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アーティストの名前順に並んでいます。「TODAY'S CD」で紹介したものは紹介文が付いています(日付)。紹介文のないものは「おすすめCD」か「お気に入りのミュージシャン」の中で紹介されているもので、「Click Here!」をクリックすると該当のページにジャンプします。

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W.C. Clark ; Heart Of Gold ; BLACK TOP CD BT-1103 (2000. 9.22)

1993年録音。中古で購入。テキサスのブルースマン、この人いい声してます。ハイトーンで伸びのいい声なんですが、軽くない。でも、時代のせいか、随分ロバート・クレイを意識したような曲と歌です。もっとソウルフルな選曲にするともっと魅力が出ると思いました。ギターは達者ですがインパクトは感じませんでした。ダウンホームな曲もありますが、ミスマッチと思います。いいプロデューサーに出会うともっといいものを出しそうだと思いました。



W.C. Clark ; Lover's Plea ; BLACK TOP CD-BT-1145 (2004. 3.21)

1998年リリース。廃盤なんですが嬉しいことに中古店で発見しました。ハモンド・スコットとカズ・カザノフがプロデュースしていますが、歌の上手いクラークを上手く活かす好感の持てる選曲とアレンジです。ストレートなブルースは少なく、ソウルフルなオリジナルとカヴァーが中心で、クラークは辺に肩に力を入れることもなく、伸びやかに歌っています。ギターも達者で、こちらは思いっ切りブルージーなんですが、ツボを心得たプレイで弾きすぎず上手くまとめています。ちょっとロバート・クレイを思わせる曲やサウンドもありました。結局ここで確立されたスタンスを最新作まで温め続けているわけで、よくアーティストを知っているプロデューサーがアーティストを最大限活かしているということでしょう。



W.C. Clark ; From Austin With Soul ; ALLIGATOR ALCD 4884 Click Here!

W.C. Clark ; Deep In The Heart ; ALLIGATOR ALCD 4897 (2004. 7. 9)

2004年リリース。2004年リリース。マーク・カザノフがプロデュースした新作では、W.C.のサザンフィーリング溢れるソウルフルなヴォーカルが炸裂していて、期待にたがわぬ好盤でした。丁寧に作り込まれたバックサウンドは、ギタープレイも含め時折1980年代のロバート・クレイを思わせるところがありますが、W.C.の声はより粘りがありディープネスを感じます。マーシャ・ボールやルーシー・フォスターとのデュオ曲も決まっていますし、オーティス・レディング、ファビュラス・サンダーバーズ、ジョン・ハイアット、デルバート・マクリントンなどの曲の、それもあまり有名でないところをカヴァーしつつ、オリジナルも交えるアルバム構成も、彼の歌を上手く活かしていると思います。そしてギターはもうラストの「オーキー・ドーキー・ストンプ」で大爆発。ゲイトマウスのスタイルよりぐっと野太いサウンドとフレーズで、フックを利かせたアレンジもあってこの曲のカヴァーとしては僕の一番のお気に入りになりました。



Wabi Down Home Blues Project Band ; The Best Things In Life Are Still Made By Hand ; ASIAN IMPROV AIR0057 Click Here!

Wabi ; Introducing Wabi ; SOUTHSIDE SSBC-010 (2002.12. 9)

2002年リリースの新譜がシカゴで活躍するハーピスト、ワビこと湯口誠司さんから届きました。今回は全曲オリジナルで固めたもので、丸山さんのギター、江口さんのベースといったいぶし銀のサポートメンバーに支えられ、シンプルなシカゴブルースの伝統的なスタイルでぶちかましています。で、これ、めちゃくちゃいいんです!何がって、歌が最高です!ハープはもとより定評があり、ここでも見事なプレーを聴かせているんですが、今回は歌にまいりました。リトル・ウォルターのもつ色気をワビさんなりに消化し、それを自分の色気にして艶のある声で吐き出しているんですが、ちょっと投げやりなように聞こえる歌、実にしっかり歌い込まれているんです。しびれました。ことしのベスト10、いや、ベスト5に入ります。



Walter Horton ; Live At The Knickerbocker ; JSP JSPCD2152 (2001. 9.15)

1970年代ロニー・アールを従えたライヴ盤です。最初の3曲はシュガー・レイが唄っています。4曲目から登場するホートンのハープはあくまでも深く、力強いです。ダウンホームに「リトル・ボーイ・ブルー」を唄い、「イージー」(「イッツ・ノット・イージー」にリネイム)を見事なテクニックで吹き上げます。この時代のホートンのものとしてはとても好内容だと思いました。ロニーのサポートも的確です。それにしてもロニーのギターソロの音、なんだかブルースブレイカーズ時代のクラプトンのようだなぁ。



Walter Shakey Horton ; With Hot Cottage ; STONY PLAIN SPCD 1208(2001. 7. 2)

こちらは1972年録音。何といいましょうか、時代ですかね。かなり聴いていてつらいアルバムでした。ホートンも元気がないんですが、バックがミスマッチ。ギターはそれこそC級のブルースロックっていう感じだし、ナンシー・ナッシュなる女性ヴォーカルは大仰な節回しで勘弁して欲しかったです。なんとなくくつろいだ雰囲気の弾き語りとかあるんですが、これも妙にヤラセっぽい感じですっきり入れません。こんなものもあるんだっていう1枚ですか。久々に褒めどころの極端に少ないアルバムでした。



Walter Horton ; Can't Keep Lovin' You ; BLIND PIG BP71484 (2001. 7. 1)

CDに正確な録音時期は書かれていませんが、ライナーから判断すると、1977〜8年ごろ、ロード・アイランドとミシガンでの録音のようです。ジョン・ニコラス、マーク・カザノフ、ロン・リーヴィといった当時の若手ミュージシャンのバンドと組んで、ホートンはけっこう伸び伸びプレイしています。自身の代表曲を中心に、ツボを押さえたバックの下でブロウし、唄うホートンはかなり気持ち良さそうです。「ハード・ハーテッド・ウーマン」を聴いていて、ふとJ.ガイルズ・バンドの「クルージン・フォー・ア・ラヴ」のマジック・ディックのプレイが、この曲のパクリだということに気付いてしまいました。格好いい。



Walter "Shakey" Horton ; Live ; PACIFIC BLUES CD9801 (2000. 7. 4)

1979年、ミネアポリスでのライヴ。のっけから、タイトなドラムに支えられた御機嫌なサザン・ビートに乗ったインストで、もう聴いている身体が勝手にドライヴしました。この1曲だけでこのCDを聴く価値があります。ホートンは結構気分屋と聞いていましたが、これを聴く限り、この時は調子が良かったんでしょう。スローもアップもホートンならではの表現力豊かなハープが満喫できます。3ピースのバックバンドも的確なサポートで、ホートンを盛り立てます。ハープ・ファンはこれを聴くと「生で見たかった」と思う1枚です。


Walter Jr. ; Louisianas Soul ; GATER TONE GTR#1003 (2005. 5.13)

1998年リリース。これはなかなか気持ちのいいスワンプ・ロックです。適度なカントリーフレイヴァとブルースが折衷され、ピッキング・ハーモニクスを交えたグリッティなギターも、リズムのルイジアナ的緩さとマッチしています。ヴォーカルは決して上手いって感じじゃないけど味があり、聴いていて嫌味がありません。またゆったりした「ママズ・キッチン」にはサニー・ランドレスのドブロもフィーチュアされており、控えめながら彼らしいソロを聴かせます。ラストの「シー・ユー・レイター・アリゲイター」で思わず身体が揺れてきました。



Walter Jr. with Robert Nash ; A Long Way From Lfayette ; GATORTONE MUSIC GT 2003 (2007.11.12)

2007年リリース。録音は2001〜2002年にかけてのようです。え?これがあのスワンプ・ポップのウォルターなの?といった感じのしっとりと落ち着いたサウンド。それはウォルターの達者なギターと、弓も使ったロバート・ナッシュのアコースティック・ベースだけというシンプルなバックもあるんでしょうが、言葉をかみしめるように抜いた感じのウォルターの歌が、いつになく落ち着いているんです。ドラムなどが入っても決して軽くならず、ポップさは隠し味のように後に控えています。「シーズ・マイ・ベイビー・ナウ」ではちょっと清志郎を思わせるようなところも。美しい「ヘヴンズ・クライ」、言葉が響いてくる「ソート・イット・ワズ・ユー」、郷愁を誘うタイトル曲など、佳曲が多く楽しめました。



Walter Jr. ; Back On The Bayou Road ; GATORTONE GT 2001 (2006. 4.25)

