CD INDEX(O)
 

アーティストの名前順に並んでいます。「TODAY'S CD」で紹介したものは紹介文が付いています(日付)。紹介文のないものは「おすすめCD」か「お気に入りのミュージシャン」の中で紹介されているもので、「Click Here!」をクリックすると該当のページにジャンプします。

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O.V. Wright ; The Soul Of O.V. Wright ; MCA MVCM-398 (2002. 6.11)

1964〜1973年録音の、O.V.全盛期のBACK BEAT録音のベスト盤です。これはまさに決定盤と言える内容で、ディープなO.V.の魅力を余すところなく捉えています。初期の、やや朴訥とした、でも限りなく深みのあるサザンソウル「ユー・ゴナ・メイク・ミー・クライ」から、大ヒットの憂い溢れる「エイト・メン・フォー・ウィメン」、さらにビートの聴いた「エイス・オヴ・スペード」、HIサウンドが姿を現した「ア・ニッケル・アンド・ア・ネイル」、さらにウィリー・ミッチェル本領発揮のドロウニング・オン・ドライ・ランド」など、もう名曲が目白押しで、初期の「モンキー・ドッグ」なんてポップな曲も含め、18曲全く飽きることなく聴き通しました。とにかくこれだけの感情をため込んだような歌を唄える人はそうはいません。まさに感動の1枚です。



O.V.Wright ; The Hi Masters ; DEMON/HI HEX 39 (2000. 2. 7)

1976〜78年、HI時代のベスト。英盤を新譜で購入。実は今までO.V.ライトをまともに聴いたことがなくて、買ってみました。ハイ・サウンド(他に表現しようがない)に乗って唄われるゴスペル仕込みの上質なサザン・ソウル。スモーキーなんだけど時に女性的な艶やかさをも感じさせるヴォーカルには、やはりしびれます。


Odell Harris ; Searching For Odell Harris ; BROKE & HUNGRY BH13002 (2007. 7.22)

2006年リリース。まだこんな人が出てくるんですね。今は亡きロバート・パーマーが「ディープ・ブルース」で掘り起こし、当初の志高かった頃のFAT POSSUMのサウンドを思い出しました。ラジオやレコードで聴いたであろう「ミステリー・トレイン」「ビフォア・ユー・アキューズ・ミー」を自らのスタイルにねじ込んでやっていく姿は、商業的録音とは無縁の、ジュークジョイントとかストリートでの叩き上げでしょう。ここにあるわざとらしさのないリアリティ、こういったブルースって、やっぱりそういう生活でなければ表現できないのでしょうか?



Oliver Naylor ; 1924-1925 RETRIEVAL RTR79008 (2009. 2.23)

それこそアーリー・ニューオーリンズ・ジャズがたっぷり詰まった一枚です。「ハイ・ソサエティ」から始まり、「スウィート・ジョージア・ブラウン」あたりで締めてありますが、どれもバンジョーの刻むリズムにバシャンというシンバルのアクセントが利いたバックに、管楽器が自在に絡む演奏。どちらかというと印象はジャグバンドに通じていきます。昔のディズニー・アニメのバックで流れている曲を思い出しました。




Oliver Sain ; Soul Serenade ; VANESSA VCD-2101 (2002. 5.31)

2001年リリース。ショップのCD棚でこの人の名前を見かけた瞬間に手が伸びていました。大好きというよりは、セントルイスの「仕掛人」がソロでどんな作品を出すのか興味津々だったんです。1曲目こそ80年代風ファンクでちょっとフュージョンがかってるかなとも思いましたが、丁寧なサックスはなかなかのものです。ブルースありポップありで歌も歌っていますが、「レッツ・ステイ・トゥゲザー」のインストあたり、微妙なバランスでムードミュージックにならないって感じです。楽しそうだったのはモダンなアレンジの「ハイ・ヒール・スニーカー/スリップ・イン・ミュールズ」で、キム・マッシーという女性と掛け合いで歌っています。でも1番の好演はタイトル曲。キング・カーティスに対する深い思いを感じました。



Ollie Nightingale ; Sweet Surrender ; P-VINE PCD-24171 (2009. 5.27)

1973年作のリイシューです。ゴスペルテイスト溢れるオリーの伸びやかなハイトーンを、HIサウンドの屋台骨ハワード・グライムズとリロイ・ホッジズのリズム隊や、ジェイムズ・ミッチェルが支えていますから悪かろうはずはありません。胸にぐっと来る「ヒア・アイ・アム・アゲイン」に始まり、冒頭の素晴らしいシャウトがインパクトたっぷりの「スタンディング・オン・ア・プロミス」、こんなスローを難なく歌い上げてしまうのはさすがです。「メイ・ザ・ベスト・マン・ウィン」は、オリーの良さを見事に引き出した傑作だと思います。歌い回し、声のトーン、そしてバックのサポート、どれを取っても完璧!そしてラストのタイトル曲、元々はブレッドのポップヒットでしたが、ミディアム・ソウル・バラードに仕立て上げ、見事に締めています。まさに名盤ですね。




Ollie Watkins ; Used To Keep Me Worried ; FEDORA FCD 5025 (2001. 8. 4)

2001年リリース。1曲目の「カントリー・ボーイ」を聴いたとき、真っ先に思い出したのがフルソンの初期の弾き語りでした。あるいはスモーキー・ホグやリル・サン・ジャクソンといった人たちの演奏を彷彿とさせます。それもそのはず、オリーはアーカンソー〜オクラホマ〜テキサス〜カリフォルニアと移動してきたミュージシャンだったのです。しかし全くモダン化せず、極めてプリミティヴなスタイルを貫いています。曲はジミー・ロジャーズの「ブルー・ヨーデル」からゴスペルまで、ギター、時にはハーモニカの吹き語りと、インタビューを交えながらとにかく泥臭く演奏しています。でも最近のFAT POSSUMのようなわざとらしさは感じませんでした。



