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アーティストの名前順に並んでいます。「TODAY'S CD」で紹介したものは紹介文が付いています(日付)。紹介文のないものは「おすすめCD」か「お気に入りのミュージシャン」の中で紹介されているもので、「Click Here!」をクリックすると該当のページにジャンプします。

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The Fabulous Fantoms ; Just Having A Party ; FUNKY DELICACIES DEL CD 0035 (2001. 9.27)

1960年代末〜70年代中盤の録音。中古で購入。まずとっても音が悪いんですが、その中から聞こえてくる音は、実に猥雑、まさに「パーティ真っ盛り」なんですが、どんなパーティだかねぇ。ニューオーリンズのバンドらしく、ちょっとミーターズに似たムードの曲もあり、意識はしているんでしょうが、よりP-FUNKなどに近い感じを受けました。とってもチープなキーボードが妙に耳に残ります。ラストの「ラヴ・ザ・ワン・ユア・ウィズ」はやっぱりアイズレー・ブラザーズからの影響でしょうか。けっこう好演でした。



The Fabulous Thunderbirds ; Tuff Enuff ; CBS ZK 40304 (2008. 2.27)

1986年リリース。このバンドの一番油の乗りきった時期の作品のひとつです。格好いいタイトル曲に続くルイジアナ・スワンプ〜テキサス風味のロケンロール「テル・ミー」などノリのいいロッキンな感じが魅力ですが、「ラップ・イット・アップ」のようなファンキーなサウンドも捨てがたいです。「ダウン・アット・アントンズ」ではシカゴ・スタイルのブルース・インストを披露。テキサス〜西海岸勢がシカゴブルースをやるとこうなるといった見本みたいな作品で、リズムの跳ね具合が格好いいですね。



Faces ; A Nod Is As Good As A Wink... To A Blind Horse ; WARNER BROS. WPCR-75111 (2007. 8.10)

1972年リリース。ロッド・スチュワートをヴォーカルに擁し、ロン・ウッドのドロッとしたギターにイアン・マクレガンのピアノが絡みつく独特のサウンドが魅力のバンドの代表作です。ローリング・ストーンズよりぐっとダーティな音作りが僕は好きですね。やっぱり「ステイ・ウィズ・ミー」は名曲です。「メンフィス・テネシー」のゆったりした味わいもいい感じだし。でも全部ロッドが歌ってるわけじゃないですね。例えば「ユーア・ソー・ルード」「デプリ」とかはロニー・レインが歌ってるのかしら。久々にライヴ盤も聴きたくなりました。



The Fairfield Four Don't Let Nobody Turn You Around ; ACROBAT ACMCD 4205 (2009.11. 1)

1946〜51年に、BULLET、DELTA、DOTに残された録音集です。フェアフィールド・フォーはナッシュヴィルを代表するゴスペル・カルテットで、サム・マックレイの強力なリード・テナーを他のメンバーが素晴らしいコーラスワークで支えます。特に「ドント・レット・ノーバディ・ターン・ユー・アラウンド」の競り上がるようなテナーのすざまじさは、生で聴いたらそれこそ昇天するんではないかと言わんばかりです。また「アメイジング・グレイス」の迫力あるコーラスも必聴ものですね。とにかく駄作のないアルバムです。




The Fairfierd Four ; The Bells Are Tolling ; OLD TOWN OTLP103/ACE CDCHM 771 (2000.12.20)

1962年OLD TOWNからリリースされたアルバムのストレート・リイシュー。ゴスペルは超初心者の僕が衝動的に注文しましたが、来ますねぇ。ナッシュヴィルのカルテットだそうです。リードを取るサミュエル・マクラリーはB.B.キングやロスコー・シェルトンのアイドルだったようですが、なるほどと思わせるすばらしい歌声です。それにもましてギター・ベース・ドラム(タンバリン)といった最小限のバックで、見事なコーラスワークにより音の厚みを作り上げ、聴くものをハイにさせる迫力はゴスペル・カルテットならではです。はまりそう。でもこの上守備範囲を広げると財布が心配ですが。



Fathead ; Building Full Of Blues ; ELECTRO-FI 3402 (2008. 1.10)

2007年リリース。まず冒頭のソウルフルだけど緩やかな味わいの「クラゲのブルース」にやられました。何だろう、この雰囲気は。ヴォーカルのジョン・メイズの余裕のある歌が魅力的なんです。続く突っ込み気味のブギ「ファイア・イン・ザ・ホール」、メンフィス風味たっぷりの「ホワット・アバウト・ミー?」と、するすると引き込まれて、突然ケイジャン・サウンドが。それも「カトリーナ」と来たもんですから。リゾネイタのスライドサウンドをバックにした「頭痛が多すぎる」とか歌詞も面白く、このカナダのバンド、もっと聴いてみたくなりました。



Fats Domino The Very Best Of Fats Domino 1963-1965 ; VARESE SARABANDE 302 066 566 2(2004. 6. 8)

ABC-PARAMOUNTから出た3枚のアルバムを中心にしたセレクト。ちょうどビートルズ旋風が吹き荒れたこの時代、ファッツのサウンドもかなりポップですっきりしたアレンジになっています。IMPERIAL時代よりノリが平坦になった感じは否めません。でも元々ポップな味付けには良く合うファッツで、ヴォーカル自体は声に艶もあり、聴き所は満載です。「ザ・ファット・マン」のリメイクなどは上手く時代に適応したアレンジだなって感心してしまいました。



Fats Domino ; Sweet Patootie - The Complete REPRISE Recordings ; RHINO HANDMADE RHM2 7880 (2005. 3.21)

1968〜71年録音です。ファッツ・ドミノという人は常に持ち味が一貫しているのがすごいです。やや声の張りは落ちていますが、その分落ち着いた響きで、ノリのいいピアノを弾きながら、バーバラ・ジョージの「アイ・ノウ」や、「レディ・マドンナ」などビートルズナンバーをやったりしています。でもこれがうまく消化されているんです。71年のアルバムからの曲はぐっとニューオーリンズらしいんですが、「嘘は罪」のモダンなアレンジはなかなかですね。IMPERIAL時代の陰に隠れてしまいがちですが、どっこい面白さの詰ったアルバムでした。



Fats Domino ; Live From Austin Tx. NEW WEST NW6103 (2008. 8.22)

おそらく1980年代半ばの、ディヴ・バーソロミュー楽団をバックにしたライヴです。これまたヒット曲のオンパレードで、一言しゃべっては曲に入っていく感じでとにかくどんどん進みます。リー・アレンの元気なプレイが聴けるのも嬉しいです。8管のゴージャスなサウンドは、内ジャケットの写真を見ながらきくとなんだか目の前でやっているように聞こえてきますね。楽しいアルバムです。




Fats Domino ; Sentimental Journey ; SPV 97852 CD (2009. 1. 5)

1987年のニューオーリンズ大学でのライヴを収めた2枚組です。もちろん彼の大ヒットがてんこ盛りです。ピアノの切れとかは明らかに衰えていますが、余裕のある歌いっぷりはさすがの一言。興味深かったのは1枚目ラストの「ジャンバラヤ」での多分リー・アレンのソロ。強烈な吹きまくりでこれだけでこのCDを聴いて良かったって気にさせる熱演です。2枚目の「レット・ザ・フォー・ウィンド・ブロウ」あたりでも長尺のソロを聴くことができます。こちらの盤の方がややマイナーな曲が多いかな。「ローズマリー」やタイトル曲がインストで入っています。前者は得意の三連の連打が来ますねぇ。後者は「マルディグラ・イン・ニューオーリンズ」「聖者が街にやってくる」とカーニヴァルムードたっぷりの後で、結構ゴージャスな雰囲気でしめてます。ファッツの三連をバックにギターが大暴れ。誰が弾いてるんでしょうか。




Fats Domino ; Live! ; SHOUT! DK 32000 (2004. 1.28)

2001年ニューオーリンズ・ジャズ&ヘりテイジ・フェスティヴァルのヘッドライナーとして出演したときのライヴです。現役生活50年を超えていますが、アーヴィング・チャールズにハーマン・アーネストといった最高級のリズム隊と、レジー・ヒューストンなどそうそうたるバックメンバーに支えられ、ヒット曲をこれでもかと連発します。もちろん若い頃に比べれば多少は迫力は薄れていますが、でもアタックの強いピアノや、優しさの溢れた歌声は健在。聴衆の盛り上がりもあり、実に気持ちよさそうに歌っています。たった40分足らずですが「アイム・ウォーキン」から「ゴーイング・トゥ・ニューオーリンズ」まで16曲、とにかく一気に聴くことができました、いや楽しかったな。



Fats Domino ; Whole Lotta' Fats Domino Hits Live ; INTERSOUND 6506 (2008. 8.16)

2005年リリースのCDとDVDのセットですが、とりあえずCDだけ聴きました。ちょっといつの録音か正確には分からないんですが、ゴージャスなバックバンドをつけて、次から次へとヒット曲を歌っていきます。声の感じからすると10年くらい前の音ではないでしょうか。あるいはDVDのイントロをリー・アレンが担当しているようですから、もっと前かもしれません。とにかくヒット曲てんこ盛りで、ぐいぐい進められるライヴは聴いていてウキウキしてきます。




Fats Domino ; Alive And Kickin' ; FATS DOMINO no number (2006.11.14)

