CD INDEX(D)
 

アーティストの名前順に並んでいます。「TODAY'S CD」で紹介したものは紹介文が付いています(日付)。紹介文のないものは「おすすめCD」か「お気に入りのミュージシャン」の中で紹介されているもので、「Click Here!」をクリックすると該当のページにジャンプします。

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D. C. Sills ; Better When I'm Loved ; DC SILLS 5115 (2008. 2.17)

2007年リリース。カントリー・テイストの強いフォーク・シンガーといった趣で、フィドルやアコーディオンが入った「ケイジャン・ブラッド」なんて曲もありますが、曲調はシンプルなアコースティック・ギターの伴奏をバックにした、シンプルな歌が中心です。声にも派手さはなく、時折音程が不安定になったりしますが、音楽に対する誠実な姿勢は痛いほど伝わってきました。さて、これが磨けば光る原石になるかは、どこに個性を見いだすかだなぁと思ってしまいますが。



Daboa ; From The Gekko ; TRIPLE EARTH TRECD 115 (2009. 1. 8)

1997年リリース。ダボアとは蛇のことだそうで、ゲッコーはハワイなどにいるヤモリのことかな。ジャケットのワニといい、爬虫類から想像される熱帯的な雰囲気に満ち溢れたアルバムです。冒頭の曲のリズム、演奏携帯は違うけど、ハービー・ハンコックの「Head Hunters」に入ってる「ウォーターメロン・マン」を思い出しました。仕掛人はフランク・ハリスというアメリカ人。ヴォーカルはブラジルの歌姫マリア・マルケスで透明感のある声が魅力的。アフリカともラテンともつかないリズムと演奏は何度も聴いていると癖になりそうです。




Dalannah Gail Bowen ; Mamma's Got The Blues ; QUEST DGB-8888 (2008. 2.16)

2007年リリース。なかなか味のある声の持ち主で、丁寧にブルースを歌っているのが好感が持てます。ゴスペルとかジャズからいろんなものを吸収したのが分かります。前半はスタジオ録音かな。後半の「ウォーターメロン・マン」からヒートアップ。続く「ボーン・アンダー・ア・バッド・サイン」あたりがハイライトかな。ラストの「アンチェイン・マイ・ハート」もジャズっぽい歌い方が結構はまっていて面白かったです。



Dale Hawkins ; Rock 'N' Roll Tornado ; CHECKER/ACE CDCHD 693 (2009. 5.20)

1957〜61年録音でしょう。何といってもC.C.R.がカヴァーした「スージーQ」のオリジネイタとして有名で、しかもギターはジェイムズ・バートンと来るわけですからどんなのが出るかと買っちゃうわけです。「スージーQ」はもちろん冒頭に入ってます。この他リトル・ウォルターの「マイ・ベイブ」やらアール・キングの「ゾーズ・ロンリー・ロンリー・ナイツ」、当時未発表ながらご機嫌な「カリドニア」も入ってます。甘めのポップスよりガツンと来るギターチューンが格好いいな。ロイ・ブキャナンもギター弾いてる可能性があるんですが、よく分かりませんでした。




Dale Hawkins ; L.A., Memphis & Tyler, Texas ; REV-OLA CR REV 188 (2009. 7.14)

1969年録音。タイトル通りアメリカ南部の3つの都市で録音されています。まずタイトル曲などメンフィス録音には、ダン・ペンやスプーナー・オールダム、さらにはメンフィス・ホーンズも参加してかなりソウルフルな仕上がり。低重心の「ハウンド・ドッグ」にはハーモニカで何とタジ・マハルが参加してますし、「バック・ストリート」のホーンはブルース・ブラザーズ・バンドを思い出してしまいます。一方LA録音ではまだ人気の出る前のライ・クーダーがギターで参加して達者なスライドを聴かせています。「キャンディ・マン」はジミー・リード・マナーですがロイ・オービソンの曲だそうです。他方テキサス録音はボビー・チャールズの楽曲ということもあって、ゆったりしたカントリー・フレイヴァーのあるポップな仕上がり。こうして聴くと60年代末という時代の香織の中で、スワンプ・ロックを目指す泥臭さがけっこう格好いいですね。




Damon Troy And Louisiana Beat ; What Next ; MTE MTE-5074-2 (2003. 1.13)

2002年リリース。まず感じたのはディモンの歌の上手さ!ちょっとかすれたような声ですが、哀愁溢れるバラードをこれだけ歌いこなせる人は久々な気がします。ビージーズの「レスト・ユア・ラヴ・オン・ミー」をしっとり歌いあげるのを聴いてビックリしました。このアルバムは基本的にポップアルバムだと思うんですが、この歌の上手さが見事にはまっているので、あざとさを微塵も感じません。仕掛けも随所にあり、スワンプ・ポップのバラード仕立てのJBの「トライ・ミー」、あっと驚くレゲエアレンジの「ヤ・ヤ」など、最初タイトルも見ずに聴いていた時には分からなかったくらい!でもはまってるんです。そしてラストナンバーはレイナード・スキナードの「アイ・ノウ・ア・リトル」。これはオリジナルのキャッチーなロッキンナンバーの良さを見事に残しながら、自分たちのサウンドに消化しています。アコーディオンもこんな風に使うと面白いなぁ。とにかくルイジアナは泥臭いばかりじゃないぞって感じですね。



Dan Burley with Brownie & Sticks McGee & Pops Foster ; CIRCLE Blues Session ; SOUTHLAND SCD-9 (2003. 8. 2)

1946年ニューヨーク録音。ダン・バーリーはライオネル・ハンプトンとの共演歴もあるピアニストで、ジャーナリストとしても著名だったようですが、ややルーズに流すようなピアノと、渋めの声のヴォーカルはかなり魅力的です。バックのマギー兄弟はいつものように軽快にリズムを刻み、如何にもニューヨークのブルースといった2ビート系の演奏で支えます。またブラウニーとスティックスの自己名義録音も収録されていますが、いずれも素晴らしい出来で、特にブラウニーは後のフォークブルースブームに乗ったともすると「粗製乱造」な録音とは異なり、溌剌とした歌声を聴かせています。



Dan Penn ; Do Right Man ; SIRE/WARNER BROS/BLUE HORIZON 9 45519-2 (2009. 8.10)

1994年リリース。ダンが自分の作ったサザン・ソウル・クラシックを、マッスル・ショールズのフェイム・スタジオで、レジー・ヤング、ジミー・ジョンスン、デビッド・フッド、ロジャー・ホーキンズ、そしてスプーナー・オールダムといったスタジオ仲間と録音するといった、夢のようなアルバムです。しかもホーンセクションにはウェイン・ジャクソンの名前も。冒頭の「ザ・ダーク・エンド・オヴ・ザ・ストリート」からぐっと来て、タイトルにもなっている「ドゥー・ライト・ウーマン・ドゥー・ライト・マン」のようなバラードは、絶唱ではなくしみじみと歌い込んでいますし、スワンピーな「メンフィス・ウーマン&チキン」のルーツロック的な味わい、そして「ホエア・ゼアズ・ア・ウィル」のようなアップナンバーのバックの跳ね具合とヴォーカルのノリ、とにかくオリジナルとはまた違った魅力が出ています。何で今まで聴かなかったんだろう。




Dan penn ; Junkyard Junky ; DANDY DND002 (2009. 8.14)

2007年リリースです。まずタイトル曲から、ゆったりとレイドバックしたサウンドに乗せて、ジワッと染みるように歌うダンに引き込まれてしまいます。全曲オリジナルで、テイストとしてはソウルよりはカントリーよりの感じで、こういう下地があるからあのサザン・ソウル・バラードの名曲の数々を生み出せたのかななんて思っちゃいます。歌詞はよくは分からないんですが、なんだか日常の生活を歌っている感じ。「タイニー・ハイニーズ・アンド・ホグズ」なんて擬音から始まりますが、モグラ退治でもしてるのかしら。また「ハートブレイク・フィットネス・プラン」は、ゆったりした体格のダンらしい歌ですね。




Dan Treanor & Frankie Lee ; African Wind ; NORTHERNBLUES MUSIC NBM0023 (2005.11.27)

2004年リリース。ダン・トリーナーという人は全く知らないんですが、ハーモニカ、ギターなどをやるいわゆるルーツ・ロック畑の人のようです。ヴォーカルにリトル・フランキー・リーの名前があったんで買ってみました。「テキサス・サン」や「トゥルー・ラヴ」などのアーシーなロック、「ゴット・ノー・ライフライン」のようなブルースもありますが、メインはタイトル通りアフリカ音楽から強く影響を受けたサウンドです。普通のフルートだけでなくよりアフリカ的な感じのすケイン・フルートの他、ジャンべ、カリンバ、アフリカ板ディドリー・ボーといえるウマケヤナなど、各種の楽器を駆使して、アフリカ的な雰囲気を取り入れています。これにフランキーのタフな声が乗ると、タジ・マハルがアフリカ音楽に手を染めたみたいな感じに聞こえます。かなりユニークな試みですが、ちょっと焦点が絞れてないかな。面白いですけどね。



Danny Collet ; It Wasn't Supposed To Happen ; ACADIANA ACD0140-2 (2003. 4.15)

2002年リリース。一瞬女性かと聴き間違うような、ダニーのハイトーンで澄んだ歌声は、芯があってしっかり響きます。それにきらびやかなフレーズのケイジャン・アコーディオンに、サザンロックを思わせる端正なギターが絡みつき、気持ち良くロッキンしています。オリジナルが中心で、ケイジャンとしてはタイトな部類に入る曲が多いですが、昔のカントリー・ロックをケイジャンに持ってきたようなサウンドで、何だか懐かしさを覚えました。そんな中「ゼイ・トーク・アバウト・アス」はファンクネスいっぱい、またラストの「バイユー・セルフ・ブルース」はぐっとブルージーで、音楽的な幅も感じ、あっと言う間に聴き終えました。好盤です。



Danny Gatton ; Unfinished Business ; POWER HOUSE POW-118 (2005. 5. 5)

1987年にリリースされた、「最も有名な無名ギタリスト」のアルバムのリイシューです。オリジナルにあった「ジョージア・オン・マイ・マインド」が外されているのがちょっと残念。ガットンはカントリー〜ロカビリー系のギタリストで、ロイ・ブキャナンよりは速弾きが主体のテクニシャンです。「ニット・ピッキン」からその妙技を連発しますが、面白いのはかなりビル・ドゲットのインストナンバーを意識しているってことです。ラップスティールを駆使した「ラッピン・イット・アップ」は「ザ・ビッグ・ビート」に通じますし、「スカイ・キング」の下敷きは「ホンキー・トンク」、まるで同じフレーズが登場します。テレキャスターの乾いた音を生かしたプレイは見事ですが、「スリープ・ウォーク」はもう少し綺麗な音の方が良かったな。ボーナストラックは随分とフュージョンがかった演奏で味わいが違います。ギターフリークにはたまらない1枚でしょう。



Dave Bartholomew ; 1947-1950 ; CLASSICS 5002 (2001. 3.18)

最近CLASSICSのリリースに目が離せなくなってきました。何だか50年以上前に出たものは片っ端から出そうって勢いです。このディヴの盤も、DELUXEのものの一部は最近出たDELMARK盤に、IMPERIALものは以前東芝から出たファッツ・ドミノとの4枚組に入っているんですが、こうしてまとめて聴けると嬉しいです。とにかく一曲目の「スターダスト」で腰が抜けそうになりました。妖艶なトランペットの音色で、粘っこく吹き上げるのがなんとも言えずぐっと来るんです。ディヴの場合、この後どんどんリズムを強調していき、バンドリーダーとしての存在を強くアピールしていくわけですが、それを支えていたのがこのペットの腕前だったんでしょう。貴重なJAX録音も含む名コンピです。



Dave Bartholomew ; 1950-1952 ; CLASSICS 5055 (2003. 5.11)

油断できないCLASSICSのリイシュー攻勢ですが、これも素晴らしい内容です。KING録音は単独盤で、その他の音もいろいろなCDでリイシュー済みのものが多いんですが、こうして時代に沿って聴いていくのは楽しいですね。まず冒頭の「ベイシン・ストリート・ブレイクダウン」が強烈!T-ボーンの「ストローリン・ウィズ・ボーン」からの引用もありますがそのドライヴ感がすごいです。バンド不明となってますが、このセッションはアール・パーマーのドラムに聞こえました。この他トミー・リッジリーの歌う「トゥラ・ラ・ラ」、お得意の「マイ・ディンガ・リン」の聴き比べ、ルイ・ジョーダンの「レット・ザ・グッド・タイムズ・ロール」を巧みにパクった「イン・ジ・アレイ」、「ツウィンズ」での切れまくったペットの音、ザ・ロイヤル・キングス名義のSPECIALTY録音、そしてシンシナティとニューオーリンズのバンドサウンドの差など、とにかく聴き所満載!最高です。



Dave Bartholomew ; The Very Best Of Dave Bartholomew ; BAYOU BOD-1003 (2003. 8. 9)

主に1950年代中〜後半のIMPERIAL作品を中心にしています。盤はCD-R、ジャケはカラーコピーという如何にもブートといった粗雑な作りはこのレーベル毎度のことなんですが、中身はいいんですよね。未CD化の作品もかなり入っているようです。ルンバ調ブルースの「カーニヴァル・デイ」、どこかで聴いたような「ガット・ユー・オン・マイ・マインド」、同じメロディを拝借しながらちゃっかりチャールズ・ブラウンに返歌している「ノー・モア・ブラック・ナイト」、マンボ調のマルディグラ・ソング「シュリンプ&ガンボ」、クリスマスソングのパクリ「ジ・アイス・マン」、「ノー・モア・ドギン」をパクった「フー・ドリンク・マイ・ビア」、どっしりした「ナイト・トレイン」等、流行を上手く取り入れて味付けする手法が冴え渡っています。ファッツ・ドミノの曲もやっていたり、とにかく全編まったく飽きないアルバム、早くマスター起こしの正規録音をリリースして欲しいですね。



