CD INDEX(L)
 

アーティストの名前順に並んでいます。「TODAY'S CD」で紹介したものは紹介文が付いています(日付)。紹介文のないものは「おすすめCD」か「お気に入りのミュージシャン」の中で紹介されているもので、「Click Here!」をクリックすると該当のページにジャンプします。

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L.A. Blues Alliance ; What A Life ; BABYREE BBR002 (2007. 6. 3)

2007年リリース。ボブ・グローブのベースにジョン・ロビンソンのドラムという、超ヴェテランのリズム隊をバックに、マイク・フィニガン、ケブ・モ、サニー・ランドレス、エイミー・キーズ、ディヴィッド・モーガンが交代でフロントを取るといった、まさにオールスター・アルバムです。特にマイク、ケブ、サニーはそれぞれのカラーを全面に出した好演で、それぞれ単独アルバムでも出して欲しいくらい。特にサニー・ファンにはお薦めのアルバムです。セッション参加者が楽しんでいるのがよく分かります。マイク・ポストのプロデュースが光るアルバム。



Labelle ; Nightbirds ; EPIC 33075 (2000. 9.16)

1974年録音。アラン・トゥーサンがプロデュースし、ミーターズが参加したことで有名なアルバム(でもドラムはジガブーじゃないと思う)で、「レディ・マーマレード」は1975年にポップ・チャートの1位に輝いています。ジョージ・ポーターのややこもった音でうごめくベースと、トゥーサンのニューオーリンズ丸出しのピアノ、豪華なホーンとパーカッション、ポップな曲、でも、凄くアフリカ的なものを感じるんです。ヴォーカル3人のキャラクターの違いがぶつかりながら、ポリリズミックにうねっているせいでしょうか。箱根にドライヴに行くときのお供にいいかな?



Ladell McLin ; Stand Out ; GIGANTIC MUSIC GM0007 (2006. 7.10)

2005年リリース。ジミ・ヘンドリックスのフォロアーはたくさんいますけど、この人はフォロアーというよりは「そっくりさん」と言っていいくらいです。ギター以上にヴォーカルがそのまんまで、ルックスも含め、本当にジミが好きなんだなって感じです。だからオリジナルをやっていてもちっともそう聞こえないんですよね。ギターも上手いし聴き所はありますけど、何だかねぇ。レイデル・マクリンの音を聴かせて欲しいな。



Lafayette's Bayou Boys ; Gumbo Zydeco ; LAFAYETTE no number (2008. 6.23)

書いてませんが多分2008年の作品です。アコーディオンをリー・ベノアが担当していますし、出てくるサウンドはかなりケイジャンやカントリーのテイストが強いので、おそらくケイジャン・ミュージシャンが集まってザディコをやってるんでしょう。「マルディ・グラ・イン・ザ・シティ」なんてポップなセカンドライン・ファンク調だし、「聖者が街やって来る」は「ザディコ・キッド」ことマシュー・フォアマン(多分ギターのクリス・フォアマンの息子でしょう)が歌っちゃったりラップしちゃったりしてます。でもタイトル曲や「ザディコ・ブーガルー」あたりは結構ご機嫌。楽しいアルバムです。



The Lamplighters ; Loving Rocking Thrilling ; ACE CDCHD 1040 (2005. 5.24)

1953〜56年録音。このバンドはウエスト・コーストのコーラスグループで、「リトル・ビティ・プリティ・ワン」のワン・ヒット・ワンダーとして知られるサーストン・ハリスが在籍していました。僕はドゥー・ワップはそれほど聴いたことがないのでよく分からないんですが、ニューヨークやシカゴのドゥー・ワップ・コーラスよりも泥臭くゴスペルの香りを強く感じました。レーベルがFEDERALってのも関係しているのか、曲によってはロイ・ブラウンの節回しを思わせるものもあり、よりR&B的な感じを受けました。たまにはこういうものを聴くのもいいかな。



Lance Lopez ; Salvation From Sundown ; MIG 20022 CD+DVD (2010.10. 1)

2010年リリース。フライングVを操るブルースマンで、名前からするとヒスパニックなのかな。けっこう正統派のギター・フレーズを、ちょっと歪みをかませたギターで弾いています。時折スティーヴィー・レイヴォーンの影が見えるようにも思いました。歌はちょっとドラ声で大仰ですが、一所懸命歌ってるので悪くないです。「エル・パソ・シュガー」なんて曲からすると、テキサス系でちょっとZZトップが入ってるかなと思ったら、まんま「ラ・グランジ」やってました。ロバート・ジョンソンの「ストーンズ・イン・マイ・パスウェイ」をゆったりとしたスローに仕立ててますが、この辺はやっぱりロック畑の人かなって思いました。




Larry Birdsong ; Every Night In The Week ; BLACK MAGIC BM 9203 (2005.11.28)

1956〜1973年にかけてナッシュヴィルのマイナーレーベルに録音されたものを集めたアルバムです。でも「バードソング」とはよく言ったもので、ファルセットを交えた伸びやかな高音が魅力的です。ベースにはゴスペルがあるのでしょうか。ちょっとジョニー・アダムズを思い出しました。サウンド的にはナッシュヴィルということもあってか、少し明るめで軽い感じですが、彼の声には良く合っていますね。時代が下るにつれ、サウンドがファンキーになっていくんですが、ギターは全期間を通じてジョニー・ジョーンズがいぶし銀のサポートを聴かせます。今までコンピなどで単発にしか聴いていなかったんですが、この手のハイトーンが好きなもんで、はまりそうです。



Larry Darnell ; The Ultimate Larry Darnell Hits Package ; BAYOU 1005 (2005. 1.17)

1949〜57年録音。オハイオ生まれのラリーがニューオーリンズに行ってREGALから出した初ヒット「フォー・ユー・マイ・ラヴ」を出したとき弱冠20才で、ロイ・ブラウンをちょっと軽くしたような歌が魅力的です。ですがその後ニューヨークに拠点を移すと、「オー・ベイブ」なんてゴージャスなバンドをバックにしたかっこいいナンバーも出しています。この曲はいいな。メアリー・ルー・グリーンとのデュオもあります。その後OKEHに移籍するとロイの影響を残しながらもより甘めの歌が持ち味になっていき、クリスマスソングも重要なレパートリーになります。さてこのアルバムは例によってCD-Rで、録音データなどは無く、曲順もバラバラ。これだけのスターなのにきちんとしたリイシューがされていないのは残念です。



Larry Davis ; Funny Stuff ; ROOSTER BLUES ROB-CD-2616 (2002. 4. 4)

1981年リリース。当時LPで買い損なったものが最近CDになったんで購入したんですが、これは名盤です。ラリー・ディヴィスといえば「テキサス・フラッド」のオリジネイタのイメージが強く、歌い手としては好きだったんですが、初期のP-VINEで出ていたライヴ盤の印象が今ひとつだったんです。でもこうして聴いてみると、セントルイスのオリヴァー・セインのプロデュースと、長くアルバート・キングと行動を共にしていたこともあって、リトル・ミルトンやアルバートのモダンさを上手く取り入れたサウンドになっています。落ち着きのあるヴォーカルを聴かせる「ネクスト・タイム・ユー・シー・ミー」もいいし、ラリーの魅力を上手く引き出した一枚だと思います。



Larry Davis ; I Ain't Beggin' Nobody ; EVIDENCE ECD 26016-2 (2003. 9. 1)

1993年録音。オリヴァー・セインがプロデュースを担当していて、バックや曲提供までやっており、何となくリトル・ミルトンの「ブルース・イズ・オールライト」に通じるものを感じました。チトリン・サーキットならではの「大人向け」のブルースを、きっちりしたサウンドで納める感じは、MALACOのセンスと共通しています。ラリーはしっかり歌えていますし、ギターもバラードの「プリーズ・ドント・ゴー」あたりではかなりファットで良く歌っています。でも何かもうひとつ欲しい感じが残りました。まとまりすぎなのかも。



Larry McCray ; Ambition ; POINTBLANK/VIRGIN VJCP-18 (2004.12.18)

1990年リリースのラリーのデビュー盤です。中古で購入。デトロイトから突如現れた新星として、かなりしっかりプロデュースされた作品です。アルバート・キング系の深みのあるヴォーカルに、弾きまくり系のギターという組み合わせは、カール・ウェザーズビーなどに通じるスタイルで、曲調もかなりファンキーなものが並んでいます。特にギターのスピード感はかなりのものがあります。発売当時聴いていればかなりインパクトあったかもしれません。でも15年近く経った現在聴くと、ややありきたりに聞こえてしまいます。逆にいえばそれだけこのスタイルが市民権を持ってきたということなんでしょうね。でもデビュー作にしてこの完成度っていうのは、やっぱりすごいです。



Larry McCray ; Delta Hurricane ; VIRGIN VPBCD 10 (2001. 9.14)

1993年、POINTBLANKからリリースされたラリーの第2弾です。まず特徴はそのギターでしょう。十分に歪んだサウンドはまるでロックギターのようですが、フレーズなどにはまごうことのないブルース・フィーリングを感じます。ややトーンやニュアンスが単調な気もしますが。しっかりプロデュースされた作品なので、全体に良くまとまっており、フュージョン系の曲がはさまっていてもそれほど違和感はありませんでした。リーダー作をもっとガンガン出して欲しいひとりですね。



Larry Williams ; At His Finest - The SPECIALTY Rock 'N' Roll Years ; ACE CDCH2 1021 (2004.11.29)

1957〜59年の、ラリーの文字通り絶頂期にあたるSPECIALTY時代のヒット曲をてんこ盛りにし、さらにこれでもかと別テイクを詰め込んだ2枚組です。ブックレットには別テイクも含めた徹底的な曲解説が載っていますが、蕁麻疹が怖くて読んでません。ラリーは西海岸の人ですが、レーベルと自身の嗜好のせいか、どこかニューオーリンズ風味が漂っています。デビュー曲が「ジャコモ」だったり「ロッキン・ニューモニア」をカヴァーしたりしてるからですが、意外にご当地での録音は少ないですね。後にアート・ネヴィル(でしたっけ?)がハリウッドで仕事するって縁もこの辺からかしら。さていろいろ面白いんですが、最も聴いていて楽しかったのは「バッド・ボーイ」の別テイクです。ビートルズもカヴァーしたイシュード・テイクはけっこうR&B色の強いミディアム気味のビートナンバーですが、「ジュニア・ビヘイヴ・ユアセルフ」とサブタイトルが付いているものは、よりテンポの速いロッキンナンバー。ところがもう1テイクのサブタイトルが「ジュニア・チャチャチャ」は文字通りマイナーのチャチャチャになってます。例の決めゼリフだけは同じなんですけどね。その他試行錯誤の様子が伝わってきます。こういうのが好きだからダブりが増えちゃうんですけどね。



Larry Williams & Johnny Guitar Watson ; Two For The Price Of One ; RIGHTEOUS PSLAM 23:5 (2009. 7.15)

1967年だったかのアルバムにほぼ同時期のジョニー・ギター・ワトソンのシングルやアルバム作品を加えたものです。多分以前COLLECTABLESから出てたものと同じだと思います。西海岸で活動する二人が、コラボしたこのアルバムは、軽快でファンキー、ラリーの軽快さとジョニーのもうちょっとねちっこい感じのある歌のかみ合わせが面白いです。特に重要なのが「マーシー・マーシー・マーシー」で、キャノンボール・アダレィのヒット・インストに歌詞をつけちゃって歌ってます。バッキンガムズがこれをカヴァーして大ヒットすることになるわけです。さて、ジョニーのソロ・シングルのうち「ノーバディ」はシタールのような音が入っててビートルズっぽさを感じました。アルバムからの曲はジョニーがピアノでヒット曲をカヴァーしてるって趣向で、この辺は単独CDも出てますね。




Lars Edegran ; lars Edgran Presents Uncle Lionel ; GHB BCD-464 (2008. 5. 5)

2001年録音。スウェーデン生まれのギタリスト、ラースがプロデュースして、ヴェテランのヴォーカリストであるライオネル・バティステをフィーチュアした作品です。生ギターに落ち着いたクラリネット、時折サックスも入った古いスタイルのジャズに乗って、優しげな声でライオネルは歌います。「ケアレス・ラヴ」「私の青空」「レイジー・リヴァー」など、スタンダード・ナンバーもアコースティックで味わい深い雰囲気に仕上がっています。ドラムレスですが、しっかりとしたビート感覚もあり、聴きやすいけど味もある作品です。



The Late Bill Williams ; Blues, Rags And Ballads ; BLUE GOOSE/AIR MAIL AIRAC-1341 (2007. 5. 3)

1974年リリースのアルバムがCD化されました。この人はいわゆる「再発見」ブルースマンで、ブラインド・ブレイクと活動していたなど確かな腕を持ちながら、戦前は録音に恵まれず、1960年代のフォークブームにより脚光を浴びたようです。19世紀生まれで録音時は70歳を越えていたにもかかわらず、達者なギターとけっこうタフなヴォーカルを聴かせます。ギターのタッチは「メイク・ミー・ア・パレット・オン・ザ・フロア」や「ノーバディズ・ビジネス」を聴いて分かるように、ミシシッピ・ジョン・ハートのようなけっこう細かくリズミカルなものですが、ヴォーカルが力強いので印象が違います。また「リッスン・トゥ・ザ・モッキンバード」のようなカントリー〜ブルーグラスで好まれた曲をソロでやるなど、腕は達者。その究極は昔の盟友をタイトルにした「ブレイクス・ラグ」かな。カントリーとブルースを見事に融合させたスタイルは、ジャンル分けすることがほとんど意味がないのを証明してます。



Lattimore Brown ; Little Box Of Tricks ; AIM 1507 CD (2009. 5.16)

1960年代後半のナッシュヴィル、メンフィス、そしてマッスル・ショールズでの録音集です。多くはSOUND STAGE 7から出されたようですが、詳細は調べていません。冒頭の「アイヴ・ゴット・エヴリシング」からちょっとしゃがれたタフな声で飛ばします。アップナンバーからは特にオーティス・レディングからの影響を感じますが、それは追悼歌「オーティス・イズ・ゴーン」なんてのをやってるのからも明らかですね。一方「ブレス・ユア・ハート・アイ・ラヴ・ユー」のようなバラードではストレートな歌い方で、なかなか伸びやかに歌っています。メンフィスのこってり感とナッシュヴィルのちょっとさらっとした感じを上手く使い分けているように思いました。




Latte ; Rendez-Vous ; SEPIA MOON KPCD-002 (2004. 4. 8)

2004年リリース。先日のライヴ会場で購入しました。サッチンのピアノの広がりのあるサウンドを軸に、ちょっとジャズサイドからのファンクネスを感じるベースと、きっちりジャズの基本をやったという印象のドラムのトリオですが、スタジオ盤故にパーカッションやキーボードがかぶせてあり、その分ラテン系の曲はライヴよりぐっとリズムがきらびやかで立っています。またファンク系の曲もキーボードが入ったため少し重心が下がった感じ。やっぱり「インターマリー」がいいなぁ。全体に小粋でお洒落なアルバムで、午後のお茶の気分ですか。少しドラムの音を整理するともっとファンク度が増すようにも思えました。



Laura Nyro ; Time And Love - The Essential Masters ; SONY SICP 8054 (2002.12. 4)

1966〜76年録音の、ローラのベスト盤です。写真などを見て、繊細そうな美女なんで、野暮ったいのが好きな僕には似合わないだろうと「食わず嫌い」をしていたんですが、これが聴いてびっくり!何でもっと若い、自分の感性の瑞々しいうちに聴かなかったんだろうと後悔しきりです。ニューヨークのドゥワップやR&Bをしっかり吸収し、クラシック的なしっかりした歌唱力をもったローラの歌は、十分に強く、ぐいぐいこちらの中に入ってきました。また凄く「女」を感じます。それもコケッティッシュに媚びた感じではなく、独立した性としてのそれです。スリー・ドッグ・ナイトのカヴァでの知られる「イーライズ・カミン」のドラマティックな構成力、凛とした強さとふと感じる鬱な感じの混じり方にゾクッと来ました。一方ロイヤレッツの「イッツ・ゴナ・テイク・ア・ミラクル」、ドリフターズの「アップ・オン・ザ・ルーフ」等から、ニューヨークの下町の香りを感じます。もっと聴いてみたいですね。



Lawrence Sieberth ; New New Orleans ; MUSIK BLOC no number (2008.12. 3)

2008年リリース。この人はよく知らなかったんですが、ゲイトマウス・ブラウンとたびたびセッションしているので実は聴いたことがあったようです。アルバムには「新しい」とありますが、どちらかというとオーソドックスなオールド・ジャズ・ピアノ・スタイルで、「セントルイス・ブルース」から「ドゥ・ユー・ノウ・ホワット・イット・ミーンズ・ミス・ニューオーリンズ」、そして「サニーサイド・オヴ・ザ・ストリート」までやっています。中には「ボールド・ヘッド」なんて曲も入ってて、やっぱり彼の地の人なんだなって思いました。またスウィングする「アメイジング・グレイス」ていうのも新鮮でした。少しおとなし目ですが小林創に通じるものを感じました。




Lazy Lester ; Harp & Soul ; ALLIGATOR ALCD 4768 (2001. 5.31)

1988年リリース。中古で購入。ちょうどこのCDが出た時代は、サウンド面でのブルースの移行期だったような印象があります。このアルバムもそうした一枚で、オールドスクールを今風に焼き直したのかなって、出た当時はちょっと敬遠しているうち、買いそびれていたんです。たしかにバックは割合しゃきっとしていて、当時のサウンドのイメージですが、レイジーが入ってくると、その独特の唄い回しもあって、いきなりユルユルになります。うーん、ルイジアナ!「ダーク・エンド・オヴ・ザ・ストリート」なんて思わず頬が緩みました。「ファイヴ・ロング・イヤーズ」はこの間の来日の時にもやってましたね。ケニー・ニールの好サポートもあって、上品さといなたさが同居した好盤です。



Lazy Lester ; All Over You ; ANTONE'S ANT10042 (2003.12.19)

1998年リリース。シンプルなバックながら、デレク・オブライエンの愛情あるサポートを得て、レイジーらしさのよく出た1枚です。ミディアムのサザンビート曲がやっぱり気持ち良く、レイジーのハープと緩めのヴォーカルがほわっとした気分にしてくれます。「アイリーン」なんてさすがルイジアナ出身の強みって感じ。ラストのロンサム・サンダウン・ナンバー「マイ・ホーム・イズ・ア・プリズン」などではギターもプレイ、これがまた特有の緩さなんですよね。



Lazy Lester ; Blues Stop Knockin' ; TMG/ANTONE'S TMG-ANT0051 (2001.12.27)

2001年リリースのピカピカの新譜です。昨年のパークタワーで元気な姿を見せてくれたレイジー、1曲目からロックンロール調の軽快なタイトル曲で飛ばします。バックのギターはジミー・ヴォーン。ジミー・リードの影響を感じさせる曲や代表曲「ゼイ・コール・ミー・レイジー」などのの他、リー・ドーシーの「ヤー・ヤー」をルイジアナブルースに仕立てた曲あたり、意欲を感じます。一方リトル・ブラザーの「ノー・スペシャル・ライダー」をギター弾き語りでやってたりもしていて、かなり楽しめる内容でした。このルーズさは真にレイジー、末永く活躍してもらいたいです。



Lead Belly ; Sings For Children ; SMITHSONIAN FOLKWAYS SFW CD 45047 (2001.11.29)

1960年のアルバムに、1941〜48年録音のものを追加してあります。子供に囲まれて好々爺になったのでしょうか、戦前の録音に比べ、ワイルドさが取れてフォークシンガーになっています。ギターも時折豪快な音を立てますが全体にはコードストローク中心のおとなしめなサウンド。でもワークソングの掛け声とかは流石と思う部分もあります。良くも悪くもフォークソング全盛期に、非黒人聴衆に向けてのものですから、好みは分かれるでしょうね。でもそういう変わり身ができるのが「ソングスター」の真骨頂なのかもしれません。



Leadbelly ; Take This Hammer - When The Sun Goes Down Vol. 5 ; BLUEBIRD 82876-50957-2 (2003. 7.27)

1940年にBLUEBIRD、RCA、VICTORからリリースされた録音集。レッドベリーは膨大な録音があり、同じ曲を何度も録音していますが、このRCA系の録音は、戦前の商業録音でいわゆる国会図書館ものと違う味わいがあります。ゴールデン・ゲイト・ジュビリー・カルテットとの共演曲が何と言っても面白く、C.C.R.の元歌とされている「ミッドナイト・スペシャル」を初めとして、「テイク・ディス・ハンマー」のようなワークソング系の曲が掛け声なども面白いです。思わず映画「オー・ブラザー」を思い出しました。だってジャケットも囚人服なんだもの。後の鉄格子の向こうが明るくなってるのは、夜中の特急列車の明かりでしょうね。この他「ロック・アイランド・ライン」などのゴスペル、「ロバータ」「アルバータ」といったレッドベリーの十八番、「イージー・ライダー」のようなスタンダードとなった曲(「シー・シー・ライダー」と同曲)など、いかにも商業録音といった雰囲気がかえっていい感じです。でもこれ国内盤出ちゃうんだろうな。



Led Zeppelin ; Houses Of The Holly ; ATLANTIC 7567-82639-2 (2009.11. 4)

1973年リリースのゼップ5作目のアルバムです。4作目で見せ始めたスケールの大きな世界観を感じさせる曲がさらに増えてきた感じで、アコースティックな「レイン・ソング」や「オーヴァー・ザ・ヒルズ・アンド・ファー・アウェイ」のエキゾチックな雰囲気や、シンセサイザーを使った「ノー・クウォーター」など、プログレッシヴな方向性が強く出ています。一方「ザ・クランジ」や「ジ・オーシャン」などからはミーターズからの影響を感じたりします。「ダイヤー・メイカー」じゃレゲエしてるし。その中で一番格好いいのはやっぱり「ダンシング・デイズ」でしょうか。40年近く前の曲ですが色褪せません。




Lee Benoit ; Dis 'N' Dat ; MTE 5068-2 (2003. 4.13)

2000年リリース。まず冒頭の1曲でぶっ飛びました。僕はふだん曲目も見ずに聴き始めるんですが、なんとC.C.R.の「キープ・オン・チューグリン」ではないですか!この曲のカヴァーは殆ど耳にしたことがないんですが、これ、なかなか御機嫌なロッキンケイジャンです。この他同じC.C.R.の「ボーン・オン・ザ・バイユー」の他、「ジャンバラヤ」からなんとビートルズの「オー・ダーリン」まで飛び出します。リーの声は張りのある明るいもので、そのまとまりのあるサウンドとともにとってもポップ、でもそれは全然いやな感じじゃなく、70年代前半なら全国ヒットしたんじゃなかろうかと思われる良質なもの。特にその歌の上手さは特筆してもいいと思います。でもラストのメドレーでしっかりケイジャン/ザディコするあたり、こだわりも感じました。



Lee Dorsey ; Ya Ya ; FURY/P-VINE PCD-23792 (2006. 6.28)

1961〜63年録音。オリジナルアルバムに4曲ボーナスを加えたものです。当時ボビー・ロビンソンのところのA&Rマンだったマーシャル・シホーンがニューオーリンズで「発掘」、タイトル曲をリリースするといきなり大ヒットしたという代物ですが、サウンドは全編アラン・トゥーサン・サウンドで溢れてます。粘っこくちょっとレイ・チャールズを思わせるドーシーのヴォーカルと、跳ねるピアノにトランペットを生かしたブラス、歌詞は童謡のように分かりやすく、同時代のMINITサウンドに代表されるニューオーリンズR&Bを王道を行っています。面白いのは「ギヴ・ミー・ユア・ラヴ」で、「オネスト・アイ・ドゥ」をニューオーリンズ化してリトル・リチャードのスパイスを振ったような感じ。一方ボーナスの「ユー・アー・マイ・サンシャイン」は完璧にトゥーサン・サウンドになってるのがさすがというか。



Lee Dorsey ; Yes We Can / Night People ; RAVEN RVCD-213 (2005. 4.11)

1970年のPOLYDOR盤と1978年のABC盤に1971年のシングルを加えた2on1です。リー・ドーシーはアレン・トゥーサンの秘蔵っ子で、1970年の作品はバックを投じ脂の乗り切っていたミーターズが担当、非常にファンキーな作品に仕上がっています。2部に分かれているタイトル曲など、レオ・ノセンテリのミュートの効いたカッティングの格好いいこと!一方「オー・ミー・オー・マイ・オー」はブラック・インディアン・チャントをベースにしたファンクナンバー。コーラスの素敵な「アカペラ」はマンハッタン・トランスファーがカヴァー、また1971年のシングル曲のうち、「オン・ユア・ウェイ・ダウン」はリトル・フィートが取り上げたことで有名です。1978年の録音はぐっとムードが新しくソフトになり、どこかディスコの香りすら感じますが、やっぱりこれはちょっとポップすぎるなぁ。