2006年リリースの新譜です。まもなく80才を迎えようというファッツですが元気ですねぇ。声はちょっと衰えた感じもしますが、新曲に新しいアレンジと精力的に曲に取り組んでいます。冒頭のタイトル曲なんて聴いてるだけで元気が出てきます。また「アイ・スペント・オール・マイ・マネー・ラヴィング・ユー」にはサニー・ランドレスが参加し、いつもながらのスライドプレイで主役をもり立てています。また旧作の再録「エヴリ・ナイト・アバウト・ディス・タイム」ではまだまだやれるぞという気合いも感じさせますし、アレンジを一新した「エイント・ザット・ア・シェイム・2000」はリズムをバイテンのアップにして洒落た感じ。ちょっと感傷に浸ったような「ディス・イズ・マイ・ストーリー」を聴くと、これが遺作にならないでよなんて余計な心配しちゃいますけど、これだけ元気なら大丈夫でしょう。



Fats Waller ; Ain't Misbehavin' ; BMG FUNHOUSE BVCJ-37169 (2005.12. 8)

1929〜42年にかけてのファッツの名演を集めたベスト盤で、中古で買いました。見事な腕前のピアノに、軽妙で洒落た歌い口のヴォーカルと、エンターティナーとしての魅力がたっぷりつまっています。笑いの混じる「嘘は罪」なんてたまりませんねぇ。最近読んだ本によると、"tea"はマリワナの事なんだそうですが、「二人でお茶を」の奔放な演奏は、ひょっとしたらキメてたのかもしれませんね。連弾による「セントルイス・ブルース」のきらめくようなプレイも素晴らしいです。こりゃお買い得でした。



Fay Simmons ; R&B Mystery Woman ; JORDAN #1001 (2008.12.31)

タイトル通りかなりオブスキュアな女性の1954〜1965年までの作品を集めたものです。クレジットもしっかりしていないので、どういう曲順か分からないんですが、収録順なのかなぁ。「ラヴァー・マン」というバラードは結構スタンダード的な響きでジャズからの影響も感じますし、「ウィム・ワム・ウォップ」はご機嫌なロッキンナンバー。「カモン・レッツ・ストロール」はファッツ・ドミノみたい。「ユー・ヒット・ミー・ベイビー・ライク・アン・アトム・ボム」はタイトルから想像するよりはぐっと小洒落たナンバー。「エヴリバディズ・ドゥーイン・ザ・ポニー」はツイストブームの頃の柳の下狙いでしょうからおそらく1960年頃。後半になるとお世辞にも上手いとは言えないバンドをバックにジャンプ・ナンバーからルンバ調の「嘘は罪」までやってます。声に癖があり、歌も結構いけるんですが、運がなかったんでしょうね。結構面白かったです。




Faye Adams ; The HERALD Recordings ; COLLECTABLES COL-CD-5122 (2004. 1.10)

1953〜56年位の録音。ジョー・モリスの楽団をバックに吹き込んだ大ヒット「シェイク・ア・ハンド」「ハーツ・ミー・トゥ・マイ・ハート」、さらには「アイル・ビ・トゥルー」といった曲を集めたベストです。そのゴスペル・フィーリング溢れる強力な歌は、特にバラードで素晴らしい味わいを出しますが、時代はロックンロール中心になり、フェイの歌は少々重たく受け止められたのかもしれません。でもやはりこのHERALD録音、珠玉の名曲集といっていいでしょう。「シェイク・ア・ハンド」のややゆったり目のディープなフィーリングは、多くのカヴァー録音とは一味も二味も違います。



Fela & Africa 70 ; Zombie ; UNIVERSAL UICY-3471 (2006. 9.10)

1976〜78年録音。オリジナルアルバムの2曲にボーナスを2曲追加したものです。アフリカのミュージシャンは、音楽というメッセージを伝える手段のため、多くの場合政治的なかかわりををっていますが、戦乱に翻弄されたナイジェリアのフェラ・クティはその代表とも言えるでしょう。ブラスとパーカッションを軸にしたその長尺の楽曲は、マイルスなどの打ち出したファンク・ジャズにアフリカ側から答えるかのようなうねりのあるサウンドで、それにタイトル曲のようにメッセージを込めた歌が乗ってくると、それはすぐさまアジテーションになるように思います。裏ジャケットのアフリカの運命を風刺した漫画といい、アメリカ文化という手法を用いながら、アフリカの現実を表現しようとしているのではないでしょうか。しかしこのどす黒いグルーヴに対し、「ディスコは止めろ」とブーイングするドイツの聴衆。時代ってそんなものかと思うよ同時に、表面的に音楽を聴いてしまうことの恐ろしさを感じました。



Fenton Robinson ; Somebody Loan Me A Dime ; ALLIGATOR ALCD 4705 (2001. 3.21)

1974年リリース。大好きなアルバムです。ようやくCDを買いました。自身の曲の再録曲を中心にやっているんですが、ヴィンテージものに負けない表現、味を感じました。「メロウ・ブルース」とよく表現されていましたが、フェントンは確かにメロウなんですが、表面的な甘さではなく、大人の優しさのようなものを感じます。音を紡いでいくギターと、言葉のひとこと一言を大切にする唄の絡み合いが絶妙です。ちょっとこじんまりしているけれどよくまとまったバックがかえってうまく引き立てていると思います。僕にとっては名盤です。



Fenton Robinson ; Nightflight ; BLACK MAGIC/ALLIGATOR ALCD 4736 (2002. 4. 5)

1984年録音。中古で購入。時期が時期だけに、やや心配したんですが、録音もしっかりしており、ギターもいい音で鳴っています。けっこういい感じ。フェントンの歌も悪くないんですが、なんか印象に残らない感じですね。本来のフェントンの歌にはもっと切迫感というか独特のテンションがあるんですが、それがちょっと足りない感じ。それでもこれだけ聴かせてしまうのはさすがなんですが。やっぱり60年代の「フロム・マイ・ハート」「セイ・ユー・リーヴィン」「サムバディ・ローン・ミー・ア・ダイム」あたりの緊張感溢れる演奏にはかないません。



Fernando Jones ; Standed ; MYSOUNDWORX MSW-7002 (2007. 3.29)

2007年の新譜です。いかにもストラトキャスターといったギターサウンドに、様々なエフェクタをかけてサウンドを作っています。ブルースの範疇でくくりきれないサウンドで、どこかクラブ的なループ系の味わいと、ハードロックを融合させたような感じです。歌はジャック・ブルースみたいなちょっと芝居がかった歌い方を聴かせるときもありますけど嫌らしい感じはありません。ジミ・ヘンドリックス〜SRVの影響ははっきり感じますね。まあ当たれば売れる音だとは思いますが、僕の好みじゃないな。



Fernest Arceneaux & The Zydeco All Stars ; Zydeco Blues Party ; MARDI GRAS MG 1019 (2006. 7.12)

1994年リリース。フィーネストは3ローのボタンアコを奏でながら、どこか朴訥にザディコ風味のブルースを唸るんですが、このアルバムのメインは実はリル・バック・シネガルのギターじゃないかなんて思うんですよ。リトル・ウォルターの「ラスト・ナイト」での切れと味のあるギター、名人芸ですね。アール・キングの「マザーズ・ラヴ」もかなりブルージー、中にはケイジャンワルツ風の曲もあるんですが、シンプルな「チュー・チュー・チャ・ブギー」とかノリのいい「ザディコ・ブーガルー」でもリル・バックのギターは大活躍。そんな中に「マイ・トゥート・トゥート」なんて出てくるとほっとしちゃいます。



Fernest Arceneaux ; Old School Zydeco ; MARDI GRAS MG 1051 (2002.10.31)

2000年リリース。これはまた実に的を射たタイトルだなと思いました。僕が初めて聴いたザディコは20年以上前ですがクリフトン・シェニエのARHOOLIE盤でした。彼の場合割合ブルースに近いリズムや曲構造だったので、入りやすかったのを覚えていますが、このアルセノーのアルバムも、そのシェニエの「トゥ・レ・トン・ソン・トン」を初めとしてそうしたイメージに近いです。冒頭の「ホール・ロット・オヴ・ラヴ」はエルモアの曲の焼き直しだし、「ソー・ロング」なんて自作とされているけれどフルソンの「リコンシダー・ベィビー」です。ファッツ・ドミノの「ジーズ・ナイト・ア・ウィーク」もやっています。音は野太く、ドライヴ感があり、ギターも大活躍。目新しさはないけれど楽に聴けるアルバムでした。



Finis Tasby ; What My Blues Are All About ; ELECTRO-FI 3390 (2005. 7.27)

2005年リリース。この人も名前は知っていましたが、単独盤は初めて聴きました。1950年代からブルース・ブラスターズでドラムを叩き、1970年代には西海岸でシングルを出しているようです。聴いたことあるかもしれませんが記憶に残っていませんでした。このアルバムではどうやらヴォーカルに専念しているようで、ギター、ハープ、ピアノを含む的確なバックに支えられ、なかなか味のある歌を聴かせます。バンドはオーソドックスなスタイルながらモダンな感じで、なかなか好感がもてます。何曲かメル・ブラウンがいかした音でギターを弾いていて、特にファンキーな「ベイビー・プリーズ」では粘っこいソロが印象的です。好盤だと思いました。



The Brind Boys Of Alabama ; Duets ; SAGUARO ROAD 24962-D (2010. 3. 8)