Dave Bartholomew ; New Orleans Big Beat ; LANDSIDE LDCD-1022 (2003.11. 4)

1998年リリース。いきなり「ビリー・ジョーの歌」のニューオーリンズ版からスタートで、ぐっと引き込まれます。ノリのいいバンド演奏に、結構吹きまくるデイヴのペットもいいし、曲によってはサッチモに捧げるような演奏もあったり、自分とファッツ・ドミノのメドレーや、自分の歌についての曲もあったり、「ジャズ・フェスト・イン・ニュー・オーリンズ」「サン・オヴ・スタッガ・リー」とか「マルディ・グラ・イン・ニューオーリンズ」など、その手の企画もののように思えます。とにかく楽しい1枚。で、一番楽しかった曲は「ダウン・アット・ザ・ズー」です。だって、デイヴさん、動物園でいろんな動物のお尻しか見てないみたいなんですもの。



Dave Lambert ; Live At Piggy Blue's ; DAVE RAMBERT no number (2006. 9.16)

2003年のライヴです。ディヴはリゾネイタを駆使する非黒人ブルースマンで、オープンD系とオープンG系を持ち替えながら、オリジナルにスキップ・ジェイムズの「デヴィル・ゴット・マイ・ウーマン」などを取り混ぜて演奏しています。1曲1曲結構丁寧なMCを付けて、非常にテクニカルなギターを聴かせるあたり、この人のブルースに対する真摯な姿勢を感じます。またエリック・サーディナスの曲を2曲取り上げるなど、伝統的なブルースをなぞるだけでないのも好感がもてました。ただ歌はちょっと朗々としすぎていて、僕の好みじゃなかったですけど。とにかくうまいギタリストという印象です。



Dave MacKenzie ; Old, New, Borrowed & Blue ; BLACK & TAN CD B&T004 (2002. 5.27)

1999年リリース。この人(多分白人)、アコースティック・ブルースで主に戦前のスタイルでやってます。一部ロバート・ジョンソンやマディの曲も取り上げているんですが、殆どオリジナル曲ってのがすごいです。完全にデルタ=カントリー・スタイルに消化しているんですよ。ギターのテクニックは派手さはないですが非常に確かで、歌も上手いです。ところでこの歌、声とか節回し、エリック・クラプトンに似ているんです。クラプトンよりややトーンが低く、声に芯がありますが、ちょっと聴くと間違えそうです。と言うことは、クラプトンのアンプラグド系が好きな人には良く合いますよ。ボトルネックがクラプトンより華麗ですが。



Dave Riley ; Whiskey, Money & Women ; FEDORA FCD 5028 (2001. 9.22)

2001年リリース。ジョン・ウェストンの盤ではベースを弾いていたライリーがギターを持って歌います(ウェストンはハープで参加)が、1曲目のデトロイト・ジュニアの「コール・マイ・ジョブ」、ここでのギターはもたもたしてまるで僕が弾いているよう!でも味があります。ヴォーカルはけっこう深みがありますが、ドラムがサム・カーなのでリズムがべたっとしていて、「田舎のアルバート・キング」って感じです。「エンジェル・オヴ・マーシー」もやってるし。この他オリジナルを中心になかなか泥臭いんですが、ラストの「イマジン」にはぶっ飛びましたね。ジョン・レノンですよ。これを完全に自分の世界にもってっちゃったのには脱帽!



Dave Riley & Bob Corritore ; Travelin' The Dirt Road ; BLUE WITCH BWR 104 (2008. 1. 2)

2007年リリース。コリトアのハーモニカをバックに加え、ライリーがそのディープな声といぶし銀のギターでブルースを唸ります。シカゴ・スタイルを中心に、割合アコースティックな響きのギターで、泥臭くやってるんですが、もうひとつ地底から沸き上がるような迫力はありません。バンドはテクニックもあり、リズムもいいんですが、どこか「新しい」感じで、サウンド全体が軽いんです。ノリがちょっとスクエアだからかもしれません。この辺でバンドのうねりが出てたらもっとずっと格好いい音になると思うんですけどね。



David Batiste & The Gladiators ; New Orleans Is Coming Back ; FUNKYSOUL GLA 2007 (2008. 2. 4)

2007年リリース。タイトル曲に思いが全部こもっていると思いました。被災からなかなか立ち直れない中、前向きにいこうとする気持ちが続く「アフター・ザ・ストーム」とのセットで良く出ているなぁと。それで「ロード・ホーム・マネー」でしょ。ただ、ディヴィッドのピアノやキーボードはもちろん巧みですし、歌もホワッとしていいんですが、まとまりのある演奏がかえってスリルを奪っているかもしれません。「ファンキー・ソウル」や「ファンキー・ヒップス」も格好いいんですが、もう一息うねりが欲しいかな。この辺はリズム隊の問題なのかなぁ。



David "Honeyboy" Edwards ; Crawling Kingsnake ; TESTAMENT TCD 6002 (2004. 9. 9)

1967年の弾き語りに、1964年のジョン・リー・ヘンリーのハーモニカを加えたセッションです。ピート・ウェルディングらしいプロデュースで、特に弾き語りの方は聴き入ってしまいました。最近自分でも弾き語りをするし、特にスライドは駆け出しなんで、このグッと来る演奏はたまりません。以前はこうした「再発見」ものは敬遠していたんですが、なかなかどうして、本物の凄さってありますね。ロバート・ジョンソンの「生き証人」である以上に、ハニーボーイ自身のギター、そして決して強烈ではないけど、味わい深いヴォーカルの素晴らしさを満喫しました。



Honeyboy Edwards ; I've Been Around ; SAVOY JAZZ SVY 17297 (2004.10.28)

1974年と77年にシカゴで録音されたものです。ハニーボーイ・エドワーズはヴィンテージ時代、決して録音に恵まれていたわけではありませんが、そのデルタ直系のギターと渋みたっぷりのヴォーカルには、味わい深いものがあります。このアルバムに収録された録音にはアコースティック、ときにはリゾネイタを弾いた弾き語りの他、エレキを持ってウォルター・ホートンのハープをバックに付けたもの、さらには77年のものではエディ・エルとのエレキギター2本というものが収録されています。スライドプレイはマディ・ウォーターズとエルモアを折衷したような雰囲気がありますが、ぐっと泥臭い感じ。エレキの場合単弦弾きのソロはあんまりスリルがないんですが、ザックザックと刻むリズムに、ホートンのハープが絡んで来るあたりはなかなかです。



David Kimbrowgh Jr ; Shell-Shocked ; B.C. #1435 (2006. 7. 9)

2006年リリース。何でもムショ帰りだそうで、タイトル曲もその辺と関係あるのかな。しかしこのジュニア・キンブロウの息子、すごい存在感のあるブルースをやります。FAT POSSUMの一部のアルバムのような、わざとらしさは全くなく、スカスカのリズムセクションに、かき鳴らすようなギターはヒル・カントリーの伝統と言えるのかもしれませんが、ソウルフルなんだけど妙にリアルなヴォーカルは、どこかヒップホップに通じるセンスを感じます。1曲がだらだらと長いんですが、ついつい聴いてしまうんですよ。それはこのデヴィッド・キンブロウという人物が自らをブルースにさらけ出しているリアリティからだと思うんです。父とのことを歌った「アイ・ドリームド・ポップ・ギグド・ウィズ・アス」やタイトル曲は、父親のノース・ミシシッピ・スタイルを踏襲しながら、ぐっとそれを進化させた感じ。エロエロな「スピット・イン・マイ・マウス」、酔っぱらったかのような「ワイルド・ターキー」、とにかく全身から臭気を感じるリアル・ブルース。癖になる音です。



David Ralston ; Nail It Down ; ZEROMACH ZMD 0008 (2000. 5.21)

沖縄在住のデヴィッド・ラルストンの2ndで、1999年リリース。プロデュースは何とデラニー・ブラムレット。曲の多くも提供しています。スワンピーで御機嫌なミディアム・ナンバーで始まるこのアルバムは、70年代初期のウエスト・コースト〜タルサのサウンドの香りを強く感じました。デヴィッドの歌は、特にバラッドなど、表現に工夫が感じられ、好感が持てます。ブギもあるんですが、サラットした感じでスマート。それがこのCDの持ち味ともなっています。最後の有名曲「ウィル・ザ・サークル・ビ・ブロークン」でゴスペル調に盛り上がり、気持ちのいい余韻を残します。


Deacon John ; Live At The 1994 New Orleans Jazz Fest ; REDBONE RBR-L 1994 (2006. 4.13)

ジャズフェスでバリバリのブルースを弾き倒すディーコンです。曲はB.B.キングやエルモア・ジェイムズ、そしてJ.B.ルノアまでやっていて、ニューオーリンズのカラーは殆ど感じず、むしろジュニア・パーカーを意識したサウンドは、メンフィスの香りを漂わせています。達者なスライドも聴かせます。演奏は全体にラフですが、その分熱気を感じさせます。ただ個性はあまり感じませんでした。



Deacon John ; Deacon John's Jump Blues - From The Film IMAGE VET0657 (2003. 8. 5)

2003年リリース。これはとっても楽しいアルバムです。タイトル通りディーコンがニューオーリンズの名だたるミュージシャンを集めてジャンプしているんですが、彼自身の歌が味わいがあっていいです。音はいい意味で「今風」に仕上がっていますが、適当にポップで、スウィング感もあり、思わず口ずさんじゃいます。「ジャンピン・イン・ザ・モーニング」でのヘンリー・バトラーの変態的なピアノソロ、「ノーバディ・ノーズ・ユー・ホェン・ユーア・ダウン・アンド・アウト」のヴォーカルの斬新な解釈、ドクター・ジョン渾身の「ティピティーナ」、シャープなダヴェル・クロフォードのピアノプレイ、シャーリー&リーになりきったティーディ・ブッテとディーコンの歌など、全編飽きずに聴くことができました。こりゃベスト10入り間違いなし!



Debbie Davies ; I Got That Feeling ; BLIND PIG BPCD 5039 (2008. 2.12)

1997年リリース。アルバート・コリンズのバンドに在籍して腕を磨いたデビーのリーダー作です。ギターの腕前は折り紙付きで、イカしたフレーズを絡めたソロは魅力的。またヴォーカルも軽くなく、またわざとらしいシャウトでもなく、自然体ですね。コリンズのレパートリーで知られるタイトル曲では、コリンズ・バンドでの同僚、ココ・モントーヤとのデュオで、多分ココがコリンズばりのソロを披露。二人の出自がよく分かります。またタブ・ベノアとのデュオもあったりと、ルイジアナ色も出ているあたり、結構好きですね。曲のヴァリエーションもあり、楽しめました。



Delbert McClinton ; Nothing Personal ; NEW WEST NW6024 (2001. 5.15)

これもことしリリースです。けっこう明るく元気なロックンロールから始まるので、ジャケットから想像するのより若いのかと思いましたが、以降はグッド・アメリカン・ミュージックを大人がやるとこうなるといった雰囲気で、とても楽しめました。カントリー・フレイヴァーの効いたものから、テックス風味、ブルージーな曲と、ちょっとスモーキーな声でゆとりを持って唄うデルバートの声を聴いていて、久々に「レイドバック」という言葉を思い出しました。きっちりした演奏なんですが、どこか(いい意味で)田舎の香りがする、そんなサウンドです。確かな歌唱力、的確な演奏、そして何より全曲自作で固めている意欲作。日本ではあまり売れないでしょうが、これは好盤です。



Delbert McClinton ; Cost Of Living ; NEW WEST NW6079 (2005. 9.26)

2005年リリース。いきなりカントリーフレイヴァー溢れる、ちょっとセカンドラインした御機嫌なロックンロールから始まります。カントリーとR&Bをまぜこぜにしたようなギターを聴いていると、ジョン・フォガティーを思わせますね。歌はずっと楽に歌ってるんですけど。というわけでこの手のサウンドが好きな僕にとって、悪かろうはずがありません。まあど真ん中ストライクになるためには、もうちょいとブルースの臭いがした方がいいんですが。カントリー味のあるナッシュヴィル録音なんですけど、冒頭の曲やルイジアナ・ポップ・バラードみたいな「アイル・チェンジ・マイ・スタイル」などからニューオーリンズ風味も感じられ、「キス・ハー・ワンス・フォー・ミー」あたりではテックスメックスっぽさもあるのは、テキサス育ちってこともあるんでしょうか。もうちょっといろいろ聴いてみたい人です。



The Delta Rhythm Boys ; I Dreamt I Dwelt In Harlem ; ACROBAT ACRCD 174 (2003. 9.27)

1941年ニューヨーク録音。グループ名に「デルタ」とありますが、ニューオーリンズ出身のかなり都会的で洗練されたコーラスを聴かせるグループです。おそらく元々はスピリチュアルを歌うグループだったと思われ、ゴスペルというよりは黒人霊歌と呼んだ方が良さそうな雰囲気の曲もありますが、音楽的にはかなり幅を感じます。「リトル・ライズ」はのちのドゥーワップのプロトタイプのようにも思えますし、ジャズ色の強い「ビューグル・ブギ」、ソフィスティケイトされたワークソングの「レイルロード・ソング」、日本ではデューク・エイセズのレパートリーとして知られるフォーク・コーラスとでもいうべき「ドライ・ボーンズ」、そして「ラ・クカラーチャ」から小粋な「ジョージア・オン・マイ・マインド」と、かなりコマーシャルに洗練されたコーラスは、エネルギッシュなゴスペルやR&Bとは一味違った世界です。



Delta Roux ; Bad Wind Blowin' ; B-SLIDE/TAXIM TX 1050-2 TA (2001. 1.25)

1999年の作品です。のっけからスワンピーなスライドで始まり、シンプルなリズム隊の下、いいムードのサザン・ロック風の演奏が続きます。ヴォーカルは顔に似合わない?ストレートな唄い方で、気持ちがいいです。肌の色に騙されてブルース系の濃いヴォーカルを想定すると完全に肩透かし。僕はこのボーカルかなり好きです。素直ですっと入ってきます。初期のリトル・フィートを彷彿させる(ただし毒気を完全に抜いた)ナンバーや、テキサス録音のせいもあるのか、ライ・クーダーに通じる曲もあり、飽きません。何曲かリゾネイタも弾いていますが、ストレートでしっかりした、でもいろんな音楽の要素を感じる演奏で、好感がもてました。



