CD INDEX(K)
 

アーティストの名前順に並んでいます。「TODAY'S CD」で紹介したものは紹介文が付いています(日付)。紹介文のないものは「おすすめCD」か「お気に入りのミュージシャン」の中で紹介されているもので、「Click Here!」をクリックすると該当のページにジャンプします。

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K. C. Douglas ; Mercury Blues ; ARHOOLIE CD 475 (2005. 3.25)

1974年録音。タイトル曲はそのオリジナルがウェスト・コースト・ブルースの名コンピ「Oakland Blues」の冒頭を飾っていて有名ですが、こちらはその再録です。リチャード・リギンズのプリミティヴなハーモニカにロン・トンプソンのエレキギター、ドラムといった構成で、時代もありやや洗練された音作りになっていますが、K.C.のどことなくほわっとした雰囲気は健在です。流石に22曲立て続けに聴くとやや飽きてしまいますが、それでも解釈が面白い「キャットフィッシュ・ブルース」など聴き所もありました。



Karen Carroll ; Talk To The Hand ; DELMARK/P-VINE PCD-23968 (2005. 9.22)

1997年録音。最近P-VINEが再発しているDELMARKのシリーズの1枚で、以前聴いたことのなかったものです。カレンはシカゴで活躍するヴォーカリストで、ゴスペル仕込みのドスの効いた声と、豊かな表現力が魅力です。時折男声かと思わせるような声でバラードからアップナンバーまでこなしていきます。バックは手堅いメンバーで安定感があり、時折入る女性コーラスがゴスペルの香りを漂わせるのもなかなかいいですね。オリジナル曲が多く、意欲も感じます。でも、何かもうひとつ「これ」ってものがないんですよね。「アタシよ、アタシ!」って自己主張があれば。それは曲なのか歌い方なのかは何とも言い難いんですが。



Kane Glaze ; Americajun ; CSP CSP-1030 (2003. 5.18)

2002年リリース。タイトルからフィドルやアコーディオンを期待したんですが、冒頭のタイトル曲はおおらかで明るいカントリーソングでした。軽めのブラス(シンセみたいに聞こえる)の入ったスワンプ・ポップで、ヴォーカルはかなり達者。ファッツ・ドミノの「アイム・レディ」、ロイド・プライスの「ロウディ・ミス・クロウディ」、リトル・リチャードの「リップ・イット・アップ」などニューオーリンズゆかりの有名曲をライトに料理してたり、ビートルズの「テル・ミー・ホワイ」までやってます。そつなく気持ちいいんですが、僕には粘り気が足りないかな。



Kansas City Band ; バレルハウスでヘイ!ヘイ! ; AUDIO PARK APCD-1020 (2008. 6. 2)

2001年録音のデビュー作です。ジョー・ターナーなどカンザス・シティの音が大好きな下田卓が、時には日本語の歌詞を乗っけて往年のカンザス・シティ・サウンドをやっちゃおうというアルバムで、日本語詞はスウィンギン・バッパーズに通じるものがあります。演奏も巧みなんですけど、ちょっとジャズジャズしていてジャンプ特有の隈雑さが出切ってないのが残念。また英語の歌はちと物足りないなぁ。



Kansas City Band ; Dive Jive ; HOMEWORK HW-003 (2008. 6.10)

2003年リリース。このアルバムタイトルと、その音楽性から、僕はリーダーの下田卓は絶対吾妻光良の影響を受けてると確信しました。でも一方に宇崎竜童も見えるのがこの人の魅力。バンド演奏は古いカンザス・シティ・スタイルのジャズやジャンプ、これに笑いとペーソス溢れる日本語の歌詞を乗せて歌うんですから面白くないわけがありません。そしてスウィンギン・バッパーズとの決定的な違いは、全員がプロのジャズ・ミュージシャンてところ。だから演奏がこなれてるんです。タイトル曲に「なんていい話」、「おーい・お医者さん」、笑えます。「26インチ・ブギ」はカンザス・シティ・バンド版サイクリング・ブギってところ。そして「雨雲の向こう側」、「ラップ・ユア・トラブルズ・イン・ドリーム」の見事な和訳です。あっぱれ!



Kansas City Band ; 大人の事情 ; HOME WORK HW-012 (2008. 7. 1)

2007年リリース。下田卓率いるカンザス・シティ・バンドですが、メンバーを一新してぐっとサウンドが締まりました。要は何といっても小林創でしょう。彼のピアノが叩き出す大きなストライドやブギウギのビートが、バンド全体の音をぐっとノリのいいものにしていると思います。それに乗って下田の歌う日本語の歌もまた絶好調。競馬好きの彼らしい「ちょっとそこ行くレイディ」、笑えるコーラスの「モイスチャー・ガール・ブルース」、そしてやっぱりって感じのダウンタウン・ブギ・ウギ・バンドの「ジプシー・マリー」、アルバムタイトルの情景を歌った「帰り道」と、すばらしい演奏に支えられて炸裂する下田ワールド。いやいや快作ですよ、これは!



Kashmere Stage Band ; Texas Thunder Soul 1968-1974 ; NOW AGAIN NA5023 (2007. 2. 1)

これは何とテキサスのある高校のバンドのレコーディングなんですが、ものすごいファンクネスです。多数のブラスの入ったアンサンブルで、はっきりいって音の調和は悪かったり、プロじゃないなと思う場面もあるんですが、その野趣溢れるうねりは強烈です。2枚組のうち1枚目はスタジオ録音、2枚目はライヴと別テイク集ですが、本テイクの5拍子じゃない「テイク・ファイヴ」あたりからおやっと思いました。スライ&ファミリー・ストーンの「サンキュー」は3テイク入ってますが、1枚目に収録されたスローファンクなど、むちゃくちゃなグルーヴ感でたまりません。このバンドのテーマとも言える「ゼロ・ポイント」、ちょっとダニー・ハザウェイの「ザ・ゲットー」を意識したようなコーラスが印象的、こんなの10代からやったり聴いたりしてるから、強烈なノリが出せるんでしょうね。アメリカの高校生に脱帽!



Kathi McDonald ; Above And Beyond ; MERRIMACK MR10109 (2000.10.30)

1999年リリース。ブライアン・オーガーのキーボード、リー・オスカーの澄んだハーモニカのサポートを得て、熟れきった歌姫が熱唱します。全体にアップ気味の曲で力んだ唄い方をしたものより、バラードをじっくり唄い込んだものの方に魅力を感じました。特に「アイ・プット・ア・スペル・オン・ユー」はスクリーミン・ジェイのオリジナルとはまったく違った意味で、鬼気迫るものがありました。ただ、ラストに1997年のライヴが収録されているんですが、これだけなんだか浮いた感じがします。



Katie Webster ; Katie Webster ; PAULA PCD-13 (2000. 8.10)

1950年代末から60年代初頭にかけて、ジェイ・ミラーによって録音されたもの。いわゆるヴィンテージ録音集です。達者なピアノと素晴らしいヴォーカルが満喫できます。特に声質はシスタ・モニカが師匠と仰ぐだけのことはあります。ちっとも力みがないのにストロング。ピアノもジェイ・ミラーのセッションで鍛えられたワザは素晴らしいものです。代表曲「シー・オヴ・ラヴ」も収録。特にバラード系の、適度なルイジアナ的ゆるさが心地良いです。名盤!


Katie Webster / Rockin' Sidney ; The GOLDBAND Years ; GOLDBAND GR-7839
(2004.11.16)

データやクレジットが何も書いてありませんが、おそらく1970年代前半の録音ではないかと思います。ジャケットにはケイティとロッキン・シドニーのふたりが写っていますが、ほぼケイティのアルバムといっていいでしょう。曲はスワンプ・ポップを中心に、少しゴスペルテイストのあるソウルナンバーや、軽快なロッキンナンバーもあります。ケイティの歌は、曲によって微妙に調子っパズレになることもありますがご愛敬。ほとんど何でもありのスタイルで、特にバラード系は良いムードですね。さてアコーディオンの音が入っていないので、シドニーさんはどこにいるのかよく分からないんですが、どうやら「マイ・リヴァー」その他数曲でコーラスしているのがそのようです。もうちょっとデータをしっかり示してほしい気がしました。



Katie Webster ; The Swamp Boogie Queen ; ALLIGATOR ALCD 4766 (2002. 2.22)

1988年リリース。「人間ジュークボックス」と言えばスヌークス・イーグリンですが、このケィティも勝る劣らず何でもありの人です。ゲストにロバート・クレイ、ボニー・レイット、キム・ウィルソンらを迎え、ジョニー・テイラーの大ヒット「フーズ・メイキング・ラヴ」から途中持ち歌の「ノー・ブレッド、ノー・ミート」を挟んでオーティス・レディング・ナンバーなどソウルフルな曲を中心にした選曲で、ふくよかなヴォーカル(ちょっと音程がしゃんとしてないんですが)と、達者なピアノ(こちらは音質がややチープ)を聴かせています。やっぱり「シー・オヴ・ラヴ」みたいなルイジアナ系の曲が似合っていますが、この頃の意欲は充分に感じられます。



Kawol ; Let's Go To Bethlehem And See This Thing That Has Happened ; PLAKA FOR EARDRUM PFED121 (2010.12.24)

2007年リリース。カオルはコージのサポート・ギタリストとして知ったんですが、先日偶然お会いしてCDを購入しました。このクリスマスソング集は、ギターの音の響きを最大限生かしたもので、それも、生音というわけではなく、適切なエフェクトをかけた音処理がされています。背後にエレキの音が秘かに忍ばせてあったり。その結果、透明感があるようで、どこか不安げな雰囲気が漂います。この計算されたサウンドは癖になりますね。こういうBGMで迎えるクリスマスというのは、ある意味とてもお洒落かもしれません。