1994年のボニー・レイットから2009年のマーヴァ・ライトとのライヴ「ハウ・アイ・ゴット・オーヴァー」まで、彼らが様々なミュージシャンと共演した音源を集めたコンピです。トップは予想通りベン・ハーパーとの共演アルバムからで、これで一気に注目度が高まったのが分かります。またソロモン・バークとの「ノン・オヴ・アス・アー・フリー」も素晴らしい出来です。この他ルー・リードとの未発表コラボ「ジーザス」でも重厚なコーラスワークで曲にずっしりとした味わいを加えています。




The Blind Boys Of Alabama ; Atom Bomb ; EMI 07243 563960 2 9 (2005. 3.28)

2005年リリース。最近精力的に作品を出しているアラバマの新作ですが、ジョージ・スコットの遺作ともなってしまいました。ビリー・プレストンをキーボードに迎えた「デーモンズ」では、ザ・ギフト・オブ・ギャブがヒップホップ的な歌を聴かせたりと、相変わらず新しいサウンドと伝統のコーラスを融合させるような試みが感じられます。また「スピリット・イン・ザ・スカイ」や「プレゼンス・オヴ・ザ・ロード」といった、60年代末〜70年のロック畑の曲を見事にカヴァー。特に後者は元々ゴスペルだったわけですが、クラーレンス・ファンティンの歌が見事にはまっています。失敗したのは慌てて買ったのがヨーロッパ盤だったこと。だってCCCDなんだもの。悔しい。



The Five Blind Boys Of Alabama ; Down In New Orleans ; PROPER PRPCD038 (2008. 2.22)

2008年の新譜です。この取り合わせ、めちゃめちゃ面白いです。ホット8ブラスバンドやアラン・トゥーサンその他のニューオーリンズのご機嫌なリズム隊をバックに、重厚なコーラスワークを聴かせたり、ソロの伸びやかで素晴らしい歌声が響いたり、見事なマッチングです。迫力すら感じる「ユー・ゴット・トゥ・ムーヴ」、ご機嫌なノリのご当地ソング「ダウン・バイ・ザ・リヴァーサイド」や「アイル・フライ・アウェイ」は、ゴスペルの枠組みをはるかに越え、ダンス・ミュージックとしても十分機能します。これでトランスする人もあるでしょうし、踊り出す人もいるでしょう。歌の力とリズムの力が完全に融合した、一級品のコラボレイトだと思います。



The Five Blind Boys Of Mississippi ; The Five Blind Boys Of Mississippi ; ACROBAT ADOCD 3003 (2008. 4. 7)

1947〜1954年のPEACOCK録音を中心とした2枚組です。アーチー・ブラウンリー率いるブラインド・ボーイズは、何といっても彼の伸びやかなテナーを、完璧なコーラス・ワークで支えるスタイルが醍醐味です。録音が古いため音質は良くありませんが、ノイズの向こう側の熱気溢れるコーラスワークは、まさに筆舌に尽くしがたい素晴らしさです。特にぐっと盛り上がってシャウトするとき、まさに神がかっているのではと思える瞬間があります。2枚目に入るとピアノやオルガンがバックに入るものもありますが、味わいに大きな変化はありません。しかしここに収録された曲の多くはブラウンリー作となっています。プリーチャーとしての実力が極めて高いことを伺わせます。



The Five Keys ; Rocking And Crying The Blues 1951-57 ; REV-ORA CD BAND 22 (2007. 9.26)

コーラスグループですが、このユニットはとてもR&B色を強く感じます。ルイ・ジョーダンやロイ・ブラウンから多大な影響を受けたサウンドだなと思いました。ストレートなR&B曲をリード・シンガーがタフに歌い、ハミングのハーモニーで彩っています。特に初期はブルース色が強く、ブラスセクションの代わりにコーラスで厚みを出しているかのよう。後期にいくに従ってポップ色が出てきますが、ドゥーワップではなくジャズ・コーラスの味わい。非常に巧みなコーラスワークが楽しいです。



The 5 Royales ; It's Hard But It's Fair - The KING Hits & Rarities ; ACE CDCHD 1038 (2005. 6.27)

1954〜60年録音。こうしたコーラスには疎いんですが、これはドゥーワップというよりやっぱりR&Bなんでしょうね。コーラスワークの格好良さはもちろんなんですが、何といっても聴きものはロウマン・ポウリングのギタープレイでしょう。的確かつ曲によっては思いっ切りブルージーで、単なる彩り以上のものを感じます。このアルバムにコメントを書いているスティーヴ・クロッパーが惚れ込むのもよく分かります。こりゃAPOLLO時代も聴いてみなきゃね。



5th Dimension ; The very Best Of The 5th Dimension ; CAMDEN 74321 674452 (2005.11.15)

1967〜72年。60年代末にグラミー賞に燦然と輝いた黒人5人組のコーラスグループのベストです。僕はこのバンドの「アクエリアス」は小学生の時にリアルタイムに聴いたわけですが、前半の素晴らしいコーラウとメロディよりも、後半の「レット・ザ・サンシャイン・イン」のソウルフルな部分が気に入りました。その頃から今の指向があったわけです。この人達はサウンドが知的で、ゴスペルに通じるものを感じさせながらも、あまり黒さを前に出さなかったことが、当時の白人中心だった音楽界で支持され、グラミーを獲得したように思います。同時にフラワームーヴメントに通じる雰囲気もないわけではないんですけど、でもちょっと去勢された感じを受けますね。したがってニューソウルが台頭してきた70年代には、やはり表舞台を去ることになったように思います。もうちょっとブラックよりのサウンドを作ったらどうなったんでしょうか?それともベスト盤故に、そういう曲が入ってないのかしら?興味があるところです。



Flaming Arrows ; Here Come The Indians Now! ; MARDI GRAS MG 1036 (2004. 9.28)

1997年リリース。まもなくワイルド・マグノリアスを見に行くんですが、ショップでそれらしいジャケットを見かけるとすぐ買っちゃいます。ということで全然詳しいことは分かりませんが、比較的若手のブラック・インディアン・トライブのようです。「ソウ・ソウ」「シュー・フライ」「リトル・ライザ・ジェーン」などおなじみの曲をパーカッシブに決められちゃうと、ウキウキ身体が動いちゃうんですが、曲によってはかなりゆったりしたレゲエを決めたりと、ごり押しばかりでないのが持ち味のようです。大御所マグノリアス程の迫力はないですが、こんなトライブが街でぶつかり合うマルディ・グラ、やっぱり見に行きたいです。



The Flamingos Meet The Moonglows ; On The Dusty Road Of Hits ; VEE-JAY/FUNHOUSE 30YD-1059 (2009. 2.22)

1953〜54年、両グループがCHANCEに残した録音をまとめたものです。まず印象としては、ドゥーワップとしてはぐっとR&B色が強いということ。コーラスもグルーヴ感の強いリズムが打ち出されています。もちろん「セプテンバー・ソング」などのバラッドでは甘さも出ていますが、もっとポップかなと思っていたので嬉しい誤算でした。どちらかというとムーングロウズの方がよりR&B的に感じましたが、バックのサウンドとヴォーカルの声質の違いからでしょうか。




Fleetwood Mac ; English Rose ; EPIC SONY ESCA 5421 (2002.12. 3)

おそらく1960年代末の録音です。中古で購入。アメリカでの2ndになるこのアルバム。「ブラック・マジック・ウーマン」を聴きたくて買ったんですが、いろいろ面白い面を感じました。ピーター・グリーンのブルースに対する思い入れがほどばしっているんですが、ジェレミー・スペンサーのエルモアフリークぶりも凄いです。バスター・ブラウンの「ドクター・ブラウン」をブルームダスター調にしちゃうし、「イヴニン・ブギ」なんてちょいと音程が悪いけど「ハワイアン・ブギ」そのもの、「ワン・サニー・デイ」はうなり声まで「スカイ・イズ・クライング」になってます。その上サックスのかぶせ方まで!徹底してますなぁ。この他「ウイズアウト・ユー」がZZ-トップの「ブルージーン・ブルース」の元歌ぽかったり、「アルバトロス」はビートルズの「サン・キング」に通じたりと、いろいろ発見の多いアルバムでした。



Fletcher Henderson ; Blue Rhythm ; NAXOS JAZZ LEGENDS 8.120672 (2005. 3.16)

1931〜33年の録音集です。「タイガー・ラグ」を聴いてみたくて買ったんですが、この手のオールド・ジャズはあまり聴いたことがないんで、とても新鮮でした。全体に軽快なアップテンポの曲が多く、初期の「ミッキー・マウス」のBGMみたいだねなんてカミサンと話してました。「スターダスト」もけっこう軽いテンポだし。また「ユー・ラスカル・ユー」はマイナーでこれは意外でした。1933年の録音になると、よりスウィンギーでドライヴ感が増してきます。快速版「オール・マン・リヴァー」とか、「ミニー・ザ・ムーチャー」ヘのアンサーソングなんかもありました。ジャグバンドに通じる雰囲気が楽しかったです。



Fletcher Henderson ; 1937-1938 ; CLASSICS 519 (2008.11. 6)