Delta Roux ; Only A Fool ; TAXIM TX 1055 2 TA (2002. 7. 5)

2002年リリースの新譜です。デルタ・ルー、基本はハリー・ボーディンのスライドギターと、マイケル・ミリガンの張りのあるヴォーカルの絡み合いです。1曲目の「ビフォア・アイ・ゴー」のリゾネイターがぐっとブルージーな雰囲気を出し、その上にやや歪んだスライド、そこへスカッとしたミリガンの歌が乗ってくると、もうデルタ・ルーの世界です。続くタイトル曲はぐっと重心を落としたファンクネス溢れる曲ですが、基本的な肌合いにぶれがありません。「ジ・アンサー」では珍しくコーラスも披露していたり、「キャント・キープ・カミン・バック」ではハープが加えられていますが、余分な音は何も加えず、基本的にはギターのダブだけで、カルテットの演奏をベースにしています。そして1曲トム・ウェイツの曲がある他は全曲オリジナル。高いクォリティがあり、もっと注目されて良いと思うのですが。



Dennis Binder ; Hole In That Jug ; EARWIG CD 4952 (2007.12.19)

2006年の録音が主ですが、「ラヴ・コール」と「アイ・ドント・ウォント・ノーバディ・メッシン・アラウンド・ウィズ・ミー」は1960年のものです。デニスはシカゴを皮切りに全国を移り住みながら活動してきたヴェテラン・ピアニストで、アイク・ターナーのキングズ・オヴ・リズムにいた記憶があります。確かなテクニックのピアノと、ちょっとひなびているけどブルージーなヴォーカルはちょっとフルソン似でなかなか魅力的。バックもしっかりした演奏で支えます。一方1960年の「ラヴ・コール」はA.C.リードをフューチャーしたインストで、「ナイト・トレイン」の改作と言ってもいいでしょう。こういう新録は嬉しいですね。



Dennis Gruenling ; I Just Keep Lovin' Him ; BACKBENDER BBR708 (2009. 3.15)

2008年リリース。タイトルから分かるようにリトル・ウォルターに心酔したハーピストのアルバムで、ギターにラスティ・ジンやハーモニカになんとキム・ウィルソンも参加しています。そのキムの他リック・エストリン、スティーヴ・ガイガーがハーモニカとヴォーカルで参加し、ダブルハープを披露しています。またジーナ・フォックスという女性も歌っていますが、この人の歌は僕はちょっと苦手です。全体にシカゴ・スタイル、特にリトル・ウォルターのスタイルを再現しようという意欲を感じ、ある程度成功していると思いますが、ゲストが多彩すぎて、本人がちょっとかすんだかも。うまいハーピストなんですけどね。




Dennis Jones ; Falling Up ; BLUE ROCK no number (2007. 8.19)

2003年リリースのデビュー・アルバムです。冒頭2曲からアコースティック・ギターの音を上手く生かしたしっかりしたアレンジの曲が並び、「シボレー」なんて古典的なコンセプトの曲も、ロック的なアレンジの中に抑制の効いたスライドギターを聴かせるなど、ごり押しだけでない幅の広さを見せています。勿論弾きまくったときにはスティーヴィー・レイ・ヴォーンばりのストラト・サウンドを聴かせますし、今風にフォークっぽい「ストレイ・バレット」や「プレイ・ユア・リトル・アウェイ」など、見かけとは異なるサウンドも出てきます。この他ジャズの素養を感じさせたり、弾き語りのブルースまでやったりと多彩ですね。歌も落ち着いていて才能を感じました。



Dennis Jones ; Passion For The Blues ; BLUE ROCK/BSMF 2037 (2007. 2.14)

2006年リリース。いきなり出てきた音がSRV丸出しってのが、やはり若手らしいと言えましょうか。ストラトの響きもよく似ていますし、ちょっと投げやりでジミ・ヘンドリックスからの影響も感じるヴォーカルもよく似ています。でもタイトル曲になると、ちょっとアコースティックな要素を交えたスローブルースで、ロバート・ジョンソンへのトリビュートを歌っていたりしますし、ジャジーな「グラフィティ」、ファンキーだけどどこかジミの影を背負ったような「アイ・ジャスト・ウォント・トゥ・メイク・ラヴ・トゥ・ユー」など、一筋縄では行かない幅の広さもあり、ラストのライヴ録音まで、一気に聴き通しました。これでこの人ならではの個性が出てくると、テクニックは十分なだけに面白いと思うんですが。



The Derek Trucks Band ; Out Of The Madness ; SONY SICP 1641 (2009. 1.30)

1998年リリースのセカンド・アルバム。いきなりスライドが唸る「プリーチン・ブルース」がガツンと来ました。こうして聴くと全盛期のオールマン・ブラザーズに凄く近いアプローチをしているなと思いました。特に「グッド・モーニング・リトル・スクール・ガール」や「44」はブルース・ロックの良質な形ですね。一方オリジナルの「オーライとト」のスライド・プレイの向こう側にははっきりとデュエインの姿が。そんな中に「ルッカ・パイ・パイ」が出てくるのが彼のセンスの良さでしょう。後半になるとジャジーなアレンジの曲が出てきますが、これもオールマンズの得意とした曲調。「デス・レター」と「デルタラーガ」のリゾネイタがアルバムのいいスパイスになっています。




The Derek Trucks Band ; Soul Serenade ; SONY SICP 457 (2004. 3.30)

1999から2000年に録音された作品です。タイトル曲はもちろんキング・カーティスのあの名曲ですが、これが実にスライドプレイとマッチするんです。この他基本的にはジャズ・テイストの強い選曲で、フルートが効果的に使われ、スライドによるソウル・ジャズ〜フュージョンといった趣がありますが、これって考えてみると初期のオールマン・ブラザーズのアプローチに共通するように思います。その上当のグレッグ・オールマンが思いっ切り泥臭く「ドラウン・イン・マイ・オウン・ティアーズ」を唸っちゃうとまんまかな。でももちろん音楽性はより幅広く、特にラストのリゾネイターとフルートが絡みつく「シエラ・レオネ」なんて、不思議なアフロ感覚です。やっぱりこの人はジャンル分け不能ですね。



The Derek Trucks Band ; Joyful Noise ; COLUMBIA CK 86507 (2004. 2.10)

2002年リリース。ことしのブルース・カーニヴァルで来日するとのことで、予習を兼ねて購入しました。本当は新譜が欲しかったんですが売り切れ。デレクはオールマン・ブラザーズ・バンドのブッチ・トラックスの甥っ子で、自身も現在のオールマンズのギターを担当してたんじゃないかと思います。冒頭のタイトル曲、いきなりセイクリッド・スティールのような雰囲気のスライドからファンキーなサウンドが飛び出し、なかなか御機嫌です。ジャズからフュージョン、さらにはアフリカ音楽までを吸収し再構成した演奏は、そのデュエイン譲りの粘っこいスライドがよくマッチしていて、ユニークなものです。もう少しいろいろ聴いてみたくなりました。



The Derek Trucks Band ; Live At Georgia Theatre ; DEREKTRUCKS C2L 92598(2006. 2.25)

2003年秋の2枚組ライヴです。したがってブルース・カーニヴァルで来日した時とメンバー的には同じなんじゃないでしょうか。でも2時間余りのたっぷりな演奏で、ジャムバンドとしての面白さが出ています。デレクのスライドにフルートが絡み、独特の空気感を醸し出したり、ゆったりしたノリの「フィール・ソー・バッド」が余裕を感じさせます。流石に2枚通して聴くと疲れるんですけど、ハイライトはやはり2枚目の「ジョイフル・ノイズ」でしょうね。リズムが自在に変わるジャムなんですけど、どこかゴスペルのテイストを感じます。ひとつはセイクリッド・スチールに似てる面があるからなんでしょうけど、リズムのうねり方とかが教会でのトランス状態に近いように思うんです。この曲からアンコールまでのテンションの高さは半端じゃありませんね。



The Derek Trucks Band ; Songlines ; COLUMBIA 82796 92844 2 (2006. 3.24)

2006年リリース。リズムにはアフロな雰囲気を醸し出し、スライドはあくまでも粘っこいデレクの作風はますます磨きがかかってきたように思います。ロック、ブルース、ファンク、ジャズといった音楽をミキサーに全部ぶち込んで、じっくりかき混ぜて作ったジャムのようなサウンドは、グルーヴィーで心地良いです。東海岸ブルースの古典「クロウ・ジェーン」の新しい解釈、リゾネイタで弾き語る「シボレー」はジャニスの魂を引き継いだかのようです。しかし「マージャン」ではちょっと中国風のサウンドを意識したり、「アイ・ウィッシュ・アイ・ニュー」ではゴスペルを感じさせたりと、デレク達の無国籍なサウンドは本当に面白いです。



The Derek Trucks Band ; Already Free ; SONY MUSIC JAPAN SICP 2160 (2009. 4. 6)

2009年リリース。いきなりボブ・ディランの曲をデレク独特のスライドで彩ってカヴァーしてみせる演奏にはびっくりしました。その音楽的な幅の広さはデビュー当時からありましたが、何でもやってみようという感じから、自分の好きな、自分に似合う音楽を突き詰めていく感じになってきたと思います。しかもじっくりとスタジオで腰を据えて音作りした様子が伝わってきます。ダミ声のマイク・マティソンの他、より若々しく張りのある声で歌うドイル・ブラマールという色合いの異なるヴォーカルを起用したことによって、より音楽的な幅も広がっています。「バック・ホエア・アイ・スターテド」では奥方のスーザン・テデスキもすばらしい歌を披露。南部のロック魂とソウルが見事に融合した作品となっています。




Detroit Blues Band ; Can't Get You Off My Mind ; NO COVER no number (2003. 1.14)

1995年リリースだそうです。これはかなり流麗なギターで、一昔前のロックサイドのうまいギタリストがブルースをそつなくこなしている感じでした。と思ってバックインレイを眺めてみると、ジム・マッカーティのプロデュースとあるではないですか!えのにもすフレンドさんの情報だとギターとヴォーカルで参加しているとか。この人って、あのカクタスのギタリストですよね。ティム・ボガートとカーマイン・アピスのいた。それを見てすべて合点がいきました。筋金入りです。マイナー系の曲のフレーズは特にブルースとは違う美しさがあります。ヴォーカルの線が細いのは仕方がないかな。初期のフリートウッド・マックとかマイケル・ブルームフィールドとかの好きな人には特にお薦めです。



Detroit Blues Band ; Playin' It Cool ; NO COVER NCP008 (2003. 2. 1)

1998年リリース。最初のボ・ディドリー・ナンバーと次の「スポンテニアス」を聴いた時、随分軽くなったなって思いました。ヴォーカルの力が抜けているのと、トレモロのかかったギターもソフトです。リズムもコーラスも軽やか。この姿勢は全編に貫かれていて、ちょっと引き気味だったんですけど、じわりじわりと味が出てくる感じ。チェット・アトキンスで有名な「ホウィールズ」が出てくる頃には結局はまっていました。ラストの「シャンペーン」はジョー・リギンズの「ピンク・シャンぺーン」なんですけど軽快で心地好いです。渋めの好きな方には向きませんが、気楽に聴くには最高かも。ちなみにクレジットを見る限り、ジム・マッカーティは参加していないようです。



Detroit Junior ; Live At The Toledo Museum Of Art ; BLUE SUIT BS-118D (2004.12.22)

2001年録音のようです。このアルバムでのデトロイト・ジュニアはピアノの弾き語り。パーティのようで、かなり有名な曲が並んでいますが、ブルースというよりは「メイベリン〜ホール・ロッタ・シェイキン」のようなロックンロールや、口三味線が可愛い「カレドニア」など、R&B寄りの選曲です。右手は頻繁にミスノートを鳴らしていますが、左手のがっちりしたリズムに支えられ、ちょっとほのぼのした雰囲気のヴォーカルとあいまって、リラックスして演奏を楽しんでいる様子がよく分かります。決して名演とは呼べませんが、目の前で見たらきっととても楽しめたんじゃないかな。そんな雰囲気がよく伝わってくるアルバムです。



Detroit Jr. ; Blues On The Internet ; DELMARK DE-777 (2004.12. 3)

2004年録音の新譜です。ゾラ・ヤングに起こされる十八番の「コール・マイ・ジョブ」から始まりますが、デトロイト・ジュニア、思ったよりずっと元気な声を聴かせます。ピアノも達者ですし。でも何より耳を捉えたのが、バックのギター人の頑張り。特にルリー・ベルは、素晴らしく味わい深い枯れた雰囲気の音で、ジュニアのサウンドに見事に溶け込んでいます。親子作なんかよりずっといいな。またジミー・ドウキンスも1曲やってますけど、こちらも渋く控えめながら、彼とすぐに分かるフレーズで、これまた自己名義作でのプレイより僕は好きです。後はモーリス・ジョン・ヴォーンが手堅くやっています。オリジナルが中心の中、フルソンの「ロッキン・アフター・ミッドナイト」を落ち着いて決めたり、もうそんな歳じゃなかろうと思いながらも、「メッシン・ウィズ・ザ・キッド」を元気に歌うあたりに、気概と言うかパトスを感じました。



Dexter Ardoin ; Creole Ramblers ; LOUISIANA RADIO CD#5731 (2004. 4. 7)

2003年リリース。アルドワン一家の中ではデクスターは最もおじいちゃんのボア・セックのやっていた、伝統的なクレオール・ミュージックに近いスタイルでやっています。デニス・ストローマットのフィドルとコーラスが全編に絡み、ダンサブルなトゥステップやワルツがどんどん溢れ出てきます。ドラムは自身で担当、ベースとギターにはクリスが担当しているせいか、モダンな感覚も感じられます。最近のクリスなどのザディコよりほわっとした感じですが、ケイジャンに比べると底抜けに明るいって感じでもなく、やっぱりビート感覚がより「黒っぽく」感じられるのは先入見でしょうか。