Keb' Mo' ; Keb' Mo' ; OKEH/EPIC EK 57863 (2006.11.28)

1994年リリース。ケブ・モのこれがデビュー作になるんでしょうか。アコースティック・ギターの音色の美しさを存分に生かした端整なギタープレイに、ややしゃがれ気味だけどこの時すでに完成済みと言ってもいい味のあるヴォーカル、こりゃいけてますね。ブルースがベースで、オリジナルの中にロバート・ジョンソンが2曲と、W.C.ハンディ賞を狙ってたかのような構成ですが、彼の本当の魅力は、ラテンの隠し味のある「テル・エヴリバディ・アイン・ノウ」とか、カリフォルニアの大学のキャンパスから聞こえてきそうな弾き語りフォークの「ヴィクティムズ・オヴ・コンフォート」、ソウルフルな「エニボディ・シーン・マイ・ガール」や「ドント・トライ・トゥ・エクスプレイン」、ポップな「シー・ジャスト・ウォンツ・ダンス」とその幅の広さだと思います。歌詞も素敵そうなんですけど、聴き取れないのが残念。名盤と呼んでも良いアルバムだと思いました。



Keb' Mo' ; Slow Down ; OKEH BK 69376 2000. 6.22

1998年録音、中古で購入。ケブ・モは初めてまともに聴きました。タジ・マハルを若くしたようなアコースティック・サウンドで、ブルースに限らず、さまざまなアメリカン・ルーツ・ミュージックが混じり合いながら、ケブ独自の世界を作り出しています。印象は「気楽に楽しんでるなぁ」といったところですが、決してラフではありません。強烈な押しはないですが、ぼんやり聴いていると、不思議とこっちもまどろんでくる感じです。ビールより軽めのカクテルの方が合う感じ。すいたリゾートの高速を制限速度でクルーズするのにいいかな。


Keb' Mo ; The Door ; EPIC/OKEH BK 61428 (2005. 9. 5)

2000年リリース。新譜コーナーに平積みになってたんで買った1枚。意外と古い作品だったのね。ブルースだけでなくカントリーなどアコースティックの面白さをあれこれ詰め込んだサウンドで、そこに楽に歌うケブのヴォーカルが乗っているのが実に自然です。バンジョーが効果的に響く「スタンド・アップ」の勢いのいい演奏が一番気に入りましたね。インパクトのある1曲が欲しい気もしますけど、アルバムのバランスは思いっ切り崩れちゃいそう。そう思わせる肩の力の抜け具合が絶妙な1枚です。さすがにJ.J.ケイルほどじゃないですけどね。



Keb' Mo' ; Big Wide Grin ; OKEH LK 63829 (2006. 8.20)

2001年リリース。ここのところケブの旧作を聴き直しているんですが、この作品あたりから、タジ・マハルに通じる言ってみればオルタナ・ブルースとでもいった雰囲気からぐっと前進してきたように思います。ギャンブル/ハフの「ラヴ・トレイン」のユニークなアコースティックヴァージョンがまず面白く、またスライの「ファミリー・アフェア」やスティーヴィー・ワンダーの「イズント・シー・ラヴリー」などクールなファンクネスを感じさせるミディアムを取り上げているのがそういった印象を強めている理由でしょう。そんな中スリム&スラムの「フラット・フット・フルージー」をカヴァーするなんて!何という引き出しでしょうか。新作の素晴らしさがどういったところから出てくるかが分かった気がします。もちろん達者なスライドプレイもたっぷり入っていて、ケブの魅力全開のアルバムだと思います。



Keb' Mo' ; Keep It Simple ; EPIC/OKEH EK 86408 (2004. 2.20)

2004年リリース。いろんなタイプのリゾネイタを使ったスライドプレイと、渋めのヴォーカルを軸に据えたケブの新譜は、明るく転がるピアノやコード展開にジャズの香りを漂わせる一方、結構跳ねるリズムがアコースティック特有のダイナミックな感じを上手く引っ張り出していて、何だか70年代初期のカントリーロックのサウンドに通じる雰囲気を感じました。様々な楽器やコーラスの織り成す音が有機的に結びついて、立体感のあるサウンドになっていると思います。曲調も適度にポップで、マンドリンなどを使った音使いも明るさが感じられ、タイトル曲のようなベースにブルースを感じるものでも、新鮮さがあって楽しめました。タジ・マハルとは少し方向性の違う、ケブの意欲が詰った1枚。



Keb' Mo' ; Peace...Back By Popular Demand ; OKEH/EPIC EK 92867 (2004.10. 9)

2004年リリース。ジャケットに鳩がオリーブの葉をくわえ、ピースマークが踊るデザインから分かるように、反戦平和歌の大カヴァー集です。60年代〜70年代にかけての、バッファロー・スプリングスフィールド、マーヴィン・ゲイからラストはジョン・レノンの「イマジン」まで、途中一応キングストン・トリオのカヴァーというクレジットにはなっていますが、「トーク」では、自身の言葉で大統領に語りかけています。サウンドはアコースティックを軸にしながら、エレクトリックを巧妙に絡めた練り込まれたサウンドで、ケブのリゾネイターがむしろモダンさを引き出しています。出すぎないバックに、落ち着いた歌で、ジワッとメッセージを伝える姿は、力づくのデモンストレーションではない、本当に相手の心に伝えようという、強い意志を感じました。うがった見方をすれば、これも商業的なセールスの計算でやっているのかもしれないし、大統領選挙を見据えた時期のリリースなのかもしれません。でも、歌からは真摯なものを感じました。まさにこんな時代が生んだ好盤です。



Keb' Mo' ; Suitcase ; EPIC/ONE HAVEN/RED INK 82876776212 (2006. 7. 2)

2006年リリース。裏ジャケットを見るとタイトル通り古びたスーツケースから、懐かしい品々が覗いてるって雰囲気なんですが、サウンドは新しいです。もちろんリゾネイターのスライドを軸に据え、粘り気のあるケブのヴォーカルを前面に押し立てているんですが、マイケル・フィニガンやジョン・クリアリーといったゲストのキーボードを加え、アコースティックな味わいなんですけど、どこかファンクネスを感じさせるサウンドが、アフリカやらカリブ、はたまた太平洋にまで想いを寄せるようなサウンドでユニーク。確かにタジ・マハルやライ・クーダーにも通じる雰囲気はあるんですが、ぐっと練れているというか、多彩なギターのサウンドを上手く楽曲の中に取り込んでいるように感じました。そして最大の魅力は曲の良さなんです。柔らかさや暖かさを感じさせる曲が多く、ブルース色の強い「リタ」でもノリはきっちり、そして十分ポップなメロディラインと、なんだか70年代のポップスの味わいとか、スティーリー・ダンとかに通じるものまで感じてしまいました。そういう意味では西海岸ロックの正統な後継者とも言えるかも。ベン・ハーパーより余裕を感じ、クリス・トーマス・キングより豊かで、エリック・ビブより柔軟。かといってコリー・ハリス程は過激にならない、このケブの持ち味、僕は大好きです。今のところことし一押しですね。



Keb' Mo' ; Live & Mo' ; YOLABELLE INTERNATIONAL YBI-0901 (2009.12.31)

多分2009年リリースの、ライヴとスタジオ作がミックスされた新譜です。ライヴはちょっとジャジーで落ち着いた演奏。もう少しアコースティックな感じを前に出しているのかと思いましたが、けっこうキーボードがサウンド面で大きな役割を果たしていて、じっくり歌っている印象を受けました。「パーペチュアル・ブルース・マシーン」ではけっこうガツンとしたブルースをやってますが、むしろ全体の中では異色。スタジオ作も大きく印象は異なりませんが、「ガヴァメント・チーズ」はちょっとファンキーで格好良かったです。全体として知性あふれる大人の穏やかさを感じさせます。個人的にはもうちょっとスリリングでもいいかなと思いました。




Louis Prima & Keely Smith ; Hey Boy! Hey Girl! ; CAPITOL/DGB 8409 (2009. 9. 6)

1959年の同名のアルバムに、同年のキーリー・スミスの「スウィンギン・パーティ」というアルバムを2on1にしたものです。したがって主役はキーリー。タイトル曲の軽妙なデュオから、プリマのエンターティナーぶりが爆発しています。「バンbナ・スプリット・フォー・マイ・ベイビー」あたりを聴いていると、吾妻光良が好むデュオって雰囲気。声も似てますね。サム・ビューテラの歌う「フィーヴァー」、プリマの軽妙な「レイジー・リヴァー」、ニューオーリンズらしい「聖者が街にやって来る」、落ち着いたキーリーのヴォーカルが光る「枯葉」など、デュオ名義の方はプリマのサックスも生き生きしています。一方のキーリー名義の方はバックがネルソン・リドルのオーケストラで、ぐっとおとなし目の演奏。その分キーリーの落ち着いた達者な歌がたっぷり楽しめます。良質なジャズ・ポップ・ヴォーカルといった感じ。




Keith Dunn ; Alone With The Blues ; DEETONE DED 5501 (2008. 7.21)

1998年リリース。ハーモニカ吹き語りという、大変ユニークなスタイルのアルバムです。キースはシカゴ・ブルースのリトル・ウォルターやサニー・ボーイ2世からの影響を強く受けているようで、特に歌はサニーボーイ直系と言ってもいいでしょう。中にはジャジーな「クール・ストラッティン」(ミーターズの曲とは違います)なんていうのをア・カペラで歌ったりもしていて、達者なところを聴かせます。でもなんで「吹き語り」なんでしょうね。ハーモニカって自分では歌の伴奏が出来ませんから、全曲このスタイルって言うのはなんだか必然性がないように思いました。




Keith Frank ; What's His Name? ; MAISON DE SOUL MDS 1053-2 (2002.12.10)

1994年リリース。1972年生まれのキースは4才でファミリーバンドでドラムを叩いていたそうです。そして22才のデビュー作では、縦乗りのリズムにのった粘っこい腰のあるアコーディオンが強烈なグルーヴを生み出します。でも歌には何かほっとさせる暖かさを感じるんです。「フィール・ソー・バッド」なんてR&Bチューンもキースが歌うと思いっ切り田舎っぽくて、これがいいんですよね。オーヴァーレブ気味の録音も、テストと本番のテンションの差なんでしょうが、迫力を増している感じでグッド!一方でしっかり伝統を継承するアコーディオンプレイもあって、楽しく聴けました。でもこの人を聴いていて気付いたんですが、アコーディオンの蛇腹のコントロール次第で、まさにハーモニカのタンギングのような切れが出るんですね。僕、だんだんザディコが面白くなってきました!