スヌークス・イーグリンがやっている「ツリーズ」の元歌を聴こうと探し出したアルバムです。ビッグ・バンド・ジャズの重鎮として知られるフレッチャーの円熟期といっていいのでしょうか。カウント・ベイシーなどに比べると、どっしりと落ち着き、端正な演奏を聴かせます。でもその分時代の割に古い印象を受けます。クラリネットがそういうイメージをあたえているのかもしれません。でも「スティーリン・アップルズ」では軽快に跳ねるフレッチャーのピアノが格好いいですし、「モーテン・ストンプ」あたりになると結構元気な演奏も聴かれます。もう少し聴き込んでみなきゃいけませんね。




The Floaters ; The Best Of Floaters - Froat On ; SPECTRUM/HALF MOON HMNCD 030 (2004. 4.19)

1977年に大ヒット「フロート・オン」を出したフローターズのベストです。と言っても彼らは典型的なワン・ヒット・ワンダーですから、他に有名な曲は殆どありません。ディスコ時代のさなかに、浮遊感たっぷりの「フロート・オン」は確かに清涼剤になったんでしょう。まあ僕の好みとは大分違いますが。女性かと思うようなファルセットを交えたデトロイト出身のソフトなコーラスグループは、その後路線を定めることなく曲を出していたようです。「マジック」なんて面白いんですが、ディスコに色気を見せたり、「この胸のときめきを」なんて曲をやったりと、焦点を絞れなかったのが彼らをシーンから遠ざけた理由なんでしょうね。



Floyd Dixon ; Cow Town Blues ; ACE CDCHD 740 (2000. 3. 2)

1948〜50年の MODERN 録音集。新譜で購入。この時代のテキサス・ウエストコーストのピアニストの例に漏れず、アップはエイモス・ミルバーン、スロウはチャールズ・ブラウンの影響をもろに受けています。この録音の頃フロイドは弱冠20才!声も若々しいのにチャールズ流の大人びた粘っこい歌い方でバラードをやると、「かわいい〜〜」って黄色い声がクラブでとんだんじゃないでしょうか。個性はまだ感じませんが。


Floyd Dixon ; Fine! Fine! Thing! ; HIGHJOHN 01739 (2006. 7.30)

2005年リリース。先日惜しくも亡くなってしまったフロイドの遺作です。ブルース・ブラザーズも取り上げて有名になった「ヘイ・バーテンダー」のオリジネイターで、チャールズ・ブラウンやエイモス・ミルバーンの影響を受けた甘口のヴォーカルが魅力だったんですが、本作ではかなり声がしゃがれています。でも丁寧で味のある歌い回しで、何とも滋味あふれるブルースになっています。曲は単調なブルースは少なく、バラードあり、8小節ありで変化に富んでいますし、ちょっとゴスペルを感じる作品もあります。「コットンテイル」というインストはけっこうジャジーな演奏を聞かせますし、「エイント・ザット・ライト」は「アイ・ドント・ノウ」スタイルの楽しい曲。全編でギターを担当するトニー・マシューズ、それにタイトなドラムを聴かせるジョニー・タッカーの好サポートを得て、生き生きとしたアルバムになっています。本当に亡くなったなんて信じられないんですが。



A Floyd Dixon Celebration ; Time Brings About A Change... ; HIGHJOHN 52062 (2006.12.31)

2006年リリース。ことし亡くなった人と言えば、年末にJBという超大物が出ちゃいましたが、そのほかではこのフロイド・ディクソンが、西海岸ピアノブルース好きとしてはショックでした。このアルバムは彼が亡くなる55日前に録られたスタジオライヴで、ギターで見事なサポートをしているキッド・ラモスなどがプロデュースしています。アルバート・コリンズのインスト「ドント・ルーズ・ユア・クール」でスタート、最近はヴォーカルに徹しているジョニー・タッカーが1曲元気に歌ったあと、ハーモニカにキム・ウィルソンを迎え、ディクソンをしのぐベテランが登場します。一番手はヘンリー・グレイ。最近はルイジアナの方で活動しているようですが、ここではシカゴブルースを中心に披露。枯れた味わいのヴォーカルが素敵です。さらにもっとベテランのパイントップ・パーキンス。93才とは思えないピアノさばきと元気な歌声は、驚異ですらあります。そして主役のディクソンの登場。ルイ・ジョーダンやT-ボーンといったややジャジーな曲がよく似合いますね。オリジナルの「ホール・イン・ア・ウォール」は「チキンシャック・ブギ」の改作でゆるゆるの乗りと語りがよく合っています。タイトル曲や「コール・オペレータ210」のようなゆったりした曲、一言ずつ噛みしめるように歌うディクソンの味わい深さは格別です。生で見たかったなぁ。それも小さなクラブか何かでね。



Floyd Jones ; 1948-1953 ; CLASSICS 5130 (2005. 5.27)

この人を最初に聴いたのは、多分CHESSのコンピ「Drop Down Mama」だったと思いますが、それ以外でも様々なコンピにバラバラになっていたものがまとめられたのは本当に嬉しいです。有名な「ダーク・ロード」は2ヴァージョン収録。J.O.B.テイクではサニーランド・スリムのピアノがバックでゆったりした感じですが、CHESSテイクはリトル・ウォルターのハープとジミー・ロジャーズのギターも加わり、ぐっと泥臭くなります。また「ドリンク・オン・リトル・ガール」の名前でも知られる「ユー・キャント・リヴ・ロング」、フロイドのテイクは本当にアルコールでやられちまうぞと脅すようなドロリとした感じです。VEE-JAYセッションはスヌーキー・プライヤー、エディ・テイラーとサニーランドの見事なバッキングも聴くことができ、そちらのファンにもお薦めです。



Floyd McDaniel ; West Side Baby ; CROSSCUT CCD 11057 (2003. 4.16)

1994年、ドイツはブレーメンでのライヴです。いきなり分厚い音のオクターヴ奏法から「セントルイス・ブルース」がスタート。粘っこいサウンドのギターがジャジーなフレーズを連発しますが、ヴォーカルは結構いなたく、そのコントラストがユニークです。フロイドはシカゴのフォー・ブレイズで活躍していた人で、ギターはアルバムタイトル通りT-ボーンの影響を強く受けています。でもよりジャジーな感じです。選曲は「ルート66」、「エヴリデイ」、「スウィート・ホーム・シカゴ」と、超有名曲が多いですが、いずれも彼の個性がしっかり出た演奏で聴き応えがあります。バックのデイヴ・スペクターとブルーバーズも好サポート。残念ながらこの1年後にフロイドは他界したそうです。



Fontella Bass ; Rescued ; CHESS/MCA/UNIVERSAL MVCE-22030 (2004. 5.31)

1964〜68年のベスト盤です。ちょっとMOTOWNを意識したような代表曲「レスキュー・ミー」や、ボビー・マクルーアとのデュオで、オリバー・セインらしい作りの「ドント・メス・アップ・ア・グッド・シング」など代表曲の出来はやはり素晴らしいです。エッタ・ジェイムズもやってた「シンス・アイ・フェル・フォー・ユー」や「ベイビー・ワット・ユー・ウォント・ミー・トゥ・ドゥ」あたりは、ぐっと品がいい感じで、ちょっと迫力には欠けますが。全体にサウンドはMOTOWNを意識していてポップですが、そんな中「ジョイ・オヴ・ラヴ」あたりは適度に粘りがあって結構気に入りました。



Forgotten Souls Brass Band ; Don't Forget 'Em ; NEW ORLEANS ONLINE no number (2001.12. 7)

2001年リリース。いわゆるニューオーリンズのブラスバンドものですが、ドラムにスタントン・ムーアが4曲入っていて、非常に引き締まった演奏になっています。彼のリムショットは本当に良い音してます。また、モンク・ボードルーが2曲ほどヴォーカルで入っており、いかにもブラック・インディアン・チャントといった感じでいいです。ライヴもありますし、「ビッグ・チーフ」「シシー・ストラット」といった定番もあり、楽しめる内容でした。



Forgotten Souls Brass Band ; Alive! Mardi Gras In San Francisco ; NEW ORLEANS MUSIC ONLINE FSCD004 (2004 .6.30)

2001年のライヴです。これはもうタイトルに偽りなし!キース・フレッチャーのバスドラムにカーク・ジョゼフのスーザホーンという、最強のリズム隊が作る土台ので、ラッパ隊がラフでグルーヴィーなサウンドを響かせます。お得意の「シシー・ストラット」も、ミーターズのリフの格好良さを何倍にも拡大してエネルギッシュに押し出していて痺れます。ビッグ・チーフ・モンク・ボードローが歌う「ゴー・トゥ・ザ・マルディ・グラ」からラストの「ビッグ・チーフ」まで、セカンドラインの嵐といった感じで、これは大ヴォリュームで踊りながら聴くのが一番です。



The 44s ; Boogie disease ; T'S MUSIC TS 1004 (2010.10.31)

2010年リリース。ウォーでも活躍していた仲村テツが参加しているバンドのアルバムです。キッド・ラモスのギターとテツのハーモニカの歪み具合が絶妙で、西海岸直送のロッキン・ブルース・アルバムに仕上がっています。ヴォーカルはギタリストのジョニー・メインで、なかなかディープ。インストナンバーの「ブロウィン・ファイク・ヘル」でのテツの伸びやかなプレイが白眉でしょう。




The Four Blazes ; Mary Jo ; UNITED/DELMARK DE-704 (2000.11. 1)

