CD INDEX(J)
 

アーティストの名前順に並んでいます。「TODAY'S CD」で紹介したものは紹介文が付いています(日付)。紹介文のないものは「おすすめCD」か「お気に入りのミュージシャン」の中で紹介されているもので、「Click Here!」をクリックすると該当のページにジャンプします。

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J.B. Hutto ; Stompin' At Mother Blues ; DELMARK DE-778 (2005. 3. 5)

1966年と72年の録音。前者は多分「Hawk Squat」のセッションのアウトテイクだと思われますが、グレードは高いです。まずヴォーカルのテンションが高く、ちょうどエルモアとハウンドドッグの中間くらいの感じでしょうか。適度に太く力強い歌い方は、甥っ子のリル・エドに受け継がれているのがよく分かります。スライドギターはエルモアのフォロアーと言えますが、よりスライドに意識がある感じ。エルモアのギターの魅力はスライドの裏に挟まるコードプレイのビート感覚の素晴らしさなんですが、その辺は流石に消化しきれてないのかしらね。でも「ホウェン・アイ・ゲット・ドランク」あたりのノリは気持ちいいです。「ターナーズ・ロック」あたりになるとハウンドドッグ・テイラーのバンドのようなバタバタ感があって、この手の好きな人にはたまりませんね。72年の録音の方がベースが効いているせいでバンドの音が落ち着いていますが、やや歌が引っ込んじゃってるかな。でもこんなのが掘り出されるんだから油断できないです。



J.B. Hutto ; Slidewinder ; DELMARK/P-VINE PCD-1813 (2000. 7.10)

1972年録音。中古で購入。エルモア・ジェームズ系ですが、もう少しラフでいなたさを感じます。ラフといってもハウンド・ドッグほど押しは強くありません。「フィッシン・イン・マイ・ポンド」のリー・ジャクソンをギターに迎え(どことなくエディ・テイラーのようです)、楽しくジャムっているといった感じです。この時代のDELMARKらしいかな。ムードは悪くはありませんが、惹かれるものは感じませんでした。


J.B. Hutto & The New Hawks ; Live At Shaboo Inn, Conn. 1979 ; LAST CALL 422327 (2006. 5.18)

J.B.ハットーはエルモア系のスライドギターをかき鳴らすブルースマンとして知られていますが、そのカテゴリで括ってしまうのでは彼の魅力は語りきれません。ジャケットを見るとこのライヴではテレキャスターを使っているようですが、腰のあるきらびやかなスライドで、ぐいぐい押していく感じが心地良いです。どちらかというとハウンドドッグ・テイラーのアバンギャルドさに近いでしょうか。時折ギュイーンて高音にスライドアップするのがカッコ良い!お得意のブルームダスター調の「トゥー・マッチ・アルコール」も歌うというよりは言い放つようなヴォーカルを自身のギターがあおり立てているようです。ライヴならではでリル・エドに繋がるJ.B.ワールドが全開です。



J.B. Hutto ; Slidin' The Blues ; BLACK & BLUE BB 449.2 (2002. 8.29)

1982年マサチューセッツでの録音。白人ミュージシャンをバックに従えての演奏ですが、J.B.ハットー特有のえぐみのあるスライドはしっかり満喫できます。自作曲が中心で、エルモアからの影響も感じますが、やはりワン&オンリーの個性が光ります。カヴァーではビッグ・ビルの「フィール・ソー・グッド」のスライドヴァージョンなどなかなか味があって結構気に入りました。それにしてもリル・エドはこの叔父さんの影響をもろに受けてるんだなって、改めて感じました。ギターだけでなく歌まで似て来ているんです。ボーナストラックはちょっと余分だったかな?



J.B. Lenoir ; JB Lenoir ; CHESS/ROOTS RTS 33027 (2000.11. 7)

オランダ盤。1951〜58年録音。CHESSのルノアーはP-VINEから出ていたLPでは持っているんですが、車で聴くのにはCDがいいんで買ってしまいました。全28曲入りと結構ヴォリュームがあります。シカゴきっての「社会派」ブルースマンで、朝鮮戦争やら税制批判やらをやっていて、「アイゼンハウアー・ブルース」なんて放送禁止状態だったとか。でも、独特のハイトーンで唄うロッキン・ブルースは声の高い僕としては大好きです。いかにもウィリー・ディクソンといったベースや、ロックウッドの職人ギターも聞こえてきて、さすが黄金期シカゴ・ブルースです。「ママ・トーク・トゥ・ユア・ドーター」はスタンダード化してます。なお、この人については、江戸川スリムさんのBlueSlimのSweet Home Chicagoというコーナーに詳しい解説がありますのでそちらをご覧ください。



J.B. Lenoir ; The Topical Bluesman ; BLUES ENCORE CD 52017 (2003. 4.25)

1951〜65年の、ルノアのキャリアにまたがるコンピレーションです。どちらかというとタイトル通り「アイゼンハワー・ブルース」から「エヴリバディ・クライング・アバウト・ヴェトナム」まで戦争や社会問題を取り上げた曲を多く入れてあります。ルノアのハイトーンな声と、深い哀愁を感じるブルースがたっぷり聴けてお得ですが、もうひとつの顔であるロッキン・ブルースが少なく、後期の特色であるアフリカを感じさせるリズムの曲が収録されていないのが残念。でも名作「アラバマ・ブルース」はしっかり入ってます。



J.B. Lenoir ; 1955-1956 ; CLASSICS 5184 (2009.10.29)

「ママ・トーク・トゥ・ユア・ドーター」のヒットに続く時期の作品集です。この人の場合ほぼツーパターンで、柳の木の下のドジョウを狙ったような「ママ・ユア・ドーター・イズ・ゴーイング・トゥ・ミス・ミー」などのハード・ブギ・タイプの曲と、「ホワット・ハヴ・アイ・ダーン」のようなスローです。そんな中ホーンリフの格好いい「ナチュラル・マン」は格好いいですね。珍しいのはインストの「J.B.ズ・ロック」ギターは「ブーン・ブーン」のようなリフを刻み、サックスがソロを取っていきます。でもやっぱりこの人はガツンと来るブギ・スタイルの上に乗って歌うのが魅力的だなぁ。




J.B. Lenoir, Sunnyland Slim & Friends ; Live ; FUEL 2000 302 061 300 2

1963年、ノーマン・ディロンの手によるシカゴのウエストサイドのクラブでのライヴ録音です。サニーランドとJ.B.がほぼメインを二分し、サニーランドの「ブラウン・スキン・ウーマン」、J.B.の「モージョ・ブギ」など代表曲も収められています。またセントルイス・ジミーのハーモニカも1曲入っていますし、J.B.自身のハーモニカも入っています、演奏は落ち着いており、客席の様子もおとなしい感じです。またTESTAMENT録音などに名前を見ることができるジョン・リー・グランダーソンが、「ザッツ・オールライト」などで、華はないけど渋い歌を披露しています。主役ふたりの歌はいずれも凛と張り詰めた感じで、円熟した時期を捉えているように思いました。



The J.B.'s ; Funky Good Time - The Anthology ; POLYDOR 31452 7094-2
(2000. 9.19)

1970〜76年録音。天下のジェイムズ・ブラウンのバックバンド(と言っておきます)のアンソロジーです。JB御大も絡んだ曲も多いのですが、やはり主役はフレッド・ウェズリーとメィシオ・パーカーといっていいと思います。特にパーカーはとってもジャジーです。「アイ・フィール・グッド」を印象的なサックスを聴いたとき、ジャンプ系の人とは音がまるで違う(簡単に言うとホンクしてない)印象を持ったんですが、こうして聴くと、ジャズ・ファンクといってもいいかもしれません。でもジャズじゃないんだよね。だって理屈っぽさがみじんもないんだもん。これこそグルーヴのかたまりです。単独盤が欲しくなりました。ちなみに、ブーツィ・コリンズ、ジミー・ノーレン、タミ・リンなどが当然参加してます。



J. Geils Band ; The Morning After ; ATLANTIC 82807-2 (2010. 2.10)

1971年リリースのセカンド・アルバムです。名曲「ワマー・ジャマー」やヴァレンティのズのヒットのカヴァー「ルッキン・フォー・ラヴ」を含むアルバムで、しっかりした作りでR&Bサウンドに取り組んでいます。必要な音を的確に弾くガイルズのギターがやはり素晴らしく、表情豊かなピーター・ウルフの歌とのコントラストが魅力ですね。ただ、この次に出たライヴ盤があまりに素晴らしすぎるので、どうしても陰に隠れちゃう作品といえるでしょう。




J. Geils Band ; "Live" Full House ; ATLANTIC AMCY-146 Click Here!

J.J. Caillier ; The Good Bad And Ugly ; CAILLIER no number (2003.10. 5)

2003年リリース。いきなり「アイ・ショット・ザ・シェリフ」のイントロをパクった、ちょっとクリス・アルドワンに通じるファンキーな曲から始まります。「ゲット・オン・アップ(バイク・シャッフル)」も同様の曲で、ヴォーカルもクリスにちょっと似てるかな。この人はロージー・レデットのバックでキーボードを担当していたようで、そのせいかアコーディオンはいまひとつ切れ味に欠け、柔らかめのコード弾きが中心です。でもチャック・ブッシュとケント・オーガストを含むバックは充実しており、まさに現在進行形のザディコサウンドになっています。注目は2曲目のソウルフルなナンバー「グッド・トゥ・ユー」で、デュエットしている女性は、クレジットはないですが間違いなくロージーでしょう。この他レゲエ、ブルース、ワルツと様々なバックボーンを感じさせるサウンドがミックスされていて、派手さはないけれど今のザディコシーンを感じる作品です。



J.J. Caillier & The Zydeco Knockouts ; Do You Wanna Sance ; CAILLIER CD 5006 (2006. 8. 5)

2006年リリース。いきなりサム・クックの「ア・チェンジ・イズ・ゴナ・カム」をサンプリングしたトーキングから、クールに抑えたトゥーステップへ突入するあたりにJ.J.の狙いが見えます。途中ヒップホップ的な要素を取り入れたりするのは最近の新世代ザディコの「お約束」になって来ていますね。意図的にだと思いますがトーンを抑えたサウンドの録音で、ちょっとモコモコしていますが、ギターにケント・オーガスト、ベースにはチャック・ブッシュとルイジアナのザディコを代表するミュージシャンが見事なサポート。特にケントのギターは一聴してそれと分かるスタイル。とにかく全体に最近のR&Bやヒップホップから受けた影響をたっぷりまぶしてある感じです。ただ、主役のJ.J.のアコーディオン、ヴォーカルがちょっと弱いかな。ヴォーカルは雰囲気はあるんですが、アコーディオンの方はやはりクリス・アルドワンなどに比べるとかなりシンプル。この辺に個性がないと埋没しちゃう気がするんですが。



J.J. Cailler ; The Zydeco Knockout ; CAILLER CD 5008 (2008.12.14)

2008年リリース。新世代ザディコらしい実にクールな演奏で、アコーディオンもバックの演奏もぐっと抑えた感じ。ちょっとしゃがれた声でソウルフルに歌います。でもこの人、やっぱり少しヴォーカルが弱いかな。ギターはケント・オーガスト。途中ゲストにJ・ポール・ジュニアが参加した曲もありますが、少なくともこのスタジオ録音を聴く限りでは、タイトルのようにガツンと来るほどのインパクトはなかったです。ライヴを見てみたいですね。




J.J.Malone ; Highway 99 ; FEDORA FCD 5003 (2002. 9.13)

1997年リリース。こちらはカリフォルニアのベテランブルースマンの作品ですが、1曲目のフルソンの「ブラック・ナイツ」で思わずにやりとしてしまいました。だって思いっ切りユルユルなんです。ギターもあんまりしゃきっとしてないし、歌も軽めの声でいなたく歌うんですが、こういうの、好きなんです。レイ・チャールズの「メァリ・アン」やライトニンの「オートモビル・ブルース」なんてテキサス〜西海岸の臭いの強い曲を、オリジナルのご当地ソングのタイトル曲や「ロング・ウェイ・フロム・サン・アントン」といったものに混ぜて、ローカル臭をプンプンさせながらやってます。こうしたいい意味での「軽さ」が西海岸ブルースのひとつの魅力だと思うのですがいかがなもんでしょうか。



J. Paul Jr. & The Zydeco Nubreedz ; Who Do You Love? ; LOUISIANA RED HOT LRHR 1142 (2002.12.20)

2001年リリース。ちょっといかついジャケ写のお兄ちゃんや、グループ名からも分かるように、新世代のザディコです。この人たちの場合は、90年代以降のR&B(アーランビー)サウンドを意識していて、結構クールなコーラスワークと、ヒップホップ感覚を感じるリズム処理がなされています。曲名にも「U」が多用されてたりして、新しい方向へザディコをひっぱっていこうという意欲を感じます。ただ、クリスやヌーニーと比べて、ちょっとリズムが軽く感じました。今後の活躍が楽しみな人です。



J. Paul Jr. & The Zydeco Nubreedz ; Live In Crosby Tx. (The Classic) ; JPJ no number (2007. 9.28)

2001年のライヴだと思います。なにしろ曲目も全く記されず、演奏も曲ごとにぶつ切り。何度かのライヴの模様を繋いだようです。場所はヒューストン近郊のクラブか何かではないでしょうか。でも演奏はラフだけど熱いんです。黄色い声援を受けて、疾走するようなザディコ、でもそこにはヒップな間隔とファンクネスを感じます。現在一番人気というのが分かるパワフルなライヴの模様で、興奮のるつぼの中、隠し撮りをしたような印象ですね。ザディコは生に限るというのが分かる気がします。



J. Paul Jr. & The Zydeco Nubreedz ; Diary Of A Zydeco Rebel ; J.PAUL PRODUCTION no number (2005.10. 1)

多分2005年リリースの新譜です。このヒューストンの都会派ザディコプレイヤーはどんどん面白くなりますね。ヒップホップやレゲエといったクラブミュージックの要素と、アコーディオンのもつソフトさを上手に融合しています。リズムはタイトだけど軽く、ウォッシュボードも控えめな感じですが、そのビート感とコーラスワークはニューエイジならではです。「グロウン・メン・クライ」では歌詞の中で「ノー・ウーマン・ノー・クライ」をリフレインし、そのレゲエ風味もあってバックボーンを感じさせます。トゥーステップ系が中心で、クラブで踊らせてる様子が目に浮かびますね。ニュースのアナウンス風から始まり、インタヴュー、ポエム、打ち込みのラップを終盤に並べ、最後はライヴでの「イッツ・オールライト」。このインプレッションズのナンバーにJBの「ファンキー・グッドタイム」を絡ませるセンス、侮れません。



J. Paul Jr. ; Scorpio ; J.P.JR. no number (2006.11.25)

2006年リリース。カーリー・テイラーにクリス・アルドワン、そしてこのJ.ポールがザディコのコンテンポラリ化を推し進める3人と言っていいと思いますが、ヒューストンをベースに以前から都会派ザディコを展開していた彼の新作は、思いっ切りヒップなイントロダクションとなっているタイトル曲で期待させる幕開けをします。2曲目からはむしろ奇をてらわず、落ち着いたタイトなザディコが心地良いですね。彼の場合ヒップホップなどの要素はかなり前から取り入れていましたから、むしろこうしたシンプルで無駄をそぎ落としたようなザディコ本来の魅力を前に出すことにより、この音楽之リズムの良さを生かそうとしているようにも思います。途中ヒップなイントロダクションがはさまっていたり、格好いいアカペラコーラスから曲に突入する「イッツ・ユー・ガール」など、キャッチーで格好いいなぁ。この曲は終盤にリミックステイクがふたつ収められており、J.ポール自身もお気に入りなんでしょう。16曲目以降は思いっ切りヒップな処理がされており、この辺りの手慣れた感じは彼ならでは。ダンズミュージックとしてのザディコを生かしきろうという狙いがよく出ていて気に入りました。



J. Paul Jr. & The Zydeco Nubreeds ; Stronger ; J.PAUL JR no number (2009. 5.13)

2009年リリース。相変わらず快調なペースでアルバムを出し続けています。でも一時ほどヒップホップ的な手法をどぎつくせずに、ボタン・アコーディオンのビート感をいかしたタイトなリズムの曲が多いのがいい感じですね。ザディコらしさが前に出ています。バラード系はなかなか色っぽくて、当地で人気が高いのも頷けます。「クウィーン」などのようにお洒落なナンバーを挟むのも上手いやり方ですね。ボーナストラックにはよりヒップホップした作品が収録されていて、これと本編を聴き比べると、その「ザディコ回帰路線」を強く感じることができます。




J. Sintoni ; The Red Suit ; JSINTONI no number (2007. 6.23)

どこにも発売年が書いてありませんが、多分新譜でしょう。この人は実にストラトキャスターをそれらしく弾きます。スリーピースのバンドで、曲によってはスティーヴィー・レイ・ヴォーンのようなグリッティなサウンドで、軽々と速弾きをかましたり、「ヴードゥー・ウーマン」なんて曲じゃゴリッとしたブルースもやってます。ヴォーカルも若々しく伸びやかで、結構いいですね。で、この人が一筋縄で行かないのが、ジャズギターも弾くんですよ。ご丁寧にもフルホロウに持ち替えて、ワームなサウンドで決めてます。世の中うまいギタリストって本当にいっぱいいるんですね。さてシントリは一体何を売りにするんでしょうね。



J.T. Brown ; 1950-1954 ; CLASSICS 5157 (2008. 7.14)

エルモア・ジェイムズのバックでサックスを吹いていたことで有名なJ.T.ブラウンの自己名義集です。HARLEM、UNITED、J.O.B.などのレーベルに残された音で、かつて単独LPで紹介されていたものが多いです。どちらかというとジャンプ・ブルースやその後のスモール・コンボといった演奏で、彼が参加したブルースのアルバムに比べるとダウンホームな感じはぐっと少ないです。でも垢抜けているかというと、当時の例えばL.A.録音のそうしたバンドに比べるとぐっといなたいですね。UNITED録音のランサム・ノウリング、リトル・ブラザー・モンゴメリー、ジャンプ・ジャクソンといった、当時のシカゴでバリバリだった面々がこうした演奏をしているのを聴くと、シカゴのクラブではダウンホームな音ばかりではなく、こうした音が日常演奏されたんだなってのが分かります。J.O.B.録音になると、大分ダウンホームな感じも出てきますが。




Jack Brass Band ; Happy Hour ; JACK BRASS BAND no number (2003. 8.16)

2002年ミネソタでのライヴのようです。このブラスバンドは白人メインのようで、ペット、ボーン、サックスが2本ずつの大編成。如何にもニューオーリンズといったノリで、超絶的なテクニックは感じませんが、暖かみを感じる演奏を繰り広げています。フレーズにいろんな曲を引用するなど遊びも多く、J.B.の「ザ・チキン」が始まったときには思わずにんまり。葬送行進曲からの「セント・ジェイムズ病院」とか、会場とともに楽しんでいる様子がしっかり伝わります。



Jack Brass Band ; You Don't Know Me JACK BRASS BAND JBBCD002 (2006. 4.23)

2005年録音。写真を見る限り白人中心のブラスバンドですが、冒頭のスティーヴィー・ワンダーの「リヴィン・フォー・ザ・シティ」からなかなかファンクネスの効いた演奏を聴かせます。どちらかというとジャムバンド系のブラスバンドといってよいでしょうか。例えばリバースのようなはっちゃけた感じはなく、端正な演奏で、ジャズの素養も強く感じるんですけど、どこかやはりニューオーリンズならではの跳ねた感じがあるのが魅力的です。オリジナルの他結構低重心な「キャラヴァン」やらがあって、そんな中にひょいとラテンフレイヴァーの効いた曲が出てくるなど、アルバムとしても飽きさせません。



Jack Brass Band ; Tradditionally Speaking ; JACK BRASS BAND JBBCD003 (2008. 6.18)

2007年リリース。今回はぐっと伝統に根差した感じの選曲と演奏です。葬送曲の定番「ジャスト・ア・クローサー・ウォーク・ウィズ・ジー」、ファッツ・ドミノの「アイム・ウォーキン」、レイ・チャールズの「アイ・ゴット・ア・ウーマン」などを挟みながら、いかにもニューオーリンズらしい軽快なマーチ曲をたっぷりと演奏しています。ドラムの音も控え目で、前作のようなファンクネス溢れるサウンドとはかなり印象が異なります。きちんとやってみようってところなんでしょうかね。



Jack Brass Band ; Fourth Movement ; JACK BRASS BAND JBBCD004 (2010. 5.13)

2009年リリースの彼らの4枚目のアルバムです。う〜ん、いろんな面で分かりやすい。ビリー・プレストンの大ヒット「ナッシング・フロム・ナッシング」のいかしたアレンジでスタート。ラテンテイストあり、往年の名曲のカヴァーありとアルバムを重ねる事に地力をつけてきていますね。特に今回は「リーン・オン・ミー」「パート・タイム・ラヴァー」などニューソウルと言うべき70年代以降の名曲がいっぱいで、しかもいい感じのアレンジで個人的には楽しかったです。高校のブラスバンドでこんなのやるところがあったらいいなぁ。




Jack Mcduff ; The Concert Mcduff ; PRESTIGE PRCD-24270-2(2003. 6.20)

1963〜66年に収録されたライヴ録音集です。メンバーにはジャックのオルガンの他、レッド・ホロウェイのサックスにジョージ・ベンソンのギターと名手揃いで、体育会系ジャズ・ファンクを連発しています。かなり気温が高めの「イパネマの娘」などもいいですが、一番気に入ったのは、ベンソンのギターがまるでビリー・バトラーのように響く「ソーカイ」、思いっ切りクールでファンキーな演奏でこれを聴くだけでもこのアルバムに巡り会えた価値があります。超高速な「フォー・ブラザーズ」、いかにもジャックらしい「スプーニン」など聴きものも多く、楽しめました。



Jack McVea ; McVoutie's Central Avenue Blues ; APOLLO/DELMARK DE-756 (2002. 7.12)

1945年録音。ジャック・マクヴィはイリノイ・ジャケーとともにライオネル・ハンプトン楽団出身のサキソフォニストですが、ブリブリ吹きまくるというよりは、深いトーンのサックスを歌ものに絡みつかせるように吹くのが魅力的です。このアルバムでもドラムのレイボン・タラントの歌のうしろで見事なオブリを入れています。しかし何といってもワイノニーの名唱と絡む「ゴーン・ウィズ・ザ・ウインド」の落ち着いたプレイが素晴らしいです。一方ソロの「ドント・ブレイム・ミー」はひたすらクールで素敵。この他コミカルなシー・ピー・ジョンスンなどバラエティに富んでいます。でも何といっても素晴らしいのは頭とお尻を飾るジャイヴィな「オーケイ・フォー・ベイビー」。モダンさもあるけれど、決して頭でっかちにならないノリのいいサウンドがかっこいいです。



Jackie Brenston ; The Mistreater ; REV-OLA CR BAND 25 (2007.11.30)

1951〜56年録音。ジャッキーはアイク・ターナーのキングズ・オヴ・リズムのメンバーのひとりで、サックスと歌を担当していました。ところがサム・フィリップスのスタジオで録音した「ロケット88」をCHESSで出すとき、彼自身の名義でバンドも「デルタ・キャッツ」としたんですが、これが大当たり。結局「ジュースド」からカルヴィン・ニューボーンやビリー・レッド・ラヴと組むことになります。でもこのカルヴィンのギターがまたトリッキーなプレイ連続で格好いいんです。その後はニューボーン一家と録音を重ねるんですが、キングズ・オヴ・リズムよりオーソドックスなジャンプ・ブルースになってしまい、ちょっと面白味が薄れた印象です。1956年にはキングズ・オヴ・リズムに戻り、FEDERALからアルバムタイトル曲を含む4曲を出しますが、バンドサウンドはこっちの方がずっと格好いいなぁ。アイクのギターが効いています。



Jackie Payne Steve Edmonson Band ; Master Of The Game ; DELTA GROOVE DGPCD110 (2007. 1. 3)

2006年リリース。ジャッキー・ぺインはアトランタ出身で、ジョニー・オーティスのところで歌っていた人で、テレキャスター使いのエドモンソンのバックアップを受けて気持ちよく歌っています。エドモンソンのギターも冒頭のマジック・サム譲りのブギなどなかなか切れのいいギターで、弾きすぎない的確なソロは好感が持てます。ジャッキー自身はブルースを歌ってもどちらかというと軽く明るい感じで、むしろ「ア・フール・ネイムド・ミー」のようなソウルナンバーの方が味わいを感じます。「ブラック・キャット・ラウン・マイ・ドー」やO.V.ライトで知られる「ア・ニッケル・アンド・ア・ネイル」なんてHIサウンドを意識したような乗りで気持ちいいなぁ。一方軽いブルースも決して悪くないんです。妙に深刻ぶったというか、重たい感じを出している歌手よりも自然体で、すぅ〜っと入ってきます。結構楽しめました。



Jamal Batiste ; The Unorthodox Drummer: The First Assemblage ; JAM-ALL no number (2008. 7.25)

2008年リリース。バティステという名前につられて買いました。あの一家の人なんでしょうか。ただ期待した音ではなかったです。セカンドラインの効いたドラミングを予想したんですが、もっと無機的な感じを受けました。間違いなく上手いドラマーなんですが、なんだか打ち込みものもあるし、フュージョンがかったのもあるし、これは僕にとっては外れでした。




Jambalaya Brass Band ; What You Lookin' At? ; 890 WEST MUSIC no number (2004. 9.26)

リリース年などいっさいないいかにも手作りって感じのCD-Rです。ニューオーリンズには本当にたくさんのブラスバンドがあるんですね。このバンドもそのひとつで、オリジナルの他ダーティ・ダズンの曲などもやってますが、金管よりサックスの目立つ音です。しかもソロを除くとブロウしないおっとりした音で、上手い中学や高校のブラスバンドを思い出させます。チューバもおとなしく、全体にあの強烈なセカンドラインのノリにはいたっていないように思いました。やっぱりペットブリブリの派手な音が僕は好きです。むしろパーカッションも入っているんで、ラテン系の曲の方がおさまりがいい感じ。



Jambalaya Brass Band ; It's A Tungle Out There ; 890 WEST MUSIC (2010.11.26)

2010年リリース。このバンドはどちらかというとファンク寄りのサウンドを目指しているようです。「ザ・ビースト」と「P.F. フライヤー」ではカーク・ジョゼフがゲストで参加。面白かったのは「ジャンバラヤ・ガット・ファイア」で、みんなでテーマをコーラスしてる楽しい曲。伝統に乗っ取った「マルディ・グラ・イン・ニューオーリンズ」なんて定番曲もちょこっとジャジーな味付けをして個性を出そうとしています。




James Andrews & The Andrews Family ; Hear No Evil ; KEEP SWINGIN' no number (2005. 7. 4)

2005年リリース。最近はまってます。基本的にはブラスバンド仕立てのサウンドなんですが、冒頭にいきなりアコーディオン入りのファンクを持ってくるあたりのセンスが素晴らしいです、「カリビアン・セカンド・ライン」のパーカッシブさも格好いいし。と思うとカレン・ギャントが歌う「ストーミー・マンディ」なんてドブルースが入ってたりします。「ラウド・ラウド・ラウド」ではジョン・ブッテ節が満喫できますし。でも一番印象に残ったのは「ダウン・バイ・ザ・リヴァーサイド」。ブッシュに「戦争は止めて」と訴えているように思うのはきょうがそういう日だからでしょうか。



James Andrews ; Live....... ; KEEP SWINGIN no number(2005. 6.23)

2005年リリースの新譜です。ハヴァナ、ベルリン、モントリアルと世界各地でのライヴから集められた音源は、ニューオーリンズテイストがたっぷりで非常に楽しいライヴとなっています。マルディグラする「ジャンバラヤ」からスタートで、「ドント・ユー・ジャスト・イット」風のの掛け合いが入る「ビッグ・ファット・ウーマン」も楽しいし、「マルディ・グラ・イン・ニューオーリンズ」「バーボン・ストリート・パレード」とブラスバンドノリの曲も躍動感にあふれます。またビッグ・イージーのトランペッターらしく、「ワット・ア・ワンダフル・ワールド」をサッチモ風に決めますが、カーミット・ラフィンとの解釈の違いみたいなのも感じられ興味深かったです。ラストは楽しい「聖者の行進」。来日したら絶対見に行きますね。



James & Troy Andrews ; 12 & Shorty ; KEEP SWINGIN' no number (2005. 5.28)

明記されてませんが2005年の新譜でしょう。ジェイムズのトランペットとヴォーカルにトロイのトロンボーンで、ニューオーリンズ・クラシックやスタンダードナンバーを楽しく演奏しています。またドクター・ジョンがエレピで参加、「リトル・ライザ・ジェイン」ではシリル・ネヴィルとともに聴けば分かる例の声でヴォーカルも取ってます。「ズールー・キング」では自身もビッグ・チーフになるドナルド・ハリソン・ジュニアがサックスを吹き、歌はモンク・ブードローと豪華なラインナップ。この他「ユー・センド・ミー」「ペイパー・ムーン」とスタンダードをさらりと料理してます。ラストで「ジョージア・オン・マイ・マインド」をスウィンギーに決めて、8曲だけど充実したアルバムでした。



James Andrews & Friends ; New Orleans, New Orleans ; JAMES ANDREWS III no number (2006. 7. 1)

2006年リリース。たった2曲の言ってみればシングルCDですが、内容は濃いです。「カトリーナ・カトリーナ」はマイナーの60年代R&B風エイトビートの曲で、カレン・ギャントがほぼメインで歌っていますが、「カトリーナ、カトリーナ、アンタはアタシを傷つけた」というリフが印象的です。歌詞を聴き取りきれないんですが、やはりハリケーンに対する恨みつらみでしょうか?一方タイトル曲は被災した街に対する愛情と、未来に対する希望を持とうと呼びかけるバラードで、カレン・ギャントにジョン・ブッテも加わり、感動的に歌い上げています。



James "12" Andrews & Crescent City Allstars ; People Get Ready Now ; CRESCENTCITYALLSTARS no number (2007. 8. 2)

2007年リリース。ジェイムズ・アンドリュースが自分のバンドを軸に多彩なゲストを加えて作ったファンク・アルバムで、ドクター・ジョンの他、ウルフマン・ワシントン、シャーマイン・ネヴィル、山岸潤史などの名前が見えます。サウンドはトランペットをメインに据えながら、低重心なファンクサウンドになっており、でもマイルス・ディヴィスに比べれば、歌も入ってるせいもあってはるかに分かりやすいサウンドになっています。「ランブル・イン・ザ・ジャングル」なんてゆったりしたファンクは、やはりこの街ならではだなと思いました。ジェイムズの歌も味わいがあり、特にゆったりしたブルース仕立ての「ニュー・オーリンズ・ジャズ・ホール」あたりはリラックスしていて気持ちのいい演奏です。これはことしのベストに入りますね。



James Black ; (I Need) Altitude ; NIGHT TRAIN NTI CD 7105 (2002. 9. 3)

1970年代から80年代にかけての録音です。ニューオーリンズのドラマーのようですが、今まで意識して聴いたことはありませんでした。ベースにはしっかりとしたジャズ・ドラミングがあり、基本的には軽めの感触ですが、ファンク系は気持ちのいいビートを叩きます。自身の歌もありますが、シスター・メアリのヴォーカルが中心です。この人は特段すごいヴォーカルではないんですが、独特の浮遊感があります。時代によってスタイルがころころ変わるのがつかみ所のない原因ですが、考えてみれば音楽シーン全体がそういう状態だったようにも思えますね。



The James Blood Ulmer Blues Experience ; Blues Allnight ; IN+OUT 7005-2 (2000.12.19)

1990年リリース。hiramatさんに頂きました。感謝!ジェームズ・ブラッド・ウルマーは「ブラック・ロック」しか聴いたことがないんですが、これはバンド名通り、思いっ切りジミ・ヘンドリックスしています。ただ、ギタープレイを真似たというよりは、サウンド全体を意識しているのが好感がもてました。で、ルーツが共通しているせいもあるんでしょうが、プリンスに似た雰囲気もあって、もう少し派手にやったらおもしろそうかなと思いました。ちょっとこじんまりしているように思います。インテリと言うか、恥の捨て方が不足してるようにも。



James Booker ; The Lost Paramount Tapes ; DJM CD 10010 (2000.10.25)

1973年ハリウッド録音。バックにデヴィッド・ラスティエ、アルヴィン・ロビンソン、、ジェシー・ヒル、ジョン・ボードルーなどそうそうたるメンバーが名を連ねています。肌合いはドクター・ジョンを彷彿とさせるバンド演奏ですが、何といってもブッカーのピアノと歌が相変わらずすばらしい。永遠の変態ですな。弾き語りはけっこう聴いたんですが、バンド+ピアノは初めてなんで、とっても楽しめました。「ジャンコ・パートナー」が2ヴァージョンも入ってるし。うれしい1枚です。



James Booker ; United Our Thing Will Stand ; NIGHT TRAIN NTI CD 2005 (2001. 6.12)

二枚組。1976年地元ニューオーリンズのティピティーナズでの録音です。録音はプライヴェートというかブートというか、とにかくろくな音質ではないんですが、ピアノ、オルガン、そして歌といつも通り奔放なブッカーの個性が出ています。鍵盤の上を自由奔放に走り回る指と、歌詞に私生活(ドラッグとか)を織り交ぜながら、ときおりすっ頓狂な声を張り上げる独特のヴォーカル。「プレシャス・ロード」から「ピープル・ゲット・レディ」まで全部自分の世界に取り込んでしまう生っ粋のエンターティオナーぶりを満喫することができます。この人だけは本当に生で見たかったです。私生活上の友達にはあまりなりたくはないですけど。



James Booker ; King Of The New Orleans Keyboard ; JUNCO PARTONER JP1 (2000. 3. 4)

1977年のヨーロッパツアーでの弾き語りライヴ。新譜で購入。とにかく「生で見たかった」というパフォーマンスです。選曲は有名どころがずらり。ピアノの腕はもちろん凄いですが、曲の解釈と歌が強烈!ワルツ仕立ての「サムシング・ユー・ガット」、「アフター・アワーズ」で始まる「グッドナイト・スウィートハート」、レイ・チャールズ・メドレーもいいですが、究めつけは「エイント・ノーバディズ・ビジネス」。だって、歌が「オーシャンワンワン」ですもの。一聴の価値ある1枚です。


James Booker ; Manchester '77 ; DOCUMENT DOCD-32-20-13 (2007. 6. 1)

意外なレーベルが意外な人を出しました。戦前もの中心かと思ってたら、掘り出しライヴ音源をリリース。ゴンゾに目がない僕は即飛びつきました。まあいつものようにピアノの前で変幻自在にプレイするジェイムズの姿がしっかり捕らえられています。「ジャンコ・パートナー」のふざけたようなノリは彼にしか出せないですね。また「降っても晴れても」のようなバラードを目の前で弾き語られた日には、僕だったら「もう死んでもいい」と思っちゃいます。録音状態は決して良くありませんけど、こういう貴重な掘り出し物は大歓迎。ラスト2曲はバンド付ですけど、やっぱり弾き語りの自由さが僕は好きです。



James Booker ; New Orleans Piano Wizard: Live! ; ROUNDER 2027 (2000.11. 3)

1977年11月27日スイスはチューリヒで行われた「ブギウギ&ラグタイム・ピアノ・コンサート」でのライヴ。けっこう多くの聴衆を前に、ブッカーお得意の超絶テクニックを繰り広げています。取り上げている曲はスタンダードナンバーが多く、初めての人でも親しみやすいです。インストナンバーはノリが気持ちよく、思わず体が揺れてしまう演奏が多く、軽い仕事のBGMなんかにいいかな。歌ものも相変わらずブッカー節なんですが、よそ行きと言うか、少しおとなしい感じがします。ジョージ・ウィンストンとかが好きな人にはけっこう受けるかもしれません。僕はもう少し泥臭い方がよりいいんですが。



James Booker ; Resurrection Of The Bayou Maharajah ; ROUNDER CD 2118 (2004. 5.20)

1993年リリース。ニューオーリンズはメイプル・リーフ・バーで1977年から82年まで録り貯めされたもののようです。ですから録音コンディションは決してよくありませんが、ブッカーの鬼才ぶりが余すところなく捉えられています。メドレー形式が多いんですが、その選曲がとんでもなく、例えば冒頭「スロウ・ダウン」〜「ボニー・モロニー」までは順当ですが、そこから「ノック・オン・ウッド」に行ったりしちゃいます。「子犬のワルツ」はクラシックのピアノの先生が聴いたら耳から血を吹くかもしれません。そして「ジャンコ・パートナー」から「セント・ジェイムズ病院」と曲を並べた編集者のセンスもなかなか。とにかく変幻自在、変態全開のライヴです。あ〜面白かった!



James Booker ; A Taste Of Honey ; NIGHT TRAIN NTI CD 2006 (2000. 8.14)

1977年ニューオーリンズ録音の2枚組。相変わらずの「変態」ブッカーですが、録音はブートっぽく、またありったけの録音をそのままCD化したという感じで、同じ曲の別ヴァージョンも多く、2枚通して聴くとかなり飽きます。もちろんブッカー自身の演奏が悪いわけではないのですが...。音質はかなり悪く、「在庫整理」的な感じを受けました。


James Brown ; The Instrumental's 1960〜1969 ; POLYDOR 314 517 845-2 (2006.12.26)

ジェイムズ・ブラウンが急逝したというニュースを聞いて、何を聴こうかと思ったんですが、さすがに彼の歌がたっぷりのものを聴くのはどうも忍びなくて、このアルバムを選びました。メイシオ・パーカー、ピーウィー・エリス、ジミー・ノーレン、クライド・スタブルフィールド、ジャボ・スタークスといった名うてのミュージシャンを集めたバンドですから、そのインストナンバーの格好良さは半端じゃありません。JB自身がオルガンをプレイしていますし、叫び声で煽ったりと、ヴォーカルを取っていなくても存在感は抜群です。なにしろ間違えると罰金とかとにかく厳しい管理課にあったバンドらしく、アンサンブルも完璧。こうして60年代を通して聴いていくと、元々ジャズ畑の人たちが多く参加している様子が伺えます。ただし音楽を頭じゃなくて身体で演じているのがこのバンドの魅力ですね。歌もののインスト、例えば「トライ・ミー」も、別の味わいがありますし、「タイトゥン・アップ」のような他のバンドの曲を取り上げてもJBサウンドになっちゃいます。そして大好きな「ザ・チキン」、このファンクネスはジャズバンドがやってもなかなか出ませんね。好企画盤だと思います。



James Brown ; Live At The Apollo ; POLYDOR POCP-2196 Click Here!