2006年リリース。軽快でポップなスワンプロックで幕を開けますが、結構ファンキーな「ダーン・ディド・ダット」や「バック・オン・ザ・バイユー・ロード」、サニー・ランドレスのドブロが格好いい「ゲイター・バイト」など、明るいばっかりじゃないなかなか凝った作りのアルバムです。「サレンダー・トゥー・ラヴ」なんてなかなかソウルフルな曲調ですし。ゲストヴォーカルにはボニー・ブラムレットが参加して味わい深依喉を聴かせています。当のウォルターは例によって軽めのしゃがれ声で、ちょっと癖があるんですが結構好きです。ギターもテリーらしい音で気持ちいいし。「デルタ・キャット」なんてちょっと「カレドニア」を思わせるようなジャジーな曲の後に、いかにもと言った「マチルダ」が来ちゃうと、思わずにんまりです。



Walter Jr. The River Club ; GATERTONE MUSIC GT 2008 (2008.10.31)

2008年リリースの新譜です。このスワンプ・ポップの雄、ここのところぐっと渋いサウンドになって来ていますね。また歌詞も「ジーザス・セイ」なんてかなり意味深な感じがします。歌誌が載っているので読んでみましたけど、一応「山上の垂訓」をベースにしているのかなって思うんですが、「地獄に落ちろ」なんてリフレインが来るとねぇ。冒頭のタイトル曲も単純な明るさじゃなくって、ぐっとひねた感じ。リズムもセカンドラインぽい雰囲気だし。ラストの「ヒー・ホールド・ザ・ライトニング」はスロー・ナンバーなんですけど、サニー・ランドレスのスライドが哀愁を帯びていて、歌も抑えた感じ。このトーン、かなり好きです。




Walter "Wolfman" Washington ; On The Prowl ; BULLSEYE BBB 11661-9630-2 (2000.10.26)

1986年〜90年に録音された3枚のアルバムからのベストです。この人、ギターもとっても達者なんですが、何より声がユニーク!けっこう癖になります。ハイトーンのファルセットの絡ませ方なんて、ぐっと来ますよ。ただ、ニューオーリンズの人なので、もう少しセカンドライン・ファンク系の演奏を期待したんですが、ちょっと肩透かし。この時代らしい「コンテンポラリー」なブルースって感じなんですが、あまり好きじゃないサウンドです。でも、歌は面白いし、ギターは達者だし、曲によってはファンキーでいいです。もっとグルーヴするバックをつけたら、おもしろそうなんですがね。



Walter "Wolfman" Washington ; Wolf At The Door ; ROUNDER CD 2098 (2002. 8.18)

1991年リリース。中古で購入。冒頭のドグ・ポーマスとドクター・ジョン作の「ハロー・ストレンジャー」から大人のムードです。非常にシャープで「上手い」ギターと、ある意味フュージョン的な演奏、しっかりしたヴォーカルと、安心して聴くことができるアルバムなんですが、ニューオーリンズ特有のうねりが欲しい僕としては、ちょっと物足りなさも感じました。これはあくまでも僕の趣味なんですが、もう少しネットリした感じとか、ポリリズミックな面が前に出たらいいのになぁ。最近はどうしているのかな?



Walter Wolfman Washington ; Blue Moon Risin' ; ALTERIER ART 9017.2 (2004.10.14)

1997年リリース。ホーンセクションに何とフレッド・ウェズリー、メイシオ・パーカー、ピー・ウィー・エリスのJ.B.ホーンズを迎え、しっかりとしたアンサンブルに支えられたアレンジで、時にジャジーに、時にファンキーに狼は蒼い月に向かって吠えています。「フィーヴァー」の斬新なアレンジや、ビル・ウィザーズの「ユーズ・ミー」のクールなファンクネスは、練り込まれたプロデュースの好結果だと思いました。ただ、ウルフマンは器用すぎるかもしれませんね。どんなサウンドにも上手く適応するということは、言い換えれば強烈な個性を感じないということでもあります。素晴らしいミュージシャンだと思うんですが、ほんの少し不器用になってもいいかもしれないと思いました。



Walter "Wolfman" Washington & The Roadmasters ; Live At High Sierra Festival July 2004 ; WOLTER WOLFMAN WASHINGTON no number (2004.10. 8)

CD-Rです。最初はちょっとジャズ〜フュージョンがかった演奏で、サックスやトランペットもジャズ的なクールさがあり、ありゃりゃと思ったんですが、「ファンク・ヤード」あたりから俄然盛り上がってきます。ジョニー・テイラーの「ラスト・トゥー・ダラーズ」を決めた後は、ウルフマンのややダミ声っぽいヴォーカルと、タブ・ベノアやジョン・ムーニーに通じるかき鳴らすようなギターが、いい感じのグルーヴを出していきます。「スキン・タイト」「エイント・ザット・ラヴィン・ユー」「フィール・ソー・バッド」と続くラスト3曲は腰に来ましたねぇ。もう少し録音環境を整えたら、演奏自体は熱いので、もっといいものになったと思います。しかしプラケースにインクジェット刷りのインナースリーブを糊付けするのは止めて欲しいです。ソフトケース化ができません(笑)。



Walter "Wolfman" Washington ; Doin' The Funky Thing ; ZOHO ZM 200805 (2008. 6. 4)

2008年の新譜です。これ、本当にいいです。最初と最後を押さえている「シェイク・ユア・ブーティ」のドロッとしたファンク味とか、カトリーナ被害からの復活を歌った「アイム・バック」とか、良くこなれて馴染んだバンドをバックに、決して上手いとは言えないけど味のあるヴォーカルと、派手派手じゃないけど格好いいフレーズ満載のギターなどウルフマンの魅力が存分に引き出されています。曲によってはジャズ・テイストを利かせたりと飽きさせないプロデュースもいいし、全編オリジナルで固めた、ウルフマンの代表作と言っていいアルバムだと思います。



Wanda Jackson ; Queen Of Rockabilly ; ACE CDCHD 776 (2009. 5.24)

1956〜63年録音。ちょっと鼻にかかった高い声で、時にちょいとシャウト気味に歌うワンダ、まさに「ロカビリーの女王」って称号がふさわしいですね。アネスティーン・アレンの「フジヤマ・ママ」やドリフターズで有名な「マネー・ハネー」を軽快なロカビリーに仕立てていたり、ちょっとルイジアナがかった「アイ・ゴッタ・ノウ」、リトル・リチャードの曲をちょっと可愛げを出しながらも猛然とシャウトするあたりが彼女の売りなんでしょう。かなりの美形ですし相当人気が合ったんだと思います。まあ歌に深みがあんまりないなぁなんて思っちゃいますが、それは言わないことにした方が良いようですね。




Wardell And His Slammin' Big Band ; Maestro Piece ; LOUISIANA RED HOT LRHR 1114 (2002. 4.25)

2000年リリース。ニューオーリンズの「マエストロ」、ワーデル・ケゼルクが指揮したビッグ・バンドの録音です。完全なフルバンドですが、やはりそこはニューオーリンズ、ドラムの跳ね方がかっこいいです。曲はいきなりカリブの風が吹きまくるラテンフレイヴァーからスタート。やはり他にはないファンクネスとクールさがあるんですが、バンドが大きい分スリリングさには欠ける気がしました。ギャラクティックの"ハウスマン"デクローがニック・ダニエルズと歌う曲もありましたが、あまり印象には残りませんでした。



Wardell Quezergue ; After The Math ; JAZZ FOUNDATION OF AMERICA no number (2010. 9. 6)

2010年リリース。ニューオーリンズ、いやアメリカのブラックミュージックきってのアレンジャー、ワーデルが仕掛けたアルバムは今回はジャズアルバム。でもドラムはフォンキーなハーマン・アーネスト等を使い、ボトムのどっしりした演奏が続きます。セカンドラインの香りたっぷりなワーデル作の曲の数々は、この人のたぐいまれなる才能を存分に知らしめてます。例えば「CJ」という曲の楽しさは、ニューオーリンズ音楽を知り抜いたものでなければなかなか出せないでしょうね。ドクター・ジョンも参加していて、素敵なライナーを書いています。様々なジャンルの音楽のガンボがニューオーリンズ・ミュージックの真髄だということを見事に表したアルバムだと思います。




Warren Storm & The Blues Rockers ; Dust My Blues! ; ST. GEORGE STG 7709 (2003. 3.19)

2002年リリース。ウォーレン・ストームはライトニン・スリムなどのバックを務めたことのあるドラマーで、スワンプ・ポップの世界ではかなりのスターだと聞きました。その彼がかなりストレートなブルースを中心としたアルバムを作りました。ハーモニカも入る4人編成で、タイトル曲の他、エディ・テイラーの「バッド・ボーイ」、リトル・ウォルターの「メロウ・ダウン・イージー」なんて曲もやっています。しかしこの人の持ち味は文字通り「ユルさ」ですね。どこかホワワンとしたヴォーカルが全編を貫いています。正面きってブルースアルバムと思って聴くと肩透かしですけど、何か憎めないアルバムでした。ユルいの好きなもんで。



