CD INDEX(v.a.3)
 

アーティストの名前順に並んでいます。「TODAY'S CD」で紹介したものは紹介文が付いています(日付)。紹介文のないものは「おすすめCD」か「お気に入りのミュージシャン」の中で紹介されているもので、「Click Here!」をクリックすると該当のページにジャンプします。

BACK ・ NEXT ・ HOME ・ 音楽の部屋


 
Obscure Blues Shouters Volume 1 ; BLUE MOON BMCD 6010 (2003. 8.30)

ジミー・スミスの1949年録音とマックス・ベイリーの1949〜53年録音が収録されています。「無名なシャウター」といいますが、なかなかどうして、ジミー・スミスは若々しい声で元気いっぱいです。バンドなどの詳細は不明ですが、かなり勢いもあり面白かったです。特に「ママ(ファット・ママ)」は後のゲイトマウス・ブラウンの「ウォーク・ライト・イン」にリフとかそっくりなんです。他に原典がある可能性もありますが、L.A.らしい抜けた明るさは聴いていて楽しいです。一方のマックス・ベイリーはどちらかというとカンザス・シティ・スタイルで、「アイリーンズ・ブルース」なんてまるでウイザースプーンの「ノーバディズ・ビジネス」ですね。録音が進むにつれてR&B色が強まっていきますが、どこか垢抜けないのがかえって魅力的でした。



Obscure Blues Shouters Volume 2 ; BLUE MOON BMCD 6011 (2003. 8.31)

「無名シャウター集」第2弾は、ラバーレグズ・ウィリアムズの1945〜46年録音を中心に、ブッバー・シーファス、ウォルター・ハワード、シャーマン・ジョンソンの50年代初期の録音が収められています。ラバーレグズはディジー・ガレスピー、チャーリー・パーカーを含むバンドなどをバックに、どちらかというとゆったりしたスローからミディアムの曲を中心に歌います。冒頭の「ウォリード・ライフ・ブルース」など、ゴージャスな演奏で歌い回しも別の曲かと思いました。後半のブギウギ系の曲も癖っぽい歌い方ですがなかなか面白かったです。残りの3人は2曲ずつで、それぞれ個性的な歌手で、「ロケンロール」を連呼するハワード、本業はDJというジョンソンの落ち着いた歌い口とか、まさに底無し沼です。



On The Road Again - Country Blues 1969-1974 ; FLYRIGHT FLY CD 58 (2007. 1.26)

スウェーデンのベント・オルソンという人がテネシーとアラバマをフィールドレコーディングした録音集です。ぱっと名前を見て、「この人誰?」と思うような無名の人たちの、ほぼ弾き語りのパフォーマンスが集められているんですが、素朴なサウンドの中に、グッと来るような演奏が混じっています。ケネディやルーズヴェルとなど、歴代の大統領(ケネディは弟の方かも)をウタウペリー・ティリスの歌などワンコードですがずるずると底無し沼に引き込まれるようなパフォーマンスですし、ラティ・マレルの「スプーンフル」も泥臭さ満点。ラティー・マレルの「グッド・モーニング・リトル・スクール・ボーイ」もフットストンプを聴かせながらの弾き語りで、いかにも田舎のお姉ちゃんを引っかけようという朴訥さがたまりません。ウォルター・ミラーのエレキ弾き語りのブギ、ジュークジョイントのホールを揺さぶってるのかな。生々しい音がたっぷりです。



On With The Jive! - 1950's R&B From DOLPHIN'S Of Hollywood Volume 1 ; ACE CDCHD 1179 (2008. 5. 2)

1952〜55年録音。多分ラジオかなんかの宣伝用のアナウンスに続いて、レッド・カレンダー・セクステットが奏でる店のテーマが軽妙で格好いいです。スキャットマン・クローザーズのサッチモ・ライクな歌、いなたいリトル・シーザー、ジャジーだけどどこかロイ・ブラウンの香り漂うヴォーカルが魅力的なジェシー・ベルヴィンなど、渋い人たちが集められています。またちょっとノヴェルティなトニー・アレンとマギー・ジャケーのデュオ、ピー・ウィー・クレイトンの柳の下のドジョウ狙いのようなブルース・インストなど、この時代のちょっと隈雑な雰囲気がよく伝わってきます。



The Original Memphis Blues Brothers ; MODERN/ACE CDCHD 265 (2000. 7.17)

1952年〜53年にかけて、メンフィスのサム・フィリップスのスタジオで録音されてMODERNに売られた録音集。新譜です。ボビー・ブランド、ジュニア・パーカー、アール・フォレスト、ロスコ・ゴードンなど、メンフィスの重鎮たちの初期録音が目白押しです。多くは他のLP・CDで聴いたことのあるものでしたが、B.B.キングの別テイクが目玉のようです。没のものとは思えないクォリティです。でも、サム・フィリップスのスタジオ(つまりSUNのスタジオ)にあるピアノって、調律してないんですかねぇ。すぐに分かる調子っぱずれです。


Our New Orleans ; NONESUCH 79934-2 (2006. 1.27)

2005年リリース。カトリーナの被害に対するアルバムとしてはいろいろ出ていますが、これが最も深い悲しみの込められた作品集ではないでしょうか。アラン・トゥーサンがおそらく希望を込めて「イエス・ウィー・キャン・キャン」とつとめて明るく歌う一方で、バックウィートが魂を込めて「クライン・イン・ザ・ストリート」を熱唱、アーマ・トーマスが水害のブルースを歌うとエディ・ボーが、ダヴェル・クロフォードが、キャロル・フランがピアノの弾き語りで思いのたけをぶつけています。ボーソレイのフィドルは哀愁を誘いますし、チャーリー・ミラーの祈りは深い悲しみをたたえています。ドクター・ジョン、ダーティ・ダズン、ドナルド・ハリソン・ジュニア、ワーデル・ケゼルクとそれぞれの思いがヒシヒシと伝わりますが、感動的だったのがラストのランディ・ニューマン。自身の曲をオーケストラをバックにリメイクしたんですけど、いつもはシニカルなイメージのあるランディが、心を込めてうたう歌、ぐっと来ますねぇ。一日も早い復興を祈ります。



P&P Funk ; P&P TEG-3309 (2006. 5.17)

恐らく1970年代後半の録音集でしょう。このレーベル、どうやらディスコ・サウンドで有名らしく、その手が苦手だった僕は聴いたことがなかったんです。でもこの1曲目のスティーヴィー・ワンダーの「迷信」、これがいけるんです。ちょっとジャズの香りのするファンクで、リズムも良く跳ねていて気持ちいいですね。この他聞いたことのない名前のバンドが御機嫌なファンクインストをやってたりしますが、曲によってはやっぱりディスコのテイストが出てきて、ありゃりゃって思うこともありました。でも勢いのある「ソリッド・ファンク」、なかなかソウルフルなスモーキー・ブルックスの「ロング・タイム・アゴー」とかは聴きものです。僕の好みからいえば玉石混交ってところでしょうか。



Patchwork - A Tribute To James Booker ; STR-DIGITAL STR-1014 (2004. 1.18)

2003年リリース。もちろん僕の大好きな「変態」ピアニストのトリビュートなんですが、やはり常人には荷が重いのかな?例えばレイ・ハリスはジェイムズのすっとんきょうな歌を意識した歌い方をするんですが、何だかわざとらしいし、ヘンリー・バトラーやトム・マクドナルドなど、結構な名手がピアノの腕を競っているんですが、本家のどこか腰が抜けたような柔らかさは出てません。そんな中比較的素直に歌うマーシャ・ボールと、1曲だけそれもオリジナルで勝負したジョー・クラウンはかえって潔さを感じて気に入りました。



Play My Juke-Box - East Cast Blues 1943-1954 ; FLYRIGHT FLY CD 45 (2009. 6. 1)

かなりオブスキュアな人たちの作品集ですが、冒頭のボーイ・グリーンのタイトル曲はは仲々の出来です。カーリー・ウィーヴァーの「サム・レイニー・ディ」は典型的な8小節ブルースで、イーストコーストらしい作品。ハンク・キルロイは綺麗なサウンドギターをバックに割合さらりとブルースを歌います。この辺り東海岸ならではかな。ビッグ・チーフ・エリスはピアノ弾きで、バックのギターはブラウニー・マギー。ロバート・リー・ウエストモアランドの「ハロー・セントラル、プリーズ・ギヴ・ミー・209」はライトニン・ホプキンスのカヴァーで、この曲がけっこう流行ったことが分かります。スライドも交えぐっと泥臭い演奏です。名前が通っているのがギター・スリムとジェリー・ベリーのコンビ。2曲入ってますがいずれも未発表テイクです。スクードゥル・ダム・ドゥー&シェフィールドはイースト・コーストの伝統とも言うべきハープとギターのデュオで、シェフィールドのブカブカ言うハーモニカがにぎやかで音に厚みを与えています。ラストのターヒール・スリムはピー・ウィー・エリスのピアノを含むバンド演奏で、ぐっとモダンなサウンド。FLYRIGHTらしい面白いコンピです。




Playersoul - Rare Grooves & Funk Classics ; FUEL2000 302 061 363 2 (2004. 3.16)

詳細なデータは分かりませんが、おそらく60年代末から70年代半ば過ぎくらいの録音集でしょう。サブタイトルにある「レア・グルーヴ」って、実はよく聴いたことがないんですが、この手のファンクアルバムには目がないんです。メイシオの「ガット・トゥ・ゲッチャ」やピー・ウィー・エリスの「ザット・サング」のようにJB色の強い曲の他、アーロンがえらくまっすぐ歌った「へラクレス」ディヴィッド・バティステのかっこいい「ファンキー・ソウル」などニューオーリンズものも充実しています。この曲のギターは思いっ切りレオ・ノセンテリしてますね。この他にもアン・セクストンのソウルフルな「ユー・ゴナ・ミス・ミー」など、かっこいいファンクナンバー満載です。



The PONCELLO Records Story - Tennessee R&B ; SPV 95822 CD (2008. 8. 1)

1960年代の録音だと思います。このレーベルは1960年にテッド・ジャレットが起こしたそうで、まずはアーサー・アダムズの素晴らしいブルース「ザ・セイム・シング」でスタート。レバート・アリソンのファンキーな「プリーズ・センド・ミー・サムワン・トゥ・ラヴ」、アール・ゲインズのディープなブルースやソウルなど、前半は結構濃いサウンドが多いです。アルファ・ゾーの「エヴリバディ・ラヴズ・ア・ラヴァー」はまるでオリジナル通りのアレンジ。多分ゴスペルで鍛えたと思われる喉をもつハーバート・ハンターはなかなかディープでこのアルバムのハイライトのひとつです。リッキー・レゼルは結構ポップな曲を歌いますがでも歌は割合ハードです。テンプ・トーンズのB級ファンク3曲が結構面白かったです。そして最後はジーン・アリソンの「ハヴィング・ア・パーティ」。ナッシュヴィルの黒いサウンドの面白さが詰まった1枚だと思います。




Popa Chubby Presents New York City Blues Again ; DIXIEFROG DFGCD 8523 (2002. 1.30)

2001年リリース。パパ・チャビーって刺青とかしたりして、けっこう強面な感じがあり、なんとなく敬遠していたんですが、聴いてびっくり!全然イメージと違いました。ブルースというフォーマットを最大限に活かした、御機嫌なロックを展開します。芯の通ったギターサウンドで、大きなフレージングが魅力的です。アーヴィング・ルイス・ラッティンのギターも負けず劣らず素晴らしい音、彼はヴォーカルも聴かせます。ジョー・タイノのスペイン語?ブルースも面白いし、「アナ・リー」も、良く聴くとしっかり原曲が浮かび上がってきます。ルイス・ゲィトウッドの「レッドハウス」は、ジミ・ヘンドリックスだけでなくジミー・ペイジの影も見えたりして面白いです。これはいわゆる伝統的なブルースではないし、ブルースロックというジャンル分けもしっくり来ません。現在のブルースとロックのある種理想的な交わりを感じます。



Power Of Soul - A Tribute To Jimi Hendrix ; VAP VPCK-85350 (2004. 6.26)

2004年リリース。EXPERIENCE HENDRIXという、ジミの家族公認のトリビュート集で、これは素晴らしく面白いです。まずはプリンスの「パープル・ハウス」。「レッド・ハウス」のプリンスヴァージョンなんですが、例によって変態的によれるギターがジミとは違った味で不思議な気分になります。ビックリはアース・ウィンド&ファイアで、「ヴードゥー・チャイルド」をやるんですが、完全にアースの音になっちゃってるのが面白いです。またブーツィー・コリンズがジョージ・クリントンらP-ファンク連中を引っ張り出してやるタイトル曲が凄いです。やっぱりジミはファンクの父のひとりなんですね。さらに新進気鋭のロバート・ランドルフ、この「パープル・ヘイズ」はカヴァとして最高のもので、ある意味ジミを越えているように感じました。こういう中にあるとサンタナやクラプトンがおとなしく感じますね。個人的にはクラプトンは「レイラ」の中の「リトル・ウィング」で最高のトリビュートが終わっているんだなと思いました。