James Brown ; 'Live' At The Apollo ; KING/UNIVERSAL UICY-9283 (2003. 9.23)

1963年1月録音。ブラック・アーティストによる単独ライヴアルバムという、文字通りマイルストーンになった作品が、紙ジャケ仕様で復刻されました。ヒット曲をどんどん繋いでステージを盛り上げていくJBと、それに呼応する観客の声がすごいです。まだファンクネスはそれほど強くありませんが、ゴスペルフィーリング溢れるバラードの熱さは、アポロでのライヴの中でもこれが一番のように思いました。特にクライマックスのメドレーで、つなぎのように使われる「プリーズ・プリーズ・プリーズ」がぐっと来ます。ジミー・フォレストの「ナイト・トレイン」に歌詞をつけたエンディングも、ある意味この時代らしさがありますね。やっぱり名盤です。



James Brown ; Love Power Peace - Live At The Olympia, Paris 1971 ; POLYDOR 513 389-2 (2003. 9.13)

映画「ゲロッパ」が評判で、もうすぐ来日するJB、前号のレココレで特集になっていて、目に付いたのがこのライヴ、早速買ってきました。このライヴはメンバーにキャットフィッシュとブーツィのコリンズ兄弟がいることで、ファンクナンバーの粘っこさは最高!特に「セックス・マシーン」の演奏はやっぱりこのふたりじゃなきゃって感じです。ショーの展開のスリリングな様子も、ボビー・バードとの掛け合いも満載で、臨場感たっぷりですが、最大の聴きものは、キャットフィッシュ・コリンズのギターかも。結構ブルージーでざらついたプレイを随所で聞かせます。カッティングも自己主張が強く、生々しさが最高ですね。



James Brown ; The Next Step ; FOME/PONY CANYON POCY-01563 (2002. 3.19)

2002年リリース、JB3年ぶりの新譜です。のっけからクールなファンクで、やる気は満々。さすがに寄る年波には勝てないかなって思う瞬間もありますが、とっくに老齢人口に入ってるとは思えないパワーです。前作でもやっていた「ファット・イット・テイクス」を再びやっているのが印象的。またシングルカットされた「キリング・イズ・アウト、スクール・イズ・イン」では何と旧友ボビー・バードとデュエットしています。この曲は学校での発砲事件を歌った曲のようですが、なかなかヒップです。とにかく期待を裏切りません。ここまで自分を確立してるって、本当に凄いことです。



James Carr ; The Complete GOLDWAX Singles ; GOLDWAX/KENT CDKEND 202 (2001.11.24)

1965〜70年録音。ことし1月に亡くなったディープ・サザン・ソウルの雄ジェームズ・カーの追悼には最適の、ヒズ・ベストと言われるGOLDWAX時代のシングル集です。とにかく深くて力強いヴォーカルが満喫できます。冒頭を飾る「ザ・ダーク・エンド・オヴ・ザ・ストリート」、1968年という激動の年に希望を込めて歌い上げた「フリーダム・トレイン」、ビージーズ・ナンバーをディープに仕立て直した「トゥ・ラヴ・サムバディ」そして名曲「ポウリング・ウォーター・オン・ア・ドロウニング・マン」と、全編外れのない28曲です。まさに決定盤!



James Carr ; You Got My Mind Messed Up ; GOLDWAX/KENT CDKEND 211 (2009. 9. 7)

1967年のアルバムに未発表などを加えたものです。元のアルバムはもちろん名盤の誉れ高いもので、まず冒頭の「ポウリング・ウォーター・オンア・ドラウニング・マン」からはフェイム・サウンドがプンプン香ってきます。ライ・クーダーが取り上げたのでも知られている名曲「ザ・ダーク・エンド・オヴ・ザ・ストリート」は、その深みのある声で、シャウトに頼らず朗々と歌う味わい深さ格別で、何度聴いてもしびれます。「ラヴ・アタック」や「ザッツ・ホワット・アイ・ウォント・トゥ・ノウ」などのアップナンバーも快調で、特に後者からは当時大流行のMOTOWNの香りが漂っていますね。追加トラックには日本のVIVID SOUNDで初めて公表されたものも多く含まれていますが、どちらかというと屋や粘り気の少ない曲が多い感じ。それでも「ジーズ・アームズ・オヴ・マイン」などディープです。とにかく掛け値なしの名盤です。




James Carr ; My Soul Is Satisfied - The Best Of James Carr ; KENT CDKEND 231 (2004. 8. 5)

1971〜2000年にかけて残された、GOLDWAX、ATLANTIC、RIVER CITY、SOULTRAXでの録音からのキャリア縦断的なベスト盤です。未発表曲も多く、例えば「ザ・ダーク・エンド・オヴ・ザ・ストリート」は2000年のヴァージョンだったりと、従来のベストとは異なり、幅広い選曲が面白いです。バリトン域の暖かみのある声と、伸びやかな高音はカーの持ち味で、少しカントリー味のあるゆったりしたバックが良く似合います。1990年代になるとバックのサウンドもぐっとモダンになりますが、カーの持ち味は大きく変わりません。声の張りはちょっと落ちた気もしますが、ゴスペルでの深い表現力はさすがというほかはないです。



James Carr ; A Man Worth Knowing ; ACE CDCHD 1120 (2006. 9.12)

1990年の「Take It To The Limit」と93年の「Soul Survivor」からの曲に、亡くなる1年前の2000年に再録された「ユーア・ポーリング・ウォーター・オン・ア・ドロウニング・マン」を加えたものです。60年代後半から70年代にかけて、O.V.ライトなどと並び、サザンソウルの雄としてGOLDWAXから素晴らしい作品を出し続けていたカーのカムバック作で、「テイク・イット・トゥ・ザ・リミット」「ユー・ゴッタ・ラヴ・ユア・ウーマン」等、全盛期を彷彿させるふくよかなヴァリトンヴォイスが素晴らしいです。さすがにバックバンドはややソリッドで、今風になっていますが、カーの歌声はそれに引きずられることなく、深さを湛えています。「ソウル・サヴァイヴァー」になるとサウンドはよりファンキーになりますが、歌の線が少し細くなったようにも感じます。とにかく歌にぐいぐい引き込まれてしまいますね。



James Cotton ; V-8 Ford Blues ; FRUIT TREE FT839 (2006. 6.14)

前半が1968年VERVE録音、後半は1962〜3年の録音です。VERVE時代、コットンはボビー・ブランドをかなり意識した、ヴォーカル重視のサウンドを目指していました。ここでも「ターン・オン・ユア・ラヴ・ライト」に「ジェリー・ジェリー」と、ブランドのカヴァーのような感じ。一方後半はポール・バターフィールドのハーモニカに、エルヴィン・ビショップのギターをバックに、ややダウンホームな感じでやっています。重厚なタイトル曲はなかなかのものでした。しかしこのアルバム、クレジットも何もありません。ジャケットの写真が比較的最近のコットンだったので、新譜かと思って買ってしまいました。騙されたなぁ。



James Cotton ; Seems Like Yesterday ; JUST A MEMORY JAM 9138-2 (2000. 4.15)

1967年秋、カナダでのライヴ録音。音質は最悪、ブートじゃないでしょうか。P.A.が良くない上、それを手ごろなレコーダーで録ったって感じです。内容は当時のコットンを捉えてものとしては面白いです。特に選曲、なにしろJBで始まりJBで終わるんです。白人向けのライヴなんでしょう。途中「ノック・オン・ウッド」や「ワーク・ソング」も登場します。フランシス・クレイのドラムは聴き所があります。コアなファン向けでしょう。


James Cotton ; Late Night Blues ; JUST A MEMORY JAM 9140-2 (2000. 4.19)

先に紹介したカナダ録音の続編で、同じ日に録音されてます。だから音質は悪いですが、内容は結構気に入っています。フランク・フロストの影響を受けたような「ホンキィ・トンク」に始まり、ブルースの名曲が目白押しです。特に「ブラック・ナイト」「トランプ」と、ローウェル・フルソンの曲が2曲入っていて嬉しいです。ハープより歌を唄うことに気持ちが入っていますが、こうしたコットンの側面は好感が持てます。これは買っても損はないでしょう。音質の悪いのが嫌いな人には勧めませんが。


James Cotton ; It Was A Very Good Year ; JUST A MEMORY JAM 9144-2 (2001. 4.30)

1967年9月のブートっぽいライブ録音です。このシリーズ3作目で、当時のコットンの生の姿が捉えられていますが、必ずしも良い状態とは言えません。「ワン・モア・マイル」はまだファンク化される前のスローブルースです。でも「ミッドナイト・クリーパー」はすでに全開のハープ・ブギで、この手の曲はすでにこの段階で完成していたことが分かります。この辺がコットンの「新しい」感覚だと思います。でもマーヴィン・ゲイの「ハウ・スィート・イット・イズ」はねぇ。歌いこなれてません。新しいものをやろうという気持ちは分かるんですが、この状態のものまでCDとしてリリースする必要はあるのかとちょっと疑問に思いました。余談ですがラストの「ユア・ソー・ファイン」、クレジットではウォルター・ジェィコブになってますが、これはファルコンズの方です。



The James Cotton Blues Band ; Pure Cotton ; VERVE/LILITH LR133 (2007. 9.10)

1968年にVERVEから出されたアルバムのストレート・リイシューです。でもこれロシア盤なんでしょうか。一応MADE IN EUとなってますが、帯や解説がロシア語だったりします。中身はフランシス・クレイのドラムや切れ味のいいルーサー・タッカーのギターに支えられ、少し「ラヴィング・カップ」などロックを意識したようなサウンドですが、この頃のコットンはハーモニカよりヴォーカルにウェイトをかけようとしていたようにも思います。「ベイビー」を連発する「サムシング・ユー・ガット」なんてのもありますし。でもそんな中、ずっとレパートリーとなる「ザ・クリーパー」、荒削りだけど格好いいなぁ。これを聴くと途中に「フライング・ホーム」のフレーズを入れようとしていることがはっきり分かります。



The James Cotton Band ; 100% Cotton ; BUDDAH/ONE WAY OUT OW 27670 Click Here!

James Cotton & His Big Band ; Live From Chicago - Mr. Superharp Himself! ; ALLIGATOR ALCD 4746 (2000.12.27)

1986年2月、シカゴでのライヴ。LPで持っていたものをCD化しました。バックは3管入りで、マイケル・コールマン(G)、ノエル・ニール(B)、レイ・アリソン(D)など、とにかく決めすぎるほどに決めまくるバンドをバックに、コットンが元気に吠え、吹きまくります。全体にドラムとエレピ、管の音が薄っぺらな録音なのが、時代を感じますが、良く練れたバンドです。選曲はストレートなブルースというより、結構ソウルフルなナンバーが多く、この時期のコットンらしいです。最後は「スーパーハープ」というだけあって、スピーディな「ザ・ミッドナイト・クリーパー」で締めます。コットンの場合、もっといいライヴがあるのですが、ファンとしてはこれもいいかなと思いました。



James Cotton Blues Band ; 35th Anniversary Jam ; TELARC CD-83550 (2004. 6.17)

2002年リリース。喉を痛めて歌えなくなったコットンがラッキー・ピーターソン、マリア・マルダー、タブ・ベノア、シュミーカ・コープランド、ロニー・ホウキンス、ケニー・ニール、シル・ジョンソン等豪華なゲストを集めて作ったアルバムです。出た当時はなんとなく買いそびれていましたが、改めて聴き直すと、コットン自身は元気にハープ吹いています。選曲はさすがにBUDDAH時代の曲が多く、生き生きしてますね。ベストトラックは、ジミー・ボーンのサザンビートがかっこいい「ロケット88」かな。シルの歌も適度に力が抜けてていいです。



James Cotton ; Baby, Don't You Tear My Clothes ; TELARC CD-83596 (2004. 6.23)

2004年リリース。前作に続き、ボビー・ラッシュ、マーシャ・ボール、オデッタ、ロリー・ブロックなど豪華ゲストが歌っています。選曲などは前作よりぐっとゆったりリラックスしたものが多く、C.J.シェニエの「レイニン・イン・マイ・ハート」なんてスワンプポップのノリですね。デレク・オブライエンのギターも好サポート。中にインストが何曲かありますが、勢いよりテクニックを楽しむ感じです。



James Cotton ; Giant ; ALLIGATOR ALCD4940 (2010.10.20)

2010年リリース。歌えなくなってからもコットンは精力的です。スラム・アレンをヴォーカルに据えたバンドでの本作でも、一音聴けばコットンと分かるハーモニカは存在感抜群。マディ・ナンバーにオリジナルをかませていますが、ファンキーな「チェンジ」がかっこいいです。シャッフルやスローよりこういった曲の方が歌も合ってると思うんですが。ラストに亡くなったココ・テイラーに捧げるブルースが入っていますが、ここでのコットンのプレイは気合い十分で、盟友に対する深い愛情を感じました。




James "Thunderbird" Davis ; Check Out Home ; BLACK TOP CD BT 1043 (2007. 9. 7)

1989年リリース。クラーレンス・ホリモンとアンサン・ファンダーバーグのギター、ロン・リーヴィーのオルガン、グレイディ・ゲインズにカズ・カザノフのホーンと、まさに当時のBLACK TOPのオールスター・バンドをバックに、ジェイムズ・ディヴィスは、時にボビー・ブランドを思わせるような節回しで歌います。でもディヴィスの声の方がブライトで癖がなく、タイトなバンドサウンドとうまくマッチしています。「チェック・アウト・タイム」なんてちょいとお洒落な小唄も交え、ブルーズン・ソウルな曲を見事に歌いこなしています。「カム・バイ・ヒア」ではホリモン節全開のギター、さらに三連の「ア・ケース・オヴ・ラヴ」ではなんとアール・キングの大股ギターも聴けて、ファンとしては嬉しいゲストです。



James Glass ; One Night Stand ; BROKEN GLASS CD-1001 (2006. 8. 7)

2003年のライヴです。デトロイトのギタリスト、ジェイムズ・グラスは、以前の印象だとロックとブルースのミクスチュアというイメージで、冒頭の「カレドニア」を聴くと明らかにアルバート・コリンズを下敷きにしたのが分かるんですが、なんというかクールなファンクを熱くやっちゃうってのがいいです。「マゴット・ブレイン」「ワン・ネイション・アンダー・ザ・グルーヴ」なんてP- ファンクの名曲を連発でやってるんですが、ジミ・ヘンドリックスが好きだろうジェイムズが前者をやるのは分かるとして、後者を、原曲の練り込まれたファンクネスとは異なる、スカスカの、でもどこかファンクネスを感じさせる演奏は面白いです。後半の「スクラッチ・マイ・バック」「フーチー・クーチー・マン」もなかなか個性的なんですが、ブルースベースよりローカルな味わいのファンクの方がB級C級好きの僕にはフィットしました。



James Harman Band ; Two Side To Every Story ; BLACK TOP CD BT 1091 (2005. 4.25)

1993年リリース。BLACK TOPものは中古屋で見つけたら片っ端から買ってるんですが、これもその1枚。同レーベルでのハーマンのデビュー作だと思います。しかしこの時点ですでに30年以上ものキャリアを誇るハーマンだけあって、サウンドは完成されており、余裕を感じる作品集となっています。中心となる曲は、シカゴマナーのブルースなんですが、サウンド的にはむしろ現在のウエスト・コースト・ハーピスト勢に通じる、音質にこだわったアンプリファイド・ハープやギターのサウンドで、スタンダップ・ベースの音色もよく効いています。そんな中冒頭の「マイ・リトル・ガール」はタブ・ベノアに通じるセカンドラインがかったリズムのファンキーなナンバーだったり、「ザ・クラウン」は落ち着いたジャズ風のブルースサウンドだったりと、遊び心も十分。「ドライヴ・イン・ライフ」あたりになるとファビュラス・サンダーバーズに通じるサウンドになってます。歌もうまく格好いいアルバムですね。P-VINEがBLACK TOPを再発するとか。是非彼のアルバムもそのカタログに入れてもらいたいものです。



James Harman Band ; Cards On The Table ; BLACK TOP CD BT 1104 (2002. 7.25)

1994年リリース。スヌークス・イーグリンが彼らの「ロック・ドクター」を取り上げているんで聴いてみました。いかにも南部のローカルバンドといった風情で、これといったインパクトはないんですが、確かな演奏技術とオリジナル曲で勝負しているのは好感がもてます。ファンクから軽快なロックンロールまで、ブルースの枠組みを思いっ切り広げた曲作り、分かるなぁ。モダン・シカゴブルース(例えばラッシュやマジック・サム)の影響を感じる曲もあるんですが、どことなくほんわかしているのがルイジアナかしら。



James Harman Band ; Black & White ; BLACK TOP CD BT 1118 (2007. 3. 6)

1995年リリース。ようやく手に入れました。ハーモニカとヴォーカルのジェイムズ・ハーマンが核となったこのバンド、確かなテクニックのハーモニカとヴォーカルのハーマンを、ドライヴ感のあるバンドが支えます。「ハリウッド・ガールズ」のうねりのあるミディアム・ロックンロールの気持ちよさは、キャリアの賜物だと思いました。スローの「ザ・フォー・クウェスチョンズ」の艶のあるヴォーカルと生ハープ、そしてスヌークスがカヴァーした「ロック・ドクター」は低重心のファンキーなブルースです。軽妙なタイトル曲や、ジュニア・パーカーを彷彿させる「リーヴィン・フォー・メンフィス」、そして遊び心のある「セカンド・ヴォヤージ・オヴ・ノアズ・アーク」と、聴き手を飽きさせない構成も見事。好盤です。



James Hinkle ; Straight Ahead Blues? ; BLUE RIGHTS CD1-10 (2005. 4.16)

2005年リリース。この人はテキサスでキャリアをスタートさせた人のようで、相当達者なギタリストです。ホロウボディ特有のふくらみのあるギターサウンドでスタートする「ママー・ジャマー」あたりのギターはかなり格好いいです。この人の歌はちょっと苦手ですが。カヴァー曲が中心ですが、選曲は相当渋めですね。アイク・ターナーやサニー・トンプソンの曲のような、R&Bの香りの強い曲がかなりはまっています。一方3曲ほどジャズをやっているんですが、こちらはフレーズから音色から完全にジャズギターマナーになってしまいます。それだけうまいってことなんでしょうが、僕はスヌークス・イーグリンやリトル・ジョー・ワシントンのように、どんなジャンルの曲をやっても誰と分かる個性のあるギタリストの方が好きですね。そういう意味では器用貧乏かも。



James Nixon ; No End To The Blues ; BLACK MAGIC CD 9045 (2002. 5.25)

2001年リリース。ナッシュヴィルを拠点にしているニクソンは、かつてジミ・ヘンドリックスのバンド・オヴ・ジプシーズにいたビリー・コックスらと活動を友にした経歴を持っています。まず魅力的なのはその声です。とにかく芯の通った輪郭のはっきりした声で、何を歌ってもいけそうな感じです。それに歌そのものがすごく上手いです。おかげで泥臭さを殆ど感じません。ギターもその声にマッチしたストレートなスタイルで、ジェィムズ・カーのようなサザンソウルを歌うと似合いそうです。曲はZZ・ヒルに通じるブルースナンバーがけっこうはまっていました。また土地柄か「スウィート・シング」という弾き語り+ハモニカの曲など、カントリーと言ってもいい感じなんですが、何の違和感もありません。むしろこうした曲が魅力を引き出しているように思い、気に入りました。清々しい印象のアルバム。



James P. Johnson ; Carolina Shout - Father Of The Stride Piano ; ASV CD AJA 5355 (2000.11.27)

1921〜49年録音。副題に惹かれて買ってしまいました。この人、ベッシー・スミスのバックなどですでに聴いたことがありましたが、まとまって聴くのは初めてです。ブルースというよりはずっと都会的な、ジャジーな演奏です。ストライド・ピアノは大体想像したスタイルでした。「大股」な左手に特徴がありそうです。ラグタイムよりぐっとゆったりした感じですね。中には「ブギウギ・ストライド」なんて曲(泥臭くないブギウギでした)や、そのものズバリのラグタイムもあって、いろいろ楽しめました。



James Peterson ; Don't Let The Devil Ride ; WALDOXY WCD 2809 (2005.10. 6)

1995年リリース。ジェイムズはラッキー・ピーターソンの父親ですが、顔つきや声もどことなく似ています。歌はソウルフルで、かなりファンキーな演奏に乗ってぐいぐいと引っ張っていきます。またギターは「イッツ・ソー・グッド」だけですが、クリーンなトーンでなかなか達者なソロを聴かせます。その他の曲では主にマイク・グリフィンとアンドリュー・トーマスという人がギターを弾いていますが、結構エモーショナルでヴォーカルと上手くマッチしています。スローブルースやバラードでも曲に負けない歌声で頑張っていて、好感がもてました。



James Peterson ; Preachin' The Blues ; WALDOXY WCD 2814 (2007. 1.12)

1996年リリース。冒頭のスロー、フレーズにいなたさは少しあるけど、伸びのあるギターサウンド、そしてソウルフルなヴォーカル、これを聴いていたら息子のラッキーを思い出しました。並べて聴けば違うのは明らかなんですが、こうして聴くとはっきり親子だなって思います。オルガンなども利かせてファンキーな曲あり、ソウルフルに歌い上げる曲ありと、全曲オリジナルで固めたこのアルバムは、かなりの意欲作と言っていいのではないでしょうか。今まで聴かなかったのがもったいないくらいです。決して手数は多くないけれど、音に魂を感じるギターも素晴らしいし、ググッとこちらに迫ってくるパワーを感じます。やっぱり血は争えないようです。



James "Son" Thomas And Walter Liniger ; Bottomlands ; ROOSTER BLUES/P-VINE PCD-5289 (2004. 6. 6)

1990年リリースのカセットに2曲ボーナスを加えてCD化されたものです。かなり前のP-VINE投げ売り通販で購入。ジミー・リード、マディ・ウォーターズからジミー・ロジャーズといったシカゴの巨人のヒットナンバーや、「キャットフィッシュ・ブルース」のようなデルタ・クラシック、さらにはトレイン・ピースと多彩なレパートリーを披露していますが、演奏はあくまでもドロッと、ちょっと突っかかるようなアコースティック・ギターと、深みと味わいのあるヴォーカルで、リニガーの巧みなハープを従え、普段着のブルースを聴かせています。思わずギターを取って弾きたくなりました。なお、「サザン・メモリーズ」はリニガーのハープ・インストで、「サマータイム」から「アメイジング・グレイス」までを見事なテクニックで吹いています。



James Wee Willie Wayne ; From Texas To New Orleans ; BAYOU 1004 (2003. 5.12)

もろに海賊盤といった作りで、詳細なデータはありませんが、1951〜61年の録音のようです。ウィリー・ウェインといえばスヌークスの「トラヴェリン・ムード」のオリジネイタとして知られ、それは1曲目に入っていますが、CDタイトルのように、スタイルをどんどん変化させていった様子が分かります。初期の録音では思いっ切りチャールズ・ブラウンやジョー・プラムに通じる粘っこい歌い方と曲なんですが、ニューオーリンズに行ってからどんどん甘くてゆるい歌に変っていきます。「Blues Records」を脇において、録音順に聴くと面白そうです。でも何といっても最高なのは「ジャンコ・パートナー」でしょう。



"The Sleeping Giant" James Winfield ; Lonely Lonely Nights ; SOUTHLAND SCD-38 (2007. 6. 8)

2005年録音。「眠れる巨人」と呼ばれるジェイムズ・ウィンフィールドはジャケットを見る限りベーシストのようですが、どっしりした声の持ち主で、タイトル曲を始め「ナウ・ユー・ノウ」「アイ・ウォンテド・トゥー・ロング」「アイ・ドント・テイク・イット・ソー・ハード」そして「ザ・シングズ・ザット・アイ・ユースト・トゥ・ドゥ」と三連系のバラードでいい味を出しています。一方「シック&タイアード」「ハレルヤ・アイ・ラヴ・ユー・ソー」などの曲もこなしますが、後者はかなりゆったりしたアレンジでレイジーにやっていて好感がもてました。でも何といっても素晴らしかったのが「プレシャス・ロード」で、力むことなく丁寧に落ち着いて歌い上げるその声にぐっと来ました。歌に対する愛情を感じさせます。こんな歌が歌えるようになれたらと思いました。



Jamsbee with Shun Kikuta ; Gyoza Blues ; YOTSHUBA no number (2007. 9. 8)

2005年リリース。宇都宮商工会議所公認のご当地ソング「餃子ブルース」4ヴァージョンが収められています。このファンキー・ブルース、スタジオ盤の2曲は菊田俊介のプレイシーなブルースギターが炸裂。3曲目はアコースティック、ラストは長尺のライヴですが、ここで菊田はスライドをプレイしています。ジャンビーの歌はちょっと耳につきますが、しっかりしたバンドサウンドで、菊田さんが共演したがる気持ちも分かります。しかしこの歌、耳に残ります。栃木に行きたくなっちゃいますね。



Janet Klein ; Come Into My Parlor ; COEUR DE JEANETTE PRODUCTIONS no number (2001.10.21)

こちらは1998年リリースのようです。コンセプトはきのう紹介したものと同じく1910年代〜30年代の小唄集ですが、これはほぼジャネット自身のウクレレ弾き語りです。歌の愛らしさがますます引き立つ感じで、思わずカミサンに薦めてしまいました。ウクレレはかなり達者、曲はいろいろですが、「バナナ・イン・ユア・フルーツ・バスケット」なんていうボーディ・ソング(これを歌うときの女性の気持ちって...)もあり、一筋縄ではないと思いました。ジャケットもレトロだし、憩いのひとときにBGMで流れていたらほっとするなぁ。



Janet Klein And Her Parlor Boys ; Paradise Wobble ; COEUR DE JEANETTE PRODUCTIONS no number (2001.10.20)

どうやら自主制作らしい(録音年は不明ですが、ごく最近だと思います)です。1910〜30年代の曲をウクレレ、スライドギター、バンジョー、ワッシュボードから曲によってはシロホンやアコーディオンまで加わったアコースティックなサウンドで奏でます。曲もハワイアン、ブルーグラス、ラグタイム、ジャグバンド風、さらにはクラシック・ブルース風とまさにグッド・オールド・アメリカン・ミュージックと言うか、ボードヴィル風味がたっぷりです。ハリウッドのエンターティナーらしいジャネットの歌は透明感のあるチャーミングな歌声で、カントリーフレイヴァとブルージーさが適度に混じり合った唄い回しはかなりのもの。録音も上質でパーカッションの音処理などはすこぶる現代的です。とにかく文章で説明するのがまどろっこしいほどの、魅力をたたえた作品。機会があればぜひ御一聴あれ。



Janiva Magness ; Blues Ain't Pretty ; BLUES LEAF BL 9816 (2007.10.16)

2001年リリース。ジャニーヴァは元々はデトロイト出身のようですが、現在は南カリフォルニアに拠点を構えて活動しています。キッド・ラモスやカーク・フレッチャーといった名手をバックに従え、落ち着いた声でブルースを歌っていて、なかなか好感が持てます。特にシャウトを多用せず、少しドスの利いた低音から、ふくよかな中音までを上手に使うブルース・シンギングは、ともするとジャニス・ジョプリンのように歌うことがブルースだと勘違いしている、多くの日本女性ヴォーカリストが学ぶべきところではないでしょうか。ジェイムズ・ブラウンやレイ・チャールズの曲を取り上げながら、いずれもヒット曲の影に隠れた渋いブルースを選ぶなど、センスも良く、これからちょっと注目したい人です。



Jason Frey & Travis Matte With Lagnlappe ; A La Vielle Maniere ; LA LOUISIANNE LLCD 1020 (2007. 4. 1)

2000年リリース。トラヴィス・マッテはアコーディオンを弾いてザディコもやるんですが、ここでは達者なフィドルを披露、きらびやかなジェイソンのアコーディオンと見事に絡み合っています。全体に牧歌的なケイジャンなんですけれど、あんまりゆるゆるな感じはなく、演奏そのものはかなりタイトです。やはり聴きどころは切れ味が鋭く多彩なフレーズを奏でるジェイソンのアコーディオンでしょうか。普段あまりケイジャンは聴かないんですが、ザディコとはまた違ったダンサブルなサウンドはかなり気に入りました。



Jason Ricci & New Blood ; Rocket Number 9 ; ECLECTO GROOVE EGRCD 502 (2007.12.24)

2007年リリース。ガツンと来るロックサウンドに、思いっ切りテクニカルなアンプリファイド・ハープが炸裂してます。上手さという点ではシュガー・ブルーより多彩かもしれません。サウンド作りはいかにもジョン・ポーターといった感じで、メタルほどゴリゴリにならない程度に抑えながら、ロック色を前面に押し出し、曲によってはギャラクティックのようなハネのある演奏も交えています。歌はちょっとパンクがかった投げやりな感じで、元々はガレージ出身なのかな。「ザ・ブロウ・ゾーン・レイヤー」ではJ.J.ミルトゥも真っ青なハイテク・ハープでインストを決め、「ザ・ウェイ・アイ・ハート・マイセルフ」では美しい音色のサード・ポジションのハープのイントロからちょっとわざとらしいけど、情感を込めた歌に繋ぐなど、上手い具合に魅力が出たアルバムだと思います。



JJ & The Zydeco Dogpound ; Brand New Feelin' ; ROAD DOG RDR-11121 (2008. 7.30)

2007年リリース。JJことジェリー・ジェイ・ガーロウをフロントに立てたバンドで、メンバーはガーロウ一家とフリーマン一家。ラフィエらしい典型的なファミリー・バンドのようです。ボタン・アコを用いたサウンドは典型的な新世代ザディコで、割合低重心。歌詞の中に「ワイキキ」なんて出てきますから、数ある地のバンドのひとつなんでしょう。演奏は頭抜けたものは感じませんが、十分踊れると思います。でも歌がどうもねぇ。なんだか音程が不安定で、ちょっと聴きづらかったです。




JJ Milteau ; Harmonicas ; DIXIEFROG DFGCD 8678 (2010. 1. 9)

1991〜99年録音。今やオしも押されぬコンテンポラリ・ハーモニカ走者の第一人者となったミルトゥの90年代名演集が3枚組で出ました。初期のジェイムズ・コットンに影響された強烈な「ブギ・ミックス」などのように、根っこはブルースにあるんですが、ジャズにも触手を伸ばし、またフランス出身ゆえでしょうか。ヨーロッパ風味の強い曲はもちろん、ケイジャンもやっています。カヴァー曲がまた素晴らしく、ディープな「ビリー・ジョーの歌」、そして超絶テクニックの「チキン」などは目から鱗です。最近の作品では歌のバックでいぶし銀のプレイをすることも多いですが、ここでは彼のソロプレイをたっぷり堪能できます。




J.J. Milteau ; Bastille Blues ; BSMF-2007 (2005. 7.14)

1999年リリース。ミルトゥはハーモニカを曲中で持ち替えながらブルースに限らず様々なタイプの曲をこなします。いきなりハウリン・ウルフの物まねをロック調にしたような「ル・ウフル」、続く「ブギー・ミックス」はジェイムズ・コットンが「ワマー・ジャマー」を吹いたようなサウンドで、ブルースに造詣が深いのがよく分かります。しかしそこにとどまらないのがミルトゥで、続く「レウニオン」ではクロマチックのリードをクリーンに鳴らすヨーロッパスタイルでデュエットしますし、フュージョンありジャズありと多彩なサウンドで飽きさせません。ピー・ウィー・エリスの「ザ・チキン」をこう格好良く決められちゃうと降参するしかないですね。



Jean Jacques Milteau ; Memphis ; SUNNYSIDE SSC3011 (2004. 5.18)

2001年録音。ミルトゥーはフランスのハーモニカ吹きですが、そのヨーロッパ人ならではの洗練されたスタイルを、ブラックミュージックの中心地のひとつメンフィスのサウンドに融合させたのがこのアルバムです。アンドリュー・ラヴを含むメンフィスのスタジオミュージシャン達をバックにした、軽妙なハープをタイトでイカしたサウンドで包んだインストの他、リトル・ミルトン、マイティ・サム・マクレーンといったヴォーカリストを擁した曲もあり、ミルトゥーのなみなみならぬブラックミュージックへの愛情を感じました。そんな中、カントリーテイストの香るハープと絡み合う、マイティ・モー・ロジャーズの歌う「ハート・オヴ・ゴールド」「シティ・オヴ・エンジェルズ」が特に気に入りました。



JJ Milteau ; Blue 3rd ; EMARCY 980 749 5/BSMF-2004 (2004. 5.29)

前作「Memphis」に続き、今度は2003年ニュージャージーでの録音です。ミルトゥの端正でクリアなハープは、こうしたしゃきっとしたリズム隊が良くにあいます。またギル・スコット・ヘロン、テリー・キャリア、ン・ダンビといった素晴らしいヴォーカリスト達をゲストに招き、その歌に絡みつくハーモニカは表情豊かで見事なコラボレーションとなっています。都会的なサウンドの中、ヘンリー・トーマスの「フィッシング・ブルース」を、ハワード・ジョンソンのチューバとのデュオでさらっと挟み込むあたり、彼の懐の深さを感じました。サウンド的には僕は「Memphis」の方が好みですが、いずれも完成度の高いアルバムです。



JJ Milteau ; Fragile ; UNIVERSAL 983559 8 (2006. 2.19)

2005年リリース。ヨーロッパのブルースハープ吹きとして、多分現在最高峰にあると思いますが、この新譜も彼の味を存分に活かした作品です。冒頭のタイトル曲からゆったりと、どこか哀愁を感じさせるふくよかなハーモニカのサウンドで魅了されますが、今回は女声ヴォーカルを入れて、「イッツ・ア・マンズ・マンズ・マンズ・ワールド」や「悪い貴方」「マイ・シェア」といった歌ものをやっています。低音を巧みに使うミルトゥのハーモニカに、どちらかというと低めで渋い声のデミ・エヴァンスやミシェル・ショックトの歌はうまくはまり、作品に彩りを添えています。超絶なテクニックより、いぶし銀のような大人のサウンドが味わえる佳作です。



JJ Milteau ; Soul Conversation ; DIXIEFROG/BSMF BSMF-2099 (2008.10.27)

2008年リリースのミルトゥの新譜は、ヴォーカルをかなり前に出した作品となっています。ミッシェル・ロビンソンとロン・スミスというふたりのソウルフルな歌い手を立てていますが、このふたりのゴスペル・テイスト溢れるコーラス・ワークと、ミルトゥの端正なハーモニカとのコラボレイションがなかなかはまっています。で、特にミッシェルの歌声、ジョン・ブッテを少し地味にしたような声質で、なかなか行けるんですよ。ストーンズの「無情の世界」とかかなり劇的にやっていますし、「ピープル・ゲット・レディ」もソウルフルでいい感じです。もちろんミルトゥのハーモニカは素晴らしいんですけれど、ヴォーカルを前に出すことにより、彼の味がかえって引き立っていると思います。かなり気に入りました。




Jean Knight / Barbara Lynn ; Bluesoul Belles Vol.2 - The TRIBE & JETSTREAM Recordings 1964-1976 ; WESTSIDE WESA 826 (2004.12. 5)

テキサスをベースに活動していたふたりの女性シンガーのコンピです。ジーン・ナイトはヒューイ・P.モーに可愛がられていたようで、結構芯のある声でバラードを中心に歌います。特にアーニー・K.ドゥの「テイント・イット・ザ・トゥルース」は張りのある声で印象的。でも僕はバーバラ・リンの方がより魅力を感じました。やや低めの声で歌う彼女の代表的ナンバーの数々は、時として本人と思われる、なかなか味のあるギターも絡んで、いかにもテキサスらしいローカル風味が魅力的です。「アイム・ア・グッド・ウーマン」何ていいなぁ。また時代を反映してMOTOWNサウンドを意識したりするのも面白いですが、1976年らしいファンキーな「ムーヴィン・オン・グルーヴ」も、ディスコに流され切らない味がたまりません。最近出たソロ作と聴き比べたくなりました。



Jeff Chaz ; In Exile ; JEFF CHAZ JCP 0003 (2006. 3.26)

2005年リリース。この人はニューオーリンズの非黒人ブルースマンのようで、クランチがたっぷり利いた粘り気のあるギターと、やや芝居がかったヴォーカルが特徴です。曲はブルースフォーマットながら、コード進行に工夫があり、ややフュージョンがかって聞こえる向きもありますが、なかなか面白いです。あとはこのヴォーカルが好きになれるかでしょう。かなり上手いんですが、僕にはちょっとわざとらしく聞こえてしまいました。



Jeff Lang ; Between The Dirt And Sky ; P-VINE PCD-93082 (2008. 2. 9)

2008年リリース。オーストラリアでは知る人ぞ知るスライド・ギターの名手、ジェフの日本独自編集ベスト盤です。1969年生まれと言いますからまだ30代。でもそのスライドの腕前は超がつくほどのもので、「1万2千マイル」のライヴ演奏で聴かれるフィンがリングとスライドのコンビネーションはすざまじいと言ってもいいくらい。曲はかなりロックっぽい曲が多く、アコースティックの良さとエレクトリックの良さを上手くミックスしたサウンド作りはかなりユニーク。またその髭面からは想像しにくい、かなり瑞々しいヴォーカルも僕は気に入りました。



Jeff Lang ; Half Seas Over ; ABC 5144271282 (2008. 6.28)

2008年リリース。この人の音楽をブルースの枠組みでくくるのは、明らかに違うなと思いました。むしろブリティッシュ・トラッドあたりを根っこに据えた、フォーク色の強いロック・アーティストと捉えたほうが実態に近いのではと思います。今作は特にアコースティックなギターの音色を生かし、例のハイテクなスライドはむしろ隠し味のように利かせながら、歌を全面に出してきました。そのハイトーンの、時折ファルセットを交えたような歌声は、時としてニール・ヤングを思わせる時もあります。リゾネイタのスライドに合わせて歌う「マイ・マザー・オールウェイズ・トーク・トゥ・ミー」等は確かにブルースのテイストが溢れていますが、それはひとつの要素。彼のユニークな音楽にまるごと身を任せていると、そのインテレクチュアルな世界が、言葉を越えて拡がってくる気がします。



Jeff Spence ; Rockin' Louisiana Man ; RABADASH RAB-009 (2002. 4.24)

1993年リリース。1曲目の乾いたスネアの音に耳を奪われました。1曲目のポップでキャッチーな楽曲は大いに気に入りました。ジェフはキーボード・プレイヤーでドクター・ジョンと憂歌団の木村充揮の声を足して2で割ったような感じで渋いです。2曲目以降は結構オーソドックスなブルースフォームの曲が多く、もう少し工夫が欲しいなとも思いましたが、曲によって思いっ切りセカンドラインしたピアノが聞こえてきたり、効果的にホーンが使われていたりと、良く練り込まれた感じです。ラストもニューオーリンズ色たっぷりで、やはりルーツの良さがにじみ出たアルバムです



Jeffery Broussard & The Creole Cowboys ; Keeping The Tradition Alive! ; MAISON DE SOUL MDS-1087 (2008. 2. 2)

2007年リリース。ジェフェリーはザディコ・フォースでのファンキーな印象のイメージが強かったんですが、このアルバムではアコーディオンの他フィドルまで入れたトラディッショナルなスタイルに挑戦しています。元々アコーディオンの腕前は折り紙付きですが、こうして伝統的なトゥー・ステップやワルツを奏でているのを聴くと、やっぱりそういったものから生まれてきた音楽なんだなって再認識します。ちょっとダミ声な歌良し、もちろんアコ良し、それにフィドルまでいける演奏で、ザディコ〜クレオール・ミュージックの入門編にいいかもしれません。かなり気に入りました。



Jelly Roll Kings ; Rockin' The Juke Joint Down ; EARWIG 4901CD (2001. 2.23)

1975年メンフィス録音。フランク・フロストのチープなサウンドのオルガン、ビッグ・ジャック・ジョンソンのビヤビヤギター、サム・カーのタイトというよりは独特のノリのあるドラム。これぞジェリー・ロール・キングスですね。歌はフロストの他ビッグ・ジャックも唄います。自作曲とカヴァーが半々くらいですが、ジュニア・ウォーカーで有名な「クレオズ・バック」には参りました。オクターヴ奏法を交えた、泥臭さと洗練された音が混然一体となる荒業!この辺が真骨頂かもしれません。感動するというよりはおもしろいアルバムと言うべきでしょう。



Jeremy & The Zydeco Hot Boyz ; The Thing About Love ; MAISON DE SOUL VMS-7008 (2003. 3.20)

2003年リリースの6曲入りヴァリューCDです。ジェレミーは15才、この他一部のサポートメンバーを除くと11才から17才までのもはや第4世代に近い超若手の活きのいい演奏です。アコーディオンとかちょっと不安定に聞えるところもあり、また全体に音作りがバタバテしてますが、こうやって若いうちからどんどん経験を積んで次世代が出てくるのが現在のザディコの活力の元なのかな。6曲と言わずもう少し聴きたかったな。ジョジョ・リードがリズムギターで参加。ところでベースのジェリー・ダグラスって、まさか?