Keith Frank ; Movin' On Up! ; MBS 1055-2 (2003. 1.28)

1995年リリース。キースの2作目になるのかな?ちょっとつまったような音のアコーディオンで始まる「ハヴ・マーシー」を聴くと、やっぱり新しい世代のクールさを感じます。キースのアコーディオンは特にリズムがシャープで、バックバンドのタイトでドライな感じにぴったりマッチしています。でも歌の方はどこか暖かみがあって、ホッとする感じがいいです。伝統的なザディコのスタイルをしっかり下敷きにしながら、新しさも繰り入れていこうという姿勢がこの頃からはっきり出てます。アコーディオンの音の多彩さも変化があって面白いです。ベースが唸る「テイク・イット・トゥ・ザ・ハイウェイ」なんて、適度にロックっぽく、高速飛ばしながら聴いたら爽快だろうな。途中コースターズの「ポイゾン・アイヴィー」のメロディが出てきたりするのも笑えました。



Keith Frank ; You'd Be Suprised! ; MAISON DE SOUL MDS-1063 (2003. 3. 3)

1997年リリース。これ、タフです。キースはみんなタフっていえばタフなんですが、トータルにタフに感じました。ヒップホップあたりを意識した面も感じますが、とにかくタイトでゴリゴリ押してくる感じが強いですね。「ラスタ・マン」なんてもろレゲエなんでしょうが、抜けた感じが少なく、押しが強いです。「バッド・ボーイズ」などもレゲエからの影響が強く、ダンサブルですね。ライヴ盤に一番感覚が近いかな。変なギミックがないぶん分キースの個性が際立った1枚だと思います。やっぱりザディコの今を背負う男って感じですね。



Keith Frank ; On A Mission ; MAISON DE SOUL MDS1069 (2003. 2.12)

1998年リリース。まずのっけのタイトル曲からかなりヒップホップを意識してるんじゃないかなって感じです。リズムはタイトでアコーディオンのサウンドもかなり押さえた感じ。クールです。全体にリズムが引き締まっていて、そこにジェニファーのブイブイベースがからんで来る不思議な雰囲気。2部に分かれたクリフトン・シェニエの「ザディコ・エ・パ・サレ」その1でのブ〜〜〜ンていうベースは言いようのない雰囲気、そしてその2はまるでレゲエそのものです。この辺りのアプローチが新時代を切り開いているんでしょう。こんな中にひょいと「ハウ・ディープ・イズ・ユア・ラヴ」みたいなムーディでモダンなバラードが入ってくるのがキースの懐の深さかな。さて強烈なのは後半。ストーンズの「サティスファクション」、前段ではレゲエ風アレンジでいかにもキースらしいと思っていたら、後段でモロに例のリフ付きのスタンダードなパターンへ。ライヴでやったら受けるんだろうな。でも一番ビックリしたのがラストの「カミング・ストレート・フロム・ソワロー」!キックとベースのコンビがまるでペダルティンパニみたいなサウンドを作りながら、これまたヒップホップっぽい手法でエコーをかけた声が被せてあり、妙な雰囲気だなと思ってたら、だんだんギターがファンクっぽくなって...ありゃありゃ!なんとこの歌は「P-ファンク」ですよ!まさに仰天の一発!この曲だけで僕は完全に参りました!



Keith Frank & The Soileau Zydeco Band ; Live At Slim's Y-Ki-Ki ; SHANACHIE 9018 (2002.12.14)

1998年ルイジアナはオペルーサスでのライヴ。5時間半の長丁場からベストトラックをキース本人がチョイスしたようで、ダンスホールと化していただろう会場の熱気もビンビン伝わってきます。全体的にあおり立てるというよりはクールな演奏で、隙間いっぱいのベースと2本のギターのポリリズミックなカッティングに支えられ、キースはタイトなアコーディオンと歌を聴かせます。時々あげる掛け声に客が反応するあたり、如何にも地元のライヴって感じで、リラックスした雰囲気。長丁場なのにテンションがあまり変わらずどんどん曲をやっていくのが凄いです。体力溢れてるな。もう少しライヴらしい曲の繋がりを考えた編集だともっと臨場感が伝わったかも。でも身体、揺れますよ。好盤です。



Keith Frank & The Soileau Zydeco Band ; Ready Or Not ; SHANACHIE CH 9023 (2002.12.29)

2000年リリース。キースのザディコはビートのタイトさとアコーディオンの粘り気が最高ですが、これもそうした良さのたっぷりつまったアルバムです。カラッとしたスネアとしっかりボトムを支えるベースに乗っかって、ぐいぐいドライヴする感覚はまさにキースならでは。時折裏声の混じるヴォーカルはクールな印象があり、かなり癖になります。「アイ・ゴット・ローデド」「アイ・ダーン・ゴット・オーヴァ」などのブルース・フィーリングの溢れる曲でもそのビート感は崩れません。後者で響くギターもクールでいいなぁ。「バック・トゥ・ザ・50's」ではドゥーワップをメドレーで聴かせたり、タイトル曲ではモダンなアプローチを聴かせたり、聴き所満載の好盤です。



Keith Frank & The Soileau Zydeco Band ; The Zydeco Icon ; SOULWOOD SWR-5800 (2003. 3.12)

2003年ピカピカの新譜です。キース、風格が出てきました。前作のようなブイブイいうファンクのイメージより、ちょっとクールで余裕たっぷりのアルバム作りをしているように感じました。例えばなんとジョー・サンプルの参加した「マルディ・グラ・セカンド・ライン」なんて、さらっとやっちゃってるんですが味があるんですよ。ファミリー(多分ベースのジェニファーの子)の子供たちに歌わせたレイ・チャールズの「ヒット・ザ・ロード」なんて微笑ましいし、続く「ジャンバラヤ」の、ちょっとファンクがかった、でもユルユルのキース節なんて聴いちゃうと、やっぱり僕はふにゃふにゃになっちゃいます。おそらく「売り」の「ビッグ・バット・ウーマン」あたりはクリス・アルドワンに通じるコーラスワークが入り、この辺が現地のトレンドなのかな。



Keith Frank And The Soileau Zydeco Band ; Going To See Keith Frank ; SOULWOOD SWR005 (2005. 3.12)

2005年リリース。現在のザディコの帝王と言っても良いキースの新作は、期待を裏切りません。アルバムタイトルや「ユー・ニード・サム・キース・フランク」といった、自己顕示欲に溢れる曲もちっとも嫌味にならないのが彼のすごさです。ビート的にはザディコの伝統をしっかり踏まえながら、ファンクやヒップホップの影響を随所にちりばめたもので、この伝統と新しさの見事な融合が、彼の人気の秘訣でしょう。「シェイク・イット・ダウン」(サヴァイヴァー・ミックス)ではミーターズの「シシー・ストラット」と「ソウル・アイランド」をはめ込んだり、「フラットピッキン・フラメンコ・メドレー」ではなんとフラメンコの合間に「朝日の当たる家」のギターが挿入など、遊び心も満載です。平均4時間という長丁場のライヴをこなすキースの背景にある、音楽的な幅の広さを見せつけた作品と言えます。



Keith Frank & The Soileau Zydeco Band ; Undisputed / To Be Perfectly Frank ; SOULWOOD SWR0010 (2007. 2.25)

2007年リリースのキースは新譜は2枚組です。「異論なし」と題された1枚目は、新しいR&Bの音などを意識した、現在のザディコシーンの王道を行くサウンドです。乾いたドラムにドライなアコーディオン、洒落たコーラスワークと、何か目新しくやるというよりは、キースの今の音を素直に録音したように思います。タイトル曲はモロレゲエで、ホーンがなかなか効いています。また、女性の「ごめんなさい」というセリフから入る「アンジー」はどこか切迫感がありますし。この他いかにもといった語りから入る「ハスラズ・ラウンジ」、ジェニファーのベースがブイブイ唸り、ノリス・ブッテのラップをフィーチュアした「アイム・ジャスト・ア・ハスラ」、ラップナンバーの「ゲット・ロウ」など、ラフィエのシーンを牽引しているキースならでは。一方「完璧なフランクへ」と題された2枚目の方は、フランク一族だけで録音された、どちらかというと伝統に根差したザディコアルバムになっています。トゥーステップにワルツと、キースの他ポールやプレストンといったフランク一家の人たちが交代でアコーディオンを弾いています。サウンドも1枚目よりもウェットで緩やかな感じ。そんな中「天使のハンマー」「ラヴ・ザ・ワン・ユーア・ウィズ」なんてポップな曲が上手く入れてあります。個人的には2枚目の方が聴いてて気持ちがよかったです。