Primitive Piano ; THE SIRENS SR 5005 (2003. 7.20)

アーウィン・ヘルファーによって1957年にリリースされた作品に、新しく見いだされたトラックを加えた作品集です。スペックルト・レッドのタッチの強いピアノと唸るような語るようなヴォーカルはワン&オンリーで戦前ものと遜色のない味わいです。「オオ・レッド」なんていい感じ。ダグ・サグズもはっきりしたタッチですが、レッドほどはワイルドでなく、ブギウギ系の曲でもゆったりしたノリです。ジェイムズ・ロビンソンは柔らかくややジャジーな香りのするピアノとヴォーカル。そしてビリー・ピアースは、ホンキートンクがかったちょっと調子っパズレのピアノで、ちょっとメランコリックなニューオーリンズ風味を感じるピアノと、クラシック・ブルースの影響の濃いヴォーカルがなかなか素敵です。落ち着いて聴けました。



Queen Of Hits - The MACY'S Recording Story ; ACROBAT ACRCD 228 (2008. 8.28)

1949〜51年録音。テキサスのローカル・レーベルMACY'Sのコンピは以前もP-VINEから出されていて、結構愛聴盤でした。それにはもちろん例えばレスター・ウィリアムズの「ウィンター・タイム・ブルース」やクラーレンス・ガーロウの「ボン・トン・ルーレ」も入っていましたが、この盤のユニークなのは、そうしたブラックだけでなく、ハリー・コーツ、トミー・スコット、アート・ガンなど、カントリーと言うかウェスタン・スウィングと言うか、ヒルビリーと言うか、要するに白人の録音が混じっていることです。これが結構いいんですよね。そこはかとなくローカルで、あか抜けない感じがかえって耳に残ります。アメリカのローカル・インディーズの面白さだと思います。




Radio Gold ; ACE CDCHD 347 (2008. 1.13)

ラジオはおろかFMでもなかなかいい番組が激減してしまった今、こういうコンピレーションは本当に楽しいです。1954年の「ミスター・サンドマン」「アース・エンジェル」から、1978年の「ハロー・ディス・イズ・ジョーニー」まで、大ヒット定番曲と、ちょっと珍しい音を絶妙にミックスした選曲は、おそらくDJ気分でやってるコンピレータの腕の振るいどころですね。リッチー・ヴァレンズの「ラ・バンバ」、アイズレー・ブラザーズの「ツイスト&シャウト」、そしてボビー・デイの「ロッキン・ロビン」など、カヴァーの方が知られているくらいという曲の元歌をこうして聴けるのは本当に楽しいです。どこか車で遠出をするときに気楽に流していたいCDですね。第5弾まで出てますので、順次楽しもうっと。



Radio Gold Volume 2 ; CDCHD 446 (2008. 1.27)

1956〜67年という、ロックンロール全盛期からビートルズ出現後までのイギリスで流行ったアメリカン・ポップ・ソング集です。このシリーズ、病みつきになりそう。いきなりリトル・リチャードの「ロング・トール・サリー」、デル・シャノンの「悲しき街角」と来ちゃうんですもの。「バイバイ・ラヴ」「ボニー・モロニー」「ロリポップ」「ナットロッカー」と、いかにもイギリスで流行りそうな曲ですね。中にはアーニー・フィールド楽団の「イン・ザ・ムード」なんてひねり球もあるし。でもラストをキングズメンの「ルイ・ルイ」で締められちゃったらねぇ。ぼんやり聴くには最高のコンピです。



Radio Gold 3 ; ACE CDCHD 557 (2008. 3. 2)

1953〜62年の音源ですが、多くは50年代後半の、ポスト・ロックンロールと言っていい曲が中心です。いきなりミッキー&シルヴィアの「ラヴ・イズ・ストレンジ」からスタート、ジョニー・オーティスにファッツ・ドミノとノリのいい曲が楽しいです。トーケンズの「ライオンは寝ている」とか、ハリー・ベラフォンテの「デイ・オー」のようなポップ・チューンの中に、ひょこっとスマイリー・ルイスが出てくるのが楽しいなぁ。ラストはニール・セダカ。やはりこの時代を象徴している人でしょう。



Radio Gold 4 ; ACE CDCHD 810 (2008. 3. 3)

1955〜64という、ビートルズの前10年といった感じのスパンの音源です。このシリーズらしくラジオのヒットが目白押しですが、こうした選曲はドライヴに本当によく合います。特に1曲目にコントアーズの「ドゥー・ユー・ラヴ・ミー」、続いてドリフターズにチャック・ベリーと来るあたりはさすがの選曲ですね。嬉しかったのがソニー・ジェイムズの「ヤング・ラヴ」にジョニー・ホートンの「ニューオーリンズの闘い」。いずれもニッティ・グリッティのライヴで聴いて耳馴染んだ曲のオリジナルです。ベティ・ハリスの「クライ・トゥ・ミー」もぐっと来ました。



Raisins In The Sun ; ROUNDER 11661-3177-2 (2001. 3.16)

2001年リリース。いわゆるブルースじゃありません。ハーヴィー・ブルックス、ジム・ディッキンソンなどによるカントリー・フレイヴァー溢れるグッド・アメリカン・ロッキン・ミュージックです。21世紀にこつぜんと田舎で蘇ったイーグルスと行った感じの曲とか、ニール・ヤングの初期に通じる、でもずっとローカルな感じのする曲とか、全体にほっとする曲が多いです。ブギもありますがZZ-トップとは肌合いの異なる明るさを感じます。浜松帰りの東名のお供にはぴったりでした。段々bbさんの好みも分かってきたぞ。こういうのを聴くと彼が情熱を賭けてCDショップをやっているのがよく分かります。良いものを聴かせてもらったって感じ。



Ray ; UNIVERSAL USND-42722 (2006. 2. 2)

2005年公開のレイ・チャールズの自伝を元にした作品です。原作に当たるディヴィッド・リッツの"Brother Ray"(邦題『我が心のジョージア - レイ・チャールズ物語』(戎光祥出版 2005))は出てすぐに読んでいたので、エピソードやおおよそのストーリーはネタバレ状態だったんですが、楽しめました。まず主演のジェイミー・フォックスが上手いです。いつのまにか本物のレイを見ているのではという錯覚に陥りました。レイのちょっとシャイでチャーミングな面を実にうまく演じていますし、歌もけっこういい感じです。この他アーメット・アーティガンやファットヘッド・ニューマンも雰囲気が出てました。クリス・トーマス・キング演じるローウェル・フルソンも、雰囲気は良く掴んでいるんですが、ギターのプレイは流暢すぎですね。見どころは何といっても、レイをめぐる4人の女性で、母親、デラ・B、メアリー・アン、マージー・ヘンドリクスのそれぞれが、見事なキャラクターで描かれています。また原作にない巧みな演出により、ドラマとして見応えのあるものになっていますし。ただヘロインからの脱出にちょっとウエイトがかかりすぎているきらいもありました。ちょっと意図的ですね。オスカー狙いかなと思っちゃいました。でもラストのジョージア州でのセレモニーのシーン、やっぱり涙が出てしまいました。



Real Black Rhithm ; STILL STCD 1156 (2004. 9.18)

いやいや、このSTILLのシリーズ、とんでもないですね。とにかくアーティスト名を見て知ってたのがボボ・ジェンキンズ位という、レア中のレアなアーテイストがこれぞとばかり集められているんですが、1曲目のリトル・リチャードばりのシャウトを聴かせるジェリー・ブラッドフォードからして強烈。続くガブリエル&ヒズ・トランペットで聴かれるギターはまるっきりアイク・ターナーみたいだし、伸びやかなティニ・ウィリアムズの歌など、こうした無名どころにも才能がいっぱいいたことを嫌というほど思い知らされるシリーズです。この調子で9枚聴いてったら、頭ぐちゃぐちゃになりそう!その位面白いR&Bとブルースがてんこ盛り。惜しいのはライナーとかデータとかが全然なく、スリーヴにレコードのレーベル部分のコピーが並べてあるだけのこと。「ブルース・レコーズ」にも出てない盤が多いんで、本当に何だか分からないものだらけでした。



Red River Blues ; ACE CDCHD 725 (2000. 2.15)

1955〜63年、北西ルイジアナのシュリヴポート録音。RAM,SPEED,CLIF,RED RIVER などが原盤のコンピ。新譜で購入。T.V.スリムなどが収録されている、ユルユルのサザン・ブルースで、エクセロなんかに通じます。グレートなB級って感じ。バニー・プライスのギターってマジック・サムみたいです。


Respect - Aretha's Influences & Inspiration ; ACE CDCHD 1214 (2009. 6.22)

1949年のクララ・ワード「ザ・デイ・イズ・パスド・アンド・ゴーン」から1971年のハワード・テイト「エイト・デイズ・オン・ザ・ロード」まで、アリサがカヴァーした曲のオリジナルをたっぷり収録したコンピです。アリサはオーティス・レディングのタイトル曲に始まって、多数のカヴァーを自分のヴァージョンに仕立て上げているんですが、ここに取り上げられている曲は原曲そのものが素晴らしく、アリサが何に惹かれて歌ったのかを感じることが出来ます。あまり聴いたことのない曲としては、ブレンダ・ハロウェイの落ち着いた「エヴリ・リトル・ビット・ハーツ」、ダイナ・ワシントンのけっこう激しい「ソウルヴィル」、ヘレン・ヒュームズの「トゥデイ・アイ・シング・ザ・ブルース」など。また、「トライ・ア・リトル・テンダネス」はリトル・ミス・コーンシャックスのヴァージョンが採られていますが、僕もこのヴァージョン大好きですから納得です。この他メアリ・ウィーラーの「プローヴ・イット」やニナ・シモンの「トゥ・ビ・ヤング・ギフテド・アンド・ブラック」など、元の落ち着いた歌をアリサ流に解釈したんだなというのが分かって面白かったです。




Return To Jazz Funk - Killer Jazz Funk From GROOVE MERDHANT Vault P-VINE PCD-4272 (2004.10.30)

1970年代前半の、ジャズ系のミュージシャンによるファンク集ですが、これが適度にB級でかっこいいです。ジミー・マグリフのオルガンは言わずもがなで、こってりしたサウンドがたまりませんが、何と「ファッツ・ゴーイン・オン」まで料理。ファンキーなドラミングがかっこいいバディ・リッチのバンドは、ジャリジャリのギターにソプラノ・サックスが絡みつくかと思うと、ゴージャスなブラスがあおり立てるなど、これまた強烈。「カメレオン」もやってるんですが、思いっ切り土着な感じがたまりません。ハービー・マンをちょっとあっさりさせたようなジョー・トーマスは何と「喜びの歌」をファンクにしちゃったりしてます。一方スライの「サンキュー」はさすがにぐっと軽くなっちゃってますけど。この他ルーベン・ウィルソンが「シスコ・キッド」を取り上げ、オドニエル・リーヴィーが洒落たコードワークのギターで「メイク・イット・ウィズ・ユー」を取り上げるなど、もう何でもありって感じです。こういうごちゃごちゃした感じ、涎が出ちゃいます。



Rhythm...And Blues! - 50's Blues And R&B From Rhythm Records ; RHYTHM/WESTSIDE WESA 815 (2000. 8. 4)

NBA のスター・プレイヤーだったドン・バークスデイルがサンフランシスコで興した RHYTHM のコンピ。1955〜58録音。メイン・アクトはリトル・ウィリー・リトルフィールドで、時代が時代のためか、かなりロックンロールを意識した音作りとなっています。でもややひなびたような唄の味わいは変わりありません。もう一組のメインは、シュガー・パイ・デサントとピーウィー、ただしこのピー・ウィーはクレイトンではありません。ひょっとしてミッキーとシルヴィアを意識したのかもしれません。わりと達者なギターとデュエットを聴くことが出来ます。この他ロイ・ホーキンスなど。B級レーベルならではの雑多な面白さです。


A Rock 'N Roll Dance Party ; ACE CDCHD 1119 (2006.11. 4)

1953〜61年録音のMODERN系音源によるロックンロール的な曲を集めたコンピです。いきなりエッタ・ジェイムズのアンサーソング「ダンス・ウィズ・ミー・ヘンリー」から始まり、マーヴィン&ジョニーの「コ・コ・モ」とご機嫌なナンバーが並んでますが、チャック・ベリーやプレスリーのような、さらりとしたものではなく、どこか黒く粘っこいサウンドがこのレーベルならではといった感じです。ジョー・ターナーの「ロール・エム・ピート」の再演も黒々としてますし、ジョー・ヒューストンのご機嫌なごり押し「オールナイト・ロング」もカデッツやジャックスのコーラスの中で燦然と輝きます。でもカデッツの「ハートブレイク・ホテル」の漆黒な感じもいいなぁ。そんな中にB.B.キングの「バッド・ケース・オヴ・ラヴ」が出てきても違和感がないってのがすごいです。こういうコンピは気楽に楽しめるので好きです。



