れた手腕が全開で、ハワードの魅力を余すところなく捉えています。同じ曲がステレオ、モノと繰り返し出てきますが全然飽きることがありません。最高ですね。



Howard Tate ; Reaction ; TURN TABLE/KOCH KOC-CD-9512 (2003.12.23)

1969年、ロイド・プライスのTURN TABLEに残した作品です。ハワードの切れのいいハイトーンヴォイスと、インパクトのあるファルセットシャウトがたっぷりですが、曲調がどちらかというとリズムナンバー中心で、ジェリー・ラゴヴォイの絡んだアルバムとは随分趣が異なります。ジョニー・ナッシュ作の「ホールド・ミー・タイト」なんてレゲエですよ。これはこれでダンサブルで楽しいんですが、やっぱり「ワット・アイ・ドゥ」みたいなバラードに魅力を感じちゃうんで、その点やや物足りなさもあります。かなりポップなアルバムと言えますが、聴き所もたっぷりですけど。



Howard Tate ; Howard Tate ; ATLANTIC/KOCH KOC-CD-8311 (2001.10.28)

1972年リリースのアルバムのストレート・リイシューです。この人は始めて聴きましたが、これは素晴らしいです。繊細な表現力とエモーションを持ち合わせ、心の奥底に訴えるヴォーカルは圧倒的で、久々に感動しました。パーカッションの入ったバックはニュー・ソウル・ムーヴメントの影響を感じますが、それもそのはず、当時のATLANTICきってのスタジオ・ミュージシャン(エリック・ゲイル、バーナード・パーディ、リチャード・ティ、ラルフ・マクドナルドなど)がバックを支えていました。でもそんなことなどどうでもいい位のハワードの歌の魅力で一杯。12曲はCD時代には少ない感じかもしれませんが、このオリジナルの味わいはこれで完結するのではと思います。もっと若い頃に聴いておきたかったな。



Howard Tate ; Rediscovered ; PRIVATE MUSIC 82876-52692-2 (2003. 9.18)

2003年リリース。ことしのパークタワーに来日するハワードの本当に久々の新譜です。まずその丁寧な音作りと、その中で一言一言かみしめるように歌うハワードに感動しました。若い頃のパワーこそ弱まっているようですが、時折聴かせるファルセットのシャウトの澄んだ響きは健在です。プリンスの「キス」以外はプロデューサでキーボードのジェリー・ラゴヴォイ(レイゴヴォイ?)のオリジナル(1曲コステロが共作)で、端正なスロウ、ファンキーと言うには少し上品なミディアムと、ハワードのヴォーカルを生かした曲が並びます。ちょっと昔のロバート・クレイを思わせる音作りも感じました。ガーンというショックはないですけど、じわじわと染み入る味わいは、思わず2順目に突入です。12月が楽しみ!



Howard Tate ; Live ; SHOUT DK 10045 (2006. 7. 8)

2004年デンマークでのライヴです。2003年のパークタワーで来日し、その復活した勇姿を見ることができたんですが、このアルバムはソの直後のライヴで、まさにあの感動よもう一度といった感じです。セットリストも来日時とほぼ同じで、自分の新旧アルバムから取り揃え、ぐいぐい押していきます。声の張りも申し分なく、聴いていると思わず吸い込まれそうになることも。序盤の「ストップ」から「パート・タイム・ラヴ」にいくあたりとか、「エイント・ノーバディ・ホーム」〜「ソリー・ロング・ナンバー」と緩急をつけていくあたり、この人の心のこもった歌が染みてきます。



Howard Tate ; Blue Day ; EVIDENCE ECD 26137-2 (2008.10.21)

2008年リリース。ジョン・ティヴェンがプロデュースとバックを担当、オーヴァーダブを駆使したバックの演奏はかなり明るめでロック的。しかもバンドにうねりがほとんどないのが不満です。でもハワードの伸びやかな声は健在で、マイク・ファリスの他「グッドゥン・ブルー」ではダン・ペンもコーラスに加わっています。また「リヴ・ライク・ア・ミリオネア」ではジョー・ボナマサがギターを担当。やっぱりサウンドはロック調です。やっぱりジェリー・ラゴヴォイにプロデュースしてもらいたいですね。




Howlin' Wolf ; Rockin' The Blues ; ACROBAT ACMCD 4010 (2008. 8.26)

1964年ドイツはブレーメンでのライヴ録音です。ウルフといえば白人嫌いで有名なんですが、ヒューバート・サムリンを始め、ウィリー・ディクソン、サニーランド・スリム、クリフトン・ジェイムズといった名手に支えられたウルフは、ほぼ全開といっていいパフォーマンスを聴かせています。特に後半の「ゴーイング・ダウン・スロー」から後ろの3曲は、サニーランドのピアノもよく転がっていて、スタジオ盤とはまた違う趣の中、ウルフの歌が全開です。やっぱりインパクト強いですね。