Dikki Do And The Zydeco Crew ; Make It Funky ; SWAMPADELLIC no number (2003. 1.11)

2001年リリース。まずレーベル名からして洒落が利いているファンキー・ザディコ路線なんですが、ファンカデリックのようなクールで都会的なファンクネスとは対極にある、如何にもローカルでじたばたした感じの演奏が微笑ましいです。特にドラムはドタバタ感たっぷりで、なんというか枠に収まりきらないエネルギーが溢れています。「ザディコ・ロード」という曲が2回出てきますが、実質的には別の曲のよう。それに挟まれたタイトル曲は、思いっ切りJBを意識していると思うんですが、なぜか歌詞がテンプスの「マイ・ガール」だったり、洗練されていない分、かえって面白いですね。心意気を聴くアルバムと思いました。



The Dirty Dozen Brass Band ; Voodoo ; COLUMBIA CK 45042 (2007. 7. 4)

1989年リリース。ここのところずっとリバースとダーティ・ダズンを聴いているんですが、このアルバムあたりにダズンズの方向性が出て来ているように思います。ドクター・ジョンとかディジー・ガレスピーといったビッグネイムをゲストに迎えたメジャー指向もですが、サウンドがおとなしくコンパクトになって来ているように思います。カーク・ジョセフも控え目だし。この辺りがひょっとすると彼がバンドを離れるきっかけになったのかもしれませんね。選曲もチャーリー・パーカーの「ムーズ・ザ・ムーチー」のように思いっ切りジャズ指向だったりするし。ストリート感覚が薄れていく感じを受けました。



The Dirty Dozen Brass Band ; The New Orleans Album ; CBS CK 45414 (2009. 7.10)

1990年リリースのアルバムで、ゲスト・ヴォーカルを巧みに生かした好盤です。まずはファッツ・ドミノの「ホウェン・アイム・ウォーキング」をエディ・ボーが歌いますが、彼ならではの軽妙さをダズンズらしい軽快なブラスが支えていて気持ちがいいです。バーソロミュー作のジャンプ・ナンバー「ザッツ・ハウ・ユー・ゴット・キルド・ビフォー」を歌うのはエルヴィス・コステロで、よく知らなかったんですが、彼はこのころからこうしたニューオーリンズ・サウンドに近いところにいたんですね。この他そのバーソロミュー自身ののヴェルティ・ソング「ザ・モンキー」を、ご本人が楽しく歌うなど、ダズンズのインスト・ナンバーの中にゲスト曲が上手く取り混ぜられていて、とても聴きやすい作品になっています。




The Dirty Dozen Brass Band ; Jazz Moods - Hot ; COLUMBIA/LEGACY CK 93652 (2005. 8.28)

1989〜93年に発表された曲の集大成です。タイトル通りディジー・ガレスピーやブランフォード・マルティネスの入った曲ではかなりじゃズバンド的な演奏を聴かせます。全体にブラスバンドならではの強烈さは押さえられており、ちょっと物足りないかなって思う部分もあります。でもそんな中、ドクター・ジョンがゲストで歌う「イッツ・オール・オーヴァー・ナウ」がなかなかドロリとしていて格好いいですね。でもこのお行儀の良さがダズンズをブレイクさせた要素かもしれません。僕個人としてはリバースの一種雑駁な雰囲気が好きだったりしますが。



The Dirty Dozen ; Ear To The Wall ; MAMMOTH MR0412-2 (2004. 4.21)

1996年リリース。全編オリジナル曲で固めた本作は、キーボードやエレキベース、さらにギターも入り、かなり低重心でファンク度を高めた作品と言えます。リズムはセカンドラインなんですが、結構地べたをはうようなドロッとした感じがあります。そんな中「マイ・フィート・キャント・フェイル・ミー・ナウ」のようないかにもニューオーリンズな曲が登場するとなぜかウキウキしちゃうんですよね。続く「ゲッティン・イン・ザ・カット」やラス前の「フロウ・オン」もそうだけど、やっぱりスーザホーンがいいなぁ。「ファイヴ・アクエイリアムス」なんかフュージョンみたいでちょっと苦手。



The Dirty Dozen Brass Band ; Buck Jump ; MAMMOTH 354 980 195-2 (2007. 5.13)

1999年リリース。僕の中ではダズンズというのは、名前はともかくブラスバンドとは一線を画するバンドだと思っています。ひとつはドラムセットを使ってるせいもありますけど、やっぱりサウンドが違うんですよ。初期のダズンズはそれでもセカンドラインを練り歩くブラスバンドの香りがしましたけど、このアルバムあたりになると薄いですね。ジャズっぽい「ダフ」とか、ファンクっぽいジャムを展開する「デッド・ドッグ・イン・ザ・ストリート」とか。ラテンフレイヴァー溢れる「ペット・ザ・カット」なんてのもありますが。そんな中、ダミ声で歌われる「ラン・ジョー」がなぜか懐かしく感じられました。



The Dirty Dozen Brass Band ; Medicated Magic ; ROPEADOPE/TOSHIBA EMI TOCP-65982 (2002. 4.27)

ダーティ・ダズン好評の新譜です。もちろん2002年リリース。曲名を見るとミーターズ絡みをはじめ、アーマ・トーマス、アーロン・ネヴィルなどのバラードを含めニューオーリンズ・ヒットパレードといった感じで、まずは外れなしって選曲です。さらにヴォーカルにドクター・ジョンからオル・ダラまでと渋めの人々が参加、スティールで今脚光を浴びているロバート・ランドルフもぎゅんぎゅんやってます。さて中身はまごうことなきD.D.B.B.なんです。フォンクを本来の意味でのセカンドラインでやっている感じで、適当に拡散したサウンドがパーティ感覚で気持ちがいいです。面白かったのはオル・ダラの「ジャンコ・パートナー」で、結構さらっと歌ってるかなって思って聴いていたら、突然アフリカっぽくなっちゃうところがしっかり自己主張してるなって思いました。ボーナスは本編よりはジャムっぽさが強い感じでした。



The Dirty Dozen Brass Band ; We Got Robbed! - Live In New Orleans - ; DIRTY DOZEN BRASS BAND no number (2004. 2.11)

2003年5月のライヴです。ドライヴ感溢れるリズム隊に乗って、ブラスがぐいぐい押していく感じはまさにダーティ・ダズンならでは!有名なファンクナンバーのリフを取り入れながら、一方でソロワークはジャズの香りが強かったりします。生で見たら凄そうです。ただ、昔に比べてニューオーリンズの持つ緩さが感じられず、ジャムバンド的な雰囲気が強まっていると思うのは僕だけでしょうか?ドラムセットのせいだけとも思えないんですが。



The Dirty Dozen Brass Band ; Funeral For A Friend ; ROPEADOPE/P-VINE NON STOP PVCP-8231 (2004. 5. 1)

2004年1月に亡くなったバンド創設者のひとりで、ニューオーリンズのブラスバンドの重鎮チューバ・ファッツの追悼盤です。タイトル通り葬儀のブラスバンドを再現した演奏で、天に召す者の魂を送り出す気持ちが随所に現れています。ギターはアコースティックを用い、アコーディオンも加わった曲もあります。日本でも有名な賛美歌「いつくしみ深き」をしっとりと演奏する中でコーラスが聞こえ始め、中盤ではダヴェル・クロフォードが率いるクワイアがゴスペルを熱唱します。セカンドライン・マーチを象徴する「ダウン・バイ・ザ・リヴァーサイド」で送り出し、締めくくりは「アメイジング・グレイス」と、いつもよりラフで、悲しみがにじみ出たような演奏は、やはり心を打ちます。



The Dirty Dozen Brass Band ; What's Going On ; SHOUT! 826663-10178 (2006. 9. 2)

2006年リリース。ダズンズがなんとマーヴィン・ゲイの代表作のカヴァーアルバムを作りました。全9曲、曲順まで全く同じです。マーヴィンのアルバムは戦争や環境問題といった社会問題について、真正面から取り組んだ作品として知られますが、ダズンズはジャケットからも分かるように、カトリーナ災禍とそれに対するアメリカ政府の無策に対する深い悲しみと怒りから、カヴァーするに至ったのだと思います。いわゆるブラスバンド的サウンドというより、タイトル曲ではチャック・Dの参加を得てヒップホップの手法を加え、またゲストにベティ・ラヴェット、G・ラヴ、アイヴァン・ネヴィルなどをヴォーカルとして迎えることにより、重厚なサウンドにメッセージ性の高い歌という組み合わせになりました。普段のダズンズのイメージを期待すると完全に肩透かしなんですけど、訴えかける力のあるこれはこれでいいのではないでしょうか。ただよく聴いてないと、「マーシー・マーシー・ミー」なんて歌い回しが違いすぎて別の曲かと思っちゃいましたが。



Django Reinhardt ; Djangology ; BLUEBIRD 09026-63957-2 (2003. 2.22)

クインテット・オズ・ザ・ホット・クラブ・オヴ・フランスによる1949年録音。学生時代飲みに行っていた店(昨年つぶれてしまった)でよくかかっていたお気に入りの一枚の、ボーナス付きCD化。ステファン・グラッペリの哀愁を感じるヴァイオリンと、実にマッチしたジャンゴのギター、いつ聴いても気持ちいいですね。ちょっとジョー・リギンズの「ハニー・ドリッパー」を思わせる「ヘヴィー・アーティレリー」から「ラ・メール」にいくあたりのコントラストなんか最高です。お気に入りは「ハニーサックル・ローズ」。ジャンゴというとこの歌のメロディが出てくるぐらい好きなんです。大名盤ですね。



Doc Paulin's Marching Band ; Doc Paulin's Marching Band ; SMITHONIAN FOLKWAYS FJ 2856 (2007.11.10)

1982年のFOLKWAYSのアルバムをCD化したもののようです。おそらくストリートか何かでの演奏をそのまま録音したもののようで、音質は引っ込み気味ですが、その分生々しさが出ています。最近のブラスバンドと異なり、強烈なビートはありませんが、ここの演奏者が達者で安定したサウンドを出しています。もちろんニューオーリンズ・テイストはたっぷりで、「聖者の行進」や「セカンド・ライン」なんて定番も。ドラムのロールから入るブラスバンドらしいスタイルで聴く「バイ・バイ・ブラックバード」、なかなかおつなものです。



Doc Pomus ; Blues In The Red ; REV-OLA CR REV 148 (2006. 4.19)

ATLANTIC専属のソングライターとして、数多くのヒット曲を提供したドクの自己名義録音集で、おそらく1945〜55年くらいの者でしょう。スタイルは完全なジャンプブルースで、ジョー・ターナーあたりからの影響を強く感じさせる結構タフな歌声と、なかなかイカしたバンドサウンドが魅力的です。クラリネットなども入ってますから、ちょっとジャズよりのメンバーを集めたのかもしれませんが、出している音は白人とは思えない漆黒さで、時代の流行を鋭くキャッチする資質があったことをうかがわせます。オリジナルの他「ジェリー・ジェリー」なども取り上げ、スローでもいい感じの歌を聴かせます。ラスト2曲はライヴ音源で、ジョー・ターナーのメドレーなどをやってますが、ジョーそっくりの声で歌ってます。でもこの達者なギターは誰でしょうか?



Doc Starkes & His NIte Riders ; Night Ridin' FAMOUS GROOVE FG 971014 (2004. 9.16)

1954〜61年録音のようです。このバンド、SUEのコンピで1曲聴いたことがあるくらいで、殆ど知りませんでした。フィラデルフィアで結成され、APOLLOなどに録音が残っていますので、主に東海岸で活動していたんでしょうか。「アップル・シダー」やタイトル通りのティーンズ・チューンの「ウェイティング・イン・ザ・スクールルーム」あたりはティーンズ・ポップに近いR&Bって感じなんですが、ジャイヴ風味の効いたもの、御機嫌なギターの聴ける「ウイメンズ&キャデラック」、汽車の音が強烈な、イーストコースト盤「アフター・アワーズ」と「ナイト・トレイン」を合体したような「ヴァケイション・タイム」など、コーラスからインストまで多彩です。タイトル曲はジャズテイストのあるイカしたインスト、それにボ・ディドリーみたいな「プリティ・プライド・スカート」と節操がないと言ってもいいかも。フェイ・シモンズの歌う「ウィム・ワム・ウォップ」とか、61年録音の「アイヴ・ビーン・シンキング」なんて結構かっこいいロッキン・ブルースなんで、実力派のバンドが売れ線を狙っていろいろやってたのかしらなんて思ってしまいました。



Doc Watson ; Foundation - The Doc Watson Guitar Instrmental Collection 1964-1998 ; SUGAR HILL SUG-CD-3916 (2009.11. 5)

ドックの名演を集めたコンピです。この人のフラット・ピッキングの正確さは本当に見事ですね。「ブラック・マウンテン・ラグ」などを聴いていると、こうした演奏がなぎら健壱などに影響を与えたんだなって言うのが分かります。また「ヴィクトリー・ラグ」は高田渡の「わたしはわたしよ」の元曲ですね。また「ナッシュヴィル・ピッキン」や「テキサス・ゲイルズ」の高速ソロは、速いだけでなく味わい深く、聴いていて快感です。また「ロンサム・バンジョー」のいかにもブルーグラスといったサウンドも僕は好きです。そして「キャノンボール・ラグ」、参りました。




Doc Watson ; Trouble In Mind - The Doc Watson Country Blues Collection 1964-1998 ; SUGAR HILL SUG-CD-3966 (2009.11. 3)

盲目のブルーグラッサー、ドックの歌うブルース集です。ドックはバンジョーもギターも見事に弾きこなし、ブルーグラスな解釈で「シッティン・オン・トップ・オヴ・ザ・ワールド」「メンフィス・ブルース」などを歌っています。またレイン・クロウ・ビル」では見事な腕前のハーモニカも披露、さらには「アニヴァーサリー・ブルー・ヨーデル」ではジミー・ロジャーズから伝わるヨーデルも歌っています。こうして聴くとブルーグラスにブルースはしっかり根付いているんだなって思いました。それにしてもドックのピッキングは本当に素晴らしいです。