Rockin' Rhythm Very Dark ; STILL SLCD 1171 (2009. 8.18)

おそらく1950年代後半から60年代前半の録音集でしょう。本当にこのシリーズはこれでもかと言うくらいオブスキュアな音源を集めています。いかにもツイスト時代といったチャールズ・ハーグロ&ボブ・フォンヴィル・オーケストラの「オーヴァー&オーヴァー」、プレスリーを意識したようなジョー・ラヴァーの「ミーン・オール・ベア」、ポップなラリー・バーン&ザ・ワンズの「バック・トゥ・スクール」、サックスのブロウが格好いいザ・フラットトップスのインスト「フラットトップ・スペシャル」、ジャンプ感覚がイカしてるビリー・ストームの「ピティ・パット」、声の弾くリリトル・リチャードが「ファニー・メイ」をやったラこうなるのではといった感じのボビー・ボスター「スター・アバヴ」など、勢いのある曲が満載。コーラスを絡めてる曲が多いんですが、ドゥーワップとは雰囲気の違うもっと下世話なものが多くて、そういうのが大好きな僕にはたまらないコンピです。




Rockin' With The Rhythm & Blues ; EL TORO R&B 100 (2003.11. 5)

1947〜51年録音の、「ロック&ロール」から「ロック・アラウンド・クロック」まで26曲てんこ盛りの「ロックンロール」にこだわったコンピです。で、このコンピの面白さは、ほぼジャッキー・ブレンストンの「ロケット88」(収録されてません)以前の曲が集められていて、サム・フィリップスに異論をふっかけているような姿勢なんですね。ワイノニー・ハリス、ロイ・ブラウン、メンフィス・スリムなど聴いたことのある曲も多いんですが、選曲が絶妙で一気に楽しめます。エイモス・ミルバーンの次に本人よりエイモスしてるフロイド・ディクソンの「ロッキン・アット・ホーム」を並べたりするあたりは編集者の遊び心を感じて思わずにやりです。全編ノリノリ!因みにラストナンバーの「ロック・アラウンド・ザ・クロック」はウェイリー・マーサー楽団のもので、ビル・ヘイリーのものとは同名異曲です。



Rocky Mountain Blues ; TAXIM TX 1060-2 TA (2008. 1.31)

2006年リリース。丁寧なブックレットを眺めていると、アメリカにはいろんな人がいるんだなって思ってしまいます。知っていたのはケン・セイダクだけでしたが、アフリカン・テイストからスタートする意欲的なダン・トリーナーとか、ちょっとタブ・ベノアを思わせるジョニー・オー・バンド、ソウルフルなトミー・トーマス、さらにはカントリー・タッチのアーティストと、ヴァラエティに富んでいます。ベン・スティーヴンスのスライドは、滑らかで音色が美しく、さすがロッキー山脈って感じですか。でもあんまり地域性は感じませんでしたね。デンヴァーで録音したウィリー・ヒューストンの「サリー・メイ」なんてのもありますが、別にそれがデトロイト録音でも不思議がない感じでした。



The ROGANA Story - Hossman's Blues ; SPV 49792 CD (2008. 3.30)

詳しいクレジットはありませんが、おそらく1950年代末から60年代前半のナッシュヴィルでの録音でしょう。ホス・アレン絡みの録音集ですが、まず格好いいのが冒頭のサム・ベイカー「クレイジー・アバウト・ユー・ベイビー」。切れのいいギターがたまりません。アート・グレイソンのちょっとハスキーなヴォーカルとチープなギターはかえってソウルを感じますし、ビート・ボーイズのインストもなかなかブルージー。ゴスペルのルーツを感じさせるロッジ・マーティンのR&Bナンバーも力があります。終盤にはゲイトマウス・ブラウンの「ハヴ・ユー・エヴァー・ビーン・ミストリーテッド」なんて曲も。またジョニー・コープランドはおそらくテキサス録音でしょう。スコッティ・ムーアのギター・インストにホス・アレンの語りのような歌まで入っています。



The Roots Of Gumbo ; P-VINE PCD-2820(2000. 9. 5)

ドクター・ジョンの「Gumbo」のオリジナル曲を中心に集めたニューオーリンズもののコンピ。録音時期は1940〜77年と広範囲にひろがっています。特に前半は「Gumbo」の曲順に沿って並べてあり、続けて聴くとドクター・ジョンがいかに愛情を持ってこれらの音楽に接していたか、また彼のオリジナリティがよく分かっておもしろいです。ただ、少々残念なのはフェスの曲がオリジナル・テイクでないことかな。レーベルの契約等の問題でしょうから仕方にとは思いますが。そのかわりジェームズ・ウェインの「ジャンコ・パートナー」が入っているのは嬉しいです。



Roots Of Robert Johnson ; YAZOO 1073 (2008.11.10)

1927〜37年録音。ロバート・ジョンソンが影響を受けたであろうブルースマンの曲を並べてあります。デルタ・スタイルはもちろん、華麗な指さばきのロニー・ジョンソン、それにロバートの曲に感じられるシティ感覚のベースと思われるリロイ・カーも入ってますし、リズム的なところではヘンリー・トーマスの影響もあるぞなんて解説とともに、「レッド・リヴァー・ブルース」が入ってるのも面白いです。ケイシー・ビルのスライドを使ったラグは「イッツ・レッド・ホット」につながるってことかな。そしてジョニー・テンプルの「レッド・ペンシル・ブルース」。ここにはロバート得意のボトムリフがしっかり入ってます。




The Rough Guide To Zydeco ; ROUGH GUIDES RGNET 1145 CD (2005. 3.11)

ザディコの全貌を捉えたコンピとしては、ROUNDERからのものが何枚かありますが、これは最新かつ絶対的なものといっていいでしょう。特段超有名曲を並べたわけではないですが、アマディ・アルドワン、クリフトン・シェニエ、ブーズー・シェイヴィス、ボー・ジョックといったクレオールやザディコの伝説的アーティストはもちろん、バックウィート・ザディコ、ジョン&ジノのデラフォース親子といった中核的なサウンド、そして新しいところではキース・フランク、ザディコ・フォースからロージー・レデット、クリス・アルドワン、さらにはJ.ポール・ジュニアやカーリー・テイラーと、まさに現在のザディコシーンまで見通した見事なコンピです。しかも新しいアーティストはほぼ最新盤からのセレクトで、これ1枚でほぼザディコのあらましがつかめると言っても過言じゃないです。贅沢な1枚。



Roy Milton's MILTONE Records Story ; ACROBAT ADDCD3016 (2009. 2.13)

1946〜48年録音。ミルトンがSPECIALTYと契約する前の時期に、ROY MILTONやMILTONEといった自身のレーベルで出した音源を集めた2枚組です。ソリッド・センダーズ関連の録音では、ヒットのカヴァー「ニュー・R.M.ブルース」やスタンダードの「サニーサイド・オヴ・ザ・ストリート」など、どれも粒ぞろいの作品。この他ロイ・ブラウンやアーニー・ローリーをフロントに立てたポール・ゲイトン楽団など、ジャンプ系が中心ですが、歌姫リトル・ミス・コーンシャックや、ぐっとダウンホームなジェシー・トーマスなども入っており、この時代の西海岸の美味しいところがぎゅっと詰め込まれている感じです。有名曲がなくても十分楽しめました。それからブックレットなどに掲載されたレーベルのイラストが楽しいです。




Rural Blues - Volume One & Two ; BGO BGOCD384 (2004.10.15)

1946〜61年録音の、ALADDIN/IMPERIALに残された、カントリー風味の強いブルースのコンピLPの2on1です。ライトニン・ホプキンス、リル・サン・ジャクソン、パパ・ライトフット、ブーズー・シェイヴィスなど、他のアルバムで聴くことの出来る音源も多いんですが、こうしたコンピで聴くと味わいが違います。また、スリム・ハーポの未発表音源の他、ナザニエル・テリー、メイニー・ニコルス、ブギー・ビル・ウェッブ、J.D. エドワーズなど、今回初めて聴く音もあり、特にIMPERIALというと、西海岸〜ニューオーリンズの、やや都会的なイメージが強かったんで、こうした泥臭いものもあったんだなって思いました。全体的にテキサス〜ルイジアナ風味の強いサウンドで、デルタ系列とは一味違った雰囲気が楽しめます。でも、この中に何曲かスヌークス・イーグリンが入っているんですが、1961年頃のIMPERIALに録音したジェイムズ・ブッカーなどバンド付きのサウンドなんで、選曲は割と泥臭いですが、これをルーラルっていうのはちょっと馴染まない気もしました。「トラヴェリン・ムード」なんていつ聴いても最高ですけどね。



R&B Jukebox Hits 1942 ; ACROBAT ACMCD 4186 (2008.12.28)

これ聴いたら日本が太平洋戦争に勝てるわけがないってのがよく分かります。後に「トレイン・ケプト・ア・ローリン」につながるフレディ・スラックの「カウ・カウ・ブギ」の他、ラッキー・ミリンダー、アンディ・カーク、アール・ハインズ、アースキン・ホウキンス、そしてデューク・エリントンといったビッグ・バンドが次々とヒットを飛ばし、ルイ・ジョーダンも活躍、オルガンを弾くファッツ・ウォーラー、ブルース系ではリル・グリーンやちょっとエッチに「レット・ミー・プレイ・ユア・プードル」を歌うタンパ・レッド、小洒落たナット・キング・コールに柔らかいコーラスを響かせるインク・スポッツと、本当に戦争してたのって思うくらいの余裕綽々の音楽の数々。この辺の音楽の好きなものにはたまらない選曲です。




R&B On Lakewood Boulevard ; ACE CDCHD 1165 (2008. 4.21)

1962〜64年録音のようです。南カリフォルニアはDOWNEYのコンピレーションは以前も出ていましたが、これは新しい音源を加えてのもので決定盤と言えるでしょう。まずは何といってもT-ボーン・ジュニア。本家の甥に当たるこの人、伯父譲りのギターでなかなか味わいのあるギターを弾きます。でもジミー・ウィルソンとかレイ・エイジーあたりに通じるイメージの方がより近いかも。ピアノは日本でも活動していたナット・ダヴ。また、リトル・ジョニー・テイラーは抜けるようなハイトーンの声で歌うブルースが彼らしいです。ニューオーリンズのジェシー・ヒルもちょっとしゃがれ気味だけど元気な声を聴かせています。エイス・ホルダーはアラバマ出身で、ジェリー・マッケインと同様にルイジアナ風味たっぷりのハーモニカが食欲をそそります。この他洒落たチャック・ヒギンズ、アダルトなヴォーカルのリトル・シーザーなど聴き所たっぷりです。



Sacred Steel - Live! ; ARHOOLIE CD 472 (2004. 8.11)

1998〜99年にかけての演奏を集めたものです。メインはキャンベル・ブラザーズで、ケイティー・ジャクソンのソウルフルなゴスペル・シンギングに絡みつくスチールギターの音がやはり高揚感を誘います。この他カルヴィン・クックやテッド・ブレッドなども入っていますが、やはり異彩を放っているのはロバート・ランドルフ。1曲しか入っていませんが、際立ったスティールのフレーズに耳を奪われます。魂がこもっているっていうんでしょうか。こっちまでハイになってきます。



San Diego Blues Jam ; TESTAMENT TCD 5029 (2002. 6. 4)

1971〜74年録音。中古で購入。サンディエゴはカリフォルニア最南端の大都市で、あまりブルースのイメージがないんですが、どうやらそこでのローカルプレイヤーのブルース集です。ほぼアコースティックの弾き語りで、スタジオライヴのようなものもあります。やはりテキサス経由のイメージが強く、「ジャック・オヴ・ダイアモンド」なんてタイトルは微妙に違いますがブラインド・レモンの曲を取り上げる人がいる一方、「ダスト・マイ・ブルース」から「スウィート・オールド・サン・ディエゴ」なんてどっかで聴いたような曲まで、実にB級です。しかしジャムって言う割には弾き語りっぽい曲が多く、1曲も短いなぁ。



Screaming Black ; STILL SLCD 1162 (2009. 3.24)

1950年代後半〜60年代初頭のロッキン・R&B集です。冒頭のハロルド・ワードのジャンプ・ナンバー「ハウ・ワイルド・キャン・ア・ウーマン・ビ」からまずかっこいいですね。リチャード・ワイルはちょっとマイナーなピアノのイントロからマーヴェレッツの「マネー」を歌います。ちなみにレーベルはMOTOWN。続くクリス・ケナーのブルージーな「ドント・レット・ハー・ピン・ザット・チャージ・オン・ミー」「グランドマズ・ハウス」は初めて聴く掘り出し物でした。同じケナーの「ドント・メイク・ノー・ノイズ」は楽しいノヴェルティ・ソング。ジャガーズの「ジニー・ジニー」はもろ「ジェニー・ジェニー」のパクリ。アーニー・ウィリアムズの「マイ・プリティ・ベイビー」はサックスがかっこいいです。レックス・ガーヴィンの「オー・イェイ!」は豪快なロックンロール。ロイド・プライスの「ライト・カインド・オヴ・ガール」なんて曲も入ってました。全体にギターのかっこいい曲が多く、楽しめる1枚です。




