CD INDEX(I)
 

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Iceman Robinson ; I've Never Been Loved ; FEDORA FCD 5026 (2001. 8. 1)

2001年リリース。右手の指は6本はないようですが、サウンド的にはハウンドドッグ・テイラーをもろに意識した演奏です。彼自身の曲も取り上げていますし、音質、ベースレスのトリオと編成も同じ。ただしヴォーカルはずっと素朴で田舎っぽさを感じます。なんとなく人の良さを感じる一枚。曲によってはウィリー・ケントがベースを弾いています。「ロビンソンズ・ロック」などを聴きながら、街角で踊ってみたいですね。けっこう気に入りました。



Ida Cox ; The Uncrowned Queen Of The Blues ; PARAMOUNT/BLACK SWAN BSCD-7 (2002.10. 8)

1923〜24年録音。アイダの最初期の録音集です。いわゆる「クラシック・ブルース」ですが、僕の耳にはアイダはとっても上品に響きました。べッシー・スミスの「艶」とか、マ・レイニーの「深」とかとは異なる、清涼なものを感じたんです。バックはピアノだけか、クラリネットとコルネットの入った、この時代らしい柔らかくて絡み合う音なんですが、アイダはちょっと硬い声で、すっきりと歌います。しかし曲のテーマはディープだなぁ。



Ike Cosse ; The Lowdown Throwdown ; JSP CD 283 (2007. 8.22)

1997年リリース。この人よく知らないんですが、中古屋にあったので思わず買ってしまいました。仲々いかしたソウルフルな演奏のブルースでスタートしますが、ちょっとヴォーカルが弱いかな。でも全曲オリジナルで固めてるのは好感が持てました。結構オーソドックスなブルースが多いんですが、ガツンと来る特徴がないのが残念。印象としてはジェリー・マッケインに通じるサザン・ブルース・タイプの曲に魅力を感じました。ギターは結構弾けてますね。



Ike Turner ; Talkin' About Ike - The Essential Works Of Ike Turner Vol. 2 ; P-VINE PCD-24202 (2008. 4.28)

1952〜65年の録音で、こちらはアイクのギターにスポットを当てた編集盤です。まず初期のRPM時代、ルイジアナ録音の「ユーア・ドライヴィング・ミー・インセイン」あたりだとローカルなバンドブルースって感じが残ってますが、1955年以降は単弦リフを利かせた勢いのいい演奏や、トレモロアームがグリグリのに変わっていきます。デニス・バインダー、ジョニー・バートン、ジョニー・ライトなど、ときに当時の流行り曲からアイディアを拝借しながら作品にしていくあたり、アイクらしい下世話さがいいですね。当時の奥さんのボニーをフロントに立てたデュオもいい感じ。COBRA/ARTISTIC時代では何といってもトミー・ホッジの「マッチボックス・ブルース」でしょう。ウィリー・ディ句ソンと思われるベースの唸り具合も最高でこのコンピ最高の聴きもの。後半はアイク&ティナの初期作品で、当時のレビューの様子がよく分かります。バンドリーダーとしてサウンドをまとめる力の凄さを改めて感じました。



Ike Turner & His Kings Of Rhythm ; Ike's Instrumentals ; ACE CDCHD 782 (2000.12.28)

アイク・ターナーが1954〜65年に録音したインスト集。初期のものに一部ピアノを弾いているものがありますが、ほとんどがギターです。多くの音は既聴ですが、こうしてまとまって聴くことができるのは嬉しいですし、ニューオーリンズ録音など珍しいものもあります。初めの頃のアイクのギターは、まだ覚えたてといった感じで、鋭さは見せますが、どこか「物まね」的です。しかしSUE時代になると、切れ味抜群で、トレモロもギュワンギュワンいわせ、一聴してアイクと分かるサウンドになっていきます。この変化が面白いです。



Ike Turner's Kings Of Rhythm ; Down And Out - The Cobra Sessions 1958-1959 ; P-VINE PCD-24050
(2001. 4. 1)

スリーブのアイクの顔のなんともいえない表情がインパクト充分。これだけで買って損なしって感じです。COBRAから正式にリリースされたアイクのキングス・オヴ・リズム名義録音はARTISTICを含めて4曲なので、関連録音と別テイクで1枚のアルバムに仕立てられています。自己名義ではトミー・ホッジのヴォーカルがソウルフルで良いなぁ。「マッチボックス」が発売されなかったのはなぜだろう?同曲が他のレーベルで出されていたからかな?5テイクもあるのに。この他重要なのはべティ・エヴェレットの曲で、当時10代らしく瑞々しいんですが、ウィリー・ディクソンのアレンジもあり、いかにもCOBRAです。なお、ラッシュの「キープ・オン・ラヴィング・ミー」はここに収録されたものが本テイク。