Keith Frank ; Loved. Feared. Respected. ; SOUL WOOD SWR011 (2008.12.15)

2008年リリース。例によってジェニファーらフランク一族のバンドによる演奏は安定感抜群。抑え気味だけどしっかり要所は押さえたアコーディオンはさすがです。新世代ザディコの要素をたっぷり取り入れながらも、タイトなリズムのトゥーステップは奇をてらうことのないダンス・チューンで、ラフィエで一番のライヴ・バンドの面目躍如と言ったところでしょう。ファンキーなタイトル曲、ちょこっとレゲエの香りのする「トレイル・ライド」、伝統的な「ザディコ・ソン・パ・セール」など、懐の深い選曲で17曲聴いていて飽きませんでした。




Kelly Joe Phelps ; Tap The Red Cane Whirlwind ; RYKODISC RCD 10801 (2005. 2.28)

2004年カリフォルニアはサンタ・モニカでの弾き語りライヴの模様を収めたものです。冒頭の「ハード・タイム・キリング・フロア・ブルース」は最近多くのミュージシャンに取り上げられていますが、このヴァージョンはゆったりと丁寧に歌われていて、なかなかいい感じです。ブルースとゴスペルとフォークをうまくミックスして、安定感のあるフィンガリングのギターをバックに、言葉を噛みしめるように歌うケリーの姿勢には好感がもてます。でも1曲が長いんですよ。全部6分以上。それを特に大きな盛り上がりも無くやるわけで、このライヴ会場に僕がいたら確実に居眠りします。これが持ち味なのかもしれませんが、メリハリ不足でちょっと退屈に感じました。



Kelly Joe Phelps ; Tunesmith Retrofit ; ROUNDER/BUFFALO LBCY-316 (2006.10. 3)

2006年リリース。ROUNDERに移籍した新作は、フィンガーピッキングで達者なギターを奏でながら、力まないけど適度にソウルフルなヴォーカルを聴かせます。作品ごとにどんどんフォーク的な要素が増えてきたように感じますね。時にバンジョーを奏で、音の粒立ちのいいギタープレイト並び、彼の卓越したテクニックを聴くことができます。ギターを伴奏楽器としてこれだけ達者に弾き、なおあくまでもメインは歌だというこのアプローチは、いわゆるギター中心のフィンガーピッカーと彼が一線を画している部分で、歌ものが好きな僕にとっては、こちらのスタイルの方がずっと好きです。前作より曲がコンパクトになった分、かえって主張がはっきり聞こえてくるような気もします。歌詞をじっくり読んでみたいです。



Kelly Joe Phelps ; Western Bell ; BLACK HEN BHCD-0053 (2009. 4.23)

2009年リリース。これはびっくりしました。いきなり不協和音の塊のような現代音楽なんだもの。ケリーがジャズ・サークルの出身で、それもかなり実験的な音楽をやっていたことを思えば、このアプローチも理解はできますが、う〜ん、僕にはちょっと難解すぎました。時折耳を奪われる楽器の響きもあるにはあるんですけどねぇ。




Ken Marvel ; Mr. Swamp Pop ; TAMM TMCD-0402 (2003.11.23)

2003年リリース。これはタイトルに偽りなしってやつですね。ドラムにウォーレン・ストーム、ギターにシェルトン・ソニエ、さらにアコーディオンにはスティーヴ・ブルーにウェイン・トゥープスと、豪華メンバーに支えられて、御機嫌なスワンプ・ポップを繰り広げています。特に「アイ・ガット・ローデド」「グッド・ゴリー・ミス・モリー」「アイム・ウォーキン」といったR&Bもののカヴァーが秀逸で、イントロ一発で曲が分かるのに、味わいがスワンプ・ポップそのものっていう仕上がりに、底力を感じました。この手の音楽はそれほど好きってわけじゃないんですけど、このアルバムは掛け値なしに面白く聴くことができました。



Ken Rauber ; Contemplation (View) ; POLYDOR 24-4005 (2009. 9.14)

1970年リリースのアルバムのストレート・リイシューです。特に詳しいことも知らず、なんとなくCDコーナーにあったものを買ってみたんですが、これって「エリア・コード・615」の母体となったアルバムなんですね?実はカントリーとかナッシュヴィル・サウンドにはあまり興味がなく、エリア・コード・615も聴いたことないんですよ。でもこのタイトな感じは好きですねぇ。歌はボブ・ディランの影響を感じさせるもので、ちょっと線が細いため、あんまりぐっと来る感じはないんですが、バックのドタバタしたドラムとか、ファズ・ギターの使い方など、時代も感じますが好きです。特にソウルフルなギターとスチールが絡む「アン・アンダースタンディング・サーヴェィ」のサウンドとか、続く「ワンダー・オン」のビートなど、結構はまりそうです。この人よりエリア・コード・615に興味を持ちました。今度買ってこようっと。




Ken Saydak ; It's My Soul ; EVIDENCE ECD-26131-2 (2005. 8.16)

2005年リリース。シカゴを中心に活躍していたセッションピアニストのリーダー作です。プロデュースとギターにフレッド・ジェイムズが関わり、サウンド的には予想通りロックっぽい色付けで、明るい感じに仕上げられています。ピアノの腕はもちろん折り紙付きなんですが、結構いけると思ったのがそのヴォーカル。ちょっとスモーキーで投げやりな歌い方なんですが、どこかスティーヴィー・レイ・ヴォーンにも通じるし、誰だか失念したんですが聴いた覚えのある歌い方。バックのサウンドとも上手くマッチして、結構耳に残るんです。プロデュースのせいもあるかもしれませんが、少しカントリーがかったミディアムの歌で特にいい味が出ています。



Kenny Burrell ; Midnight Blue ; BLUE NOTE CDP 7 46399 2 (2005. 4.14)

1963年、スタンリー・タレンテイーンをテナーサックスに迎えたセッションです。ラテンビートの効いたクールな「チトリンズ・コン・カーン」はやはり名曲ですね。全体に抑えた演奏のなかで、ケニーはクールにフレーズを紡ぎ出していきます。「ソウル・ラメント」などからは少しスパニッシュギターの雰囲気も感じますし、タイトル曲のコードワークは印象的ですね。ブルースも抑制が効いていて、全体に真夜中の音楽という雰囲気で貫かれています。深夜放送のBGMにいいかも。



Kenny Neal & Billy Branch ; Easy Meeting ; ISABEL IS 649801 (2003. 3. 9)

1998年フランスで録音された音源が2002年になって登場しました。ケニーとビリーはいずれもバリバリの現役で、それぞれ自己名義の録音を出しているわけですが、なぜかこのふたりがアコースティック・セッションをしました。まずビックリは1曲目の「ゴーイン・ダウン・スロー」で、アップテンポのこの曲は初めて聴きました。死に直面している人の歌としてはちょっと元気すぎる気もしましたが、なかなかいい感じです。どちらかというとケニーの歌にビリーが絡むセッションの方が面白いかな。ケニーの方が歌に深みを感じるのと、ビリーが自在にハープを吹いているのが上手くマッチしています。それに対しビリーの方はちょっと大先輩たちの歌をストレートにやりすぎてる感じを受けました。その分スリルが不足してます。でも上手いですよ!「マイ・ベイブ」などのリトル・ウォルター・ナンバーでのハープは完璧なまでのウォルター節になってます。ふたりで(一部ギターのダブあり)これだけやれたら楽しいだろうな。



Kenny Neal ; A Tribute To Slim Harpo & Raful Neal ; TRUE LIFE ENTERTAINMENT no number (2005.11.14)

2005年リリース。ケニー自身のライナーによれば、このスリム・ハーポのトリビュート盤は3年前から企画され、ファミリーを中心にして作られていたようです。ところが肝腎のレイフル父さんが2004年に亡くなってしまい、結果的に両者に対するトリビュートって形になってしまった模様。と言うことはレイフルの遺作ともいえるのではないでしょうか。さてサウンドは、あのEXCELLO特有のサザンビートを、ちょっと現代的にタイトにしながら、しっかり雰囲気を残して再現、そこにレイフル、ケニー親子を中心にしたハーモニカと歌で、ハーポのユルユルサウンドに大いなる愛情を注いで素晴らしい作品に仕上げてあります。2人とも声質がちょっとハーポより野太いんで、印象は異なりますけど、味わいはルイジアナそのもの。好きだなぁ、このサウンド。特にレイフルの歌う「レイニン・イン・マイ・ハート」に「キング・ビー」、思わず涙が出ちゃいました。



Kenny Neal ; Let Life Flow ; BLIND PIG BPCD 5122Jack Brass Band ; Traditionally Speaking ; JACKBRASSBAND JBBCD003 (2008. 5.26)

2008年リリース。レーベルが変わったせいかもしれませんが、冒頭のタイトル曲、いつになくソウルフルです。マッスル・ショールズのサウンドみたい。元々結構歌える人ですから、なかなかいいかも。他にもしっとりしたバラードがありますが、いずれも変に無理をせず自然に歌ってていいですね。もちろんサザンビートの効いたルイジアナ風味たっぷりの「ストレイト・ダイアモンド」や、ファンキーなブルース、さらにはアイヴォリー・ジョー・ハンターの「シンス・アイ・メット・ユー・ベイビー」まで、多彩な選曲がアルバムのバランスを上手く整えています。