Lee Gates & The Alabama Cotton Kings ; Lee Gates & The Alabama Cotton Kings ; MUSIC MAKER MMCD 44 (2005.10.26)

2004年リリース。このジャケットの眼鏡越しの目が、従兄のアルバート・コリンズを思わせますが、ギタープレイも強力に影響を受けています。見たことのないビザールなハムバッカー搭載のギターから、クランチの効いた粘っこい音でプレイされるフレーズは、明らかにコリンズを意識したもの。ただしさほどフレーズにヴァリエーションがないんで、より力ずくな印象を受けます。歌もあまり歌わないんでちょっと冗長なインストが多くなるんですが、でも思ったよりは飽きないんですよ。分かりやすいフレーズの連発なんですが、彼の気合いというか意気込みをその中に感じることができ、ついつい聴いてしまいます。不思議な魅力のあるギタリストです。



Lee McBee ; Soul Deep ; CROSSCUT CCD 11072 (2003. 6.14)

2002年リリース。リー・マクビーは60年代終盤からジョン・メイオールなどと活動してきたベテランハーピストのようで、マイク・モーガンのバンドで活動、これはソロ第2作です。いきなり出てくるややルーズなホーンと粘っこいテキサスフレイヴァたっぷりのギターのサウンドから、イーストサイド・キングスを思い出しました。アンプリファイド・ハープのテクニックは文句なしで、ヴォーカルはちょっと癖のある声ですが、適度な粘り気がこの人の半端でないブラックミュージックへの愛情を感じさせます。曲は弾き語り風のカントリーブルースから、ロッキン・ブルース、そしてボックス・トップスのソウルフルなタイトル曲や、いなせなジミー・マクラクリンの「ザ・ウォーク」など多彩。いかにもテキサス〜ウエストコースト系のサウンドの曲が多いんですが、ハープにはシカゴの香りも漂い、ヴァラエティに富んだ聴き飽きないアルバムです。



Lee Shot Williams ; Get Down Tonight! ; ECKO ECD 1058 (2004.10.25)

2003年リリース。ヴェテラン・ソウルシンガーらしく、落ち着いた歌の端々に、年輪を感じます。女性コーラスと絡みながら、軽いグルーヴ感の中でしっとり歌い上げるあたり、渋みを増した男の魅力でしょうか。ただ、ぐっと来るかっていうと、そこまではなかったです。ひとつはバックのサウンドがチープなのが気になりました。多くの予算をかけられず、どうしてもシンセサイザ頼りになるんでしょうが、ミディアムやバラード系にはちょっとしっくり来ない感じですね。むしろクレジットにない11曲目以降(ボーナス?)に入っている、「ジューク・ジョイント・スライド」の軽めのファンク・チューンの方が上手くマッチしてるように思いました。



Lefty Dizz ; Shake For Me ; BLACK & BLUE BB 453.2 (2002. 8.14)

1979年シカゴでの録音です。レフティ・ディッツはシカゴの中堅ギタリストで、バックにビッグ・ムース・ウォーカー、モジョ・エルム、オディ・ペインと豪華な面々を従えたアルバムですが、いまひとつぐっと来ませんでした。ひとつはこの時代のアルバムに多い「ハイファイ」な音作りのせいがあるかな?あっさりこじんまリしすぎている気がします。曲は「R.M.ブルース」「ブルー・シャドウズ」「カミンズ・プリズン・ファーム」「ザ・シングス・アイ・ユースト・トゥ・ドゥ」など、シカゴにこだわらない有名曲が多いんですが、何だか充分に消化しきれていないように感じました。むしろ多少「モノマネ」っぽさを感じますが、ジミー・リードやハウリン・ウルフの曲の方が自然な感じがしました。



Lefty Dizz / Carlos Johnson ; The Healer ; WOLF 120.814 CD (2007. 4. 5)

カルロスが2000年、レフティは1992年のそれぞれライヴ録音です。いずれも左利きのギタリストですが、肌合いはかなり異なります。カルロスはモダンでトリッキーなフレーズを随所に聞かせるプレイ、ジョン・リー・フッカーのタイトル曲では渋いヴォーカルが見事にマッチしています。先日の来日公演と比べるとおとなし目の演奏ですが、ジョニー・テイラーの「アイ・ゴット・トゥ・ラヴ・サムバディズ・ベイビー」でのギターなどやっぱりさすがと唸る伸びやかなソロです。一方のレフティはぐっとドロッとしたサウンドをバックに、コーラスやらリヴァーブの利いたサウンドでギターを弾いています。歌い方も含め、マジック・サムからの影響を強く感じました。両者とも自作曲が中心で意欲的ですが、面白いのはいずれも「カレドニア」をカヴァーしていること。両者ともアルバート・コリンズから影響を受けているんですが、歌の軽やかさでレフティに軍配を上げたいな。ただ録音が悪いのが玉にきずですけど。



Lenny Kravitz ; 5 ; VIRGIN CDVUS 140 (2002. 6.28)

1998年リリース。頂き物です。テレヴィのCMでジミ・ヘンドリックスぽいギターが使われていて、ロックの人かと思っていましたが、聴いてみるとぐっとファンク寄りなのでまず驚きました。といってもあんまりうねりは感じないんですが、重心の低さとか、ヒステリックでない感じとかはけっこう気に入りました。適度にポップで、何だか毒気を薄めたプリンスみたいですね。曲によってはしっかりロックしていますが、やっぱりファンク系の方が僕の肌に合います。モダンジャズ的なサックスが効果的で、すごくインテレクチャルな面も感じました。もっとガツンといったものを聴いてみたいです。もう何枚か聴いてみようかしら。



Nocentelli ; Say Na Hey ; PECUKY MUSIC no number (2008.12.12)

2008年リリース。2曲入りのCD-Rです。ギターのカッティングが心地良いミディアムのタイトル曲はライヴ録音かもしれません。レオ自身のヴォーカルを多重に被せたんでしょうね。何ともチープなヴォーカルですが独特のグルーヴ感があります。一方「ザ・ハイプ」の方は打ち込みのリズムとシンセサイザーをバックに、ちょっと80年代のディヴィッド・ボウイとかプリンスを思わせるようなギター・リフ。すごく面白いって訳じゃないですけど麻薬的なノリがあります。




Leo Nocentelli ; Rhythm & Rhymes Part 1 ; TLP no number (2009. 8.21)

2009年リリース。まずはファンクネスを感じさせるカッティングのギターに乗ったインディアン・チャント風の歌から、ラップ風味のヴォーカルと、まさにタイトル通りにスタート。この「ロール・オン」がカラオケと2テイク続きます。次の「ライク・ザット」も同様の2テイク、ちょっと飽きるなぁ。タイトなインスト「トイ」は格好いいんですが、次のスロー「ステイ・ウィズ・、ミー・ア・ホワイル」もまたまた2テイク。「セイ・ナ・ヘイ」に至ってはマルディ・グラ仕様も入れて何と3テイク!う〜ん、そこまでやるかなぁ。ドクター・ジョンも参加した演奏は確かに格好いいけど、カラオケは水増しに感じちゃうんですよ。




Leo's Five ; Direct From Blue Note Club, East St. Louis ; ACE CDCHD 1187 (2009. 1.13)

1963〜64年録音。レオ・ゴードンはセント・ルイスのハモンド奏者でバンドリーダー。で冒頭の「ホールド・イット」、あれ?聞こえてくるギター、アルバート・キングじゃないですか。それもそのはず、アルバートのCOUN-TREE録音のバックは彼のバンドなんです。で、当然アルバートのC.O.D.なども収録。ジャミー・ロスの「レッツ・ドゥ・ザ・キャット」などもアルバートが弾いてるみたいです。一方LG録音では「ハイ・ヒール・スニーカーズ」や「サムシング・ユー・ガット」、「オール・マン・リヴァー」などもインストとしてプレイ。その大股なフレージングと熱いサウンドはソウル・ジャズとはまた少し違った演奏で、ハモンド・オルガンの魅力を弾き出しています。




Leon Bibb & Eric Bibb ; Praising Peace - A Tribute To Paul Robeson ; STONY PLAIN SPCD 1318 (2006. 6.17)

2006年リリース。フットボールの選手で、ブロードウェイの役者で、ポピュラー歌手で、ロースクールを卒業した左翼思想家であるポール・ロブソンへのトリビュートを、レオンとエリックのビブ親子が作りました。イントロに代表曲「オール・マン・リヴァー」をあしらい、レオンが「ジョー・ヒル」を朗々と歌います。またキーボードのビル・サンプルとともにじっくりと「マザーレス・チャイルド」「シェナンドー/ザ・ウォーター・イズ・ワイド」、単独で「オールマン・リヴァー」、サンプルは「ダニー・ボーイ」を歌い上げていきます。一方エリックはオリジナルソングでロブソンの思想を歌に込めているようです。またロブソンのナンバーを達者なギターでモダンにアレンジして、世代の違いをアピールするかのようです。しかし思いは通じているでしょう。このタイミングでこうしたアルバムを作る意図は、エリックの前作同様、現アメリカ政府に対するささやかな抗議だと思います。



Leon Chavis & The Zydeco Flames ; The Heat Is On ; ZYDECO ONLINE no number (2006. 8.22)

おそらく2006年リリースの新譜です。ブーズーの曾孫に当たるレオンは正に新星ですが、アコーディオンのテクニックは確かなものがあります。またしっかりとしたサウンドメイクがされており、ザディコ若手の新譜としては極めて完成度が高いアルバムです。演奏のスタイルは新しい流れをしっかり組み入れながらも、伝統的なザディコをしっかり吸収し、オーソドックスだけどリズムがしっかり跳ねていて気持ちがいいです。かといって軽めのサウンドに安易に流れるのではなく、切れのいいアコーディオンでしっかりビートを出しているのがいいですね。こうしたちゃんとしたプロデュースを得られたのが彼の魅力を十二分に引き出した理由だと思います。軽快な曲ではリズムの切れが生きていますし、ミディアムではビートが立っていてダンサブル。「カジノズ」ではトランペットまで披露しています。一方「ヘイ・ママ」では伝統に根差したワルツも披露、実にザディコらしいアルバムです。これからどう化けるのかが楽しみ。



Leon Chavis & The Zydeco Flames ; Holla @ Me ; LEON CHAVIS no number (2008.12.17)

多分2008年のリリースです。ブーズーの孫レオンがやってくれました!とってもタイトなリズム、「クウォリティ・タイム」などの親しみやすいメロディ、切れのいいボタンアコの音色、新世代ザディコなんですがどこか暖かみのある歌と、彼の個性によくマッチした素晴らしいアルバムに仕上がっていると思います。ヒップホップの感覚などを取り入れていても、根っこにはしっかりトゥーステップ魂が息づいていて、最近のクリス・アルドワンのようにちょっと行きすぎちゃったんじゃないのかといった感じもなく、とても自然に聴くことが出来ました。そのクリスはタイトル曲のリミックス・ヴァージョンに参加してますけど。「プレイ・ウィズ・ユア・プードル」はブルースの曲とは同名異曲ですがテーマは多分一緒でしょう。犬の鳴き声やら口笛やら入った楽しい演奏になっています。ことしのザディコのアルバムで一番気に入りました。




Leon Chavis & The Zydeco Flames ; Zydeco Soulchild ; LEON CHAVIS no number (2010.12.16 )

2010年リリース。レオンのザディコは新世代と言っていいのですが、タイトなビートやコーラスワークといった新しい要素と、ボタンアコの伝統的なプレイスタイルとを極めてバランス良くミックスしていると思います。またメロディワークが上手く、リフや曲がキャッチーで覚えやすいんです。「クレイジー」のリフなどありそうでなかったものですし。スモーキー・ロビンソンとミラクルズの「ウー・ベイビー・ベイビー」を小気味よいテンポのザディコにするセンスなど抜群だと思います。たくみにキーボードを絡ませるなど、アルバムの音作りもしっかりしており、トゥーステップもこの位モダン化してくれば若者の支持も得られると思います。ザディコではことしの一押しです。




Leon Russell ; A Song For You ; UNIVERSALUICY-1309 (2005.12. 5)

2000年と2001年のアルバムから自身のセルフカヴァー曲やスタンダード曲を集めた変則ベスト盤で、ボーナストラックとしてロッド・ステュワートで有名な「セイリング」を収録してあります。まずタイトル曲から始まりますが、随分さらりとした歌い方になってますね。ピアノのアレンジなどは先日のライヴとほぼ同様なんですけど、ちょっと薄味になった感じ。「ハミングバード」、「マスカレード」とライヴでも取り上げた曲が並んでますが、ほぼ同じアレンジかな。後半のスタンダード集は演奏がシンセ中心で、ちょっと色気にかけるように思いました。この辺りはドクター・ジョンがデューク・エリントンをやるのとは随分アプローチの違いを感じますね。好きな歌手だけに、肩透かしをされたみたいで物足りなかったです。



Leroy Carr ; Hurry Down Sunshine ; INDIGO IGOCD 2016 (2001. 5.30)

1928〜35年録音のベスト盤。中古で購入。リロイ・カーはDOCUMENTでコンプリート集があるなど、けっこうリイシューが進んでいますが、この22曲入りのCDはお手ごろです。代表曲「ハウ・ロング・ハウ・ロング・ブルース」を初め、表題曲、「ホゥエン・ザ・サン・ゴーズダウン」(「イン・ジ・イヴニング」です)、「ブルース・ビフォア・サンライズ」など、代表曲が押さえられている一方、「キャリード・ウォーター・フォー・ザ・エレファント」などというノヴェルティ・ソングも入っています。リロイの達者なピアノと洒落たヴォーカルに、スクラッパー・ブラックウェルのギターが絶妙に絡む黄金のスタイルがいっぱいで聴き飽きません。「ハウ・ロング」のように哀愁のある歌だけでなく、けっこう軽妙な曲が多く、さすが「都会派」といった感じです。



Leroy Foster ; 1948-1952 ; CLASSICS 5137 (2005. 7. 1)

実はCLASSICSをホームページのコンテンツにしようかと思ってたりもするんですが、ついつい小出しにしちゃいます。シカゴブルースの黎明期に重要な働きをしたベイビー・フェイス、殆ど聴いたことのある音源ですが、こうして彼に焦点を当てて時代順に聴くとまた違った味わいです。ギターとドラムの両刀遣いで、ARISTCRATから始まるわけですが、J.O.B.の「テイク・ア・リトル・ウォーク・ウィズ・ミー」がなかなかいいんですよ。ちょっと調子っぱずれにも聞こえる歌い回しの味、もっと評価されてもいいんじゃないでしょうか。真ん中に有名なPARKWAYセッションが入っていますが、僕はその後のサニーランド・スリムとの録音が好きですね。本当にこの人の歌はスルメのような咬み応えがあります。



Leroy Jones ; City Of Sounds ; LOUISIANA RED HOT LRHR 1110 (2001. 4.11)

1995年録音。ニューオーリンズのトランペッターのアルバムで、タイトル曲はゆったりしたセカンドライン・ファンクで艶やかなペットの音が印象的な曲です。その後に続くのはニューオーリンズ・フレイヴァーを感じるジャズで、トロンボーンが結構重要な役割を果たしています。ジャズといっても、あまり難解な感じではなく、クラリネットの入った小意気な感じのものが多いです。こんな生演奏が流れるレストランで食事をしたら、気持ちよくワインに酔えそうです。インパクトは強くないけど、心地よいアルバム。



Leroy Jones & Katja Toivola ; Leroy Jones & Katja Toivola ; SPIRIT OF NEW ORLEANS PRODUCTIONS SONOP 052008 (2008. 7.29)

2003年と2006年の録音です。リロイ・ジョーンズのトランペットと歌に、ケイチャ・トワヴォラのトロンボーンをメインに据えたジャズ・アルバムです。「セント・ルイス・ブルース」はトリシア・ブッテがアンニュイに歌っています。「ジャスト・シンキング・オヴ・ユー」はちょっとラテン・テイストのある多分オリジナルで、こちらはジョン・ブッテが歌います。全体にジャズ・アルバムでありながら、どこかブラス・バンドに通じるものもあり、素直で分かり易いメロディラインとアンサンブルになっていて、イージー・リスニングのような聴き方も出来ます。心地良いアルバムです。




Leroy Jones ; Mew Orleans Brass Band Music ; LEROY JONES LJCD-4221 (2006. 3. 7)

2005年リリース。サブタイトルにハリケーン云々とありますから、これもカトリーナに関連したものだと思います。音を聴く限り、リロイがカトリーナ以前の、古き良きニューオーリンズのシーンを、音楽で蘇らせようという意図を感じますが違うのかしら。割合クラシカルなスタイルのブラスバンドを仕立て、端正で落ち着いた演奏で、ルイ・アームストロングの曲などをやっています。いわゆるフォンクドハあまり高くありませんが、しっかりセカンドラインしているリズムにほのかに香るラテン風味とか、ジワッと来るものがありますね。何度も聴きたい作品です。



Leroy Jones ; Soft Shoe ; LEROY JONES LJCD-4011 (2007. 7.24)

2007年リリース。ジャズアルバムです。ミュートの効いたリロイのトランペットは、端正で聴きやすいです。オリジナルもメロディが分かりやすく「ビッグ・ビート・ジャンクション」なんてスタンダードかと思ったくらい。そうしたメロディメイカーとしての才能が、フレーズ全体に表れていると思います。中盤に「マック・ザ・ナイフ」「ベイスン・ストリート・ブルース」「アルフィー」とスタンダードを並べ、曲によってはサッチモ譲りのヴォーカルも聴かせます。とにかくスリルは感じませんが聴きやすいアルバムです。



Leroy Thomas ; You Got Me! ; LEROY THOMAS no number (2007. 2. 5)

2006年リリース。リロイ・トーマスは明るめの少しウェットなボタンアコを弾き、歌います。写真を見る限り結構歳いってるように見えますね。明るくてダンサブルな、オールドスクール・ザディコといってよいトゥーステップに、ワルツやブルースを入れてくるあたり、オーソドックスなスタイルです。でもこのアルバム、アコーディオンの音を初めとして音が凄くきれいなのと、トーマスの声が結構まっすぐでタフなのが聴いていて心地良かったです。かなりケイジャン・テイストが強いように思いました。



Leroy Thomas ; The People's Favorites Of Leroy Thomas ; ZYDECOROADRUNNERS no number (2009. 2.20)

2008年リリース。かなり達者なボタン・アコーディオンと割合モダンでポップな曲で気持ち良く踊らせてくれるアルバムです。リズムはトゥーステップとワルツの伝統に乗っ取っていて、「ホワイ・ユー・ワナ・メイク・ミー・クライ」など典型的な2コードのザディコなんですけど、リズムや音使いのせいで抜けたような明るさを感じさせます。ボー・ジョックの影響が結構あるんじゃないかな。「ライト・ナウ・イズ・プライムタイム」あたりはリズム処理も新しく、ヌーヴォー・ザディコの香りも感じますが、コーラスなどがポップ寄りなので印象が異なります。なかなか良くまとまった好盤だと思います。




Leroy Thomas ; Jewel Of The Bayou ; MAISON DE SOUL MDS-1089 (2010.11.29)

2010年リリース。主にダイアトニックのボタン・アコーディオンを使った、トゥーステップ中心のサウンドで、ベースをどっしり効かせたサウンドが心地良いです。歌はそんなに印象に残りませんが、ザディコの王道を行くサウンドは聴いていて安心できますね。サム・クックの「ブリング・イット・オン・ホーム・トゥー・ミー」を取り上げたり、レオ・トーマスが歌う「カム・バック」なんてソウルフルな曲も入っていて、けっこう変化に富んでいます。洒落たミックスの「タクシー・テイク・ミー・トゥ・ザ・トレイルライド」、ザディコ版「プロミスト・ランド」など、ダンサブルでいい感じです。




Les Getrex ; Sing The Classics ; SOUND OF NEW ORLEANS SONO 1063 (2004. 2. 2)

2003年リリース。レスはニューオーリンズで活動するギタリストで、ファッツ・ドミノなど名うてのミュージシャンのバックをつとめていたようです。そのレスをリーダーにして有名曲をやらせようってアルバムのようで、ゲストにはカーミット・ラフィンやロッキン・ドゥプシー・ジュニアの名前も見えます。選曲はまあ幅広く、ジョン・リーの「ブーン・ブーン」やボビー・ブランドの「ファーザー・オン・アプ・ザ・ロード」のようなブルースだけでなく、「ミスティ」のようなスタンダード、レイ・チャールズ・ナンバー、いかにもニューオーリンズな「インディアン・レッド」、思いっ切りソウルしてる「アイ・ファウンド・ア・ラヴ」や「ミスター・ピティフル」、挙げ句は「ジャンバラヤ」とそれこそ何でもありです。それぞれそつなくこなしており、長い下積みの成果を感じますが、焦点がはっきりしない感じは否めません。



Les McCann & Eddie Harris ; Swiss Movement ; ATLANTIC/RHINO R2 72452 (2004. 2.24)

1969年のモントルー・ジャズ・フェスティヴァルでのライヴ盤です。「ゲット・レディ」を思わせるピアノのイントロから、「アクエリアス」のフレーズを交え、ファンキーなレス・マッカンのヴォーカルが入ってくる「コンペアード・トゥ・ホワット」の格好良さ、べシャッと歪んだエディ・ハリスのサックスやべニー・ベイリーのトランペット、やっぱりこの曲に尽きるでしょう。この辺りの曲が、ニューソウルに大きな影響を与えたのかなんて考えてしまいますが、逆にソウルやファンクの動きとジャズが融合してこうした音楽ができたとも言えそうで、この辺りの事情に詳しくないだけに、いろいろと想像しています。他の曲はよりオーソドックスなジャズといった感じで、余計にこの冒頭の1曲が耳に残りました。



Mad Dog Lester Davenport ; I Smell A Rat ; DELMARK DG-763 (2003. 1. 3)

2002年リリース。レスターはボ・ディドリーと活動したハーピストとして有名ですが、そのせいもあってあまりディープなブルースのイメージが僕にはありませんでした。でも経歴を見るとビッグ・ボーイ・スパイアーズ等とプレイしていたようで、典型的なシカゴブルースを演奏、そこで聴くことの出来るハープはかなりディープです。クロマチックもかなりしっかりしたテクニックで吹き、そのサウンドもぐっとくるものがあります。しかしヴォーカルはちょっと弱い印象ですね。バンドはデトロイト・ジュニアやアレン・バッツのピアノ、ボブ・ストロジャーやショウ・小宮など現役シカゴの手練者が付いていて安心感がありますが、その中でもジミー・ドーキンスがちょっと全盛期のヒューバート・サムリンを思わせるプレイを聴かせているのが注目です。ソロアルバムでのプレイよりずっと好感がもてました。



Lettuce ; Outta Here ; VELOUR/TOSHIBA EMI TOCP-66005 (2004.10.27)

2002年リリース。エリック・クラズーノなど、今をときめくソウライヴのメンバーが絡んだ低重心ファンクバンドで、ジャズサイドからアプローチしたファンクらしく、きっちりした演奏力と、ボトムだけを強調するわけでない、楽器が絡み合うインタープレイが面白いです。ドラムの利かせ方がかっこいいなぁ。ゲストも多彩で、ギターにジョン・スコフィールドが入っていたり、「トゥイステッド」ではトニ・スミスという、ニューヨークのファンク畑の人が歌っていますが、なかなかセクシャルな感じでいいな。でも何と言ってもフレッド・ウェズリーでしょう。彼のビートが効いて、しかも深みのあるトロンボーンが入ると、とたんに漆黒のファンクネスが漂ってくるのは流石というしかないですね。



Lightnin' Hopkins ; Sittin' In With ; MAINSTREAM JK 53626 (2000. 6.12)

ボブ・シャッドが1951年から53年にかけてライトニンを録音した物。中古で購入。ライトニンのギターにベースとタッピングといった編成で、ギターの音も殆ど歪んでおらず、サウンド的には結構上品で、60年代の「再発見」後の録音に通じる雰囲気です。でも「ダウン・トゥ・ザ・リヴァー」という曲はフルソンの「リヴァー・ブルース」と同根を感じる重い歌。一方アップ・テンポでは「ニューヨーク・ブギ」は当時人気沸騰のジョン・リー・フッカーをもろに意識してます。2曲はL.C.ウィリアムズのヴォーカル(フルソンみたい)で、ラスト2曲はドラムも入ります。「ライトニンにはずれなし」ですが、全体としてインパクトはあまり感じませんでした。


Lightning Hopkins ; Jake Head Boogie ; MODERN/ACE CDCHD 697 (2000. 7.22)

1951〜54年録音。ほぼエレキの弾き語りですが、一部ピアノの弾き語りもあります。別テイク、ショートテイクもあり、31曲収録です。女の人が寝そべってほほえむジャケットのアナログを持っていますが、重複は半分くらいです。「ロンサム・ドッグ・ブルース」をはじめ、ライトニン節は好調で、表題曲ではそのギター・プレイが満喫できます。ギターはビヤビヤした感じではなく、結構生っぽいサウンドです。別ヴァージョンが多いので、通して聴くとちょっとかったるいとは思いますが。


Lightnin' Hopkins ; Rainy Day In Houston ; INDIGO IGOXCD 537 (2001. 6.11)

1951〜68年録音。テキサスでの録音集で、ほぼACAスタジオでのものです。P-VINEから「Lonesome Life」として出されているものといくぶん曲はダブりますが、「Blues Records」にも登場しない曲もあり、かなりレアな感じです。演奏はエレキが主で、ビヤビヤしたライトニンのサウンドがしっかり捉えられています。「ライトニンに外れなし」という言葉通りで、どれもまごうことないライトニン節です。ライトニン、一体どれだけ録音を残しているのやら。



Lightnin' Hopkins ; Mojo Hand ; FIRE/P-VINE PCD-5749 Click Here!