Doctor Feelgood ; Live In London ; LINE LICD 9.00975 O (2005. 5. 4)

1989年のライヴです。「パブ・ロックのドン」と呼ばれるこのバンドですが、実はほとんど聴いたことがなく、中古で買って聴いてみました。でも、これいいです。結構ストレートど真ん中って感じ。B.B.キングの「ユー・アップセット・ミー」や「ルート66」など、ブルースフォームの曲も多いんですが、このさらっとした演奏は凄く好みです。ブルースっていうと妙に力の入ったゴリゴリのギタープレイを全面に出すロックバンドやミュージシャンが多いんですが、このリラックス感は魅力的。曲をどんどん繋いでいき、あっと言う間に終わっちゃう感じです。アンコールの「ボニー・モロニー」と「テキーラ」のメドレーも洒落たセンスを感じます。こりゃハマッちゃいそうです。



Don Covay ; See-Saw ; ATLANTIC/WARNER WPCR-25247 (2007. 2. 6)

1964〜66年の、スタックススタジオでの録音を含むアルバムのリイシューです。コヴェイの魅力は何といってもそのダンスナンバーで聴かせる洒落た曲作りと、それにマッチしたボーイッシュなヴォーカルだと思います。タイトル曲などレトロなジャケットを見ながら思わずにんまり。「ブーメラン」もギターの擬音から笑っちゃうような楽しさ。バッとマンのテーマをパクった「ファット・マン」なんてのもあり、かなり際物っぽさもあります。「スーキー・スーキー」の決めの部分なんて一生忘れないでしょうね。そして名作「マーシー・マーシー」、ちょっとペーソスのある歌詞といい、曲も歌も素晴らしいです。そんな中にちょっと切ないバラードが挟んであるんですから、ともかく聴いていて全く飽きないアルバムです。



Don Covay ; Super Dude - The MERCURY Years Vol.1 Plus ; RPM RPMSH 292 (2006. 4.16)

1973年のアルバムに1971年の曲を追加したもの。いやいや、これはファンキーです。ドン・コヴェイと言えばATLANTICでの「マーシー・マーシー」で有名で、けっこういいブルースも歌うということなんですが、このどこかB級なファンキーサウンドは、グリグリ腰に来ます。チャック・ベリーの「メンフィス」をレゲエ仕立てでやったりバラードも歌うんですが、どこかストリートな味わいがあり、その個性的な歌声もあって独特のざらつきが気持ちいいです。この時代になるとフィリーサウンドのような練り込まれたゴージャスなサウンドが主流になり、またファンクもどんどん洗練されてくるわけですが、こういった生ジュース100%なサウンドがあったんですね。「マネー」のヒップさなんて今聴いても相当イケてると思うんですが。1971年のサウンドはブーガルーっぽさのある、より低重心なファンクネスを感じます。漆黒のアルバムです。



Don Cobay ; Funky Yo Yo ; SHOUT! SHOUT 25 (2006. 4.18)

1977年の録音にボーナスとして1971年のものを加えたものです。ディスコ全盛時代なのに、ドンはどっちかっていうとロックよりのサウンドを出しています。「ラヴ・イズ・スウィーター」なんて60年代のストーンズみたい。ドンの声がミックに似てるせいもありますが、サウンドも「ルビー・チューズディ」あたりの頃に似てるんですよ。「ヨーヨー」はいかにもファンキーで格好いいです。このチトリン・サーキットの香り漂う曲がこの時代に作られていたのが嬉しいですね。でもこの声、本当にミックと聴き間違えます。一方1971年の音の方が、むしろ新しいサウンドに聞こえます。ファンクを構築していこうという姿勢とかを感じるんです。「イフ・ゼアズ・ウィル・ゼアズ・ア・ウェイ」なんて、まるでダニー・ハザウェイみたいなリズムトラックだったりします。でも「イン・ザ・スウィート・バイ・アンド・バイ」、美しいバラードです。この人、もっといろいろ聴いてみたいですね。



Don McLean ; American Pie ; CAPITOL 72435-84279-2-9 (2005. 9. 9)

1971年録音。実はこのタイトル曲、シングル盤(A/B面に分けて収録)で持ってるんです。当時クリアケースを下敷き代わりにするのが流行っていて、それにこのシングルのジャケットを入れてました。自分の人生の中で1〜2位を争う大好きな歌なんです。アルバムはある時レンタル店の払い下げで手に入れました。それで裏表の切れ目のないヴァージョンが手元に来たんです。今回は中古店でCDを発見。通しで聴きました。素晴らしいソングライターだし、みずみずしさのあるヴォーカルも素敵です。でも、アルバムを通してタイトル曲を越えるものがありません。というか、どこか似通ってるんです。このあたりがこの人の限界かなと思いました。つまり、タイトル曲に才能が凝縮されてるってことです。だから無条件でOKなんですけどね。



Don Nix & Friends ; Going Down - The Songs Of Don Nix ; EVIDENCE ECD 26125-2 (2003. 2.13)

2002年リリース。ドン・ニックスというとSHELTERなど南部のロックやブルースシーンの名プロデューサ、コンポーザという印象が強いですが、彼が豪華絢爛なゲストを集めて自作曲を再演したのがこのアルバムです。ドンは決して歌はうまいとは言えませんが、味わいのあるひなびた感じがいいです。そこにボニー・ブラムレット、スティーヴ・クロッパーからブライアン・メイにジョン・メイオールまでが参加して、まあ皆さん楽しんでますね。「セイム・オールド・ブルース」のダン・ペンの歌もいいし、クロッパーらしい複弦弾きのソロからボニーのヴォーカルに行くあたり、このプロジェクトの面白さが出てると思いました。タイトル曲も思いっ切り豪勢なメンバー、ブライアンがロックし、ドンはまるでジョニー・ウインターかという歌いっぷり!で、「ブラック・キャット・モーン」てドンの曲だったんだ!てっきりジェフ・ベックかと思ってました。



Don Rich ; Throw Away The Key ; JIN JIN-9072 (2002. 8.20)

2001年リリースで、ジャンルとしては「スワンプ・ポップ」と言うそうですが、僕が聴いていて思い出したのはなぜかスリー・ドッグ・ナイトでした。音が似ているというわけじゃないですが、人の曲をを見事に消化して、素晴らしいカヴァーチューンに仕立て、極上のポップに仕上げているあたりが共通するものを感じるんです。ひょいとゆったりした「イン・ザ・ムード」(インスト)が挟み込んであったり、伸びやかなロイド・プライスの「ジャスト・ビコーズ」の後に、全然こってりしていないけれど、とっても心のこもった「ザッツ・ハウ・ストロング・マイ・ラヴ・イズ」が続くあたり、只者じゃないなぁ。そしてパーティ・ソング「カーリー・シャッフル」での掛け合いの言葉の面白さ。エンディングにちゃっかり「リッスン・トゥ・ザ・モッキンバード」をぱくる遊び心もあり、清涼感のある楽しいアルバムです。



Donald Fagen ; The Nightfly ; WARNER BROS. 7599-23696-2 (2010. 1. 7)<

1982年リリース。このアルバムは当時行きつけだった飲み屋でほぼ毎日のように聴いていました。ヒットしたレゲエ仕立ての「I.G.Y.」など、耳について離れませんでしたね。AORの王道と言った感じです。で、改めて聴き直すと、当時はあまり気づいていなかったんですが、スティーリー・ダンからの影響がめちゃめちゃ強かったんですね。ただしより耳触りが良く、ソフトに仕立ててある感じですが。タイトル曲はクウィンシー・ジョーンズに通じるものも感じますね。「ニュー・フロンティア」の軽快なノリがやっぱり好きです。




Donna Angelle ; It's Alright ; J&S JS-6104 (2004. 1. 7)

2001年リリース。いきなりインプレッションズのタイトル曲をザディコ風味に料理していますが、これがインパクト満点でつかみとしては最高でしょう。ヴォイス・エフェクトをうまく使いながら、ドナの芯の通った声が響き渡り、アコーディオンが絡んできます。全体にかなりソウルフルでファンキーなサウンドに仕上がっていて、特にベースのグリスの使い方は一瞬ジェニファー・フランクを思わせました。時折もろフュージョンて感じの音が入るのはご愛敬ですが。ドナの魅力は真っすぐなパワーを感じる歌声で、ゴスペルを歌ってたんじゃないかなって思いました。これが彼女のベストアルバムのように思えます。



Donna Angelle & The Zydeco Posse' ; Workin' It ; MTE 5085 (2006. 4.30)

2006年リリース。ドナも結構新しいザディコの流れに敏感なようで、冒頭の「ロデォ・ショウ」なんてちょっとクリス・アルドワンを思わせるマイナーチューン。でも歌がソウル溢れるオールドスタイルなもんで、ちょっと印象が異なります。でもこうしたタイトなリズムがやっぱりトレンドになってるんでしょうね。この人の魅力はソウルフルな歌で、「アイ・ラザー・ゴー・ブラインド」何か結構はまってます。でもスリーローの柔らかいアコーディオンが生きるのはやっぱりワルツかな。「カーティン」なんてクレオール節も効いていてほっとするなぁ。ブーズー・シェイヴィスの「アイ・ゴット・ア・ペッパー・イン・マイ・シュー」もいい感じにロッキンしてるし、なんだか新しい方を向かなくても十分ドナは魅力的だと思うんですが。



Donna Angelle & The Zydeco Posse' ; Guaranteed Lover ; MDM 7751 (2009. 1.22)

2008年の新譜です。いきなりマイナーのトゥーステップ「ザディコ・トレイン」から始まりますが、アコーディオンだけでなくシンセサイザーも使ってちょっと雰囲気が違います。続く「ザディコ・サウンド」はスティーヴィー・ワンダーの「マスター・ブラスター」ですね。この他テンプスの「ジャスト・マイ・イマジネーション」を取り上げたり、この人どんどんソウルやファンク色を強めているみたいです。歌がソウルフルなので結構似合ってますけど、せっかくだからシンセサイザーじゃなくてアコーディオンで攻めてもらいたかったな。明るい「キス・ミー・ライク・ユー・ミス・ミー」みたいなザディコ、結構いいと思うんだけどなぁ。




Donny Hathaway ; Donny Hathaway ; ATLANTIC/RHINO R2 71519 (2005. 7.15)

1971年リリース。内省的だけどどこかファンクネスを感じさせるサウンドに乗って、おそらくこの時代屈指の歌唱力を持つダニーは歌います。落ち着きと憂いの後に、おそらくゴスペルにルーツを持つ「熱さ」が秘められている彼の歌声は、どんな曲を歌ってもブレがなく、説得力を持って僕に伝わってきます。「ア・ソング・フォー・ユー」、「リトル・ガール」、そしてジョージ・クリントン作の「シー・イズ・マイ・レディ」、「テイク・マイ・ラヴ・ソング」といったゆったりと伸びやかに歌う曲の素晴らしさはひとしおですね。ボーナス2曲入り。



Donny Hathaway ; Donny Hathaway Live ; ATCO 18P2-3090 Click Here!

Donny Hathaway ; These Songs For You, Live! ; ATLANTUC/RHINO/WARNER WPCR-11945 (2005. 7.19)

1972年の名盤となったライヴに、1971年と73年のライヴを加えて再構成したアルバムで、発売時かなり評判になったんですが、ようやく聴くことができました。今回初めてリリースされたトラックはインタビューを含めて7曲になりますが、その中で何といっても聴きものは「イエスタディ」だと思います。ダニーの憂いを含んだ歌声がなんとこの曲にマッチするんでしょう!あのポールのクラシックテイストの曲が、見事なニューソウルのバラードとなって蘇りました。「天才」とスティーヴィー・ワンダーを紹介して歌う「スーパー・ウーマン」から「ア・ソング・フォー・ユー」に続く弾き語りの素晴らしさはもう説明不要でしょう。この溢れんばかりの才能が自らの命を縮めてしまったのかななんて思ってしまう、そんな彼の生きざまを捉えた好盤だと思います。



Donny Hathaway ; Extension Of A Man ; ATLANTIC/WARNER WPCR-25231 (2007. 4.10)

1973年リリース。ダニー4枚目のアルバムです。しっかり練り込まれたオーケストレーションからスタートするアルバムは、クラシックやジャズの素養を身につけたダニーならではのサウンドで、スティーヴィー・ワンダーにあい通じる明るめのメロディラインに、ゴスペルの香りのする歌い回しで哀愁を感じさせる、ダニーならではの曲が並んでいます。じっくりと思索し、それを音楽に結実させていったのがよく分かる作品です。でもその思索の深さの分、それ以前のアルバムに比べ突き抜けた感じが薄れているようにも思います。ひょっとするとこの辺からダニーは自分の才能の隘路に落ち込んだのかもしれません。後付けですけどね。



Donovan ; Donovan's Greatest Hits ; EPIC ESCA 7807 (2007. 7. 6)

1964〜1970年のベストです。「イギリスのボブ・ディラン」と呼ばれた訳は初期の「カラーズ」などを聴くと分かるんですが、僕にとってのドノヴァンは何といってもB.B.C.のライヴで聴いた「メロー・イエロー」で、あのちょっとサイケデリックがかった柔らかい感じが好きです。そうなるとやっぱり「サンシャイン・スーパーマン」のような、ストーンズとかブラインド・フェイスに通じる雰囲気が面白いわけで、イギリスのロックをあんまり聴いていなかった僕にはいろいろ新鮮な曲が多かったです。



The Doobie Brothers ; Listen To The Music - The Very Best Of The Doobie Brothers ; WARNER BROS. 9548-31094-2 (2005. 1. 2)