Kenny Neal ; Hooked On Your Love ; BLIND PIG BPCD 5137 (2010.10.14)

2010年リリース。タイトル曲から落ち着いたケニーの歌とギターが冴えます。ALLIGATOR時代に比べてぐっと渋みを増したなって思いました。リトル・ミルトン、ボビー・ブランドといったブルーズン・ソウルな人の歌も上手く消化して歌っていますし。でも何より魅力的なのは、やっぱりルイジアナに根差した「ダウン・イン・ザ・スワンプ」や「ヴードゥー・ママ」といった曲でしょうか。歌の跳ね具合が心地良く、ケニーらしさが前に出ていて思わず体が揺れてきます。後は欲を言えばサウンドメイキングですか。特にブラスの音がちょっとチープに思えました。




Kenny "Blue" Ray ; Bless My Axe ; TONE KING TKCD 1062 (2007. 7.26)

1998年リリース。この人のギターは初めて聴きましたが、実にオーソドックスなブルースギターです。スタイルとしてはモダンブルースと言っていいでしょう。ゆったりとしたフレーズは好感が持てますし、曲によってトーンを上手く変えています。マジック・サムやヒューバート・サムリンからの影響を強く感じました。「キャデラック・ドライヴ」ではソウル・ジャズのスタイルで演奏。さまになっていました。ヴォーカルはリトル・ダニーという人が担当していますが、これはちょっと弱いかな。ハスキーヴォイスなんですけど説得力に欠ける歌です。とにかく世界にはうまいギタリストはたくさんいるなぁってことですが、その上のプラスアルファがあるかどうかが決め手になりますね。この人にその決め手は感じませんでした。



Kenny Wayne Shepherd ; Live! In Chicago ; ROADRUNNER 1686-177422 (2010.11.17)

2010年リリース。ゲストにヒューバート・サムリン、ブライアン・リー、ビッグアイズ・スミスを迎えたライヴです。もちろんケニーは冒頭はギュルンギュルンのギターを引っ提げて登場、スティヴィー・レイ・ヴォーンの正当な後継者のひとりって感じでゴリゴリやるんですが、「デジャ・ヴードゥー」あたりから雰囲気が変わります。以降はかなりオーソドックスにブルースやってますが、この辺りからゲストが入ってくるわけですね。ビッグ・アイズのハーモニカがケニーにマッチしてるかって言うと、ちょっと疑問ではあるんですが。その後ゆったりした「シック・アンド・タイアード」を経て、「トランプ」スタイルの「フィード・ミー」でヒューバート登場。歌はちょっと厳しいけど、ギターは一発で分かるサウンドです。その後も「キリング・フロア」風のリフの曲が出てきたりで、ゲストを立てようという姿勢がはっきり。まあちょっと無理矢理感のあるコラボでしたが。




Kent DuChaine & Leadbessie ; Playing The Blues Live At "Les Loufiats" ; CADILLAC CAD-1616 (2001. 4.27)

1997年フランスはリヨンでのライヴ録音集。こちらはタイトル通り、よりブルース色の強いライヴです。ケントのスライド弾き語りはかなりラフな印象を受けますが、ロバート・ジョンソン・ナンバーから、「セント・ジェームズ病院」、果ては「リトル・ウィリー・ジョンの「フィーヴァー」まで、すべて自分の音楽に消化しきって、朴訥な感じで、しかし力強く唄うのは凄いです。好みはあるかもしれませんが、僕はとっても気に入りました。小さなクラブでこんな人のライヴは見てみたいです。音楽は小手先のテクニックではないことの見本のような作品。ライナーに自身の手による曲解説があり、深いブルースに対する愛情を感じました。



Kent DuChaine ; Live In Norderstedt, Music Star ; CADILLAC CAD-1717 (2001. 4.13)

1998〜99年ドイツでのライヴ録音集。ケントはスライドの弾き語りでブルースからトラッド、ゴスペルまで歌います。決してテクニシャンとは言えませんが、生一本とは思えないような厚みのあるギタープレイにのって、なんとも暖かくのどかさすら感じる歌を聴かせます。スタンダードのブルースでも自分の歌に消化しきっていて、素直な感じがいいです。またブルースマンに対するリスペクト溢れた語りやオリジナル曲も、ケントの優しさがにじみ出ていてほっとできます。



Kermit Ruffins ; World On A String ; JUSTICE 1101-2 (2008. 4. 9)

1992年の作品のリイシューです。カーミットはバックにエリス・マルサリス、ウォルター・ペイトンなどの名手たちを迎え、得意のサッチモ譲りのちょっとハスキーなヴォーカルと、トランペットを伸び伸び聴かせます。「マンディ・ナイト・イン・ニューオーリンズ」「カーミッツ・セカンド・ライン」と、ブラスバンド的な響きも出しながらビッグ・イージーらしさを満載した演奏です。味のあるインスト「我が心のジョージア」に、こんな風に祝ってもらったらさぞ幸せだろうという「ハッピー・バースディ」、そして港の風情もたっぷりな「ホウェン・マイ・ドリーム・ボート・カム・ホーム」など、若さを感じさせる部分もありますが、充実したアルバムです。



Kermit Ruffins ; The Big Butter & Egg Man ; JUSTICE JR 1102-2 (2008. 3. 1)

1994年のリイシューのようです。チューバにフィリップ・フレイザー、サックスにロデリック・ポウリンを擁して、ジャジーな中にブラスバンド的な要素をちりばめています。歌はもちろんサッチモ直系ですが、素直な歌い方なので嫌味がありません。「ベサメ・ムーチョ」なんてさらりと歌い上げてます。「アウト・オヴ・レフト・フィールド」のミュートを効かせたサウンドはかなりモダン。でもやっぱり「リトル・ライザ・ジェーン」のストリートなサウンドが僕は好きですね。



Kermit Ruffins ; Hold On Tight ; JUSTICE JR 1103-2 (2008. 3.16)

1996年リリース。カーミットはここのところ過去作を積極的にリイシューしていますが、これもその1枚。オーソドックスなジャズ編成をバックに、ミュートを効かせたトランペット、さらに例によってサッチモ譲りのヴォーカルと、その才能を余すところなく聴かせますが、やっぱり耳を奪われるのは「グッドナイト」「谷間の白百合」「シャイン」といったニューオーリンズらしいマーチング系のリズムを持った曲ですね。そんな中、アンジェラ・ガリバルディをヴォーカルに起用したクールなファンク「スモーキン」で締めくくるあたりに、彼の意欲を感じました。



Kermit Ruffins ; Big Easy ; BASIN STREET BSR-0104-2 (2003. 3.16)

2002年リリース。カーミットはリバース・ブラスバンドでペット吹いていたんですが、このアルバムで聴いてみると、思いのほか本格的なジャズでした。それも少し古いタイプの、エンターテインメント性の高いジャズですね。歌い方とか明らかにサッチモに対する彼の尊敬の念が現れていました。「タイガー・ラグ」「スターダスト」「サニーサイド・オヴ・ザ・ストリート」など、スタンダードな選曲も嬉しく、特に「サニーサイド」の歌は期待通りでルンルンしてしまいました。続く「朝飯・昼飯・晩飯」も楽しくていいなぁ。懐かしい雰囲気だけどクールなタイトル曲に続くのがこちらは今っぽいジャズの「世界はゲットーだ」だから幅の広さもあって飽きませんね。さて「パーム・カウント・ストラット」、僕には歌がどうしても「ポンコツトラック」に聞こえるんですよ。「空耳」に送ってみようかな。



Kermit Ruffins With The Rebirth Brass Band ; Throwback ; BASIN STREET BSR 0105-2 (2005. 5.26)

2005年リリース。昔の仲間と一緒に演奏するカーミットはまさに水を得た魚です。ブラスにチャント的なコーラスを従え、奔放に歌い吹きまくります。「ミスター・ビッグ・スタッフ」なんて格好いいの一言、またこれまたマルディ・グラ・アルバムなんでしょう。ワイルド・マグノリアスで有名な「マルディ・グラ・ディ」もゆったり気味のアレンジでいい感じでやってます。トランペットのインストで始まる「アイ・ガット・ア・ウーマン」も素敵なアレンジで、後半しっかり歌ってます。「ハッピー・バースディ」は例の曲なんですが、サッチモばりのヴォーカルで子供達と歌う歌詞に「でもまるでお猿さんみたい」って入ってるのが笑えました。ラストの「アップ・イン・ザ・フッド」はヒップホップ仕立てでクール。元気が出る好盤です。



Kermit Ruffins ; Livin' A Treme Life ; BASIN STREET BSR 0107-2 (2009. 6.26)

2009年の新譜です。BSR88号にも書きましたが、サッチモにインスパイアされた歌心あるペットと、暖かみのあるヴォーカル、そしてジョニー・ナッシュの「アイ・キャン・シー・クリアリー・ナウ」からホレス・シルヴァーの「ソング・フォー・マイ・ファーザー」までカヴァーしてしまう音楽的な懐の深さといった、カーミットの魅力がぎゅっとつまった作品で、彼の代表作と言ってもいいでしょう。オリジナルの「グッド・モーニング・ニューオーリンズ」を聴いていると、本当にこの街が好きなんだなというのがよく伝わってきます。




Kermit Ruffins ; Have A Crazy Cool Christmas! ; BASIN STREET BSR 0109-2 (2009.12.25)

2009年リリース。ことしのクリスマスはこれで決まりでしょう。カーミットのクリスマスはもちろんジャズ・テイストですが、ルイス・プリマの「ホワット・ウィル・サンタ・セイ・ホウェン・ヒー・ファインズ・エヴリバディ・スウィンギン」とか「表寒いよね」を取り上げるあたりのセンスが素晴らしいです。自作曲も2曲入っていますし、ラスト2曲はブラスバンド仕立て!トロイ・アンドリュースやリバース・ブラスバンドがやってる「ジングル・ベル」なんてもう最高!