Washboard Chaz Blues Trio ; Courtyard Blues ; CORRUGATED CR-001 (2005. 3.17)

2002年リリース。先日来日したチャズのリーダー作で、ワッシュボードにギター、ハーモニカというトリオ構成ですが、殆ど六本木で生演奏された雰囲気のまんまです。チャズの唐突にベルの入るワッシュボードと、適度に軽く、でも落ち着いたヴォーカルの後で、イタリア出身というロベルト・ルーティのスライドギターと、ベン・メイガーデンのハープが柔らかく絡み、ほわっとした音空間を生み出してます。曲は「ビッグ・ロード・ブルース」「カム・オン・イン・マイ・キッチン」やブッカ・ホワイトなどデルタ系のブルースから、ヘンリー・トーマスの「フィッシング・ブルース」、さらにはジュニア・パーカーの「ミステリー・トレイン」などど幅広く、でもチャズのオリジナリティがしっかり出ていて楽しめました。BUFFAROあたりで出さないかなぁ。



Washboard Chaz Blues Trio ; Dog Days ; CORRUGATED CR-002 (2005. 1.12)

2004年リリース。ワッシュボードをかき鳴らしながら、結構若々しい声で歌うチャズと、いなたいリゾネイターギターをかき鳴らすロベルト・ルーティ、ストレートなハーモニカのベン・メイガーデンの、「スティーリン」とか「スタッガリー」やっている分にはジャグバンドなトリオです。ところがロバート・ジョンソンとかフレッド・マクドーウェル・ナンバーを取り上げてるんですが、これがなかなか味があります。単に沈鬱にならずに、ジャグバンド的な明るさもありますが、よりブルージーで、特にボロボロと弾くルーティのスライドプレイが気持ちいいんです。時々チーンと思い出したようになる鐘とかユニークですし。歌もすごく味わい深いっていう感じでもないんですが、素直でスッと耳に入ります。独特のグルーヴを持ったトリオで、癖になりそうな感じ。ゲストのアンディ・J.フォレストのハーモニカもいい味出してました。



Washboard Chaz Blues Trio ; Hard Year Blues ; WASHBOARDCHAZ no number (2006. 9.18)

2006年録音、リリースの新譜です。ロベルト・ルーティのギター、ベン・メイガーデンのハープをバックにしたがえ、チャズはいつものようにビッグ・ビル・ブルンジーを初めとする古いブルースを歌います。でも伝統をなぞるのではなく、ストレートなチャズの歌とユーモラスさえ感じさせるワッシュボードが、実に軽妙な味を出しています。一昨年だったか生で見たときも感じたんですが、本当に人間性が思いっ切り音楽に現れてるって言うか、聴いていてウキウキしてくるんです。「コリーナ」はタジ・マハルと言うかライジング・サンズのヴァージョンで、この曲はちょっとモダンな感じがします。唯一のオリジナルが「レッツ・ランナウェイ」なんですが、他の曲と全然違和感なく溶け込んでるのが凄いなぁ。



The Washboard Chaz Blues Trio ; Mix It Up With The Washboard Chaz Blues Trio ; WASHBOARDCHAZ no number (2008. 6.17)

2008年リリース。毎度お馴染みの楽しいチャズのブルース・レビューです。オリジナルにトラディッショナル、さらに有名無名のブルースをスライドギターとウォッシュボード、ハーモニカというちょっと変わった編成でやってるんですけど、とにかく歌ってるチャズ自身が楽しんでるんじゃないかなって雰囲気が伝わってくるんです。ガツンと思い入れを込めるわけじゃなくって、何とも軽妙にやるんですよね。例えばスキップ・:ジェイムズの「アイム・ソー・グラッド」をどこかすっ頓狂ともとれる歌い方でやってるんですけど、はまってるんです。この編成だとジャグ・バンド風になりがちなんですけど、軸足は完全にブルースっていうのもチャズのユニークなところ。ティン・メン共々目が離せません。



Washboard Willie ; Motor Town Boogie ; AJSP/P-VINE PCD-23894 (2007. 3.23)

ジョー・ヴォン・バトルが1964年に残したセッションを1982年にJSPが出したもののストレート・リイシューです。ブギ・ウギ・レッドの良く転がるピアノと、カルヴィン・フレイザーのモダンさを垣間見せるギターのサポートを得て、ワッシュボードとドラムをバタバタととっかえひっかえ鳴らしながら、けっこうモダンな曲を演奏しています。ワッシュボードというとどうしてもダウンホームなイメージがあり、「10-20 スペシャル」(「ミッドナイト・スペシャル」の改作)あたりはそうした面もあるんですが、シカゴブルースより都会的なセンスが出てるのがデトロイトならではでしょうか。語りで通しちゃう「シェイク・ユア・マネー・メイカー」なんてのもあり、エンターティナーとしての面白さも感じました。



Washington Phillips ; I Am Born To Preach The Gospel ; YAZOO 2003 (2007. 1.13)

1927〜28年にかけての録音だと思います。もう少し後のものもあるかもしれませんが調べてません。タイトル通り初期のゴスペルを歌っているんですけど、伴奏楽器が面白いんです。ドルセオラという、チターの様な楽器で、そのきらびやかな音はどこかカリンバを思わせます。鍵盤楽器ですからベンドなどはできず、明るいメジャーコードが中心で、そこにしっかりしたワシントンの声が乗ってきます。ブラインド・ウィリー・ジョンソンほどタフではないですが、言葉を大切にする歌い方で、まさに福音を述べ伝えています。まさに楽器を持った辻説教師といったところでしょうか。どこかソングスター的なものも感じました。



The Watts 103rd Street Rhythm Band ; Together ; COLLECTABLES COL-CD-6559 (2005.12.14)

1968年リリースのアルバムのストレートリイシューのようです。このバンド、実は今まであんまり聴いたことがなかったんですよ。ライヴも交えたサウンドは若々しく、まるで学生バンドのような雰囲気です。ヴォーカルのチャールズ・ライトにはまだ青さも感じられますが、「パパのニューバッグ」あたりの歌い回しはさすがというか才能の片鱗を感じさせますね。この他テンプスの「ゲット・レディ」、昨日も取り上げた「サムシング・ユー・ガット」、そしてエディ・フロイドの「ノック・オン・ウッド」などアーリーソウルの名曲を盛り込んだ内容ですが、なかなか健闘していると思います。活きの良さが魅力ですね。「ストーミー・マンディ」なんてブルースが入ってるのも、ライヴの様子が思い浮かばれます。他も聴いてみようっと。



Wayne Foret ; Let's Do It Again ; CSP CSP-1036 (2004.12.12)

2004年リリース。とにかくベテランらしい味わいのある歌で、スワンプポップ特有の甘さと緩さをいっぱいに振りまくアルバムです。40年以上歌ってきているキャリアは伊達じゃないですね。若々しさはないですがほわっとして気持ちいいです。ポール・アンカの「ダイアナ」やミッドナイターズの「スリル・オン・ザ・ヒル」(「レッツ・ゴー・レッツ・ゴー・レッツ・ゴー」と改題)まで取り上げ、しっかり楽しめます。シンプルな2本のサックスのバックがすごく印象に残りました。



Wayne & Jake ; Swamp Poppin' ; CSP-1028 (2002.11.11)

2002年リリースの新譜です。いやいや、実にタイトル通りのアルバムでした。最初聴いたときはいわゆる「ホーンセクション」のサウンドのシンセサイザ(というか、エレクトーンなどにあるモードと同様の音です)が実にチープな響きなので、おうっと引いてしまったんですが、結構いかしたサックスとかも入っているし、なじんで来るとはまります。選曲もニール・セダカの「ダイアリー」あり、ヒューイ・スミスの「高血圧」あり、ロイド・プライスの「若すぎ」あり、極めつけはジミー・マクラックリンの「ザ・ウォーク」!ルイジアナに限らずR&Bヒットをスワンプ風味でガンガンこなしていくんで、聴いているうちにはまってしまいました。いやいや、楽しい!