Jeremy & The Zydeco Hot Boyz ; Gotta Find My Woman ; JERELEISA no number (2006. 4. 9)

2005年リリース。まだあどけなさが残るジェレミーですが、張りのある歌声といい、タイトでしっかりしたリズムのボタン・アコーディオンといい、前作のミニアルバムから大きく成長した姿をみせています。R.ケリーの曲などを取り入れて今の音楽への指向を示したり、クリス・アルドワンあたりからの影響を強く感じさせるタイトなオリジナルもあり、さすが新世代って感じなんですけれど、一方でブーズー・シェイヴィス、クリフトン・シェニエ、ジョン・デラフォースといった古豪達の曲を、結構オリジナルの風合いを残しながら演奏するあたり、やはり育ちの素性の良さを感じます。これはクリスなどにも言えるんですが、こうした伝統と新しいザディコの折り合いをどう付けていくのか、この辺が凄く興味深く、このジェレミーにも大きな期待を抱いています。次作が今から楽しみですね。



Jeremy & The Zydeco Hot Boyz ; Gold Hearted ; JERELEISA no number (2007.10.24)

2007年リリース。可愛い声で歌っていたジェレミー君もとうとう声変わりしました。軽快な指さばきのボタン・アコのプレイはさすが子供の頃から鍛えたものでダンサブル。また大人びた歌声もなかなかしっかりしたもので、ヒップホップ風にやったりと若手らしくしっかり新世代しています。全曲おそらくオリジナルというのも意欲的!あとは例えばクリス・アルドワンのようなはっきりとした個性が出てくると面白いんですけどね。



Betty Everett & Jerry Butler ; Delicious Together ; VEE-JAY/P-VINE PCD-4342 (2006.11.11)

1964年にリリースされたアルバムのストレートリイシューです。VEE-JAYというレーベルは僕の記憶に間違いがなければ、ビートルズの「ラヴ・ミー・ドゥ」をアメリカで最初にリリースして大ヒットをものにしたんだったと思います。つまり白人マーケットでも成功を収めたことがあるわけで、ビリー・プレストンのアルバムなどもかなりヒットを意識してるなと思いました。このアルバムも白人にも人気の高かったジェリー・バトラーとベティ・エヴェレットのデュオで、同じくデュオのヒットであるミッキー&シルヴィアの「ラヴ・イズ・ストレンジ」、シャーリー&リーの「レット・ザ・グッド・タイムズ・ロール」、さらにポップな「レット・イット・ビー・ミー」「アワ・ディ・ウィル・カム」など、結構ヒットを狙おうとしてるかなとも思います。でもカーティス・メイフィールドの「イッツ・オール・ライト」やジミー・リードの「エイント・ザット・ラヴィング・ユー・ベイビー」など真っ黒なレパートリーもあり、ラストの「フィーヴァー」などかなりの力作です。実力派が組めばこの位は軽いって感じでしょうか。



Jerry Douglas ; Best Of The SUGAR HILL Years ; SUGAR HILL SUG-CD-4026 (2008. 5. 4)

1992〜2002年録音。ブルーグラスを代表するドブロ・プレイヤーのリーダー作からのベストです。まあとにかく何やってるんだろうと思うくらいのテクニック、特に右手のピッキングと左手のスライドのコンビネーションが抜群で、聴いていてため息しか出ません。ソロ・プレイの「ア・ニュー・ディ・メドレー」はドブロのいいところを全部引き出したような演奏で、一番のお気に入り。「ヘイ・ジョー」はジミのヴァージョンしか知らないんですけど、それとは違った感じもあり興味深いです。でもウェザー・リポートの「バードランド」にはびっくり!スライドの音色の美しさに聴き惚れてしまいました。



Jerry Jaye ; My Girl Josephine ; HI HIUKCD 122 (2008. 3.29)

前半が1960年代後半、後半が1975年録音です。HIのロカビリアンと言っていいのでしょう。タイトル曲や「アイム・イン・ラヴ・アゲイン」のようなファッツ・ドミノ・ナンバーや、思いっ切りロカビリーしてる「モジョ・ワーキン」など、60年代の音はカントリーにブラック・ミュージックのエッセンスを加えた、ちょい悪な感じで面白いです。これが75年録音になるとちょっとロックしたまあ軽いカントリーになっちゃってます。気楽でいいんですけどね。



Jerry McCain ; Good Stuff ; VARESE VINTAGE VSD-6022 (2000. 7.26)

こちらは1999年リリースのコンピ。ファヴュラス・サンダーバードに取り上げられて有名になった?1960年の「シーズ・タフ」(タフ・イナフ)とそのB面のインスト「ステディ」が御機嫌です。僕のブルース・ハープの原点のひとりです。その後1970年録音では田舎のファンク(歌詞にJBとかいろいろ出てきます)をやったり、80年にはえらくロックっぽい演奏をしていますが、これは今一でした。86年録音では再び元気なハープが聴けます。時代に一所懸命に対応しようとする姿勢がほほえましいです。


Jerry "Boogie" McCain ; This Stuff Just Kills Me ; JERICHO 90005-2 (2000. 7.25)

2000年リリースの新譜です。このサザン・ハープの雄、元気です。ジミー・ヴォーン、アンサン・ファンダーバーグといった脂の乗り切ったギタリストの刻む御機嫌なサザン・ロッキン・ビートに乗って、ニュアンス豊かなハープといなたい唄を聴かせます。ベースにはリロイ・ホッジズの名前も。とにかく「今」のブルースの音です。現役ブルースマンとして、ジェリーは充分な実力と勢いを保っていることを感じました。来日して欲しいアーティストです。ときおり「フハハハ」と笑い声をはさむトレード・マークも健在!ハープ好きに限らず、皆さんにおすすめしたいアルバムです。


Jerry "Boogie" McCain ; Boogie Is My Name ; MUSIC MAKER MMCD34 (2004. 9.11)

2003年リリース。ジェリー・マッケインは元気です。タイトル曲の自己紹介ナンバーから、ラストのゴスペル・プリーチュアのようなコール&レスポンスが強力な「デーモンズ・オヴ・ザ・ボディ」まで、ジェリーのちょっとレイジーなヴォーカルとハーモニカが全開です。ドアのノックの音とか拳銃の音とかでいかにも芝居がかった「マイ・ニュー・ネクスト・ドア・ネイバー」、「シーズ・タフ」スタイルの「ビッグ・バット・セイラ」とジェリー節が堪能できます。スローナンバーでは眠くなるような雰囲気を出すなど情景感にも溢れ、バックの的確なサポートもあって素晴らしい作品になっていると思います。



Jerry Jeff Walker ; Mr Bojangles ; ATCO/RHINO R2 71518 (2004. 8.18)

1968年録音。アルバムタイトル曲は昔から好きな曲で、ニッティ・グリッティやサミー・ディヴィス・ジュニアのものはよく聴いたんですが、オリジナルを聴いてみたくなって買いました。J.J.の暖かみのある歌と、シンプルだけど安心感漂うバックで、やっぱり染みてきます。アルバムとしては思ったよりフォークロックな感じでした。カントリーがベースにあるんですが、意外としゃきっとしてますね。でもこの人の声、和むなぁ。



Jerry Lacroix ; Greatest Hits ; SPICE no number (2004. 7.17)

おそらく60年代後半〜70年代前半の録音ではないでしょうか。エドガー・ウィンターのバンドで歌っていたジェリー・ラクロアの名前を見て買ってしまいました。内容は1曲目の「ディス・イズ・ブルー・アイド・ソウル」そのもので、サム&デイヴ、エディ・フロイドなどSTAX系から、レイ・チャールズやMOTOWNまで、ソウルのヒットナンバーのカヴァー集です。この人の声、かなりテンションが高く、ライチャス・ブラザーズのような甘さや、ジョー・コッカーのような大仰さがなく、結構ストレートな歌い方で、ローカルのクラブあたりじゃ人気があったんだと思います。その分個性に欠ける面もありますが、BGMなんかで聴く分にはちょうどいいかもしれません。



Jerry Portnoy & The Streamliners ; Home Run Hitter ; INDIGO IGOCD 2026 (2010. 1. 4)

1995年リリース。ジェリーはこのアルバムをレコーディングしたときにはクラプトンのバンドで吹いていたと思います。ちょうど「From The Cradle」を出した後で、来日講演を見に行ったときにジェリーがいたのを覚えていますから。キム・ウィルソンを共同プロデュースに迎えたこのアルバムは、チャールズ・バームやブライアン・テンプルトンをヴォーカルに立てて、ジェリーが多彩なハーモニカを披露しています。「アイ・ドント・ノウ」を彷彿させる「チャージ・イット」などではゆるーいヴォーカルも披露。これが仲々いけますね。ハーモニカは多彩で、シカゴ・スタイルからムーディな「ミスティ」のインスト・テイクまで名手ぶりを存分に発揮しています。オリジナル曲が多いのも意欲を感じました。




Jerry Portnoy ; Down In The Mood Room ; TINYTOWN TTCD 2011 (2002. 5.23)

2001年リリース。ネット上でいろんなことをやっているということが話題になっていましたが、思ったよりブルージーなアルバムだなと思いました。確かにいきなりジャジーなホレス・シルヴァーの「ドードリン」から始まり、「ユー・ラスカル・ユー」「バードランドの子守歌」「センチメンタル・ジャーニー」などスタンダードもやっていて、トロピカルな「カリビアン・サンセット」まで出てきますが、全体にアンプリファイドしたハープがけっこう粘っこいので、いわゆるイージー・リスニングとは一線を画しています。「ソー・スロウ」なんてウォルター・ホートンの「イージー」みたいだし。あとバックのデューク・ロビラートのギターが変幻自在で、あるときはニューヨークのジミー・スプルーイル、またあるときはコテコテのシカゴブルースって感じでおもしろかったです。とにかくポートノイのテクニックは半端じゃないですが、それをひけらかしているというより、気に入った曲を楽しんでいるといったアルバムです。



Jerry Waddel ; A Night With The Blues ; TA TANKA no number (2001. 5.28)

2000年リリース。江戸川スリムさんの紹介で購入しました。僕より10才年上の白人で、ブルースというよりはロック系ですが、多分全曲オリジナルで、派手さはないけれど味わいのある演奏と歌を聴かせています。ギターは枯れたトーン(ジャケットに年季の入ったストラトが写っています)で、落ち着いたフレージングはキャリアを感じさせます。歌もけっこう張りのある声で、個性溢れる唄い回しが印象的です。ただ楽曲が全体に地味なのと、「これだ!」というキャッチーは見当たりません。しかしバックを含めた演奏技術の高さといい、こんな人がマイナーでごろごろしてるのかと思うと、アメリカってつくづく凄いと思います。



Jesse Fortune ; Fortune Tellin' Man ; DELMARK/P-VINE PCD-1893 (2002. 2. 2)

1992年録音。バーゲン品です。ジェシー・フォーチューンと言えば、USA録音の「トゥー・メニー・クックス」が有名(バディ・ガイの初期作品集などに収録)ですが、その後シーンから消えていたとのこと。そのカムバック作は白人ギタリストのデイヴ・スペクターのバンドでのものです。その「トゥー・メニー・クックス」はほとんどオリジナル通りの歌で、けっこう声の張りもありました。その他B.B.キングの曲を3曲やったりしていますが、悪くはないけれど印象にはあまり残りませんでした。バンドのインストも3曲あり、デイヴのバンドにジェシーがフューチャーされたって感じですね。デイヴのギターは達者ですがこれもインパクトは余りありませんでした。



Jesse James ; Jesse James Meets Clarence Ashe ; S.O.S. 1005 (2008.11.13)

ジェシ・ジェイムズは1943年生まれだそうですから60年代の録音でしょうか。それにしてはくぐもった音質の良くない録音ですが、歌は極めてディープです。CDには曲目以外何も示されていないので詳細は不明ですけど、1968年には20ST. CENTURY FOXからアルバムを出しています。一方クラーレンス・アッシュも同時代の人でしょうか。こちらはもっと良く分かりません。ハイテナーの伸びやかな声はラリー・バードソングとかをちょっと思い出してしまいました。バラッドが中心ですが、「エヴリシング・ハプン・トゥ・ミー」あたりになるとシカゴ・ソウルとかの感じに近くも思いました。詳しい情報が欲しいなぁ。




Jesse Thomas ; Easy In The Apple ; FEDORA FCD 5021 (2000. 6.29)

坂上二郎のような顔と、聴いたことのある名前と「アイコ・アイコ」に惹かれて買った1999録音。この人、ニューオーリンズ育ちですが、30年ニューヨークに在住しているシンガーです。初めて聴きました。内容はニューオーリンズ・クラシックのオンパレードで、おそらくN.Y.C.のクラブあたりでいつもやっているのでしょう。そつもスリルもない演奏と歌でした。楽曲の良さに救われましたが、取り立てて魅力的とも思いませんでした。


Jesse Thomas ; Lookin' For That Woman ; BLACK TOP CD BT-1128 (2000. 7. 5)

1995年にリリースされたもので、新録が中心ですが、1曲1929年の録音も入っています。bluemoonさんの推薦で購入。6.29付けのジェシーさんとは別人で、こちらは戦前から活躍しています。前半は達者なピアノと抑えの利いたアンプリファイド・ハープなどの素晴らしいサポートを得て、生き生きと唄っています。80才をゆうに越えているので、声はひなびていますが、あまり暗さは感じず、人生を達観したような明るささえにじみ出ています。一方ギター・デュオの曲は、哀愁を帯びていて、年輪を感じさせます。非常に聴きやすく、気持ちのいいアルバムでした。bluemoonさんに感謝!


Jessie Fuller ; San Francisco Bay Blues ; GOOD TIME JAZZ OBCCD-537-2 (2009. 2.19)

1963年、当時のフォーク・ブームに乗ってのアルバムでしょう。タイトル曲はELKOから出した頃の素朴な演奏とは異なり、しっかりした構成を持っています。多くのカヴァーを生んでいったのが分かりますね。その他「ミッドナイト・スペシャル」や「ジョン・ヘンリー」といった伝承曲を取り上げているのも時代の要請でしょうか。でもワンマンバンドのスタイルというイメージが強かったんですが、達者なスライドギターなど、かなり演奏力が高いなぁという印象を持ちました。




Jessie Mae Hamphill ; She-Wolf ; HIGH WATER/P-VINE PCD-5474 (2008.12.25)

1979年録音に1997年のものを加えて出されたアルバムです。ヒル・カントリーの伝統を受け継ぐ彼女のスタイルは、ハウリン・ウルフからの影響がくっきり出ているんですが、面白いのはその歌い方。すごく自然なんです。ハウリン・ウルフって言うとあのうなり声な訳で、ここでもそういうものが出ても不思議はないんですけど、どちらかというとさらっとした歌い方です。決して上手いとは言えない歌なんですが、なんか自然な感じでいいですね。ギターの方はかなり達者で、79年録音ではタンバリンだけをバックにしてます。中には1弦のディドリー・ボウを奏でる曲もあり、まるで鋸をこすってるみたい。チャーミングなルックスと、実に田舎臭い演奏のミスマッチ、生で見てみたかったな。




Jessie Tolbert ; Jessie T ; JESSIE TOLBERT no number (2001. 9.30)

正真正銘の自主制作盤。サウンドはややチープですがけっこうタイトで、時々色っぽい女性コーラスも入っています。ジェシーはとても個性的な声と歌い回しで、人間臭くブルーズン・ソウルを歌っているんですが、この人声がコンスタントにシャープしてるんです。コーラスとかがジャストチューンなのでちょっと苦手な響きになっていました。あとは曲とかバックにもう少し変化があると面白かったかもしれません。



Jim Wynn ; 1945-1946 ; CLASSICS 5043 (2002.11.29)

1908年テキサス生まれのサックスプレイヤー、ジム・ウィン率いるバンドの、西海岸における録音集です。4管のバンドをバックに、ルーサー・ルーパー、ピー・ウィー・ウィレイ、クラウド・トレニアといった歌手たちが歌います。演奏はジャンプバンドと言えますが、ゴリゴリな感じではなく、よりジャジーで小粋な感じです。やはり時代でしょうか、ジャイヴ感覚も感じますが、バンド編成の関係もあるのでしょうか、ルイ・ジョーダンほどの軽快さはありません。「ウィニン・ウィズ・ウィン」「ウィンズ・ブギ」などではかなりタイトなリズムの勢いのある演奏も聴くことが出来ます。ちなみにピー・ウィー・ウィレイの歌う「チェリー・レッド」、モロにエディ・ヴィンソンの影響を受けているんですが、より凝ったアレンジと構成になっています。まあそれがかえって歌の勢いを削いでしまっているとも思えますが。



Jim Wynn ; 1947-1959 ; CLASSICS 5070 (2004. 9. 6)

ジム・ウィンはロサンゼルスをベースに活動したサックス吹きで、T-ボーン・ウォーカーやジョニー・オーティス、さらにはジョージ・ハーモニカ・スミスなどとのセッションワークでも知られますが、これは彼がSPECIALTY、MODERN、SUPREME、MERCURY等へ録音した自己名義盤を集めたもののようです。初期のものはジャンプブルースと言えるんですが、西海岸らしいややポップでマイルドな感じがあります。ドラムのロバート・シムズが甘く歌う「P.S. アイ・ラヴ・ユー」とか、「ストレンジ・ラヴ」など、クラブのチークタイムって感じでしょうか。SUPREME時代は結構ワイルドなんですが、1954年くらいからぐっと音がタイトになってきます。やはりロックンロール前夜というか、SUNなどのサウンドの影響でしょうか。59年録音はロックンロールそのものですし。時代をよく映しています。



Jimi Bott ; Live Volume 1 Cheap Thrills ; ROSELEAF RL001 (2007.10. 7)

1987〜2004年の未発表ライヴ音源を集めたもののようです。ジミ・ボットは西海岸のブルース・ドラマーで、ロッド・ピアッツァやファビュラス・サンダーバーズ等で活動していた人。よく鳴るビッグでタイトなドラムは、西海岸ブルースのひとつのテイストに大きな役割を果たしていると思います。その存在感はライヴではひとしおで、1987年のジュニア・ワトソンから2004年のルーサー・タッカーの弾く「ピーター・ガン」まで、そのノリは基本的には変わりません。カーティス・スミスとマイク・シャーマーの弾き比べが面白い「フロスティ」、ロックなタイトル曲、ミス・ハニーのピアノが大活躍の「バンブル・ビー〜ザ・ナットロッカー」はビー・バンブルのオリジナルを彷彿させるサウンドが格好いいです。続く「シング・シング・シング」でのビッグなドラミングも聴きもの。名手と呼ぶにふさわしい人です。



Jimi Hendrix ; The Complete PPX Studio Recordings ; PPX/PSV 088-29802 (2001. 8.31)

1965〜67年録音。ドイツ編集の6枚組ですが、1枚あたりの収録時間が30分余りなので、浜松へのドライヴの過程ですべて聴き終えました。ほとんどがカーティス・ナイト名義の録音と思われ、カーティスのハイトーンのヴォーカルをジミが支えます。カーティス自体は僕はけっこう好きなタイプなんですが、録音のかなりの部分を当時流行っていたモータウン系のファンキーなナンバーが占めています。ライヴ録音も含まれていて、当時のシーンを垣間見る思いでした。その中で、やはりジミは非凡な才能を聴かせます。スローブルースではオーソドックスなブルースに従いながらも、随所にジミ特有の、畳みかけるような、あるいはややナーヴァスなフレーズを聴くことができます。また、アップなナンバーでは、特にバッキングで様々なエフェクタを駆使しながらのちのジミを予感させる音作りをしています。しかしこうして聴いてみると、ジミの、決して上手いとは言えない歌が、実はジミのサウンド作りに大きな意味を持っていることが分かりました。カーティスはそれなりに良いヴィーかルですが、やはりジミの場合は自身の歌とギターのコンビがより良いようです。



Jimi Hendrix ; Blues ; EXPERIENCE HENDRIX/MCA MCD 11060 (2000.11.29)

1960年代半ば〜おそらく70年くらいの録音。ジミ・ヘンドリックスのブルース集です。ブルースに新しいスタイルを与えるというよりは、「これが俺のブルースだ。どうだ、文句あるか!」といっているようなコンピです。なにか解放されている雰囲気を感じました。「レッド・ハウス」は一世一代のスローブルース名演ですね。でも他はユニークな解釈が施されており、ブルースのフォーマットから軽々と飛び出しています。ラストの「ヒア・マイ・トレイン・カミン」のエレクトリック・ヴァージョンの次に、オートリプレイのカーステの場合、1曲目のアコースティック・ヴァージョンが来るあたり、心憎い編集です。



The Jimi Hendrix Experience ; Are You Experienced? ; EXPERIENCE HENDRIX/MCA MCD 11608 (2000.11.23)

1967年のジミ・ヘンドリックスの代表作。「箱」を買う前に、基本は押さえようと、再発されたオリジナル・アルバムを買って聴いてます。ジミ・ヘンドリックスについては最近まで、スタジオ音源はベスト盤で済ませていたんですが、この作品は代表作が満載で、そういう意味では楽に聴くことができました。リマスタリングにより音質も向上、曲もぐっと増えています。ジミ・ヘンドリックスの一般的なイメージに最も近いアルバムなんでしょうね。歌はこうして聴くとボブ・ディランからの影響を強く感じます。曲は以後の作品の奔放さと比べると、やや画一的な感じがします。ブルースから距離を置きたい気持ちと、ブルースどっぷりなギターが拮抗した感じでそこが面白くもありますが。



The Jimi Hendrix Experience ; Axis: Bold As Love ; EXPERIENCE HENDRIX/MCA MCD 11601 (2000.11.28)

1967年録音の作品を30年後にリマスタリングしたもの。インド風のジャケットとかを見ていると時代を感じます。中身はトータル・イメージを考えて作られているようで、「Are You Experienced?」と比べると、凝ったスタジオワークです。冒頭の宇宙人へのインタビュー、パーラメンツはこれをパクったのかな?雰囲気とかよく似ています。その分楽曲はあまりライヴなどでやられていないようで、印象に薄いんですが、「リトル・ウイング」だけは別格!トリップ感も感じますが、それ以上に情緒的で内省的なジミの姿が浮かび上がります。曲によってはファンクなアプローチもあり、33年経っても新鮮に聴くことができました。



Jimi Hendrix ; First Rays Of The New Rising Sun ; EXPERIENCE HENDRIX/MCA MCD 11599 (2000. 9.29)

1969年〜70年に録音されたものをリミックスし、「Cry Of Love」などで出されていたものを再構成して1997年にリリースされたアルバム。音質の向上とリアリティはすばらしく、生々しいです。でもそれより、これはサイケデリックなロックというよりはファンクです。もちろんカントリーっぽい曲も合ったりするんですが、どろどろとうごめくファンクネスを感じます。エディ・ヘイゼルがジミに惹かれる気持ちが分かるような気がします。ギターのフレーズはけっこうオーソドックスなブルース色の強いもので、ヴォーカルはボブ・ディランからの影響を強く感じました。で、トータルに出てくる音はジミそのもの。若いうちにもう少しまじめに聴くんだったなぁ。



Jimmie Lee Robinson ; Chicago Jump ; RANDOM CHANCE RCD14 (2004.11.25)

1995〜56年録音。どうやらお蔵入りしていた録音が再発されたもののようですが、これ、相当いいです。ジミー・リーはどちらかというとやや投げやりな歌い方なんですが、これがウィリー・メイボンやチャールズ・ブラウンのナンバーに実にしっくり来るんです。曲はシカゴ・クラシックのてんこ盛りですが、バックのタイトでゴリっとした演奏がジミー・リーの持ち味をうまく引き立てています。タイトル曲は自作となっていますが、ジミー・スミスの「バック・アット・ザ・チキン・シャック」の改作。でもギターで演奏するテーマもなかなかいいものですね。



Jimmie Rodgers ; The Jimmie Rodgers Memorial Album ; BMG/COLLECTABLES COL-2700(DRCI-1433)/VIVID VSCD-1568(J) (2001.12.26)

1927〜30年録音。「ブルー・ヨーデル」は何度か聴いたことがあり、ギター、ヴォーカルともにデルタブルースに通じるものを感じていたんですが、こうしてまとまったものを聴くと、そうした面の素晴らしさとともに、ポップな感覚もあり、スチール・ギターやクラリネットなどをバックに入れた曲もあり、中にはディキシーランド・ジャズに通じる曲もあったりします。こうした幅の広さが逆にジミーのオリジナリティを高めていったんですね。ふと聴いた曲でロニー・ジョンソンを思い浮かべてしまいました。



Jimmie Vaughan ; Do You Get The Blues? ; ARTEMIS 504533 2 (2002. 4.13)

2001年リリースの、ブルカニでの来日が待たれるジミー・ヴォーンの新作です。控えめなジャケット写真の表情と同様、このアルバム、ギタリストのものとしては拍子抜けするくらい派手さのないものですが、まさに「いぶし銀」と呼ぶのにふさわしい、存在感のあるジミーのプレイが素晴らしいです。この練り込まれたサウンドと、ちっとも弾きすぎず、一音一音と音の隙間を大切にするフレージングのギター、ジミーって本当にブルースを弾くことを楽しんでいるのがよく分かります。ヴォーカルも地味ですがなかなか巧みで、チャーミングなルー・アン・バートンとの絡みもありこちらも魅力たっぷりです。曲はオリジナル中心で、こちらも渋い曲が多いんですが、なぜか2回目を聴きたくなるアルバム。



Jimmy "Bean" Ballero ; The Louisiana Night ; RBM no number (2004. 4.12)

2002年録音。ジミー・バレロはニューオーリンズをベースに活動するギタリストで、バックにはマーク・アダムズ、ジョン・ヴィダコヴィッチ、さらにゲストにディーコン・ジョンとレジー・ヒューストンが加わるなど豪華メンバーが参加してます。ちょっとJ.J.ケイルを思わせるひなびて緩やかなヴォーカルと、ルイジアナ独特のユル〜イ感覚の曲調が絶妙にマッチしています。ヴィダコヴィッチもシンプルでとっても乾いたドラミング、でも曲によっては流石の跳ね方をしてます。ギターは派手さは無いですが端正で、ブルースナンバーでも弾きすぎないけど印象的なフレーズで聴かせます。何だかほっとできる好盤でした。



Jimmy Burns ; Leaving Here Walking ; DELMARK/P-VINE PCD-23665 (2006. 1.25)

1996年リリースのアルバムの再発です。エディ・バーンズの末弟のデビュー作で、一応はシカゴブルースなのかなって聴いていると、そうは一筋縄でいかないアルバムです。ロッキン・ジョニーやショウ小宮のバンドサウンドは確かにシカゴのクラブ叩き上げって感じ、本人のギターもシカゴマナーなんですが、ヴォーカルがぐっとスムーズでストレートなんです。それもそのはず、この人、ブルースやる前にソウルを歌ってたんだそうです。ブルースでの癖のないヴォーカルも好感がもてるんですが、リトル・ウィリー・ジョンの「トーク・トゥ・ミー」での優しさ溢れる歌声にはぐっと来ました。やや地味ですけど魅力的な人です。



Jimmy Burns ; Back To The Delta ; DELMARK DG-770 (2003.11.21)

2003年リリース。ジャケットを見る限り初老といってもいい雰囲気なんですが、1曲目のタイトル曲は、どこか初期のロバート・クレイのようなサウンドで、ちょっと意表を突かれました。他の曲はスライドプレイも交えたダウンホーム的なアプローチなんですけど、えらくギターの音がクリーンで、歌も朗々とした感じなんで、何かイメージと違う印象を受けました。すっきりして破綻のない演奏と言えるんですが、何か僕の胸に訴えるものに欠ける感じを受けました。よそ行きでかしこまっているみたい。



Jimmy Burns ; Live At B.L.U.E.S. ; DELMARK DE 789 (2007. 3. 3)

2006年の録音です。ジミー・バーンズはどちらかというとおとなしめの印象ですが、このアルバムも同様で、ブルースというよりはロックのようなシンプルなコードワークギターをバックに、じみながら落ち着いた歌を聴かせます。ギターも結構控え目な感じで、秘めたるエネルギーは感じますがそれが前に出てこないんです。面白いのは相棒のトニー・パーマーのギターで、ソロのフレーズなどブルースというよりはサザンロック、聴いていてディキー・ベッツを思い出してしまいました。途中ジェシー・フォーチューンがゲストで歌いますが、ずいぶん大仰な歌い方でちょっとがっかり。映像も出るようなのでそっちを見ると少しは印象が変わるかもしれません。



Jimmy Carpenter : Toiling In Obscurity ; JIMMY CARPENTER no number (2009. 3.16)

2008年リリース。いきなりラテンフレイヴァーたっぷりの曲からスタートしますが、基本はブラック・ミュージックにあると思います。時にはジャジー、、時にはファンキーな曲をバックに、ジミーの黒々としたサックスが鳴り渡ります。でもやっぱりニューオーリンズらしいブラスバンド風味の「バック・バイ・ザ・リヴァー」が好きだなぁ。クレイグ・クレインが参加してます。ストーンズのバラード「シャイン・ア・ライト」を歌ったりしてますが、ヴォーカルはちょっと線が細いか。




Jimmy Cliff ; Best Of Jimmy Cliff ; ISLAND/UNIVERSAL UICY-2549 (2002.10. 1)

愛車の宣伝に「メニー・リヴァー・トゥ・クロス」が使われていて、それこそ四半世紀ぶりくらいにこの人をまともに聴きました。この人、本当に歌がうまいです。歌詞はかなりハードなものもある感じですが、演奏はそれほどアグレッシヴではありませんが、ジミーの歌は空間を支配するように響きます。優しさ、強さ、悲しみ、そして憂いを感じるハイトーンに痺れました。演奏はストリングが入ったりしてソフィスティケイトされたものもありますが、ゆったりしたリズムに細かいギターの中音弦の刻みが入る感じに、時折ゾクッと来ました。今まであんまりレゲエを聴かなかったんですが、結構好きかも。とにかくベスト盤ですから外れようがないんですが、それにしても素晴らしい歌、満腹です。



Jimmy "Duck" Holmes ; Done Got Tired Of Tryin' ; BROKE & HUNGRY BH13004 (2007.12.18)

2005年と2006年の録音です。いきなりスキップ・ジェイムズの「チェリー・ボール」をハイノートな歌でぶちかましてくれますが、これがなかなかいけます。演奏はギターに曲によってドラムやハーモニカが加わると行ったシンプルなもの。オリジナルのデルタ風味たっぷりのブルースはなかなか味わいがありますし、大定番の「キャットフィッシュ・ブルース」もゆったりしたアレンジで、デルタの伝統を見事に受け継いでいます。こんな人たちが南部のジューク・ジョイントで歌ってるんでしょうね。まだまだブルースはリヴィング・ミュージックなんだなと思いました。



Jimmy "Duck" Holmes ; Back To Bentonia ; BROKE & HUNGRY BH13001 (2006.12.29)

2006年リリース。タイトルからしてこりゃスキップ・ジェイムズかなと思っていたら、いきなり冒頭の「アイド・ラザー・ビー・ザ・デヴィル」からマイナーチューニングですからモロです。どこか寂しげなヴォーカル、ひなびたギターとスキップの雰囲気をきっちり引き継いでいますが、真似ているというよりはダックならではの個性になっています。[ハード・タイムズ」ではギターとのユニゾンで声を張り上げ、ドロッとしたロウダウンなタイトル曲など、ホーボーものと言えるのかもしれませんが、すごくリアリティを感じさせるブルースです。数曲ドラムにサム・カーが加わり、ハーモニカにバド・スピアーズが参加した曲もあります。ヒル・カントリーの一連のサウンドに通じるものもあるんですが、最近のFAT POSSUMのようなわざとらしさはなく、ロバート・パーマー健在の頃の現場の音をそのまんまとらえる感じが出ていて、好感が持てました。



Jimmy Dawkins ; Fast Fingers ; DELMARK DD-623 (2005. 2.17)

1968〜69年の録音で、これがデビュー作でしょうか?ドーキンスはオーティス・ラッシュ初来日時の「弾きまくり」以来、やや低人気なんですけど、この若い時代の音はなかなか来るものがあります。エディ・ショウやマイティ・ジョー・ヤングといったマジック・サムの「Black Magic」と同じようなメンバーのサポートを得、エネルギーを引き出すプロデュースがされています。歌をサムと比べちゃうのは酷なんですが、かなりクランチの効いたギターは迫力があり、今聴き直すとその力強さはかなりのものです。タイトルほど弾きまくっているわけでもなく、志のようなものを感じました。



Jimmy Dawkins ; West Side Guitar Hero ; FEDORA FCD 5022 (2002. 3.15)

2002年リリースの新譜です。ジミー・ドーキンスって言うと、日本じゃ「弾きまくりギター」が敬遠される向きがあるんですが、「オール・フォー・ビジネス」なんて名曲も残しています。さてこのアルバムでのジミーは、しっかりとギターを泣かせています。時折外したような音を出しますが、なかなか個性的なフレーズもあり、入魂の一作という感じです。ヴォーカルの方も音程が不安定な面はありますが、これも気合いを感じます。でも何か僕の心に届いてこないんです。悪い印象はないけれど、インパクトもないんですよ。僕に合わないのかもしれません。



Jimmy Dawkins ; Tell Me Baby ; FEDORA FCD 5032 (2004. 3.22)

2004年の新譜です。今作はパリス・スリムことフランク・ゴールドワッサーのギターなど手堅いバックがしっかりしたサウンドで支え、ジミー自身も伸び伸びやっているように思えます。大まかなフレージングかと思うと手癖のようなたたみこみをみせるギター、情が高まっていくと若干シャープするヴォーカルなど、リアルなジミーを捉えてはいます。後はこれが好きかどうかという問題なんですが、僕は苦手ですね。あんまりテンションも感じないし、若い頃のギターの方が弾きすぎのきらいはあったけれど僕には合うみたい。



Jimmy Hughes ; Steal Away ; VEE-JAY/P-VINE PCD-4314 (2007. 1.17)

1964年にリリースされたアルバムのリイシューです。初期のフェイム・スタジオで吹き込まれた作品が中心で、まだ後のカントリー・テイストたっぷりと言ったサウンドは確立されていませんが、彼の代表曲であるタイトル曲や、ビッグ・ジェイ・マクニーリーの大ヒットのカヴァー「ゼア・イズ・サムシング・オン・ユア・マインド」あたりにその片鱗を感じることができます。そしてこの曲やジェイムズ・ブラウンの「トライ・ミー」などを聴くと、結構JBの影響も受けてるんだろうなと感じました。一方アップナンバーはかなりポップな味付けが施されていますけど、これも彼の代表曲のひとつとなった「ネイバー・ネイバー」などは格好いいですね。全体に若さを感じる歌ですが、従兄弟のパーシー・スレッジよりはずっとうまいなと思いました。でも曲順がオリジナルジャケットそのままのジャケ裏はともかく、帯まで間違ってるのはちょっとねぇ。



Jimmy Johnson & Luther Johnson Jr. ; Ma Bea's Rock ; STORYVILLE STCD 8050 (2001. 8.27)

1975年秋録音のライヴ。ジミーとルーサーが共演しているわけではありません。ジミーは持ち前のハイトーンで伸びのある歌を聞かせていますし、ギターもセミホロウの割には腰のあるソリッドなサウンドです。アンドリュー・オードムも渋い声を何曲か聴かせています。一方のルーサーはいろんなスタイルで演奏するんですが、ちょっと「器用貧乏」にも思えます。ジミー・ドーキンスが抑制の利いたギターを聴かせているのがちょっと意外。良くも悪くも当時のシーンを残してくれる作品です。



Jimmy Johnson ; North/South ; DELMARK DD 647 (2006. 5.23)

1982年録音。ちょうど「Living Chicago Blues」の直後くらいにあたりますから、新しいブルースのスタイルを模索している時代と言えるかもしれません。ちょっとファンキーなサウンドに、ジミーのハイトーンな歌を載せるスタイルで、ギターも気持ち良く弾いています。でも、レーベルのせいなのかな。ALLIGATORでの録音より何かこじんまりしているように思いました。ジミーはマイナーレーベルではそれこそB級ファンクと言ってもいいようなヒップな作品を出していたんですけど、ここではそうした面は影をひそめちゃってます。きっちりプロデュースされているんですが、それが魅力的かっていうと、ちょっと物足りないなぁ。



Jimmy Johnson ; I'm A Jockey ; VERVE 314 521 586-2 (2008. 3. 9)

1994年リリース。軽快な「ザッツ・ウィル・ネヴァー・ドゥー」でスタートするジミー、かなり快調だと思います。ハーモニカにビリー・ブランチ、オルガンにラッキー・ピーターソンを従え、ご機嫌なバックに乗ってギターも歌もよく歌っています。ハイトーンな声が生える「アズ・ザ・イヤー・ゴー・パッシング・バイ」は、アルバート節でないこの人らしい解釈で気に入りました。「イン・ザ・ミッドナイト・アワー」とか「エンジン・ナンバー9」なんてウィルソン・ピケット・ナンバーにも挑戦していますが、こちらはちょっと無理があるかな。やっぱりラストの「ヤンダー・ウォール」で決まりでしょう。



Jimmy & Syl Johnson ; Two Johnsons Are Better Than One! ; EVANGELINE GEL. 4028 (2001. 9.13)

2001年リリース。この兄弟って共演盤はひょっとした初めてかな?マック・トンプソンもたしか兄弟だったような気がします。コーラスはなく、曲によってメインを取るか、交互に唄うかって感じで、息のあったところは別に感じませんでした。シルは相変わらず素晴らしい声で存在感があります。一方ジミーの方はハイトーンなんですが、声の張りが少し足りないようです。シルの曲の方が印象に残りました。シルのバックでジミーがギターやキーボードを弾くスタイルに統一した方が、より焦点が絞れたような気もするんですが。



Jimmy King ; Live At Monterey ; BULLSEYE BLUES & JAZZ 11661-9612-2 (2002. 6.22)

2002年リリースの新譜で、1999年モンテレイでのライヴ録音です。フライングVを使ったり、「ドント・バーン・ダウン・ザ・ブリッジ」などを取り上げているので、ゴリゴリのアルバート・キング・フォロアかと思いましたが、かなりギターを弾きまくる感じで、ロック的なアプローチが随所に見られ、世代の若さを感じます。でもフレージングは大きいので、それほど疲れません。むしろヴォーカルの方にアルバートの影響を感じました。圧巻は11分にも及ぶアルバート・キングの隠れた名曲「ドロウニング・オン・ドライ・ランド」で、ギターがよく歌っています。ヴォーカルの抑制の効き方と、ギターの熱さのコントラストが心地好く、ライヴならではの興奮が伝わってきます。



Jimmy LaFave ; Texoma ; BOHEMIA BEAT 65223-0010-2 (2001. 3.17)

2001年リリース。1曲目の粘っこいスライドの絡むブルージーな曲での、口の中に綿を詰めたような唄い方を聴いて、随分癖を感じましたが、2曲目の「花のサンフランシスコ」の、ケルト風味を感じるフォーキーなアレンジを聴いて、納得しました。ピアノと生ギターの奏でる透明感のあるサウンドをバックに、言葉をひとつひとつ噛みしめるように唄うバラッドやフォーク系の曲に、この人の持ち味を見ました。僕が日ごろ聴かないタイプのサウンドですが、妙に心を揺さぶります。味があるんです。カントリー調の曲、ロックンロールも楽しいんですが、ちょっと軽い感じ。ブルース系の曲はテキサス風味を感じ、この人の音楽的なバックボーンを感じさせます。ウディ・ガスリーやプレスリーに思いをはせ、アメリカ各地を歌い込む姿に、現代のホーボーを見てしまうのは僕の勝手な思い過ごしでしょうか。



Jimmy Lewis ; Still Wanna Be Black ; HOTLANTA/KENT CDKEND 153 (2002. 6. 7)

1974年のアルバム「Totally Involved」に未発表曲を追加したものです。W.C. クラークが「ハウ・ロング・イン・ア・ハートエイク・サポーズド・トゥ・ラスト」を熱唱していたので、その原曲に興味があって買いました。時代から考えると、ぐっとルーズな、南部を感じさせる演奏をバックに、ジミーは少ししゃがれたような声で歌います。どちらかというと熱唱というよりは、語りかけるような歌い方が印象的ですが、要所ではぐっと声が出て来ます。オーティス・レディングのぐいぐい来る感じとも、アル・グリーンのとろけさせるような感じともまた違った、でも男の色気を漂わせる歌で、当時の女性はけっこう参ったんじゃないかな。ちらちらとサム・クックの影響を感じたんですが気のせいでしょうか。



Jimmy "Baby Face" Lewis ; 1947-1955 ; BLUE MOON BMCD 6028 (2003. 1.25)

BSRの年間ベスト10でかなり話題になっていたりイシューです。この人のギターはフロイド・ディクソンの「ヘイ・バーテンダー」のバックで聴いたくらいしか印象になかったんですが、40年代にはかなりアグレッシヴなプレイを聴かせます。はみ出してる感じが面白いです。それより良かったのがヴォーカル。吾妻さんとか好きそうな感じですね。勢いがあるし、歳が増すにつれ声に磨きがかかっていき、甘みが増してます。その分ワイルドさが影を潜めていくのがちょっと寂しい気もしましたが、「チェリー・ワイン」なんて景気が良くていいな。ヴォーカルもギターも元気いっぱい!ベストトラックだと思いました。



Jimmy Liggins & His Drop Of Joy ; Saturday Night Boogie Woogie Man ; SPECIALTY/P-VINE PCD-1918 (2000. 6. 5)

1947〜53年の録音。中古で購入。このジョー・リギンズの弟ジミーは、LPで聴いていたんですが、改めて聴き直すと、これ、好きです。兄よりワイルドでドライヴ感の強いバンドの下、ラフで、時にはしゃべるようなジミー、歌が上手いとは言い難いですが、押しの強さが光ります。「キャデラック・ブギ」はおそらくジャッキー・ブレンストン(あるいはアイク・ターナー)の「ロケット88」の元歌だと思われる御機嫌なロッキン・ブギ。一方タイトル曲はエイモス・ミルバーンの「チキン・シャック・ブギ」のパクリ、「ドランク」はスティックス・マギー「ドリンキン・ワイン..」のメロを頂戴してるなど、オリジナリティはいまいちですが、野趣な魅力がたまりません。ある意味でロックンロールです。


Jimmy McCracklin ; 1945-1948 ; CLASSICS 5062(2003. 7.13)

これは嬉しいリイシューです。マクラックリンの初期録音は今まで聴いたことがなかったんですが、ジミー・ニコルスのテキサス〜カリフォルニアらしい広がりのあるピアノをバックに歌うGLOBE盤、フルソンの初期録音を思わせるディープさです。声の質も似ており、並の歌い手でないことを痛感しました。1946年からはピアノも演奏するようになりますが、かなり豪快なタッチで、押し出しの強いブギウギなどに荒削りながらパワーを感じます。バンドも徐々にR&Bの洗礼を受けていく様子が分かり、その辺りの変化もよくたどれます。



Jimmy McCracklin & His Blues Blasters ; The MODERN Recordings 1948-1950 ; ACE CDCHD 720 (2000. 2.22)

マクラクリンの比較的初期の録音集。新譜で購入。P-VINE の「Jumpin' Bay Area 1948-1955」と幾分ダブるけど、未発表も多く、この時代のボブ・ゲディンズ録音らしいざわついた場末っぽさが好きです。でもマクラクリンていい声してるのに、日本では評価低い気がしますよね。ギターじゃないからかなぁ。ピアノも特段テクニカルじゃないし。でもパワフルでいいと思うんですがねぇ。


Jimmy McCracklin & His Blues Blasters ; Blues Blastin' - The MODERN Recordings Volume 2 ; ACE CDCHD 993 (2004. 4.27)

1954〜55年の録音で、未発表も8曲収録されています。ラファィエット・トーマスの時としてはみ出しちゃうくらいのアグレッシヴなギターをバックに、ジミーはどっしりしたピアノを弾きながら、でも軽妙に歌っていきます。やっぱりフルソンと凄く共通点のある声質や歌い回しですが、ジミーの方が泥臭さが少なく、ブルーステイストの強い曲が中心ながら、洗練されたものも感じます。終盤にはジェリー・トーマス(ラファィエット・トーマスのことです)、ジョニー・パーカー、ベイビー・ピー・ウィー・パラム名義が2曲ずつ入ってますが、特にパラムはぐっといなたい感じ。



Jimmy McCracklin ; The MERCURY Recordings ; MERCURY/BEAR FAMILY BCD 15558 (2000. 6. 3)

1958〜60年の録音集。中古で購入、これは掘り出し物でした。この時代は CHESS で「ザ・ウォーク」のヒットを出した後で、元気いっぱいです。ダンス・チューンが多いのは、当時のマクラックリンのスタンスをよく表しています。この辺が日本での人気がいまいち出ない理由かもしれませんが、全米各地を回り、さぞかしもてたんだろうなと思わせる演奏です。ただ、MERCURY 録音は、他のアーティストにも言えるんですが、少し上品な感じがします。もう少しワイルドなら言うことなし!


