CD INDEX(E)
 

アーティストの名前順に並んでいます。「TODAY'S CD」で紹介したものは紹介文が付いています(日付)。紹介文のないものは「おすすめCD」か「お気に入りのミュージシャン」の中で紹介されているもので、「Click Here!」をクリックすると該当のページにジャンプします。

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E. C. Scott ; Hard Act To Follow ; BLIND PIG BPCD 5044 (2006.11.10)

1998年リリース。ワゴンセールのお買い得品でした。如何にも西海岸らしいサウンドに乗って、セクシーな歌を存分に歌っています。ドスが効いているけど決してがなりすぎない声で、「クイーンサイズ・ベッド」なんて歌で誘われちゃうと、僕はちょっと引いちゃいますけど、ゾクゾクッとした魅力がありますね。ラストがユーリズミックスの「ミショナリー・マン」ですが、他はすべてオリジナル、ソウルフルでタイトなミディアムに特に魅力を感じました。



E.C. Scott ; The Other Side Of Me ; BLACK BUD BBR1407 (2006.11.17)

2003年リリース。これも前のと一緒にバーゲンで買いました。このアルバムはあんまりセクシー路線を押し出しておらず、何か落ち着いてていいなぁ。タイトル曲の歌詞をちゃんと聴けばいいんですが、ひょっとしたらそう言う意味なのかと勝手に思っちゃいました。多分ゴスペルを背景にしたしっかりしたヴォーカルは安心して聴くことができます。2曲リトル・ミルトンが歌とギターで参加していますが、なかなかいい感じ。オリジナルの中に「ピープル・ゲット・レディ」が収められてますが、ライヴでやって大受けするんじゃないかな。落ち着いた歌が好印象でした。



Earl Gaines ; 24 Hours A Day ; BLACK MAGIC 9037 (2009. 6.30)

1958〜66年録音。ナッシュヴィルのR&Bを精力的に発掘しているフレッド・ジェイムズの仕事のひとつで、ミュージック・シティを代表するブルースシンガーのヴィンテージ録音集です。「ベスト・オヴ・ラック・ベイビー」など初期の作品ではジョニー・ジョーンズのガツンと来るギターが素晴らしいですし、彼の最大のヒット「ザ・ベスト・オヴ・ラック・トゥ・ユー」では、伸びやかな中にボビー・ブランドの影響を感じさせるタフなヴォーカルも魅力的。この時代自己名義の録音に恵まれずけっこう不遇だったゲインズが残していた素晴らしい作品を、こうしてまとめて聴くことが出来るのが嬉しいです。




Earl Gaines ; Lovin' Blues - The STARDAY-KING Years 1967-1973 ; WESTSIDE WESA 802 (2005. 9.15)

ナッシュヴィルでの活動で知られるアールがHOLLYWOOD/DELUXEに残した曲を集めたアルバムです。時期的にソウルがファンク色を増す時代なんですが、アール自体はそれほど強烈に変わっているわけじゃないです。それでも「イッツ・ラヴ・ベイビー」などではかなりファンクネスを感じさせる仕上がりになっています。曲によってはブーツィとキャットフィッシュのコリンズ兄弟がバックを担当しているものもあるとか。「グッド・グッド・ラヴィン」あたりはそうかな?ちょっと分かりませんでしたが。アールの歌は「うがい」のないボビー・ブランドのようで、少し軽めですが男っぽいヴォーカルはなかなか魅力的です。ソウルフルな「エヴリデイ・アイ・ハヴ・ザ・ブルース」、余裕を感じさせる「テル・ミー・トゥナイト」などなかなかの聴きもの。70年代に入ると音がぐっとモダンになるあたりも聴き所かな。



Earl Gaines ; Everything's Gonna Be Alright ; BLACK TOP CD BT-1150 (2003. 6. 8)

1998年リリース。アールは1950年代半ばからナッシュヴィルをベースに活動するヴォーカリストで、90年代になって本作のプロデューサでもあるフレッド・ジェイムズによって再びシーンに登場したようです。ちょっとアルバート・キングに通じる、ややスモーキーでふっくらとした歌に、フレッドのギターがうまく絡んで、いい感じ。ゆったりとしたサザンフレイヴァー溢れるソウルナンバーも、比較的さらりと歌ってしまうところにこの人の持ち味を感じました。毒気を抜いたボビー・ブランドといった感じかな?BLACK TOPのアルバムは廃盤ですから見かけたら何でも買ってしまうんですが、かなり楽しめました。



Earl Gaines ; Crankshaft Blues ; SPV 95782 CD (2007. 9.15)

2007年リリースで、どうやら新譜のようです。これまた仕掛人はフレッド・ジェイムズで、多くのミュージシャンを起用しながらも、すべての楽器をこなすマルチぶりを発揮しています。さてゲインズはBLACK TOPから素晴らしいアルバムを出していますが、ここでもボビー・ブランドに通じるどっしりした歌声を聴かせます。タイトル曲などアルバート・キングをよりメロディアスにしたような歌で、仲々濃厚なブルースに仕上がっています。また「サムディ・シングス・アーゴナ・チェンジ」ではナッシュヴィル仲間のロスコー・シェルトンとのデュオになってます。ただ、ちょっと歌がふらついている曲があるのは、やっぱり全盛期を過ぎたってことなんでしょうね。



Earl Gilliam ; Texas Doghouse Blues ; DIALTONE/P-VINE PCD-5699 (2004. 7.22)

2004年リリース。いやいや、DIALTONEは次々おもしろい人を出してきます。ギリアムは1956年に4曲、62年に1曲ソロ作を残しているだけのキーボード奏者で、ジュニア・パーカーのバックを務めていた人ですが、テキサスのローカルシーンでしぶとく活動していたのを「発掘」、アルバムを作っちゃいました。これがめちゃくちゃ面白いんです。ピアノを弾きながらのブルースはかつてのボスであるジュニア・パーカーの影がくっきり浮かぶヴォーカルと、やや八方破れなピアノフレーズで、これはこれで味があって面白いんですが、オルガンインストはソウルジャズをどぉっとローカライズした雰囲気。「ツイスト2」なんてダニー・ハザウェイの「ザ・ゲットー」のリフを拝借しながらチープに迫りますし、「トムボール・シャッフル」かジュニア・ウォーカーの「クレオズ・ムード」のリズムでこれまた腰に来ちゃったりします。ニューオーリンズ風味のピアノとどこかフェスに通じるよれたヴォーカルの「アーリー・イン・ザ・モーニング」から、挙げ句の果てはヨーデル全開の「ブラッシュ・ゾーズ・ティアーズ・フロム・ユア・アイズ」まで、彼の家のガレージである「ドッグハウス」というおもちゃ箱をひっくり返したような猥雑さがたまりません。年齢が進んでいるため往年の歌のパワーは望めませんが、かえってそのひなびた感じが魅力になってます。ことしのベスト5は確定です。



Earl Hines ; 1939-1940 ; CLASSICS 567 (2003. 6. 3)

このCDを入手した目的は実はただひとつです。オリジナルの「ジェリー・ジェリー」を聴きたかったからです。ラストナンバーになっていましたが、やっぱり名演ですね。豪勢なバンドをバックにしたビリー・エクスタインの艶やかでスムーズな歌が染みました。でも頭から聴いていって、アールのピアノプレイにビビッと来ました。特にピアノソロでの左手の力強さが印象的。もしかするとオスカー・ピーターソンなども影響受けたんじゃないかなんて漠然と思いました。ジャズ・コーラスあり、ビリーの歌あり、ゴージャスなバンド演奏ありと、この時代八面六臂の活躍をしているのが伝わるアルバムです。



Earl Hines ; 1942-1945 ; CLASSICS 876 (2003. 3.27)

1942年のヒット、ビリー・エクスタインの歌う「ストーミー・マンデイ・ブルース」を聴いてみたくて買いました。ピアノのイントロが結構オリエントしてて、ビリーのヴェルヴェットヴォイスとクリフトン・べストのギターが活躍する、T-ボーンの曲とは全く異なる曲です。この他はジャズコーラスあり、アル・ケイシーのギターがさえるトリオあり、ベティ・ローシェのチャーミングなヴォーカルものありと、なかなか多彩で楽しめました。特に「アイ・ラヴ・マイ・ラヴィン・ラヴァー」なんて小粋でかっこいい演奏です。全体にアールの知的なピアノが演奏を引き締めているのがよく分かります。そんな中豪快なピアノの聴ける「ブギ・ウギ・セント・ルイス・ブルース」なんてのも魅力的です。



Earl Hooker ; Blue Guitar - The Chief/Age/U.S.A. Sessions 1960-1963 ; P-VINE PCD-24045 (2001. 2.17)

これも頂き物です。かつてP-VINEから出ていた「Blue Guitar」に8曲加えたもののようです。こちらも音質が改善されています。なによりギター・マエストロ、ブルース・ギタリスト中のギタリスト、アールの最も油の乗り切った時期の作品集で、必聴盤と言えます。鳥肌の立ちそうな「ブルース・イン・D・ナチュラル」のソロワーク、マディの「ユー・シュック・ミー」のカラオケにされたタイトル曲など、まるでしゃべっているかのようなスライドプレーです。この他ファンキーな「オフ・ザ・フック」のドライヴ感、ジュニア・ウェルズ名義の「ユニヴァーサル・ロック」のスピード感、音質、リズム、フレーズ、何をとってもすばらしいの一言です。これを聴かずしてブルースギターを語るなかれですね。



Earl Hooker ; Smooth Slidin' ; BLUE BOAR CDBB 1006/IHL 18 (2001. 7.10)

1961〜67年録音。前半のシカゴ録音はP-VINEから出ている「Blue Guitar」と重複しますが、珍しいのは後半(66〜7年)のソーク・シティ録音です。おそらくダンス用に録音(「フォックストロット」なんて曲あり)したインストナンバーが主なんでしょうが、サム&ディヴの「ホールド・オン、アイム・カミン」をフレッド・ルーレットばりの奔放なスライドで演奏したり、「サムシング・ユー・ガット」の改作「サムシング・ユー・エイト(Ate)」なんていかがわしい曲があったりと、超B級路線です。安直に作った感じで、決して褒められたものではないんですが、そこは名人フッカー、さすがB.B.キングを唸らせただけある華麗なプレイが随所に見られます。今回初めて聴いた曲がけっこうあり、かなり面白かったです。



Earl Hooker ; The Moon Is Rising ; ARHOOLIE CD 468 (2000. 3. 6)

1968〜9年、フッカーの最晩年(と言っても享年40才)の録音。1年ほど前に新譜で購入。このアルバムは、楽曲はともかくフッカーのギター・プレイが凄いです。一部ライヴもありますが、余裕たっぷりでこのテクニック!B.B.キングが尊敬していたのも頷けます。スティーブ・ミラーがオルガンとヴォーカルで参加している曲もあります。


Earl King ; Those Lonely, Lonely Nights ; P-VINE PCD-2478 Click Here!

Earl King ; Earl's Pearls ; ACE/WESTSIDE WESM 520 (2000. 5.16)

1955年から60年の ACE 録音集。この WESTSIDE ってイギリスのレーベルは凄いです。未発表4曲入りの上、「レット・ザ・グット・タイムズ・ロール」=「ダーリン・ハニー・エンジェル・チャイルド」の両ヴァージョン(別物とは知らなかった)を収録してあります。スヌークス・イーグリンの取り上げた「ベイビー、銃を取れ」が聴けただけでも嬉しいのに。P-VINEのアルバムもいいですが、こちらにはよりポップな感じのバラードも多く収録されている感じで、若い頃のジャケット写真とともにお薦めです。後はIMPERIAL盤が出ないかなぁ。


Earl King ; Trick Bag ; IMPERIAL/PATHE MARCONI 2C 068-83299 (2002. 1. 9)

ついにこのコーナーにLPが登場です。1960〜62録音。アール・キングはACE時代が素晴らしいんですが、ワーデル・ケゼルクのアレンジもあってか、よりファンキーになってきたIMPERIAL時代も捨てがたいです。実際このアルバムに収録された「トリック・バッグ」「カモン」「オールウェイズ・ファースト・タイム」をパークタワーでは披露していた訳ですから、アール自身そうしたサウンドがかなり好きなんでしょう。面白いのはギター・スリムの「ザ・シングス・ザット・アイ・ユースト・トゥ・ドゥ」で、ギターとか歌はさすが身代わりをやっていただけあって、ほとんどそっくりさんです。コード進行が若干違うのではっきり違いますが、歌やギターはアールの方がややとぼけているってぐらいの違いかな?とにかくこの中でCDになっているのは約半数、IMPERIALの録音ではLPですら手に入らないものも多いです。一刻も早いCD化を望みます。



Earl King ; Come On: The Complete IMPERIAL Recordings ; OKRA-TONE OKR-CD-4970 (2003. 6.13)

1960〜62年録音。これはもう首を長くして待っていたCD化です。PATE MARCONIの「Trick Bag」収録の12曲(「カモン」は2パートをひとつにしてあります)の他、CDではもちろん初イシューとなる6曲が嬉しいですね。「Trick Bag」は以前このコーナーで紹介しましたが、「トリック・バッグ」のファンクネスは本当に魅力的です。さて初CD化の6曲ですが、「マイ・マザーズ・ラヴ」「ケース・オヴ・ラヴ」はルイジアナ3連とでも言うべきバラード、味わい深い歌で、後者はややポップかな。「イッツ・ロング」も3連ですけどマイナーコードなどを使い、緩さの中にダークさを感じます。「ナーヴァス・ブレイクダウン」軽妙なアールらしい曲。「カム・アロング・ウィズ・ミー」はいかにもニューオーリンズなポップナンバーで、アールの歌の上手さがよく出ています。「サムシング・ファニー」は派手なブラスの入ったポップナンバーで、ケゼルクらしいアレンジかな。こうしてIMPERIAL時代を全部聴いてみると、その音楽性により広がりを感じます。



Earl King ; Street Parade ; FUEL 2000 302 061 298 2 (2003. 5. 7)

おそらく1970年代前半の録音を集めたもので、かつて同名のLPが出ていましたが、待望のCD化です。タイトル曲など数曲は様々なコンピで聴いたことがありますが、こうしてまとめて聴くことができるのは本当に嬉しいです。タイトル曲などはバックにミーターズがついており、アールのファンキーさと絶妙のコンビネーションを聴かせますし、ブラスセクションの活躍する曲はいかにもワーデル・ケゼルクの仕事だなって感じのものもあり、今までCDにならなかったのが嘘のようです。アールのユルユルだけどどこかしっかりした歌と、ペケペケギターもたっぷり楽しめます。



