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アコースティック・ユニット「美女と野獣」のあゆみ その2

4,ヒント

 とりあえず最初の予定をこなし、暫くライヴはお休みになった。その間どんな歌を歌おうかといろいろと思案、でもきっかけは意外なところに転がっているものだ。
 あれは僕の記憶に間違いがなければ1月末のあっとぺっぷ。厚木ファッツ・ブルースバンドのライヴの後、ママさんがレオン・ラッセルのベスト盤をかけていた。かつさん*1が「この歌、いい歌ですよねぇ」とママさんと話していた歌が、「A Song For You」。スカンクも好きな歌だ。でもこんなのできるのかなぁと思っていたら、次の練習の時サチコが「タリラリラリラリラリラリラリラリ」とあの特徴的なイントロを、細かく聴けば違うんだけど、雰囲気つかんでやってみせるじゃないか!その瞬間「こりゃいける」とやることに決定。
 しかし問題はまだあった。あのコードのややこしい曲を一体どうやるというのだろう。実は大晦日にThe Hot Wattsはアコースティックで「Without You」をやったんだけど、この時スカンクは押弦でプレイした。でもそれじゃつまんないなぁとぼーっとしながらオリジナルを聴いていたら、ホルンの音が鳴ってることに改めて気付く。これをトレースするとどうなるんだろうとやっていくうちに、実はとっても簡単に雰囲気を出す弾き方があることに気付いたのだ。オープンGはオクターヴ奏法がたやすいのだ。かくして美女と野獣初期の重要なレパートリーとなる1曲が仕上がっていった。このころから、曲をアレンジする楽しさに気付いた気がする。次の厚木ファッツ・ブルースバンドの幕間に、かつさんに捧げる意味を込めて歌ったのは言うまでもない。

2005. 3.26. SAT あっとぺっぷ

5,サチコの歌

 実はこのライヴではもうひとつ、新しい試みがあった。サチコが歌ったのだ。曲は「Mr. Sandman」。コーデッツの古いヒット曲で、フィンガーピッカーたちにはチェット・アトキンスやDr. K*2のインストヴァージョンで知られる曲だが、敢えてインストにせずに歌入りで挑戦した。スカンクの歌はどちらかというと暑苦しいタイプであるのに対し、サチコの歌はいたって爽やか。このコントラストは以来美女と野獣の「売り」のひとつとなっていく。例えば「涙そうそう」「すべての人の心に花を」といったメロディが、その後のレパートリーとなっていくのだ。しかしそんな中にレイ・チャールズの「She's On The Ball」を潜ませるあたり、サチコ、只者じゃない。

2005. 4.22. SAT あっとぺっぷ

6,壊れたレコード

 スカンクとサチコ、元々聞いてきた音楽も年齢も何もまるで違う。だからお互い曲を持ち寄ると、それは相手にとっては相当な難題になることが多い。サチコが歌う「Alone Again」はその典型だった。この曲、実はスカンクには淡い思い出がある。今を遡ること約35年前、中学時代文通していた娘から、誕生日のプレゼントとしてもらったのがこのレコードだったのだ。でもこれを一体スライドでどう弾けばいいのだ。とりあえずギターソロはメロディをそのままスライドに置き換えていくことにしたが、これがなかなか厄介。練習では上手くいっても、本番ではどうしてもフレットを間違えてしまう。いきすぎたり足りなかったり。そこですかさず正しいフレットにスライドを滑らせるんだけど、これがまるで回転数の狂ったレコードプレーヤーのように聞こえるらしい。これをヒントに田中ちょいなちょいな*3が1曲作ってしまったくらいだ。それでも懲りずにやる厚顔無恥なスカンクがいるんだが。

2005. 5. 8. SAT guppy

2005. 6. 4. SAT あっとぺっぷ「アコースティック・フェスタ」

2005. 7. 2. SAT あっとぺっぷ <blog>

7,インストとコーラス

 その後順調にレパートリーを増やし、ライヴも定期的にこなすようになったのだが、どうしても越えねばならない障壁があった。その発端は Blue Heat*4で開かれたDJ会で、佐々木健一さん*5が回した1曲のラテンナンバーだった。「ティコ・ティコ」で知られるその曲をサチコが耳にした途端、フィンガーピッカー魂が激しく揺さぶられたのだ。何としてもやりたい。しかしこの曲、テンポが速い上にフレーズが複雑で、スライドでの演奏は相当困難。こりゃいつできるのかなぁと、サチコの夢をかなえたいスカンクは、巣穴で己の技のなさを悔やむ毎日であった。ところが、きっかけはあるものだ。ある日例によってスカンクがCDショップを物色していたところ、1枚のアルバムが「おいでおいで」をするではないか。「33 1/3」*6と題されたそのアルバム、曲リストを見ると、「アローン・アゲイン」になんと「ティコ・ティコ」がある!しかもアコースティック・ギターがメインらしい。早速聴いてみると、まあヒントの山!「ティコ・ティコ」にブルージーなソロがかぶせてあったりする。即採用。このおかげでスライドでもできる自信がついた。音楽の神様が恵んでくれたんだろうと、無神論獣なのにスカンクは勝手に思ってる。
 コーラスは、7/2のあっとぺっぷが終わった後の反省会*7で、ママさんに「『君の友達』とか、なんでコーラスつけないの?」と言われたところが発端だった。はしご酒が大好きなこのコンビがその後「GEN」に行くと、マスターの安田さんからも同じことを。「アコフェで見たんだけど、なんでハモらないの?」と。この時8月末に「GEN」に出演させてもらうことになったのもあり、コーラスにも挑戦することにした。元々ふたりとも歌うわけで、できない話じゃないんだけど、意識をギターにとられがちだったんで思い付かなかったのが正直なところ。でも楽器2台と歌ふたりで4つの違った音が出せるなら、使わない手はない。「君の友達」のようにコーラスラインが決まっているものだけではなく、「涙そうそう」のような曲にも、新たにコーラスを付けていくことにした。この作業、やってみると実に楽しい。このように、恵まれたお店やお客さんによって、「美女と野獣」は成長したんだと思う。改めて感謝!

2005. 8.28. SUN Acoustic Live Bar GEN <blog>

2005. 9. 3. SAT あっとぺっぷ「アコースティック・フェスタ」 <blog>


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*1 厚木ファッツ・ブルースバンドのギタリスト。その的確なバッキングとステージマナーの良さには定評がある。
*2 徳武弘文。知る人ぞ知る超絶ギタリスト。エレキを持てばヴェンチャーズ、アコースティックの音色も素晴らしい。
*3 The Hot Watts バラ売り計画のエース。ギターのシンヤとカホーンのトシヤのユニット。アイディアたっぷりのユニークなデュオ。
*4 渋谷にあるブルースバー。ライヴもできる。スカンクはここでDJをしたことがある。
*5 知る人ぞ知る仙台の酒屋「いづみ屋」の当主で、日本屈指のレコードコレクター。東北弁での軽妙なしゃべりでDJ会の人気を根こそぎ持っていく。
*6 The Frank & Joe Show "33 1/3" (HYENA TMF 9320)
*7 こういうと格好いいけど、要するにただ飲んでるだけ。

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