Senator Jones' Funky Funky New Orleans ; FUNKY DELICACIES DEL CD 0012 (2003.10.18)

例によって詳しいデータはないですが、60年代中頃から70年代末にかけてのそれこそB級ニューオーリンズ・ファンク集です。冒頭のレイ・Jという人の「ライト・プレイス・ロング・タイム」がなかなかドロッとしてて気に入りました。この他笑えるのがチャールズ・ブリマーの「カン・フー・マン」で、実に多彩な「声」がしつこいくらいに入っていて、思わずぶっ飛んでしまいました。この他チャック・ジョンソンなど、まあ何とも垢抜けないけど熱い息吹を感じます。そんな中ジョニー・アダムズの「ベイビー・アイ・ラヴ・ユー」のファンキーヴァージョンがやっぱりさすがって感じでした。



Shake That Thing ; STILL SLCD 1161 (2009. 3.29)

このシリーズは正確な録音データとかはないんですが、おそらく1950年代後半から1960年代初頭の、オブスキュアな録音を集めたものです。相変わらずご機嫌にロッキンするB級サウンドがこれでもかと詰め込まれています。聴いたことがあるのはヘンリー・ヘイズくらいかなぁ。注目曲をピックアップすると、ボブ・リードのインスト「マリブ」がまず仲々かっこいいロッキン・ギターです。レッド・ミラーの「メアリ・ジョー」はオリジナルより軽快な感じ。ザ・ドッツの「ウルフ・コール」はやっぱり「ハウンド・ドッグ」の影響なんでしょうか。エヴェレット・ジョンスンの「ブギ・ウギ」はどっしりしたピアノブギでガツンと来ました。ローカルシーンの奥深さを感じさせる1枚。




Shoutin' Out The Blues ; R&B CD 2005-2 (2006. 7. 3)

1950年代から60年代初期の、マイナーレーベルに残された活きのいいロッキンブルース集です。西海岸のハスケル・サドラーやジョニー・フラー、当時はDUKEに在籍していたフェントン・ロビンソンなど、多少は名前を知っている人もいましたが、他はあまり良く知らない人が多かったです。ロックンロール時代に賢明に対応しようとしていると思われる曲があったり、マッティー・ジャクソンのように元気なゴスペルって感じのもの、チャンピョンズの「キープ・ア・ロッキン」あたりはヴォーカルにジュニア・パーカーの香りを感じたりします。タル・ミラーの「オンリー・シクスティーン」はルンバ調だけど結構低重心でギターの切れがいいなぁ。ボビー・ウィリアムズの「ソー・ブルー」はヴォーカルが「ウォーク・アップ・ディス・モーニング」を歌う合いの手に、バリトンヴォイスが「アイム・ソー・ブルー」って入れる妙な曲。まあいろんなものがありますね。



Shuckin' Stuff ; ACE/WESTSIDE WESD240 (2007. 8.23)

1955〜59年くらいにかけて残されたACEのレア・トラック集です。半分以上が今回初めて日の目を見たというレア度!アール・キングやボビー・マーシャンといった有名どころだけでなく、「歌い手知らず」なんてのもありますが、音のレベルはどれも高水準です。嬉しいのはサミー・マイヤーズの未発表音源。「スリーピン・イン・ザ・グラウンド」などの別テイクですが、ダウンホームな味わいが格別です。またどす黒いビリー・テイトも面白いです。一番の収穫がジョン・リトルジョンの未発表かな。「サン・ホセ」なんてやってるんですよ。これがスピード感があって、もしかするとハウンド・ドッグ・テイラーのヴァージョンに近いのかななんて想像しちゃいました。



Sing Along With PUTUMAYO ; PUTUMAYO KID PUT 222-2 (2009.11.13)

1994〜2003年録音の、ブラックやフォーク・ミュージシャンによる童謡集です。ミュージシャンはアーロ・ガスリー、タジ・マハル、ガイ・ディヴィスなどですが、まずなんといっても格好いいのはルーファス・トーマス翁の「オールド・マクドナルド・八ド・ア・ファーム」ですね。もともとルーファスは「ウォーキン・ザ・ドッグ」で童謡の歌詞を引用したりしてますから得意なパターンで、「ファンキー・チキン」などに似た最高に楽しい雰囲気で思わず踊りたくなります。またケブ・モはなんと「ラヴ・トレイン」をやってます。これが童謡かって言うとちょっと違う気もしますが、確かに大変親しみやすい演奏です。さらにエリック・ビブは「漕げよマイケル」を弾き語り(途中からバンジョーやパーカッションも加わりますが)でやってます。ブックレットには英語、スペイン語、フランス語で解説が出ているのもこのレーベルらしいところ。こうやって子供が歌を覚えていくのは楽しいですね。




Sing My Blues Tonight - The Ace Blues Masters Vol.1 ; ACE/WESTSIDE WESM 530 (2000. 5.17.)

チャールズ・ブラウンの1959年から60年の ACE 録音や同時期のフロイド・ディクソン、H-ボム・ファーガソンの未発表音源を中心にしたコンピ。いかにミシシッピ州ジャクソンの録音とはいえ、このメンバーじゃやっぱりテキサス〜ウエスト・コーストです。録音当時リリースされた曲はブラウンの6曲のみ(うち2曲はエイモス・ミルバーンとのデュオ!)で、マニア向けのCDといえますが、内容は悪くありません。「え、こんなん、あったの?」という感じです。なんで当時リリースされなかったのかな?やはりアフター・ロックンロールで、こうした洒落た小唄的なものは流行らなかったってことでしょうか。ファーガソンは53年録音ですが。チャールズ・ブラウン節がお好きな方にはお薦め(僕は好きです)。


Slow 'N' Moody Black & Bluesy & More ; KENT CDKEND 321 (2009.10.18)

1964〜71年にMODERN、KENTに残されたディープソウルのコンピです。まず冒頭のZZヒルが歌うサム・クックの「ナッシング・キャン・チェンジ・ザ・ラヴ・アイ・ハヴ・フォー・ユー」が熱唱でぐっと来ます。クレイ・ハモンド、ジョニー・コープランドなどディープなハードシンギングがたっぷり詰まっています。中にはブルースもあり、特に印象的だったのがラリー・ディヴィスの「アズ・ザ・イヤー・ゴー・パッシング・バイ」。もともとレーベルメイトだったフェントン・ロビンソンの初期の名曲ですが、ぐっとスローにして感情たっぷりに歌い上げています。MODERN系にもこんな深いのがあったんですね。




The Soul Of MONEY Volume 3 ; KENT CDKEND 316 (2009. 5.19)

1964〜73年の録音です。ベティ・スワンやザ・ラークスなどを含むコンピですが、いろいろ面白い曲も入ってます。例えばボビー・アンジェレの「ユー・ゴット・ミー・ディジー」、もちろんジミー・リードのあの曲なんですが、見事なB級ファンキーに仕上がってました。パット・リヴィングストンが歌うゆったりしたノリの「シュガー・ラヴ」もいい感じ。全体としてはちょっと軽めでポップな味わいの曲が多いですね。




The Soul Of Spanish Harlem ; BGP CDBGPD 197 (2009. 5.28)

1967〜72年録音。タイトル通りラテン・フレイヴァーを感じさせるソウル・ナンバーが多いんですが、例えば「トゥルー・ラヴ」、この曲のイントロって他の曲で聴いた覚えがあるんですよね。何だったっけ。パーカッションのラテン風味だけではなく、ブラス、特にトランペットの味わいがすばらしい演奏が多く、おそらくブラス・ロックのシカゴもこういうサウンドの影響を強く受けているんでしょうね。また、ある意味フィラデルフィア・サウンドなどにも引き継がれるような雰囲気も感じました。一方キング・カンドゥの「マリア・マリア」は思いっ切りサルサ寄りで、こうしたサウンドのミクスチュアが音楽を豊かにしているように思います。




Soul Of SUE Records New York City ; SUE/STATESIDE 07243 4 74446 2 3 (2005. 8. 2)

1960〜66年にかけてSUEに残された曲のコンピです。同様のアルバムはかつてピーター・バラカン選曲(だったと思う)の2枚組があり、かなりダブりますが、ここでしか聴けないものもあり買ってしまいました。SUEといえば代表はアイク&ティナ・ターナーで、このアルバムでもトップとラストをしめています。この他7/31に話題にしたアイニーズ&チャーリー・フォックスの大ヒット「モッキンバード」もしっかり収録。この曲は後にカーリー・サイモンとジェイムズ・テイラーのコンビがカヴァーしてた記憶があります。ジミー・マグリフの「アイヴ・ガット・ア・ウーマン」のインストは初めて聴く気がします。全体にこの時代らしいエイトビートの曲が多く、一部MOTOWNの影響も感じますが、バーバラ・ジョージやプリンス・ララといったAFO勢のゆるめのリズムがやはり格好いいですね。CCCDではないようですし、お薦めです。



Soul Power ; P-VINE PCD-20044 (2009. 7.20)

1965年〜75年にかけて、MODERN系とJEWEL系に残されたソウル集です。取り上げられているのはヴァーノン・ギャレット、クレイ・ハモンド、Z.Z. ヒルなど。超有名曲は入っていませんが、優しさを感じるクレイ・ハモンドの「アイム・ゴナ・スウィーター」、MOTOWNの影がくっきり出たウィリー・ハッチの「アイ・キャント・ゲット・イナフ」、メンフィス・サウンドを彷彿させるバックに乗って歌うジョニー・アダムズ、Z.Z. ヒルによるサム・クックのカヴァー、70年代のファンキーなフォンテラ・バス、デニス・ラサールの「ゲット・ユア・ライ・ストレイト」を実にファンキーに歌うビル・コディ、そしてどこまでも美しいオリー・ナイチンゲールの「アイム・イン・ラヴ」、本当に聴き所満載です。




SOUND OF NEW ORLEANS 1992-2005 ; FREMEAUX & ASSOCIES FA 5223 a(2009. 6.13)

SOUND OF NEW ORLEANSというレーベルの2枚組コンピです。このレーベルの作品は僕もいろいろ聴いたんですが、ちょっと変わった感じのものが多い印象がありました。このコンピを聴いていくと、有名どころはトミー・リッジリーとロッキン・ドゥプシー・ジュニアくらいで、後はドウェイン・ドゥプシーなど割合マイナーな人が多いですね。全体としてはブラスバンドとゴスペルがかなり多い感じで、特にゴスペルはけっこうごつい感じもあって面白かったです。その他マホガニー・ブラス・バンドとかクールボーン・ブラス・バンドなどイカしてます。そんな中にキャロル・フランが入ってたりするとなんだか嬉しくなっちゃいますね。




Sounds Of New Orleans ; STORYVILLE 103 6102 (2009. 3. 2)

1945〜54年録音。キッド・オリーやジョージ・ルイスといった大御所が演奏する、典型的なニューオーリンズ・ジャズの名演集です。「ハイ・ソサエティ」は3テイク、「バーボン・ストリート・パレード」や「ベイスン・ストリート・ブルース」が2テイクなど重複がありますが、演奏者による趣の違いや、ライヴならではの臨場感などもあって、全然気になりませんでした。こうした演奏が現在のブラスバンドにしっかり引き継がれていることも感じられ、改めてニューオーリンズの懐の深さを感じました。




Southern Fried Funk ; GRAPEVINE GVCD 3031 (2006. 9.22)

1968〜72年録音。いきなりトゥーサンのセルフ・カヴァーによる「ゲット・アウト・オヴ・マイ・ライフ・ベイビー」からスタート。その後りー・ドーシーを持ってくる選曲のセンスに脱帽です。ATCOのエルドリッジ・ホームズが出した「ポップ・ポップコーン・チルドレン」、イントロのゴキゴキ言うギター、こりゃレオ・ノセンテリですよ。この他チャック・カーボやディヴィッド・バティステなどニューオーリンズものに、Z.Z.ヒルなどのタイトル通り南部で活動していたミュージシャンのファンクがぎっちり詰まっています。ジュウェル・ベイスなどワーデル・ケゼルクのプロデュースしたMALACO盤まで入っており、かゆい所に手の届く選曲ですね。楽しめました。