1952〜54年録音。このバンドはシカゴのヴォーカル・コンボで、タイトル曲をブルーヒートで行われたSP鑑賞会で文屋章さんがかけ、その際このCDを紹介してくださったので、先日名古屋のNETWORKに行って購入しました。メイン・ヴォーカルでベース担当のトミー・バーデンは都会的で洗練された、涼しげな歌い方をし、これがこのバンドの魅力になっています。軽快なシャッフルが多いんですが、カリプソもあり、また何といっても面白いのは、ジミー・フォレストの「ナイト・トレイン」に歌詞をつけてコーラスしちゃってます。ギタリストにフロイド・マクダニエル、サックスにはエディ・チャンブリーが参加。R&BチャートNo.1のヒットとなったタイトル曲は、スヌークス・イーグリンがカヴァーしています。おしゃれな名盤です。こういったものがもっと広く聴かれるといいなぁ。



Four Knights ; 1945-1950 ; HERITAGE HT CD 49 (2005. 5.12)

東海岸で活動していた4人組のコーラスグループですが、初めて聴きました。選曲にゴスペルが多いんですが、音楽的にはゴスペルの要素を感じさせながらも、洗練されたジャズコーラスとしての魅力をより強く感じました。ルイ・ジョーダンの「チュー・チュー・チ・ブギ」なんて凄く洒落たコーラスです。また1945年録音の「ジョージア・オン・マイ・マインド」では、この曲が元々はスタンダードとしてうたわれていたことを再認識させられました。やはり南部出身の泥臭いゴスペルカルテットに比べ、お洒落で都会的な洗練を感じました。その分物足りなく感じる面もありますが。



The Four Knights ; Oh Baby! - Volume 1 1951-1954 ; ACROBAT ACMCD 4030 (2009.10. 9)

CAPITOL録音集です。ポップでスムースなコーラスワークに、鳥の鳴き声のような口笛を加えたスタイルは、ゴスペル出身のコーラスグループとは味わいが大きく異なります。コーラスのコードワークはジャズの香りがたっぷりで、ジャイヴな感覚もあり、とても都会的な印象を受けました。スローな曲が多い中、「アイ・ゴー・クレイジー」などノリのいい曲もあり、また「オー・ハッピー・デイ」以降はドゥーワップに通じるコーラスワークが聴かれるなど時代に柔軟に対応している様子も感じられます。とにかくお洒落ですね。




Francine Reed ; I Got A Right!...To Some Of My Best ; CMO-1010 (2003. 2. 9)

1995年と96年のICHIBAN録音に未発表と新曲を加えた一種のベスト盤です。この人は初めて聴きましたが、ちょっと渋みのあるふっくらとした声で、見事に歌い回す素晴らしいブルースシンガーです。オールドジャズのような「ザ・ナイト・ライフ」はなんと作者のウィリー・ネルソンとのデュオ!「トラブル・イン・マインド」「プリーズ・センド・ミー・サムワン・トゥ・ラヴ」の斬新な解釈も素敵で、特に後者のピアノだけをバックにしたゴスペルフィールを感じるヴァージョンはとっても気に入りました。ソウルフルな「ワット・イズ・ザット・ライト?」の余裕を感じる雰囲気もいいし、ボーナスのオーケストラ入り「アウト・オヴ・ザ・クリア・ブルー・スカイ」のジャジーな歌も聴かせます。まあこうした器用さがかえって焦点を絞りにくくしているかなとも思いましたが、楽に聴けるアルバムで2順目突入!



Frank Collier Band featuring Shun Kikuta and Junior Walls ; Funky Blues ; KING KICP 421 (2000. 5.19)

1994年録音。「日本代表」のブルース・ギタリストフーチーこと菊田俊介の事実上の初リーダーアルバム(プロデュースも自身)です。廃盤なんですが、中古で発見しました。ギターは流暢で上手いです。特にファンキーな曲でのリズム、フレージングはため息が出ます。後は「これがフーチーだ!」というサウンドが出てくればと思います。アレンジはユニーク。特に「ストマン」のシャッフル・ヴァージョン、初めて聴きました。軽快でいいです。全体にこれがシカゴのクラブで受けるスタイルなんだと思いました。ヴォーカルはフランク・コーリアで、アナウンサーのようなバリトン・ヴォイスです。ファンキーな曲やところどころで聴かれるラップにあう声だと思いました。ラスト2曲でジュニア・ウェルズがJBばりのヴォーカルを披露!さすがに全盛期には及びませんが、役者が違いますね。


Frank Frost & Jerry McCain ; Southern Harp Attack ; JEWEL/P-VINE PCD-24047 (2001. 1.21)

JEWELの再発ものの1枚で、1966年のフランク・フロスト名義と1965〜68年のジェリー・マッケインのものを1枚にカップリングしてあります。フロストの盤でハーモニカを吹いているのは先日来日したアーサー・ウィリアムズで、何曲かはP-VINEでLP化されていましたし、CDにもなっていました。ドラムはサム・カーでいわゆるジェリー・ロール・キングスです。なんとも言えないルーズさと「ハーピン・オン・イット」などで聴くことのできるサザン・ビートはたまりません。ジェリー・マッケインは「728・テキサス」などコンピでCD化されていましたが、これだけまとまって聴けるのは嬉しいです。思ったよりずっと幅広く、ファンク気味の曲もあり、ローカル・スターとして柔軟にやっている様子がよく分かります。でも見方を変えればプロデュースに恵まれなかったとも。



Frank Goldwasser ; Bluju ; CROSSCUT CCD 11077 (2003.11.14)

2003年リリース。この人誰かと思ったらパリス・スリムなんですね。ブルースにしっかり根差しているんですが、かなりモダンなギタープレイも聴かれます。ヴォーカルはちょっと線の細さを感じる瞬間もありますが、丁寧な歌い方だし、変にがなったりしないのがいいな。カーク・フレッチャーがギターを担当している曲があって、好プレイを聴かせます。選曲はオリジナルの他カヴァもありますが、たっぷりひねったアレンジで面白いですね。「アイ・キャント・スタンド・イット」なんてまるでロバート・クレイの曲みたい。インスト「プレイング・イン・ザ・パーク」ではフィリップ・ウォーカーののギターにJ.J.マローンのピアノも入ってます。こうした交流の広さもこの人の魅力になってますね。



Frank Motley & King Herbert ; Canada's Message To The Meters ; JAZZMAN JMANCD 001 (2004. 1.23)

1969〜71年録音。この時代、ちょうどスライ&ファミリー・ストーンもブレイクしている頃で、ファンクが世界に広がり始めたといっていいわけですが、その中でミーターズからの影響を受けたカナダのバンドの演奏が出ました。でもフランク・モトリーって見覚えあるなと探していくと、50年代初期にGOTHUMから「バウ・ワウ・ワウ」なんてジャンプブルースのヒットを出したトランペット2本持った人ですね。他人かとも思いましたが、クレジットに「デュアル・トランペット」とありこりゃ間違いなく同一人物です。しかもその51年録音にテナーサックスで参加してたのがキング・ハーバート。つまりベテランが若手を集めて時代に付いていこうってアルバムなんですね。名義は3バンドでモトリーふたつにハーバートひとつ、ふたりは共演していません。さて内容ですが、一所懸命に最先端のファンクを自分のものにしようって感じで、モトリーのバンドはリー・ドーシーの「ヤ・ヤ」やルーファス・トーマスの「ウォーキン・ザ・ドッグ」をシンコペをいっぱいかませてリニューアルを目指していますし、ハーバートの方はもろにミーターズの「チキン・ストラット」や「シシー・ストラット」、さらにそのミーターズもやってたスライ&ファミリー・ストーンの「シング・ア・シンプル・ソング」から「ビリー・ジョーの歌」まで、これまたグルーヴさせようと努力しています。ギターなんてレオのフルコピーといってもいいくらい意識してます。でも出てないんですよね、グルーヴが。やっぱりリズム隊が弱いのと、隙間がうまく作れていないんです。これなら同じ頃のテキサスやニューオーリンズのいわゆる「B級バンド」の方がはるかにグルーヴィー。でもその頃の日本のシーンとか考えれば、震源地からやや離れたカナダなりの音といえるかもしれません。そうした意味で興味深い1枚でした。



Frank Sinatra / Count Basie ; It Might As Well Be Swing ; REPRISE/WARNER WPCP-4685 (2005. 8. 6)

1965年録音。クウィンシー・ジョーンズがアレンジしたベイシーのオーケストラをバックに、シナトラがスタンダードを歌うって企画ですが、まずバンドのリズムが凄いです。ゆったりした曲でも時折入るシンコペーションの切れ味は流石というほかありません。またシナトラの歌は見事で、「月へ飛ぶ想い」や「モア」なんて聴き惚れちゃいます。でも「愛さずにいられない」あたりは元のカントリーから歌い回しを取ったんでしょうか。レイ・チャールズに慣れたものからするとやや物足りない印象を受けました。



The Frank & Joe Show ; 33 1/3 ; HYENA TMF 9320 (2005. 7. 8)