Lightnin' Hopkins ; Lightnin' Strikes ; VEE-JAY/P-VINE PCD-4297 (2006. 7.18)

1962年のアコースティック弾き語りに61年のエレキを持ったバンド演奏が収録されています。ちょうどPRESTIGEあたりでフォークブルースの隆盛に乗って大量に録音をしていた時代なんですが、ライトニンはそんなのお構いなしといった勢いを感じさせる演奏です。「モジョ・ハンド」ほどのインパクトはないですが、「ローリング&ローリング」「ウォーキン・アラウンド・イン・サークルズ」、そして重厚な「ヘヴィー・スノウ」と、名演が納められているので、今回のリマスターはうれしいです。一方エレキバンドの方はたぶんテキサスでの録音で、IVORYからリリースされたもの。反戦歌「ワー・イズ・スターティング・アゲイン」あたりに反骨の人ライトニンを見ることができます。



The Hopkins Bros ; Lightning, Joel & John Henry ; ARHOOLIE CD 340 (2006.12.12)

1964〜65年録音。ライトニンは説明不要で、冒頭の兄のジョン・ヘンリーをを紹介するブルースからしてライトニン節全開です。そのジョン・ヘンリーですが、田舎のおっさんがブルースをうなってるって感じで、素朴なブルースを唸っています。ライトニンほどの強烈な個性はありませんが、なかなかひなびていて良い感じです。後半になると次兄ジョエルの登場。ギターをコードでかき鳴らして唸るブルースは、ジョン・ヘンリーよりさらに素朴な感じ。どちらかというとソングスター的な印象を受けます。こうした兄弟たちに囲まれて、ライトニンはブルースを覚えていったのでしょうか。ホスト役のライトニンの音が出ると、場がビシッと締まるのが彼のすごさだなと改めて思いました。



Barbara Dane & Lightning Hopkins ; Sometimes I Believe She Loves Me ; ARHOOLIE CD 451 (2009. 7.13)

1964年の録音に1曲61年のものが加わっています。もともとこのうちの5曲はアルバムで既発でしたが、他は未発表のもの。バーバラ・デインは60年前後に活動した非黒人フォーク歌手のようで、おそらく当時のブームの中、ライトニンと同じステージに立った関係で共演したんでしょう。バーバラの歌うブルースはなかなか腰が据わってはいますが、ライトニンのような味わいはありません。タイトル曲などはふたりで歌って弾いていますが、後はそれぞれの歌のバックに回る感じ。ライトニンは多分エレキを使っていて、バーバラのギターはいわゆるアコギかき鳴らし系ですね。後半はライトニンは登場せず、バーバラがピアノを従えて録音したもの。典型的なフォーク・ブルースです。可もなし不可もなしといった感じでしょうか。ラストのゴスペル「ジーザス・ウォント・ユー・カム・バイ・ヒア」ではライトニンはピアノを弾いてます。でもこの曲調、コージー大内の「大鶴村のサイレン」の元歌では?




Lightnin' Hopkins ; Blue Lightnin' - The Jewel Sessions 1965-1969 ; JEWEL/P-VINE PCD-5627/8 (2001. 5. 8)

1965〜69年にかけて、ライトニンは3枚のアルバムと8枚のシングルをJEWELから出していますが、それらすべてと未発表曲をてんこ盛りにした2枚組。JEWEL時代のライトニンはそれ以前のフォークブームに乗ったアコースティック弾き語りでなく、エレキ(ピックアップ付きアコかも)にエルモン・ニックルのピアノ、ベース・ドラムを入れたバンドスタイルで、レーベルの性格からしても黒人マーケットを視野に入れた音作りをしています。特に1st.アルバムはその感じが強く、ラフなバンドサウンドに載ったライトニンが満喫できます。録音も劇的に向上していて、ベースがぶんぶんいってます。2nd. にいくとエコーがきつくなり、エレキギターを強調したダーティな感じになります。またワイルドチャイルド・バトラーのハープが絡みますが、これはあまり成功しているとは思いません。3rd.になるとマッスルショールズ録音も登場。エディ・ヒントンの場違いなファズギターの絡む曲もあり、時代を感じますが、ライトニンがそれにまったく負けてなく、ぐいぐい引っ張っています。タフだなぁ。未発表も出来のよい曲が多く、ライトニンの底力を感じました。僕はこのCDは好きです。



Lightnin' Hopkins ; Electric Lightnin' ; JSP/P-VINE PCD-23891 (2007. 3.24)

1960年代中〜後半あたりにヒューストンで録音された、ライトニンのエレキ弾き語りです。ビヤビヤのサウンドのギターをかき鳴らすようにして歌うブギ系のナンバーは、アコースティックより切れは落ちるものの、ライトニンの持つダーティでいい意味での「下品」さがうまく引き出されていると思います。一方スローの曲ではぐっとディープで、楽に弾いている感じのギターをバックに、語り始めるように歌うライトニンの味わい深さは格別。即興で歌っているように思います。ライトニンの最初の1枚とはいきませんけど、ファンにはたまりませんね。



Lightning Hopkins ; Lightnin'! ; ARHOOLIE CD 390 (2000. 9.17)

最近中古盤を見ているとついライトニンに手を出してしまいます。これは1967年と69年録音を集めたもの。頭が「モジョ・ハンド」なんですが、フランシス・クレイのドラムの手数がちょっと多くて、シンプルなブギのノリをちょっと損なってるように思いました。ライトニン自身は相変わらずビヤビヤデヘデヘでいいです。選曲は自分の得意のレパートリー(「ロック・ミー・ベイビー」がうれしい)と、流行り歌(レイ・チャールズの「ワッド・アイ・セイ」ですよ!)を混ぜたもので、おもしろい曲がありました。まあ、買って外れでない(なにしろ中古で安かった)と思いました。



Lightnin' Hopkins ; Blues Is My Business ; EDSEL EDCD 353 / P-VINE PCD-781 (2000. 2.18)

1971年のライヴ。中古で購入。来日の時と同じように、ベーシストがライトニンにまるでついていけてません。音質も悪いです。でも、いつになく酔っ払ってるように聞こえるライトニン節は健在です。「モジョ・ハンド」あたりはゆるすぎて、僕の好みじゃありませんが。


Lightnin' Hopkins / Juke Boy Bonner ; The Legacy Of The Blues vol.1 ; SONET/KING KICP2127 (2000. 6.19)

ライトニンは1974年録音。やけにタイトなベース、ドラムにハープも加わっています。演奏に破綻はないですが、なんか勝手が違うぞって感じです。特にハープはあまりしっくりきてないです。駄作のないライトニンですが、これはピンと来ませんでした。一方のジューク・ボーイ・ボナーは1972年録音。こちらはギター、ハープ、歌をワンマンでこなしますが、カポを使ったと思われる高目のギターをかき鳴らし、ビヤビヤいうハープを縫うように唄う声が結構溌剌としていて、気持ちよく聴けました。中古盤です。


Li'l Brian & The Zydeco Travelers ; Fresh ; ROUNDER CD 2136 (2003. 9. 2)

1995年リリース。当時21才のリル・ブライアン、いきなりポップなチューンをかましてくれます。軽快なリズムと、ちょっとファンキーなバンドサウンド、ソウルフルな味付けにラップまで交えた「新しさ」を意識したアルバム作りになっていて、並々ならぬ意欲を感じました。ヴォーカルがまだまだ軽い感じだったり、未完成な部分も感じられますが、ザディコの殻を喰い破ろうとする姿勢はビンビン伝わってきます。



Li'l Brian & The Zydeco Travelers ; Z-Funk ROUNDER CD 2146 (2003. 9.28)

1997年リリース。アルバムタイトル通りのサウンドを目指した、非常にコンセプトのはっきりしたアルバムで、1曲目の「Hタウン・ザディコ」から、ヒューストンの若手バンドらしい縦ノリとザディコの融合を聴かせます。でもそれほど低重心にならず、どこかネアカなサウンドになるのがザディコという音楽の特徴で、やはりアコーディオンのサウンドがそうするのでしょう。特にブライアンの場合は、クリス・アルドワンのようにアコーディオンプレイ自体でファンクビートを出すといった感じではなく、バンド全体のアレンジでファンクネスを出そうとしているようで、その辺がアプローチの違いで聴き比べると面白いですね。好盤です。



Li'l Brian And The Zydeco Travelrs ; Funky Nation ; TOMORROW RECORDINGS TMR 70003-2 (2003. 4.19)

2000年リリース。バックウィート名義のコンピで聴いて、気になったのでアマゾンで取り寄せてみました。このバンドはヒューストンあたりをベースにしているようで、自らの音楽を「Z-FUNK」と呼んでいるように、ザディコと都会的なクールなファンクの融合を目指しているようです。特にタイトル曲はギターカッティングやリズム隊などもろにファンクで、ヴォーカルも力強くファンキー。さすがに大都市のバンドだなって感じです。「ゲット・アップ・オン・ザット・ザディコ」も低重心のファンクにエフェクターをかけたヴォーカルがはまっていてかっこいいです。「ブラック・バタフライ」もモダンな感じ。でもちゃんと「アンクル・クリフ」などで伝統の香りを感じさせるのが、やっぱりザディコバンドの心意気なんでしょう。しかしジャケット見ると、まるで相撲部屋ですね。迫力満点!



Li'l Brian & The Travelers ; Worldwide ; HIGH ROLLERS ENTERTAINMENT HRE-5050 (2007.10.23)

2007年リリース。ことしから新設されたグラミー賞のケイジャン/ザディコ部門の候補に挙がっているアルバムです。ヒップホップやクラブ・ミュージックの洗礼を受けたザディコで、グルーヴィーなノリのタイトル曲や、スクラッチを模したスクラブボードなど、典型的な新世代ザディコ。「アイ・ショット・ザ・シェリフ」を取り上げたり、イントロで「セックス・マシーン」のリズムをパクったヒップホップ丸出しの「ファンキー・ザディコ」など、若者ならではの選曲とサウンド。でもいろいろやっている割にはJ.ポールほど徹底してはおらず、どこか本来のザディコの香りが残っているのがかえって魅力になっているように思います。



Lil' Buck Sinegal ; The Buck Starts Here ; NYNO 9612-2 (2003. 1. 8)

1999年リリース。NYNOはニューヨーク(NY)でニューオーリンズ(NO)の音楽を売ろうというレーベルで、アレン・トゥーサンが全面的に絡んでいます。このシネガルはルイジアナベースのギタリストで、EXCELLOのセッションギタリストや、クリフトン・シェニエなどザディコのギタリストを歴任していたようです。1曲目のリズムからルイジアナを感じました。「ライン・ダンサー」で聴くことができるトゥーサンのピアノもまさに彼ならでは。途中「スリープウォーク」なんて変化球もありますが、ファンクありブルースありって感じで、シャープなギターは時折アルバート・コリンズを思わせる瞬間もありました。「ブルース・イントゥ・ザディコ」では期待に反してアコーディオンは入っていませんでしたが、リズム処理が如何にも今のザディコらしく納得。ストレートなブルースよりラスト2曲のファンクナンバーに面白さを感じました。でも思ったよりはニューオーリンズフレイヴァが薄いかな。



Lil' Buck Sinegal ; Bad Situation ; LUCKY CAT LC1003 (2003. 8. 6)

2002年リリース。シネガルはEXCELLOのセッションギタリストとして有名で、ザディコシーンでも素晴らしいサポートをしていますが、この自己名義作では、エグ味のあるギターを縦横無尽に弾きまくっていて心地好いです。アルバート・コリンズに捧げた曲では、彼のプレイを彷彿させるたたみかけもあり、またラフだけど味のある「ファーザー・オン・アップ・ザ・ロード」、ファンキーな「ミスター・ランドロード」、アコーディオンも入って楽しい「シェイキン・ザ・ザディコ」など、変化もあり楽しめます。とにかく久々にガツンと来るギターを聴きました。



Lil' Dave Thompson ; C'mon Down To The Delta ; JSP JSPCD3701 (2002. 5.15)

2001年リリース。実はこのアルバム、「ブルース&ソウル・レコーズ」のクロスレビューでけっこう酷評されてたんです。で、どうかなって思ったんですが、ギターは気持ち良く突き抜けているし、決して一級品ではないですが、歌もそこそこでした。ただ、同じような曲調が多い気がするのと、「カッティン・ルーズ」などタイトルとは裏腹な思いっ切りフュージョンした曲で、これは苦手です。メアリー・テイラーとのデュエット曲が良かったな。ソウルフルな曲に要所を押さえたギターをいれるとぐっと引き立つと思いました。



Lil Ed Williams & Willie Kent ; Who's Been Talking ; EARWIG CD 4941 (2002. 9. 9)

1998年リリース。リル・エドとウィリー・ケントの双頭アルバムで、バックにはエディ・C.キャンベル、アレン・バッツといった名うての現役シカゴブルースマンが参加したセッションです。リル・エドはインペリアルズを従え、ALLIGATORからロッキン・ブルースのアルバムを出していて、最新作も好盤でしたが、こうしたシカゴのウエストサイドあたりのクラブから聞こえてきそうな演奏はまた一味違ったものです。ALLIGATORのものに比べ、ギターの音質がさらっとしているんですが、それはそれで味があります。インペリアルズと違ったグルーヴ感は、やはり日々のセッションで鍛え抜いたメンバーならではと思いました。アレンジとかが全然凝ってないのもセッション的です。ケントのヴォーカルも迫力があり(しかしドニー・ハザウェイの「ザ・ゲットー」には恐れ入りました)、なかなか楽しめた盤でした。



Lil' Ed & The Blues Imperials ; Rattleshake ; ALLIGATOR ALCD 4909 (2006. 7.17)

2006年リリース。相変わらず元気いっぱいのリル・エド、いきなりロック色たっぷりの「リーヴィング・ヒア」からエイトビートのミディアム。後はロックンロール調の景気のいいナンバーが目白押しです。リル・エドのスライドも縦横無人で暴れまくり、特にワンコードの「アイサイクルズ・イン・マイ・ミートローフ」(でいいのかな)なんてぐいぐい引っ張り回される感じ。途中「トランプ・オン・ユア・ストリート」なんて「箸休め」のバラードもあり、結構情を込めたギターが魅力的なスローブルース「ノーボディズ・フォルト・バット・マイ・オウン」なんて曲もありますが、やっぱりこの人達は勢いでいかなきゃね。エルモアに発しJ.B.ハットが陽性の方にもってったスライドを、さらにポップに仕立てたリル・エドならではのアルバムだと思います。



Lil' Ed & The Blues Imperials ; Full Tilt ; ALLIGATOR ALCD 4926 (2008.10. 3)

2008年リリース。いつも通り元気いっぱいのリル・エドがここにいます。豪快なスライドの「ホールド・ザット・トレイン」から「ハウスキーピング・ジョブ」「ドント・コール・ミー」と、のっけからぐいぐい押してきます。全体にロック色が強くなっていて、「ファースト・アイ・ルック・アット・ザ・パース」にしても、オリジナルのMOTOWNのコントゥーズのものというよりは、J.ガイルズ・バンドのヴァージョンが下敷きになってるようです。スローでも「エヴリ・マン・ニーズ・ア・グッド・ウーマン」(ってまあ何と分かり易いタイトル)のマイナー・チューンでの伸びやかなスライドが気持ちいいです。ラストの「テイク・ファイヴ」、デイヴ・ブルーベックのあの曲じゃなくってシンプルなブギでした。




Lil Green ; Why Don't You Do Right? 1940-1942 ; BLUES COLLECTION 158212 (2000.11. 6)

バックにビッグ・ビル・ブルンジー、サイモン・ヘンリー(Simeon Henry どう読むのかしら)のピアノを加えた、いかにもBLUEBIRD録音といったサウンドです。リルの歌はそれほどテクニカルな感じではないし、どちらかというと小唄っぽく、軽いんですが、なんとなく魅力的。かわいい感じって言ったらいいかな。憂歌団が初期に取り上げていた「イフ・アイ・ディドント・ラヴ・ユー」のオリジナルも入っていますし、タイトル曲は「それでいいでしょ」と邦訳して取り上げています。そういえばこのタイトル曲、「ロジャー・ラビット」という映画の中で、ベッツィちゃんがお色気たっぷりに唄ってましたっけね。



Lil Greenwood ; Walking And Singing The Blues ; ACE CDCHD 874 (2004. 3. 9)

1950〜54年にかけて、MODERNとFEDERALに残した録音集です。西海岸で活動していた彼女は、後にデューク・エリントンの元で歌っていたんだそうですが、ここで聴くことができるのは、女性版シャウターとでも言うような、迫力溢れるブルースシンギングです。「ハート・フル・オヴ・ペイン」などのスローブルースはもちろん、勢いのある「アイム・ゴーイン・クレイジー」などでも、ロイ・ブラウンに通じる雰囲気を持った、どこかドスの効いたタフな唄い回しを聴くことができます。後半のFEDERAL録音になると、男性コーラスを従え、ややポップなアレンジになってきますが、それでもパワフルな歌声はかえって磨きがかかったくらい。デュークのところではどんな歌い方をしてたんでしょうか。



Lil Malcolm & The House Rockers ; Zydeco Three Way ; LOUISIANA RED HOT LRHR 1121 (2003. 7.17)

1999年リリース。サブタイトルに「クリフトン・シェニエとロッキン・シドニーにささぐ」とあるように、シェニエとシドニーの曲で固められたアルバムです。1曲目、シドニーの大ヒット「マイ・トゥート・トゥート」から軽快でタイトな演奏が心地好いです。鍵盤式アコを使用していますがかなりシャープなリズムで、バンドの演奏もタイトです。全体に分かりやすい解釈で、まとまりが良くて適当にポップな感覚が漂っていて聴きやすいアルバムでした。オリジナル曲も聴いてみたいな。



Lil Malcolm & The House Rockers ; He's Back ; MTE MTE-5089 (2008. 8. 4)

2008年リリース。リル・マルコルムの割合ポップな歌い口と、鍵盤アコーディオンらしいメロディアスなフレーズを、クラッシー・バルーのベースを含むタイトなバンドが支えています。リズムはどちらかというと軽快で、オールド・スクールな感じですけど、伝統に根差すというよりはオルガンも入っているせいもあって、ロックンロールとかポップな印象があります。曲もオリジナル中心で、パーティ・アルバムといってもいいくらいの、軽やかに踊ってくださいといった、楽しい雰囲気を感じさせるアルバムですね。




Lil' Nathan & The Zydeco Big Timers ; Zydeco Ballin' ; MARDI GRAS MG 1062(2003. 1. 7)

2002年リリースの新譜です。リル・ネイザンは例に漏れずザディコ・チャチャズを率いるネイザン・ウィリアムズの息子で、5才の頃からラブボードを演奏していたそうです。ジャケ写を見る限りまだ十代半ばっていったところでしょうか?でも声は低めでやけに大人っぽい感じがします。父親譲りなんでしょうか。トップの「ボーリン・オン・ザディコ」はファンク感覚とレゲエからの影響が入り交じったような演奏ですが、どこかゆったりとした田舎っぽさがあり、それがかえってまろやかに感じました。「アイム・カミング・ホーム」では父親も歌で参加。演奏とかには拙さも感じるんですが、雰囲気はたっぷり。これからどんな風に音楽を発展させていくのかが楽しみです。



Lil' Nathan & The Zydeco Big Timers ; Doin' It Big Time ; CHA CHA no number (2007. 6.16)

2007年リリース。リル・ネイザンの新譜は、ご多分に漏れず最近のザディコのトレンドである、タイトなR&B的リズムをバックにしたものです。彼自身の声が低めで落ち着いているため、ぐっと低重心になっています。でもそうした新しさの中に、伝統に根差したアコーディオンのプレイが上手くはまっていて、どこか柔らかさも感じられます。この辺りのバランスの良さがこの作品の魅力となっていますね。「ルイジアナ・イズ・ザディコ・カントリー」がそうしたタイプの曲の代表で、キャッチーなリフが覚えやすく気に入りました。余り派手さはありませんがなかなかの意欲作だと思いました。



Lil' Nathan & The Zydeco Big Timers ; The Autonomous Fit For Survival ; CHA CHA no number (2009. 8.24)

2009年リリース。ボタンアコをぶら下げたジャケットがかっこいいんですが、サウンドも弱冠9才のネイランを含むファミリーが中心となったバンドが繰り出す、低重心の締まったリズムをバックに、新しい要素も取り入れながら、でもアコーディオンならではのビート感を出した演奏です。ピアノやシンセサイザを取り入れていても、主役はあくまでもアコーディオン。ドライな録音が臨場感を感じさせます。ヴォーカルもドスの効いた声で貫禄十分!まだ22才のリル・ネイザン、これからが本当に楽しみです。




Lil Nathan & The Zydeco Big Timers ; Deceived Degraded But Not Destroyed ; CHA CHA no number (2010.12.20)

2010年リリース。3ローのボタンアコを中心にしたサウンドに、ドスの効いたヴォーカルといったいつものスタンスは変わりません。ヴォイス・エフェクトをかけたり今風のコーラスを取り入れたりしていますが、リズムは今回はそれほど重たい感じは受けませんでした。少しゆったり目のテンポのトゥーステップが目立ち、「カム・バック・トゥ・ミー」なんて洒落た語りのイントロからスタートする曲が多く、打ち込みも使っていますが、実際のライヴでもこういうのをSEで流すんでしょうか。もしそうならクラブ的なサウンドを意識してるってことなんでしょうね。




Lil' Pookie & The Zydeco Sensations ; Just Want To Be Me ; MAISON DE SOUL MDS-1092 (2010.12.29)

2010年リリース。いやいや続々出てきますね。この人はオペルーサ出身の若手で、3ローを中心としたボタン・アコーディオンを奏でながら歌います。例に漏れずヌーヴォー・ザディコの影響を受け、クラブ・サウンドの香りのするコーラスワークを取り入れていますが、アコーディオン自体は伝統に基づくスタイルでけっこうしっかりしています。ややテンポの速めなダンサブルなトゥーステップが得意で、この人もクラブなどでみんなを踊らせてるんでしょうね。歌がちょっと弱いのが残念。




Lil Wayne & Same Ol Two Step ; Gotta Be Me ; SHRIMPO MUSIC no number (2009. 9.10)

多分2009年の新譜です。セイム・オール・トゥー・ステップ、フロントのリル・ウェインことウェイン・シングルトンの名前を前に出しましたね。ボタンアコらしいパーカッシヴなサウンドでビートを出しながら、ちょっとケイジャン・テイストを感じさせるヴォーカルが、ジャケットの写真の背景になっている牧場風景とやけにマッチしています。バンドの実力は折り紙付きですが、全体にレイドバックした感じがしますね。いわゆる新世代ザディコのアプローチではなく、伝統的なサウンドに若さを投入している印象です。全編トゥーステップで、まさにバンド名に偽りなし!