1972〜1980録音に1993年の「ロング・トレイン・ラニン」のリミックスヴァージョン入りのベストです。ドゥービーは「Toulouse Street」から「Stampede」までの4枚はアルバムで持っているんですが、車で気楽に聴けるベストってことで入手。タイトル曲が何といっても最高にいいです。それと「ジーザス・イズ・ジャスト・オールライト」、この2曲でドゥービーは決まりかもしれません。その後の「The Captain And Me」でぐっとポップさを増し、「What Were Once Vices And Now Habits」で、ニューオーリンズ・サウンドにもアプローチするんですが、この辺りはリトル・フィートの方が一枚も二枚も上手かな。マイケル・マクドナルドがトム・ジョンストンに代わってメインヴォーカルに座るあたりから、AORというか勢いがなくなっちゃって、「ホヮット・ア・フール・ビリーヴズ」はいい曲とは思うんですが、ピンと来ない自分を再確認しました。あすは久々に「Toulouse Street」をターンテーブルに乗せようかと思ってます。



The Doobie Brothers ; Toulouse Street ; WARNER MUSIC JAPAN WPCR-13654 (2010. 1.29)

1972年リリース。最近CD化しました。ドゥービーズの地位を決定的にした大ヒット「リッスン・トゥ・ザ・ミュージック」で始まるアルバムですが、このカリフォルニアのバンドの伸びやかなロックが一番生き生きしているアルバムじゃないでしょうか。続く「ロッキン・ダウン・ザ・ハイウェイ」の心地良さ、「ジーザス・イズ・じゃスト・オールライト」のパーカッシヴな魅力、そんな中にサニーボーイの「ドント・スタート・ミー・トゥ・トーキン」のロックなカヴァーが混じってるあたりがセンスの良さを感じます。




The Doobie Brothers ; What Were Once Vices Are Now Habits ; WARNER MUSIC JAPAN WPCR-75027 (2010. 2. 3)

1974年リリース。全米No.1ヒットの「ブラック・ウォーター」を生んだアルバムで、ジャケットのライヴシーンもインパクトがありました。一方でブラスセクションを入れたソウル指向の音作りをし、他方でカントリー・テイストを出すというある種ロックバンドとして様々な試みを始めたなっていうのが聴いたときの印象で、「ブラック・ウォーター」のヒットはもしかするとバンドにとって必ずしもプラスじゃなかったのかななんて思ってます。方向がぼやけましたから。僕はやっぱりトム・ジョンストンの根アカなアメリカン・ロック指向が好きだったんで。




The Doobie Brothers ; Stanpede ; WARNER MUSIC JAPAN WPCR-75028 (2010. 1.30)

1975年リリース。このアルバムの冒頭の「スウィート・マキシン」、一発ではまりました。それにこれはヒットしたMOTOWNのキム・ウェストンのカヴァー「テイク・ミー・イン・ユア・アームズ」も好きでした。MOTOWNの良さを上手く引き出してロック化していましたから。僕にとってドゥービーズはこのアルバムまでですね。マイケル・マクドナルドが苦手なんです。




Dora & The Zydeco Badboys ; Dona's Time ; ZYDECO GUMBO no number (2004.11. 6)

2004年リリース。ボタンアコを持った露出度が結構高い女性の写真を見てジャケ買いしました。ヒューストンの人らしいですけど、ドライな音質の音数の少なめなアコーディオンに、やや低めの、パワーを全く感じない、マイクに口くっつけて歌うようなヴォーカルです。ダンスミュージックっていうより、クラブで、それもダンスフロアのないような店で聴くのがいいかも。「コール・ザ・ポリス」という曲だけちょっと勢いがあるなと思ったら、この曲はバックがキースとブラッド・フランクでした。ロージーのライバルにはちょっと遠いかな。



Dora & The Zydeco Badboys ; Finger Snappin' 2 Steppin' ; ZYDECO GUMBO ZG002 (2006. 8. 6)

2005年リリース。テキサスの都会派ザディコのディーヴァ、ドラの新譜は、前作がヒューストンあたりのクラブで演奏する雰囲気だったのに対し、ローカルなフェスティヴァルでやっても受けるんじゃないかなって思わせる作品です。伝統的なトゥーステップや、合いの手を入れる感じがいいんですよ。変な気取りがなくなって、ザディコらしいダンスチューンが並んでいます。もちろん背後には都会的な新しいセンスも感じられるんですけど、無理に背伸びをするのを止めて、ザディコで踊ってちょうだいってスタンスになったように思います。この路線は僕は好きですね。



Dorothy Moore ; Gittin' Down Live! ; FARISH STREET FSR 1004 (2008. 2.21)

2003年リリース。エキサイティングなドロシーのライヴを見事に捉えた作品です。音質は決して良くないんですが、ステージと観客の熱気がビンビン伝わってきます。前半はじっくり歌い込む感じで、「ファニー・ハウ・タイム・スリップ・アウェイ」なんて良い味出してますね。アリサの「ドクター・フィールグッド」もぐっとブルージーな解釈で、せり上げるような盛り上がりが格好いいです。代表曲「ミスティ・ブルー」が真ん中へんに配されていてひとつのピークとなっています。後半では勢いのある「リスペクト」から、エディ・フロイドとデュエットする「ホゥエン・サムシング・ロング・ウィズ・マイ・ベイビー」にいくあたりがいいですね。アメリカ、フランス、イギリスでのライヴをつなぎ合わせた作品ですが、彼女のショウの魅力が満載でした。



Doug Cox & Sam Hurrie ; Hungry Ghosts NORTHERNBLUES MUSIC NBM0030 (2005. 9.30)

2005年リリース。いきなりオールマン・ブラザーズの「リトル・マーサ」をアコとエレキの2種類のギターでデュオしているのが凄く新鮮です。時折ベースを入れ、各種のリゾネイタやワイゼンボーンでのスライド、さらにマンドリンを加えながら、ブルースを中心に奏でます。サムが歌う自作の「クール・ドリンク・オヴ・ウォーター」なんていい感じ。トミー・ジョンスンの「キャンド・ヒート・ブルース」はオリジナルの味わいを残しながらリズムに大きな工夫を加えていますし、多分ジム・ジャクソンの「カンサス・シティ」もゆったりと落ち着いたアレンジで、こんな感じでやりたいなぁなんて思っちゃいました。ゴスペルの要素も感じさせ、サン・ハウスの「グライニング・イン・ユア・フェイス」にはルーシー・フォスターも歌で参加してます。そしてローリング・ストーンズの「ノー・エクスペクテイションズ」、カントリー歌手にも人気のあるこの曲を、清しさを感じさせるアレンジでやってます。佳作ですね。



Doug Kershaw ; Flip, Flop & Fly ; WARNER BROS./COLLECTABLES COL-CD 6566 (2005. 6.20)

1977年リリース。これはケイジャン・ロックと言えばいいんでしょうか。フィドルとアコーディオンを奏するダグ・カーショウなんですが、まあ気持ちのいいノリだこと。冒頭のザ・バンドの「ママ・ラグ・ママ」からしっくりはまっています。ドクター・ジョンやエルヴィン・ビショップなどをゲストに迎え、タイトル曲や「アイム・ウォーキン」のようなクラシックからビートルズナンバーまでを、御機嫌なロッキンサウンドにのせてやっています。このアルバムがリリースされていた当時、僕はサザンロックが好きだった時代です。出会っていたらきっとはまっていましたね。なんだかチャーリー・ダニエルズ・バンドを聴きたくなりました。



Doug MacLeod ; Unmarked Road ; AUDIOQUEST AQ-CD1046 (2003. 6. 7)

1997年リリース。タイトル曲の「ローリン&タンブリン」調の曲に女声コーラスが怪しく絡むあたりにこの人の定式にとらわれない個性を感じました。ドラムとベースが入ってくると、何だかログハウスの中でライヴを見ているような肌触り。リゾネイタ特有のギターの響きに、ややハイトーンで、時折スヌークス・イーグリンを思わせるけど、もうちょっとせっぱ詰まった感じのヴォーカルが乗ってくるブルースナンバーは、かなりユニーク。と思うと「トーキング・ウィズ・ストレィンジャーズ」では霞のかかったような歌とパーカッションが不思議なアンサンブルを奏でます。続く「ロール・ライク・ア・リヴァー」のゴスペルフィーリング溢れる歌など聴いていると、70年代の良質なアメリカンロックの伝統を感じました。とにかく曲により変幻自在さを感じさせます。好盤です。



Doug MaCleod ; Dubb ; BLACK & TAN B&T022 (2005. 1.14)

2004年リリース。リゾネイタをかき鳴らしながら歌うダグの新譜は、かなりの力作です。まず何よりエネルギーのある歌が素晴らしい!ギターの腕前は言うまでもなく、「ザ・シャイン・ダウン・マイ・ウェイ」のイントロなど鳥肌が立ちますけど、それに続く歌が、まさにロンサムで、たっぷりの情感を込めたもので聴き惚れました。「シー・ブギン」での歌の勢いといい、身体の中から湧き出る情念をどんどん歌に変換しているような、まさにブルースがここにはあります。「$50 ウィグ」の切迫感のある歌声は、ちょっとジョン・フォガティに通じるものも感じました。下手に芝居がかった歌で「らしさ」でごまかそうとする人もいる中、ダグの歌は素直な表現に思えますが、そこにはたっぷりのブルースが込められています。曲のヴァラエティもあり、全編飽きずに楽しめた1枚です。ことしのベストに入れてもいいくらい。



Doug Macleod ; Where I Been ; BLACK & TAN B&T026 (2006. 4.14)

2006年リリース。まず冒頭の「バッド・マジック」、ディープなリゾネイタサウンドと、パーカッシヴなドラムの絡み合いは、ドロッとしているんですが、どこかヒップホップに通じるような新しさも感じさせ、一発で引き込まれました。12弦、や各種のリゾネイタなどを駆使し、そのちょっと憂いのある歌と、本当に見事なギターとが上手く絡み合い、ダグの世界を見事に醸し出しています。ブルースが土台にあるのは当然ですが、決して古いものをなぞるわけでなく、かといって妙に奇をてらうわけでもなく、自然体なサウンドが素晴らしい。良く練り込まれた素敵なアルバムだと思いました。



Doug Macleod ; The Utrecht Sessions ; BLACK & TAN CD B&T032 (2008. 7.20)

2008年リリース。リゾネイタの弾き語りを中心に、12弦ギターを使ったり、曲によってはベースやパーカッションを入れたりしてますが、全体にゆったりとしたブルースが中心です。内省的な感じで、高めの声にはかなり張りがありますが、派手さはありません。確かなギター・テクニックで、落ち着いて聴くことができました。ただ、僕の心にずーんと響く曲はありませんでした。




Doug sahm ; Groovres Paradise ; WARNER BROS. WPCR-10655 (2000. 5.11)

1974年録音。解散したばかりのC.C.R.のダグ・クリフォードがプロデュース、ベースにステュ・クックの名前も見えます。明るい郷愁と哀愁をたたえたアメリカン・ロックといった感じで、晴れた朝の運転には最適でした。今日は曇ってたけど。「ご当地ソング」やポルカがあって、テキサス野郎って感じが好感を持てました。でも事前に思っていたよりはいろんな音楽の要素が入っていて、ちょっと意外。今度グッピーでかけてもらおうと思いました。惜しい人を亡くしたもんです。



The Last Real Texas Blues Band feat, Doug Sahm ; The Last Real Texas Blues Band ; ANTONE'S/P-VINE PCD-5597 (2002. 9. 7)

1994年にリリースされた、アントンズでのライヴ集。掲示板でダグが話題になっていたので早速購入しました。まず1曲目の「リコンシダー・ベイビー」、フルソンの原曲もテキサスで録音されていますが、アレンジとかはちょっとボビー・ブランドのものとの共通点を感じます。でもダグの真っすぐな歌とギター、気に入りました。バックはウエスト・サイド・ホーンズの面々が何人も入っています。特にロッキー・モラレスはダグが「ロッキー」と掛け声をかけているのがよく分かります。そのロッキーのブロウが、彼が師匠と仰ぐクリフォード・スコットの名演で有名なビル・ドゲットの「ホンキー・トンク」で蘇ります。カントリーあり、テックス・メックスアリの楽しい選曲で、ラストをT-ボーンの「T-ボーン・シャッフル」で決めるあたりこのアルバムのスタンスが分かるというもの。こんな好盤なぜ今まで聞き逃していたんだろう。



Dr. Don's Double Dose ; Conjure Bag ; DR. DON'S DOUBLE DOSE DDCD 001 (2005.10. 3)

2004年録音のようです。ドクター・ドンことドン・ホプキンスはオーストラリアのブルースピアニストですが、これがなかなか達者な演奏です。レッドベリーナンバーや「セント・ジェイムズ病院」など、曲は割と知られた曲が多いのですが、適度に洒落た演奏を聴かせます。またスネアをブラシで叩くロブ・グロッサーがビート感を強めますが、息も良く合ってますね。いきなりサニーボーイの「スージーQ」から来るとは思いませんでしたが。「ユー・ドント・ノー・マイ・マインド」ではどことなくニューオーリンズを感じさせるリズムと緩やかな歌。この人の歌はちょっとフェスにに通じるんです。ポピュラーソングを挟みながらの15曲、楽しめました。



Dr. John ; A Night In New Orleans ; NEWSOUND2000 NST 006 (2002.10. 5)

クレジットとか何もないアルバムですが、おそらく60年代末の録音ではないでしょうか。ひょっとするとCRAZY CAJUNがらみじゃないのかな。「ザ・タイム・ハッド・カム」から「ボールド・ヘッド」までのアルバムといったら、AMGで見ると60年代のコレクションになっていますし、音質も明らかに古いです。まあタイトル通りドクター・ジョンがニューオーリンズ・フレイヴァ溢れる曲をやっているんですが、後のATCO時代ほどひねりがなく、ある意味素直にやっています。演奏は少々バタバタしていて、自身は歌っていないU.S.ボンズのヒット「ニューオーリンズ」などはパーティサウンドですね。まあまあ面白いんですが、もう少しちゃんとしたリイシューをしてもらいたいな。



Dr. John ; Gumbo ; ATCO/EAST WEST AMCY-3041 (2000. 9. 4)

1972年リリース。LPの買い直しです。ドクター・ジョンことマック・ルベナックが自分のルーツとなるニューオーリンズ・ミュージックをロック・ファンに紹介する目的で作ったと言えるアルバムで、1曲を除き全編カヴァーです。ヒューイ・スミスやフェスといったピアニストの曲が多いのは当然でしょうが、素直なカヴァーというよりはけっこうスパイスを効かせてあり、そのややねじれたセカンドラインぶりはドクター・ジョンの世界と言えます。特に「ビッグ・チーフ」あたりのサウンド・メイクや解釈はユニークです。 > Click Here!