Ike Turner ; The Bad Man ; NIGHT TRAIN NTI CD 7139 (2006. 2.14)

1962〜65年に録音されたアイクの仕事集です。ティナやアイケッツの他、フォンテラ・ベースの録音があったのが嬉しいです。全体にあまりポップに走っておらず、結構クールなリズムにソウルフルな歌が乗っかってる曲が多いんですが、やはりティナもアイケッツも強烈なインパクトがあります。それに比べフォンテラの落ち着き具合が対照的で面白いですね。やっぱりこの時代の先端を走っているサウンドだったんじゃないでしょうか。もちろんMOTOWNなどのようなアプローチではなく、R&Bの王道として。とにかくクールだけどファンキーなアルバムです。



Ike & Tina Turner ; River Deep - Mountain High ; A&M 393 179-2 (2006. 3.25)

1968年リリースのアルバムのストレートリイシューです。フィル・スペクターが「ウォール・オヴ・サウンド」を駆使してティナをゴージャスに着飾らせたといった趣で、タイトル曲を初め、ビート感よりもサウンドの厚みを重視したアレンジが特徴的です。でもこのドラマティックなサウンドが魅力的かというと、好みが分かれるでしょうね。イギリスではかなり流行ったようですが、僕はやっぱりビートとパンチの利いたティナの方が好きです。あとアイクの存在感がないのも寂しいです。



Ike Turner & The Kings Of Rhythm ; A Black Man's Soul ; FUNKY DELICACIES DEL CD 0047 (2005. 2.26)

1969年リリースのアルバムが中心です。モコモコした感じの、このバンドらしいファンキーさがにじみ出た演奏がたっぷり収録されています。ブラスセクションを前に出し、アイクのギターはあんまり目立ちませんけど、どす黒さに満ち溢れています。チョロッとポップな曲もあるのはインスト集らしいところでしょうか。「ファンキー・ミュール」の跳ね具合なんて格好いいなぁ。カヴァーで目立つのは「チェイン・オヴ・フールズ」ですが、おそらくアイケッツのコーラスこそあれ、インストでアップテンポに決めてます。最後に3曲ティナの歌う「ノー・モア・ドギン」「ノック・オン・ウッド」「ドリイフティング・ブルース」が入ってますが、いずれもファンキーな味わいで面白いです。



Ike Turner : His Woman, Her Man ; FUNKY DERICACIES DEL CD 0045 (2006. 2.17)

1970〜73年の、実際はアイク&ティナ・ターナーの未発表曲集です。多分LPだけで出されていたものがCD化されたんだと思います。これは凄いアルバムですね。そのファンクネスは冒頭から全開!流行った「プラウド・メアリー」もドロドロのファンキーヴァージョンが収録されてるんですが、これはひょっとするとイシュードテイクの冒頭のヒントになったのかもしれません。きっとライヴではこのヴァージョンでもやってたんでしょうね。そういう想像をたくましくすると面白さもひとしおです。とにかくファンキーで格好いいんですが、これらが当時未発表だったのは、やっぱりポップさに欠けるからかもしれません。リー・ドーシーの「ヤー・ヤー」もイシュードテイクよりドロドロ感があって捨てがたいなぁ。とにかくアイク&ティナのファンは必聴でしょうね。



Ike Turner & The Kings Of Rhythm ; Here And Now ; IKON IKOCD8850 (2001. 8.16)

2001年にリリースされたアイク・ターナーの新譜です。ドラムの音処理など、かなり手を加え、今っぽさを強調したバックを従えて、アイクはかなり元気です。「トア・アップ」「ロケット88」などの自信の代表作を交えながら、いかにもアイクらしいギターを弾き、唄っています。でも何かいまひとつぴんと来ませんでした。無理矢理現代風にしているって感じで、ちょっと不自然なものを感じたんです。そういう中、得意のロッキンピアノを披露する曲があったのがなぜかほっとさせられました。



Ike Turner & The Kings Of Rhythm ; The Resurrection ; ISABEL IS 640202 (2003. 3.11)