Wayne Toups & Zydecajun ; Live Down Home ; MTE 5043 (2007.11.17)

1987年クロウリーでのフェスティヴァルの模様です。トゥープスがザディコかケイジャンかなんて話はこの際どこかにおいておきましょう。フィドルを入れず、B-3オルガンのサウンドを加えたことにより、音に厚みとタイトさが加わり、かなりロック的な感じになっていますが、そこにトゥープスのドライヴするアコーディオンが乗ってくると、もう腰が動き始めます。たくさんの観衆がおそらくみんなで踊り狂っているだろう様子が思いっ切り伝わってきます。とにかくドンピシャの軽さなんですよ。おそらく生で聴いていたらもっと凄かったんでしょうね。楽しいアルバムです。



Wayne Toups ; Whoever Said It Was Easy ; SHANACHIE SH 9037 (2004. 7.19)

2004年リリース。ウェインはまさにロッキン・ザディケイジャンの代表格といったサウンドで迫ります。カントリーフレイヴァを強く感じさせるロック的なバックの演奏に、ケイジャンの滑らかさとザディコのパーカッシヴなアタックを併せ持つアコーディオンが上手く乗っかっていて、そこにウェインのこなれたヴォーカルが響き渡ると、やっぱり腰に来ます。僕個人としてはザディコの持つビート感が好きなので、ちょっとポップさを強く感じる面もありますが、セカンドラインも取り入れた、伝統的なケイジャンとは一味も二味も違ったアプローチは、ちょうどサザンロックとブルースやカントリーの関係を見るようで、ジャンルの垣根を越えた魅力を感じました。



Wayne Toups & Zydecajun ; Reflections Of The Past ; D&R 05-110 (2006. 1. 4)

2005年リリース。ウェインのアコーディオンの響きは、やはりケイジャンですね。柔らかくて明るい感じがします。なんだか中央ヨーロッパ、例えばスイスやオーストリアあたりの音楽に通じる気がするんですよ。ポルカとかに近い印象があります。今回はフィドルがあまり全面に出ず、代わりにスチールギターやリゾネイタのスライドプレイが彩りを添えますが、このリゾの音もブルースとは全く違う綺麗なサウンドで、目指す音楽が違うとこんなにも印象が変わるのかと思いました。トゥーステップとワルツが適度に混じった楽しくダンサブルなアルバムですが、やっぱりどこかに「黒さ」を探してしまう僕にとっては、ちょっと物足りないです。完全に好みの問題ですけどね。



Weepin' Willie ; At Last, On Time ; APO 2009 (2004.11.19)

1999年リリース。ちょっと女性的な感じのする繊細なヴォーカルを聴かせるウィーピン・ウィリーのバックを、かなりしっかりしたバンドが支えています。特にギターのケヴィン・ベルツはロックサイドからのアプローチのようですが、確かな技術を持った丁寧なギターで、バンドサウンドを支えており、そのためとっても安心して聴くことが出来ました。さらにゲストにマイティ・サムとスーザン・テデスキが加わっています。ただ、聴き終わった後の印象というか、さらりと通りすぎて後に残らないんですよね。良い盤だとは思うんですけど、僕の心にはあまり引っかかりませんでした。



Wes "The Bluesman" Mackey ; Second Chance ; BLUESLINE BL02625 (2005. 6.10)

2002年リリース。人の良さそうな表情のジャケット通りの、ちょっと頼りなさげだけど暖かい歌声がなかなか魅力的です。ギターは少し軽めの音ですがすっきりとしたサウンドで歌には良く合ってますね。冒頭の「ロンリー・マン」はなかなかはまり曲かと思います。「ロック・ミー・ベイビー」はアレンジ、歌とも優しげでなんかほのぼの。カール・ウェザーズビーの「スウィート・ミュージック」なんて曲も取り上げていたりします。エレアコを使ったり、ラストのタイトル曲はアコースティックのスライドプレイだったりと、カロライナ出身らしい味付けもあります。とにかく「ほのぼのブルース」というのが一番いい表現かと思います。



West Side Horns ; San Quilmas ; DIALTONE/P-VINE PCD-5666 (2002. 9. 2)

2002年リリースの新譜です。DIALTONEは本当に面白いアルバムを出しますが、これもその1枚。サンアントニオ界隈のミュージシャンが集まって作られたバンドで、ダグ・サームゆかりの人達が多いそうですが、演奏はファンキーなジャズ・ブルースやジャンプ系の曲でジミー・リードをサンドウィッチした感じです。ビル・ドゲット・ナンバーからちょっとセカンド・ラインのようなリズムで思いっ切りメキシコ風味の効いたオリジナル「(2027)」、さらにルー・ドナルドソンの「ファンキー・ママ」(ゲイトマウスがやってましたね)と続くあたりは田舎のファンキー・ジャズ・バンドって雰囲気なんですが、中盤の「ユー・ゴット・ミー・ディジー」「ユー・ドント・ハフ・トゥ・ゴー」といったジミー・リード・ナンバーになるといつのまにかホーンはどっかへいっちゃいます。リーダーのロッキー・モラレスの歌もユルユルで、このコントラストがすごいですね。途中フレディ・キングのインスト「ハイ・ライズ」でテキサスして再びルー・ドナルドソンの「アリゲーター・ブーガルー」(これもゲイトがやってたっけ)、そして軽快なシャッフル仕立てのインスト「マーシー・マーシー・マーシー」と飽きさせません。ボーナスはギター・ゲイブルの「アイリーン」で、スヌークスもやっていましたが、ロッキーの歌の緩さと絶妙にマッチ。好きな曲をやっちゃいましたって作りですが、ベースのテクニックがしっかりしているので最高に楽しいアルバムになっています。こんなバンドが夜な夜なライヴをやっているのかと思うと、やっぱりアメリカに行きたくなります。



Wet Willie ; 20th Century Masters The Millennium Collection ; MERCURY B0000333-02 (2004. 6.15)

1971〜76年に残されたスタジオ盤からのベストです。高校当時サザン・ロックが好きで、ほぼリアルタイムに聴いていたんですが、改めて聴き直すと、何だか懐かしいものです。流行った「キープ・オン・スマイリン」もゆったりしているし、オーティス・レディングの渋いカヴァー「シャウト・バマラマ」なんてウルフルズみたい。ジミー・ホールの顔に似合わない太めの声と、ファンクネスを感じるバンドサウンド、やっぱり魅力的です。「レッド・ホット・チキン」なんて抜群にかっこいいな。



Widespread Panic ; Bombs & Butterflies ; VOLCANO 61422-34396-2(2003. 1.10)

2001年リリース。掲示板で話題になっていたので聴いてみました。ジャムバンドの話だったので、もう少し長めのインプロヴィゼイションを展開しているかと思いましたが、スタジオ作のためか割合コンパクトにまとまった曲が多かったです。で、印象はかなりすっきりしたサザンロックかな。さすがにアメリカで人気のあるバンドらしく、演奏技量は高いし、曲もよく練られているんですが、僕好みのグルーヴ感はあまり感じませんでした。やっぱりライヴ盤を聴いてみたいですね。



Widespread Panic with The Dirty Dozen Brass Band ; Night Of Joy ; SANCTUARY 06076-84680-2 (2004. 7.12)

2003年リリースの、サウス・カロライナのハウス・オヴ・ブルースでのライヴです。タイトル通りワイドスプレッド・パニックのロックからアプローチしたジャム・ファンクにダーティ・ダズンが色付けして入る感じで、期待していたほどダズンズが前に出ていませんでした。でもドライなサウンドにブラスが入ることによって、いい意味音が複雑化して、粘りは増しているようには感じました。でもダズンズのホーンていわゆるホーン・セクションのそれより各自が自由な感じで面白いですね。もっと前に出したらどうなってたのかな。本体を喰っちゃうか。



Wiggins & Harris ; DC Blues ; WIGGINS & HARRIS no number (2010.12.21)

盟友シーファス亡き後のウィギンズがパートナーに選んだのはコリー・ハリスでした。ここのところアフリカ音楽やレゲエに傾倒していたコリーも、今回はどっぷりとブルースをやっています。元々名手ですからオーソドックスなスタイルはお手のもの。これにウィギンズのきらびやかな生ハープが絡みつきます。でもシーファスのギターがピードモント・スタイルをベースにしているのに対し、コリーのそれはどちらかというとデルタ系でスライドも使いますから、肌合いが違います。ウィギンズのよく歌うハーモニカは少し押さえ気味になっているように思いました。その中で圧巻はハーモニカでやっちゃうブラインド・ブレイクの「CC・ピル・ブルース」で、絶妙のリズム感と正確なフレージングはさすがです。これ1曲で得した感じ。




Wilbert Harrison ; Da-De-Ya-Da ; P-VINE PCD-1614 (2000. 6.28)

1959〜76年の録音集。中古で購入。大ヒット「カンザス・シティ」の時代の録音はニューヨークの辣腕ミュージシャンをバックにして文句ないロッキンぶりです。その後はきわめてポップな録音や、ファッツ・ドミノのナンバーを取り上げたりしてますが、ハリソンは SAVOY 時代からニューオーリンズ・ポップに通じるムードを持っているんで結構はまります。後年はワン・マン・バンド(ギター・ハープ・ドラムをひとりでこなす)スタイルでやってますが、「アイ・ドント・ノウ」なんてユニークな唄い口で好きです。悪く言えば定まらない、よく言えば柔軟なウィルバートの魅力を凝縮したアルバムです。