Dr. John ; In A Sentimental Mood ; WARNER BROS. 7599-25889-2 (2001.11.20)

1989年リリース。ドクターはこうしたスタンダードを時々取り上げますが、このアルバムはいつになくジャジーなタッチのピアノを聴かせます。バックの演奏を含めて、ジャズアルバムと言ってもいい感じです。トップの「メイキン・ウーピー」でのリッキー・リー・ジョーンズとのデュエットは絶品です(確かグラミーをとったんじゃなかったかな?)。いかにも音楽の裾野を広げようとしている感じですが、それがここ最近のより深みのあるニューオーリンズ・フォンクにつながっているように思います。



Dr. John ; Right Place, Right Time ; HYENA HYN 9344 (2006. 4.29)

1989年のマルディ・グラの時のライヴのようです。いきなり「ジャンコ・パートナー」で始まり、ゆったりした「トラヴェリン・ムード」、アール・キングの「レット・ザ・グッド・タイムズ・ロール」といったニューオーリンズの定番の中に、ジャジーな「ブラック・ウィドゥ」、跳ねる「ワン・ダン・ドゥードル」と色付けもあり、ラストはユルユルの「サッチ・ア・ナイト」といった具合に、いかにもお祭りの中のくつろいだらイヴって感じです。バックをディヴィッド・ベアードとハーマン・アーネストV世の鉄壁のリズム隊が支え、これでゆったりフォンキーにやられたら悪かろうはずがありませんね。最近はドクターの声に対するアレルギーも直って来ているので、円熟したドクターの歌と演奏を満喫することが出来ました。やはり地元でのライヴは違います。お薦めですね。



Dr. John ; Television ; GRP/MCA MGD-4024 (2002. 1. 7)

1994年リリース。この年はドクター・ジョンは「フードゥー・ムーンの下で」という自伝を出していて、インレイにもそのことが記されています。ひとことで言えばこのアルバムはドクター・ジョン流ファンク・アルバムです。当然ニューオーリンズ・フレイヴァはあるんですが、よりソリッドなファンクをイメージしています。ファンク讃歌「シャット・D・フォンク・アップ」に続いてスライ&ファミリー・ストーンの「サンク・ユー」を取り上げているあたり、実に明確です。この狙いが新作の「クレオール・ムーン」に引き継がれているのは明らか。しかし「マネー(ザッツ・ホヮット・アイ・ウォント)」の粋なファンクアレンジはいいなぁ。



Dr. John ; Duke Elegant ; PARLOPHONE/EMI 7243 5 23220 2 2 (2001.11. 4)

1999年リリース。ドクター・ジョンがデューク・エリントンの名曲の数々をガンボの鍋に放り込んでぐつぐつ煮込んだアルバムです。原曲の味わいを残しながら、リズムはセカンドライン。ドクター・ジョンはジャズメンとの共演も多く、こうした料理はお手のものです。「スウィングしなけりゃ意味ないよ」(でしたっけ?)のとろ〜っとした感じは他の誰にも出せない味で、医者というよりはシェフの仕事ですね。このバンドのリズム隊、特にドラムのハーマン・アーネストV世は派手さのないどっしりとしたサウンドなんですが、実にタイト。すごく気に入りました。



Dr. John Plays Mac rebennack ; The Legendary Sessions Volume 1 (2007. 9.17)

2002年リリースのドクター・ジョンのソロ・ピアノ・アルバムです。朝うちのカミサンがこのピアノを聞いて「誰?」と尋ねました。カミサンはブルースとかロックとかはほとんど聞かないんですが、ちょっとジョージ・ウィンストンに通じるきらびやかなプレイに興味を持ったようです。オリジナル曲はニューオーリンズ・テイストをたっぷりふりかけながら、広がりのあるサウンドで懐の深いところを見せています。また古い曲のカヴァーも面白く、例えば「清しこの夜」を軽快にあのダミ声で歌っちゃうってのがいいですね。「ケアレス・ラヴ」のジャジーだけど限りなくポップな味わいは彼ならでは。こんな人が店の隅のピアノを弾いてたら、僕は毎日入り浸りです。



Dr. John ; N'awlins Disdat Or D'udda ; BLUE NOTE 7243 5 78602 2 2 (2004. 8.29)

2004年リリース。CCCDでないアメリカ盤です。多彩なゲストを迎え、ニューオーリンズゆかりの曲を料理したって感じのアルバムで、前作のようなドロリとしたファンクネスは薄らぎ、センスで勝負しているような印象です。例えば「聖者が街にやってくる」とか「セント・ジェイムズ病院」なんて、メロディだけ聴くと原曲が分からないくらいのアレンジですが、前者はメイヴィス・ステイプル、、後者はエディ・ボーとの共演で、ユニークな仕上がり。この他デイヴ・バーソロミューやシリル・ネヴィル、ダーティ・ダズンの面々などもゲストに加わっています。面白かったのはランディ・ニューマンとやってる「アイ・エイト・アップ・ザ・アップル・トゥリー」で、この二人って結構似た指向があるなって再認識。嬉しかったのはスヌークス・イーグリンの元気な歌声が聴けたことです。



Dr. John ; Live At Montreux 1995 ; EAGLE ER 20078-2 (2005.12.23)

2005年にこんな素敵なライヴ盤がリリースされました。10年前の作品ですが、ハーマン・アーネスト、ディヴィッド・バラードといった最強のリズム隊に、チーフ・スマイリー・リックのパーカッション、サックスにはアルヴィン・レッド・タイラーが入っているという豪華さ!曲は「アイコ・アイコ」「カモン」「ゴーイン・バック・トゥ・ニュー・オーリンズ」「ザ・ビッグ・バス・ドラム(オン・ア・マルディ・グラ・ディ)」といったニューオーリンズものを中心に、ドクター得意のジャズ・スタンダードとして「ジー・ベイビー・エイント・グッド・トゥー・ユー」、そしてオリジナルの「ライト・プレイス・ロング・タイム」と名曲の目白押し。ドクターのピアノは跳ね、ヴォーカルはいつもより声は出てない感じですが、明るく歌いますし、「カモン」では味わい深いギターも披露してます。アンコールの「メス・アラウンド」の格好良さといったら!アルヴィンのサックスソロもふんだんにフューチャーされています。DVDにもなっているようで、そっちも探さなきゃ!ことしのベスト10間違い無しです。



Dr. John & the Lower 911 ; Sippiana Herricane ; BLUE NOTE 0946 3 45687 2 2 (2005.12.31)

2005年リリース。やはりことし最後はニューオーリンズ復興を願うこのミニアルバムで締めたいと思います。ドクター・ジョンは現在ニューヨーク在住なのでカトリーナの難は逃れましたが、やはり故郷の惨事には心を痛めており、ベネフィットアルバムを作りました。そして頭と最後に演奏されるのが、一昨日取り上げたタブ・ベノアのアルバムでもドクター自身が歌っていた「クリーン・ウォーター」。でもその歌われた時期の何と違うことでしょうか?聴き比べてみるとよく分かりますが、歌に秘められた悲しみがひしひしと伝わってきます。残りは今回の悲劇をジャジーなインストで表現した4部構成の組曲と、故郷への万感の思いを歌い込んだ「スウィート・ホーム・ニューオーリンズ」です。ミュージック・マガジンのインタビューを読んでも分かるとおり、ドクターの彼の地への想いの大きさがたっぷり詰め込まれた1枚。



Dr. John ; Mercernary ; BLUE NOTE 0946 3 54541 2 3 (2006. 8. 9)

2006年リリースの新譜です。アルバムタイトルからも分かるように、ドクターがジョニー・マーサーの曲を取り上げたアルバムです。でもいきなりの「ブルース・イン・ザ・ナイト」のセカンドライン風味からドクターの世界ですね。ジョン・フォウル、ディヴィッド・バラード、ハーマン・アーネストといつものメンバーに支えられ、ゆったりと心地よく跳ねるリズムがたまりません。「パーソナリティ」「レイジー・ボーンズ」「降っても晴れても」、そして「ムーン・リヴァー」と、多彩な曲を作ったマーサーを見事に料理するドクター。「タンジェリン」などではピアノインストで、ちょっとジャジーなセンスを醸し出しながら、でもリズムがニューオーリンズしているのがさすがですね。なんだかあったかくて元気の出るサウンドです。僕のことしのベスト10入りは確実ですね。



Dr. John & The Lower 911 ; City That Care Forgot ; 429 FTN 17703 (2008. 8. 9)

2008年リリース。この人のニューオーリンズに対する思いは本当に深いですね。今回はゲストにクラプトンやウィリー・ネルソンを呼んでいます。まあクラプトンとドクター・ジョンの付き合いはかれこれ40年になるわけですからね。ウィリー・ネルソンとのデュオ「プロミセズ・プロミセズ」は、割合二人の声が似ていることもあり、独特の味わいになっています。でもそうしたゲストの入らない、ハーマン・アーネスト3世を始めとするバンドの演奏が実に格好いいんです。「ドリーム・ワラー」のどす黒さ、「ブラック・ゴールド」のうねり具合、「セイ・ワット?」のゆったりしたグルーヴ感、たまりませんね。ぐっときたのはジェイムズとトロイのアンドリュース兄弟をフューチュアした「マイ・ピープル・ニード・ア・セカンド・ライン」。こんな歌を歌えるのはドクターだけでしょう。そしてラストを締めくくるテレンス・シミエンとのデュオ「セイヴ・アワ・ウエットランズ」。こうしてニューオーリンズ音楽の奥深さをドクターが表現し続けることが、街の復興に繋がるような気がしてきました。




Dr. K Project ; 不思議な話 ; TAMT TAMT-1 (2004. 3.15)

2001年リリース。ドクターKこと徳武弘文は、ヴェンチャーズスタイルのギタリストとして知る人ぞ知る存在だそうですが、僕はここのところ2回ほどアコースティック・ギターによるライヴを見ました。これはその会場で購入。主にガットギターを駆使して、オリジナルの他、カントリーの名曲「サンドマン」や、ヴェンチャーズ作で知られる「京都慕情」、さらには「クラシカル・ガス」などをインストでやっていますが、テクニックの凄さもですが、音が生き生きしています。バックを支えるミュージシャン共々演奏をしっかり楽しんでいる様子が伺えます。僕の守備範囲の外とも言えますが、なかなかどうして面白かったです。これを聴いてから生で見る「キース」はまた格別でしょうね。



Dr. Michael White ; A Song For George Lewis ; BASIN STREET BSR0501-2 (2003. 4. 7)

2000年リリース。ミシェル・ホワイトはクラリネット奏者で、伝統的なニューオーリンズ・ジャズのスタイルのバンドリーダーです。このアルバムは大先輩に当たるジョージ・ルイスヘのトリビュート・アルバムと言えそうです。何とも懐かしい感じのクラリネットの響きですが、サウンドはすっきりと整理されていて、決して古くさくは感じませんでした。サーカスで有名な「オーヴァー・ザ・ウェイヴズ」もなかなか洒落たアレンジで聴かせます。ニューオーリンズの街角から聞こえてきそうな、でも洗練されたサウンドと言いましょうか。クラリネット好きのカミサンによると、もう少し深みのある音が良いそうなんですが、そこはこの手のスタイルだから仕方がないんでしょうね。



Dr. Ross ; The Flying Eagle ; BLUE HORIZON CD-1 (2004.12.26)

1965年ロンドン録音のオリジナル盤をCD化し、1966年の音をボーナスで加えたもののようです。中古で購入。ワンマンバンドの代表のひとりであるドクター・ロスらしいギター&ハープのブギから始まりますが、デルタの香りの強い「ゴーイン・ダウン・スロー」にまず耳が奪われます。リズミカルなハーモニカはウォルター・ホートンに通じるものがある一方、サニーボーイの「トゥー・クロス・トゥゲザー」をぐっとプリミティヴにやったりするのを聴くと、メンフィスの街角での演奏を思い浮かべます。またギターはジョン・リー・フッカーに通じるドロッとしたもので、これもディープです。66年の録音の方はエレキを弾いてたりカズーを吹いてたりします。こちらは録音は悪いんですが、日常的なエネルギーを感じます。



Clyde McPhatter & The Drifters ; Money Honey 1953-58 ; GREAT VOICES OF THE CENTURY GVC 2027 (2009.11.28)

ATLANTICに残されたドリフターズとクライド・マクファーターのシングル盤を集めた2枚組コンピです。まずは初期のクライドとドリフターズが一体となっていた時代がかっこよく、冒頭のタイトル曲を始め、季節ものの「ホワイト・クリスマス」など、クライドの伸びやかなテナーを見事なコーラスで支えています。リズムメイカーズとして、ルース・ブラウンと組んだ仕事も収録されています。後半別々に活動するようになっても、ドリフターズは「ルビー・ベイビー」などのヒットを出していたりしますが、やはり方向性がはっきりしなくなっていますね。ベン・E.キングの加入を待たねばならなかったようです。一方クライドの方はソロでも着実な活躍をしている様子がよく分かります。2枚目には伸びやかなバラード「トレジュア・オヴ・ラヴ」「ロング・ロンリー・ナイツ」といったNo.1ヒットが入っていますが、この他軽快なナンバーもこなしています。




Driftin' Slim & His Band ; Somebody Hoo-doo'd The Hoo-Doo Man ; MILESTONE OBCCD-590-2 (2004. 2.26)