2002年のモントルー・ジャズ・フェスティヴァルでのライヴ録音です。アイクはストラトをかかえながらキーボードの前に座り、持ち替えながらのプレイです。前半はブルージーな演奏が主で、「スウィート・ブラック・エンジェル」や「キャットフィッシュ・ブルース」なんてのをやってますが、面白いのは、スライドの代わりにアーミングで雰囲気を出しているところです。アイクのアーミングは「一発芸」的なインパクトがあるんですが、ここで聴かれるのはもっとねちっこい感じです。後半はぐっとソウルフルになり、ジョー・ザヴィヌルの「マーシー、マーシー、マーシー」はかっこいいなぁ。。終盤はオードリー・マディスンという女性歌手を入れて、「愛しすぎて」「プラウド・メアリー」とアイク&ティナ・ターナー時代のヒットを出してきます。さすがにティナほどの迫力はありませんが、客の期待に応えたってところでしょうか。5月が待ち遠しいです。



Ike Turner ; Risin' With The Blues ; ZOHO ZM 200611 (2006.10.10)

2006年リリース。いきなりファンキーなオリジナル「ギミ・バック・マイ・ウィグ」から、ちょっとダミ声のアイクが歌います。メドレーのように続くのが何と「カレドニア」。アイクの歌は時にちょっと力みすぎですが、気合いを感じますし、ギターもピアノもたっぷり演奏していてその元気な姿を彷彿とさせます。ファッツ・ドミノの「ゴーイン・ホーム・トゥモロウ」をギター・スリム風に仕立てたり、打ち込みを使ったようなモダンなファンク「ジャジー・ファジー」では、彼のギターのセンスの良さが光ります。「アフター・アワーズ」を聴いていたら、来日し損なったコンサートでもし来てたらこんな感じだったのかなと、ちょっと想像してしまいました。ブルースもファンクもジャズも消化して、自分のスタイルに持ち込んでいくアイク、やっぱりただ者じゃありませんね。



Ike Turner ; You Sure Could Do - The Essential Works Of Ike Turner Vol. 1 ; P-VINE PCD-24201 (2008. 4.27)

1951〜63年録音。アイク名義にしてありますが、実際はアイクが裏方としてセッティング、ピアノでサポートした作品集です。主にMODERN系列のメンフィスにおける仕事が中心で、B.B.キングの初ヒットに始まり、エルモア・ジェイムズ、ハウリン・ウルフ、ボビー・ブランド、ジュニア・パーカーと大物の名前が並びます。シカゴに移ってCOBRA/ARTISUTIC録音に参加したものでは、トレモロの利いたギターでサポート。特に「ダブル・トラブル」でのプレイはこの曲のインパクトを強烈に増しています。他でも聴ける作品群ですが、こうしてまとめるとアイクの仕事っぷりの重要性がよく分かりますね。



Illinois Jacquet ; Jumpin' At Apollo ; APOLLO/DELMARK DE-538 (2002. 6.23)

1945〜47年録音。イリノイ・ジャケーといえばライオネル・ハンプトン楽団の「フライング・ホーム」での元祖ホンカーともいうべき豪快なソロで有名ですが、こうしてリーダー作を聴くと、決してごり押しではなく、かなり知的な面を持つサックスプレイヤーという印象です。ジャンプナンバーではかなり豪快なプレイが聴けますが、しっとりしたナンバーでは情感たっぷりなフレージングで聴かせます。ピアノにはビル・ドゲット(ちゃんとジャズしてます)、ベースにはチャールズ・ミンガスの名前も見えます。ワイノニー・ハリスの「ワイノニー・ブルース」も収録されていますが、ワイノニーの「ルックアウト!イリノイ・ジャケー」(かな?)の呼び声の後のクールなソロがかっこいいです。でもやっぱり「フライング・ホーム」調のアルバムタイトル曲や「ボトムズ・アップ」が生き生きしてていいなぁ。



Illinois Jacquet ; 1947-1951 ; CLASSICS 1254 (2002.11.12)

かつて「ホンカー」の代名詞だったイリノイ、この時期になるとやっぱりジャズしてます。いわゆるビバップというのでしょうか?いかしたテーマに続いて次々と各人がソロを取るスタイルの録音が主で、イリノイもいい音出しているんですが、どこか分かりやすいのは気のせいでしょうか?おそらくシングル盤の録音なのでしょう。3分間にみんなが勝負する凝縮感があって聴きやすいです。あとお兄さんでトランペッターのラッセル・ジャケーが何曲か歌うんですが、これがいいんです。ジャズとしては分かりませんが、ジャンプとして聴くといいヴォーカルだなぁ。めっけものです。