Earl Palmer ; Backbeat - The World's Greatest Rock 'N' Roll Drummer ; ACE CDCHD 719 (2003. 5.15)

1956〜1960年録音。ニューオーリンズが生んだ最高のドラマー、アール・パーマーの名演がてんこ盛りのコンピです。ファッツ・ドミノ、スマイリー・ルイスなどニューオーリンズのデイヴ・バーソロミュー楽団でのプレイはよく知っていたんですが、エッタ・ジェイムズの「ダンス・ウィズ・ミー・ヘンリー」、ボビー・デイの「ロッキン・ロビン」からリッチー・ヴァレンスの「ラ・バンバ」、エディ・コクランの「サムシン・エルス」まで彼の仕事とは知りませんでした。でも本当に面白かったのは、アールのバンド名義のインストで、「ジョニーズ・ハウズ・パーティ」は「ホンキー・トンク」に「アフター・アワーズ」「ナイト・トレイン」を突っ込んだ曲ですが、完全にメーターを振りきったアールのスネアが爆発的だし、「ドラム・ヴィレッジ」の手数の多い演奏の格好良さ!この他ビッグ・タイラーの「キング・コング」、ロイ・モントレルの「メロー・サキソフォーン」などめずらしくも面白い曲もあり、全く聴き飽きませんでした。



The East Side Band ; No Sleep ; PREVATT no number(2000.11.21)

2000年リリース。CD番号のない完全なインディーズ(というか自主制作的な盤)です。「The Texas Trumpets」のバックバンドが演奏する全編インストで、ローカルなユルユルの演奏です。だから妙な臨場感があって、大きめの音で聴きながら一杯やると、そこはもうテキサスの場末のクラブって感じです。「ソウル・セレナーデ」「ホンキー・トンク」などの超有名曲も、ゆったりとしたグルーヴで演奏され、とっても身近です。オーヴァープロデュースされた音楽に疲れたときに聴くと、なんだか原点に立ち返ったような気分にさせられます。肩の力を抜いて聴けました。



Easy Baby ; If It Ain't One Thing, It's Another WOLF 120.805 CD (2002. 1. 1)

2000年秋シカゴ録音。バックをジョニー・B・ムーア、アラン・バッツ、サム・レイ(「ベイビー・ユー・ファイン」のシャッフルは最高!)といったシカゴの中堅ミュージシャンで固めており、サブタイトルにあるように、真に「伝統的シカゴブルース」といったサウンドになっています。ひなびたヴォーカルと深い音のハープは、じわじわと味わいがしみ出てくる感じで、思わず2ラウンド目に。自己紹介的な「コール・ミー・イージー・ベイビー」あたりはかなり気も乗っていて素晴らしい歌です。アコースティック・セッションではよりダウンホームで、「レット・ミー・エクスプレイン」あたりはまるでリトル・ウォルターのような歌い方。音作りも丁寧で、新年早々どっとシカゴの雰囲気に浸りました。



Eddie Bo ; I Love To Rock 'N' Roll ; FAMOUS GROOVE FG-CD 971052 (2002.11.27)

1955年のリトル・ボー名義のデビュー作から1968年までの作品を集めたもので、これは凄いです。ACEに始まる初期録音が完璧に集められているんですが、もうニューオーリンズがプンプンに匂います。バックのメンバーなどデータは何も書かれていないんですが、「ブルース・レコーズ」で見るとリー・アレン、レッド・タイラー、アーニー・フィールズ、アール・キングなど、そうそうたるメンバーがバックを付けています。ボーの歌はハイトーンで、ちょっと切なさもあり、また裏声での「女声」はまさにオリーヴそのものですね。めちゃめちゃポップなバラードもあるんですが、どこか臭みがあり、それがたまらない魅力です。終盤に60年代の音が入ってきますが、どんどんファンキーになっていくのが分かり、これも面白いところです。



Eddie Bo ; In The Pocket With Eddie Bo ; VAMPI SOUL VAMPI 095 (2008. 3.24)

1955〜2007年にかけての彼のSEVEN BやBO SOUNDヘの録音を集めたものです。初期は得意の「ポパイ」ノリのゆるゆるな感じのファンキーサウンドですが、「サムシング・ユー・ガット」のアレンジは秀逸。シレルズの「エヴリバディ・ラヴズ・ア・ラヴァー」をのフレーズを巧みに入れてます。ミーターズはこれをベースにしたのかしら?そのミーターズが出てきたあたりから歩調を合わせるようにファンク色が高まっていきます。特にジェイムズ・ブラックの弾けたリズムに乗ったオルガンのねちっこさと、軽めでとぼけた味わいのヴォーカルのコンビネーションが絶妙で、ニューオーリンズの顔役らしいです。「チェック・ユア・バケット」が1970年と言いますから、そのサウンドの先取性を再認識しました。時代が下っても変わらぬ下世話なファンクぶりがたまりませんね。



Eddie Bo ; Check Mr. Popeye ; ROUNDER CD 2077 (2002.12.31)

1959年〜62年にRICに残した録音集です。タイトル曲を含むコンピを持っていたので、この盤も持っているとばかり思っていましたが、勘違い、最近購入しました。まあタイトル曲のユーモラスな感じ(オリーヴの声真似が最高)もいいんですが、3連のバラード系での透き通った声は、少し線が細いですが、ジョニー・アダムズなどに通じる美しさを感じ、これも大きな魅力です。リズミカルでコミカルな曲はヒューイ・スミスからアレン・トゥーサンへとつながる感覚がある一方、切ない唄い回しにはアール・キングとの共通点も感じ、この時代のニューオーリンズ・サウンドのひとつの典型的な姿を聴くことの出来る名盤だと思います。



Eddie Bo & The Soul Finders ; The Hook And Sling ; FUNKY DELICACIES DEL CD 0006 (2001. 1.16)

「チェック・ミスター・ポパイ」で有名なエディ・ボーが1960年代末〜おそらく70年代初頭にSCRAMなどのレーベルからリリースしたもののコンピ。音質がかなり悪く、なかなかサイケデリックなサウンドですが、ボーのニューオーリンズ・ファンク魂はしっかり感じられます。ヒットしたタイトル曲の他、前半はかなりヒップなファンクが満載で、今まで日の目を見なかったものが多いのがちょっと驚きです。後半はちょっとすっとぼけたソウル・バラードといった曲もありますが、ゴスペルからジャズまで吸収したボーの持ち味はしっかり出ていると思います。



Eddie Bo ; New Orleans Solo Piano ; NIGHT TRAIN NTI 7025 (2002. 3.13)

1993年ニューヨーク録音と、1995年ニューオーリンズ録音です。ニューヨークの方はややピアノの音が黄色っぽく、あまり好きな音とはいえないんですが、アタックの強いピアノ・インストで、なかなか自由に演奏しています。しかし全曲4分55秒ってのは何か意図があったのかしら?ニューオーリンズ録音の方はボイラールームという場所で、ひょっとしたらライヴかもしれません。歌入りもあり、コンガも絡んでいます。ピアノのミスタッチとかも結構あるんですが、ジェームズ・ブッカーほどはちゃめちゃではないけれど、ファンキーでドライヴ感のある演奏はエディならではです。



Eddie Bo ; We Come To Party ; BO-SOUND no number (2003. 2.25)

2001年リリース。ジェイムズ・ブッカー、エディ・ボー、ヒューイ・スミスの3人はショップで見かけると中身も確認せずに買っちゃうくらい好きなんですが、これはズバリの1枚でした。まずタイトル曲、60年代後半〜70年代のローカルサウンドがFUNKY DELICACIESからリイシューされている、まさにその延長線上にあるファンクナンバーです。彼自身も「フォンキー」なんていいながらこうした御機嫌な曲を連発しています。全体にリズム隊中心のシンプルな演奏が多いですが、彼の場合このシンプルさが安っぽくならず、いい意味で「下世話」な感じになるのが不思議です。中には「アイム・ゴーイング・アウェイ」なんてユルユルのブルースもあり、しっかり楽しめました。



Eddie Boyd ; The Complete Recordings 1947-1950 ; BLUES COLLECTION 160002 (2001. 5.16)

エディ・ボイドといえば、何といっても「ファイヴ・ロング・イヤーズ」が有名で、どちらかといったら沈鬱なイメージがあったんですが、このアルバムを聴いて認識を改めました。サックスが2本入ったスモール・コンボで、心地よくジャンプしているんです。バックにはJ.T.ブラウン、ウィリー・ディクソンの名前も見え、なるほどとは思いましたが、ビッグ・ビル・ブルーンジー一派のシティ・ブルースと呼ばれるサウンドよりはるかにジャズに近く、「戦後シカゴ・ブルースはマディ・ウォーターズらがデルタブルースを持ち込んで電気化したのがその黎明」などという、紋切り型の解説がいかに視野の狭いものかということを見事に示しています。とは言え演奏自体はけっこうラフな部分もあり、なんとなく田舎くささも感じられるのが面白いところです。戦後シカゴブルースの、懐の深さを知るには格好の一枚だと思いました。



Eddie Boyd ; The Complete Recordings Vol.2 1951/1953 ; BLUES COLLECTION 160562 (2004. 9.17)

不朽の名作「ファイヴ・ロング・イヤーズ」で始まるこの盤、CHESS時代の「サード・ディグリー」「24アワーズ」といった、沈鬱さを感じさせるスローブルースが光っていますが、一方で都会的でちょっとジャズからの影響も感じられるアップナンバーは、いわゆるシカゴブルースとは違い、エディのセンスの良さを感じさせます。またバック・ギタリストにL.C. マッキンリーやロックウッドが参加していますが、特にロックウッドのプレイは変幻自在で、エディの目指すサウンドにはピッタリだったと思います。アーネスト・コットンのサックスも、特に鬱な曲では雰囲気をぐっと強めています。終盤ウィリー・ディクソンがベースを弾くようになってからの、リズムの跳ね方の変化も面白いです。



Eddie "Guitar" Burns ; Lonesome Feeling ; BLACK & BLUE BB 455.2 (2002.11. 8)

1986年11月オランダでの録音です。バックにメルヴィン・テイラー、ビリー・ブランチなどを従えたエディは、実に落ち着いた演奏を聞かせます。オリジナルリリースの時は、エディとビリーのツインハープ吹き語りの「ウィー・ベィビー・ブルースを除き、自作曲で固めていたようですが、この再発CDでは「ジャスト・ア・リトル・ビット」「ウォーク・アップ・ディス・モーニング」など、R&B感覚の強いカヴァーも含まれ、ヴァラエティに富んでいます。エディは派手さはないんですが懐の深いギターと、渋みたっぷりのヴォーカルを聴かせ、曲によってはサニーボーイ・ウィリアムソン(ライス・ミラーの方)に通じる繊細なヴィブラートの効いた歌を披露、ぐっと来ました。あと特筆すべきはビリーの絶妙のサポート。この人やっぱり職人的なハープを吹きます。目立ちすぎず、でもしっかり存在をアピールするのがさすがですね。このBLACK & BLUEのシリーズは時折大外れがあるんですが、これは当たりの1枚でした。



Eddie Burns ; Snake Eyes ; DELMARK DG-758 (2002. 8. 2)

2001年録音。弟のジミー・バーンズも参加しています。いきなりアコースティックでのスローブルースで、ハープを期待したのにちょっと肩透かし。でも味わいのある歌としっかりした演奏は好感がもてます。2曲目からはちゃんとハープも吹いているし、単に懐古的なアルバムではなく、エディ・バーンズの今を良く捉えているように思いました。バックの演奏もなかなかうねりがあり、変に電気処理していないサウンドでこれは気持ちがいいな。派手さは感じませんがかなり気に入りました。



Eddie Burns ; 2nd Degree Burns ; BLUE SUIT BS-120D (2006. 6. 8)

2005年リリース。デトロイトのヴェテランブルースマン、エディ・バーンズの新作は、前作のDELMARK盤同様弟のジミーも参加したものですが、その時よりさらにゆるい感じになっています。エディはミシシッピ出身なんですが、どことなくルイジアナ風味を感じるのはこのゆるさからでしょうか。思いっ切り力の抜けたヴォーカルに、シャランと線の細いギター。ひなびたハーモニカと、リラックスしきった雰囲気が、かえって演奏を楽しんでるんじゃないかなって印象を与えています。ジミー・リード調の「パラダイス・ヴァレー」なんてその極致。こういうの、好きなんですよ。



Eddie "Cleanhead" Vinson ; Primary Cuts - Volume One ; CATFISH KATCD 153 (2000. 8. 5)

1942年、クーティ・ウイリアムズ楽団での録音から1947年MERCURYへの録音といった、初期の録音集。7曲収録されたクーティ楽団をバックにするクリーンヘッドは、ゴージャスな演奏に負けないタフな声で、見事に唄い上げます。でも後の KING=BETHLEHEM 時代ほど声はひっくり返しません。ルイ・ジョーダン・ナンバーも取り上げていますが、多くがオリジナル。「ジュース・ヘッド・ベイビー」など歌詞がとんでもなくていいです。だって「ウイスキーを水みたいに、ジンをレモネードみたいに飲む女」ですよ。MERCURY録音のほうがバンドの編成が小さくなったせいもあって、ややこじんまり。でもしっかり「腎臓のシチュー」は入ってます。同じ曲の演奏違いが2曲入っていて、効き比べるのも面白いです。


Eddie "Cleanhead" Vinson ; Mr Cleanhead Steps Out ; ZIRCONBLEU BLEW 503 (2001. 4.17)

1945〜49年、CAPITOL、MERCURY、KING に録音された作品集。CATFISHからも同時期のアルバムが出ていましたが、内容は違うようです。この時代のヴィンソンですから外れようがありません。艶やかなアルトサックスと、ラウドで、でもチャーミングなヴォーカルを、最高のグルーヴで聴かせてくれます。どちらかというとMERCURY時代はバンド・アンサンブルの妙を感じ、KING時代になると小さめのコンボをバックに、よりパワフルに歌ってるように思いました。



Eddie "Cleanhead" Vinson ; Bald Headed Blues ; ACE CDCHD 877 (2003. 7.25)