Kermit Ruffins ; Happy Talk ; BASIN STREET BSR 0111-2 (2010.11.15)

2010年リリース。毎作質の高いアルバムを作るカーミットですが、このアルバムも期待を裏切りません。オールド・ジャズからスタートすると、モダンなジャズ・サウンドに乗って味のあるヴォーカルを披露するかと思えば、フォンクネス溢れる「エイント・ザット・グッド・ニュース」やらシャッフルで決める「アイ・ガット・ア・トレメ・ウーマン」と、全体としてはジャズ・テイストが強めになっています。ラストのペットが暴れるブルース「ニュー・オーリンズ」は、カーミットが思いのたけを詰め込んでいるように聞こえました。カーミットに外れなし!




Kid Ramos ; Kid Ramos ; EVIDENCE ECD 26104-2 (2001. 8.20)

1999年リリース。この人、大変なブルースギター・フリークです。なにしろ一曲ずつギターとアンプが何かを記しているんですから。サウンド的にはテキサス〜ウエストコーストのギタリストからの影響を強く感じ、ジョニー・ギター・ワトソンになりきったりアルバート・コリンズに魂乗っ取られたりしていますが、とにかく達者です。デューク・ロビラートを「軟派」とするならば、こちらはバリバリの硬派といえそうです。ヴォーカルにキム・ウィルソン(ハーモニカは吹いてません)がフューチャーされていたりして、けっこう面白かったんですが、もう少しラモス自身の「これが俺の音だ」が出てくると面白そうです。



Kid Thomas ; Rockin' This Joint Tonight ; EAGLE EA-R 90412 (2008. 5.19)

1957〜65年録音によく分からないボーナスが13曲入ってます。キッド・トーマスと言ってもニューオーリンズのトランペッターではなく、シカゴで活動していたヴォーカリストでハーピストのトーマス・ルイスのことです。1957年録音では結構ダウンホームながら、どこかちょこっとR&B感覚のあるB級感溢れるサウンドを出していますが、後半になるとロックンロールだったりB.B.キングっぽくなったりします。歌はかなりタフで、ハーモニカも結構吹けるんですけど、いかんせん録音に恵まれていなかったんでしょうね。もうちょっとましなバックをつけたらもっと良かったんじゃないかなぁ。ボーナスはテスト録音とかお蔵入りのようですね。「ビューラー・カム・バック」や「ザ・ウルフ・パック」などの別テイクや、オーティス・レディングばりのソウルが入ってて、この人の音楽人生を垣間見ることができます。



Killer Meters ; A Tribute To The Meters ; SCENARIO SC-CD008 (2005. 4.27)

2004年にリリースされたイギリスのミーターズ・カヴァーバンドの作品で、全曲ミーターズナンバーです。エコーを効かせたDJ風のMCが入るなど、クラブミュージックを意識した作りですが、基本的にはフルコピーに近い感じで、ギターなど音色までレオみたい。でもうねらないんですよ。その最大の原因はドラムですね。あまりにジグのプレイを忠実にコピーしようとしたためか、あのナチュラルな揺らぎは全く再現できず、リズムに流れが感じられなくて、なんだか突っかかったような感じになるんです。ですから僕はこれじゃとても踊れませんね。ミーターズに対する愛情は十分感じられ、よく頑張ってるとは思うんですけど、改めてオリジナル・ミーターズの偉大さが浮き彫りになったように思います。



Kim Wilson ; Tigerman ; ANTONE'S/P-VINE PCD-1895 (2002. 6.13)

1991年に日本ではリリースされたファヴュラス・サンダーバーズの「顔」、キム・ウィルソンの初ソロアルバムです。キムはハーピストで、アンプリファイド・ハープはリトル・ウォルターなどシカゴ系の香りがするんですが、このアルバムでの選曲はぐっとテキサス〜カリフォルニア〜メンフィスのトライアングル寄りです。特にハープを吹かず歌に専念しているジョニー・ギター・ワトソンの「ドント・タッチ・ミー」、T-ボーンの「ザ・ハッスル・イズ・オン」と続くあたり、ギターのデューク・ロビラートの巧みなプレイもあり、実に雰囲気がいいです。最近ではW.C.クラークも取り上げていたボビー・ブランドの「ユー・ゴット・ミー」では、なんとオリジナルでギターを弾いていたクラレンス・ホリマンを引っ張り出していますが、このギターがまたいいんです。1曲目の「タイガーマン」やサイクス得意の"44"スタイルの「ハッシュ・オン・ハッシュ」など、ダウンホームな曲も表情豊かなヴォーカルで聴かせます。ある意味ブルース入門にもってこいのアルバムかもしれません。



Kim Wilson ; That's Life ; ANTONE'S ANT 0034 (2005. 6. 1)

1994年リリース。まだ髪の毛の残っていたキムが、自分の好きなブルースをたっぷりと歌い込んだアルバムです。デューク・ロビラード、デレク・オブライエン、ラスティ・ジン、ジュニア・ワトソンといずれ劣らぬギターの名手を従えて、どちらかというとメンフィス〜シカゴといったラインのブルースをカヴァー、その中にインストなどオリジナルをちりばめてあります。キムの歌はお世辞にも素晴らしく上手いとは言えないんですが、素直な楽曲に対する愛情を込めた歌い方には好感がもてます。思ったよりハーモニカを吹いていないんですが、歌をメインにしたかったんじゃないかな。「アイヴ・ビーン・サーチン」なんてディープな歌にもチャレンジしてますし。ボビー・ブランドの「ティーチ・ミー(ハウ・トゥ・ラヴ・ユー)」では、なんと本家のクラーレンス・ホリモンの見事なギターをバックに歌ってます。



Kim Wilson ; Smokin' Joint ; M.C. MC 0043 (2001. 9.24)

1999年2月ラスティ・ジンらをギターに迎えたフェニックスでのライヴと、2000年12月カーク・フレッチャーらをギターに迎えたハーモサ・ビーチでのライヴです。落ち着いた、時としてジャジーなムードの漂うバックに支えられ、オリジナルにブルースのスタンダードを交えたキムの演奏は、大変和やかです。優しさを感じる暖かいヴォーカルと、完成されたテクニックを決してひけらかすことのないハーモニカは、さすがベテランの余裕を感じます。この人、本当にブルースが好きなんだなって思いました。ジョージ・スミスの「テレフォン・ブルース」が印象に残りました。強力なインパクトはありませんが、リラックスして聴くにはとてもいい盤です。



Kim Wilson ; Lookin' For Trouble! ; M.C. MC-0049 (2006.11. 7)

2003年リリース。ざらざらに歪ませたアンプリファイド・ハープに、ちょっと頼りなさげなヴォーカルという、実にキムらしいスタイルなんですが、曲はオリジナルのロッキンブルースからジャジーな曲、ジミー・ロジャーズやスヌーキー・プライアーなどのゴリゴリのシカゴスタイルとブルースマニアな彼らしい選曲です。タンギングの強い切れ味のいいハープはさすが名手の技ですね。またヴォーカルもするめのような味わいで、何か引き込まれる魅力があります。この人は本当にブルースが好きなんだなって感じさせる1枚です。



King Biscuit Boy ; King Biscuit Boy ; EPIC/SONY MHCP 2025 (2003. 9.30)

1974リリースのアルバムのCD化です。ことし惜しくも亡くなったキング・ビスケット・ボーイことリチャード・ニュエル(ネウェル?)はカナダ出身のハーピスト/シンガーで、ザ・バンドの後ロニー・ホーキンズのバックを務めていた人だそうです。その彼が出した3枚目のアルバムは、プロデューサにアレン・トゥーサン、バックにミーターズを迎え、ゲストにドクター・ジョンの名も見えるニューオーリンズ風味たっぷりの作品です。ミーターズのかっちりした、でも気持ち良く跳ねる演奏に、トゥーサンがアレンジしたホーンが絡み、そこにユーガンダ(現地のミュージシャンはこう呼ぶとか)・ロバーツのコンガが絶妙の隠し味で効いているといった、ある意味理想的なバックを従え、キング・ビスケット・ボーイはかなり達者な歌と、定評あるハープを聴かせます。ハープはテクニック的にも申し分ないんですが、予想以上に良かったのがその歌。チョロッとMOTOWN時代のルーサー・アリソンを彷彿させる声質ですが、特にバラードの歌い上げ方など見事なものです。「ミーン・オールド・レディ」なんてファンクたっぷりのスリーコードは、自分のバンドのレパートリーにしたくなりました。ラストの「リヴァー・ボート」はC.C.R.の「プラウド・メアリー」の歌詞を巧みに取り入れたキャッチーな出だしが素敵です。掲示板で話題にしてくださった方々に感謝!