Illinois Jacquet ; Go Power! ; MCA MVCJ-19022 (2004. 2.16)

1966年3月マサチューセッツでのライヴ。オルガンにミルト・バックナー・ドラムにはアラン・ドーソンを迎え、いずれもライオネル・ハンプトン楽団というジャンプバンド出身の三人が繰り広げるプレイは、筋金入りの暑苦しさです。客席と一体となり、スマートさよりグルーヴ、知性よりファンキーさをぶち込んだライヴは強烈そのもの。「イリノイ・ジャケー・フライズ・アゲイン」は「フライング・ホーム」の再演なんですが、これがドロリとした黒さをにじみ出す演奏で、脈々と続いているブラックミュージックの「血」を感じました。さらに強烈なのが「ウォーターメロン・マン」で、客席を煽って歌わせながら、ファンキー度120%の臭さを振りまくあたり、たまりませんね。タイトルに偽りなし!



Imagination Movers ; Jazz Fest Live 2006 ; MUNCK MIX no number (2006. 8.13)

さてこれはなんと表現したらいいんでしょうか?やっている音楽はラップなんですけれど、非常にコミカルで、いわゆるヒップホップとは全く味が違います。どちらかというとロックやカントリー、さらにはニューオーリンズならではのブラスバンドの香りも漂っています。言葉が分かればもっといいんでしょうが、どこか子供たちにも受けそうというか、ウキウキ楽しくなるライヴですね。スタジオ盤も探して聴いてみたくなりました。



Ingrid Lucia & The Flying Neutrinos ; The Hotel Child ; ARTISTS ONLY! no number (2004. 1.15)

2000年リリース。名プロデューサー、トミー・リピューマを迎え、イングリッドの魅力を十二分に引き出した作品です。全体にレトロなジャズの雰囲気が漂い、時折スチールギターがイングリッドの小粋な歌い回しに絶妙な絡みを魅せます。ウィリー・ディクソンの「ヴァイオレント・ラヴ」なんて最初それと気付かないほどの見事なアレンジ。渋い選曲のカヴァーにオリジナルがちりばめられていますが、歌い方やサウンドを聴いているうちに、長見順の「オヤジ」に共通するものを感じました。これははまりますね。



Ingrid Lucia & The Flying Neutrinos ; Live From New Orleans! ; ARTISTS ONLY! AOR-77 (2004. 1.13)

2001年ニューオーリンズはオールド・ポイント・バーでのライヴです。イングリッドはジャズ・ヴォーカルの基礎をしっかり身につけた人で、オールド・ニューオーリンズ・ジャズ・スタイルのバンドに実にマッチした、ちょっとレトロで愛らしい歌を歌います。ギターにはジョン・フォールが参加しているほか、トランペットにジェイムズ・アンドリュース、ピアノにはジョー・クラウンがゲスト参加、マシュマロのような柔らかさを感じる「カレドニア」や、オールドタイミーな「セント・ジェイムズ病院」など、スタンダードといっていいような曲を、100年近くタイムスリップしたような雰囲気で聴かせます。途中タップダンスを披露したりしていますが、何といってもビックリはラストのフルソン・ナンバー「ブルース・アラウンド・ミッドナイト」。オリジナルのKENT盤を意識したようなゴリっとしたギターとブラスをバックに、小粋なヴォーカルが絡むと、何だか不思議な魅力を醸し出します。



Ingrid Lucia ; Almost Blue ; INGRID LUCIA no number (2006. 2.15)

2004年リリース。妖艶なジャケットからの期待を裏切らない、コケティッシュな魅力たっぷりのヴォーカルです。もちろんジャズなんですけど、小綺麗に歌わず、酒場のショウでお色気をたっぷり振りまきながら歌うような雰囲気が溢れてます。でもその色気がちっとも下衆じゃないんです。高級クラブとまではいきませんけど、大衆的って感じでもない、ややハイソな飲み屋さんですね。言葉を選ぶように歌う「プリーズ・センド・ミー・サムワン・トゥ・ラヴ」なんてどんな気分で歌ってるんでしょうか。ボサッっぽい「キス・オヴ・ファイア」の小洒落た感じも彼女の魅力が出てていいですね。こういう歌、大好きだなぁ。って、僕には到底歌えませんけどね。