1949〜52年KINGで吹き込まれたクリーンヘッドの作品集がついにまとまった形でCDになりました。まさに待望の1枚です。何と言っても「アッシュィズ・オン・マイ・ピロウ」の粘っこい、ひっくり返りの強烈なヴォーカルからまずノックアウト。ジャジーな曲は洒落ていますが、やっぱりスローでのヴォーカルとアルトサックスの強烈さが強烈で、何曲かある「チェリー・レッド・ブルース」への自己アンサーソングがやっぱりすごいです。この他「クウィーン・ビー」「ロンサム・トレイン」なんて好きな曲で、特に後者のアレンジは素晴らしいです。しかしこのアルバムの目玉は何と言っても「パースン・トゥ・パースン」。クリーンヘッドの代表曲のひとつといっていいと思いますが、これの別テイクも収録されています。これで多分GUSTOのLPはめでたく放出できると思います。



Eddie "Cleanhead" Vinson With The Cannonball Adderley Quintett ; Cleanhead & Cannonball ; MILESTONE MCD-9324-2 (2003. 3. 6)

1961年シカゴで録音されたセッションです。クリーンヘッド・ヴィンスンはシャウターとしてもジャズ・プレイヤーとしても一級品ですが、ここでは彼のそうした二面性が見事に捉えられています。キャノンボールにナットのアダレイ兄弟に、ジョー・ザヴィヌルというファンキーなバックに支えられて、ジミー・リードの「ブライト・ライト・ビッグ・シティ」そしてゴスペル調の「ディス・タイム」という2連発にまずびっくり!でも「キドゥニー・シチュー」は相変わらず気持ちよさそうに歌ってますし、「パースン・トゥ・パースン」もクリーンヘッドならではのストロングヴォイスを聴かせます。一方インストナンバーではキャノンボールとクリーンヘッドのアルトの競演が聴きものです。まあクリーンヘッド・ファンからすれば、BETHLEHEM/KING時代のひっくり返り唱法に軍配を上げますが、決して侮れない盤です。



Eddie Cochran ; Best Now ; TOSHIBA EMI TOCP 9072 (2005.12.28)

1957〜60年録音。中古で購入。エディはポスト・プレスリーを担うロックンロール・スターの1人として嘱望された人で、早くから映画に出演、その勢いで流行ったのが「バルコニーに座って」という甘めのポップソングでした。でも彼の本質はよりミュージシャン気質の高いロックンロールで、ユーモラスな歌詞の面白さもある「サマータイム・ブルース」など、アコースティックギターのストロークプレイを巧みに取り入れた作品は、この楽器がかえってビート感を高めることを良く教えてくれます。また「エディのブルース」で聴かれる、アームを多用したアグレッシヴなギタープレイから、彼のギタリストとしての才能も感じられます。21才というこれからという時の死が本当に惜しまれます。



Eddie Cotton ; Extra ; UNDADAWG 6039CD (2003. 9. 8)

2002年リリース。ミシシッピ・ブルースマンと書かれていますが、ギターはアルバート・キングからの影響を強く感じ、一方のヴォーカルは、巧みなファルセットの使い方など、HI時代のシル・ジョンスンみたいだななんて思って聴いていたら、何とラストナンバーが「テイク・ミー・トゥ・ザ・リヴァー」でした!アコースティックなサウンドが印象的な2部構成の「エンド・オヴ・ザ・レインボウ」は、ちょっと「ダーク・エンド・オヴ・ザ・ストリート」を彷彿させる美しさ。全体に70年代のソウルに対するリスペクトを感じました。べシャッとしたドラムが印象に残るサウンドは、なかなかファンキーで、これにエディのギターとヴォーカルが実にうまく絡んでいて、とても気持ち良く聴くことのできた好盤です。



Eddie Dejean & The New Orleans Funk Project ; The Funk Anointed With Sanctification ; NEW LEGACY no number (2004. 1.22)

多分2003年リリースです。エディ・デジョーンはドラマーで、彼の自宅で録音したそうです。なるほどドラムは良い音していますね。最初にREPRISE時代のミーターズのような曲から始まったんで、全編それでいくのかと思ったら、フュージョンやらP-ファンクやらの混じったようなサウンドが出てきて、結構幅広いセンスを感じました。でもしっかりミーターズの「ジャスト・キスト・マイ・ベイビー」やってますし。また「ジーザス・イズ・ア・マン」は自作とのことですが童謡がいっぱい。やっぱり「ビッグ・イージー」や「ホゥエン・ヘヴン・イズ・イン・ユア・マインド」のようなセカンドライン系の曲が僕は気楽に聴けて良かったです。



Eddie Floyd ; Knock On Wood ; ATLANTIC/WARNER WPCR-25221 (2007. 1.30)

1967年リリースの名盤が1500円のシリーズになって復刻しました。エディ・フロイドはオーティス・レディングやウィルソン・ピケットに比べると、やや注目度は落ちるようですが、タイトル曲の格好良さはSTAXの最高傑作と言ってもいいと思います。ソングライターとしての才能も大きな魅力で、時代の高揚感を感じさせる「レイズ・ユア・ハンド」、素晴らしいバラード「ガット・トゥ・メイク・ア・カムバック」など、その暖かみのある歌とともに素晴らしい出来栄え。僕の好きな曲は「イフ・ユー・メイク・ア・フール・オヴ・サムバディ」。どこか切なさの漂う歌が素敵です。全体にゆったりめなSTAXサウンドが心地良い1枚です。



Eddie Floyd ; I've Never Found A Girl / Rare Stamps ; STAX/UNIVERSAL UCCO-4030 (2007.11. 1)

1960年代後半の録音で、1968年リリースのセカンド・アルバム「アイヴ・ネヴァー・ファウンド・ア・ガール」と翌年の編集盤「レア・スタンプス」を合体、さらに未発表音源を盛り込んだお買い得盤です。「レア・スタンプス」には「ノック・オン・ウッド」や「レイズ・ユア・ハンド」、さらに「ガット・トゥ・メイク・ア・カムバック」といった彼の代表曲が含まれているからです。一方の「アイヴ・ネヴァー・ファウンド・ア・ガール」にはサム・クックの「ブリング・イット・オン・ホーム・トゥ・ミー」をタイトにアレンジしたヴァージョンが収録、これはエルヴィン・ビショップのバンドに影響を与えています。まさにSTAXの全盛期らしいサウンドに乗って、素晴らしい喉を聴かせてくれるエディを体験するにはうってつけのアルバムですね。



Eddie Floyd ; Gotta Make A Comeback ; P-VINE PCD-901 (2005. 9. 8)

1982年ニューオーリンズ録音。長らく探していた盤を中古で購入。プロデューサはマーシャル・シホーン、アレンジャはワーデル・ケゼルクと、そしてドラムにハーマン・アーネストと最高の土壌での作品です。タイトル曲を始め、「ノック・オン・ウッド」「レイズ・ユア・ハンド」と代表曲も実に軽くタイトにまとめられています。もちろんエディの歌は張りもあり、いい感じ。でも、でもですよ。固定概念てものは恐ろしく、これを聴くほどに、STAX時代の音が懐かしくなっちゃうんです。いっそドファンクにしてもらってたら良かったのに。歌の上手い人と、素晴らしいバックが、必ずしもかみ合わないのかなって思いました。あ、誤解を避ける意味で、このアルバム、僕は好きです。気持ちいいです。STAX盤が超弩級に気持ちいいだけの話です。



Eddie Hazel ; Game, Dames And Guitar Thangs ; RHINO HANDMADE RHM2 7868 (2005. 2.27)

1977年リリース。エディの名義になっていますが、ジョージ・クリントンのプロデュースのサウンドはファンカデリックそのものです。ブーツィーの変態ベースがうねうねと鳴り、マイケル・ハンプトンのギター、バーニー・ウォーレルのキーボードが生み出す、どんよりとしたうねりのファンクをバックに、ジミ・ヘンドリクスからの影響を隠すことのないエディのギターが縦横に唸ります。いかにもレスポールといった、野太いギターの音が、強力なバックのサウンドに埋もれずに出て来ているのがやっぱりすごいです。まあとても正気でやってるとは思えない部分もありますけどね。P-FUNKファンにはたまりませんわ。



Eddie Kirkland ; Front And Center ; TRIX 3301 (2006. 5.15)

1970〜72年録音。カークランドと言えば長らくジョン・リー・フッカーの相棒を務めたことで知られますが、ここでは弾き語りを聴かせます。スライドを交えたプレイやブギでは、ジョン・リー直伝と行っても良いミシシッピ臭も感じますが、自身のハーモニカも加わった「ノラ」あたりになると、どちらかというとブラウニー・マギーなどの東海岸の香りもしたりします。ギターはかなりテクニカルで、上手いなと唸ってしまう曲も多いし、歌も張りがあって、しかも哀愁も感じられるもので、思わず聴き入ってしまいました。でも印象に残りにくいのは、スタイルの幅の広さのせいかな。この辺がまさにジョン・リーの対極なのかもしれません。



Eddie Mack ; 1947-1952 ; BLUE MOON BMCD 6026 (2002. 3. 8)

BLUE MOONはCLASSICSと並び、戦後のジャンプ系のリイシューを積極的に進めていますが、これもそうした中の1枚です。ニューヨークをベースに活躍していたようで、クーティ・ウィリアムズの楽団にエディ・ヴィンスンの後釜として参加したようです。ちょっとロイ・ブラウンを彷彿させるメリスマの効いた、でもややブライトで軽めのヴォーカルは、なかなかノリがよく、この時代の流行と言えるでしょう。クレジットを見ると、「ショットガン・ブギ」(テネシー・アーニー・フォード)、「ディヴォース・ミー・C.O.D.」(マール・トラヴィス)といったカントリー系のヒット曲も取り上げていますが、前者は発砲音を模したドラムの入った御機嫌なブギ。オリジナルを聴いてみたくなりました。



Eddie Shaw & The Wolf Gang ; Can't Stop Now ; DELMARK DE-698 (2005. 2. 4)

1997年リリース。A.C. リードと並びシカゴ・ブルースに豊かな色合いをつけてきたサキソフォニスト、エディが、かつての自分のボスのニックネームをいただいたバンドを率いてかなり経つと思いますが、これはそのソロ作です。エディのサックスはジャズとは対極に位置するような野太さが魅力で、かといってホンカー程は攻撃的でない、少し枯れ味もあるのが個性と思いますが、そのサックスの味はしっかり活かされています。またヴォーカルもかなりいける口で、太めのタフな声はちょっとアルバート・キングみたいに聞こえることもあります。サックスを最大限に活かした「ウィー・ゴナ・メイク・イット」の後半に出てくるヴォーカルなんか、好きだなぁ。ギターは多分息子だと思いますが、若い世代らしく、ロックからの影響をもろに感じさせるギターで、ちょっと違和感もありますが、元気なのはいいかな。



Eddie "Playboy" Taylor ; Ready For Eddie Plus ; BIG BEAR/CASTLE CMRCD 629

1974年ロンドン録音。いきなりフルソンの「トランプ」の改作のような「アイム・ア・カントリー・ボーイ」がなかなか軽快なノリで来ていい感じ。バックをつけるブルースハウンズは、結構ファンク指向のあるバンドのようで、かなり音がブーストされててファット。シャッフルなどブルース系の曲はリズムもゴリっとした感じで、そこにシャラッとしたエディのギターとヴォーカルが乗った格好です。ですからいわゆるシカゴブルースの塊のようなサウンドって訳にはいかないんですが、ボブ・ホールのピアノが達者で演奏に彩りを添えているのがいいのと、エディ自体は元気いっぱいで、ギター、歌とも好演しています。特にエイトビート系の曲はバックバンドとも上手くかみ合った感じで結構いけます。



Eddie Taylor ; Live In Japan 1977 Deluxe Edition ; P-VINE PCD-28007/8
(2009. 3.21)

以前出ていたアルバムに、未収録だった音源を加えて、当時の様子を再現した特別盤2枚組です。一応エディがメイン・アクトということになっていますが、ルイス・マイヤーズのハープや歌もかなりフューチャーされており、また「ノヴェルティ・サイド」としてオディ・ぺインの「アイ・ドント・ノウ」や「ハンバーガー・0-1-8-1-2」、さらにディヴ・マイヤーズのヴォーカルも収録、当時のライヴがエディの単独公演というよりはシカゴ・ブルース・パッケージのようになっていたことがはっきり伺えます。それぞれ質の高い演奏で、エディの「ホイ・ホイ」などはいつ聴いてもかっこいいと思うんですが、同時にこのメンバーがベストだったのかなという気もします。特にエディに対するルイスの対抗心が随所に見られ、ちょっと不穏なものも感じるんですが。




Eddie Taylor Jr. ; Worried About My Baby ; WOLF 120.811 CD (2004. 3. 6)

2000年録音。ジュニアはもちろんエディ・テイラーの息子ですが、やや控えめな感じがするのはやはり父親譲りだからでしょうか。リヴァーブをかなり効かせたクリーントーンでのギターは、スライドを交えたプレイで、モダンブルースのスタイルに変化をつけていますが、ガツンとしたインパクトには少し欠けますね。チョーキングがスムーズで、時々スライドと区別がつかなくなるのはかなりの腕前を感じますが。シャッフルビートなどからは父親譲りのリズムで刻むのはとっても気持ちいいです。また曲調はかなりマジック・サムの影響を感じます。でも歌がちょっと弱いなぁ。そういう点でラリー・テイラー(兄弟?)が歌うファンキーな「ソック・イット・トゥ・ミー」が曲調も含め一番気に入りました。



Eddie Taylor Jr. ; Mind Game ; WOLF 120.813 CD (2007. 1. 1)

2006年録音。シカゴきっての職人ギタリストのひとり、エディ・テイラーの三男がジュニアで、非常にすっきりしたブルースを演じます。ギターもヴォーカルも変に力むところがないのは父親譲りと言っていいでしょうか。あんまりシンプルすぎるんで、ちょっと軽い感じもしますが、自然体でわざとらしさのないブルースはまあまあ心地良いです。「シェイク・ユア・マネーメイカー」を転用したような「ピンク・シャンペーン」の字余りな処理はご愛敬かな。「ルック・オン・ヤンダーズ・ウォール」のファンキーな処理とか、「44」のユニークな表情とか、面白かったです。ただ、妹だか奥さんだかのヴォーカルはちょっと力不足に思いました。



Eddie Taylor Jr. ; I Got To Make This Money, Baby ; WOLF 120.817 CD (2008.10.12)