Jimmy McCracklin & Paul Gayten ; Roots Of Rhythm & Blues ; CHESS/ROOTS RTS 33023 (2001. 2.26)

ジミーの方は1957〜62年、ポールのものは1954〜59年の録音。タイトルでいうよりは遅い時期の録音で、むしろR&Bとロックンロールが分化していった、いわば爛熟期ともいえる時代の、かなり肌合いの違うキャラクターのカップリングです。ジミーの方は以前CHESS on P-VINEでLP化されていたアルバムとほぼ同内容(CD化されてない曲が2曲ありますが)で、嬉しいCDです。大ヒット「ザ・ウォーク」(フレディ・キングの「ハイダウェイ」にリフがパクられたのは有名)および、同系統の曲、さらにウィリー・メイボンに通じる曲もあり、フルソンに通じる唄い回しながら、よりR&Bよりのセンスを十分に発揮します。ラファエッット・トーマスのギターも要所で光ります。一方ポールの作品は「Chess King Of New Orleans」(CHESS/MCA CHD-9294)と収録曲が同じです。こちらはいかにもニューオーリンズといった、ウィットに富んだ楽しい曲が目白押しです。でも、ROOTSのCHESS音源、一応1990年当時のライセンスは明記されているんですが、今はMCAに権利がいってるはずですよね。これって「新古盤」かしら。



Jimmy McCracklin ; Best Of The IMPERIAL & MINIT Years ; STATESIDE 7243 5 79986 2 8 (2008. 7. 9)

1963〜67年録音。"The Walk"の大ヒットを出したCHESS時代の後になりますが、その再録からスタート。徐々に音がファンキーになっていきますが、これは時代の要請もあるでしょうが、マクラックリンのセンスでもあったんでしょう。この時代初期は代表曲「エヴリ・ナイト・エヴリ・ディ」「ジャスト・ガット・トゥ・ノウ」「シンク」などのブルージーな曲が主でしたが、後期はノリのいい「ゲット・バック」、自身が作ったローウェル・フルソンの「トランプ」に通じる「スティンガー」や「ドッグ」など、ファンキー路線を突っ走ってます。特に西海岸ではフルソンとマクラックリンがシーンをリードしてたんではないかというのがよく分かります。しかしこのアルバム、CCCDなのよね。リイシューものでそれはないでしょ!



Jimmy McCracklin ; My Story ; BULLSEYE BLUES CD BB 9508 (2002.10.15)

1991年リリース。西海岸のブルースは凄く好きで、この人も大好きな人のひとりなんですが、このアルバムは最近入手しました。ニューオーリンズ・セッションとカリフォルニア・セッションに分かれていますが、前者にはアーマ・トーマスが参加、しかもリズム隊がアーヴィング・チャールズ(スヌークスの新譜でもベース弾いてました)と、ハーマン・アーネスト!のドラム、これにウェイン・ベネットの特徴的な細かいフレーズのギターが絡むんですから、御大の余裕のヴォーカルもあって大満足です。1曲ものアーマとのデュオ「トゥモロー」ですでにノックアウトです。他方カリフォルニア・セッションではピアノも弾き、「アフター・アワーズ」なんて大スタンダードをやってますが、パワフルでいい意味大まかなマクラックリンらしい演奏です。サックスはピー・ウィー・エリスだったりするのも豪華ですね。



Jimmy McGriff ; McGriff Avenue ; MILESTONE MCD-9325-2 (2003. 3.30)

2001年録音。いきなり代表曲「オール・アバウト・マイ・ガール」の再演から始まりますが、冒頭から御機嫌なプレイが続きます。ベースが入りリズムが強調されていて、特にJB風のファンキーなタイトル曲などではその編成が成功しているように思います。メルヴィン・スパークス・ハッサン、ロドニー・ジョーンズの達者なギター、バーナード・パーディのクールなビートなど聴き所も多く、ブラスも入りまとまっていて聴きやすいです。「ディザーテイション・オン・ザ・ブルース」では一瞬「クール・ストラッティン」かと思うテーマも飛び出し、かなり印象的。



Jimmy "T-99" Nelson ; Cry Hard Luck ; ACE CDCHD 976 (2004. 7. 3)

1952〜54年のRPM録音に1961年のKENT録音を加えたコンピです。ジミーはサブネームにあるように、ピーター・ラビット・トリオと吹き込んだ「T-99ブルース」が代表曲で、ここにもそれは収録、例の「ティー・ナイン・ティー・ナインティナイン」というコーラスを聴くことができますが、他の作品ではロイ・ブラウンをあっさりしたような力強いシャウトを聴くことができます。スローは独特の気だるさがあって、西海岸らしい余裕を感じます。1961年録音はちょっとファッツ・ドミノの影響を受けたような曲調で、さらに軽く歌います。これはロックンロールの洗礼を受けた時代の変化がそうさせたんでしょうね。



Jimmy Nelson with Arnett Cobb & The Mobb ; Sweet Sugar Daddy ; P-VINE PCD-1620 (2000. 5.24)

ジミー・ネルソンといえば、「T-99」しか知らなかったんですが、これは1963〜70年にヒューストンで録音されたものです。1988年リリースとありますが、このころ P-VINE はロイ・C・エイムズのプロデュース作品を多く出していて、その1枚でしょう。時代を反映してか、クラブ・ブルースというよりはR&B的な曲が多く、結構ニューオーリンズっぽい曲や、キング・カーティスに似たサックスも聴けます。クラレンス・ハラマンの職人芸も収録。インパクトは強くないですが、結構味のあるアルバムでした。


Jimmy "T99" Nelson ; Take Your Pick ; NETTIE MARIE 001 (2005.12.30)

2000年録音。ジミー・ネルソンと言えば西海岸で活躍していたヴォーカリストで、ステージネームにある「T-99」が代表作。でも彼が最近まで活動していたことは知りませんでした。このアルバムはサックス・ゴードンやデューク・ロビラートのバックアップを得て、やや喉は衰えたとはいえ、味わい深い彼のヴォーカルをたっぷり詰め込んだアルバムです。ジミーの歌は一方でウィリー・メイボンに通じるのヴェルティなタッチがありますが、歌の個性の強さは、ある意味チャールズ・ブラウンに匹敵するかもしれません。スローでもアップナンバーでも、聴けば彼の歌って分かるくらい際立っているんです。VJ時代のジョン・リー・フッカーみたいなギターに支えられたワンコードの「サン・リッスン・トゥ・ミー」なんて、かなりの長尺なんですが引き込まれますね。そして選曲が面白いです。スタンダードの「キャンディ」はまだしも、ライザ・ミネリが主演した映画のタイトル曲「キャバレー」まで取り上げているのにはびっくり!この曲のカヴァーは初めて聴いたように思います。とにかく凄く魅力的な歌声、引き込まれました。



Jimmy "T99" Nelson ; The Legend ; NETTIE MARIE 002 (2006. 1.20)

2004年11月のライヴ録音てことになってますが、サウンドはかっちりしててスタジオ録音のように聞こえます。デューク・ロビラートやサックス・ゴードンを従えたT99・ネルソンは、どっしりと腰を落ち着けた歌を披露しています。一言一言噛みしめるように歌われるブルースには、凄く説得力を感じますね。ルイ・ジョーダンの「ラン・ジョー」やサニーボーイ・ウィリアムソンの「ヘルプ・ミー」といったかなり毛色の違うカヴァーを挟みながら、オリジナルのブルースで押していくのが好感がもてます。バックも決して出過ぎず、ロビラートのギターも控えめだけど味のあるソロを聴かせていてこれもいい感じ。こうしたベテランが元気なのは嬉しいです。



Jimmy Norman ; Home ; OFFICIAL OF-CD 8888 (2008.11.11)

おそらく1960年代前半の録音が主でしょう。この人については詳しいことはよく分かりませんけど、「アイ・ドント・ラヴ・ユー・ノー・モア」と「キャン・ユー・ブレイブ・ミー」の2曲をチャート・インさせたこと、「タイム・イズ・オン・マイ・サイド」の作詞者ということは何とか調べました。このアルバムでは有名になる前のオージェイズをバックにした曲とか、電話で始まる「アイ・ドント・ラヴ・ユー・ノー・モア」、ゴージャスなバラード「キャン・ユー・ブレイブ・ミー」のヒット曲は、ちょっとゴスペルの香りを感じますが、なかなかの張りのある声でポップに歌います。そして自身の歌う「タイム・イズ・オン・マイ・サイド」も入ってます。ちなみにこの曲を含む終盤の曲は、打ち込みリズムとかシンセサイザの多用などから、おそらく90年代録音じゃないかと思います。それにしてもいつも通りのOFFICIAL、ブートの王道と言うか、何の説明もないのがねぇ。




Jimmy Reeves Jr. ; Born To Love Me ; CHECKER/UNIVERSAL UICY-93317 (2007.10. 9)

1970年リリースのアルバムの再CD化。前の時に買い損なっていたので嬉しいリリースです。ジミー・リーヴス・ジュニアはジミー・リードの後継者として、時には彼の代役も務めていたそうです。バックにウィリー・ディクソン、ラファィエット・リーク、マット・マーフィーと名手を並べ、リードの曲を中心にやっています。でも、何か違うんですよね。ひとつは本人の歌の弱さ。線が細いんです。それからバックのうねり具合。やはりあのノリにはエディ・テイラーという名手が必要だったことを、改めて感じさせられます。むしろジミー・リードのスタイルからぐっと離れた演奏をしてたらどんなだったのかと、勝手に想像しちゃいます。



Jimmy Rogers ; Chicago Bound ; CHESS/MCA CHD-93000 Click Here!

Jimmy Rogers ; Chicago Blues Masters Volume 2 ; CAPITOL 7243 8 33916 2 2 (2002. 2. 1)

1972〜73年録音。「CAPITOL Blues Collection」としてリイシューされたものです。前半はエイシズをバックにしたシカゴ録音(プロデュースはJ.J.ケイル)で、ルイス・マイヤーズが全開のプレイを聴かせますが、ジミー自体は落ち着いたものです。中盤はハリウッドで録られたもので、フレディ・キングが入っていますがあまり目立たない好サポート。ラスト4曲はタルサ録音で、ホーンの入ったものもありますがこれは今ひとつかな?全体にジミーの代表曲を割合じっくり取り上げた感じで、リリース当時のシカゴ・ブルースの再現を狙っただろうあたりはしっかり感じられますが、時代もあってやや安っぽく感じられるのが残念。



Jimmy Rogers & Left Hand Frank ; The Dirty Dozens! ; JSP/P-VINE PCD-23890 (2007. 2.21)

1985年リリースのアルバムにボーナスを3曲加えたそうですが、録音自体は1979年頃のもののようです。元々のアルバムのA面はロジャーズのライヴ録音3曲で、自身の見事なバッキングと歌に、レフトハンド・フランクのギターが絡むって寸法。ロックウッド・ナンバーを2曲やってますけど見事にロジャーズ節になってます。「フィッシン・イン・マイ・ポンド」など3曲はギターデュオ。ミディアム・シャッフルのビート感は凄いの一言で、これがロジャーズの底力と言ってもいいでしょう。一方フランクはいきなり猥雑な「ダーティ・ダズンズ」から。演奏はヤヤバタバタしてますけど良いノリです。そしてギターのトレモロ奏法が格好いい「オー・ベイビー」、音質は良くないけど熱さが伝わる演奏で、実にシカゴブルースです。「ホンキートンク」「クレオズ・ゴーン」といったシカゴのブルースバンドが良く取り上げるインストナンバーも決まってます。嬉しいのがボーナスの「ロック・ディス・ハウス」、ノリのいいロジャーズならではのロッキンブルース、ライヴで見たら卒倒しそうですね。



Jimmy Rogers ; Blue Bird ; JVC JVCXR-0015-2 (2004. 9. 2)

1993年録音。バックにキャリー・ベル、ジョニー・ジョンスン、デイヴ・マイヤーズら名うてのシカゴ・ブルース・プレイヤーを集めている演奏ですから、悪いはずがありません。曲はシカゴ・クラシックスト言うべきもので、自身の「ウォーキン・バイ・マイセルフ」もオリジナルにかなり忠実なアレンジです。ディジタル録音のせいか、音質がすっきりしすぎてCHESS時代の塊感はないんですが、バンドサウンドの構成が聴き取りやすいので、シカゴブルースにこれからチャレンジする人には好サンプルになると思います。



Jimmy Rogers All Stars ; Blues Blues Blues ; ATLANTIC AMCY-2959 (2000. 2.23)

ジミー・ロジャーズ最晩年(1996〜7か?)の録音。中古で購入。豪華ゲストとの共演集で、ジミー自身はリラックスしていて、味わいのある歌声が聞けて良いのですが、なんかミスマッチな人たちもいたりして。バックが良い(キム・ウイルソンのハープなど好サポート)のだから、単独盤でも良かったのでは?ゲストで売ろうという姿勢が見え隠れしてます。


Jimmy Rushing ; Complete Goin' To Chicago And Listen To The Blues ; LONE HILL JAZZ LHJ10208 (2006. 7.28)

1954年と55年の2枚のアルバムに、1957年の「サムタイムズ・アイ・シンク・アイ・ドゥ」をボーナスで加えたもの。僕は「Listen To The Blues」はかつてKINGから出ていたものをLPで持っていますが、これは嬉しいCD化です。ミスター・ファイヴ・バイ・ファイヴのふくよかで余裕のあるブルース・シンギングはジャズとジャンプの間を行く見事なもので、ここに収録された「ハウ・ロング」「シー・シー・ライダー」「エヴリディ」などスタンダードなナンバーを余裕しゃくしゃくで歌います。「ゴーイン・トゥ・ザ・シカゴ」もさすがの出来です。またピート・ジョンソンがピアノで参加しており、自身の「ロール・エム・ピート」も披露。オリジナルよりこなれてポップになっていますが、名人芸は健在です。泥臭さは期待できませんが、ブルース入門にはいいかもしれません。



Jimmy Rushing ; 1946-1953 ; CLASSICS 5085 (2004. 4.20)

カウント・ベイシー楽団のヴォーカリストとして知られ、縦横5フィートと形容されるファットマン、ラッシングの戦後録音集です。西海岸のEXCELSIORに始まり、ストの次期のブランクをおいてGOTHAM、KING、PARROTとまさに全国のレーベルを股にかけてブルースを唸り続けているのが分かります。もちろんどっしりしたブルースが最高にいいんですが、「アイ・ゴッタ・ハヴ・ユー・ザッツ・オール」のようなポップな小唄でも余裕たっぷりの見事な歌を聴かせますし、1949年以降のジャンプ系の曲では迫力たっぷり!自ら「ミスター・ファイヴ・バイ・ファイヴ」と歌いながら踊っているのを捉えた写真を見ながら、改めてこの偉大なシンガーの素晴らしさを堪能しました。



Jimmy Smith ; Jimmy Smith Live! Root Down ; VERVE 314 559 805-2 (2003. 4. 4)

1972年LA録音です。いきなりワウワウがチャカポコと効いたギターが絡み、パーカッションがファンキーに鳴り響くサウンドに、この時代のニューソウルなどにもつながるイメージを感じました。「アフター・アワーズ」ではブルージーなジミーのプレイが満喫できますが、全体にはジャズサイドからのファンクへのアプローチという面が強く出ているように思います。別テイクを含むタイトル曲などは、グルーヴィーですばらしい演奏です。なぜベーシストを入れているのかよく分かります。そんな中でアル・グリーンの「レッツ・ステイ・トゥゲザー」が違和感なく入り、客席から歓声が上がるのを聴いたとき、なぜかドニー・ハザウェイのライヴ盤を思い出しました。CDは編集していないロングヴァージョンに別テイク入りです。



Jimmy Witherspoon ; I'll Be Right On You ; ACE CDCHD 1182 (2009. 2.12)

1949〜53年にMODERNに残された作品とアウトテイク集です。ジミーの最も油の乗った時期ですから、今までのアルバムに未収録だとしても、どれも水準が高いです。マックスウェル・ディヴィスのバンドを従えたライヴ「ダディ・ピノキオ」など格好いいし、「ジャンプ・チルドレン」(「グッド・ロッキン・トゥナイト」の歌詞違いといっていい)や「フーズ・ビーン・ジャイヴィン・ユー」のアウトテイクも充実の出来栄えです。マニア向けのアルバムであることは間違いないですけど、やっぱりこういうの、大好きです。




Jimmy Witherspoon ; The Very Best Of Jimmy Witherspoon - Miss Miss Mistreater ; FEDERAL/COLLECTABLES COL-CD-2895 (2005. 4. 4)

1952〜53年録音。ウィザースプーンの全盛期とも言えるMODERN時代の後の、ジャンプ・ブルースやシャウターの集まっていたKING/FEDERAL録音の、別テイクはないもののコンプリート集です。時代のせいかマックスウェル・ディヴィスのバンドサウンドはゴージャスで、どちらかとジャズの香りを感じさせることが多いジミーも張り切った歌い方をしています。シンシナティ録音はやや落ち着いた感じで、ちょっとニューオーリンズ風の「ミス・ミス・ミストリーター」なんて印象的ですね。再びロサンゼルスに戻りますが、音作りはさらにポップになってきます。ジミーの歌のうまさが良く出ているんですが、その分強烈な個性がないのが日本でいまひとつ人気が出ない理由かも。バラードなど本当にうまいんですけどね。



Jimmy Witherspoon ; Live '59 ; ACROBAT ACMCD330 (2008.11.26)

モンタレー・ジャズ・フェスティヴァルとジェリー・マリガンと共演したロサンゼルスのライヴを合わせたものです。モントレーの方はウッディ・ハーマンやアール・ハインズ、ロイ・エルドリッジ、ベン・ウェブスター、コールマン・ホーキンスなどジャズの名匠をバックにノリノリの演奏で、特に「グッド・ロッキン・トゥナイト」のスウィング感はなかなかのものです。また盛り上がった中で歌う「エイント・ノーバディズ・ビジネス」はさすが看板曲!短いプログラムですが魅力が充分に引き出されています。一方のロスでのセッションはよりこじんまりしたバンドで、クラブでやってるって雰囲気。「ハウ・ロング・ブルース」「シー・シー・ライダー」から「トラブル・イン・マインド」「セント・ルイス・ブルース」と、ブルースのスタンダードのオンパレード。やはり伸びやかな歌を聴かせています。




Jimmy Witherspoon ; Evenin' Blues ; PRESTIGE/P-VINE PCD-5245 (2000. 9.23)

1963年L.A.録音。ギターはT-ボーン・ウォーカー、サックスにクリフォード・スコットの名前が見えます。ウィザースプーンはいつも通り落ち着いた歌を披露しているんですが、どこか迫力に欠けると言うか、スリルがないと言うか、おもしろくないんです。T-ボーンも明らかに彼というギターを弾いていますが、地味だなぁ。ジャズ・レーベルのせいなのか、全体に「借りてきた猫」のような印象を受けました。



The Jive Turkeys ; Bread & Butter ; COLEMINE/P-VINE PCD-20053 (2009.12. 4)

2009年リリース。いやいや、21世紀になってこんな音を追及してたバンドがあるなんて!アナログ盤を意識したジャケットといい、ローファイな感じを出した録音といい、見事にB級ファンクの猥雑さを再現しようとしています。脂っこいトーストのイメージより、ミーターズやらMGズやらから沢山吸収してため込んだものを、大鍋でぐつぐつと煮込んで、たっぷりと出汁をとったモツ鍋のような味わいのサウンド、好き者にはもうたまりませんね。「ファンキー・ブリュースター」の隙間感なんてもう最高!シンプルなリフの「グリムニン」など、カヴァー曲なしのオリジナルでこれだけ押せるのも凄いなぁ。快昨です。




JJ Cale & Eric Clapton ; The Road To Escondido ; REPRISE 9362-44418-2 (2006.11.30)

2006年リリース。「アフター・ミッドナイト」「コケイン」を取り上げるなど、クラプトンが敬愛するJJ・ケイルとの双頭アルバムを作りました。これ、真性レイドバックサウンドに溢れ、ゆったりと時間の流れるような作品に仕上がっています。クラプトンはブルースを歌うときに見せるような変な力みもなく、ギターも老境の域に達したかのような渋い、でも個性のある演奏を聴かせています。それに対しJJはもういつも通りのマイペース、この変わらなさは見事ですね。曲もJJの曲が8割を占めていますから、やはりJJを前に出し、クラプトンが寄り添うスタンスなんでしょう。でもそれがかえってクラプトンのいい味を引き出してると思いました。ゲストには今回のクラプトン・ツアーにも同行しているデレク・トラックスも参加し、「フー・アム・アイ・テリング・ユー?」などでしっとりとしたソロを弾いています。また、タジ・マハルがこれまたのんびりしたハーモニカを吹いています。でもキーボードにビリー・プレストンの名前が。これ、いつ録音されたんでしょうね。



Jo-Jo Adams ; 1946-1953 ; CLASSICS 5083 (2004. 4.17)

ジョジョ・アダムズはラストのパロット録音しか聴いたことがないヴォーカリストだったんですが、なかなかの優男で、ハイトーンの甘い声で、ちょっと投げやりな感じで歌うのが特徴です。フルバンドをバックにしたゴージャスな「ジョジョ・ブルース」からそのエンターティナーぶりが伺えますが、ALADDIN録音でマックスウェル・ディヴィスのバンドをバックにして存分に歌うのがかっこいいですね。「ハード・ハーテッド・ウーマン・ブルース」などフルソンに通じるものを感じました、シカゴに戻ったHY-TONE録音では名手フロイド・スミスの最高にイカしたギターをしたがえ、伸び伸び歌ってますね。「アラウンド・ザ・ワッチ」あたりの芝居がかった感じがこの人の味のように思いました。それにしても「フロイドのギター・ブルース」のスライド、まるでトランペットですね。ラップ・スティールなんでしょうか?ブルースの有名曲を弾き込んだインストなんですが、凄いなぁ。



Jo Jo Reed ; Back On The Scene ; LOUISIANA RED HOT LRHR 1132 (2003. 3.14)

2000年リリースで、アルフォンス・アルドワンに捧げられています。キース・フランクが全面的にかかわって作られたアルバムで、やはり新世代ザディコの勢いを感じる作品になっています。サウンド的にもキースに近いんですが、それもそのはず、リズム隊はジェニファーとブラッド、そしてスタジオもキースのところなんです。ただJo Joの方がよりソウルミュージックからの影響を感じます。そのためかよりクールな印象になっていますが、インパクトがちょっと弱いかな。ヒップホップの手法を取り入れるなど意欲的でもあるので、今後強烈な個性がでて来ることを期待したいですね。



Joao Gilberto ; Ao Vivo - Eu Sei Que Vou Te Amar ; SONY MHCP 488(2005.12. 9)

1994年サンパウロでのライヴです。ジョアンはもちろんアントニオ・カルロス・ジョビンとともにボサノヴァを作り上げた人物と言ってもよいと思いますが、彼が弾き語りで一気に歌いきった18曲が収録されています。これ、素晴らしいライヴですね。ギターは思ったほど技巧的でなく、むしろしっかり音を鳴らす感じ、一方歌い口は例のアンニュイさのある、力を絶妙に抜いたものなんですけれど、その向こう側にものすごく力強いものを感じるんです。音や声そのものではなく、込められた気持ちが伝わってくるんですよ。思わずぐっと弾き込まれて聴いてしまいました。この熱さが出せるようになりたいなとあこがれてしまいます。



The Jodimars ; Well Now, Dig This! ; ACROBAT ACMCD4053 (2009. 2.17)

1955〜57年の録音にボーナス・トラックが入っています。まさにロケンロール時代真っただ中のバンドですね。コーラスによるヴォーカルにグリッティなギターが鳴り渡る感じはややB級の香りも漂っていて、ビル・ヘイリーのバンドとはまた違った味を出しています。軽妙な「ラトルスネイキン・ダディ」なんてのも入ってて面白いです。ブライアン・セッツァーとか好きな人にはお薦めですね。




Jody Williams ; Return Of A Legend ; EVIDENCE ECD 26120-2 (2002. 5.11)

2001年リリース。50年代から活躍するシカゴの名ギタリストが30年ぶりに復帰して出したリーダー作は、タイトル通り伝説が帰ってきたって感じです。とにかくギターが素晴らしい。かつて一緒にレコーディングしたこともあるオーティス・ラッシュのナンバー、「オール・ユア・ラヴ」の元歌と思われるオリジナリティ溢れるトリッキーなインスト「ラッキー・ルー」のリメイクから思わず身を乗り出しました。サウンド、ニュアンス、フレージングとも「完璧」といっていい、でも決してテクニックに走らないギターは、いくら聴いていても飽きません。メンフィス・スリムの「マザー・アース」のスタイルを拝借した「ユー・メイ」などのスローも味わい深いです。ヴォーカルは枯れた趣があり、全体に暖かさとジョディが感じている充実感がにじみ出ています。ラストの「ヘンペックト・アンド・ハッピー」で聴くことのできるチキン・ピッキングもヒステリックでなく気持ちいい。とにかくすべてのブルース・ギター・フリークに聴いてもらいたいアルバムです。



Jody Williams ; You Left Me In The Dark ; EVIDENCE ECD 26130-2(2004. 5.12)

2004年リリース。いきなりヴェンチャーズというか昔のGSを思わせるギターサウンドにビックリしましたが、深みのあるヴォーカルと、歪み知らずのカラーのはっきりしたギターサウンドはジョディの指向をはっきりと感じされます。2曲ほどゲストにロックウッド翁が入っていて、例の12弦サウンドとひなびたヴォーカルが入っているんですが、違和感なくしっくりいっているのは、それだけジョディが負けてないってことでしょうか?T-ボーン・マナーあり、ファンキーな曲ありとヴァラエティに富んでいますが、「シーズ・ゴット・ア・スペル・オン・ミー」のような適度なファンクネスを感じさせる曲がしっくりきました。一番面白かったのはファンキーなギターインスト「ルッキング・フォー・マイ・ベイビー」からサム・クックの「ナッシング・キャン・アイ・チェンジ・ディス・ラヴ」に続くあたりかな。とにかく前作のテンションはしっかり維持しつつ、幅が広がった好盤です。



Joe Bonamassa ; You & Me ; PROVOGUE PRD 7185 2 (2006. 7.13)

2006年リリース。BSRでしょう解されていたんで試しに聴いてみたんですが、こりゃジミー・ペイジですね。オーティス・ラッシュの「ソー・メニー・ローヅ」、この手のマイナーブルースのフレーズ、完璧にペイジのスタイルです。確かに曲によってはスティーヴィー・レイ・ボーンのようなノリも感じますけど。極めつけは「ティー・フォー・ワン」、モロでしたね。歌はなかなかタフで、結構いける口ですが、ブルースとして聴くとちょっと肩透かしかな。僕にはピンと来ないな。



Joe Bonamassa ; Sloe Gin ; J&R ADVENTURES PRAR60283 (2007.10.27)

2007年リリース。ジャケットを見ると、古びたアコースティック・ギターを指で惹いている様子が伺えますが、確かにアコースティックも弾いているものの、基本的なサウンドは結構ヘビーなロックです。ポール・ロジャーズ、ジョン・メイオールなんて人の曲もやってますけど、ガッツリしたロックサウンドに仕立てられています。でも変に音をギトギトにいじっていないので、割合スンなり聴くことができました。根っこには確かにブルースがあるので、僕には聴きやすいのかもしれませんけど。チャールズ・ブラウンの「ブラック・ナイト」をちょっとドロッとしたマイナー・ブルースに仕立てるセンスは悪くないと思います。



Joe Bonamassa ; The Ballad Of John Henry ; J & R ADVENTURES PRAR91646 (2009. 4.19)

2009年リリース。タイトル通り伝説の人物ジョン・ヘンリーを題材とした組曲になっています。いつも通りディストーしょんの効いたギターをギュンギュンいわせ、張りのある声で歌っていますが、「ジョッキー・フル・オヴ・バーボン」のイントロなどに工夫はあるものの、組曲という割にはドラマティックな感じは少ないです。「ロンサム・ロード・ブルース」や「ファンカー・ザン・ア・モスキーツ・ツウィーター」はZZトップを思わせるような曲で、ギターも駆け回っていて格好いいですね。後者はブラスも入っています。ラスト2曲でリゾネイタを生かした曲が出てきますが、もっとアコースティックなサウンドを混ぜたら劇的な感じになったんじゃないでしょうか。




Joe Bonamassa ; Black Rock ; J&R ADVENTURES / AVEX NFCT-27211/B (2010. 3.11)

2010年リリースのボナマサ10枚目のアルバムはDVD付きです。DVDの方は以前出されていた2枚のDVDからの抜粋ですが。この人は今最も旬なブルース・ロッカーと言っていいと思います。オリジナルの他ジェフ・ベックの「スパニッシュ・ブーツ」、オーティス・ラッシュの「スリー・タイムズ・ア・フール」あたりをバリバリのロックサウンドで決めてるあたりは如何にもボナマサなんですが、今回はけっこうアコースティックもやっていて、「アセンズ・トゥ・アセンズ」ではブズーキとスライドを使って不思議なオリエンタル・ムードを出してますし、続く「ブルー&イーヴィル」もジミー・ペイジが好きそうなイントロだったりします。極めつけはブラインド・ボーイ・フラーの「ベイビー・ユー・ガッタ・チェンジ・ユア・マインド」で、ラグタイムも弾けちゃいますってのを聴かせます。ユニークなのは「クォーリーマンズ・ラメント」で、クラリーノを尺八のように使い、マンドリンも鳴るマイナーなメロディは実に東アジアな雰囲気です。極めつけはタイトにアレンジされた「ナイト・ライフ」で、何とB.B.キングとの共演です。かなり面白いことをやってるなという印象ですが、もうひとつ引き込まれませんでした。




Joe Carroll ; Joe Carroll With Ray Bryant ; EPIC ESCA 7766 (2008. 2. 6)

1956年録音。いやいや、これは昔の恋人に四半世紀ぶりに再会したような気分のアルバムです。北海道のjive-kingさんのサイトを眺めていて、面白そうだから取り寄せたんですけど、そして、見事なスキャットに最初っからやられっぱなしだったんですけど、「ルート66」のラスト、「ルート61」から順に歌っていくスタイル、記憶が蘇りました。ウシャコダのライヴを見たときに、藤井康一さんがやってましたっけ!で、「ウー・シュ・ビ・ドゥ・ビ」です。これもうシャコダがやってたのをレコードで聴いて気に入っていたんです。こんなところに元歌があったのね。レイ・ブライアントのカルテットのご機嫌な演奏に乗って、スキャット大爆発!タイニー・ブラッドショウあたりにも大いなる影響を与えていたんじゃないかなと思いました。大当たりの一枚。



Joe Carter & His Chicago Broomdusters ; Mean & Evil Blues ; BARRELHOUSE/P-VINE PCD-5202 (2004. 9.30)

1976年録音。ギター2本とドラムという編成で、バンド名から分かるようにエルモア・ジェイムズからの影響を強く受けていますから、ちょっと想像するとハウンドドッグ・テイラーみたいなサウンドかと思いますが、ぐっと泥臭くいなたい感じです。むしろエルモアのルーツであるデルタサウンドに近い部分を増幅したように感じました。曲もエルモアの曲が多く、さらに交流があったというマディ・ウォーターズの曲も取り上げています。ドローリとした、シカゴの場末の飲み屋の片隅で演奏されていたろう、臨場感あふれる感じがたまりません。



Joe Carter & Kansas City Red ; Original Chicago Blues ; JSP/P-VINE PCD-23889 (2007. 2.20)

1982年にリリースされたアルバムの初CD化だそうです。頭3曲がジョー・カーターで、いきなりJ.B.ルノアの「ママ・トーク・トゥ・ユア・ドーター」からスタート。ジミー・リードを思わせるビッグ・ジョン・レンチャーのハーモニカが格好いいです。ジミー・ロジャーズの「ユーア・ザ・ワン」、ブルースのスタンダード「ロック・ミー」、いずれもシカゴブルースならではのうねりのあるノリで、音質は悪いけど許せちゃいます。残り6曲は歌うドラマー、カンザス・シティ・レッド名義で、ここではエディ・テイラーの職人芸がたっぷり満喫できます。エディはいつもよりたっぷり弾きまくってる感じで、「スウィート・ブラック・エンジェル」「スタンディング・アラウンド・クライング」ではスライドも披露。バタバタしたところのあるドラムですが、バンドでグイグイ推してくる感じがいかにもシカゴブルースですね。



Joe Cocker ; With A Little Help From My Friends ; A &M 393 106-2 Click Here!

Joe Doucet ; The Houston's Third Ward Blues ; DIALTONE/P-VINE PCD-25041 (2006. 1. 7)

2005年リリース。テキサスってところは本当にミュージシャンの宝庫ですね。20年以上前に半ば引退していたギタリストをこうして発掘してしまうんですから。デューセットはドゥーセと読む可能性もありますが、クリフトン・シェニエとの活動歴もあり、アコーディオンなしのザディコとかスワンプ・ポップの代表曲「マチルダ」などやるあたりからも、ルイジアナとテキサスをまたぐ音楽性を感じます。ギターはフランキー・リー・シムスみたいなジャキジャキした感じで、ソロプレイのワイルドさはリトル・ジョー・ワシントンにも通じます。またヴォーカルもハイトーンで、リトル・ジョーをさらにゆるくした感じ。これにアール・ギリアムやO.S.グラントといった、ローカルなファンクネスを持ったミュージシャンがサポートに加わっているわけで、出てくる音は粘っこくて暑いです。またアコースティックの弾き語りもやってますが、フルソンとロンサム・サンダウン、さらにはライトニン・スリムなどの影響も感じますね。ちょっとアコースティックは多すぎる気もしましたけど、今後の展開の楽しみな人です。



Joe Guitar Hughes ; Texas Guitar Slinger ; BULLSEYE BLUES CD 9568 (2002. 1.31)

1995年録音。中古で購入。タイトルがかっこいいので購入しました。そのタイトル曲は、T-ボーン・ウォーカーなどテキサスゆかりのブルースマンを歌い込んでいます。ギターは「バリバリ」っていう感じではないですが、そのT-ボーンの他、ゲイトマウス・ブラウンからの影響も感じられます。曲もオリジナルがほとんどで、意欲的な作り。でもインパクトがいまひとつありませんでした。こじんまりしすぎているのかな?



Joe Hill Louis ; Gotta Boogie Baby ; P-VINE PVC-22002 (2000. 6. 7)

1950〜53年録音。中古で購入。これは掘り出し物です!P-VINE CLUB という会員向け(後は通販のようになりましたが)限定CDが中古で流通するなんて。中身はメンフィスの SUN のオーナー、サム・フィリップスが録音して MODERN に売った録音で、ジョー・ヒルのワンマン・バンド録音を含むものです。全編バタバタしたいなたさが溢れているのは、この時代のメンフィスの魅力でしょう。ギターは結構尖っていたりするのもそうです。時にはジョン・リーを思わせるブギもあって、東南アジアの雑踏の中のような気分にさせてもらいました。さすがビー・バップ・ボーイ!