Olu Dara ; Neighborhoods ; ATLANTIC 7567-83391-2 (2002. 1.15)

2001年リリース。1曲目、いきなりアフリカですよ。「コンゴ」「ブラザヴィル」と歌い込まれたいかにもアフリカンなポリリズミック・サウンドで開幕、でも曲が進むにつれ、カリブ海の風味、ファンク、オルタナ・カントリー(て言うのかしら?)みたいなサウンドが、渾然一体となって溢れ出てきます。タジ・マハルを若返らせ、ややソリッドにし、アフロ・ファンクを付け加えた感じといったら類型化のし過ぎでしょうか。結局2ラウンド聴いてしまいました。



The Olympia Brass Band ; The Olympia (& Young Olympia) Brass Band ; GHB BCD-108 (2006. 4.10)

1965年のロンドンでの「ヤング・オリンピア・ブラス・バンド」名義のライヴと、1971年ニューオーリンズでの録音のカプリングです。このバンドは基本的にはディキシーランド・ジャズをブラスバンドでやるって趣で、特にロンドンではクラリネットが利いていて特にその印象が強いです。強烈なセカンドラインというよりは、各楽器の絡み合いの妙が楽しめます。ニューオーリンズ録音の方は葬儀に関する演奏のように思える曲目で、若干重苦しい雰囲気もありますが、スネアからリードされて次々とちょっと哀愁を感じさせるマーチを演奏していく様子は、まさにそうした雰囲気を彷彿させます。



The Dukes Of Dixieland / The Olympia Brass Band ; Soirit Of New Orleans ; SHERIDAN SQUARE 7699 (2008.12.21)

2008年リリース。ニューオーリンズ現役のディキシーランド・スタイルのバンドと、トラディショナルなブラスバンドが、ニューオーリンズゆかりの名曲を中心にやっちゃうって内容のアルバムです。前半9曲がデューク・オヴ・ディクシーランドで、楽しいディクシーランド・チューンからしっとりした「ドゥー・ユー・ノウ・ワット・イット・ミーンズ・トゥ・ミス・ニューオーリンズ」や「ベイシン・ストリート・ブルース」、そして楽しい「タイガー・ラグ」と王道を行く選曲。一方オリンピア・ブラス・バンドの方はフェスの「マルディ・グラ・イン・ニューオーリンズ」や「ニュー・セカンド・ライン」「マイ・ブルー・ヘヴン」といった、よりカーニヴァル的な選曲で、同じホーン中心の演奏でも、スタイルの違いが上手く出ていました。どちらも味わいがあり面白いアルバムです。




Omar Kent Dykes & Jimmie Vaughan ; On The Jimmy Reed Highway ; RUF 1122 (2007. 8.28)

2007年リリース。この二人が組んで、タイトル通りジミー・リードやエディ・テイラー・ナンバーをやるっていう企画。「ビッグ・ボス・マン」「ハッシュ・ハッシュ」といった独特のノリをジミー・ヴォーンが出すと見事なサザンビートになります。ここにデレク・オブライエンのギター、キム・ウィルソンのハープと来れば、どこかファビュラス・サンダーバーズを思わせるサウンドに。オマーの歌声はどちらかというとハウリン・ウルフの方が似合っているようにも思いますが、ルー・アン・バートンとのハモりは仲々雰囲気が出ています。



Omar Kent Dykes ; Big Town Playboy ; RUF 1142 (2009.12. 3)

2009年リリース。ジミー・ボーンとデレク・オブライエンのギターを軸にして、ゲストにジェイムズ・コットン、レイジー・レスター、ルー・アン・バートンらを迎えたこの作品、まずタイトル曲のご機嫌なノリからガツンと来ます。エディ・テイラーやジミー・リード、スリム・ハーポなどサザン・ビートの似合う曲はもう言うことのない出来で、こうしたビートの中心がシカゴからとっくにテキサスや西海岸に移っちゃったんだなって思いました。ルーがコーラスをつけるジミー・マクラクリンの「シンク」にしても、アイヴォリー・ジョー・ハンターの「シンス・アイ・メット・ユー・ベイビー」にしても、泥臭いビートは徹底していて、オマーの渋めの声を上手くもり立てています。ああ気持ちいい!




Onward Brass Band ; The Tradition Continues ; ONWARD BRASS BAND OBB1001 (2009. 7. 4)

2009年リリース。「伝統は続く」とのタイトル通り、「バーボン・ストリート・パレード」「クローザー・ウォーク」「ダウン・バイ・ザ・リヴァーサイド」「リル・ライザ・ジェーン」「マルディ・グラ・イン・ニューオーリンズ」、そして「聖者が街にやって来る」と、ニューオーリンズのブラスバンドにとっての必修曲の数々を、オーソドックスなスタイルでやっています。特にクラリネットが入っているのでオールド・ジャズ的な雰囲気もあり、穏やかで落ち着いた感じ。ゆったりと聴くことの出来るアルバムです。




Original Dixieland Jazz Band ; The Essential Collection ; AVID AVC856 (2008. 2.28)