King Curtis ; Hot Sax, Cool Licks ; ATCO/ACE CDCHD 757 (2000. 7.19)

1958年〜59年にかけての、ATLANTIC=ATCO時代の録音集。P-VINEが帯を付けたものを新譜で購入。冒頭にコースターズ、チャック・ウィリスのバックでの名演が3曲収められている心憎い編集盤です。この時代のカーティスは、ニューヨークのR&Bに特徴ある雰囲気を付け足す仕事をしていたように感じます。自身の録音にもそういったモダンなセンスが随所に見られます。ギターのミッキー・ベイカーやワイルド・ジミー・スプルーイルとのコンビもバッチリです。キングピンズ時代のような洗練された感じはありませんが、一聴して分かるタンギングとかフレージングは、すでに完成の域に達しています。通して聴いても飽きないコンピでした。


King Curtis ; Have Tenor Sax, Will Blow / Live At Small's Paradise ; ATCO/COLLECTABLES COL-CD-6418 (2006. 8.26)

1959年と66年のアルバムの2on1です。キング・カーティスはアルバムの多い人で、イージーリスニング的なものもあるんですけど、59年のアルバムは結構R&B色が強くて面白いです。「ホンキー・トンク」の明らかな改作「リル・ブラザー」とか、「ピーター・ガン」あたりで聴かれるサックスはブリブリしていてカーティスの魅力たっぷり。でもこの直後あたりに出た「ソウル・ツイスト」の野趣さには及びません。この辺がレーベルのせいでしょうか。ちなみにジャキジャキいってるギターはミッキー・ベイカーだと思います。一方ライヴの方はぐっとモダンになって来ています。コーネル・デュプリーのどこかカントリーフレイヴァーを感じさせるギターに、チャック・レイニーとレイ・ルーカスのリズム隊をバックに従え、クルセイダーズの「タフ・トーク」からルーファス親父の「フィリー・ドッグ」へいくあたり、バンドとしての一体感もあり楽しいですね。ジュニア・ウォーカーの「ロード・ランナー」はご愛敬ですが。やや編集ライヴっぽいですが熱さの伝わってくる作品です。



King Curtis ; Azure - The EVEREST Sessions ; ACROBAT ACMCD 4230 (2007. 1. 6)

1960年録音。当時すでにスタジオミュージシャンとして不動の位置を得ていたカーティスが、ストリングにコーラスを加えたバンドをバックに、まさに「ムード歌謡」に通じるようなサウンドでスタンダード曲を奏でます。「アンチェインド・メロディ」「ミスティ」「ストレンジャー」など、本当に夜の帳の降りたクラブで、芳しい女性とグラスを傾けている60年代って雰囲気ですね。その手のサム・テイラーとかがお好きな人には特にお奨めです。ラスト2曲はカーティスのオリジナルってことになってますが、「ザ・ローン・プレイリー」は日本では「駅馬車」で知られる民謡のメロディを拝借したもの。そして「ジェイ・ウォーク」は1959年ATOCOに吹き込んだものが元ですが、これこそ「ソウル・ツウィスト」のプロトタイプですね。このコントラストの差がカーティスの一筋縄で行かないところ、だから見かければ何でも買っちゃうんです。



King Curtis ; Soul Twist With King Curtis ; P-VINE PCD-3803 Click Here!

King Curtis All Stars ; Live In New York ; JSP/P-VINE PCD-23895 (2007. 3.22)

1961年のライヴです。いやいや、これは待望のCD化です。JSPからオリジナルのLPが出たのが1985年くらいでしたか。ちょうどサム・クックのハーレム・スクエア・クラブでのライヴが評判になった直後で、そのアルバムのバックとほぼ同じメンバーのライブということで、当時もかなり話題になりました。で、えらく音質の悪いレコードでしたが、そこから飛び出してくる熱いグルーヴにノックアウトされたんです。今改組のアルバムがCDになったのですぐに買いました。「ジェイ・ウォーク」、「ソウル・ツイスト」系の曲ですが、いきなりカーティスのサックスが熱く炸裂します。ハイトーンバリバリですね。また「トラブル・イン・マインド」「ホワッド・アイ・セイ」「ザ・ツイスト」などではカーティスが歌うんですけど、けっこういけます。こういう当時のヒット曲で会場をヒートアップさせるんですね。一方終盤の3曲では思いっ切りジャジーなプレイが展開。でもカーティスのサックスは肉体派というか、変に小手先のフレージングに流されることなく、しっかりブロウしてくるんです。スタンダードの「ハウ・ハイ・ザ・ムーン」など強烈!隠れ名盤の代表格と言っていいアルバムなんですが、ぜひ多くの人に聞いてもらいたいですね。



King Curtis ; Groovin' With The King - Best Of King Curtis ; AIM 2010 CD(2001. 1.17)

このオーストラリアのレーベルのリイシューはブートっぽくて、クレジットとかも明確ではないんですが、多分1960年代前半の録音集です。中古で購入。頭の「ソウル・ツイスト」が、いきなり途中から始まったり、音質が劣悪だったり、「オヨヨ」と思うものですが、それでも「ウォーターメロン・マン」や「ピーター・ガン」は初めて聴くものだったので許しましょう。安かったし。でも、カーティスのリイシュー、RHINOかイギリスACEあたりが「コンプリート」やってくれないかなぁ。そうするとダブるCDが大量に出ちゃいますが。



 King Curtis ; King Curtis Plays The Great Memphis Hits / King Size Soul ; ATOCO/KOCH KOC-CD-8015
(2001.11.19)

1967年録音のアルバムの2on1。中古で購入。前者はニューヨーク録音で、メンバーはロジャー・ホーキンズ、スプーナー・オールダム、ジミー・ジョンスンといったマッスル・ショールズの連中のようです。バックはほぼオリジナルのメンフィス・サウンドを再現していて、そこにカーティスのソウルフルで切れ味のいいサックスが乗ってきます。一方後者はメンフィス録音ですが、メンバーはSTAXの面々ではありません。ハービー・マンが「Memphis Underground」で起用したリズムセクションで、これが結構どっしりしています。「メンフィス・ソウル・シチュー」をフィルモアのライヴと聴き比べると、その違いがよく分かります。ややBGM的に聞こえる瞬間もありますが、カーティスが一番輝いていた時期かもしれません。



King Curtis & Champion Jack Dupree ; Blues At Montreux ; ATLANTIC 7 81389-2 (2000. 2.29)

1971年のライヴ。中古で購入。キングピンズのタイトな演奏を期待すると肩透かしを食いますが、チャンピォン・ジャックの奔放なピアノと歌は満喫できます。どちらかというとチャンピォンのペースですね。でも、ときおり聞こえるキング・カーティスのサックス、気持ちいいです。朝カミサンが聴いて、「夜の音楽ね」と一言。その通り!


King Perry ; 1945-1949 ; CLASSICS 5081 (2004. 4.22)

インディアナ生まれで元々はシカゴで活動していたキング・ペリーが西海岸に拠点を写してからの録音集です。サックスとクラリネットを吹きながらヴォーカルを取るペリーのバンドは、どちらかというと少しオールドスタイルのジャズバンドって印象ですが、」ア・チキン・エイント・ナッシン・バット・ア・バード」なんてジャイヴ風味の楽しい曲もあります。EXCELSIORに移って最初の「スターダスト」あたりのくねくねしたアルトなどは、ジャンプ系の人とは肌合いが全く違いますが、そこに語るような歌が乗ってくると、独特の雰囲気になり面白いです。時代が下がるにつれどんどんビートが強まっていくのもこの時代の特徴で、語りはキャブ・キャロウェイの影響を受けているように思いますがどんなもんでしょうか。「ファット・ママ」あたりになるとロックンロール黎明期らしく、ビートが強まりロイ・ミルトンなどと競い合った感じが分かります。ラテンがかった「セイラ・セイラ!」なども愉快で、エンターティンメントの王道を歩んでいたように思いました。



King Sunny Ade ; Juju Music ; MANGO 162-539 712-2 (2006. 9.20)

1982年リリース。ちょうどこのレコードがリリースされた頃、日本でアフリカン・ポップ・ミュージックがちょっとしたブームになったのを覚えています。ミュージック・マガジンやブラック・ミュージック・レビューといった雑誌で紹介され、FMでも時折きらびやかなギターとポリリズミックなパーカッション、華やかで明るいサウンドを聴いた記憶があります。その代表がこのサニー・アデで、タイトルはそのものズバリ。冒頭のどこか憂いのある「ジャ・フンミ」(「ヤ・フンミ」かも)は彼の代表曲と言ってもよく、この他軽快で細かいリズムがトーキング・ドラム他様々な楽器で刻まれながらも、全体としては大きなゆったりとしたグルーヴ感のある音楽は、ブラック・インディアン・チャントにも通じるようなコーラスとコール・アンド・レスポンスを伴っていて、アフリカ音楽の通奏低音がこの辺にあるのかなと思いました。また曲によってはカリブ海の音楽に通じる雰囲気もあり、この辺様々な相互作用がありそうですね。深みにはまりそうな予感。



Kipori Woods ; Big Black Cadillac ; LOUISIANA RED HOT LRHR 1126 (2001. 4.22)

2000年リリース。ライトハンド奏法まで駆使する若手ギタリストですが、ギタープレイはえぐい上にけっこう突き抜けたところもあり、シンプルでタイトなバック(ベースのボトムがどっしりしていて気持ち良い)のもとで縦横無尽に弾きまくっているのが快感です。ヴォーカルはかなり癖があり、ラフでルーズな感じです、こっちはちょっと苦手かな?アルバート・キングの曲を1曲取り上げているほかは、すべてオリジナルというのは意欲を感じます。ファンキーな調子の曲がおもしろいな。



Kirk "Eli" Fletcher ; I'm Here & I'm Gone ; JSP JSPCD2119 (2003. 3.29)