Howlin' Wolf ; The Howlin' Wolf Album ; CADET/UNIVERSAL UICY-93213 (2007. 2.22)

1969年リリースの「問題作」がとうとうCDになりました。ジャケットに「ウルフはこのアルバムが気に入りません。」なんて書いてあるわけで、「Electric Mud」と同じ狙いを持ったマーシャル・チェスの新機軸で作られたアルバムは、歪んだギターとアバンギャルドな演奏をバックに、ウルフが唸るって寸法です。でも、案外これ、しっくりはまってるんですよ。ウルフはいつもと変わることなく、普通に唸り、ハーモニカを吹いているんですけど、これが全然違和感がないんです。やっぱりウルフ自体が異形のブルースマンだったってことを、図らずも証明しちゃったようにも思えます。「モーニン・アット・ミッドナイト」なんて演奏というよりウルフの独奏にサイケなギターがかぶせてあるって趣なんですが、これが雰囲気あるんです。「ザ・レッド・ルースター」はまるでシュープリームスの「ラヴ・チャイルド」のイントロみたいな音が歌の冒頭に乗ってくるんですが、どこかポップな味わい。で、極めつけが「イーヴィル」、これは格好いいです。ミーターズを思わせる隙間だらけのファンキーな演奏にウルフの声が乗れば、インパクトは抜群ですね。マディのアルバムに比べ、このファンクネスが魅力になっていると思います。



Howlin' Wolf ; Message To The Young ; CHESS/UNIVERSAL UICY-93312 (2007.10. 8)

1971年リリース。この時代のCHESSの看板ブルース・スターたちは、やっぱり市場拡大の波に乗るしかなかったんでしょうね。マディとウルフは立て続けにロック・サークルを意識したアルバムを出していて、これもそのひとつ。「若者へのメッセージ」って何だろうって思っちゃいます。でも聴き所はたっぷり。吠えるウルフの声はちょっと弱り気味にも聞こえますが、ロックっぽいギターに全く負けない存在感。タイトル曲を除くとロックっぽさが強いですけど、どちらかというと「ロマンス・ウィズアウト・ファイナンス」のようなファンキーなサウンドを全面に出していったら、もっと違和感がなかったんで歯なんて思っちゃいました。ただ、ウルフ自体はロックサウンドに牙をむくように、そちらの方が元気が良かったりするんですけどね。



Hubert Sumlin ; Heart & Soul ; BLIND PIG BP7 3389 (2002.11.17)

アルバムにリリースについての明記はありませんが、おそらく80年代末くらいの録音ではと思われます。中古で購入。サムリンは何といってもハウリン・ウルフのバックでのグリッサンドぎゅんぎゅんのギタープレイが印象的ですが、このアルバムはジェイムズ・コットンをフューチャーして、かなりいなたい演奏を繰り広げています。リヴァーブを効かせたセミアコでの粘っこいプレイは、往年の切れ味こそないですが、時折ぐっと来るものがあります。演奏はラフなセッション風ですが、コットンはさすがの好サポート。サムリンの歌はやはり今ひとつですが、味わいはありました。ウルフのナンバーも2曲あり、またサニーボーイの「マイティ・ロング・タイム」の改作と思われる「オールド・フレンズ」などではひなびたヴォーカルが結構染みました。



Hubert Sumlin ; Healing Feeling ; BLACK TOP/P-VINE PCD-93158 (2009. 4.22)

1989年録音。ロニー・アールのブロードキャスターズがバックをつけ、ジェイムズ・デイヴィスとバンドのハーモニカ担当ダレル・ナリッシュがヴォーカルを取っています。聴き所はまず何といってもサムリンのギターで、例のシャリンとしたサウンドで縦横無尽に駆け回るスタイルは健在です。選曲はオリジナル中心ですが、スローブルースとしてフレディ・キングの「プレイ・イット・クール」を選んでいるのが面白いです。サムリン、気持ちよく弾きまくっていますね。興味深いのは「ダウン・ザ・ダスティ・ロード」で、サムリンがソロの弾き語りを柔らかくやっています。何でも休憩時間に遊んでたものをそのまま曲にしちゃったみたいで、その確かな腕前を満喫できます。




Hubert Sumlin ; I'm The Back Door Man ; BLUES SPECIAL BSCD 9506 (2004. 2.21)

1993年アルゼンチンでのライヴです。同じレーベルで出ている「Made In Argentina 1993」の落ち穂拾い的なアルバムのようで、一応「ハウリン・ウルフ追悼」と銘打っていますが、ウルフの曲は2曲で後は自作です。バックはアルゼンチンのバンド。時折サムリンらしいギターの音にハッとしますが、全体に演奏に締りが足りない感じで、サムリン自身の歌もちょっと弱い感じです。編集のせいもあるんでしょうが、何だか聴いていて眠くなる場面が多かったです。やはり1枚目の方がいいですね。