レコーディング・データが記載されていませんが、おそらく1920年代から1956年くらいまでの録音だと思います。むせび泣くクラリネットにドコンドコンとしたドラムは、ジャズの黎明期を支えたサウンドと言えるのでしょうか。2枚組で有名な「タイガー・ラグ」は4テイク収録でそれぞれ味わいが異なります。2枚目中盤には「クレイジー・ブルース」「ジャズ・ミー・ブルース」「セント・ルイス・ブルース」と有名どころが並んでいますが、ディキシーランドらしいアンサンブルが面白いです。「スケルトン・ジャングル」あたりになると、ドラムのリズムも大分モダンになって来てノリがいいです。古いアメリカの映画を思わせるサウンドでした。



Original Love ; 2000 Millennium Best ; TOSHIBA EMI TOCT 24356 (2009. 8. 9)

1991〜95年の録音のようです。バンドで「ローヴァー」やるっていうんで買ってみました。実はこのバンド、まともに聴いたことないんです。たまにラジオでかかったのを聴いた程度。「ローヴァー」はなかなか低重心なファンクで、格好いいと思ったんですが、他の曲はあんまりぴんと来ませんでした。ジャズ、アーランビー、ラテンなどをミックスして、手練のミュージシャンたちが演奏してるって感じなんですが、歌とかちっとも僕には迫ってこないんです。お洒落だとは思うんですがね。




The Original Pin Stripe Brass Band ; Your Last Chance To Dance ; ORLEANS OR 1311 (2008. 5.24)

1994年リリース。ニューオーリンズに数あるブラスバンドの中でも、トラディッショナルな香りのするバンドのひとつです。クラリネットが入っているのでディキシーランド的な味わいもあり、金管の抜け具合も気持ちがいいです。リズムはもちろんセカンドラインなんですけど、そんなにフォンキーではなく、軽快なノリって言う感じ。タイトル曲などで聴かれるワイワイガヤガヤもストリート感覚たっぷりで楽しいです。そんな中ジャッキー・ウィルソンの「ハイヤー&ハイヤー」を取り上げたりするあたり、やっぱりニューオーリンズのバンドは面白いです。



The Original Pin Stripe Brass Band ; I Wanna Go Back To New Orleans ; ORLEANS OR 2811 (2006. 8.12)

2006年のニューオーリンズ・ジャズ・フェスの直前に録音されています。「ニューオーリンズに帰りたい」、これはカトリーナに被災し、大好きな街での暮らしがままならなくなった多くの人々の願いではないでしょうか。それをタイトルにしたご機嫌なアルバムになっています。編成、服装からして典型的なニューオーリンズのストリート・ブラス・バンドで、多分いろんなお祭りの時には行進しながら演奏してるんではないかと思われます。スネアドラムのヒューバート・マカーヴァーがヴォーカルなんですが、張りのあるしっかりした声で、変に気取らずまっすぐ歌っているのがいいです。タイトル曲からファッツ・ドミノの「アイム・ウォーキン」、ベン・E.キングの「スタンド・バイ・ミー」、それに「聖者が街にやって来る」「ビッグ・チーフ」といったヒット曲やニューオーリンズならではのレパートリーをいかにも楽しそうに、気持ちよく演奏します。インディアン・チャント風の「ウー・ナ・ネィ」も格好いいな。こんなバンドが街を練り歩いてたら、間違いなく付いて歩いちゃいます。



The Original Royal Players Brass Band ; In Their Footsteps ; THE ORIGINAL ROYAL PLAYERS BRASS BAND no number (2008. 5.29)

書いてないけど最近の新譜だと思います。初めて聴くブラスバンドで、ジャケットの写真を見ると人種混合の伝統的なバンドのようですけど、出てくる音は結構モダンです。曲は「リル・ライザ・ジェイン」など伝統的な曲もあり、落ち着いた演奏を聴かせる場面もあるんですが、フィラデルフィアの方の「ソウル・トレイン」とか「世界は日の出を待っている」なんて曲も出てきたりして結構多彩。ガツンとしたファンクネスはないんですけど、なんだかほんわか聴けるブラスバンドです。



Osaka Monaurail ; Eyewitness To The... ; SHOUT!-RD RDR-1043 (2009. 1. 3)

2005年春、大阪でのライヴを収めた盤です。「JB'sばりの演奏をするバンド」としてBSR誌などにも紹介され、実際ここで聴かれる音は実にファンキーで心地良いサウンドです。スピード感、ブラス・アンサンブルの格好良さ、リズムのうねり、どれを取っても日本でトップクラスの実力であることに間違いはないでしょう。でも、僕、このバンド、少なくともこのライヴ盤はダメでした。その理由は一言、ヴォーカルです。この声が苦手なんです。歌にもグルーヴ感はあるとは思いますし、上手いとは思います。でもこの声はどうも違和感があるんです。何ででしょうね。わざとらしく感じちゃうんです。スタジオ盤でどうなってるか聴いてみようと思っています。




Oscar Aleman ; Buenos-Aires - Paris 1928-1943 ; FREMEAUX & ASSOCIES FA00 (2005. 6.17)

これはめちゃくちゃ面白いです。レス・ループス名義のものでは、ブエノ・ロボのハワイアンスタイルのスライドで「ラ・クンパルチータ」をやったり、リナ・ダコスタ名義ではスピーディで哀愁を感じさせるギターを軸に、どこかひょうきんな雰囲気の「ラ・クカラーチャ」を歌入りで聞かせ、オルケストレ・ヴィクターではバンドネオンのバックでノリのいいリズムを刻み、自分のクインテットではヴォーカル・ヴァイオリンを交えながら楽しい「イン・ザ・ムード」を奏でます。こうして聴くと南米出身のオスカーがフランスに行って、出す音がロマのサウンドに近いっていうのがなんとも面白い繋がりですね。そしてちょっとジャイヴでキスの擬音の入る「ベサメ・ムーチョ」、インスト「ティコ・ティコ・ノ・フラ」と超絶なギターを披露。高度なテクニックとエンターティンメント性が同居する素晴らしい演奏ですね。こりゃへヴィーローテーションしそう。