多分2008年のリリースです。「シェイク・ア・マネー・メイカー」の改作のタイトル曲から始まり、オリジナルに「マイ・リトル・マシーン」や「ジャスト・ア・リトル・ビット」「ウィスキー・ヘッデド・ウーマン」などシカゴ・スタンダードと言うべき曲を織り交ぜていますが、こういうのを王道って言うんでしょうね。何処を切ってもシカゴ・ブルースと言ってよく、父やジミー・リード、ジミー・ロジャーズといったいぶし銀の名手たちのプレイを彷彿させます。アーサー・クルーダップの「ザッツ・オールライト(ママ)」なんてのを聴くと、ちょこっとヴォーカルが怪しかったりもするんですが、ある意味伝統芸を守るスタイルといってもいいんじゃないでしょうか。こういうの、ありだと思いました。




Eddie Taylor Jr. / Tre / Harmonica Hinds ; From The Country To The City ; WOLF 120.819 CD (2009. 7. 2)

2009年リリース。エディ・テイラー・ジュニアにハーモニカ・ハインズ、それにトレというギタリストのトロイカアルバムです。3人が交代で4曲ずつヴォーカルを取り、それにアコースティックでバックをつける形のアルバムで、それぞれ技量の高い人たちなので破綻のない演奏を聴かせます。トレはエディよりは粘っこい歌を聴かせます。一番タフな歌はハインズで、勢いも感じます。全体に地味なアルバムで、達者なんですけど工夫のないブルースが延々続く印象を受けてしまいました。




Eddy Clearwater ; Hillbilly Blues ; REDITA CD-145 (2003. 5.21)

おそらく1950年代後半から60年代初めにかけての録音でしょう。ライナーには詳細に書いてあるんですが、読むのが大変です。エディ・クリアウォーターがチャック・ベリーの影響を受けたことは有名ですが、このアルバムにはエディ・ベル&ザ・ベル・エアーズという白人ロカビリーバンドでのエディのプレイも入っていて、もろにチャックのスタイルです。ベルヴェデアーズというバンドでの録音もあります。自己録音では有名な「マイナー・チャチャ」が2テイク収録されている他、「ヒルビリー・ブルース」ではまるでチャック・ベリーそのもののプレイを聴かせ、彼のスタンスがよく分かります。「ブギ・ウギ・ベイビー」などブルースナンバーでもどこかコアなブルースとは一線を画しているんですが、そのB級さがたまらない魅力だったりします。



Eddy Clearwater ; Help Yourself ; BLIND PIG/P-VINE PCD-1866 (2003. 6.30)

1992年リリース。1曲目のギターソロを聴くと、やっぱりエディはチャック・ベリーが好きなのねと思うソロが出てきますが、その他は思ったより多彩。アルバート・コリンズを思わせるファンキーな「クロスオーヴァー」「リトル・ビット・オヴ・ブルース」「ウィアー・アウト・オヴ・ヒア」などかっこいいし、キャリー・ベルのハープが登場するウィリー・メイボンの「ポイゾン・アイヴィー」も楽しいです。スローの「メスド・アップ・ワールド」もなかなかの熱演だし。ラッシュの「オール・ユア・ラヴ」はちとやりすぎかもしれませんが。



Eddy "The Chief" Clearwater ; Flimdoozie ; ROOSTER BLUES ROB-CD-2622 (2002. 2. 7)

2001年リリースの新譜です。インディアンの酋長を模した衣装で有名なエディ、ファンキーな曲や軽快なロックンロールで、その軽妙な歌い口がよく生きています。一方ゲストにオーティス・ラッシュを迎え、重厚なスローブルースでは彼のエモーショナルなギターを全面に出しており、なかなかいいムード。この他シュガー・ブルー(彼にしては比較的おとなし目の演奏)、サックスのエイブ・ロックなど多彩なゲストを加え、オリジナル中心で作った意欲を感じるアルバムです。



Eddy "The Chief" Clearwater ; Rock 'N' Roll City ; BULLSEYE BLUES 116 619 640-2 (2003. 9.29)

2003年リリース。バックにロス・ストレイトジャケッツというおそらく白人の覆面バンドを従えた、ロカビリー風味たっぷりのアルバムです。エディは元々白人との共演が多い人で、ロックンロールはお手のもの。ここでも「ヒルビリー・ブルース」の再録や「レット・ザ・フォー・ウィンド・ブロウ」などクラシックな曲の御機嫌なリメイクを聴かせます。またバンドはしっかりしたサウンドを聴かせ、曲によってはC.C.R.のアルバム「Green River」あたりを思い出させるソリッドなビートがエディを上手く盛り立てています。なかなか上手い企画だと思いました。しかしスローの弾き語り風をラストナンバーにするのって、最近の流行りのようですね。



Eddy "The Chief" Clearwater ; West Side Strut ; ALLIGATOR/P-VINE PCD-93103 (2008. 5. 8)

2008年リリース。エディの元々ヴァーサタイルな個性を、ALLIGATORというレーベルがどんな風に料理するのかなと思いましたが、ロニー・ベイカー・ブルックスをプロデューサーに迎え、実にALLIGATORらしい、いわばロック寄りのサウンドを軸にしてきました。いきなりのハード・シャッフルから始まり、ファンキー路線ありといろいろチャレンジしてます。「ガッタ・ムーヴ・オン」ではちょっとロバート・クレイに通じるようなソウル・バラードを熱唱、ジミー・ジョンソンやオーティス・クレイとデュエットする「ドゥ・アントゥ・アザーズ」も同様の曲想で面白いです。またマディの「ウォーキン・スルー・ザ・パーク」をハードエッジにアレンジ、マディを意識した歌い方にビリー・ブランチのハープが絡んで雰囲気はよく出ています。ただ、抜けていかしたギターだなと思うとそれはロニー・ベイカーだったりしますし、エディの持つ下世話な魅力がちょっと潜んでしまった気がします。一番の疑問は、こうして音の洪水で埋め尽くしたようなバックが本当にエディに合っているかということ。元々隙間のあるギターと投げやりなヴォーカルの人ですから、もっとスカスカな作りでも良かったんじゃないでしょうか。フルソン・ナンバーの「トラブル・トラブル」の好演を聴きながらそう感じました。



Effie Smith ; 1945-1953 ; CLASSICS 5116 (2005. 9. 2)

エフィー(イーフィーかも)はウエストコーストで活躍した女性ヴォーカリストで、G&Gからの作品(デビュー作かな?)こそ、ジョニー・オーティスのドラムとピアノ、ギター・ベースといったコンパクトなバンドでの録音ですが、その後はマックスウェル・ディヴィスのサックスを含む、どんどん大きなバンドをバックにするようになります。スタイルはいわゆる張り上げて歌うタイプではなく、抑制の効いた魅力的な声で、軽妙に、酒悦に歌います。小唄といっていいと思いますが、ちょっとユーモラスなジャイブっぽいコーラスもあったりしますし、ロイ・ミルトンの「R.M. ブルース」ヘのアンサーソングもやってます。でも面白かったのは1953年に再び小さなバンドで録音した曲で、特に「クライ・ベィビー・クライ」などでは、ギターのバディ・ハーパーが実に渋いプレイを聞かせています。いかにもウエストコーストらしい、ちょっとオスカー・ムーアあたりを思わせる演奏をバックに、大人のムードを漂わせるえフィーは魅力的です。



Egg Yolk Jubilee ; Brunch With Rocco Fancypants ; SPATULA PRO. no number (2002. 4. 9)

2001年リリース。いやいや、面白い音楽ってのはいろんな所に転がっているんですね。これは楽しいです。アナログノイズをバックに生ギターの弾き語りで何が始まるのかと思ったら、ディキシーランド風味たっぷりの、でもしっかりドラムはファンクしているジャジーなナンバー、さらにはスカ調の曲あり、かなりクールなジャムありで、とにかく飽きさせません。スーザホーンが思いっ切りニューオーリンズ・ブラスバンドっぽく響き、ドラムのスネアもよく回っているのに、結構不協和音たっぷりのギターとちょっとシュールなヴォーカルが絡むせいか、凄く現代的な感触もあります。まさに摩訶不思議。これは聴き続けると結構どっぷりはまりそうです。



Egg Yolk Jubilee Music Band ; Labor Of Lunch ; EYJ no number (2008. 5.28)

2008年リリース。アメリカ国歌で始まりノルウェー国歌で終わるこのアルバム、玲によって摩訶不思議な雰囲気です。ガレージ・スカっぽい「ワッチャ・ドゥーイン・ベイビー?」、変にないとクラブのジャズみたいな「ブッダ」、ボサノバ風があるかと思えば、わざとらしいオールド・ジャズ風「レイジー・リヴァー」。で、「イージー・ミート」ではたと気付きました。フランク・ザッパにアプローチが似てるんですよ。ブラスセクションを効かせてますけどね。スタンダードの「ルルズ・バック・イン・タウン」に「セント・ジェイムズ病院」もどこかよろけた感じ。やっぱりポスト・パンク世代のサウンドですね。



Elactric Bluebirds ; Back On The Train ; GEMCD 001 (2005. 8. 7)

1996年リリースですが一部1981年と84年のものが混じっているようです。このバンドはイギリスでは珍しいケイジャン〜テックス・メックスをやるバンドのようで、サウンド的にはかなりロック色が強いのと、アコーディオンの響きはむしろヨーロッパ直系の雰囲気があります。前半のスタジオ作はかなりポップな感じでロックしてますけど、アーロン・ネヴィルの「テル・イット・ライク・イット・イズ」あたりはちょっと無理があるなぁ。後半のライヴはより土着な感じでなかなか面白いです。特にウィリアム・ベルの「ユー・ドント・ミス・ユア・ウォーター」はなかなかのアレンジ。また84年録音の「スクエア・ダンシン・ママ」はチャーリー・ダニエルズみたいな雰囲気です。



Eli "Paperboy" Reed & The True Loves ; Roll With You ; QDIVISION QDIVI038 (2008. 7.31)

2008年リリース。フロントのエリはパワフルなヴォーカルに加え、ギター、キーボードも演奏するマルチ・タレントで、ゴージャスなブラス・セクションを従えて、サザン・テイスト溢れるソウル・サウンドを生みだしています。歌は少しンはいトーンで、ちょこっとスモーキー。伸び伸び歌っていて気持ちがいいですね。ちょこっとトータス・松本の「トラヴェラー」を思い出しましたが、けれん味のない歌いっぷりは似ていると思います。「サティスフィアー」なんてリズムも格好いいし、シャウトも決まってて、ソウル・ミュージックに対する深い愛情を感じました。往年の名歌手と比較すればそれはかないっこないんですが、気の入った歌には好感が持てます。




Ella Fitzgerald with Count Basie ; Ella & Basie ; VERVE/UNIVERSAL UCCU-5226 (2008.12. 1)

1963年録音。いやはやこれは素晴らしいアルバムです。円熟したエラのヴォーカルと、最高に切れのいいリズムのビッグバンドの組み合わせは、落ち着いたスタンダードナンバーにも新しい息吹を与えます。「ハニーサックル・ローズ」から「ふたりでお茶を」「サテンドール」「浮気はやめた」、とお馴染みの曲を歌っていきますが、これは大人の音楽ですね。さらっと歌っているように見えて、細かい、それこそ指先まで神経の行き渡ったような歌い廻しが見事ですし、落ち着いたリズムキープをしながら、要所でパーンと入ってくる金管の音色の格好良さったら!さすがクウィンシー・ジョーンズの仕事です。ラストの「オン・ザ・サニーサイド・オヴ・ザ・ストリート」、ゆったり目のブルージーな演奏に乗って、実にスウィングしたヴァージョンで、まさに目から鱗でした。




Ella Washington ; He Called Me Baby ; SOUND STAGE 7 SSCD 7014 (2009. 4.30)

1967〜71年のSOUND STAGE 7録音が集められています。最後の方の8曲は未発表とかでも音源だと思います。同レーベル発録音の「アイ・キャント・アフォード・トゥ・ルーズ・ヒム」はメンフィスの・チップス・モーマンのところで録られましたが、後はナッシュヴィル録音のようです。いかにもサザン・ソウルといったバックに乗ったバラードは彼女の力を上手く引き出していますし、ちょっとファンキーなアップナンバーも、アリサほどはこってリとしていませんが、張りのある伸びやかな声が魅力的です。全体にあまりコテコテではなくややすっきりした印象がありますね。この辺がレーベルの狙い線かもしれません。




Ellis Hooks ; Up Your Mind ; EVIDENCE ECD 26129-2 (2003.12.16)

2003年リリース。29才のこの人、ジャケットではエレキを持っていますが、CDではアコースティックギターとヴォーカルで、エレキはプロデューサーのジョン・タイヴェンが曲によってはロバート・クレイのような雰囲気のプレイを聴かせます。エリスはホーボーをやっている中で歌に磨きをかけたようで、ちょっと硬質の声でフォークの香りの強いブルースを歌います。一瞬ジョニー・ラングを思わせるところもありますが、ずっと素直な歌い方で、オリジナルに取り組んでいるのがいい感じ。とっても真面目な印象を受けました。インパクトのある曲があるといいな。



Ellis Hooks ; The Hand Of God ; ZANE ZHCD 1021 (2004. 7. 6)

2004年リリース。この人、ブルースのコーナーにおいてあるんですが、どちらかというとボブ・ディランあたりからの影響を受けているのではないかと思いました。曲調はロックで殆どブルースの香りを感じません。歌はかなり絞り出すような感じで、深いソウルやファンクネスは感じず、むしろロックシンガーとして聴いた方がイメージに近いかと思います。前作はもっとブルース色が強かったんですが、今作の方向性の方が似合っているようには感じました。



Ellis Hooks ; Godson Of Soul ; EVIDENCE ECD-26132-2 (2005. 9. 3)

2005年リリース。ややざらついた、でも芯にソウルがこもった歌声がこの人の魅力ですが、このアルバムではそれを見事に引き出したように思います。ウェイン・ジャクソンがラッパで参加しているんですが、バンドのサウンドはもっと隙間が多く、ちょっとロックがかったグルーヴを持っています。何か懐かしい、でも新しい感じ。その上にエリスの歌が上手く乗っているんですよ。声は違いますが、フェイセズ時代のロッド・スチュワートを一瞬思い出したりもしました。もちろん歌はぐっと黒いですけど。プロデュースでいじり回した感じが少なく、真っすぐの音で勝負したのが正解なのではないでしょうか。「ワズ・イット・サムシング・アイ・セッド?」ではなんとスティーヴ・クロッパーがサイドギターで参加、彼ならではの響きが付け加えられていますし、ボビー・ウォマックも「声」で参加してたりします。何度も聴きたくなりますね。