2004年リリース。ギターのフランク・ヴィグノーラとパーカッションのジョー・アシオンのコンビがバックバンドを従え、次から次へと名曲を奏でていきます。まずはスタンダードナンバーをお洒落に料理。アコースティックな響きが素敵な「ビギン・ザ・ビギン」や落ち着いた「スターダスト」に「ペイパームーン」と、イージーリスニングな曲をピックギターならではのサウンドで聴かせます。また「ティコ・ティコ」や歌入りの「べサメ・ムーチョ」などラテン曲もこなすかと思うと、「トルコ行進曲」や「熊蜂の飛行」では超高速プレイも披露。この辺のビート感はギター&パーカッションというコンビのなせる技と思いました。でもビックリしたのは「ロング・トレイン・ラニン」、あのドゥビーの曲をこんなにしちゃうのって感じのイカしたインストナンバーに。ドクター・ジョンが「アラビアの酋長」を気持ちよさそうに唸るなんて隠し技もあり、全編飽きずに楽しめます。



Frank Zappa ; Rare Meat - Early Works Of Frank Zappa ; DEL-FI #70010-2 (2006. 1.30)

1962年から63年にかけて録音された曲を集めたミニアルバムです。頂き物。曲はティーンエイジ・ポップという感じの曲が多いんですけれど、なんだか擬音が入ったり、実験的なこともやってますね。またギターソロとかは思いっ切りジョニー・ギター・ワトソンの影響を感じます。さすが「大好き」と言うだけのことはあります。



Frankie Ford ; Cruisin' With Frankie Ford ; ACE CDCHD 696 (2005. 1.29)

1960〜62年のIMPERIAL録音に、1984年のイギリス録音のアルバムを合せたものです。IMPERIAL時代は、さすがコジモ・マタッサのスタジオって音で、デイヴ・バーソロミューらをバックに、若々しく、チャーミングな感じで歌っています。この時代って黒人の演奏を白人が録音し直して、オリジナルよりポップに味付けして大ヒットさせちゃうってのが多かったんですが、これは確かにポップなんですが、カヴァー曲でもオリジナルに対する愛情を感じます。ルイ・ジョーダンの「サタディ・ナイト・フィッシュ・フライ」なんてすごく素敵なアレンジです。84年の録音も同様の肌触りで、録音の切り替え点は、ヴォーカルがやや渋くなったのと、ドラムの音が無機的になったのでやっと分かるくらい。こちらはさらにカヴァーが多いんですが、見事な消化ぶりです。ピアノも存分にプレイしていますが、ドクター・ジョンに通じるニューオーリンズテイストがたまりません。ラストの「ボニー・モロニー」で聞こえる口笛など、うますぎてラリー・ウィリアムズもビックリでしょう。



Frankie Laine ; There Must Be A Reason ; PAZZAZZ 1PAZZ008-2 (2008. 5.16)

1947〜1990年の録音。もちろん「ローハイド」を聴きたくて買ったわけなんですが、この人ってカントリー一筋かと思ったら実はそうでもなさそうなんです。もちろんカウボーイ・ソングがお得意なことは間違いがなく、また「ラッキー・オールド・サン」「16トン」「ヘイ・グッド・ルッキン」など定番も歌ってます。でも1947年の「マム・セレ」や「サニーサイド・オヴ・ザ・ストリート」を聴くとむしろジャズをベースにしたポピュラー歌手って感じなんですよね。1985年の「我が心のジョージア」でもその味わいはあります。結局ハリウッドで映画とかテレヴィの仕事をしているうちに、カントリーも歌うようになったってことなんでしょうか。もう少しいろいろ聴いてみたくなりました。



Frankie Lee Sims / Mercy Dee Walton ; Masterly Texas Blues 1953-1957 / 1949-1955 ; JSP 4217A/B (2009.11.26)

それぞれ1枚にまとまっていますから、なんで2枚組セットにしているんだか分かりませんが、流通を考えてなんでしょうかねぇ。シムズの方はSPECIALTYとACEに残されたほぼ全作品を集めたもので、例のビヤビヤのギターに乗ってベチャッと歌う持ち味がたまりません。時折T-ボーン風のフレーズを弾いたり、ハープ入りの曲もあります。ACE時代になるとサックスやピアノの入った曲もありますが、基本姿勢は同じですね。一方マーシー・ディーですが、SPIRE、IMPERIAL、SPECIALTY、RHYTHM、FLAIRといったレーベルの正規リリース盤を集めたものです。テキサス・マナーのピアノ弾き語りに乗った、ちょっとコミカルな「G.G.フィーヴァー」以降は、「ロンサム・キャビン・ブルース」に代表される、寂しげなブルースが中心になっています。のちにバックにギターやドラムが入ってきますが、基本姿勢は「ワン・ルーム・カントリー・シャック」まで大きく変わることはありません。これがRHYTHMに移籍した頃からバックバンドをつけたノリのいいサウンドに変化していきます。特にFLAIRでは「メイベリーン」なんて曲までやってます。変わるもんです。




Fred Hughes ; And His Groups ; VELTONE #1001 (2009. 3.12)

詳細なクレジットはありませんが、マーキーツ、シンバルズ、バラーズ、ミュージック・シティ・ソウル・ブラザーズといったコーラスバンド時代とWANDのアルバム、それに大ヒットした「センド・マイ・ベイビー・バック」などが集録されています。フレッドはVEE-JAYでの活躍が知られていますが、ここでとらえられる彼のハイトーンのヴォーカルは力強く、WANDの60年代終盤を思わせるサウンドにのり適度なファンクを得て歌う歌は伸びやかです。もっと注目されていい人だと思いました。




Freddy King ; Hide Away - The Best Of Freddy King ; RHINO R2 71510 (2002. 3.12)

1956年のデビュー作から1971年のSHELTER 録音までからまんべんなくセレクトした決定盤的コンピ。1956年のシカゴ録音は、ロックウッドなどが入っていますがまだ個性全開とはいきません。しかし1960年からのFEDERAL録音はやはり彼の最高の時代といえると思います。瑞々しい「ハヴ・ユー・エヴァー・ラヴド・ア・ウーマン」はクラプトンが惚れ込んだ1曲ですし、「サンホセ」「ハイダウェイ」「ザ・スタンブル」といったスタンダード化したインストも冴え渡っています。その後キング・カーティスのプロデュースでCOTILLIONに吹き込んだものはファンク風味があり、またSHELTER録音は上手くロック的アプローチにはまっています。ロックに対するフレディの貢献がよく分かる一枚ともいえます。



Freddie King ; 1934-1976 ; RSO/ROLYDOR P28W-25033 (2001. 1.13)

1974〜6年録音。中古で購入。20年以上前に聴いたアルバムです。クリーム〜クラプトンやビージーズで有名なRSOレーベルから出された、フレディ最晩年(といっても享年42才ということは今の僕と同じ!)の作品です。おそらくクラプトンが呼び込んだんでしょうね。前半は自身のバンド(かな?)で、SHELTER時代の延長といったファンキーな路線でなかなかいいです。後半はクラプトンのバンド(「E.C. Was Here!」あたりとほぼ同じバックで、ベースは故カール・レイドル)のため、レイドバックしたロックといった音ですが、フレディのギターはロックとの親和性が高く、違和感はまったくありません。クラプトンがフレディからいかに影響を受けたかがよく分かります。ジョージ・テリーがスライドを弾いています。ラストの「ファーザー・オン・アップ・ザ・ロード」は亡くなる1ヶ月あまり前の録音で、クラプトンのバンドにゲスト参加したもの(ライナーではフレディのライヴにクラプトンが参加とありますが、アナウンスやバックのメンバーから、それは違うと思います)で、歌はクラプトン。E.C.ファンは必携でしょう。しかし遺作がギターだけというのも、ちょっと寂しいです。



Freddie Mitchell ; 1940-1950 ; DERBY/CLASSICS 5034 (2002. 8. 5)

ニューヨークの中堅サックス吹きのリーダー作を集めたコンピです。実に時代を感じる作品集で、「フレディーズ・カリプソ」なんてラテン系の曲を交えながらも、基本は当時流行していたダンス曲。タイトルの「ブギー」が多いのがそれをよく表しています。「ジングル・ベル」から「サマータイム」までダンスチューンにして、野太く荒々しさを感じさせるサックスで吹きまくるのが面白いです。右手だけでまるでおもちゃのピアノを叩くようなきらびやかな音がいいアクセントです。おそらくホールをジルバで溢れさせる為のレコードだったんじゃないでしょうか。



Freddie Roulette ; Back In Chicago ; HI HORSES 4404(2002. 9. 4)

1996年録音。一時西海岸に行っていたルーレットがシカゴでセッションを持った作品です。この人は20年近く前に生を見ていますが、その時にも感じた奔放さが健在です。まさにアバンギャルド!A7でチューニングした8弦のラップスティールで、まさにギュルギュルいうワン・&・オンリーの演奏を聴かせます。「スリープウォーク」あたりでも確かにハワイアンタッチなんですが、どこかに毒気があるんですよね。「ソウル・セレナーデ」は完全な自己解釈だし、「フレディズ・ファンク」なんてまさに「異形」のブルースです。おかげで共演しているチコ・バンクスもふだん以上にラディカルなプレイを聴かせます。



Freddie Roulette ; Man Of Steel ; TRADITION & MODERNE TM036 (2007. 3. 2)

