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アコースティック・ユニット「美女と野獣」のあゆみ その4
11,日本語
元々スカンクとサチコが出会ったのもインターネットのbbs*1だった。スカンクは暇さえあるとPCの前に座り、いろんな人とネットで会話を楽しむのが好きなんだが、そうした友達の1人にテキサス在住のアツコさんがいる。彼女はアメリカで結婚生活をしていて、日本語に飢えてる面があるので、大分音がまとまってきた「美女と野獣」のライヴの様子を、DVDに焼いて送った*2のだ。それを見たアツコさんの返事には笑ってしまった。曰く「英語の歌が演歌に聞こえる」。木村充揮*3に通じるなんて書いてくださってるから、半ば褒め言葉かもとは思ったんだけど、やはり英語が苦手*4なのは隠しようがない。
もうひとつ、歌の意味っていうのはけっこう大事なわけで、スカンクはあれでも英語の歌については意味をつかんで歌っている。でもそれは表現としては伝わるけれど、言葉の意味としてストレートには伝わらない。ここがもどかしいところで、アツコさんの言葉に押されるように、日本の歌の物色に入ることにした。でも演歌は嫌い、四畳半フォークは嫌いってなると、なかなか難しい。そんな中、若い頃にどんな歌唄ってたっけと思い返しているうちに浮かんだのが、猫の「雪」*5と、「サルビアの花」だった。「サルビアの花」は、スカンクはモトマロのヴァージョンで聴き覚えていたんだけど、サチコがオリジナルの早川義夫のものが好きで、歌い回しはモトマロ風、伴奏はぐっとゆったりとという折衷作に。でもこれがはまってしまった。あの史上最強のストーカーソングを、思いっ切りドロドロにするとどうなるかと、まさに限界に挑戦することになったのだ。結果はすこぶる好評。ライヴのハイライトになってしまった。やはり言葉が直接伝わることの威力を実感した。2006. 1.21. SAT Acoustic Live Bar GEN <blog>12,トシヤ
前にも書いたように、The Hot Wattsは現在バラ売り状態で、そのひとつのユニットが田中ちょいなちょいな。でもここのギターのシンヤは現在台湾人になってしまい*6、このユニットもなかなかライヴができない状態。そこで相方のトシヤを風鈴のライヴで美女と野獣のゲストに呼ぶことにした。トシヤはマルチプレイヤー*7だが、最近はパーカッション、とりわけカホーン*8にはまっている。カホーンはいわば貧乏人のドラムセットとでも言うべき楽器で、ギター2本、しかもナイロン弦とスライドという、ビート的にはやや物足りない面のある組み合わせにあって、まさに音を引き締める役割を果たしてくれた。しかしふだんYAN楽団や田中ちょいなちょいな、あるいはThe Hot Wattsのパーティにあって、あれだけお客の笑いをとれるトシヤが、実にかしこまってカホーンを叩く姿というのも、滅多に見れるものでない分貴重かもしれない。翌週野毛にある居酒屋「すきずき」*9でのインストア・ライヴ?の時も駆けつけてくれた。今度はジプシー・キングスの曲も仕入れなきゃならなくなりそうだけど。
2006. 2.12. SUN 「大桟橋 beat'n harmony」 - with TOSHIYA <blog>
2006. 2.18. SAT 居酒屋すきずき - with TOSHIYA <blog>
2006. 2.25. SAT あっとぺっぷ <blog>13,オリジナル
美女と野獣では、過去にオリジナルといえる曲は、「キャンディマン」位しかなかった。これも曲は古いブルースからの拝借なので、完全なオリジナルとはちょっと違うし。ライヴの頻度が上がってくるにつれ、手っ取り早くレパートリーを増やすために、The Hot Wattsの曲や、それ以前の古い曲をいくつかやったりもした。このうち「おしまい」「秋の空」といったところが、美女と野獣のレパートリーとして定着してきた。でもスカンクには強い願望があった。やはりユニットならではのオリジナルを作ることだ。
元々メロディを考えるのは割と得意な方なので、曲のモチーフは浮かんでは消え、浮かんでは消えしてきた。しかし問題は歌詞。なにしろいい年こいてしまっているんで、なかなか歌詞が浮かばなくなっている。言葉遊びみたいなものはあまり好きではなく、かといって実体験などをただ歌にするのも嫌だという、実に贅沢な考えから抜けられず、なかなかいい詞ができない。しかしひょんなことってのはあるもので、練習後の反省会*10での他愛のない会話から、ぼろっと歌詞ができちゃったのだ。それも酒が抜けきれずにぼぅ〜っとしている気だるい日曜の午前中に。その後さらにもう1曲バラードが出来上がり、いよいよオリジナルがそろってきたと嬉しくなった。早くやりたい。しかしこの想いが、大きな落とし穴になってしまうことを、まだスカンクとサチコは知らない。足元にひたひたと水が迫っても、有頂天なふたりはそれを感じることができなかったのだ。2006. 3.18. SAT あっとぺっぷ14,慢心