1966〜67年にカリフォルニア録音されたものを集めたものです。ドリフティン・スリムはいわゆるワン・マン・バンドのブルースマンで、アーカンソーで「キング・ビスケット・タイム」に出たりした後、フォークブルース・ブームの中で西海岸に移ったようです。それにしても久々にいなたいブルースを聴いたって感じですね。ジョン・リー・サニーボーイ・ウィリアムソンのタイトル曲も、例えばジュニア・ウェルズのような気取りなど微塵もなく、真っすぐに唄います。ハーモニカはもう一人のサニーボーイから強い影響を受けたみたいで、吹き語りの「ママ・ブルース」ではかなり達者なところを聴かせます。ワンマンバンドの曲はさらにいなたく、のどかさを感じさせるほど。ぽかぽかの昼下がりにぼーっとしながら聴いてると、綿畑の風景か何かを夢に見ながら気持ち良く寝れそう。



Drink Small ; Blues Doctor: Live & Outrageous! ; ERWIN MUSIC EM-8801 (2008. 7.15)

1988年リリースのアルバムの再発です。ギターをかき鳴らしながらのゴスペル弾き語りという、かなりユニークなスタイルから始まり、バンドスタイルでのブルース、J.B.の「アイ・フィール・グッド」やジェリー・バトラーの「アイ・スタンド・アキューズド」、アイズレー・ブラザーズの「シャウト」など、ソウルやファンクナンバーまでライヴでやっています。何とも垢抜けない結構ドスの効いたヴォーカルと、繊細さのかけらも無い野太いギターで、客席を煽る状は、この人のスタイルだったんでしょう。語りに対するお客さんの反応が結構熱くて、その勢いある演奏が結構人気だったのかなと思いました。




Duane Eddy ; Twang Thang - The Duane Eddy Anthology ; RHINO R2 71223 (2001.12.12)

1958〜87年録音のデュエイン・エディのベスト2枚組です。C.C.R.絡みで某掲示板で話題になったので、聴いてみました。ギターはグレッチのカントリー・ジェントルマンでしょうか?ビグスビー・アーム付きのホロウ・ボディから繰り出される低音弦の響きは、おそらくフェンダー・ツイン・リヴァーブと思われるリヴァーブとトレモロの効果もあって、まさにトゥワンギーです。しかしそれより僕をひきつたのが共演のサックス。明らかにジャンプ〜ウエスタン・スウィングを意識したサウンドなのでしょうが、スティヴ・ダグラスの泥臭さ、ジム・ホーンのキング・カーティスに相通じるフレージングなど、かなりきました。80年代にはライ・クーダーとの共演などもあり、またアート・オヴ・ノイズとの「ピーター・ガン」(86年)はけっこう流行ったのを記憶してます。でもこれってデュエインだったのね。



Duck Baker ; There's Something For Everyone In America ; STEFAN GROSSMAN'S GUITAR WORKSHOP SGGW106 (2008.10.11)

1975年のアルバムのリイシューです。このシリーズのコンピにも登場するダックは、ガット・ギターでラグタイムなどのピアノ曲をアレンジして弾くのを得意としているようです。例えば1曲目「ジャクソン・ストンプ」は「カウ・カウ・ブルース」の改作ですし、「ワルヴァーリンズ」はジェリー・ロール・モートンの曲。さらに「パイナップル・ラグ」はスコット・ジョプリンといった具合に、見事にピアノをギターに置き換えていきます。でもそれだけでなく、「マッティ・パウェル」ではファンキーなプレイも聴かせますし、アイリッシュ・リールやキューバン・ミュージックなど、幅広い選曲で飽きさせません。




Dud And Paul Bascomb ; 1945-1947 ; CLASSICS 5061 (2004. 5.22)

テナー・サックスのポールと弟のトランペッター、ダッドの双頭アルバムです。11曲がダッド、後6曲がポール名義で、ふたりが共演しているのは最初の8曲だけです。この時代らしく、スウィングからビ・バップに移行するジャズサウンドと、ジャンプからR&Bに変化していく両方の様子が現れています。当時流行りのノックもの「サムバディズ・ノッキング」あたりはジャジーな演奏のR&Bって感じですね。エイヴリー・パリッシュ名義のショート・ヴァージョンの「アフター・アワーズ」なども入っています。ダッドは歌も歌いますが、なかなか優しげな感じです。ポール・バスコムのコンボの方がぐっとジャズよりな感じ。割と小粋な演奏を聴かせます。まさにジャズ、ジャンプとも大きな革命前夜の小康期って感じですか。



Duke Robillard ; Passport To The Blues ; DIXIEFROG DFGCD 8694 (2010.11. 2)

2010年リリース。白人ブルースギタリストとしては最高峰のひとりと言っていいデュークの新譜です。トム・ウェイツの「メイク・イット・レイン」を除くとすべてオリジナルという意欲作で、ダウンホームからジャジーなものまで、いろんなタイプのブルースをやっています。でもこの人は割とジャジーなスタイルが似合うと思います。そういう意味では「フェイタル・ハート・アタック」や「ホウェン・ユーア・オールド・ユーア・コールド」等がしっくり来ました。ただ、この人のヴォーカルは僕は苦手です。なんかわざとらしい。別にヴォーカル入れたらいいんじゃないかななんて余計なお世話を感じちゃいました。




The Dukes Of Dixieland / The Olympia Brass Band ; Soirit Of New Orleans ; SHERIDAN SQUARE 7699 (2008.12.21)

2008年リリース。ニューオーリンズ現役のディキシーランド・スタイルのバンドと、トラディショナルなブラスバンドが、ニューオーリンズゆかりの名曲を中心にやっちゃうって内容のアルバムです。前半9曲がデューク・オヴ・ディクシーランドで、楽しいディクシーランド・チューンからしっとりした「ドゥー・ユー・ノウ・ワット・イット・ミーンズ・トゥ・ミス・ニューオーリンズ」や「ベイシン・ストリート・ブルース」、そして楽しい「タイガー・ラグ」と王道を行く選曲。一方オリンピア・ブラス・バンドの方はフェスの「マルディ・グラ・イン・ニューオーリンズ」や「ニュー・セカンド・ライン」「マイ・ブルー・ヘヴン」といった、よりカーニヴァル的な選曲で、同じホーン中心の演奏でも、スタイルの違いが上手く出ていました。どちらも味わいがあり面白いアルバムです。




Dumpstaphunk ; Listen Hear ; DP no number (2007. 5.31)

2007年リリース。これは強烈なファンクアルバムです。確かな演奏力に裏付けられたサウンドに支えられ、ガツンと来るヴォーカルが乗ってきます。それもそのはず、アイヴァン・ネヴィルがメインアクトなんです。演奏はタイトで、少しロックっぽさを入れたバンドサウンドは、印象的なリフで構成され、それぞれの楽器のリズムが絡み合うよう。ブラスが入った曲でもルーズにならず、しっかりしたヴォーカルを支えます。ラストの「シェイク・イット・オフ」は演奏はパパ・グロウズ・ファンクを思わせますけど、ヴォーカルとコーラスワークがこちらの方がぐっといいですね。これは大当たりです。



2010.11.22 Dumpsta Phunk ; Everybody Want Sam ; DUMPSTAPHUNK no number (2010.11.22)

2010年リリース。これはもう掛け値なしにかっこいいです!ネヴィルズの次世代バンドって感じで、アイヴァンにイアンが参加、強烈なファンクビートに、素晴らしいヴォーカルが乗ってきます。メインヴォーカルはアイヴァンかな。コーラスも強力で、続々繰り出される低重心のファンク・ナンバーの数々はどれもどれもかっこいいこと。ことし聴いたニューオーリンズものでは最もインパクトの強いアルバムになりました。「スタンディン・イン・ユア・スタッフ」はなんとジガブーの曲で、これがまたいかしてるんです。こういうの大好き!




Duwayne Burnside & The Mississippi Mafia ; Live At The Mint ; BC L13-14 (2005. 6. 9)

1998年リリース。ちょっととっ散らかったようなばたついた演奏に、かなりラフで勢いに任せたようなギター、ヴォーカルは思ったより線が太くなく、ガリガリギターを弾いているときとちょっと落差があります。どちらかというとファンキーなリズムの曲の方が聴いていて面白いかな。「クロスカット・ソウ」なんかギターも弾けていてけっこういい感じに盛り上がります。途中親父のR.L.が登場すると、その野太い声で場が一気に引き締まりますね。さすがゴッドファーザー。でもその分父子の力量差もはっきり出ちゃいますが。



Duwayne Burnside & The Mississippi Mafia ; Under Pressure ; BC no number (2005. 6. 4)

2005年リリース。R.L. バーンサイドの息子で、現在来日中のノース・ミシシッピ・オールスターズにも在籍していたドゥェインの自己名義バンドは、やはりちょっと歪んだラウドなサウンドのギターを軸にした、かなりロックに近いブルースをやっています。歌やワウワウの使い方など、相当ジミ・ヘンドリックスの影響を受けているようですが、フレージングには殆ど緻密さがなく、手癖で紡ぎ出す感じです。でもそれが彼のスタイルなんでしょう。マイナーの曲調や、ざらついたバンドサウンドやヴォーカルと上手くマッチしています。これはブルースファンよりむしろグッピーあたりでかけたら受けるかもしれません。



Dwayne Dopsie & The Zydeco Hellraisers ; Now It Begins ; I VIBE LIFE no number (2003. 3.10)

2002年リリース。この人はロッキン・ドュプシーの下の息子だそうですが、やはり新世代の良さが前面に出ています。まずはそのスピード感がすごくて、ちょっと走り気味なくらいですが、ぐいぐい来ます。ややざらついた声と、ジェイスン・ハワードの歪んだギターが上手くマッチ、ブギのドライヴ感もドスが効いています。やっぱりロック世代のサウンドですね。その極めつけが「ヴードゥー・チャイル」。エコーを絡めたイントロから例のタイトルに突入するあたり、かっこいいです。そしてアコとヴォーカルのユニゾンですからねぇ。思わずにやついちゃいました。この他ファンキーな「ユー・ベター・ビ・グッド」など、ラフさを魅力にしちゃう演奏だと思いました。そんな中、ジミー・ロジャーズ(クレジットのスペル違ってますが)の「ザッツ・オールライト」(タイトルは「ユー・トールド・ミー・ベイビー」)なんて選曲もあって飽きさせません。



Dwayne Dopsie & The Zydeco Hellraisers ; Dopsie Strikes ; DWAYNE RUBIN RAYVAN no number (2004. 4.13)

クレジットは2001年リリースって書いてありますが、多分新譜です。まず全体に疾走感溢れるドライなリズムが強烈です。ドウェインは3ローのアコーディオンでちょっとエフェクトをかけたようなきらびやかな音で派手に動き回り、そのバックをファンクネスたっぷりなベースと、タイトなドラム、ラブボードが支えます。ギターはキポリ・ウッズでブルージーでシャープなプレイを聴かせます。ドウェインはブルースやソウル寄りの曲がお好みのようで、まるでタイロン・ディヴィスの「ターン・バック・ザ・ハンズ・オヴ・タイム」のような「ユア・ザ・オンリー・ワン・アイ・ニード」ではシカゴ・ソウル、リトル・ウォルターの「ラスト・ナイト」そのものの「ロスト・ザ・ベスト・フレンド・アイ・ネヴァー・ハッド」では長尺のブルースをやっています。この他超高速トゥーステップの「タイトゥン・アップ・ザディコ」、思いっ切りファンキーな「ハウ・マッチ・エルス・キャン・アイ・ルーズ」などラブボードも全開で煽り、ラスト3曲は怒涛のガブリ寄りとも言うべき押しまくり方。とにかく凄いです。



Dwayne Dopsie & The Zydeco Hellraisers ; After The Storm - Live 2005 ; TELLURIDE no number (2006. 9.17)

2005年コロラドでのライヴです。本人のサイトから直接購入。タイトルにあるようにカトリーナ以降のもので、その被害についてのメッセージが込められています。ソウルレビューよろしくサックス入りのバンドが「ソウル・マン」を演奏してスタート。ドウェインが呼ばれると疾走感溢れる彼らしいザディコが演奏されます。ただ、ドウェインの場合オリジナルよりも既製のロックやR&Bナンバーをザディコ風に料理するスタイル。この辺は兄のロッキン・ドゥプィー・ジュニアに通じますが、ちょっと物足りないところではあります。そんな中「ハリケーン」はオリジナルなのかな。やはり気持ちがこもっていました。



Dwayne Dopsie & The Zydeco Hellraisers ; Traveling Man ; SOUND OF NEW ORLEANS SONO 1069 (2006. 9. 6)

特に記載はないですが、おそらく2006年の作品です。ドウェインのザディコっていうと、ブルースの要素を取り入れながら、ジミ・ヘンドリックスなどロック的なアプローチを見せるって印象が強いんですが、このアルバムでは3ローならではの豊かな響きのアコーディオンから、勢いのあるビートがこれでもかと絞り出されます。真にロッキンザディコという言葉がふさわしいダンサブルな曲が次々と奏でられ、思わず腰が動いてしまいます。でもロック的なアプローチやヒップホップ的な手法はあまり感じさせず、タイトで疾走感があるけれどどこか柔らかさを感じさせるのは、カーニス・アンドラスのサックスが全編で効いているからでしょうか。タイトル曲のブルージーな感じはドウェインならではですね。ソウルなどの影響も感じますが、以前より丸く、成熟した印象を受けました。



Dwayne Dopsie & The Zydeco Hellraisers ; Up In Flames ; SOUND OF NEW ORLEANS SONO 1071 (2010. 6.17)

2009年リリース。ドウェイン独特のフェイズのかかったようなアコーディオンとドライヴ感ある押しの強いヴォーカルが、けっこう強烈なリズム隊に支えられて押し寄せてきます。「ジャスト・カム・バック・ホーム」あたりのスクエアなリズムはラフィエ近辺のプレイヤーからはなかなか聴くことのできないもので、ロックやファンクからの影響が強いことをうかがわせます。一方「バック・イン・ザ・ウッド」のダンサブルなトゥーステップからはしっかり伝統から引き継いだものも感じさせます。全体としてはいつもよりオーソドックスかも。




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