Oscar Klein & Katie Kern ; Pick-A-Blues ; JAZZ POINT CD JP 1065 (2002. 7.22)

2001年ドイツ録音。ベテラン・ジャズ・トランペッターのオスカーが若手ミュージシャンを集めてブルース・アルバムを作ってみましたっていう作品です。オスカーのトランペットは確かな腕前で、「キャラヴァン」なんていい味出していて面白かったです。その彼がハープを吹くと、これがまた妙に泥臭いんですね。このコントラストは不思議な感じです。さてもうひとりの主役ケィティは若いギタリストなんですが、とっても器用です。デルタブルースからアルバート・キング、さらにはアルバート・リーばりのカントリー・ピッキングまでそつなくこなします。ただちょっと「器用貧乏」な感じもします。歌も唄いますが、これはちょっと力が入りすぎかな?むしろ若干23才のピアニスト、クリス・ネメットのプレイが光っています。



Oscar Lopez ; Seduction ; NARADA 72438-46140-2-7 (2007.12.28)

1998年リリース。ラテンもののギター・インスト・アルバムを探していて、ネットで「名盤」と紹介されていたんで買ってみました。マイナーのサンバが中心で、セカンドギターにパーカッションが入り、テンポのいいリズムの中に華麗で切れのいいギターが鳴り響きます。メロディに哀愁があり、音色も美しいのでどんどん引き込まれていきます。とりわけ美しいと思ったのが「ラヴィング・ユー」。ミニー・リパートンの曲とは同名異曲ですが、ストリングやカスタネットもバックに加わって、少し緩やかなテンポの中、印象的なメロディラインを見事な音色で聞かせます。ラストのボーナスは歌もの。この人、もう少し聴いてみようかな。



Oscar Lopez ; My Destiny (Mi Festino) ; NARADA WORLD 72435-93645-2-0 (2008. 1.11)

2003年リリース。最近この人にはまりそうです。リズムギターにベース、パーカッションをバックにしていますが、サウンドはギターそのもの。「Sedution」よりさらにポップ度が増して聴きやすくなっています。「アウト・オヴ・マイ・ハンド」なんてきれいなメロディがゆったり流れて好きだなぁ。続くタイトル曲の哀愁と情熱を感じさせる演奏もぐっと来ました。全体にメロディが洗練されていて、ギターのテクニックの素晴らしさに頼るようなインスト・アルバムとは趣が異なります。もちろん素晴らしく上手いんですけど、それより旋律に耳が行くんです。やっぱりブルースばっかり聴きすぎたセイなのかな。



Oscar McLollie ; Hey! Lollie Lollie ; MODERN/ACE CDCHM 879 (2003. 8.26)

1953〜55年録音。ライナーに「ジャンプブルースとロックンロールの橋渡しをした希有な例」みたいなことが書いてありましたが、とにかく面白かったです。何と言っても2テイクある「ロール・ホット・ロッド・ロール」の冒頭、"One for the money,"と始まる歌い回しが、カール・パーキンスの「ブルー・スウェード・シューズ」とメロディまで同じなんです。カールの方が後の録音なんで、ひょっとしたらこれをパクったのかしらなんて、想像をたくましくしてしまいます。ジョー・リギンズのバンドなどに通じるサックスブリブリ、ビートビシバシの演奏に、ジャズコーラス風の歌が乗ってくるのが凄く楽しいです。曲もキャッチーで、「ママ・ドント・ライク・イット」なんて、「かあちゃんとねえちゃんは嫌いでもとうちゃんと僕はジャンプやらロックやらの音楽が好きだ」なんてのを、御機嫌のビートに載せて歌ってます。こりゃ大当たり!



Oscar Peterson ; Tracks ; MPS 06024 9827011 (2008.11.29)

1970年録音。中学生の頃だったかにNHKで彼のライヴを見て、すごく好きになったピアニストです。まずは右手と左手のバランスが素晴らしいですね。パターン化しない自由な左手に、まさに超絶といっていい右手のフレーズが乗ってくると最高に気持ちいいです。それから彼のピアノは音の選択が明るいです。ブルーノートを使っても湿っぽくなりませんし、変に理屈っぽくなく、さらっと楽しめるのが魅力だと思います。まあブルース好きの僕からすると上品な感じは受けますが、そういう気分で聴くのにはもってこい。「ハニーサックル・ローズ」など、自在なイントロからいつの間にかさらっとテーマを挿入していくあたりの巧みさを感じますし、同時に右手が速いフレーズを弾いていても、曲全体のビート感がガッツリ生きているのが気持ちいいです。この人のようにすぐにそれと分かる個性、さすがです。




Other Turner & The Rising Star Fife & Drum Band ; Everybody Hollerin' Goat ; BIRDMAN/P-VINE PCD-5487 (2008.12.30)

1992〜97年のフィールド・レコーディングで、ドラムの生みだすポリリズミックなうねりに、ファンキーなファイフのかん高い響きが絡む、独特のプリミティヴな音楽が、子供の声などを交えて記録されています。北ミシシッピのヒル・カントリーに残るバンドだそうですが、FAT POSSUMが捉えたブルースマン達とどこか共通する、商業主義に染まっていないサウンドが麻薬のよう迫ってきます。3テイク入った代表曲の「シミー・ザ・ウォブル」のトランスに導かれるようなサウンドはある意味ファンクそのもの。また「マイ・ベイブ」のようなブルースのヒットをやったりしてます。またR.L.ボイスが歌う「ブギ・チレン」「ロール&タンブル」「ハウ・メニー・モアーイヤーズ」なんてのも入っていて、これはまさにヒル・カントリーのブルースそのもの。現地の様子を伝える興味深いアルバムです。