Lillian Boutte & Her Music Friends ; I Sing Because I'm Happy ; BELLAPHON CDJC 11003 (2008. 1. 1)

1985年リリースです。ブッテ一家はみんな歌が上手いんですが、このリリアンもその例にもれません。ゴスペルやトラッド・ナンバーを、本当にタイトル通り、楽しそうに歌います。バックのメンバーはデンマークやノルウェイ、オランダといった北ヨーロッパ勢で、サウンドはディキシーランドがかったオールド・ジャズ・スタイルなんですが、古くささは微塵も感じませんね。軽いノリの演奏とリリアンの歌はよくマッチしています。おとそ気分で気楽に聴くにはうってつけのアルバムでした。



Lillian Boutte ; But... Beautiful ; DINOSAUR ENTERTAINMENT 76401-85400-2 (2004.12.28)

ドクター・ジョンがプロデュースした1996年の作品で、中古屋で発見しました。いきなりゴージャスなアレンジのゆったりしたバックに身を任せ、ジャジーなヴォーカルが出てきたときは、外れたかなっと思いましたが、聴き進むうちにリリアンの歌の上手さと、適度にポップなドクター・ジョンらしいアレンジがうまくマッチしていて、かなり聴き応えがありました。タイトル曲のようなしっとりした歌が、ジャズをベースにしたリリアンの持ち味だと思いますが、ファンキーな曲の身のこなしの良さも捨てがたいです。ニューオーリンズ・フレイヴァー溢れる「トゥモロー・ナイト」や、嬉しいレイ・チャールズの「ファニー」など、後にいくほどお気に入りの曲が増えてきました。結局大当りの1枚。



Linda Hayes ; Atmic Baby ; SHOUT! 49 (2009. 6.20)

1952〜56年録音。HOLLYWOODなどウエストコーストのR&Bシーンで活躍したリンダは、何といってもウィリー・メイボンのアンサーソング「イエス・アイ・ノウ」で有名ですけど、落ち着いたヴォーカルと美貌はショーなどでも人気を博していたんでしょうね。タイトル曲はルンバ調、ヒット曲「テイク・ミー・バック」はバラードと様々なタイプの曲をそつなくこなしています。軽快な「ノー・ネクスト・タイム」、「ダーリン・エンジェル」ではゆったりした曲でしっかりした発声のジャジーな歌を聴かせます。後になるほどバラードの比率が上がりますが、声が重厚なため、ロックンロール時代にはアップナンバーが重たい感じになるからかと思います。もっとヒットに恵まれても不思議のない人です。




Linda Hopkins ; Rock And Roll Blues ; SHOUT! 45 (2008. 5. 1)

1951〜57年録音。リンダ・ホプキンスはジョニー・オーティスの楽団で歌っていた人で、ジョニーのヴィブラホンが特徴的な楽団をバックに伸びやかにブルースを歌うSAVOY録音でこのアルバムも始まります。続くFORECAST、CHRYSTALETTEの4曲はいずれもレイバー/ストーラーの作品。ややすっきりした歌い口のブルースがなかなかマッチしています。FEDERAL時代になるとまた比較的大きなバンドをバックに歌いますが、徐々にR&B色が強くなります。そんな中にひょいと「ダニー・ボーイ」が入ってくるのが面白いです。終わりの2曲はATCO録音で、ぐっとR&B色が強くなり、結構力の入った歌を歌っています。ひとりの歌手が少しずつ時代に合わせて変わっていく様子がよく分かって面白かったです。



Linda Ronstadt ; The Very Best Of Linda Ronstadt ; ELEKTRA/WSM WPCR-11977 (2006. 8.24)

1967年のザ・ストーン・ポニーズとの演奏から、1995年までの、彼女のほぼ全期間にわたるベストです。もちろん彼女が飛ぶ鳥を落とす勢いだったのは1970年代で、このアルバムも「悪いあなた」「イッツ・ソー・イージー」でスタートしています。興味深かったのは、この時代のカヴァー。「デスペラード」は分かるとして、MOTOWNやATLANTICのソウルナンバーを積極的に取り上げているのが、彼女の路線をよく表しています。根っこにはカントリー的な明るさを感じさせながら、ブラックミュージックに対する憧憬を抱いているように思えるんです。他方80年代後半のジェイムズ・イングラムやアーロン・ネヴィルとのデュエットになると、さすが円熟した女の魅力たっぷりなんですが、やっぱりどこかにさわやかさが残るのが持ち味ですね。僕がのめり込むタイプのシンガーではありませんが、たまに聴くと心が晴れやかになります。



Linsey Alexander ; The Blues Man ; RICJAZ no number (2001. 9.21)

1998年リリースの4曲入りミニアルバム。1曲目の「アイム・タイアード」が素晴らしい出来です。古典的なシャッフルのようなイントロから、タイトでモダンな演奏をバックに、力強い歌声を響かせます。7分と長尺ですが、飽きさせません。一方ブルック・ベントンの「レイニー・ナイト」(イン・ジョージア)も取り上げていますが、こちらはちょっと細やかさに欠け、今ひとつでした。ラストナンバーの「ハイヤー」はストリングまで入った8分の大作。曲自体は可もなく不可もなくっていう印象ですが、バックでギターを弾いているのはおそらくリトル・ミルトンです。メンバーのクレジットはいっさいないんですが、ラストのミュート奏法を聴いて確信しました。



Linsey Alexander ; My Days Are So Long ; LINSEY ALEXANDER no number (2006. 5. 7)

録音時期は分かりませんが、バックにチコ・バンクスの名前が見えますから、1990年代中後半ではないでしょうか。ファンキーなサウンドの中をなかなか味わいのあるギターが泳ぎ回り、録音はあんまり良くないんですが、例えばシル・ジョンソンなどに通じる粘っこさのある渋めのヴォーカルを披露しています。これを聴いてるとなんだかアメリカの場末のクラブでのステージ(行ったことないですけど)ってこんな感じなんじゃないかなって想像をたくましくしてしまいます。殆ど一発取りでミックス段階でいじってないんじゃないかと思われるサウンド、この生々しさが本アルバムの最大の魅力だと思いました。



The L.A.B.B. Someone's Cookin' In My Kitchen ; THE L.A.B.B. 2003(2004. 3. 2)

多分2003年の録音でしょう。リンゼイ・アレクサンダーのローカルだけどホットなフィーリングを、リック・ホールが上手く引き出しています。ややオーヴァー気味の録音により、サウンドが分厚くなり、何だかちょっとしたライヴハウスで生録りしたような臨場感溢れる雰囲気がたまりません。どこかもちゃっとした感じ、だけど洒落たコードワークも聴かせながら熱気とエネルギーをまき散らすような演奏は、一瞬ジョニー・ギター・ワトソンのチープファンクが頭をよぎりました。こういうの、好きだな。



Lionel Hampton ; Juke Box Hits 1943-1950 ; ACROBAT ACMCD 4012 (2008. 9.13)

ヒット集です。一世を風靡した「フライング・ホーム」は2ヴァージョン、「ハンプス・ブギ・ウギ」の他、スタンダードの「オン・ザ・サニーサイド・オヴ・ザ・ストリート」や、当時ヒットしていた曲のカヴァー「ザ・ハックルバック」「ピンク・シャンぺーン」「ドリンキン・ワイン・スポーディ・オディ」、楽しい「ターキー・ホップ」など、ジャズサイドで語ることも出来るんですが、やっぱりこの楽団はエンターティナーですね。女性ヴォーカルをフューチャーした曲もあります。




Lionel Hampton ; 1950-1951 ; CLASSICS 1262 (2002.12.11)

まずのっけの「オー・ベイブ」の格好良さにノックアウトです。ビッグバンドのゴージャスさを生かしながら、とってもタイトな演奏で痺れます。凄い迫力。季節柄「ブギウギ・サンタクロース」なんて曲もイカしてます。サニー・パーカーって線は少し細いと思っていましたが、いいですね。ミルト・バックナーの軽やかなピアノとふくよかなディヴ・ハワードのヴォーカルがお洒落な「プレディド」なんて曲もあります。しかし何といっても面白かったのは、おそらくユダヤ人のためのダンス曲でしょうか、「ハンナ・ハンナ」と「シャローム・シャローム」です。コーラスグループが歌うバックを付けていて、ちっともジャンプじゃないんですが、前者の「アナアナアナアナヤッホー」という歌詞は「空耳」ものだし、後者のアラビア風、あるいはジプシー風のソロもユニークです。ラスト4曲はスモールコンボで、サニー・パーカーの歌うブルース「クライング」「ヘルプレス」、フロイド・ディクソンのピアノ、チャック・ノリスのギターという職人芸に支えられていてかっこいいです。もちろん全編にわたって聴くことが出来るハンプトンのヴァイブ、最高です。



Little Al Thomas ; In The House ; CROSSCUT CCD 11068 (2003. 7.21)

2000年秋にスイスで行われたブルースフェスでのライヴ録音です。リトル・アルはシカゴのブルースシンガーのようで、バックはメンバーの名前からするとスイスかドイツあたりのバンドです。でもこのバンドがなかなかいいです。特にギターのジョン・エデルマンはB.B.キングマナーですが、嫌味のない真っすぐしたソロと、的確なバッキングを決めていて、リトル・アルの張りのある声とよくマッチしています。曲はブルースのスタンダードといっていい曲が多く、ケイシー・ビル・ウェルダンやビッグ・ビル・ブルーンジーの「フィール・ソー・グッド」をモダンにアレンジしたものから、チャック・ウィリスの「フィール・ソー・バッド」まで、幅広い選曲。でも何と言ってもB.B.キングの曲がお得意のようで、10分に及ぶ「スウィート・シクスティーン」など、オリジナルを彷彿させる出来栄えです。とにかくしっかりとしたリトル・アルの歌には好感がもてました。



Little Arthur Duncan ; Live At Rosa's Blues Lounge ; DELMARK/P-VINE PCD-93068 (2008. 1. 7)

2007年夏のライヴ盤で、同時にDVDも出ています。DELMARKはここのところこうしたシカゴの現在進行形ライヴを積極的に出していますが、テイル・ドラッガーに続きなかなか渋い人選ですね。いかにもシカゴ・ブルースといったサウンドのバックに載せて、ハイトーンのヴォーカルと、テクニックよりは味わいで勝負するハーモニカが彼の持ち味。スリム・ハーポの「ベイビー・スクラッチ・マイ・バック」そのままのアレンジで歌うユージン・チャーチの「プリティ・ガール・エヴリホエア」なんてのは微笑ましいです。ウルフやリトル・ウォルター、マディといったシカゴのスター達の曲をカヴァーするスタイルは、そうした人気曲を喜ぶ聴衆あってのものなのかな。歌に個性があるのでもう少しオリジナルが多いと面白いんですが。



Little Beaver ; Joey ; CAT/P-VINE PCD-7277 (2006.10.14)

1972年リリース。無名だとばかり思っていた「Party Down」のリトル・ビーヴァーのアルバムとしてはデビュー作です。いきなりブルーズンソウルなタイトル曲で始まりますが、結構伸びやかで張りのあるヴォーカルに絡みつくブルージーなギターというスタイルはなかなか魅力的です。曲によってはちょっと声が詰まり気味ですけど、ダニー・ハザウェイに通じる歌い回しもあったりして時代と影響を感じます。「ザッツ・ハウ・イット・イズ」は素晴らしいソウルバラードで気に入りました。続く「ケイティ・パール」は長尺のバラードなんですが、ライチャス・ブラザーズの「ふられた気持ち」を踏襲したようなアレンジと構成の曲で、これも結構聴かせますね。ラストのボビー・ブランドの名作「トゥー・ステップ・フロム・ザ・ブルース」ではブルースから2歩どころか3歩も4歩も踏み出したアレンジでこれまたいかしてます。



Little Beaver ; Black Rhapsody ; CAT/P-VINE PCD-7278 (2006.10.16)

1974年リリースのインスト集です。いきなりオクターヴ奏法のクロスオーヴァーした「ア・トリビュート・トゥ・ウェス」で、前作とはまた違ったアプローチを聴かせます。マイナーブルースあり、変拍子的なファンキーな曲ありで、「サマータイム」のジャジーなプレイには思わず耳を奪われました。こうしたサウンドを経て作られたのが「Party Down」だったんですね。知らなかったとは言え、知る人ぞ知るアルバムだったとは。改めて聴き直してみなければ。「ジャスト・マイ・イマジネーション」「レッツ・ステイ・トゥゲザー」と大ヒット曲のカヴァーも冴えたギターで聞き物です。



Little Beaver ; Party Down ; COLLECTABLES COL-CD-5432 (2006. 5. 8)

中古盤ですが、ついこういう知らない人に手が出ちゃいます。録音は70年代半ばかなぁ。データがないんで全く分かりません。アーカンソー出身でマイアミで活動していた人のようで、タイトル曲はちょっとニューソウルの影響を感じさせるミディアム。ダニー・ハザウェイやスティーヴィー・ワンダーあたりを思いっ切りローカルなサウンドに乗っけたといえばいいでしょうか。途中ギターとスキャットのユニゾンなんて技も登場。ブラコンみたいなアプローチもありますがそうなりきらないのも結構面白いですね。こうしたB級ローカル、やっぱり好きなんです。



Little Bob & The Lollipops ; I Got Loaded ; LA LOUISIANA LLCD 1024 (2004. 9. 7)

1963〜69年録音。ジャケにはサウス・ルイジアナのスワンプ・ポップとソウルなんて書いてありますが、程よい甘さで、良質のR&B・ソウル路線と言ったらいいでしょうか。初期のサウンドはアール・キングなどに通じる典型的なルイジアナ風味のヴォーカルがなかなかいい感じです。ローカルヒットしたペパーミント・ハリスのタイトル曲など、オリジナルよりぐっと明るくポップな作りなんですが、ひょっとしたらロバート・クレイはこちらのヴァージョンの影響を受けたのかもしれません。この他サム・クックなどに通じる雰囲気もありますが、より雑多で、ボビー・ブランドの「クライ・クライ・クライ」、テンプスの「マイ・ガール」、さらにジェイムズ・ブラウンの「アウト・オヴ・サイト」までやっています。ふだんのショーのレパートリーもこんなんだったんでしょうね。



Little Buster & The Soul Brothers ; Live! Volume One ; LITTLE BROTHER no number (2005. 1. 1)

1993年大阪公演と1996年パークタワー・ブルース・フェスの実況録音集です。「フロム・ニューヨーク」と紹介されていますが、バスターはかなりサザンフィーリングのあるソウルフルな歌を聴かせます。管の入ったバンドがあちこち決めを入れながら盛り上げる中、タフに鍛えられた声で歌い上げていきます。ライヴならではの粗さが臨場感につながり、生き生きとしたサウンドになっています。この時のパークタワーは見に行っていないんで、生で見損なったのが残念に思えました。「タファー・ザン・タフ」なんて勢いあるなぁ。ギターも結構アグレッシヴで面白かったです。



Little Buster & The Soul Brothers ; Work Your Show ; FEDORA FCD 5020 (2003. 6.17)

2000年リリース。この人を聴いての印象は、ジミー・リード・マナーの緩さたっぷりのブルースと、カラッとしたポップさが同居してるかなって感じです。ロイド・プライスの「ジャスト・ビコーズ」なんて、いなたさはあるのにどこかあっけらかんとしてるんです。ストラトから出る音はペキペキで、バラード系で脳天気なホーンと何とも言えないヴォーカルが絡んでくると、この人の尊骨頂かなって思います。妙に人間臭くて癖になりそうな1枚です。



Little Charlie And The Nightcats ; Straight Up! ; ALLIGATOR ALCD 4829 (2003.11.22)

1995年リリース。中古盤です。ちょっとクランチの効いたようなギターサウンドは、ファビュラス・サンダーバーズに通じるものを感じましたが、もう少し緩やかなのが持ち味のようです。リック・エストリンの歌はジュニア・パーカーばりのヴィブラートで結構聴かせます。サニーボーイの「トゥー・クロース・トゥゲザー」はTRUMPET録音の味わいですし。ラテンフレイヴァの曲やコミカルな演奏もあり、ゆとりのある演奏が素敵。エンターテインメントに徹した姿勢が伝わってきます。よくまとまったアルバムですが、きっと生で見たらもっと楽しいんでしょうね。



Little Charlie & The Nightcats ; That's Big! ; ALLIGATOR ALCD 4883 (2002. 6.24)

2002年リリースの新譜です。評判は予々聞いていたんですが、アルバムは初めて聴きましたが、味がありますね。最初のギターの音、適度にファットで枯れた肌合いのサウンドに参りました。さらにリック・エストリンのヴォーカルは、時にウィリー・メイボンのようにやや投げやりな感じ、あるいはちょっとチャールズ・ブラウンがかったジャジーな感じと、とても味わいがあり、そのハーププレイとよくマッチしています。でも何といってもこの人のアイドルはサニーボーイなんですね。「アイ・ノウ・シー・ユースト・ビー・ユア・ウーマン」ではシカゴスタイル丸出しのバック(ベースに至ってはまるっきりウィリー・ディクソン)に乗って、ハープ、歌ともサニーボーイ節全開。また「ステディ・ローリン・マン」ではベースとのデュオで渋く決めています。それぞれのメンバーが好きな音を持ちながら、バンドとしても見事にまとまるこの感じ、生で見たいですね。



Little Fats & Swingin' Hot Shot Party ; Little Fats & Swingin' Hot Shot Party ; GET HIP GC-005 (2004. 5. 2)

2003年リリース。リトル・ファッツ・アツシ率いるジャグバンドですが、「ヒービー・ジービーズ」や「嘘は罪」を聴くとどちらかというとディキシーランド・ジャズのフィーリングが漂っています。アツシのヴォーカルはちょっと吾妻光良を彷彿させるスモーキーな声と歌い回しで、なかなかイケてます。生活感たっぷりな「四畳半で熱帯魚と暮らす」なんていい感じですし、日本語の訳詞が効いた「ザ・フリム・フラム・ソース」なんてのも楽しいですね。



Little Feat ; Down On The Farm ; WARNER MUSIC JAPAN WPCR-12621 (2007. 6.13)

1979年リリース。ローウェル・ジョージ在籍時のアルバムでこれだけLPだったので、今回の紙ジャケ発売で買い換えました。すでに解散の方向が出ていた時のアルバムで、大分ローウェル色が薄くなって来ているんですが、それでも存在感は抜群です。「ココモ」(ビーチボーイズのとは同名異曲)なんて素敵だなぁ。それにもまして存在感を感じるのがポール・バレルとビル・ぺイン。ローウェルの粘っこさに対し、どこか都会的なスマートさを感じさせるのがこの二人の働きのように思います。こうした絶妙のバランスのバンドって、もう生まれないだろうな。そうして聴くとラスト2曲は別のバンドみたいだなぁ。ネオン・パークのジャケットもお気に入り。



Little Freddie King ; Messin' Around Tha House ; MADE WRIGHT MWR44 (2008. 4.29)

2008年リリース。この人は面白いです。ジャケット裏にはR.L.バーンサイドとジュニア・キンブロウを足したようなダーティ・ブルースなんて書いてありますが、ぐっといなたく、ひなびた味わいがあります。エレキをダウンホームに弾いているんですが、デルタとルイジアナの香りがない交ぜになっていて、どこか緩さがあるんです。それにやっぱりユルユルのヴォーカルが乗って来るんですがまあ何とも言えない味わい。ギター・スリムの「ザ・シング・アイ・ユースト・ドゥ」も、いろんなヴァージョンに出会ってきましたが、ここまで緩いのは初めてかなぁ。タイトル曲他3曲ほどリミックスが施され、FAT POSSUMみたいなサウンドになってますが、これもあまりわざとらしくなくて意外とはまってます。



Little Freddie King ; At Home In The New Orleans Musician's Village ; MUSIC MAKER MMCD120 (2010. 4. 7)

多分2009年のリリースではないかと思います。曲目も何にも書いていないCD-Rで、裏には「ミュージック・メイカー・リリーフ・ファンデーション」なんてありますから、ミュージシャンを義援するためのもののようです。リトル・フレディ・キングはティム・ダフィーのギターを従えての弾き語り。それこそ街の隅っこかなんかに座り込んで、さらっとブルースを歌ってますって雰囲気の録音です。割合ワンパターンな感じですが、ある意味リアルとも言えます。全12曲。でもせめて曲名くらいは書いて欲しいなぁ。




Little Freddie King ; Gotta Walk With Da King ; MADEWRIGHT MRW65 (2010. 4.27)

2010年リリースのライヴ録音です。いきなりいなたさのある「クレオズ・バック」でスタート。決して切れ味のいい演奏ではないんですが、どこか味があるんですよね。「ウォーキング・ウィズ・フレディ」なんてブギも、リズムは相当怪しいんですけど、なんか強引に持ってちゃうような感じがあって、この感覚が年期なのかもしれません。「チキン・ダンス」ではチキン・ピッキングに鳴き声の声帯模写まで入れて、張り切ってやってます。「キングヘッド・シャッフル」で刻み出すボトムリフとフレーズは「ハイダウェイ」に通じるんですが、どちらかというとハウンドドッグ・テイラーに接近してるかもしれません。リヴィング・ブルースマンの今を捉えた作品と言っていいと思います。




Little Hercules ; Little Hercules ; GREACY GROOVES no number (2003.12.17)

2003年リリース。どんどん出てくるニューオーリンズファンクのバンドのひとつで、山岸潤史とレオ・ノセンテリがゲストで参加しています。スクラッチ風のサウンドを絡ませたりヒップホップ時代のサウンドで、音作りはかなりポップなものを感じました。コーラス主体のヴォーカルは良くまとまっていますが、リズムにうねりがなく、ミーターズ風の曲をやってももうひとつ腰に来ません。山岸はいかにも彼らしいソロを聴かせますが、レオは何だか普通のうまいギタリストって感じ。ロックアルバムとして聴いたらどんなでしょうね。



Little Joe Washington ; Little Joe Washington ; LITTLE JOE PRODUCTIONS no number (2002.12.19)

1962年FEDERALに残した2枚のシングルと同じ頃のDONNAのシングル、それに90年代のスタジオ録音を集めたCD-ROMです。再生紙にコピーしたジャケットにマジックでLJWと手書きされたものがパークタワーで\2,500で売ってました。「暴利だな」と思いましたが思わず買ってしまいましたが、これがいいんですよ!ヴィンテージ時代のギター・スリムをアイドルにしていただろう歌と演奏もいいんですが、怪しげなボサノヴァがあるあたりすでに十分に際どいんですが、圧巻は90年代の録音です。スタジオライヴっぽい音で、ギターは弾きまくり、時にはアルバート・コリンズを思わせるエグ味のあるサウンドを聴かせます。歌も適度によれ気味なのが妙に耳に残ります。アコーディオンを入れてその名も「リトル・ジョーズ・ザディコ・ブルース」なんてのもありますし、アバンギャルドな「サマータイム」も飛び出します。どうやら歯弾き、頭弾きも録音されているようですが、音じゃよく分かりません。でもスタジオの反応がそれを感じさせます。2002年最高の怪しげなアルバムで文句なくベスト10入りです。



Little Joe Washington ; Houston Guitar Blues ; DIALTONE/P-VINE PCD-5698 (2003. 4.29)

2003年リリース。昨年のパークタワーで聴衆の度肝を抜いた通称「新宿公園の人」リトル・ジョーのかねてから噂になっていたスタジオ新作です。全体にDIALTONEらしいライヴな音どりの中、ギターが前面に出ていてサウンド的にもかっこいいです。しかし1曲目のエンディングから唐突で、ライヴのまんまって感じ。その時も聴かせてくれた十八番の「サムワン・ラヴズ・ミー」の粘り気は最高です。ギターはラフだけどトリッキー、ちょっとつまり気味のハイトーンなヴォーカルもギターと見事にマッチしています。多分この人のヒーローもギター・スリムだったんじゃないでしょうか?おそらく足で弾いているようなソロも登場、さらには自身のピアノも2曲で披露してますが、まるでギターを置き換えたようなプレイで、ミスノートもものともしないワン・&・オンリーのスタイルは完全に突き抜けています。こりゃ理屈じゃなく大音量で聴いて感じるのが一番ですね。久々に興奮した1枚です。



Little Joe Washington ; Stingin' The Guitar - From Houston Joint To Shibuya O-Nest ; P-VINE PVDV-21 (2005. 4. 2)

2004年夏のライヴの映像です。僕もこの現場にいたわけ(それと分かる声も収録)ですが、後ろの方で立ち見していました。そのためようやくリトル・ジョーが親指1本で弾いてることとか、足弾きの実態などを間近に見ることが出来ました。半ば思いつきのような感じで曲を進めていくんですが、テキサス・イーストサイド・キングズがそれにしっかり合せるのがすごいなぁ。生で見ていたときははちゃめちゃな部分が印象に強いんですが、こうして改めて見直すとかなりセンスのいいフレージングなどもあり、改めて彼のすごさを知った感じです。あと楽しいのは日本語対訳の字幕。英語の苦手な僕にはこれはありがたいですね。でも単純な歌詞が多いこと。口弾きから股弾きに移る過程の語りなんて、やっぱりそのまんまだったんですね。なんてシンプルなんでしょ。ボーナスに近々出るスタジオ録音のセッションの様子も入っており、ひとりで離れてギターを弾くリトル・ジョーからは、かつて名手として知られた片鱗をうかがうことが出来ました。