Wild Bill Moore ; Volume 1 1945-1948 ; BLUE MOON BMCD 6042 (2004. 9. 4)

この人は以前SAVOYのコンピLPに入っていたころに気に入っていたんですが、いよいよコンプリートで登場しました。冒頭はデューク・ヘンダーソンというちょっとクリーンヘッド・ヴィンスン風のヴォーカルのバックで、結構演奏は普通のジャズバンド風です。その後ライヴがありますがこれは音質が悪くちょっとパス。やっぱりSAVOY録音が素晴らしく、印象的な決めのある「バブルズ」は、ポール・ウィリアムズのバリトンサックスの音が強烈なインパクトになってます。これは結構流行ったようで、フランク・カリーなどがカヴァーしたほか、自身も「ダブル・バブル」なんて二匹目のドジョウを狙ってたりします。「ウィー・ゴナ・ロック」は歌詞に「ロック」と「ロール」があるため、ロックンロールの走りなんて言われたこともあるようですが、リズム的には派手なジャンプですね。かっこいいです。



Wild Child Butler ; Lickin' Gravy ; M.C. MC0036 (2006.10.31)

1976年録音。ワイルド・チャイルド・バトラーを知ったのはP-VINEが出してたJEWEL系のハーモニカコンピで、フランク・フロストやレイフル・ニールと一緒に収められていました。でもこの独特の粘り気のあるヴォーカルは結構癖になるんです。バックにはサミー・ローホーン、アーロン・バートン、サム・レイなど名うてのシカゴ・ブルースマンの名前が見えます。この他何曲かで1986年にジミー・ロジャーズとパイントップ・パーキンスをオーヴァーダブしたようです。バトラーのストレートな生ハープとちょいとダミ声なヴォーカルは、「スプーンフル」を取り上げているようにハウリン・ウルフからの影響を感じさせますけど、同時に吹き語り「ファンキー・バット・ラヴァー」はもろにサニー・ボーイ・ウィリアムソン(ライス・ミラー)のマナーで、特にこの曲は聴き応えがあります。ライトニン・スリムの「ルースター・ブルース」もバトラー節にしちゃってますし、他のオリジナルも派手さはないけどいい味出してます。掘り出し物って感じですね。



Wild Jimmy Spruill ; Scratch 'N Twist ; NIGHT TRAIN NTI CD 7150 (2005.11.11)

詳細なデータに当たっていませんが、おそらく1960年前後、ボビー・ロビンソンのFIRE/ENJOYあたりの録音を集めたものだと思います。ジャケット写真でヘッドにGIBSONの文字のある、ボディを切って棒みたいにしちゃった不思議なギターを抱えてますが、とにかくギュルギュルのギターサウンドは、ミッキー・ベイカーをさらに無秩序にした感じで、「えぐい」という形容詞がピッタリだと思います。彼のプレイはウィルバート・ハリスンの大ヒット「カンザス・シティ」で有名ですが、ここにはそれは収録されておらず、代わりに「カンザス・シティ・マーチ」というインストが入ってます。これらの音の一部は以前P-VINEから出てた「N.Y. Wild Guitars」というアルバム(LPとCDでは若干曲目が違ってたかな)で聴けたんですが、他人名義を含め、こうやってまとめて聴くことができるのは嬉しいです。冒頭のチャック・ベリーの「メンフィス」からタッチの違いがあってウキウキしちゃいました。



Bo Dollis & The Wild Magnolias ; 30 Years... And Still Wild! ; AIM 5012 CD (2002. 8.30)

2002年リリース。1970年からの約30年のワイルド・マグノリアスの活動を記念したもので、新録と70〜72年の初期未発表セッションやライヴ音源からなっています。初期のものはボー・ドリスの声も若々しく、リズムなどもラフなんですが、ウィリー・ティーやフェスも加わったものもあり、ラテンやジャズを貪欲に取り込みながら独自のファンクを作り上げていく様子が分かり、熱いです。それに比べ最近の録音はしっかり作られているんですが、いまひとつワイルドじゃないんですよね。型にはまってきちゃったのかな?それにしてもラストナンバーの「バイ・バイ・ベィビー」とのメドレーが「ウィー・ラヴ・ザ・USA」ってのはねぇ。



Wild Magnolias, The ; Life Is A Carnival ; METRO BLUE 7243 8 23737 2 8 Click Here!

Wilfred Chevis & The Texas Zydeco Band ; Wilfred Chevis & The Texas Zydeco Band ; MTE 5078-2 (2005. 1.28)

2004年リリース。ウィルフレッドはテキサスからルイジアナ、オクラホマあたりをベースに活動しているベテラン・ザディコ・プレイヤーです。鍵盤アコを使い、オールドスタイルのザディコを演奏しますが、クリフトン・シェニエなどよりぐっとルーラルな感じで、ケイジャン風味を強く感じました。でもブギナンバーではアコーディオンを目一杯鳴らして、結構豪快ですね。ヴォーカルは見かけより若々しいというか可愛い声で、ちょっと力なく聞こえますが、バンドのノリでそれをカヴァーしている感じ。ラストの「ターン・オン・ユア・ラヴ・ライト」が思いのほかはまってました。



Will Roy Sanders ; The Last Living Bluesman ; SHANGRI-LA PROJECTS 029 (2000. 7. 6)

1999年リリースの、同名の映画のサウンド・トラック。江戸川スリムさんの推薦文につられて、中古で購入。サントラなので、ところどころ台詞が入っています。初めの方の生ギターの刻みの迫力が尋常じゃありません。ものすごいアタックで迫る迫力!ぐっと来ました。後半に行くと、バンド演奏のライヴになっていきます。結構有名曲をラフにやっていましたが、僕は前半のアコギとタフな唄にしびれました。


William Bell ; Wow / Bound To Happen ; STAX/UNIVERSAL UCCD-4023 (2007.12.22)

1969年と71年のアルバムの2on1です。ウィリアム・ベルと聞くとすぐに「ユー・ドント・ミス・ユア・ウォーター」を思い出し、歌手としてよりはソングライターとしての仕事に意識が行きますが、このアルバムに収録されている「アイ・フォガット・トゥ・ビ・ユア・ラヴァー」がヒット、静かな歌い方の向こうに熱いソウルを感じさせる名曲だと思います。アルバムの前半はマッスル・ショールズ録音で、なかなかタフな歌を聴かせています。後半はいかにもブッカー・Tらしいメンフィス録音で、ちょっと歌が引っ込み気味だけどバックのサウンドは最高です。スライの「エヴリディ・ピープル」なんて曲もカヴァーしてますし、自作曲のセルフ・カヴァー「ボーン・アンダー・ア・バッド・サイン」も、アップテンポにアレンジし直してアルバートとは雰囲気の違う演奏。でも全体としてはバラードの方がいい味を出していると思いました。



William Galison & Madeleine Peyroux ; Got You On My Mind ; WAKING UP MUSIC no number (2005. 2. 7)

2004年リリースのようです。ウィリアム・ギャリソンは初めて聞く名前なんですけど、メイデレイン・ペイルーが入ってるんで興味を持って聴いてみました。これ、素敵です。ギャリソンはハーモニカやらギターやらドブロやらいろいろやる人なんですけど、いわゆるルーツ一辺倒って感じではなく、むしろジャズの素養を感じます。そしてサロン系のヨーロッパっぽいジャズからシャンソン、さらにはクラプトン・ヴァージョンを下敷きにした「ガット・ユー・オン・マイ・マインド」は泥臭く、ジョン・レノンの「ジェラス・ガイ」を情感のあるハーモニカで演奏しています。面白いのは「シュッダ・ノウン」で、いかにもバイユーな効果音から、ルイジアナテイスト溢れるサウンドになるんですが、そこで「ザ・スコーピオン」役で歌ってるのがなんとカーリー・サイモンなんです。こんな曲もやるんだって感じ。楽しいです。で、ラストは結構気持ちを込めた「へヴン・トゥ・ヘルプ・アス・オール」。何が出るか分からない玉手箱のようなアルバムですけど、不思議と音には統一感があります。めっけ物です。



Bobby McClure & Willie Clayton ; HI HIUKCD134 (2006.11. 8)

1975〜76年のまだ10代のウィリー・クレイトンと、1976〜78年のボビー・マクルーアの曲をカップリングしたCDです。ボビーは円熟味を増してきた時期で、HIならではのタイトなサウンドに乗って実にソウルフルな歌を聴かせます。「ドゥーイング・イット・ライト・オン・タイム」なんて格好いいなぁ。後になるほどサウンドにファンク度が増していくのが時代を感じさせますね。一方のウィリーは歌はまだまだ青臭く、ボビート比較しちゃうとちょっとかわいそうな気もしますけど、バックのサウンドは如何にもウィリー・ミッチェルって感じで実に素晴らしく、それに助けられてるって感じです。ハワード・グライムズならではのスネアサウンドがたまりません。ウィリーも一所懸命歌ってるので好感は持てました。



Willie Cobbs ; Pay Or Do 11 Months & 29 Days ; WILCO WCD 1004 (2002. 7.17)

1997年リリース。「ユー・ドント・ラヴ・ミー」で有名なコブズですが、この盤でも再録しています。しかしこの歌い方、ボビー・ブランドを意識した「うがい」シャウトと、どことなくプロフェッサ・ロングヘアに通じるちょっとすっとんきょうさすら感じる独特の唄い回し、ちょっと耳障りですが個性抜群です。サウンドは限りなくロックっぽく、「キー・トゥ・ザ・ハイウェイ」に至ってはまるでデレク&ドミノスのヴァージョンみたいです。でもそれが−にならないのがこのアルバムの面白いところかな?