Joe Hill Louis ; Boogie In The Park ; ACE CDCHD 803 (2007. 5.24)

1959〜53年メンフィス録音です。ワンマンバンドスタイルのジョー・ヒルは、タイトル曲のようなノリのいいアップナンバーでは、ギターをかき鳴らしながらハーモニカのバンピングでぐいぐいドライヴしていきますが、「コールド・チルズ」のようなスローナンバーではチョーキングをたくみに交えた味のあるギターが雰囲気たっぷりです。プリミティヴなようでどこかアグレッシヴな香りが漂います。そのサウンドからはむしろテキサス・ブルースに通じるものを感じますね。それがどこかモダンな印象を与えているのかもしれません。久々にこの人をたっぷり聴きましたけど、やっぱりいいなぁ。



Joe Houston ; Rockin' N Boppin' ; SOUTHLAND SCD-16 (2001. 5. 1)

1949〜64年録音。のっけからブリブリのホンク大会です。「フライング・ホーム」なども思いっ切り下世話で、テキサス〜LAでこういった音を夜な夜なクラブなどで響かせていたことを想像してしまいます。中にはプラターズがヴォーカルを取っているものもありますが、あの「煙が目に染みる」のプラターズでしょうか?とにかくドライヴ感溢れる演奏が心地よいです。



Joe Houston ; Brow Crazy! ; MODERN/ACE CDCHD 772 (2001. 1. 9)

21世紀1発目は強力な奴でいきましょう!1951年からおそらく63年までにMODERNに吹き込まれたものですが、のっけから強力な大ホンク大会でブォブォ来ます。「クレイジー」とこっちまで叫びたくなるような大ごり押しホンク&ブロウで、完全にノックダウンです。「ブロウィン・クレイズィー」(こう書きたい)とか、その名の通りです。「クレイズィ・ツイスト」もその名に恥じない曲調で、もう腰がじっとしていられません。この手の好きな人にはたまらないアルバムです。



Joe Houston ; Rockin' At The Drive-In ; COMBO/ACE CDCHD 994 (2004. 4.23)

1952〜61年録音に未発表を交えたCONBO時代のコンピです。ロックンロール時代を過ぎた後だけあって、ブリブリのヒューストンもリズム的にはポップでメリハリがより強くなっています。僕のテーマ曲にしたい「チカノ・ポップ」や「スリッピン&スライディン」の改作「シャッキン&ジャイヴィン」の未発表テイクなどもう御機嫌です。ソリッドさを増したバンドに、結構切れ味鋭いギター(なかなかの名手と思いますが一体誰?)が絡んだ作品群は、ワイルドで腰にぐいぐい来るサウンド!やっぱりジョー・ヒューストンも外れの少ない人です。大満足!



Joe Jonas ; Hog Wild For The Blues ; JOE JONUS PPP-1001 (2006. 1.15)

1998年リリース。DIALTONEのハーモニカ・コンピで話題になったテキサスのハーピストですが、意外や意外、思ったよりソウルしてました。ブルースは生音のハーモニカと、かなりタフなヴォーカルが印象的なんですが、収録曲はむしろソウル寄りな感じなんですよね。冒頭のロッキンナンバーからして野太い声を活かした曲ですし、「アイ・ウォント・ユー」はかなりディープな感じ。ロック色も感じる「チョーク・トゥ・チキン」なんてドラムはちょっとすっとこどっこいな感じもありますが、MALACOサウンドをさらにルーラルにした感じはいかにもB級で好きです。そんな中に「ミスティ」なんて曲が、それも結構ジャズっぽくはいるあたり、只者じゃない感じ。ただしさほど歌が上手いわけじゃなく、バックのシンセサイザも思いっ切りチープですけどね。



Joe Krown ; Just The Piano... Just The Blues ; STR-9703 (2002.10. 2)

1997年リリース。タイトル通りのピアノソロです。いやいや、これは素晴らしい演奏です。ブルースとありますが、どちらかというとニューオーリンズピアノ特有のシンコペイトしたリズムをふんだんに取り入れ、明るい音使いで楽しい演奏を聴かせてくれます。レイ・チャールズ、パイントップ・スミス、フェスといったご当地のピアニストの曲もやっていますが、これらはオリジナルよりむしろ端正な演奏で、クラウンの素性の良さを感じました。逆にクラウンのオリジナルではジャズフレイヴァは感じますが、基本的にニューオーリンズピアノの伝統に忠実なスタイルで、軽快な左手と分かりやすい右手のメロディが見事に調和し、とにかく飽きません。熱く滾るニューオーリンズの血を知性でコントロールしたといった趣のピアノ、巷のカフェテラスでかかっていたら僕はその店を離れられなくなりそうです。



Joe Krown ; Buckle Up ; STR-1002 (2002. 9.30)

2000年リリース。オルガンコンボの「Funk Yard」の方は先に紹介しましたが、その後でsumoriさんの指摘でこの人ゲイトマウス・ブラウンのバンドでキーボード弾いてる人だって気付きました。で、そのゲイトの入っている個人名義のアルバムがこれなんですが、何とリズム隊がジョージ・ポーターとハーマン・アーネストなんですよ。現在一番好きなギタリストとドラマーですからもうたまりません。トップとラスト(ネリー・ラッチャーの「リアル・ゴーン・ガイ」をインスト化)が割合ジャジーですが、他は相当ファンキー。「オイル・スリック」や「スリッペリー・ヌードル」はまるでミーターズのようなすかすかなサウンドがかっこいいし、ジミー・スミスやジョージ・ベンソンの曲もタイトに決めています。最高に気に入ったのは、ゲイトの「Back To Bogalusa」でもやっている「スラップ・イット」。ゲイトのアルバムのものはホーンが効いた楽しい雰囲気のものでしたが、こちらはぐっとテンポを落とし、ミーターズに通じる跳ねのあるビートに、オルガンやギターがまるでMGズ(彼らの「ヒップ・ハグ・ハー」もやってます)のように絡んでいきます。もう最高に御機嫌!ちなみにハーマンのスネアの音、ドクター・ジョンと組んでいるときより高めのチューニングで軽く感じます。



Joe Krown Organ Combo ; Funk Yard ; STR-1007 (2002. 9.11)

2002年リリース。CD店のニューオーリンズのコーナーに、「ファンク」なんて書いたアルバムがあれば、無条件で買ってしまうんですが、これはバンド名から分かるようにオルガンジャズのアルバムです。でもジャズといっても理屈っぽくない、まさにジャズファンクで、それほど突っかからないけど適度にグルーヴィーなマイク・バラスのドラム、時折ホンカーのような大きなフレーズを聴かせるブレント・ローズのサックス、そしてキャッチーなテーマを持った曲の数々と、おそらく当地の腕利き中堅ミュージシャンが集まったバンドだと思いますが、すごく気持ちのいい演奏でした。知っている曲は「ビリー・ジョーの歌」だけでしたが、録音バランスも抜群で、車の運転の友には最高!思わず2順目に突入していました。久々に大当たりの1枚。



Joe Krown ; New Orleans Piano Rolls ; STR DIGITAL STR-1012 (2003. 5.14)

2003年リリース、出来立てほやほやのジョーのソロ作がなんとご本人から送られて来ました。タイトルを見てワクワクして1曲目、ゆったりした、絶妙のうねりのある「ティピティーナ」からスタート!これ1曲で文句なしって感じです。その後「サニーサイド・ストリート」などジャジーな演奏、軽快な指さばきを聴かせるスコット・ジョプリンのラグタイム、バンド演奏とヴォーカルパートまでをきっちりピアノに置き換えて、敢えてオーソドックスに演奏した「ピンク・シャンペーン」など、飽きさせない構成になっています。ブギウギナンバーでは猛然とドライヴするし、中盤に収められたオリジナルナンバーではブルージーでニューオーリンズなフレーズが続出、こうした中でとりわけ面白かったのは、「ダウン・バイ・ザ・リヴァーサイド」と「セント・ルイス・ブルース」。前者はゆったりした出足から一転してブギウギに。でもそれが絶妙に軽く、ウキウキする感じです。後者もゆったりした感じからルンバとブギウギを交互に繋ぐアレンジで、これも新鮮。全体に高級ホテルのラウンジでかかっていても不思議のない上品な演奏なんですけど、聴いているうちに随所でにんまりしちゃうような隠し味があって、ジョーの魅力が満開の一作だと思いました。なお、bsr誌に掲載された「Funk Yard」のレビューを英訳して、ジョーに送ってくださったsumoriさんに感謝!そのおかげでこうしてこのアルバムを聴くことができました。



Joe Krown Organ Combo ; Livin' Large ; JOE KROWN JK 1001 (2005. 3.22)

2005年リリースのバリバリの新譜です。真ん中にクルセイダーズの「マイ・ママ・トールド・ミー・ソー」が入っていますが、他はすべてオリジナルです。適度にセカンドラインがかった、心地好いグルーヴのミディアムリズムに乗って、素晴らしいリフが次から次へと繰り出されていきます。サックスのブレント・ローズ、ギターのブリント・アンダーソンなど名手が見事なソロを披露しますが、ジョーのB-3も含め決して弾きすぎません。むしろユニゾンのリフで曲をがっちり固めてあり、一体感のある演奏となっています。ミーターズとかJB'Sのようなファンク・インストをしっかり消化しつつ、一方でソウルジャズの血も受け継いでいて、でも根っこはしっかりニューオーリンズしているって感じでしょうか。車の運転のお供には最適です。ベスト10入りは硬いですね。



The Joe Krown Trio ; Old Friends ; JOE KROWN JK-1002 (2007. 5. 5)

2007年リリース。ジョーとブリント・アンダーソンといういずれ劣らぬニューオーリンズの名手に、ジョーのバンドのドラマー、マイク・バラスが入ったトリオです。タイトル曲はゆったりしたバラードのインストですが、そのタイトルから分かるように、古き良きニューオーリンズ・ミュージックをたくさん取り上げています。例えば「ジャンコ・パートナー」「ティピティーナ」「マイ・ブルー・ヘヴン」「フィール・ソー・グッド」では、ご機嫌に転がるジョーのピアノをバックに、ブリントが見事なニューオーリンズ節を披露しています。またインストの「リップスティック・トレーシズ」などではサックスやパーカッションも加わり、フェスやジェイムズ・ブッカー亡き後のサウンドは俺が守ると行ったように気概すら感じます。ニューオーリンズ好きには必聴盤と言っていいんじゃないかな。



Krown ・ Washington ・ Batiste ; Live At The Maple Leaf ; JOE KROWN JK 1003 (2008.10.30)

2008年8月のライヴです。ジョー・クラウンご本人が送ってくださいました。感謝!内容は素晴らしいの一言です。ジョーのほかウルフマン・ワシントンのギターとヴォーカルにラッセル・バティステ・ジュニアのドラムという、オルガントリオをバックにヴォーカルが入ったって構成なんですが、まずバティステのドラムがいいんですよ。いつもより手数を少し抑えた感じで、その分跳ね具合が絶妙!またウルフマンのギターは元々フュージョン的な品の良さがありますから、この編成にはよく合いますね。もちろん歌は好調で、「ワッツ・ゴーイン・オン」、ビル・ウィザーズの「ユーズ・ミー」、チャック・ウィリスの「アイ・フィール・ソー・バッド」(クレジットがライトニン・ホプキンスになってるのはご愛敬)などを、ご機嫌なインストを交えながらどんどんやっていきます。ジョーのオルガンはソウルフルでファンキー!ウルフマンは抑え気味だけど、体内ファンク度が元々高い人ですから、やっぱりインパクトがありますね。こんなライヴに身を任せてみたいです。




Joe Krown, Russell Batiste Jr., Walter 'Wolfman' Washington ; Triple Threat ; JOEKROWN JRK 1004 (2010.11.19)

2010年リリース。このトリオでの2作目になりますが、相変わらずいいですね。モダンなコード・プログレッションで、ちょっと間違うとフュージョンになっちゃうんですが、そこはニューオーリンズの強者達で、フォンクなリズムでぐっと引き戻します。「ライディン・トゥルー・ザ・マウンテンズ」の大きなノリの気持ちいいこと!タイトル曲もクラウンらしい曲でいかしてます。で、続く「トウェルヴ」がこれまたかっこいいです。ちょっとひなびた味のあるワシントンの歌も魅力たっぷりで、一気に聴き通してしまいました!こりゃいいです!




Joe Liggins ; 1944-1946 ; CLASSICS 5020 (2002. 5. 6)

CLASSIC得意の50年を過ぎた音源の全曲集で、「ザ・ハニードリッパー」のBRONZE録音から、EXCLUSIVEの音源を集めたものです。このうちEXCLUSIVEの代表曲は前に紹介したNIGHT TRAIN盤とダブりますが、「ザ・ハニードリッパー」のリメイクが2パートとも入っていたり、デューク・エリントンの「キャラヴァン」をやっていたりとダブりは気になりません。のちにSPECIALTYで再録する小唄「アイヴ・ゴット・ア・ライト・トゥ・クライ」の初録音が嬉しいですね。全体にはアルト・サックス?が高音で艶めかしく泣く演奏が多く、立て続けに聴くとちょっと食傷気味になります。でも戦争の終わりと好景気を讃えたようなジャンプ曲「T.W.A.」など、完全に歌詞が分かったら面白いだろうな。



Joe Liggins ; The Honeydripper ; EXCLUSIVE/NIGHT TRAIN NTI CD7031 (2000. 5.25)

ウエスト・コーストで小粋なジャンプ・バンドを率いるジョーの1945〜49年録音集。タイトル曲は200万枚を売る大ヒットだそうです。中古で購入。NIGHT TRAINらしい?杜撰な仕事ぶり(曲目リストと収録曲数が合っていないなど)ですが、一応レコーディング・データも出てます。音質はいまいちですが。ジョーはこの時代のジャンプ・バンドのなかでは相当スムースな小唄的な曲を多くやっています。この辺がウエスト・コーストらしい洒落たところで、チャールズ・ブラウンなどと共通の雰囲気を感じます。「タニヤ」なんて結構エキゾチックで、好きな曲です。


Joe Liggins ; Pink Champagne ; SPECIALTY/P-VINE PCD-1917 (2001. 3. 7)

1950〜54年録音、中古で購入。これ、探してたんです。ジョー・リギンズのSPECIALTY時代のものはVIVID SOUND盤のLPを持っていて、凄く好きだったんですが、車用にダビングするのが後回しになっていたんです。これは決定版でしょう。タイトル曲、「レイン・レイン・レイン」「タニヤ」、どことなくラテン・フレイヴァーの効いた洒落たリギンズ楽団の音は、メロディが覚えやすく、どことなくほのぼのしているんです。EXCLUESIVE時代よりさらにスムースになった感じ。やっぱりお酒が似合う音楽ですね。でも車で聴いても気持ちいいですよ。歌詞を覚えている歌とか、つい一緒に口ずさんじゃいます。



Joe Louis Walker ; The Gift ; HIGHTONE/ACE CDCH 241 (2002. 8. 3)

1988年の作品です。ロバート・クレイのブレイクで気を良くしたブルース・ブロンバーグが柳の下のドジョウを狙ったかのような、ギターサウンド、ヴォーカルからメンフィス・ホーンズの使い方までクレイに良く似たアルバムで、器用なJLWは無難にこなしているって感じです。でもここにJLWの魅力があるのかな?歌は元々上手いし、ギターもかなり弾ける実力者なので、もう少し自身の個性を前に出して欲しかったです。スライドを披露する曲がありましたが、むしろそちらの方が溌剌としていました。



Joe Louis Walker ; Great Guitars ; GITANES/VERVE 537 141-2 (2002. 5.13)

1997年リリース。多彩なゲストをギタリストに迎え、自身のソウルフルなヴォーカルとギターに花を添えたアルバムです。冒頭のボニー・レイットの透明感あるヴォーカルとの掛け合い、意外とマッチしていました。ボニーのスライドもドライヴ感溢れるものだし。この他アイク・ターナーと一聴して分かるアーミング、職人技のマット・マーフィー、さらにはオーティス・ラッシュ、バディ・ガイからロックウッド、ゲイトマウス、タジ・マハル、さらにはなんとスコッティ・ムーアまで登場!しかしジョー・ルイスのヴォーカルはそれに負けない存在感がありました。曲もほぼオリジナルで固め、貫禄さえ感じます。



Joe Louis Walker ; In The Morning ; TELARC CD-83541 (2002. 8.24)

2002年リリースの新譜です。最初聴いて「おやっ?」と思いました。いつものきちんとプロデュースされた、上手いジョー・ルイスの歌とギターをフィーチュアした作品とはまるでアプローチが違うんです。ギター2本とリズム隊にパーカッション、一部に控え目なピアノが入るだけの演奏で、すごくシンプル。曲もいわゆる3連系のブルースではなく、ロック的なアプローチの演奏で、さらにヴォーカルがいつものように「きれい」に歌っていないんです。ややざらついた発声に高揚感を表現したような「ホウ」といった掛け声が時折入り、いかにもセッション的な音作り。このJLWのヴォーカルからはゴスペルルーツを強く感じました。曲によってはボブ・ディランの影響すら感じます。ギターもある程度のミスタッチはそのまま残し、むしろ一発録り的な肌合いを大事にしているようです。このアプローチ、僕は好きです。とっても気に入りました。



Joe Lous Walker ; New Direction ; BLUES BUREAU BB20482 (2004. 9.25)

2004年リリースの新譜です。1曲目の音を聴いたとき、まるでローリング・ストーンズのコピーバンドかと思うようなサウンドでビックリしました。ジミ・ヘンドリックスを思わせるギターフレーズが出てくる「メスト・マイ・マインド・アップ」とか、かなり実験的な音ですし、タイトル曲もかなりロックテイストの加わったファンク調のもので、本当にそっちの方へ行ってしまったのかと思いました。中盤以降オーソドックスなブルースも登場し、実はさほど変わったわけじゃないことが分かりましたが。とにかくこの人は作品毎の振幅が大きく、キャリアが長くテクニックも十分なのに、いまひとつ方向性が定まらない印象です。いっそのことごり押しブルース弾き倒し路線に行ってしまうのがいいのではと、勝手に思ってしまいました。



Joe Louis Walker ; Playin' Dirty ; JSP JSP8801 (2006. 9. 5)

2006年リリースの新譜です。タイトル通り、ややざらついたギターを割合ラフにプレイし、ヴォーカルも多少の音程のシャープはお構いなしにちょっと弾けた歌い方をしています。全体にエコーを利かせ、ライヴな雰囲気でやってるんですけど、明らかにヴォーカルを後入れしていて、臨場感を出そうとしている割には違和感を感じました。僕の好みからいうと、丹精で素敵なブルースギターを弾く人だし、歌もそこそこ上手いんだから、もっときっちりした音づくりでいいんじゃないかなと思うんですけどね。ラストにアコースティックの弾き語りが入っていますが、これはなかなかの力演。でもピントがずれてるように思いました。決して悪い出来ではないんですが、何か違うなぁって印象。



Joe Louis Walker ; Witness To The Blues ; STONY PLAIN SPCD 1337 (2008.10.20)

2008年、デューク・ロビラードのプロデュースでリリースされた新譜です。ホーンを入れた「イッツ・ア・シェイム」やシェミーカ・コープランドとのデュオ「ラヴァーズ・ハイウェイ」など、かなりソウルフルな曲が目立ち、ジョーの歌も粘っこくエモーションを感じます。一方「ワン・ダン・ドゥードゥル」のようなアレンジの「ローリン・アンド・タンブリン」、アコースティックなボトルネックが鳴り渡る「アイ・ガット・ワット・ユー・ニード」などブルージーな曲もあり、特に終盤はブルースたっぷりって感じ。「100% モア・マン」では伸びやかなスライドを交えたギターが印象的なスロー・ブルースを聴かせていますし、ラストの「シュガー・ママ」も自分でオーヴァーダブしたハーモニカが効いたゆったりしたシャッフルで、どっしりしたブルースとなっており、最近のジョーの作品としてはかなりいい出来だと思います。




Joe Lewis Walker ; Between A Rock And The Blues ; DIXIEFROG DFGCD 8673 (2009.12.30)

2009年リリース。ロバート・クレイの少し後に登場し、第二のクレイかと期待した時期もあるんですが、現在は全く違う方向を向いているようです。クレイは自分の出す音に確たる自信を持っているんですが、このウォーカーはそれが見えてきません。ギターはめちゃめちゃ上手く、どんなスタイルでも弾きこなすんですが、本当にやりたいことが見えてこないんですよね。タイトル通りロック寄りのアプローチをしているのかと思うと、2曲目じゃジャンプ、3曲目じゃサム・クック風のソウルとタイプが変わり、これがほぼ全編を通しているんです。オーティス・ラッシュの真似かと思う曲も出てきますし、「ホールウェイズ」じゃレイによってロバート・クレイになっちゃってるし。いっそのこと「アイム・タイド」や「イフ・ジーズ・ア・ヘヴン」、「アイヴ・ビーン・ダウン」「ビッグ・ファイン・ウーマン」のような曲で固めてしまった方が良かったんじゃないでしょうか。




Joe Louis Walker ; On The Legendary Rhythm & Blues Cruise ; DIXIEFROG DFGCD 8695 (2010.10. 8)

2010年リリースのライヴ盤ですが、参加ミュージシャンが豪華です。オルガンにマイク・フィニガン、ピアノはミッチ・ウッド、ハーモニカにはケニー・ニールの名前も見えます。でもすごいのはギターで、ジョニー・ウィンターにデューク・ロビラート、タブ・ベノア、ニック・モス、カーク・フレッチャーにパリス・スリムとまあそうそうたるメンバーが入れ替わり立ち代わり登場してます。まずは「エイント・ザット・コールド」のジョニー・ウィンターですね。ちょっとフェイズをかけたスライドがギュインギュインで、この存在感は唯一無二。続く「ユー・ゴナ・メイク・ミー・クライ」では、マイク・フィニガンの素晴らしい歌を聴くことができます。「ボーン・イン・シカゴ」ではジェイソン・リッチのハープが炸裂、ラストの「747」はタブ・ベノアも参加。とにかく全編豪華絢爛ですが、その中でジョーの存在がきちんと前に出ています。煮え切らないスタジオ作が多かった中で、これは当たりだと思います。




Joe McMurrian ; Rain Of Days ; WOODBRAIN/BSMF 2040 (2007. 4.28)

2006年リリース。スキップ・ジェイムズを思わせるスライドの絡んだマイナー・ブルースといった風情でスタートするアルバム、ユニークなギターとかただ者でない才能を感じます。一方歌は思いっ切りボブ・ディランしてますね。ケブ・モあたりとも共演歴があるようですが、ジャズからの要素も感じさせるけど、もっと一本気なサウンドに感じました。ただ、どうしても曲が印象に残りません。きっと歌詞が分かるともう少しイメージがわくんだと思うんですが、語りに近い歌なのでメロディがあまり響いてこないんですよ。



Joe Medwick ; I'm An After Hour Man ; CRAZY CAJUN /EDSEL EDCD 632 (2000. 4.26)

テキサスのソングライター/シンガーの CRAZY CAJUN 録音集。ことしリリースされたもので、おそらく60年代末のものと思われます。いかにも60年代R&bといったリズム・ナンバーと、サザン・ソウル・バラードが中心で、サム・クックの「ア・チェンジ・イズ・ゴナ・カム」に影響されたような曲もあります。愛すべきB級ですか。ロバート・パーカーの「ベアフッティン」も田舎っぽくて味わいがあります。でも、この人、DUKEのディドリック・マローンすなわちドン・ロビー名義の曲の多く(「アイ・ピティ・ザ・フール」など)のライター(ゴーストですな)だそうです。その割には唄ってる曲のイメージが違うんですが。


Joe Morris ; 1946-1949 ; CLASSICS 5057 (2003. 8.10)

いきなり「フライング・ホーム」の決めが出てくる「フライ・ミスター・フライ」からスタート。モリスのペットとジョニー・グリフィンのサックスがとにかく格好良くジャンプします。どっしりしたノリのミディアム「ロウ・グルーヴィン」、ど派手な「マッド・ムーン」、トリッキーでホンクする「ザ・スパイダー」「アップルジャック」など佳曲がずらり!ヴォーカルが絡みつく「ワウ」のおもしろさったらありません。モリスはヴォーカルも聴かせますが、ペットの派手さとは裏腹のひなびた感じで、決して上手くはないんですが、ほのぼのとした味があります。ジャズとR&Bの区別なんてどうでもいいこの迫力、とにかくたまりません。



Joe Lutcher ; 1947 ; CLASSICS 5075 (2003.12.21)

ジョー・ラッチャーはネリー・ラッチャーの弟で、西海岸をベースに活躍したジャンパーです。ブレイクは1948年ですが、それ以前にも軽快で楽しいジャンプナンバーをたくさん残していて、このアルバムもソウした曲が満載です。強烈なユニゾンのリフの「ソサエティ・ブギ」や「シャッフル・ブギ」、ビバップの「ストラト・クルーザー」「バグダッド・ビバップ」、そしてLPのタイトルにもなっていた「ジョー・ジョー・ジャンプ」など、キラリと光る作品がたっぷりです。もちろんスロウやノヴェルティな曲も楽しめます。



Joe Lutcher ; Jumpin' At The Mardi Gras ; MODERN/ACE CDCHD 753 (2002. 2.19)

1949〜50年頃の録音。2000年にリリースされましたが、未発表がてんこ盛りです。そしていろいろと面白い発見がありました。ジョーはネリー・ラッチャーの弟であるとサックス吹きですが、そのスタイルはかなり柔軟です。まず冒頭の「ロッコラ」は1949年作のアップ・ナンバーで、歌詞といいリフといい、ロックンロールの初期作品といえましょう。また「マルディ・グラ」は大発見。これはスヌークス・イーグリンが「Soul's Edge ]で「アイ・ウェント・トゥ・マルディ・グラ」としてやっている曲の元歌です。この他ラテン風味の曲が多く、カリブの臭いがプンプンしている上、「アロハ〜」と歌い始める曲、結構クールなジャズなど盛りだくさん。あまりにスタイルが多様なためつかみ所がないくらいですが、とにかく楽しめました。



Joe Simon ; The Chockin' Kind - Golden Classics ; COLLECTABLES COL-CD-5114 (2002. 4. 8)

おそらく1966〜70年の多分SOUND STAGE 7での録音を集めた編集盤です。このレーベルはクレジットがほとんど記されていないのでちょっと不満です。ジョーはジェィムズ・カーに似た声質のシンガーで、バラード系を得意とするようです。「ナイン・パウンド・スチール」を聴きたくて買ったんですが、「メッセージ・フロム・マリア」「ミスティ・ブルー」と少し甘めの曲に魅力があります。プレスリーで有名な「イン・ザ・ゲットー」も落ち着いていて面白かったです。「ドック・オヴ・ザ・ベイ」はオリジナルのイメージを崩すことはできませんが。全体にディープすぎず聴きやすい感じもありますが、引き込まれるほどの魅力はあまり感じませんでした。今度70年代以降のものを聴いてみるつもりです。



Joe Tex ; Get Way Back - The 1950s Recordings ; ACE CDCHD 1197 (2008.11.21)

1955〜60年録音。ロックンロール全盛期らしく、少しスモーキーなハイトーンの声の魅力をいっぱいに生かしたノリのいい曲が並んでいます。また「マイ・ビッゲスト・ミステイク」など伸びやかなミディアムも素晴らしい出来です。「ヤム・ヤム・ヤム」あたりになるとリトル・リチャードのフォロワーかといったシャウトも聴かれます。でもKING、ACEといったレーベルなのにヒットに恵まれていないんですよね。やはり何かいまひとつ個性を生かしきれていないってことなんでしょうか。若さが弾けてて僕は好きなんですが。




Joe Tex ; The Very Best Of Joe Tex ; DIAL/CHARLY CD CHARLY 133 (2002. 6.27)

1964年〜72年のまさにベスト盤。彼のヒット曲はほぼ網羅されています。ジョー・テックスをまともに聴くのは20年ぶりくらいかもしれません。「ホールド・ワット・ユーヴ・ガット」のゴスペルとカントリーが混じったような曲がまず印象的です。サザンソウルと言っても、同時代のO.V.ライトがタイトなサウンドに支えられていくのに対し、こちらはぐっと泥臭く、何だか畑の臭いを感じます。歌からは明らかにサム・クックの影響を感じますが、もっと野趣溢れる感じです。これが70年代に入ると急にファンキーになる感じで、特に「アイ・ガッチャ」の田舎臭いファンキー路線はすごく面白いです。これが続かなかったのが残念な気がします。何でもイスラームの道にはまったとか。



Joe Weaver & His Blue Note Orch. Baby I Love You So ; REGENCY RR.124 (2008. 5.15)

おそらく1950年代の音でしょう。ジョー・ウィーヴァーはデトロイトのバンド・リーダーで、ピアニストであり歌も歌っています。ブルースに根差しているのは間違いありませんが、もう少し下世話さもあり、ドゥーワップみたいなコーラスを乗せたり、ルンバ系のリズムを多用したりと、多分当時ヒップと思われる音をどんどん試していたのではないでしょうか。後半になるとヴォーカルにアンドレ・ウィリアムズの名前が登場します。この辺り、しっかりしたライナーではないので事情がちょっと分かりませんが、多分いろんな歌手やコーラスグループのバックバンドをやっていたんではないでしょうか。とにかくデトロイトのシーンでは結構重要な役割を果たしていたバンドのような気がします。



Joe Weaver & His New Blue Note Orch. ; Baby I Love You So ; BLACK MAGIC CD 9041 (2002. 7.20)

1999年録音。軽快なジャンプ・サウンドに乗ったオープニングから、バンド名で分かるように気持ちのいいジャズ・ブルースが展開されます。ウィーヴァーのヴォーカルはちょっとドクター・ジョンに似た声質の「ダミ声」ですが、適度にポップで聴きやすい歌です。ニューオーリンズ風味の曲など聴くと、本当に聴き間違えそうです。ジョニー・バセットのギターも抑制の効いた好プレイ。タイトル曲では自身のピアノを披露しながらドゥーワップ風の曲も。こういう曲を聴くと確かにデトロイト出身というのも頷けます。



Jo-El Sonnier & Friends ; The L.A. Sessions ; JO-EL no number (2002. 8.23)

2002年リリース。ケイジャンの世界で有名なジョエルが行ったセッションなんですが、集まったギタリストがすごいです。アルバート・リー、スティーヴ・クロッパー、ジェィムズ・バートンと、涎が出そうな人達が顔をそろえており、それぞれ素晴らしい技を披露しています。またガース・ハドソンがキーボードで参加しており、ライナーもしたためています。実はジョエルは初体験で、アコーディオンの腕は確かです。ヴォーカルは類似穴からナッシュヴィルに呼ばれるだけあって、かなり洗練したカントリーミュージックといった肌合い。おそらくその世界ではスター性も抜群な歌唱力ですが、より泥臭いものが好みの僕には少し品が良すぎる感じもします。でもアメリカ中西部の畑のただ中の道を、トラック飛ばしているときラジオから聞こえたら、これははまるでしょうね。



Elmore James & John Brim ; Whose Muddy Shoes ; CHESS/MCA VICTOR MVCM-22029 (2009. 1. 9)

エルモアがCHESSに残した1953年と1960年の録音に、ジョン・ブリムの1953〜54年の曲をカップリングしたアルバムです。まずは何といってもジョン・ブリムの「タフ・タイムズ」。元々はPARROTに録音した曲で、50年代シカゴブルースの隠れた名曲です。この他ロックウッドのギターが冴えまくってノリのいい「ビ・ケアフル」や、ヴァン・ヘイレンのカヴァーで一躍有名になった「アイスクリーム・マン」など、ブリムの代表曲が収められています。エルモアの方は53年録音はランサム・ノウリングのベースも入り、いつものメンバーとシカゴ・スタイルでじっくりやったって感じ。タイトル曲のむせび泣くJ.T.ブラウンのサックスがたまりません。一方60年録音はFIRE録音に通じる雰囲気で、よりエコーを効かせ、サウンドにも迫力があります。「サン・イズ・シャイニング」は「スカイ・イズ・クライング」と対になるような曲。この他強烈なスライドの「ストーミー・マンディ」や、ブルームダスター調が聴かれる「トーク・トゥ・ミー・ベイビー」など、豪快な曲が多いです。




John Brim ; The Ice Cream Man ; TONE-COOL CD TC 1150 (2001. 8.30)

1994年リリース。中古で購入。ボブ・マーゴリン、ジェリー・ポートノイといった新世代のミュージシャンと組んで、シカゴブルースの名曲の数々を渋めの演奏で再演しています。タイトル曲をはじめ、自身の代表曲「タフ・タイムズ」「ビ・ケアフル」を取り上げているほか、御大マディの曲やリトル・ウォルターの曲も取り上げていますが、スリルがないんですよね。バックがあまりにこなれすぎていて、予定調和的なのと、ブリム自身のエネルギーをいまひとつ感じませんでした。取り上げた曲が絶品なので、けっこう楽しめましたが。ラストの「ゴーイン・ダウン・スロウ」の生ギター2本弾き語り風は、枯れた味わいでけっこうきましたが。



John Brim ; Jake's Blues ; ANNA BEA ABCD 499 (2001. 4.16)

1999年リリースのジョン・ブリムの新譜です。妻のグレースを亡くしたブリムが、彼女を慕んで作ったアルバムのようで、実に情感溢れたアルバムとなりました。間もなく80才になろうかというブリム、さすがに声は衰えていますが、そんなことお構いなしの歌は心を打ちます。バックバンドはブリムのレギュラーバンドのようで、派手さはまったくありませんが、的確なサイドワークは「主役」を立てるプレイに撤しているようです。50年前に引き戻されたようなダウンホームな演奏は見事です。これはことしのBEST 5に入りそうです。



John Boutte ; At The Canal Street ; P-VINE PCD-24116 (2002. 1.27)

1998年録音。2001年に日本で初めてリリースされたジョン・ブッテ、素晴らしい歌手です。ちょっとハスキーなハイトーンは優しさをいっぱいにたたえ、柔らかいながらも背後にはしっかり力強さを感じさせます。ベースにゴスペル、ジャズの香りを強く感じ、特にサム・クックの影響は彼の「ア・チェンジ・イズ・ゴナ・カム」を取り上げていることからもうかがえます。一方ニューオーリンズのミュージシャンらしく、ポリリズミックな演奏をバックに、サッチモを彷彿させる唄い回しも登場、懐の深さを感じました。僕のお気に入りはクールな「黒いオルフェ」。こうしたムーディな曲でもテクニックに流されることなく、しっかり歌心を伝えるシンガーは久しぶり。ちょっと力が入りすぎるかなって感じの部分もありますが。新作が待ち遠しいです。



John Boutte & Uptown Okra ; Carry Me Home ; BOUTTEWORKS no number (2003. 8.18)

2003年リリース。歌が上手いってことは本当に音楽を引き締めます。今回のブッテ、伴奏はウッドベースやマンドリン、それに生ギターとアコースティックな肌合いがたっぷりで、カントリー・ミュージックに通じるトゥービートものも多いんですが、彼のちょっとダミ声っぽいハイノートな歌が実に味わい深いです。背後にしっかりとたたえたゴスペル・フィーリングがあるため、何だかホワイト・ゴスペルのような印象も。そんな中に洒落たアレンジの「ママ&パパ」なんて曲が出てきますから、やっぱりニューオーリンズなんだなって思いました。「アメイジング・グレイス」をやってもちっとも嫌味にならず、しっくり溶け込んでいるのはさすが。これは好盤ですね。気に入りました。ベスト10入り確実!



John Boutte ; With Conspirare ; CONSPIRARE no number (2008. 2.11)

2007年リリース。ジョン・ブッテは現在最高の歌い手のひとりだと僕は勝手に思っているんですが、その魅力を存分に引き出したアルバムです。まずピアノをバックに歌う「ア・チェンジ・イズ・ゴナ・カム」の素晴らしさ!サム・クックに大いなるリスペクトを表していながら、歌はジョンの血となり肉となり、人間という最高の楽器から表現される最高のエモーションに溢れたものになっています。こんな風に歌えたら幸せでしょうね。その次に「プリーズ・センド・ミー・サムワン・トゥ・ラヴ」を配する心憎さ。歌の世界の違いが表現の違いとなり、「気」のこもった歌がどんなに素晴らしいものかを、存分に聴かせてくれます。ああ幸せ。ナチュラル・エコーのかかったホールで録られたようで、「ホーム」のうしろに登場するコーラスがまた美しく、ジョンの歌を引き立てています。そしてゆったりと歌われる「踊り明かそう」。このスタンダードが、まるで上質な子守歌のように響きます。コーラスのサポートも素晴らしく、天国に登るような気分。当面のベスト盤です。



John Boutte ; Good Neighbor ; JOHN BOUTTE no number (2008. 5. 7)

2008年リリース。リロイ・ジョーンズにアンドリュース兄弟のブラス、アイヴァン・ネヴィルやディヴィッド・トカノフスキーのキーボードと、ニューオーリンズ名うてのミュージシャンを集めた新作は、ファンキーな「ドア・ポッピン」からスタート。ジャズ風味ありソウル風味ありの多彩なスタイルはブッテの音楽性の広さを感じさせます。ニール・ヤングの「サザン・マン」なんてちょっと意外な曲も取り上げてたりします。「ブローク・サウン・ザ・ドア」はやっぱりカトリーナがテーマなんでしょうか。「フット・オヴ・カナル・ストリート」もニューオーリンズに対する愛情を感じさせます。2曲あるポール・サンチェスとのデュオでは、ブッテの声が時折女性に聞こえたり。聴き込むほどに味の出るアルバムです。



John Boutte ; Jambalaya ; JOHNBOUTTE JB780 (2008. 6. 6)

2008年リリース。タイトル曲は入ってません。ゴスペルやスタンダードのカヴァーと、ポール・サンチェスとの共作が中心になっています。まずはサム・クックの「ア・チェンジ・イズ・ゴナ・カム」に耳を奪われました。この歌のカヴァーはそれこそ星の数ほどあるわけですが、ジョンのサムに対する気持ちがよく込められた見事なカヴァーだと思います。またゆったり歌い始めてアップに転じていく「リパブリック賛歌」、ちょっとジャズっぽいアレンジが上手く効いていて格好いいな。オリジナル曲は適度にポップな曲作りで、ジョンの魅力を上手く引き出していますね。ところでクレジットが全然ないから分からないんですが、女性コーラス、誰でしょう?