Little Joe Washington ; The Blues Reality ; P-VINE PCD-25028 (2005. 4.19)

2004年夏に来日した時、日本で行われたスタジオ録音がいよいよ登場しました。ライヴの様子はすでにDVDで紹介済みですが、このスタジオ盤がまた強烈です。プロデューサの小出さんのライナーによれば、LJWはスタジオでもマイペースでなければ機嫌を損ねる自由人だそうで、とにかくセッションをコントロールすることが非常に難しかった模様。そのため曲の完成度っていうことに耳を奪われてしまうと、不完全に感じるかもしれません。でもこのアルバムはそうしたお行儀の良さとは対極にあるんです。テキサス・イーストサイド・キングスの見事なサポートを得て、LJWはまさに奔放にギターを弾き、歌います。特に吾妻光良とのセッションではジャズもやるんですが、そのフレーズが驚くほどジャズしてるんです。とにかくこの人、実は何でも弾けちゃうんです。でも音色やフレーズからLJWが香り立つのが凄いんです。シャッフルにサザンフィーリング溢れるバラード、それに「ザ・ゲットー」なんてファンクが織り交ぜられていて、全く飽きませんね。クラーレンス・ピアーズが2曲歌っていますが、まさに箸休めとして絶妙ですね。とにかくアルバム作りの苦心すら感じさせる1枚ですが、現状でことしのベストです。



Little Joe Washington ; Texas Fire Line ; DIALTONE/P-VINE PCD-25094 (2009. 5. 5)

2009年リリース。待望の新作が出ましたが、まず選曲に驚きました。いきなりジェイムズ・ブラウンの「アイル・ゴー・クレイジー」なんだもん。今回はホーンセクションを加えてよりゴージャスなサウンド作りで、アール・キングの「ゾーズ・ロンリー・ロンリー・ナイト」やロスコ・ゴードンの「ジャスト・ア・リトル・ビット」などけっこうかっちり仕上げています。でもリトル・ジョーのアバンギャルドな魅力は当然どこでも全開で、ハービー・ハンコックの「カメレオン」に至っては確かにそうかなぁって位奔放にやってます。とにかく随所にあのえぐいギターとヴォーカルが登場する、リトル・ジョーならではのアルバム!また来日して欲しいですね。




Little Johnny Taylor ; The Galaxy Years ; ACE CDCHD 967 (2000. 3. 8)

1963〜68年の録音。中古で購入。LJT の GALAXY 時代はLPで持っていますが、こうしてまとめてCDで聴けるのは嬉しいです。出てたのに気づいてませんでした。やはりなんといっても「パート・タイム・ラヴ」ですね。クレイ・ハモンド作のこの曲を唄ったとき、LJTは弱冠20才!声には青さも感じられますが、堂々たる唄いっぷりです。他にも聴き物がありますが、曲によってはあまり似合っていないものもあると思いました。初期の方が好きです。


Little Jr. Cannaday ; I Been Misused ; NO COVER NCP054 (2005. 7.28)

2005年リリースです。このデトロイトのレーベルはCD-Rだったりちゃちなインレイだったりするんですが、結構面白いものが多いんで好きなんです。これもその1枚で、いわゆるオーソドックスなモダンブルースのスタイルで、チャランとしたまっとうなフレーズのギターに特段個性的でないヴォーカルなんですけど、エルモアの「スカイ・イズ・クライング」をさらりと、でも味わいある歌で聴かせたり、マジック・サムの「イージー・ベイビー」をジミー・リード風にアレンジしてやってたりと、結構耳を取られるんですよね。ファンキーな曲などはいかにもローカルな感じで、B級の王道を行ってるんですが、デトロイトのシーンを目の当たりにするような臨場感を感じました。



Little Joe Blue ; Southern Country Boy ; JEWEL/P-VINE PCD-93046 (2007.12. 5)

1968〜71年録音。リトル・ジョー・ブルーって言うとすぐにB.B.キングのフォロアート紹介されているものが目につきますが、このJEWEL録音を聴くと、もっとぐっとファンキーな印象を受けます。確かに「スタンディング・オン・ザ・スレショールド」なんて曲だと、メリスマの効いた歌い方がB.B.っぽくも感じられますが、ぶった切るようなギターとか、JEWELらしいファンキーなサウンドは、むしろどこかローウェル・フルソンに通じますし、ヴォーカルもリトル・ジョニー・テイラーなどのほうが近い気もします。タイトル曲となったカーター・ブラザーズのカヴァーは秀逸で、これ1曲でまいってしまうほど。もう少しきちんと評価されていい人だなと思いました。



Little Mack Simmons ; The PM/Simmons Collection ; ELECTRO-FI 3360 (2000. 2.10)

シカゴで闘病中のハーピストの1971〜82年にかけての録音集。新譜で購入。ゆったりと温かいハープとヴォーカルだけど、バックの音はけっこう練られてタイトでかっこいい。フェントン・ロビンソンも収録。一番おもしろかったのは「スキンタイト」。だって、マニッシュ・ボーイ始まりなんです。


Little Mac Simmons ; Blue Lights ; BLACK & BLUE BB 450.2 (2003. 2.17)

1975年フランスでの録音。バックをウィリー・メイボン、ロニー・ブルックス、ヒューバート・サムリン、ディヴ・マイヤーズ、フレッド・ビロウというそうそうたるメンバーが固め、リトル・マックの優しさを感じるヴォーカルと、それにマッチした柔らかい生ハープが気持ちよさそうに踊っています。曲はシカゴブルースの重要曲がずらりといった感じですが、「キリング・フロア」ではサムリン往年の切れ味がちらりと覗いたり、メイボンをバックに「ポイゾン・アイヴィ」を歌うなど、粋な曲も混じっています。スタジオテイクが破綻のないおっとりした演奏なのに対し、ラスト4曲のライヴはぐっと暴れた感じで、特に「ドライヴィング・ホウィール」から「ジューク」に行くあたりは、テンションが上がっていて聴きものでした。



Little Mack Simmons ; Little Mack Is Back ; ELECTRO-FI 3355 (2000. 6. 6)

タイトル通り1996年録音のマック復活作。自身が"This is my best yet"としています。どこかほわっとしててとても暖かいマックの歌と、ゆるくてこれも暖かいハープが、見事にマッチしてます。バックは結構タイトで、特にベースは腹の底から響いてきます。曲は自作とスタンダードの混合ですが、「ファイヴ・ロング・イヤーズ」などのアレンジはかっこいい!自作では「ヨー・ソー・スペシャル」というバラッドがマックの優しさをいっぱいに出してて好きです。闘病中のマック、がんばって欲しいです。なお、彼については江戸川スリムさんの「BlueSlim」をご覧ください。


Little Mack Simmons ; Somewhere On Down The Line ; ELECTRO-FI 3356 (2000. 6.13)

1997年録音。これはいいです!アコースティック系の楽器を小さな飲み屋にみんなで持ち込んで、わいわいやりながら好きな曲を1発撮りで録音したといった、どさくさなムードが満点です。音作りもきわめてライヴで、臨場感にあふれます。ピアノの音はダイナミックで、サックスは生々しく響き、マンドリンまで登場する中、マックの優しく暖かい歌声で、有名曲(ギター・スリムからリトル・ウィリー・ジョンまで!)を歌い継いでいきます。ブルースというよりは、アメリカン・ルーツ・ミュージックのアルバムといってもいいかもしれません。ラストの「ネクスト・タイム・ユー・シー・ミー」だけ71年録音。ロニー・ブルックスなどが参加してます。彼については江戸川スリムさんの「BlueSlim」をご覧ください。


Little Mack Simmons ; The Last Sessions ; BLUES SPECIAL BSCD9502 (2001. 9.29)

2000年6月アルゼンチン録音。正真正銘のラスト録音のようです。スタンダード(メドレーも多し)にオリジナルを含め、得意のナンバーを中心にしたようですが、ほんわりした歌とハープの暖かさは魅力的です。バックも的確なサポートをしていて、期待以上の出来だなって思いました。しかし歌入り「ラクカラーチャ」は笑いました。バンドの戸惑うのが目に浮かびます。



Little Milton ; We're Gonna Make It + Little Milton Sings Big Blues ; CHESS/MCA VICTOR MVCM-22024 (2004.12.11)

1963〜66年録音。中古で購入。CHESS時代のミルトンはSTAXの陰に隠れがちな気もしますが、どっこいこのアルバムは素晴らしいです。特に「ウィー・ゴナ・メイク・イット」はシカゴソウルの名曲といってもいいのではないでしょうか。この時代にすでにミルトンはその歌唱法を確立しています。「ブルース・イン・ザ・ナイト」(彼は「ブルーズ」と発音します)など、ボビー・ブランドとはまた違った魅力がしっかり出ています。ただ「スタンド・バイ・ニー」あたりはアレンジの野暮ったさがやや気になりますが。またクレジットではミルトンがギターとなっていますが、音がまるで違いますね。さて後半はブルースの名曲集で、フルソン、T-ボーン、B.B.からジェイムズ・ブラウンの「プリーズ、プローズ、プリーズ」、ハンク・バラードの「ハヴ・マーシー・ベイビー」とソウルナンバーも歌っています。こちらはモッチャリしたミルトン独特のギターも満喫できます。しかし何といっても名演はチャック・ウィリスの「フィール・ソー・バッド」ですね。彼の十八番になるんですが、伸びやかで素晴らしい歌です。



Little Milton ; Grits Ain't Groceries ; STAX/UNIVERSAL UCCO-4031 (2007. 8.20)

1972年、ロサンゼルスでのライヴです。このアルバム、大好きな盤なんですが、ようやくCDになりました。リトル・ミルトンのブルーズン・ソウルな魅力は「レット・ミー・ダウン・イージー」や「ウォーキング・ザ・バック・ストリーズ・アンド・クライング」等で十分堪能できますが、何といっても格好いいのがタイトル曲。リトル・ウィリー・ジョンの元歌からはちょっと考えられないほどファンキーな演奏は、ウェット・ウィリーのようなサザン・ロック・バンドがカヴァーしたくなるのが分かります。またオーティス・ラッシュの「アイ・キャント・クウィット・ユー・ベイビー」のミルトン流解釈も、その武骨なギターと共に彼のスタイルを良く表しています。スタジオ盤に比べ演奏はラフですが、まさにライヴ、生きてますね。



Little Milton ; Waiting For Little Milton / Blues 'N' Soul ; STAX/ACE CDSXD 052 Click Here!

Little Milton ; Friend Of Mine ; COLLECTABLES COL-CD-5434 (2007.11.26)

1977年GLADESから出されたアルバムのストレート・リイシューです。円熟したミルトンの歌と、適度にファンキーなバックが見事にマッチしています。タイトなリズムものが多いんですが、こうしたサウンドを聴くと、もしHIサウンドをバックにミルトンが歌ったらどうなったんだろうなんて想像までしてしまいます。「ドント・ターン・アウェイ」や「イッツ・オール・バッド・ニュース」あたりからは当時流行していたディスコの影も感じますが、ぐっと落ち着いていますね。リズムナンバーが多い中、スローブルースの「ユーア・ゴナ・メイク・ミー・クライ」が光ります。



Little Milton ; Me For You, You For Me ; GLADES/COLLECTABLES COL-CD-5435 (2007.11. 4)

1977年頃、ちょうどSTAXを離れてMALACOに移籍する間にいたGLADES録音を集めたものです。STAXのファンキー路線をそのままにして、さらに磨きをかけた感じ。アルバート・キングの「エンジェル・オヴ・マーシー」は本家をさらにブルーズン・ソウルにした感じだし、「マイ・シング・イズ・ユー」はアイズレー・ブラザーズの「イッツ・ユア・シング」のアンサーソング。ちょっとディスコ時代の影も見えるけど、そっち路線に行かずに例のミュート奏法を含むちょっと控え目だけど味わいのあるギターを入れながら濃く歌うさまは、この手の代表選手と呼んでいい出来栄えです。



Little Milton ; The Blues Is Alright! ; ISABEL/EVIDENCE ECD 26026-2 (2001. 1.11)

1982年12月フランスはパリでの録音。バックはマジック・スリムのバックバンド、ティアドロップスの面々(ギターはもちろんジョン・プライマー)に、キーボードでラッキー・ピーターソンがバックを務めています。タイトル曲のオリジナル録音を巡って、ネット上で話題になっていたので購入しました。タイトル曲はライナーノートに「初録音」と明記されていました。演奏は意外とルーズ、録音がややちゃちで、この後録音されたMALACO盤の方が、ギターリフを際だたせたりして、しっかりプロデュースされていてよりキャッチーな仕上がりです。全体にリハ+一発録りといった印象。ティアドロップス(特にドラムのネイト・アップルホワイト)はスローはあんまり得意でないようです。でもニック・ホルトのベースは腰が座っていますし、ラッキーは好サポートを見せています。気になるのはミルトンの声がやや荒れていること。この録音のあと来日したときに見ましたが、そのライヴを彷彿させる作品です。



Little Milton ; Feel It ; MALACO MCD7506 a
(2002. 5. 8)

2000年リリース。けっこう評判のいい盤でしたが、やっと聴きました。堂々とした貫禄たっぷりのヴォーカル、一聴してそれと分かる特徴ある音のギターと、ベテランならではの安心して聴ける1枚です。サウンドも申し分ないです。でも、何か物足りなかったです。贅沢かもしれませんが、スリルとか張り詰めた緊張感とかとは対局に位置する作品かな?スロー・ナンバーなど、ぐっと来るものはありましたが、完成されすぎていてちょっと面白みに欠けるように思いました。



Little Milton ; Guitar Man ; MALACO MCD 7513 (2002.10.24)

精力的なミルトンの2002年の新譜は、ギターに囲まれたタイトル通りのジャケットのアルバムです。その表情に負けて完全にジャケ買いしましたが、冒頭のタイトル曲は期待を裏切らない好演でした。ミルトンのギターは派手ではないんですが、味のあるもので、それがしっかり捉えられています。バックもいつになくシンプルに押さえた感じで、前作より気に入りました。ソウルナンバーも落ち着いた歌ですが何か「気」を感じる曲が多く、STAX時代を思い出す瞬間もありました。でもラストが「マイ・ウェイ」ってのは、やっぱり狙い線はその辺なのってちょっと複雑な気分。「大御所」の横綱相撲な1枚。



Little Milton ; The Blues Is Alright - Live At Kalamazoo ; ANIMATED MUSIC/VERESE SARABANDE 302 066 545 2 (2004. 4.29)

ミルトンとレヴェレンド・レイヴンが2003年、マイティ・サム・マクレインが2001年のいずれもカラマズー・ブルース・フェスティヴァルのライヴです。2枚組で1枚目はミルトンのステージを捉えています。イントロのギターからミルトンの好調さは伝わってきますが、スローブルースのメドレーとか、いつものパターンで繰り広げられる長尺の曲は、映像なしだとちょっと辛いです。それは2枚目前半のマイティ・サムにも言え、歌はいいんですがちょっとワンパターンに感じました。それにひきかえレイヴンはタイトで結構味のある演奏。ヴィンテージ・シカゴのサウンドを意識しながらも、少し抜けたようなヴォーカルとデッドな響きのハープがいい感じです。ひたむきにブルースに取り組んでいるのがよく分かりました。



Little Milton ; Think For Me ; TELARC BLUES CD-83618 (2005. 6.12)

2005年リリース。いつものブルーズン・ソウルなミルトンを期待して聴くとちょっと違和感を覚えるかもしれません。「レット・ユア・ラヴ・レイン・ダウン・オン・ミー」や「セカンド・ハンド・ラヴ」なんてややロックがかった曲調ですし、「サムシング・ワンダフル」や「リコンシダー・ミー」なんて内省的でロバート・クレイを思い出しました。一方でクラーレンス・カーターに通じる曲とかもあり、明らかに方向性を変えてきたかなって思いました。それと声がちょっとスモーキーになったかな。でもこの路線、僕はミルトンの新しい挑戦として期待してみようと思います。マンネリ化したアルバムを出したり、一方奇をてらったような作品を出したりするベテランもいる中、しっかり足元を固めながら変わろうとしているように思うからです。



Little Miss Cornshucks ; 1947-1951 ; CLASSICS 5059 (2003. 5.17)

名前とジャケットの子供じみた顔で興味を持って買った1枚です。その名も「トウモロコシ小屋のおちびちゃん」というミルドレッド・カミングスは、「田舎のメイド」というイメージでクラブ歌手として活動していたようで、曲もビッグバンドをバックにした小粋な小唄がほとんどです。前半はマール・ヤングの楽団をバックに、オリジナルソングを中心に歌っています。こういう曲ってハードな演奏の合間の清涼剤のように使われたのでしょうか?それともナイトクラブで会話の妨げにならないBGMだったんでしょうか。でもその芸名とは裏腹に、しっかりとした歌を聴かせ、それも年を追うごとに上手くなっていくのが分かります。後半は定番的な曲の録音が多く、「トライ・ア・リトル・テンダネス」なんて堂々としたものです。60年代にはCHESSの録音もあるようで、ちょいと家を捜索してみます。



Little Miss Higgins ; Junction City ; LITTLE MISS HIGGINS LMHCD002 (2008. 3. 8)

2007年リリース。「レトロでお洒落なブルース・ギター・ウーマン」という帯のうたい文句に惹かれて聴いてみましたが、確かにジャケット同様ちょこっとジャネット・クラインに似た声質ですけど、もうひとつこっちに届きません。一番の理由はエレキギターをかき鳴らすようなサウンドで、コードワークとかがいまひとつお洒落でないのと、録音のバランスのせいか、ギターが出過ぎてゴツゴツしちゃってるんです。もったいないなぁ。声はチャーミングなんですが、曲のアレンジとかがどうも合ってないように思うんですが。僕には外れですね。



Little Richard ; Get Rich Quick! ; REV-OLA CR REV 130 (2006. 1.12)

1951〜54年の、SPECIALTYで大ブレイクする前の作品集です。まだ例のひっくり返るヴォーカルは登場しますが、ゴスペルで鍛えた喉と、叩くようなピアノプレイはこの段階ですでにその特徴を表しています。ロッキンナンバーはやや大人し目ですが、「ダイレクトリー・フロム・マイ・ハート」など落ち着いた仕上がり。R&B歌手として非凡な才能を持っていたことが分かります。別テイクもたっぷり入った、ファン御用達の1枚ですね。インレイには女装したリチャードの写真もあります。



Little Richard ; Little Richard Is Back ; VEE-JAY/P-VINE PCD-4343 (2006.10. 4)

1965年リリースのアルバムにボーナスを2曲足して出された紙ジャケ仕様のアルバムです。VEE-JAYのリチャードは以前CHARLEYのクレジットなどのいい加減なアルバムで多分ほとんど全部聴いているんですが、音質の向上したりいシューはうれしい限り。このアルバムはカヴァー曲集と言ってもよく、かつてのレーベルメイトだったロイド・プライスの「ロウディ・ミス・クロウディ」やラリー・ウィリアムズの「ショート・ファット・ファニー」、さらにはロックンロールのスタンダードになった「ホール・ロッタ・シェイキン・ゴーイン・オン」「ハウンド・ドッグ」「ブルーベリー・ヒル」など超有名曲が目白押し。特に「ホール・ロッタ...」で妙にアグレッシヴなギターを聴かせているのは何とジミ・ヘンドリックスです。シュガー・ケインのヴァイオリンや曲によってはジョニー・ギター・ワトソンのギターも登場と、聴き所も満載。でも何といっても僕が好きなのは強烈に伸びやかに歌う「チェリー・レッド」。狂気すら感じさせるジャケットを眺めながらこれを聴くと、別世界に行けそうです。



Little Richard ; Get Down With It - The OKEH Sessions ; OKEH/SONY MHCP 298 (2006.10.13)

1966〜67年録音。先のVEE-JAYに次ぐ時代の音ですが、ずっとR&B色が強まっています。それもそのはず、この時期ちょうど「マーシー・マーシー・マーシー」に歌をつけて流行らせた、SPECIALTY時代のレーベルメイト、ラリー・ウィリアムズがジョニー・ギター・ワトソンと組んで音を作っているんですから。選曲も「ダンス天国」「マネー」とソウル色の強いダンスチューンを取り上げていたりして、何とか時代の波に乗ろうとする姿が感じられますね。迫力あるヴォーカルは相変わらずで、結構いいと思うんですが。ちなみにボーナストラックにある「ハウンド・ドッグ」、VEE-JAYのものと聴き比べると面白そうです。



Little Smokey Smothers ; Boss Man - The Chicago Blues Of..- ; BLACK MAGIC/P-VINE PCD-2496 (2000. 7. 2)

1993年リリース、中古で購入。シカゴのベテラン・ギタリスト初のリーダー・アルバムで、エルヴィン・ビショップやリー・ショット・ウィリアムズも参加しています。ギターは「流石」と思わせる場面がしばしばありましたが、ヴォーカルは弱いなぁ。リー・ショットが唄った曲はまだいいんですが。エルヴィンは旧友だけあって和気あいあいの雰囲気です。一部ちゃちなシンセによるホーン・サウンドが入っていたりして、もう少しちゃんとプロデュースしたら、面白いアルバムになったのではと思いました。


Little Smokey Smothers ; Second Time Around ; CROSSCUT CCD 11051 (2003. 6.22)

1996年リリース。女性コーラス入りの「ブルースマン」から快調に飛ばすリトル・スモーキー、ギターはアルバート・キングの影をちらつかせながらも、シンプルだけどとってもいい音で鳴っています。曲はそのキングの他、オーティス・ラッシュからの影響が強いようです。でもヴォーカルはちょっときついものを感じてしまいました。なんとなくヌメッとしていて、メロディラインが単調なんです。因みにベースがファンキーでかっこいいと思ったら、アルバート・コリンズのところにいたジョニー・B.ゲイデンでした。



Little Walkin' Willie & Jesse Allen ; Little Walkin' Willie Meets Jesse Allen ; OFFICIAL OF-CD 5680 (2003.11.13)

リトル・ウォーキン・ウィリーの1955年と60年の全6曲とジェシー・アレンの1951年から59年までの録音を集めたもの。別にこの二人が共演しているわけじゃありません。まずはウィリーの強烈なサックスブロウ!ニューヨークのジャンプシーンでもこれだけの吹きまくりはなかなか聴けません。女声の嬌声や男性の叫び声などが入りB級そのものの魅力がたっぷりです。「ハート・アタック」なんてキスの音まで入れちゃってやりたい邦題って感じです。バックの詳細は不明ですが、なかなかアグレッシヴなギターも入ってます。一方のジェシー・アレンはニューオーリンズ録音ですが、「テイク・イット・イージー」あたりはデイヴ・バーソロミューあたりの影響を感じますが、割とストレートなR&Bサウンドで、時代時代の音を取り入れて曲を作っている様子がよく分かります。「ドラッグネット」なんて意味深な曲だな。「シッティン&ワンダリン」は「ロウディ&クロウディ」のアンサーソングです。こうしたリイシュー、できれば録音順に並べてもらえるとありがたいんですが。



Little Walter ; 1947-1953 ; CLASSICS 5091 (2004. 6.18)

ORA NELLEの2曲以外はすべてCHECKERのもので、原盤だけでなくLPやCDから音を落としながら、録音順に並べてあります。最初期の「アイ・ジャスト・キープ・ラヴィング・ハー」の勢いの良さからしてかっこいいんですが、やっぱりマディ・バンドをバックにした「ジューク」は凄いインストです。何度も聴いていますがこうして彼の歴史の中に位置づけてもその抜きん出た迫力が分かります。「オフ・ザ・ウォール」もかっこいいんですが、ちょっとテクニックに走っている感じ。また、1953年ウィリー・ディクソンがベースに加わってから音が変っていく様子が分かります。ディクソン作の「トゥー・レイト」なんて明らかに違いますね。こういう聴き方も面白いものです。



Little Willie John ; The KING Sessions 1958-1960 ; ACE CDCHD 1061 (2008. 3.28)

代表曲のひとつ「トーク・トゥ・ミー、トーク・トゥ・ミー」で始まるコンピですが、同曲の他もバラードの美しさが際立っています。だんだん女性コーラスを厚くしたりとムーディでポップなサウンドになっていきますが、「ノー・リグレット」など、ゴスペルで鍛えたのだろう、抜けるような高音で黒く歌い上げています。ゴージャスなストリングの入った「レット・ゼム・トーク」も素晴らしくビューティフルで、男惚れしてしまいますね。「ハートブレイク」のゴスペル的なオルガンとシンコペーションの利いた演奏、格好いい!「スリープ」のようなポップなアップナンバーであっても自分の歌が崩れないのがさすがです。