Otis Blackwell ; 1952-1954 ; CLASSICS 5140 (2005. 6.25)

以前紹介したBLUE CITY盤の時に「50年代中盤〜後半」なんて書きましたが、意外と古い録音だったことが分かりました。3曲を除き重複しています。でも録音データにライナーが充実しているのと、録音順の収録なので変化がよく分かります。軽いR&b的感覚の強さと、ロカビリーに影響を与えただろうしゃくり上げるような語尾が、かなり初期から聴かれます。でも以前聴いたときよりスローな曲に深みを感じました。気分により印象が変わることはよく承知しているつもりなんですが、面白いもんです。



Otis Blackwell ; Daddy Rollin' Stone ; BLUE CITY BCCD-814 (2003. 8.29)

録音データがないんですが、おそらく1950年代中盤〜終盤ではないかと思います。オーティスは歌手としてよりソングライターとして有名で、エルヴィスの「オール・シュック・アップ」「ドント・ビ・クルー」、ジルー・リー・ルイスの「火の玉ロック」、さらに変名を使った共作がリトル・ウィリー・ジョンの「フィーヴァー」だったりと素晴らしい曲が多いです。さて、ザ・フーのカヴァーでも知られるタイトル曲に始まるこのコンピ、張りとところどころ「しゃくり」の入った歌は、確かに当時のポップを意識しているのかもしれませんが、決して深みがあるわけじゃなく、かなり軽さを感じます。でも歌の上手さはかなりのもので、軽妙な曲作りといい、魅力は十分です。でもだんだん歌がプレスリーみたいになっていくのが笑えました。だって大袈裟なんだもん。ブートそのもののこの盤ですが、詳細なデータをつけた正規盤とか、5年後くらいにCLASSICSあたりで出さないかしら?



Otis Clay ; That's How It Is ; HI HI UK CD 110 (2001.10. 9)

1972年と77年のアルバムにシングル曲を3曲加えたもので、中古で購入。オーティス・クレイは現在もシカゴを拠点にバリバリに活躍するソウルマンですが、全盛期はやはりこのHI時代でしょう。ウィリー・ミッチェルの指揮するHIサウンドの緩やかなミディアムに乗ってソウルフルに歌うクレイは見事にはまっています。アル・グリーンほど甘くなく、よりサザン・フィーリングを感じさせる歌い口が魅力的。バラードも素晴らしいんですが、やはり「トライング・トゥ・リヴ・マイ・ライフ・ウィザウト・ユー」あたりのミディアムがもうビリビリときます。



Otis Clay ; Soul Man - Live In Japan ; BULLSEYE BLUES CD BB 9513 (2001.12.18)

1983年秋、東京は郵便貯金ホールでのライヴです。今も現役バリバリで活動するシカゴきってのソウルマン、オーティスが、HIリズムの面々をバックに熱唱します。心地よいリズムに揺られながら、しなやかなヴォーカルを聴かせます。特に「プレシャス・プレシャス」あたりから場内共々盛り上がってきて、サム・クックなどのフレーズを挟みながら歌いすすめるステージングも見事です。ラストの「ラブ&ハピネス〜ソウル・マン」の13分に及ぶメドレーでは、リズムもどんどんタイトになり、コード展開なしの「ソウル・マン」で最高潮に。名盤と言われることが十分納得できました。



Otis Grand ; He Knows The Blues / SEQUEL/P-VINE PCD-1879 (2002. 5.14)

1990年録音。中古で購入。ジョー・ルイス・ウォーカーの「Great Guitars」にも参加していた、ウエストコーストからイギリスに渡った白人ギタリストの作品です。この人、ものすごく上手いです。あるときはB.B.キング、あるときはオーティス・ラッシュ、そしてまたあるときはアルバート・コリンズと、貪欲に名手たちの技を自分のものにしたことが分かるプレイを聴かせます。ヴォーカルはアール・グリーンというバンドのヴォーカル(黒人)で、かなり歌えますが、ギターが勝っていると思いました。ゲストも多彩で、ジョー・ルイスの他、なんとジミー"T99"ネルソンやピー・ウィー・エリスが参加、花を添えています。ボーナストラックではフィリップ・ウォーカーも参加。西海岸人脈を感じる人です。



Otis Grand ; Hipster Blues ; BLISS STREET no number (2007. 4.14)

2006年リリース。オーティスのギターは、基本は芯のあるガツガツしたテキサス風味なんですけど、時折なりきっちゃうのが面白いです。例えば「アイム・グラッド・トゥ・ゴー」や「エヴリ・ガール・アイ・シー」はほとんどロバート・クレイ、「ネバー・レイズ・マイ・ハンド」ではアルバート・コリンズ、マイナーの「サタンズ・ブルース」はオーティス・ラッシュといった具合に、下敷きがはっきりしてます。どれもなかなか格好いいんですけどね。ただいただけないのは曲のクレジット。例えば「スロー・モーション」はほとんどキング・カーティスの「ソウル・ツイスト」、「ザ・メンフィス・プッシュ」はMGズの「ヒップ・ハグ・ハー」のカヴァーなのに、ちゃっかりオリジナルにしちゃってるし、「ナットクラッカー・ロック」はチャイコフスキーの「くるみ割り人形」なのにトラッド扱いってのもねぇ。しかも下敷きはB.バンブル&ザ・スティンガーズの「ナット・ロッカー」ですから。



Otis Redding ; Live In London & Paris ; STAX/UNIVERSAL UCCO-4051 (2008.10.25)

1967年3月のライヴで、以前主にフランス公演を元に出されていた「Live In Europe」のマスターと、同じ時のイギリス公演のマスターをできる限りオリジナルに近い形に再構成したもののようです。その結果、前半のロンドン公演7曲はすべて後半のパリ公演と重複しています。MG'ズとマーキーズをバックにした演奏は悪かろうはずはなく、特に頭の「リスペクト」とかラストの「トライ・ア・リトル・テンダネス」はいつ聴いても鳥肌ものですが、ロンドン公演の「サティスファクション」のだんさぶるな勢いのある演奏は強烈!ややマニア向けの編集盤という気もしますけれど、素晴らしい熱気を伝える作品であることに間違いはありません。




Otis Rush ; 21 Blues Giants 1 ; COBRA/P-VINE PCD-3741 Click Here!

