LOWELL FULSON の CD -part 2

CHESS 時代

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*注 ここに紹介するCDは僕の保有するものであり、決してすべてを網羅しているわけではありません。



[21]:HUNG DOWN HEAD (CHESS/MCA MVCM-22011)

[21]
  1. That's All Right
  2. I Still Love You, Baby
  3. Reconcider Baby
  4. I Want To Know
  5. Low Society
  6. Check Yourself
  7. It's your Own Fault
  8. Do Me Right
  9. Trouble, Trouble
  10. Hung Down Head
  11. Tollin' Bells
  12. Don't Drive Me Baby
  13. Blue Shadows

 70年代、CHESS が倒産した後に、ヴィンテージ・シリーズとしてアルバムが出されたが、これはその中の1枚。ジャケットについてはフルソンの紹介のページを参照。フルソンの CHESS 時代をほぼ網羅しており、(3)というフルソンの歌として最も有名な曲が収録されている名盤。現在は[22]で全曲聴けるので、それぞれの曲についてはそちらを参照して欲しい。しかし、(11)だけは特別だ。チェス・スタディオでの収録風景が、take-1 から納められていて、楽曲がどのように完成されていくかというのが分かり、大変興味深い。フルソンとブースとのやり取り、思い通りにいかずいらつくフルソンの様子がうかがえる。しかしイシュード・テイクの take-19 より、その前に収録されているテイク(take-6 か?)の方が僕は好きだ。[22]にはイシュード・テイクしか収録されていない(同様のことは、ジミー・ロジャーズの「シカゴ・バウンド」と「コンプリート」でもみられる)。なお、(12)(13)はオリジナルLPには未収録のボーナス・トラック。


[22] THE COMPLETE CHESS MASTERS (CHESS/MCA CHD2-9394)

DISK 1

[22]
  1. Reconsider Baby
  2. I Believe I'll Give It Up
  3. Lonely Hours
  4. Check Yourself
  5. Loving You
  6. Do Me Right
  7. Lonely Hours -alt. take
  8. Check Yourself -alt. take
  9. Trouble, Trouble
  10. I Still Love You Baby
  11. It's A Long Time
  12. Rollin' Blues
  13. It's All Your Fault Baby (It's Your Own Fault)
  14. Tollin' Bells
  15. Smekey Room
  16. It Took A Long Time
  17. Blues Rhumba
  18. Be On Your Merry Way
  19. Please Don't Go
  20. Don't Drive Me Baby
  21. You're Gonna Miss Me
  22. Rock 'Em Dead


DISK 2

[22]-2
  1. I Wanna Make Love To You
  2. You Better Rock This Morning
  3. That's All Right
  4. Worry, Worry
  5. Comin' Home
  6. Have You Changed Your Mind
  7. K. C. Bound
  8. I'm Glad You Reconcidered
  9. Low Society
  10. Blue Shadows
  11. I Want To Know -PT. 1 & 2
  12. So Many Tears
  13. Why Don't You Write Me
  14. Hung Down Head
  15. Pay Day Blues
  16. Shed No Tears
  17. Can She (Do It)
  18. Trouble With The Blues
  19. Love Grows Cold
  20. Blue Soul
  21. Love 'N' Things
  22. Father Time
  23. Swinging Party