Willie Cobbs ; Jukin' ; BULLSEYE BLUES & JAZZ 6-82161-9629-2 (2000. 8. 9)

ことしリリースの新録。「ユー・ドント・ラヴ・ミー」のダウンホーム味の強いコブズと、ハワード・グライムズ&ホッジズ・ブラザーズ(プロデュースにはウィリー・ミッチェル!)、つまり Hi リズムという取り合わせなんですが、これがしっくり来るんですよ。オリジナルは2曲で、あとはフルソン、リトル・ウォルター、ウィリー・メイボンが2曲に「ファイヴ・ロング・イヤーズ」と「プリーズ・センド・ミー・サム・ラヴィン」という豪華な選曲!ボビー・ブランドを意識した「うがい」唄法を披露しながらも、ゆるいんですよね。何かみんなで楽しんで作っちゃいましたって感じです。何度も聴き直すと味の出そうな作品ですね。


Willie Dixon ; I Am The Blues ; SONY MHCP 422 (2004.10.10)

1970年リリースのアルバムのストレートCDです。ウィリー・ディクソンといえば、1950年代後半にシカゴブルースのモダン化した立役者ですが、その頃の自作曲を、自身の歌で吹き込んだものです。ディクソンの歌はバリトンで、ちょっと投げやりな感じの歌い方ですが、オリジナルと異なる味わいがでています。また、ウォルター・ホートンのハープが全面的にフューチャーされているのも嬉しいですね。それからギターがジョニー・シャインズということなんですが、結構モダンなプレーを聴かせていてビックリしました。ガツンと来る作品じゃないですが、懐の深さを感じました。



Willie Dixon ; Mighty Earthquake And Hurricane ; MIGHTY TIGER MTD 6002 (2005.11. 1)

1984年リリース。もちろん中古盤です。いやいや、冒頭のタイトル曲、叫び声やら擬音やらがたっぷりでまさに阿鼻叫喚の様相です。こんなのやってたんですね。メンバーは名手ラファイエット・リークのピアノにビリー・ブランチのハーモニカと腕利きが集まっており、いかにもウィリー・ディクソンらしいメロディの曲が並んでいます。ただ全体に曲調が単調で変化に乏しく、タイトル曲以上の印象を与える曲がありませんでした。



Willie Eagan ; Wow Wow / Rockin' The Blues / EMPIRE 545 450 721-2 (2005.11. 5)

1955年頃の録音を集めたものです。ウィリー・イーガンはルイジアナ出身の西海岸で活動したピアニストで、タイトル曲の他、どこかで聴いたようなメロディの「サムタイムズ・アイ・ワンダー」などはスマイリー・ルイスを彷彿させる、ニューオーリンズ・テイスト溢れる作品です。一方御機嫌なロッキンナンバーも多く、その名もズバリ「アイ・キャント・アンダースタンド」というウィリー・メイボンの「アイ・ドント・ノウ」タイプの曲も多く取り上げています。ギターのピート・ルイスのアグレッシヴなプレイも格好いいですね。全体には軽めのヴォーカルですが、ロックンロール時代には合った声だと思います。この後のジョニー・オーティスと組んだ時代も聴いてみたいです。



Willie Hutch ; Soul Portrait ; SHOUT! 52 (2009. 4.29)

1969年のデビューアルバムのストレート・リイシューです。サム・クックに似た伸びやかなハイトーンの声、時にはちょっとカーティス・メイフィールドを思わせるファルセットを交え、とにかく溌剌と歌っています。サウンドはこの時代の音の割にはMOTOWN臭を感じさせないもので、ゴージャスなブラスと女性コーラスがハッチの歌を盛り上げます。乗りのいいミディアムが中心で、ファンキーさとポップさが程よくミックスされたサウンドは魅力的!さすがに名盤の誉れ高い作品ですね。




Wille King ; Freedom Creek ; ROOSTER BLUES R2642 (2004. 9.21)

2000年リリース。ハウリン・ウルフの影響をもろに受けた、ワンコード中心のドロッとしたミディアムは、そのライヴ風の録音もあって、南部のジュークジョイントの雰囲気をたっぷり伝えています。「ファイヴ・ロング・イヤーズ」の改作「トウェンティ・イヤーズ・ロング」も、スローなのにどこかドロドロした感じで引きずられますし、ジョン・リー・フッカーよりもさらに低重心なブギが出てきたり、ファンキーな曲も跳ねるというよりは渦巻いてる感じ。「クリーン・アップ・ザ・ゲットー」って、結局あのダニー・ハザウェイの「ゲットー」じゃないですか。臨場感溢れる1枚でした。



Willie King ; Living In A New World ; ROOSTER BLUES ROB-CD-2647 (2002. 9. 5)

2002年リリースの新譜です。ジャケットのジュークジョイントな雰囲気とレーベルの泥臭さに期待して購入しましたが、1曲目がちょっといなたいソウルナンバーでビックリしました。この手が3曲あり、ウィリー自身がやりたい音楽なんでしょうね。他は期待通り?のドロッとしたルーラルな雰囲気たっぷりのブルースで、ジョン・リーを思わせるブギからハウリン・ウルフ系のナンバーまで、手癖のようなギターとダミ声のヴォーカルはかなり個性を感じました。曲にインパクトが足りない感じを受けましたが。



Willie Lomax Blues Revue ; Ribs Are Ready ; BIG BOSS BB99002 (2004. 5.14)

1999年リリース。参加ミュージシャンにフランク・フロストとサム・カーというジェリー・ロール・キングスの名前があって、一方でHIリズムのハワード・グライムズとリロイ・ホッジズの名前もあり、まさか共演ではと思いましたが、別のセッションでした。ヴォーカルはソウルフルで見事な歌を聴かせるキーボードのショウン・ブラウンの他、冒頭の「バック・ラブ」ではフランク・フロストがハープを含めて良い味出してますし、ラッキーの父ジェイムズ・ピーターソンもハウリン・ウルフ調を2曲ほど披露しています。特にフロスト&カーのセッションでは、ロマックスは見事なサザンビートを刻み、雰囲気たっぷり。でもやっぱりHIリズムをバックにしたソウルフルなナンバーでの、的確なバッキングがキラリと光ります。インストにコーラスを絡めた「ピープル・ゲット・レディ」も素敵ですが、やっぱりもの悲しい雰囲気の漂うミディアム「トゥー・メニー・フェンセズ」が、丁寧に歌い込んだヴォーカルとクールでタイトなリズム隊、それにツボを押さえたギターと完成度が高く、素晴らしい出来です。



Willie Lomax Blues Revue ; Best Blues Money Can Buy ; BIG BOSS BB03052 (2004. 5.10)

2003年リリース。バックミュージシャンにリロイ・ホッジズとハワード・グライムズというHIサウンドを支えた二人の名前が見えたんで、興味を持ちました。3マイクのテレキャスターを抱えたジャケからはもっとギターアルバムかと思いましたが、ショウン・ブラウンというキーボードプレイヤーのストレートでソウルフルな歌を前面に出した、HIというよりはSTAXみたいなサウンドが耳に飛び込んで来ました。弾きすぎないけど的確なギターがいい感じ。ライトなブルーズン・ソウル・アルバムって感じですか。曲によってはエリック・ゲイルズも参加しています。とにかくいい意味でまとまりの良いタイトなサウンドに好感を持ちました。他のアルバムを聴いてみようと思います。



Willie Nelson ; The Essential Willie Nelson ; SONY MUSIC DIRECT MHCP-469-70 (2007. 8. 7)

1961〜2001年の、40年にわたる期間のベストです。この人、ちゃんと聴いたことなかったんですよ。お店で映像見たり、FMで聴いたことはあったんですが。で、通して聴いた感じは、実にまっとうなカントリーの人なのねってこと。もちろん売れ線狙いの音作りとは違い、自分の音楽にこだわりは感じますが、もっと武骨な音を出すかと思ったら、意外ときれいだったのでちょっと意外でした。歌は優しさのこもった丁寧な歌で、味わいがありますが、僕の好みの世界じゃありませんでした。むしろスタンダードを歌ってるときの方がいいかな。あるいはロックをやるとこの人結構格好いいんですよね。でもともかく「ナイト・ライフ」「オン・ザ・ロード・アゲイン」が聴けたので満足です。