Otis Rush ; An Introdouction To Otis Rush ; FUEL 302 061 548 2 (2006. 3.29)

1950年代末からのCOBRA録音から別テイクを含む10曲に、ライヴ音源が4曲入ってます。このうち「イッツ・ソー・ハード・フォー・ミー・トゥ・ビリーヴ・ユー・ベイビー」はリトル・ウォルターとカプリングされた「Blues Masters」というアルバムで紹介されたもので、1970年代の音に聞こえます。残り3曲のうち「イッツ・マイ・オウン・フォルト」はひょっとしたら映像化された音源からかな?多分1980年代の音だと思います。「クロス・カット・ソウ」と「オール・ユア・ラヴ」は先に紹介したモントルーでのライヴと同一音源で、クラプトンが入っているもの。というわけで他を持ってるならこのアルバムだけを買う意味はあんまりない気がしました。



Otis Rush ; Mourning In The Morning ; COTILLION/ATLANTIC 782367-2 (2000. 3.31)

1969年、マッスル・ショールズ録音。中古で購入。マイク・ブルームフィールドとニック・グレイヴナイツのプロデュースで、まとまりのあるバックです。ラッシュ自身も決して悪くないと思います。アレサの「ベイビー・アイ・ラヴ・ユー」のインストなんてときめいちゃいますし。でも、何か居心地が悪そうなんですよね。フランス料理店に着流し雪駄で行ったような感じがします。ラッシュはもっと奔放にやりたかったんじゃないのかな。デュエイン・オールマンもギターで参加してますが、目立ちません。


Otis Rush ; Right Place, Wrong Time ; HIGHTONE/EDSEL ED CD 220 (2000. 4. 1)

1971年、サン・フランシスコ録音。中古で購入。ニック・グレイヴナイツとラッシュ自身のプロデュースで、「モーニング・イン・ザ・モーニング」と似た傾向もありますが、こちらの方がプロデュースが控えめで、その分ラッシュが伸び伸びやっているように感じられます。特にタイトル曲は彼の代表作と言っていいと思います。大好きな曲です。全体にスローの方が僕は気に入っています。だんだんアルバート・キングの影響が出てきたのもこの辺からだと思います。「アイ・ワンダー・ホワイ」はアール・フッカーの「ブルース・イン・D・ナチュラル」がベースの格好いいスロー・インストです。LPとは曲順が違ってました。


Otis Rush ; All Your Love I Miss Loving ; DELMARK/P-VINE PCD-23722 (2005.11.20)

1976年、シカゴの小さめのハコでラジオ番組用に収録された、こんな素晴らしいライヴが眠ってたとは!それがついに世に出ましたが、素晴らしいパフォーマンスです。ラッシュは時としてエモーションが過剰になり、抑制の効かないプレイに走ってしまうこともあるんですが、ここでは適度に押さえられています。でも十分すぎるほどの情感があふれ、歌からもギターからも気合いがビシビシ伝わってきます。「オール・ユア・ラヴ」、あのリズムチェンジするところのたたみかけのフレーズで、本当にドキッとさせられました。B.B.キングの曲が多いんですが、感情移入が半端じゃありません。T-ボーンの「ハイ・ソサエティ」も、原曲のクールさとは異質の、素晴らしくブルージーなプレイで感動的です。こりゃことしのリイシュー?部門第1位に入れていいかな。ブルースファン必携のライヴ盤だと思います。



Otis Rush & Friends ; Live At Montreux 1986 ; EAGLE EAGCD313 (2006. 3.28)

ゲストというかホストにルーサー・アリソン、本物のゲストにエリック・クラプトンを迎えており、大会場ならではの熱気を感じさせるライヴです。オーティスは比較的ゴージャスなバックのサウンドに乗って、結構弾きまくってます。歌も割合声は良く出ています。ただ彼らしい爆発的なエモーションはそんなに強くなく、ちょっと借りてきた猫っぽいかな。もちろん決して悪い出来じゃありませんが。またクラプトンが大好きなオーティスとの共演で嬉々としている様子が伝わってきます。個人的には同時期のものなら「Tops」の方が好きです。むしろルーサーの元気な歌とギターの方をたっぷり聴きたいですが、確かRUFあたりから出てた気がします。うちにあったように思うんで探して見ようっと。



Otis Rush ; Ain't Enough Comin' In ; THIS WAY UP/MERCURY 314 518 769-2 (2000. 3.10)

1994年リリースで、発売とほぼ同時に購入。当時はラッシュ久々のスタジオ新作とあって、話題にもなり、結構新鮮に受けとめましたが、今改めて聴き直すと、「こんなにアルバート・キングっぽかったっけ」と言う感じがします。もっとオリジナリティのあるギター、情感こもった歌が聴きたい!サム・クックなどはあまりラッシュに向いているとは思えませんし。時間が経つと印象が変わる例ですね。