Little Willie John ; 1966: The Axelrod / H B Barnum Sessions ; KENT CDKEND 305 (2009. 1.10)

1964年に人を刺して投獄されていたリトル・ウィリーが、一時的に保釈されて行われた彼の最後のセッションです。CAPITOLのために録音されましたが、KINGとの契約があったためリリースされなかったといういわく付きで、アウトテイクを含めたっぷり公開されました。まず驚いたのはその声の野太さ。リトル・ウィリーと言えば、少年のような伸びやかで甘さのある声が魅力だったんですが、ここで聴かれる声はボビー・ブランドに通じるようなややハスキーでソウルフルなもの。歌の上手さは申し分なく、バックもアール・パーマーのドラムをはじめ素晴らしいメンバーで固められており、こうして聴けるだけで幸せってもんです。「ウェルカム・トゥ・ザ・クラブ」なんてぐっと来ますねぇ。彼が2年後に死んだとき、ジェイムズ・ブラウンが嘆いたのも頷けます。




Lizz Wright ; Dreaming Widea Awake ; VERVE FORECAST 0602498815533 (2005. 7. 7)

2005年リリース。セカンドアルバムのようです。冒頭の落ち着いた「蜜の味」から、リズの半端でない歌の魅力を感じました。アコースティックギターとパーカッションという、広がりを感じさせるサウンドをバックに、低音域を効かせた力みのない、でも芯のしっかりした歌は、ジャズヴォーカルを基礎に持ちながら、小手先のテクニックではない魂を感じます。いわゆるゴスペルのように高揚感があるわけではないんですが、聴き手にジワッと感じさせるような説得力と言ったらいいかしら。ちょうどフィービ・スノウを初めて聴いたときの感覚を思い出しました。彼女よりはるかに押さえた歌い方ですけど。ちょっとカサンドラ・ウィルソンのような感じも受けましたが、あそこまでドロッとせず透明感が強いです。とにかくワン&オンリーの個性を感じました。これは次作も聴いてみたいですね。



LJ. Porter ; Blue ; LOUISIANA RED HOT LRHR 1144 (2004. 1.26)

2001年リリース。LJはニューオーリンズ生まれの歌手で、3才からゴスペルクアイアで歌っていたようです。活動の拠点は西海岸北部のようですが、ルイジアナのレーベルからアルバムを出しました。ちょっと癖のある声ですが、ソウルフルでしっかりしたヴォーカルを聴かせます。アン・ピーブルズの「アイ・キャント・スタンド・ザ・レイン」なども決して曲負けしていません。こうしたスローだけでなく、ファンクナンバーもうまくこなしているし、タイトル曲はナット・キング・コール・ナンバーかな?とにかく安定した歌唱力と、なかなか上手くまとまったバックの演奏で、かなり楽しめる作品です。



Lloyd Glenn ; 1947-1950 ; CLASSICS 5016 (2001.10. 4)

ローウェル・フルソンのバンドのピアニストとして知られるグレンの初期録音集。彼はウエストコースト、特にSWING TIMEにとっては重要なセッションマンだったようで、様々な録音で聴くことができますが、自己名義はあまり多くありません。40年代はこれもウェストコーストの重要なセッションマン、マックスウェル・ディヴィスなどとの録音が主で、よく転がるピアノを聴かせます。1曲ライヴが入っていましたが、凄い盛り上がりです。50年代に入ると代表作「チカ・ブー」などのように、コンガを入れたラテン風味の強い曲が多く、非常にジャジーなプレイを展開しています。器用な人ですね。



Lloyd Glenn ; 1951-1952 ; CLASSICS 5069 (2003.11.17)

ロイド・グレンといえばフルソンのバックでピアノを弾いていたわけですが、このアルバムではそのバンドのリズム隊を従えた曲がかなり入っていて、共通の雰囲気が漂います。1曲フルソンがギターを弾いていますが、コードだけで目だちませんが。曲は「アフター・アワーズ」などスタンダード的な曲が多いですが、時折ラテンフレイヴァを感じさせるなど、グレンのセンスを感じます。後半はドン・アルバートのオーケストラ名義の作品(後でCAFE SOCIETYのツッチーさんのレビューを読んでいて知ったんですが、これは1936年録音のボーナス)で、「アラビアの酋長」や「オン・ザ・サニーサイド・オヴ・ザ・ストリート」などスタンダード曲を中心にゴージャスなバンドで演奏しています。



Lloyd Glenn & Ckarence "Gatemouth" Brown ; Heat Wave ; BLACK & BLUE BB 465.2 (2006. 6.20)

1977年夏、フランスはニースでの録音。ロイド・グレンと言えばローウェル・フルソンのバックでピアノを弾いていた名手で、華麗な指さばきでよく転がるピアノを弾きます。これにゲイトが加わって悪かろうはずはありません。タイトル曲などのグレンのピアノインストではゲイトは脇役に回り的確なバッキングを付けていますし、ゲイトがフロントの曲では、グレンが洒落たバッキングを付けるという具合で、多分ジャズ系のバックミュージシャンとの相性も良く、楽しめました。ゲイトは歌も唄い、また曲によってはギターを演奏中にフィドルに持ち替えるなど、サーヴィスたっぷり。特に「ロング・ウェイ・ホーム」はなかなかの聴きものです。



Lloyd Price ; 1952-1953 ; CLASSICS 5100 (2004. 8.24)

CLASSICSの5000番台もとうとう100枚になりましたが、ニューオーリンズの重要人物ロイド・プライスの登場です。すべてSPECIALTY録音ですが、最初期のバムヤード・ロック」と初ヒットの「ロウディ・ミス・クロウディ」ではバンドサウンドだけでなく歌の感じも大きく変わります。「ロウディ...」以降はデイヴ・バーソロミューのサポートで、うねる三連に乗った彼のちょっと粘りのある独特の歌を満喫できますが、この辺アール・キングに影響を与えたのではとも思えます。興味深いのは当時のヒット曲との関係で、「ゼイ・セイ」は歌い回しや歌詞がロスコ・ゴードンの「ノー・モア・ドギン」に似てますし、LA録音の「ジミー・リー」は明らかにジョー・リギンズの「ピンク・シャンペーン」からの影響を感じます。最後の方の自身のバンドになると、だんだんアレンジがゴージャスになり、後のABC録音に近付いていくのが分かります。



Lloyd Spiegel ; Tall Stories ; P-VINE PCD-23829 (2006. 9.27)

2003年録音の音源が日本でも出されました。スピーゲルはオーストラリア生まれの27才のギタリストで、16才でアメリカに移り、世界を精力的に回っているようです。彼自身の言葉を借りれば、進化したブルースを目指しているとのことで、確かにこのアルバムには、しっかりとブルースを下敷きにしたギターと、なかなかタフな声の歌が入っています。またアコースティック・ギターの曲は力強いコードストロークをバックにしたややフォーク調なものが印象的。ただ、ここで聴かれるサウンドが「ブルースの進化形」だとするなら、それはすでに30年以上前にロックがやってきたことじゃないんでしょうか。例えばZZトップのサウンドの方がはるかに前に進んでいると思いました。また、帯に「究極のフィンガーピッキング」とありますが、確かに「ビフォア・ザ・ストーム」や「ロード・ダート・アンド・レイル」などでは達者なアルペジオを聴かせますけど、例えばラグタイムとかギャロッピングのようなサウンドを想像していると完全に肩透かしにあいます。どちらかというとタブ・ベノアに通じる「ロレッタ」あたりが僕には面白かったです。



Long John Hunter ; Ooh Wee Pretty Baby! ; NORTON CED 270 (2002. 7.18)

1960年代初期の録音でしょう。ロング・ジョンのヴィンテージ期のアルバムがあったんですね。かなり分厚いブックレットもついていますが、まだ読んでいません。テキサスマナーのロング・ジョンですが、時代からかロックンロール的なアプローチが目立ちます。でもいいんですよ、これが!実にローカルスターって感じで。まるで「ルシール」のような「スクール・ガール」とか、そのものズバリの「エル・パソ・ロック」とか、確かなギターの腕前とヴォーカルに支えられて、気持ち良くロッキンしてます。これは掘り出し物でした。



Long John Hunter ; Swinging From The Rafters ; ALLOGATOR ALCD 4853 (2005.11. 2)

1997年リリース。ロング・ジョンお得意のストラトキャスターからつま弾かれる粘っこいテキサスギターと、結構可愛い声のヴォーカルが1曲目から全開です。バンドも自身の「ウォーキング・キャットフィッシュ」の他、デレク・オブライエンやカズ・カザノフを加え、現代テキサスの良質なブルースサウンドで気持ちがいいですね。ANTONE'SやBLACK TOPサウンドに通じる魅力が溢れています。「ストップ・ホヮット・ユーア・ドゥーイング」のようなラテン風味のつまった曲に特に彼の持ち味が出ていると思いました。とにかくギターのトーンだけ聴いているだけでとっても気持ちの良くなる1枚。



Long John Hunter & Tom Hunter ; One Foot In Texas ; DOC BLUES DB 6805 (2003. 5.10)

2003年リリース。ロング・ジョンはALLIGATORなどの仕事でよく知られていますが、トム・ブルース・マン・ハンターは初めて聴くんじゃないかな。このふたりは兄弟ということで、曲によってヴォーカルを分け合っていますが、ややハイトーンで印象的なロング・ジョンに対し、どっしりと重厚な声のトム、なかなかいいです。ギターはふたりとも粘っこいテキサススタイルで、これが良く弾けているんです。すごく元気さを感じるアルバムでした。来日してくれないかしら。



Long John Hunter ; Looking For A Party ; BLUES EXPRESS no number (2009.12.24)

2008年リリース。久々の新譜のような気がします。ロング・ジョンのヴォーカルはもともとあまり野太い方ではないですが、ちょっと弱ったかな。でもギターは相変わらず味わいがあります。それより面白いのがアレンジで、ブルースだというのに「ホワッツ・カム・オーヴァー・ユー」ではラテン風味、「ベガー・マン」ではジャズ、さらにはさりげなくニューオーリンズ風といったように、ピアノがユニークな音を出してます。誰の仕事だろうって思ったら、ロバート・クレイ・バンドのジム・ピューでした。それもそのはず、プロデューサーはデニス・ウォーカーですし、ベースはリチャード・カズンズ、サイドギターにはアラン・ミリキタニと来れば、ただの仕事で終わるわけはないですね。全曲書き下ろしの意欲作で、けっこう楽しめました。




Lonnie Brooks ; Wound Up Tight ; ALLIGATOR ALCD 4751 (2005. 8.20)

1986年リリース。これも中古です。冒頭の「ゴット・ラッキー・ラスト・ナイト」のイントロ、「ザ・クロウル」そのまんまですね。やっぱり格好いいです。そこにジャリジャリッとしたジョニー・ウィンターのギターが絡むんですが、これが妙にマッチしています。全体としては「Living Chicago Blues」でやってた曲調の延長のような、ちょっとコード進行に工夫を加えたミディアムブルースが彩りを添えているほかは、いかにもロニーらしい歌とギターの曲が並び、何かほっとさせられます。そんな中アルバムタイトル曲で聴かれるジョニーのスライドギターが強烈です。このコンビは正解だと思いました。



Lonnie Brooks ; Let's Talk It Over ; DELMARK DD-660 (2005. 2.13)

1993年リリース。ルイジアナでギター・ジュニアを名乗り、「ザ・クロウル」というロッキンナンバーをスマッシュヒットさせ、シカゴに移ってからも「ミスター・ホット・ショット」という格好いいロッキンナンバーを引っ提げて活躍していたロニーも、随分落ち着いてきました。特にスローブルースでスリーコードにマイナーコードを交えてモダンな感じにアレンジするのは、「Living Chicago Blues」の頃からやってますが、「リコンシダー・ベイビー」もそうした味付けによって趣が変わっています。シャッフルはバンドの落ち着いているけれども心地よく跳ねる感じで、ロニーも生き生きと歌いギターを弾いています。でも豪快なロッキンナンバーがやっぱり聴きたかったかな。



Lonnie Johnson ; The Very Best Of Lonnie Johnson ; COLLECTABLES COL-CD-2897 (2005.11.18)

1948〜50年にかけて、ロニーがKINGに残した録音集です。実はロニー・ジョンソンを最初に聴いたのはこのKING盤なんですよ。エッチングのジャケットが賛否両論のフランスGUSTOのシリーズで、クリーンヘッド・ヴィンスン(あのワインボトルとサクランボのジャケは僕は好きでした)やロイ・ブラウン(あの黒猫のジャケは僕は好きでした)と同じ頃に聴いた覚えがあります。ヒット曲「トゥモロウ・ナイト」より、「ケアレス・ラヴ」や「ジェリー・ロール・ベイカー」の再録の方が耳に残ってました。哀愁を感じさせるギターの音色とフレーズが、ちょっと寂しげな歌とマッチしてとても素敵です。今回こうしてまとめて聴いてみると、思ったよりドラム入りの演奏もあるんですが、僕はやっぱり弾き語りの印象が強い曲の方がお気に入りですね。戦前ものと比べて遜色ないと思ってるんですが。しかしこのあと10年後にはホテルのドアマンやったってのが、哀愁を誘います。



Lonnie Mack ; From Nashville To Memphis ; FRATERNITY/ACE CDCHD 807 (2001. 9.25)

1963〜67年録音。タイトルにあるように、チャック・ベリーの「メンフィス(テネシー)」をインストカヴァーしたものが流行り、それに気をよくしたのか?ご当地ソングを何曲も出したのが軸になっています。ロニーのビヤビヤとした「ワミー・ギター」は一度耳にすると癖になります。ちょっとロバート・ワードに通じる音色ですが、フレージングはアグレッシブで、かっこいいです。キング・カーティスの「ソウル・セレナーデ」まで雰囲気を壊さずにギターインストに仕立てているのには脱帽です。人のバックに回った曲もありますが、ややおとなしいとはいえ、音色は変わりません。こういう個性の出し方はこの時代ならではと思いますが。第1集も出ているようなので聴いてみたいです。



Lonnie Mack ; Memphis Wham! ; FRATERNITY/ACE CDCHD 713 (2002. 7.28)

1963〜67年録音。いきなりチャック・ベリーの「メンフィス(テネシー)」のインスト版ヒットで幕開けするロニーのベスト盤です。「ワム!」とかのギタープレイはたまりません。でもこの音質、ロバート・ワードとの共通点が強いですね。どういう影響関係なのかしら?曲もゴスペルタッチが多いですし、ボビー・ブランドの曲をかなり取り上げているのも面白いです。それからニューオーリンズ・フレイヴァの曲もあって、「ロッキン・ニューモニア」なんて曲もやっています。でもこの女性ヴォーカルは誰でしょうか?



Lonnie Pinchford ; All Around Man ; ROOSTER BLUES R2629 (2007. 1.25)

1994年リリース。ロニーは主にアコースティックギターでデルタスタイルのブルースを奏でて歌います。ロバート・ジョンソンやビー・カーター、マディ・ウォーターズを、あんまりドロドロにせずに、でも十分ルーラルな雰囲気でやっていて結構味があります。また面白いのは1弦のディドリー・ボウでリトル・ウォルターの「マイ・ベイブ」をやってて、このちゃちな音が結構ひなびてていいんです。オリジナル曲もデルタスタイルが多いかな。一方エレキバンドの曲も収録されているんですが、枯れ味はアコースティックと同様にあったりします。サニーボーイの「ブリング・イット・オン・ホーム」など、オリジナルのモダンさはどこへ行ったのって感じ。でも、ダニー・ハザウェイの「ザ・ゲットー」は結構グルーヴィーなインストで、オクターヴ奏法まで披露。こんなのをジュークジョイントでやってるのかななんて思いました。



Los Hombres Calientes ; Los Hombres Calientes ; BASIN STREET BSR 0201-2 (2003. 3.17)

1998年リリース。ロス・オンブレス・カリエンテスはニューオーリンズをベースに活動するラテンジャズ・ユニットで、アーヴィン・メイフィールドのトランペット、ビル・サマーズのパーカッションとヴォーカル、ジェイスン・マルサリスのドラムが核になっているようです。サンバのリズムに落ち着いたトランペットという、大人のムードたっぷりで、その背後にしっかりファンクの隠し味を感じるのがニューオーリンズならではですね。ラテン風「スターダスト」もおつだし、アフリカを意識した曲も面白い、知的なアルバムという印象です。



Los Hombres Calientes ; Vol.2 ; BASIN STREET BSR 0202-2 (2003. 3.26)

2000年リリース。前作よりストレートなラテンテイストが薄れ、その分ファンク、ニューオーリンズ、アフリカといった要素が増したかなって思いました。弦の入った「キューバン・スイート」も、よりジャジーでファンキーな感覚が濃いかな。名曲「フィール・ライク・メイキン・ラヴ」のインストヴァージョンも大人の雰囲気で。こんな感じでつらつら聴き流していたんですが、イントロからビビッときたのがラストの「カメレオン/ウィー・ウォント・ザ・ファンク」!タイトルも見ないでカーステで聴いてたんですが、前の曲の「フレッシュウォーター・ガール」からハービー・ハンコックのイントロを踏襲しているけどずっと雰囲気があり、来るかなっと思ったら予想通り来て、で聴いてったらP-ファンクですから、好き者の僕としてはこの1曲で満腹でした。だってテンポダウンしてドロッとファンクして終わるんだもん。センス最高!



Los Hombres Calientes ; Vol.4: Vodou Dance ; BASIN STREET/BUFFALO BUF-801 (2003. 4. 9)

2003年リリースの新譜です。前作からビル・サマーズ、アーヴィン・メイフィールドのふたりのクレジットになっていますが、多彩なゲストを招いて、ますますガンボなサウンドになってきました。ベースはカリブの香りたっぷりのラテン・ジャズなんですけれど、主要な曲の合間にプリミティヴなボンゴサウンドが挟まっていたり、タイトル通りアフリカの深い部分から聞こえてきそうなサウンドが顔を覗かせたりしていて、とってもカラフルな印象です。1曲目のヴォーカル、何かどっかで聴いた声だと思ったら、シリル・ネヴィル!この他ボー・ドリスの雄叫びがインパクトたっぷりのブラック・インディアン・チャント風のその名もズバリ「ワイルド・チュピトゥラス」、「ジョキモ」はシュガー・ボーイ・クロフォードの「ジャコモ」、つまり「アイコ・アイコ」ですけれど、ドクター・ジョンのアレンジを踏襲しながら、粘りのある声で歌っているのはオリジネイタの孫のダヴェルだったりと、聴き込めば聴き込むほどしゃぶりがいのあるアルバムです。ニューオーリンズ・ファンクの味付けもたっぷりで、こりゃことしのベスト10入りですね。



Los Hombres Calientes ; Vol.5: Carnival : BASIN STREET BSR 0206-2 (2005. 5.22)

2005年リリース。マルディ・グラを狙ったリリースかもしれません。アイヴァン・メイフィールドのトランペットとビル・サマーズのパーカッションを軸に、ラテン、アフロ、ニューオーリンズのブラック・インディアン・チャントと多彩な音楽的要素をたっぷり詰め込んだリズムの洪水のようなアルバムです。しかししっかりとしたジャズの基礎を感じさせ、演奏はしっかりまとまっており破綻がありません。その分スリルも足りない気はしますが。そんな中「ジェイムズ・ブッカー」なんて曲はローランド・マーカムがそっくりのピアノを聴かせてビックリでした。「ザ・マルディ・グラ・セカンド・ライン」ではカーミット・ラフィンとジョン・ブッテがお得意のヴォーカルスタイルを披露。また「ジョージ・ポーター」はご本人が彼らしいベースを奏でるマルディ・グラ・ナンバーで御機嫌です。



Lost Bayou Ramblers ; Vermilionaire ; BAYOU PERDU no number (2008.11.15)

2008年録音。しっかりと南西ルイジアナのケイジャン文化を受け継いだバンドで、アコーディオンよりもフィドルの方がウェイトが高い感じです。選曲もトラッドの他おそらく現地で歌い継がれただろう先祖代々からの曲が中心のようです。トゥーステップとワルツが程好くミックスされていて、目をつぶって聴いているとヴィデオで見た庭先や家庭の中で家族たちが演奏し踊っているという彼の地の光景が目に浮かびます。癒し系の音楽といっていいと思います。




Lou Ann Barton ; Sugar Coated Love ; M.I.L. MULTIMEDIA MIL 3043 (2003. 7.28)

1977年頃のテキサス録音で、リリースされることをあまり意識していないようなラフな作品が多いです。ルー・アンは昨年ジミー・ヴォーンと来日していますが、この時代のものは現在に比べ、若々しく、荒削りですが勢いの良さを感じます。アン・ピーブルズの「ブレイキング・アップ・サムバディズ・ホーム」なんてなかなかの熱唱。でもこのアルバムの目玉は、若き日のスティーヴィー・レイ・ヴォーンが捉えられているところでしょう。2テイクある「トランプ」風にアレンジされた「ティー・ナイ・ニー・ナイ・ヌー」のノリなど彼のギターならでは。タイトル曲や「シェイク・ア・ハンド」「スクラッチ・マイ・バック」などルイジアナもので、彼特有の粘つくギターがいい味を出しています。「アイ・ワンダー・ホワイ」ではスライドも披露、これもなかなかで、アルバムとしてのまとまりなどは全くないですが、聴き所は多く楽しめました。



Lou Donaldson ; The Natural Soul ; BLUE NOTE 7243 42307 2 1 (2003. 2.23)

1962年録音。某掲示板で話題になっていた「ファンキー・ママ」のオリジナルを聴いてみたくて購入。で、1曲目がそれですが、思ったよりはすっきりしたジャジーな印象でした。キャッチーなテーマなので、ウエストサイド・ホーンズやゲイトマウスがカヴァーするのも分かりますが、ちょっと拍子抜け。でも「スペースマン・ツイスト」などのブルースで聴かれるインタープレイはさすがの一言ですね。特にグラント・グリーンのクールなプレイには思わず耳が行ってしまいます。他の作品も聴いてみたくなりました。



Lou Donaldson ; Alligator Bogaloo ; BLUE NOTE CDP 7 84263 2 (2003. 3. 2)

1967年録音。ウエストサイド・ホーンズがタイトル曲を格好良く決めていたんで買ってきました。これはクールですね。ジャズ・ファンクの部類なんでしょうが、いかにもBLUE NOTEってサウンドに感じました。品がいいんですが迫力には欠けます。ギターはジョージ・ベンソンで、上手いんですが、僕はグラント・グリーンのプレイの方がずっと好きです。オルガン弾きのロニー・スミスの「アウ・シュックス!」が一番ファンクネスが感じられて気に入りました。



Lou Donaldson ; Midnight Creeper ; BLUE NOTE 7243 5 24549 2 1 (2003. 6. 5)

1968年録音。ファンキーなタイトル曲が何といっても印象に残ります。そんなに暑苦しくはなく、むしろジョージ・ベンソンのギターなどはかなりクールな印象ですが、やっぱりオルガンがメインに入ってくると、こうしたブルースだとぐっと来ます。この他ゴスペルフィーリング溢れる「ラヴ・パワー」、ムーディな「エリザベス」などもありますが、やっぱりファンキーな「ダッパー・ダン」が濃くていいなぁ。ルーのアルトもねちっこくていい意味での下品さを感じます。こういった「お高くない」ジャズならなんぼ聴いてもいいですね。



Lou Donaldson ; Everything I Play Is Funky ; BLUE NOTE /CAPITOL CDP 7243 8 31248 2 4 (2004. 2.18)

1970年録音。アルバムタイトルにも拝借されている1曲目、リー・ドーシーの「エヴリシング・アイ・ドゥ・ゴナ・ビ・ファンキー」、これ1曲で大満足です。まさにファンキー親父ルーの真骨頂といったサウンドで、熱いオルガンサウンドに支えられ、コーラスも絡みながらファンキーなインタープレイが続きます。ちょっと上品な「ドンキー・ウォーク」でも、ブレイクの部分でガーシュインのフレーズなどに混じって「シシー・ストラット」のフレーズが飛び出したり、「ハンプス・ハンプ」の隙間だらけの感じなども、結構ミーターズの与えた影響って大きかったのかななんて想像しています。曲によっては品が良すぎる気もしますが、面白い1枚。



Lou Rawls ; Anthology ; CAPITOL 72435-21768-2-3 (2008. 5.22)