Elmore James 1951-1953 ; CLASSICS 5082 (2004. 7.10)

僕のホームページで、エルモアを取り上げるのは初めてだと思います。大好きな人で、ボックスなどで彼の録音は殆ど持っているんですが、それだけになかなか取り上げるチャンスがなかったんです。このコンピはデビュー作の「ダスト・マイ・ブルーム」からFLAIR、METEOR、そしてCHESS録音を含んでいます。この時期のものとしてはACE/P-VINEの3枚組が決定盤で、そこに収録されていた「プリーズ・ファインド・マイ・ベイビー」の最高の出来の別テイクと、「ハワイアン・ブギ」が入っていないのが残念です。しかしJ.T.ブラウンやサニーランド・スリム名義のものも押さえられており、CHESSと連続して聴くことができるのはいいです。もちろん外れなしの名作揃いですね。



Elmore James & John Brim ; Whose Muddy Shoes ; CHESS/MCA VICTOR MVCM-22029 (2009. 1. 9)

エルモアがCHESSに残した1953年と1960年の録音に、ジョン・ブリムの1953〜54年の曲をカップリングしたアルバムです。まずは何といってもジョン・ブリムの「タフ・タイムズ」。元々はPARROTに録音した曲で、50年代シカゴブルースの隠れた名曲です。この他ロックウッドのギターが冴えまくってノリのいい「ビ・ケアフル」や、ヴァン・ヘイレンのカヴァーで一躍有名になった「アイスクリーム・マン」など、ブリムの代表曲が収められています。エルモアの方は53年録音はランサム・ノウリングのベースも入り、いつものメンバーとシカゴ・スタイルでじっくりやったって感じ。タイトル曲のむせび泣くJ.T.ブラウンのサックスがたまりません。一方60年録音はFIRE録音に通じる雰囲気で、よりエコーを効かせ、サウンドにも迫力があります。「サン・イズ・シャイニング」は「スカイ・イズ・クライング」と対になるような曲。この他強烈なスライドの「ストーミー・マンディ」や、ブルームダスター調が聴かれる「トーク・トゥ・ミー・ベイビー」など、豪快な曲が多いです。




Elmore James & Eddie Taylor ; South Side Blues ; P-VINE PCD-1410 (2009. 1.11)

1957年CHIEFに残されたエルモアの録音と、エディ・テイラーの1955〜64年のVEE-JAY、VIVID録音をカップリングしたものです。まずはエディ・テイラー。VEE-JAY時代はジミー・リードのバックで切れのいいシャッフルを刻んでいたんですが、自己名義でも素晴らしい録音を残しています。特にジョニー・ジョーンズの「ビッグ・タウン・プレイボーイ」やオリジナルの「バッド・ボーイ」、このリズムにやられた人は多いでしょう。「ドント・ノック・アット・マイ・ドア」はフルソンの「ギター・シャッフル」の改作で、この件はフルソンのページに書いたことがあります。1965年のヒューバート・サムリンの絡んだセッションもなかなかです。一方のエルモアですが、これがえぐいんですよ。「カミング・ホーム」のサウンドの強烈さはシカゴのナイトクラブそのものってイメージですね。この他タンパ・レッドをカヴァーした「イット・ハーツ・ミー・トゥー」も強烈。あとは「ザ・12イヤーズ・オールド・ボーイ」「ノッキング・アット・ユア・ドア」の単弦弾きのギターソロの格好良さ。ウェイン・ベネット説もあるけど、エルモア自身もかなりの弾き手ですからさてどちらなんでしょうね。




Elmo James ; The Sky Is Crying ; SPHERE SOUNX/P-VINE PCD-23790 (2006. 6.24)

1959〜61年にFIREに残されたエルモアの録音のうち、比較的初期のものを、彼の没後の1965年にアルバムとしてまとめたもののストレートリイシューです。まずは何といってもタイトル曲。この激情を歌に秘めたような迫力、完璧なスライドのコントロール、これ1曲でノックアウトされます。ブルーム調とスローをバランスよく配し、ラテンフレイヴァーの漂う「ローリン&タンブリン」、当時のシカゴのクラブの熱気を伝えるインスト「ボビーズ・ロック」といった重要曲が要所を占めています。実はこのアルバム収録曲、ことしのゴールデンウィークにそれこそ耳にタコができるくらい聴きました。え、何故かって?それはこのアルバムを買ってみれば分かりますよ(笑)。



Elmore James ; I Need You ; SPHERE SOUND/P-VINE PCD-23791 (2006. 7.19)

1959〜61年のFIRE録音に、なぜか1曲1953年のFLAIR録音が混じっています。この時代の音はLP時代P-VINEから出たボックスで聴いて以来、CDもボックス(2種類)とほぼ録音順に聴いてきたんですが、こうしてLPの曲並びで聴くのはまた面白いです。特にA面ラストの「ヤンダー・ウォール」(ハーモニカのサミー・マイヤーズが惜しくも先日なくなったとのこと、ご冥福をお祈りします)からB面トップのこのアルバムの最重要曲「シェイク・ユア・マネーメイカー」に続くあたり、絶妙の選曲ですね。しかもトップとラストをブルーム調で挟むなんてにくい。曲の粒ぞろい具合からいうと「The Sky Is Crying」に軍配を上げたいですが、永田さんの面白いライナーもあり、十分楽しめる1枚です。



Elvin Bishop ; Struttin' My Stuff ; CAPROCORN 314 536 135-2 (2006. 9. 7)

1975年リリース。おそらくエルヴィンが一番油の乗っていた時期だと思います。大ヒット「愛に狂って」でのミッキー・トーマスの熱唱がやはりまず耳に残りますが、カントリーからファンクまでを消化したバンド力を感じさせる、タイトル曲や「ジョイ」「ヘイ、ヘイ、ヘイ、ヘイ」などの乗りのいいダンスナンバーが格好いいです。面白いのはテンプテーションズの「マイ・ガール」。「トラヴェリン・シューズ」と同じようなバッキングのディスコ的なリズムに乗って、やけにまっすぐミッキーが歌うんです。こういうロック的な解釈もまたおつなもんです。



Elvin Bishop ; Raisin' Hell ; CAPRICORN 314 558 395-2 Click Here!

Elvin Bshop ; In Concert ; DISKY SI 903350 (2006. 5.21)

1977〜8年頃のライヴでしょう。ミッキー・トーマスのいる彼のバンドの全盛期で、「スティーリン・ウォーターメロン」「ロック・マイ・ソウル」「愛に狂って」「トラヴェリン・シューズ」といった代表曲がぎっしり。バンドのノリもよく、なかなかテンションの高いライヴです。ただ、一方でいかにプロデュースが大切かということも感じました。この時代のライヴ盤としては僕の大好きな「Raisin' Hell」がありますが、こちらがアラン・ブレイゼックらしいモコモコしたドラムになっているのに対し、殆ど何も手を加えていないこのアルバムは、完全にドラムが勝ちすぎてしまっていて、聴いていて疲れるんです。以前はなんであんなにドラムの音を押さえるのかなって「Raisin' Hell」やJ.ガイルズ・バンドの「Blow Your Face Out Baby」について思ってたんですが、こうして聴いてみると納得。



Elvin Bishop ; Big Fun ; ALLIGATOR ALCD 4767 (2005. 8. 8)

1988年リリースのALLIGATOR移籍第1弾だと思います。中古で見つけました。エルヴィンは70年代のバンドサウンドが好きで、この時代のものは聴いたことがなかったんですが、このアルバムについては70年代のエルヴィンのいいところをきちんと引き継いだものになっていると思いました。彼のちょっと「ヘタウマ」な味のある歌と、粘っこいサウンドで格好いいフレーズを連発するギター、そして伸びやかなスライドプレイをたっぷり聴くことができます。いかした「ドント・ユー・ライ・トゥ・ミー」に始まり、ピアノ・レッドの「ザ・ライト・ストリング・バット・ザ・ロング・ヨーヨー」なんて曲をちょっとジャグバンド風に仕立ててやるあたりは良いセンスしてるなぁ。もう少しALLIGATOR作を聴いてみることにします。



Elvin Bishop ; Gettin' My Groove Back ; BLIND PIG BPCD 5100 (2006. 5.26)

2005年リリース。タイトル通り70年代の自身のバンドサウンドを意識したような作りです。冒頭の「ワット・ザ・へル・イズ・ゴーイング・オン」こそ宅録風のゴリっとしたワンコードのブルースですが、それ以降はホーンも入った軽快なナンバーが続きます。歌も自身の他ドラムのボビー・コーチャンが担当。「スティーリン・ウォーターメロン」を思い出させる「ザッツ・マイ・シング」、アコースティックで楽しい「イッツ・ア・ドッグ」を聴いてたら「フィッシン」を思い出しました。さすがにバンドの規模が違いますが、70年代のファンキーなバンドサウンドに迫ろうとしているのがよく分かり、あの時代のファンとしては嬉しい作品です。



Elvis Costello & The Imposters ; The Delivery Man ; LOST HIGHWAY B0002593-02 (2004.11. 4)

2004年リリース。恥ずかしながら、コステロは今までベスト盤くらいしかまともに聴いたことがなかったんですが、これ、めちゃくちゃいいです。1曲目、やや退廃的な雰囲気の曲にちらっと「ウエストサイド物語」の「アメリカ」の一節をさりげなく織り込むかと思うと、2曲目でサザンソウルばりのしっとりとしたバラードを歌い上げるなど、アルバム全体が劇的な構成となっていて、はじけるところははじけ、抑えるところは抑えていて、そのコントラストが見事。ハワード・テイトが歌った「エイザー・サイド・オヴ・ザ・セイム・タウン」、ソロモン・バークが歌った「ザ・ジャッジメント」の両曲のセルフカヴァーも素晴らしく、特に後者の鐘の音を効果的に使ったドラマチックな展開がぐっと来ます。ファンキーな「ビドラム」、シンプルだけど手応え抜群のミディアム「モンキー・トゥ・マン」など、しっかりロックしてますし。ゲストで歌っているルシンダ・ウィリアムズにエミルー・ハリスも、サウンドにしっかり溶け込んでいて、練りに練られたアルバムだなと思いました。こりゃしばらくコステロ病になるかも。



Elvis Costello & Allen Toussaint ; The River In Reverse ; VERVE FORECAST/UNIVERSAL UCCB-9011 (2006. 6.11)

2006年リリース。コステロがカトリーナ支援コンサートでトゥーサンとのピアノをバックに披露した「フリーダム・フォー・ザ・スタリオン」がきっかけとなって実現したアルバムだそうです。これはプロモーションのためふたりが来日するのに合せて発売されたDVD付きの方ですが、映像はまだ見ていません。トゥーサンと言えば70年代には超売れっ子で、多くのロックミュージシャンが「トゥーサン詣で」をしたんですが、「オン・ユア・ウェイ・ダウン」はその流れでリトル・フィートのヴァージョンがよく知られています。このアルバムではアレンジはオリジナルのトゥーサンのものに近い気がしますが、コステロの歌はローウェル・ジョージにどこか通じます。この他トゥーサンナンバーをコステロが熱唱していますが、「ザ・シャーペスト・ソーン」「アセンション・ディ」「インターナショナル・エコー」「シックス・フィンガード・マン」といった曲ではふたりが共作。特に「アセンション・デイ」はフェスの「ティピティーナ」をマイナーにしたような曲で、トゥーサンのピアノ1本の伴奏でコステロがしっとり歌います。バンドはコステロのバンドでしょうか?タイトで豊かな響きのドラムと、的確なキーボードのサポートが光ります。じっくり煮詰めて作ったのではないと思いますが、才能溢れる二人が出会えば、素晴らしい作品になるのは当たり前、でもここまでのものが出てくるとは!相性もいいんだと思いますが、大収穫です。



Emmylou Harris ; Heartaches & Highways - TheVery Best Of Emmylou Harris ; RHINO/WARNER 8122-73123-2 (2009.11.10)

1974年から2005年までの30年あまりのキャリアをまとめたベスト盤です。初期はフォーク的な要素を強く感じさせるカントリーと言ったたたずまいでしたが、その姿勢は最近に至るまで大きく変化していません。大甘なカントリーにはならず、透明感のある伸びやかな声を生かした曲が多いです。ベスト盤にセレクトされているということは、それが彼女の持ち味なんでしょう。2000年代に入って、若い頃のような声の張りはなくなってきましたが、印象が大きく変わっていないのは、ストレートな歌い方を崩していないからでしょう。永遠の歌姫かもしれません。




Emmylou Harris ; Elite Hotel ; REPRISE/RHINO/WARNER BROS. WPCR-75408 (2009.10. 1)

1975年リリース。この時代って、キャロル・キングあたりで始まった女性シンガー・ソング・ライターの全盛期で、マリア・マルダー、ニコレッタ・ラーソン、さらにはリタ・クーリッジなど、ジャンルを越えてもてはやされていました。エミルーはその中ではぐっとカントリー寄りで、同時にリンダ・ロンシュタット(本作にもコーラスで参加)よりはフォーク色を感じさせる人です。ジェイムズ・バートンのギターなど名うてのミュージシャンを集めて西海岸で録られた作品は、その地域柄よりはカントリー・タッチが強いように思います。エミルーの伸びやかな声がとてもよく生きていて、特に弾き語りに近いアレンジの「ヒア・ゼア・アンド・エヴリホエア」の解釈は見事。またライヴも収められていますが、「ジャンバラヤ」など、カーペンターズのヒットの後ですが、ぐっと正調で聴き応えがあります。名盤の名に恥じない1枚です。




Enya ; The Best Of Enya - Paint The Sky With Stars ; WEA WPCR-1900 (2001. 9.12)

1987〜95年録音。カミサンはうるさい音楽はウルフルズ以外苦手で、耳触りのよい音楽が好みです。エンヤはその代表ですが、実に透明感があります。メロディ・ラインはかなりワンパターンにも思えますが、丹念に」音を重ねて作ったオーケストレーションとアンサンブルは、独特の浮遊感があり、無重力空間を漂うような快感があります。またこうしたケルト系の韻律はなじみやすい気がします。くつろいだり疲れを取りたいときに聴くといいですね。