慣れというのは恐ろしいものだ。ライヴを重ね、次々音ができていくうちに、いつのまにか「自分たちがやりたい」という気持ちだけでライヴの曲を選んでしまい、それらが全体でどんな曲調になるかを見失ってしまうことがある。結果聴いてくださる人には冗長でつまらない演奏となってしまう。ましてや何度もやっている曲については、「この間もできたから大丈夫」とリハーサルもおろそかにする。こんな状態でライヴに臨めばいい結果が出るわけがない。3月18日のあっとぺっぷはまさにそんなライヴだった。当初曲を決めていながら、オリジナルができた嬉しさからそれを付け足してセットを作ってしまった。最初に組んだ曲はやりたいという思いがあるので外さず、結局全体として重たく間延びする曲が並ぶことになってしまった。しかも、練習の中で難点を感じながらも、人前に出してしまった曲もあった。確かに演奏でミスがあっても、きちんとグルーヴが出ていればそれは「ちょっと間違えちゃった」で済ませることも可能だ。しかし、練習段階で納得のいく状態でないものをお客さんの前でやってしまうのは、「聴き手をなめている」とのそしりを受けても当然で、まさに「身から出た錆」だと思う。
40分程度の予定持ち時間だったのに、気がついてみればしゃべりやチューニングを入れて1時間近く演奏してしまった。しかもスローの重たい曲が並び、以前受けがよかったからと安易に入れた曲、なんとかモノにしたいと完成度が低いままやってしまった曲などがあり、フィンガリングのミス、フレット間違い、そしてリズムの崩れを重ねてしまった。演奏しながら客席がどんどん澱んで重くなっていくのをずっしりと感じた。何かが間違っていたのだ。
ライヴの後、対バンの厚木ファッツ氏*11にいろいろ指摘され、さらに店がはねたあとママさんにも厳しい批判を受けた。反省会*12でふたりで問題にしていたことはすべて指弾され、今後の方向性についても考え直すように促された。結成して1年半、幸運にもライヴの機会に恵まれている中で、一番忘れていけないこと、「聴き手に楽しさを伝えること」を忘れていたことを、いやというほど思い知らされた。二度とこんなことはしてはいけないと心に誓うスカンクとサチコであった。ありがたかったのは、そうした問題点を歯に衣を着せず指摘してくださる人がいること。何も言われなくなったらそれこそおしまいだと思う。感謝してもしきれない。そして叱咤の数々を肝に銘じ、初心に戻ってやっていきたい。(つづく)2006. 4. 1. SAT あっとぺっぷ「アコースティック・フェスタ」
2006. 7.22. SAT あっとぺっぷ<その1>・<その2>・・・<その3へ戻る>・<その5へ続く>
*1 掲示板とか落書き帳とか呼ばれてるけど、要は他愛のない言葉を交わすコミュニケーションの場。
*2 「決して家族の前では見ないこと」との注釈をつけて送ったのは言うまでもなく、実際そのようにしていただいたそうだ。
*3 ご存じ元憂歌団のヴォーカル、彼の声は「天使のダミ声」としてファンが多い。
*4 100語以上の文章に接すると蕁麻疹が出ることがある。
*5 吉田拓郎作の、これも相当なストーカーソングだが、しかし「サルビアの花」の前ではその影も薄い。
*6 別に台湾の国籍を取得したわけではない。何でも「シャチョー」として単身赴任してるらしく、自分でこう呼んでいる。
*7 ギター、ベース、ドラム、キーボード、パーカッション、変装、ケツ出しと何でもこなす。
*8 木の箱の中にスネアのスナッピーとかギターの弦を仕込み、叩く場所でキックやスネア、リムショットを表現できる優れもの。
トシヤの使っているものはシンヤの手製で、なぜかバン・ヘイレン模様の塗装が施されている。
*9 魚や串焼きのおいしい店。グッピーにも程近く、美女と野獣の反省会場としてよく使われる。
*10前にも書いたように「飲み会」の別名で、練習はこれをやるための口実だという有力な説がある。
*11厚木ファッツ・ブルースバンドの看板スター。味のある歌とフィーリング溢れるギター、そして関西弁のしゃべくりで聴衆を魅了する。
*12今回のは本当の反省会だった。ただし呑みながらだけど(苦笑)。
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