Otis Rush ; Any Place I'm Going ; HOUSE OF BLUES 51416 1343 2 (2000. 3.14)

1998年リリース、発売とほぼ同時に購入。プロデューサーにウィリー・ミッチェルの名が見えますが、別にハイ・サウンドではありません。前作よりずっと心地よく聴けました。歌の伸びがいいんです。肩の力が抜けているように聞こえるのは気のせいかしら。でも、ラッシュはアルバート・キングが相当お気に入りなんですね。ギターの音から歌い方までそっくりの曲があります。


Otis Rush ; Live ...And In Concert From San Francisco ; BLUES EXPRESS no number (2006.12.17)

1999年のライヴで、2003年にDVDで出たものと同じ音源だそうです。「アイ・ワンダー」で始まり、「オール・ユア・ラヴ」「アイ・キャント・クウィット・ユー・ベイビー」、「ロックス」風の「モジョ・ワーキン」で締めるステージはいかにもラッシュらしく、安心して聴くことができます。ただ演奏自体はドラムがちょっとうるさかったり、「アイ・キャント・クウィット・ユー・ベイビー」にいつもの情感がちょっと欠けていたりと、ちょっと手慣れちゃった感じは否めません。ちょうど前回の来日の「俺は歌いたいんだ!」と力を振り絞って歌ったのと対局にある感じ。「フィール・ソー・バッド」「モジョ・ワーキン」も演奏がややばたついていて、映像なしで音だけだとちょっと物足りないかなぁ。なおクレジットにカール・ウェザーズビーがサックスとありますが、ラリー・ウェザーズビーの間違いだそう。江戸川スリムさんがラッシュの奥さんのマキさんに聞いてくださいました。感謝!



Otis Rush ; Chicago Blues Festival 2001 ; P-VINE PCD-24222 (2009. 4. 5)

マーティン・スコセッシのブルースのシリーズの最後にライヴ映像集がありましたが、その中にとらえられていたラッシュがたぶんこれです。まだ倒れる前の演奏で、「ロックス」のリフを使った「アイ・ガット・マイ・モジョ・ワーキング」からスタート。以下お得意のナンバーをこれでもかと演奏していきます。ギターの粘り腰はさすがという他はなく、ヴォーカルは必ずしもベストとは言えませんが、「ソー・メニー・ローズ」など一瞬息を飲むようなところもありました。決してベストのライヴ盤とは言えないけど、貴重な記録だと思います。




Otis Spann ; This Is The Blues ; CANDID/ROOTS RTS 33014 (2001. 3. 5)

1960年ニューヨーク録音。ROOTSというメーカーは、CHESSのリイシューをよく出しているので、これもそうかなと思って買ってみたら、CANDID録音でした。まだ確認していませんが、多分一度は聴いている(というか持っている)音のようです。内容は、スパンのピアノにロックウッドのギターという職人同士の組み合わせで、元々非黒人聴衆向けに作られたレコードなので、少々かしこまってはいますが、深みがあってけっこう好きです。透明感のあるブルースって言ってもいいかもしれません。むしろ初めて聴く人には入りやすい音かもしれませんね。あと、セントルイス・ジミーが何曲か唄っていますが、これもどっしりしていて好きです。



Otis Spann ; The Blues Of Otis Spann / Cracked Spanner Head ; BGO BGOCD668 (2007. 4.22)

1964年と69年にいずれもイギリスのDECCAからリリースされたアルバムの2on1に、ヴォーナスを加えたものです。録音は1969年。バックはマディ・ウォーターズにランサム・ノウリング、ウィリー・スミスといった気心の知れたメンバーですから、旅先のロンドン録音でも十分な水準の演奏になっています。ホンキートンク仕立てのピアノも入ってたりしますし。でもこの2枚のアルバム、同じ曲にオーヴァーダブを施して別タイトルでリリースしてるんでややこしいですね。例えば「The Blues Of...」の「ロック・ミー・ママ」は、「Cracked...」ではブラスセクションをオーヴァーダブして「ワゴン・ホウィール」とリタイトル。省エネと言うか、後者の時代を感じさせるちょっとサイケなジャケットといい、あざとい売り方に見えます。なおボーナストラックはクラプトンの参加したセッションなど。



Otis Spann ; I Wanna Go Home ; HIGHTONE HCD8155 (2003. 7.18)

1965〜69年にかけての、ライヴを含む録音。最初買う前は、既出CDのリマスターかなとも思って敬遠していたんですが、どうやら違うような気がします。ディスコグラフィーを確認したわけじゃないんですが、スパンのの他マディ・ウォーターズがヴォーカルを取っているライヴも収録されており、素性のよく分からない内容です。ひょっとしたら初CD集かも。スパンのピアノはいつも通り派手に目立つわけじゃないけど魅力的だし、特にマディバンドは抜群のノリでいい感じ。でも僕としてはやっぱりスパンのソロ作に耳がいくわけで、「スパンズ・ブギウギ」の的確なピアノの楽しさ、「ワン・ルーム・カントリー・シャック」のひなびた味わいがいいなぁ。因みに「ラヴィン・ユー」ではオルガンを披露してます。



Otis Spann ; The Complete BLUE HORIZON Sessions ; COLUMBIA 82876822902 (2006. 7.23)

1969年に録音されたセッションで、赤いクワガタのジャケットで出された正規盤の音に、セッション風景をたっぷり詰め込んだ2枚組です。スパンのピアノの面白さはもちろんですが、ちょっとスモーキーだけどすごく味わいのあるヴォーカルの魅力がよく出ていますね。またギターのピーター・グリーンが頑張っています。「サムディ・スーン・ベイビー」の冒頭、「B.B.キングがどうたらこうたら」という語りに続き、ソロで弾き始めるんですが、そこに本当にB.B.がいるのかと思うくらいのプレイ。笑っちゃいました。全体にセッション風景は面白いんですが、さすがに2枚通して聴くとちょっとしんどいです。