 フルソンは1954年から63年まで、10年間にわたり CHESS に在籍していたが、このアルバムはその時代のフルソンを網羅する好盤。ジャケットの上の写真はフルソンの代表的な顔写真が使われている。下はブックレットに使われていた写真で、フル・ホロウ・ボディを抱えて決めた姿がりりしい。1954年9月、2回目の結婚をして、フォートワースに住んでいたフルソンに対し、CHESS がアプローチしてきた。シカゴで録音をする要請を断り、ダラスでスタン・ルイスの協力を得てバンドを編成、スタディオ・セヴンで1-(1)1-(2)を録音し、CHECKERからリリース、この1-(1)がフルソン最大のヒットとなる。また1-(2)はデヴィッド・ニューマンのサックスが冴えるジャンプ・ナンバー。
 翌55年1月、アール・ブラウンを従えたフルソンは、シカゴでレコーディングする(1-(3)1-(8))。エディ・チャンブリーなど3本のサックスと、ウィリー・ディクソン、オーティス・スパン、フレッド・ビロウといった、CHESS のハウス・バンドが脇を固め、「リコンシダー」と「ブルー・シャドウズ」をミックスして、いいところを抽出したような1-(5)がヒットする。チャンブリーのテナーがいかした1-(4)などは御機嫌なジャンプ・ナンバーだ。また、1-(6)はディクソン作のR&B色の強いナンバー。ただ、フルソン自身は、オーティス・スパンは素晴らしいが、ロイド・グレンのように自分の音楽に何かを与えるわけではないと語っている。
 55年8月、L.A.に戻ったフルソンはそのロイド・グレンを加えたバンドで1-(9)1-(12)を録音する。ブラウン、チャンブリーに、良く転がるグレンのピアノをバックに、フルソンは唄い、弾きまくる。おそらくチャック・ベリーのロックンロールなどの影響も受けいたのであろう。殆どサックスのソロはフューチャーされていない。当時のフルソンのギターは、ややワンパターン気味(1-(6)1-(10)のソロなんてほぼ同じ)だが、低音のリズムを絡ませながら、中高音を蛇のようにはい回るフレーズは魅力的だ。1-(12)のロッキン・インストでそのスタイルが満喫できる。
 56年2月、フルソンは再びシカゴのスタディオに入る(1-(13)1-(16))。この時のアレンジは、相当ウィリー・ディクソンの手が入っているように思う(特に1-(13)1-(15))。また「ユー・ゴナ・ミス・ミー」のテーマも登場する、1-(11)の再録1-(16)ではこれぞディクソンといったベースが聞こえ、フルソンの録音としては、やはり趣が異なる。しかし後にマジック・サムに多大な影響を与える1-(13)は、そうしたテキサス〜ウエスト・コーストとシカゴの融合サウンドの名作であり、サムが気に入ったのも、実はこうした面だったのかもしれない。
 どうやらフルソンはシカゴでの録音が気に入らなかったようで、以後はすべて活動の拠点であるL.A.で録音が行われている。1-(17)1-(19)は56年末の録音で、1-(17)のインストや1-(19)の8小節のブルース・バラード(ビッグ・ジョー・ウィリアムスの曲とは無関係)では、トレモロとリヴァーブをビヤビヤにかけたフルソンのギターが特徴的だ。まさかこれがサムのサウンドに直接影響を与えたとは思えないが。クレジットを見ると、ピアノにジミー・スミスの名前、これって、あのソウル・ジャズ・オルガンの人と同一人物なんだろうか。フレーズ的には、可能性は否定できないが。
 1-(20)1-(21)は57年6月録音で、SWING TIME 時代の音に近い感じだ。でも1-(21)は[02]-(12)とは別の曲で、おそらくタイトル違いではないか。1-(22)2-(3)は57年暮の録音で、1-(22)2-(2)はロックン・ロール、2-(1)はニューオーリンズ・R&B を意識しており、曲によってはコーラスが入っている。その中でひときわ輝くのが2-(3)で、ジミー・ロジャーズ(クレジットに James A. Lane とある)のシカゴ・クラシックを、フルソン節に変えた名作だ。ヴァイブとサックスが夜のムードを醸し出し、「明日の夜おまえがどこにいるのかと思うと、泣き続けてしまう」と、歌詞を変えながら切なく歌い上げている。
 その後しばらく録音から離れていたフルソンは、60年2月に2-(4)2-(7)を録音する。オルガンなども入り、時代を感じる録音だが、シャウトするフルソンのヴォーカルがひときわパワフルで、かっこいい。当時のクラブでの演奏を彷彿させる。続く2-(8)2-(11)は60年6月の録音、柳の下のドジョウを狙ったようなタイトルの2-(8)、SWING TIME 時代の再録2-(9)(アール・ブラウンのアルトがかっこいい)と2-(10)もそれなりに良いが、2-(11)の深さはどうだ([21]にはpt.2が収録)。こういった歌はフルソンの独壇場で、本当に素晴らしい。
 2-(12)2-(15)は61年夏の録音で、テナーにビッグ・ジェイ・マクニーリーが参加している。ポップでコマーシャルな2-(12)2-(13)のバラードを聴くと、時代に乗り遅れずに売り出そうとする姿勢を感じるが、全体としてはホーンのアレンジが格好良く、のちの KENT 時代に通じていくサウンドとも言える。この中では[21]のタイトル曲となった2-(14)が深いブルースで好きだ。2-(16)2-(19)は62年秋に録音されており、ゴージャスなブラスに乗り、サザン・ソウル風の2-(16)、ジミー・マクラクリンに通じるポップなロッキン・ナンバー2-(17)2-(19)など、バラエティに富んでいる。
 フルソンの CHESS 時代最後のセッションは63年秋に行われた。ギターの音が以前とかなり異なり、80年代の音に近付いている。このセッションではブルースを多く取り上げているが、最後の曲ではレイ・チャールズの「ワッド・アイ・セイ」のような「声」を入れてある。いよいよ新しい時代に向けて、さあ、パーティだ!