Paul Sanchez / John Boutte ; Stew Called New Orleans ; THREADHEAD no number (2009. 5.17)

多分2009年リリースです。ジョン・ブッテとポール・サンチェスはここのところ一緒にアルバムを出すことが多いですが、これもその一枚。まずジョン・ブッテの歌はいつも通りの素晴らしさで、ゴスペル・テイストを感じさせるニュアンスの豊かさがたまりません。ポール・サイモンの「アメリカン・チューン」のディープな解釈などまさにお見事!一方サンチェスはタイトル通りのコード進行にジャジーなギターワークが冴える「トゥー・ファイヴ・ワン」がまずいかしてます。でもこのアルバムで一番気に入ったのは「アン・エンプティ・チェア」、分かれの時の切ない男心を、穏やかな中に深い悲しみを感じさせるように歌います。これはもう絶品ですね。




John Campbell ; A Man And His Blues ; CROSSCUT CCD11019 (2003. 4.11)

1988年にLPとしてリリースされたもののCD化で、バックに一部ロニー・アールが参加しているほか、ジェリー・ポートノイのハーモニカも2曲入っていました。この人はシュリーヴポート生まれでテキサスでキャリアをスタートしたそうで、その弾き語りはもろにライトニン・ホプキンスです。自作の「ブルーバード」でも歌詞に「グローリー・ビー」なんて出てきますし。一方スヌーキー・プライヤーの「ジャッジメント・デイ」はバンド演奏ですが、シカゴスタイルでなくフランキー・リー・シムスやスモーキー・ホグを思わせる、テキサス・カントリー・スタイルで、サザンビートの香りもあります。そんな中「ディープ・リヴァー・ラグ」の華麗な指さばきが一番印象に残りました。



John Campbell ; Howlin Mercy ; WEA WMC5-631 (2004. 7.26)

1992年録音。頂き物です。ジョン・キャンベルは南部をまわっていたブルースをルーツにしたロッカーで、明らかにハードロックの洗礼を受けながらも、あくまでも泥臭いスライドと、ざらついた沈鬱なヴォーカルを持ち味にしたサウンドは、まさにワン&オンリーです。余分な装飾を一切排し、彼のギターと歌を前面に押し出したデニス・ウォーカーのアルバム作りは的を見事に射抜いており、ロック魂を揺さぶる作品となっています。



John Campbelljohn ; Hook Slide + Sinker ; HERMAN'S HE 018-2 (2002.10.16)

1998年年の作品。カナダのスライドギタリストのアルバムがドイツ〜浜松経由で我が家に届くっていうのも面白いです。しかしこの人、ものすごいテクニシャンです。複雑な複弦にまたがるスライドプレイや、サニー・ランドレスを思わせるハーモニックスやタッピングもガンガン出てきますし、ハワイアンスタイルのスライドに、まるでアンプラグドなクラプトンのような力の抜けた歌が妙にマッチする「マーサ・メイ」なんて曲もあります。さらにリゾネイタもプレイしていますが、「ワイフ&ファミリー」では、マンドリンを思わせるサウンドの弾き語りで不思議な雰囲気を醸し出しています。ハードなブギナンバーではちょっとビリー・ギボンズを思わせたりもします。ただ、ロバート・クレイの「フォーン・ブース」はアレンジやがなったような歌がちょっと?でした。



John Campbelljohn ; Weight Of The World ; HERMAN'S HE 032-2 (2006.10.21)

2006年リリースです。ジョンはカナダのスライド弾きで卓越したテクニックの持ち主ですが、意外だったのが、エレキでタップ奏法を多用して、まるでサニー・ランドレスのようなサウンドを出していることです。あとはビリー・ギボンズに似たフレーズも多く使っていますね。だから僕にしてみれば好きな音なんですけど、何か個性を感じなくなっちゃいました。ラップスチールやリゾネイタも弾いているんで、面白いことは面白いんですけど、のめり込むようなサウンドじゃないなぁ。楽曲もロックとしてはもう一つかな。以前の作品の方がインパクトを感じました。



John Carey & Piano Bob ; Back In New Orleans ; JOHN CAREY & PIANO BOB no number (2010. 6.21)

2010年リリース。まずゲスト陣が豪華です。エリック・リンデル、ジョン・フォウル、ジャンピン・ジョニー・サンソン、マーク・ストーンといった具合です。サウンドは緩やかで穏やか。ところどころセカンドライン風味がちりばめてありますが、どちらかというとグッド・オールド・アメリカン・ミュージックといった風情で、ブルースとカントリーの良質なミクスチュアですね。カリーのハーモニカは出しゃばらず音楽に色合いを与える役目に徹していて交換が持てます。ボブのピアノは派手に鳴るわけではありませんが的確。なかなかいい感じのアルバムです。




John "Crawlin' Snake" Mac ; Doctor Doom ; LSUGHING MOUNTAIN LM003 (<2003. 3.24)

2002年リリース。いきなりアコースティックギターのスライドと、結構クールなロックナンバーから始まったので、結構ゴリゴリの人かと思ったら、3曲目以降ユルユルになってある意味拍子抜けしました。ブルースとカントリーというアメリカ伝統音楽の2大ルーツに両足どっぷり突っ込みながら、ガレージ風味を効かしたり自分なりのレシピで料理しているのが好印象です。際立った個性は感じられないんですがね。



John Dee Holeman ; Bull Durham Blues ; MUSIC MAKER 91004-2 (2006.12.14)

1997年録音。1929年ノースキャロライナ生まれのジョン・ディーは、ブラインド・ボーイ・フラーに師事したようですが、そのメタルボディのリゾネイタから爪弾かれる押弦プレイからは、ライトニン・ホプキンスの影を強く感じさせます。これは彼がどうやらホーボー・ミュージシャンだったからのようで、切れ味のいいピードモント・スタイルのフィンガー・ピッキングと、即興的に歌っていくブルースはかなり達者なものです。曲も「スウィート・ホーム・シカゴ」「ハロー・セントラル」「ビッグ・ボス・マン」「クロウ・ジェーン」など知られたものが多いのですが、オリジナルからの影響は感じられるものの、ジョン・ディーの個性がそれを上回っているように思いました。やはり味わいのある歌が魅力になっているんです。中古盤ですが結構いい拾いもです。



John Delafose ; Heartaches And Hot Steps ; MAISON DE SOUL MDS-1035 (2003.10.30)

1990年リリースのアルバムに、1993年の音をボーナスで加えたもののようです。柔らかい音のアコーディオンと、ゆるさのあるリズムに、暖かいジョンのヴォーカルが響きます。特に歌い回しはケイジャンと双生児といってもいい感じで、まさにタイトル通りの「ハートエイク」を感じました。息子たちをリズム隊に入れてありますが、ファミリーならではの息の合った緩やかさだと思いました。リトリ・リチャードの「キープ・ア・ノッキン」やサム・クックの「ワンダフル・ワールド」もシャッフル系の軽快なトゥーステップにしちゃうし、って今思い出しましたが、ジノ・デラフォースの新譜でもこれやってましたね。



John Delafose & The Eunice Playboys feat. Geno Delafose ; Pere Et Garcon Zydeco ; ROUNDER CD 2116(2000. 8.26)

1991年録音。中古で購入。ジョン(故人)とジノの父子共演盤です。ザディコはクリフトン・シェニエくらいしか量を聴いていないので、大したことは言えないのですが、とってもオーソドックスな落ち着きのある演奏です。でも流石ダンス・ミュージック!車を運転していても、思わず身体が動きます。「愛さずにいられない」なんて、頭の"I can't stop loving you"を繰り返すだけなんですが、いいムードなんですよね。音楽に理屈はいらないって感じです。楽しいアルバム!


John Fogerty ; Deja Vu All Over Again ; GEFFEN B0003257-02 (2004.11. 3)

2004年の新譜です。4年ぶりですが前作と変わらぬ張りのある声に一安心。冒頭のタイトル曲はC.C.R.時代の「フール・ストップ・ザ・レイン」〜「雨を見たかい」の延長線上にあるサウンドで、好曲です。後はロックンロールあり、カントリー調ありと前作に近い構成ですが、全体的にはアコースティックなカラーが強いかな。そんな中「ノーバディズ・ヒア・エニモア」のギター、まるでマーク・ノップラーみたい。ラストの「イン・ザ・ガーデン」は結構ヘヴィーでちょっとジミ・ヘンドリックス・テイストを感じさせます。しかし全部で34分てのは、ジョンらしいですけど、ちょっと物足りないな。



John Fogerty ; The Long Road Home - In Concert ; FANTASY 0888072300842 (2010. 2. 8)

2005年9月15日にロサンゼルスで行われた2枚組ライヴ盤です。C.C.R.時代の代表曲をほぼカヴァーしながら、時折ソロアルバムからの曲を挟むと言った構成で、こうして1曲3〜4分の曲を立て続けに並べる姿は、やっぱり彼はロケンローラーなんだなって思いました。「ボーン・オン・ザ・バイユー」の伸びやかな歌は全く衰えを感じさせず、やっぱりかっこいいです。2枚目に入ると全開で、息もつかせぬロケンロール大会!もう一気に行ってしまいます。やっぱり僕にとっては永遠のヒーローです。




John Fogerty ; Revival ; FANTASY 0888072300019 (2007.10.30)

2007年の新譜です。若々しく張りのある声、シンプルでキャッチーなメロディ、甘いラヴソングなんて全然無い歌詞と、この人はC.C.R.時代からスタイルをほとんど変えずにやって来ています。全体としてはカントリーテイストが強く、ギタリストとしても非凡な腕前を控え目ながら随所に聴かせています。「アイ・キャント・テイク・イット・ノー・モア」では戦争にはっきりノーと言うなど、本当に姿勢の変わらない人です。曲によってはトニー・ジョー・ホワイトに通じる味わいもあり、相変わらずカリフォルニアに南部のテイストを運んでるんですね。この一途さ、大好きです。



John Fogerty ; The Blue Ridge Rangers Ride Again ; UNIVERSAL CLASSICS & JAZZ UCCB-1035 (2010. 4.12)

2009年リリース。ジョン・フォガティはC.C.R.解散直後にこのバンド名を使ったワンマン録音によるカントリー・アルバムを作りましたが、これはその路線、つまりカントリーをやろうって作品です。今回はちゃんとメンバーを集めてやってます。リック・ネルソンの「ガーデン・パーティ」ではヴォーカルにドン・ヘンリーがフィーチュア、この他バック・オーウェンズ、ジョン・デンヴァーの曲もあり、演奏もドブロやフィドルを入れてカントリー色たっぷりです。ラストナンバーはエヴァリー・ブラザーズの「ホウェン・ウィル・ビ・ラヴド」で、ブルース・スプリングスティーンとのデュオです。ブルース、R&Bとこのカントリーへの愛着が、ジョン・フォガティの音楽を形作っているのが再確認できました。




John "Papa" Gros ; Day's End ; FUNKY KREWE FKY0032 (2004. 5. 3)

2004年リリース。パパ・グロウズ・ファンクのジョン・グロスのソロ作ですが、もっとドロドロした感じかと思ったら意外や意外、カントリーフレイヴァーの溢れるファンク・ロック・アルバムといった趣です。軽快なロックンロールナンバーにグロスのだみ声がマッチしていていい感じ。「ロール・アウェイ」なんてバラードもなかなかしんみりした歌を聴かせ、パパ・グロでのバリバリなファンクとは好対照。「キープ・オン・グイン」や「トゥルース・セレナーデ」はしっかりニューオーリンズしてますし、大人な「ラスト・グッド・テイスト」もいいなぁ。何だかこっちの路線の方が僕は好きです。



John Hiatt ; Anthology ; HIP-O 314 556 134-2 (2006. 8.15)

1974〜2000リリースの、ハイアットのキャリアを通じたベスト盤2枚組です。白状しますと彼の音楽は数年前まではほとんど聴いたことがなかったんです。ひとつは彼がメジャーになった80年代、ロックをほとんど聴いていなかったことがあるんですが、今回聴いてみても、やっぱり1枚目のサウンドは苦手ですね。妙にポップだったり、日本でいうと佐野元春みたい。ところが2枚目になるとぐっと重心がローカル指向になって面白くなります。バディ・ガイのカヴァー以来ブルースでもスタンダードとなりつつある「フィール・ライク・レイン」、サニー・ランドレスのスライドが実にうまくマッチしている「テネシー・プレイツ」といった、土着性を増したサウンドには魅力を感じます。この変化が何だったのかは面白いところですね。自分にとっての空白の時間を埋めるような体験でした。



John Hiatt ; The Tiki Bar Is Open ; VANGUARD 79593-2 (2001.10.16)

2001年リリースの新譜です。実はこの人、本格的に聴くのは初めてでした。こういった滋味のある詞を重視した味わいの人って、あまり聴いていないので、ちょっと取っ付きにくさはありました。でも聴いているうちに、何となくハイアットの心境みたいなものが感じられるような気がしてきました。説得力のある歌なんです。インレイに歌詞があるのでじっくり読んでみなきゃ。バックのサニー・ランドレスを含む演奏がけっこう重厚な音空間を作っているのも魅力です。全体としては大人のロックといった印象です。何度も聴いていくうちにどんどん味わいが増す作品かな?



John Hiatt & The Goners ; Beneath This Gruff Exterior ; NEW WEST NW6045 (2003. 5. 8)

2003年リリースのピカピカの新譜です。ハイアットのしゃがれ声のヴォーカルはあんまり得意ではないんですが、このアルバムを聴いてちょっと印象が変わりました。歌い回しだけでなく、高い声の部分などを聴いても、すごくきちんとヴォイスコントロールされていて、思わず「上手いなぁ」と思ったんです。ゴーナーズの目玉はもちろんサニー・ランドレスで、バックに回ったサニーの的確で適度にトリッキーなスライドワークが満喫できます。曲もきちんとロックした感じで、特にミディアムテンポの曲に秀作が多いと思いました。中年ロッカー達の底力を感じます。



John Lee hooker ; Detroit 1948-1949 ; SAVOY 92910-2 (2000.11.16)

1948年から49年にかけて、ジョン・リーはさまざまな変名を使い分けて、それこそ録音しまくっていたわけですが、SAVOYでリリースされたものがまとまってCDで聴けるようになりました。KRAZY KATの「Boogie Awhile」などで、そのタイトル曲などはCD化されていましたが。全体的にカポを噛ませているようで、ギター、ヴォーカルともにトーンが高めです。低音部をうごめく蛇のようなヴォーカルを期待するとちょっと外れますが、ブギ、スローいずれもジョン・リーそのもの。特にストンプとギターの醸し出すリズムの凄さは、誰にも真似ができません。この際ノイズなど気にしていられません。2曲ほどバンド入りのものが入っていますが、この時代は弾き語りがやはり凄いです。ジョン・リー・ファン必聴の1枚!



John Lee Hooker ; The Unknown 1949 Recordings ; FLYRIGHT FLY CD 57 (2000. 6.23)

20世紀も末になって、こんなものが出てきました。1949年と言えば、ジョン・リーがレコード・デビューして間もない頃。すでに完全なジョン・リー節です。スット・ストンピンも効いています。ブルースのスタンダードから「ジョン・ヘンリー」「ジャック・オー・ダイアモンド」まで全部あのスタイルにしてしまうから凄い。録音のせいか、ヴォーカルがちと弱いですが。ラスト4曲はライヴ録音ですが、「アイ・ワンダー」には驚きました。のちにMODERNで出しているようですが、ジョン・リーとは思えないギターさばき、モダンなコードワークです。ヴォーカルも落ち着き払っています。ソロを聴いてようやくジョン・リーと確信。イメージ変わりました。


John Lee Hooker ; Don't Turn Me From Your Door ; ATCO 7 82365-2 (2008.11.28)

1953年の録音にベースのついた1961年の録音が入っています。ネットで話題になっていて、持っていなかったので購入しました。53年録音は油の乗りきった時期のジョン・リーですから、悪かろうはずがありません。トレモロを効かせたビヤビヤのギターを例によってかき鳴らしながら、渋い声でジョン・リー節を唸ります。ただし速いブギが入って何のがちょっと残念。一方61年録音は、ある意味随分こなれてるなといった感じですか。53年に比べると少し毒気が抜けた感じがします。ともかく彼の代表作とは言えませんが、なかなか聴き所の多い盤です。




John Lee Hooker ; Live At Sugar Hill Volumes 1 & 2 ; PRESTIGE/ACE CDCHD 938 (2007. 5.26)

1962年のライヴ録音です。ちょうどこの時代はアメリカでフォークブーム真っ盛り。ライトニンもジョン・リーもこうした弾き語りのライヴをたくさん吹き込んでいますが、ジョン・リーはどんなときでもジョン・リーなんです。「マッチボックス」「マイ・ベイブ」「キー・トゥ・ザ・ハイウェイ」「ナイト・タイム・イズ・ザ・ライト・タイム」といった他人のスタンダードはリクエストに応えたんでしょうか?でも何をやってもジョンリー節。「ラン・オン」や十八番の「ブギ・チレン」のノリは他の誰にも出せません。キャンド・ヒートはこうした演奏を聴いて一緒にやりたくなったのかしら。「アイ・ライク・トゥ・シー・ユー・ウォーキング」は「ディンプルズ」ですね。ドラムやベースがなくても関係のないジョン・リー。こんな弾き語りができるようになりたいものです。



John Lee Hooker ; I Feel Good ; LEWEL JCD-5005 (2002. 6.25)

1969年フランス録音。中古盤です。JEWELのジョン・リーってそれこそ20年くらい前に出ていたコンピのLPをちょろっと聴いたくらいだったので、何の気なしに買って来てあったんですが、数曲聴き進むと僕にとってこれは重要なアルバムということが分かりました。聴きまごうことのないギターの音、フルソンが参加しているんです。ちょうど「トランプ」の後で、ワン&オンリーの個性が二人でプレイしているのが何ともすごいです。まあジョン・リーの演奏としては特段素晴らしいともいえませんが、和めるセッションでした。なおベースはなんとキャリー・ベル。



John Lee Hooker ; The Healer ; CHAMELEON D2-74808 (2002. 2. 8)

1991年、いわゆる「復活作」となった1枚です。中古で購入。しかし1曲目のサンタナとの共演にはびっくり!彼の伸びのあるギタープレイにジョン・リーの唸るようなヴォーカル、これが不思議と合うんです。この他ジョン・リーのことが大好きなボニー・レイットからロス・ロボスまでと、およそ節操のないゲスト陣ですが、かえってジョン・リーの異彩が際立つことになりました。12弦での弾き語りでは相変わらずドロッとした味を出しているし。発売当時評判になったのが頷けます。



John Lee Hooker ; Don't Look Back ; POINTBLANK 7243 8 42771 2 3 (2002. 6.29)

1998年リリースでこれがジョン・リー最後のオリジナルアルバムになるのかな?ジョン・リーが大好きなヴァン・モリスンがプロデュースした作品が並び、どちらかというとさらっとした演奏で、デュエットも聞かれます。ジョン・リーはあまりギターを弾かずに、ヴォーカルでジョン・リー節を唸っていますが、その存在感は流石です。ジミの「レッド・ハウス」なんてのもやってます。でも全体的にはおとなし目で、モリスンが楽しんでいる感じですね。そんな中、1曲目のロス・ロボスとの「ディンプルス」が心地好いドライヴ感で僕は気に入りました。こうでなくっちゃ!



John Lee Hooker Jr. ; Blues With A Vengeance ; KENT KCD-8011-2 (2005. 2. 5)

2004年リリース。W.C.ハンディ賞にノミネートされているんで興味を持って聴いてみました。名前の通りジョン・リー・フッカーの息子で、結構歳食ってる人です。演奏はというと実に分かりやすくそつのないバックに支えられ、父親譲りの渋めのヴォーカルを聴かせているんですが、なんだかありきたりって感じです。歌にしろ演奏にしろ、ジュニアの「ブルース」が僕にはどうも伝わってこないんですよ。父親のVEE-JAY時代の曲とか、大スタンダード「ストーミー・マンディ」なんてやってるんですけど、スラーっと聴き流してしまう感じでした。曲によっては歌いこなれてない印象もあり、肩透かしですね。



John Lee Hooker Jr. ; Cold As Ice ; TELARC CD-83462 (2007. 1.19)

2006年リリース。これも中古です。こちらはジョン・リー・フッカーの息子で、ホーンセクションを交えた結構ゴージャスなバンドをバックに歌っています。声はちょっと父親譲りの、ザラッとしたバリトンヴォイスで、ジャジーなタイトル曲など結構印象に残る歌ですね。でもCD1枚聴き通すのはちょっと辛かったなぁ。父の思い出を歌った「ドゥー・ダディ」、多くのブルースマンを歌い込んだ「4アワーズ・ストレイト/ブルース・マン」など、どうもわざとらしくって苦手です。抑揚の足りない歌なんで飽きてくるんですよ。むしろフュージョンがかった「アイ・ガット・トゥ・ビー・ミー」のような歌の方が似合う気がします。



John Lisi & Delta Funk! ; Can Ya' Dig It?! ; BLUE GOAT 64672 (2007. 6.27)

リリース年は分かりませんが、この数年内だと思います。ジョン・リジはドブロを弾くファンクミュージシャンて感じでしょうか。というより、今を生きる正当なロックだなって思いました。ファンクネスはたっぷり、ロック魂もたっぷり、ガツンとした手ごたえはなかなかのものです。このアルバムはよりロック色が強く、「ザ・ブルース・グラス・ダーティ」なんていかにもなタイトルの曲で、それらしいプレイをしますけど、ある意味思いっ切り遊んでいるとも言えます。「チャリティ」の粘っこいスライドからはブルース魂も感じますが、やっぱり「ステップ・バック・フール」や「ハウド・ヤ・ゲット・アウェイ」のようなファンクネスのこもったロックナンバーに魅力を感じますね。格好いいなぁ。



John Lisi & Delta Funk! ; Dead Cat Bounce ; 219 TNR 1303 (2007. 2.23)

2007年リリース。デルタ・ファンクとありますが、いわゆるファンクではなく、言わばルーツ系ロックと言えばいいでしょうか。かなり達者でユニークなスライドギターを軸にした演奏で、バンドサウンドはジョン・ムーニーとかタブ・ベノアに通じる跳ね具合を持っています。スライドもラップスティール、エレキ、トライコーンのリゾネイタなどを使い分け、スモーキーなヴォーカルと上手くマッチしたサウンドになっています。サウンドのベースはブルースよりカントリーの色合いの方が強いかな。全体に突っかかるようなギターが結構ユニークでスライド好きな人にはお奨め。ラストの「ブラ・ブラ・ブラ」ではエレクトリック・マンドリンが心地良く響きます。



John Littlejohn ; Sweet Little Angel ; BLACK & BLUE BB 443.2 (2001. 4.24)

1978年フランスはパリでの録音。「Blues Reference」シリーズの一枚で、ラファエッット・リーク、ニック・ホルト、フレッド・ビロウなどの名前が見えます。演奏はややこじんまりした印象で、比較的高音部で唄っている曲が多く、ちょっとリトルジョンの持ち味が出切っていないように思いました。スライドも弾いていますが、ギターの音も少々痩せぎみ。決して悪い演奏とは思いませんが、不完全燃焼といった印象は否めません。「ネクスト・タイム・ユー・シー・ミー」など、こなれていないし。B.B.キングの曲を2曲やっていますが、ギターまでB.B.っぽくなるのはおもしろいですね。



John Meneth ; Name The Day! ; BLIND PIG BPCD 5134 (2010. 9.21)

2010年リリース。メネスは若手の白人ヴォーカリストでハーモニカも達者です。ブルースもやってますが、どちらかというとソウル・ナンバーの方が魅力的かな。歌がまだまだ軽くて、深みに欠けますが、溌剌と歌うのには好感が持てます。また、ソロモン・バークの「ホーム・イン・ユア・ハート」以外をオリジナルで固めていて、意欲的ですね。曲としては「セイヴ・ア・リトル・ラヴ」がけっこう気に入りました。スローの「ホワイ・ノット・ミー」も未消化な部分は感じますが丁寧な歌い方で好感が持てます。




John Mooney ; Late Last Night ; BULLSEYE BLUES CD BB 9505 (2003. 6.28)

1990年リリース。「ベイビー・プリーズ・ドント・ゴー」といったオーソドックスなブルースから、デイヴ・バーソロミューで知られるニューオーリンズ・クラシック「カントリー・ボーイ」まで、ムーニーの活動の幅をはっきり捉えた1枚。ブルースでは時にマディそっくりのスライドを奏でたりしますが、ニューオーリンズものでは例のパーカッシヴなギターの片鱗をみせます。でも全体にはおとなしめで、ちょっと優等生的かな。歌は結構歌えていて良いアルバムだとは思いますが、はみ出した感じがもっとあるといいな。キーボードにジョン・クリアリー参加。



John Mooney And Bluesiana ; Travelin' On CROSSCUT CCD 11032 (2003. 6. 6)

1991年ドイツでのライヴです。実はジョン・ムーニーってまともに聴いたことなかったんですけど、これはものすごいライヴです。演奏はトリオなんですが、まずジョンのギターがめちゃめちゃパーカッシヴです。ちょっとスヌークス・イーグリンにも通じる雰囲気もありますが、もっとごつごつした感触で、やはり跳ねたリズムのベース・ドラムと一体になって、グルーヴの中に引き込まれそうな感じがしました。ロバート・ジョンソン・ナンバーを2曲やっていますが、オリジナルの味わいを残しながらも、完全に自分のリズムに取り込んでいるので、古くさいなぞった感じは皆無です。スライドも聴かせますが、これもゴリゴリした感じで、適度に粘り気を出しながらも、セカンドライン的なファンクネスを失わないプレイです。ヴォーカルも適度に唸っている感じで結構好きです。こりゃジョンのアルバム、見かけたら片っ端から聴かねば!



John Mooney ; Against The Wall ; RUF 51416 1389 2 (2003. 6.26)

1996年録音。元々はHOUSE OF BLUESのようです。はまりましたねぇ。この人には。このアルバムもライヴ的な録音と、パーカッシヴなギター、それにセカンドラインの影響を強く感じるリズムセクションが渾然となってうねっています。全体にスライドは少なめで、オリジナルがほとんどを占めてます。それから歌がけっこういいですね。ブルース寄りの歌でも、不自然なうなりなどはなく、メリスマをちょっと利かせた歌い回しが気に入りました。こりゃ深みにはまりそうです。



John Mooney ; All I Want ; BLIND PIG BPCD 5074 (2003. 6.23)

2002年リリース。ぐっと歪んだエレキを使ったバンド演奏と、リゾネイタなどアコースティックの弾き語り的な曲がほぼ交互に出てきますが、同様のパーカッシヴな奏法とスライドの組み合わせながら、かなり多彩な演奏を聴かせます。特にゴリゴリしたエレキの指弾きがライヴ盤に通じるものがあり面白かったです。生ではとてもひとりとは思えない演奏もあり、その確かなテクニックを惜しむところなく出しています。ヴォーカルも結構味があり、楽しめるアルバムです。ちらちらとニューオーリンズ風味を感じさせるのも彼ならではですし。



John Mooney ; Big Ol' Fiya ; LML 06428 (2006. 5.27)

2006年リリース。ジョン・クリアリーのキーボード、ウガンダ・ロバーツのコンガなどをバックに従え、自身もマルチプレイヤーぶりを発揮しています。ジョン・ムーニーと言えば、デルタブルースのテイストを強く感じさせるアコースティックなスライドギターと、セカンドラインに身を任せたフォンキーなスタイルという二面性を持ったアーティストという印象が強いんですが、この作品ではその両方が見事に融合しています。サン・ハウスの「ロージー・マギー」にしても、そのスタイルをなぞるのでなく、しっかりと跳ねるリズムが心地良いですし、どっしりした自作ブルース「ドゥー・ユー・ラヴ・ミー」でもリズムはグルーヴィー。逆にセカンドラインの心地良い曲でも、ギターは粘っこいスライドをメインにしていて、どこを切ってもジョン・ムーニーになってます。とても気合いを感じる佳作だと思いました。



John Mooney & The Bluesiana Band ; Jazz Fest Live 2006 ; MUNCK MIX no number (2006. 8.14)

紹介では「偉大なブルースマン」と呼ばれていますが、確かにスライドをたっぷり聴かせ、泥臭い弾き語り的ブルースもやっています。でもやっぱりこの人の魅力は、そのギターをもっとパーカッシヴに使った、フォンクネスを感じさせる演奏です。ライヴならではの荒々しさがありますが、冒頭のディヴ・バーソロミューの「カントリー・ボーイ」から、そうした曲がいっぱい詰まったこの盤は、彼の今の元気の良さをしっかりとらえているなと思いました。来日しないかな。



John Nemeth ; Magic Touch ; BLIND PIG BPCD 5109 (2007. 6.29)

2007年リリース。いやはや、この人は歌がうまいです。ソウルバラードをロバート・クレイのように歌ったかと思うと、何とオーティス・ラッシュのエモーショナルな「シット&クライ・ブルース」を、その情感を損なうことなく歌い上げています。ジュニア・ワトソンのギターやマーク・カザノフを初めとしたテキサス・ホーンズのサポートも素晴らしく、自身のハーモニカもいい味を出しており、ブルースはヴィンテージ顔負けのサウンド。さすがアンスン・ファンダーバーグのプロデュースです。BLIND PIGもやりますね。どちらかというとMOUNTAIN TOPやDELTA GROOVEの仕事に近いです。こりゃことしのベスト10入りは間違いありません。



John Primer ; Blue Steel - A Tribute To Elmore James ; WOLF 120.808 CD (2003. 3.22)

新譜ですが2曲はマジック・スリムとの1987年、1992年のセッションです。ジョンのスライドに焦点を当てたこのアルバムの出来は、1曲目の「シェイク・ヨ・マネーメイカー」を聴けばよく分かります。乗りのいいリズムとエルモアより幾分すっきりしたスライド、そして気合い十分のジョンのヴォーカルはなかなかの好演です。ヴォーカルなどは本家エルモアと比べちゃうと線の細さはいたしかたないところ。でも「モノマネ」でなくジョンのアルバムとして聴けばそんなことは気になりません。コンセプトがはっきりしている分どんどん音が耳に飛び込んできます。「キャント・ストップ・ラヴィン」などスティーヴ・ベルのハープとの絡みも御機嫌でいい感じ。ラストの「ストレンジャー・ブルース」はアコギを弾いているようですが、これもよく跳ねてます。古い2曲は録音がちょっとしょぼいのが残念。



John Primer ; Cold Blooded Blues Man ; WOLF 120.885 CD (2002. 5.28)

1992〜94年録音。「シカゴ・ブルース・セッション」のシリーズです。前半はバンド演奏で、オーソドックスなシカゴブルースからファンキーなものまで。スライドも交え、ジョンのギターが冴え渡ります。ヴォーカルもおとなしめですがなかなか味がありますね。リトル・マックのハープが聴けるのも嬉しいです。後半はアコースティックセットで、ライトニンの「モジョ・ハンド」からジミ・ヘンドリックスの「レッド・ハウス」まで、ビリー・ブランチやクリス・サンデラのハープを交えながらの演奏です。全体にアコースティックはこじんまりとおとなしすぎる感じがしました。テクニックは確かなんですが、ちょっと出汁が取りきれていないと言ったらいいかしら。この人はバリバリバンドでやる方が好きだな。



John Primer ; It's A Blues Life ; WOLF 120.899 CD (2000. 6. 2)

1998年録音。ハープにキャリー・ベルの息子スティーヴ、ベースに盟友ニック・ホルトが参加。副題に「シカゴ・ブルース・セッション」とあるように、メンバー全員での一発録りのような雰囲気で、音が塊になって出てきます。スリリングと言った感じではありませんが、シカゴのブルース・クラブに迷い込んだような感じです。ボトルネックも聴けます。ラスト2曲はアコの弾き語り風(ハープ入り)で、なかなかいいムードでした。全体としては、まあまあかな?


John Primer ; Knocking At Your Door ; TELARC CD-83456 (2000. 4.23)

シカゴの中堅ブルースマンの新譜。ことしリリースされた新譜です。タイトでまとまりのあるバンドをバックに、ツボを押さえたそつのないギターは安心して聴くことができました。スロー気味の三連「ロンリー・デイズ・アンド・ナイツ」は「ゾーズ・ロンリー・ロンリー・ナイツ」の改作で、マッソー・スコラーの生ハープのせいもあってか、ルイジアナ臭を感じさせる曲もあります。ジミー・ロジャーズの「ザッツ・オール・ライト」をアコースティックで演るなど、変化を出す工夫も見られますが、そつがなさすぎてスリルが味わえないのがちょっと残念。


John Rankin ; Guitar Gumbo ; STR DIGITAL STR 1008 (2002.12. 8)

1995〜2001年に録音されたものを2002年にリリース。タイトル通りニューオーリンズものが多いんですが、一方いろんなタイプのアコースティック・ギターを駆使して、実に「生」な音作りをしています。テクニックは凄く高いと思いますが、ひけらかす感じではなく、とにかく暖かみがアルバム全体から伝わってきます。スタンダード(「サニーサイド・オヴ・ザ・ストリート」etc)、トラッド(「コリーナ」etc)、ニューオーリンズもの(「ビッグ・チーフ」「アイコ・アイコ」)と分かりやすい選曲が中心で、プレイもピアノのフレーズや、聞き覚えのあるメロディを巧みに拝借(「コリーナ」の最中にさりげなく入るジングルベルとか)し、またハーモニカでも巧みな技を披露します。全体としては小粋なBGMに使えるかんじで、とってもくつろげました。



John Rankin ; Fess' Mess ; RANKOMATIC MUSIC RMCD 105 (2005. 5.14)

2005年リリース。冒頭は軽めのファンク、2曲目のタイトル曲はそのまんまのフェス風セカンドラインと、ニューオーリンズ風味たっぷりですが、音楽的な幅の広さも半端じゃありません。ジャンゴ・ラインハルトの曲に歌をつけた「ジャンゴズ・ティアーズ」、トラッドジャズのような「フランキー&ジョニー」からラグタイム、ジェイムズ・ブッカーの「ゴンゾ」は生ギターでやっちゃうし、おっとりとした感じの「アイム・ウォーキン」からラストはしっとりとジャジーなホーギー・カーマイケルの「ニュー・オーリンズ」と、アコースティックギターの魅力をたっぷり詰め込んだ素敵なアルバムです。この人もっと注目されていいと思うんですがね。



John Rankin ; Last In April First In May ; RANKOMATIC MUSIC RMCD 108 (2008. 5.23)

2008年リリースのギター・アルバムです。ランキンがいろんな種類のギターを奏でています。ちょっとスライドを弾かずガットを弾くスペンサー・ボーレンて雰囲気もありますね。そんな中に「シシー・ストラット」なんてのも入ってるんですけど、これも派手さより落ち着きを感じました。クールというより凍ったよううなファンクネスなんです。ただ、「クラウス・ドリーム」のようにフュージョンがかってくるとどうも苦手ですね。むしろクラリネットがもの悲しい「ザ・ドリーム」や、タイトル通りの「ジャンゴ・ジングル」、ゆったりした「テイキング・ア・チャンス」や「ハー・アイズ」「ルッキング・バック」のようなソロ作が染みてきていいなと思いました。



John Scofield ; Piety Street ; EMARCY/UNIVERSAL UCCM-1168 (2009. 3.10)

2009年リリース。まずメンバーがめちゃめちゃ豪華です。ヴォーカルとキーボードがジョン・クリアリーでサブのヴォーカルにジョン・ブッテ、ベースにジョージ・ポーター・ジュニア、ドラムはビーチ・ボーイズのリッキー・ファッターと来れば、出てくる音が期待外れになるわけがありません。ニューオーリンズらしい跳ねるリズムに乗って、一瞬クラリネットかと思わせるようなジョンのギターフレーズは唯一無二のもので、とてもユニーク。でもそれがちっとも浮き上がらないのがこのメンバーらしい仕事です。「マザーレス・チャイルド」「アイル・フライ・アウェイ」など、曲のほとんどはゴスペルで、そこに伝えたいメッセージがあるのではと感じました。




John Wayne Pastor ; New Retro ; COOL COYOTE no number (2008. 7.24)

2008年リリース。定期的にニューオーリンズからCDを買うんですが、試聴もせずにタイトルとか雰囲気だけで買うものもあるんです。これはそんな1枚。「ニュー・レトロ」とはよく言ったもので、ちょっと古いフォークなどの味わいのある曲を、明らかにニュー・ウェイヴ世代がやってるって感じですね。時折ダイアー・ストレイツを思わせるサウンドも出てきます。歌は典型的な「下手ウマ」で、音程とかもフラフラしてるんですが、何故か聴いてしまうんです。たまにはこういうのも面白いですね。




John Weston ; I Tried to Hide From The Blues ; FEDORA FCD 5027 (2001. 9.19)

2001年リリース。ひなびたギターにコーラスを絡めた哀愁のあるヴォーカル、マイナーチューンのハープがなかなか味わい深い1曲目。これがこのアルバムの全体を表していると言ってもいいと思います。途中「キー・トゥ・ザ・ハイウェイ」といったスタンダードをカヴァーしていますが、後はオリジナルでしょう。丁寧な歌い回しとテクニカルとは言えないけれどしっかりした生ギター、さらにホルダーに付けたハープでけっこうきっちりフレージングしていて、叩き上げだなという印象を受けました。実にブルージーな好盤です。



Johnnie Taylor ; Wanted One Soul Singer ; ATLANTIC 7 82253-2 (2005. 3. 2)

1966〜67年にSTAXで録音された名盤です。僕がブルースを聴き始めた頃、真っ青なジャケットを見て思わず買ってしまったものをCD化したので、あらためて聴き直しましたが、やっぱり素晴らしいですね。バックバンドはMGズにアイザック・ヘイズ、これにメンフィス・ホーンズですからもちろん完璧なんですが、ジョニーの歌が何といっても最高です。スローブルースの名作がたくさん入ってますが、冒頭の「アイ・ガット・トゥ・ラヴ・サムバディ’ズ・ベイビー」の頭の歌い出しからビリビリ痺れます。後半の「アイ・ハッド・ア・ドリーム」「リトル・ブルーバード」はまさに圧巻。一方スタンダードの「ブルース・イン・ザ・ナイト」はアップにアレンジしてますし、歌詞付きの「ウォーターメロン・マン」に、カントリーの「16トン」を思いっ切りディープでファンキーに仕上げちゃうあたりが、バンドの良さと一体となった名演ですね。本当はここじゃなくて「おすすめCD」に書かなきゃいけない盤です。そのうちやろうっと。



Johnnie Taylor ; Good Love! ; MALACO MCD 7840 (2004.3.19)

1996年リリース。冒頭のタイトル曲は打ち込みので作ったいかにも新しい音を意識したもの。もちろん御大がそれに負けるわけはないんですが、本人も息苦しさを感じたのか、続く「ラスト・トゥ・ダラー」ではローBの低重心なベースではあるものの、いかにもジョージ・ジャクソンの作らしい印象的なマイナーブルースで、見事なヴォーカルを聴かせます。この他「エイント・ザット・ラヴィング・ユー」では娘のターシャとデュエットしたり、明らかにジョージ・ベンソンを意識した「ディス・マスカレード」があったりと、ヴァラエティに富んでいて、そしてそれに柔軟に対応できるジョニーの魅力が出ています。



Johnny Ace ; 1951-1954 ; CLASSICS 5138 (2005. 7.11)

HIP-O SELECTから出ているDUKE音源のコンプリート集20曲とダブりますが、この盤で嬉しいのはFLAIRの「ミッドナイト・アワーズ・ジャーニー」と「アイ・クライド」のデビュー作2曲も聴くことができることです。B.B.キングのバックバンドでピアノを弾いていたエイスが歌う、まだ荒削りな感じも残るけど瑞々しいブルース、この段階ですでに後の女性をとろけさせる甘い歌声の片鱗は充分に現れています。DUKE時代は「プレジング・マイ・ラヴ」「ザ・クロック」に代表される、甘みはあるけど芯のしっかりした歌声がたっぷり。なんでロシアン・ルーレットなんかに興じちゃったんでしょうかねぇ。



Johnny Adams ; There Is Always One More Time ; ROUNDER 1166-11581-2 (2001. 7.25)

「褐色のカナリア」ジョニー・アダムズの1983年から亡くなる1998年までのROUNDERに残した録音集です。その歌声のすばらしさはもちろんですが、ジャズ系のバンドをバックにアダルトに歌うジョニーもまた魅力的です。15年前に第一回のブルースカーニヴァルで来日したときに、この人の魅力に取り付かれたんですが、その破りにはCDを買っていませんでした。これからじっくりアルバム単位で聴いていこうという気にさせる1枚。晩年のアーロン・ネヴィルとのデュオも泣かせます。



Johnny Allen ; Promised Land ACE CDCHD 380 (2009. 5.21)

1961〜1983年録音。チェック・ベリーのタイトル曲の軽快な解釈から始まるスワンプ・ポップのアルバムです。ジャケットやAMGではケイジャンと紹介されていますが、軽いノリのロックンロールと3連のバラードが中心で、アコーディオンやフィドルも出てきませんからあんまりケイジャンて感じはしないですね。むしろカントリータッチの曲が多く、軽めで気持ちのいいサウンドです。それを20年以上も続けていたっていうのが凄いなぁ。




Johnny Bristol ; The MGM Collection ; HIP-O SELECT B0003039-02 (2005. 3.15)

1974年の「Hung On In There Baby」と翌年の「Feeling The Magic」の2on1にボーナスとしてアルトン&ジョニー名義の「ハング・オン・イン・ゼア・ベイビー」を加えたアルバムです。MOTOWNで作曲やプロデュースを担当していたジョニーがMGMに移った頃は、すでにマーヴィン・ゲイの「ホワッツ・ゴーイン・オン」やダニー・ハザウェイなどが出て、ニューソウルの時代といってもいいんですが、ヒットした「ハング・オン・ゼア・ベイビー」はまさにそういった時代ならではの曲です。チャカポコしたギターとかストリングの使い方は、フィリーサウンドにも通じる雰囲気で、後のディスコを予想させる面もありますが、ジョニーの芯はあるけどソフトな唄い口はやっぱり「甘茶系」になるんでしょうか。この手はほとんど聴かないのでかなり新鮮に感じました。バックにはディヴィッド・T.ウォーカーやレイ・パーカー・ジュニアの名前も見えます。



Johnny Chauvin & The Mojo Band ; With A Little Help From My Friends ; DIATONIC DPCD 12157 (2008.12.10)

多分2008年の盤です。写真とかを見るとプレイヤーの多くは白人のようですが、ポップなザディコバンドといった演奏ですね。トップのタイトル曲とラストナンバーがビートルズで、スタンダードの「ブルームーン」やサム・クックの「キューピッド」などを軽快なタッチでやっています。歌もスムースで聴きやすいです。確かな演奏力をもったパーティバンドといった印象ですね。




Johnny Copeland ; The CRAZY CAJUN Recordings ; EDSEL EDCD 581 (2007. 9.13)

詳しいデータは何もありませんが、おそらく1970年代の録音でしょう。多分ROUNDERやALLIGATORでの録音より古く、ロイ・C.エイムズのプロデュースよりは新しいかな。ジョニーのタフなヴォーカルは全開で、お得意の「ウォーキング・マン・ブルース」や「エイント・ノーバディズ・ビジネス」といったブルースと、サム・クックやジョニー・エイスといったよりソウルよりの曲を、独自の解釈で歌います。ゆったりした「サムシング・ユー・ガット」もいい感じ。ただ、この時代、やっぱり録音に恵まれているとは言えませんね。どうしてもローカルな印象を強く受けます。



Johnny Copeland ; Live In Australia ; BLACK TOP CD BT-1139 (2007. 2.26)

1990年のツアーの模様を収めたものです。いきなりボビー・ブランドの「ファーザー・オン・アップ・ザ・ロード」をゴリッと決めて快調なライヴです。スロー仕立ての「ザッツ・オールライト」はねちっこいし、ナッピー・ブラウンの「ウェラ・ウェラ・ベイビー」はジョニーのちょっとゴスペルかかった粘りのある声によく合ってると思います。一番盛り上がるのは「ルック・オン・ヤンダー・ウォール」から「エイント・ノーバディズ・ビジネス」にいくあたりでしょうか。ジョニーのテキサス仕込みのギターも結構歌っていますし、特にゆったりと場の反応を楽しむかのような後者は、例えばフレディ・キングとはまた違った持ち味になっています。P-VINEさん、JSPもいいけどこんなのも出しませんか?