2005年録音。スティールギターでブルースと来ればまずこの人が思い浮かびますが、そのユニークなプレイはここでも全開です。「サイドワインダー」なんてあのキメの部分までやっちゃうんですが、何とも腰の抜けるようなサウンドで、バックの演奏がなかったら曲名は分かりませんね。歌も歌ってるんですが、これはちょっと弱いです。むしろディヴィッド・リンドレィが歌う「タトラー」が、彼のスライドのギターソロも聴けていい感じ。またバックギターを担当するケン・エマーソンの歌の方が安心して聴けます。とにかくファンクありハワイアンあり、レゲエあり、そしてこってりファンキーにアレンジした「ザッツ・オールライト・ママ」、ジャジーに変身した「パーチマン・ファーム」と、いろんなセッションを重ねてきたフレディらしいスライドたっぷりの万華鏡のような音楽は、はまると怖そうです。



Freddie Scott ; Mr Heartache ; KENT CDKEND 314 (2009. 9. 3)

1964〜67年録音です。このコンピは大手COLUMBIAから出されたアルバムを中心にしていることもあり、ソウル・シンガーというよりはポップ・バラッド・シンガーとして期待されていたように思います。ゴージャスなストリングやコーラスを配し、フレディの伸びやかなヴォーカルを生かして美しいメロディの曲を歌っているんですが、もっとどす黒くソウルフルなものが好きな僕としては、物足りなかったです。そんな中シングルとして出されたものはぐっとソウルフル。「ドント・レット・イット・エンド」「ミスター・ハートエイク」など、他の曲とはまるで違うパワフルな声が聴けます。SHOUTのアルバムから4曲取られているものの中には、「スパニッシュ・ハーレム」や「ブリング・イット・オン・ホーム・トゥ・ミー」のような有名曲もありますが、こちらは上手く歌ってますけどぐっと来るほどじゃなかったな。




Freddie Slack ; Mr. Freddie's Boogie (1940-1947) ; GREAT VICES OF THE CENTURY GVC 1002 (2009. 2. 2)

ブギウギの名手でバンド・リーダーとしてもヒットを出した人の集大成です。まずはエイモス・ミルバーンで有名な「ダウン・ザ・ロード・ア・ピース」、こちらの方が多分早い時期の録音なんでしょうね。見事な指さばきです。またエラ・メイ・モーズをヴォーカルにフィーチュアして大ヒットした「ミスター・ファイヴ・バイ・ファイヴ」に「カウ・カウ・ブギ」、T-ボーン・ウォーカーの「ミーン・オールド・ワールド」なども入っていて、ウエスト・コーストで重要な位置にいたことが分かります。こうしてまとめて聴けるのが嬉しいです。




Freddie Waters ; Singing A New Song ; BLACK MAGIC BM 9201 (2001. 9. 1)

1968〜77年録音。オランダのレーベルが素晴らしいリイシューをしてくれました。フレディの全盛期のほぼコンプリートな作品集です。ライナーによれば、REF-O-REEの全作品とOCTOBERのLPからの選曲です。サム・クックからの影響を強く感じるハイトーンなヴォーカルですが、決して芯は細くなく、エモーショナルでディープなヴォーカルです。非常に高い技量を持っていますが、それに走らずに、歌を大切にしていて好感が持てました。バックは決して豪華ではないですが、メンフィス・サウンドを少し軽くしたようなサザン・フィーリング溢れるサポート、あるいは後期の曲はややB級ですがファンクネスが覗く演奏で、時代を見事に反映しています。ナッシュヴィルのローカル・スターですが、きっかけがあればもっとブレイクできたように思うんですが。早すぎた死が悼まれます。



Freddie Waters ; One Step Closer To The Blues ; BLACK MAGIC CD 9043 (2001. 2.19)

ナッシュビルをベースに活躍していたシンガー、フレディ・ウォーターズの2000年リリースの遺作。1曲目の歌が流れたとき「あれ、女性?」と思ったほどのハイテナーで、ハートフルで瑞々しい歌声です。曲は古い持ち歌の他、南部フィーリング溢れる曲が多く、ソウルを感じる作品です。プロデューサーでもあるフレッド・ジェィムズのギターの好サポートも光ります。でもおそらくこの録音の時、すでに病に侵されていたのではと思えます。声の張りと伸びがいまひとつなんです。一所懸命歌おうとするのが分かるだけにちょっと哀しいものすら感じてしまいました。もしベストの状態で吹き込まれていたら、さらにすばらしい作品になったろうにと思うと、本当に惜しまれる死です。60〜70年代の作品のリイシューを期待します。



Freddy Robinson ; Bluesology ; ACE CDCHD 728 (2000. 2. 9)

シカゴ・ブルースの職人ギタリストが、1970年代前半に、L.A.でクルセーダーズの面々と、メンフィスで STAX のハウスバンドと録音したもの。道理でバックがタイトなわけです。でも、歌はけっこうルーズだし、いいムード。ギターは随所に職人芸が光ってます。大人の音楽ですな。僕、こういうの大好き。新譜で購入。


Abu Talib ; The Real Thing At Last ; SON PAT SPR-001 (2002. 5.29)

1994年録音。渋谷のサムズで購入。地味なジャケットにちょっとひなびた初老のブルースマンの写真だったんで、あまり考えずに聴いていました。弾き語り、多重録音によるベースパートを弾くギターとのデュオが中心で、コンソール直入力のようなさらっとした音と、適度にひなびたヴォーカルで、「こんな人いたんだ」なんて聴いてましたが、突然えらくモダンなフレーズが飛び出してビックリ!慌ててライナーを読んでみると、何だ!フレディ・ロビンソンだったんですね。カーティス・メイフィールドの『フレディーズ・デッド』で昔の名前にはきっぱり未練はなくなった」なんてことが書いてありました。「アイ・レフト・マイ・マインド・イン・シカゴ」でのブルースの伝統に乗っ取った歌とテクニカルでモダンなギタープレイの両立がなかなかユニーク。ベース入りのラスト「ブルース・ラヴァーズ・ワルツ」を聴いて、納得しました。



Free Agents Brass Band ; Made It Through That Water ; FREE AGENT PRODUCTIONS no number (2008. 5. 6)

2008年リリース。これまた水没するニューオーリンズの風景を写真に使っているように、カトリーナの困難から立ち上がるエネルギーを感じさせる「聖者が街にやって来る」から始まります。これがスーパーボールのテーマになっていて、途中からヒップホップ仕立てってのが格好いいです。2ヴァージョン入っているタイトル曲の他、「ストップ・ザ・ヴァイオレンス」など、ノリのいいブラスバンドに若い世代らしいヒップホップ感覚の中に、強いメッセージを込めているのが特徴ですね。まだ荒削りな面も感じますが、勢いを感じさせる作品です。



The Fremonts ; Mighty Crazy ; WOODEN MONKEY no number (2006. 6. 9)

2005年リリース。どうやらこのバンドはサンディエゴを中心に活動するバンドのようです。ちょっとテキサス〜ルイジアナ風味を漂わせたサウンドは、やはりファビュラス・サンダーバーズからの影響もあるんでしょうか。グリッティなギターにハーモニカが気持ち良く、パット・スコッグとトニー・トムリンソンという肌合いの違うギタリストのコントラストも面白いです。今作ではマイティ・ジョー・ミルサップというカンザス出身のヴォーカリストをフューチャーしていますが、ちょっとマディ・ウォーターズを思わせるドスの効いたタフなヴォーカルはなかなかのもの。殆ど無名のようですけど、こんな人もいたんですね。どっしりと落ち着いていながら演奏に勢いがあるので、かなり面白く聴くことができました。



Friends Of Jabu ; First Offering ; JIMMY IVES FOJ9883 (2003. 7. 7)

2002年リリース。これは摩訶不思議なアルバムです。ニューオーリンズ・ファンクの一言でくくればくくれちゃうんですが、ホーンのアレンジやピアノからはジャズとかラテンとかの香りが漂うし、「マッシー・アンド・ジャック」「ウォーキン・スルー・ザ・シティ」「キャン・ユー・シンプリファイ」なんてカリブ海の潮風たっぷり。歌は特段上手いわけじゃないけどわざとらしさがなくつい聴き入ってしまうと、その後に結構厚みのある女性コーラスが乗ってきて上手く支えているのがいい感じ。いわゆるフュージョンのようなタイトなまとまりがあるわけでも、強烈なグルーヴ感があるわけでもないんですが、そのほのかなファンクネスと適度な緩さがスルメのような味わいを出しています。繰り返し聴いても疲れないのがいいですね。



Fruteland Jackson ; Tell Me What You Say ; ELECTRO-FI 3401 (2008. 1.19)

2007年リリース。表情のはっきりしたアカペラが始まったときから、これはと思いました。丁寧な歌にギター、時に抜いたように、時に力強く歌うフルーテランドの歌には説得力があります。カントリー・ブルースをベースにし、スライドギターを時にはスキップ・ジェイムズのように絡めながら、古典的な題材を現代に蘇らせる手法はなかなかのものだと思います。ピアノをバックにした「アイ・ウォン」なんて染みますね。その次、アルバムのど真ん中に「ユー・アー・マイ・サンシャイン」が入ってるんですが、そのフォーキーな感じが見事に座ってるんです。「ア・ギャンブラーズ・ヴュー」ではミュート・トランペットにウォッシュボードが絡み、オールド・ジャズな雰囲気も。伝統から生みだされる新しさを感じました。佳作です。



The Fuji ; Anyway What Time Did You Get Up This Morning ; GRAMOPHONE GR003CD (2003.12.28)