1999年リリース。いただきものです。この人は初めて聴きましたが、ウエストコーストで活躍するギタリストのようです。でもこれ、かなりいいです。ゴールドトップのレスポールから爪弾き出される音はややファットですが、そのフレーズの多彩さには耳を奪われます。ちょっとエディ・テイラーを思わせるところがあるかと思うと、ジャズやロカビリーのギターの要素がつまった変幻自在なプレイがゾクゾク出てきます。長尺のマイナーブルース「シルヴァー・スプーン」のプレイも出色。テキサス系のギターよりもややまろやかですが、そうした要素もあり、ファビュラス・サンダーバーズのようなサウンドが好きな方にははまるでしょうね。なお彼はヴォーカルは取らず、ジャッキー・ペインとジョン・マークスが歌っています。



Kirk Fletcher ; Shades Of Blue ; CROSS CUT CCD 11076 (2003.10. 9)

2003年リリース。この人、本当によくギターの音を研究しています。エディ・テイラーの「バッド・ボーイ」では、いかにもシカゴ・ヴィンテージとでもいうようなウッディな響きを出していますし、「マイ・ホーム・イズ・ア・プリズン」では、ロンサム・サンダウンを彷彿させるネットリしたサウンドです。まあこれをオリジネイターへのリスペクトと取るか没個性と取るかは意見が分かれるでしょうが、僕は前者だと思いました。とにかく丁寧なんです。その分破綻もないからスリルにはちょっと欠けますけど。ヴォーカルはキム・ウィルソンほか女性を含む3人が交代で歌っています。選曲もヴァラエティに富んでいて面白いんですが、ラストの「ヒップ・ハグ・ハー」あたり、もう一捻りあるとぐっと来るんですけどね。



Kirk Joseph ; Kirk Joseph's Backyard Groove ; KIRK JOSEPH no number (2005. 3. 6)

インクジェット・プリンタで刷ったと思われるとっても粗末なジャケですが、演奏は最高です。2005年リリース。いきなり「レイド・バック」という、「リトル・ライザ・ジェーン」似のリフを活かしたナンバーがファンキーにやってきます。後でうねうねとスライドを弾くのは先日ワッシュボード・チャズと来日したクリス・ミューレで、彼のソロ作に通じる変幻自在なプレイをしています。ところでこの曲と次のバラード「キャント・ゲット・スターテド」で聞こえるしゃがれ声、ドクター・ジョンではありませんか!こちらは見事なピアノにムーディなサックスが乗ってとってもジャジーな味わいですが、ベースならぬスーザホンがウッドベースみたいに聞こえちゃうのがカークならではでしょう。後はブラスバンド仕立てのフォンクナンバーが並びますが、低音の魅力をこれでもかと聴かせます。面白いのは「ノー・ミート」で、ヴァイオリンまで入った裏に聞こえるコーラスが「俺達肉なんて食べない」です。最初空耳かと思ったんですが、もうひとりのギターがヒロナリさんで、格好いいソロを決めてますから、きっと彼が歌唱指導したんでしょう。ニューオーリンズは山岸さん、ミッチさんと日本人もいっぱいいるんで、こんなことも出来ちゃうのかしら。



Kirk Joseph's Backyard Groove ; 2006 Telluride Blues & Brews ; DIGSREX no number (2007. 5.29)

2006年9月コロラドでのライヴです。いかにも手作りといった単色刷の紙ジャケットに、CDの表面にマジックでライヴの日付が書き込まれ、しかも表のバンド名の下に記された日付は1年違ってるなど、店で見たら決して手を出さない作品ですけど、中身はご機嫌なファンクアルバムです。ライヴならではのぐいぐい押してくる乗りに、うなるクラビネット、強烈なホーンサウンドと、その現場にいたかったなという気持ちになる好演です。「ビッグ・ブラザー」「ノー・ミート」「ビッグ・チーフ」と続く後半のノリのすごさはさすがというしかありません。こういうのに当たるんでLMF直輸入は止められませんね。



The Knight Brothers ; Temptation ; SHOUT/R.P.M. RPMSH 279 (2004.11.28)

1964〜68年録音。CHESSに録音していたソウル・ブラザーのリイシュー盤です。初期のナイト・ブラザーズ名義のころはちょっとポップでチャーミングなコーラスを聴かせるデュオでしたが、カールトンズ名義になると、ファルセットを聴かせたインプレッションズを彷彿とさせるスタイルになります。そんな中でMOTOWNを思わせる曲も出たり、ポップなナンバーもあったりで、時代の主流を捉えようという姿勢がよく分かります。そういう意味でシーンが見えるんですが、オルガンの効いた「キープ・オン・ホッピング」はミーターズに似た曲があったり(「オーダーリン・ダーリン」て歌うやつ)して、この辺のシーンが見えきっていない僕にはとっても面白いアルバムです。でもとにかくこの時代のブラスセクションは綺麗ですね。時代が下がるにつれリズムが強くなるのがなるほどって感じ。



Koji & Satoshi ; 生存確認出張料 ; BORDERLINE BLRN-401 (2009. 4. 8)

2009年リリース。コージ&サトシは横浜を中心に活躍するユニットで、根っこにブルースを持ったオリジナル曲を中心にやっています。ヴォーカルのコージが書く詞は、シュールさと生々しさが微妙なバランスで絡み合っていて、それを芝居がかった歌い方でうなるスタイルは唯一無二と言ってもいいでしょう。サトシの地味だけどきっちりとしたギターに支えられ、コージが指先まで神経を通わせて歌う姿が目に浮かびます。パーカッシヴでファンキーな「予感」と静けさをたたえた「盲目の羊」、でもそこに通底するのがコージの哲学。そのどろりとした感じがたまりません。




Koko Taylor & Her Blues Machine ; Live From Chicago - An Audience With The Queen ; ALLIGATOR ALCD 4754 (2000. 8.30)

1987年1月、イリノイ州バーウィンのフィッツジェラルズでののライヴ。中古で購入。シカゴきってのブルース・クィーンがギターx2、ベース・ドラムズといった最小限のシンプルでタイトなバンドをバックに熱唱します。曲はマディの「マニッシュ・ボーイ」の改作「アイム・ア・ウーマン」などのブルースの他、アン・ピーブルズの「カム・トゥ・ママ」、エタ・ジェームズの「アイド・ラザー・ゴー・ブラインド」など、ソウルフルなナンバーが目立ちます。バックはギターバンドのせいもあり、曲によってはかなりロックっぽいものもあります。ラストは「ワン・ダン・ドゥードゥル」。キーボードを入れるなど、もう少しゴージャスなバンドの方がココの魅力が引き出せると思いました。


Koko Taylor ; Royal Blue ; ALLIGATOR ALCD-4873 (2007.10.13)

2000年リリース。ピアノにジョニー・ジョンソン、ギターにクリス・ジョンソンを迎えたバックは、かなりロックっぽいんですが、ここのちょっと喉が荒れ気味ですが、パンチの効いたヴォーカルは負けてはいません。でもここでもスティーヴィー・レイ・ヴォーンの影がちらつくんですよね。スローの「バット・オン・ジ・アザー・サイド」なんてもろだなぁ。それにケニー・ウェイン・シェパードのさらに派手派手なギターが乗った「ブリング・ミー・サム・ウォーター」あたりになると、ちょっと苦手。だからB.B.キングがゲストの「ブルース・ホテル」でホッとしちゃうんです。やっぱり自分がオヤジなのかなぁ。



Koko Taylor ; Old School ; ALLIGATOR ALCD 4915 (2007. 4.30)

2007年リリース。夏に来日を控えているココの新譜です。病み上がりと聞いていましたが、かなり元気な様子でまずは一安心。バックのセットはボブ・マーゴリンがスライドを含めメインのバンドに、先日の来日の興奮覚めやらぬカルロス・ジョンソンを中心にしたものがメインです。ロードバンドである菊田俊介氏のいるブルース・マシンは1曲だけ。多分やっぱり古き良きシカゴの音を出したかったんでしょうね。アルバムタイトルからしても。とは言え、「オールドスクール」ながらもバックはモダンさを出してます。やっぱりカルロスの存在が大きいように思います。ココも全盛期のドスはありませんが、元気いっぱいで来日に期待を持たせてくれてますね。



Koray Broussard & The Zydeco Unit ; Trapped ; MTE 5092 (2010.11. 8)

2010年リリース。この人もヌーヴォー・ザディコのひとりといっていいと思いますが、3ローのアコーディオンから繰り出されるダンサブルなサウンドは、それほど奇をてらったものではなく、まっすぐなトゥーステップが主です。ヴォーカルこそ最近のブラック・シーンから影響を受けていますが、オルガンなどを加えたサウンドは少し厚みが増していますけど、芯にあるのはルイジアナ原産のリズムです。クリス・アルドワンのような大胆な冒険はできないと言ったところでしょうか。




Kush ; Blues & Rhythm Volume 1 - Back In The Fray ; FUNK TO THE MAX FTTM-004 (2003.10.22)

2002年リリース。タイトルからすると泥臭そうですが、出てきた音はいきなりクールでダーティなファンクサウンドでした。実質8曲で、うしろ3曲はハンディーマン・モーリスという人のリミックス・ヴァージョン。確かにやや古目の感じの曲もあるんですが、何だかドロッとしてるんです。それにホーンセクションはジャズの香りを感じました。聴き終わってクレジットをチェックしたら合点がいきました。共同プロデュースになんとブーツィー・コリンズの名前があるではありませんか!ソノウエフレッド・ウェズリーまで入っていて、どうりでクールなわけです。クシュことリチャード・グリフィンはジャケットを見る限りトランペッターのようですが、この作品ではヴォーカルに専念のようです。とにかくちょっと聴くと変哲のない感じなんですが、実に良く練り込まれていて、繰り返し聴くと味がどんどん出てくるファンクアルバムでした。面白い!



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