Johnny Dodds ; King Of The Blues Clarinet 1923-1940 ; UPBEAT URCD225 (2009. 9. 2)

ジョニー・ドッヅはニューオーリンズで活動を始めたクラリネット吹きで、このコンピレーションでは自己名義の他、キング・オリヴァーやルイ・アームストロング名義の録音も入っています。比較的ブルースが多く選曲されており、サッチモが唸る「ロンサム・ブルース」や「ワイルド・マン・ブルース」のバックでは、くねっとしたブルージーなフレーズを聴かせます。またブラインド・ブレイクの「サウスバウンド・ラグ」ではシロホン?と一緒に味のあるプレイを聴かせています。ジョニー自身のバンドはある意味ジャグバンド的な要素もあって、この辺り、古いジャズとジャグバンドのつながりを感じさせますね。




Johnny Dyer ; Shake It! ; BLACK TOP CD BT-1114 (2005. 5.31)

1994年録音。ギターにリック・ホルムストロームを迎えたこのアルバム、もちろん廃盤だったんですが、BLACK TOPは見かけたら買うという行動で手に入れました。冒頭のタイトル曲からリックのフルアコ独特の枯れ味溢れるギターサウンドが、ジョニーのディープな声に見事にはまってます。ジャジーな曲、ロッキンナンバー、ダウンホームな曲とヴァラエティに富んでいますが、それぞれに味のあるギターとハーモニカ、そして歌が素晴らしく、今まで聴かなかったのが本当に残念なくらいです。これらほとんどがオリジナルってのも凄いですね。ラリー・ウィリアムズの「バッド・ボーイ」様イントロで始まる「アイム・ブックト」とか、まあどっかで聴いたような曲もあるんですけど。



Johnny Dyer ; Rolling Fork Revisited ; MOUNTAIN TOP MTPCD-201 (2005. 1. 8)

2004年リリース。1950年代のマディ・ウォーターズ・バンドに代表されるシカゴ・サウンドっていうのは、音が絡み合い、塊になってうねっていて、これが癖になるくらい快感なんですが、21世紀にそれをまさに再現しちゃったのがこのアルバムです。マディに通じるディープさを持つダイヤーに、マーク・ハメルのリトル・ウォルターばりのハープ、名手ラスティ・ジンにポール・オシャーが実にロウダウンなギターサウンドで、マディ。ナンバーを中心にドロドロのシカゴブルースがてんこ盛り!アンプサウンドなども相当研究したようで、断片的に演奏を人に聴かせたら騙せるくらいです。これを「物まね」と言うなかれ!このくらい徹底的にそのサウンドを再現すると、本当に気持ちいいです。



Johnny Fuller ; West Coast R&B / Blues Legend Vol.1 ; OFFICIAL OF-CD 3278 (2003.11.30)

1954〜55年の初期録音をほぼ録音順に並べたもの。ジョニー・フラーはウエストコーストのブルースマンで、最初のころはローウェル・フルソンに通じるロウダウンなギターと、どことなく朗々としたヴォーカルの組み合わせが面白い感じです。ミディアム〜スローのブルースが中心で、「ハウ・ロング」も結構低重心。お約束とも言える「ティン・パン・アリー」も「ラフェスト・プレイス・イン・タウン」のタイトルでやっています。ところがある時から急に路線がポップになります。チャールズ・ブラウンやジョニー・エイスを意識したような感じですが、元々歌がすっきりしていたんで、こっちのスタイルの方が向いているように思います。まあブルースが売れなくなる頃ですから、いち早く路線転換したってことでしょう。



Johnny "Guitar" Watson ; Gangstar Of Love ; KING KCD 6004 (2002. 7.13)

1951〜63年のFEDERAL音源集です。50年代はヤング・ジョン・ワトソン名義です。以前VIVID SOUNDからLPで出ていましたが、ぐっと曲も増えています。まずは何といっても「スペース・ギター」の奔放さですね。録音時にいろいろエフェクタもかけ、フレーズもヒップで、この頃すでに70年代のチープだけど魅力的なファンクの片鱗を見せているのがすごいです。一方60年代はRPM時代を挟んでいるためより成熟しています。ブルーバーズが取り上げた「カッティン・イン」、代表曲の「ギャングスター・オヴ・ラヴ」、アール・キングの曲の魅力をワトスン風味に料理した「ゾーズ・ロンリー・ロンリー・ナイツ」と聴きものが多いです。ペキペキギターとべチャッとしたヴォーカルのコンビネーションはまさにワン&オンリー、死ぬまで貫き通したのがこの人の素晴らしさだと思います。



Johnny "Guitar" Watson ; The Very Best Of Johnny "Guitar" Watson ; RHINO R2 75702 (2003. 7.29)

1952〜63年の、FEDERAL、RPM、KINGなどに残された録音からの、まさにベスト集です。いかにもRHINOらしい心憎い編集で、ワトソンがピアノとヴォーカルで参加したチャック・ヒギンズのバンドの「モーター・ヘッド・ベイビー」や、フロイド・ディクソン名義ですがワトソンのギターが爆発している「ザ・レイト・フレイト・ツイスト」まで、他でなかなか聴けないものもあり、ESCORTの「ザ・イーグル・イズ・バック」も含め、単独盤を持っていても買う価値大です。内容は言うことなく、ペケペケ・ギターとチープで下世話さが売りのヴォーカルの絶妙のマッチングが全編で楽しめます。マクスウェル・ディヴィスとジョニー・オーティスの音作りの違いを比較するなんてのも面白いですね。



Johnny "Guitar" Watson ; Untouchable! ; The Classic 1959-1966 Recordings ; ACE CDCHD 1180 (2007. 9.24)

1959年のCLASS録音から、1965年のMAGNUM録音まで、全27曲てんこ盛りです。メインはKING録音で、「ギャングスター・オヴ・ラヴ」「カッティン・イン」など、他のアルバムでも聴くことができますが、こうしてその前後からほぼ録音順に聴くことができると、ワトソンが時の流行に敏感に反応していることがよく分かります。CLASSやARVEE、ESCORTといった60年代初期はかなりポップな音作りですが、そこはワトソン、やることは下世話で特にタイトル曲はテレヴィドラマよろしくドラムがマシンガンの音を模していたりします。これが65年くらいになるとR&B色が強くなります。ワトソンの歌は決してうまくは感じないんですけど、すぐに分かる個性があり、本当は凄くうまいんだなと再認識。でもこうして聴くとKING時代の作りの良さが際立ちますね。



Johnny "Guitar" Watson ; Witchcraft ; BLUE CITY 2652282 (2002. 5. 7)

これは「珍盤」の部類に入れてもいいかもしれません。CDには詳しいクレジットがないんですが、「Blues Records」によると1964年録音です。ワトソン、このアルバムではギターはいっさい弾かず、ピアノです。ブルースは「リコンシダー・ベイビー」だけで、後は「ミスティ」などスタンダード系の曲をジャズっぽく演奏しています。歌の端々にはワトソンらしい「下世話さ」がにじみ出ますが、結構アタックが強くてかっこいいピアノと、落ち着いたサウンドはジャケットからは想像できないものでした。まあこんなのもありかなって感じです。



Larry Williams & Johnny Guitar Watson ; Two For The Price Of One ; RIGHTEOUS PSLAM 23:5 (2009. 7.15)

1967年だったかのアルバムにほぼ同時期のジョニー・ギター・ワトソンのシングルやアルバム作品を加えたものです。多分以前COLLECTABLESから出てたものと同じだと思います。西海岸で活動する二人が、コラボしたこのアルバムは、軽快でファンキー、ラリーの軽快さとジョニーのもうちょっとねちっこい感じのある歌のかみ合わせが面白いです。特に重要なのが「マーシー・マーシー・マーシー」で、キャノンボール・アダレィのヒット・インストに歌詞をつけちゃって歌ってます。バッキンガムズがこれをカヴァーして大ヒットすることになるわけです。さて、ジョニーのソロ・シングルのうち「ノーバディ」はシタールのような音が入っててビートルズっぽさを感じました。アルバムからの曲はジョニーがピアノでヒット曲をカヴァーしてるって趣向で、この辺は単独CDも出てますね。




Johnny Guitar Watson ; Please Send Me Someone To Love ; RUFFTOWN no number (2004. 7.25)

タイトルにつられ、未発表音源集かとも思いましたが、実際は1984年の「Strike On Computers」に短いテイクを挟んだ再編集盤のようです。ということで、おそらくすべてセルフレコーディングだと思われる、打ち込みっぽいリズムと、軽薄(褒め言葉)なファンクネス溢れるサウンドという、ワトソン以外作り得ない音楽になっています。タイトル曲もちょっとジャズテイストのあるメランコリックな仕上がりで実にユニーク。指弾きの結構フュージョンファンに受けそうなギターワークと、高重心のライトファンク、1970年代以降の彼のスタイルを頑固なまでに貫いたアルバムで、好き者にはたまりません。



Johnny Guitar Watson ; Live! ; MASTARPLAN MP 42011 (2005. 2.15)

こんなのが出てたんですね!ネットで見つけて即購入。データは全く不明なんですが、「バウ・ワウ」などをやっているところから、1994年頃の録音だと思います。例によってチープなファンク満載ですが、レコードでは多重録音で処理していた部分もバンドがやっており、結構グルーヴィーです。「スーパーマン・ラヴァー」から「ア・リアル・マザー・フォー・ヤ」まで、いわゆるブルースは「Bow Wow」収録だった「ドゥーイング・ロング・ウーマン」位ですし、これとてトーキング・モジュレータを駆使したヒップなアレンジ。でもさらりと弾いているギターのうまいこと!フュージョンギタリストとしてやったとしても、十分いけるテクニックです。でもドロドロのブラックにしっかり足を突っ込んで活動したジョニーはやっぱりヒップスターの名がふさわしいですね。最期の公演を見逃したものには本当に嬉しいライヴ盤です。



Johnny "Guitar" Watson ; Bow Wow ; WILMA/POLYSTAR PSCW-5349 (2000. 4. 2)

1994年リリース。日本でその生涯を終えたジョニー・ギター・ワトソンの遺作だったと思います。この人は元々ブルースの枠からはみ出していますが、このアルバムでも本領発揮!フュージョンぽい音作りとファンクが気持ちよく合体してます。でもギターにはブルースが染みついてるし、ヴォーカルはいつも通りの「ヘタウマ」の世界です。「ドゥイング・ロング・ウーマン」なんか、ジョニーの代表作「スリー・アワー・パスト・ミッドナイト」の歌詞がトーキング・モジュレータっぽい音で出てくるし。下世話で僕は大好きなアルバムです。


Johnny J & The Hitmen ; Louisiana Rockabilly ; BLUE VIPER BV004 (2009. 3.20)

2008年リリース。タイトル通りのアルバムです。ルイジアナのロカビリー・プレイヤーがテレキャスターをかき鳴らしながらこれでもかとロカビリーを披露。グリッティなギターサウンドはそれなりにかっこいいし、張りのある歌、ノリのある演奏とベテランらしい安定感を感じますが、でもそれだけなんですよね。それ以上にぐっと来る魅力を僕は感じませんでした。




Johnnie Johnson ; Johnnie Be Eighty. And Still Bad! ; COUSIN MOE MUSIC no number (2005. 8.25)

2004年録音。ジョニーは言うまでもなくチャック・ベリーのバンドのピアニストで、もう80才になるんですね。彼のピアノにバックを付け、ラリー・サーストンとヴィック・ダディ・ジョンソンがヴォーカルをとった録音なんですが、まずはジョニーのピアノが元気なのがいいです。ちょっとジャズがかったフレーズも聴かれますが、達者なブギウギやブルースをバリバリ弾いていて、殆ど歳を感じさせません。曲はすべてオリジナルで、30分余りの短いアルバムですが、結構楽しめました。



Johnny Jones & Charles Walker ; In The House ; CROSSCUT CCD 11066 (2009. 7.19)

1999年秋、スイスでのライヴです。ジョニー・ジョーンズはジャクソン出身のギタリストで、ナッシュヴィルでアール・ゲインズなどと行動を共にし、さらにはボビー・ブランドのバックでも有名な人。またヴォーカルのチャールズもナッシュヴィル出身で、その頃この二人は知り合ったようです。チャールズの方はニューヨークに移り、FIREなどに録音があります。ショーはまずジョニーの歌でスタート。どちらかというとストレートで衒いのない歌です。一方のチャールズはラリー・バードソングなどに通じる、いかにもゴスペルで鍛えた伸びやかな声。ナッシュヴィル・テイストを感じます。さてはと思えば予想通り後半にフレッド・ジェイムズがギターで登場、ジョーンズの切れのいいギターをサポートします。日本では余り名前の知られていないこのふたりですが、パークタワーあたりで来日してたら盛り上がったんじゃないでしょうかね。




Johnny Laws ; Blues Burnin' In My Soul ; ELECTRO-FI 3361 (2005. 8.12)

1999年リリース。これも中古です。シカゴはサウスサイドで活動しているようですが、実はこの人のことを全く知りませんでした。少し抜いたような優しげな歌い方ですが、かなり歌えていて、冒頭の「ドライヴィン・ホウィール」などジュニア・パーカーをベースにしながらゆったりとした佳作に仕上げています。ギルドのセミホロウからつま弾かれるギターも芯のある音で、派手さはないですがなかなか魅力的。スタジオ作ですが残響を生かしたかなりライヴな音作りで、特にトランペットやサックスは目の前にいるような感じです。曲はほぼカヴァーですが、やはりジミー・リードスタイルが似合いますね。ちょっとリトル・マック・シモンズを思い出しました。



Johnnie Marshall ; Live For Today ; JSP JSPCD 2101 (2007. 1.27)

1998年リリース。中古で購入。ジョニー・ロウルズのプロデュースによる、多分この人のデビュー盤です。ジョニーは1961年生まれですからこのアルバムを出した頃は30代後半。若さはちきれるというより、ギターもバンドサウンドも、かなりロバート・クレイを意識したものとなっています。特にストラトキャスターの使い方はそっくりと言ってもいいでしょう。でも歌にクレイほどの個性がなく、ちょっと弱さを感じました。でも全曲オリジナルで固め、ごり押しでない柔軟なサウンドを目指す姿勢は正解だと思います。



Johnny Moore's Three Blazers ; Be Cool ; ACE CDCHD 1148 (2007.10. 5)

1952〜54年にMODERN等に残された録音です。つまりこの頃はすでにチャールズ・ブラウンはいないわけで、ヴォーカルはフランキー・アーヴィンとマリ・ジョーンズ。でもバックのサウンドはほとんど変わっていないわけで、二人ともどこかチャールズ・ブラウンの影を引きずっているようで面白いです。でも未発表の中にはイカしたものもあり、例えばマリの歌う軽快な「ダウン・イン・テキサス」なんて結構いいと思うんですけどね。タイトル曲はどこかエイモス・ミルバーンの酒ものに通じる雰囲気。この時代の西海岸らしい小唄でこういうのが好きな僕にはたまりませんね。面白いのは「ナイトメア・ブルース」で、一瞬ラテン風パーカッションの入るイントロから、マリのヴォーカルの二重録音。確かに怪しい雰囲気がよく出てます。



Johnny Morisette ; Meet Johnny Morisette At The Twistin' Place ; OFFICIAL CD 6202 (2003.12. 2)

1955〜63年録音。この人はサム・クックのSARのコンピで聴いただけでしたが、こうして全容が明らかになるCDが出ました。西海岸を中心に活動していたようで、前半はコーラスグループを従えた甘めのティーンズチューンやツウィストナンバーが中心です。強烈なファルセットもあり、かなり歌えるんですが、あんまり深味のある人じゃないですね。1958年の「バット・マン・フォー・デイズ」は語りなんですが、オルガン入りのかなりファンキーなサウンドが面白いです。SARに入ると音が洗練され、サム・クックに似た雰囲気も出てきます。中にはジョニー・ギター・ワトソンのギターがバックでバリバリなっているものもあり、特にアルバート・キングの「ドント・スロウ・ユア・ラヴ・オン・ミー・ソー・ストロング」ではらしさも出ています。オルガンの効いたチャールズ・ブラウンの「ブラック・ナイト」も、時代の流れを感じます。しかしOFFICIALさん、もう少しデータを載せておいて欲しいな。これじゃブートだと言わんばかり。



Johnny Nash ; I Got Rhythm ; UNIVERSAL UCCU-3020 (2006. 1.16)

1959年リリースです。ニック・ペリーとのオーケストラに乗って、伸びやかでしなやかなハイトーンのヴォーカルをリズミックに操るジョニーの歌声が、まさに踊っています。この時若干19才!凄い歌唱力です。いわゆるディープさとかは感じませんけど、ジャズからラテンまで何でもこなす器用さと、自在なフレージング、そして時に女声かと思う声の魅力が、かなりポップな展開ながら全開です。まあこのへんのアクのなさが、ブルースファンなどには受け入れられにくい部分かもしれませんが、僕は好きですねぇ。「アイ・キャン・シー・クリアリー・ナウ」を聴きたくなりました。



Johnny Nash ; I Can See Clearly Now ; EPIC EK 31607 (2006. 2.23)

1972年リリース。かつてジャズ〜ポピュラー歌手だったジョニー・ナッシュは、ここでは完全にレゲエしてます。それもリズミカルなナンバーからスローまで、純ジャマイカさんのものに比べると、こなれた演奏にも思えますが、まだまだレゲエが日本などでは広く聴かれていなかった時代に、このリズムを取り入れたのは斬新に思えます。そして何と言ってもタイトル曲。ソウルの要素とレゲエの要素が見事にマッチした曲で、全米1位に輝くのも分かる気がします。それにしてもこの人、本当に歌が上手いですね。



Johnny Nicholas ; Thrill On The Hill ; TOPCAT TC-2052 (2007. 3.14)

2004年リリース。メタルボディのリゾネイタを持ってる姿で興味を持って買いました。いきなりもろロバート・ジョンソンの「カインド・ハーテド・ウーマン」で、一瞬しまったと思いましたが、このライヴ盤を聴き進んでいくと、カントリー調あり、ロックンロールありで、けっこう楽しめました。「ジョン・ザ・レヴェレーター」なんてのもけっこう迫力出してやってましたし。特に気に入ったのはロニー・ジョンソンの「トゥモロー・ナイト」、オリジナルとはまた違う哀愁感がありました。タイトル曲は一瞬だけ。ちなみにこのタイトル、元々はハンク・バラード&ミッドナイターズの「レッツ・ゴー,レッツ・ゴー,レッツ・ゴー」をスヌークス・イーグリンがやったときのタイトルですから、多彩なレパートリーといい、この人実はスヌークスのファンかも。ボーナストラックではまたロバート・ジョンソン2曲もやってますけどね。



Johnny Nicholas ; Livin' With The Blues ; TOPCAT TCR-1005 (2007. 5.20)

2005年の録音でしょうか。ジョニーは元々はデトロイトでキャリアをスタートさせていたようですが、現在はテキサスに拠点があるようで、マーシャ・ボール、カズ・カザノフなどおなじみのミュージシャンが名を連ねています。でも面白いのはいわゆるブルースにとらわれず、「ヒル・トップ」なんて洒落たアーリー・ジャズ・スタイルのインストをキメちゃったりします。ウルフの「アイル・ビ・アラウンド」も結構気合い入れて歌うんですけど、バックのサウンドはマンドリンだのラップ・スチールだのが入ってなんか楽しげなんですよね。オリジナル曲に特にそうした趣向が強い気がします。思いっ切りジャンプする「アイム・フロム・テキサス」なんてのがあったり、またリトル・ウィリー・ジョンの「ニード・ユア・ラヴ・ソー・バッド」をマーシャとデュエットしてるんですが、泥臭さがなくってスマートなんですよね。でもバックにB-3とアコーディオンが混在しちゃったりと、この辺のセンスや幅の広さ、やっぱりスヌークス・イーグリンに通じるものを感じます。



The Johnny Otis Rhithm & Blues Caravan ; The Complete Savoy Recordings ; SAVOY JAZZ/ATLANTIC 92859-2 (2000. 6.10)

ジョニー自身が書いた(サインにJohnnyの名前が見えます)イラスト(メインのふたり、ひとりはジョニー自身、もうひとりはリトル・エスター)豪華箱入り3枚組で1949年〜51年録音全77曲!聴き応え充分です。まずはDISK1の1曲目。「ハーレム・ノクターン」はEXCELSIORからのリリース(SAVOYで再発したのかな?)で大ヒット。でも、これを朝の7時前に聴くのはやめた方がいいかなぁ。やはり夜のムード満点。アルトの悩ましさったらないです。この他の曲はヴァラエティ満点!ピート・ルイスのギターがT-ボーンになっている曲や、まるでルイ・ジョーダンといった曲もあれば、ロビンズ、ボビー・ナン、メル・ウォーカーなどのヴォーカルをフィーチュアしたものもあります。しかし何といってもリトル・エスターの「ダブル・クロッシング・ブルース」が凄い!これを吹き込んだときのエスターって確か14才(違ってたらごめんなさい)。確かに声はかわいいんですが、妙に色っぽいんですよねぇ。おじさんとしてはこういうのには弱いです。また、ジョニーはヴィブラフォンを演奏しているものが多いですが、ライオネル・ハンプトンより野趣あふれる感じで、よりポップな感じです。DISK3にいくと、ロックンロール時代を本当に作ったのが誰だったのかということの、ひとつの答えを見せられた様な気がします。SAVOY録音は以前もCD化されてましたが、とにかく決定版(全曲集だから当たり前か)です。


Johnny Otis Orch. ; Rock'N'Roll Hit Parade ; DIG/ACE CDCHD 774 (2000.10.11)

1957年リリースのLPに未発表テイクを多数加えたロックンロール名曲集。新譜で購入。ジョニー・オーティスおよびその一派(The Jayos-どう読むの?-、メル・ウィリアムズ)が、「ロング・トール・サリー」などの名曲をカヴァーした楽しいアルバムです。ダンスパーティに持ってこい!当時もきっとそういう使われ方をしたんだと思います。ファッツ・ドミノの曲などがあるせいもあるんですが、凄くニューオーリンズの香りが漂っています。やはり当時のトレンドだったのでしょうか。とにかくウキウキしました。



The Johnny Otis Show ; Cold Shot! ; KENT/J&T JT 107 (2000.10.16)

1968年録音のアルバムのCD化。ジョニー&シュギー・オーティス親子と、マイティ・マウス・エヴァンスの3人で録音したもののようです。時代もあってか、かなりざらついた印象のサウンドで、新旧折り交ぜてやっていますが、どことなくファンキーな香りが漂います。シュギーのギターは青臭さがあり、ときおりロックっぽさも感じられますが、嫌みな感じはなく、けっこう気持ちよく聴けます。でもこのバンド、やっぱりブラス入りの方が僕は好きだな。特に「ゴーイン・バック・トゥ・LA」(「スィート・ホーム・シカゴ」の替え歌)は、ライヴで秀逸なホーン・アレンジがなされていたんで。



Johnny Otis And His Orchestra ; Spirit Of The Black Territory Bands ; ARHOOLIE CD 384 (2001.10.30)

1990年録音。以前ここのBBSでも話題になっていた「ブラック・テリトリー・バンド」を表題にしたビッグバンド仕立ての作品です。カウント・ベイシー、デューク・エリントン、ライオネル・ハンプトン、ジェイ・マクシャンといった往年のバンドの名曲を、大編成のバンドで演奏していますが、録音技術の向上がかえって裏目に出ているのか、音が塊にならず、ばらけた感じでいまひとつしまりがありません。その中ではやはりジョニー・オーティス自身のバンドのヒット「ハーレム・ノクターン」が一番自然な感じでした。しかしジョニーの声は若々しいなぁ。



Johnny Otis And His Band ; Food For Life ; J&T JT 108 (2002.10.25)

2002年リリースのジョニー・オーティスのピカピカの新譜です。頭3曲は思いっ切りジャズしています。ジョニーのヴァイブが何だかライオネル・ハンプトンを偲んでいるのかという響きでした。でも「バイ・バイ・ブラックバード」「サマータイム」なんていうジャズの古典をやっても、どこか味わいが違うんですよね。いい意味で大まかな感じで、理屈抜きで楽しんだ演奏だと思いました。これが自身が歌う「ダークタウン・ストラッターズ・ボール」あたりからエンジョイぶりがはっきりしだし、次のオールドタイマーな「ザ・ヴァンプ」なんてとっても楽しい演奏です。ちょっと大人のムードを醸し出しながらも、後を向いたらベロ出してるといったジョニー一流の料理って感じですか。タイトルに偽りはなし!



Johnny Rawls ; Put Your Trust In Me ; JSP JSPCD2145 (2000.12.14)

2000年リリース。昨日ののフィル・ガイのアルバムでも好サポートを聴かせていたジョニーの新作です。まず楽曲に対する意識の高さを感じました。ブルースからイメージされる3コード12小節という枠組みにとらわれず、ソウルやロックの要素を取り入れて曲を作っています。マイナー調の多さなど、「フォーン・ブース」のころのロバート・クレイをちょっと思い出しました。でも演奏はそれほどこじんまりしておらず、ボトムが効いており、けっこうライヴな感覚できます。歌はかなりソウルフルですが、力任せでなく、やはりプロデューサーとして活躍しているだけあり、よくバランスを考えています。惜しむらくは、楽曲に印象に残るものが足りないことかな。オリジナル重視で行った場合の弱点が出てしまったかもしれません。3コードはある意味オールマイティな強さがあるわけで、インパクトのある曲が出てきたとき、ジョニーはもっと光るんではないでしょうか。



Johnny Rawls ; Lucky Man ; DEEP SOUTH SOUND DSSCD01 (2002. 4.19)

2002年、ジョニーが自ら興したレーベルからの第1弾です。ジョニーはシンガー、ギタリストの他、フィル・ガイなどのプロデュースを務めるだけあって、かなりこだわりのあるサウンドで全編固めています。ひとことで言えば70年代のメンフィス〜サザン・ソウルの感じでしょうか。HIサウンドとクラーレンス・カーターを足して2で割ったような雰囲気です。丸みのある、低音をいかしたベースにどっしりとしたドラムがミディアムを刻み、オルガンのコードプレイで厚みを加え、ホーンがアクセント、そこにまるでコンソールに直入力したようなさらっとしたサウンドのギターが入り、ジョニーのややハイトーンな、やさしさと情感のあるヴォーカルを全面に押し出しています。1曲のスローとラストの弾き語りブルース(すごく丁寧でいい感じ)の他はすべてミディアムで、それもほぼノンストップ。曲も全曲自作で、ものすごい意欲作です。ジョニーは自分のやりたいことを徹底的に突き詰めたのでしょう。単調と言えばそうなんですが、むしろそれが心地好かったです。なかなかの快作。



Johnny Rawls & The Rays ; No Boundaries ; TOPCAT TCP-7052 (2005. 9.19)

2005年リリースです。レーベルが変わったせいもあると思いましたが、サウンドのキャラクターがかなり変化しましたね。なんだか70年代の良質なサザンロックを思わせるバックの演奏とコーラスに乗って、ちょっとスモーキーなロウルズの歌が踊ります。よく練り込まれていて、ファビュラス・サンダーバーズを一瞬感じさせる「トレイン・キープ・ローリング」、ダイアー・ストレイツかと思うような「フォーレン・バード」と変化に富んでいるんですが、もうちょっと何かこってり感があってもいいかな。ソウルが足らないっていう感じがするのは、まとまりの良い曲のせいでしょうか?



Johnny Rawls ; Heart & Soul ; DEEP SOUTH SOUL no number (2006.12.24)

2006年の新作です。この人、何だか年々若返っていくような気がします。元々あんまり重厚な感じのソウルではないんですが、まるでオールマン・ブラザーズみたいなギターに乗った「ユーア・マイ・ガール」なんて曲が実にしっくり来ちゃうんです。でもその後にベテランらしいバラード「スティル・ア・ウーマン」を持ってくるあたり、巧みなプロデュースですね。この曲聴いてたらキー坊の「悲しい色やね」を思い出しちゃいました。曲が似てるんじゃなくて、バックの雰囲気が近いんです。シカゴソウルみたいな「メイク・アップ・ユア・マインド」、メンフィスっぽい「ワン・グッド・ウーマン」では香港から東京、そしてオハイオまでそれを求めちゃうし、続く低重心の「ダム・コケイン」は文字通りの反麻薬歌。全体にハーモニカやホーンの使い方もしつこくなく、よくまとまったアルバムだと思います。この「軽さ」、結構癖になりますね。楽に聴けるんですよ。気に入りました。



Johnny Rawls ; Red Cadillac ; CATFOOD CFR-004 (2010. 1.26)

2008年リリース。ミッティ・コリアらとの来日講演で素晴らしいパフォーマンスを聴かせたジョニー・ロウルズのアルバムをライヴ会場で購入しました。チタリン・サーキットで鍛え抜かれたブルーズン・ソウルはアルバムでも健在で、ハイトーンで抜けるヴォーカルを上手く生かした明るめのアレンジの曲がよく似合っています。楽しい「ミシシッピ・バーベキュー」にはアコーディオンも入り、全体に軽快なノリですが、そんな中に「ワッシュ・ユア・ハンズ」なんてしっとりしたバラードが来るとたまりません。続く「シュア・ミス・ユア・ラヴ」のイントロのギターがかっこいい!そして「ノー・ワン・ギヴズ・ア・ダム」、「メンバーズ・オンリー」系のバラードですがよくはまります。全編オリジナルで押し通した佳作ですね。




Johnny Rawls ; Ace Of Spades ; CATFOOD CFR-006 (2010. 1.27)

2009年リリースで、タイトル曲以外はオリジナルという意欲作です。でもそのタイトル曲がまたいいんです。敢えて取り上げたのがよく分かります。少しハスキーな声でO.V.ライトの名曲をガッツを込めて歌い上げてます。そして郷愁をそそるバラード「ゴーイング・バック・ホーム」、さらに「俺はブルースマンだ」と高らかに宣言する気概そのもののアルバムですね。ゴージャスな「アメリカン・ドリーム」の他、HIサウンドを思わせる曲がいいんですが、とりわけちょっとテンポダウンした「ヒーズ・ア・グッド・マン」など、本物のHIリズムで歌ってもらいたいな。ライヴ以上に好調ですが、もっと金かけていいバックをつけたらぐっと良くなる気がします。




Jumpin' Johnny Sansone ; Crescent City Moon ; BULLSEYE BLUES CD BB 9585 (2007. 7.14)

1997年リリース。アコーディオンとハーモニカを操り、歌うサンソンはニューオーリンズでは知られたミュージシャンで、扱う楽器はサンパイに似ていますが、サウンドはよりあっさりしていて、スワンプ・ポップとケイジャンを折衷したような感じでしょうか。「エニシング・エニタイム」はサザンブルース丸出しだし、「ユア・カインド・オヴ・ラヴ」や「スウィート・ベイビー」はすごくポップです。サニー・ランドレスやジョン・クリアリーが参加しているんですが、全体に淡白なサウンドで、あまり弾き込まれる魅力は感じませんでした。



Johnny Sansone ; Watermelon Patch ; BULLSEYE BLUES & JAZZ CD BB 9615 (2008. 5.10)

1998年リリース。サンソンはハーモニカ吹きとして知られていましたが、ここではいきなりアコーディオンでロッキン・ザディコとでもいうような曲からスタートしています。アルバム全体でもアンプリファイド・ハーモニカでロックっぽい曲をやる一方、アコーディオンを弾くとぐっとルーラルな感じ。歌も伸びやかに歌っています。レーベルのプロデュース姿勢があるのか、全体に音が少しロック色が強い感じがありますが、ルイジアナ・テイストは充分に感じられます。バックにはジョン・クリアリーやジョー・クラウンも参加。でも最新作のような表現の幅がまだ感じられません。これは本人の成熟のせいなんでしょうか?それともBULLSEYEの方向性なんでしょうか?どうも僕には後者のように感じられるんですけどね。



Sansone, Krown & Fohl ; Sansone, Krown & Fohl ; SHORTSTACK 1005 (2004. 7. 1)

2004年リリース。ニューオーリンズで活躍する3人のミュージシャンが、お互いをサポートしあいながらアコースティックに決めた1枚です。ジョニー・サンソンはダウンホームなハーモニカと渋めの歌が持ち味で、ジョン・リー・サニーボーイ・ウィリアムソンあたりをアイドルにしているようです。バックのアコースティックなサポートが上手く効いていていい感じですね。ジョン・フォールはいつもはしっかり仕事するギタリストとして聴いていましたが、リゾネイタを含むアコースティックギターを、スライドも交えてこれまたアーシーに弾きながら、芯の通った声で歌うのは、サンソンとはまた持ち味が違っていていいです。おなじみジョー・クラウンは歌っていませんが、「ピンク・シャンペーン」「パイントップス・ブギ・ウギ」などをいつも通り有名曲を上手くアレンジして楽しく聴かせます。それぞれオリジナルもあり、3人のコンビネーションも良く、いかにも楽しんで作ったアルバムって雰囲気が素敵です。



Johnny Sansone ; Poor Man's Paradise ; SHORTSTACK 1006 (2007. 7. 1)

2007年リリース。ジョニー・サンソンがアンダース・オズボーンと組んで素晴らしいアルバムを作りました。彼のアコーディオンとスライドの絡みで始まるタイトル曲など、その録音のデッドでアーシーな感じも含め、ウッドストックで若い頃のライ・クーダーがアルバムを作るとこうなるんじゃないかといったような響きです。盟友のジョン・フォウルも参加し、とにかくザラッとした麻布のような肌触りのサウンドがとにかく気持ちいいんです。自分が音楽を演奏する人なら、アコースティックであれエレキであれ、こんな音が出せたら楽しいだろうなと言うくらいの、体温を感じるセッションが眼前で繰り広げられてる感じ、なかなかこうしたアルバムには出会えませんが、これは久々の大ヒットですね。



Johnny Sketch & The Dirty Notes ; Bandicoot ; FULL FRONTAL CD-0014 (2003. 9.14)

2003年リリース。ニューオーリンズのジャム系ファンクバンドかと思って聴いてみたんですが、どうやらベースはジャズのような気がしました。多少はブラスバンドの影響も感じますが、かなり知性的で凝ったリフのブラスアンサンブルに、シンコペたっぷりのドラム、ファジーなギターがかぶり、ラップ中心のヴォーカルが乗ってきます。でもふと聞こえるメロディラインがモダンジャズしてるんです。面白いんですがちょっと僕には知性が強すぎるかも。むしろアコースティックな「スウィート・シャルメット」(読みに自信なし)のラテン風味にほっとしました。



Johnny Sketch & The Dirty Notes ; Live At The Spleaf : FULL FRONTAL FF 1402 (2004. 9.12)

2004年5月21日、メイプル・リーフ・バーでのライヴ録音です。ニューオーリンズの若手ジャムバンドらしく、何でもありって感じで、サックスにスティーヴ・ミラーを入れた「ビッグ・ブロウ(アフリカファンク)」あり、ジャズとヒップホップを融合したような「グレッチェン」あり、さらにはテレサ・アンダーソンをヴォーカルに迎え、ヴァイオリンの響きなどからクレズマー・ミュージックに通じるものも感じる「バンディクート」ありと、まあヴァラエティに富んでいます。ジョニー・スケッチことマーク・パラディスのギターも面白いんですが、サウンド的にはハリー・ポットヘッド(ハリー・ポッターからのパクリかしら?)のヴァイオリンが凄くユニーク。ラストの「シェーム」では、クラシックの基礎トレーニングを積んだ形跡を聴くこともできました。つかみ所がないんですが、いつのまにか2回目に突入してました。



Johnny Sketch & The Dirty Notes ; ...Pain, Pleasure, Fear & Opera ; NOISELAB 825070000121 NL 0002 (2005. 5.18)

2005年の新譜です。メンバーがおそらく様々な音楽的素養を持っているのでしょう。ニューオーリンズ・ファンクといえる曲もあるんですが、ブラスの絡み方はもっとジャズのテイストを感じさせ、初期のシカゴみたいな雰囲気だったり、クレズマー・ミュージックや東ヨーロッパのロマの音楽のような、哀愁を感じさせるヴァイオリンが響いたりと、まあつかみ所のないサウンドと言えます。一方でバンドのベースにはニューウェイヴなロックのカラーも見えますし、ハードロックしたり思いっ切り速弾きするギターも絡んだりと、非常にインテレクチュアルなバンドですね。ただ、その音がいまひとつ焦点を結んでいないように思いました。これは僕がよりフィジカルな音が好きなせいだと思いますけど。もっとファンクナンバーで押してもらいたいな。



Johnny Sketch & The Dirty Notes ; The Big Awesome ; FULL FRONTAL FF1403 (2008. 2. 5)

2007年リリース。これは意欲的な作品です。まず「ニュー・ディキシーランド」から、ダーティ・ノーツらしいファンクネスとロック、それにジャズとかブラスバンドのの絶妙な融合を感じます。演奏が厚く、リズムが跳ねて、曲によっては乾いたスネアの音がまるでスタントン・ムーアみたいで、思わずクレジット確認しちゃいました。この創造性の高さには、ちょっと付いていき損ないそうにもなるんですが、あんまり理屈で考えずにリズムに身を任せればいいのかな。大音量で聴いているとトランスしてきます。ギャラクティックよりはロック寄りだけど、「ザ・ゲットアウェイ」のラテンな感じとか、「エムギットダット」の複雑なジャズ系ファンクネスだとか、ジョニーの頭の中を覗いてみたくなります。面白い!