Southern Funkin' - Louisiana Funk And Soul 1967-1979 ; BGP CDBGPD 168

ルイジアナ周辺のローカルファンク集です。それもニューオーリンズものと違い、もう少し例えばJBとかスライ&ファミリー・ストーンあたりからの影響を受けたような曲が多いんですが、全体にリズムが軽いんです。パーカッションとかも入ってたりして、曲によってはチラとラテン風味を感じますが、とにかく軽くて、ずーんと腹に響くファンクとは趣が違います。そして当然ゆるゆるな感じもあります。思ったほどこっちの感覚は強くないですけど。MAISON DE SOULっていうとザディコのイメージが強いですが、こんなのもやってんですね。



Southern Soul & Party Blues Vol. 2 ; CDS 1010
(2009. 8. 5)

録音時期は不明ですが、比較的最近だと思います。ローカルなソウルやブルースを集めたコンピで、収録されているのがスタン・モズレイ、チック・ウィリス、リー・ショット・ウィリアムズ、クラーレンス・ドビンズ、ネリー・タイガー・トラヴィスなど、現在もディープな歌を聴かせる人たちなので、僕のような古いもの好きでも十分楽しめました。例えばチャック・ロバーソンがライヴで歌う「ア・チェンジ・イズ・ゴナ・カム」、チタリン・サーキットってこんな雰囲気なのかなって思わせます。打ち込みバックも多いですが、歌が素晴らしいので全然気になりませんでした。




The SPECIALTY Story ; SPECIALTY 5SPCD-4412-2 (2008. 7. 4)

1944〜64年録音の5枚組です。ほぼ時代順に並んでいるようですが、1枚目1曲目のセピア・トーンの「ブギ・ナンバー1」がユニーク。確かにブギなんですが、オルガンにクラリネットが面白い雰囲気を醸し出してます。あとはカミール・ハワードのピアノが最高のロイ・ミルトンの代表作の数々に、ジミーとジョー・リギンズといったこのレーベルを代表するアーティストのヒット曲の合間に、エッチなルーズベルト・サイクスや落ち着いたビッグ・メイシオ、ダウンホームなスモーキー・ホグと結構色々です。2枚目も同様のラインナップですが、目玉はなんと言ってもバーシー・メイフィールド。彼の落ち着いた詩情溢れるうたはいつ聴いても素晴らしい。あとはロイド・プライスの「ロウディ・ミス・クロウディ」も登場します。3枚目はそのプライスからスタート。またレーベルのもうひとつの核であるゴスペル・カルテットも収録されています。またマーシー・ディーにフランキー・リー・シムズ、さらにはジョン・リー・フッカーといったダウンホーマーや、チャールズ・ブラウン・マナー丸出しのフロイド・ディクスンなども。そして最大のヒットメイカーのギター・スリムとその弟子アール・キングが続けて収録してあるあたりは憎い編集です。4枚目になるといよいよリトル・リチャードがガツンときます。これにラリー・ウィリアムズにアート・ネヴィルと、この時代レーベルが何を狙っていたかがよく分かります。そんな中にサム・クックの澄んだ声が響くと、新しい時代が近いことを予感させます。5枚目なるとリトル・リチャードにラリー・ウィリアムズに加え、ドン&デューイが加わります。面白いのがルネ・ホールの「トゥイッティー」で、これってディドリー・ボーでしょうか?そしてここでもサム・クックの素敵な歌声が心にしみます。SPECIALTYの決定的なコンピだと思います。



Spilit Of New Orlins - The Genius Of Dave Barthoromew ; EMI 0777-7-80184-2 1 Click Here!

STAX Of Funk Vol.2 More Funky Trugh ; BGP CDBGPD 150 (2005. 7.31)

1970〜75年という、STAXとしては転機を迎えつつある時代のファンク集第2弾ですが、いきなりカルヴィン・スコットの豪勢なナンバーでスタートします。バーニー・ヘイズの「クール・ストラット」などタイトルから分かるようにミーターズの影響を受けていますが、グッとB級なのが面白いですし、サー・マック・ライスあたりになるとかなりジャズ色も感じられます。イスラエル・トルバートの代表曲「ビッグ・レッグ・ウーマン」も収録されていますし、かつて「モッキンバード」のヒットで知られるアイニーズ・フォックスなんて人も入ってたりします。ヴェテランとしてはジミー・マクラックリンやルーファス・トーマスなどの曲も収録されてますけど、何といっても面白かったのはバーケイズをバックにしたアルバート・キングの「クロスカット・ソウ」。こんな格好いいリメイクがあったのを不覚にも知りませんでした。



The Story Of Blues ; HANGAR 21 HAN 9702-2 (2001. 9. 2)

1997年録音。裏ジャケを一見するとまるでブルース超有名曲のコンピのようですが、実際は現役バリバリのミュージシャンによる有名曲再演集です。シカゴ、メンフィス、ニューヨークで録音された有名曲の数々、これがなかなかの好演です。プレストン・シャノンの「リコンシダー・ベイビー」はこの曲のカヴァとしてはかなり良質ですし、もはや貫禄すら感じるビリー・ブランチの「モジョ・ワーキン」、一方青臭いけどチャーミングなシェミーカ・コープランドの「テイント・ノーバディズ・ビジネス」、そのお父さんは癖をたっぷり聴かせた「ストーミー・マンディ」を聴かせます。しかしこのレーベル、スイスなためにライナーがドイツ語。これには参りました。



Straight To Watts - The Central Avenue Scene 1951-54 Vol.1 ; ACE CDCHD 868 (2004. 2.12)

1950年代前半のCOMBOレーベルに残された上質のウエストコーストR&Bに、未リイシューの掘り出し物を加えるという、イギリスACEのお家芸のようなアルバムで、この手のものには目がないんですぐ買っちゃいます。でもやっぱりいいですね。西海岸独特の、ちょっとメローで洒落たブルースやジャンプものが中心で、ジャック・マクヴィーやチャック・ヒギンズなど有名どころも入っていますし、スリー・ブレイザーズのヴォーカル、聴いたような声だと思ったら、フロイド・ディクソンだったりします。中でも思いっ切りエッチなブラザー・ウッドマン&キャンディ・リヴァーズの「ハイ・ホー・シルヴァー」がたまりませんね。ジェイク・ポーターが「サフローニア」やってたりとまったく飽きのこない1枚でした。



Stompin' 2 ; STOMPIN ST302 (2009. 4. 9)

詳細は分かりませんが、1950年代後半から60年代にかけてのご機嫌なB級R&Bやブルース、ロックンロールを集めたコンピです。第1集は入手できていません。まずマッキンレィ・ミッチェルの「ロック・エヴリバディ・ロック」というご機嫌なギター・ブギからスタート。ほとんど名前も聞いたことのない人が並んでいますが、いかした曲ばっかりです。テーブル・トッパーズの「トーク・トゥ・ミー・ベイビー」は、ヴェンチャーズのようなギターと「ハイ・ヨー・シルヴァー」の連呼が何ともこの時代らしいです。ジョン・グリアはさすがに名前を知ってましたが、ギターがとにかく格好いいです。ビッグ・ブラウンとギャンブラーズの「マイ・テスタメント」はドライヴするロケンロール。おっと、チャールズ・クラークの「ヒドゥン・チャームズ」はCOBRAだっけ?そんな中にフルソンの「ストップ&シンク」が入ってたりするんです。これもレアですね。メイベル・フランクリンて言うのはビッグ・メイベルかな。「レッツ・ドゥ・ザ・ウィグル」、ギターの暴れ方が半端じゃありません。ジミー・マクラックリンの「サヴォイズ・ジャンプ」はもろ「チキン・シャック・ブギ」ですね。で、ラファエット・トーマスの「コックローチ・ラン」、ゴキブリが走るんですよ!ああ楽しい!




Stompin' 3 ; STOMPIN ST303 (2009. 4.10)

シリーズ第3弾はガブリエル&ヒズ・トランペットのポップな「ドント・ステイ・アウト・オール・ナイト」からスタート。ギターがけっこうえぐいです。「アイム・ガブリエル」の方はファッツ・ドミノの「リーリン&ロッキン」のパクリですね。ストレートなトランペットがユニークです。ベニー・シャープのオーケストラ「セント・ルイス・サンセット・トウィスト」、これ、ギターはアイク・ターナーですよね。聴いたことあるなぁ。笑えるのがロールス・ロイス&ホウィールズでバンド名もいかがわしいですが、曲が「トップレス」!男女が大声で「トップレス」と叫ぶってのが凄いです。プリンス・チャールズも全く無名ですが、「カム・オン・ホーム」のギター、ウェイン・ベネットみたいに格好いいです。知ってる名前はビリー・ライトとかラヴァーン・ベイカー、キャロル・フラン(「アイム・ゴナ・トライ」って60年代末くらいの音に聞こえます)の名前もありますが、ポルカ・ドット・スリムなんてレアものも出てきます。で、一番嬉しかったのがロニー・ブルックスの「ミスター・ホット・ショット」!大好きな曲でLPでは音源持っているんですが、CD出ないかなと探し回っていたらこんなところに入ってました。だからコンピ集めは止められないんです。




Stompin' 4 ; STOMPIN ST304 (2009. 4.11)

第4集はぐっとジャンプ・ブルースっぽい曲が増えています。オースティン・ライトなどけっこう重厚。でもHボム・ファーガソンはけっこう軽快なロケンロールだったりします。エディ・リフはギターが思いっ切りチャック・ベリーしてて歌などもかなり意識してるのが分かります。ロイ・ゲインズの「ラウド・マウス・ルーシー」は「アイ・ドント・ノウ」系の曲ですが、さすが名手!合いの手のギターが秀逸です。ギター・クラッシャーは強烈な名前ですが演奏はそれほどでもないブルームダスター調でした。この他ホンキーなロイ・パーキンスとか、車の擬音が格好いいルイス・ペイン・オーケストラとか、相も変わらずオブスキュアな人たちがてんこ盛りになってます。




Stompin' 5 ; STOMPIN ST305 (2009. 4.14)

いくらでも続く感じのこのシリーズ。第5集になってもちっとも衰えません。ライモン・ダーネルが「メイベリーン」のアンサーソングを歌えば、サニー・ボーイ・ウィリアムスという何とも紛らわしい人がけっこういかしたロッキン・ブルースをやってたりします。タイ・タング・ハンレイの「ユー・ゴット・マイ・ノイズ・ワイド・オープン」はどことなくジャイヴ感覚のある曲。ビッグ・ボーイ・グローヴズの「アイ・ガッタ・ニュー・カー」は良くある「アイ・ドント・ノウ」タイプの曲だけどブラスがえぐいです。ロッキン・ブラッドレイがリトル・リチャードばりの歌を披露すれば、アール・ギリアムはB.B.キングのように朗々と歌います。クライ・ベイビー・カーティスの「アイ・ワナ」はジェイムズ・ブラウンの「プリーズ・プリーズ・プリーズ」を意識してるんですが、歌詞をややこしくしすぎていまひとつな感じ。ラストのモジョ・ワトソンまで相も変わらずご機嫌な曲の連発です。




Stompin' 6 ; STOMPIN ST306 (2009. 4.15)

いやはや、よくネタが尽きないもんです。豪快にシャウトするスライ・フォックス、「マイ・フォー・ウィメン」は「フィーリン・グッド」風のブギをバックにわめきまくりですし、ルーファス・ブラウンの「キープ・ア・ノッキン」は本家以上のパワフルなヴォーカルが聴きもの。途中ホームシック・ジェイムズのダウンホームなブルースも入ってたりするんですが、ファニー・モーの「シェイク・ザット・シング」もかなり強烈。ジョン・フレッド&ザ・プレイボーイズの「ブギ・チレン」はロカビリー調でのちのブリティッシュ勢の演奏と比べると面白そう。もっと面白いのがボー・デュドリー(!)の「ショットガン・ライダー」で、うしろで暴れるスチールギターは間違いなくフレッド・ルーレットです。こういう中シャイ・ガイ・ダグラスの「モンキー・ドゥイン・ウーマン」みたいな知ってる曲が出てくるとなんか和みます。




Stompin' 7 ; STOMPIN ST307 (2009. 4.16)

おっといきなりサックス・カリの「チョコレート・フィズ」なんてご機嫌な曲からスタートします。どっかで聴いたようなギターのイントロがおかしいハンク・ムーアの「ノック・ニード・ルースター」はドゥーワップ風コーラス付き。モジョ・ワトソンの「ルック・ゼア」、アルバート・ワシントン「ランブル」ともにギターの切れのいい曲です。ロード・ベリーの「カルドニア」は隠し芸的なノリが楽しいし、ジョン・バラードの「メアリ・ルー」もジャンプな感じがたまりません。ハーモニカ・ファッツはその生音のハープと対称的ながなり系のヴォーカルがけっこうガツンと来ますね。ジャッキー・ブレンストンの「トラブル・アップ・ザ・ロード」、うしろで強烈なギターを弾いてるのはアイクかしら。この他あいもかわらずご機嫌なチューンが目白押しです。




Stompin' 8 ; STOMPIN ST308 (2009. 4.17)