Ingrid Lucia & The Flying Neutrinos ; Don't Stop ; INGRID LUCIA ILCD 2007 (2007.11.20)

2007年リリース。4年掛かりで録音されたそうですが、ジョン・フォールとバート・コットンのギターにリズム隊というシンプルなサウンドをバックに、イングリッド節がのっけから炸裂しています。ちょっとコケティッシュで、ジャジーなんだけどちっともかたっ苦しくないサウンド。2曲目からブラスセクションが加わってくるとますます好調で、どこか古くて懐かしいサウンドなんですが、カビっぽくないピカピカのサウンドに聞こえるのがこの人の魅力でしょう。カントリー・ロックのようなテイストが心地良い「ホームタウン・ブルース」、格好いいなぁ。トロンボーンのクレイグ・クレインが歌う「マージー」も程好い変化球。この洒悦な感じ、たまりませんね。



Ingrid Lucia ; Midnight Rendezvous ; THREADHEAD ILCD 2010 (2010. 5.24)

2010年リリース。こりゃテーマはラテンですね。それもスペイン直送って感じのサウンドです。もちろんママではなく、ひねりはたっぷり加わってますけど。ジョン・フォウルに加えパーカッションはアンダーズ・オズボーンが参加してて、ジャズっぽさは押さえられている印象。歌はちょっと舞台がかった感じで、長見順を思い出しちゃいました。全曲オリジナルでマイナーなスローナンバーが多く、ジャケットの上目使いのイングリッドのイメージがぴったり。存在感あるなぁ。後半に行くほどラテン色は薄くなってますが、どこかフラメンコに通じるものを感じちゃうんです。




The Ink Spots ; The Ink Spots ; TIMELESS TREASURES CD 110 (2004. 1.14)

AMAZONで買ったんですが、量販店や駅前で売ってる「\1,000 CD」のような安直なもので、クレジットなど何もありません。多分1940年代の録音だと思います。このジャズコーラス・バンドは日本では注目度が低いんですけど、洒落ていて素晴らしいですね。ギターの雰囲気はKING時代のロニー・ジョンソンを彷彿させますし、マンハッタン・トランスファーがカヴァーし、テレヴィCMでも有名な「ジャヴァ・ジャイヴ」の洒落た感じ、切なさが漂う「嘘は罪」など、やはり名演だと思います。柔らかいテナーにコーラスが付き、途中バリトンヴォイスで語りが入る曲があるんですが、こうしたアレンジって例えばニール・セダカの「オー・キャロル」など、後の50年代後半〜60年代初頭のポップヒットに踏襲されているように思いました。



Iris May Tango ; Let 'Em Have It ; CATEGORY SEVEN IMT 0978 (2001. 1.24)

1999年リリース。ファンク、ヒップホップ、フュージョン、ジャズなどの素養を再構成して、オリジナルな音を出そうという意欲を強く感じました。曲によってはスティーリー・ダンを彷彿とさせるヴォーカルラインも聞こえてきます。サックスはメイシオ・パーカーをさらにジャズっぽくした感じ。ベースはウッドかな?思いっ切りP-ファンクしてたり、コード展開に工夫があったり、とにかく知性的で凝った音楽です。ラップもあるし(地名くらいしか歌詞が分りませんでしたが)。個人的には、もう少し重量感のある、下衆なファンクの方が好きなんですが、やる気はビンビン伝わってきました。表ジャケのパーティ、裏ジャケのハリケーン(温度分布写真のコラージュ、ちなみに中のモノクロ写真はハリケーン来襲の波です)のように。



Irma Thomas ; If You Want It, Come And Get It ; ROUNDER 1166-11582-2 (2002. 1.17)

1987〜99年録音のROUNDERのベストです。不覚にもROUNDER時代のアーマって一部コンピに収録されたもの以外聴いたことが無かったんです。どれに手をつけていいのか分からない感じで。で、このシリーズが出たんで買ってみたんですが、これはいいです。自然体でリラックスした歌い方で、名うてのニューオーリンズ・ミュージシャンをバックに、適度にポップで、しっかり芯にフォンクを感じる曲の連発です。他方バラードでは円熟を感じる見事な唄い回し。でもちっとも大仰にならないし、その声が神経に触らないのがいいです。チャーミングだし。これから単独盤の海に踏み込んでみることにします。溺れないようにしなきゃ。