Eric Bibb ; Home To Me ; EARTHBEAT! R2 79793 (2007. 1. 5)

1999年リリース。タジ・マハルが賛辞を寄せているように、ビブは都会派のミュージシャンだと思います。ブルースをひとつのルーツにしているのは間違いがなく、また歌は結構ソウルフルだったりしますが、より多様な音楽を貪欲に吸収していますね。ちらっちらっとジャズの素養を感じさせたりもしますし、ラップスチール、バンジョー、アコーディオンの使い方も、決してカントリータッチ一辺倒にはならないんだけれど、どこかのどかな雰囲気を醸し出します。その際たる例がサム・クックの「ブリング・イット・オン・ホーム・トゥ・ミー」。ゴスペルテイストを感じさせるコーラスを支えるアコーディオンやマンドリンのサウンドは、楽器持ってピクニックに行って、そこでみんなで「せーの」と始めたようなムードがあります。でもやってるのは都会人。こうしたジャンル横断の音楽で、自分の気持ちのいい音、好きな音を出せるっていうのは楽しいと思います。



Eric Bibb ; Friends ; MANHATON HATOMAN 2015 (2004. 7.13)

2004年リリース。タイトル通りガイ・デイヴィス、ルーシー・フォスター、タジ・マハル、オデッタなど豪華なゲストを加えた作品です。ニューヨーク生まれでヨーロッパ在住のビブは、ブルースの要素もありますが、よりフォーク的で、それにカリブやアフリカのサウンド、さらにはインド音楽のテイストまで加えた独特の世界を作ります。登場する楽器もヴァイオリン、ウクレレ、バンジョー、モハン・ベーナというシタールみたいな響きのものまで出てきて多彩です。全体に地味な印象はありますが、いろいろな要素が有機的に結びつき醸成した音作りは飽きが来なく、何度も聴きたくなりました。好盤です。



Eric Bibb ; A Ship Called Love ; ABC 14302 (2005. 5. 7)

2005年リリースの新譜です。冒頭のタイトル曲から、カントリータッチのゴスペルといった感じで、確かに根っこにはブルースもあるんですが、それよりずっと幅広い音楽的ベースを感じます。打ち込みのリズムを使ってもさほど無機質にならず、スティールギターが入っても軽すぎないのは、エリックの歌が十分ソウルフルだからでしょうか。エレキを入れた曲ではちょっとロバート・クレイの中期に通じる音も感じましたが、全体にはコーラスの入れ方もあるのか、ゴスペル的な要素を強く感じました。「ターニング・ワールド」ではレゲエしてます。とにかく1曲1曲が丁寧に作られており、メロディもしっかりしているのが好感を持てます。こうした人はジャンルの枠組みで聴かず、心を素直にしてその世界に浸るのがいいようです。素敵なアルバムだと思いました。



Eric Bibb ; Live A Fip ; FIPRADIO/DIXIEFROG DFGCD 8665 (2009. 7.21)

2008年にフランスのラジオ局向けに行われたライヴ録音で、いっさいのリレコーディングをしていないそうです。ビブらしい品のいいサウンドで、バックもウッドベースにパーカッション、サブのギターがエレキとアコースティックを持ち替えるだけといった実にシンプルな構成。曲はオリジナルが中心で時折トラッドが混じるくらい。ビブの端整なギターと、抑制の利いた語りかけるようなヴォーカルがけっこう染みてきます。2枚目にいくと「ゴーイン・ダウン・スロウ」などブルース色の強いサイドになっています。でもその中の「スタッゴリー」などを聴いていると、現代のミシシッピ・ジョン・ハートと言ってもいい一種「癒し系」なんだなと思います。こうした味わいはやはりビブがヨーロッパで生活していることと関係があるんでしょう。2枚目にはヴィデオが20分ほど収録されています。




Eric Bibb ; Booker's Guitar ; TELARC TEL-31756-02 (2010. 6.30)

2010年リリース。エリック・ビブらしい、アコースティックの響きを全面に生かしたアルバムです。2008年に古い雑貨屋で録音したその残響がまず素晴らしく、ブッカ・ホワイトのリゾネイタをつま弾くタイトル曲のサウンドは、リゾの味わいを十二分に生かしています。B.B.キングの自伝からヒントを得た「ライリー」や、ニューオーリンズの香り漂う「ロッキング・チェア」も佳曲。圧巻はリトル・ウィリー・ジョンスンの「ノーバディズ・フォルト・バット・マイン」を、グラント・ダマーティのハーモニカ1本をバックに歌うもの。こうした気の入った演奏は何度聴いても心が洗われます。




Eric Clapton ; Martin Scosese Presents The Blues ; POLIDPR/UNIVERSAL UICY-1221 (2004. 2. 7)

1966〜73年くらいの、ブルースブレイカーズからデレク&ドミノズ時代の、クラプトンのブルースナンバーを集めたコンピです。ほとんど聴いたことのある曲なんですが、デュエイン・オールマンとのアコースティック・デュオでやってる「ミーン・オールド・ワールド」を聴きたくて買いました。通して聴くと、あの時代のアプローチの変化がよく分かります。とにかくブルースを弾きたいといった感じのブレイカーズ時代から、インタープレイに走ったクリーム、そして重心がぐっと下がったドミノス時代と、フレージングとかが大きく変わった感じはしないんですが、アプローチの仕方が変化しています。僕はドミノズ時代、特に聴いてみたかったデュオが面白かったです。スヌークスの影が見えたりしたし。



Eric Gales ; The Psychedelic Underground ; BLUES BUREAU BB 20552 (2007. 3.30)

2007年の新譜です。この人はロックバンドの曲をブルースマンが演奏するとこうなるっていったシリーズには必ず登場する人でしたが、このアルバムはハードロックそのものです。ギュルギュルにかけられたディストーションの、パワーコードまみれのリフで曲が構成され、オルガンもその手の音。ソロもワウワウを絡めた早弾き全開。ということで、つまらないとはいいませんけど、こりゃ僕の求める音じゃないです。ギターはうまいと思いますけどヴォーカルに魅力を感じないのもねぇ。



Eric Gales ; Layin' Down The Blues ; BLUES BUREAU INTERNATIONAL BB 2065-2 (2009. 8.12)

2005年〜2008年に出された音に、1994年の未発表などを加えた編集盤です。ゲイルズはロック的アプローチを取るブルースマンといってよく、その傾向は古い録音ほど強く出ています。2005年のサウンドなど70年代のブルースロックみたい。それに対し2008年になるともう少し音が粒立ってきて、アレンジも緻密になった感じがします。また、スローブルースで聴かれるフレーズには時々耳を奪われることもあります。まあ黒人だからって古いブルースにしがみつく必要はないわけで、こうしたアプローチもありでしょう。後は個人の好みの問題ですね。ちなみに1994年の未発表はまるでスティーヴィー・レイ・ヴォーンをへヴィーにしたみたい。フレーズにはジョニー・ウィンター入ってるし。やっぱりこの人はロック好きなんでしょう。




Eric Lindell ; Eric Lindell ; SPARCO no number (2003.11. 7)

2002年の作品なのかしら?この人はニューオーリンズ周辺の人のようですが、どちらかというとかなり田舎っぽさを感じさせるサウンドです。それはリゾネイタと思われるスライドギターが醸し出しているように思います。例えば「アイ・ウォント・ビ・ロング」なんてドラムのタムのサウンドや女声コーラスなど、思いっ切りカリブしているんですが、後にスライドが流れててちょっと独特のムードですね。このエリックは歌がかなり良く、ちょっとナヨッとした感じもありますが、適度にソウルフルで適度にポップです。で、曲調も同様なわけですから、ノンストップ仕様の8曲を一気に聴くことができました。



Eric Lindell ; Change In The Weather ; ALLIGATOR ALCD 4908 (2006. 4.15)

2006年リリース。ALLIGATORに移籍し、よりきらびやかなサウンドになっていますが、根っこにあるアコースティックな雰囲気やソウルフルな歌は健在です。ロック的な曲やレゲエを取り入れるなどどこかローリング・ストーンズに通じるものも感じますが、あんなに不良っぽくなくて、どっちかって言うと生真面目に音楽に取り組んでるって趣。曲はよく練られているし、サックスを上手く生かして無機質な感じを出さないようにするなどサウンドもきちんと計算されていますが、どこか奔放さに欠けるのは、そんなところに原因があるのかも。ライヴを聴いてみたいですね。



Eric Lindell ; Low On Cash, Rich In Love ; ALLIGATOR ALCD 4918 (2008. 1.20)

2008年リリースのピカピカの新譜です。ソウルフルだったりファンキーだったりと、サウンド作りはどんどん凝っていきながら、どこか人のいいリンデルの声を聴いていると、ちょっとベン・ハーパーを思い出しました。マーク・アダムズのピアノにクリス・ミューレのピアノと、ニューオーリンズ・テイストを上手く絡めながら、「マインド・ユア・ビジネス」はHIサウンドを思わせたり、ポップな「トライド・アンド・トゥルー」があったりと、変化に富んだサウンドは飽きさせませんね。一番のお気に入りは「イッツ・マイ・プレージャー」かな。ギターも良く歌ってて気持ちいいです。ラストの「オール・ナイト・ロング」のカントリー・ロック風味なゆったり感も和みますね。今までの彼のアルバムの中では一番気に入りました。



Eric Lindell ; Gulf Coast Highway ; ALLIGATOR/P-VINE PCD-93290 (2009.12. 2)

2009年リリース。エリックの新譜はとても良質なポップさを感じます。クリス・デジョンやスタントン・ムーアの心地良く跳ね回るドラムを土台にして、ハーモニカやリゾネイタなどのアコースティックなサウンドを生かした明るめの曲調の、ノリのいいナンバーがこれでもかと並んでいます。1曲が短めなんですが、どの曲にも表情があり、ブルージーな「イッツ・ア・ドラッグ」、ジャジーな「ララバイ・フォー・マーシー・アン」、ロケンロールな「ザ・ルック」、ラテンな「「アイ・キャンゲット・オフ・オン・ユー」と続く中盤など次はどんな曲って身を乗り出して聴いてしまいました。そのくらい全曲充実しています。エリックの最高傑作かもしれませんね。お薦めです。




Eric Lindell ; Betoween Motion And Rest ; SPARCO NO.002 (2010.10.22)

2010年リリースのミニアルバムです。前作のALLIGATOR盤に比べると、ポップさが薄れてぐっと黒っぽくなった気がします。でも彼の味の良さは十分出ていて、ブラスが絡んだサウンドの荒削りな艶が旨味たっぷりに広がります。インプレッションズのバラードに、マジック・サムの「ザッツ・ホワイ・アイム・クライング」なんて渋いマイナー・ブルースを交えていますが、楽曲の多様性はこの人ならでは。素晴らしい創造性を持ったエリックの今後にますます期待しちゃいます。




Eric Sardinas ; Black Pearls ; FAVORED NATIONS FN 2300-2 (2003.10.27)

2003年リリース。一昨年だったかのブルース・カーニヴァル(見ていない)で結構話題になったリゾネイタでロックするエリックの最新作です。この人、多分ジョニー・ウィンターからの影響を強く受けているんじゃないかと思うんですが、よりヘヴィーな曲から、ある意味SRVに通じるカントリーフレイヴァをたっぷり感じる曲まで、文字通り突き抜けた気持ち良さがあります。キーボードを排したシンプルなギターサウンドで、歪み系にリゾのスライドが絡む曲が多いんですが、これが上手くマッチしています。かなり気に入りました。根の明るいヤンキー兄さんの魅力たっぷりです。



Eric Sardinas & Big Motor ; Eric Sardinas & Big Motor ; FAVORED NATIONS FN2590-2 (2008. 6. 1)

2008年リリース。例によってメタルボディのリゾネイタをギュワンギュワン言わせるサーディナスですが、タイトなバンドに乗ってぐいぐい飛ばします。アコースティックな音を巧みに活かしながら、ハードな中にもポップな曲作りができていて、これは当たればいい感じなんじゃないでしょうか。あまりブルースを意識することなく、ストレートなハード・アメリカン・ロックとして聴くと良くできたアルバムだと思います。



Ernest "Guitar" Roy ; Ain't Going Down That Road By Myself ; JUNBUG MUSIC CD-R001 (2006. 6.27)

2005年リリース。ジャケットでフライングVを構えているので、1曲目のファンキーな「ユー・ベター・リーヴ・ミー・アローン」でアルバート・キング・スタイルのギターが出てきてやっぱりと思いました。少々歌が弱いかな。ところが次の「44・ブルース」がインスト、さらにハードロック調の曲、フュージョン系と何ともつかみ所のない人です。「アフター・アワーズ」はなかなかユニークなアレンジですが、音が何ともチープ。でもラストに「スチール・ギター・ラグ」を持ってくるあたりはいいセンスですね。とにかく器用にいろんなスタイルをこなすんですが、逆を言えばこの人の個性がちっとも分かりませんでした。



Ernest James Zydeco ; Jubiree ; JAM RAT no number (2010. 2. 4)

2009年のリリースです。この人は初めて聴きました。ちょっとこもった音のボタンアコを操り、軽快なノリのバンドをバックに歌います。面白かったのはルンバ調の「マイ・リトル・ジョゼフィーン」、アコーディオンを使ってませんからおよそザディコって感じはありませんが、マイナーなアレンジのこの曲は初めてでした。この他「セツル・ダウン」や「クライ・オール・ナイト」なんて曲もアコーディオンなしで、特に前者はエレキ仕込みのリゾネイタでスライドまで聴かせてますが、ドロンとしたワンコードで、ヨーデルも出るなどかなりユニーク。いわゆるザディコの枠の中に収まる人じゃないです。その分半端な感じは否めませんが。




Ernie K-Doe ; The Building Is Shakin' & The Walls Are Tremblin' ; AIM 1202 CD (2007. 4. 9)

1990年代中頃にミルトン・バティステの手によって録音された作品集です。ニューオーリンズらしい「セータイン・ガール」からスタート、ちょっとライヴな雰囲気の録音はパーティ感覚がよく出ています。女性ヴォーカルと絡む「サムシング・ロング・ウィズ・マイ・ベイビー」なんてちょっと意外な曲があったり、ディスコっぽい「テル・ミー」J.B.風のファンキーな「ロック・アンド・ロール・ユー」、「オネスト・アイ・ドゥ」「ベイビー・ワット・ユー・ウォント」なんてジミーリードのヒットは思いっ切りレゲエにアレンジされてますけどけっこうはまってます。こんな中にニューオーリンズ臭たっぷりの「エイント・イット・ザ・トゥルース」なんてのが混じってるあたりがアーニーらしくていいですね。けっこう楽しめました。