ルイス・ジョーンズのボビー・ブランド「アイ・キャント・ターン・ユー・ルーズ」風「カム・オン・ホーム」からスタート。ノヴェルティなアーティ・ウィルソンの「ターザン」、パーチ・ウェルチの「ナーシー・ライム・ロック」なんてのが前半を飾ります。ピアノ・スリムってありがちな名前の「ロット・オヴ・シェイキン・ロット・オヴ・ジャイヴィン」は例に漏れずリトル・リチャード・マナーだけどちょっといなたい感じ。ギターはジミー・スプルーイルみたいです。ビッグ・エイモスはご機嫌なサザン・ビートに乗ったハーモニカ・ロッキン・ブルースを歌ってます。エディ・ダニエルズはプレスリーのフォロアーかな。フィル・フラワーズの「ツイスティン・ビート」はチャビー・チェッカーをかなり意識してると思います。大好きなフロイド・ディクソンを挟んで最後はその名もヴォルケイノズ!ラテン系のノリで「オー・オー・モジョ」を軽く決めちゃってます。




Stompin' 22 ; STOMPIN ST322 (2005. 5.30)

おそらく1950年代前半の録音が中心だと思います。ニューヨークのDERBYレーベルに残された、レアだけど御機嫌なビート感溢れるジャンプナンバーを集めたコンピです。丁寧なライナーノートも付いてるんですが、英語アレルギーでしかも老眼の進んだ僕にはちとツライ。でも聴いてるだけで楽しくなるんですよね。例えばブラウニー・マギーの「オール・ナイト・パーティ」なんて、フォーク・ブルースのイメージで聴くとぶっ飛びます。完璧なジャンプサウンドなんですから。でもよく聴くとギターとか歌はブラウニーその人なんですよね。ルーズベルト・ワーデルのノヴェルティな「シー・ドリンクス・トゥー・マッチ・ワイン」なんてのも多分吾妻さん好みでいいなぁ。この他ポール・バスコム、サミー・コットンなどニューヨークで名の知れた人の曲も入っています。やっぱりヨーロッパのコレクターのやることは違いますねぇ。



Stompin' 23 ; STOMPIN ST323 (2005. 6. 6)

こちらは1950年代終盤から60年代初頭にかけての黒人ロックンロール集といった趣です。でもこのB級の度合いの凄さったら!なんといってもハーヴェイ&ドックの「オー・ベイビー」でしょうね。ダって全編それしか歌詞がないんだもの。プリンス・ラヴの「ドント・ウォント・ノー・ウォー」もテーマに比べて脳天気な雰囲気が漂いますね。全体にノリが強烈でジミー・レイの「ヘイ・レッツ・ダンス」なんて狂わんばかりに踊ろうと誘います。ジョージ・ヤングの「バギン・ベイビー」の冒頭の早回しとかも笑えますし。でもそんな中ベン・ヒューズの「サック」では粘りのある格好いいギターが聴けたりして、侮れないなぁ。全体に楽しさたっぷりのコンピでした。



Stompin' 24 ; STOMPIN ST324 (2006. 1.10)

おそらく1950年代後半から1960年代前半の、めずらしいR&Bナンバーを集めたアルバムです。このシリーズは22から聴き始めましたけど、いきなりナイホウクスなるバンドのロッキンした「ブギ・チレン」がなかなかB級で面白いです。この他ビリー・ピークという人は大変なアイク・ターナー・フリークだそうで、彼の「プランシン」をそれこそ本人と聴き間違えるほどそっくりに弾きます。一方当のアイクは変名でやってる「ジャック・ラビット」を収録。この他ビリー・ラモットの「ヒア・ミー・ナウ」は思いっ切り「ボニー・モロニー」をパクってますし、べニー・アンののヴェルティな雰囲気たっぷりの「ロックンロール・ルアウ」も面白いです。中にはエルモア・ジェイムズの「クライ・フォー・ミー・ベイビー」とかビッグ・ママ・ソーントンの「トム・キャット」みたいな、僕も聴き馴染んだ曲も出てきますが、大方は初耳です。ラストのいなたいタビー・トーマスまで一気に聴きました。



Stompin' 25 ; STOMPIN ST325 (2006. 1.11)

こちらは1950年代の録音が中心のようで、24より落ち着いた雰囲気です。でもジョージア・レーンの「ウー・ウィー・ミスター・ジェフ」やユージン・ディヴィスの「レッツ・ハヴ・ア・パーティ」は結構元気がいいですし、ジャイヴなコーラスに女性の笑い声が印象的なエメット・ホブソンの「ルッカ・ヒア・マティー・ビー」などは面白いです。チョーカー・キャンベルは「ハヴ・ユー・シーン・マイ・ベイビー」で自慢の喉を披露しています。でも何と言っても面白いのがジョージ・ベンソンの「アイ・シュッド・ハヴ・ビーン・ミー」で、声がまだお子様です。これといいマーギー・アンダーソンの「「イエス・アイ・ノウ」はいずれも「アイ・ドント・ノー」にインスパイアされた作品で、その影響力の大きさがうかがえます。またビル・ウォーカーの「ワインオー」はエイモス・ミルバーンの影を感じますね。とにかく面白いシリーズです。



Stompin' 26 ; STOMPIN ST326 (2006. 1.18)

おそらく1950年代の録音が中心でしょう。今回はブルースが主なので、かなり聴いたことのある音源が多くなってます。でもスクエア・ウォルトンは記憶にないなぁ。軽快な2ビート系の「バッド・ハングオーヴァー」という曲、ニューヨーク録音らしい雰囲気ですね。続くカサンドラという人は後にSTAXでファンクをやってるそうですが、ここでは女声かと思う高域の抜ける声でブルースやってます。途中のギターのえぐさがたまりません。ビンガンプトン・ブルース・ボーイズはウィル・ロイ・サンダースのバンドのようですが、この「クロスカット・ソウ」、スローブルースに仕立ててますけど、絡みつくギターが強烈です。インストの「スリムズ・ツイスト」も格好いいし、こうした音源が出てくると嬉しいですね。この他初期のリトル・ミルトンとかジュニア・ウェルズ、またボボ・ジェンキンスやらエルモア・ニックル、モーリス・ピジョーといった、渋めの人たちが収録されてます。



Stompin' At The SAVOY - The Original Indie-Label 1944-1961 ; SAVOY JAZZ SVY 17435-8 (2008. 4. 6)

4枚組でSAVOYのR&Bを俯瞰しちゃおうっていうコンピです。前半はジャンプバンドものが多いのですが、だんだん編成が小さくなっていくのが時世を表しています。1940年代も終わりに近づいてくるとホンカーの活躍が目立ち、ポール・ウィリアムスやビッグ・ジェイ・マクニーリーのチャートをにぎあわせたインストがしっかり入っています。また1950年頃になると、ジョニー・オーティス楽団の活躍が目立ちます。リトル・エスター、ロビンズなどがヒットを出しています。また各地の音楽もSAVOYは取り上げていて、アール・キングのデビュー・セッション等も収録されています。さらにナッピー・ブラウン、ビッグ・メイベルなどがヒットを飛ばし始め、R&B時代に本格突入する様子がしっかり捉えられています。



SUN Records Harmonica Classics ; SUN/ROUNDER CD-SS-29(2000. 5.18)

1952〜54年録音。SUN のブルースは昔 P-VINE からもいろいろ出ていて、ハーモニカに焦点を絞ったものもありました。だから曲は聴いたものも多いんですが、こうやってまとまって聴けるのは嬉しいです。何といっても1曲目の「イージー」ですね。ウォルター・ホートンの最高傑作だと思います。この他景気のいいドクター・ロス、フーピンしているホット・ショット・ラヴ、ハウリン・ウルフに影響を与えたろうジョー・ヒル・ルイス(ホルダーでこれだけ吹けるのは凄い!それにスイッチングの速いこと!)など、名演揃いです。もう少し曲数があるといいんですが、贅沢かな?


Super Black Blues Vol.2 ; BMG 09026638742 (2002. 9.27)

1970年カーネギー・ホールでのライヴです。ブラック・ブルースとありますが、ウィントン・ケリーのピアノなど、バンドはジャズ畑といってもいいでしょう。メインアクトはビッグ・ジョー・ターナー、クリーンヘッド・ヴィンソン、レオン・トーマス、Tボーン・ウォーカーの4人です。このうちジョー・ターナーはリラックスした雰囲気でアップの曲を、ヴィンソンはスローナンバーを中心に歌っていますが、ヴィンソンの声がしっかりひっくり返ってるのが嬉しかったです。この中で一番インパクトがあったのがレオン・トーマスです。この人良く知らないんですが、大迫力のヴォーカルでした。Tボーンは「ストーミー・マンディ」などをやっていますが、かなりラフな感じ。まあ悪くはないんですが、洒落たところが好きな僕としては、もうちょい上品でも良かったかな。



Super Funk ; BGP CDBGPD 131 (2005. 5. 9)

1960年代終盤〜70年代中頃にかけての、ファンクがどんどん隆盛していく時期の、シングル盤を集めたコンピの第1弾です。冒頭のアン・アルフォードから漆黒のファンクビートに乗ったサウンドが炸裂。アメリカ各地の同時多発的ファンク・エクスプロージョンを1枚に凝縮してあるからその濃さたるやもう半端じゃありません。JBやスライの影はもちろん感じますけど、ワウワウやファズギター、クラヴィネットを多用したサウンドが、ある意味スティーヴィー・ワンダーなどとのフィードバックを繰り返していたのかななんて想像しちゃいます。でも全体の雰囲気はあくまで下世話。ちょうどJINROの宣伝みたいな感じですね。このファンクの泥沼は本当に底なしのようです。はまりそうで怖い。



Super Funk 2 ; BGP CDBGPD 137(2005. 5.11)

これも60年代後半〜70年代前半を中心としたファンク集。第2弾となってもこれでもかと繰り出されるファンクの嵐は本当に強烈です。面白いのはピー・ウィー・クレイトンがめちゃめちゃクールな雰囲気のファンク・インストをやってるんです。さすがにジョニー・ギターほどチープじゃないですが、ビートにギターを押し込んだ演奏はいつものピートの手癖的な弾きまくりとは違っていて、路線を探ってるのかななんて思っちゃいました。またルイジアナの・リル・バック・シネガルやシカゴのシル・ジョンソンが演奏だけでなくプロデュースでファンクにトライしているのは、後の彼らの音にその片鱗をうかがうことが出来るだけに興味深かったです。一方ジョニー・オーティスは「ジョウズ」フルバンドでのファンクに挑戦。またシュギーのギターカッティングが利いている「カミン・アット・ヤ・ベイビー」はどこかハービー・ハンコックに通じるサウンドだったりと、実はヒップなミュージシャンたちのトレンドがどの辺にあったかを俯瞰できるアルバムだと思いました。タイトなビートに乗った硬質なジョー・ヒューストンもいけてます。



Super Funk 3 ; BGP CDBGPD 148 (2005. 5.23)

1965〜72年録音。しかしこのシリーズ、後から後からどんどんレアなファンクを掘り出してきます。この盤のテーマはどうやら「ファンキー・ブロードウェイ」にありそうで、ザ・ショウメン・INCの「ザ・トランプ」とか、フルソンの同曲が収録されています。まためちゃくちゃ御機嫌なリル・バックのインスト「キャット・スクリーム」、とても未発表とは思えないオルガンの効いたワリー・コックス&ネイト・ブランチの「ザ・ズ」など続々出てくるんでまいります。プレストン・ラヴの腰に来る2発も凄いです。そんな中TKOズのクールな「ファット・マン」はとても1965年の作品とは思えない新しさ。逆にモーリス・サイモンの「スウィート・ポテト・グラヴィ」はプレ・ファンクのミディアムエイトで、こういうの大好きなんです。このシリーズ病みつきです。



Superharps ; TELARC CD-83472 (2010. 2.25)

1999年リリース。ジェイムズ・コットン、ビリー・ブランチ、チャーリー・マッセルホワイト、シュガー・レイ・ノリカの4人のハーモニカ吹きが、様々な組み合わせで、時にはお互いをサポートしたり掛け合いをしたりしながらブルースをやるって趣向のアルバムです。一番張り切っているのはシュガー・レイでしょうか。歌もけっこういいし。ハーモニカの音の深さはダントツでジェイムズ・コットンですけど、歌ってませんね。このころに喉をやっちゃったんでしょうか。センスがいいのがビリー・ブランチの「ルート66」で、これって再録してたような気が。




Surefire Hits On Central Avenue ; ACE CDCHD 884 (2003. 7. 5)