[23] RECONSIDER BABY (ROOTS RTS 33028)
[23]
  1. Reconsider baby
  2. Loving You
  3. It's A Long Time
  4. Do Me Right
  5. Took A Long Time
  6. Tollin' Bells
  7. Someday Baby
  8. I Want To Make Love To You
  9. Rock This Morning
  10. Coming Home Someday
  11. Have You Changed Your Mind?
  12. Worry Worry
  13. I Want To Know
  14. I'm Glad You Reconsidered
  15. Blue Shadows
  16. Hung Down Head
  17. So Many Tears
  18. Pay Day Blues
  19. Why Don't You Write Me?
  20. Shed No Tears
  21. Trouble With The Blues
  22. Blue Soul

 オランダのROOTSが1990年に出したもので、すべて[22]で聴くことができる。音質も[22]の方がかなり良い。ちなみに(5)は[22]-1-(16)、(7)は[22]-1-(21)、(8)は[22]-2-(1)、(9)は[22]-2-(5)の別タイトルである。ジャケットはいかにも安っぽいなぁ。何だかブートっぽい。



[24] WEST COAST BLUES (ORBIS BLU NC 022)
[24]
  1. Do Me Right
  2. (It) Took A Long Time
  3. Tollin' Bells
  4. You're Gonna Miss Me [Someday Baby]
  5. I Want To Make Love To You
  6. Coming Home (Someday)
  7. Have You Changed Your Mind?
  8. Worry, Worry
  9. I Want To Know
  10. I'm Glad You Reconsidered
  11. Blue Shadows
  12. Hung Down Head
  13. So Many Tears
  14. Pay Day Blues
  15. [24 BOOK]
  16. Why Don't You Write Me?
  17. Blue Soul
  18. Shed No Tears
  19. Trouble With The Blues

 1994年にイギリスで発売された「The Blues Collection」というCD付き雑誌(日本でもジャズやクラシックで同様のものが出ていた)の第22巻。中身はすべて既発のCHESS音源で、4はタイトル違い([ ]内がCD記載のタイトル。パンフレットの解説によると、76年発売のアルバムタイトルがこうなっていたとのこと)だ。パンフレットは16ページで、表紙の写真はCDジャケットと同じものだが、貴重な写真やけっこう丁寧な曲解説などがあり、CDをおまけと考えれば良いか。









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