Willie Nelson ; Stardust ; COLUMBIA/LEGACY CK 65946 (2007.10.29)

1978年に出されたスタンダード集にボーナスを2曲加えたものです。ウィリーのまさに男の優しさとしか表現しようのない声で、タイトル曲から「我が心のジョージア」「オール・オヴ・ミー」などのスタンダードを、ゆったりとリラックスして歌います。ジャズ歌手とは違った、ノーギミックな、でも歌が大好きで仕方がないといった感じが素晴らしいです。こんな歌歌いになりたいななんて、勝手に思ってしまいました。



Willie Nelson & Leon Russell ; One For The Road ; COLUMBIA CGK 36064 (2008.12. 8)

1979年リリース。レオン・ラッセルは自らハンク・ウィルソンを名乗ってアルバムを作っちゃうくらいカントリー好きなんですけれど、ちょうどその頃にウィリー・ネルソンとのコラボを出していました。前半10曲はウィリーとレオンがふたりでカントリーのスタンダードを歌うって趣向で、「アイ・ソウ・ザ・ライト」から「ユー・アー・マイ・サンシャイン」なんて曲からアップテンポな「ハートブレイク・ホテル」、それに「トラブル・イン・マインド」なんてブルースもやってます。一方後半の10曲はレオンがキーボードやシンセでバックのサウンドを作り、そこにウィリーの歌を乗せてあります。ゲストにマリア・マルダーやボニー・レイットの名前も。こちらはゆったりした曲が多く、「ダニー・ボーイ」「サマータイム」「ラッキー・オールド・サン」「ストーミー・ウェザー」などのバラードを、ウィリーが優しさ溢れる声で歌い上げています。




Willie "Big Eyes" Smith ; Born In Arkansas ; BIG EYE BER 394 (2008. 9. 4)

2008年リリース。ドラマーとしても知られるビッグ・アイズ・スミスがドラムを息子?に任せ、ベースにボブ・ストロージャー、ピアノにバレルハウス・チャックといった名手たちを集めて作ったアルバムです。スミスの見事な腕前のハーモニカと、リトル・ウォルターを思わせる若々しさを感じさせるヴォーカルは、往年のシカゴ・ブルースのスタイルを今に伝える数少ない人だなって思いました。ヴィンテージ時代を思わせるサウンド作りも含め、気持ちのいいシカゴ・ブルース・アルバムになっています。




Willie Tee ; Teasin' You ; NIGHT TRAIN NTI CD 7132 (2002. 7.23)

ワーデル・ケゼルクのNOLAやGATURなどからリリースされた1970年代の作品集です。タイトル曲はATLANTICから全国発売され、大ヒットとなって有名ですが、同じATLANTICからの「アイ・ウォント・サムバディ(トゥ・ショウ・ミー・ザ・ウェイ・バック・ホーム)」が大収穫でした。これってスヌークスが「Soul's Edge」でやっているんです。こんな元歌があったとは!ウィリー・ティーはニューオーリンズの人なんですが、この時代彼はどうやらシカゴやデトロイトを見ていたように思います。タイトル曲は明らかにインプレッションズの「イッツ・オールライト」の影響を受けていますし、「エイント・ザット・トゥルー・ベイビー」もマーヴィン・ゲイの「エイント・ザット・ペキュリア」を意識しているのは間違いがありません。こういう相互影響が音楽を豊穣にしていくんですね。しかしシングル起こしとは言え、もう少し音質は何とかならなかったのかな?



Willie Tee ; Anticipation ; RACQSOLID WT-655G (2008.11.14)

1976年リリースのアルバムのリイシューです。サウンドは少しフュージョンがかった感じもしますが、ウィリーらしい歌と曲です。「ドゥー・ホワtット・ユー・ウォント」はちょこっとポップなファンク・ナンバー。「レッツ・リヴ」もストリングの効いた軽快なチューンで、悪く言っちゃうとブラコンの走りみたいな感じもします。でもウィリーの声って結構魅力的なんです。もうちょっとリズムの強い曲が好きなんですが、結構楽しめました。




Willie Tee ; Go On And Cry ; LA SPICE no number (2004. 5.13)

2004年リリース。こりゃビックリしました。だっていきなりユルユルのスワンプ・ポップなんだもん。それにティーさん、サックス吹いてるし。それもそのはず、このウィリー・ティー、ニューオーリンズのキーボーディストでファンクマスターのウィリー・ティーとは別人だったんです。ちょっと残念。でもウォーレン・ストームのドラムなどポップなこと申し分のないサウンドに乗って、ちょっとひなびた味わいのある歌と、おそらく百戦錬磨だろうサックスを聴かせます。ラフィエ出身だそうで、「ザディコ・ヘヴン」なんて曲(ちっともザディコじゃないですが)にはいっぱいご当地のザディコミュージシャンの名前が歌い込まれていて思わずにんまり。ほっと一息つける一枚でした。



Willie Walker & The Butanes ; Right Where I Belong ; ONE ON ONE CDONO761955 (2005. 1.26)

2004年リリース。大変評判のいいソウルアルバムがようやく手に入りました。ハスキーなハイトーンでサザンソウルナンバーを切々と歌い上げていくその声を聴いていると、一挙に30年以上前の熱い時代に引き戻されていく感じです。もちろんそれは古臭いということではなく、変にいじくり回さない、シンプルなようで厚みと的確さのあるバンドをバックに、歌をこれだけ全面に出して勝負する姿が熱いんです。こんな歌を歌う人がまだいたんですね。特にミディアムの曲にはまりました。何度聴いても飽きのこない盤だと思います。



Willie Walker & The Butanes ; Memphisapolis ; HAUTE/P-VINE PCD-23832 (2006.10. 6)

2006年リリース。非常に評判の良かった前作に引き続き、ハスキーでソウルフルなウィリー節は健在です。HIサウンドを意識したと思われるシンプルで心地よい乗りの演奏をバックに、ブタンズのリーダーでギタリストのカーティス・オベダが書き下ろした曲を、丁寧にソウルフルに歌い込んでいるのが素晴らしいです。「マイ・ベイビー・ドライヴ・ミー・クレイジー」ではまるでメンフィス・ホーンズのようなブラスをバックに、ゴスペルタッチのコーラスを従えるなど、正にタイトル通りのサウンドで思わずにんまりしてしまいます。とにかくミディアム良しスロー良しで、何度も聴きたくなるアルバムです。来日しないかなぁ。



Willie Walker ; Hoochin With Larry ; SEMAJ MUSIC no number (2008.10.22)

2008年リリース。先日来日したウィリー・ウォーカー、とても評判が良かったんですが、その好調ぶりを伝えるアルバムだと思います。バックは打ち込みによるちょっとチープな演奏なんですけど、サザン・フィーリング溢れるウィリーの歌はインパクト十分。ミディアムの跳ねるような感じとか、スローを情感たっぷりに歌い上げるのとか、生で見損なったのが悔やまれます。これでバックのサウンドがもっといいと言うことないんですけどね。




Willie Willis ; Down Home In Dallas ; TRIX 3326 (2003. 1.12)

1996年リリース。タイトル通りのエレクトリック・テキサス・ブルースですが、リヴァーブとちょっとフェイズが利いたようなサウンドのギターを、突っかかるように弾いているのがまず琴線に触れました。上手いとかかっこいいとかじゃなくって、何かこういうの好きなんです。B.B.キング、フレディ・キング、アルバート・キング、ローウェル・フルソンといった先達の技を吸収しながら、どうしても自分の個性が出ちゃう感じ、いいなぁ。歌は渋めの声ですがちょっとよれた感じで、これもギターと上手くマッチしています。誰にでも薦められるアルバムじゃないですが、このチープさが魅力的に感じちゃう僕ってやっぱり変かしら?