Otis Spann ; Last Call ; MR.CAT MCAT1014 (2001. 4. 2)

1970年4月2日、ボストンでのライヴ。ピーター・マリックという人が企画(ギターも弾いている)したようで、当時末期の肝臓ガンに冒されていたオーティスをクック郡病院から引っ張り出して行われたライヴの記録です。オーティスはピアノ(かなり指がおぼつかない状態)だけで、歌は奥さんのルシールと、ギターのルーサー・ジョンソンです。ルシールのゴスペル仕込みのヴォーカルは、ちょっと気が入りすぎで、がなり気味ですが、夫を励まそうとする気持ちからか、熱唱です。特に「マイ・ベイビー(スウィート・アズ・アン・アップル)」という曲はテンションが高くてすごいです。ルーサー・ジョンソンも味があります。バンドの演奏はオーティスにたいする愛情があふれていて、ピアノはいまひとつですが、聴いていて不快な感じはありませんでした。むしろ何だかじーんとしました。なお1曲ボーナスとして、ピーター・マリックの追悼曲(スタジオ録音)が追加されています。



Otis Taylor ; Below The Fold ; TELARC CD-83627 (2005. 7.16)

2005年リリース。フィドル、バンジョー、マンドリンなどを駆使して奏でるその音楽は、どこかプリミティヴで、でも大音響で聴いていると引き込まれていくかもしれない呪術的な魅力をたたえています。ベースにはジャズの素養があるように思いますが、シンプルなワンコード上の、トニックノートを利かせたリフの繰り返しは、やはりアフリカルーツのサウンドでしょうか。「ディドント・ノウ・マッチ・アバウト・エデュケイション」は真っすぐなブルース、「ウェント・トゥ・ハーメス」や「ガヴァメント・ライド」はボブ・ディラン直系のフォークソングの肌合いを感じます。やや実験的な要素も感じますが、コリー・ハリスやオル・ダラとはまた違った、新しいスタイルを生み出しそうな予感がします。要注目。



Otis Taylor ; Definition Of A Circle ; TELARC CD-83659 (2007. 3.17)

2006年リリース。いきなりスライドに呼応する女性コーラスが飛び出して度肝を抜かれました。エレクトリックなサウンドと、リゾネイタ、マンドリン、ホーンなどをたくみにミックスする手法は前作と同じですが、女性コーラスを絡ませたり、ワンコードでリフを繰り返したりと、一方で前衛ジャズとパンクロックを混ぜ合わせたようなアプローチをしつつ、歌はすごくフォーク調です。サウンド的には様々な要素をまぜこぜにしていて、かなり凝った作りなんですけど、どこか鬱屈しているというか、ケブ・モに感じる突き抜けたセンスとか、エリック・ビブの持つ知性とはまた違った、ぐっと土着なものを感じました。こうなるとあんまりブルースってカテゴライズがしっくりこないようにも思いました。



Otis Taylor ; Recapturing The Banjo ; TELARC CD-83667 (2008.10.13)

2008年リリース。これ、面白い企画ですね。オーティスの他、コリー・ハリス、アルヴィン・ヤングブラッド・ハート、ガイ・ディヴィス、ケブ・モなど現代のアコースティック・ブルース・シーンを引っ張る革命児達が一堂に会して、バンジョーを軸にした音楽をやってるんです。オーティスやアルヴィン、ケブのオリジナル曲はオールドタイミーな中にも斬新な解釈があって面白い曲が多いですし、ガス・キャノンの「ウォーク・ライト・イン」、カントリーからロックまで歌われた「ヘイ・ジョー」、童歌の「リトル・ライザ・ジェーン」など、選曲も多彩で楽しめました。曲によってはバンジョーをマンドリンのように使ったり、この楽器の可能性をいろいろ引っ張り出していて、古臭いイメージのある楽器が凄くモダンな響きを持っていることを再認識しました。



Otis Taylor ; Pentatonic Wars And Love Songs ; TELARC CD-83690 (2009. 6.28)

2009年リリース。全曲オリジナルで固めたこの作品は、アコースティックなギターやバンジョーの響きに、やや沈鬱な感じのするオーティスの歌を載せています。「ロスト・マイ・ギター」や「イフ・ユー・ホープ」では何とリードギターにゲイリー・ムーアの名前が!でも全編を貫く内省的なイメージは、ストリングやパーカッションなどどの様な楽器が加わっても崩れていません。それだけに歌詞が分からないと入り込めなくなってしまいますが。これもブルースの新しい姿の追求といっていいのでしょうか。それともそんな枠組みなどとっぱらった方がいいのでしょうか。悩ましいところです。




Outlaw X ; Out Of The Box ; OUTLAW X OX-5921 (2010. 7. 1)

2007年リリース。シカゴのベーシスト、ラリー・キンペルが中心となって結成されたブルースバンドで、ラストのフェイセズの「ステイ・ウィズ・ミー」を除くとすべてオリジナル曲で固め、クールなタッチのモダン・スタイルなブルースにソウル・ナンバーを交えた作りです。演奏技量は極めて高く、楽曲も練り込まれていますが、この破綻のなさがかえって面白味を欠いているように思えちゃいます。ブルースってこんなに予定調和な音楽なのかなぁ。むしろ「オールド・ガッションド・ガール」のようなロック・テイストの強い曲の方が魅力的でした。




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