Irma Thomas ; The Way I Feel ; ROUNDER CD 2058 (2002.10.19)

1988年リリース。この時代って僕はそれこそブルースばかり聴いていた時代ですね。当時これを聴いていたら「なんだ、ブラコンか」の一言で片付けかねなかったかもしれません。でも今聴くとアーマのゆったりしたハートフルな歌、いわゆる聴き心地の良さだけを追求したような音楽とは全く異質な魅力がしっかり感じられます。バラード系のナンバーではゴスペルフィールを強く感じる一方、「ベィビー・アイ・ラヴ・ユー」「ダンシン・イン・ザ・ストリート」といった有名なアップナンバーでは、オリジナルよりぐっと落ち着いたアレンジと演奏で、アーマの深みのある声を生かしています。



Irma Thomas ; Live: Simply The Best ; ROUNDER CD 2110 (2002. 4.12)

1990年8月、カリフォルニアでのライヴです。以前から聴きたかったんですが、ようやく手に入りました。最初のうちはちょっと調子が出てないかなって感じ(「タイム・イズ・オン・マイ・サイド」あたりは少々不安定な気がします)でしたが、だんだん調子が上がっていく様子がよく分かります。「アイヴ・ビーン・ラヴィング・ユー・トゥー・ロング〜プリーズ・プリーズ・プリーズ」というサザン・ソウル・メドレーはアーマの魅力爆発。彼女は力みがないのにソウルフルなんです。ライヴでもほとんど余計な力みを感じません。「イッツ・レイニング」から「セカンド・ライン・メドレー」あたりのニューオーリンズ風味の強い曲と、先のソウルフルな曲を違和感なく聴かせるライヴ、是非見てみたいですね。メンバー紹介を交えたラストのロックっぽいタイトル曲も、会場全体の盛り上がりも感じ、非常にいい感じです。やはりこれは名盤と呼んでいいと思います。



Irma Thomas ; Walk Around Heaven ; ROUNDER CD 2128 (2002. 6. 6)

1994年リリースの、タイトル通りアーマのゴスペルアルバムです。この盤でのアーマは、コーラスを従え、じっくりとゴスペルに取り組んでいます。全くポップな感じのないアーマってけっこう想像しにくかったんですが、ここでの落ち着いた歌声を聴くと、やはり大した歌手だなって思いました。ぐっと押さえ気味の、でもハートのこもった歌声はいつもとは違うアーマの魅力を感じさせます。



Irma Thomas ; The Story Of My Life ; ROUNDER CD 2149 (2002. 3. 9)

1997年リリース。ややポップなバラードを軸に、ファンキーなナンバーを要所に配してあります。アーマの歌は円熟味を増しており、落ち着きがありますが、随所にチャーミングな味わいが出ていて魅力的です。さらっと歌っているようで、その実結構深い味わいを感じます。ラストの「ドクター・フィールグッド」、アレサの曲をアーマ流に完全に消化しており、オリジナルとはまた違った味わいです。ダン・ペンが曲を提供するだけでなく、一部録音にも参加。しかし何と言ってもジョージ・ポーターのベースが全体を引き締めています。好盤。



Irma Thomas ; After The Rain ; ROUNDER 11661-2186-2 (2006. 5.28)

2006年リリースの新譜です。まずは1曲目の「イン・ザ・ミドル・オヴ・イット・オール」、そしてラストナンバー、いずれもゆったりしたバラードを、、落ち着いた、でも心の芯に何か熱いものを感じさせるエモーションをもって歌い上げます。ギターにサニー・ランドレス、ピアノとキーボードにデヴィッド・トカノフスキー、そしてドラムにはスタントン・ムーアと、ルイジアナ〜ニューオーリンズの、辛口テイストのミュージシャンを起用、「フラワーズ」ではサニーとダーク・パウエルのフィドルがが大活躍しますが、それとてアーマの引き立て役って感じです。スタントンがブラシでスネアを叩く音が印象的な「メイク・ミー・ア・パレット・オン・ユア・フロア」や、ビッグなドラムが劇的な曲調を盛り上げる「イフ・ユー・ニュー・ハウ・マッチ」での、じっくりと腰を据えて歌う声を聴くと、力がみなぎってきます。ジェイムズ・シングルトンのウッドベースも音に深見を与えています。またコリー・ハリスもアコースティック・ギターで参加、特にブラインド・ウィリー・ジョンスンの「ソウル・オヴ・ア・マン」、ちょっと聴くと肩の力が抜けているようにも感じるんですが、絶叫とは違う重さと迫力を秘めています。ことしのベストにあげてもいいと思いました。充実作だと思います。