Ernie K-Doe ; The Best Of Ernie K-Doe ; MARDI GRAS MG 5016 (2006.11. 6)

1999年リリース。「マザー・イン・ロー」が入ってますというジャケットには騙されませんが、最近のアーニーのサウンドってどんなかなって思ったんです。でも「マザー・イン・ロー」は61年(だったかな)のアレンジで再現してるだけで、ちょっと声に力みがあってこんなのじゃヒットしないぞなんて勝手に思っちゃいました。この他「テイント・イット・ザ・トゥルース」「テ・タ・テ・タ・タ」などの代表曲も、やっぱりあの味わいのあるトゥーサン・サウンドとはカなり違っちゃってますね。むしろ面白かったのは「ドゥー・ユー・ウォント・サム?」というファンクナンバーで、まるでJBみたいに歌ってます。後半はどうやらライヴ録音のようで、「我が心のジョージア」「シェイク・ラトル&ロール」「アイ・ゴット・ア・ウーマン」とスタンダードが並んでます。ショウマンとしてがんばってる様子は伝わってきました。



Ernie Vincent ; Bayou Road Blues ; MONTEGUT STREET no number (2009. 9. 1)

2009年リリース。ルイジアナのブルースマンのようで、ジャケットはエレキを持っていますが、演奏はほぼアコースティック・ギターとハーモニカのデュオになっています。キーは8小節のバラード「アイ・キャント・ビリーブ」がFな他は全部E、ほぼワンパターンのギターを弾きながら、ちょっとしゃがれた声で唸ってます。ぐっと来るタイプじゃないけど、なんか癖になるんですよね。「マルディ・グラ・チーフ」では何とモンク・ブードローがタンバリン叩いてます。




Errol Linton's Blues Vibe ; Roots Stew ; RUBY UK:RR02 (2003.12.24)

2002年録音。パークタワーで来日したイギリス在住のジャマイカ系黒人、エロルの単独盤です。曲は「トゥー・メニー・クックス」「シーズ・ゴーン」など来日ステージと結構ダブりますが、キーボードが入っている分、よりファンキーな感じで、印象がちょっと違いました。特にオリジナルはファンキーブルース路線て言ってもいいかな。一方ライヴで面白かったレゲエとのコラボレーションは、ここではあまり感じられませんでした。僕はそちらを結構期待していたのでちょっと肩透かし。でも十分楽しめましたけど。



Erskine Hawkins ; His Best Recordings 1936-1947 ; BEST OF JAZZ 4060 (2005. 9.14)

小気味よくスウィングするビッグバンドの全盛期の録音集ですから悪かろうはずはありません。「ウェーアリー・ブルース」、これって「ザ・ハックルバック」の元ネタじゃないのかな。勢いのいい「ノー・ソープ」、名曲「タキシード・ジャンクション」はやっぱり素晴らしいですね。そしてピアニストのエイヴェリー・パリッシュが作った代表曲「アフター・アワーズ」、これがオリジナルだと思いますが、ブルース・ピアニストなら一度はやってみたいと思うのも分かる気がします。これだけの大バンドがクライマックスまでピアノを全面に出すため音をひそめてるんですから。アイダ・ジェイムズが愛らしく歌う「ノック・ミー・ア・キス」もルイ・ジョーダンとは違った味わいでいいなぁ。こういうの流しながらブランデーでも飲みたいねぇ。



Erskine Hawkins ; Jukebox Hits 1940-1950 ; ACROBAT ACMCD 4011 (2008.11. 7)

BLUEBIRDやVICTORなどからのヒット曲を集めたもので、このバンドのポップでイカした面がたっぷり楽しめます。まずは素敵な「タキシード・ジャンクション」でスタート。ヴォーカルを交えた「ラップ・ユア・トラブルズ・イン・ドリームズ」や「カレドニア」はゴージャスなサウンドで格好いいし、このバンドの代表曲と言える「アフター・アワーズ」はいつ聴いてもぐっと来ます。そして後半になるとハル・シンガーで有名な「コーンブレッド」をバンドで決めて、ラストには洒落た「テネシー・ワルツ」といった具合で、全編飽きさせない選曲はさすが実力派のバンドならではです。




Erskine Hawkins & His Orch. ; 1947-1949 ; CLASSICS 1148 (2000.11.26)

「アフター・アワーズ」でおなじみのビッグバンドの録音集。ライオネル・ハンプトン楽団あたりと比べると、かなり上品で洗練された感じがしますが、そこはやはりエンターテインメントを重視した当時の楽団です。ヴォーカルものはけっこうムーディなんですが、インストものは野趣溢れています。特にハル・シンガーのホンク・ナンバーをバンドで再演した「コーンブレッド」とか、ピーウィー・クレイトンのギター・インストをバンド化しちゃった「テキサス・ホップ」とか、どうするのかと思えば、それなりに料理しちゃうのが凄いです。後者は「意趣返し」かしらね?



Erskine Hawkins ; 1950-1951 ; CLASSICS 1257 (2003. 2.16)

アースキン・ホーキンス楽団と言えば「アフター・アワーズ」(この盤にもしっかり再録盤がはいっています)が、やはりブルース色の強いビッグバンドという感じなのでしょうか。ジャズには疎いのでその辺の位置付けはよく分からないんですが、いきなり「セント・ルイス・ブルース」「ケアレス・ラヴ」「メンフィス・ブルース」とW.C.ハンディゆかりのナンバーが来ると、やはりそんな印象を持ちます。時代的にはジャンプバンドならどんどんリズムがタイトになっていく時期で、この盤からもそういった空気は伝わってきます。でも基本はゴージャズなフルバンド演奏で、「タキシード・ジャンクション」(ヴォーカルもの、インストの2種類収録)、「テネシー・ワルツ」まで入っていて、かなりハイソなバンドというイメージかな。当時のニューヨークのクラブってこんなのが連夜流れてたのかしら?



Erskine Oglesby ; Honkin' & Shoutin' ; BLACK & TAN B&T010 (2001.11.15)

2001年オランダでの録音。この人はセントルイスのサックス吹きで、アイク・ターナーやアルバート・キングとも仕事をしたベテランです。でもリーダー作は初めてかもしれません。それほど個性的ではありませんがツボを心得たサックスと、結構いけるヴォーカルを聴かせます。バックのミュージシャンはおそらくオランダの人達でしょう。ハーモニカやギターは実に一所懸命にプレイしていて好感がもてます。特にギターは曲によってかなり音色にも工夫が見られます。派手さはないけれどかなり楽しめました。



Ervin Charles feat. Richard Earl ; Greyhound Blues ; DIALTONE DT0003 (2000.10.24)

1999テキサス録音。ふたりとも知らないブルースマンですが、アーヴィンの落ち着いたヴォーカルとしっかりしたギターをベースにした、好ブルース・アルバムです。リチャードのヴォーカルはジョニー・コープランドを彷彿とさせる伸びやかな歌ですが、好みが分かれるかもしれません。ラスト2曲はおそらくライヴ録音ではないかと思われますが、これが気に入りました。ただ、印象には残らないんです。どこかでこの中の曲が流れても、「あれ、誰だっけ?」と思うんじゃないかなぁ。それだけ自分のキャパが小さくなってるのかもしれませんが。



Erwin Helfer ; I'm Not Hangry But I Like To Eat - Blues! ; THE SIRENS SR-5001 (2003. 8.12)

2001年リリース。SIRENS第1作になると思われるこの作品、素晴らしいの一言です。とにかく上品だけど味のあるピアノ。フォスターをアレンジした軽快な「スワニー・リヴァー・ブギ」からスタート、「アラビアの酋長」「ノーバディ・ノウズ・ユー・ホェン・ユーア・ダウン・アンド・アウト」「シー・シー・ライダー」「イン・ア・センチメンタル・ムード」そして「アフター・アワーズ」などのスタンダードを、ジョン・ブラムバッハのサックスを絡めながら、しっとりと聴かせます。テクニックは抜群なんですが、それをひけらかすことのない演奏で、オリジナル曲などは、ジョージ・ウィンストンがブルースを弾いているような透明感を感じました。



Esquerita! ; Rockin' The Joint ; CAPITOL/COLLECTABLES COL-CD-2716 (2005. 4. 6)

1958〜59年録音です。リトル・リチャードに大きな影響を与えたというエスクェリータですが、そのリチャードがブレイクした後だと、逆にフォロアーのような感じで捉えられてしまうかもしれませんね。「ゴリー・ゴリー・アニー・メイ」などで聴くことが出来るように、叩くようなピアノを弾き、時折「ウー」と裏がえるシャウトを決めるスタイルは、本当に良く似ています。でも声はぐっと低くややざらついていて、むしろゴスペルや説教師の怒声に近いイメージがあります。コーラスの使い方などからも、ゴスペルルーツを生かしたサウンド作りで、その分ポップになりきれなかったかもしれません。でも迫力は満点です。



Esquerita! ; Sock It To Me Baby ; BEAR FAMILY bcd 15504 (2003. 1.15)

1965年のセッションテープから。エスクェリータはリトル・リチャードに多大な影響を与えたといわれるリーゼントで有名なニューオーリンズのシンガーでピアニストですが、ここでは冒頭にそのリチャードとの会話が入っています。まず感じたのはそのゴスペルルーツで、女声コーラスの絡め方とかもそうなんですが、シャウトの感じがリチャード以上にゴスペルを感じさせます。全体にほぼ弾き語りといってよく、タイトル曲はロックンロールですが、「ノーバディ・ウォンツ・ユー(ホウェン・ヨー・ダウン・アンド・アウト)」の洒落た解釈とか、「ゲット・アロング・ハニー、ハニー」などで聴かれるプロフェッサ・ロングヘアからの影響丸出しのピアノ、MOTOWNサウンドを感じる「アンティル・ゼン」など、音楽性はかなり幅広く、大変面白かったです。もっと録音が残っていたらなと思います。CAPITOL盤も探さなきゃ。



Esther Phillips ; Release Me ; ACROBAT ACRCD 305 (2008. 6.22)

1962〜63年録音の、エスターがカントリー・ソングを歌った作品集。ジミー・ヒープが1954年に大ヒットさせたタイトル曲を始め、「知りたくないの」等、典型的なカントリー・バラードの数々を、黒いこぶしを利かせた歌で熱唱します。当時はレイ・チャールズなどもこうしたアルバムを出しており、タイトル曲は堂々のR&B1位に輝いています。何とも艶があり、ねちっこいエスターの歌うカントリー、はまると癖になりますね。この歌い方、多分ジャニス・ジョプリンにも多大な影響を与えたんじゃないでしょうか。



Esther Phillips ; Confessin' The Blues ; ATLANTIC JAZZ 7 90670-2 (2000. 9. 9)

1-7は1966年10月ウッドでのスタジオ録音、8-11は1970年1月31日L.A.はパイド・パイパー・クラブでのライヴ。それにしてもこの人の声は粘っこくてタフです。曲はスタンダードなブルースが中心で、特にスタジオ・サイドは新しさとかスリルとかはありませんが、安心して聴ける歌唱力です。ギターにはハーブ・エリスの名前も見えます。チャック・レイニーのベース、ドナルド・ベイリーのドラムがリズムを固めるライヴ・サイドでは「アイ・ラヴ・パリス」などブルース以外のナンバーもあり、余裕のある歌が聴けます。でもスリルは感じませんでした。


Etta James ; R&B Dynamite ; ACE CDCH 210 (2004.12.19)

1954〜60年にMODERNに録音されたもののコンピで、1987年に出されたとっても古いCDを中古で見つけました。デビュー作で出世作の「ロール・ウィズ・ミー・ヘンリー」や、「グッド・ロッキン・ダディ」といったいかにもロサンゼルスらしいR&Bサウンドに乗って、まだボーイッシュな感じの残るパンチの聴いた歌が炸裂しています。また「W-O-M-A-N」はマディ・ウォーターズの「マニッシュ・ボーイ」の向こうを張ったんでしょうか?曲調が似てます。面白いのが「ロール・ウィズ・ミー・ヘンリー」のヘンリーが夜中にスタジオに呼び出されたリチャード・ベリーだったのが、「へイ・ヘンリー」ではボーイフレンドのハーヴィー・フクアに代わっていること。彼とのデュオ曲もあります。で、ひとつ気になるのが、クレジットに1961年録音で、作者がGordyとされた曲が何曲か入っていること。「ユー・ノウ・ワット・アイ・ミーン」等ですが、「ブルース・レコーズ」ではこれらの曲は1960年L.A.録音になっています。確かにエッタは1961年にはシカゴのARGOに移り、ベリー・ゴーディ・ジュニアから曲を提供されてヒットさせているんですが、この辺りに詳しい人、何か教えていただけると嬉しいですね。



Miss Etta James ; The Complete MODERN & KENT Recordings ; ACE CDCHD 1085 (2009. 6. 9)

1950年代後半に録音されたMODERN系列へのシングルと、別テイクを集めた2枚組です。エッタのデビュー大ヒット「ザ・ウォールフラワー」は、ハンク・バラッドとミッドナイターズの大ヒット「ワーク・ウィズ・ミー・アニー」へのアンサーソングで、元々は「ロール・ウィズ・ミー・ヘンリー」と歌われていたんですが、このタイトルに換えられました。仕掛人はヴォーカルで参加しているリチャード・ベリーだとか。その後同じ路線の「ヘンリー」などもやっていますが、こちらのヴォーカルはハーヴィー・フクア。この人はムーングロウズのメンバーで、のちにMOTOWNのプロデューサとして活躍しますね。さて本題に戻して、エッタはボーイッシュとも言っていい張りのある声で録音を続けますが、「グッド・ロッキン・ダディ」でヒットは途切れます。でもドゥーワップ仕立てのコーラスなどけっこう面白いんです。「マイ・ワン・アンド・オンリー」なんて曲はのちにスリー・ドッグ・ナイトがヒットさせる「ワン」の元歌のようですし、「チアーズ・オヴ・ジョイ」はジョニー・ギター・ワトソン、「タフ・ラヴァー」はリトル・リチャードの影響大。2枚目はアルバム収録曲と未発表曲が中心で、ベッティ&デュプリー名義の曲も3曲収録。瑞々しいエッタの歌を聴くことが出来ます。