1946年から56年にリリースされた、ロサンゼルス中心のR&Bヒット曲集で、さすがビリーヴェラといった編集です。どたまにSPECIALTY録音の「ザ・ハニードリッパー」を持ってきて掴むと、あとはMODERN系の音源を中心にDOOTONE、HOLLYWOOD等から出た御機嫌な曲がてんこ盛り。その中にリトル・エスターの「ダブル・クロッシング・ブルース」とビッグ・ジェイ・マクニーリの」ザ・ディーコンズ・ホップ」というSAVOY音源の重要曲があえて入れてあるのが嬉しい選曲です。ブリブリのホンク・テナーあり、しっとりとしたブルースあり、ジョニー・ギター・ワトソンやピー・ウィー・クレイトンのギター爆発編あり、ポップなコーラスもありとヴァラエティに富んでいてまったく飽きません。ファンに嬉しいのはリトル・エスターの「ザ・ウォールフラワー」の未発表別テイクかな。だからこういうコンピは止められません。



Sweet Emotion - Songs Of Aerosmith ; HEAVY HIP MAMA /VICTOR VICP-61119 (2001. 8.13)

2001年リリース。このシリーズ(HOUSE OF BLUES は離れたのかしら)もネタ切れになるのかなと思っていましたが、ことし新作がけっこう売れているらしいエアロスミスをネタにしてきました。冒頭のオーティス・クレイによる「クライン」は、彼が歌えば外れがないって感じのバラードですが、さほどぴんと来ません。そのかわりキャシー・リチャードソンの「ラスト・チャイルド」やルー・グラムの「バック・イン・ザ・サドル」あたりはヒステリックなすティーヴンのヴォーカルを女声で上手くカヴァしていて聴きやすかったです。パイントップ・パーキンスとラスティ・ジンの「ウォーク・ディス・ウェイ」はちょっと微笑ましくて面白い出来です。もちろん原曲のスリルは全くありませんが。ラストのハニーボーイ・エドワーズによる「トレイン・ケプト・ア・ローリン」、俺がルーツだって感じで一番の気合いを感じました。何度も聴き返す作品じゃないですが、けっこう楽しみました。



Sweet Home Chicago - A Histry Of Chicago Blues ; INDIGO IGOTCD 2534 (2003. 8. 8)

3枚組で1925年からおそらく80年代までの録音でしょう。最近はこうした廉価ボックスが流行りですが、このセットはシカゴブルースに焦点を当てたもので、トミー・マクレナンの「ベイビー・ドント・ユー・ウォント・トゥ・ゴー」で始めてジョー・カーターの「スウィート・ホーム・シカゴ」で締めるなんてなかなかにくい編集です。1枚目はパパ・チャーリー・ジャクソンやべッシー・スミスのシカゴご当地ソングから、ロバート・ナイトホウクやサニーボーイI世などシカゴをベースにした人の録音が収録。2枚目はかなり代表的なシカゴブルースが集められていますが、ちょいとひねりも効いています。マン・ヤングって誰だろう?3枚目はおそらくヨーロッパなどでのシカゴ・ブルース・フェスなどの音源からの寄せ集めで、かつてもいろいろなコンピに収録されていた曲も多いようですが、スタジオ・ライヴっぽいフェントンの「ローン・ミー・ア・ダイム」は初めて聴きました。ブックレットはついているんですが、詳細な録音データなどがないのが残念。



Swing Time Christmas ; NIGHT TRAIN NTI CD 7005 (2000.12.25)

やはりクリスマスにはクリスマス・アルバムをって事で、1947〜54年、ウエストコースト・サウンドを集めたこのアルバムを。チャールズ・ブラウンの「メリー・クリスマス・ベイビー」、ローウェル・フルソンの「ロンサム・クリスマス」とブルース系のクリスマス曲の代表曲を収録したこのアルバム、家族とケーキ食べながら聴くのではなく、夜も更けた頃、ブランデーかなんかちびちびやりながら聴くムードです。この他ジミー・ウィザースプーン、ビッグ・ジョー・ターナー、セシル・ギャントと、実力派のシンガーが歌うしっとりと切ないクリスマス・ブルースってのもいいもんです。



Take Me To The River - A Southern Soul Story 1961-1977 ; KENT KENTBOX 10 (2009.11.18)

サザンソウル入門にはもってこいのコンピレーション3枚組です。ウィリアム・ベルの「ユー・ドント・ミス・ユア・ウォーター」から始まる68組75曲、メンフィスのSTAXやHI、マッスル・ショールズのFAMEスタジオ録音を中心にし、ディープなサザンソウルの魅力がこれでもかと詰まっています。フルカラーの72ページに及ぶブックレットも充実していて、さすがイギリスKENTの仕事だなって感じです。惜しむらくはナッシュヴィル録音が少ないことくらいかな。楽曲をリストアップすることはしませんが、こうしたコンピはDJをやるときにすごく参考になります。ボビー・ウーマックにまで目配せが行ってますから。ちなみにタイトル曲はアル・グリーンのものが収録されています。




Talk To Me Daddy ; FLYRIGHT FLY CD 37 (2009. 5.25)

多分1950年代前半の録音だと思います。カーミル・ハワード、リル・アームストロングといった女性R&Bシンガーを集めたコンピで、中にはサラ・ボーンなんてちょっと肌合いの違う人も入ってたりしてけっこう面白いです。エラ・ジョンソンの落ち着いた色気とか、リル・アームストロングの洗練された感じとか、個性が際立っていますが、その中ではディジー・メイの「ロンサム・プレイガール」のブルージーさがたまりません。またフェイ・シモンズのオルガンをバックにしたお洒落な「ユー・ヒット・ミー・ベイビー・ライク・アン・アトミック・ボム」も良いなぁ。楽しめるコンピでした。




Texas Blues Volume 1 - Houston Hotshots ; ACROBAT ACMCD 4003 (2003.10.21)

1949〜51年PEACOCKに残された録音集です。いきなりゲイトマウスの強烈な「ディドント・リーチ・マイ・ゴール」「マイ・タイム・イズ・エクスペンシヴ」で始まる強力なコンピで、ちょっとジョー・プラムの香りを感じるラヴァーダ・ダーストやシルヴァー・クックス、思いっ切りロイ・ブラウンしているR.B. シバドゥーなど初めて聴く音がてんこ盛りです。エドガー・ブランチャード、エルモア・ニクソン、そして声を聴けば一発で分かるメンフィス・スリムなども今までCD化されていないんじゃないでしょうか。とにかくダウンホームなサウンドからバリバリのジャンプまで、時代の勢いを思いっ切り感じる1枚です。ACROBAT、恐るべし!



Texas Blues Volume 2 - Rock Awhile ; ACROBAT ACMCD 4004 (2003.10.23)

1949〜52年録音のテキサスブルース第2集。本盤のメインは最近BLUE MOONからリイシューが続いていたゴリー・カーターのFREEDOM録音で、タイトル曲の他4曲収録。「カモン・レッツ・ブギ」はいつ聴いてもかっこいいです。BLUE MOONがちょっと大部と思われている方にお薦め。この他ロニー・ライオンズの強烈なピアノ、ダウンホームさをにじませるジェシー・トーマス、これまた思いっ切りロイ・ブラウンしているジョー・ヒューストン、チャールズ・ブラウンの影を感じるジョー・フリッツなど、FREEDOMを中心にPEACOCK、SITTIN' IN WITHの音源からかっこいいヒューストンジャンプやブルースがてんこ盛りです。シカゴ系のどんよりしたブルースもいいけれど、こうした乾いて猥雑なのもたまにはいかがでしょう。



Texas Blues Volume 3 - Gonna Play The Honky Tonks ; ACROBAT ACMCD 4005 (2003.10.24)

1949〜52年録音。第3集ともなるとさすがに強烈な目玉はないようですが、いえいえどうして、相当な充実盤です。冒頭のカール・キャンベルは女性的にねちっと歌いますが、そのバックを支えるゴリー・カーターのギターが素晴らしい。続くロバート・スミスはエイモス・ミルバーンをどっしりさせたようなブギを聴かせます。ウィリー・ジョンソンは達者なブギウギを弾くピアニストですが、その名義盤の他、ペパーミント・ハリスのバックでもその腕前を披露。ゴージャスなファットマン・スミスのジャンプナンバーもタイニー・ブラッドショウみたいでイカしてますし、豪快なジェイ・マクシャンをバックに歌うウォルター・ブラウンまで収録。ミルト・バックナーのオルガンをバックに歌うソニー・パーカーの「ウォリード・ライフ・ブルース」にも痺れましたし、ラストにジミー・マクラックリンのPEACOCK録音を持ってくるあたり、くすぐりますねぇ。全編飽きません。



Texas Country Blues 1948-1951 ; FLYRIGHT FLYCD 841 (2006.12.13)

ジェイムズ・ティスドムが5曲、ラトルスネイク・クーパーが3曲の他は、TALENT、BLUE BONETT、FREEDOMなどのローカルレーベルに残されたブルース集で、フランキー・リー・シムズの他はほとんど知らない人たちでした。ラトルスネイク・クーパーやリロイ・ジョンソンなど、流石にブラインド・レモンからの影響が色濃く、全体にギタースタイルは単音を生かしたサウンドが多く、デルタブルースとはかなり感じが異なります。サニー・ボーイ・ディヴィスはピアニストで、ラトルスネイクのギターを従え、シティ・ブルース的なプレイが印象に残ります。でも個性で言えば圧倒的にフランキー・リーですね。SPECIALTYに入れる前のサウンドですが、その声だけで彼と分かっちゃいます。ともかくテキサスらしい、泥臭さよりずっとカラッとした、どこか都会的な香りの漂う、でもちっとも洗練されていないブルースのてんこ盛り、好きなサウンドなので満喫しました。



Texas Funk ; JAZZMAN JMANCD 006 (2003. 1.31)

1968年〜1975年にリリースされた、テキサスのローカルファンク集です。たまたまソウルのコンピレーションコーナーを眺めていたら、「買って買って」という顔でCDがこっちを見ていたので買ってしまいましたが、誘われただけあります。面白い!時代もあり、それこそ全く名前を知らない人達の21曲なんですが、JBの曲を取り上げた人が多いのは当然として、タワー・オヴ・パワー風、スライ&ファミリー・ストーン風など、当時の流行を後追いしてどんどん「ナウい」アプローチをしようという姿勢と、ローカルのマイナーバンドならではの、スタジオで金かけられず、いかにも「せーの」で録ったラフさが、ドローリとしたファンク臭さをプンプン臭わせてくれます。ミーターズの「シシー・ストラット」なども出てきますが、ドラムはバタバタで、セカンドラインて何でしょって感じのリズムですが、ついつい聴いちゃうんですよね。でもレオ・ノセンテリがこの時代のこの手のギタリストに与えた影響の大きさも感じました。あとハービー・マンが火を点けたフルートも所々顔を出します。ものすごく丁寧なブックレット付きで、それを見るとこのシーンのファンクは、ブラックとラティーノの両方に担われていたのが分かります。とにかくこの生命感はすごいです。



Texas Harmonica Rumble ; DIALTONE/P-VINE PCD-25027 (2005. 5. 8)

2005年リリース。DIALTONEがテキサス周辺のハーピストを集めたコンピを作ったわけですが、これがいぶし銀のような仕上がりになっています。収録アーティストの中で知名度の高い3人のうち、ボビー・ラッシュはそのイメージからするとぐっと抑えた渋い演奏で、ウィリー・メイボンがオリジナルの「ポイズン・アイヴィー」ではクロマチックも披露、落ち着いた歌も素敵です。レイジー・レスターは生ハープで気だるい雰囲気を振りまいています。「ザッツ・オール・ライト」はジュニア・パーカーのヴァージョンを思い出しました。サミー・マイヤーズは御機嫌なテキサスシャッフルを刻むバックに支えられ、気持ちよさそうにプレイしています。しかしこのアルバムの凄さは、これらの他の無名な人達です。オレンジ・ジェファーソンのロウダウンな深みのあるブルース、対照的に軽快なタッチのメル・ディヴィス、ジョー・ジョナスはサニーボーイU世を彷彿させるハーププレイで、「テイク・オフ・ユア・シューズ」ではリトル・ジョー・ワシントンがヴォーカルを取っています。とにかくこれだけの個性がごろごろしているテキサス、次はどんなのが出てくるのか今からワクワクものです。



Texas Piano Vol. 1 (1923-1935) ; DOCUMENT DOCD-5224 (2000. 6. 8)

トーマス一族と女流ピアニスト"モーニン"エドワーズの録音集。1曲目のG.W.トーマス1923年録音の「ザ・ロックス」という曲がまず印象的でした。何か突っかかるような独特のリズム、右手はメロディアスです。ハーサル・トーマスのもっぱらミディアムなリズムのピアノに乗って、ホシェル・トーマスは朗々と唄います。クラシック・ブルースのようで都会的なものを感じました。やはり右手がメロディアス。"モーニン"エドワーズは弾き語りのためか、ややおとなしいピアノですが、歌もしっかりしており、聴きものです。秋の夜長にじっくり聴きたいと思いました。


Texas Piano Vol. 2 (1927-1938) ; DOCUMENT DOCD-5225 (2000. 6. 9)