Johnny Sparrow ; 1949-1955 ; CLASSICS 5163 (2006. 1. 5)

ジョニー・スパロウの全盛期をまとめたアルバムが出ました。といってもこの人のこと、殆ど知りませんでした。カリブ海のグレナダ生まれで、ジェイ・マクシャンやルイ・アームストロングのバンドで活動したあと、1949年に自身のバンドを持ったようです。サックスの音はどちらかというと太くふっくらとした感じで、ブロウやホンクはあまり使わず、たまにアクセント程度でフリークトーンらしき音が出る感じです。でもフレーズはそんなにややこしくないので、ジャズとしては分かりやすい、言い換えるとスリルの少ない印象と言ったらいいでしょうか。ニューヨークという猛者の集まる場所で、NATIONAL、GOTHMといったレーベルに録音を残しているんですが、ちょっとインパクトに欠ける気がしますね。でも「ボードア・ブギ」とか「イエスタデイズ」とか、どこかで聴いたようなメロディなんです。思い出せないのがどうもむずがゆいですね。



Johnny Tucker ; Why You Lookin' At Me? ; HIGHJOHN no number (2006. 8.10)

2002年リリース。この人懐かしいなぁ。1979年の第1回ブルース・ショウでフィリップ・ウォーカー、翌年の第2回はローウェル・フルソンと来日したドラマーです。当時は切れ味のいい若々しいドラムを叩いていましたが、歌手として活動しているとは。典型的なブルーズン・ソウルで、ちょっと安っぽいMALACOサウンドといった感じです。歌は割合いけますが、ちょっとがなり気味なのが気になるのと、もう少し洒落たサウンドだったら面白いのにな。ギターはエフェクタをかけ結構うねうねしていますから、好みが分かれるかもしれません。数曲で本人がドラムを叩いています。



Johnny Vidacovich ; Vidacovich ; PAWMAW 02 (2002.12.26)

2002年リリース。ヴィダコヴィチはスタントン・ムーアの師匠筋に当たるドラマーだそうで、ニューオーリンズ・フレイヴァを強く感じさせるジャズドラムを披露しています。そのロール感たっぷりなドラミングは「とんでもない」の一言で、こんなのがごく自然に叩けちゃってるのが驚異的です。演奏は曲によって3〜4人編成で、一部ヴォーカルも聴くことが出来ますが、インテリジェンス溢れるインストが中心。パット・ペリネは曲によってスーザホン、スタンダップベース、エレキベースを使い分ける多彩振りですが、やっぱりスーザ本が一番しっくり来ますね。ギター、サックスはかなりモダンなサウンドです。もう少しシンプルで分かりやすい曲を演奏する時のヴィダコヴィッチのドラムも聴いてみたくなりました。



Johnny June & George ; We Came To Play ; TRIO 022181 (2003. 6.16)

2002年6月のオールド・ポイント・バーでのライヴです。ジョニー・ヴィダコヴィッチがリーダーとなっていますが、典型的なジャム・インプロヴィゼーションです。ジャズフィールの溢れるファンキーなヴィダコヴィッチのドラムに、時折オクターヴァをかませたファンクネスたっぷりのジョージのベース、それにロックやブルースをベースにしながら結構フリーなフレーズを響かせる山岸のギター。緊張感があって面白いんですが、特に前半は聴いていて疲れました。歌もの2曲が出た後の演奏はより分かりやすくストレートで、どんどん乗っていけました。気持ちにゆとりがあるときに聴いたら快感なんでしょうね。



Johnny Winter And ; Live ; COLUMBIA CK 30475 (2009. 7.24)

1971年のライヴで、歴史的名盤といっていいでしょう。サニーボーイの名曲をロックンロールに仕立てた「グッド・モーニング・リトル・スクール・ガール」からラストの「ジョニー・B.グッド」まで一気の疾走です。まあその「ジョニー・B.グッド」と「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」はちょっとスタジオで音いじりすぎかなという印象もありますけど。白眉はスローブルースの「イッツ・マイ・オウン・フォルト」、その徐々にtんションの上がるソロはしびれます。また「ミーン・タウン・ブルース」のスライドもスリリング!何度聴いても飽きませんねぇ。




Johnny Winter ; Still Alive And Well ; COLUMBIA CK 66421 (2009. 7.22)

1973年、ジョニーが大きくロック方向へ舵を切った1枚で、その影の立役者がタイトル曲の作者でもあるリック・デリンジャーです。「ロック・ミー・ベイビー」をブルース・ロックに仕立て、「チープ・テキーラ」では柔らかい歌い方で新境地を目指そうとしていますが、でもジョニーの魅力はやっぱり弾きまくりのギター。ストーンズ・ナンバーなどでグリグリ弾くのが彼らしいですね。なおボーナスでは「ルシール」を同様の路線でやってます。えぐい!




Johnny Winter ; Live In America 1978 ; THE STORE FOR MUSIC SFMCD046 (2009. 4.24)

ちょうど『White, Hot & Blue』を出した頃でしょうか?「イーズィー・ライダー」なんて曲が入ってるんでそうかなと思ってます。ライヴの曲目はおなじみのものが多く、勢いのあるギターはジョニーならではです。でも例えば『狂乱のライヴ』ほどのアルバムとしての完成度がないので、どうも「音源垂れ流し」的に感じちゃうんですよね。ライヴ記録としては貴重で、それなりに興奮するんですが、この人あたりになるとやっぱり作品として練り上げられたものを期待してしまいます。




Johnny Young & His Friends ; Masters Of Modern Blues ; TESTAMENT/P-VINE PCD-5564 (2008. 3.26)

1962〜66年録音。ビッグ・ジョン・レンチャー、ウォルター・ホートン、リトル・ウォルターと言った強烈なハーピストだけでなく、ロバート・ナイトホークやオーティス・スパンと言った名うてのミュージシャンを集めて行われたセッションで、ジョニー・ヤングは全く負けていません。特に声の艶と粘りのある歌い廻しは、シカゴでもトップクラスの歌い手と言ってもいいでしょう。目立つ派手なギターは弾きませんが、ご機嫌のビート感に、時折弾くマンドリンもユニーク。ヴィンテージものと比較しても遜色のない録音が集められていると思います。



Jon Cleary ; Alligator Lips & Dirty Rice ; JON CLEARY CDA0252 (2005. 6.13)

1989年、多分ジョンがニューオーリンズに出てきて最初に作ったアルバムでしょう。ジャケットに写る姿も若ければ、声も若々しいですし、なによりサウンドがストレートなニューオーリンズ路線です。深みとかは全然感じられないんですが、演奏する側が大好きな音楽にトライしている喜びと、ちょっとした緊張みたいなものが素直に出ています。「グルーヴ・ミー」の跳ね具合なんか気持ちいいですし、「ビッグ・チーフ」では完全なインディアン・チャントに仕立ててます。ジョンのニューオーリンズでのスタートラインなんでしょうね。



Jon Cleary ; Jon Cleary And The Absolute Monster Gentlemen ; BASIN STREET BSR 0901-2 (2002. 5.22)

2002年リリース。エレピで始まる頭のミディアム「サムタイムズ・アイ・ワンダー」を聴いたとき、そのスティーリー・ダンを思わせるコーラスワークや、ややざらついているけれどAORのようなサウンドに、ちょっとしまったと思いました。でも杞憂でした。2曲目以降はずっと野趣あふれる感じで、ドラムとベースのビートを前に出したファンキーな演奏にクラヴィネットが絡む曲が多く、やっぱりニューオーリンズの人だなって期待通りのサウンドににんまり。ボニー・レイット参加曲もあります。「ビーン・アンド・ゴーン」なんてドクター・ジョンに通じるサウンドで楽しいです。ソフィステケイトされた部分もあるので、この手が始めての人にもいいかも。



Jon Cleary & The Absolute Monster Gentlemen ; Pin Your Spin ; BASIN sTREET BSR 0902-2 (2004. 5. 5)

2004年リリース。タイトル曲はなかなかどろりとしたファンクで、ジャムバンド風味も感じます。ジョン・ポーターらしい凝った音作りは、時に思いっ切りヒップホップのテイストも加えていますが、クリアリーにはなかなかマッチしていると思います。また今作はぐっとラテンフレイヴァーが加わったのが面白く、「オウ・ノー・ノー・ノー」や「コウト・レッド・ハンドレッド」のラテンとファンクの微妙なバランスはかなりユニーク。「ズールー・ストリート」になると完全にカリブ海風味ですが。この他一瞬エルトン・ジョンの「ベニー&ザ・ジェッツ」を思わせる「スマイル・イン・ア・ホワイル」、アカペラコーラスが素敵な「ベスト・エイント・グッド・イナフ」などヴァラエティに富んでいて楽しめます。



Jon Cleary ; Do Not Disturb (Session In Progress) ; FHQ no number (2007. 5.27)

2007年のジャズフェスに向けて出された、おそらくプロモーション用の音源です。もしかすると本当にホテルの部屋で打ち込みで作ったのかもしれません。「お腹の好いたファンへの飢えつなぎのスナックみたいなもの」と記された作品は、クラブミュージック的なベースとドラムが強調されたサウンドで、艶は足らない感じですが、クリアリーの歌の味とファンクネスは十分伝わってきます。リトル・フィートを硬質にしたようなサウンドですね。でもいきなりフリーの「オール・ライト・ナウ」とは。さすがイギリス出身てとこでしょうか。



Jon Cleary & The Absolute Monster Gentlemen ; Live Mo Hippa ; FHQ FHQ003 (2008. 6. 5)

2008年リリース。シドニーでのライヴなのででしょうか、実にニューオーリンズらしい選曲で、フェスの「ゴー・トー・ザ・マルディ・グラ」やら「ティピティーナ」と、ミーターズの「ピープル・セイ」、さらにはキング・フロイドの「グルーヴ・ミー」などをフォンキーな演奏でやっています。でも一方で中盤は自作曲を並べ、オリジナリティ溢れる演奏をしているのがいいですね。「ポート・ストリート・ブルース」から「ヘルプ・ミー・サムバディ」のしっとりとした展開は、彼の詩人、歌い手としての魅力を上手く引き出していると思います。そしてミーターズの影を感じさせながらもご機嫌なフォンクに仕立てたタイトル曲、格好いい!ニューオーリンズにあこがれてヨーロッパから渡った青年が、その土地の音楽をしっかり吸収し、他の土地に広げていくって、凄く素敵なことだと思います。



Jon Dee Graham ; Escape From Monster Isrand ; FREEDOM FR1013 (2002. 4.10)

1997年リリース。これがジョン・ディーの1st.なのかな?いきなりベン・シドランが耳元で囁くような歌声で始まりますが、ジャケットから想像するに、子供にたいして歌いかけている感じのように思いました。英語力のなさゆえ、歌詞がよく分からないのが残念です。全体にゆったりした奥行きの広い雰囲気の曲が多く、スチールギターがいかにもアメリカ西部の平原をイメージさせますが、もろカントリーという感じではなく、大人のロックていう感じです。あまり聴いていないんですが、ジョン・ハイアットなどに近いのかな?とにかく只者でない個性を感じる作品です。



Jon Dee Graham ; Summerland ; NEW WEST NW6006 (2002. 5. 9)

1999年リリースの多分2ndです。前作に比べ、ロック色がやや強く、「アット・ザ・ダンス」ではサンタナ流ラテン・ミュージックが登場(ギターソロと、歌詞の中になぜか「ブラック・マジック・ウーマン」って言葉が聞こえたんでそう思いました)し、よりホットな感じはするんですが、あの囁くような歌い方はやや薄れています。そのせいか、あるいは僕が聴くのが2作目なせいなのか、インパクトが弱かったな。元々こういったアコースティック・サウンドとロックを融合したシンガー・ソングライターを特に好むわけではないので、僕にはあんまり印象に残らない作品でした。



Jon Dee Graham ; Hooray For The Moon ; NEW WEST NW6036 (2002. 5.10)

2001年リリースの新作。こちらはけっこう1曲目からガツンと来ました。例のしゃがれ声はそのままなんですが、けっこうハードエッジなロックサウンドをバックにしても力負けしていません。特にストレートな「ウェイ・ダウン・イン・ザ・ホール」と、続くスペイン語満載のテックス・メックス風バラード「ヴォルヴェル」のあたり、けっこう引きつけられました。囁きヴォイスも登場しますが、コントラストがあって面白いし。全体にオヤジロック炸裂って感じで、前作よりもすっきりしたコンセプトで好感がもてました。



Joni Mitchell ; Hits ; REPRISE 9 46326-2 (2006. 3. 1)

1966〜91年にかけてのベスト集です。ジョニは素晴らしい歌手でソングライターですが、自分でリリースするとヒットしないというジレンマがあったようです。例えば「サークル・ゲーム」「青春の光と影」などはそれぞれバフィー・セントメアリ、ジュディ・コリンズのヒットで知られています。しかしこれに「ウッドストック」と、60年代にジョニはその才能を全開にしています。ジョニ自身の歌は、表現力が高すぎて、かえって取っ付きにくいのかもしれませんが、味わえば味わうほど染みてきます。これに対し80年代を過ぎると、時代の要請からか、かなり凝ったバックが付き、「アンチェインド・メロディ」をコラボレイトした曲もあるんですが、こうしたアレンジはかえってジョニの歌の瑞々しさを殺してしまうような気がしました。僕はシンプルなバックで歌うジョニの方が好きです。



Jonny Lang ; Long Time Coming ; A&M B0001145-12 (2003.10.26)

2003年リリース。久々の新譜です。前作からかなり歌に入れこんだ作りでしたが、今作もヴォーカルに関してはしっかり作り込んであり、ジョニー特有ともいえる「泣き」が随所につまっています。曲調はギターのフレーズなどはブルージーですが、全体にブルース色が殆どなく、年齢相応のロックアルバムと言った感じになっています。こうなると、ギターも弾けていて歌も歌えているんですが、曲にインパクトがなくなっちゃうんですよね。印象に残る曲がありませんでした。「これがジョニー・ラングのメロディだ」という曲が欲しいな。



Jonny Lang ; Turn Around ; A&M B0007292-02 (2006.10. 1)

2006年リリースの新譜です。まず感じたことは、ジョニーがギターからヴォーカルにウェイトを完全にシフトしたってことです。ブレスの強調とかちょっとわざとらしいけど、憂いのこもったようなヴィブラートたっぷりのヴォーカルは、一聴して分かる個性溢れるもので、これを凝った演奏に乗せて前面に押し出してきています。もはやブルースの範疇にくくっておくことは全く無意味で、「サンクフル」あたりはHIサウンドを意識したかのようなリズム。あとコーラスとか曲調にゴスペルの要素が色濃く加わってきたように思います。また彼の歌い方には「オンリー・ア・マン」のようなアコースティックは似合いますね。決して好きな歌手ではないけれど、この方向性は正解のような気がします。ただしもう少しギター弾いてもいいんじゃないのかなぁ。



Jonny Lang ; Live At The Ryman ; CONCORD 0888072320079 (2010. 8.18)

2008年ナッシュヴィルでのライヴです。天才ブルース少年のような売り出し方で登場したジョニーもこのライヴの時点で27才。ブルースを根っこに置きながらも立派なロック・ミュージシャンに成長しています。でもそのブルースから離れることにより、この人の「売り」もまた見えづらくなるわけで、妙にエモーショナル風なヴォーカルとギターだけで押していけないんじゃないでしょうか。そういう意味でマイナー中心の楽曲がどうもワンパターンで、ちょっといかした曲だと思うと例えばプリンスの「アイ・アム」だったりします。そういう意味ではアコースティックな「ブレイキン・ミー」などは気に入りました。




Jose Alvarez ; Diggin In ; TOLUCA ROCKET MUSIC no number (2010. 2. 1)

2009年リリース。ニューヨーク録音ですがミックスはルイジアナです。まずはアルバート・コリンズに捧げた「フェネル・セント・フロスト」からスタート。次のヒューイ・スミスの名曲「ドンチュー・ジャスト・ノウ・イット」ではヴォーカルにテレンス・シミエンをフィーチュア、ちょっと大人っぽいけど楽しくやってます。ギターのロカビリーっぽさがなかなかいいですね。で、オールマンズ風あり、テレンスのアコーディオンを従えた「アイム・レディ」あり、タジ・マハルの「クィーン・ビー」ありと、ジャジーだったりダウンホームだったりと、良く言えば器用、でもつかみ所のない感じです。あんまり印象に残らない人でした。




Josh Hyde ; All You Need Is Soul ; JOSH HYDE no number (2004.12.31)

1999年リリース。この人何枚か聴いているんですが、これがデビュー作でしょうか。インストの「テキサス・タイム」などで聴くことのできる、粘りのある、結構豊かなフレーズのギターと、若くまだ味わいは不足していますが、なかなか真摯に歌うヴォーカルに好感がもてます。タイトル曲ではギターをサニー・ランドレスに任せ、ヴォーカルに専念してたり。その意気込みは伝わります。でもB.B.メジャーの歌う「ハイウェイ49」で、やっぱり格の違いを感じました。アルバム全体を通じては、瑞々しいエネルギーを感じましたけど。



Josh White ; Blues & Ballads ; ACROBAT ACRCD 166 (2009. 1.27)

この頃のACROBATは詳しいディスコグラフィとか載せてない盤もあるんで、詳細が分かりませんが、多分1945年あたりの録音でしょう。「ジョン・ヘンリー」「コットン・アイド・ジョー」「ケアレス・ラヴ」「マザーレス・チャイルド」など、トラディッショナルな曲を、達者なギターと口当たりのいいヴォーカルで演奏します。レッドベリーよりもフォークっぽくって聴きやすいので、ソングスタとして白人には受けが良かったかもしれませんね。あっさりした「セント・ジェイムズ病院」などを聴くと彼の味が良く分かります。嬉しかったのは「ワルツィング・マチルダ」。オーストラリア第二の国歌として知られる歌ですが、なかなかフォーキーでいい感じでした。




Joss Stone ; The Soul Sessions ; S-CURVE SC 7243 5 42234 2 6 (2005. 1.21)

2003年、イギリスから彗星のごとく現れ、たちまち巷の話題を席巻したジョスのデビュー作です。とにかくこれを歌ったとき弱冠16才っていうんですから驚きです。見事なヴォイスコントロールとフレージングで、成熟した大人のソウルといっていい完成された歌を聴かせています。もちろんベティ・ライトらの素晴らしいプロデュースあってとは思いますが、これだけの素材はめったにいないでしょうね。1曲目の「チョーキン・カインド」からぐいぐい引き込まれました。ブラックテイストたっぷりなんですが、ふとした瞬間ジャニス・ジョプリンを思わせる部分が出てきます。それが若さを感じさせ魅力になってるななんて聴き惚れながら思ってました。しかし店で売ってる新譜はみんなCCCDなんで買う気になりません。残念。



Joyful Brass Band ; I Got A Feeling ; RAMPART STREET RS 100 042 (2009.12.15)

リリース年は書いてありませんが、新譜だと思います。このブラスバンドは、ニューオーリンズの公立高校の生徒たちによるものだそうで、どうりで演奏が不安定でビートも十分出ていないわけです。でも曲は「ジャスト・ア・クローサー・ウォーク・ウィズ・ジー」「アイル・フライ・アウェイ」「ダウン・バイ・ザ・リヴァーサイド」「聖者の行進」と有名曲のオンパレード。こうした経験を積んで、将来のトップ・ミュージシャンを育てようという街をあげての意思を感じました。これがニューオーリンズの凄いところだと思います。




Jude Taylor & His Burning Flames ; Best Of Zydeco ; MARDI GRAS MG 5011 (2006. 5.29)

1994年リリース。ジュードは今をときめくカーリー・テイラーの父親で、そのカーリーもドラムで参加しています。このMARDI GRASというレーベルはかなり音作りがポップなんですが、「ボン・トン・ルイジアナ」なんてその雰囲気がしっかりはまった佳曲ですね。あとはブルース、ソウルといった周辺音楽の影響を強く受けたものが多く、特にギターがリル・バック・シネガルということもあって、「コールドハーテド・ウーマン」「プア・ボーイ・ブルース」「ザ・スリル・イズ・ゴーン」なんてモロなブルースも取り上げてます。ギターはさすがですね。全体にトゥーステップ一辺倒ではない感じで、ポップ・ザディコって呼んでもいいかな。アコーディオンとかヴォーカルとかに強烈な個性は感じませんが、何かほんわかしたムードは結構気持ちいいです。



Jude Taylor & His Burning Flames ; Zydeco Bayou! ; MARDI GRAS MG 1035 (2006. 6. 5)

1997年リリース。ドラムはカーリー・テイラーで、相変わらずポップなザディコをやっています。「ザディコ・マッカレーナ」などパーティ感覚たっぷりで楽しいですし、跳ねるような「シェイク・イット、ドント・ブレイク・イット」も軽やかで壮快。94年作と異なるのはギターがリル・バックでなくなったため、ブルース色が薄れたことかな。ファッツ・ドミノの「アイム・ウォーキン」ではファッツそっくりの歌を聴かせていたり、カントリー・バラードの「ビハインド・クローズド・ドア」なんてカントリーバラードもやっていたりと、ジュードはエンターティンメントに徹しているようです。このアプローチ、悪くないと思いました。この辺の「こだわりのなさ」が息子のカーリーにも影響しているのかもしれません。



Judy Collins ; The Very Best Of Judy Collins ; ELEKTRA/EAST WEST JAPAN AMCY-6313 (2006. 2.13)

1973年と75年の録音からのようです。代表的ヒット「青春の光と影」が聴きたくて中古で買ったんですけど、他の曲が思ったよりずっと透明感があって良かったです。弾き語りに近い感じで歌われる瑞々しい歌声は、澄みきった清潔な感じがします。丁寧な歌詞カードには訳詞も載っていて、英語力のない僕には嬉しいですね。ラストの「アメイジング・グレイス」、後半のコーラスはちょっと重厚すぎる感じもしましたけど、最初の歌声には打たれました。



Juke Boy Boner ; 1960-1967 ; FLYRIGHT FLY CD 38 (2004. 6. 4)

中古で購入しました。1960年ルイジアナのレイク・チャールズ録音の2曲はドラムとセカンドギターの入ったスタイルで、ルイジアナ臭さがたっぷりです。「トゥルー・ラヴ・ウェイティング」はリトル・ウォルターの「マイ・ベイブ」をちょっと字余りにしたスタイル。それとも「ディス・トレイン」から持ってきたのかしら?1967年のヒューストン録音は弾き語りで、サニー・ボーイの「ナイン・ビロウ・ゼロ」、タイトル通りの「ルック・アウト・ライトニン」など、オリジネイタをかなり意識した演奏もありますが、やっぱり魅力はハーモニカを吹きながら歌うゆったりしたブギ・ビートの曲で、これにテキサス・スタイルといっていいかき鳴らすようなスローブルースが出てくると、その手の好きな僕にはたまりません。



Julia Lee ; Snatch And Grab It 1944-1949 ; BLUES COLLECTION 159702 (2004. 1.12)

タイトル曲や「キング・サイズ・パパ」などのノヴェルティ・ナンバーで有名なジュリアの全盛期を集めたコンピです。ジュリアはミズーリ出身ですが、カンザスシティで主に兄のジョージのバンドで歌っていました。その後ジェイ・マクシャンなどをバックに歌い(このCDにも収録)、タイトル曲などの大ヒットを出します。それにしても「キング・サイズ・パパ」、エッチさもここまで荒唐無稽になると笑っちゃいますね。だってエンパイア・ステート・ビル並だそうです。でもこうした曲、ジョージア・トムの「イッツ・タイト・ライク・ザット」から綿々と続くホーカム・ナンバーですね。バンドの構成こそ違えど、リズム、フィーリングなどに通底するものを感じました。



Julius Lester ; Dressed Like Freedom ; VANGUARD/BGP CDBGPD 175 (2007. 1.24)

1965年と67年のアルバムからのコンピレーションです。ジュリアス・レスターって名前、見覚えあるなぁ。と思い何気なく買ったんですが、かつて『奴隷とは』などの著作のある人とは同名異人のようです。でもプロテストする姿勢は共通するものがあるようです。スタイルはブルースというよりはフォークに近く、インテリジェンス溢れる語りのような歌を、自身のなかなか達者で抑制の利いたアコースティックギターが支えます。「スタッガリー」など定番のテーマも、ソングスターたちが歌うような型にはまったものではなく、13分を超える物語を抑揚をつけ、時には銃声の擬音を交えながら語ります。声はドスが効いており、時代から言っても公民権運動真っ盛り、そうした時代にマッチした雰囲気です。厚いブックレットと歌詞がバッチリ分かるともっと面白いんでしょうね。



Jumpin Gene Anderson a.k.a. "Poo Poo Man" ; The Blues Diary Vol.2 ; ELECTRIC LAND ELR-418 (2008. 1.24)

2005〜6年の音源集です。この人、全然知りませんでした。何でもジョージ・プリントンとの共演経験もあるとか。かなり大仰なブルースとかソウルに、ちょっと今風のファンクを織り交ぜたサウンド。歌は結構歌えてますが、いかにもショウマン然としていて、味わいとかはあまり感じません。派手派手のステージ写真とか見ても、おそらくハリウッドかヴェガスあたりのパッケージ・ショウの仕事か何かしてるんじゃないでしょうか。彼のサイトを調べたら、かなり精力的にツアーしているようですが。バンドもそつないギターとか、悪くはないんですけどね。ライヴの「タイム・ウェイツ・フォー・ノー・ワン」なんて盛り上がってますが。



June Victory & The Bayou Renegades ; Live At Tipitina's ; RIPPLE EFFECT RE-8888-2 (2005. 1.10)

ワイルド・マグノリアスで活動を続けていたヴィクトリーが自身のバンドを率いたライヴです。ジャケットの印象とか「ゴー・トゥ・マルディグラ」「オールド・タイム・インディアン」「ピース・パイプ」などといった曲目から、もっとストレートなブラック・インディアン・チャントものかと思いましたが、ヴィクトリーのギターを全面に出したファンキーなアルバムでした。ジミ・ヘンドリクスから影響を受けているようで、ディランの「見張り塔からずっと」も、ジミのヴァージョンを下敷きにしています。でも何といっても「ファンキフィー・ユア・ライフ」「ストーン・ファンク」といったナンバーが、どこかスライ・ストーンっぽさもあってかっこいいですね。



June Yamagishi & Shinji Shiotsugu ; Together Again - Blues In New Orleans ; VICTOR ENTERTAINMENT VICJ-61534 (2007.12. 9)

2007年リリース。ウェスト・ロード・ブルース・バンドの両雄がニューオーリンズでジョン・グロスらをバックにブルースしたって趣向なんですが、選曲、雰囲気ともにどこかフレディ・キングへのトリビュートのようになっています。これはヴォーカルがフレディの弟、ベニー・ターナーだからでしょうか。山岸の野太くて粘っこいギターと、塩次の端正なブルースギターのコントラストも、曲がかなりロック寄りのため、どちらかというと山岸寄りな感じを受けました。「ステイツボロ・ブルース」はもろにオールマンだし、マーヴァ・ライトの歌う「エイント・ノーバディズ・ビジナス」もちょっと過剰な感じ。そんな中、「モジョ・ワーキン」「マイ・ベイブ」といったシカゴ・クラシックをセカンドライン・ビートに乗せてゆったりやった2曲が面白かったです。この路線でもっと攻めた方が僕は好きだな。



Jungle Hop ; Do The Jungle Hop ; P-VINE PCD-25026 (2005. 3.29)

2005年リリース。石川二三夫、小出斉、岡地曙裕といった日本のブルース界を支える面々に、元爆風スランプの江川ほーじんが加わったユニットが、既製の有名曲をファンキーに料理しようというコンセプトでデビュー作を送り出してきました。「ファニー・メイ」「ドリンキン・ワイン」と冒頭2曲がほーじんのファンキーベースにあおられる形で、実に格好良く響きます。特に前者はジェイムズ・コットン・バンドの「ワン・モア・マイル」を彷彿させる出来。その他ワウワウを決める小出のギターとか格好いいんです。でも抜け切れないのがヴォーカルかな。石川、小出の両氏とも歌はうまいんですが、味がファンキーじゃないんですよ。丁寧すぎるっていうか、行儀がいいっていうか。面白い狙い線なだけに、次作はこの辺でも一皮むけることを期待しちゃいます。



Junior Kimbrough ; God Knows I Tired ; FAT POSSUM 80320-2 (2003.12.31)

1998年リリースですが、92〜97年の録音です。ライヴかどうかは分かりませんが、ジュークジョイントでの現場録音という、FAT POSSUMらしい行き方で、92年の録音は今はなきロバート・パーマーの手によるものです。まあとにかく存在感の大きなブルースです。ギターをつま弾くと言うにはあまりにラフで力強く、ドスの効いたヴォーカルと見事にマッチしています。こういった音を夜な夜なローカルなシーンで歌い弾いていたんでしょうね。バディ・ガイが下敷きにしたフルソンの「トランプ」も、よりドロッとしたサウンドで、何だか年の瀬に妙にマッチする気がしました。



Little Junior Parker ; 1952-1955 ; CLASSICS 5167 (2006. 3.23)

MODERNからのデビュー曲に始まり、サム・フィリップスの手による録音が前半を占めています。ボビー・ブランドとのデュエット「ラヴ・ミー・ベイビー」も収録。多分ロイ・ブラウンから影響を受けたんだと思われる、粘っこい歌は荒削りですが、すでにその魅力を振りまいています。後にマジック・サムがカヴァーする「フィーリン・グッド」、そして初期の代表曲「ミステリー・トレイン」が聞けるのが嬉しいですね。1953年DUKEに移籍した後も好調で、ヴォーカルにますます磨きがかかります。パット・ヘアのアグレッシヴなギターも格好いいし。DUKE時代の代表曲はこの後なので続編を期待します。



Little Junior Parker ; Driving Wheel ; DUKE/MCA MCD 32643 Click Here!

Junior Parker ; Junior's Blues ; DUKE/MCA 10669 (2000. 4.18)

1954年から64年までの、DUKE 時代の有名曲を網羅しています。「Driving Wheel」と曲はダブりますが、こちらの方が幅広い選曲で、ソウルよりの曲も多いです。「マザー・イン・ロウ・ブルース」やジミー・ロジャーズの「ザッツ・オール・ライト」など、ハイトーンながら、深いブルース・フィーリングを感じる曲もありますが、「スタンド・バイ・ミー」(ベン・E.・キングの曲とは同名異曲)のように、ボビー・ブランドに通じるゴージャスな曲もあります。この人、もっと注目して欲しいな。


Junior Parker ; Way Back Home ; GROOVE MERCHANT/CONNOISSEUR VSOP CD 291 (2000.10. 4)

1970年録音。ジュニア・パーカー晩年の作品集。一部はCAPITOL盤でCD化されていましたが、うれしいCD化です。とにかく時代を反映してか、ファンキーなバックにメロウなボーカルといった組み合わせです。GROOVE MERCHANT のアルバムタイトルにもなったフルソンの名曲「ブルー・シャドウズ・フォーリング」などはまるでミーターズのようなタイトなバック。この他アルバート・キング、パーシー・メイフィールドからファッツ・ドミノ、ジョニー・アダムズまで、その上ビートルズ・ナンバー(「レディ・マドンナ」に「オー・ダーリン」!)と何をやってもパーカー節です。その一方でDUKE時代のリメイクもあります。ジミー・マグリブのファンキーこの上ないファンキーなハモンドが聴ける曲もあり、飽きません。アル・グリーンが哀悼の意を表するだけのことはあります。なお、タイトル曲はジャズ・クルセィダーズ(ジュニア・ウォーカーが歌詞付きにしてリメイク)のインストをハーモニカで奏でています。テクニカルではないんですが味があります。UAのアルバムもCD化されないのかなぁ。



Junior Wells ; Blues Hit Big Town ; DELMARK DD-640 (2000. 4. 6)

1953〜54年録音の、ジュニアの初録音集。LPをCD化しました。この時ジュニアは弱冠18才!さすがに青さは感じられますが、彼の歌の艶っぽさははじめからだったことが分かります。サニーボーイIの影響下にありながら、リトル・ウォルターなどを吸収しているハープも、荒削りな面はありますが、いい味出してます。バックはエイシズとマディ・バンド!シカゴ・ブルースの王道ですね!1曲目ではエルモア・ジェームズもサポートしてます。


Junior Wells & The Aces ; Live In Boston 1966 ; DELMARK DE 809 (2010.10.25)

ライヴの様子を回しっぱなしのテープで収めたものをCD化したようです。ですから音質はよくありませんが、途中のノーカットと思われるトークも含め、どんな風にライヴが展開されたかがよく分かります。バンドはもちろんディヴとルイスのマイヤーズ兄弟にフレッド・ビロウ。自分のオリジナルよりもシカゴ・ブルースの有名局を矢継ぎ早に出していくライヴのスタイルは、おそらく聴衆の多くが白人だったからではないでしょうか。そんな中で、乗りのいい「ジュニアズ・フープ」、ルイス・マイヤーズの腕の見せどころの「ハイダウェイ」など、ライヴならではの曲もあります。で、こうして聴くとフレッド・ビロウって、実はあんまりブルース向きの太鼓じゃないのかなって思っちゃいました。




Junior Wells ; You're Tuff Enough - The BLUE ROCK Studio Recordings ; BLUE ROCK/MERCURY 314 558 551-2 (2001. 3.29)

1968〜69年録音。Yahoo!の掲示板で話題になっていたので久々に引っ張り出して聴きました。時代はJBのファンキー路線の影響もあり、またロックサイドでも様々なエフェクタなどの試みの出てきた時代ですが、そうしたものをこの時期かなりうまく取り入れたのがジュニアとリトル・ミルトンではないでしょうか。ジュニアはごく自然にファンキービートに身を任せ、新曲や再録を時代の音に合わせていきます。元々やや大袈裟ともいえる唄い方が、こうしたサウンドにマッチし、違和感のない作品群となっています。ハーモニカはすごくストレートに吹くんですが、これもはまっています。一部ギターのファズに「???」と思ったものもありましたが、主役を食うほどではありません。隠れた名盤です。



Junior Wells ; Live At Theresa's 1975 ; DELMARK/P-VINE PCD-23828 (2006.10.19)

ラッシュに続いてラジオ放送用の蔵出し音源が出されました。ギターはフィル・ガイの他前半がバイザー・スミス、後半がサミー・ローホーンです。お得意の「リトル・バイ・リトル」から「スナッチ・バック・アンド・ホールド・イット」に移るときのジュニアのスクリームが格好いいです。ちょうど「Junior Wells On Tap」を出した頃で、そこからの作品も取り上げたり、途中「ハッピー・バースディ」を入れてみたりと楽しそうなライヴ、スリム・ハーポの「ベイビー・スクラッチ・マイ・バック」なんてのをやってるのも嬉しいですね。ハープも全開でこれまた代表作と言ってもいい「カモン・イン・ディス・ハウス」はいつもながらバッチリ決まってます。そしてラストは当然「メッシン・ウィズ・ザ・キッド」。時折ギターが音外したりしますけど、そんなのはどうでもいいです。円熟味を帯びたジュニア全盛期のライヴをこうして聴くことができるのは本当に喜ばしいですね。



Junior Wells ; Undisputed Godfather Of Blues ; GBW GBW-008 (2000. 5.22.)

1992年録音。1曲目のインストを聴くと、さすがジュニアという感じでいいノリ。2曲目にいくと、さすが、ブルース界のゴッドファーザー(つまりJB)とのけ反ります。でも通して聴くとちょっとつらいなぁ。「ホウェン・シングス・ゴー・ロング」なんて自作曲ってクレジットだけど、「イット・ハーツ・ミー・トゥ」だし、ラストの「レッド・ルースター」の9分ははっきりいって冗長。もう少しちゃんとプロデュースしたアルバムの方がいいと思いました。


Junior Wells ; Better Off With The Blues ; TELARC CD-83354 (2007. 8.16)

1993年録音。ラッキー・ピーターソンをキーボードに据えたセッションで、ギターはリコ・マクファーランド。数曲バディ・ガイが入っている曲もありますが、ノエル・ニールのファンキーなベースもあってかなりモダンな音作りになっています。「オー・プリティ・ウーマン」なんていうのはその路線でいうとぴったりのはまり曲。一方珍しく「オネスト・アイ・ドゥ」もやってますが、なんか全体にジュニアの元気がないように感じました。声に張りが足りないんです。「メッシン・ウィズ・ザ・キッド」も演奏は格好いいんですがジュニアの乗りが今ひとつに思いました。体調がすでに悪くなってたんでしょうか。



Junior Wells ; Everybody's Gettin' Some ; TELARC CD-83360 (2005. 2.12)

1995年リリースのアルバムで、中古盤屋で発見して買いました。聴き逃していたアルバムだったんですけど、これ、僕は好きですね。ジュニアはファンクを歌わせるとかなりいけるんですが、その歌に焦点を当てているのが正解だと思いました。冒頭アル・グリーンの「スウィート・シクスティーン」をJBみたいに歌うのが格好いいです。またテンプスの「シェイキー・グラウンド」も少し軽めの、でも漆黒のファンクネスを振りまいていますし、ビル・ウィザーズの「ユーズ・ミー」でもクールにファンクしてます。一方タイトル曲ではサニー・ランドレスの粘りのあるスライドをバックにロックしてますし、「ゲット・ダウン」ではサンタナが輪郭のはっきりしたソロを決めるなど、聴き所満載。ブルースを期待すると肩透かしに合いますが、ファンク・ヴォーカリストとしてのジュニアの魅力を見事に引き出したアルバムだと思います。



Junior Wells ; Come On In This House ; TELARC CD-83395 (2002. 2.28)

1996年ルイジアナ録音。中古で購入。ジュニアがスライド・ギタリストと共演する企画盤です。コリー・ハリス、アルヴィン・ヤングブラッド・ハートなど若手の元気のいいギタリストと、ジュニアの枯れたファンクといった味わいとのコントラストも面白いんですが、興味深かったのは、ジョン・ムーニー、サニー・ランドレスといった、ルイジアナゆかりのギタリストの競演です。特にサニーは際立った個性で、面白い作品になっています。ドラムにハーマン・アーネストV世が入っているのも、特にタイトな曲では引き締めています。シャッフル系はちょっと硬すぎですが。タイトル曲のジュニアの歌にぐっと来ました。



JW-Jones ; My Kind Of Evil ; CROSSCUT CCD 11082 (2005. 1. 4)

2004年リリース。1曲目、いきなりRPM時代のB.B.キングそのままのギターサウンドとフレーズが飛び出してきたときに、ここまで忠実に「真似」たのはめずらしいなと感心してしまいました。どうやらキム・ウィルソンが仕掛けた面もあるらしく、達者なハーモニカの他、「アイ・ドント・ノウ」「ブルー・マンディ」ではヴォーカルも担当。むしろJWよりいい感じだったりします。ルイジアナ風味の曲もキムのセンスかしら?でもいろんなことをしようとしているのか、ロックナンバーも入っているんですが、なんだかローカルなストーンズコピーバンドみたいなサウンドで、この手は全く魅力を感じませんでした。もっと一途にブルースナンバーをギターで押しまくっていいんじゃないでしょうか。



The JW-Jones Blues Band ; Kissing In 29 Days ; NORTHERNBLUES MUSIC/CROSSCUT CCD 11089 (2007. 4.23)

2006年リリース。ブッキングのアドレスなどを見ると、この人はカナダの人のようですが、出てくるサウンドはテキサス〜西海岸系のロッキンブルースです。それもそのはず、ファビュラス・サンダーバーズやジミー・ヴォーンとも共演歴がある、もろにこのスタイルの人なんですね。けっこうゴージャスなブラスセクションを伴い、なんとレイ・チャールズの「ハレルヤ・アイ・ラヴ・ユー・ソー」ではファットヘッド・ニューマンその人が、まるでオリジナルと同じにサックスソロを吹いたりしてます。全編気持ちのいいサウンドなので、ドライヴのお供にはもってこいですね。もうちょっとジャキッとしたインパクトがあると最高なんですが。



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