Irma Thomas ; Simply Grand ; DECCA 478 1608 (2008.10.28)

2008年リリース。ニューオーリンズで活躍する名だたるピアニストと組んで作られた企画アルバムですが、どれもこれも素晴らしい曲ばかりです。まずは来日の記憶が新しいジョン・クリアリーの跳ね回るピアノをバックにした、アーマの落ち着いているけどリズミカルな歌のコラボが印象的。エリス・マルサリスと組んだ「ディス・ビター・アース」は演奏は当然ジャズな訳ですけど、アーマの歌は自然体ででも全然違和感がないんです。むしろ熱さを感じたのはマーシャ・ボールと組んで歌った「セイム・オールド・ブルース」で、気合いを感じました。ジョン・メデスキとのデュオで歌う「サムバディ・トールド・ユー」は自分の歌らしくぐっと力が入っています。でもデュオだとやっぱり変幻自在のドクター・ジョンとのコラボが素晴らしいです。そしてラストのランディ・ニューマンとの「アイ・シンク・イッツ・ゴーイング・トゥ・レイン・トゥディ」、深いピアノの音と溶け合うアーマのもの悲しさすら感じる声には、何かカトリーナに対する想いも込められているようにも思いました。




The Isley Brothers ; Shout And Twist With Rudolph, Ronald & O'kelly ; ACE CDCH 928 (2001. 3.24)

1962年、おりからのツイストブームに乗ってスマッシュヒットとなった「ツイスト&シャウト」を含むアイズレー兄弟のコンピです。ビートルズがほれ込んだコール&レスポンスが格好いい曲が目白押しです。中には前年のヒューイ・スミスのヒット「ドント・ユー・ジャスト・ノウ・イット」の「グルーヴァ・グルーヴァ」という合いの手をぱくったり、パーティ・ソングとして楽しいものがたくさん入っています。でもその中に後のアイズレーズに通じるファンクネスを感じてしまうのは後付けなのでしょうか。グルーヴ感が溢れるアルバム。



Ivan Neville ; Saturday Morning Music ; UPTOP UE 0218-85 (2002. 5. 2)

アーロンの息子アイヴァンのピカピカの新譜です。いきなりドロッとしたリズムのヒップな曲でスタート。時折聞こえるロックっぽいギターは、アイヴァンとの共演の縁があるキース・リチャーズのようです。この他父親アーロンやこれもバンドで共演していたボニー・レイット、さらにボビー・ウォマックからレオ・ノセンテリ、さらにジョージ・デュークと多彩なゲストが参加していますが、決して主役は食われることがありません。さすがにお父さんのコーラスの存在感は抜群ですが。歌詞からは社会的なムードを感じますし、しっかりニューオーリンズ・フォンクしている曲もあり、こういう「土曜の朝」もあるのかなって感じでした。何度も聴くと味が出そうです。



Ivan Neville ; Scrape ; COMPENDIA 5554 (2004. 1.29)

2004年リリース。とにかく豪華なメンバーを集めて作られたアルバムです。ギターにロベン・フォード、レオ・ノセンテリ、キース・リチャード、キーボードにはジョージ・デューク、それにマイケル・ブレッカーの名前も見えます。バックグラウンド・ヴォーカルには父親の他ボニー・レイットやボビー・ウォマックも参加。で、出てきた音は70年代のスティーヴィー・ワンダーやマーヴィン・ゲイと言った当時のニューソウルをしっかり意識しながら、打ち込みやラップなど現代の手法を取り入れて、時代の真ん中に位置しようとしているのがよく分かります。またゲストの香りも結構出ていて、ロック色が強かったり、フュージョンがかってたりしますが、良く言えばヴァラエティに富んでいるんですけど、何だか焦点が定まらない印象も受けました。アーロンが控えめに絡むミディアムバラードの「ビフォア・イッツ・ゴーン」と続くセカンドライン丸出しのタイトル曲が気に入りました。「ワット・ユー・ウォント・フロム・ミー」はラストのライヴヴァージョンの方がファンクネスを感じて好きだな。アルバム作るって難しいんですね。



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