1962〜70年のCAPITOL時代の録音集です。この人とかブルック・ベントンとかは本当に評価の分かれる人のような気がします。ブルックはある意味ポップすぎるところから、ブルース・ファンから敬遠気味だと思うんですが、この人の場合、演奏はジャズなんです。でも歌はちょっとブルージーだけど、かなりスムースな感じで、ポップさが勝っちゃうんですよね。そういう僕も「タバコ・ロード」聴きたいがために買いました。流行った曲はモノローグで始まる、少しブルージーなポップ・チューンが多く、ソウルフルとも言えず、やっぱり白人層に受けるように思いました。でも歌はめちゃめちゃ上手く、声もいいんです。アリサ・フランクリンのような行き方はできなかったんでしょうかね。



Louis Jordan ; Let The Good Times Roll - The Anthology 1938-1953 ; DECCA/MCA MCAD2-11907 (2001. 6.30)

DECCA時代のルイ・ジョーダンは何枚も持っているんですが、この2枚組コンピはなかなかの選曲です。初期の曲から代表曲もほぼ網羅(「ノック・ミー・ア・キッス」が入ってないのが残念)されていますが、僕にとって嬉しかったのは、これで初めてルイの「ジャンコ・パートナー」が聴けたことです。ラテン風味が効いていてさすがだと思いました。あとは後半にビル・ドゲットが加わってくるんですが、ピアノもけっこういいリズムを出していますが、オルガンになると「ホンキー・トンク」を思わせるサウンドで思わずニンマリしてしまいます。この他「ブルーライト・ブギ」でのビル・ジェニングスのギターサウンドのかっこよさ、B.B.キングの「ジャスト・ライク・ア・ウーマン」の元歌など、聴き所が一杯です。



Louis Jordan ; The ALADDIN, "X" & VIK Recordings 1953-55 ; REV-OLA CD BAND 2 (2006.10. 9)

ルイ・ジョーダンの全盛期は間違いなくDECCA時代だったとは思いますが、この西海岸のALADDINなどへの録音も、大ヒットこそないけれど、非常に高水準の演奏を聞かせています。バンドはよりタイトになり、ビートが強調されているのはやはり時代でしょうか。ルイのアルトサックスは時折強烈に泣き叫び、ノヴェルティな味はそのままに、演奏に勢いが増したように思います。"X"録音はエコーたっぷりでゴージャスな感じ。ラテン風味とコーラスが楽しいポップチューン「ワットエヴァー・ララ・ウォンツ・ララ・ゲッツ」では朗々と歌ってみせたりします。このコンピは録音もよく、だんだんと時代の中心から外れていきながらも、楽しい演奏を続けていたルイの音楽を満喫することができます。



Louis Jordan ; One Sided Love Then Sakatumi ; PZAZZ/VSOP CD 324 (2003. 1. 5)

1968年録音。中古で購入。いやいや、まずジャケットからしてすごいです。多分日本人のつもりのルイとカツラをかぶった着物姿の女性、そして「サカツミ」って何でしょう?ポール・ゲイトゥンがプロデュースした演奏は、この時代のちょっとファンキーになりきれないB級リズム&ブルースって感じで、かつてのジャンプサウンドを期待すると思いっ切り肩透かしですが、これはこれで面白いです。ルイのアルトは結構ムード歌謡ぽかったりして笑えますし、コミカルな唄い口はルイならでは。「サカツミ」などは「東京」と唄いながらなぜか銅鑼の音から始まる怪しさ!この辺になるとスクリーミン・ジェイ・ホーキンスとの共通点も感じますが、徹底度が足りないか?「モンキー・シー・モンキー・ドゥ」あたりも同路線。ちょっと時代に乗りきれないエンテーティナー振りが微笑ましいです。



Louis Myers ; I'm A Southern Man ; P-VINE PCD-5572 (2004. 8.20)

エイシズのギタリスト、ルイスの1978年録音の初ソロアルバムをCD化したものです。フランク・スコットのプロデュースでハリウッドで録られたこの作品、バックはHIGHTONEのデニス・ウォーカーのベース、日本でもおなじみのナット・ダブのピアノ、それに元々はシカゴで活躍していたフレディ・ロビンソンのギターなどで、いわゆるシカゴの塊のような音からすると少しさっぱりとモダンな感じですが、ルイスのハープとギターがやはり持ち味を十分に出しています。ロックウッドとのアルバムの後のせいか、ロバート・ジョンソン・ナンバーが2曲あったりしますが、スライドをプレイしたり、やはりシカゴの第一線で叩き上げた技が光っています。派手さはないけどジワッと味が出ますね。



Louis Myers ; Wailin' The Blues ; JSP/P-VINE PCD-23887 (2007. 2.18)

おそらく1980年過ぎのライヴ録音です。どうやらライヴショーをまるごと録音しちゃったもののようで、オディ・ペインの歌からスタート。この「ギヴ・ミー・ア・ドリンク」で、思いっ切りモダンなソロを弾いているのがフレディ・ロビンソンで、ルイ・ジョーダンの「アウトスカート・オヴ・タウン」、フルソンの「リコンシダー・ベイビー」では結構いける歌も歌ってます。さてルイス・マイヤーズは「ミーン・ブラック・スパイダー」「スウィート・ホーム・シカゴ」とロックウッドゆかりの曲を歌ってますが、フレディがまるでロックウッドみたいなバッキングをしてるんで、まるで来日時のエイしズみたいな感じになってます。「トゥモロー・ナイト」「ウェイリン・ザ・ブルース」ではルイスはハーモニカに持ち替えてますが、超絶テクニックじゃないけど味のあるソロを聴かせます。しかしこのバックのフレディのギター、まるでロックウッドのコピー。音質はダメダメですけど、演奏の面白さが救いのアルバムです。



Louis Prima ; Jump, Jive An' Wail: The Essential ; CAPITOL 09463-95266-2-8 (2007.11. 2)

1956〜67年のCAPITOL音源にUAや映画「ジャングルブック」のサントラを加えたベストで、ボーナスとして1947年のRCA録音が加えられています。まずこのボーナスから。タイトルは「シヴィライゼイション」、つまり「文明」で、サブタイトルに「ボンゴ・ボンゴ・ボンゴ」ときます。つまり「ボンゴ」な野蛮人と文明の出会いって感じの曲調で、今じゃ絶対作れない曲ですね。さてプリマは「白いサッチモ」とでもいうトランペッターで、ペットよりその歌が魅力的です。ルイ・ジョーダンのようなタイトル曲のポップさは、ブラックのジャンプ・ブルースよりは軽めですが、決して真っ白にはなっていません。「ルイジ」なんてポップ曲を歌うかと思えば、切れのいいトランペットを響かせる「シング・シング・シング」、サザン・オールスターズに影響を与えた「ジャスト・ア・ジゴロ/アイ・エイント・ゴット・ノーバディ」、スピーディな「セント・ルイス・ブルース」、そして本家の向こうを張った「ハロー・ドーリー」と、聴き所満載のベスト盤です。とにかく歌がいいんですよ。未聴の方一度お試しを。



Louis Prima & Keely Smith ; Hey Boy! Hey Girl! ; CAPITOL/DGB 8409 (2009. 9. 6)

1959年の同名のアルバムに、同年のキーリー・スミスの「スウィンギン・パーティ」というアルバムを2on1にしたものです。したがって主役はキーリー。タイトル曲の軽妙なデュオから、プリマのエンターティナーぶりが爆発しています。「バンbナ・スプリット・フォー・マイ・ベイビー」あたりを聴いていると、吾妻光良が好むデュオって雰囲気。声も似てますね。サム・ビューテラの歌う「フィーヴァー」、プリマの軽妙な「レイジー・リヴァー」、ニューオーリンズらしい「聖者が街にやって来る」、落ち着いたキーリーのヴォーカルが光る「枯葉」など、デュオ名義の方はプリマのサックスも生き生きしています。一方のキーリー名義の方はバックがネルソン・リドルのオーケストラで、ぐっとおとなし目の演奏。その分キーリーの落ち着いた達者な歌がたっぷり楽しめます。良質なジャズ・ポップ・ヴォーカルといった感じ。




Louisiana Red ; The Best Of Louisiana Red ; EVIDENCE ECD 26059-2 (2002. 4. 3)

1965〜73年録音。この人の名前は僕がブルースを聴き始めた頃から知っていたんですが、まともに聴くのは初めてです。というのは、何か「東京タワーの蝋人形」といったようなイメージが勝手に出来上がっていたんです。実際このアルバムを聴いても、その印象はあまり変りませんでした。マディやエルモアといった人の曲のカヴァーやスタイルを借りた歌と演奏は、なかなか張りのあるいい声と、充分に達者なギターでしっかりブルースしているんですが、なんだかちょっと「作り物」に感じちゃうんですよね。彼独自のオリジナリティをこのアルバムからはあまり感じられなかったのと、誰に向かって歌っているのかなっていう印象があるんです。あんまり得意ではないですね。



Louisiana Red ; Back To The Black Bayou ; RUF 1149 (2009.12. 9)

2009年リリース。この人は昔から活動しているんですが、いわゆるヴィンテージ録音のない人で、立ち位置がいまひとつよく分かりません。リトル・ヴィクターのプロデュースで、全体にアーシーな味付けがしてあり、キム・ウィルソンやボブ・コリトアがハーモニカで彩りを添えるなど、サウンド的にはかなり練り込まれているんですが、これがルイジアナ・レッドだって言う個性を感じないんですよね。何でだろう。




Louisiana Washboard Five ; Futuristic Rhythm ; STOMP OFF CD1398 (2007.11.11)

2004年リリース。いわゆるオールドスタイルなディキシーランド・ジャズと言っていいんですが、その軽妙なウォッシュボードとボトムを押さえるチューバの響きがなかなか魅力的です。ウォッシュボードにバンジョーがはいっているとどうしてもジャグ・バンドを想いだし、またジャグ・バンド自体がオールド・ジャズの香りを強く残していたりするんですが、このバンドの場合は正統派のディキシーランド・スタイルと言っていいんではないでしょうか。「バーニン・ザ・アイスバーグ」あたりは古いディズニー・アニメのバックかなんかに出てきそうな感じ。ピアノもちょっとホンキートンクしてて、のどかな気分になります。



Lowell Fulson ; My First Recordings ; ARHOOLIE CD 443 Click Here!

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Lowell Fulson ; 1946-1947 ; CLASSICS 5044 Click Here!

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Lowell Fulson ; The Complete KENT Recordings 1964-1968 ; KENT/P-VINE PCD-3066/9 Click Here!

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Lowell Fulson ; I've Got The Blues (...And Then Some!) ; WESTSIDE WESD 234 Click Here!

Lowell Fulson ; My Baby ; JEWEL JCD-5003 Click Here!

Lowell Fulson ; I've Got The Blues ; JEWEL JCD-5009 Click Here!

Lowell Fulson ; I've Got The Blues ; FUEL 2000 302 061 082 2 Click Here!

Lowell Fulson ; The 'Ol Blues Singer ; JET=GRANITE/INDIGO IGOCD 2022 Click Here!

Lowell Fulson ; Lovemaker ; BIG TOWN/P-VINE PCD-3878 Click Here!

Lowell Fulson ; The Crazy Cajun Recordings ; EDSAL EDCD 582 Click Here!

Lowell Fulson ; The Blues Show! Live At Pit Inn ; P-VINE PCD-2843 Click Here!

Lowell Fulson ; Blue Shadows ; STONY PLAIN SPCD 1233 Click Here!

Lowell Fulson ; One More Blues ; EVIDENCE ECD 26022-2 Click Here!

Lowell Fulson ; Think Twice Before You Speak ; JSP JSPCD 207 / 290 Click Here!

Lowell Fulson ; It's A Good Day ; ROUNDER CD 2088 Click Here!

Lowell Fulson ; Hold On ; BULLSEYE BLUES CD BB 9525 Click Here!

Lowell Fulson ; Them Update Blues ; BULLSEYE BLUES CD BB 9558 Click Here!

Lucinda Williams ; Live @ Fillmore ; LOST HIGHWAY B0002368-02 (2005. 7. 6)

2003年の2枚組ライヴです。この人の単独盤は初めて聴きましたが、ネバッとしたちょっとハスキーな声は癖になりそうです。ベースは多分カントリーなんでしょうが、ブルースやソウル、ゴスペルの要素をミックスして、かつ現代化した感じ。ゆったりした曲の気だるい雰囲気は、大甘のカントリーとは一線を画しますが、かといってブルースかと言えば全然違う、独特の世界です。曲によっては縦ノリでドライヴし、まるでパンクと言ってもいいものもあり、またニール・ヤングにも近いものも感じます。やはりひとつのロックの形と言っていいんでしょう。二枚目後半のミディアムでどんどん押してくる感じ、盛り上げるというよりは自分の蟻地獄に聴き手を引きずり込もうとするかのような引きの強さを感じました。スタジオ盤も聴いてみることにします。



Lucky Millinder & His Orchestra ; Apollo Jump ; PROPER PVCD115 (2005. 5.10)

1941〜51年録音を集めた2枚組です。ビル・ドゲット、ディジー・ガレスピー、タブ・スミス、プレストン・ラヴ、ブルムース・ジャクソン、パナマ・フランシスなどそうそうたるメンバーが在籍したこのバンドは最高にヒップで、いかした「ビッグ・ファット・ママ」あたりからぐっと来ます。またシスター・ロゼッタ・サープが歌う「シャウト・シスター・シャウト」やワイノニー・ハリスが素晴らしい喉を披露する「ハリー・ハリー」「フー・スロウ・ザ・ウィスキー・イン・ザ・ウェル!」など重要曲も入っています。ラッキー自身も洒落てて素敵ですし。2枚目に行くとアネスティーン・アレンの落ち着いた歌声が魅力的です。またDECCAからKINGに移るとどんどん音は派手になり、ちょっとタイニー・ブラッドショウ似の声のジョン・グリアが歌う「レット・イット・ロール・アゲイン」なども迫力満点。とにかく第一線でブイブイいってたバンドの魅力がたっぷりつまった好コンピです。



Lucky Millinder ; The Best Of Lucky Millinder ; COLLECTABLES COL-CD-2897 (2005.11.16)

1950年代KING時代のラッキー・ミリンダー楽団の音を集めたコンピです。エイニスティーン・アレンが歌ったものなどは単独盤もあり重複しますが、こうして勢いのあるバンドサウンドに乗って、ヘンリー・グローヴァー、ジョン・グリア、ジョン・キャロルといったシンガーたちが歌うものをまとめて聴くと、やはりウキウキしてきます。この他メルヴィン・ムーア、ヘイ・ジャクソンなど実力ある歌手が次々フューチュアされていて、このバンドが日本ではやはりかなり過小評価されてるなって思いますね。まあブルース、R&B、ジャズの境界音楽ですからある意味仕方ないのかもしれませんが。とにかくゴージャスさのましたこの時代のミリンダー楽団、気持ちいいです。



Lucky Peterson ; Ridin' ; ISABEL/EVIDENCE ECD 26033 (2000. 3.24)

1984年、ラッキー21才の時のパリ録音。ソウル・ジャズのようなインストで幕を開けます。ラッキーは鍵盤と歌で、ギターはメルヴィン・テイラー。全体にジャズ指向が強く、ラッキーが英才教育を受けたことを伺わせます。ヴォーカルも結構上手いんですが、この人の歌にはもうひとつ華がないように思います。最近の活躍のベースを知ることができた様な気がします。


Lucky Peterson ; Lucky Strikes! ; ALLIGATOR ALCD 4770 (2001. 3.14)

1989年リリース。ロバート・クレイに続くニューフェイスと言った触れ込みがライナーからみてとれる、ラッキーの事実上のデビュー作です。声はまだ青く、ある意味では瑞々しいんですが、曲調、歌い回し等、すでに「ラッキー節」は健在と言えます。楽曲もほとんどがプロデューサーのボブ・グリーンリーとの共作で、意欲充分!ギターにはそれほどのきらめきを感じませんが、キーボードの演奏は流石と思わせられるものです。しかしLP時代の作品ですね。曲数が少ないのであっと言う間でした。



Lucky Peterson ; Lifetime ; POLYDOR/GITANES JAZZ POCP-7072 (2000. 2.14)

1995年録音。中古で購入。天才(元)少年、ラッキーのジタン3作目。アレンジもしっかりしてるし、選曲もおもしろいんですが、いまひとつピンとこないなぁ。その最大の原因はこれがラッキーだ!と言う音や唄が少ないせいかな。器用貧乏な人です。ジミ・ヘンドリックスが入ってたりするしね。


Lucky Peterson ; Double Dealin ; BLUE THUMB UCCB-1003 (2001. 4.28)

2001年リリースのラッキーの新譜です。のっけから大音響でちょっとびっくり。音の処理とか、かなりオーバーレブ気味で、「ブルース=大音響は邪道」と考えるタイプの人にはつらいかも知れませんが、パークタワーの延長で考えれば違和感はありません。前作「**」と比べ、ヴォーカルに統一感が出てきており、いよいよ円熟の域に入ってきたように思います。でも枯れたわけではなく充分元気。アルバート・キング系の曲が多く、ラッキーは「これ見よがし」のソロを弾いているんですが、フレーズ構成の緻密さと、独特のスピード感で、しっかり個性を出し、「ラッキーがアルバートを弾いている」になっています。あとはハモンドをもう少し弾いて欲しかった気もしますが。かなり気に入りました。Click Here!



Lucky Peterson ; Black Midnight Sun ; BIRDLOGY FDM 36643-2 (2003. 3.31)

2003年リリースの新譜です。プロデュースをベースのビル・ラズウェルが担当しているせいか、エフェクトの効いたちょっとモコっとした低音が場を埋め尽くし、それにラッキーのオルガンが厚くかぶさり、さらに少しファットなギターが乗ってくると、「Double Dealin'」とはまた違った雰囲気のサウンドに仕上がっています。強烈さはちょっと薄れましたが、音は作り込まれている感じ。サイケデリックな「スモークスタック・ライトニング」などはジェイムズ・ブラッド・ウルマーを思い出しました。これに続くタイトル曲あたりが今回のアルバムの狙い線のようにも思えます。でも僕が気に入ったのは、「Move」の「イッツ・ユア・シング」に通じるJBナンバー「トーキン・ラウド・アンド・セイング・ナッシング」あたりの隙間のある跳ねるファンクかな。でもラストのスライ&ファミリーストーンの代表曲「サンキュー」のリメイクを聴いて、すべてが吹っ飛びました。このどっしりしたクールなファンクは何なんだ!この1曲だけでこのアルバムはことしのベスト10入り決定!もはやラッキーはブルースではなく・ファンク・アーティストと言ってもいいかも。



Lucky Peterson Andy Aledort ; Tete A Tete ; JSP JSP8805 (2007. 5. 9)

2007年リリース。なんだか久しぶりにラッキーの名前を見たような気がします。相方のアンディ・エイルドートは全く知らない人ですが、結構若手のロックギタリストのようです。冒頭タフな声のラッキーと、なんか力の抜けたメアリ・テイラーのヴォーカルでスタートしますが、基本的に聴き所はギターだと思いました。ジミ・ヘンドリックス・スタイルの「ノー・モア」を必死に歌うアンディはやっぱりヴォーカルとしてはちょっと力不足に思います。一方ラッキーはオルガンでもいいプレイを連発、曲もほぼラッキーが書いていますから、なぜ共演したのかがちょっとよく分かりません。普通のソロ作出さないかなぁ。ラストの「アルバート・コリンズに捧ぐ」では、ラッキーお得意のコリンズ節が聴けてちょっと満足でしたが。



Lucky Peterson ; Organ Soul Sessions - The Music Is The Magic ; UNIVERSAL MUSIC JAZZ FRANCE 531 379-9 (2010. 1.19)

2009年リリース。ラッキーが6才でデビューしたときの楽器がオルガンで、ライヴでも達者なプレイを聴かせているので、いずれこうした企画は出てくると思ってました。全編ファンキーなB-3のサウンドで、ほど良くジャジーで心地良いです。タイトル曲では歌も披露。「ザ・ムーチ」や「マイ・シェリー・アモール」なんてカヴァーもありますが、なかなか粋なアレンジになってます。ラストの「ウィル・ザ・サークル・ビー・アンブロークン」はゴスペルタッチの女性ヴォーカルを入れてますが、ラッキーも教会でこの曲を弾いたりしてたんでしょうか。




Lucky Peterson ; Organ Soul Sessions - Mercy ; UNIVERSAL MUSIC JAZZ FRANCE 531 380-0 (2010. 1.20)

2009年リリース。三部作の2枚目です。ギターとサックスの入る「サン・オブ・ア・プリーチュア・マン」と女性ヴォーカルが加わった「アイ・キャント・スタンド・ザ・レイン」を除くとギターまたはサックスのトリオ構成です。定番の「ザ・サイドワインダー」なんてのもありますが、歌もののソウル曲をアレンジしたものがやっぱり面白いです。ムーディな響きの「レイニー・ナイト・イン・ジョージア」、ファンキーなアレンジの「ミー&ボビー・マギー」など面白かったです。また「テル・イット・ライク・イット・イズ」「イエロー・ムーン」アーロン・ネヴィルの歌ものを2曲取り上げていますが、あのハイノートに惹かれるものがあるんでしょうか。




Lucky Peterson ; Organ Soul Sessions - Brother Where Are You? ; UNIVERSAL MUSIC JAZZ FRANCE 531 380-1
(2010. 1.22)

2009年リリース。このシリーズのジャケットはひょっとしたら愛妻タマラ(タメイラ?)でしょうか。3枚の中ではこれが一番気に入っています。それは「悲しい噂」「マーシー・マーシー・マーシー」が入ってるからで、けっこう低重心な前者、ゆったりした後者とも、特に凝ったアレンジではないんですが、なにしろ曲が好きなんで。どっしりした「アンチェイン・マイ・ハート」もいいですね。例によってラストナンバーのタイトル曲は女性ヴォーカルをフィーチュアしてます。このシリーズ、お店のBGMにいいかもね。




Tamara & Lacky Peterson ; Darling Forever ; JSP 8814
(2010. 4. 9)

2009年リリース。タマラは元々ラッキーのバンドのコーラスだったようですが、現在は夫婦です。そのタマラを前面に押し出したアルバムをラッキーが作りました。タイトル通り愛情たっぷりで、心なしかいつもよりラッキーのギターに気合いが入っているかも。「ロスト・ザ・ナイト」のようなおしどりデュオもあったりしますが、ほぼタマラのリーダー作と言ってもいいと思います。アルバート・キング・テイスト丸出しのギターが炸裂するタイトル曲など、路線はラッキー流儀のブルーズン・ソウルです。タマラの歌はまあ合格点と言ったところでしょうか。ラッキーと組んでなければフロントを張れる力があるかどうかはちょっと疑問ですね。まあそこは夫婦の力でアルバムをものしたというところでしょう。




Lucky Peterson ; Heart Of Pain ; JSP 8824 (2010. 9.30)

2010年リリース。これは実に全うなブルース・アルバムです。時折意識的と思われるアルバート・キング節を交えながら、シャッフル、スローともに久々に伸びやかにギターを弾いています。ジェイムズ・エリスやお約束の奥方タマラの歌をフィーチュアした曲もあり、特にタマラとのデュオ「ヒーズ・ジ・アンサー」はなかなか素敵なソウル・ナンバーになってます。また、「ラッキーズ88」では見事なピアノも披露。で、こうやって聴いていくと、実にJSPらしいんですよね。音楽的には全然冒険できていないんです。ラッキーはもっと未来を見たブルースをやって欲しいので、こうしたやや後ろ向きなものは残念な気もします。演奏のグレードが高いのでなおさらそう思っちゃうんです。




Lucky Peterson ; You Can Always Turn Around ; DREYFUS JAZZ DRY 36967-2 (2010.12.28)

2010年リリース。ウッドストックで活躍するセッションマンのラリー・キャンベルのサポートを受けて、アコースティック・サウンドを中心にしたアルバムに仕上げています。一昔前のウッドストック・サウンドを意識したようですが、楽曲は新しく、ことしギル・スコット・ヘロンが出した「アイム・ニュー・ヒア」をいち早くカヴァーしたり、トム・ウェイツやルシンダ・ウィリアムズの曲を取り上げたりしています。一方でアコースティック・ブルースにも挑戦していますが、これはどうなのかな。ラッキーにはやっぱりエレキをガツンと弾いてもらいたいです。お気に入りはゴスペル・テイスト溢れる「アイ・ウィッシュ・アイ・ニュー・ハウ・イット・ウッド・フィール・トゥ・ビ・フリー」で、ラッキーのピアノにタマラとの掛け合いも素晴らしいです。




Luke Jones, Doctor Sausage ; Luke Jones(1946-1949), Doctor Sausage(1940) ; BLUE MOON BMCD 6012 (2003.12.20)