Willis Jackson ; Call Of The gators ; APOLLO/DELMARK DD-460 (2004. 3. 8)

1949〜50年録音。マイアミ出身でニューヨークで活躍したウィリスのAPOLLO録音集です。まず冒頭の「ブロウ・ジャクソン・ブロウ」がタイトルからして強烈で、ぐいぐいドライヴするバンドに乗って吹きまくります。曲の展開が思いっ切り「フライング・ホーム」しているあたりで、イリノイ・ジャケーに通じるセンスも感じます。スローブルースではドロッとしたフレージングと漆黒の音色がたまりませんし、結構ムーディな雰囲気も夜の音楽ですね。タイトル曲はラテン風味を感じる演奏で、バップと言っていいんでしょうか。全編フリークトーン満載と言うほどではないですが、野趣溢れる力業を堪能できました。



Willis Jackson ; 1950-1954 ; CLASSICS 5135 (2005. 6.19)

クーティ・ウィリアムズのバンドのヒット「ゲイター・テイル」での火を吹くようなテナーで有名なウィリスが、自己バンド名義で録音を始めた初期の作品集です。「オン・マイ・オウン」でいきなりのブロウをかましますが、曲は「フライング・ホーム」スタイル。前半はフリークトーン連発なんですが、だんだんおとなしくなっていきます。「ハーレム・ノクターン」あたりは多分ストリップ小屋のBGMに相当使われたんじゃないでしょうか。面白かったのは「ハウリング・アット・ミッドナイト」で、この「オール・ナイト・ロング」ってコーラスを聴いていると、クリフトン・シェニエを思い出しちゃうんですよね。ひょっとしたら関係があるのかな。



Willis Prudhomme ; Living Legend ; ZYDECO GUMBO ZG0004 (2007. 5.10)

2006年リリース。「生ける伝説」とまあ大げさなネーミングのアルバムですが、内容はタイトル負けしないほど充実しています。御歳75才のベテランですが、ベースに甥っ子のクリス・アルドワンを起用、彼がプロデュースも担当したようで、サウンド全体が若々しくタイトになっています。ウィリスもそのノリに負けることなくダンサブルな演奏を展開、今のシーンで十分やっていける実力を披露しています。伝統的なザディコ曲やジョン・デラフォースなどの曲の他、リー・ドーシーのヒット「ヤー・ヤー」や、調子のいいダンスチューン「ディガ・ラ」などを交え、踊りっぱなしの1時間て感じです。



Wilson Pickett ; The Exciting Wilson Pickett ; ATLANTIC/MMG 20P2-2372 (2005.12.13)

1965〜66年録音。ピケットの代表的なアルバムのストレートリイシューです。これはLPで持っていますが、文字通り擦り切れるほど聴いたんで、中古盤店で見つけて購入しました。「イン・ザ・ミドナイト・アワー」「634-5789」など名曲がずらり並んでいますが、僕のお気に入りはニューオーリンズものをピケット流に解釈した3曲です。「ダンス天国」「サムシング・ユー・ガット」はいずれもクリス・ケナーの曲ですけど、原曲のゆったりまったりムードを排したタイトな演奏に乗ってシャウトするピケットの格好良さがたまりません。特に後者のギターアレンジは秀逸です。解説で鈴木啓志さんが「ボビー・ウォマックかもしれない」と書いてありますが、ならばやはり彼もまた凄い才能の持ち主だなと思います。「ベアフッティン」はロバート・パーカーのヒットで、こちらはオリジナルに近い感じですが、でもピケットの炸裂ぶりがたまりません。「おすすめCD」コーナーに書くべきだったかな。



Wolf Mail ; Solid Ground ; ZKS 041701 U 1000

2002年リリース。冒頭のタイトル曲、テレキャスターでこれだけハードなサウンドというのはめずらしいなと思いました。ジミ・ヘンドリックスからの影響が顕著なギタリストで、ややスモーキーなヴォーカルも結構いけます。曲調は様々で、テレ特有のカランとしたサウンドよりは、それを少し歪ませた独特のもの。ブルースの香りの高いロックギターが好きな方にはお薦めですね。



Wolf Mail ; Blue Fix ; ZKS/BSMF-2009
(2005.10.11)

2005年リリース。テレキャスターをかき鳴らすウルフ・メイルのブルース・ロックは、そのシングルコイル特有のシャキシャキ・カラカラ感から、スティーヴィー・レイ・ヴォーンからの影響を強く感じさせます。でもその背後にあるジミ・ヘンドリックスの影がいかに大きいかっていうのは、音を聴けば一発ですね。でもテリーをこのくらい気持ち良くならす人はそんなに多くないと思います。ブルース・ロックとあえて書いておきましたが、重心はぐっとブルースに寄ってます。ただ、例えばタブ・ベノアのような別種のサウンドが加味されていない分、僕にはシンプルすぎるかな。気持ちいいギターなんで人気は出そうだし出てほしいけどね。



Wolf Mail ; Live Blues In Red Square ; Z K S 080808AU-ZKSMEDIA (2009. 2. 7)

2007年秋のモスクワ公演の模様です。エンハンストでDVDも付いているようですが見ていません。バックのメンバーはロシア調達だそうで、なかなか達者な演奏でした。ウルフはアルバート・コリンズが好きなんでしょうか。テレキャスターを使い、彼の持ち歌の「ハニー・ハッシュ」(原曲はローウェル・フルソンの「トーキン・ウーマン」)を取り上げています。でもギターはどちらかというとジミ・ヘンドリクスからの影響を感じました。「ブルー・ローズ」は根っこに「リトル・ウィング」がいますね。「ハロー」はまるで「ドント・レット・ミー・ダウン」。ロック色が強いですが、ギターの音色は柔らかく、ギラギラしていないので気持ちいいです。ただ惜しむらくは歌。やっぱり弱いよねぇ。




Woody Guthrie ; Alegendary Performer ; BMG VICTOR BVCP-7445 (2007. 8. 9)

1940年録音。名前だけ知っていて、音を聴いたことがない人って結構いるんですが、この人もその代表格。で、試しに聴いてみました。対訳付きの歌詞カードのおかげで歌詞の内容もよく分かりました。砂嵐に見舞われるオクラホマの貧農の生活を、ストーリー仕立てで時にはユーモアを交えて歌うこのスタイルが、いかに多くのフォーク・シンガーに影響を与えたかが、聴いているだけでビンビン伝わります。1920年代の、例えばトミー・ジョンソンに通じるギターの響きが出てきたりと、実はいろんな音楽を吸収してスタイルを作ってるんじゃないかなとも思いました。そして飄とした感じは、どこか高田渡に通じます。というか、渡さんが影響を受けたってことでしょうがね。



Woody Guthrie ; This Land Is Your Land ; SMITOSNIAN FOLKWAYS SF CD 40100 (2009. 9.25)

1944〜47年にモーズ・アッシュによって行われた録音集です。まずタイトル曲。最初に聴いたのは中学の時で、もっと脳天気なアメリカ讃歌かと思ってましたけど、オリジナルをこうして何ヴァージョンも聴くと、もっと複雑で深い者がありそうな気がしました。痛烈な批判を込めた「リンドバーグ」や当時のニューヨークの貧富の差を題材にした「ジーザス・クライスト」、黄金郷を求めて行ったカリフォルニアで現実を見て作った「ド・レ・ミ」など、ボブ・ディランや高田渡などに大きな影響を与えたのがよく分かる、シンプルだけど力のある、そして批判精神を込めた歌の数々が、ぐっと迫ってきます。




The Word ; The Word ; ROPEADOPE/ATLANTIC 93046-2 (2002. 1.16)

これも2001年リリース。ジョン・メデスキがノース・ミシシッピ・オールスターズなどと作ったアルバムです。全編インスト。1曲目が割合軽めだったんで、ちょっと聴き続けるのをためらっていたんですが、聴いてみれば面白いですねぇ。特にロバート・ランドルフのペダル・スチールがえもいわれぬスペイシーな音場を作っていて、これが快感!バックでノイジーに鳴り響くコディ・ディキンソンのエレクトリック(電動?)ワッシュボードが不思議な空間を構成しています。



Wshakoda ; Soul To You ; VIVID SOUND VSCD-3115 (2009. 8. 8)

1982年リリース。ウシャコダが思いっ切りHIやSTAXといったメンフィス・サウンドを意識して作ったアルバムです。タイトルは全部英語ですが、歌は全部日本語。中盤の「ジャスト・ワン・ナイト・スタンド」から「オール・オヴ・マイ・ライフ」のあたりが特にぐっと来ますね。締まったサウンドも素晴らしいんですが、何より藤井康一のヴォーカルが絶品です。改めて聞き直して、こんなに上手かったんだと感動しています。




Wynonie Harris ; Everybody Boogie! ; APOLLO/DELMARK DE-683 (2001. 3.13)

1945年ニューヨーク録音。中古で購入。ワイノニーの脂の乗り切った時期の作品で、イリノイ・ジャケー、ジャック・マクヴィー、オスカー・ペティフォードなどの楽団をバックにシャウトしています。バックの演奏はいずれもしっかりしたコンボで、時代が時代なこともあり、野趣溢れるジャンプというよりはかなり洒落たジャズよりのものといえます。そのためか後のキング時代よりややおとなしくは感じますが、そこはやはりワイノニー。ときおりその枠からはみ出してしまう感じが魅力となっています。顔も二枚目だし、さぞかし女をキャーキャー言わしていたんだろうなって思います。めっけ物の一枚。



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