ピアノ集と銘打たれていますが、遙かにヴァラエティに富んでいます。ビリケン(あの通天閣のビリケンとはどういう関係だろうか)・ジョンソンは汽車の汽笛やカズーの真似などを交えたノヴェルティな雰囲気。一方キティ・グレイは見事なヴォーカルを聴かせます。曲調はジャイヴやジャズの小唄といった感じで、ラグタイムっぽい演奏も交え、都会的なムードです。地味だけど面白いアルバムだと思いました。


Texas Soul Sisters ; DIALTONE/P-VINE PCD-25003 (2003. 9.26)

2003年リリース。ラヴェル・ホワイト、グレンダ・ハージス、グロリア・エドワーズ、ミス・キャンディの4人それぞれの作品で構成された、現在進行形のテキサス・ソウル・ディーヴァのオムニバスです。ラヴェルはベテランのようで、グルーヴィーだけど落ち着きを感じる歌は、ちょっとMALACOサウンドに通じるものも感じました。グレンダはややシャウトが耳につきますが、マシュー・ロビンソンとの「アイ・ガット・トゥ・ノウ」あたりのブルージーなフィーリングはなかなかのものです。ミス・キャンディもブルース系の曲を多く歌ってますが、ちょっと味わいに欠けるかな。最もインパクトがあったのがグロリアで、「アイ・ゴット・ユア・フーチー・ママ」のファンキーでキャッチーな歌は、一発で覚えてしまう個性がありますし、おそらくヒューストンのことであろう「Hタウン」、軽快なファンクネスを感じる「DNA」など佳曲揃い。この人の単独盤を聴いてみたくなりました。あと特筆すべきはバックで、昨年マシューを生で見たときのグルーヴ感が蘇る安定した演奏は、DIALTONEというレーベルの勢いの源だと思います。



That No Good Poo Pee Doo ; STILL SLCD 1172 (2009. 8.19)

これまた1950年代後半から60年代前半の録音と思われます。だいたいアルバムタイトルから意味不明ですが、突っかかるようなイントロから始まるエディ・クレイの「ロレイン・ロレイン」なんてB級だけどギターがめちゃ格好いいナンバーが入ってるから侮れません。ハワード・リーはちょっとニューオーリンズの香りがしますがどこの人でしょう?ザ・ココアズのヴォーカルは一瞬ワイノニー・ハリスかと思うくらいの迫力。こんな中に突然ジョン・リトルジョンの「29ウェイズ」が出てくるとなんだか嬉しいなぁ。コーラスありツイストありで楽しめるアルバムです。




Things About Comin' My Way - A Tribute To The Music Of The Mississippi Sheiks ; BLACK HEN MUSIC BHMCD 55 (2010. 3. 15)

2009年リリース。ミシシッピ・シークスのトリビュートが出るとはちょっと思ってませんでしたが、冒頭は予想通りノース・ミシシッピ・オールスターズ。アコースティックでもあのざらついたガレージ感を出してくるのは彼らならでは。その他はカナダのフォーク系のシンガーなどに混じり、ジョン・ハモンドやジェフ・マルダーなどの大ベテランも参加してます。「シッティン・オン・トップ・オヴ・ザ・ワールド」を歌うのは現在進行形のストリングバンドのザ・キャロライナ・チョコレート・ドロップスで、低音気味の女性ヴォーカルがけっこう味わいがあります。ケリー・ジョー・フェルプスはおそらくビスケット・コーンのメタル・ボディ・リゾネータをつま弾いていますが、なかなか味わいがありますね。ジェフ・マルダーは元々ジャグバンドやってましたからお手のもの。いい味出してます。そしてボブ・ブロズマンがいつものように素晴らしいスライドを聴かせています。いろいろ聴き所の多い1枚でした。




This Is Louisiana ; ACE CDCHK 798 (2001. 9.10)

1958〜年に録音されたルイジアナ音楽の名曲を集めた好コンピです。全編ユルユルのスワンプ・ポップ集で、1曲目のジョニー・アレンによる「プロミスト・ランド」からビビンと来ました。ヒューイ・スミスの「ドント・ユー・ジャスト・ノウ・イット」、クッキー&ザ・カップケイクスの「マチルダ」、フランキー・フォードの「シー・クルーズ」といったニューオーリンズ〜ルイジアナ・クラシックスというべき名曲からロッキン・シドニー「マイ・トゥート・トゥート」のような新し目のザディコ、さらにはケイジャンまで、全体像に目配りの行き届いた、心憎い編集です。ジャケットの真っ赤なザリガニといい、入門者からファンまで楽しめる一枚だと思います。



This Is The Blues Harmonica Vol. 2 ; DELMARK DE-780 (2004.12.13)

1950〜2004年録音。DELMARKのハーモニカブルース第2集は、未発表てんこ盛りです。ジュニア・ウェルズの「トゥモロー・ナイト」の別テイクから始まり、マジック・サムの「ザット・エイント・イット」の未発表テイクやら嬉しいのもありました。中でもウォルト・ペイスという人のフーピンした吹き語りの「フォックス・チェイス/ロスト・ジョン」はプリミティヴなスタイルがなかなかいい感じの狐追い〜トレイン・ピースです。既発曲も渋めの選曲で、リロイ・フォスター名義の「ローリン&タンブリン」やウォルター・ホートンの「バック・ホーム・トゥ・ママ」など名演揃い。で、空耳を一発。アルフレッド・ハリスの「ミス・アイダ」、僕にはどうも「ミサイルだ」と物騒に聞こえるんですが。



Toast Of The Coast ; 1950's R&B From Dolphin's Of Hollywood Volume 2 ; ACE CDCHD 1215 (2009. 6. 7)

1950年代中頃に、ハリウッドのCASH、MONEYといったなんとも「現金」な名前のレーベルに残された録音集の第2弾です。まず意外だったのがメンフィス・スリムの録音があったこと。ツアーの途中で入れたんでしょうか。この「トリート・ミー・ライク・アイ・トリート・ユー」、ちょっと歌い回しの違うヴァージョンで、直前にペパーミント・ハリスがやったものも収録されています。どうやらスリムが曲を拝借した模様。リンダ・ヘイズの「イエス・アイ・ノウ」は別テイクを収録。またピー・ウィー・クレイトンはいつもながらのご機嫌なギター・インスト「ブギー・ボップ」なんてのをやってます。ピアノが何ともホンキートンクで味があると言うか。あとはヴァーノン・アンダースという人の曲が3曲入っていますが、ちょっとポップで軽めの感じ。丁寧なライナーがあるんで腰据えてじっくり読まなきゃだめですね。




Transparent Rock Shake Rhythm ; STILL SLCD 1173 (2009. 8.20)

多分1950年代後半から60年代前半の録音でしょう。いやはやまだまだ続くんですね。いきなりのドクター・ビル・ジョゼフ&L.ラーク、ギターの格好いい「アイ・ドント・ライク・イット」にやられました。ジーン&ワンデルの「パーティ・タイム」はまるでチャック・ベリーの「ヘイル・ヘイル・ロックンロール」ですし。ザ・スリー・タフズの「ア・マンズ・ア・フール」や「ホワット・ア・フール」では歌の後に響き渡る奇声が何とも言えません。リー・ブラウンの「ボビー・タウン・ブギー」はメンフィス・スリムの「ハーレム・バウンド」あたりからヒントを得たんでしょうか。スウィート・ルート&ザ・ロッキン・ウェイラーズは実にルイジアナっぽいいなたいブルースですが本当はどこなんでしょうね。




The Travelling Record Man - Histric Down South Recording Trips Of Joe Bihari & Ike Turner MODERN/ACE CDCHD 813 (2001.11. 3)

1940年代末〜50年代初頭に、深南部で録音されたもののコンピです。以前LP化され、P-VINEからCDとなって再発されていた、子供の写真がジャケットにあしらわれた作品と共通する雰囲気を持っていますが、こちらの方が全体にドライヴ感の強い曲が多く思われました。さらに「初物」も7曲収録され、RPM=MODERNの奥深さを改めて感じました。全体に洗練されたとは言い難い野趣な演奏が多いんですが、ぐいぐい身体ごと持っていかれるようなノリが素晴らしく、所々に挟み込まれたウルフやエルモアの曲(いずれも既発の別テイク)がともすると暴れ馬のようなアルバムの手綱を引き締めています。



Treme - Music From The HBO Original Series, Season 1 ; GEFFEN B0014910-02 (2010.12.13)

2010年リリース。トレメ地区はニューオーリンズのディープなエリアで、多数のミュージシャンを輩出した地域。一方でカトリーナの被害を強く受けたと聞いています。そんなトレメに縁のあるミュージシャンたちの多分ライヴ・イヴェントの模様です。ジョン・ブッテがそのものズバリの「トレメ・ソング」を歌い、リバース・ブラスバンドやトレメ・ブラスバンドがワイルドにかまします。カーミット・ラフィンが歌い、トロンボーン・ショーティとジェイムズ・アンドリュースが「ウー・プー・パー・ドゥー」で場を盛り上げます。ドクター・ジョン、ポール・サンチェスからルイス・プリマ、アーマ・トーマスまで、この街を愛するものが集って歌います。ハイライトはマルディ・グラ・インディアンによる「インディアン・レッド」ですね。この街の音楽を生み出すパワーは不滅だと思いました。




Trouble In The Morning - Chicago Blues Of The Fifties ; KC CD 03 (2000. 9.12)

1992年にリリースされたチェコスロヴァキア(まだ分裂してなかったのね)製の、1951年〜59年に録音された、COBRA、J.O.B.などシカゴブルース黄金時代のコンピ。FLYRIGHTやP-VINE、PAULAなどからすでにリイシューされたものも多いですが、ジョン&グレース・ブリムがたっぷり入っているのがうれしいです。特にグレースは初めて聴くような気がしますが、最初スリーヴも見ずに聴いたとき、「J. B. ルノアか?」と思いました。この時代のシカゴブルースはとにかくおもしろいです。ギター・ショーティの「アーマ・リー」もCDを持っていなかったのでうれしい選曲でした。



Tuff Enuff - The Ace Blues Masters Vol.3 ; ACE/WESTSIDE WESM 570 (2001. 1.23)

1953年から60年にかけて、ジャクソンのACEおよびそのサブ・レーベルに録音したもののコンピ。かつてVIVIDが「King Sings The Blues」のシリーズでLP化(今回のスリーヴはその時のデザインを思い出させる)し、P-VINEから「Sonnyboy & Pals」でCD化されたものと相当重複(バディ・ガイ、サミー・マイヤーズ、ジェリー・マッケインなど)しますが、未発表曲があるとつい手を出してしまいます。ロイ・ブラウン・マナーのケンズィ・ムーアや、ジョー・ダイソンのようなジャンプ系の曲もありますが、やはり魅力的なのはよりダウンホームな曲で、サム・マイヤーズの「スリーピン・イン・ザ・グラウンド」は何度聴いてもぐっと来ます。そしてタイトルにちなんだのか、ラスト2曲がジェリー・マッケイン。最高の余韻を残して終わるコンピです。まさに「タフ・イナフ」!



Twenty First St. Stomp - The Piano Blues Of St. Louis ; YAZOO 2061 (2002. 6. 9)

1930年前後のセントルイスにかかわりの深い人達のピアノブルース集。有名なピーティ・ウィートストロウやルーズヴェルト・サイクス、ウォルター・ディヴィスも入っているけれど、スパーク・ブラザーズ、メアリ・ジョンソン、スタンプ・ジョンソン、ヘンリー・ブラウンといった、いぶし銀のようなピアノブルースが満載です。ミディアムの曲調が中心ですが、全体に陰鬱な重さよりも、ラグタイムの影響を感じる適度な軽さが都会的な印象を与えます。リロイ・カー&スクラッパ・ブラックウェルのコンビの好きな人には、とても楽しめるアルバムだと思います。でもディスコグラフィを解明するのにライナーを見なきゃいけないのは、英語に弱い僕にはちと辛いですね。



The Ultimate Rude Blues Collection ; GREAT VOICES OF THE CENTURY GVC 2012 (2009.10. 6)

主に戦前から1950年代にかけてのボーディ・ブルースを49曲も集めた2枚組です。ブルースの場合隠喩によってセックスを表現する曲は多いのですが、でも代表曲はほぼ網羅されているくらいの徹底ぶり。例えば性器についても有名な「お前の果物篭の中のバナナ」に始まり、レモン、鉛筆、がらがら蛇、フライパン、蜜の穴とまあ多彩な表現です。コーヒーをかき混ぜたり果てはラードまで登場する始末で、その想像力には頭が下がります。敬けんなクリスチャンたちが「悪魔の音楽」と忌み嫌うのも分かる気がします。しかもこれらをどちらかというと明るくダンサブルに表現してしまうわけですから、したたかというか。これもブルースのひとつの特徴。ここまで来るとダブル・ミーニングとはいえないくらいの作品集なので、ちょっとクラクラしちゃいますけどね。




BACK ・ NEXT ・ HOME ・ 音楽の部屋