ルーク・ジョーンズはロスを拠点にしていたアルト吹きのバンドリーダーです。まず冒頭の「ゴーイング・ダウン・スロウ」、ドラムのジョージ・ヴァンがダミ声で歌うんですが、ピアノが気持ち良く転がるなぁ、と思ってみると、そのはず、ロイド・グレンでした。軽快なジャンプナンバーも強烈というよりは小粋な感じで、小唄もあり、いかにもこの時代のエンーティナーです。「ウォリーン・エニハウ・ブルース」など不思議なアンサンブルです。さて、もう一方のドク・ソーセージですが、一転して楽しいジャイヴが4曲入ってます。中でも「クックー・クックー・チキン・リズム」はスリム・ゲイラードの十八番のカヴァー。スリムとは一味違った面白さ!この1曲だけでもこのアルバムはOKでした。



Lula Reed ; 1951-1954 ; CLASSICS 5136 (2005. 7. 2)

ルーラはサニー・トンプソンの楽団のヴォーカルです。よってこのアルバムのオリジナルもすべてKING系列です。当然BLUE MOONのサニー盤とダブりもありそうですが未チェックです。ルーラはその特徴的なハイトーンが好みを分けるところです。僕はこの手の声はどっちかっていうと苦手です。突き抜けてっちゃうんですよ。でも歳を増す事に丸くなったように思うのは気のせいかしら。「アイル・ドロウン・イン・マイ・ティアーズ」は後にレイ・チャールズがリメイクしてヒットさせた「ドロウン・イン・マイ・オウン・ティアーズ」のオリジナルで、肌合いは異なりますが、やはり名曲の片鱗は感じます。それから「エイント・イット・ア・シェイム」。これもちゃんと調べてないんで前後関係は分からないんですが、ロイ・ブラウンがムーディに歌うヴァージョンと対照的で、でもどこか共通点がある面白さがあります。何曲かゴスペルコーラスを付けたような曲があるのが彼女のルーツなのかしらね。それからこのアルバムにはボーナストラックが付いてます。わざわざ曲リストに天地逆にして書いてあったりします。CLASSICSもやるねぇ。



Tiny Topsy & Lula Reed ; Just A Liitle Bit - FEDERAL's Queens Of New Breed R&B ; ACE CDLUX 003 (2010. 2.23)

1957〜1962年録音。ルラ・リードはフレディ・キングのデュオで知られていますが、時流に乗った「ドゥ・ザ・プレジデント・トゥイスト」など4曲もすべて収録されています。まずはタイニー・トゥプシーですが、ビッグ・ママ・ソーントンに通じるようなパンチのある歌が持ち味で、「ジャスト・ア・リトル・ビット」はロスコ・ゴードンの曲と歌詞は多分共通ですが、マイナーで雰囲気はずいぶん異なります。「ウェスタン・ロックン・ロール」は「ザ・ウォーク」風のリフに乗ったノヴェルティ・タッチの曲で笑えます。一方のルラ・リードの方が時代が遅いせいもありますが、幾分軽めです。特にトゥイスト時代に入ってくると、その手の軽快なリズムが増えてきますが、バラードでもけっこういい味出してますね。




Lurrie Bell ; Mercurial Son ; DELMARK DE-679 (2005. 3.26)

1995年リリース。このアルバムでは基本的にトリオ構成でサウンドを作り、リズム的にもジャングルビートやややファンキーなものもあって、モコっとしたベースが独特の雰囲気を出している曲が多いです。全体にサウンドに隙間が多く、それをどう感じるかが好みの分かれ目かもしれませんが、僕は面白く感じました。ルリーの歌もやや大仰さはあるものの、よく声も出ていて悪くなかったです。どこかヒップホップなどの流れに乗りたいという気持ちも現れているんですが、開き直ってそっちに行ききれないのがルリーらしいとも言えますか。



Lurrie Bell ; 700 Blues ; DELMARK DE-700 (2005. 2.24)

1997年リリース。ケン・セイダクのキーボードを中心にしたコンパクトなバンドをバックに、かなりかっちりとした演奏です。ルリーのギターは切れ味も鋭く、程よく制御されたフレージングはやっぱりこの人の非凡な才能を感じさせます。選曲もゲイトマウス・ブラウンを2曲取り上げるなど、シカゴの枠組みから飛び出す意欲満点。ただヴォーカルがねぇ。お酒で喉が荒れているのか、声になっていない部分もしばしばです。どんなにハスキーでも歌えていればいいんですが、演奏が良質なだけに残念です。



Lurrie Bell ; Blues Had A Baby  DELMARK DE-736 (2000. 2. 4)

1997年録音、新譜で購入。初来日時のライヴ盤以来、久々に聴きました。ギターは上手いなぁ。でも、このヴォーカル、僕は苦手です。うしろ4曲の弾き語りはオマケのような感じですが、ヴォーカルはこっちの方が自然でいいと思います。


Lurrie Bell ; Kiss Of Sweet Blues ; DELMARK DE-724 (2005. 2. 9)

1998年リリース。ディヴ・スペクターのバンドをバックにしたルリーですが、ギターは粘っこく結構味があります。でもヴォーカルが僕には合いませんでした。妙にねちっとしていて、意識に霞がかかったかのような歌い方に感じるんです。メリハリが足りないって言うか。まあブルージーとは言えるんですけど、どうも苦手ですね。むしろバックのディヴ・スペクターのギターが、オーティス・ラッシュなどからの影響をもろに見せながらも、気持ちのいいリヴァーブサウンドで好サポートをしていると思いました。やっぱり近作の方がずっといいと思いました。



Lurrie Bell ; Cuttin' Heads ; VYPYR VP-1001 (2001. 2. 7)

ルリーの出来立ての新譜。前作が散漫だったので、どうかなとも思ったんですが、これはテンションが高くてぐっと来ました。ややオーヴァードライヴ気味のギターから繰り出されるフレーズは、エモーショナルでしかも自由度が高いです。煮えたぎる情熱を感じます。ヴォーカルもよく唄い込んだ感じで、前作よりずっと素直に聴くことができました。これは会心の一作でしょう。マイケル・コールマンらのバックもめりはりのある演奏でルリーをよく盛り上げていますし、親父のキャリーも2曲参加しています。これを聴くとルリーを生で見た人が異口同音に言う、「いいときのルリーは凄い」がよく分かります。



Lurrie Bell ; Let's Talk About Love ; ARIA G.B./P-VINE PCD-93044 (2007.11.22)

2007年リリース。妻と父という最愛の家族を相次いで亡くしながら、夏には日本でブルース魂を見せてくれたルリーの新譜です。まず選曲が渋いなぁ。カヴァー曲でオリジナルを一発で言い当てられたら凄いです。ヒップ・ランクシェインの「コールド・チルズ」なんてのまで入ってるのには本当にびっくりしました。さてサウンドは全体にウィリー・ディクソンの確立したR&B色の強い後期シカゴ・ブルース・サウンドを忠実に踏襲しているように思いました。彼のかかわった曲が多いこともありますが、そのややしゃがれたヴォーカルが、ウルフを彷彿させたりするんです。ギターはさすがだなと思わせるフレーズが随所に聴かれますが、いつになく控え目。だから派手な弾きまくりは期待できません。でも僕はこっちの方がいいな。いい意味で抑制の効いたアルバムです。



Luther Allison ; Underground ; RUF 1132 (2007.10.28)

1958年、ルーサー18才の時の録音、しかもプロデューサのボビー・ラッシュはさらにそれより若い!なんて触れ込みのアルバムですが、聴いていくとそれはおかしいって気がつきます。まずファンキーなブルースのアレンジ。もしこれが1950年代にできてたとしたら、こりゃルーサーは大変な才能です。まあ早咲き過ぎて目立たなかったなどと言われるかもしれませんが。このアルバムがおそらく1960年代の後半のものだということは、最近出たBSR誌で小出さん他が解説してますが、僕にとっての決定的証拠はリッキー・アレンの「カット・ユー・ルース」ですね。この曲は確か1962年の録音で、リッキーは1960年になってシカゴに出てきたんです。ですからルーサーがこの曲を1958年に聴くことは絶対無理!で、内容はなかなかファンキーなアレンジで、僕はDELMARK盤より面白いかなと思いました。「ドント・スタート・ミー・トゥ・トーキング」のアレンジなんて、思わずこれでやりたくなるくらいです。歌もギターもまだまだですが、聴き所はありました。



Luther Allison ; Live In Montreux 1974-1994 ; RUF 1008 (2002. 6.10)

ルーサーは70年代後半からフランスに活動拠点を移していましたが、主にその時代に何度か出演したモントルーでのライヴです。初期はB.B.キングの影響がはっきり見えながらも、一方でシカゴのクラブ叩き上げ的なプレイ(例えば「リトル・レッド・ルースター」でのチキン・ピッキング)をみせていたり、83年の「スカイ・イズ・クライング」では達者なスライドを披露していますが、フランスに長く住んだせいか、バックのメンバーの影響もあり、だんだんロック的なアプローチになります。84年の演奏ではオリジナルが多いなど意欲的ですが、ギターにオクターヴァのようなエフェクトをかけるなど、模索している感じもうかがえます。これが94年になると、SRV〜バディ・ガイの活躍もあり、むしろルーサーに時代が追いついたようで、吹っ切れた豪快なパフォーマンスに聞こえるから不思議です。時代ごとの変化がよく分かるアルバムです。



Luther Allison ; Love Me Papa ; BLACK & BLUE/EVIDENCE ECD 26015-2 (2007. 4.18)

1977年フランスでの録音です。MOTOWNでなかなかいいアルバムを出しながらも、商業的には成功したとは言えないアリソンは、1976年以来たびたびヨーロッパを訪れますが、このフランス録音が一つの転機になったのかもしれません。スライドギターやハーモニカまで持ち出していますが、ギターも歌もなかなか伸びやかで、バックの演奏も丁寧。どさ回りっぽい同じ時代のアメリカでのライヴ録音などよりぐっとルーサーらしさが出ています。まあMOTOWNでもそうだったように、この人には端整なバックの方が似合う気がします。ヴォーカルも安定しており、スローブルースでの情感はなかなかのもの。ボーナストラックでは「ゴーイン・ダウン」のようないかにもヨーロッパで受けそうな曲をやってたりします。ただこれについては歌がちと弱いかな。それで当初没になったんでしょう。こうして聴いてみると、後にアメリカで再評価されたのも束の間でなくなってしまったのがやはり惜しいですね。



Luther Allison ; South Side Safari ; RED LIGHTNIN'/M.I.L. MIL 6120 (2003. 2.18)

1979年、ルーサーがフランスに移住する直前の、イリノイ州でのライヴ。やけにバタバタするドラムに、性急な感じのルーサーのギターが絡んでくる1曲目から、この時代のルーサーらしさを感じてしまいました。「Night Life」はかなり好きなアルバムだったんですが、ライヴではちょっと弾きすぎというか、手数が多すぎて味わいがあまり感じられないんです。ヴォーカルの方はこの人決して声は悪くないんで、曲によってはかなりいい感じのものもありますが、まだまだ青いかな。でも逆に考えると、ロックの弾き倒し系ギターが好きな人にはとっても入りやすいアルバムとも言えます。フランスに渡って新天地を得たり、息子のバーナードの路線とか考えると、そういった伝統にとらわれないところがこの人の個性とも言えますね。「ムーヴィン・オン・アップ」はシカゴソウル風の曲で、何か良く似た曲をこの人以前やってた記憶はあります。



Luther "Guitar Junior" Johnson & The Magic Rockers ; I Want To Groove Me ; BULLSEYE BLUES/AMERICAN 28C-8020(J) (2002.11.16)

1991年リリース。中古で購入。マディ・バンドのギタリストとして知られるルーサー・ジョンソンのBULLSEYE1枚目です。バンド名からも分かるように、マジック・サムから影響を受けたフレージングは例えば「キャント・ゲット・アロング・ウィズ・ユー」などのシャッフルプレイでよく表れています。バッキングとレスポンスのギターのコンビネーションとかフレージングは直系と言ってもいいくらい。でもスローブルースになると、ヴォーカルはむしろオーティス・ラッシュに通じるエモーショナルな感じが魅力的です。サックスにサックス・ゴードン(多重録音)、そしてキーボードにジョー・クラウンが参加、特にファンキーな曲で好サポートを見せています。ど派手な感じはないけれどしっかり作られたアルバムです。



Luther "Guitar Jr." Johnson ; Live At The Rynborn ; M.C. MC0037 (2006.10.23)

1995年ニューハンプシャーでのライヴです。ストラトキャスターをジャキジャキ言わせながらぐいぐい引っ張っていくライヴの様子が良くとらえられています。ジミー・リード、アルバート・キング、エディ・ボイドと王道を行くような選曲の中にオリジナルがちりばめられていますが、一番面白かったのはファッツ・ドミノの「ジョセフィーン」が入ってたこと。こんな選曲ができるあたりが彼の幅広さですね。演奏はややラフな面があるし、決してコンディションのいい録音じゃないですけど、臨場感がたっぷりで楽しめました。



Luther "Guitar Junior" Johnson ; Doin' The Sugar Too ; BULLSEYE BLUES CD BB 9563 (2004. 6.16)

1997年リリース。中古で購入。オリジナルにシカゴ・クラシックスをやっているんですが、思いっ切りマジック・サムしてます。ギターのトーンやヴィブラートのかけ方、フレージングなど、似せようというより乗り移ったかのよう。ヴォーカルも声質が全く違うんですが、あの喉の震わせ方を意識しているように感じました。それでもエディ・テイラーの「バッド・ボーイ」はどことなくエディも入っているし。逆に言えばルーサーの個性がちょっと薄いかな。



Luther "Houserocker" Johnson ; American Roots: Blues ; ICHIBAN ICH-01015 (2002. 9. 8)

リリース年とかは不詳ですが、おそらく割合最近のものだと思います。ハウスロッカー・ジョンソンはアトランタのブルースマンのようです。オリジナルとカヴァーを織り交ぜたアルバムで、チャールズ・ブラウンの「トラブル・ブルース」などは結構ブラウンのイメージを引き継ぎながらも、ぐっと田舎くさくした歌を聴かせます。「リトル・カー・ブルース」(「トゥー・メニー・ドライヴァ」ですね)あたりもなかなかいいムード。ギターはファットでウォームフル、決して卓抜したテクニックがあるって訳じゃありませんが、雰囲気はあります。歌の方はいなたさがたっぷりで、それが魅力になっています。



Luther "Snake Boy" Johnson ; They Call Me The Snake ; LAST CALL 422268 (2006. 5.19)

1970年と72年の録音。スネークボーイもマディ・バンドにいたギタリストですが、このアルバムではファンクブルースの走りとでも言うような、エイトビート系の曲が中心です。録音状態はあまり良くないんですが、なかなかグルーヴィーで、ロックやソウルの要素をブルースに取り込んでいこうという姿勢を感じます。「ザ・ブルース・イズ・サムシング・アイル・ネヴァー・ルーズ」なんてちょっとダニー・ハザウェーの「ザ・ゲットー」みたいだし。粗さもあり、またヴォーカルはいまひとつの感じもあるんですが、時代ならではのアプローチを感じました。ギターの切れ具合もなかなか気持ち良く、「ウーマン・ホワイ・ユー・トリート・ミー・ソー・ミーン」では一瞬ジェイムズ・ブラウンの「セックス・マシーン」のリフレインが出たかと思うと、グリっとしたギターがいい感じで入ってきます。決して万人向けのアルバムじゃないですけど、好き者にはたまりませんね。



Luther Johnson ; On The Road Again ; EVIDENCE ECD 26047-2 (2006.12. 8)

1972年フランスでの録音です。有名な人だけで3人いるルーサー・ジョンソンですが、これはスネイク・ジョンソンです。全編エレキギターの弾き語りで、オリジナルが中心ですが、ウルフの「バック・ドア・マン」、マディの「フーチー・クーチー・マン」、リトル・ウォルターの「メロウ・ダウン・イージー」といった、ウィリー・ディクソンの曲をかなりダウンホームなアレンジでやっているのが面白いです。面白いと言えばギター・スリムの「ザ・シングス・アイ・ユースト・トゥ・ドゥー」なんて、およそ弾き語りには似合いそうもない曲までやっちゃってること。とにかく何でもかんでもローダウンな弾き語りスタイルに持っていって、それなりの個性でやってるのが、この地味なアルバムの聴き所と言えるでしょうか。



Luther Bad Man Keith ; Thunder In My Blues ; BMB 100903 (2007. 1.22)

2003年リリース。この人はデトロイトのギタリストで、タイトで馬力のあるバンドをバックに、何とも投げやりなヴォーカルを乗せてきます。ボブ・ディランとディヴィッド・ボウイとマーク・ノップラーをたして3で割ったような歌と言ったら言い過ぎでしょうか。ギターはファットなサウンドでなかなか押しが強く、ファンキーなサウンドに上手くマッチしています。ただ、曲がどこかで聴いたことがある感じのものが多いですね。「シックス・フィグア・サラリー」は「パパのニューバッグ」、「フィーヴァーズ・アンド・チルズ」は「アイ・プット・ア・スペル・オン・ユー」といった具合です。「ロックス・オン・マーズ」なんて、一瞬パーラメントを思わせる効果音が入ってましたけど、軽いロックンロールでしたね。非黒人にも受けそうな面もあります。そこそこ楽しめました。



Luther Kent & Trick Bag ; Live ; RENEGADE RENREC CD 012 (2003.11.12)

1996年ニューオーリンズでのライヴ。これは大当たりです。この人は一時ブラッド・スウェット・アンド・ティアーズのヴォーカルをやっていたそうですが、タフで腰の据わった歌は魅力十分。これをたっぷりのホーンセクションを従えたバンドが支えます。チャッキー・Cもやっていた「レッツ・ストレイトゥン・イット・アウト」もこの人の方がパワフルでいいな。「ボーン・アンダー・ア・バッド・サイン」などもまったく曲に負けません。バンド名ともなったアール・キングの「トリック・バッグ」は、オリジナルにある意味忠実なんですが、曲に対する愛情が一杯で、最高のカヴァーかも知れませんね。ちょっとラフだけど盛り立てるホーンに乗ったルイ・ジョーダンの「レット・ザ・グッド・タイムズ・ロール」での大団円まで、一気に楽しめる好盤でした。sumoriさん、ありがとう!



Luther Kent ; Down In New Orleans ; LOUISIANA RED HOT LRHR 1108 (2004. 7.15)

1999年リリース。オリジナル中心のスタジオ盤です。頭の「ダウン・イン・ニュー・オーリンズ」でその出自を明らかにしたような演奏を聴かせますが、ケントの声はご当地よりメンフィス風味を感じるストロングなもので、ファンクありバラードありブラスロック風ありと持ち味を上手く出しています。やっぱりボビー・ブランドからの影響を感じますが、よりストレートで、この歌を70年代に聴いていたら僕は完全に参っていたでしょうね。この人には今後も注目していきたいです。



Luther Kent ; The Bobby Brand Songbook ; VCC no number (2009. 3. 8)

2009年リリース。ルーサー・ケントらしいトリビュート・アルバムです。アレンジとバンド指揮にワーデル・ケゼルグを迎え、ゴージャスなサウンドをバックに、大好きなボビー・ブランドの歌を熱唱しています。曲も「アイ・ピティ・ザ・フール」「ストーミー・マンディ」「クライ、クライ、クライ」「セント・ジェイムズ病院」と、DUKEのボビー全盛期のゆったり目のものを中心にセレクトし、ケントの豪快な歌を上手く活かしています。奇をてらわない好盤だと思います。




The Chickenhawks ; Deep In The Heart ; LOUISIANA RED HOT LRHR-1161 (2004. 6.10)

2003年夏オースティンはアントンズでの録音です。ルーサー・ケントをリードヴォーカルに迎えたバンドで、彼の強力なヴォーカルをホーンと的確なリズム隊がしっかりと支え、たっぷりと盛り上がったショーの様子を良く捉えています。選曲は「ビッグ・レッグド・ウーマン」に始まり、「ジャスト・ア・リトル・ビット」「エイント・ナッシン・ユー・キャン・ドゥ」といったケントお得意のブルーズン・ソウル・ナンバーに、「シック&タイヤード」のようなニューオーリンズ・チューンやラティモアの曲などを交えて変化をつけています。ラストの「レット・ザ・グッド・タイムズ・ロール」からアンコールのオリジナル「99 ウーマン」までのどっしりとした盛り上がりが、ケントのライヴパフォーマーとしてのキャリアを感じさせました。



Luther Tucker & The Ford Blues Band ; Luther Tucker & The Ford Blues Band ; CROSSCUT CCR 11040 (2003. 5. 5)

1993年春というと、タッカーが心臓マヒで亡くなるわずか一月前のドイツでのライヴ録音と、スタジオ録音の組み合わせです。タッカーはロックウッドの弟子筋に当たり、そのCHESSでのセッションワークには定評がありますが、自己名義作は少なく、これは代表作といえるかもしれません。バックをつけるフォード・ブルース・バンドはかつてロベン・フォードも在籍した息の長いバンドで、タッカーとはその時代から共演しているようです。したがって息のあった演奏を聴かせています。タッカーのヴォーカルはライヴのせいもあり、ちょっと苦しそうなところもありますが、枯れた味わいがあり、元気なアンディ・ジャストと好対照です。タッカーのギタープレイはダウンホームからジャジーなものまで多彩で、「チャチャラ・タッカー」や「クレオ&・バック・アゲイン」といったインストナンバーではその魅力が全開。特に後者はジュニア・ウォーカーの「クレオズ・バック」の改作ですが、ここでのプレイはシンコペの効いたリフに乗って素晴らしいフレージングを連発します。これ1曲でこのアルバムの価値は決定付けられたといえるかも。隠れた?名演です。最後に長めのインタビュー収録。



Luther Tucker ; Sad Hours ; ANTONE'S ANT 0026 (2004. 3.14)

1994年リリースの遺作です。テキサスの腕利きミュージシャンとのセッションで生まれたこの作品は、狭いブルースの枠を破った、職人ルーサーの素晴らしさを存分に見せつけた1枚です。ロックっぽい曲からスタートしてもちっとも違和感なく、続くT-ボーンマナーの「プレイボーイ」で色合いの違う面をしっかり見せます。シカゴスタイルあり、ファンクありですが、大定番「スウィート・ホーム・シカゴ」は師匠筋に当たるロックウッドのスタイルに近く、その絆を感じさせます。「セント・ジェイムズ病院」を思わせる「ウォー・ボーイ」、オーティス・ラッシュばりのマイナーブルースに仕立てた「ファイヴ・ロング・イヤーズ」ときて、ラストの「カナディアン・サンセット」ではラテンフィールたっぷりの洒落たギターインスト。思わずロックウッドの「タニヤ」を思い出しました。



Lynn August ; Sause Piquante ; BLACK TOP CD BT-1092 (2007. 4.20)

1992年リリース。すでにお気付きとは思いますが、ここのところBLACK TOPをまとめて聴いています。アメリカのあるショップに大量に在庫があったんです。このレーベルは外れがないので、持っていないものをまとめて注文しました。さて、リン・オーガストは鍵盤アコを操るザディコプレイヤーですが、割合明るいサウンドと軽快なノリが魅力です。軽やかな指使いのアコーディオンはブルースからカントリー風味までを自在にこなし、ヴォーカルも優しげですが芯に深いものを感じます。ハンドクラップをバックにした「ジュール#3、#4」はブラック・インディアン・チャントのようでもあり、すごくアフリカンな雰囲気も漂います。またこのアルバムにもスヌークス・イーグリンが参加。押さえ気味だけどやっぱり出ちゃうスヌークス節が微笑ましいですね。ラフィエの王道ザディコとは味わいが違いますけど、ブルージーなリンのザディコもまた魅力たっぷりです。



Lynn Hope ; Blow Lynn Blow ; ACROBAT ACMCD 4027 (2006.10. 8)

1951〜55年にALADDINに残された作品集です。頭にターバンを巻き、「ハジ・アブドーラ・ラスチード・アーメド」なんて名乗っていたリンは、スタンダードソングからR&Bと幅広いレパートリーを持つサックス吹きで、このコンピにも「ザ・ウェイ・ユー・ルック・トゥナイト」やラテンフレイヴァー溢れる「トゥー・ヤング」、ゆったりした「ミザルー」、さらには「ブラジル」なんて曲までやってます。一方自作の「ホップ・スキップ&ジャンプ」ではなかなか気合いの入ったブロウを聴かせるなど、演奏の個性はそこまで際立ちませんが、どこかアール・ボスティックに通じる路線なのかなと思いました。このアルバムはちょっと録音が悪いのが残念ですね。



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