Etta James ; Her Best ; CHESS/MCA CHD-9367 (2000. 9.24)

1960〜70年、CHESS/ARGO/CADET から出されたエタのベスト盤。パンチの効いた歌が魅力です。ライヴなどではブルースも取り上げる(「ベイビー・フヮット・ユー・ウァント・ミー・トゥ・ドゥ」)んですが、アップテンポのナンバーが僕は好きです。特にマッスル・ショールズ録音の「テル・ママ」は何度聴いてもしびれます。同じ時のカントリー・フレィヴァーの効いたバラード「アイド・ラザー・ゴー・ブラインド」も名曲、名唱ですね。今度はオリジナルアルバムを聴こうかな。



Etta James ; Rock The House ; CHESS/MCA CHD-9184 (2009. 5.30)

1963年秋ナッシュヴィルでのライヴです。あまり大きな会場じゃない感じですが、のっけから大興奮状態で、それをぐいぐい煽っていきます。オリジナルは1曲目のテンポのいい「サムシングズ・ゴット・ア・ホールド・オン・ミー」だけで、後はブルースやソウルのスタンダードの連発。強烈なのが「ベイビー・ホワット・ユー・ウォント・ミー・トゥ・ドゥ」で、ジミー・リードのゆるい感じは微塵もなく、ガツンと来ます。ジミー・リード2曲、MOTOWN3曲にB.B.キングのレパートリー2曲、当時流行っていろんな人がカバーしていたジェシー・ヒルの「ウー・プー・パー・ドゥー」と、時代の流行を見事に反映したショーです。ギターのでヴィッド・T・ウォーカーも随所で見事な腕前を披露。ラストは軽快にアレンジした「アイ・ジャスト・ウォント・トゥ・メイク・ラヴ・トゥ・ユー」で、この時代のエッタのパワーを存分にとらえています。




Etta James ; Etta James ; CHESS/HIP-O SELECT B0006407-02 (2007. 5. 6)

1973年リリース。当時のノーマン・ホウィットフィールドなどのファンク〜ニューソウルの影響をもろに受けたサウンド作りで、冒頭の「オール・ザ・ウェイ・ダウン」なんてまるで「パパ・ワズ・ア・フォーリング・ストーン」みたい。でもそうした曲ばかりでなく、トレイシー・ネルソンの「ダウン・ソー・ロウ」ではサザンフィーリングを感じさせる見事なバラードを歌いきっています。面白いのはランディ・ニューマンの曲を3曲も取り上げていること。モダンな曲作りには上手く合っていますし、歌い方などを聴いても結構シニカルな詞なのかなと想像できちゃいます。時代に即応しようとする姿がよく出たアルバムだと思います。



Etta James ; Deep In The Night ; WARNER BROS. 8122 79923 8 (2008. 9.16)

1978年リリース。ジェリー・ウェクスラーがプロデュースを担当して、エッタの溌剌とした歌を見事に引き出していると思います。ゆったり目にアレンジされた「ピース・オヴ・マイ・ハート」のドスの効いた歌とか、ぐっと来る「オンリー・ウーマン・ブリード」、ロックの名曲を見事に料理した「テイク・イット・トゥ・ザ・リミット」、ノリのいい「ラヴシック・ブルース」など楽しく聴けます。じっくり腰を据えて歌ったキキ・ディーの「シュガー・オン・ザ・フロア」、如何にもトゥーサンらしい跳ねる「スウィート・タッチ・オヴ・ラヴ」、上げていけばキリがありませんが、充実しています。ディスコ時代にそれに流されず、きちんとエッタの歌を前に出しているのが良かったのでしょう。




Etta James & Eddie Vinson ; The Late Show ; FANTASY FCD-9655-2 (2003. 4.21)

1986年ロサンゼルスのサパークラブでのライヴ。中古で購入。こんなのあったんですね!知りませんでした。主役のふたりは当然として、バックがすごいんですよ。サックスのレッド・ホロウェイ率いるバンドってことになってますが、オルガンはジャック・マグダフでギターがシュギー・オーティスなんです。どうりで洒落たプレイが続出してたわけです。クリーンヘッドは往年の迫力はありませんが、落ち着いた唄い回しで「オールド・メイド・ブギ」「チェリー・レッド」などを歌います。来日時のライヴを思い出しました。一方のエッタはお得意の「ベイビー・ワット・ユー・ウォント・ミー・トゥ・ドゥ?」をエッチにやってますが、激しいというより、大人の夜の雰囲気ですね。リトル・ウォルターの「マイ・ベイブ」の歌詞も飛び出したりしてます。その後はゆったりと「スウィート・リトル・エンジェル」「アイド・ラザー・ゴー・ブラインド」とシュギーのギターをたっぷりフューチャー。ラスト3曲はエディとふたりでデュエットしてます。まさにタイトル通りの、落ち着いた真夜中のショーを切り取った一枚でした。



Etta James ; Let's Roll ; PRIVATE MUSIC 01934-11646-2 (2003. 6. 1)

2003年リリース。ジャケットを見ると、実に貫禄のある雰囲気なんですが、サウンドの方はかなり若々しさを感じます。ボビー・マレイとジョッシュ・スクレアの2本のギターがメインのバックは、かなりロック色が強く、曲によっては70年代のストーンズを彷彿させる感じもありますが、もう少し乾いたサウンドで、それに乗るエッタのヴォーカルも、変に力むことなく、意外なほどあっさりしています。まるで少年のようだと感じてしまった瞬間が何度もありました。ほぼオリジナルで曲も固め、自己プロデュースでこうしたサウンドを作っていくというのは、ある意味すごくアグレッシヴなことのようにも思えます。そんな中ラストの「プリーズ・ノー・モア」のサザンテイスト溢れるバラードを、どっしり歌い上げているのに強力な印象を受けました。



Etta James ; Blues To The Bone ; RCA VICTOR 82876-60644-2 (2004. 6.25)

2004年リリース。エッタがマディやウルフ、エルモア・ジェイムズなどのシカゴ・クラシックを中心にブルースのカヴァーをしていますが、さすが年季の入ったヴォーカルで上手いです。若い頃のような迫力ではなく、曲の持つブルースをしっかり消化して、じっくり歌い込んだ作品で、ボビー・マレイ他なじみのバックも落ち着いた演奏でサポートし、素晴らしい盤になりました。ドラムのドント・ジェイムズは息子さんかしら?しかしアルバムタイトルといい、痩せちゃったエッタといい、ある意味違った心配もしちゃいます。歌声からは微塵も感じられないんですがね。



Etta James ; All The Way ; RCA VICTOR 82876 76841-2 (2006. 3.19)

2006年リリース。ジャジーなタイトル曲からエッタの素晴らしい歌が全開です。ジャズやフュージョン系の曲ではクールで抑えた歌を聴かせる一方、「サウムウェア」あたりでは味わいのある歌い回しを聴かせ、さらに「イッツ・ア・マンズ・マンズ・マンズ・ワールド」のようなソウルナンバーでは漆黒のフィーリングを詰め込んでいます。「イマジン」の黒さは流石というしかないですね。後半の「パープル・レイン」「ワッツ・ゴーイング・オン」と続くあたり、何か今の時代に向けてメッセージを送りたいのかなとも思いました。特に後者のゆったりとした解釈は、そうしたメッセージ性を強く感じさせます。バックの洗練されたサウンドに流されないエッタの存在感が際立ったアルバムだと思います。



Etta Jones ; 1944-1947 ; CLASSICS 1065 (2007. 5.14)

50年以上のキャリアを誇るエッタの最初期の録音集です。ニューヨークの名うてのミュージシャンたちをバックにして、ゆったりとしたブルースを歌いますが、泥臭さは全くと言っていいほどなく、都会的で洗練された雰囲気ですね。そんな中ピート・ジョンソンのバンドでの勢いのある「アイ・メイ・ビ・ワンダフル」なんてご機嫌ですね。1947年になると少しずつブルースから離れ、ムーディなバラードが増えていきます。歌も可愛げを強調するような感じになり、これはこれでいいんですが、やっぱりメジャーのVICTORの路線なんでしょうかね。「エイント・ノー・ハリー・ベイビー」なんてジャンプナンバーも、バックが勢いがあるのに歌はさらっと上品にこなしています。こういう人がクラブで引っ張りだこだったんでしょうね。



Eugene "Hideaway" Bridges ; Man Without A Home... ; ARMADILLO ARMD 00009 (2002. 8.28)

2000年リリース。ARMADILLOはイギリスのレーベルで、録音も彼の地です。1曲目を聴くとMALACOみたいな音作りで、かなりモダンですっきりした作り。ファンキーなナンバーもありますが、ホーンの入ったバンドのサポートはうねりがやや足りないものの手堅く、聴きやすいです。ユージンのギターは控えめな音ですがテクニックはあります。ヴォーカルの方は非常に丁寧で上手いです。サム・クックの曲を2曲やっていますが、自分の歌に消化しているのは好感がもてました。でもインパクトはないんですよね。特にブルースナンバーはすっきりしすぎていて、ブルースの持つ猥雑さを微塵も感じません。むしろ「オールウェイズ」という自作のバラードで聴けるハートフルな路線の方が良いと思うのですが。若手のようですからがんばって欲しいです。



Eugene Hideaway Bridges ; Jump The Joint ; ARMADILLO ARMD 00015 (2007. 2. 7)

2003年リリース。冒頭のT-ボーン・マナーのブルースから、美しい音色のギターと、なかなか味わいのあるヴォーカルで聴かせます。イギリス在住で地元のミュージシャンを使った録音ですが、しっかりしたブルースサウンドを生み出しています。バックのギターもユージン自身で、結構洒落たコードワーク。切れのいい「シルヴァー・スリッパー」は軽快なファンキー・ナンバーで心地良いし、続くタイトル曲はブラス入りのジャンプナンバー。「リヴィング」なんてファンクブルースもギターが格好良くてお気に入りです。思わず笑っちゃったのが「ウォーク・ザ・バック・ストリート」で、ここでユージンはギターのフレーズ、ちょっと力んだヴォーカルとリトル・ミルトンになりきっちゃってます。ただ、ジミー・リードの「キャント・ストップ・ラヴィング・ユー」を自作扱いにするのはねぇ。



Eugene "Hideaway" Bridges ; Coming Home ; ARMADILLO ARMD 00021 (2007. 1.23)

2005年リリース。この人は確かイギリスで主に活動しているブルースマンだったと記憶していますが、この作品はテキサスはオースティンでの録音です。B.B.キングから多大な影響を受けていることがよく分かるギターとヴォーカルはなかなか達者で、特に歌は声も良く、歌い回しにも上手さを感じる好感度の高いものです。バンドはかなりタイトでロックっぽさもありますが、ブルースに関してはユージンのスタイルに良くマッチしていると思います。でも中になんでこんなのやるのって感じのロックナンバーが入っています。「イン・ユア・アームズ・トゥナイト」はちょっとロバート・クレイに通じるものがあってまだしも、「アイ・ニード・ユー」あたりになるとどうも狙いがよく分かりません。「ユーア・ザ・ワン」のようなソウルっぽいナンバーもちょっと軽すぎるな。もっとまっすぐなブルースを沢山やってもらいたいと思いました。



Eugene "Hideaway" Bridges ; Eugene "Hideaway" Bridges ; ARMADILLO ARMD 00025 (2008. 1.12)

2007年リリース。今作はぐっとブルース色を薄め、サム・クック・マナーの少しポップなソウルナンバーを歌っていますけど、それが彼の声に実にあっていると思います。ブルースにこだわりすぎて外してしまう人って結構いるなと思ってるんですが、この人もそうしたひとりだったのかな。リゾネイタの響きも美しい「ライフ・イズ・ノー・ミーニング」など素直な歌が並ぶ前半は、初期のロバート・クレイの雰囲気に似たものを感じ新鮮でした。録音をシンガポールとオーストラリアでやってるのも何か関係するのでしょうか。とにかくユージンの新境地を見たような気がします。



2010. 2.18 Eugene Hideaway Bridges ; Live In San Antonio ; ARMADILLO ARMD 00029 (2010. 2.18)

2009年リリース。普段はイギリスで活動しているハイダウェイ・ブリッジズの凱旋ライヴになるのでしょうか。いつも通りの端正なブルースを聴かせます。ギターはB.B.キングのサウンドでT-ボーン的テキサス流儀のフレージングが全開。またサム・クックのナンバーなどポップな曲やオリジナルのソウル・ナンバーも交え、ライヴとしての変化もつけています。何より伸び伸び歌っているのはいいです。ただバンドにうねりが少なく、後に残らないんですよね。もうひとつインパクトが欲しいな。




Eugene Church ; The Very Best Of Eugene Church ; ACE CDCHD 1067 (2005.11.30)

1956〜63年にかけて、CLASS、KING、MODERN、SPECIALTYなどに残された作品を集めたベスト盤です。ウエストコーストらしい明るさのある作品が多く、コーラスの入り方など、おそらく若いリスナーにねらいを定めたロックンロール時代の波を受けたポップなサウンドが満載です。KINGに移籍した60年代になるとジョニー・オーティスのサポートを得てより跳ねるサウンドをバックに歌っていますが、この辺り、今聴くと結構微妙かもしれません。ロックンロールとしてはちょっと勢いに欠け、ポップだとするとやや泥臭く、R&Bとしては軽すぎるんです。でもその微妙なのが面白いと思う僕みたいなのもいるわけですから、こういうアルバムは嬉しいです。マール・トラヴィスの「16トン」のドゥーワップ的解釈、なかなかイカしてますね。



The Exciters ; Soul Motion - The Complete BANG, SHOUT & RCA Recordings 1966-1969 ; KENT CDKEND 319 (2009. 8.17)

「テル・ヒム」のヒットで知られるニューヨークのコーラスグループの中期のコンピです。ソウルフルな味わいもありますが、曲の作りはぐっとポップ。思いっ切りMOTOWNを意識した「ユー・ノウ・イット・エイント・ライト」や「イフ・ユー・ウォント・マイ・ラヴ」のような曲があるかと思えば、フィフス・ディメンションに通じるコーラスワークも聴かれ、けっこう多彩です。その中で一番ヒットしたのはファンキーな「ユー・ドント・ノウ・ホワット・ユーア・ミッシング」で、これはグルーヴ満点で腰に来ます。これ以降はアルバム収録曲ということもありますが、ゴージャスなアレンジの曲が増えてきます。さすがメジャーのRCAって感じですね。




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