Hubert Sumlin ; Made In Argentina 1993 ; BLUES SPECIAL BSCD 9501 (2003. 4.30)

タイトル通り10年前のライヴ録音です。サムリンは何といってもハウリン・ウルフの右腕として、そのきらびやかなグリスプレイが有名ですけど、ここではそれを彷彿させるかなり切れ味のいいギターを披露しています。フロントとしてはヴォオーカルに弱さがあり、その辺少々心配だったんですけど、このライヴでは良くがんばってるなって印象でした。自作曲を中心にマディの「マニッシュ・ボーイ」とかリトル・ウォルターの「ラスト・ナイト」などもやってますが、やっぱり元ボスの「キリング・フロア」から3曲続くウルフ・ナンバーでのギターは、ややたどたどしいながら、30年の歴史の中で身に付いた技を感じました。でもアンコールがまるでサッカーなのは笑えました。



Hubert Sumlin ; Wake Up Call ; BLUES PLANET BPCD-1116 (2010. 2.19)

1998年リリース。ネチっとしたヒューバートのギターを前に押し出した録音で、このギタリストに対する愛情を感じるミックスです。曲はオーソドックスなシカゴスタイルのブルースが中心ですから、安心して聴くことができます。まあヒューバートのヴォーカルは元々線が細めなので、こんなもんでしょう。「ゴナ・ムーヴ」で得意のグリッサンド奏法を聴けたのが嬉しいですね。またファンキーな「ヒューバート・ランズ・ザ・フードゥー・ダウン」も面白かったです。




Hucknall ; Tribute To Bobby ; SIMPLYRED.COM 2564695103 (2008. 9.19)

2008年のリリースだと思います。シンプリー・レッドのヴォーカリストがDUKE時代のボビー・ブランドのカヴァーを出して、BSR誌で評判になっていたので聴いてみましたが、これ、確かに凄くいいです。声質などはボビーよりもずっとハイトーンで線も細いんですが、真似ようとして歌うのではなく、自分の歌として消化しています。当然アレンジにも手を加えていて、ニューオーリンズ風リズムの「ファーザー・アップ・ザ・ロード」、アップテンポのファンキーな「ストーミー・マンディ」、16ビートで歌われる「アイ・ピティ・ザ・フール」、ミディアム・ファンクな「クライ・クライ・クライ」など、きちんと今の音になっています。でも歌い廻しの端々から、ボビーがにじみ出てくるんです。この人相当ボビーを聴き込み、歌い込んでいますね。ギターの音色がウェイン・ベネットを意識してたり、これぞ正しいトリビュートといっていいと思います。好盤です。




Huey "Piano" Smith ; Rockin' Pneumonia And The Boogie Woogie Flu ; ACE/P-VINE PCD-2474 Click Here!

Humming Birds ; Jamaican Calypso Mento A Go-Go ; RESPECT RES-88 (2006. 2.26)

2004年リリース。中古盤屋でなんとなく眺めていたら欲しくなった一枚です。バンジョー、ギターにルンバボックスといった編成で、カリプソの有名どころの曲を中心にやるんですが、これがなかなか気持ちがいいんです。「バナナ・ボート」「メアリー・アン」などよく知られていても、こうしたいかにも土地の人がやってるっていう感じのは聴いたことがなかったんで新鮮。またグレン・ミラーで有名な「イン・ザ・ムード」は、バンジョーのソロによるインストなんですが、三線でもできそうなアレンジで実に楽しいです。美女と野獣でやろうかしら。「グアン・ティアラ・メラ」は歌が入ってないのがちょっと残念でした。でもくつろぐには最高の1枚。めっけもんですね。



Hustlers Brass Band ; Second Line Soul ; MARDI GRAS MG 1119 (2009. 5.10)

2009年リリース。ニューオーリンズのブラスバンドには目がなくて、新譜が出ると手当たり次第聴いてしまうんですが、これは楽しいです。いきなりのっけから「セカンド・ライン」で乗せてくれます。リーダーのラマー・ルブランのスネアが跳ね回る「スノウ・ボール」、ハンドクラッピンに乗せられちゃう「ムーヴィン・オン・アップ」、軽快なアレンジの「セント・ジェイムズ病院」、どっしりした「シスコ・キッド」があるかと思えば、ノリノリの「マルディ・グラ・イン・ニューオーリンズ」と、季節ものらしい選曲が光ります。ラストの「ビッグ・レッグド・ウーマン」、ブラスバンドらしいアレンジでまとめてます。こんなのがごろごろしているニューオーリンズ、憧れます。




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