2001年リリース。ザ・フジこと藤島晃一を知ったのは、BS2でやっていた「ピーター・バラカンの音楽紀行」でしたが、そこで見聞きしたブルースには本当に衝撃を受け、インターネットで彼のホームページを探り当てると、矢も盾もたまらずこの自主制作CDを買い求めました。フジの本業は墨汁と朱で描く画家で、野太く生命感溢れる絵も魅力的ですが、世界中を旅する中でバスキング、つまり路上で大道芸のように演奏される音楽に魅せられ、自らナショナルのリゾネイタを抱え、今では絵で稼いだ金を元に世界中を演奏して廻る生活だそうです。このアルバムはロンドンのライヴハウスでの演奏を録音したものですが、ポール・シェアスミスのポケット・トランペットやEチューンド・ガス・メインという多分パイプ状の楽器?の、どこかアヴァンギャルトなサウンドを絡めながら、フレッド・マクドウェルやロバート・ウィルキンス、さらにはブラインド・ウィリー・ジョンスンを感じさせるワンコード中心のスライドをバックに、真っすぐな日本語で歌っていきます。歌い方は落ち着いていますが、その背後にある力強さは、フジの生命力から来るもので、そこには真似事ではない真実のブルースが息づいています。これが言葉の壁など無きがように人を感動させるのでしょう。ちょっとエキゾチックな「マウリ」や、フジ版「ロール&タンブル・ブルース」である「ジャンキー・ブルース」、そして情景が目に浮かぶような「小川のせせらぎをききながら」、遠いミシシッピへの憧憬を胸に秘め、路上で歌うフジの渾身の一作です。



The Fuji ; We Pray The Brooze ; FRAMOPHONE GR004CD (2003.12.29)

2003年リリース。フジのセカンドアルバムです。こちらはスタジオ録音で、時折路上で録音された音が交えてあります。何といってもインパクトがあったのは、BS2でもやっていた「ある日の風に吹かれて」で、フジのギターにユニゾンでフミカのヴァイオリンと歌がかぶってくるんですが、この雰囲気は言葉で説明することはかなり困難です。激しくはないけど芯のあるビート感と、ミシシッピ直系とも思えるギターサウンドに、何とも日本を感じるメロディが見事に馴染むんです。歌詞も真っすぐで、バスカーの心境を歌っていますが、これがダイレクトに心に響くんです。その背後に何ともノイジーなポール・シェアスミスのEチューンド・ガス・メインが出すノイジーなサウンドが妙にマッチ。いつのまにか引き込まれてしまいます。琉球旋法を思わせる「さがしもの」では白い砂浜、「小川のせせらぎ...」「とんぼつり」では田舎の河原にたたずんでいる情景が、テレヴィの映像の残像もあるんでしょうが浮かんで来ます。是非もっと多くの人に聴いてもらいたい音楽です。フジのホームページはこちらです。



The Fumes ; Guns Of Gold ; P-VINE PCD-93043 (2008. 1. 3)

2006年リリース。オーストラリアの二人組で、1曲目のメタルボディのリゾネイタから繰り出されるブルースは、さすがボブ・ブロズマン仕込みらしく、なかなか堂に入ったものです。でも彼らの真髄はそのヘヴィーなバンドサウンドにあります。ZZトップから少しだけオヤジ臭さを取り除き、ひとつまみブルース臭を増したようなディストーション・サウンドは、一本気でなかなか気持ち良く響きます。これもしっかりしたブルースの裏付けがあるからだと思います。ハードロックやらガレージロックやらをしっかり吸収したそのサウンド、あとはそれこそZZトップの持つような味わいがどう出てくるかではないでしょうか。次作が楽しみです。



The Fumes ; Sundancer ; P-VINE PCD-93219 (2009. 4. 4)

2009年リリース。オーストラリアのブルース・ロック・バンドの新譜です。プロデュースをデトロイトのジム・ダイアモンドが担当し、ギター一辺倒ではなくピアノやアコースティックな感じをうまく取り入れて幅のあるサウンドに仕立て上げました。タイトル曲などどこかライ・クーダーを思わせるサウンド。でももちろん彼らの魅力はその押しまくるギター・サウンドで、ひずんだギターでスライドをかませながらドライヴする「スレイ・ザ・ライヤー」や「フー・ドゥ・ユー・ラヴ」などは爽快。まあこの辺は好みの分かれるところでしょうが、前作より大きく前進したなという印象です。




Funk Brothers ; Live In Orlando ; EAGLE ER 20141-2 (2008. 9.20)

2008年リリース。MOTOWNのリズム・セクションはキーボードのアール・ヴァン・ダイクとベースのジェイムズ・ジェマーソンを軸に、何人かのギター、ドラムなどがかかわって構成されていましたが、その中の代表的なドラマーのユリエル・ジョーンズと、ギターのエディー・ウィリス、それにジェマーソンの後釜ベースのボブ・バビットが中心になってバンドを作り、ライヴをやった模様です。確かファンク・ブラザーズは映画にもなりました(csで見た)がその時のバンドかな。曲はもちろんMOTOWNのヒット・オンパレードで、気持ちのいいグルーヴをバックに、ドナ・カーティンやマーシャ・ウェアが伸び伸びと歌っています。オリジナルとは違う、ノリのいい演奏が楽しめます。




Funkadelic ; Maggot Brain ; WESTBOUND CDSEWM 002 (2000.12. 3)

1971年ファンカデリックの3作目。何といってもたった四つのコードの循環をバックにしたタイトル曲が凄いです。エディ・ヘイゼル渾身の1曲と言っていいでしょう。ジミ・ヘンドリックスからの影響は感じますが、殆どアルぺジオだけのバックの中、縦横無尽にギターがうなります。ジェフ・ベックあたりにも影響を与えたように思います。アルバム全体としては、黒いロックといった感じの中に、P-ファンク特有の猥雑さが織り込まれていますが、ブーツィ・コリンズ加入前ということもあってか、演奏自体はさほど「変態的」でなく、よりストレートに感じました。



Funky Meters ; Live From The New Orleans Jazz & Heritage Festival ; SHOUT! DVD 36787 (2005. 3.18)

とうとうこのコーナーにDVDが登場しました。2000年のジャズフェスの映像です。多分メインの会場と思われる野外ステージで、御機嫌な晴天の元繰り広げられる演奏は、現在最高峰のジャム・ファンクバンドと呼んで良い素晴らしいものです。「ピープル・セイ」「チャグ・ア・ラグ」「アフリカ」をまぜこぜにしながらどんどんテンションを上げて行く雰囲気がまずすごいです。アート・ネヴィルとジョージ・ポーターが顔を見合わせながら決め所を合せていきます。ラッセル・バティステは黙々とビートを刻み、ブライアン・ストルツは「俺はレオじゃないぞ」と自己主張のある、いかにもニューオーリンズらしいギターカッティングを聴かせます。ちょっと冗長さのあるジャムでしたが、「シシー・ストラット」が始まるとビッと目覚めますね。今度はなんと「サタディ・ナイト・フィッシュ・フライ」「ゼイ・オール・アスク・ユー」といったノヴェルティな歌ものを「シシー」と「ロッカ・パイパイ」でサンドウィッチしちゃってます。リズムはずっとセカンドラインのままですが、アートの歌がひょいひょいと乗っていくのが素敵です。さらに「セヴン・ディザイア」では一瞬ラップも披露。ジョージが弦を切ってベースをとっ換えたりしてます。こういうのが分かるのも映像ならでは。ラストの「エイント・ノー・ユーズ」ではブライアンの独壇場で、アーミングも交え弾きまくってます。もうひとりゲストギタリストが出てましたが、クレジットなしで音も殆ど出力されてませんでした。モニタは返っていたようです。ジョージが最後に「・・・ネヴィル・・・」って紹介してましたから、多分アートの息子でしょう。とにかく90分余り、リズムの洪水に身を任せる映像でした。こりゃ生で見たいなぁ。



Funky Meters ; Live In Japan ; HOY HOY D10047 (2009.11.16)

2009年7月23日、渋谷はAXホールでのライヴです。つまりこのライヴは僕も見に行っていて、こちらにレポートを書いたものがそのままリリースされたってことです。CD-R2枚組で、アメリカではライヴ直後に会場で売り出したりするようです。内容はレポート通りで、ジョージが仕切るジャム・セッションといった趣。ミーターズの代表曲はほぼやった感じですね。時々ラッセル・バティステが発する奇声がけっこう印象的です。でも32曲もやったとは!嬉しいリリースでした。




Fuzzy Haskins ; A Whole Nother Radio Active Thang ; WESTBOUND CDSEWD 099/P-VINE PCD-3394 (2002. 9. 6)

1976年の「A Whole Nother Thang」と1978年の「Radio Active」に1曲加えた2on1です。レーベルで分かるように、ファジー・ハスキンスはP-ファンク軍団の一員で、元々初期のパーラメント時代からのメンバーだそうです。その割には1976年の録音の方は、どす黒いファンクネスは感じさせないで、ハスキンスの張りのあるヴォーカルが前に出ています。ちょっとファンクがかったソウル・アルバムって感じです。もっとも「アイル・ビー・ラヴィング・ユー」あたりを聴くとファンカデリックの「マゴット・ブレイン」に通じる感覚を感じることはできます。一方1978年録音の方は、ぐっと重心が下がり、いかにもP-ファンクって音になっています。でもヴォーカルは明朗なものを感じ、そのコントラストが面白いですが、その分ファンクらしいドロドロした感じは薄れているように思いました。でも上手いヴォーカリストです。



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